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特許7588289植物の健康を増進するプロトポルフィリンIX誘導体及びその使用
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-14
(45)【発行日】2024-11-22
(54)【発明の名称】植物の健康を増進するプロトポルフィリンIX誘導体及びその使用
(51)【国際特許分類】
   A01N 43/90 20060101AFI20241115BHJP
   A01P 3/00 20060101ALI20241115BHJP
   A01P 21/00 20060101ALI20241115BHJP
   A01G 7/06 20060101ALI20241115BHJP
【FI】
A01N43/90 105
A01P3/00
A01P21/00
A01G7/06 A
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2021547492
(86)(22)【出願日】2020-02-14
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-03-30
(86)【国際出願番号】 CA2020050197
(87)【国際公開番号】W WO2020163964
(87)【国際公開日】2020-08-20
【審査請求日】2023-02-14
(31)【優先権主張番号】62/806,084
(32)【優先日】2019-02-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】524347836
【氏名又は名称】ニュートリエン・エージー・ソリューションズ・(カナダ)・インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100188558
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】マイケル・フェファー
(72)【発明者】
【氏名】ジュン・リュウ
(72)【発明者】
【氏名】ユウイチ・テラゾノ
(72)【発明者】
【氏名】ケネス・エン
(72)【発明者】
【氏名】ヨウキン・シェン
【審査官】中村 政彦
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第103601727(CN,A)
【文献】国際公開第2017/197104(WO,A1)
【文献】特表2012-506409(JP,A)
【文献】特表2012-504553(JP,A)
【文献】特開平01-246286(JP,A)
【文献】特開昭62-005924(JP,A)
【文献】除草剤解説,雑草研究,2010年,第55巻, 第2号,pp. 99-104,DOI: 10.3719/weed.55.99
【文献】増田建,“植物細胞におけるヘム代謝研究の新展開”,光合成研究,2012年,第64巻,pp. 115-124
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01G 7/06
A01N 43/00
A01P 3/00
A01P 21/00
C07D 487/00
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
植物の真菌性病原体の増殖を防止又は阻害する方法であって、下記式I-B2の化合物又は農業に許容可能なその塩:
【化1】
[式中、
Z1及びZ2の一方はOHであり;
Z1及びZ2の他方はNH-(CH2)n-NR4R 5 あり;
又は
Z1NH-(CH2)n-NR4R 5 あり;
Z2 = Z1であり
かつ
R4 、H又はアルキルであり;
R5はアルキルであり
nは2~4から選択される整数であり
Mは2H又は金属種である。]
を植物に施用する工程;及び、
前記植物を光に曝露する工程を含む、方法。
【請求項2】
Mが2Hである、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
Mが、Mg(II)、Zn(II)、Pd(II)、Sn(IV)、Al(III)、Pt(II)、Si(IV)、Ge(IV)、Ga(III)、In(III)、Cu(II)、Co(II)、Fe(II)、及びMn(II)からなる群から選択される金属種である、請求項に記載の方法
【請求項4】
Z1及びZ2の一方がNH-(CH2)n-NR4R 5 あり;かつ、 Z1及びZ2の他方がOHである、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法
【請求項5】
Z1が、NH-(CH2)n-NR4R 5 あり;かつ
Z2 = Z1である、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法
【請求項6】
I-B2の化合物又は農業に許容可能なその塩が、下記式で表される化合物から選択される化合物:
【化2】
【化3】
【化4】
又は農業に許容可能なその塩である、請求項1に記載の方法
【請求項7】
式I-B2の化合物又は農業に許容可能なその塩が、下記式で表される化合物から選択される化合物:
【化5】
又は農業に許容可能なその塩である、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
植物の真菌性病原体の増殖を防止又は阻害するための組成物の使用であって、前記組成物が、下記式I-B2の化合物又は農業に許容可能なその塩:
【化6】
[式中、
Z 1 及びZ 2 の一方はOHであり;
Z 1 及びZ 2 の他方は、NH-(CH 2 ) n -NR 4 R 5 であり;
又は
Z 1 は、NH-(CH 2 ) n -NR 4 R 5 であり;
Z 2 = Z 1 であり;
かつ
R 4 は、H又はアルキルであり;
R 5 はアルキルであり;
nは2~4から選択される整数であり;
Mは2H又は金属種である。]
及び担体流体を含む、組成物の使用。
【請求項9】
Mが2Hである、請求項8に記載の組成物の使用。
【請求項10】
Mが、Mg(II)、Zn(II)、Pd(II)、Sn(IV)、Al(III)、Pt(II)、Si(IV)、Ge(IV)、Ga(III)、In(III)、Cu(II)、Co(II)、Fe(II)、及びMn(II)からなる群から選択される金属種である、請求項9に記載の組成物の使用
【請求項11】
Z 1 及びZ 2 の一方が、NH-(CH 2 ) n -NR 4 R 5 であり;かつ、 Z 1 及びZ 2 の他方がOHである、請求項8~10のいずれか一項に記載の組成物の使用
【請求項12】
Z 1 が、NH-(CH 2 ) n -NR 4 R 5 であり;かつ
Z 2 = Z 1 である、請求項8~10のいずれか一項に記載の組成物の使用。
【請求項13】
式I-B2の化合物又は農業に許容可能なその塩が、下記式で表される化合物から選択される化合物:
【化7】
【化8】
【化9】
又は農業に許容可能なその塩である、請求項8に記載の組成物の使用。
【請求項14】
式I-B2の化合物又は農業に許容可能なその塩が、下記式で表される化合物から選択される化合物:
【化10】
又は農業に許容可能なその塩である、請求項8に記載の組成物の使用。
【請求項15】
前記組成物が界面活性剤をさらに含む、請求項8~14のいずれか一項に記載の組成物の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2019年2月15日に出願された米国特許仮出願第62/806,084号の優先権を主張し、その内容は参照によってあらゆる目的のためにその全体を本明細書に援用する。
【0002】
技術分野は、一般に植物の健康を増進するための光増感剤テトラピロール化合物、及びそれらの使用に関する。より詳細には、技術分野は、植物中の真菌性又は細菌性の病原体等の微生物病原体の光力学的阻害のための修飾されたプロトポルフィリンIX(PP IX)化合物、及びその使用に関する。修飾されたPP IX化合物はまた、植物の非生物的ストレス抵抗力又は耐性を増大させるために、及び/又は植物に有害な生物から植物を保護するために殺虫剤として使用することができる。
【背景技術】
【0003】
微生物病原体の光力学的阻害は、微生物病原体に不利益な影響を及ぼし得る一重項酸素等の活性酸素種(ROS)を発生させるために感光性試剤を光に曝露する必要がある。存在する光力学的阻害の方法及び施用には様々な欠点がある。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【文献】"Protective Groups in Organic Chemistry", Theodora W. Greene (John Wiley & Sons, Inc., New York, 1991)
【文献】Hazen, J.L. Weed Technology 14: 773-784頁(2000)
【文献】S. R. Colby, "Calculating synergistic and antagonistic responses of herbicide combinations", Weeds 15, 20-22頁(1967)
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本記載の一態様において、植物の健康の増進に使用するための、下記式Iの化合物又は農業に許容可能なその塩が提供される。
【0006】
【化1】
[式中、
Z1及びZ2はそれぞれ独立してOR1又はNR2R3であり;
R1、R2及びR3はそれぞれ独立してH、アルキル、置換アルキル、アリール、置換アリール、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル又は置換アルキニルであり、ここで、
Z1及びZ2が両方ともOR1である場合、少なくとも1個のR1はHではなく、
Z1及びZ2が両方ともNR2R3である場合、少なくとも1個のR3はHではなく、
Z1及びZ2の一方がOR1であり、Z1及びZ2の他方がNR2R3である場合、R1及びR3の少なくとも1個はHではなく;
Ra、Rb、Rc、Rd、Re及びRfはそれぞれ独立して、H、アルキル、置換アルキル、アリール、置換アリール、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル又は置換アルキニルであり;
【化2】
は単結合又は二重結合であり;
【化3】
は単結合又は二重結合であり;
Mは2H又は金属種であり、
ここで、置換アルキル、置換アリール、置換アルケニル及び置換アルキニル基は、独立して、1個又は複数の-X、-RB、-O-、=O、-ORB、-SRB、-S-、-NRB 2、Si(RC)3、-N+RB 3、-NRB-(Alk)-NRB 2、-NRB-(Alk)-N+RB 3、-NRB-(Alk)-ORB、-NRB-(Alk)-OP(=O)(ORB)(O-)、-NRB-(Alk)-OP(=O)(ORB)2、-NRB-(Alk)-Si(RC)3、-NRB-(Alk)-SRB、-O-(Alk)-NRB 2、-O-(Alk)-N+RB 3、-O-(Alk)-ORB、-O-(Alk)-OP(=O)(ORB)(O-)、-O-(Alk)-OP(=O)(ORB)2、-O-(Alk)-Si(RC)3、-O-(Alk)-SRB、=NRB、-CX3、-CN、-OCN、-SCN、-N=C=O、-NCS、-NO、-NO2、=N2、-N3、-NHC(=O)RB、-OC(=O)RB、-NHC(=O)NRB 2、-S(=O)2-、-S(=O)2OH、-S(=O)2RB、-OS(=O)2ORB、-S(=O)2NRB 2、-S(=O)RB、-OP(=O)(ORB)(O-)、-OP(=O)(ORB)2、-P(=O)(ORB)2、-P(=O)(O-)2、-P(=O)(OH)2、-P(O)(ORB)(O-)、-C(=O)RB、-C(=O)X、-C(S)RB、-C(O)ORB、-C(O)O-、-C(S)ORB、-C(O)SRB、-C(S)SRB、-C(O)NRB 2、-C(S)NRB 2又は-C(=NRB)NRB 2で置換され;
Xはそれぞれ独立してハロゲン: F、Cl、Br又はIであり;
RBはそれぞれ独立してH、アルキル、アリール、アリールアルキル、複素環、ポリ(エチレンオキシ)、PEG若しくはポリ(メチレンオキシ)等のアルキルオキシ基、封鎖ポリ(エチレンオキシ)(すなわちキャッピングされたポリ(エチレンオキシ))、封鎖PEG(すなわちキャッピングされたPEG)若しくは封鎖ポリメチレンオキシ(すなわちキャッピングされたポリメチレンオキシ)、又は保護基であり;
封鎖ポリ(エチレンオキシ)、封鎖PEG及び封鎖ポリ(メチレンオキシ)基は、それぞれ独立して、アルキル、アリール、アリールアルキル、アルケニル、アルキニル、CO(アルキル)、CO(アリール)、CO(アリールアルキル)、CO(アルケニル)又はCO(アルキニル)で封鎖(すなわちキャッピング)され;
RCはそれぞれ独立してアルキル、アリール、アリールアルキル、O(アルキル)、O(アリール)、O(アリールアルキル)、又はO(三置換シリル)であり;
三置換シリルはそれぞれ独立して、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール及びアリールアルキルから選択される3個の官能基で置換され;
Alkはそれぞれ独立してアルキレン、アルケニレン、又はアルキニレンである。]
【0007】
本記載の別の態様において、植物の健康の増進に使用するための、式Iの化合物又は農業に許容可能なその塩が提供される。
【0008】
【化4】
[式中、
Z1及びZ2の一方はOR1であり;かつ、
Z1及びZ2の他方は、NR2R3、NR2-(CH2)n-NR4R5、NR2-(CH2)n-N+R4R5R6Y-、NR2-(CH2)n-O(PO3H)-W+、NR2-(CH2)n-Si(R7)3、NR2-(CH2)n-SR8 NR2-(CH2)n-NR4-(CH2)p-NR9R10、NR2-(CH2)n-NR4-(CH2)p-N+R9R10R11Y-、NR2-(CH2)n-NR4-(CH2)p-O(PO3H)-W+、NR2-(CH2)n-NR4-(CH2)p-Si(R7)3、NR2-(CH2)n-NR4-(CH2)p-SR8、O(CH2)n-NR4R5、O(CH2)n-N+R4R5R6Y-、O(CH2)n-O(PO3H)-W+、O(CH2)n-Si(R7)3、O(CH2)n-SR8 O(CH2)n-NR4-(CH2)p-NR9R10、O(CH2)n-NR4-(CH2)p-N+R9R10R11Y-、O(CH2)n-NR4-(CH2)p-O(PO3H)-W+若しくはO(CH2)n-NR4-(CH2)p-Si(R7)3であり;
又は
Z1は、NR2R3、NR2-(CH2)n-NR4R5、NR2-(CH2)n-N+R4R5R6Y-、NR2-(CH2)n-O(PO3H)-W+、NR2-(CH2)n-Si(R7)3、NR2-(CH2)n-SR8 NR2-(CH2)n-NR4-(CH2)p-NR9R10、NR2-(CH2)n-NR4-(CH2)p-N+R9R10R11Y-、NR2-(CH2)n-NR4-(CH2)p-O(PO3H)-W+、NR2-(CH2)n-NR4-(CH2)p-Si(R7)3、NR2-(CH2)n-NR4-(CH2)p-SR8、O(CH2)n-NR4R5、O(CH2)n-N+R4R5R6Y-、O(CH2)n-O(PO3H)-W+、O(CH2)n-Si(R7)3、O(CH2)n-SR8 O(CH2)n-NR4-(CH2)p-NR9R10、O(CH2)n-NR4-(CH2)p-N+R9R10R11Y-、O(CH2)n-NR4-(CH2)p-O(PO3H)-W+若しくはO(CH2)n-NR4-(CH2)p-Si(R7)3であり;かつ
Z2 = Z1であり;
R1及びR2はそれぞれ独立して、H、アルキル、置換アルキル、アリール、置換アリール、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル又は置換アルキニルであり;
R3は、アルキル、置換アルキル、アリール、置換アリール、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル又は置換アルキニルであり;
R4、R6、R8、R9、R10及びR11はそれぞれ独立して、H、アルキル、置換アルキル、アリール、置換アリール、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル又は-(CH2)q-(CH2CH2O)m-R13であり;
R5は、アルキル、置換アルキル、アリール、置換アリール、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル又は-(CH2)q-(CH2CH2O)m-R13であり;
R7は、アルキル、O(アルキル)又はO(三置換シリル)であり;
R13は、H、アルキル、置換アルキル、アリール、置換アリール、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、CO(アルキル)、CO(置換アルキル)、CO(アルケニル)、CO(置換アルケニル)、CO(アルキニル)又はCO(置換アルキニル)であり;
W+は農業に許容可能な陽イオンであり;
Y-は農業に許容可能な陰イオンであり;
nは1~16から選択される整数であり;
pは1~16から選択される整数であり;
mは1~100から選択される整数であり;
qは0~16から選択される整数であり;
Ra、Rb、Rc、Rd、Re及びRfはそれぞれ独立して、H、アルキル、置換アルキル、アリール、置換アリール、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル又は置換アルキニルであり;
【化5】
は単結合又は二重結合であり;
【化6】
は単結合又は二重結合であり;かつ
Mは2H又は金属種であり、
ここで、置換アルキル、置換アリール、置換アルケニル及び置換アルキニル基はそれぞれ独立して1個又は複数のOH、F、Cl、Br、I、CN及びN3で置換されている。]
【0009】
本記載のなお別の態様において、植物の健康の増進に使用するための、式I-B1の化合物又は農業に許容可能なその塩が提供される。
【0010】
【化7】
[式中、
Z1及びZ2の一方はNR2R3であり;かつ
Z1及びZ2の他方はOR1であり;
又は
Z1 = NR2R3であり;かつ
Z2 = Z1であり;
R1及びR2はそれぞれ独立して、H、アルキル又は置換アルキルであり;
R3はアルキル又は置換アルキルであり;
Ra、Rb、Rc、Rd、Re及びRfはそれぞれ独立して、H、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル又は置換アルキニルであり;かつ
Mは2H又は金属種であり、
ここで、置換アルキル、置換アルケニル及び置換アルキニル基は独立して、1個又は複数のOH、F、Cl、Br、I、CN及びN3で置換されている。]
【0011】
本記載のなお別の態様において、植物の健康の増進に使用するための、下記式I-B1の化合物又は農業に許容可能なその塩が提供される。
【0012】
【化8】
[式中、
Z1及びZ2の一方は、NR2-(CH2)n-NR4R5若しくはO-(CH2)n-NR4R5であり;かつ
Z1及びZ2の他方はOR1であり;
又は
Z1 = NR2-(CH2)n-NR4R5若しくはO-(CH2)n-NR4R5であり;かつ
Z2 = Z1であり;
R5は、アルキル、置換アルキル又は-(CH2)p-NR9R10であり;
R1、R2、R4、R9及びR10はそれぞれ独立して、H、アルキル又は置換アルキルであり;
nは1~16から選択される整数であり;
pは1~16から選択される整数であり;
Ra、Rb、Rc、Rd、Re及びRfはそれぞれ独立して、H、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル又は置換アルキニルであり;かつ
Mは2H又は金属種であり、
ここで、置換アルキル、置換アルケニル及び置換アルキニル基は独立して1個又は複数のOH、F、Cl、Br、I、CN及びN3で置換されている。]
【0013】
本記載のなお別の態様において、植物の健康の増進に使用するための、下記式I-B1の化合物又は農業に許容可能なその塩が提供される。
【0014】
【化9】
[式中、
Z1及びZ2の一方はNR2-(CH2)n-Si(R7)3、O-(CH2)n-Si(R7)3、NR2-(CH2)n-SR8若しくはO-(CH2)n-SR8であり;かつ
Z1及びZ2の他方はOR1であり;
又は
Z1 = NR2-(CH2)n-Si(R7)3、O-(CH2)n-Si(R7)3、NR2-(CH2)n-SR8若しくはO-(CH2)n-SR8であり;かつ
Z2 = Z1であり;
R1及びR2はそれぞれ独立して、H、アルキル又は置換アルキルであり;
R7はアルキル、O(アルキル)又はO(三置換シリル)であり;
R8は、H、アルキル、置換アルキル、又は-(CH2)q-(CH2CH2O)m-R13であり;
R13は、H、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、CO(アルキル)、CO(置換アルキル)、CO(アルケニル)、CO(置換アルケニル)、CO(アルキニル)又はCO(置換アルキニル)であり;
nは1~16から選択される整数であり;
mは1~100から選択される整数であり;
qは0~16から選択される整数であり;
Ra、Rb、Rc、Rd、Re及びRfはそれぞれ独立して、H、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル又は置換アルキニルであり;かつ
Mは2H又は金属種であり、
ここで、置換アルキル、置換アルケニル及び置換アルキニル基は独立して、1個又は複数のOH、F、Cl、Br、I、CN及びN3で置換されている。]
【0015】
本記載のなお別の態様において、植物の健康の増進に使用するための、下記式I-B1の化合物又は農業に許容可能なその塩が提供される。
【0016】
【化10】
[式中、
Z1及びZ2の一方は、NR2-(CH2)n-OP=O(OH)2若しくはO-(CH2)n-OP=O(OH)2、NR2-(CH2)n-OP=O(OH)O-W+若しくはO-(CH2)n-OP=O(OH)O-W+であり;かつ
Z1及びZ2の他方はOR1であり;
又は
Z1 = NR2-(CH2)n-OP=O(OH)2若しくはO-(CH2)n-OP=O(OH)2、NR2-(CH2)n-OP=O(OH)O-W+若しくはO-(CH2)n-OP=O(OH)O-W+であり;かつ
Z2 = Z1であり;
R1及びR2はそれぞれ独立して、H、アルキル又は置換アルキルであり;
nは1~16から選択される整数であり;
W+は農業に許容可能な陽イオンであり;
Ra、Rb、Rc、Rd、Re及びRfはそれぞれ独立して、H、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル又は置換アルキニルであり;かつ
Mは2H又は金属種であり、
ここで、置換アルキル、置換アルケニル及び置換アルキニル基は独立して1個又は複数のOH、F、Cl、Br、I、CN及びN3で置換されている。]
【0017】
本記載のなお別の態様において、植物の健康の増進に使用するための、下記式I-B1の化合物又は農業に許容可能なその塩が提供される。
【0018】
【化11】
[式中、
Z1及びZ2の一方はNR2-(CH2)n-NR4R5R6+Y-若しくはO-(CH2)n-NR4R5R6+Y-であり;かつ
Z1及びZ2の他方はOR1であり;
又は
Z1 = NR2-(CH2)n-NR4R5R6+Y-若しくはO-(CH2)n-NR4R5R6+Y-であり;かつ
Z2 = Z1であり;
R1及びR2はそれぞれ独立して、H、アルキル又は置換アルキルであり;
R4、R5及びR6はそれぞれ独立して、アルキル又は置換アルキルであり;
nは1~16から選択される整数であり;
Y-は農業に許容可能な陰イオンであり;
Ra、Rb、Rc、Rd、Re及びRfはそれぞれ独立して、H、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル又は置換アルキニルであり;かつ
Mは2H又は金属種であり、
ここで、置換アルキル、置換アルケニル及び置換アルキニル基は独立して1個又は複数のOH、F、Cl、Br、I、CN及びN3で置換されている。]
【0019】
本記載のなお別の態様において、植物の健康の増進に使用するための、下記式I-B1の化合物又は農業に許容可能なその塩が提供される。
【0020】
【化12】
[式中、
Z1及びZ2の一方はNR2-(CH2CH2O)m-R13若しくはO-(CH2CH2O)m-R13であり;かつ
Z1及びZ2の他方はOR1であり;
又は
Z1 = NR2-(CH2CH2O)m-R13若しくはO-(CH2CH2O)m-R13であり;かつ
Z2 = Z1であり;
R1及びR2はそれぞれ独立して、H、アルキル又は置換アルキルであり;
R13はH、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、CO(アルキル)、CO(置換アルキル)、CO(アルケニル)、CO(置換アルケニル)、CO(アルキニル)又はCO(置換アルキニル)であり;
mは1~100から選択される整数であり;
Ra、Rb、Rc、Rd、Re及びRfはそれぞれ独立して、H、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル又は置換アルキニルであり;かつ
Mは2H又は金属種であり、
ここで、置換アルキル、置換アルケニル及び置換アルキニル基は独立して1個又は複数のOH、F、Cl、Br、I、CN及びN3で置換されている。]。
【0021】
本記載のなお別の態様において、植物の健康の増進に使用するための、下記式I-B1の化合物又は農業に許容可能なその塩が提供される。
【0022】
【化13】
[式中、
Z1及びZ2の一方は、アルファ炭素に結合したそのアミノ基によって化合物に結合した天然のアミノ酸であり;かつ
Z1及びZ2の他方はOR1であり;
又は
Z1は、アルファ炭素に結合したそのアミノ基によって化合物に結合した天然のアミノ酸であり;かつ
Z2 = Z1であり;
R1及びR2はそれぞれ独立して、H、アルキル又は置換アルキルであり;
Ra、Rb、Rc、Rd、Re及びRfはそれぞれ独立して、H、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル又は置換アルキニルであり;かつ
Mは2H又は金属種であり、
ここで、置換アルキル、置換アルケニル及び置換アルキニル基は独立して1個又は複数のOH、F、Cl、Br、I、CN及びN3で置換されている。]
【0023】
本記載はまた、本明細書において定義される少なくとも1種の化合物、又は農業に許容可能なその塩、及び担体流体を含む、植物の健康の増進に使用するための組成物を提供する。
【0024】
本記載はまた、植物の健康を増進する方法であって、本明細書において定義される化合物、又は農業に許容可能なその塩、又は本明細書において定義される組成物を植物に施用する工程; 及び、植物を光に曝露する工程を含む方法を提供する。植物の健康の増進には、植物の微生物病原体(例えば、真菌又は細菌性の病原体)の成長の防止又は阻害、1つ又は複数の非生物的ストレスに対する植物の抵抗力の増加、及び植物の有害生物(例えば、有害な昆虫又は対応する幼虫)の防除の少なくとも1つを含むことができる。
【発明を実施するための形態】
【0025】
グラム陰性菌及びある種類の真菌などの幾つかの微生物病原体は、浸透するのが難しい細胞の膜を有する。とりわけ、これらの微生物病原体は時にはエンドトキシンを含む不浸透性の外側の細胞膜を有し、抗生物質、染料及び洗剤等の小さな分子を遮断することができ、感度のよい内膜及び細胞壁をそれによって保護する。したがって、光増感剤化合物が細胞壁内部の良好な浸透を達成しない傾向があるので植物中のある特定の微生物病原体の増殖を阻害するために光線力学療法を使用することは難問であり得る。非生物的ストレスによって引き起こされる障害に対する植物の抵抗力を増加させることも難問であり得る。
【0026】
幾つかのシナリオにおいて、植物に存在する微生物病原体の光力学的阻害は、光増感剤化合物の施用により達成することができる。光増感剤化合物は活性酸素種(ROS)を発生させることにより、光に反応する。他のシナリオにおいて、光増感剤化合物は1つ又は複数の非生物的ストレスによって引き起こされる障害に対する植物の抵抗力を高めるために使用することができる。
【0027】
本記載の化合物の幾つかは、プロトポルフィリンIX(以後「PP IX」)骨格に由来し得る光増感剤化合物である。PP IXに由来する化合物はまた「修飾PP IX」(修飾されたPP IX)と称することができる。本記載の化合物の幾つかは、PP IXのそれと同じような骨格を有する光増感剤化合物であるが、しかし、それは必ずしもPP IXに由来しない。幾つかのシナリオにおいて、これらの化合物は植物の健康を増進するために使用することができる。すなわち、化合物及び/又は施用の様式に応じて、本記載の化合物は、植物の微生物病原体を光力学的に阻害するために、1つ又は複数の非生物的ストレスによって引き起こされる障害に対する植物の抵抗力を増加させるために及び/又は殺虫剤として使用するために植物に施用することができる。
【0028】
<定義>
他に明示がない限り、本明細書において使用される以下の用語及び語句は、以下の意味を有するように意図されている。
【0029】
商品名が本明細書において使用される場合、それは、商品名の製品及び商品名の製品の活性成分を独立して含むように意図される。
【0030】
本明細書において使用される場合、「式Iの化合物」という語句は、式Iの化合物又は農業に許容可能なその塩を意味する。分離することができる中間体に関して、「式(数字)の化合物」という語句は、その式の化合物及びその塩、並びに場合により農業に許容可能なその塩を意味する。
【0031】
「アルキル」という用語は、本明細書において使用される場合、第一級、第二級、第三級、又は環状の炭素原子を含有する炭化水素を意味する。例えば、以下に限定されないが、アルキル基は、1~20炭素原子 (すなわち、C1~C20アルキル)、1~8炭素原子 (すなわち、C1~C8アルキル)、1~6炭素原子 (すなわち、C1~C6アルキル) 又は1~4炭素原子 (すなわち、C1~C4アルキル) を有することができる。適切なアルキル基の例は、これらに限定されないが、メチル (Me、-CH3)、エチル (Et、-CH2CH3)、1-プロピル (n-Pr、n-プロピル、-CH2CH2CH3)、2-プロピル (i-Pr、i-プロピル、-CH(CH3)2)、1-ブチル (n-Bu、n-ブチル、-CH2CH2CH2CH3)、2-メチル-1-プロピル (i-Bu、i-ブチル、-CH2CH(CH3)2)、2-ブチル (s-Bu、s-ブチル、-CH(CH3)CH2CH3)、2-メチル-2-プロピル (t-Bu、t-ブチル、-C(CH3)3)、1-ペンチル (n-ペンチル、-CH2CH2CH2CH2CH3)、2-ペンチル (-CH(CH3)CH2CH2CH3)、3-ペンチル (-CH(CH2CH3)2)、2-メチル-2-ブチル (-C(CH3)2CH2CH3)、3-メチル-2-ブチル (-CH(CH3)CH(CH3)2)、3-メチル-1-ブチル (-CH2CH2CH(CH3)2)、2-メチル-1-ブチル (-CH2CH(CH3)CH2CH3)、1-ヘキシル (-CH2CH2CH2CH2CH2CH3)、2-ヘキシル (-CH(CH3)CH2CH2CH2CH3)、3-ヘキシル (-CH(CH2CH3)(CH2CH2CH3))、2-メチル-2-ペンチル (-C(CH3)2CH2CH2CH3)、3-メチル-2-ペンチル (-CH(CH3)CH(CH3)CH2CH3)、4-メチル-2-ペンチル (-CH(CH3)CH2CH(CH3)2)、3-メチル-3-ペンチル (-C(CH3)(CH2CH3)2)、2-メチル-3-ペンチル (-CH(CH2CH3)CH(CH3)2)、2,3-ジメチル-2-ブチル (-C(CH3)2CH(CH3)2)、3,3-ジメチル-2-ブチル (-CH(CH3)C(CH3)3、及びオクチル(-(CH2)7CH3)を含む。
【0032】
「アルケニル」という用語は、本明細書において使用される場合、不飽和、すなわち炭素-炭素sp2二重結合の少なくとも1個の部位を有する第一級、第二級、第三級、又は環状の炭素原子を含有する炭化水素を意味する。例えば、以下に限定されないが、アルケニル基は、2~20炭素原子 (すなわち、C2~C20アルケニル)、2~8炭素原子 (すなわち、C2~C8アルケニル)、2~6炭素原子 (すなわち、C2~C6アルケニル) 又は2~4炭素原子 (すなわち、C2~C4アルケニル) を有することができる。適切なアルケニル基の例は、以下に限定されないが、エチレン又はビニル (-CH=CH2)、アリル (-CH2CH=CH2)、シクロペンテニル (-C5H7)、及び5-ヘキセニル (-CH2CH2CH2CH2CH=CH2) を含む。
【0033】
「アルキニル」という用語は、本明細書において使用される場合、不飽和、すなわち、炭素-炭素、sp三重結合の少なくとも1個の部位を有する、第一級、第二級、第三級、又は環状の炭素原子を含有する炭化水素を意味する。例えば、以下に限定されないが、アルキニル基は、2~20炭素原子 (すなわち、C2~C20アルキニル)、2~8炭素原子 (すなわち、C2~C8アルキニル)、2~6炭素原子 (すなわち、C2~C6アルキニル) 又は2~4炭素原子 (すなわち、C2~C4アルキニル) を有することができる。適切なアルキニル基の例は、以下に限定されないが、アセチレン (-C≡CH) 及びプロパルギル (-CH2C≡CH) を含む。
【0034】
「アルコキシ」という用語は、本明細書において使用される場合、上に定義される「アルキル」基が酸素原子を介して親分子に結合している「O(アルキル)」という用語と交換可能である。例えば、以下に限定されないが、O(アルキル)基のアルキル部分は、1~20炭素原子 (すなわち、C1~C20アルキル)、1~8炭素原子 (すなわち、C1~C8アルキル)、1~6炭素原子 (すなわち、C1~C6アルキル) 又は1~4炭素原子 (すなわち、C1~C4アルキル) を有することができる。適切なアルコキシ又はO(アルキル)基の例は、以下に限定されないが、メトキシ (-OCH3又は-OMe)、エトキシ (-OCH2CH3又は-OEt) 及びt-ブトキシ (-O-C(CH3)3又は-OtBu) を含む。同様に、「O(アルケニル)」、「O(アルキニル)」及び対応する置換基は、当業者によって理解されよう。
【0035】
「アシル」という用語は、本明細書において使用される場合、「アルキル」、「アルケニル」及び「アルキニル」基が、上に定義された通りであり、C=O基を介して親分子のO、N、Sに結合している「C=O(アルキル)」、「C=O(アルケニル)」、「C=O(アルキニル)」及びそれらの対応する置換基等の幾つかの官能基部分を包含することを意味する。例えば、以下に限定されないが、C=O(アルキル)基のアルキル部分は、1~20炭素原子 (すなわち、C1~C20アルキル)、1~8炭素原子 (すなわち、C1~C8アルキル)、1~6炭素原子 (すなわち、C1~C6アルキル) 又は1~4炭素原子 (すなわち、C1~C4アルキル) を有することができる。適切なアシル基の例は、以下に限定されないが、ホルミル (すなわち、カルボキシアルデヒド基)、アセチル、トリフルオロアセチル、プロピオニル及びブタノイルを含む。当業者は、対応する定義が「C=O(アルケニル)」及び「C=O(アルキニル)」部分に当てはまると理解するであろう。本記載において、「C=O(アルキル)」、「C=O(アルケニル)」、「C=O(アルキニル)」はまた、それぞれ「CO(アルキル)」、「CO(アルケニル)及び「CO(アルキニル)」と書くことができる。
【0036】
「アルキレン」という用語は、本明細書において使用される場合、親アルカンの同じ炭素原子又は2個の異なる炭素原子から2個の水素原子を除去することによって由来する2個の一価基の中心部分を有する、飽和、分岐又は直鎖又は環式炭化水素基を意味する。例えば、以下に限定されないが、アルキレン基は1~20炭素原子、1~10炭素原子、1~6炭素原子又は1~4炭素原子を有することができる。典型的なアルキレン基は、以下に限定されないが、メチレン (-CH2-)、1,1-エチル (-CH(CH3)-)、1,2-エチル (-CH2CH2-)、1,1-プロピル (-CH(CH2CH3)-)、1,2-プロピル (-CH2CH(CH3)-)、1,3-プロピル (-CH2CH2CH2-)及び1,4-ブチル (-CH2CH2CH2CH2-)を含む。
【0037】
「アルケニレン」という用語は、本明細書において使用される場合、親アルケンの同じ炭素原子又は2個の異なる炭素原子から2個の水素原子を除去することによって由来する2個の一価基の中心部分を有する、不飽和、分岐又は直鎖又は環式炭化水素基を意味する。例えば、以下に限定されないが、アルケニレン基は、1~20炭素原子、1~10炭素原子、1~6炭素原子又は1~4炭素原子を有することができる。典型的なアルケニレン基は、以下に限定されないが、1,2-エチレン (-CH=CH-)を含む。
【0038】
「アルキニレン」という用語は、本明細書において使用される場合、親アルキンの同じ炭素原子又は2個の異なる炭素原子から2個の水素原子を除去することによって由来する2個の一価基の中心部分を有する、不飽和、分岐又は直鎖又は環式炭化水素基を意味する。例えば、以下に限定されないが、アルキニレン基は2~20炭素原子、2~10炭素原子、2~6炭素原子又は2~4炭素原子を有することができる。典型的なアルキニレン基は、以下に限定されないが、アセチレン (-C≡C-)、プロパルギル (-CH2C≡C-)、及び4-ペンチニル (-CH2CH2CH2C≡C-) を含む。
【0039】
「アリール」という用語は、本明細書において使用される場合、親芳香族環系の単一の炭素原子から1個の水素原子を除去することによって由来する芳香族炭化水素基を意味する。例えば、以下に限定されないが、アリール基は、6~20炭素原子、6~14炭素原子又は6~10炭素原子を有することができる。典型的なアリール基は、以下に限定されないが、ベンゼン (例えば、フェニル)、置換ベンゼン、ナフタレン、アントラセン及びビフェニルに由来する基を含む。
【0040】
「アリールアルキル」という用語は、本明細書において使用される場合、炭素原子、典型的には末端又はsp3の炭素原子に結合している水素原子の1つがアリール基と置き換えられた非環式アルキル基を意味する。典型的なアリールアルキル基は、以下に限定されないが、ベンジル、2-フェニルエタン-1-イル、ナフチルメチル、2-ナフチルエタン-1-イル、ナフトベンジル、2-ナフトフェニルエタン-1-イル等を含む。例えば、以下に限定されないが、アリールアルキル基は、7~20炭素原子を含むことができ、例えば、アルキル部分は1~6炭素原子であり、アリール部分は6~14炭素原子である。
【0041】
「アリールアルケニル」という用語は、本明細書において使用される場合、炭素原子、典型的には末端又はsp3の炭素原子、またsp2炭素原子に結合している水素原子の1つがアリール基と置き換えられた非環式アルケニル基を意味する。アリールアルケニルのアリール部分は例えば、本明細書において記載のアリール基のいかなるものも含むことができ、アリールアルケニルのアルケニル部分は、例えば本明細書において記載のアルケニル基のいかなるものも含むことができる。アリールアルケニル基は8~20炭素原子を含むことができ、例えば、アルケニル部分は2~6炭素原子であり、アリール部分は6~14炭素原子である。
【0042】
「アリールアルキニル」という用語は、本明細書において使用される場合、炭素原子、典型的には末端又はsp3の炭素原子、またsp炭素原子に結合している水素原子の1つがアリール基と置き換えられた非環式アルキニル基を意味する。アリールアルキニルのアリール部分は例えば、本明細書に開示のアリール基のいかなるものも含むことができ、アリールアルキニルのアルキニル部分は、例えば本明細書に開示のアルキニル基のいかなるものも含むことができる。例えば、以下に限定されないが、アリールアルキニル基は8~20炭素原子を含むことができ、例えば、アルキニル部分は2~6炭素原子でありアリール部分は6~14炭素原子である。
【0043】
「複素環」という用語は、本明細書において使用される場合、環を形成する少なくとも1個の原子がヘテロ原子である、共有結合で閉じた環を含む基を意味する。例えば、以下に限定されないが、複素環式環は、3、4、5、6、7、8、9、又は9より多い原子によって形成されることができる。いかなる数のそれらの原子がヘテロ原子であってもよい (すなわち、複素環式環は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、又は9より多いヘテロ原子を含むことができる。)。2以上のヘテロ原子を含む複素環式環において、それら2以上のヘテロ原子は、互いに同一でも異なっていてもよい。複素環は置換されていてよい。複素環への結合は、ヘテロ原子でであっても、又は炭素原子を介してであってもよい。本記載において、「複素環」という用語がまた「ヘテロアリール」基を包含することもまた理解されるに違いない。
【0044】
「保護基」という用語は、本明細書において使用される場合、官能基の性質又は全体としての化合物の性質を隠すか変える化合物の部分を意味する。保護基の化学的な下部構造は非常に様々であり得る。保護基の1つの機能は、親の反応性物質の合成における中間体として役立つことである。化学的な保護基及び保護/脱保護についての戦略は当技術分野でよく知られている。参照: "Protective Groups in Organic Chemistry", Theodora W. Greene (John Wiley & Sons, Inc., New York, 1991)。
【0045】
「置換」という用語は、アルキル、アルキレン、アルコキシ、アルケニル、アルキニル、アルケニレン、アリール、アルキニレン等に関して、本明細書において使用される場合、例えば「置換アルキル」、「置換アルキレン」、「置換アルコキシ」-又は「置換O(アルキル)」、「置換アルケニル」、「置換アルキニル」、「置換アルケニレン」、「置換アリール」及び「置換アルキニレン」は、特に断らなければ、1個又は複数の水素原子がそれぞれ独立して非水素置換基と置き換えられたアルキル、アルキレン、アルコキシ、アルケニル、アルキニル、アルケニレン、アリール、及びアルキニレンをそれぞれ意味する。
【0046】
典型的な非水素置換基は、以下に限定されないが、-X、-RB、-O-、=O、-ORB、-SRB、-S-、-NRB 2、Si(RC)3、-N+RB 3、-NRb-(Alk)-NRB 2、-NRB-(Alk)-N+RB 3、-NRB-(Alk)-ORB、-NRB-(Alk)-OP(=O)(ORB)(O-)、-NRB-(Alk)-OP(=O)(ORB)2、-NRB-(Alk)-Si(RC)3、-NRB-(Alk)-SRB、-O-(Alk)-NRB 2、-O-(Alk)-N+RB 3、-O-(Alk)-ORB、-O-(Alk)-OP(=O)(ORB)(O-)、-O-(Alk)-OP(=O)(ORB)2、-O-(Alk)-Si(RC)3、-O-(Alk)-SRB、=NRB、-CX3、-CN、-OCN、-SCN、-N=C=O、-NCS、-NO、-NO2、=N2、-N3、-NHC(=O)RB、-OC(=O)RB、-NHC(=O)NRB 2、-S(=O)2-、-S(=O)2OH、-S(=O)2RB、-OS(=O)2ORB、-S(=O)2NRB 2、-S(=O)RB、-OP(=O)(ORB)(O-)、-OP(=O)(ORB)2、-P(=O)(ORB)2、-P(=O)(O-)2、-P(=O)(OH)2、-P(O)(ORB)(O-)、-C(=O)RB、-C(=O)X、-C(S)RB、-C(O)ORB、-C(O)O-、-C(S)ORB、-C(O)SRB、-C(S)SRB、-C(O)NRB 2、-C(S)NRB 2又は-C(=NRB)NRB 2を含む[式中、Xはそれぞれ独立してハロゲン: F、Cl、Br、又はIであり; RBはそれぞれ独立してH、アルキル、アリール、アリールアルキル、複素環、ポリ(エチレンオキシ)、PEG若しくはポリ(メチレンオキシ)等のアルキルオキシ基又は保護基であり; RCはそれぞれ独立してアルキル、O(アルキル)又はO(三置換シリル)であり; Alkは、それぞれ独立してアルキレン、置換アルキレン、アルケニレン、置換アルケニレン、アルキニレン、又は置換アルキニレンである。]特に断らなければ、「置換」という用語が、2以上の置換できる部分を有する、アリールアルキル等の基と組み合わせて使用される場合、置換基はアリール部分、アルキル部分又は両方に結合することができる。
【0047】
用語「三置換シリル」が、独立してアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール及びアリールアルキルから選択される3個の官能基で置換されたシリル基を指すこともまた理解されるに違いない。三置換シリル基の非限定的な例は、トリメチルシリル及びジメチルフェニルシリルを含む。
【0048】
「PEG」又は「ポリ(エチレングリコール)」という用語は、本明細書において使用される場合、任意の水溶性のポリ(エチレンオキシド)を包含することを意図する。典型的には、実質上すべての、又はすべてのモノマーのサブユニットはエチレンオキシドサブユニットであるが、PEGは明瞭な終端のキャッピング部分又は官能基を含むことができる。本記載のPEG鎖は、以下の構造: 末端酸素が置き換えられているかどうかに応じて、-(CH2CH2O)m-又は-(CH2CH2O)m-1CH2CH2-[式中、mは、場合により1~100、1~50、1~30、5~30、5~20、又は5~15から選択される整数である。]のうちの1つを含むことができる。PEGは、一般にPEGの末端酸素又は他の末端原子に結合した非反応性の炭素含有基である「終端キャッピング基」を用いて封鎖することができる。終端キャッピング基の非限定的な例は、アルキル、置換アルキル、アリール、置換アリール、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、CO(アルキル)、CO(置換アルキル)、CO(アルケニル)、CO(置換アルケニル)、CO(アルキニル)、又はCO(置換アルキニル)を含むことができる。
【0049】
「天然のアミノ酸」という用語は、本明細書において使用される場合、20種の天然のアミノ酸を指す。とりわけ、天然のアミノ酸は、以下からなる群から選択することができる: アラニン(Ala)、グリシン(Gly)、イソロイシン(Ile)、ロイシン(Leu)、プロリン(Pro)、バリン(Val)、フェニルアラニン(Phe)、トリプトファン(Trp)、チロシン(Tyr)、アスパラギン酸(Asp)、グルタミン酸(Glu)、アルギニン(Arg)、ヒスチジン(His)、リジン(Lys)、セリン(Ser)、トレオニン(Thr)、システイン(Cys)、メチオニン(Met)、アスパラギン(Asn)及びグルタミン(Gln)。天然のアミノ酸(グリシンを除いて)は、(S)配置である不斉炭素(アルファ炭素)を有する(またL-アミノ酸とも称される)。「アルファ炭素に結合したアミノ基が化合物に結合した天然アミノ酸」という表現は、本明細書において使用される場合、アルファ炭素に結合したアミノ基の水素が除去され、アミノ酸と化合物の残りとの間の結合と置き換えられていることを意味することが理解されるべきである。
【0050】
本記載の化合物の置換基及び他の部分が、植物に施用することができる許容できるほどに安定な農業用組成物へ配合することができる農業的に有用な化合物を提供するために選択されるべきであることを当業者は認識する。本記載の化合物の様々な属及び亜属についての定義及び置換基は、本明細書において記載され、説明される。本明細書において記載の定義及び置換基の任意の組み合わせが、実行不可能な種又は化合物をもたらすべきでないことは、当業者によって理解されるべきである。また、「実行不可能な種又は化合物」という語句が、関連する科学原理に背く化合物の構造(例えば、4を超える共有結合と接続している炭素原子等)又は不安定すぎて農業に許容可能な組成物へ単離及び製剤化することができない化合物を意味することは理解されるに違いない。
【0051】
本記載の化合物の選択される置換基は再帰的な程度に存在することができる。この文脈において、「再帰的置換基」(recursive substituent)は、置換基がそれ自体別の事例を記述してもよいことを意味する。そのような置換基の再帰的な性質のために、理論上、多数の化合物が任意の所与の実施例において存在することができる。例えば、RxはRy置換基を含む。RyはRであってもよい。RはW3であってもよい。W3はW4であってもよく、W4はRであってもよく、又はRyを含む置換基を含むことができる。有機化学分野の当業者は、そのような置換基の総数が、意図する化合物の所望の性質によって合理的に限定されるものであることを理解している。そのような性質は、例として、限定されないが、分子量、溶解度又はlogP等の物理的性質、意図した目標に対する活性等の施用性、植物への施用の可能性、及び合成の容易さ等の実用的な性質を含む。典型的には、再帰的置換基はそれぞれ独立して、所与の実施例において、20、19、18、17、16、15、14、13、12、11、10、9、8、7、6、5、4、3、2、1又は0回出現することがある。例えば、再帰的置換基はそれぞれ、独立して所与の実施形態において、3回以下出現することがある。再帰的置換基は、本記載の化合物の意図する態様である。有機化学分野の当業者は、そのような置換基の多用性を理解している。
【0052】
「農業に許容可能な塩」という用語は、本明細書において使用される場合、殺虫活性(すなわち、1つ又は複数の生物的ストレスに対して活性である)を示す塩、又は、1つ又は複数の非生物的ストレスに対する植物の抵抗力を改善することができる塩を指す。用語は、また、植物、水又は土壌中で、殺虫活性を示すか、又は、1つ又は複数の非生物的ストレスに対する植物の抵抗力を改善することができる化合物又は塩に変換する又は変換することができる塩を指す。「農業に許容可能な塩」は、農業に許容可能な陽イオン又は農業に許容可能な陰イオンであってもよい。農業に許容可能な陽イオンの非限定的な例は、アルカリ又はアルカリ土類金属に由来する陽イオン並びにアンモニア及びアミンに由来する陽イオンに由来する陽イオンを含むことができる。例えば、農業に許容可能な陽イオンは、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、アルキルアンモニウム及びアンモニウム陽イオンを含むことができる。農業に許容可能な陰イオンの非限定的な例は、ハロゲン化物、リン酸、アルキル硫酸及びカルボン酸の陰イオンを含むことができる。例えば、農業に許容可能な陰イオンは、塩化物、臭化物、メチル硫酸、エチル硫酸、酢酸、乳酸、ジメチルリン酸又はポリアルコキシ化リン酸の陰イオンを含むことができる。
【0053】
「場合により置換された」という用語は、本記載の化合物の特定の部分に関して本明細書において使用される場合、置換基がすべて水素である部分、又は、該部分の水素の1つ若しくは複数を、「置換された」という用語の定義の下で列挙されるもの等の置換基と置き換えることができる部分、又は他の方法で明示される部分を意味する。
【0054】
本明細書において記載の式及び組成物及びそれらの農業に許容可能なその塩の範囲内の化合物のすべてのエナンチオマー、ジアステレオマー及びラセミ混合物、互変異性体、多形体及び擬似多形体が、本記載によって包含されることは理解されよう。そのようなエナンチオマー及びジアステレオマーのすべての混合物はまた、本記載の範囲内である。
【0055】
本記載の化合物及び農業に許容可能なその塩は、異なる多形体又は擬似多形体として存在してもよい。本明細書において使用される場合、結晶多形性は、結晶性の化合物が異なる結晶構造中で存在する能力を意味する。結晶多形性は、結晶充填の違い(充填多形性)、又は同一分子の異なる配座異性体間の充填の違い(配座多形性)に起因することがある。本明細書において使用される場合、結晶擬似多形性は、異なる結晶構造中に存在する化合物の水和又は溶媒和の能力を意味する。本記載の化合物の擬似多形体は、結晶充填(充填擬似多形性)の違いにより、又は同一分子の異なる配座異性体間の充填の違い(配座の擬似多形性)により存在することがある。本記載の化合物の記載及び描写は、化合物及びそれらの農業に許容可能な塩の多形体及び擬似多形体をすべて含むように意図される。
【0056】
本記載の化合物及び農業に許容可能なその塩は、また非晶質固体として存在してもよい。本明細書において使用される場合、非晶質固体は、固体中に原子の位置の長距離秩序がない固体である。本記載の化合物の記載及び描写は、化合物及びそれらの農業に許容可能な塩の非晶質の形態をすべて含むように意図される。
【0057】
量に関して使用される「約」という修飾語は、明示された値を含み、文脈によって規定される意味を有する。例えば、「約」という修飾語は、量の測定と関連した誤差の程度を含むことができる。
【0058】
農業の使用のために(すなわち植物への施用については)、本記載の化合物の塩は農業に許容可能な塩である。しかしながら、農業的に許容できない塩はまた、例えば農業に許容可能な化合物の調製又は精製において使用することができる。したがって、すべての塩は、農業に許容可能な塩であろうとなかろうと、本記載の範囲内として理解されるべきである。
【0059】
本明細書において記載の化合物は、イオン化されなくても、イオン化しても、更に加えて双性イオン形態であっても、水和物中等の様々な量の水(例えば、化学量論の水)と組み合わせてもよいことが理解されよう。
【0060】
本明細書において記載の化合物が2個以上の同一の指定の基、例えば「R1」又は「R2」で置換されている場合は常に、基が同一でも異なっていてもよいこと、すなわち、各基は独立して選択されることは理解されよう。例えば「R7がそれぞれ独立してアルキル又はアリールであるSi(OR7)3」という表現において、各R7はアルキル基及びアリール基から独立して選択することができることが理解される。したがって、Si(OR7)3は、3個のR7がすべて同じである対称的な基及び少なくとも1個のR7基が他の2個のR7基と異なるか、又は各R7基が異なる非対称の基の両方を含む。また、これは本明細書において定義されるすべてのRq又はZq基に当てはまる(例えばqは1~17、a~f又はA~Cから選択される)ことが理解される。「Z1」基は、それが「Z1 = Z2」と明示的に示した場合に限り、別の「Z2」基と必ず同じであることが理解されよう。
【0061】
本明細書において記載の化合物はまた、ある事例には互変異性体として存在することができる。唯一の非局在化された共鳴構造が典型的には描写されるが、そのようなすべての形態は本記載の範囲内に企図される。例えば、様々な互変異性体が、本明細書において記載のテトラピロール環系について存在することができ、それらのすべての可能な互変異性体は本記載の範囲内である。
【0062】
「生長培地」という用語は、本明細書において使用される場合、植物を生長させて栽培するのに適している任意の土壌(任意の組成の)又は土壌なしの(例えば水栽培の)培地を指す。生長培地は、更に植物を生長させて栽培するのに適している任意の自然発生の及び/又は合成の物質を含むことができる。「生長培地の任意の表面」又は「生長培地の表面」という語句は、本明細書において使用される場合、自然の及び/又はシミュレートされた光及び/又は天候に直接に曝露される表面を指す。
【0063】
「施用する」という用語は、本明細書において使用される場合、本記載の少なくとも1種の化合物(例えば本記載の少なくとも1種の化合物を含む、組み合わせ、組成物、溶液、乳剤)と、当業界で公知の任意の手段(例えば、注入、根元浴、土壌潅注、点滴潅漑等)によって生長培地の表面を接触させること、又は、生長培地の表面の下にある領域を本記載の少なくとも1種の化合物(例えば土壌注入によって)若しくはその任意の組み合わせと接触させること、又は植物を本記載の少なくとも1種の化合物と直接に接触させること(例えば、噴霧)を指す。
【0064】
「作物植物」という用語は、本明細書において使用される場合、食料及び/又はエネルギーの源として育てられ、世話され、1年以下のサイクルで収穫される非木本植物を指す。作物植物の非限定的な例は、サトウキビ、コムギ、イネ、コーン(トウモロコシ)、ジャガイモ、サトウダイコン、オオムギ、サツマイモ、キャッサバ、ダイズ、トマト、及び豆果(豆及びエンドウ)を含む。作物植物は、単子葉植物であっても双子葉植物であってもよい。
【0065】
「木本植物」という用語は、本明細書において使用される場合、単一の茎又は幹を有し、地面からある距離で外側枝を有する木質の多年性植物(例えば、樹木)を指す。木本植物は落葉樹、常緑樹(例えば毬果植物)又は潅木であってもよい。木本植物の非限定的な例は、カエデの木、柑橘類の木、リンゴの木、西洋ナシの木、オークの木、トネリコの木、松の木、及びエゾマツの木を含む。
【0066】
「芝草」という用語は、本明細書において使用される場合、地表植被をもたらす栽培芝、例えば一貫した高さを維持するように周期的に切ったり刈ったりする芝生又は芝地を指す。芝はイネ科(ポアケアエ(Poaceae))に属し、イネ科は6種類の亜科に細分され、その内の3種類として、一般的な芝草である寒地型芝草のウシノケグサ(フェストゥコイデアエ(Festucoideae))亜科; 暖地型芝草のキビ(パニコイデアエ(Panicoideae))亜科及びスズメガヤ(エラグロストイデアエ(Eragrostoideae))亜科が挙げられる。通常、均一な土壌被覆を形成し、芝刈りや人の往来に耐えるという基準を満たす限られた数の品種が芝草として広く使用されている。一般に、芝草は、生長点を切断せずに芝刈りを容易にする平坦な冠を有している。本文脈において、「芝草」という用語は、同一種の異なる栽培品種の組み合わせである混合種、又は異なる種及び/若しくは栽培品種の組み合わせである混合種を含む1種又は複数の芝種が栽培されて、比較的均一な土壌被覆が形成されている領域を含む。
【0067】
芝草の非限定的な例は以下を含む: ブルーグラス (例えば、ケンタッキーブルーグラス)、ベントグラス (例えば、ハイコヌカグサ)、コヌカグサ、ウシノケグサ (例えば、オオウシノケグサ)、ライグラス (例えば、一年生ライグラス)、ウィートグラス (例えば、カモジグサ)、ビーチグラス、チャヒキ (例えば、アリゾナチャヒキ)、ガマ (例えば、ハマガマ(sand cattail))、アルカリ草 (プッキネッリア・ディスタンス(Puccinellia distans))、クシガヤ (crested dog's-tail)(キュノスルス・クリスタトゥス(Cynosurus cristatus))、ギョウギシバ (キュノドン属種(Cynodon spp.)、例えばキュノドン・ダクチュロン(Cynodon dactylon))、ハイブリッドギョウギシバ (例えば、ティフドワーフギョウギシバ(tifdwarf bermudagrass))、ノシバ (例えば、ゾイシア・ジャポニカ(Zoysia japonica))、セントオーガスチングラス (例えば、ビターブルー・セントオーガスチングラス)、ムカデシバ (エレモクロア・オピウロイデス(Eremochloa ophiuroides))、カーペットグラス (アクソノプス・フィッシフォリウス(Axonopus fissifolius))、バヒアグラス (パスパルム・ノタトゥム(Paspalum notatum))、キクユグラス (Kikuyugrass)(ペンニセトゥム・クラデスティヌム(Pennisetum clandestinum))、バッファローグラス (ブクロエ・ダクチュロイドス(Buchloe dactyloids))、サワスズメノヒエ (パスパルム・ワギナトゥム(Paspalum vaginatum))、ブルーグラマ (ボウテロウア・グラキリス(Bouteloua gracilis))、ブラックグラマ (ボウテロウア・エリオポダ(Bouteloua eriopoda))、サイドオーツグラマ (Sideoats Grama)、(ボウテロウア・クルティペンデュラ(Bouteloua curtipendula))、ネズミノオ属種 (例えば、アルカリネズミノオ)、サンドドロップシード (Sand Dropseed)(スポロボルス・クリュプタンドルス(Sporobolus cryptandrus))、プレーリー・ドロップシード (Prairie Dropseed)(スポロボルス・ヘテロレピス(Sporobolus heterolepis))、ホルデウム属種 (例えば、カリフォルニアオオムギ)、オオムギ、マキバオオムギ(Meadow Barley)、アロペクルス属種 (例えば、クリーピング・フォックステイル(Creeping Foxtai)及びオオスズメノテッポウ)、スティパ属種(例えば、ハリトイト(Needle & Thread))、エリュモス(Elymus)属種 (例えば、ブルーエゾムギ)、ヒゲクリノイガ (ケンクルス・キリアリス(Cenchrus ciliaris))、コバンソウ (ブリザ・マクシマ(Briza maxima))、アブラススキ (Big Bluestem)(アンドロポゴン・ゲラルディイ(Andropogon gerardii))、ヒメアブラススキ (Little Bluestem)(スキザキュルイム・スコパリウム(Schizachyruim scoparium))、サンドアブラススキ (Sand Bluestem)(アンドロポゴン・ハリイ(Andropogon hallii))、ミネハリイ (ムレンベルギア・リゲンス(Muhlenbergia rigens))、東部ガマグラス (トリプサクム・ダクチュロイデス(Tripsacum dactyloides))、ガレッタ (Galleta)(ヒラリア・ヤメシイ(Hilaria jamesii))、ヒロハノコメススキ (デスカンプシア・カエスピトサ(Deschampsia caespitosa))、マコモシバ (Indian Rice Grass)(オリュゾプシス・ヒュメノイデス(Oryzopsis hymenoides))、インディアングラス (ソルガストルム・ヌタンス(Sorghastrum nutans))、サンドラブグラス (Sand Lovegrass)(エラグロスティス・トリコデス(Eragrostis trichodes)); シナダレスズメガヤ (エラグロスティス・クルブラ(Eragrostis curvula))、カリフォルニアコメガヤ (California Melic)(メリカ・カリフォルニカ(Melica californica))、プレーリージューングラス (Prairie Junegrass)(コエレリア・ピュラミダタ(Koeleria pyramidata))、プレーリーサンドリード (Prairie Sandreed)(カラモウィルファ・ロンギフォリア(Calamovilfa longifolia))、コヌカグサ (アグロスティス・アルバ(Agrostis alba))、クサヨシ (パラリス・アルンディナケア(Phalaris arundinacea))、スラウグラス (Sloughgrass)(スパルティナ・ペクティナタ(Spartina pectinata))、グリーンスプラングルトップ (Green Sprangletop)(レプトクロア・デュビア(Leptochloa dubia))、ボトルブッシュスクイレルテイル (Bottlebush Squirreltail)(シタニオン・ヒュストリクス(Sitanion hystrix))、パニクムスイッチグラス (ビルガツム)、及びパープルスリーアウン (Purple Threeawn)(アリスティダ・プルプレア(Aristida purpurea))。
【0068】
「植物の健康を増進する」という語句は、本明細書において使用される場合、植物の有害生物によって引き起こされる病害、症状又は損傷を防除すること、及び植物の非生物的ストレス抵抗力又は耐性を高めることの少なくとも1つを含む。言いかえれば、「植物の健康を増進する」という語句は、「1種又は複数の生物因子による植物の感染を防除する」、「1種又は複数の昆虫による植物の外寄生を防除する」、及び「1つ又は複数の非生物的ストレスに対する植物の抵抗力を高める」ことの少なくとも1つを含む。
【0069】
「生物因子による植物の感染を防除する」という語句は、本明細書において使用される場合、植物上へ微生物病原体が付くこと若しくは植物上への昆虫の外寄生によって引き起こされる感染及び/又は他の存在する望ましくない症状若しくは副作用を減らす、改善する、又は安定させることを意味する。微生物病原体は、真菌、細菌(グラム陽性菌又はグラム陰性菌)、ウイルス、ウィロイド、ウイルス様有機体、フィトプラズマ等を含むことができる。
【0070】
「非生物的ストレス」という用語は、本明細書において使用される場合、作物及び他の植物の生長、発育、収量及び/又は収穫品質に負の影響を与える、適正水準より下の環境条件を指す。非生物的ストレスの非限定的な例は、例えば、光酸化条件、渇水(水分欠乏)、過剰の散水(冠水及び水没)、極端な温度(冷温、凍結、及び暑気)、極端な水準の光(高・低)、放射線(UV-B及びUV-A)、過剰のNa+(ナトリウム度)による塩分、化学的因子(例えば、pH)、鉱物(金属及びメタロイド)毒性、必須栄養素の不足又は過剰、ガス状汚染物質(オゾン、二酸化硫黄)、風、機械的因子及び他のストレス要因を含む。
【0071】
本明細書において使用される場合、「ストレス抵抗力を高める」(等)という用語は、植物がストレス条件において残存又は成育する能力の増大を指す。高められた抵抗力又は耐性は、特定のストレス要因、例えば、渇水、過剰水、栄養不足、塩分、低温、日陰若しくは暑気、又は多数のストレス要因について特異的であってもよい。幾つかのシナリオにおいて、1つ又は複数の非生物的ストレスに対して増加した抵抗力は、同一のストレスを受けた未処置の植物と比較して植物の品質の劣化の減少によって例示することができる。他のシナリオにおいて、同一のストレスを受けた未処置の植物と比較して、1つ又は複数の非生物的ストレスに対して増加した抵抗力は、維持又は改善された植物品質によって例示することができる。
【0072】
<光増感剤化合物>
上に論じたように、光増感剤化合物は、植物に存在する生物因子(すなわち、微生物病原体及び/又は昆虫)の光力学的阻害を可能にするために使用することができる。光増感剤化合物は活性酸素種(ROS)を発生させることにより光に反応する。
【0073】
発生されるROSのタイプに応じて、光増感剤は、2つのクラス、すなわちI型光増感剤、II型光増感剤に分類することができる。一方で、I型光増感剤は、酸素の存在下で好適な波長で励起されると、基質からの電子引抜き又は移動によって短寿命の遊離基を形成する。他方、II型光増感剤は、「一重項酸素」として知られ、本明細書において「反応性一重項酸素種」とも称せられる高い活性酸素状態を形成する。一重項酸素種は一般に比較的長寿命であり、大きい作用半径を有することができる。
【0074】
光増感剤化合物がメタル化されてもメタル化されていなくてもよいことが理解されるべきである。メタル化される場合、金属と錯体を形成する様々な窒素含有大環状化合物の場合と同様に、金属は、光曝露に応じてI型又はII型の光増感剤のいずれかを発生させるように選択することができる。例えば、ポルフィリン光増感剤化合物が銅を用いてメタル化されている場合、発生するROSは典型的にはI型光増感剤である。同じポルフィリン光増感剤化合物がマグネシウムを用いてメタル化されている場合、発生するROSは典型的にはII型光増感剤である。I型及びII型光増感剤の両方が、植物に存在する生物因子の光力学的阻害を可能にするか又は非生物的ストレスから植物を保護するために使用することができる。
【0075】
「一重項酸素光増感剤」という用語が、本明細書において使用される場合、光によって励起されると反応性一重項酸素種を生成する化合物を指すことは理解されるべきである。言いかえれば、「一重項酸素光増感剤」という用語は、上記に定義するII型プロセスがI型プロセスと比較して支配的である光増感剤を指す。
【0076】
プロトポルフィリンIX(PP IX)は、自然界の最も一般的なポルフィリンの1つである有機化合物である。PP IXは塩基性水にさえあまり可溶でない、濃く着色した顔料である。PP IXは、その鉄錯体の形で自然界において認められる。二価の鉄と錯体形成すると、分子はヘムと呼ばれる。他の鉄錯体は、例えばFe(III)又はFe(IV)とも合成されている。PP IXは、20炭素原子の大環状環を有する概して平面のテトラピロールであり、各ピロールは、1個の炭素橋によって大環状環の2個の他のピロールに連結されている。「テトラピロール」が4つのピロール様環を意味することは理解されよう。本明細書において使用される場合、「ピロール様」環は、4個の炭素原子及び1個の窒素原子を含む5原子環である。下記のPP IXの描写において、大環状環の炭素には、1~20まで番号付けされる。PP IXの化学構造において、2個のカルボン酸を有する部分が、C13(CH2CH2COOH)及びC17(CH2CH2COOH)の位置に与えられる。
【0077】
【化14】
【0078】
本記載の化合物は、以下に表される一般式Iである上記のPP IX骨格に基づく若しくは同様の光増感剤化合物、又は農業に許容可能なその塩を含む。以下に続く内容において、「光増感剤化合物」という用語は、式Iの1種又は複数の化合物を指す。言いかえれば、「光増感剤化合物」という用語は、式Iの1種の化合物又は式Iの2種以上の化合物の組み合わせ若しくは混合物を指すことができる。
【0079】
【化15】
【0080】
一態様において、式Iの化合物又は農業に許容可能なその塩が提供される[式中、
Z1及びZ2はそれぞれ独立してOR1又はNR2R3であり;
R1、R2及びR3はそれぞれ独立して、H、アルキル、置換アルキル、アリール、置換アリール、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、又は置換アルキニルであり、ここで、
Z1及びZ2が両方ともOR1である場合、少なくとも1個のR1はHではなく、
Z1及びZ2が両方ともNR2R3である場合、少なくとも1個のR3はHではなく、
Z1及びZ2の一方がOR1であり、Z1及びZ2の他方がNR2R3である場合、R1及びR3の少なくとも1個はHでなく;
Ra、Rb、Rc、Rd、Re及びRfはそれぞれ独立して、H、アルキル、置換アルキル、アリール、置換アリール、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル又は置換アルキニルであり;
【化16】
は単結合又は二重結合であり;
【化17】
は単結合又は二重結合であり;かつ
Mは2H又は金属種であり、
ここで、置換アルキル、置換アリール、置換アルケニル及び置換アルキニル基は独立して、1個又は複数の-X、-RB、-O-、=O、-ORB、-SRB、-S-、-NRB 2、Si(RC)3、-N+RB 3、-NRB-(Alk)-NRB 2、-NRB-(Alk)-N+RB 3、-NRB-(Alk)-ORB、-NRB-(Alk)-OP(=O)(ORB)(O-)、-NRB-(Alk)-OP(=O)(ORB)2、-NRB-(Alk)-Si(RC)3、-NRB-(Alk)-SRB、-O-(Alk)-NRB 2、-O-(Alk)-N+RB 3、-O-(Alk)-ORB、-O-(Alk)-OP(=O)(ORB)(O-)、-O-(Alk)-OP(=O)(ORB)2、-O-(Alk)-Si(RC)3、-O-(Alk)-SRB、=NRB、-CX3、-CN、-OCN、-SCN、-N=C=O、-NCS、-NO、-NO2、=N2、-N3、-NHC(=O)RB、-OC(=O)RB、-NHC(=O)NRB 2、-S(=O)2-、-S(=O)2OH、-S(=O)2RB、-OS(=O)2ORB、-S(=O)2NRB 2、-S(=O)RB、-OP(=O)(ORB)(O-)、-OP(=O)(ORB)2、-P(=O)(ORB)2、-P(=O)(O-)2、-P(=O)(OH)2、-P(O)(ORB)(O-)、-C(=O)RB、-C(=O)X、-C(S)RB、-C(O)ORB、-C(O)O-、-C(S)ORB、-C(O)SRB、-C(S)SRB、-C(O)NRB 2、-C(S)NRB 2、又は-C(=NRB)NRB 2で置換され;
Xはそれぞれ独立してハロゲン: F、Cl、Br又はIであり;
RBはそれぞれ独立して、H、アルキル、アリール、アリールアルキル、複素環、ポリ(エチレンオキシ)、PEG若しくはポリ(メチレンオキシ)等のアルキルオキシ基、封鎖ポリ(エチレンオキシ)、封鎖PEG若しくは封鎖ポリメチレンオキシ、又は保護基であり;
封鎖ポリ(エチレンオキシ)、封鎖PEG及び封鎖ポリ(メチレンオキシ)基は、それぞれ独立して、アルキル、アリール、アリールアルキル、アルケニル、アルキニル、CO(アルキル)、CO(アリール)、CO(アリールアルキル)、CO(アルケニル)又はCO(アルキニル)で封鎖され;
RCは、それぞれ独立してアルキル、アリール、アリールアルキル、O(アルキル)、O(アリール)、O(アリールアルキル)、又はO(三置換シリル)であり;
三置換シリルはそれぞれ独立して、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール及びアリールアルキルから選択される3個の官能基で置換され;
Alkはそれぞれ独立して、アルキレン、アルケニレン、又はアルキニレンである。]。
【0081】
幾つかの実施例において、式Iの化合物は以下のようなものである:
Z1及びZ2の一方はOR1であり;かつ
Z1及びZ2の他方は、NR2R3、NR2-(CH2)n-NR4R5、NR2-(CH2)n-N+R4R5R6Y-、NR2-(CH2)n-O(PO3H)-W+、NR2-(CH2)n-Si(R7)3、NR2-(CH2)n-SR8 NR2-(CH2)n-NR4-(CH2)p-NR9R10、NR2-(CH2)n-NR4-(CH2)p-N+R9R10R11Y-、NR2-(CH2)n-NR4-(CH2)p-O(PO3H)-W+、NR2-(CH2)n-NR4-(CH2)p-Si(R7)3、NR2-(CH2)n-NR4-(CH2)p-SR8、O(CH2)n-NR4R5、O(CH2)n-N+R4R5R6Y-、O(CH2)n-O(PO3H)-W+、O(CH2)n-Si(R7)3、O(CH2)n-SR8、O(CH2)n-NR4-(CH2)p-NR9R10、O(CH2)n-NR4-(CH2)p-N+R9R10R11Y-、O(CH2)n-NR4-(CH2)p-O(PO3H)-W+、若しくはO(CH2)n-NR4-(CH2)p-Si(R7)3である;
又は
Z1は、NR2R3、NR2-(CH2)n-NR4R5、NR2-(CH2)n-N+R4R5R6Y-、NR2-(CH2)n-O(PO3H)-W+、NR2-(CH2)n-Si(R7)3、NR2-(CH2)n-SR8 NR2-(CH2)n-NR4-(CH2)p-NR9R10、NR2-(CH2)n-NR4-(CH2)p-N+R9R10R11Y-、NR2-(CH2)n-NR4-(CH2)p-O(PO3H)-W+、NR2-(CH2)n-NR4-(CH2)p-Si(R7)3、NR2-(CH2)n-NR4-(CH2)p-SR8、O(CH2)n-NR4R5、O(CH2)n-N+R4R5R6Y-、O(CH2)n-O(PO3H)-W+、O(CH2)n-Si(R7)3、O(CH2)n-SR8、O(CH2)n-NR4-(CH2)p-NR9R10、O(CH2)n-NR4-(CH2)p-N+R9R10R11Y-、O(CH2)n-NR4-(CH2)p-O(PO3H)-W+若しくはO(CH2)n-NR4-(CH2)p-Si(R7)3であり;かつ
Z2 = Z1である;
R1及びR2はそれぞれ独立して、H、アルキル、置換アルキル、アリール、置換アリール、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル又は置換アルキニルであり;
R3はアルキル、置換アルキル、アリール、置換アリール、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル又は置換アルキニルであり;
R4、R6、R8、R9、R10及びR11はそれぞれ独立して、H、アルキル、置換アルキル、アリール、置換アリール、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル又は-(CH2)q-(CH2CH2O)m-R13であり;
R5は、アルキル、置換アルキル、アリール、置換アリール、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル又は-(CH2)q-(CH2CH2O)m-R13であり;
R7はアルキル、O(アルキル)又はO(三置換シリル)であり;
R13は、H、アルキル、置換アルキル、アリール、置換アリール、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、CO(アルキル)、CO(置換アルキル)、CO(アルケニル)、CO(置換アルケニル)、CO(アルキニル)又はCO(置換アルキニル)であり;
W+は農業に許容可能な陽イオンであり;
Y-は農業に許容可能な陰イオンであり;
nは1~16から選択される整数であり;
pは1~16から選択される整数であり;
mは1~100から選択される整数であり;
qは0~16から選択される整数であり;
Ra、Rb、Rc、Rd、Re及びRfはそれぞれ独立して、H、アルキル、置換アルキル、アリール、置換アリール、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル又は置換アルキニルであり;
【化18】
は単結合又は二重結合であり;
【化19】
は単結合又は二重結合であり;かつ
Mは2H又は金属種であり、
ここで、置換アルキル、置換アリール、置換アルケニル及び置換アルキニル基はそれぞれ独立して1個又は複数のOH、F、Cl、Br、I、CN及びN3で置換されている。
【0082】
幾つかの実施態様において、Z1 = Z2 = NR2R3である。他の実施態様において、Z1はNR2R3であり、かつ、Z2はOHであり、又は、Z1はOHであり、かつ、Z2はNR2R3である。R3は、例えばアルキルであっても置換アルキルであってもよい。
【0083】
幾つかの実施例において、
【化20】
は二重結合であり、及び/又は
【化21】
は二重結合である。
【0084】
とりわけ、幾つかのシナリオにおいて、
【化22】
は二重結合であり、
【化23】
は二重結合である。
【0085】
他のシナリオにおいて、
【化24】
は二重結合であり、
【化25】
は単結合である。
【0086】
なお他のシナリオにおいて、
【化26】
は単結合であり、
【化27】
は二重結合である。
【0087】
なお他のシナリオにおいて、
【化28】
は単結合であり、
【化29】
は単結合である。
【0088】
幾つかの実施態様において、Ra、Rb、Rc、Rd、Re、及びRfはそれぞれ独立して、アルキル、又はアルケニルである。非限定的な実施例において、Ra、Rc、Re、及びRfはメチルであり、一方でRb及びRdはビニルである。
【0089】
幾つかの実施態様において、Mは2Hである。幾つかの実施態様において、Mは、Mg、Zn、Pd、Sn、Al、Pt、Si、Ge、Ga、In、Cu、Co、Fe、及びMnからなる群から選択される金属種である。金属種が酸化の程度なしで挙げられる場合、金属種の適切な酸化状態はすべて当業者によって理解されるのと同じように考えられるべきであることが理解されるべきである。他の実施態様において、Mは、Mg(II)、Zn(II)、Pd(II)、Sn(IV)、Al(III)、Pt(II)、Si(IV)、Ge(IV)、Ga(III)、及びIn(III)からなる群から選択される金属種である。なお他の実施態様において、Mは、Cu(II)、Co(II)、Fe(II)、及びMn(II)からなる群から選択される金属種である。なお他の実施態様において、Mは、Cu(II)、Co(III)、Fe(III)、及びMn(III)からなる群から選択される金属種である。
【0090】
幾つかの実施態様において、R1、R2、R4、R6、R8、R9、R10、及びR11はそれぞれ独立して、H、アルキル、又は置換アルキルである。幾つかの実施態様において、R3及びR5はそれぞれ独立して、アルキル又は置換アルキルである。幾つかの実施態様において、R13は、H、アルキル、置換アルキル、CO(アルキル)、又はCO(置換アルキル)である。
【0091】
幾つかの実施態様において、式Iの化合物は、下記の少なくとも1つが当てはまるように選択される: R1はHであり、R2はHであり、R3はアルキルであり、R4はH又はアルキルであり、R5はアルキルであり、R6はアルキルであり、R7はO(三置換シリル)であり、R8はH又はアルキルであり、R9はアルキルであり、R10はアルキルであり、R11はアルキルであり、R13は、H、アルキル、アルケニル、CO(アルキル)、又はCO(アルケニル)である。
【0092】
幾つかの実施態様において、W+は、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、及びアンモニウム陽イオンからなる群から選択される。幾つかの実施態様において、Y-は、クロリド、ブロミド、リン酸イオン、ジメチルリン酸イオン、メチル硫酸イオン、エチル硫酸イオン、酢酸イオン、及び乳酸イオンからなる群から選択される。
【0093】
幾つかの実施態様において、nは、1~16、又は1~12、又は1~8、又は1~6、又は1~4、又は2~4から選択される整数である。同様に、幾つかの実施態様において、pは、1~16、又は1~12、又は1~8、又は1~6、又は1~4、又は2~4から選択される整数である。PEG部分に関して、mは、1~100、又は1~80、又は1~60、又は1~50、又は1~30、又は1~20、又は1~10、又は5~30、又は5~20、又は5~10から選択することができる整数である。なおPEG部分に関して、qは、0~16、又は0~8、又は0~4、又は0~2から選択することができる整数である。幾つかの実施態様において、q = 1である。他の実施態様において、1 = 0である。
【0094】
幾つかの実施態様において、Z1は、NR2R3、NR2-(CH2)n-NR4R5、NR2-(CH2)n-N+R4R5R6Y-、NR2-(CH2)n-O(PO3H)-W+、NR2-(CH2)n-Si(R7)3、NR2-(CH2)n-SR8、NR2-(CH2)n-NR4-(CH2)p-NR9R10、NR2-(CH2)n-NR4-(CH2)p-N+R9R10R11Y-、NR2-(CH2)n-NR4-(CH2)p-O(PO3H)-W+、NR2-(CH2)n-NR4-(CH2)p-Si(R7)3、NR2-(CH2)n-NR4-(CH2)p-SR8、O(CH2)n-NR4R5、O(CH2)n-N+R4R5R6Y-、O(CH2)n--O(PO3H)-W+、O(CH2)n-Si(R7)3、O(CH2)n-SR8、O(CH2)n-NR4-(CH2)p-NR9R10、O(CH2)n-NR4-(CH2)p-N+R9R10R11Y-、O(CH2)n-NR4-(CH2)p-O(PO3H)-W+、又はO(CH2)n-NR4-(CH2)p-Si(R7)3であり; Z2 = Z1である。
【0095】
幾つかの実施態様において、Z1及びZ2の一方は、NR2R3、NR2-(CH2)n-NR4R5、NR2-(CH2)n-N+R4R5R6Y-、NR2-(CH2)n-O(PO3H)-W+、NR2-(CH2)n-Si(R7)3、NR2-(CH2)n-SR8、若しくはNR2-(CH2)n-NR4-(CH2)p-NR9R10であり; Z1及びZ2の他方はOR1であり; 又は、Z1は、NR2R3、NR2-(CH2)n-NR4R5、NR2-(CH2)n-N+R4R5R6Y-、NR2-(CH2)n-O(PO3H)-W+、NR2-(CH2)n-Si(R7)3、NR2-(CH2)n-SR8、若しくはNR2-(CH2)n-NR4-(CH2)p-NR9R10であり; Z2 = Z1である。
【0096】
幾つかの実施態様において、Z1及びZ2の一方は、NR2R3、NR2-(CH2)n-NR4R5、NR2-(CH2)n-N+R4R5R6Y-、NR2-(CH2)n-O(PO3H)-W+、NR2-(CH2)n-Si(R7)3、NR2-(CH2)n-SR8、又はNR2-(CH2)n-NR4-(CH2)p-NR9R10であり; Z1及びZ2の他方はOR1である。
【0097】
幾つかの実施態様において、Z1は、NR2R3、NR2-(CH2)n-NR4R5、NR2-(CH2)n-N+R4R5R6Y-、NR2-(CH2)n-O(PO3H)-W+、NR2-(CH2)n-Si(R7)3、NR2-(CH2)n-SR8、又はNR2-(CH2)n-NR4-(CH2)p-NR9R10であり; Z2 = Z1である。
【0098】
別の態様において、植物の健康の増進に使用するための、下記式I-B1の化合物又は農業に許容可能なその塩が提供される。
【0099】
【化30】
[式中、
Z1及びZ2の一方はNR2R3であり;かつ
Z1及びZ2の他方はOR1である;
又は
Z1 = NR2R3であり;かつ
Z2 = Z1である;
R1及びR2はそれぞれ独立して、H、アルキル又は置換アルキルであり;
R3はアルキル又は置換アルキルであり;
Ra、Rb、Rc、Rd、Re、及びRfはそれぞれ独立して、H、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル又は置換アルキニルであり;かつ
Mは2H又は金属種であり、
ここで、置換アルキル、置換アルケニル及び置換アルキニル基は独立して1個又は複数のOH、F、Cl、Br、I、CN、及びN3で置換されている。]
【0100】
幾つかの実施態様において、R1はHであり、R2はHであり及び/又はR3はアルキルである。R3は例えば、(C1~C12)アルキル、(C1~C8)アルキル、又は(C1~C4)アルキルであってもよい。幾つかの実施態様において、Z1及びZ2の一方はNR2R3であり; Z1及びZ2の他方はOR1である。他の実施態様において、Z1 = NR2R3であり; Z2 = Z1である。
【0101】
幾つかの実施態様において、式I-B1の化合物は:
【0102】
【化31】
【0103】
【化32】
【0104】
又は農業に許容可能なその塩である。
【0105】
幾つかの実施態様において、式I-B1の化合物は:
【0106】
【化33】
【0107】
【化34】
【0108】
又は農業に許容可能なその塩である。
【0109】
幾つかの実施態様において、式I-B1の化合物は:
【0110】
【化35】
【0111】
【化36】
【0112】
又は農業に許容可能なその塩である。
【0113】
別の側面において、植物の健康の増進に使用するための、下記式I-B1の化合物又は農業に許容可能なその塩が提供される:
【0114】
【化37】
[式中、
Z1及びZ2の一方はNR2-(CH2)n-NR4R5若しくはO-(CH2)n-NR4R5であり;かつ
Z1及びZ2の他方はOR1である;
又は
Z1 = NR2-(CH2)n-NR4R5若しくはO-(CH2)n-NR4R5であり;かつ
Z2 = Z1である;
R5はアルキル、置換アルキル、又は-(CH2)p-NR9R10であり;
R1、R2、R4、R9、及びR10はそれぞれ独立して、H、アルキル、又は置換アルキルであり;
nは1~16から選択される整数であり;
pは1~16から選択される整数であり;
Ra、Rb、Rc、Rd、Re、及びRfはそれぞれ独立して、H、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、又は置換アルキニルであり;かつ
Mは2H又は金属種であり、
ここで、置換アルキル、置換アルケニル、及び置換アルキニル基は独立して1個又は複数のOH、F、Cl、Br、I、CN、及びN3で置換されている。] 。
【0115】
幾つかの実施態様において、R1はHであり、R2はHであり、及び/又は、R4はH若しくはアルキルである。幾つかの実施態様において、R4はHであり、R5はアルキルである。幾つかの実施態様において、R4及びR5はアルキルである。R4及び/又はR5は、例えば、それぞれ独立して(C1~C12)アルキル、(C1~C8)アルキル、又は(C1~C4)アルキルであってよい。幾つかの実施態様において、R5は-(CH2)p-NR9R10である。幾つかの実施態様において、R9及びR10はアルキルであり、又は、R9はHであり、R10はアルキルである。R9及び/又はR10は、例えばそれぞれ独立して(C1~C12)アルキル、(C1~C8)アルキル、又は(C1~C4)アルキルであってよい。
【0116】
幾つかの実施態様において、nは、1~16、又は1~12、又は1~8、又は1~6、又は1~4、又は2~4から選択される整数である。幾つかの実施態様において、pは、1~16、又は1~12、又は1~8、又は1~6、又は1~4、又は2~4から選択される整数である。
【0117】
幾つかの実施態様において、Z1及びZ2の一方はNR2-(CH2)n-NR4R5であり; かつ、Z1及びZ2の他方はOR1である。他の実施態様において、Z1 = NR2-(CH2)n-NR4R5であり; かつ、Z2 = Z1である。
【0118】
幾つかの実施態様において、式I-B1の化合物は:
【0119】
【化38】
【0120】
又は農業に許容可能なその塩である。
【0121】
幾つかの実施態様において、式I-B1の化合物は:
【0122】
【化39】
【0123】
又は農業に許容可能なその塩である。
【0124】
幾つかの実施態様において、式I-B1の化合物は:
【0125】
【化40】
【0126】
又は農業に許容可能なその塩である。
【0127】
別の側面において、植物の健康の増進に使用するための、下記式I-B1の化合物又は農業に許容可能なその塩が提供される。
【0128】
【化41】
[式中、
Z1及びZ2の一方は、NR2-(CH2)n-Si(R7)3、O-(CH2)n-Si(R7)3、NR2-(CH2)n-SR8、若しくはO-(CH2)n-SR8であり;かつ
Z1及びZ2の他方はOR1である;
又は
Z1 = NR2-(CH2)n-Si(R7)3、O-(CH2)n-Si(R7)3、NR2-(CH2)n-SR8、若しくはO-(CH2)n-SR8であり;かつ
Z2 = Z1である;
R1及びR2はそれぞれ独立して、H、アルキル又は置換アルキルであり;
R7は、アルキル、O(アルキル)、又はO(三置換シリル)であり;
R8はH、アルキル、置換アルキル、又は-(CH2)q-(CH2CH2O)m-R13であり;
R13は、H、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、CO(アルキル)、CO(置換アルキル)、CO(アルケニル)、CO(置換アルケニル)、CO(アルキニル)、又はCO(置換アルキニル)であり;
nは1~16から選択される整数であり;
mは1~100から選択される整数であり;
qは0~16から選択される整数であり;
Ra、Rb、Rc、Rd、Re及びRfはそれぞれ独立して、H、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル又は置換アルキニルであり;かつ
Mは2H又は金属種であり、
ここで、置換アルキル、置換アルケニル及び置換アルキニル基は独立して1個又は複数のOH、F、Cl、Br、I、CN、及びN3で置換されている。]
【0129】
幾つかの実施態様において、R1はHであり、及び/又はR2はHである。幾つかの実施態様において、R7は、アルキル、O(アルキル)又はO(三置換シリル)である。R1、R2、及びR7のアルキル基はそれぞれ独立して、(C1~C12)アルキル、(C1~C8)アルキル、又は(C1~C4)アルキルであってよい。幾つかの実施態様において、R8は-(CH2)q-(CH2CH2O)m-R13である。R13はHであってよく、mは1~20から選択される整数であってよい。幾つかの実施態様において、nは、1~16、又は1~12、又は1~8、又は1~6、又は1~4、又は2~4から選択される整数である。幾つかの実施態様において、qは、0~16、又は1~8、又は0~4、又は0~2から選択される整数である。幾つかの実施態様において、q = 1である。他の実施態様において、q = 0である。
【0130】
幾つかの実施態様において、Z1及びZ2の一方はNR2-(CH2)n-Si(R7)3、O-(CH2)n-Si(R7)3、NR2-(CH2)n-SR8、又はO-(CH2)n-SR8であり;かつ、Z1及びZ2の他方はOR1である。他の実施態様において、Z1 = NR2-(CH2)n-Si(R7)3、O-(CH2)n-Si(R7)3、NR2-(CH2)n-SR8又はO-(CH2)n-SR8であり;かつ、Z2 = Z1である。
【0131】
幾つかの実施態様において、式I-B1の化合物は:
【0132】
【化42】
【0133】
[式中、mは4~15から選択される整数である。]
又は農業に許容可能なその塩である。
【0134】
幾つかの実施態様において、式I-B1の化合物は:
【0135】
【化43】
【0136】
又は農業に許容可能なその塩である。
【0137】
幾つかの実施態様において、式I-B1の化合物は:
【0138】
【化44】
【0139】
又は農業に許容可能なその塩である。
【0140】
別の態様において、植物の健康の増進に使用するための、下記式I-B1の化合物又は農業に許容可能なその塩が提供される:
【0141】
【化45】
【0142】
[式中、
Z1及びZ2の一方は、NR2-(CH2)n-OP=O(OH)2若しくはO-(CH2)n-OP=O(OH)2、NR2-(CH2)n-OP=O(OH)O-W+若しくはO-(CH2)n-OP=O(OH)O-W+であり;かつ
Z1及びZ2の他方はOR1である;
又は
Z1 = NR2-(CH2)n-OP=O(OH)2若しくはO-(CH2)n-OP=O(OH)2、NR2-(CH2)n-OP=O(OH)O-W+若しくはO-(CH2)n-OP=O(OH)O-W+であり;かつ
Z2 = Z1である;
R1及びR2はそれぞれ独立して、H、アルキル、又は置換アルキルであり;
nは1~16から選択される整数であり;
W+は農業に許容可能な陽イオンであり;
Ra、Rb、Rc、Rd、Re、及びRfはそれぞれ独立して、H、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、又は置換アルキニルであり;かつ
Mは2H又は金属種であり、
ここで、置換アルキル、置換アルケニル、及び置換アルキニル基は独立して1個又は複数のOH、F、Cl、Br、I、CN、及びN3で置換されている。]。
【0143】
幾つかの実施態様において、R1はHであり、及び/又は、R2はHである。幾つかの実施態様において、nは、1~16、又は1~12、又は1~8、又は1~6、又は1~4、又は2~4から選択される整数である。W+は、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、及びアンモニウム陽イオンからなる群から選択することができる。
【0144】
幾つかの実施態様において、Z1及びZ2の一方は、NR2-(CH2)n-OP=O(OH)2又はO-(CH2)n-OP=O(OH)2、NR2-(CH2)n-OP=O(OH)O-W+、又はO-(CH2)n-OP=O(OH)O-W+であり; かつ、Z1及びZ2の他方はOR1である。他の実施態様において、Z1 = NR2-(CH2)n-OP=O(OH)2又はO-(CH2)n-OP=O(OH)2、NR2-(CH2)n-OP=O(OH)O-W+又はO-(CH2)n-OP=O(OH)O-W+であり; かつ、Z2 = Z1である。
【0145】
幾つかの実施態様において、式I-B1の化合物は:
【0146】
【化46】
【0147】
又は農業に許容可能なその塩である。
【0148】
幾つかの実施態様において、式I-B1の化合物は:
【0149】
【化47】
【0150】
又は農業に許容可能なその塩であり、式中、W+はナトリウム、カリウム、マグネシウム、アンモニウム、及びアルキルアンモニウム陽イオンからなる群から選択することができる陽イオンである。例えば、W+はn-オクチルアンモニウム陽イオンであってよい。
【0151】
別の側面において、植物の健康の増進に使用するための、下記式I-B1の化合物又は農業に許容可能なその塩が提供される:
【0152】
【化48】
【0153】
[式中、
Z1及びZ2の一方は、NR2-(CH2)n-NR4R5R6+Y-若しくはO-(CH2)n-NR4R5R6+Y-であり;かつ
Z1及びZ2の他方はOR1である;
又は
Z1 = NR2-(CH2)n-NR4R5R6+Y-若しくはO-(CH2)n-NR4R5R6+Y-であり;かつ
Z2 = Z1である;
R1及びR2はそれぞれ独立して、H、アルキル、又は置換アルキルであり;
R4、R5、及びR6はそれぞれ独立して、アルキル又は置換アルキルであり;
nは1~16から選択される整数であり;
Y-は農業に許容可能な陰イオンであり;
Ra、Rb、Rc、Rd、Re、及びRfはそれぞれ独立して、H、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、又は置換アルキニルであり;かつ
Mは2H又は金属種であり、
ここで、置換アルキル、置換アルケニル、及び置換アルキニル基は独立して、1個又は複数のOH、F、Cl、Br、I、CN及びN3で置換されている。]。
【0154】
幾つかの実施態様において、R1はHであり、及び/又は、R2はHである。幾つかの実施態様において、nは、1~16、又は1~12、又は1~8、又は1~6、又は1~4、又は2~4から選択される整数である。幾つかの実施態様において、R4、R5、及びR6はアルキルであり、任意選択によって場合により、R4 = R5 = R6である。幾つかの実施態様において、Y-は、クロリド、ブロミド、リン酸イオン、ジメチルリン酸イオン、メチル硫酸イオン、エチル硫酸イオン、酢酸イオン、及び乳酸イオンからなる群から選択される。
【0155】
幾つかの実施態様において、Z1及びZ2の一方はNR2-(CH2)n-NR4R5R6+Y-又はO-(CH2)n-NR4R5R6+Y-であり;かつ、Z1及びZ2の他方はOR1である。他の実施態様において、Z1 = NR2-(CH2)n-NR4R5R6+Y-又はO-(CH2)n-NR4R5R6+Y-であり;かつ、Z2 = Z1である。
【0156】
幾つかの実施態様において、式I-B1の化合物は:
【0157】
【化49】
【0158】
であり、式中、Y-は、クロリド、ブロミド、リン酸イオン、ジメチルリン酸イオン、メチル硫酸イオン、エチル硫酸イオン、酢酸イオン、クエン酸イオン、酒石酸イオン、及び乳酸イオンからなる群から選択することができる、農業に許容可能な陰イオンである。
【0159】
別の側面において、植物の健康の増進に使用するための、下記式I-B1の化合物又は農業に許容可能なその塩が提供される:
【0160】
【化50】
【0161】
[式中、
Z1及びZ2の一方は、NR2-(CH2CH2O)m-R13若しくはO-(CH2CH2O)m-R13であり;かつ
Z1及びZ2の他方はOR1である;
又は
Z1 = NR2-(CH2CH2O)m-R13若しくはO-(CH2CH2O)m-R13であり;かつ
Z2 = Z1である;
R1及びR2はそれぞれ独立して、H、アルキル又は置換アルキルであり;
R13は、H、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、CO(アルキル)、CO(置換アルキル)、CO(アルケニル)、CO(置換アルケニル)、CO(アルキニル)、又はCO(置換アルキニル)であり;
mは1~100から選択される整数であり;
Ra、Rb、Rc、Rd、Re、及びRfはそれぞれ独立して、H、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、又は置換アルキニルであり;かつ
Mは2H又は金属種であり、
ここで、置換アルキル、置換アルケニル、及び置換アルキニル基は独立して、1個又は複数のOH、F、Cl、Br、I、CN及びN3で置換されている。]。
【0162】
幾つかの実施態様において、R1はHであり、及び/又は、R12はHである。幾つかの実施態様において、mは、5~100、又は5~80、又は5~50、又は5~20、又は5~10から選択される整数である。幾つかの実施態様において、R13は、H、アルキル、アルケニル、CO(アルキル)、又はCO(アルケニル)である。
【0163】
幾つかの実施態様において、Z1及びZ2の一方は、NR2-(CH2CH2O)m-R13又はO-(CH2CH2O)m-R13であり;かつ、Z1及びZ2の他方はOR1である。他の実施態様において、Z1 = NR2-(CH2CH2O)m-R13又はO-(CH2CH2O)m-R13であり;かつ、Z2 = Z1である。
【0164】
幾つかの実施態様において、式I-B1の化合物は:
【0165】
【化51】
【0166】
【化52】
【0167】
又は農業に許容可能なその塩であり、式中、mは1~100から選択される整数であり;かつ、R14は、アルキル、アルケニル、アルキニル、置換アルキル、置換アルケニル、又は置換アルキニルである。
【0168】
幾つかの実施態様において、mは5~20から選択される整数であり、(CH2CH2O)mCOR14は、PEG600-オレイン酸エステル、PEG400-オレイン酸エステル、PEG600-アリル、又はPEG400-アリルである。
【0169】
幾つかの実施態様において、R13はHである。幾つかの実施態様において、(CH2CH2O)mR13は、PEG600又はPEG400である。
【0170】
幾つかの実施態様において、式I-B1の化合物は:
【0171】
【化53】
【0172】
又は農業に許容可能なその塩である。
【0173】
本記載のなお別の態様において、植物の健康の増進に使用するための、下記式I-B1の化合物又は農業に許容可能なその塩が提供される:
【0174】
【化54】
【0175】
[式中、
Z1及びZ2の一方は、アルファ炭素に結合したそのアミノ基によって化合物に結合した天然のアミノ酸であり;かつ
Z1及びZ2の他方はOR1である;
又は
Z1は、アルファ炭素に結合したそのアミノ基によって化合物に結合した天然のアミノ酸であり;かつ
Z2 = Z1である;
R1及びR2はそれぞれ独立して、H、アルキル、又は置換アルキルであり;
Ra、Rb、Rc、Rd、Re、及びRfはそれぞれ独立して、H、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、又は置換アルキニルであり;かつ
Mは2H又は金属種であり、
ここで、置換アルキル、置換アルケニル、及び置換アルキニル基は独立して1個又は複数のOH、F、Cl、Br、I、CN、及びN3で置換されている。]。
【0176】
幾つかの実施態様において、Z1及びZ2の一方は、アルファ炭素に結合したそのアミノ基によって化合物に結合した天然のアミノ酸であり;かつ、Z1及びZ2の他方はOR1である。
【0177】
他の実施態様において、Z1は、アルファ炭素に結合したそのアミノ基によって化合物に結合した天然のアミノ酸であり;かつ、Z2 = Z1である。
【0178】
幾つかの実施態様において、Z1は天然のアミノ酸の1つであり、かつ、Z2はOHである; Z2は天然のアミノ酸の1つであり、かつ、Z1はOHであり; 又は、Z1は天然のアミノ酸の1つであり、かつ、Z2 = Z1である。
【0179】
幾つかの実施態様において、Z1は、グリシン、L-アラニン、又はL-バリンであり、かつ、Z2はOHである; Z2は、グリシン、L-アラニン、又はL-バリンであり、かつ、Z1はOHである; 又は、Z1は、グリシン、L-アラニン、又はL-バリンであり、かつ、Z2 = Z1である。
【0180】
幾つかの実施態様において、式I-B1の化合物は:
【0181】
【化55】
【0182】
又は農業に許容可能なその塩である。
【0183】
幾つかの実施態様において、式I-B1の化合物は:
【0184】
【化56】
【0185】
又は農業に許容可能なその塩である。
【0186】
幾つかの実施態様において、式I-B1の化合物は:
【0187】
【化57】
【0188】
又は農業に許容可能なその塩である。
【0189】
幾つかの実施態様において、式I-B1の化合物は:
【0190】
【化58】
【0191】
又は農業に許容可能なその塩であり、式中、R17は、20種の天然のアミノ酸の1つの側鎖である。
【0192】
<光増感剤化合物の合成>
別の側面において、本明細書において記載した化合物の製造の方法であって、式IIの化合物の1つ又はその塩を、対応するアミン又はアルコールと反応させる工程を含む方法が提供される。
【0193】
例えば、式IIの化合物は、以下のスキームに示されるように、アミンと反応させる前に、まずカップリング剤(例えば、DCC、EDC等)と反応させて、モノ置換及びビス置換アミド化合物の混合物を得ることができる。
【0194】
【化59】
【0195】
別の例では、式IIの化合物は当技術分野で知られているエステル化法を使用してエステル化することができる。
【0196】
【化60】
【0197】
そのような反応の例は実施例の節に見ることができる。
【0198】
<キレート剤>
幾つかの実施態様において、光増感剤化合物はキレート剤(本明細書において透過性付与剤(permeabilizing agent)ともいう)と組み合わせて植物に施用することができる。幾つかのシナリオにおいて、キレート剤は、光増感剤化合物がROSを発生させることにより光に反応し、例えば微生物病原体の外膜の光増感剤への透過性を上げることによって、微生物病原体の増殖抑制の全体的な影響を高めることができる。「キレート剤」という用語は、本明細書において使用される場合、一般に1種若しくは幾つかの金属又はイオンに幾つかのキレート結合を形成することができる化合物を指すことが理解されるべきである。
【0199】
幾つかの実施態様において、キレート剤は、少なくとも1つのカルボキシル基、少なくとも1つのヒドロキシル基、少なくとも1つのフェノール基、及び/又は少なくとも1つのアミノ基、あるいは農業に許容可能なその塩を含むことができる。幾つかの実施態様において、キレート剤はアミノカルボン酸化合物又は農業に許容可能なその塩を含むことができる。アミノカルボン酸又は農業に許容可能なその塩は、アミノポリカルボン酸又は農業に許容可能なその塩を含むことができる。例えば、アミノポリカルボン酸は、2個のアミノ基及び各アミノ基に結合した2個のアルキルカルボキシル基を含むことができる。アルキルカルボキシル基はメチルカルボキシル基であってもよい。
【0200】
幾つかの実施態様において、キレート剤は、アミノポリカルボン酸、芳香族又は脂肪族カルボン酸、アミノ酸、ホスホン酸、及びヒドロキシカルボン酸、又は農業に許容可能なその塩からなる群から選択される。
【0201】
幾つかの実施態様において、本明細書において記載した方法及び組成物は、1種又は複数のアミノポリカルボン酸キレート剤を含む。アミノポリカルボン酸キレート剤の例は、これらに限定されないが、エチレンジアミン四酢酸 (EDTA)、ジエチレントリアミンペンタ酢酸 (DTPA)、ヒドロキシエチレンジアミン三酢酸 (HEDTA)、及びエチレンジアミンジスクシナート (EDDS)、シクロヘキサンジアミン四酢酸 (CDTA)、N-(2-ヒドロキシ-エチル)エチレンジアミン三酢酸 (EDTA-OH)、グリコールエーテルジアミン四酢酸 (GEDTA)、アラニン二酢酸 (ADA)、アルコイルエチレンジアミン三酢酸 (例えば、ラウロイルエチレンジアミン三酢酸 (LED3A))、アスパラギン酸二酢酸 (ASDA)、アスパラギン酸モノ酢酸、ジアミノシクロヘキサン四酢酸 (CDTA)、1,2-ジアミノプロパン四酢酸 (DPTA-OH)、l,3-ジアミノ-2-プロパノール四酢酸 (DTPA)、ジエチレントリアミンペンタメチレンホスホン酸 (DTPMP)、ジグリコール酸、ジピコリン酸 (DPA)、エタノールアミン二酢酸、エタノールジグリシン (EDG)、エチレンジアミンジグルタル酸 (EDDG)、エチレンジアミンジ(ヒドロキシフェニル酢酸) (EDDHA)、エチレンジアミンジプロピオン酸 (EDDP)、エチレンジアミンジスクシナート (EDDS)、エチレンジアミンモノコハク酸 (EDMS)、エチレンジアミン四酢酸 (EDTA)、エチレンジアミンテトラプロピオン酸 (EDTP)、及びエチレングリコールアミノエチルエステル四酢酸 (EGTA) 並びに農業に許容可能なその塩(例えば、ナトリウム塩、カルシウム塩及び/又はカリウム塩)を含む。
【0202】
キレート剤の1つの非限定的な例は、エチレンジアミン四酢酸 (EDTA) 又は農業に許容可能なその塩である。アミノカルボン酸塩は、例えばナトリウム又はカルシウム塩であってもよい。
【0203】
キレート剤の非限定的な別の例は、ポリアスパラギン酸、又はポリアスパラギン酸ナトリウム等の農業に許容可能なその塩 (すなわち、ポリアスパラギン酸塩) である。ポリアスパラギン酸塩の分子量は、例えば2,000から3,000の間であってもよい。
【0204】
キレート剤は、このようにアスパラギン酸塩単位、カルボキシル基、及びポリアスパラギン酸塩において見られる他の特色を含むことができる高分子化合物であってもよい。ポリアスパラギン酸塩は、アルファ及びベータ連結を有するコポリマーであってもよく、これは様々な比率 (例えばポリマー鎖に沿ってランダムに分布した、30%のアルファ、70%のベータ) であってもよい。ポリアスパラギン酸ナトリウムの1つの非限定的な例はBaypure(登録商標)DS 100である。
【0205】
キレート剤の他の非限定的な例は、EDDS (エチレンジアミン-N,N'-二コハク酸)、IDS (イミノ二コハク酸 (N-1,2-ジカルボキシエチル)-D,L-アスパラギン酸)、イソプロピルアミン、トリエタノールアミン、トリエチルアミン、水酸化アンモニウム、テトラブチルアンモニウムヒドロキシド、ヘキサミン、GLDA (L-グルタミン酸N,N-二酢酸) 又は農業に許容可能なその塩を含む。キレート剤は、メタル化されてもメタル化されなくてもよい。幾つかの実施態様において、IDSは、Baypure(登録商標)CX100であってもよいIDSの四ナトリウム塩 (例えば、イミノ二コハク酸四ナトリウム) として使用することができる。幾つかの実施態様において、EDDSは、EDDSの三ナトリウム塩として使用することができる。幾つかの実施態様において、GLDAは、GLDAの四ナトリウム塩として使用することができる。
【0206】
幾つかの実施態様において、キレート剤は1種又は複数のアミノ酸キレート剤を含むことができる。アミノ酸キレート剤の例は、これらに限定されないが、アラニン、アルギニン、アスパラギン、アスパラギン酸、グルタミン酸、グルタミン、グリシン、ヒスチジン、イソロイシン、ロイシン、リジン、メチオニン、プロリン、セリン、トレオニン、チロシン、バリン、又はその塩 (例えば、ナトリウム塩、カルシウム塩及び/又はカリウム塩) 、及びその組み合わせを含む。
【0207】
幾つかの実施態様において、キレート剤は1種又は複数の芳香族又は脂肪族カルボン酸キレート剤を含むことができる。芳香族又は脂肪族カルボン酸キレート剤の例は、これらに限定されないが、シュウ酸、コハク酸、ピルビン酸、リンゴ酸、マロン酸、サリチル酸、及びアントラニル酸、並びにその塩 (例えば、ナトリウム塩、カルシウム塩及び/又はカリウム塩) を含む。幾つかの実施態様において、本明細書に記載された方法及び組成物は1種又は複数のポリフェノールキレート剤を含む。ポリフェノールキレート剤の1つの非限定的な例はタンニン、例えばタンニン酸である。
【0208】
幾つかの実施態様において、キレート剤は1種又は複数のヒドロキシカルボン酸キレート剤を含むことができる。ヒドロキシカルボン酸型キレート剤の例は、これらに限定されないが、リンゴ酸、クエン酸、グリコール酸、ヘプトン酸、酒石酸、及びその塩 (例えば、ナトリウム塩、カルシウム塩、及び/又はカリウム塩) を含む。
【0209】
1種又は複数のキレート剤が、遊離酸として、農業に許容可能な塩として、又はその組み合わせとして提供することができることは理解されよう。幾つかの実施態様において、1種又は複数のキレート剤のそれぞれは遊離酸として施用される。他の実施態様において、キレート剤は塩として施用することができる。例示の塩はナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩、アンモニウム塩、アミン塩、アミド塩、及びその組み合わせを含む。なお他の実施態様において、2つ以上のキレート剤が存在する場合、キレート剤の少なくとも1つは遊離酸として施用され、キレート剤の少なくとも1つは塩として施用される。
【0210】
<添加剤及びアジュバント>
幾つかの実施態様において、光増感剤化合物は1種又は複数の農業に適切なアジュバントと組み合わせて植物に施用することができる。1種又は複数の農業に適切なアジュバントのそれぞれは、1種又は複数の活性化因子アジュバント(例えば、1種又は複数の界面活性剤; 例えば、1種又は複数のオイルアジュバント、例えば、1種又は複数の浸透剤)及び1種又は複数のユーティリティアジュバント(例えば、1種若しくは複数の湿潤剤若しくは展着剤; 1種若しくは複数の保湿剤; 1種若しくは複数の乳化剤; 1種若しくは複数のドリフト制御剤; 1種若しくは複数の増粘剤; 1種若しくは複数の沈着剤; 1種若しくは複数の水質調節剤; 1種若しくは複数の緩衝剤; 1種若しくは複数の抗発泡剤; 1種若しくは複数のUV遮断剤; 1種若しくは複数の抗酸化剤; 1種若しくは複数の肥料、栄養素及び/若しくは微量養素; 並びに/又は1種若しくは複数の除草安全化剤)からなる群から独立して選択することができる。例示のアジュバントはHazen, J.L. Weed Technology 14: 773-784頁(2000)において与えられ、これはその全体を参照により本明細書に援用する。
【0211】
幾つかの実施態様において、光増感剤化合物は油と組み合わせて植物に施用することができる。油は、鉱油(例えば、パラフィン油)、植物油、精油、及びその混合物からなる群から選択することができる。幾つかのシナリオにおいて、油と光増感剤化合物を組み合わせると、植物に接したとき、光増感剤化合物の溶解度を改善することができる。油は、水等の担体流体の存在下又は不在下で光増感剤化合物と共に、又は別々に添加することができる。
【0212】
植物油の非限定的な例は、中位鎖(medium chain)トリグリセリド(MCT)、又はナッツから抽出される油を含む油を含む。植物油の他の非限定的な例は、やし油、キャノーラ油、ダイズ油、なたね油、ひまわり油、サフラワー油、落花生油、綿実油、パーム油、米ぬか油、又はその混合物を含む。鉱油の非限定的な例は、パラフィン油、分岐パラフィン油、ナフテン油、芳香族油、又はその混合物を含む。
【0213】
パラフィン油の非限定的な例は、様々な等級のポリ-α-オレフィン (PAO) を含む。例えば、パラフィン油は、HT60(商標)、HT100(商標)、High Flash Jet、LSRD(商標)、及びN65DW(商標)を含むことができる。パラフィン油は、約12~約50又は約16~35の範囲の炭素原子数を有するパラフィンを含むことができる。幾つかのシナリオにおいて、パラフィンは平均23の炭素原子数を有することができる。幾つかの実施態様において、オイルは少なくとも80質量%、又は少なくとも90質量%、又は少なくとも99質量%のパラフィン含有率を有することができる。
【0214】
光増感剤化合物及び油は、順次又は同時に添加することができる。同時に添加された場合、窒素含有大環状化合物及び油は、同一組成物の一部として又は、2つの別々の組成物の一部として添加することができる。幾つかの実施態様において、窒素含有大環状化合物及び油はオイル・イン・ウォーターエマルション中に組み合わせることができる。すなわち、組み合わせは、オイル・イン・ウォーターエマルションとして配合されるように、組み合わせは油及び水と組み合わせた窒素含有大環状化合物を含むことができる。オイル・イン・ウォーターエマルションはまた、キレート剤、界面活性剤又はその組み合わせ等の他の添加剤を含むことができる。
【0215】
「オイル・イン・ウォーターエマルション」という用語は、本明細書において使用される場合、油 (例えば、パラフィン油) 及び水の1つが、他方 (例えば、水) 中の小滴として分散した混合物を指す。幾つかの実施態様において、オイル・イン・ウォーターエマルションは、パラフィン油、水、及び他の任意の成分及びパラフィン油を合わせる工程、並びに乳剤が得られるまで剪断を加える工程を含む方法によって調製される。他の実施態様において、オイル・イン・ウォーターエマルションは、撹拌槽中でパラフィン油、水、及び他の任意の成分を合わせる工程、並びに噴霧ガンのノズルに通して噴霧する工程を含む方法によって調製される。
【0216】
幾つかの実施態様において、光増感剤化合物は担体流体を含む組成物の一部である。適切な担体流体は、担体流体中で組成物の成分の安定な溶液、懸濁液及び/又は乳剤(エマルション)を得ることを可能にすることができる。幾つかの実施態様において、担体流体は水である。他の実施態様において、担体流体は、水及び他の溶媒、又は水中で混和しないか、若しくは部分的にのみ可溶の油の混合物である。
【0217】
幾つかの実施態様において、光増感剤化合物及び油の組み合わせは植物中の微生物病原体の増殖を阻害するために使用することができる。その組み合わせはオイル・イン・ウォーターエマルションにすることができ、その場合、界面活性剤は、植物に送達するためのオイル・イン・ウォーターエマルション中で光増感剤化合物が分散されて保たれるように選択される。
【0218】
上記の組み合わせは界面活性剤(乳化剤ともいう)を含むことができる。界面活性剤は、エトキシル化アルコール、高分子界面活性剤、脂肪酸エステル、ポリ(エチレングリコール)、エトキシル化アルキルアルコール、モノグリセリド、アルキルモノグリセリド、両親媒性配糖体、及びその混合物からなる群から選択することができる。例えば、脂肪酸エステルはソルビタン脂肪酸エステルであってもよい。界面活性剤は、植物由来の配糖体、例えばサポニンを含むことができる。界面活性剤は、植物群葉の被覆を助けるアジュバントとして存在することができる。界面活性剤は、許容可能なポリソルベート型界面活性剤(例えば、Tween 80)、非イオン性界面活性剤ブレンド物(例えば、Altox(商標)3273)、又は別の適切な界面活性剤であってもよい。
【0219】
幾つかの実施態様において、ポリ(エチレングリコール)は、式R15-O-(CH2CH2O)f-R16[式中、各R15及びR16はそれぞれ独立して、H、アルキル、置換アルキル、アリール、置換アリール、CO(アルキル)、又はCO(置換アルキル)であり;fは1~100から選択される整数であり;ここで、置換アルキル基は独立して、1個又は複数のF、Cl、Br、I、ヒドロキシ、アルケニル、CN、及びN3で置換されている。]のポリ(エチレングリコール)を含むことができる。
【0220】
<光増感剤化合物を含む組成物>
光増感剤化合物及び他の薬剤(例えば、キレート剤、油、界面活性剤等)は、別々に又は同一組成物の一部として一緒に植物に与えることができることもまた理解されるべきである。幾つかの実施態様において、組成物の成分は、担体流体なしで、濃縮された形態で包装することができ、担体流体(例えば水)は、組成物を植物に施用することができる作業者が直接添加してその組成物を形成することができる。
【0221】
成分が単一組成物の一部として用意される場合、組成物は、成分のある濃度及び相対的な比率を有するように用意することができる。例えば組成物は、約100nM~約50mMの間、約5マイクロモル~約10mMの間、約1マイクロモル~約1000マイクロモルの間、約5マイクロモル~約200マイクロモルの間の光増感剤化合物、約10マイクロモル~約150マイクロモルの間の窒素含有大環状化合物、約25マイクロモル~約100マイクロモルの間の窒素含有大環状化合物、又は約50マイクロモル~約75マイクロモルの間の光増感剤化合物を有することができる。
【0222】
例えば、以下に限定されないが、組成物はまた、約2マイクロモル~約10,000マイクロモルの間のキレート剤、約5マイクロモル~約5,000マイクロモルの間のキレート剤、約10マイクロモル~約1,000マイクロモルの間のキレート剤、約25マイクロモル~約500マイクロモルの間のキレート剤、又は約50マイクロモル~約100マイクロモルの間のキレート剤を含むことができる。
【0223】
例えば、以下に限定されないが、組成物中の窒素含有大環状化合物とキレート剤の相対的な質量比率は、約50:1~約1:1000の間、約20:1~約1:500の間、約10:1~約1:100の間、又は約1:1~約1:10の間であってもよい。
【0224】
例えば、以下に限定されないが、光増感剤化合物及び油は、約50:1~約1:1000の間、約20:1~約1:500の間、約10:1~約1:100の間、又は約1:1~約1:10の間の相対的な質量比率で施用することができる。
【0225】
光増感剤化合物を含む組成物は、様々な方法で植物に施用することができる。例えば、光増感剤化合物、キレート剤、並びに水又は水-油乳剤等の送達流体を含む組成物を調製することができる。組成物は、噴霧、霧吹き、散布、注入、又は他の適切な方法によって植物に施用することができる。抗微生物組成物は、植物の群葉、根元、及び/又は茎に施用することができる。他の添加剤も抗微生物組成物に含むことができ、他の施用方法も行うことができる。
【0226】
組成物が施用される植物は、自然な日光にさらされる戸外で又は屋内で(例えば、温室)、又は人工光にさらされる屋内の場所にあってもよい。光増感剤化合物がROSを発生させ、微生物の成長の妨害を促進することができるように、入射光への曝露が行われる。
【0227】
幾つかの実施態様において、光増感剤化合物は、種子又は苗を処置するために使用することができる。幾つかのシナリオにおいて、種子又は苗の処置は発芽及び生長を刺激することができ、及び/又は非生物的ストレスに対する植物の抵抗力を上げることができる。幾つかの実施態様において、種子又は苗は、生長培地へ植えられる前に光増感剤化合物を用いて処置することができる。幾つかの実施態様において、生長培地へ植えられた後、種子又は苗は光増感剤化合物を用いて処置することができる。
【0228】
光増感剤化合物は、種子に直接表面被覆することができ、苗根又は苗葉(苗への葉面施用)に施用することができる。幾つかの実施態様において、光増感剤化合物を含む溶液又はエマルション(乳剤)は、種子又は苗へ直接に噴霧することができる。幾つかの実施態様において、種子又は苗は光増感剤化合物を含む溶液又は乳剤に浸漬することができる。幾つかの実施態様において、苗の根は光増感剤化合物を含む溶液又は乳剤に浸漬することができる。幾つかの実施態様において、種子は容器に入れることができ、光増感剤化合物を含む溶液を容器へ導入することができる。次いで、容器は、溶液が種子と接触するように適正時期の間(例えば約1分から数分の間)振盪することができる。次いで、振盪された種子は、植えられる前に乾燥(例えば風乾)することができる。
【0229】
光増感剤化合物は、施用の様々な仕方を使用して種子又は苗に対して1回又は2回以上施用することができる。例えば、種子は生長培地へ植えられた後に処置することができる。別の例において、種子及び/又は苗は、植えられる前に、及び植えられた後に、処置することができる(例えば、畝間処置及び/又は葉面施用)。なお別の例において、種子は植えられる前に及び/又は植えられた後に処置することができ、続いてできる苗を更に処置することができる(例えば、根処置及び/又は葉処置)。
【0230】
<微生物病原体>
光増感剤化合物を含む組成物を施用することができる微生物病原体は、真菌性及び細菌性病原体を含む。そのような場合、組成物を「抗微生物組成物」ということができる。
【0231】
抗微生物組成物を施用できる真菌性病原体としては、トマト及びジャガイモ等の植物に感染する可能性のあるアルテルナリア・ソラニ (Alternaria solani); ブドウ、並びにソフトフルーツ及び球根作物に感染する可能性のあるボトリティス・シネレア (Botrytis cinerea); 又は一般に芝草に感染する可能性のあるスクレロティニア・ホモエオカルパ (Sclerotinia homoeocarpa)が挙げられる。アルテルナリア、ボトリティス又はスクレロティニア属の他の真菌性病原体も、抗微生物組成物の施用を受けることができる。抗微生物組成物は、様々な植物病害を引き起こす病原体、例えば、コレクトトリカム (Colletotrichum)、フザリウム (Fusarium)、プッチニア (Puccinia)、エリシファセエ (Erysi phaceae)、セルコスポラ (Cercospora)、リゾクトニア (Rhizoctonia)、ビポラリス (Bipola ris)、ミクロドキウム (Microdochium)、ベンツリア・イナエカリス (Venturia inaequalis)、モニリニア・フルクティコラ (Monilinia fructicola)、ギムノスポランギウム・ジュニペリ-バージニアネ (Gymnosporangium juniperi-virginianae)、プラスモディオフォラ・ブラシカエ (Plasmodiophora brassicae)、ウスチラゴ・ゼアエ (Ustilago zeae)、フィトフトラ (Phytophthora)、ピシウム (Pythium)、フザリウム・オキシスポラム (Fusarium oxysporum)、フィトフトラ・インフェスタンス (Phytophthora infestans)、タフリナ・ デホルマンス (Taphrina deformans)、パウダリー・ミルデュー (Powdery Mildew)、フラグミディウム (Phragmidium)属種、又は他の真菌性病原体に影響を受ける、又は感染しやすい植物に施用することができる。
【0232】
抗微生物組成物を施用できる細菌性病原体としては、エルウィニア・アミロボラ等のグラム陰性菌、又は木本植物に感染する可能性のあるエルウィニア (Erwinia) 属の他の細菌性病原体が挙げられる。E.アミロボラは、ナシ、リンゴ、及び他のバラ科作物を含む様々な植物に火傷病を引き起こす。抗微生物組成物 は、様々な植物病害を引き起こす病原体、例えば、シュードモナス (Pseudomonas)、キサントモナス (Xanthomonas)、アグロバクテリウム (Agrobacterium)、クルトバクテリウム (Curtobacterium)、ストレプトミセス (Streptomyces)、大腸菌 (E. Coli)、キシレラ・ファスティディオーサ (Xylella fastidiosa)(これはオリーブ急速衰退症候群 (OQDS) 病害を引き起こす)、又は他の細菌性病原体に影響を受ける、又は感染しやすい植物に施用することができる。
【0233】
更に着目されることであるが、本明細書に記載の抗微生物組成物は、植物及び病原体のタイプ、並びに微生物感染の状態に応じ、微生物病原体に対して様々な阻害効果を有することができる。本明細書には、抗微生物組成物は植物上での微生物病原体の増殖を阻害することができることが記載されているが、こうした表現は限定的ではなく、微生物病原体の抑制、微生物病原体の予防、微生物病原体の死滅、又は微生物病原体に対する毒性の一般的増大を含むものと理解すべきである。
【0234】
<非生物的ストレス>
上に挙げたように、幾つかの実施態様において、本記載の光増感剤化合物及び組成物は、光酸化条件、渇水(水分欠乏)、過剰の散水(冠水及び水没)、極端な温度(冷温、凍結、暑気)、極端な水準の光(高・低)、放射線(UV-B及びUV-A)、過剰のNa+(ナトリウム度)による塩分、化学的な因子(例えば、pH)、鉱物(金属及びメタロイド)毒性、必須栄養素の不足又は過剰、ガス状汚染物質(オゾン、二酸化硫黄)、風、機械的因子、及び他のストレス要因等の1つ又は複数の非生物的ストレスに対する植物の耐性を高めるために使用することができる。
【0235】
[耐寒性]
非生物的ストレスが低温ストレスである場合、光増感剤化合物の、単独で、又は、油、界面活性剤及び/若しくはキレート剤等の添加剤と合同での施用は、植物の耐寒性を改善することができる。すなわち、光増感剤化合物の施用によって、典型的には植物の最適又は本来の生長条件で経験するより低温である温度条件に植物が耐えることを可能にすることができる。様々なタイプの低温ストレスは、予期しない霜(例えば健康な作物、果実、穀物、種子又は葉が植物になお存在するときの初秋の霜、又は春植物の生長を始めた後出現する遅霜)、平均生長季より涼冷、本来の冬季条件より低温である、極小の冬季積雪、氷蓄積等が可能である。
【0236】
1つの植物についての低温ストレス条件を構成するものが別の植物について低温ストレス条件でない場合もあることは注目されるべきである。USDA帯域地図に関して、帯域9の植物についての低温ストレス条件は、実際、帯域8の植物について本来の生長条件であることもある。同様に、1つのタイプの植物の生存のために必要とする積雪の深さは、第2のタイプの植物には必要にならないこともある。したがって、様々なタイプの低温ストレスが問題の植物のタイプに応じて可能であることが理解される。
【0237】
本明細書に記載されている光増感剤化合物、組成物、又は組み合わせ物は、木本植物、非木本植物、及び芝草を含む植物を霜害から保護するために使用されてもよい。霜は、例えば収穫の前、収穫後かつ休眠前に早霜になり得る。霜は、例えば出芽の後に晩霜になり得る。低温障害はまた冬季温度によって引き起こされる冬枯れになり得、生存可能な枝又は苗条の喪失に帰着し、植物の枯死の原因となり得る。本明細書において記載の光増感剤化合物、組成物、又は組み合わせ物によって処置される植物は、経済的に又は審美的にかなりの程度で霜、凍結又は低温障害又は損傷に生来影響されやすい、霜又は低温に敏感な植物であり得る。
【0238】
低温ストレスに対する抵抗力を上げることは、休眠の遅い開始によって例示することができる。植物の休眠は、ドロップイン温度、例えば、低温ストレスの開始が引き金となり得る。低温ストレスに対する植物の抵抗力を上げることによって、温度のさらなる低下が引き金となるまで、植物の休眠を遅らせることができる。
【0239】
本明細書において記載の光増感剤化合物、組成物、又は組み合わせ物は、周期的に(例えば休眠を破る時点で春から始まる2又は3週間の間隔で)及び/又は1つ又は複数の処置(例えば秋に2回)の施用により使用して、ある植物の休眠期間を短縮又は遅らせる反応をもたらすことができる。
【0240】
本明細書において使用される場合、用語「休眠期間の短縮」は、対照、例えば、処置されていない植物と比較して、休眠期間が短縮した、又は生育期が延びた植物を指す。
【0241】
幾つかの実施態様において、収穫工程は、本明細書に記載した光増感剤化合物、組成物、又は組み合わせ物を、収穫と収穫の間の時期に、植物に対する低温ストレスの影響を弱めるのになお有効である活性剤と組み合わせて最後に施用した1週間、1か月、2か月以上後に実施してもよい。
【0242】
幾つかのシナリオにおいて、低温ストレスに対する抵抗は、早霜若しくは晩霜、又は冬季障害に対する抵抗を含む。幾つかのシナリオにおいて、本明細書に記載の光増感剤化合物、組成物、又は組み合わせ物は、温度の変動(例えば早春の)の間に寒さから初期生育を保護するために使用することができる。幾つかのシナリオにおいて、本明細書に記載の光増感剤化合物、組成物、又は組み合わせ物は、低温の月の間(例えば冬季)に寒さから植物を保護するために使用することができる。
【0243】
幾つかのシナリオにおいて、本明細書に記載した光増感剤化合物、組成物、又は組み合わせ物は、低温曝露の始め又は前に(例えば、木に健康で元気のよい十分な群葉がある場合の秋)土壌潅注及び/又は葉面施用(例えば水がはけるまでの噴霧)によって施用することができる。幾つかのシナリオにおいて、本明細書に記載した光増感剤化合物、組成物、又は組み合わせ物は、晩秋及び冬季(例えば暖かい気候)の間に土壌潅注及び/又は葉面施用(例えば水がはけるまでの噴霧)によって施用することができる。幾つかのシナリオにおいて、本明細書に記載の光増感剤化合物、組成物、又は組み合わせ物は、最大の強壮性に達するように、晩秋に土壌潅注によって、次に冬季に葉面施用(例えば水がはけるまでの噴霧)によって施用することができる。
【0244】
幾つかのシナリオにおいて、本明細書に記載した光増感剤化合物、組成物、又は組み合わせ物は、1~6か月の間隔で(例えば2~3か月ごと)1~4回施用することができる。後続の低温ストレス症状に対する抵抗力を改善するために、さらなる処置は、春に及び/又は生長する季節の間に施されてもよい。
【0245】
[耐熱性]
非生物的ストレスが暑気ストレスである場合、本明細書に記載した光増感剤化合物、組成物、又は組み合わせ物の施用は、生長季の間、高温に対する耐性を改善することができる。すなわち、本明細書に記載した光増感剤化合物、組成物、又は組み合わせ物の施用は、植物が典型的には植物の最適又は本来の生長条件で経験するより高い温度条件に耐えることを可能にすることができる。暑気ストレスには、典型的には日陰の生長条件を必要とする植物のための日陰の欠如、又は普通より高い土壌及び空気の温度等の様々な原因があり得る。
【0246】
1つの植物についての暑気ストレス条件を構成するものが別の植物について暑気ストレス条件でない場合もあることについて留意すべきである。
【0247】
[光酸化耐性]
非生物的ストレスが光酸化のストレスである場合、本明細書に記載した光増感剤化合物、組成物、又は組み合わせ物の施用は、活性酸素種の増加した生成の期間中にストレスの多い光条件に対する耐性を改善することができる。すなわち、本明細書に記載した光増感剤化合物、組成物、又は組み合わせ物の施用は、典型的には植物の最適又は本来の生長条件で経験するより高度である光曝露条件(例えば、紫外線照射条件)に植物が耐えることを可能にすることができる。光酸化ストレスには、フリーラジカルの形成を誘発する強い光条件又はある種類の照明等の様々な原因があり得る。
【0248】
1つの植物についての光酸化ストレス条件を構成するものが別の植物について光酸化ストレス条件でない場合もあることに留意すべきである。
【0249】
[耐日陰性]
日陰ストレス、又は「微光(low light、LL)ストレス」は植物の生長及び品質に影響を及ぼす問題であり得る。非生物的ストレスが日陰ストレスである場合、本明細書に記載した光増感剤化合物、組成物、又は組み合わせ物の施用は、植物の耐日陰性を改善することができる。すなわち、本明細書に記載した光増感剤化合物、組成物、又は組み合わせ物の施用は、最適又は本来の生長条件が典型的には部分的又は十分な日光曝露を必要とする植物のための日陰の条件に植物が耐えることを可能にすることができる。様々な種類の日陰ストレスには、長期間の曇天、植物へ日陰を作る過度に生長した近傍の植物若しくは木、又は日当たりがよい植付位置の利用可能性の欠如等の可能性がある。
【0250】
日陰は周期的な問題であり得る。例えば、1年のある数か月間、植物の近くに位置する建造物は、植物に影を作り、日陰ストレスの原因となり得る。地球が1年の進路を移動するにつれて、建造物は、もはや別の連続数か月間は植物に影を作らず、次いで、状況は次年の周期で繰り返すことがある。そのような事例において、本明細書に記載の光増感剤化合物、組成物、又は組み合わせ物は、日陰ストレスの期間の開始より前に植物に施用することができ、また日陰ストレスの期間の間に施用することができる。典型的には日陰ストレスの期間のために生じる植物に対する障害は、予防又は低減することができる。
【0251】
日陰条件は、多くの種類の植物に関しては非生物的ストレス条件であると考えられず、なぜなら、幾つかの植物がそれらの最適な生長条件の一部として日陰を必要としているからである。1つの植物についての日陰ストレス条件を構成するものが別の植物について日陰ストレス条件でない場合もあることに留意すべきである。
【0252】
[渇水耐性]
渇水は、土壌水分を使い尽くし、植物を傷つけるのに十分な期間の降雨又は潅漑の欠如として定義することができる。植物からの水分損失が、植物の根が水を吸収する能力を越える場合、及び/又は、植物の含水率が普通の植物過程を妨害するのに十分に減少する場合に、渇水ストレスは生じる。植物の水に対する必要性が植物の種類、植物の生物季節学的段階、植物の年齢、根の深さ、土壌品質等によって様々であり得るので、渇水条件の影響の厳しさは植物間で様々であり得る。
【0253】
本明細書に記載の光増感剤化合物、組成物、又は組み合わせ物は、渇水の開始前及び/又は渇水の間に植物に施用することができる。本明細書に記載した光増感剤化合物、組成物、又は組み合わせ物の施用は、渇水ストレスに対する植物の抵抗力を上げることができる。抵抗力を上げると、同じ渇水ストレスを受けた未処置の植物と比較して植物の品質の維持又は向上を含むことができる。抵抗力を上げると、同じ渇水ストレスにかかった未処置の植物と比較して植物の品質の劣化の減少を含むことができる。植物が適切な降雨や潅漑を受けないと、結果として起きる渇水ストレスはその他のすべての環境ストレスが結合したものよりも生長を低下させうる。
【0254】
1つの植物について渇水ストレス条件を構成するものが別の植物について渇水ストレス条件でないことがあることもまた留意すべきである。
【0255】
[塩害の防止]
塩分は、植物の生長環境中に天然に存在し得る。植物が塩性土壌において、又は他の過度に塩性の条件下で生長している場合、塩分ストレスとは、植物に働く浸透力を指す。例えば、塩水の集まり近くで生長する植物は、空気中に又は植物に給水するために使用される水中に存在する塩に晒され得る。別の例において、冬季の間に運転状況の改善のために道路、歩道、及び自動車道表面に施される塩は、近接して生長する植物の土壌へ移動及び/又は浸出することがある。植物の生長環境で塩分含有量がそのように上がった場合、塩分ストレスをもたらし、植物を害する場合がある。
【0256】
本明細書に記載した光増感剤化合物、組成物、又は組み合わせ物の、植物に対する施用は、塩分ストレスに対する植物の抵抗力を上げることができ、未処置なら出現する植物の品質の劣化を予防又は低減することができる。組み合わせ物は、塩分ストレスの期間より前、又はその期間の間に施用することができる。
【0257】
1つの植物についての塩分ストレス条件を構成するものが別の植物について塩分ストレス条件でない場合もあることに留意すべきである。
【0258】
[移植ショック耐性]
1つの生長環境から他への、例えば鉢から花壇又は庭への移植にさらされる植物は、風、直射日光又は新しい土壌条件等の新しい環境条件への曝露の結果として、移植ショックストレスを受けることがある。本明細書に記載した光増感剤化合物、組成物、又は組み合わせ物の、植物の根に対する施用は、移植によって引き起こされる植物への影響を低減することができる。幾つかのシナリオにおいて、移植された植物の植物の生長及び/又は発育を妨げることを、本明細書に記載した光増感剤化合物、組成物、又は組み合わせ物の施用が、低減又は予防することができる。
【0259】
1つの植物についての移植ショックストレス条件を構成するものが別の植物について移植ショックストレス条件でない場合もあることに留意すべきである。
【0260】
[過剰水又は冠水耐性]
植物は健康な植物の生長及び発育のためにはある量の水を必要とするが、水の過剰量に対する植物の曝露(「水ストレス」)は、植物を害する場合がある。本明細書に記載した光増感剤化合物、組成物、又は組み合わせ物の、過剰水条件の開始前の植物に対する施用は、植物の水ストレスに対する抵抗力を高めることができる。本明細書に記載した光増感剤化合物、組成物、又は組み合わせ物は、水ストレス時に施用することができるが、しかし、本明細書に記載した光増感剤化合物、組成物、又は組み合わせ物の希釈が、過剰水のために起こり得る。したがって、過剰水の期間に先立つ前処置はより効果的になり得る。
【0261】
1つの植物についての過剰水ストレス条件を構成するものが別の植物について過剰水ストレス条件でない場合もあることに留意すべきである。
【0262】
<殺虫剤活性>
幾つかの実施態様において、本記載の化合物及び組み合わせ物は植物の有害生物から植物を保護するために使用することができる。「植物の有害生物」又は「有害生物」という用語は、本明細書において使用される場合、植物に障害をもたらすことが知られているか又はその可能性を有する昆虫及び/又はそれらの幼虫を指すことを理解されたい。幾つかの実施態様において、本記載の化合物及び組み合わせ物は、植物に対する有害生物に光誘導性の死を誘発することができる。
【0263】
幾つかの実施態様において、害虫は、半翅目 (アブラムシ、コナジラミ、カイガラムシ、コナカイガラムシ、カメムシの群)、鞘翅目 (甲虫の群)、鱗翅目 (チョウ、ガの群)、双翅目 (ハエの群)、アザミウマ目 (アザミウマの群)、直翅目 (バッタ、イナゴの群)、膜翅目 (スズメバチ、アリの群)、ゴキブリ目 (ゴキブリ及びシロアリの群) 及びダニ有害生物 (ハダニ) の目から選択される。
【0264】
害虫の非限定的な例は以下を含む: ヨトウムシ (例えば、イチモジヨトウ (スポドプテラ・エクシグア(Spodoptera exigua)))、根切虫、ルーパー、(例えば、イラクサキンウワバ (トリコプルシア・ニ(Trichoplusia ni)))、及びヤガ科のハスモンヨトウ (heliothines)、(例えば、ツマジロクサヨトウ (スポドプテラ・フギペルダ(Spodoptera fugiperda J. E. Smith)))、シロイチモジヨトウ (スポドプテラ・エクシグア(Spodoptera exigua Hubner))、タマナヤガ (アグロティス・イプシロン(Agrotis ipsilon Hufnagel))、オオタバコガ (ヘリオティス・ウィレスケンス(Heliothis virescens Fabricius))等の鱗翅目の幼虫; メイガ科の穿孔虫、繭を作る昆虫、ウェブワーム、オオタバコガの幼虫、モンシロチョウの幼虫、葉を食い荒らす幼虫 (例えば、アワノメイガ (オストリニア・ヌビラリス(Ostrinia nubilalis Hubner))、ネーブルオレンジワーム (アミュエロイス・トランシテッラ(Amyelois transitella Walker))、ウスギンツトガ (クランブス・カリギノセッルス(Crambus caliginosellus Clemens))、クロオビクロノメイガ (ヘルペトグランマ・リカルシサリス(Herpetogramma licarsisalis Walker))等のソッドウェブワーム (メイガ科: ツトガ亜科)、ハマキムシ、ハマキガ科における芽を食害する害虫、種子を食害する害虫、及び、果実を食害する害虫(例えば、コドリンガ (キュディア・ポモネッラ(Cydia pomonella Linnaeus))、ホソバヒメハマキ (エンドピザ・ウィテアナ(Endopiza viteana Clemens))、ナシヒメシンクイ (グラポリタ・モレスタ(Grapholita molesta Busck))、並びに、多くの他の経済的に重要な鱗翅目 (例えば、コナガ (プルテッラ・キシロステッラ(Plutella xylostella Linnaeus))、ワタアカミムシガ (ペクティノポラ・ゴッシピエッラ(Pectinophora gossypiella Saunders))、マイマイガ (リュマントリア・ディスパル(Lymantria dispar Linnaeus)); ヒゲナガゾウムシ、マメゾウムシ及びゾウムシ科 (例えば、ワタミゾウムシ (アントノムス・グランディス(Anthonomus grandis Boheman))、イネミズゾウムシ (リッソロプトリス・オリュゾピルス(Lissorhoptrus oryzophilus Kuschel))、オサゾウムシ (シトピルス・グラナリウス(Sitophilus granarius Linnaeus))、ココクゾウムシ (シトピルス・オリュザエ(Sitophilus oryzae Linnaeus)))、アニュアルブルーグラスウィービル (リストロノトゥス・マクリコッリス(Listronotus maculicollis Dietz))、ブルーグラスビルバグ (スペノポルス・パルウルス(Sphenophorus parvulus Gyllenhal))、ハンティングビルバグ (スペノポルス・ウェナトゥス(Sphenophorus venatus vestitus))、デンバービルバグ (スペノポルス・キカトリストリアトス(Sphenophorus cicatristriatus Fahraeus)))のゾウムシを含む鞘翅目の食葉性幼虫及び成虫、ハムシ科のノミハムシ、ウリハムシ、ネクイムシ、ハムシ、コロラドハムシ (レプティノタルサ・デケムリネアタ(Leptinotarsa decemlineata))及びハモグリムシ、ウェスタンコーンルートワーム (ディアブロティカ・ウィルギフェラ・ウィルギフェラ(Diabrotica virgifera virgifera LeConte))); コガネムシ科 (例えば、マメコガネ (ポピッリア・ジャポニカ(Popillia japonica Newman))、オリエンタルビートル (アノマラ・オリエンタリス(Anomala orientalis Waterhouse))、ノーザンマスクドチェーファー (キュクロケパラ・ボレアリス(Cyclocephala borealis Arrow))、サウザンマスクドチェーファー (キュクロケパラ・インマキュラテ(Cyclocephala immaculata Olivier))、ブラックターフグラスアテニウス (アタエニウス・スプレトゥルス(Ataenius spretulus Haldeman))、グリーンジューンビートル (コティニス・ニティダ(Cotinis nitida Linnaeus))、アジアンガーデンビートル (マラデラ・カスタネア(Maladera castanea Arrow))、メイ/ジューンビートル (Phyllophaga spp.)、及びヨーロピアンコガネムシ(European chafer)(リゾトログス・マヤリス(Rhizotrogus majalis Razoumowsky)))のコガネムシ及び他の甲虫; カツオブシムシ科のヒメマルカツオブシ; コメツキムシ科のハリガネムシ; キクイムシ科のキクイムシ; ゴミムシダマシ科のコクヌストモドキ; バッタ、イナゴ及びコオロギ(例えば、クルマバッタ(例えば、メラノプルス・サングイニペス(Melanoplus sanguinipes Fabricius、M.differentialis Thomas))、アメリカバッタ (例えば、スキストケルカ・アメリカナ(Schistocerca americana Drury))、サバクバッタ (スキストケルカ・グレガリア(Schistocerca gregaria Forskal))、トノサマバッタ (ロクスタ・ミグラトリア(Locusta migratoria Linnaeus))、ブッシュローカスト (bush locust)(Zonocerus spp.)を含む直翅目の成虫及び幼体; ハモグリムシ、ユスリカ、ミバエ(Tephritidae)、キモグリバエ (例えば、オスキネッラ・フリット(Oscinella frit Linnaeus)、ウジバエを含む双翅目の成虫及び幼虫; メクラカメムシ科のメクラカメムシ、オオヨコバイ科のリーフホッパー (例えば、Empoasca spp.)等の半翅目及び同翅目の成虫及び若虫; ハゴロモ上科及びウンカ科のウンカ (例えば、コーンウンカ (ペレグリヌス・マイディス(Peregrinus maidis))); ツノゼミ科のツノゼミ; ナガカメムシ科のコバネナガカメムシ (例えば、ヘアリーチンチバグ(ブリッスス・レウコプテルス・ヒルトゥス(Blissus leucopterus hirtus Montandon))及びサウザンチンチバグ (ブリッスス・インスラリス(Blissus insularis Barber)))及び他のマツヘリカメムシ; アワフキムシ科のアワフキ虫; ヘリカメムシ科のヘリカメムシ; ホシカメムシ科のアカホシカメムシ及びホシカメムシ; コナカイガラムシ科のコナカイガラムシ (例えばプラニコックス・キトリ(Planicoccus citri Risso))、セミ科のセミ; キジラミ科のキジラミ (例えばミカンキジラミ(Citrus psyllid)ディアポリナ・キトリ(Diaphorina citri))、コナジラミ科のコナジラミ (シルバーリーフコナジラミ(ベミシア・アルゲンティフォリイ(Bemisia argentifolii))); アブラムシ科のアブラムシ、例えばワタメロンアブラムシ (アピス・ゴッシュピイ)、エンドウヒゲナガアブラムシ (アキュルティシフォン・ピスム(Acyrthisiphon pisum Harris))、ササゲアブラムシ (アピス・クラッキウォラ(Aphis craccivora Koch))、クロマメアブラムシ (アピス・ファバエ(Aphis fabae Scopoli))、メロンアブラムシ、又はワタアブラムシ (アピス・ゴッシュピイ(Aphis gossypii Glover))、リンゴアブラムシ (アピス・ポミ(Aphis pomi De Geer))、ユキヤナギアブラムシ (アピス・スピラエアコラ(Aphis spiraecola Patch))、ジャガイモヒゲナガアブラムシ (アウラコルトゥム・ソラニ(Aulacorthum solani Kaltenbach))、イチゴケナガアブラムシ (カエトシフォン・フラガエフォリイ(Chaetosiphon fragaefolii Cockerell))、ロシアコムギアブラムシ (ディウラフィス・ノクシア(Diuraphis noxia Kurdjumov/Mordvilko))、バラリンゴアブラムシ (デュサフィス・プランタギニア(Dysaphis plantaginea Paaserini))、リンゴワタムシ (エリオソマ・ラニゲルム(Eriosoma lanigerum Hausmann))、モモコフキアブラムシ (ヒュアロプテルス・プルニ(Hyalopterus pruni Geoffroy))、ニセダイコンアブラムシ (リパフィス・エリュシミ(Lipaphis erysimi Kaltenbach))、コクモツアブラムシ (メトポロフィウム・ディルロドゥム(Metopolophium dirrhodum Walker))、ジャガイモヒゲナガアブラムシ (マクロシプム・エウフォルビアエ(Macrosipum euphorbiae Thomas))、モモアカアブラムシ (ミュズス・ペルシカエ(Myzus persicae Sulzer))、レタスアブラムシ (ナソノウィア・リビスニグリ(Nasonovia ribisnigri Mosley))、コブアブラムシ(root aphids and gall aphids)、トウモロコシアブラムシ (ロパロシフム・マイディス(Rhopalosiphum maidis Fitch))、ムギクビレアブラムシ (ロパロシフム・パディ(Rhopalosiphum padi Linnaeus))、ムギミドリアブラムシ (スキザフィス・グラミヌム(Schizaphis graminum Rondani))、ムギヒゲナガアブラムシ (シトビオン・アウェナエ(Sitobion avenae Fabricius))、マダラアルファルファアブラムシ (テリオアフィス・マクラタ(Therioaphis maculata Buckton))、コミカンアブラムシ (トクサプテラ・アウランティイ(Toxoptera aurantii Boyer de Fonscolombe))、ミカンクロアブラムシ (トクサプテラ・キトリキダ(Toxoptera citricida Kirkaldy))及びモモアカアブラムシ (ミュズス・ペルシカエ); ネアブラムシ科のネアブラムシ; コナカイガラムシ科のコナカイガラムシ; カイガラムシ科、マルカイガラムシ科及びワタフキカイガラムシ科のカイガラムシ; グンバイムシ科のグンバイムシ; カメムシ科のカメムシ; タマネギアザミウマ (トリプス・タバキ(Thrips tabaci Lindeman))、ハナアザミウマ(Frankliniella spp.)、及び他の食葉性アザミウマを含むアザミウマ目の成虫及び幼体。農学的有害生物は、またハダニ科のダニ等の無脊椎節足動物: ナミハダニ (例えばテトラニュクス・ウルティカエTetranychus urticae Koch)、ミカン科からのヒメハダニ (例えば、カンキツヒメハダニ (ブレウィパルプス・レヴィシ(Brevipalpus lewisi McGregor))); フシダニ科のサビダニ及びフシダニ並びに他の食葉性ダニを含む。経済的に重要な農業の有害線虫は、(例えばネコブセンチュウ属のネコブセンチュウ、ネグサレセンチュウ属のネグサレセンチュウ、及びユミハリセンチュウ属のユミハリセンチュウ並びに線虫綱、条虫綱、吸虫綱の成員、及び円虫目、カイチュウ目、ギョウチュウ目、桿線虫目、旋尾線虫目及びエノプルス目の鉤頭虫類を含む。
【0265】
本記載の光増感剤化合物は害虫による植物の外寄生の前に、外寄生時に、又は外寄生の後に、植物に施用することができる。
【0266】
幾つかの実施態様において、本記載の光増感剤化合物は、昆虫にそれらを施用することにより(すなわち植物に光増感剤を施用しないで)、殺虫剤として使用することができる。したがって、本記載はまた、昆虫の個体数を防除する方法を提供する。方法は、昆虫に本記載の光増感剤化合物を施用する工程と;昆虫を光に曝露させて、光増感剤化合物を活性化し、活性酸素種を発生させる工程とを含む。
【0267】
昆虫に光増感剤を施用する工程は、害虫に間接的に光増感剤を施用する工程(例えば、昆虫に供給される食料源に光増感剤を施用することによって)及び/又は害虫に直接に光増感剤を施用する工程(例えば、光増感剤を含む組成物の昆虫への噴霧による等の、直接に昆虫を光増感剤と接触させることによって)を含むことができることが理解されるべきである。
【0268】
<植物の種類>
本記載の光増感剤化合物及び組成物を様々な種類の植物のために使用することができる。植物は非木本作物植物、木本植物、又は芝草であってもよい。植物は、作物植物、果実植物、野菜植物、豆果植物、穀物植物、飼料植物、油種子植物、草地植物、園芸植物、温室植物、家庭植物、花植物、芝生植物、芝草、実の成る木等の樹木、及び微生物病原体及び/又は1つ又は複数の非生物的ストレスによって影響を受け得る他の植物からなる群から選択することができる。本記載の化合物のうちの幾つかは、光のある状態又はない状態で、様々な有害な植物の有害生物に対してある程度の毒性を示すことができる。
【0269】
幾つかの実施態様において、植物は、サトウキビ、コムギ、イネ、コーン (トウモロコシ)、ジャガイモ、サトウダイコン、オオムギ、サツマイモ、キャッサバ、ダイズ、トマト及び豆果 (豆及びエンドウ) からなる群から選択される作物植物である。
【0270】
他の実施態様において、植物は、落葉樹及び常緑樹からなる群から選択される樹木である。樹木の例は、これらに限定されないが、カエデの木、柑橘類の木、リンゴの木、及び西洋ナシの木等の果樹、オークの木、トネリコの木、松の木、及びエゾマツの木を含む。
【0271】
なお他の実施態様において、植物は潅木である。
【0272】
なお他の実施態様において、植物は果物又はナッツの植物である。そのような植物の非限定的な例はアセロラ (バルバドスチェリー)、アテモヤ、ゴレンシ (スターフルーツ)、ランブータン、アーモンド、アプリコット、サクランボ、ネクタリン、ピーチ、ピスタチオ、リンゴ、アボカド、バナナ、料理バナナ、イチジク、ブドウ、マンゴー、オリーブ、パパイア、西洋ナシ、パイナップル、プラム、イチゴ、グレープフルーツ、レモン、ライム、オレンジ (例えば、ネーブル及びバレンシア)、タンジェロ、タンジェリン、ミカン及びベリー及び小果実植物群からの植物を含む。
【0273】
他の実施態様において、植物は野菜植物である。そのような植物の非限定的な例は以下を含む: アスパラガス、豆、ビート、ブロッコリ、中国ブロッコリ、ブロッコリ・レイブ(raab)、芽キャベツ、キャベツ、カリフラワー、白菜 (例えば、チンゲンサイ及びmapa)、体菜キャベツ (芥菜(gai choy))、カバロ(cavalo)ブロッコリ、コラード、ケール、コールラビ、ミズナ、カラシナ、からしほうれん草、アブラナ、セロリ、ハヤトウリ、中国冬瓜、シトロンメロン、キュウリ、ガーキン、ヒョウタン、ククッツァ(cucuzza)、ヘチマ、中国オクラ、ツルレイシ、にがうり、ゴーヤ、中国キュウリ、マスクメロン(true cantaloupe)、カンタロープ、カサバメロン、クレンショウメロン、ゴールデンパーショウメロン(golden pershaw melon)、ハニーデューメロン、ハニーゴール(honey gall)、マンゴーメロン、ペルシャメロン、パンプキン、ペポカボチャ、冬カボチャ、スイカ、サトイモ (タロイモ)、ナス、ショウガ、チョウセンニンジン、ハーブ及びスパイス (例えば、巻き葉バジル、西洋ヤマハッカ、コリアンダー、メキシコオリガノ、ミント)、日本ハツカダイコン (大根)、レタス、オクラ、コショウ、ジャガイモ、ハツカダイコン、サツマイモ、チョロギ芋 (日本アーティチョーク)、コーン及びトマト。
【0274】
他の実施態様において、植物は、バラ等の花卉植物、花を咲かせる潅木、又は観賞植物である。そのような植物の非限定的な例は以下を含む: バラ及び他の花卉潅木、観葉植物及び花壇用植物、リンゴ、チェリー、モモ、及び西洋ナシの木等の実の成る木、実の成らない木、緑陰樹、装飾的な木、及び潅木(例えば、針葉樹、落葉樹及び常緑広葉樹及び木本観賞植物)を含めた花卉植物及び葉物植物。
【0275】
幾つかの実施態様において、植物は室内植物である。そのような植物の非限定的な例は、キク、ディーフェンバッキア、センネンボク、シダ、クチナシ、ゼラニウム、ベンケイソウ、シュロ、フィロデンドロン、及びシェフレラを含む。
【0276】
幾つかの実施態様において、植物は温室で栽培される植物である。そのような植物の非限定的な例は次のものを含む: カッコウアザミ、トウダイグサ、ディーフェンバッキア、ハナミズキ、センネンボク、シダ、クワ、西洋ヒイラギ、トルコギキョウ、モクレン、ラン、シュロ、ツクバネアサガオ、ポインセチア、シェフレラ、ヒマワリ、アグラオネマ (aglaonema)、アスター、ツツジ、ベゴニア、ブロワリア (browallia)、ツバキ、カーネーション、ケイトウ (celosia)、キク、コリウス、コスモス、サルスベリ、シロタエギク、イースターリリー、フクシャ、クチナシ、センボンヤリ、ムギワラギク、ハイビスカス群葉、アジサイ、ホウセンカ、ベンケイソウ、キンセンカ、ニューギニア・インパチエンス、ハナタバコ、フィロデンドロン、スベリヒユ、リーガーベゴニア、キンギョソウ、及びヒャクニチソウ。
【0277】
<組み合わせ物の相乗効果>
幾つかのシナリオにおいて、組み合わせ物は植物中での微生物病原体の増殖の阻害に対して相乗的な応答を示すことができる。「相乗作用」又は「相乗的な」という用語が、本明細書において使用される場合、それらを組み合わせた効果がそれらの個々の効果の合計より高いような、組み合わせ(又は組成物)の2つ以上の成分の相互作用を指すことが理解されるべきである。これは、本記述の文脈においては、窒素含有大環状化合物、油、及びキレート剤の2つ以上の作用を含んでもよい。幾つかのシナリオにおいて、窒素含有大環状化合物及び油は、相乗的有効量(相乗効果的な量)で存在することができる。幾つかのシナリオにおいて、窒素含有大環状化合物及びキレート剤は、相乗効果的な量で存在することができる。幾つかのシナリオにおいて、油及びキレート剤は、相乗効果的な量で存在することができる。幾つかのシナリオにおいて、窒素含有大環状化合物、油、及びキレート剤は、相乗効果的な量で存在することができる。
【0278】
幾つかのシナリオにおいて、S. R. Colby, "Calculating synergistic and antagonistic responses of herbicide combinations", Weeds 15, 20-22頁(1967)に述べられている手法は、相乗作用を評価するために使用することができる。予想された有効性、Eは、次のように表現されてもよい: E = X + Y(100 - X)/100、ここで、Xは、組み合わせ物の第1の成分の未処置の対照の%で表現された有効性であり、Yは、組み合わせ物の第2の成分の未処置の対照の%で表現された有効性である。2つの成分は、観察された有効性が予想された有効性より高い場合に、相乗効果的な量で存在すると言う。
【実施例
【0279】
<化合物>
[PP IX-ジ-DMAE及びPP IX-モノ-DMAE]
【化61】
【0280】
プロトポルフィリンIX(500 mg、0.89 mmol)及びN-ヒドロキシスクシンイミド(NHS, 245 mg, 2.136 mmol)を0℃においてDMF100 mLに溶かした。次いで、反応混合物にDMF 10 mL中の1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩(EDC, 409 mg, 2.136 mmol)を添加し、室温において6時間撹拌した。次いで、2-ジメチルアミノエチルアミン(0.188 mg, 2.136 mmol)を添加し、室温において溶液を夜通し撹拌した。DMFを減圧下で除去し、メタノール25 mL中に残留物を溶かした。生成物は低温エーテルで沈殿させた(収率80%)。
【0281】
生成物は約50%のジ置換化合物及び50%のモノ置換化合物を含んでいた。出発材料として最初の生成物を使用して、2回目の反応を行った場合、80%のジ置換化合物及び20%のモノ置換化合物の比率をもたらした。
【0282】
PP IX-モノ-DMAEアミド: C38 H44 N6 O3に対する計算したMS-ESI (HRMS) m/z (M+H+): 633.35、実測値: 633.087。
【0283】
PP IX-ジ-DMAEアミド: C42 H54 N8 O2(M)に対する計算したMS-ESI (HRMS) m/z: 703.44、実測値: 703.611。
【0284】
[PP IXモノ-PEG600
【化62】
【0285】
プロトポルフィリンIX(500 mg, 0.89 mmol)及びN-ヒドロキシスクシンイミド(NHS, 307 mg, 2.67 mmol)をDMF(50 ml)に溶かした。次いで、DMF(10 ml)中の1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩(EDC, 512 mg, 2.67 mmol)の溶液を反応混合物に添加し、室温で終夜撹拌した。メトキシルポリエチレングリコール600(mPEG-OH600, 640 mg, 1.06 mmol)を溶液に添加し、室温において夜通し撹拌した。混合物を濃縮して生成物を得た。粗生成物をシリカゲル上のフラッシュカラムクロマトグラフィーによって、PE/ME(5:1~2:1)を用いて溶出して精製し、生成物を得た。
【0286】
質量分析法及び1H NMR分析は、両方のPP IXモノ-PEG600の混合物を得たことを裏付けた。
【0287】
[PP IXジ-PEG600
【化63】
【0288】
0℃において1時間撹拌しながらDMF(50 ml)にプロトポルフィリンIX(500 mg, 0.89 mmol)及びN-ヒドロキシスクシンイミド(NHS, 610 mg, 5.2 mmol)を溶かした。次いで、その溶液にDMF(10 ml)中の1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩(EDC, 1012.0 mg, 5.2 mmol)の溶液を添加した。室温で混合物を夜通し撹拌した。次いで、その溶液にPEG600(1290.0 mg, 2.2 mmol)を添加し、更に室温において夜通し撹拌した。混合物を濃縮して粗生成物を得た。粗生成物はシリカゲル上でフラッシュカラムクロマトグラフィーによって、PE/ME(5:1~2:1)を用いて溶出させて精製し、生成物を得た。
【0289】
質量分析法及び1H NMR分析は、主な生成物としてPP IXジ-PEG600が得られたことを裏付けた。
【0290】
[PP IX-モノ-L-アラニン]
【化64】
【0291】
DMF(50 ml)中のプロトポルフィリンIX(500 mg, 0.89 mmol)及びN-ヒドロキシスクシンイミド(307 mg, 2.67 mmol)の混合物を0℃において1時間撹拌した。次いで、DMF(10 ml)中の1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩(512 mg, 2.67 mmol)の溶液をその反応混合物に添加し、室温において夜通し撹拌した。
【0292】
0℃に冷却した水中のL-アラニンの溶液に、トリエチルアミン及び二炭酸ジ-tert-ブチルを添加した。その反応混合物を室温において2時間撹拌した。10% w/vクエン酸水溶液を漸増的に添加することにより、約6にpHを調節した。合わせた水層を酢酸エチルで抽出し、合わせた有機層をNa2SO4上で乾燥させ、減圧下で濃縮した。得られた生成物(200 mg)を、先に得られたEDC活性化反応混合物に添加した。
【0293】
その混合物を、10% HClを用いてpH 9に調節し、濃縮して粗生成物を得た。メタノール(50 ml)に粗生成物を溶かして濾過した。その濾液を、0℃においてメチルtert-ブチルエーテル(200 ml)中へゆっくり滴下し、濾過して、主として2種のL-アラニンモノ置換PP IX化合物を含む混合物としてPP IX-モノ-L-アラニンを得た。
【0294】
質量分析法及び1H NMR分析は、主な生成物としてPP IX-モノ-L-アラニンが得られたことを裏付けた。
【0295】
[PP IX-モノ-L-バリン]
【化65】
【0296】
DMF(50 ml)中のプロトポルフィリンIX(500 mg, 0.89 mmol)及びN-ヒドロキシスクシンイミド(307 mg, 2.67 mmol)の混合物を0℃において1時間撹拌した。次いで、DMF(10 ml)中の1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩(512 mg, 2.67 mmol)の溶液をその反応混合物に添加し、室温で夜通し撹拌しておいた。
【0297】
0℃に冷却した水中のL-バリンの溶液に、トリエチルアミン及び二炭酸ジ-tert-ブチルを添加した。その反応混合物を室温において2時間撹拌した。10% w/vクエン酸水溶液を漸増的に添加することにより、pHを約6に調節した。合わせた水層を酢酸エチルで抽出し、合わせた有機層をNa2SO4上で乾燥させ、減圧下で濃縮した。得られた生成物(200 mg)を、先に得られたEDC活性化反応混合物に添加した。
【0298】
その混合物を、10% HClを用いてpH 9に調節し、濃縮して粗生成物を得た。粗生成物をメタノール(50 ml)中に溶かし、濾過した。その濾液を、0℃においてメチルtert-ブチルエーテル(200 ml)中へゆっくり滴下し、濾過して、主に2つのL-バリンモノ置換PP IX化合物を含む混合物としてPP IX-モノ-L-バリンを得た。
【0299】
質量分析法及び1H NMR分析は、主な生成物としてPP IX-モノ-L-バリンが得られたことを裏付けた。
【0300】
[PP IX-モノ-グリシン]
【化66】
【0301】
DMF(50 ml)中のプロトポルフィリンIX(500 mg, 0.89 mmol)及びN-ヒドロキシスクシンイミド(307 mg, 2.67 mmol)の混合物を0℃において1時間撹拌した。次いで、DMF(10 ml)中の1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩(512 mg, 2.67 mmol)の溶液をその反応混合物に添加し、室温において夜通し撹拌した。
【0302】
0℃に冷却した、水中のグリシンの溶液に、トリエチルアミン及び二炭酸ジ-tert-ブチルを添加した。その反応混合物を室温において2時間撹拌した。10% w/vクエン酸水溶液を漸増的に添加することにより、pHを約6に調節した。合わせた水層を酢酸エチルで抽出し、合わせた有機層をNa2SO4上で乾燥させ、減圧下で濃縮した。得られた生成物(200 mg)を、先に得られたEDC活性化反応混合物に添加した。
【0303】
10%のHClを用いて、その混合物をpH 9に調節し、濃縮して粗生成物を得た。その粗生成物をメタノール(50 ml)に溶かし、濾過した。その濾液を、0℃においてメチルtert-ブチルエーテル(200 ml)へゆっくり滴下し、濾過して、主に2つのグリシンモノ置換PP IX化合物を含む混合物としてPP IX-モノ-グリシンを得た。
【0304】
質量分析法及び1H NMR分析は、主な生成物としてPP IX-モノ-L-グリシンが得られたことを裏付けた。
【0305】
<生物学的活性>
(実施例1)
この実施例においては、PP IX及び修飾PP IXを用いた、グラム陰性菌の植物病原体であるシュードモナス・シリンガエ・タバキ (Pseudomonas syringae pv. tabaci)の防除を、キレート剤を用いて及びキレート剤を用いないで、評価した。96ウェルプレート中、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)中で処置剤を所望の濃度で調製した。そのPBSに細菌懸濁液を接種し、28℃において30分間暗所でインキュベートした。30分後、その96ウェルプレートを照射下に1時間(21℃において)置いた。照射後、細菌懸濁液を連続的に希釈し、各希釈液10 μLを、トリプシン大豆寒天(TSA)プレート上に一様に広げ、28℃において48時間のインキュベーター中、暗所に置いた。48時間後、細菌コロニーを数え、その結果を対数変換した(log コロニー形成単位(CFU)/mL)。logCFU(PBS対照)とlogCFU(処置)との間の差をとることにより、相対的な不活性化を求めた。試料照射は、LEDライト(Heliospectra RX30)によって与え、LEDライトは約1000 μmol/m2/sの光合成有効放射(PAR)を放射した。その結果を下の表1にまとめてある。
【0306】
【表1】
【0307】
(実施例2)
この実施例においては、PP IX及び修飾されたPP IXを用いたダラースポット真菌(スクレロチニア・ホモエオカルパ (Sclerotinia homoeocarpa))の防除を評価した。24ウェルプレート中で、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)中の処置剤を所望の濃度で調製した(明対暗のインキュベーションに対して二つ組)。次いで、スクレロチニア・ホモエオカルパ単離菌(合計3つの単離菌を試験した)の直径5 mmのプラグをPBS中に接種し、暗所で21℃において2時間インキュベートした。2時間後、24ウェルプレート(三つ組の単離菌)の1つを暗所に残し、24ウェルプレートの1つを照射下に1時間(すべて21℃)置いた。照射後、真菌プラグをPBSから取り出し、滅菌フィルター紙で吸い取り乾燥し、未修正ポテトデキストロース寒天(PDA)に移した。真菌の放射状増殖を、S.ホモエオカルパの増殖がペトリ皿の縁に到達するまで毎日モニターした。照射は、約1000 μmol/m2/sの光合成有効放射(PAR)を放射するLEDライトによって行った。その結果を、下の表2A及び表2Bにまとめてある。
【0308】
【表2】
【0309】
【表3】
【0310】
(実施例3)
修飾されたPP IX化合物での処置後の、宿主植物ニコティアナ・ベンタミアナ(Nicotiana benthamiana)上での真菌性植物病原体コレトトリカム・オルビクラレ(Colletotrichum orbiculare)ATC20767(Cgm)の防除を評価した。Cgmの胞子懸濁液を接種する約2時間前に、N・ベンタミアナ植物に処置を施した。次いで植物を24時間光に曝露し、続いて水で処置した対照の植物上で病徴が明らかになるまで暗所でインキュベートした。病徴が明らかになったら、病変数/cm2葉面積を判定するために、病変を数え、葉の面積を測定した。一つの処置当たり四つ組の植物を使用し、植物を光源下で無作為化した。照射は、約180μmol/m2/sの光合成有効放射(PAR)を放射するLEDライトによって行った。その結果を下に示す。
【0311】
【表4】
【0312】
本明細書において上に引用された刊行物、特許、及び特許文献はすべて、あたかも参照によって個々に組み込まれるかのように参照によって本明細書に援用する。本明細書において記載の化合物、組成物、方法、及び使用は、様々な実施形態及び方法を参照して記載されている。しかしながら、添付された特許請求の範囲の趣旨及び範囲内にとどまりつつ多くの変形及び修飾を行うことができることを当業者は理解している。