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特許7588266真空電子デバイスでの電子ビームの磁気静電検出、集束、および操向
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-13
(45)【発行日】2024-11-21
(54)【発明の名称】真空電子デバイスでの電子ビームの磁気静電検出、集束、および操向
(51)【国際特許分類】
   H01J 23/083 20060101AFI20241114BHJP
   H01J 25/34 20060101ALI20241114BHJP
【FI】
H01J23/083
H01J25/34
【請求項の数】 10
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024107944
(22)【出願日】2024-07-04
(62)【分割の表示】P 2023529014の分割
【原出願日】2021-11-13
(65)【公開番号】P2024138352
(43)【公開日】2024-10-08
【審査請求日】2024-08-06
(31)【優先権主張番号】63/198,817
(32)【優先日】2020-11-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/198,915
(32)【優先日】2020-11-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】523178042
【氏名又は名称】エルヴ・インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100098394
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 茂樹
(72)【発明者】
【氏名】ドーハティ,ダイアナ・ガムジナ
【審査官】大門 清
(56)【参考文献】
【文献】特開平6-139944(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2010/0327743(US,A1)
【文献】米国特許第8723137(US,B1)
【文献】仏国特許出願公開第2925217(FR,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01J 23/08
H01J 25/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
高周波(RF)増幅器または発振器用の真空電子デバイスであって、
第1の磁性導体プレートと、
第2の磁性導体プレートと、
前記第1の磁性導体プレートと前記第2の磁性導体プレートの間に配置され、電子ビームトンネル領域を収容するRF相互作用構造を形成する、複数の非磁性相互作用構造形成プレートであって、前記第1の非磁性導体プレート、前記第2の非磁性導体プレート、および前記複数の非磁性相互作用構造形成プレートは、緒に接合されている、前記複数の非磁性相互作用構造形成プレートと
前記電子ビームトンネル領域内に電子ビームを封じ込めるためRF相互作用を印加するために、前記電子ビームトンネル領域について配置された永久磁石と、
記RF相互作用構造から電気的に絶縁された少なくとも1つの制御プレートであって、前記RF相互作用構造を通過して前記RF相互作用構造から電気的に絶縁されるように配置された少なくとも1つの電気的に絶縁された導体に結合される、少なくとも1つの制御プレートと
を備え、
前記少なくとも1つの電気的に絶縁された導体は、前記電子ビームトンネル領域内で前記電子ビームに操向力または集束力を加えるように構成される、真空電子デバイス。
【請求項2】
前記少なくとも1つの制御プレートは、前記制御プレート上に配置された前記少なくとも1つの電気的に絶縁された導体上に提供される電気バイアス信号を届けるように構成される、請求項1に記載の真空電子デバイス。
【請求項3】
前記少なくとも1つの制御プレートは、前記制御プレート上に配置された少なくとも2つの別個の電気的に絶縁された導体上に提供される少なくとも2つの別個の電気バイアス信号を届けるように構成される、請求項1に記載の真空電子デバイス。
【請求項4】
前記少なくとも1つの制御プレートは、前記制御プレート上に配置された少なくとも4つの別個の電気的に絶縁された導体上に提供される少なくとも4つの別個の電気バイアス信号を届けるように構成される、請求項1に記載の真空電子デバイス。
【請求項5】
前記少なくとも1つの電気的に絶縁された導体は、さらに電子電流密度を検出するように構成されている、請求項1に記載の真空電子デバイス。
【請求項6】
高周波(RF)増幅器または発振器用の真空電子デバイス(VED)であって、
電子ビームトンネルを収容する相互作用構造の複数の導電性セクションであって、前記電子ビームトンネルは、前記相互作用構造に行な長手方向の軸を有し、前記電子ビームトンネルは、前記電子ビームトンネル内に電子ビームを封じ込めるためにRF相互作用を印加するように配置された少なくとも1つの磁石によって取り囲まれている、複数の導電性セクションを含み、
前記複数の導電性セクションは、前記電子ビームトンネルに沿った第1の位置では第1の電気絶縁体の対により分離され、前記電子ビームトンネルに沿った第2の位置では第2の電気絶縁体の対により分離され、前記第1の電気絶縁体の対及び前記第2の電気絶縁体のの各々は、前記長手方向の軸に垂直に配置された少なくとも1つの静電レンズ要素を間に挟み、
各静電レンズ要素は、前記相互作用構造の外部に至る少なくとも1つの導電性経路を備え、前記導電性経路は、前記相互作用構造から電気的に絶縁されて、前記導電性経路に印加された電圧が前記静電レンズ要素に伝導して前記電子ビームトンネル内電子ビームに操向力または集束力を加え真空電子デバイス。
【請求項7】
前記少なくとも1つの静電レンズ要素は、前記静電レンズ要素上に配置された少なくとも1つの電気的に絶縁された導体上に提供される電気バイアス信号を届けるように構成される、請求項に記載の真空電子デバイス。
【請求項8】
前記少なくとも1つの静電レンズ要素は、前記静電レンズ要素上に配置された少なくとも2つの別個の電気的に絶縁された導体上に提供される少なくとも2つの別個の電気バイアス信号を届けるように構成される、請求項に記載の真空電子デバイス。
【請求項9】
前記少なくとも1つの静電レンズ要素は、前記静電レンズ要素上に配置された少なくとも4つの別個の電気に絶縁された導体上に提供される少なくとも4つの別個の電気バイアス信号を届けるように構成される、請求項に記載の真空電子デバイス。
【請求項10】
少なくとも1つの導電性経路が、電子電流密度を検出するように構成される、請求項6に記載の真空電子デバイス
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、(1)内容があたかも本明細書に完全に示されているかのように参照により
本明細書に組み入れられる、「Multi-layered multi-materi
al manufacturing process for vacuum elec
tronic devices(真空電子デバイスのための多層多材製造工程)」と題す
る、発明者Diana Gamzina Daugherty名義で本明細書と共有され
2020年11月15日に提出された米国仮特許出願第63/198,817号明細書、
ならびに(2)内容があたかも本明細書に完全に示されているかのように参照により本明
細書に組み入れられる、「Electronic magneto-electrost
atic sensing, focusing, and steering of
electron beams in microwave, millimeter
wave, and near-terahertz vacuum electron
ic devices(マイクロ波、ミリメートル波、およびほぼテラヘルツの真空電子
デバイスでの電子ビームの電子式磁気静電検出、集束、および操向)」と題する、発明者
Diana Gamzina Daugherty名義で本明細書と共有され2020年
11月21日に提出された米国仮特許出願第63/198,915号明細書に基づき優先
権の利益を主張する。
【0002】
本出願は同様に、(1)「Multi-layered multi-materia
l manufacturing process for vacuum elect
ronic devices(真空電子デバイスのための多層多材製造工程)」と題する
、発明者Diana Gamzina Daugherty名義で本明細書と共有され2
020年11月15日に提出された米国仮特許出願第63/198,817号明細書、な
らびに(2)「Electronic magneto-electrostatic
sensing, focusing, and steering of elect
ron beams in microwave, millimeter wave,
and near-terahertz vacuum electronic de
vices(マイクロ波、ミリメートル波、およびほぼテラヘルツの真空電子デバイスで
の電子ビームの電子式磁気静電検出、集束、および操向)」と題する、発明者Diana
Gamzina Daugherty名義で本明細書と共有され2020年11月21
日に提出された米国仮特許出願第63/198,915号明細書に基づき優先権の利益を
主張する、本明細書と同一日付で提出された別の特許出願である、発明者Diana G
amzina Daugherty名義で本明細書と共有される、「Multi-lay
er Vacuum Electron Device and Method of
Manufacturing(多層真空電子デバイスおよび製造方法)」と題する米国仮
特許出願第17/525,658号明細書に関連すると考えられてよい。米国仮特許出願
第17/525,658号明細書の内容は、あたかも本明細書に完全に示されているかの
ように参照により本明細書に組み入れられる。
【背景技術】
【0003】
本開示は一般に、1つまたは複数の真空電子デバイス(vacuum electro
n device、VED)を同時に形成するために一緒に接合された、さまざまな材料
からなる複数の2次元の層を有するVEDを製作するために使用する製造工程に関する。
2次元の材料層は、組み立てられ接合されて3次元の構造になったときに3次元の特徴を
形成するように、デバイス動作のために必要な特徴を含むように機械加工される。2次元
の層はろう付け、拡散接合、補助拡散接合(assisted diffusion b
onding)、固体接合(solid state bonding)、冷間溶接、超
音波溶接などを使用して接合される。本製造工程により、必要とされる位置精度およびバ
ッチ能力あたり多数のデバイスを維持しながら、VED製作のために必要とされる金属材
料、磁性材料、セラミック材料、および他の材料を組み入れることが可能になる。そのよ
うに作り出されたVEDは、電子ビーム制御のために磁気レンズと静電レンズの組合せを
含む。
【0004】
真空電子デバイス(VED)は真空環境で動作し、1つまたは複数の電子ビームとVE
Dの相互作用領域内に発生した電磁場との間の相互作用を利用する。VEDを構築するに
は、真空電子デバイスの陰極(電子放出体)からコレクタ(電子受容体)へ電子が通過す
るのを妨げないように真空に保持されてよい、または真空に密封されてよい単一組立体の
中に金属材料、磁性材料、または他の材料を組み入れる必要がある。真空領域はまた真空
チャンバ、またはキャビティ、またはトンネル、またはRF相互作用領域とも呼ばれ、1
つまたは複数の電子ビームと1つまたは複数の電磁波の間で相互作用が行われる場所であ
る。従来技術のそのようなVEDの例は粒子加速器、クライストロン、ジャイロトロン、
ジャイロクライストロン、ジャイロ増幅器、進行波管(travelling wave
tube、TWT)、ジャイロTWT、後進波発振器、誘導出力管(inductiv
e output tubes、IOTS)、マグネトロン、交差場増幅器(cross
-field amplifier)、自由電子レーザ、ユビトロン(ubitron)
、メーザ、二極館、三極管、四極管、五極管などを含む(しかし、これらに限定されない
)。いくつかのガス・イオン・レーザは、厳密に真空で動作するのではなく非常に低い圧
力で動作し、一般にRF相互作用領域を欠いているが、ほとんど同じように動作する。
【0005】
VEDの電子ビームトンネルを通る電子ビーム伝播は従来、電子ビームトンネル内部に
電子ビームを包含する磁場または静電場を使用することにより達成される。空間電荷、す
なわち狭いビームに圧縮された負に帯電した電子の影響は、電子がすべて有する同種の電
荷が原因で互いに反発する傾向があるので、ビームを外へ広げる傾向がある。したがって
、VEDに関してより高い効率および性能を得るために相互作用領域内でRF信号と電子
ビームの相互作用を長引かせてよいように、より長い期間および距離の間ビームを束ねる
ために、封じ込め技法が必要である。
【0006】
永久磁石、電磁石だけではなく永久磁石と電磁石の周期的アレイも通常、ビームトンネ
ルにビームを封じ込めるために採用される。VEDを組み立てて、VEDを動作させるた
めにVEDを準備するとき、2つの難題が生じる、すなわち、(1)ビームトンネル、磁
気中心線、およびビームの注入場所は多くの場合、特により高い周波数のデバイスで顕著
な製造および組立の変動が原因で完全に整列しない、(2)磁性材料の品質は、必要とさ
れる精度で個々の磁石の磁区が設計目標に従って整列することを確実にするのに適してお
らず、その結果、磁場は非一様になる。その結果、VEDの製造後、技術専門家は通常、
最適な電子ビーム伝送を達成するために、VEDの周囲の磁場を調節または微調整する際
にかなりの努力を費やす。この微調整は一般に、接着剤を使用してVED構造の外側に手
作業で微調整磁石を適用することにより遂行される。この工程は、伝送最適化工程に関す
る手引きのための出力が限られており、ほとんどの場合、陰極電流とビーム伝送との比較
結果だけしかないのに対して、追加の微調整磁石を追加してVED性能を最適化できる場
所が多数ある。この工程は長時間にわたり、VEDの複雑性に応じて完了するのに数時間
から数週間くらいかかる可能性がある。シート電子ビームVED用の周期的カスプ磁石組
立体は、最近この目的のために四重極整列磁石を組み入れてきているが、整列工程を漸増
的に加速するだけであり、依然としてほぼTHzのデバイスの要求に添わない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】米国仮特許出願第63/198,817号明細書
【文献】米国仮特許出願第63/198,915号明細書
【文献】米国仮特許出願第17/525,658号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
これまでのVEDは一般に、個々の2次元および3次元の下位構成要素を使用して、下
位構成要素を組立体に形成して、組立体を外周器に接合して構造支持物および真空外周器
を提供し、次いで従来の真空処理および密封手順を行って製造されて、機能するVEDを
生み出した。そのような手順は、デバイスの複雑さに応じて、単一デバイスを完成するの
に数週間以上かかる可能性があり、非常に熟練した多くの労働者、および手順を行う大型
クリーンルームを利用した。今日、地上局から衛星への、基地局およびローカルWi-F
iシステムおよび地上のバックボーンシステムへの無線広帯域データ通信の需要が爆発的
に増加しているので、より安価で大量のそのようなデバイスの必要性がかなりある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本明細書で記述する主題は一般に、積層の形に組み立てられて一緒に接合された材料の
並行シートを利用して3次元真空電子デバイス(VED)を形成するVED製造に関する
。この取り組み方法の有利な点は、複数のVEDが同じ構造で同時に製造され、半導体デ
バイス製作で一般に行われるのとよく似て、完成したときに個々に使用するために簡単に
切り離されてよいことであり、その結果、デバイスあたりの製造費用を著しく低減する。
そのように作り出されたVEDは、電子ビーム制御のために磁気レンズと静電レンズの組
合せを含む。
【0010】
前述の概要は要約であり、その結果、簡略化、一般化、および詳細の省略を包含するこ
とがあり、その結果として、当業者は、概要が例示でしかなく、限定することを決して意
図しないことを認識されよう。
【0011】
本明細書に組み込まれ本明細書の一部を構成する添付図面は、1つまたは複数の代表的
実施形態を例示し、代表的実施形態についての記述と共に本発明の原理および実装形態を
説明するのに役立つ。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】ある実施形態によるVEDの前方右側透視図である。
図2】ある実施形態による図1のVEDの後方左側透視図である。
図3】ある実施形態による図1のVEDの右側正面図である。
図4】ある実施形態による図1のVEDの前方右側の部分的破断透視図である。
図5】ある実施形態による図1のVEDの前方右側内部の部分的破断透視図である。
図6】ある実施形態による図1のVEDの内部の一部分の線6-6に沿って得た横断面図である。
図7】ある実施形態による組立体から切り取られた1つのVEDの前方右側透視図である。
図8】ある実施形態によるVEDの内部の一部分の横断面図である。
図9】ある実施形態による図8のVEDの内部の前方左側の部分的破断透視図である。
図10】ある実施形態によるVEDの内部の前方左側の部分的破断透視図である。
図11】ある実施形態による図10のVEDの区域11の内部の前方左側の部分的破断分解透視図である。
図12A】ビームの操向機能および集束機能を提供する実施形態により使用されてよいさまざまな制御プレートを例示する図である。
図12B】ビームの操向機能および集束機能を提供する実施形態により使用されてよいさまざまな制御プレートを例示する図である。
図12C】ビームの操向機能および集束機能を提供する実施形態により使用されてよいさまざまな制御プレートを例示する図である。
図12D】ビームの操向機能および集束機能を提供する実施形態により使用されてよいさまざまな制御プレートを例示する図である。
図13】本発明のある実施形態による、真空電子デバイスを製造するための工程または方法を例示する流れ図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
TWTなどのVEDに関連して、本明細書で代表的実施形態について記述する。以下の
記述は代表的でしかなく、限定することを決して意図しないことを当業者は認識されよう
。他の実施形態は、本開示の利益を有するそのような当業者に容易に思い浮かぶであろう
。次に、添付図面に例示するような代表的実施形態の実装形態を詳細に参照する。図面お
よび以下の記述全体を通して可能な範囲で同じ参照番号を使用して、同じ項目または類似
する項目を指す。
【0014】
明確にするために、本明細書で記述する実装形態のありきたりの特徴すべについて示し
説明するわけではない。当然のことながら、任意のそのような実際の実装形態を開発する
際、適用分野関連および業務関連の制約を遵守するなど開発者の特有の目標を達成するた
めに実装特有の判断を数多く行わなければならいこと、ならびにこれらの特有の目標は、
実装形態ごとに、および開発者ごとに変わることを認識されよう。その上、そのような開
発努力は、複雑になり多くの時間を必要とすることがあるが、それにもかかわらず、本開
示の恩恵を受ける当業者にとって技術者の日常的な仕事であることが認識されよう。
【0015】
本明細書で「一実施形態」もしくは「ある実施形態」、または「一実装形態」もしくは
「ある実装形態」などについての言及は、代表的実施形態に関連して記述する特定の特徴
、構造、部分、機能、または特性が少なくとも1つの代表的実施形態に含まれる可能性が
あることを意味する。本明細書の範囲内で異なる場所で「一実施形態では」または「一実
装形態では」などのような語句が出現することは、必ずしもすべて同じ実施形態または実
装形態について言及しているわけではなく、また他の実施形態を必ず相互に排除する別個
の代替実施形態でもない。
【0016】
本開示によれば、本明細書で記述する構成要素および工程ステップは、本明細書で開示
する発明の概念の精神および範囲を逸脱することなくさまざまな技法を使用して実装され
てよい。
【0017】
本明細書で記述することは、本発明の実施形態の例を含む。当然のことながら、特許請
求する主題について記述する目的で構成要素または方法論の考えられるあらゆる組合せに
ついて記述することは不可能であるが、主題の革新の他の組合せおよび置換がさらに可能
であることを認識されたい。それに応じて、特許請求する主題は、添付の特許請求の範囲
の精神および範囲に入るそのような代替形態、修正形態、および変形形態すべてにわたる
ことが意図される。その上、要約で記述することを含む、主題の開示について例示する実
施形態についての上記の記述は、排他的であることも、開示する実施形態を、開示するま
さにその形態に限定することも意図しない。例示する目的で特有の実施形態、例、および
実装形態について本明細書で記述するが、当業者が認識できるように、そのような実施形
態および例の範囲に入ると考えられるさまざまな修正形態が可能である。
【0018】
詳細には、上記で記述する構成要素、デバイス、システムなどが遂行するさまざまな機
能に関して、そのような構成要素について記述するために使用する用語は、特に示さない
限り、たとえ特許請求する主題について本明細書で例示する代表的様態で機能を遂行する
開示する構造に構造的に等価ではないとしても、記述する構成要素の指定された機能を遂
行する任意の構成要素(たとえば、機能的均等物)に対応することが意図される。
【0019】
それに加えて、本発明の特定の特徴についていくつかの実装形態のうち1つだけに関し
て開示してきたことがあるが、そのような特徴は、任意の所与の適用分野または特定の適
用分野に望まれてよい、または有利であってよいようなその他の実装形態の1つまたは複
数の他の特徴と組み合わせられてよい。さらに、「含む(includes)」、「含む
(including)」、「有する(has)」、「包含する(contains)」
という用語、それらの変形形態、および他の類似する用語は、詳細な記述および特許請求
の範囲で使用される限りにおいて、どんな追加要素または他の要素も排除することなく排
他的ではない移行語として用語「備える(comprising)」に類似する手法で包
括的であることが意図される。
【0020】
その上「例」または「代表的」という言葉は、本明細書では例、実例、または例証とし
て役立つことを意味するために使用される。本明細書で「代表的」として記述する任意の
様態または設計は、他の様態または設計に対して好ましい、または有利であると必ずしも
解釈されるべきではない。むしろ「例」または「代表的」という言葉を使用することは、
具体的様式で概念を提示することが意図される。本出願で使用するとき、用語「または(
or)」は、排他的「または」ではなくむしろ包括的「または」を意味することが意図さ
れる。すなわち、特に指定しない限り、または前後関係から明白ではない限り、「XがA
またはBを用いる」は自然な包括的置換のいずれも意味することが意図される。すなわち
、XがAを用いる、XがBを用いる、またはXがAもBも用いる場合、「XがAまたはB
を用いる」は、前述の実例のいずれの下でも満たされる。それに加えて、冠詞「a」およ
び「an」は、本出願および添付の特許請求の範囲で使用するとき、特に指定しない限り
、または単数形に誘導するように前後関係から明白ではない限り、一般に「1つまたは複
数」を意味すると解釈されるべきである。
【0021】
図では、2つ以上の図でコールアウト番号または参照記号を使用する場合、本開示の前
後関係からそのように明確に意図されない限り、同じ、または類似する部分、構成要素、
またはステップを指すことが意図される。
【0022】
本明細書で記述するデバイスおよび方法はペンシルビーム、シートビーム、長方形ビー
ム、楕円ビーム、中空ビーム、分散ビーム、および多重ビームを利用するVEDのために
用いることができる。
【0023】
以下の記述の大部分は、電子ビームの下から電子ビームの上までプレートが電子ビーム
に並行に整列した層の形でVEDを造ることに対処するが、さらにまた、そのようなデバ
イスは、本明細書の教示に示される比較的簡単な手法で電子ビームに垂直に構築されてよ
いことが企図される。そのようなデバイスはまた、所望であれば、たとえば分散ビームデ
バイスのように電子ビームに対して任意の角度で構築されてよい。
【0024】
本発明の重要な利益は、この発明を使用して単一試作デバイスさえ作ることが従来技術
よりも費用対効果がはるかに高いことが証明されているが、一回のバッチで複数のVED
を同時に製作可能にし、次いで複数のVEDを切断して個々の構成要素にする本発明の能
力にある。
【0025】
典型的には、磁石を使用して、VEDで電子ビームの形成および照準の機能のうち少な
くともいくつかを提供する。電子ビームは、陰極から陽極に適切に誘導されない場合、V
ED構造の何らかの他の部分に衝突することがあり、損傷を引き起こし、真空区域を汚染
する。さまざまな磁石材料タイプを組み入れる能力は、VEDの組立に有益である。Ha
lbach、すなわち四重極アレイは多くの場合、電子ビームからいくらか距離を置いて
電子ビームの周囲にソレノイドを導入するので、電子ビームを集束させるために用いられ
る。本発明の別の重要な利益は、本発明により真空チャンバ内部に磁石を置くことなく電
子ビームのはるかに近くに磁石を持って行くことができるようになるので(電磁ソレノイ
ドの、または固定した)所与の磁石に関して電子ビームの所でより高強度の磁場を提供す
る本発明の能力にある。磁石から得られる磁場は、磁石からの距離の二乗で低減するので
、磁石をより近くに持って行くことができ、本発明によって磁石をより小さく作ることが
できる。磁気操向は、実際の磁石だけではなく、磁石と併せて、VED内部で所望の磁場
を確立して電子ビームを適切に操向する、磁気的に影響されやすい材料と磁石との組合せ
も用いて遂行できる。磁性材料ならびに/または鉄およびニッケルを含有する材料は良好
な導電体ではないので、電磁回路は典型的には、電子ビームから遠くに集束構造を動かす
銅(またはらせんタイプのデバイス用のタングステン)のような材料から作られる。磁石
、ならびに/または鉄およびニッケルを含有する材料は、銅などの高導電率材料で電気め
っきでき、この問題を軽減するために用いることができるが、しかしながら、そのような
配列は、そのような材料がVED内で経時的に劣化する可能性があるので、VEDに関し
て潜在的な真空純度の問題を生み出す可能性がある。
【0026】
静電集束はまた、VEDで電子ビームの形成および照準の機能のうちいくつかを提供す
るために使用されてよい。このとき、真空構造の中に導電体を導入する本発明の能力は、
電子ビーム周辺に配置された2つ以上のプレートの両端に電圧を印加することにより真空
構造内部で正確な静電集束を使用できるようにする。特有の適用分野で所望である、また
は必要とされる場合、いくつかの組のそのようなプレートを用いてよい。
【0027】
本明細書で記述する製造の取り組み方法は、さまざまな周波数でVEDを製造するため
に用いることができるが、約25GHz~約1THzの間で動作するVEDで特に有益で
ある。手作業による従来のデバイス組立体を使用するそのようなデバイスの製造は(場合
によっては、マイクロメートルからミリメートルの)小さな特徴スケールが原因で困難で
ある。
【0028】
本明細書で記述する実施形態は、一般にVED内部での改善された電子ビーム電流検出
、電子ビーム集束、および電子ビーム操向に関する。具体的には、実施形態は、電子ビー
ムの近傍から近い範囲で電子ビームの上に静電場を加えるための導電体(電極)を利用す
ることにより、封じ込める磁場内部で電子ビーム伝播を電子的に検出および制御するため
の新規な機構を例示する。電極は、VED回路構造に沿ってビーム伝送および損失を詳細
に検出するためだけではなく、電子ビーム周辺の領域に電位を加えて(一般に単一電位要
素である静電レンズを使用することにより)電子ビームを集束させる、または(一般に2
つまたは4つの電位要素である静電偏光器を使用することにより)ビームを操向するため
にも採用されてよい。この場合、従来の設計の電子制御システムを採用して、センサから
得られる電流を検出し、それによりこれまでの取り組み方法よりもはるかに短い時間を消
費する比較的簡単な手法で、さまざまな電極の電位を調節して電子ビームを通る電流を最
大にし、VEDの本体の中に入る電流を最小にできる。
【0029】
ここで図に目を向けると、図1は、ある実施形態によるVED100の前方右側透視図
である。図1のVED100は、たとえばシートビームTWTであってよい。図1のVE
D100は、ある実施形態によればいくつかの一緒に積層され接合された層の形で製作さ
れてよい。層は、電子(シート)ビーム軸(軸の一方の端部を102と呼ぶ)に並行にな
るように並行に配列されてよい、または所望であればその軸に垂直に、もしくは何らかの
他の角度で配列されてよい。図1によれば、内部は要素104、106、108、110
、および112の反復パターンを備え、要素108は、同じく永久磁石であってよい、ま
たは鉄もしくはニッケルなどの磁性材料から形成されてよい要素106および110によ
り両側でサンドイッチ状になった永久磁石である。サンドイッチ構造を完成するのは、電
気絶縁体(たとえば、アルミナ)である要素104および112である。制御プレートバ
イアス信号(以下でより詳細に論じる)および/またはRF入出力信号などの電気信号は
端子114、116、118、および120で運ばれる。これらの端子は、図示するよう
に、それぞれ絶縁体122、124、126、および128、ならびにそれぞれ導体絶縁
体130、132、134、および136により構造の他の部分から絶縁される。VED
100の右側に4極(四重極)静電操向/集束組立体138を示す。組立体138は、4
つの電極端子140、142、144、および146を含み、それぞれ絶縁体片148、
150、152、および154によりVED100の構造から絶縁される。VED100
の外側本体を形成する要素156、158、および160は、銅などの導電体から形成さ
れる。この静電四重極集束の取り組み方法は、シートビームおよびペンシルビームのVE
Dに特に有用である。要素162、164は、軸102に沿って移動する電子ビームを封
じ込めて集束させるのに役立つ磁石である。要素156と160の間には、周期的カスプ
磁石、周期的永久磁石、ウィグラー磁石、Halbach磁石、永久磁石、電磁石-永久
磁石などのタイプのうち1つまたは複数からなってよい、VEDの磁気組立体または磁気
回路が位置する。
【0030】
図2は、ある実施形態による図1のVED100の後方左側透視図である。要素166
、168は、軸102に沿って移動する電子ビームを封じ込めて集束させるのに役立つ磁
石である。制御プレートバイアス信号(以下でより詳細に論じる)および/またはRF入
出力信号などの電気信号は端子170、172、174、176、178、および180
で運ばれる。これらの端子は、図示するように、それぞれ絶縁体182、184、186
、188、190、および192により構造の他の部分から絶縁される。
【0031】
図3は、ある実施形態による、図1のVED100の右側正面図である。図3は、組立
体138の詳細を示す。追加でここに示すのは、導体絶縁体198、200により要素1
58から絶縁される電気端子194、196である。
【0032】
図4は、ある実施形態による、図1のVED100の前方右側の破断透視図である。こ
の実施形態によれば、要素156aおよび160aは図1図2、および図3に要素15
6および160として示す要素のように導電性材料ではなくむしろ絶縁材から形成される
。要素158は、図4(および図5)では2つの部分158aおよび158bを有すると
して示されている。破断図では、電子シート・ビーム・トンネル202は、結合キャビテ
ィタイプの構造であるように見えてよい。
【0033】
図5は、ある実施形態による、図1のVED100の前方右側内部の部分的破断透視図
である。
【0034】
図6は、ある実施形態による図1のVED100の内部の一部分の線6-6に沿って得
た横断面図である。制御プレートバイアス信号(以下でより詳細に論じる)および/また
はRF入出力信号などの電気信号は、端子204、206、208、210、212、お
よび214で運ばれる。これらの端子は、図示するように、それぞれ絶縁体216、21
8、220、222、224、および226により構造の他の部分から絶縁される。要素
228は、外部導電性カバーであり、要素230は、たとえば銅から形成された導電性部
分である。
【0035】
図7は、ある実施形態による組立体702から切り取られた1つのVED700の前方
右側透視図である。この実施形態によれば、VED700は材料704、706、708
、710、712、714、716の複数の並行シートを備え、これらの材料のうち少な
くとも706、708、710、712、および714は銅などの導電性材料を備え、7
04および716は鉄またはニッケルなどの磁性材料であってよい。層702、704、
706、708、710、712、714、716は一緒に接合される。相互作用領域7
18は層708、710、712を備え、VED700の電子ビームがRF信号と相互作
用する場所である。そのようなRF信号は、たとえば導体720を介して相互作用領域7
18に導入されて、導体722を介して抽出されてよい。製作後、組立体702は切断(
たとえば、レーザ切断または水ジェット切断)されてVED700などの個々の構成要素
を解放し、ギャップ724を残す。
【0036】
図8は、ある実施形態によるVED800の内部の一部分の横断面図である。VED8
00は、デバイスの電子ビーム軸802に対して水平または垂直であってよい接合層の組
立体から形成されてよい。電子ビームトンネルまたは相互作用領域を804に示す。VE
D800は要素808、810、および812を備える反復する1組のブロック806を
備える。要素808および812は、VED800の1つまたは複数の電子ビームを封じ
込めるのに役立てるための永久磁石である。要素810は、鉄またはニッケルなどの磁性
材料の断片からなる永久磁石であってよい。要素814、816、818、820、82
2、および824は、VED800の電子ビームが移動する導電性要素である。絶縁体8
26、828、830、832、834、836、838、840、および842は、V
ED800の本体の導電性部分からさまざまな制御プレート844、846、848、8
50、および852を絶縁する。制御プレート854、856、および858はたとえば
、制御プレートにさまざまな電気バイアス(直流電圧)を印加することにより電子ビーム
を集束させるために使用されてよい。制御プレート860は3つの絶縁体838、840
、および842,ならびに2つの伝導性プレート850、852を備え、たとえばプレー
ト850、852にさまざまな電気バイアス(直流電圧)を、たとえば、一方は正であっ
てよく一方は負であってよい電気バイアスを印加することにより2軸静電ビーム操向(プ
レート当たり1つの軸)のために使用されてよい。要素862は、鉄またはニッケルなど
の磁性材料の断片からなる永久磁石であってよい。要素864、866、868、および
870は、VED800の電子ビームが移動する導電性要素である。
【0037】
効率改善のために電子ビームを「パンチする」または「前もってパンチする」ことが望
ましい場合、一電極静電レンズに連続直流電圧信号ではなくむしろパルス化または変調さ
れた電圧信号を提供できる。
【0038】
図9は、ある実施形態による図8のVED800の内部の前方左側の部分的破断透視図
である。
【0039】
図10は、ある実施形態による図8のVED800の前方左側の部分的破断透視図であ
る。
【0040】
図11は、ある実施形態による図10のVED800の区域11の内部の前方左側の部
分的破断分解透視図である。
【0041】
図12A図12b、図12C、および図12Dは、ある実施形態によればビームの検
出(電流)、操向(偏向)、および集束(バイアス)の機能を提供するために使用してよ
いさまざまな制御プレートまたは静電レンズ1200、1202、1204、および12
06を例示する図である。ビーム集束は、たとえば電子ビームの至る所で完全に伝導性の
プレート内に導入された単一電圧を用いて達成できる。これを図12Aに例示する。プレ
ート1200は、銅または別の真空に適した材料などの導体から形成されてよい。電子ビ
ームは、プレート1200内の開口1208を通り抜け、端子1210に(正または負の
)電圧が印加される。負に帯電した電子は、帯電したプレート1200によりいくらか引
き寄せられ、または反発し、集束機能を提供する。
【0042】
図12Bは、アルミナ(Al)などの絶縁体から形成された類似プレート120
2を例示する。アルミナは、当業者に公知のように、容易にろう付けされる。図12B
示す例では(12時および6時の所に配置された)2つの電極1212および1214が
形成される(めっきもしくは電気めっき、または別の等価な方法によるなど)。電子ビー
ムは、電極1212および1214の一方または両方に正または負の電圧を印加すること
によりいくらか操向されても動かされてもよい。たとえば、電極1212および1214
の一方は正にバイアスをかけられてよく、他方は負にバイアスをかけられてよい。代わり
に、電極1212および1214の一方は完全に省かれてよく、電圧は単に残りの電極に
印加されてよい。
【0043】
図12Cは、図12Bのプレート1202に類似するが異なる角度に(この場合、90
°ずれた3時および9時の所に)配向されたプレート1204を例示する。4つの電極制
御が望まれる場合、プレート12020および1204を互いに近く積層するが互いに絶
縁して、プレート1204の電極1216および1218を追加してそのような制御を提
供してよい。
【0044】
図12Dは、たった今記述したばかりの概念であるが、4つの電極1220、1222
、1224、および1226を有する単一プレートの形で実装された概念を例示する。所
望であれば、さらに多くの電極を提供してよく、異なる角度位置を使用してよいことに留
意されたい。電極に加える最終的電圧は集束効果を提供してよく、不平衡電圧は電子ビー
ム偏向効果を提供してよい。
【0045】
図12A図12B図12C、および図12Dは、ある実施形態による、電子ビーム
の検出、集束、および操向(所望であれば、さらにまたビーム加速/減速も)のために使
用できる制御プレートを例示する。たとえば、図8では、制御プレートは要素854、8
56、858、および860のために使用できる。本明細書で言及するVEDは、相互作
用領域内部でビームトンネル領域に電子ビームを封じ込める磁石を具備する。磁石は、V
EDを取り囲むソレノイドタイプであってよい、または本明細書で例示するように、電子
ビームにより近く(さらにより効果的に)磁石を置くためにVEDの構造の中に組み入れ
られた固定タイプであってよい。いくつかの種類の封じ込める力がなければ、電子ビーム
はホースから現れる水のように広がる。磁気封じ込めは、電子ビームを狭く保ち、電子ビ
ームがVEDを損傷し電子ビームのエネルギーを浪費する、VEDの構造の上へ直接入射
する範囲外に電子ビームを保つように、電子ビームの経路に沿って電子ビームを封じ込め
る磁気レンズのように作用する。
【0046】
制御プレートは静電レンズである。電子ビームに沿って周期的に導入された静電レンズ
は、電子ビームを操向し集束させ、電子ビームの周囲に組み入れられ(電子レンズはその
中心が中空であってビームが通過できるようにする)、伝播経路は固定磁場に沿って電場
を加える。これらの制御プレートは、1つまたは複数の電気的接続を有してよい。これら
の制御プレートは互いに近く積層されてよい。静電レンズはVEDの磁気構造に沿って集
積されてよく、VEDの磁気構造を時折遮断し、ビーム軸でより高い磁気強度を達成する
ために、磁気構造がビームトンネルに、より近くなることができるようにする。
【0047】
その上、電子ビームトンネルに沿ってさまざまな場所に静電レンズを組み入れることに
より、電子ビームトンネルに沿って電子ビーム損失の増分測定(incremental
measurement)が可能になる、および/またはその結果、回路が磁気組立体
または電子ビーム整列に関して問題がある区域を識別するのに役立てることができるよう
になる。静電レンズは、ある軸の場所で電子ビームトンネルに沿って連続的に伸びるよう
に配向されてよい、電子ビームを取り囲むように配向されてよい、またはある別個の場所
で、かつ固定した軸の場所で電子ビームに沿って置かれてよい。
【0048】
静電レンズ(個々の導体)は、電子ビームに沿って各センサの場所で電子電流密度を検
出するように働いてよい。静電レンズは、静電レンズの電位を調節して電極およびVED
構造に届けられる電子ビーム電流を最小にすることにより、電子ビームの集束または操向
のために使用されてよい。この技法は、ミリメートル波およびほぼTHzの周波数で動作
するVEDがそのようなデバイスで通常遭遇する磁場の不規則性を補償するために特に有
益である。
【0049】
制御プレートは、ビームトンネル内部での電子ビームの位置、および円形である場合に
は電子ビームの同心性を特徴づけるのに役立つ、電子ビームを取り囲む複数の電極を提供
するように適合できる。
【0050】
磁気-静電集束設計は、本明細書で記述する多層多材製造の取り組み方法により可能に
なる。その取り組み方法によれば、集束/操向/検出システムの製造で金属材料、磁性材
料、およびセラミック材料を採用する。
【0051】
この取り組み方法はシートビーム、中空ビーム、ペンシルビーム、分散ビーム、多重ビ
ームデバイスなどのようなビームタイプで使用されてよい。
【0052】
検出された電子ビーム電流は、利用できる静電レンズに電位を加えて電子ビーム伝播を
最適化することにより、電子ビームトンネルに沿って電子ビーム伝播を最適化するために
採用されてよく、その結果、技術者による組立および微調整の必要性を低減する。
【0053】
最大性能を得るために電子ビームを完全に集束させて位置決めするために、ビームから
接地へ流れるがコレクタに流れない電流は、監視して、VEDの周囲の磁場に、および電
子ビームに沿って導入されたさまざまな制御プレートへの静電電圧入力に調節を適用する
ことにより最小にできる。
【0054】
図13は、本発明のある実施形態による、真空電子デバイスを製造するための工程また
は方法1300を例示する流れ図である。図13に関連して記述する工程ステップは順に
行ってよい、または一部もしくはすべてを一度に行ってよい。
【0055】
ブロック1302は第1のステップであり、非磁性導電性材料から第1の平面状非磁性
導体プレートを形成する。
【0056】
ブロック1304は第2のステップであり、非磁性導電性材料から第2の平面状非磁性
導体プレートを形成する。
【0057】
ブロック1306は第3のステップであり、相互作用構造が電子ビームトンネルを包含
するように、互いに並行に配列された複数の平面状非磁性相互作用構造形成プレートから
相互作用構造を形成し、相互作用構造は、相互作用構造の外部に至る少なくとも1つの導
電性経路を有する少なくとも1つの静電レンズ要素を包含し、導電性経路は、導電性経路
に印加された電圧が静電レンズ要素に伝導するように相互作用構造から電気的に絶縁され
る。
【0058】
ブロック1308は第4のステップであり、第1の平面状非磁性導体プレートおよび第
2の平面状非磁性導体プレートが積層の外側になるように、第1の平面状非磁性導体プレ
ート、相互作用構造、および第2の平面状非磁性導体プレートを積層の形に配置する。
【0059】
ブロック1310は第5のステップであり、第1の平面状非磁性導体プレート、相互作
用構造、および第2の平面状非磁性導体プレートを一緒に接合する。
【0060】
ブロック1312は第6のステップであり、電子ビームトンネル内部に電子ビームを封
じ込めるように配列された少なくとも1つの磁石で電子ビームトンネル領域を取り囲む。
【0061】
ブロック1314は第7の任意選択のステップであり、静電レンズ要素上に配置された
少なくとも1つの電気的に絶縁された導体上に提供される電気バイアス信号を届けるよう
に構成されるように少なくとも1つの静電レンズ要素を形成する。
【0062】
ブロック1316は第7の任意選択のステップであり、静電レンズ要素上に配置された
少なくとも2つの別個の電気的に絶縁された導体上に提供される少なくとも2つの別個の
電気バイアス信号を届けるように構成されるように少なくとも1つの静電レンズ要素を形
成する。
【0063】
ブロック1318は第7の任意選択のステップであり、静電レンズ要素上に配置された
少なくとも4つの別個の電気的に絶縁された導体上に提供される少なくとも4つの別個の
電気バイアス信号を届けるように構成されるように少なくとも1つの静電レンズ要素を形
成する。
【0064】
ここで当業者は、これらのステップが、製造するのに最も好適な順序で遂行でき、固定
された手順で行う必要がないことを認識されよう。たとえば、接合するステップは、すべ
て一度に行うことができ、形成するステップは、後の組立体用の部品を製作するために前
もって行うことができるなどである。
【0065】
2次元シートを一緒に接合するステップでは、ろう付け、拡散接合、補助拡散接合(a
ssisted diffusion bonding)、固体接合(solid st
ate bonding)、冷間溶接、超音波溶接、前述のうち1つまたは複数の組合せ
などの工程を使用してよい。2つの隣接するシートの間に形成された接合箇所は、1×1
-6トールよりも良好な真空環境を維持すべきである。接合は水素、窒素、真空などの
ような非反応性環境で行われるべきである。接合する前に、対応する層を洗浄またはプラ
ズマエッチングして表面酸化物層を除去すべきであり、良好な漏れ止め接合の形成を支援
するために、接合する前に、対応する層を真空環境で維持すべきである。必要とされる場
合、対応する層は(異種の材料であってよい)2つの対応する層の間に真空に適合する界
面の作成を強化する、真空に適合する材料でコート(スパッタ、でんきめっき、金属化、
および/または塗装)されてよい。コーティングはニッケル、金、銀、モリブデン-マン
ガン、銅、銅-金、銅-銀、チタン-ニッケル、金-銅-チタン、銅-銀-チタン、銅-
銀-チタン-アルミニウム、チタン-ニッケル-銅、金-銅-チタン-アルミニウム、銀
-銅-インジウム-チタン、銅-ゲルマニウム、パラジウム-ニッケル-銅-銀、金-パ
ラジウム-マグネシウム、銀-パラジウム、金-銅-ニッケル、金-銅-インジウム、銀
-銅-インジウム、金-ニッケル、金-ニッケル-クロムなどのうち1つまたは複数を含
んでよい。この手法では、接合された層は高強度組立体を形成し、その結果、比較的高出
力を取り扱う能力、および高勾配能力のVEDが得られる。
【0066】
層は同様に、VED内の電位だけではなく熱の流れも管理するために、電気的に絶縁す
る材料または導電性材料でコート(スパッタ、電気めっき、金属化、および/または塗装
)されてよい。コーティングはまた、VED内部の、およびVEDから離れた熱の流れを
よりよく管理するために、熱を伝導するように設計された材料(たとえば、ダイヤモンド
膜、ダイヤモンド伝導チャネル、熱パイプなど)を含んでよい。層は、次いで電極、およ
び電極にバイアスをかける電気経路を形成するために伝導経路と共にめっきされる絶縁体
(たとえばAl)から製作されてよい。
【0067】
切り抜きまたはポケットはフライス加工、旋盤細工、放電フライス加工、リソグラフィ
、エッチング、レーザ切断、電子ビーム切断、水ジェット切断などのような技術を使用し
てVEDの導電性シート内に形成されてよい。そのように形成された切り抜きまたはポケ
ットはセラミック材料、真空窓、回路切断材料(デバイスの安定性を改善するために使用
する減衰器)、電子放射性材料、真空ポンピング材料、ゲッター(getter)材料、
磁石、鉄片、遮蔽材料、分離材料、導線、コネクタ、導波管、カップラなどのような構成
要素により場所を占められてよい。
【0068】
セラミック材料を組み入れることにより集束、伝播、誘導、操向、パンチング、および
最終的に陰極とコレクタの間の電子ビーム伝播の改善を支援する、静電ビーム形成レンズ
または静電ビーム形成区域をVED内部に追加可能になる。VEDの真空領域の外側にこ
の能力を提供するのではなくむしろVED自体の中にこの能力を組み込むことにより、電
子ビームをより細かく、より低消費電力で制御可能になる。
【0069】
製造工程中にVED内部で、隣接する材料層または材料シートを整列させることは、整
列特徴112を使用して達成されてよい。そのような特徴は、本明細書の他の所で論じる
ような整列孔、整列ピン、長方形の特徴、それらの組合せ、ロボット組立技法に適した光
学的(可視の)印などであってよい。シートの組立は手作業による組立、ロボット組立、
並進ステージ、自動並進、ロボット配置、マイクロスケールからナノスケールまでのビデ
オ整列、バーニャなどにより影響を受けることがある。
【0070】
代表的な実施形態および適用分野について示し記述してきたが、本開示の利益を有する
当業者には、添付の特許請求の範囲により規定された本発明の範囲を逸脱することなく、
本明細書で記述するさまざまな代表的実施形態に上記で具体的に述べていない数多くの修
正、変形、および適応を行ってよいことが明らかであろう。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12A
図12B
図12C
図12D
図13