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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-14
(45)【発行日】2024-11-22
(54)【発明の名称】ポンプ
(51)【国際特許分類】
   F04D 29/44 20060101AFI20241115BHJP
   F04D 5/00 20060101ALI20241115BHJP
【FI】
F04D29/44 C
F04D5/00 G
【請求項の数】 1
(21)【出願番号】P 2020053512
(22)【出願日】2020-03-25
(65)【公開番号】P2021152356
(43)【公開日】2021-09-30
【審査請求日】2023-01-24
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106116
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 健司
(74)【代理人】
【識別番号】100151378
【弁理士】
【氏名又は名称】宮村 憲浩
(74)【代理人】
【識別番号】100157484
【弁理士】
【氏名又は名称】廣田 智之
(72)【発明者】
【氏名】窪田 章宏
【審査官】岸 智章
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-183630(JP,A)
【文献】特開昭58-101263(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F04D 29/44
F04D 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外周部分にインペラブレードを備えたインペラと、
前記インペラの周囲にインペラ流路を形成するケーシングと、
前記ケーシングに備えられ、前記インペラ流路に連通する吸込側流路、吐出側流路を有し、
前記吸込側流路の前記インペラ流路に接続する壁面のうち、前記インペラの回転方向上流側の壁面は、前記吸込側流路の曲がり部における曲がりの外側であり、前記インペラの回転方向上流側の壁面の延長線が前記インペラブレードの内周が形成する円周に接し、
前記吸込側流路の前記インペラの回転方向上流側の壁面に沿って前記インペラブレードの外周側から前記インペラブレードに流入した水が、前記インペラの回転とともに前記インペラ流路で昇圧され、前記吐出側流路へと流出するポンプ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水のくみ上げに使用されるポンプの構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種のポンプは、モータの回転軸に接続されたインペラを回転させて、ケーシングの吸込口から水を吸込み吐出口から吐出させるものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
以下、そのポンプについて図7を参照しながら説明する。
【0004】
図7に示すように、従来のポンプは、モータ101により駆動される羽根車102を有するポンプ部103と、該ポンプ部103に固定されると共に吐出口105を有するケーシング104と、該ケーシング104には前記羽根車102の回転により水を加圧するケーシング流路部106を有している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
そして、この目的を達成するために、本発明の一態様に係るポンプは、外周部分にインペラブレードを備えたインペラと、前記インペラの周囲にインペラ流路を形成するケーシングと、前記ケーシングに備えられ、前記インペラ流路に連通する吸込側流路、吐出側流路を有し、前記吸込側流路の前記インペラ流路に接続する壁面のうち、前記インペラの回転方向上流側の壁面は、前記吸込側流路の曲がり部における曲がりの外側であり、前記インペラの回転方向上流側の壁面の延長線が前記インペラブレードの内周が形成する円周に接し、前記吸込側流路の前記インペラの回転方向上流側の壁面に沿って前記インペラブレードの外周側から前記インペラブレードに流入した水が、前記インペラの回転とともに前記インペラ流路で昇圧され、前記吐出側流路へと流出することを特徴としたものであり、これにより所期の目的を達成するものである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来、ポンプ内の流路は、流路とインペラの回転部分(以後、昇圧部)とのつなぎ目において、滑らかに繋がれていないがために、損失を生み、インペラに負荷を与えている場合があった。上記の損失は、ポンプが機能を果たすうえで不必要であり、ポンプの仕事効率を低下させてしまうという課題を有していた。
【0007】
そこで本発明は、上記従来の課題を解決するものであり、ポンプ流路と昇圧部のつなぎ目において、不必要な損失を低減させ、仕事効率を良化させたポンプを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
そして、この目的を達成するために、本発明の一態様に係るポンプは、外周部分にインペラブレードを備えたインペラと、前記インペラの周囲にインペラ流路を形成するケーシングと、前記ケーシングに備えられ、前記流路に連通する吸込側流路、吐出側流路を有し、前記吸込側流路の前記インペラ流路に接続する壁面のうち、前記インペラの回転方向上流側の壁面の延長線が前記インペラブレードの内周が形成する円周に接することを特徴としたものであり、これにより所期の目的を達成するものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、吸込口がインペラブレード部に接線方向に備えられるため、水が流路内にスムーズに運ばれ、水の流れにかかる不必要な負荷を軽減させることが出来、仕事効率を良化させたポンプを提供することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の実施の形態1のポンプを示す斜視図
図2】同ポンプの斜視分解図
図3】同ケーシング正面断面図
図4】本発明の実施の形態2のポンプを示す斜視図
図5】同ケーシング正面断面図
図6】本発明の実施の形態1及び2のインペラを示す斜視図
図7】従来のポンプを示す概略図
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の一態様に係るは、外周部分にインペラブレードを備えたインペラと、前記インペラの周囲にインペラ流路を形成するケーシングと、前記ケーシングに備えられ、前記インペラ流路に連通する吸込側流路、吐出側流路を有し、前記吸込側流路の前記インペラ流路に接続する壁面のうち、前記インペラの回転方向上流側の壁面は、前記吸込側流路の曲がり部における曲がりの外側であり、前記インペラの回転方向上流側の壁面の延長線が前記インペラブレードの内周が形成する円周に接し、前記吸込側流路の前記インペラの回転方向上流側の壁面に沿って前記インペラブレードの外周側から前記インペラブレードに流入した水が、前記インペラの回転とともに前記インペラ流路で昇圧され、前記吐出側流路へと流出することを特徴とする。
【0012】
この構成によれば、吸込口がインペラブレード部に接線方向に備えられるため、水が流路内にスムーズに運ばれ、水の流れにかかる不必要な負荷を軽減させることが出来る。この結果、仕事効率を良化させたポンプを提供することが出来る。
【0013】
また、前記吐出側流路の前記インペラ流路に接続する壁面のうち、前記インペラの回転方向下流側の壁面の延長線が前記インペラブレードの内周が形成する円周に接するという構成にしてもよい。
【0014】
この構成によれば、吐出口はインペラブレード部の接線方向に備えられているため、昇圧された水が吐出口にスムーズに運ばれ、インペラにかかる不必要な負荷を軽減させることが出来る。このため、モータへの負荷軽減し、仕事効率を良化させたポンプを提供することが出来る。
【0015】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
【0016】
(実施の形態1)
図1図2図3及び図6に、本発明の実施の形態1の電動ポンプを示す。
【0017】
図1および図2に示すように、ポンプ1は、モータ4を有するモータ部と、インペラ5を内包するケーシング7と、ケーシングカバー8で構成されている。モータ4は、モータフレーム2及び回転軸3を有する。モータ4の回転軸3には、インペラ5が回転軸3の回転により回転可能に接続されている。ケーシング7は、吸込口9および吐出口12を備えており、流量スイッチ15は、ケーシング7の吐出口12側に取付けられている。ポンプ1はモータ4を冷却する冷却ファン31を有していても良い。
【0018】
図3に示すように、ケーシング7は、上流側にインペラ流路6に連通する吸込口9を備え、吸込口9からインペラ流路6に至る吸込口側流路10を備えている。ケーシング7は、下流側にインペラ流路6に連通する吐出口12を備え、インペラ流路6から吐出口12に至る吐出口側流路13を備えている。
【0019】
図6に示すように、インペラ5は、インペラブレード部11とインペラ内周部16とを有している。インペラブレード部11は、インペラ内周部16の外周側に周方向に複数のブレード(羽根)を設けた部分である。そして、インペラブレード部11は、ブレードの外周側となるブレード外周部19と、ブレードの内周側となるブレード内周部20を有している。
【0020】
本実施の形態における吸込口側流路10は、インペラ5の外周側に位置した吸込口から流入し、インペラの回転方向に流路が曲がる形状を有している。図3に示すように、インペラ5の回転軸に直交し、インペラ5を含んだ面で切断した断面図において、吸込口側流路10は、インペラ5の回転方向上流側に接続する面(吐出口側壁面22と呼ぶ)と、インペラ5の回転方向下流側に接続する面を有している。この吐出口側壁面22は、吸込口側流路10の曲がり部における曲がりの外側となっている。そして、吐出口側壁面22のインペラ5側に延ばした延長線は、ブレード内周部20に接している。
【0021】
このような構成により、インペラ5が回転軸3によって回転すると、ケーシング7内に水14が供給される。供給された水14がインペラ流路6を通過する時、インペラブレード部11によって水流が発生する。水流となった水14は、吸込口9、吸込口側流路10、吸込口側インペラ部17、インペラ流路6、吐出口側インペラ部18、吐出口側流路13、吐出口12の順に流れる。そして、最後に吐出口12から水14が排出される。
【0022】
ここで、図7に示す従来の吸込口側流路107と吸込口側インペラ部108の接続部分は、インペラブレード部109及び、インペラ内周部110に水が流れ込みやすい構造となっていた。すなわち、インペラブレード部109に対し、吸込口111からの水は径方向に近い角度で流入するので、インペラブレード部109からの力を受けにくく、その結果、中心部、すなわちインペラ内周部110まで流れ込む水が多くなる。そして、インペラ内周部110に水が入り込むと、本来、仕事をするはずのインペラブレード部109に運ばれる水が減少してしまい、ポンプ113の仕事量減少につながってしまう。
【0023】
また、インペラ内周部110に流れ込む水が多量となると、インペラ流路112を通過せずに吸込口側インペラ部108から吐出口側インペラ部115に流れてしまう水が生まれる可能性がある。そうすると、本来、インペラ流路112において昇圧されるはずの水が昇圧されずに吐出口側インペラ部115に運ばれてしまい、ポンプ113本来の機能を果たしにくくなる。さらに、昇圧されずに吐出口側インペラ部115に運ばれてしまう水は、インペラ流路112にて昇圧された水と衝突し損失を生む可能性もある。
【0024】
一方、前述したように、本発明の第1の実施の形態となるポンプ1においては、吸込口側流路10の吐出口側壁面22がインペラブレード部11のブレード内周部20に対して、接線方向に接続されている。この構造によって、水14が吸込口側流路10からインペラブレード部11にスムーズに運ばれ、インペラ内周部16に水14が運ばれにくくなっている。すなわち、吸込口側流路10を吐出口側壁面22に沿って吸込口側インペラ部17に流入した水は、インペラ5の回転に乗るようにしてブレードからの力を受ける。そして、インペラ5の回転とともにインペラ流路6で昇圧されて吐出口側インペラ部18、吐出口側流路13へと流出する。
【0025】
このような構成によれば、吸込口側流路10の出口方向と、インペラブレード部11の回転方向とが一致し、流れ込んだ水が効率よくインペラブレード部11に昇圧されていくことになる。このようにして、水14の流れにかかる損失を軽減させることが出来、仕事効率を良化させたポンプを提供することが出来る。
【0026】
(実施の形態2)
本発明第2の実施の形態として、ケーシング7における吐出口側流路13の構成について図4図5を用いて説明する。図4図5において、実施の形態1と同様の構成要素については同一の符号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0027】
本実施の形態における吐出口側流路13は、吐出口側インペラ部18から吐出口12に連通している。図5に示すように、インペラ5の回転軸に直交し、インペラ5を含んだ面で切断した断面図において、吐出口側流路13は、インペラ5の回転方向上流側に接続する面と、インペラ5の回転方向下流側に接続する面(吸込口側壁面23と呼ぶ)を有している。そして、この吐出口側流路13の吸込口側壁面23をインペラ5側に延ばした延長線は、ブレード内周部20に接している。
【0028】
ここで、従来の吐出口側流路116と吐出口側インペラ部115の接続部分では、インペラ流路112にて昇圧された水が吐出口側インペラ部115から吐出口側流路116に運ばれるのではなく、吸込口側流路107に運ばれやすい構造となっていた。すなわち、図7に示すように、従来の吐出口側流路116の吸込口側壁面117の延長線は、インペラ内周部110に交わるように配置されているので、インペラ流路112から流出する水が吸込口側壁面117に衝突し、吐出口側流路116へ流れにくくなる。そして、吐出口側流路116の入口で吐出口側流路116へのスムーズな流れが妨げられる。結果として昇圧された水が吸込口側流路107に運ばれることになる。このように、昇圧された水が吐出されにくくなり、ポンプ1の仕事量の減少につながる。
【0029】
一方、本発明のポンプ1は、吐出口側流路13の吸込口側壁面23はブレード内周部20に対して、接線方向に接続されている。この構造によれば、インペラ流路6から流出する水は吸込口側壁面23に衝突せず、スムーズに吐出口側流路13に流入する。従って、水14がインペラブレード部11から吐出口側流路13にスムーズに運ばれ、水14の流れにかかる損失を軽減させることが出来る。水の流れにかかる損失を軽減させることにより、仕事効率を良化させたポンプを提供することが出来る。
【0030】
なお、本実施の形態に加えて、第1の実施の形態における吸込側流路の構造を備えてもよい。
【0031】
以上、本発明に係るポンプについて、実施の形態に基づいて説明したが、本発明は、実施の形態に限定されるものではない。本発明の趣旨を逸脱しない限り、当業者が思いつく各種変形を本実施の形態に施したものや、異なる実施の形態における構成要素を組み合わせて構築される形態も、本発明の範囲内に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0032】
本発明に係るポンプは、水の損失を減少させ、軸及びモータにかかる負荷を減少させることが可能となるため、仕事効率の良いポンプとして有効である。
【符号の説明】
【0033】
1 ポンプ
2 モータフレーム
3 回転軸
4 モータ
5 インペラ
6 インペラ流路
7 ケーシング
8 ケーシングカバー
9 吸込口
10 吸込口側流路
11 インペラブレード部
12 吐出口
13 吐出口側流路
14 水
15 流量スイッチ
16 インペラ内周部
17 吸込口側インペラ部
18 吐出口側インペラ部
19 ブレード外周部
20 ブレード内周部
22 吐出口側壁面
23 吸込口側壁面
31 冷却ファン
101 モータ
102 羽根車
103 ポンプ部
104 ケーシング
105 吐出口
106 ケーシング流路部
107 吸込口側流路
108 吸込口側インペラ部
109 インペラブレード部
110 インペラ内周部
111 吸込口
112 インペラ流路
113 ポンプ
115 吐出口側インペラ部
116 吐出口側流路
117 吸込口側壁面
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7