(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-13
(45)【発行日】2024-11-21
(54)【発明の名称】水交換式貯蔵場の建設方法及び貯蔵場
(51)【国際特許分類】
E02D 29/09 20060101AFI20241114BHJP
E02B 3/18 20060101ALI20241114BHJP
E02D 19/04 20060101ALI20241114BHJP
【FI】
E02D29/09
E02B3/18 Z
E02D19/04
(21)【出願番号】P 2024529496
(86)(22)【出願日】2023-09-01
(86)【国際出願番号】 CN2023116436
(87)【国際公開番号】W WO2024032815
(87)【国際公開日】2024-02-15
【審査請求日】2024-05-17
(31)【優先権主張番号】202211293054.2
(32)【優先日】2022-10-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】519172513
【氏名又は名称】中交第一航▲務▼工程局有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】110000659
【氏名又は名称】弁理士法人広江アソシエイツ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】潘▲偉▼
(72)【発明者】
【氏名】李一勇
(72)【発明者】
【氏名】李増▲軍▼
(72)【発明者】
【氏名】孟凡利
(72)【発明者】
【氏名】▲張▼乃受
(72)【発明者】
【氏名】侯晋芳
(72)【発明者】
【氏名】杜▲闖▼
【審査官】松本 泰典
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第110921342(CN,A)
【文献】特表平2-504050(JP,A)
【文献】米国特許第5082393(US,A)
【文献】中国特許出願公開第102345300(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第110080169(CN,A)
【文献】米国特許出願公開第2020/0318306(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E02D 29/09
E02B 3/18
E02D 19/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
水交換式貯蔵場建設方法であって、以下のステップとして、
止水囲いを建設するステップであって、水を止めることができる囲いを建設するステップと、
囲いをした後に排水路を建設するステップであって、前記止水囲いを囲った後、前記止水囲いの囲われた範囲内の水を排出し、ピットを露出させ、乾燥した建設状態を形成するステップと、
スタッキングヤードを建設するステップであって、前記乾燥した建設状態の下で、下側の低層テラス、及び上側の高層テラスを建設することも含め、前記スタッキングヤードを前記ピットに建設し、前記低層テラスは、前記止水囲いの外側における平均水位よりも低く、前記高層テラスは、積み重ね/取り出しデバイスを移動させるために使用可能であり、前記積み重ね/取り出しデバイスは、倉庫との間で資材を運搬することが可能であるステップと、
前記倉庫を建設するステップであって、前記低層テラスに倉庫を建設するステップとを含
み、
前記倉庫を建設する前記ステップでは、貯蔵倉庫、及びバラスト倉庫が前記低層テラスに配置されており、前記バラスト倉庫は前記貯蔵倉庫を中心にして分散配置され、前記貯蔵倉庫は資材の貯蔵用に使用可能であり、前記バラスト倉庫はバラストの充填に使用可能である、水交換式貯蔵場建設方法。
【請求項2】
前記スタッキングヤードを建設する前記ステップでは、前記低層テラスは、前記止水囲いの外側の前記平均水位よりも3m~20m低い、請求項1に記載の水交換式貯蔵場建設方法。
【請求項3】
前記スタッキングヤードを建設する前記ステップでは、前記ピットから前記止水囲いの頂部までの平均深さをL1とし、前記低層テラスの表面から前記止水囲いの前記頂部までの深さをL2とし、更に、L2/L1≧50%とする、請求項1に記載の水交換式貯蔵場建設方法。
【請求項4】
囲いをした後に排水路を建設する前記ステップは更に、前記乾燥した建設状態を形成した後、高さを出すための盛土は行わず、前記ピットを均し、更に、前記均したピットに前記スタッキングヤードを建設するステップも含む、請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の水交換式貯蔵場建設方法。
【請求項5】
前記貯蔵倉庫と前記バラスト倉庫は細長く、間隔を置いて配置され、隣接する貯蔵倉庫とバラスト倉庫は同じ長尺側壁を共有し、平行に配置された複数の貯蔵倉庫と複数のバラスト倉庫の短尺側壁は共通の側壁を形成し、前記貯蔵倉庫の幅は前記バラスト倉庫の幅より広い、
請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の水交換式貯蔵場建設方法。
【請求項6】
前記スタッキングヤードを建設する前記ステップでは、前記高層テラスが前記倉庫の上に建設され、より具体的には、前記細長い倉庫の長さ方向と実質的に直交する方向に、前記高層テラスの主道路が建設され、前記主道路と連絡する前記バラスト倉庫の上方に、前記高層テラスの分岐道路が形成され、前記主道路及び前記分岐道路は、前記積み重ね/取り出しデバイスがその上を移動できるようにする、請求項
5に記載の水交換式貯蔵場建設方法。
【請求項7】
前記主道路に対応する前記倉庫には、前記主道路を支持するために使用される支持板が配置され、前記支持板には、鋼板又は鉄筋コンクリート板が垂直に配置されており、前記バラスト倉庫の前記長尺側壁は、鉄筋コンクリート又は鋼鉄構造で製造され、前記バラスト倉庫上に前記分岐道路を形成するために、前記高層テラスの前記主道路の高さと実質的に等しい高さを有し、前記バラスト倉庫の前記長尺側壁は、前記積み重ね/取り出しデバイスの移動トラックとして使用され、更に、前記同じバラスト倉庫の2つの長尺側壁の上部には、前記2つの長尺側壁を接続するための複数の接続ビームが設けられている、請求項
6に記載の水交換式貯蔵場建設方法。
【請求項8】
前記止水囲いを建設する前記ステップは更に、最初に、振動ハンマーセットによって、複数の円筒鋼板を軟弱地盤基礎に挿入するステップと、次に、前記振動ハンマーセットによって、2つおきに隣接する円筒鋼板の間で、前記円筒鋼板の外壁のほぞ溝に沿って、2つの補助鋼板を前記軟弱地盤基礎に挿入して、隣接する円筒鋼板の隙間を塞ぐステップと、前記円筒鋼板の内部と前記2つの補助鋼板の間に形成された内部空洞を埋め戻して、前記止水囲いを形成するステップとを含み、
前記水交換式貯蔵場建設方法は更に、リップラップマウンドを建設するステップであって、前記リップラップマウンドを前記止水囲いの内側と外側にそれぞれ建設することで、前記リップラップマウンドは概ね直角台形形状を形成し、内側及び外側に前記止水囲いが設けられ、前記リップラップマウンドの上表面は、止水囲いの上表面とほぼ面一であり、前記止水囲いの上部、又は前記外側の前記リップラップマウンドの上部に、上方に延在する波よけ壁が建設されるステップを含む、
請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の水交換式貯蔵場建設方法。
【請求項9】
前記スタッキングヤードを建設する前記ステップでは、透水クッション、遮水クッション、防水層、及びベースプレート層が、前記排水後のピット内で底部から順に形成されて、前記低層テラスが形成され、前記透水クッションは、前記ピット内に透水材を敷設して形成され、前記遮水クッションは、前記透水クッション上にセメント又はコンクリートを打設して形成され、前記防水層は、前記遮水クッション上に防水材をコーティング、又は物理的防水層を敷設して形成され、更に、前記ベースプレート層は、セメント又はコンクリートを打設して形成される、
請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の水交換式貯蔵場建設方法。
【請求項10】
水交換式貯蔵場であって、
請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の建設方法により建設される、水交換式貯蔵場。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本願は、2022年10月21日付けで出願され、「water replacement type storage field construction method and application thereof」と題する、中国出願第202211293054.2号に基づく優先権を主張し、その全体を参照により、本明細書で援用する。
【0002】
本願は、水運技術の分野に属し、具体的には、水交換式貯蔵場(water replacement type storage field)の建設方法、及び当該建設方法によって得られる貯蔵場に関する。
【背景技術】
【0003】
貯蔵場は、水運技術におけるばら積み貨物(bulk cargo)貯蔵用の主要なインフラストラクチャの1つである。貯蔵場は埠頭に近接させる必要があるので、従来の建設方法では、最初に、水域の一部を囲う囲いを構築してから、この囲った水域を水締め(hydraulic fill)盛土、又は埋め立てによって陸地化し、更に、その上に貯蔵場を建設することが多かった。
【0004】
従来の貯蔵場の建設方法には、以下のような問題があった。すなわち、囲いで囲まれた範囲では、水中に盛土された盛土材(例えば、砂と砂利)が囲いの空間の多くを占めて、設計された膨大な外殻構造を消費し、囲いの空間は盛土用の外殻構造によって減少する。盛土工程では、盛土材は、主として、水環境を無水地面環境に変えることで、資材の貯蔵を容易にするよう、機能する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来技術におけるいくつかの問題を解決するために、本願は水交換式貯蔵場の建設方法、及び貯蔵場を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本願の第1態様は、水交換式貯蔵場建設方法を提供し、以下のステップとして、
止水囲い(water-stop enclosure)を建設するステップであって、水を止めることができる囲いを建設するステップと、
囲いをした後に排水路を建設するステップであって、上記止水囲いを囲んだ後、止水囲いの囲われた範囲内の水を排出し、ピット(pit)を露出させ、乾燥した建設状態を形成するステップと、
スタッキングヤード(stacking yard)を建設するステップであって、乾燥した建設状態の下で、下側の低層テラス、及び上側の高層テラスを建設することも含め、上記スタッキングヤードを上記ピットに建設し、低層テラスは、止水囲いの外側における平均水位よりも低く、高層テラスは、積み重ね/取り出しデバイス(stacking-reclaiming device)を移動させるために使用可能であり、積み重ね/取り出しデバイスは、倉庫との間で資材を運搬することが可能であるステップと、
倉庫を建設するステップであって、低層テラスに倉庫を建設するステップとを、含む。
【0007】
本願のいくつかの実施例において、止水囲いを建設するステップは更に、最初に、振動ハンマーセットによって、複数の円筒鋼板を軟弱地盤基礎に挿入するステップと、次に、振動ハンマーセットによって、2つおきに隣接する円筒鋼板の間で、円筒鋼板の外壁のほぞ溝(mortise groove)に沿って、2つの補助鋼板を軟弱地盤基礎に挿入して、隣接する円筒鋼板の隙間を塞ぐステップと、円筒鋼板の内部と2つの補助鋼板との間に形成された内部空洞を埋め戻して、止水囲いを形成するステップとを、含む。
【0008】
本願のいくつかの実施例において、囲いをした後に排水路を建設するステップは更に、乾燥した建設状態を形成した後、通常、高さを出すための盛土は行わず、ピットを均し、更に、均したピットにスタッキングヤードを建設するステップも、含む。
【0009】
本願のいくつかの実施例において、水交換式貯蔵場建設方法は更に、リップラップマウンド(riprap mounds、ロック材の土塁)を建設するステップであって、リップラップマウンドを止水囲いの内側と外側にそれぞれ建設することで、リップラップマウンドは概ね直角台形形状を形成し、そこに内側及び外側に止水囲いが設けられ、更に、リップラップマウンドの上表面は、止水囲いの上表面とほぼ面一であるステップを、含む。止水囲いの上部、又は外側のリップラップマウンドの上部に、上方に延在する波よけ壁(wave wall)を建設することができる。
【0010】
本願のいくつかの実施例において、スタッキングヤードを建設するステップでは、低層テラスは、止水囲いの外側の平均水位よりも3m~20m低い。
【0011】
本願のいくつかの実施例において、スタッキングヤードを建設するステップでは、ピットから止水囲いの頂部までの平均深さをL1とし、低層テラスの表面から止水囲いの頂部までの深さをL2とし、更に、L2/L1≧50%とする。
【0012】
本願のいくつかの実施例において、スタッキングヤードを建設するステップでは、透水クッション、遮水クッション、防水層、及びベースプレート層が、排水後のピット内で底部から順に形成され、低層テラスが形成される。より具体的には、透水クッションは、ピット内に透水材を敷設して形成され、遮水クッションは、透水クッション上にセメント又はコンクリートを打設して形成され、防水層は、遮水クッション上に防水材をコーティング、又は物理的防水層を敷設して形成され、更に、ベースプレート層は、セメント又はコンクリートを打設して形成される。
【0013】
本願のいくつかの実施例において、ベースプレート層は、間隔を置いて配置されたグラウンドビーム(ground beams)を更に備え、グラウンドビームはプレート構造であり、ピットの下方に延在している。
【0014】
本願のいくつかの実施例において、倉庫を建設するステップでは、貯蔵倉庫、及びバラスト倉庫が低層テラスに配置されており、バラスト倉庫は貯蔵倉庫を中心にして分散配置され、貯蔵倉庫は資材の貯蔵用に使用可能であり、バラスト倉庫はバラストの充填に使用可能である。
【0015】
本願のいくつかの実施例において、貯蔵倉庫とバラスト倉庫は細長く、間隔を置いて配置され、隣接する貯蔵倉庫とバラスト倉庫は同じ長尺側壁を共有し、平行に配置された複数の貯蔵倉庫と複数のバラスト倉庫の短尺側壁は共通の側壁を形成し、貯蔵倉庫の幅はバラスト倉庫の幅より広い。
【0016】
本願のいくつかの実施例において、スタッキングヤードを建設するステップでは、高層テラスが倉庫の上に建設される。より具体的には、細長い倉庫の長さ方向と実質的に直交する方向に、高層テラスの主道路が建設され、主道路と連絡するバラスト倉庫の上方に、高層テラスの分岐道路が形成され、主道路及び分岐道路は、積み重ね/取り出しデバイスがその上を移動できるようにする。
【0017】
本願のいくつかの実施例において、主道路に対応する倉庫には、主道路を支持するために使用される支持板が配置され、支持板には、鋼板又は鉄筋コンクリート板(reinforced concrete plate)が垂直に配置されており、バラスト倉庫の長尺側壁は、鉄筋コンクリート又は鋼鉄構造で製造され、バラスト倉庫上に分岐道路を形成するために、高層テラスの主道路の高さと実質的に等しい高さを有し、バラスト倉庫の長尺側壁は、積み重ね/取り出しデバイスの移動トラックとして使用される。
【0018】
本願のいくつかの実施例において、同じバラスト倉庫の2つの長尺側壁の上部には、この2つの長尺側壁を接続するための接続ビームが設けられている。
【0019】
本願の第2態様は、港湾の貯蔵場構築における水交換式貯蔵場建設方法の適用を提供し、この方法は、上記実施例のいずれか1つに記載された建設方法を採用することができる。
【0020】
本願の第3態様は、水交換式貯蔵場を提供し、この水交換式貯蔵場は、上記実施例のいずれか1つに記載された建設方法によって、建設することができる。
【0021】
水交換式貯蔵場は、止水囲いとスタッキングヤードとを含み、スタッキングヤードは、止水囲いに囲まれた内部空間内で建設され、止水囲いの内部に形成された排水後のピット上に位置する。スタッキングヤードは、下側の低層テラス、及び上側の高層テラスを含み、低層テラスは止水囲いの外側の平均水位より低く、倉庫が低層テラス上に建設され、高層テラスは積み重ね/取り出しデバイスの移動用に使用可能である。
【0022】
本願のいくつかの実施例において、通常、高さを出すための盛土は行わずに、ピットを均し、更に、均したピットにスタッキングヤードを配置する。
【0023】
本願のいくつかの実施例において、止水囲いは、複数の円筒鋼板と、隣接する円筒鋼板の間に位置する補助鋼板とを含み、円筒鋼板は、止水囲いの長さ方向で間隔を置いて分散配置され、補助鋼板は、円弧状であり、円筒鋼板上のほぞ溝を通じて、円筒鋼板と密接に接続する。対向配置された2つの補助鋼板が隣接する円筒鋼板の間に設けられ、各補助鋼板の円弧状の凸面が外側を向き、内部空洞が形成され、円筒鋼板の内部及び補助鋼板の内部空洞に土が埋め戻される。
【0024】
本願のいくつかの実施例において、リップラップマウンドは、それぞれ止水囲いの内側と外側に配置され、上方に延在する波よけ壁が、止水囲いの頂部に配置される。
【0025】
本願のいくつかの実施例において、低層テラスは、止水囲いの外側の平均水位よりも3m~20m低い。
【0026】
本願のいくつかの実施例において、ピットから止水囲いの頂部までの平均深さをL1とし、低層テラスの表面から止水囲いの頂部までの深さをL2とし、更に、100%≧L2/L1≧50%とする。
【0027】
本願のいくつかの実施例において、低層テラスは、透水クッション、遮水クッション、防水層、及びベースプレート層を、底部から順に含む。透水クッションは、ピット内に透水材を敷設して形成され、遮水クッションは、透水クッション上にセメント又はコンクリートを打設して形成され、防水層は、遮水クッション上に防水材をコーティング、又は物理的防水層を敷設して形成され、更に、ベースプレート層は、セメント又はコンクリートを打設して形成される。
【0028】
本願のいくつかの実施例において、ベースプレート層は、間隔を置いて配置されたグラウンドビームを更に備え、グラウンドビームはプレート構造であり、ピットの下方に延在している。
【0029】
本願のいくつかの実施例において、貯蔵倉庫、及びバラスト倉庫が低層テラスに配置されており、バラスト倉庫は貯蔵倉庫を中心にして分散配置され、貯蔵倉庫は資材の貯蔵用に使用可能であり、バラスト倉庫はバラストの充填に使用可能である。
【0030】
本願のいくつかの実施例において、貯蔵倉庫とバラスト倉庫は長方形であり、間隔を置いて配置され、隣接する貯蔵倉庫とバラスト倉庫は同じ長尺側壁を共有し、平行に配置された複数の貯蔵倉庫と複数のバラスト倉庫の短尺側壁は共通の側壁を形成し、貯蔵倉庫の幅はバラスト倉庫の幅より広い。
【0031】
本願のいくつかの実施例において、高層テラスは倉庫の上に位置し、主道路、及び主道路と連絡する分岐道路を含み、積み重ね/取り出しデバイスはその上を移動可能であり、主道路は、長方形の倉庫と実質的に直交する方向に配置され、分岐道路は、バラスト倉庫の上方に位置する。
【0032】
本願のいくつかの実施例において、主道路に対応する倉庫には、主道路を支持するために使用される支持板が配置され、支持板には、鋼板又は鉄筋コンクリート板が垂直に配置されており、バラスト倉庫の長尺側壁は、鉄筋コンクリート又は鋼鉄構造で製造され、バラスト倉庫上に分岐道路を形成するために、高層テラスの主道路の高さと実質的に等しい高さを有し、バラスト倉庫の長尺側壁は、積み重ね/取り出しデバイスの移動トラックの基礎として、使用される。
【0033】
本願のいくつかの実施例において、同じバラスト倉庫の2つの長尺側壁の上部には、この2つの長尺側壁を接続するための複数の接続ビームが設けられている。
【0034】
本願の第4態様は、港湾の貯蔵場における水交換式貯蔵場の適用を提供し、この水交換式貯蔵場は、上記実施例のいずれか1つに記載された水交換式貯蔵場を採用することができる。
従来技術と比較して、本願の有益な効果は以下の通りである:
【0035】
本願の少なくとも1つの実施形態が提供する水交換式貯蔵場は、埋め立ての代わりに、止水囲いを採用して止水し、水環境を無水環境に変え、止水囲い内の水体が占める空間を貯蔵空間に置き換えることで、スタッキングヤードの容量を拡大させ、埋め立てコストを節約し、更に、プロジェクトの費用対効果を大幅に向上させる。
【0036】
本願の少なくとも1つの実施形態によって提供される水交換式貯蔵場は、挿入された円筒構造を使用して、囲いの基礎を補強し、止水、及び囲い構造として機能し、水上車両走行通路を迅速に建設できるだけでなく、止水囲いを形成することもできる一方、囲いを短時間で構築することができ、止水囲い内のスタッキングヤードの乾燥した建設状態を形成し、スタッキングヤードと止水囲いに関する並列建設条件を生成し、建設期間を大幅に短縮させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【
図7】一実施形態における倉庫ヤードの正面図である。
【
図8】一実施形態における倉庫ヤードの側面図である。 図中、1 止水囲い、101 円筒構造、1011 円筒鋼板、1012 補助鋼板、1013 内部空洞、2 ピット、3 スタッキングヤード、4 リップラップマウンド、5 波よけ壁、6 低層テラス、601 透水クッション、602 遮水クッション、603 防水層、604 ベースプレート層、6041グラウンドビーム、7高層テラス、701 主道路、702 分岐道路、8 倉庫、801 貯蔵倉庫、802 バラスト倉庫、803 長尺側壁、804 共通側壁、805 支持板、806 接続ビームである。
【発明を実施するための形態】
【0038】
これから、具体的な実施形態と組み合わせて、本願の技術的解決策を詳述する。しかし、これ以上説明しないが、一実施形態における要素、部材、構造及び特徴を他の実施形態へと有利に組み込むこともできることを、理解されたい。
【0039】
本願の説明において、「第1(first)」、及び「第2(second)」などの用語は、あくまで説明目的で使用され、相対的な重要性を示したり、又は示唆したり、あるいは、指示された技術的特徴の数を暗黙的に示すものとして、理解され得ないことに、留意されたい。それ故、「第1」及び「第2」で定義された特徴は、明示的又は暗黙的にこれらの特徴の1つ以上を含むことができる。
【0040】
本願の説明において、用語「上方(up)」、「下方(down)」、「底部(bottom)」、「内側(inner)」などは、
図7で示される向き、又は位置関係に基づく向き、又は位置関係を示すものであり、あくまで本願、及び簡略化された説明目的であるが、言及されるデバイス又は要素が特定の向きである必要があり、特定の向きで構成されて、動作しなければならないことを示したり、あるいは示唆するものでもなく、したがって、本願を限定するものとして解釈されるべきではないことを、理解されたい。
【0041】
本願の説明において、「接続(connect)」、「接続している(connecting)」、「接続された(connected)」という用語は、明確に指定、限定されない限り、広義に理解されるべきであることに留意されたい。例えば、それらは、固定接続、着脱式接続、又は一体型接続であり得、直接接続、又は中間媒体を通じた間接接続であり得、更に、2つの要素の内部接続であり得る。当業者にとって、本願における上述の用語の具体的な意味は、特定の状況下で理解され得る。
【0042】
本願の第1実装形態は、
図1~
図5で見られるように、水交換式貯蔵場建設方法を提供し、以下のステップとして、
(1)止水囲いを建設するステップを、含む。
一実装形態において、
図2で見られるように、複数の円筒構造101は、水中に挿入することで、囲いの基礎を補強したり、更に、止水囲いを形成するための、止水囲い構造として機能させることができる。
【0043】
具体的には、
図1、及び
図2で見られるように、各円筒構造101は、円筒鋼板1011、及び補助鋼板1012を含む。
【0044】
最初に、地盤基礎のせん断強度を向上させるために、各円筒鋼板1011を、軟弱地盤基礎に挿入する。円筒鋼板1011を軟弱地盤基礎に挿入する建設は、クレーン船を使用して、振動ハンマーセットを吊り上げ、振動させて沈設する工程によって完了することができる。
【0045】
次に、隣接する円筒鋼板1011の外壁のほぞ溝(図示せず、従来技術におけるほぞであり得る)に沿って、2つおきに隣接する円筒鋼板1011の間に、2つの補助鋼板1012を軟弱地盤基礎に挿入し、隣接する円筒鋼板1011間の隙間を塞ぐ。補助鋼板1012とほぞ溝との接合部には、密封材が塗布され、水密性を実現している。
【0046】
同様に、クレーン船を使用して、振動ハンマーセットを吊り上げ、振動させて沈設する工程によって、補助鋼板1012を軟弱地盤基礎に挿入することができる。密封材は、おがくず、アスファルト、又は他の資材を混合したものであり得、補助鋼板1012をほぞ溝に挿入する工程において水密性を保つように、ほぞ溝に予め配置される。あるいは、密封材は、セメントペーストでもあり得、補助鋼板1012がほぞ溝に挿入された後、予め設置されたパイプを通して、ほぞ溝に注入され、水密性を実現する。
【0047】
次に、各円筒鋼板1011の内部、及び2つおきに対向する補助鋼板1012の間に形成された内部空洞1013を埋め戻して、止水囲い1を形成する。
【0048】
埋め戻しには、砂と砂利を使用可能であり、更に、ベルト船を使用して水上で搬出する場合、あるいは、陸上デバイスを使用して搬出する場合があり、これにより、止水囲い1は、砂と砂利のサイロ圧によって、各円筒鋼板の形状が収縮しないように保つ。円筒鋼板は、砂と砂利、及び円筒構造101の強度により、座屈と破損から保護され、更に、止水囲い1は、砂と砂利の重力、円筒構造101の重力、並びに、埋設部の摩擦抵抗によって、転倒、及び滑りが防止され、全体的な安定性が維持される。また、止水囲い1の頂部を均し、締め固めて、建設、並びに建設機械と車両が通行するための工事用道路を形成することもできる。
(2)囲いをした後に排水路を建設する
【0049】
止水囲い1が囲われた後、囲われた範囲内の水が排出され、ピット2が露出して、乾燥した建設状態が形成される。止水囲い1内にスタッキングヤード3を更に建設するために、実際の状況に応じて、ピット2を均してもよい。均しとは、従来の意味での盛土を除き、ピットを完全に、あるいは一部を水平にすることである。盛土の主な目的は高さを出すことであり、そのための資材消費量は、均しよりもかなり多くなる。
(3)リップラップマウンド4を建設する
【0050】
図4で見られるように、止水囲い1の内側と外側にそれぞれ、リップラップマウンド4を建設してもよい。リップラップマウンド4は、内側と外側でそれぞれ止水囲い1と嵌合する直角台形状をほぼ形成しており、リップラップマウンド4の上表面は止水囲い1の上表面とほぼ面一になっている。
【0051】
リップラップマウンド4の水面より下の部分は、リップラップ船を使用して水上でダンプ充填(dump-fill)してもよく、あるいは、陸上デバイスを使用して一部をダンプ充填し、リップラップ船を使用して左側を水上でダンプ充填してもよく、更に、リップラップマウンド4の水面より上の部分は、陸上デバイスを使用してダンプ充填してもよい。止水囲いの内側にあるリップラップマウンド102は、陸上デバイスを使用してすべて充填することができる。
【0052】
図6~
図8で見られるように、止水囲い1の上部、又は外側のリップラップマウンド4の上部に、上方に延在する波よけ壁5を建設して、止水囲い1への波の侵入量を低減することもできる。波よけ壁5は、鉄筋コンクリートの打設によって形成され得る。
(4)スタッキングヤード3を建設する
【0053】
乾燥した建設状態が形成された後、低層テラス6、及び高層テラス7の建設を含めて、スタッキングヤード3の建設を実行し、低層テラス6は、止水囲い1の外側の平均水位より低く、実際の水深と建設環境に応じて、平均水位より3m~20mm低くして、資材積み上げ状態を形成することができる。あるいは、
図7で見られるように、ピット2から止水囲い1の頂部までの平均深さをL1、低層テラス6の表面から止水囲い1の頂部までの深さをL2とすると、100%≧L2/L1≧50%、例えば、L2/L1≧60%、L2/L1≧65%、L2/L1≧70%、L2/L1≧75%、L2/L1≧80%等となる。低層テラス6の表面は水面より下にあるので、その上に広い利用可能な空間が形成される。高層テラス7は、低層テラス6に基づいて構築することができ、積み重ね/取り出しデバイスを取り付け、実行する条件を形成するために、高さがより高くなる。
【0054】
より具体的には、
図7及び
図8で見られるように、透水クッション601、遮水クッション602、防水層603、及びベースプレート層604が、排水後のピット2内で底部から順に形成され、低層テラス6を形成する。透水クッション601は、ピット2に透水性の砂利を敷設することで形成できる。ピット2には浸水(water seepage)が発生し得るため、低層テラス6に浮力が生じ、低層テラス6が破裂する恐れがある。透水クッション601を提供することにより、透水クッションの上にある他の層を損傷から保護するために、水による圧力を低減、あるいは無くすことができる。したがって、透水クッション601は、濾過、減圧、及び排水の機能を有する。透水クッション601上にセメント又はコンクリートを打設することにより、遮水クッション602を形成することができる。遮水クッション602は、ある程度まで水を遮断することができ、これにより、その後の防水層603の建設が容易になり、透水クッション601と防水層603との接合層となる。防水層603は、遮水クッション602上に防水材をコーティングしたり、あるいは物理的防水層(例えば、多層で一部が積層された防水ジオテキスタイル)を敷設することによって形成することができ、低層テラス6の表面への浸水を防止する主な防水機能を果たす。従来、防水層603上に位置するベースプレート層604は、セメント又はコンクリートを打設して形成された。
図8で見られるように、ベースプレート層604は、間隔を置いて配置され、下方に延在するグラウンドビーム6041を更に備える。グラウンドビーム6041は、プレート構造で、ピット2内まで延在しているため、低層テラス6の耐力が高くなっている。
(5)倉庫8を建設する
【0055】
図4で見られるように、貯蔵倉庫801、及びバラスト倉庫802を含む倉庫8が低層テラス6に配置され、バラスト倉庫802は貯蔵倉庫801の近くに均等に分散配置される。貯蔵倉庫801は、主として資材(例えば、鉱石、石炭、食料等)を貯蔵するために使用され、バラスト倉庫802は、貯留倉庫801が軽量である場合、主としてバラストを充填する(例えば、砂、石等を充填する)ために使用される。低層テラス6(又は、遮水クッション602)の底に浸水が発生し得ることを考慮すると、貯蔵倉庫801に適切な重量の資材がある場合において、浸水の浮力に打ち勝つように浸水の背圧が生成される。しかし、貯蔵倉庫801の資材が少ない、あるいは、貯蔵倉庫に資材がない場合には、浸水によって生成される浮力によって低層テラス6が損傷するのを防止するよう、バラスト倉庫802にバラストを充填して、浸水に対する低層テラス6の背圧を高めることができる。貯蔵倉庫801とバラスト倉庫802は混在し得ることを、理解されたい。例えば、資材が多い場合、資材は貯蔵倉庫とバラスト倉庫802の双方に貯蔵することができ、これにより、バラスト倉庫802は貯蔵倉庫801として機能し、更に、資材が少ない場合は、貯蔵倉庫801にバラストを充填し、これにより、貯蔵倉庫801をバラスト倉庫802として機能させることもできる。
【0056】
低層テラス6の上方の空間が合理的に利用されるよう、貯蔵倉庫801及びバラスト倉庫802は、領域、セクション及び層として、配置され得る。低層テラス6は平均水位より低い位置にあるため、低層テラスの上方に設けられる空間は、従来の充填方法によって得られるスタッキングヤードによって形成される空間よりもはるかに大きく、これにより、貯蔵倉庫801の高さ及び容積が大幅に増加し、より多くの資材を貯蔵することができる。
【0057】
一実装形態において、各貯蔵倉庫801と各バラスト倉庫802は細長く、間隔を置いて配置されている。
図3~
図6で見られるように、各貯蔵倉庫801と各バラスト倉庫802は長方形であり、隣接する貯蔵倉庫801とバラスト倉庫802は同じ長尺側壁803を共有し、更に、平行に配置された複数の貯蔵倉庫801と複数のバラスト倉庫802の短尺側壁は、1つの共通の側壁804を形成する。より多くの資材を貯蔵するために、貯蔵倉庫801の幅はバラスト倉庫802の幅よりも広い。
【0058】
長期にわたる資材の貯蔵を容易にするために、防水層は、防水効果を高めるよう、各貯蔵倉庫801の4つの面、及び底部に形成され得る(すなわち、第2防水層は、ベースプレート層604上に建設され得る)。
(6)高層テラスを建設する
【0059】
従来、貯蔵分野で使用される積み重ね/取り出しデバイスには、主として、スタッカとリクレーマがあり、非常に重量がある。通常使用に際して、積み重ね/取り出しデバイスの移動を支援するために、基礎に杭を打ち込み、次に、トラックビームを地面に敷設し、トラックビーム上で積み重ね/取り出しデバイスが移動できるようにトラックを敷設する必要があることが多い。
【0060】
本願のスタッキングヤード3では、積み重ね/取り出しデバイスも特別な移動トラックを必要とする。ステップ(4)で述べたように、低層テラス6に基づいて、高さがより高い高層テラス7を構築することにより、積み重ね/取り出しデバイスの移動状態を形成することができる。しかし、複数の高層テラス7の通路を低層テラス6にやみくもに構築すると、高層テラス7が占める空間が大きくなり、倉庫8用の空間が圧迫される。
【0061】
一実装形態において、上記問題を解決するために、倉庫8上に高層テラス7を構築することができる。より具体的には、
図3~
図6で見られるように、高層テラス7の主道路701は、細長い、又は長方形の倉庫8の長さ方向とほぼ直交する方向に建設されており、主道路701の下方に対応する倉庫8には支持板805が設けられ、支持板805は鋼板又は鉄筋コンクリート板であり得、主道路701を移動するために、積み重ね/取り出しデバイスを支持する状態を形成する。
図5及び
図6で見られるように、高層テラス7の分岐道路702は、バラスト倉庫802の上方に形成され、主道路701と連絡し、積み重ね/取り出しデバイスがその上を移動することもできる。具体的には、バラスト倉庫802の長尺側壁803は、鉄筋コンクリート、鋼構造、又は強度の高い他の資材で形成可能であり、高層テラス7(又は、主道路701)の高さとほぼ同じ高さを有するので、バラスト倉庫802の長尺側壁803にスタッカ及びリクレーマの歩行トラックを敷設することができる。
【0062】
高層テラス7の主道路701と分岐道路702を設けることで、主道路701からの積み重ね/取り出しデバイスは、貯蔵倉庫801の長さ方向に資材を積み重ね、又は取り出すために、各分岐道路702に到達することができる。
図6で見られるように、第2列の貯蔵倉庫801の資材を積み重ねるように、スタッカは、第2列のバラスト倉庫802上を分岐道路702に沿って移動することができる。
図5及び
図6は、資材積み重ね後の概略図である。
【0063】
図4で見られるように、接続ビーム806は、各バラスト倉庫802の長尺側壁803に設けられ、バラスト倉庫802内の隣接する2つの長尺側壁803を接続するために、バラスト倉庫802の長尺側壁803の上部に位置する。例えば、複数の接続ビーム803は、溶接によって、2つの長尺側壁の間に配置され得る。この構成によって、長尺側壁803の上部は、上記荷重(例えば、スタッカ/リクレーマ)によって長尺側壁803に印加される外向きの側圧(lateral pressure)に打ち勝つように、共に接続され得、それによって、ベアリングの安定性が改善する。
【0064】
この実装形態におけるステップの順序は、あくまで説明上の順序であり、実際のニーズに応じて調整することが可能であるため、この説明上の順序は本願に対する絶対的な制限を構成するものではないことに、留意されたい。
【0065】
この実装形態において、低層テラス6をピット2内で直接構築し、低層テラス6を外幅の平均水位よりも低くすることで、スタッキングヤード/倉庫の空間を拡大させる。更に、一実装形態において、ピット2の面積の大部分は、スタッキングヤード/倉庫として直接使用されるので、ピット2に充填するための従来の技術を解消することができ、充填材と労働力、並びに機械の大量消費が節約され、技術の費用対効果比が大幅に改善される。
【0066】
本願の第2態様は、水交換式貯蔵場を提供し、この水交換式貯蔵場は、上記実装形態のいずれか1つに記載された建設方法によって、建設することができる。
【0067】
水交換式貯蔵場は、止水囲い1、及びスタッキングヤード3を含み、止水囲い1の外側は水体に接しており、スタッキングヤード3は、止水囲い1によって囲まれた内部空間内で形成され、止水囲い1内の水を排出した後に形成されたピット2上に、位置している。
【0068】
止水囲い1は止水機能を有し、外側の水体が止水囲い1内に侵入することを防止する。止水囲い1は、従来技術における囲い1の建設方法によって建設することができる。一実装形態において、止水囲い1は、複数の円筒鋼板1011と、隣接する円筒鋼板1011の間に位置する補助鋼板1012とを、含む。円筒鋼板1011は、は円筒形であり、止水囲い1の長さ方向に間隔を置いて分散配置されている。補助鋼板1012は、円弧状であり、円筒鋼板1011上のほぞ溝を通じ、円筒鋼板1011と密接に接続して、止水する。一実装形態において、対向配置された2つの補助鋼板1012が、隣接する円筒鋼板の間に設けられ、各補助鋼板1012の円弧状の凸面が外側を向き、内部空洞1013が形成される。止水囲い1の安定性を高めるよう、円筒鋼板1011と内部空洞1012の内部に埋め戻し土を埋め戻す。
【0069】
必要に応じて、止水囲い1の内側と外側にそれぞれ、リップラップマウンド4が配置される。したがって、内側の積層材による止水囲い1への側圧を低減させ、基礎への背圧を生成することが可能であり、波、又は水流による止水囲い1への作用力が低減し、基礎への背圧が生成され、止水囲い1の安定性が向上する。止水囲い1の頂部には、越波を低減するための波よけ壁5を設けることができる。
【0070】
スタッキングヤード3は、下側の低層テラス6、及び上側の高層テラス7を含む。低層テラス6は、透水クッション601、遮水クッション602、防水層603、及びベースプレート層604を、底部から順に分散配置されて含む。透水クッション601は透水機能を有し、ピット2内に透水材(例えば、砂利、砂)を敷設して形成することができ、厚さは200mm~3000mmである。遮水クッション602は、セメント層又はコンクリート層であって、ある特定の遮水効果があり、厚さは100mm~300mmである。防水層603は、遮水クッション602上に防水材をコーティングしたり、あるいは物理的防水層を敷設することによって形成され、厚さは0.1mm~10mmである。ベースプレート層604は、作動表面層に相当する、セメント層又はコンクリート層であり、厚さは300mm~2500mmである。ベースプレート層604は、間隔を置いて配置されたグラウンドビーム6041を更に備え、グラウンドビーム6041は、平行に配置された複数のプレート構造であり、ベースプレート層604を下方に延在させることによって形成される。
【0071】
低層テラス6の表面は、止水囲い1の外側の平均水位より、少なくとも1m(例えば、1m~20m、例えば、2m、3m、5m、8m、10m、12m、15m、又は18m)低い。もともと水体が占めていた空間が利用され、資材の貯蔵空間が大幅に拡大する。
【0072】
貯蔵倉庫801、及びバラスト倉庫802を含む、倉庫8が低層テラス6に配置されている。貯蔵倉庫801、及びバラスト倉庫802は、隣接して分散配置されている。貯蔵倉庫801は、資材を貯蔵するために使用され、バラスト倉庫802は、貯蔵倉庫801の重量が不十分な場合、低層テラス6の下方への積載力を増加させるよう、貯蔵倉庫801の重量を補完するためのバラストを充填するために使用される。
【0073】
図4で見られるように、一実装形態において、貯蔵倉庫801とバラスト倉庫802は長方形であり、間隔を置いて配置され、貯蔵倉庫801の幅はバラスト倉庫802の幅より広い。隣接する貯蔵倉庫801とバラスト倉庫802は同じ長尺側壁803を共有し、更に、平行に配置された複数の貯蔵倉庫801と複数のバラスト倉庫802の短尺側壁は、1つの共通の側壁804を形成する。
【0074】
高層テラス7は低層テラス6上に構築され、積み重ね/取り出しデバイスがその上を移動できるようにするために、使用され得る。一実装形態において、高層テラス7は、主道路701、及び主道路701と連絡する複数の分岐道路702を含む。
図3~
図6で見られるように、主道路701は、貯蔵倉庫801及びバラスト倉庫802の長さ方向と直交して配置され、貯蔵倉庫801及びバラスト倉庫802の上方に位置し、分岐道路702は、バラスト倉庫802の上方に形成される。
【0075】
更に、支持板805は、主道路701の下方に位置する倉庫8(貯蔵倉庫801、及びバラスト倉庫802)内で垂直に配置され、主道路701を支持するために使用される鉄筋コンクリート板又は鋼板である。
図7で見られるように、バラスト倉庫の長尺側壁803は、鉄筋コンクリート及び鉄骨構造であり、主道路701の高さと等しい高さを有し、これにより、バラスト倉庫802の上部は、積み重ね/取り出しデバイスのトラックを敷設するための分岐道路702として機能する。更に、複数の接続ビーム806は、各バラスト倉庫802に配置することができ、バラスト倉庫の対向する2つの長尺側壁803の上部間に位置し、2つの側壁を接続することにより、耐圧性を向上させる。本実装形態において、バラスト倉庫の長尺側壁は、トラック基礎を設置するための追加空間を占有することなく、積み重ね/取り出しデバイスの移動トラックの基礎としても使用できるので、倉庫8の貯蔵空間が増加する。
【0076】
上記実施形態は、あくまで本願の推奨実施形態として説明しており、本願の範囲を限定することを意図していない。本願の設計趣旨を逸脱することなく、当業者によって本願の技術的解決策に対してなされた様々な修正、及び改良は、本願の特許請求の範囲によって確認された保護範囲に含まれるものとする。
【要約】
本願は、水交換式貯蔵場建設方法を提供し、以下のステップとして、止水囲いを建設するステップと、囲いをした後に排水路を建設するステップであって、上記止水囲いを囲んだ後、止水囲いの囲われた範囲内の水を排出し、ピットを露出させ、乾燥した建設状態を形成するステップと、スタッキングヤードを建設するステップであって、乾燥した建設状態の下で、下側の低層テラス、及び上側の高層テラスを建設することも含め、上記スタッキングヤードを上記ピットに建設し、低層テラスは、止水囲いの外側における平均水位よりも低く、高層テラスは、積み重ね/取り出しデバイスを移動させるために使用可能であり、積み重ね/取り出しデバイスは、倉庫との間で資材を運搬することが可能であるステップと、倉庫を建設するステップであって、低層テラスに倉庫を建設するステップとを、含む。
【選択図】
図5