(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-13
(45)【発行日】2024-11-21
(54)【発明の名称】オンライン対話支援システム
(51)【国際特許分類】
H04N 7/18 20060101AFI20241114BHJP
H04N 7/14 20060101ALI20241114BHJP
H04N 21/431 20110101ALI20241114BHJP
G06T 7/00 20170101ALI20241114BHJP
G06V 40/16 20220101ALI20241114BHJP
G06T 1/00 20060101ALI20241114BHJP
G06T 5/50 20060101ALI20241114BHJP
G06T 11/80 20060101ALI20241114BHJP
【FI】
H04N7/18 U
H04N7/18 K
H04N7/14 110
H04N21/431
G06T7/00 510F
G06V40/16 A
G06T1/00 340A
G06T5/50
G06T11/80 A
(21)【出願番号】P 2023546844
(86)(22)【出願日】2022-08-08
(86)【国際出願番号】 JP2022030319
(87)【国際公開番号】W WO2023037812
(87)【国際公開日】2023-03-16
【審査請求日】2024-01-09
(31)【優先権主張番号】P 2021147550
(32)【優先日】2021-09-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】392026693
【氏名又は名称】株式会社NTTドコモ
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100121980
【氏名又は名称】沖山 隆
(74)【代理人】
【識別番号】100128107
【氏名又は名称】深石 賢治
(72)【発明者】
【氏名】阿部 桃子
(72)【発明者】
【氏名】岩村 幹生
(72)【発明者】
【氏名】藤本 洋平
(72)【発明者】
【氏名】加藤 禎篤
【審査官】長谷川 素直
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-142193(JP,A)
【文献】特開2007-148872(JP,A)
【文献】特表2020-507221(JP,A)
【文献】特開2009-135705(JP,A)
【文献】特開平11-096366(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第112597867(CN,A)
【文献】特開2021-114324(JP,A)
【文献】特開2000-004395(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 7/18
G06T 1/00
G06T 5/50
G06T 7/00
G06T 11/80
H04N 7/14-7/15
H04N 21/00-21/858
G06V 40/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
送信側ユーザの端末と受信側ユーザの端末との間のオンライン対話を支援するオンライン対話支援システムであって、
前記送信側ユーザの顔を示す基準顔画像を記憶する記憶部と、
前記送信側ユーザの顔の一部の領域が隠された状態の前記送信側ユーザの顔を示す隠れ顔画像を取得する取得部と、
前記隠れ顔画像の前記一部の領域を補完し、補完顔画像を生成する生成部と、
前記基準顔画像及び前記補完顔画像に基づく認証を実行する認証部と、
前記認証が成功した場合に、前記受信側ユーザの端末に前記補完顔画像を表示させ
、前記認証が失敗した場合に、前記受信側ユーザの端末に前記隠れ顔画像を表示させる表示制御部と、
を備えるオンライン対話支援システム。
【請求項2】
前記一部の領域は、前記送信側ユーザが装着しているヘッドマウントディスプレイによって隠されており、
前記生成部は、前記隠れ顔画像のうち前記ヘッドマウントディスプレイに対応する部分を他の画像に置換することによって、前記一部の領域を補完する、
請求項1に記載のオンライン対話支援システム。
【請求項3】
前記生成部は、予め記憶された前記ヘッドマウントディスプレイの形状に基づいて、前記隠れ顔画像のうち前記ヘッドマウントディスプレイに対応する領域を特定することにより、前記一部の領域を特定する、
請求項
2に記載のオンライン対話支援システム。
【請求項4】
前記生成部は、複数の前記送信側ユーザの顔画像と共に前記送信側ユーザとは異なる複数のユーザの顔画像を教師データとして用いた機械学習によって、前記送信側ユーザの顔の一部を示す画像を入力して前記送信側ユーザの顔の他の部分の推定結果を出力するように構成されたモデルを予め用意しておき、前記隠れ顔画像のうち前記一部の領域を除いた領域を前記モデルに入力し、前記モデルからの出力結果に基づいて前記一部の領域を補完する、
請求項1に記載のオンライン対話支援システム。
【請求項5】
前記生成部は、複数の前記送信側ユーザの顔画像と共に前記送信側ユーザとは異なる複数のユーザの顔画像を教師データとして用いた機械学習によって、前記一部の領域のうち一部を示す第一範囲の画像を入力して、前記一部の領域のうち前記第一範囲とは異なる部分を示す第二範囲の推定結果を出力するように構成されたモデルを予め用意しておき、前記一部の領域のうち前記送信側ユーザの顔の一部を示す画像を前記モデルに入力し、前記入力した画像及び前記モデルからの出力結果に基づいて前記一部の領域を補完する、
請求項1に記載のオンライン対話支援システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の一側面は、オンライン対話支援システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、ヘッドマウントディスプレイ(HMD)付顔動画像から置換対象であるHMD領域のマスクパターンを作成しておき、HMDなし顔静止画像におけるマスクパターンに対応する領域を用いて置換し、HMDなしの顔動画像を合成する装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
例えば、複数のユーザ間でオンライン対話を行うシステムにおいて、上記特許文献1に記載された仕組みを適用した場合、ある第1ユーザのHMDなしの顔画像を他のユーザの端末上に表示させることができるため、ユーザ間のコミュニケーションを促進する効果が期待される。しかし、HMDを装着したユーザが実際には第1ユーザではない場合(例えば、第1ユーザ以外のユーザが第1ユーザになりすましてオンライン対話に参加しようとしている場合)には、他のユーザの端末上に第1ユーザの顔画像が表示されてしまうことにより、なりすましが助長されることになる。
【0005】
そこで、本発明の一側面は、オンライン対話において、顔の一部の領域が隠されたユーザのなりすましを防止可能なオンライン対話支援システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一側面に係るオンライン対話支援システムは、送信側ユーザの端末と受信側ユーザの端末との間のオンライン対話を支援するオンライン対話支援システムであって、送信側ユーザの顔を示す基準顔画像を記憶する記憶部と、送信側ユーザの顔の一部の領域が隠された状態の送信側ユーザの顔を示す隠れ顔画像を取得する取得部と、隠れ顔画像の一部の領域を補完し、補完顔画像を生成する生成部と、基準顔画像及び補完顔画像に基づく認証を実行する認証部と、認証が成功した場合に、受信側ユーザの端末に補完顔画像を表示させる表示制御部と、を備える。
【0007】
本発明の一側面に係るオンライン対話支援システムにおいては、送信側ユーザの顔の一部の領域が隠された隠れ顔画像から、該一部の領域を補完した補完顔画像が生成される。そして、送信側ユーザの本来の(完全な)顔画像である基準顔画像、及び補完顔画像に基づく認証が実行される。認証が成功した場合に、受信側ユーザの端末に補完顔画像が表示される。上記オンライン対話支援システムによれば、受信側ユーザは、補完顔画像が受信側ユーザの端末に表示されていることを確認することによって、送信側ユーザが本人であることを確認することが可能となる。よって、送信側ユーザのなりすましを防止することができる。
【発明の効果】
【0008】
本発明の一側面によれば、オンライン対話において、顔の一部の領域が隠されたユーザのなりすましを防止可能なオンライン対話支援システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】一実施形態に係るオンライン対話支援システムの概要を示す図である。
【
図2】オンライン対話支援システムの機能構成の一例を示すブロック図である。
【
図4】第1実施形態に係るオンライン対話支援システムの動作の一例を示すシーケンス図である。
【
図5】第2実施形態に係るオンライン対話支援システムの機能構成の一例を示すブロック図である。
【
図6】第2実施形態に係るオンライン対話支援システムの動作の一例を示すシーケンス図である。
【
図7】第3実施形態に係るオンライン対話支援システムの機能構成の一例を示すブロック図である。
【
図8】第3実施形態に係るオンライン対話支援システムの動作の一例を示すシーケンス図である。
【
図9】オンライン対話支援システムに関連するハードウェア構成の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、添付図面を参照して、本発明の一実施形態について詳細に説明する。なお、図面の説明において同一又は相当要素には同一符号を付し、重複する説明を省略する。
【0011】
図1は、一実施形態に係るオンライン対話支援システム1の概要を示す図である。オンライン対話支援システム1は、複数のユーザの端末間のオンライン対話を支援するコンピュータシステムである。オンライン対話支援システム1では、ユーザの顔を示す顔画像が撮影され、その顔画像が送受信される。顔画像は、実写の3Dデータであってもよく、ユーザの全身が映っていてもよい。本実施形態では、自身の顔画像を送信する側のユーザを送信側ユーザといい、送信側ユーザの顔画像を受信する側のユーザを受信側ユーザという。ただし、送信側ユーザ及び受信側ユーザは、各ユーザに対して固定的に設定されるものではない。送信側ユーザは、自身が他のユーザの顔画像を受信する場面では受信側ユーザになる。また、受信側ユーザは、自身の顔画像を他のユーザに送信する場面では送信側ユーザになる。
【0012】
オンライン対話支援システム1は、送信側ユーザ端末10及び受信側ユーザ端末20を備えている。送信側ユーザ端末10及び受信側ユーザ端末20は、通信ネットワークNを介して通信可能に接続される。通信ネットワークNの構成は限定されない。例えば、通信ネットワークNはインターネットを含んで構成されてもよいし、イントラネットを含んで構成されてもよい。
図1の例では、送信側ユーザ端末10及び受信側ユーザ端末20がそれぞれ一個示されているが、個数はこれに限られない。例えば、オンライン対話支援システム1は複数の送信側ユーザ端末10及び複数の受信側ユーザ端末20を備えていてもよい。すなわち、オンライン対話支援システム1は多人数間のオンライン対話を行うシステムとして適用され得る。
【0013】
送信側ユーザ端末10は、送信側ユーザによって使用される端末である。送信側ユーザ端末10の種類及び構成は限定されない。送信側ユーザ端末10は、例えば、高機能携帯電話機(スマートフォン)、タブレット端末、ウェアラブル端末、ラップトップ型パーソナルコンピュータ、携帯電話機等の携帯端末でもよい。或いは、送信側ユーザ端末10は、デスクトップ型パーソナルコンピュータ等の据置型端末でもよい。また、送信側ユーザ端末10は、上述したような各送信側ユーザによって所持されるユーザ端末であってもよいし、各送信側ユーザのユーザ端末と通信可能に構成されたサーバ装置であってもよい。或いは、送信側ユーザ端末10は、ユーザ端末及びサーバ装置の組み合わせによって構成されてもよい。すなわち、送信側ユーザ端末10は、単一のコンピュータ装置によって構成されてもよいし、互いに通信可能な複数のコンピュータ装置によって構成されてもよい。
【0014】
受信側ユーザ端末20は、受信側ユーザによって使用される端末である。受信側ユーザ端末20の種類及び構成は、送信側ユーザ端末10の種類及び構成と同様である。上述した通り、受信側ユーザは送信側ユーザになり得るし、送信側ユーザは受信側ユーザになり得る。従って、受信側ユーザが送信側ユーザとなる場合には、受信側ユーザ端末20は送信側ユーザ端末10として機能する。また、送信側ユーザが受信側ユーザとなる場合には、送信側ユーザ端末10は受信側ユーザ端末20として機能する。
【0015】
送信側ユーザは、ヘッドマウントディスプレイDを頭部に装着している。ヘッドマウントディスプレイDの形態は特定の形態に限定されない。ヘッドマウントディスプレイDは、例えば、ゴーグル型、グラス型(眼鏡型)、帽子型等の種々の形態を取り得る。ヘッドマウントディスプレイDは、例えばXR(eXtended Reality)グラス等のスマートグラスである。一例では、ヘッドマウントディスプレイDは、ユーザに拡張現実(AR:Augmented Reality)を提供する機能を有するARグラスである。すなわち、ヘッドマウントディスプレイDは、ユーザが仮想空間と共に現実空間(外界)を視認できるように構成されたシースルー型のグラスである。ただし、ヘッドマウントディスプレイDは上記に限定されず、ユーザに複合現実(MR:Mixed Reality)を提供する機能を有するMRグラス等のMRデバイスであってもよいし、ユーザに仮想現実(VR:Virtual Reality)を提供する機能を有するVRグラス等のVRデバイスであってもよい。
【0016】
一例として、オンライン対話支援システム1には、Volumetric Video(又はVolumetric Capture)技術が適用され得る。この技術は、被写体を複数のカメラ等を用いて全方位から撮影し、被写体のあるがままの姿、形及び動き等(以下「動作等」という。)を高精度に再現する3Dコンテンツを作成する技術である。この技術が適用されたオンライン対話支援システム1は、3D化された複数のユーザの動作等を同一の仮想空間上にリアルタイムに再現することにより、同一の空間で対話しているかのようなユーザ体験を各ユーザに提供する。このようなユーザ体験を享受するために、送信側ユーザ及び受信側ユーザは、ヘッドマウントディスプレイDを装着したままオンライン対話に参加する。
【0017】
[第1実施形態]
図2は、第1実施形態に係るオンライン対話支援システム1A(1)の機能構成の一例を示すブロック図である。オンライン対話支援システム1Aは、送信側ユーザ端末10A(10)及び受信側ユーザ端末20A(20)を含んで構成される。第1実施形態においては、オンライン対話支援システムの主要な機能は、受信側ユーザ端末20Aによって実行される。すなわち、第1実施形態においては、受信側ユーザ端末20Aが単独でオンライン対話支援システムを構成していると見做すことができる。送信側ユーザ端末10Aは、撮影部11及び送信部12を備えている。
【0018】
撮影部11は、送信側ユーザの顔を撮影して顔画像を取得する。例えば、撮影部11は、送信側ユーザの顔を示す基準顔画像を撮影する。基準顔画像とは、送信側ユーザの顔が隠されていない状態で撮影された送信側ユーザの本来の(完全な)顔画像である。例えば、基準顔画像は、送信側ユーザの顔がヘッドマウントディスプレイDによって隠されていない状態(すなわち、送信側ユーザがヘッドマウントディスプレイDを装着する前の状態)で送信側ユーザの顔全体が撮影された画像である。例えば、撮影部11は、基準顔画像を静止画として撮影する。
【0019】
また、撮影部11は、送信側ユーザの顔の一部の領域が隠された状態の送信側ユーザの顔を示す隠れ顔画像を撮影する。隠れ顔画像とは、撮影部11と送信側ユーザの顔との間に存在する物体によって、送信側ユーザの顔の一部が隠された状態で撮影された送信側ユーザの不完全な顔画像である。例えば、隠れ顔画像は、ヘッドマウントディスプレイDによって送信側ユーザの顔の一部の領域が隠された状態(すなわち、送信側ユーザがヘッドマウントディスプレイDを装着した後の状態)で送信側ユーザの顔全体が撮影された画像である。換言すると、隠れ顔画像は送信側ユーザの顔と共に、送信側ユーザの顔の一部の領域を隠すヘッドマウントディスプレイDが映り込んだ画像である。例えば、撮影部11は、隠れ顔画像を動画像形式で撮影する。
【0020】
送信部12は、撮影部11によって取得された基準顔画像及び隠れ顔画像を受信側ユーザ端末20Aに送信する。例えば、送信部12は、オンライン対話が開始される前に基準顔画像を受信側ユーザ端末20Aに送信し、オンライン対話が開始された後に隠れ顔画像を受信側ユーザ端末20Aに送信する。
【0021】
受信側ユーザ端末20Aは、受信部21(取得部)と、生成部22と、認証部23と、表示制御部24と、を有する。
【0022】
受信部21は、送信側ユーザ端末10Aから基準顔画像及び隠れ顔画像を受信することによって、基準顔画像及び隠れ顔画像を取得する取得部として機能する。受信部21は、基準顔画像を後述の記憶部30に格納する。なお、送信側ユーザの基準顔画像は、受信側ユーザ端末20Aを経由することなく、送信側ユーザ端末10から記憶部30へと直接記憶(登録)されてもよい。
【0023】
生成部22は、隠れ顔画像の一部の領域を補完し、補完顔画像を生成する。補完顔画像とは、隠れ顔画像の一部の領域が隠されていない状態の送信側ユーザの顔を示す顔画像である。生成部22は補完顔画像を動画形式で生成する。隠れ顔画像の一部の領域は、例えば、送信側ユーザが装着しているヘッドマウントディスプレイDによって隠されている。生成部22は、隠れ顔画像のうちヘッドマウントディスプレイDに対応する部分を他の画像に置換することによって、一部の領域を補完する。例えば、生成部22は、隠れ顔画像のうちヘッドマウントディスプレイDに対応する部分を、送信側ユーザの顔の部分を表す画像に置換して、ヘッドマウントディスプレイDを装着していない状態の送信側ユーザの顔を再現する。顔画像の補完処理については後述する。
【0024】
認証部23は、基準顔画像及び補完顔画像に基づく認証を実行する。認証部23は、公知の手法を用いて顔認証を実行する。一例では、認証部23は、基準顔画像及び補完顔画像における特徴点及び顔の領域等をそれぞれ抽出する。認証部23は、抽出したそれぞれの値を照合することによって両者の類似度を算出する。認証部23は、両者の類似度が所定の閾値以上であれば認証が成功であると判定し、両者の類似度が所定の閾値未満であれば認証が失敗であると判定する。
【0025】
表示制御部24は、受信側ユーザ端末20Aにおける送信側ユーザの顔画像の表示を制御する。表示制御部24は、認証部23による認証結果に応答して、受信側ユーザ端末20Aが備えるディスプレイ等の出力装置(表示装置)上に補完顔画像又は隠れ顔画像を表示させる。例えば、認証が成功した場合に、表示制御部24は受信側ユーザ端末20Aに補完顔画像を表示させる。一方、認証が失敗した場合に、表示制御部24は受信側ユーザ端末20Aに隠れ顔画像を表示させる。
【0026】
記憶部30は、受信側ユーザ端末20Aにおいて使用又は生成される各種データを記憶する。例えば、記憶部30は、送信側ユーザの顔を示す基準顔画像を記憶する。記憶部30は、認証部23による認証に用いられる基準顔画像の特徴点等のデータを記憶してもよい。記憶部30は、受信部21によって取得された隠れ顔画像、及び生成部22によって生成された補完顔画像のうち少なくとも一つを記憶してもよい。記憶部30は、ヘッドマウントディスプレイDの形状を記憶してもよい。記憶部30は、受信側ユーザ端末20Aとは別の装置であってもよく、受信側ユーザ端末20Aの一構成要素であってもよい。
【0027】
図3を参照して、顔画像の補完処理について説明する。
図3は、顔画像の補完処理を模式的に示す図である。なお、受信側ユーザ端末20A側に基準顔画像の一例を図示しているが、基準顔画像は顔画像の補完に用いられない。
【0028】
送信側ユーザ端末10Aは、隠れ顔画像を撮影して受信側ユーザ端末20Aに送信する。この隠れ顔画像は、送信側ユーザが装着しているヘッドマウントディスプレイDによって、送信側ユーザの顔の一部が隠されている。具体的には、隠れ顔画像は、送信側ユーザの目付近の領域がヘッドマウントディスプレイDのレンズ、フレーム、及びブリッジ等によって隠されている。
【0029】
生成部22は、隠れ顔画像から補完する対象の一部の領域Rを特定する。例えば、生成部22は、記憶部30に予め記憶されたヘッドマウントディスプレイDの形状を読み出し、該形状に基づいて隠れ顔画像のうちヘッドマウントディスプレイDに対応する領域を特定することにより、一部の領域Rを特定する。
【0030】
生成部22は、隠れ顔画像の一部の領域Rを補完することによって、補完顔画像を生成する。一部の領域Rの補完は、機械学習によって行われてもよい。例えば、生成部22は、複数の送信側ユーザの顔画像(いわゆる正例)と共に送信側ユーザとは異なる複数のユーザの顔画像(いわゆる負例)を教師データとして用いた機械学習によって、送信側ユーザの顔の一部を示す画像を入力して送信側ユーザの顔の他の部分の推定結果を出力するように構成されたモデルを予め用意しておく。複数の送信側ユーザの顔画像は、例えば、様々な角度から撮影された送信側ユーザの顔全体を示す顔画像である。送信側ユーザとは異なる複数のユーザの顔画像は、例えば、複数のユーザの各々について、様々な角度から撮影された顔全体を示す顔画像である。上記のように正例及び負例を含む教師データを用いた機械学習を行うことにより、以下のように構成されたモデルを得ることができる。すなわち、真正の送信側ユーザの顔の一部(例えば、ヘッドマウントディスプレイDによって隠されない口元を含む部分等)を示す画像が入力された場合に真正の送信側ユーザの特徴が反映された他の部分の推定結果(例えば、ヘッドマウントディスプレイDによって隠された部分を含む画像)を出力し、真正の送信側ユーザとは異なるユーザ(例えば、真正の送信側ユーザになりすまそうとしているユーザ)の顔の一部を示す画像が入力された場合に真正の送信側ユーザの特徴が反映されていない推定結果を出力するように構成されたモデルを得ることができる。生成部22は、隠れ顔画像のうち一部の領域Rを除いた領域をモデルに入力し、モデルからの出力結果に基づいて一部の領域Rを補完する。
【0031】
一部の領域Rの補完に関する別の例では、生成部22は、複数の送信側ユーザの顔画像と共に送信側ユーザとは異なる複数のユーザの顔画像を教師データとして用いた機械学習によって、一部の領域Rのうち一部を示す第一範囲の画像を入力して、一部の領域Rのうち第一範囲とは異なる部分を示す第二範囲の推定結果を出力するように構成されたモデルを予め用意しておく。一部の領域Rのうち一部を示す第一範囲の画像は、ヘッドマウントディスプレイDによって取得されてもよい。例えば、ヘッドマウントディスプレイDは、眼鏡のブリッジ部分の内側(ユーザ側)にカメラが設けられていてもよい。ヘッドマウントディスプレイDは、送信側ユーザがヘッドマウントディスプレイDを装着している間において、送信側ユーザの目の画像(例えば、ユーザの両目を被写体として含む動画)を撮影する。ヘッドマウントディスプレイDは、送信側ユーザの目毎に配置された2つのカメラ(例えば、各レンズの内側に配置された2つのカメラ)によって、送信側ユーザの目の画像を撮影してもよい。そして、生成部22は、一部の領域Rのうち送信側ユーザの顔の一部を示す画像(例えば、送信側ユーザの目の画像)をモデルに入力し、入力した画像及びモデルからの出力結果に基づいて一部の領域を補完してもよい。
【0032】
上記のような処理によって、隠れ顔画像のうちヘッドマウントディスプレイDに対応する部分が、送信側ユーザの顔の部分を表す画像に置換される。その結果、補完顔画像における一部の領域Rでは、ヘッドマウントディスプレイDを装着していない状態の送信側ユーザの顔が再現される。
【0033】
図4を参照して、オンライン対話支援システム1Aの動作について説明する。
図4はオンライン対話支援システム1Aの動作を処理フローS1として示すシーケンス図である。以下では、記憶部30が送信側ユーザの顔を示す基準顔画像を予め記憶していることを前提とする。
【0034】
ステップS11において、撮影部11は、送信側ユーザの顔の一部の領域が隠された状態の送信側ユーザの顔を示す隠れ顔画像を撮影する。一例では、撮影部11は、送信側ユーザが装着しているヘッドマウントディスプレイDによって一部の領域が隠された状態の送信側ユーザの顔を撮影する。撮影部11は、隠れ顔画像を動画像形式で撮影する。
【0035】
ステップS12において、送信部12は、撮影部11によって取得された隠れ顔画像を受信側ユーザ端末20Aに送信する。例えば、送信部12は、動画像形式の隠れ顔画像をリアルタイムで受信側ユーザ端末20Aに送信する。
【0036】
ステップS13において、受信部21は、隠れ顔画像を送信側ユーザ端末10Aから受信することによって、隠れ顔画像を取得する。受信部21は、隠れ顔画像を記憶部30に格納してもよい。
【0037】
ステップS14において、生成部22は、隠れ顔画像の一部の領域を補完し、補完顔画像を生成する。一例では、生成部22は、記憶部30に予め記憶されたヘッドマウントディスプレイDの形状に基づいて、隠れ顔画像のうちヘッドマウントディスプレイDに対応する領域を特定することにより、一部の領域R(
図3参照)を特定する。
【0038】
補完処理の一例として、生成部22は、複数の送信側ユーザの顔画像と共に送信側ユーザとは異なる複数のユーザの顔画像を教師データとして用いた機械学習によって、送信側ユーザの顔の一部を示す画像を入力して送信側ユーザの顔の他の部分の推定結果を出力するように構成されたモデルを予め用意しておき、隠れ顔画像のうち一部の領域Rを除いた領域をモデルに入力し、モデルからの出力結果に基づいて一部の領域Rを補完する。別の例では、生成部22は、複数の送信側ユーザの顔画像と共に送信側ユーザとは異なる複数のユーザの顔画像を教師データとして用いた機械学習によって、一部の領域Rのうち一部を示す第一範囲の画像を入力して、一部の領域Rのうち第一範囲とは異なる部分を示す第二範囲の推定結果を出力するように構成されたモデルを予め用意しておき、一部の領域Rのうち送信側ユーザの顔の一部を示す画像をモデルに入力し、入力した画像及びモデルからの出力結果に基づいて一部の領域を補完する。
【0039】
ステップS15において、認証部23は、基準顔画像及び補完顔画像に基づく認証を実行する。認証部23は、公知の手法を用いて顔認証を実行し、認証の成否を判定する。認証部23は、動画像形式である隠れ顔画像の一連のフレームのうち、認証が成功したフレーム以降については認証を実行しなくてもよい。
【0040】
ステップS16において、表示制御部24は、受信側ユーザ端末20Aにおける送信側ユーザの顔画像の表示を制御する。例えば、ステップS15の処理で認証が成功した場合に、表示制御部24は受信側ユーザ端末20Aに補完顔画像を表示させる。一方、ステップS15の処理で認証が失敗した場合に、表示制御部24は受信側ユーザ端末20Aに隠れ顔画像を表示させる。表示制御部24は、受信側ユーザが装着しているヘッドマウントディスプレイD上に、送信側ユーザの補完顔画像又は隠れ顔画像を表示させてもよい。
【0041】
以上説明したオンライン対話支援システム1Aによれば、送信側ユーザの顔の一部の領域Rが隠された隠れ顔画像から、該一部の領域Rを補完した補完顔画像が生成される。そして、送信側ユーザの本来の(完全な)顔画像である基準顔画像、及び補完顔画像に基づく認証が実行される。認証が成功した場合に、受信側ユーザ端末20Aに補完顔画像が表示される。上記オンライン対話支援システム1Aによれば、受信側ユーザは、補完顔画像が受信側ユーザ端末20Aに表示されていることを確認することによって、送信側ユーザが本人であることを確認することが可能となる。よって、送信側ユーザのなりすましを防止することができる。
【0042】
表示制御部24は、認証が失敗した場合に、受信側ユーザ端末20Aに隠れ顔画像を表示させる。この場合、受信側ユーザは、隠れ顔画像が受信側ユーザ端末20Aに表示されていることを確認することによって、送信側ユーザがなりすましである可能性を検知できる。
【0043】
一部の領域Rは、送信側ユーザが装着しているヘッドマウントディスプレイDによって隠されている。生成部22は、隠れ顔画像のうちヘッドマウントディスプレイDに対応する部分を他の画像に置換することによって、一部の領域Rを補完する。このような構成によれば、受信側ユーザ端末20A上には、送信側ユーザがヘッドマウントディスプレイDを装着していないように表示される。これにより、送信側ユーザがヘッドマウントディスプレイDによる表示等を視認しながら、送信側ユーザと受信側ユーザとの間でより自然なコミュニケーションを実現することができる。
【0044】
生成部22は、予め記憶されたヘッドマウントディスプレイDの形状に基づいて、隠れ顔画像のうちヘッドマウントディスプレイDに対応する領域を特定することにより、一部の領域Rを特定する。この場合、ヘッドマウントディスプレイDが精緻に特定されることにより、一部の領域Rの補完精度も向上する。
【0045】
生成部22は、複数の送信側ユーザの顔画像と共に送信側ユーザとは異なる複数のユーザの顔画像を教師データとして用いた機械学習によって、送信側ユーザの顔の一部を示す画像を入力して送信側ユーザの顔の他の部分の推定結果を出力するように構成されたモデルを予め用意しておき、隠れ顔画像のうち一部の領域Rを除いた領域をモデルに入力し、モデルからの出力結果に基づいて一部の領域Rを補完する。このような構成によれば、送信側ユーザの顔の一部がより自然に補完される。また、ユーザの動きがあった場合でも、ユーザの動きに合わせてユーザの顔の一部が補完されるため、一部の領域Rの補完精度が向上する。
【0046】
生成部22は、複数の送信側ユーザの顔画像と共に送信側ユーザとは異なる複数のユーザの顔画像を教師データとして用いた機械学習によって、一部の領域Rのうち一部を示す第一範囲の画像を入力して、一部の領域Rのうち第一範囲とは異なる部分を示す第二範囲の推定結果を出力するように構成されたモデルを予め用意しておき、一部の領域Rのうち送信側ユーザの顔の一部を示す画像をモデルに入力し、入力した画像及びモデルからの出力結果に基づいて一部の領域を補完する。このような構成によれば、一部の領域Rのうち送信側ユーザの顔の一部を示す画像(本実施形態では送信側ユーザの目の画像)及びモデルからの出力結果の組合せにより一部の領域Rが補完される。この場合、一部の領域Rのうち送信側ユーザの顔の一部が画像により補完されるため、よりユーザの本来の顔に近い補完顔画像が得られる。また、送信側ユーザの視線及び表情等が補完顔画像に反映されるため、送信側ユーザの顔の一部がより自然に補完される。
【0047】
[第2実施形態]
図5は、第2実施形態に係るオンライン対話支援システム1B(1)の機能構成の一例を示すブロック図である。オンライン対話支援システム1Bは、送信側ユーザ端末10A及び受信側ユーザ端末20Aの代わりに送信側ユーザ端末10B(10)及び受信側ユーザ端末20B(20)を備える点で、オンライン対話支援システム1Aと相違する。オンライン対話支援システム1Bでは、送信側ユーザ端末10B上で補完顔画像が生成され、基準顔画像及び補完顔画像に基づく認証が実行される。
【0048】
送信側ユーザ端末10Bは、生成部22及び認証部23を有し、送信部12の代わりに送信部12Bを有する点で、送信側ユーザ端末10Aと相違する。受信側ユーザ端末20Bは、生成部22及び認証部23を有さず、受信部21の代わりに受信部21Bを有する点で、受信側ユーザ端末20Aと相違する。送信部12Bは、認証部23の認証結果に応じて、隠れ顔画像又は補完顔画像を受信側ユーザ端末20Bに送信する。具体的には、認証部23による認証が成功した場合に、送信部12Bは補完顔画像を受信側ユーザ端末20Bに送信する。一方、認証部23による認証が失敗した場合に、送信部12Bは隠れ顔画像を受信側ユーザ端末20Bに送信する。受信部21Bは、送信側ユーザ端末10Bから、隠れ顔画像又は補完顔画像を受信する。
【0049】
オンライン対話支援システム1Bでは、撮影部11が、隠れ顔画像を取得する取得部として機能する。また、認証結果に応じて隠れ顔画像又は補完顔画像を受信側ユーザ端末20Bに送信する送信部14が、実質的に、認証が成功した場合に受信側ユーザ端末20Bに補完顔画像を表示させ、認証が失敗した場合に受信側ユーザ端末20Bに隠れ顔画像を表示させる表示制御部として機能する。従って、第2実施形態においては、オンライン対話支援システムの主要な機能は、送信側ユーザ端末10Bによって実行される。すなわち、第2実施形態においては、送信側ユーザ端末10Bが単独でオンライン対話支援システムを構成していると見做すことができる。なお、記憶部30は、送信側ユーザ端末10Bとは別の装置であってもよく、送信側ユーザ端末10Bの一構成要素であってもよい。
【0050】
図6を参照して、オンライン対話支援システム1Bの動作について説明する。
図6はオンライン対話支援システム1Bの動作を処理フローS2として示すシーケンス図である。以下では、記憶部30が送信側ユーザの顔を示す基準顔画像を予め記憶していることを前提とする。
【0051】
ステップS21において、撮影部11は、送信側ユーザの顔の一部の領域が隠された状態の送信側ユーザの顔を示す隠れ顔画像を撮影する。一例では、撮影部11は、送信側ユーザが装着しているヘッドマウントディスプレイDによって一部の領域が隠された状態の送信側ユーザの顔を撮影する。撮影部11は、隠れ顔画像を動画像形式で撮影する。また、撮影部11は、隠れ顔画像を記憶部30に格納してもよい。
【0052】
ステップS22において、生成部22は、隠れ顔画像の一部の領域を補完し、補完顔画像を生成する。ステップS22の処理は、送信側ユーザ端末10B上で行われる点で
図4におけるステップS14とは異なる。
【0053】
ステップS23において、認証部23は、基準顔画像及び補完顔画像に基づく認証を実行する。ステップS23の処理は、送信側ユーザ端末10B上で行われる点で
図4におけるステップS15とは異なる。
【0054】
ステップS24において、送信部12Bは、隠れ顔画像又は補完顔画像を受信側ユーザ端末20Bに送信する。送信部12Bは、動画像形式の隠れ顔画像又は補完顔画像をリアルタイムで受信側ユーザ端末20Bに送信する。例えば、ステップS23の処理で認証が成功した場合に、送信部12Bは補完顔画像を受信側ユーザ端末20Bに送信する。一方、ステップS23の処理で認証が失敗した場合に、送信部12Bは隠れ顔画像を受信側ユーザ端末20Bに送信する。
【0055】
ステップS25において、受信部21Bは、隠れ顔画像又は補完顔画像を送信側ユーザ端末10Bから受信することによって、隠れ顔画像又は補完顔画像を取得する。
【0056】
ステップS26において、表示制御部24は、受信側ユーザ端末20Bにおける送信側ユーザの顔画像の表示を制御する。例えば、表示制御部24は、受信側ユーザ端末20BにステップS25の処理で取得された隠れ顔画像又は補完顔画像を表示させる。表示制御部24は、受信側ユーザが装着しているヘッドマウントディスプレイD上に、送信側ユーザの補完顔画像又は隠れ顔画像を表示させてもよい。
【0057】
以上説明したオンライン対話支援システム1Bによれば、オンライン対話支援システム1Aと同様の作用効果を奏する。すなわち、受信側ユーザは、補完顔画像が受信側ユーザ端末20Bに表示されていることを確認することによって、送信側ユーザが本人であることを確認することが可能となる。よって、送信側ユーザのなりすましを防止することができる。また、オンライン対話支援システム1Bによれば、送信側ユーザ端末10B側で認証処理が実行されるため、受信側ユーザ端末20Bの処理負荷を抑制することができる。
【0058】
[第3実施形態]
図7は、第3実施形態に係るオンライン対話支援システム1C(1)の機能構成の一例を示すブロック図である。オンライン対話支援システム1Cは、送信側ユーザ端末10A及び受信側ユーザ端末20Aの代わりに送信側ユーザ端末10C(10)及び受信側ユーザ端末20C(20)を備える点、並びに、サーバ40を更に備える点で、オンライン対話支援システム1Aと相違する。オンライン対話支援システム1Cでは、サーバ40上で補完顔画像が生成され、基準顔画像及び補完顔画像に基づく認証が実行される。
【0059】
送信側ユーザ端末10Cは、送信部12の代わりに送信部12Cを有する点で、送信側ユーザ端末10Aと相違する。送信部12Cは、隠れ顔画像をサーバ40に送信する。受信側ユーザ端末20Cは、生成部22及び認証部23を有さず、受信部21の代わりに受信部21Cを有する点で、受信側ユーザ端末20Aと相違する。受信部21Cは、サーバ40から隠れ顔画像又は補完顔画像を受信する。
【0060】
サーバ40は、画像受信部41(取得部)、生成部22、認証部23及び画像送信部42を有する。画像受信部41は、送信側ユーザ端末10Cから基準顔画像及び隠れ顔画像を受信することによって、基準顔画像及び隠れ顔画像を取得する取得部として機能する。画像送信部42は、認証部23の認証結果に応じて、隠れ顔画像又は補完顔画像を受信側ユーザ端末20Cに送信する。具体的には、認証部23による認証が成功した場合に、画像送信部42は補完顔画像を受信側ユーザ端末20Cに送信する。一方、認証部23による認証が失敗した場合に、画像送信部42は隠れ顔画像を受信側ユーザ端末20Cに送信する。すなわち、画像送信部42は、実質的に、認証が成功した場合に受信側ユーザ端末20Cに補完顔画像を表示させ、認証が失敗した場合に受信側ユーザ端末20Cに隠れ顔画像を表示させる表示制御部として機能する。従って、第3実施形態においては、オンライン対話支援システムの主要な機能は、サーバ40によって実行される。すなわち、第3実施形態においては、サーバ40が単独でオンライン対話支援システムを構成していると見做すことができる。なお、記憶部30は、サーバ40とは別の装置であってもよく、サーバ40の一構成要素であってもよい。
【0061】
図8を参照して、オンライン対話支援システム1Cの動作について説明する。
図8はオンライン対話支援システム1Cの動作を処理フローS3として示すシーケンス図である。以下では、記憶部30が送信側ユーザの顔を示す基準顔画像を予め記憶していることを前提とする。
【0062】
ステップS31の処理は、
図4のステップS11と同様である。
【0063】
ステップS32において、送信部12Cは、撮影部11によって取得された隠れ顔画像をサーバ40に送信する。例えば、送信部12Cは、動画像形式の隠れ顔画像をリアルタイムでサーバ40に送信する。
【0064】
ステップS33において、画像受信部41は、隠れ顔画像を送信側ユーザ端末10Cから受信することによって、隠れ顔画像を取得する。画像受信部41は、隠れ顔画像を記憶部30に格納してもよい。
【0065】
ステップS34において、生成部22は、隠れ顔画像の一部の領域を補完し、補完顔画像を生成する。ステップS34の処理は、サーバ40上で行われる点で
図4におけるステップS14とは異なる。
【0066】
ステップS35において、認証部23は、基準顔画像及び補完顔画像に基づく認証を実行する。ステップS35の処理は、サーバ40上で行われる点で
図4におけるステップS15とは異なる。
【0067】
ステップS36において、画像送信部42は、隠れ顔画像又は補完顔画像を受信側ユーザ端末20Cに送信する。画像送信部42は、動画像形式の隠れ顔画像又は補完顔画像をリアルタイムで受信側ユーザ端末20Cに送信する。例えば、ステップS35の処理で認証が成功した場合に、画像送信部42は補完顔画像を受信側ユーザ端末20Cに送信する。一方、ステップS35の処理で認証が失敗した場合に、画像送信部42は隠れ顔画像を受信側ユーザ端末20Cに送信する。
【0068】
ステップS37において、受信部21Cは、隠れ顔画像又は補完顔画像をサーバ40から受信することによって、隠れ顔画像又は補完顔画像を取得する。
【0069】
ステップS38において、表示制御部24は、受信側ユーザ端末20Cにおける送信側ユーザの顔画像の表示を制御する。例えば、表示制御部24は、受信側ユーザ端末20CにステップS37の処理で取得された隠れ顔画像又は補完顔画像を表示させる。表示制御部24は、受信側ユーザが装着しているヘッドマウントディスプレイD上に、送信側ユーザの補完顔画像又は隠れ顔画像を表示させてもよい。
【0070】
以上説明したオンライン対話支援システム1Cによれば、オンライン対話支援システム1Aと同様の作用効果を奏する。すなわち、受信側ユーザは、補完顔画像が受信側ユーザ端末20Cに表示されていることを確認することによって、送信側ユーザが本人であることを確認することが可能となる。よって、送信側ユーザのなりすましを防止することができる。また、オンライン対話支援システム1Cによれば、受信側ユーザ端末20Cの処理負荷を抑制することができる。さらに、複数人(すなわち複数のユーザの端末間)でオンライン対話を行う場合に、送信側ユーザ端末10Cの機材及び性能等によらず容易に時刻同期が可能となる。
【0071】
(変形例)
上記実施形態では、送信側ユーザの顔の一部の領域がヘッドマウントディスプレイDによって隠されている例を説明したが、マスク等によって隠されていてもよい。上記実施形態では、隠れ顔画像が動画像形式である例を説明したが、受信側ユーザ端末20上に、静止画としての送信側ユーザの顔画像を表示する場合には、隠れ顔画像は静止画像であってもよい。隠れ顔画像は、顔認証に用いられる静止画と、顔認証後の動画像形式とで個別に取得されてもよい。隠れ顔画像は、例えばモザイク等によって一部の領域が隠された画像であってもよい。また、上記実施形態では、予め記憶されたヘッドマウントディスプレイDの形状に基づいて一部の領域Rを特定しているが、生成部22が送信側ユーザ又は受信側ユーザによって一部の領域Rを指定する入力操作等を受け付けることにより、一部の領域Rを特定してもよい。さらに、上記実施形態では、認証が失敗した場合に、送信側ユーザの隠れ顔画像を表示する例を説明したが、表示制御部24が認証の失敗を示すエラーメッセージを表示してもよいし、オンライン対話を終了してもよい。
【0072】
なお、上記実施形態の説明に用いたブロック図は、機能単位のブロックを示している。これらの機能ブロック(構成部)は、ハードウェア及びソフトウェアの少なくとも一方の任意の組み合わせによって実現される。また、各機能ブロックの実現方法は特に限定されない。すなわち、各機能ブロックは、物理的又は論理的に結合した1つの装置を用いて実現されてもよいし、物理的又は論理的に分離した2つ以上の装置を直接的又は間接的に(例えば、有線、無線などを用いて)接続し、これら複数の装置を用いて実現されてもよい。機能ブロックは、上記1つの装置又は上記複数の装置にソフトウェアを組み合わせて実現されてもよい。
【0073】
機能には、判断、決定、判定、計算、算出、処理、導出、調査、探索、確認、受信、送信、出力、アクセス、解決、選択、選定、確立、比較、想定、期待、見做し、報知(broadcasting)、通知(notifying)、通信(communicating)、転送(forwarding)、構成(configuring)、再構成(reconfiguring)、割り当て(allocating、mapping)、割り振り(assigning)などがあるが、これらに限られない。
【0074】
例えば、本開示の一実施の形態における送信側ユーザ端末10、受信側ユーザ端末20及びサーバ40は、本開示の情報処理方法を行うコンピュータとして機能してもよい。
図9は、本開示の一実施の形態に係る送信側ユーザ端末10、受信側ユーザ端末20及びサーバ40に共通のハードウェア構成の一例を示す図である。送信側ユーザ端末10、受信側ユーザ端末20及びサーバ40の各々は、物理的には、プロセッサ1001、メモリ1002、ストレージ1003、通信装置1004、入力装置1005、出力装置1006、バス1007などを含むコンピュータ装置として構成されてもよい。
【0075】
なお、以下の説明では、「装置」という文言は、回路、デバイス、ユニットなどに読み替えることができる。送信側ユーザ端末10、受信側ユーザ端末20及びサーバ40のハードウェア構成は、
図9に示した各装置を1つ又は複数含むように構成されてもよいし、一部の装置を含まずに構成されてもよい。
【0076】
送信側ユーザ端末10、受信側ユーザ端末20及びサーバ40における各機能は、プロセッサ1001、メモリ1002などのハードウェア上に所定のソフトウェア(プログラム)を読み込ませることによって、プロセッサ1001が演算を行い、通信装置1004による通信を制御したり、メモリ1002及びストレージ1003におけるデータの読み出し及び書き込みの少なくとも一方を制御したりすることによって実現される。
【0077】
プロセッサ1001は、例えば、オペレーティングシステムを動作させてコンピュータ全体を制御する。プロセッサ1001は、周辺装置とのインターフェース、制御装置、演算装置、レジスタなどを含む中央処理装置(CPU:Central Processing Unit)によって構成されてもよい。
【0078】
また、プロセッサ1001は、プログラム(プログラムコード)、ソフトウェアモジュール、データなどを、ストレージ1003及び通信装置1004の少なくとも一方からメモリ1002に読み出し、これらに従って各種の処理を実行する。プログラムとしては、上述の実施の形態において説明した動作の少なくとも一部をコンピュータに実行させるプログラムが用いられる。例えば、送信側ユーザ端末10、受信側ユーザ端末20及びサーバ40の各機能部(例えば、生成部22等)は、メモリ1002に格納され、プロセッサ1001において動作する制御プログラムによって実現されてもよく、他の機能ブロックについても同様に実現されてもよい。上述の各種処理は、1つのプロセッサ1001によって実行される旨を説明してきたが、2以上のプロセッサ1001により同時又は逐次に実行されてもよい。プロセッサ1001は、1以上のチップによって実装されてもよい。なお、プログラムは、電気通信回線を介してネットワークから送信されても良い。
【0079】
メモリ1002は、コンピュータ読み取り可能な記録媒体であり、例えば、ROM(Read Only Memory)、EPROM(Erasable Programmable ROM)、EEPROM(Electrically Erasable Programmable ROM)、RAM(Random Access Memory)などの少なくとも1つによって構成されてもよい。メモリ1002は、レジスタ、キャッシュ、メインメモリ(主記憶装置)などと呼ばれてもよい。メモリ1002は、本開示の一実施の形態に係る情報処理方法を実施するために実行可能なプログラム(プログラムコード)、ソフトウェアモジュールなどを保存することができる。
【0080】
ストレージ1003は、コンピュータ読み取り可能な記録媒体であり、例えば、CD-ROM(Compact Disc ROM)などの光ディスク、ハードディスクドライブ、フレキシブルディスク、光磁気ディスク(例えば、コンパクトディスク、デジタル多用途ディスク、Blu-ray(登録商標)ディスク)、スマートカード、フラッシュメモリ(例えば、カード、スティック、キードライブ)、フロッピー(登録商標)ディスク、磁気ストリップなどの少なくとも1つによって構成されてもよい。ストレージ1003は、補助記憶装置と呼ばれてもよい。上述の記憶媒体は、例えば、メモリ1002及びストレージ1003の少なくとも一方を含むデータベース、サーバその他の適切な媒体であってもよい。
【0081】
通信装置1004は、有線ネットワーク及び無線ネットワークの少なくとも一方を介してコンピュータ間の通信を行うためのハードウェア(送受信デバイス)であり、例えばネットワークデバイス、ネットワークコントローラ、ネットワークカード、通信モジュールなどともいう。
【0082】
入力装置1005は、外部からの入力を受け付ける入力デバイス(例えば、キーボード、マウス、マイクロフォン、スイッチ、ボタン、センサなど)である。出力装置1006は、外部への出力を実施する出力デバイス(例えば、ディスプレイ、スピーカー、LEDランプなど)である。なお、入力装置1005及び出力装置1006は、一体となった構成(例えば、タッチパネル)であってもよい。
【0083】
また、プロセッサ1001、メモリ1002などの各装置は、情報を通信するためのバス1007によって接続される。バス1007は、単一のバスを用いて構成されてもよいし、装置間ごとに異なるバスを用いて構成されてもよい。
【0084】
また、送信側ユーザ端末10、受信側ユーザ端末20及びサーバ40は、マイクロプロセッサ、デジタル信号プロセッサ(DSP:Digital Signal Processor)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、PLD(Programmable Logic Device)、FPGA(Field Programmable Gate Array)などのハードウェアを含んで構成されてもよく、当該ハードウェアにより、各機能ブロックの一部又は全てが実現されてもよい。例えば、プロセッサ1001は、これらのハードウェアの少なくとも1つを用いて実装されてもよい。
【0085】
以上、本実施形態について詳細に説明したが、当業者にとっては、本実施形態が本明細書中に説明した実施形態に限定されるものではないということは明らかである。本実施形態は、特許請求の範囲の記載により定まる本発明の趣旨及び範囲を逸脱することなく修正及び変更態様として実施することができる。したがって、本明細書の記載は、例示説明を目的とするものであり、本実施形態に対して何ら制限的な意味を有するものではない。
【0086】
本開示において説明した各態様/実施形態の処理手順、シーケンス、フローチャートなどは、矛盾の無い限り、順序を入れ替えてもよい。例えば、本開示において説明した方法については、例示的な順序を用いて様々なステップの要素を提示しており、提示した特定の順序に限定されない。
【0087】
入出力された情報等は特定の場所(例えば、メモリ)に保存されてもよいし、管理テーブルを用いて管理してもよい。入出力される情報等は、上書き、更新、又は追記され得る。出力された情報等は削除されてもよい。入力された情報等は他の装置へ送信されてもよい。
【0088】
判定は、1ビットで表される値(0か1か)によって行われてもよいし、真偽値(Boolean:true又はfalse)によって行われてもよいし、数値の比較(例えば、所定の値との比較)によって行われてもよい。
【0089】
本開示において説明した各態様/実施形態は単独で用いてもよいし、組み合わせて用いてもよいし、実行に伴って切り替えて用いてもよい。また、所定の情報の通知(例えば、「Xであること」の通知)は、明示的に行うものに限られず、暗黙的(例えば、当該所定の情報の通知を行わない)ことによって行われてもよい。
【0090】
ソフトウェアは、ソフトウェア、ファームウェア、ミドルウェア、マイクロコード、ハードウェア記述言語と呼ばれるか、他の名称で呼ばれるかを問わず、命令、命令セット、コード、コードセグメント、プログラムコード、プログラム、サブプログラム、ソフトウェアモジュール、アプリケーション、ソフトウェアアプリケーション、ソフトウェアパッケージ、ルーチン、サブルーチン、オブジェクト、実行可能ファイル、実行スレッド、手順、機能などを意味するよう広く解釈されるべきである。
【0091】
また、ソフトウェア、命令、情報などは、伝送媒体を介して送受信されてもよい。例えば、ソフトウェアが、有線技術(同軸ケーブル、光ファイバケーブル、ツイストペア、デジタル加入者回線(DSL:Digital Subscriber Line)など)及び無線技術(赤外線、マイクロ波など)の少なくとも一方を使用してウェブサイト、サーバ、又は他のリモートソースから送信される場合、これらの有線技術及び無線技術の少なくとも一方は、伝送媒体の定義内に含まれる。
【0092】
本開示において説明した情報、信号などは、様々な異なる技術のいずれかを使用して表されてもよい。例えば、上記の説明全体に渡って言及され得るデータ、命令、コマンド、情報、信号、ビット、シンボル、チップなどは、電圧、電流、電磁波、磁界若しくは磁性粒子、光場若しくは光子、又はこれらの任意の組み合わせによって表されてもよい。
【0093】
また、本開示において説明した情報、パラメータなどは、絶対値を用いて表されてもよいし、所定の値からの相対値を用いて表されてもよいし、対応する別の情報を用いて表されてもよい。
【0094】
上述したパラメータに使用する名称はいかなる点においても限定的な名称ではない。さらに、これらのパラメータを使用する数式等は、本開示で明示的に開示したものと異なる場合もある。様々な情報要素は、あらゆる好適な名称によって識別できるので、これらの様々な情報要素に割り当てている様々な名称は、いかなる点においても限定的な名称ではない。
【0095】
本開示において使用する「に基づいて」という記載は、別段に明記されていない限り、「のみに基づいて」を意味しない。言い換えれば、「に基づいて」という記載は、「のみに基づいて」と「に少なくとも基づいて」の両方を意味する。
【0096】
本開示において使用する「第1の」、「第2の」などの呼称を使用した要素へのいかなる参照も、それらの要素の量又は順序を全般的に限定しない。これらの呼称は、2つ以上の要素間を区別する便利な方法として本開示において使用され得る。したがって、第1及び第2の要素への参照は、2つの要素のみが採用され得ること、又は何らかの形で第1の要素が第2の要素に先行しなければならないことを意味しない。
【0097】
本開示において、「含む(include)」、「含んでいる(including)」及びそれらの変形が使用されている場合、これらの用語は、用語「備える(comprising)」と同様に、包括的であることが意図される。さらに、本開示において使用されている用語「又は(or)」は、排他的論理和ではないことが意図される。
【0098】
本開示において、例えば、英語でのa, an及びtheのように、翻訳により冠詞が追加された場合、本開示は、これらの冠詞の後に続く名詞が複数形であることを含んでもよい。
【0099】
本開示において、「AとBが異なる」という用語は、「AとBが互いに異なる」ことを意味してもよい。なお、当該用語は、「AとBがそれぞれCと異なる」ことを意味してもよい。「離れる」、「結合される」などの用語も、「異なる」と同様に解釈されてもよい。
【符号の説明】
【0100】
1,1A,1B,1C…オンライン対話支援システム、10,10A,10B,10C…送信側ユーザ端末、11…撮影部、12,12B,12C…送信部、20,20A,20B,20C…受信側ユーザ端末、21,21B,21C…受信部、22…生成部、23…認証部、24…表示制御部、30…記憶部、40…サーバ、41…画像受信部、42…画像送信部、D…ヘッドマウントディスプレイ、R…一部の領域。