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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-14
(45)【発行日】2024-11-22
(54)【発明の名称】監視システム、監視装置
(51)【国際特許分類】
   F24F 11/38 20180101AFI20241115BHJP
   F24F 11/58 20180101ALI20241115BHJP
【FI】
F24F11/38
F24F11/58
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2020197828
(22)【出願日】2020-11-30
(65)【公開番号】P2022086034
(43)【公開日】2022-06-09
【審査請求日】2023-10-12
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106116
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 健司
(74)【代理人】
【識別番号】100151378
【弁理士】
【氏名又は名称】宮村 憲浩
(74)【代理人】
【識別番号】100157484
【弁理士】
【氏名又は名称】廣田 智之
(72)【発明者】
【氏名】藤園 崇
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 康浩
(72)【発明者】
【氏名】木下 剛
(72)【発明者】
【氏名】稲垣 純
【審査官】町田 豊隆
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-265286(JP,A)
【文献】特開2003-185232(JP,A)
【文献】特開2020-122640(JP,A)
【文献】特開2006-023051(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0224148(US,A1)
【文献】特開2013-145078(JP,A)
【文献】特開2002-277032(JP,A)
【文献】特開2014-159957(JP,A)
【文献】国際公開第2018/220760(WO,A1)
【文献】特開2010-112696(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 11/38
F24F 11/58
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の空気調和装置を監視する監視システムであって、
前記複数の空気調和装置の運転情報を収集して蓄積する記憶装置と、
前記記憶装置に記憶した前記運転情報を使用して、前記複数の空気調和装置のメンテナンス時期を判定する監視装置を備え、
前記記憶装置は、
前記複数の空気調和装置のいずれかに異常が発生した場合に、前記記憶装置に記憶した当該異常が発生した空気調和装置の前記運転情報を基準データとして特定し、
前記基準データを特定した後、前記複数の空気調和装置のいずれかに新たな異常が発生した場合、当該新たな異常が発生した空気調和装置の前記運転情報を前記基準データに追加し、
前記監視装置は、
前記基準データを使用して、前記複数の空気調和装置のそれぞれに対して前記記憶装置に記憶した前記運転情報をもとにメンテナンス時期を判定する監視システム。
【請求項2】
前記空気調和装置は、エアコンディショナ、換気扇、送風機、ダクトのダンパ、熱交換換気装置の少なくとも1つを含む請求項に記載の監視システム。
【請求項3】
前記空気調和装置は、床暖房機、加湿機、除湿機の少なくとも1つを含む請求項に記載の監視システム。
【請求項4】
前記運転情報は、前記空気調和装置に対する設定温度と、前記空気調和装置による温度を含む請求項に記載の監視システム。
【請求項5】
前記複数の空気調和装置のそれぞれは、前記運転情報を前記記憶装置に送信する通信部を備え、
前記記憶装置は、インターネットを介して前記運転情報を収集する請求項に記載の監視システム。
【請求項6】
前記監視装置は、前記複数の空気調和装置のいずれかのメンテナンス時期を判定した場合
、メンテナンス対象となる前記空気調和装置に対応する端末装置への通知を実行する通知部を備える請求項に記載の監視システム。
【請求項7】
前記通知は、前記メンテナンス対象となる前記空気調和装置の識別情報およびメンテナンス必要箇所を含む請求項に記載の監視システム。
【請求項8】
複数の空気調和装置の運転情報を収集して蓄積する記憶部と、
前記記憶部に記憶した前記運転情報を使用して、前記複数の空気調和装置のメンテナンス時期を判定する判定部を備え、
前記記憶部は、
前記複数の空気調和装置のいずれかに異常が発生した場合に、前記記憶部に記憶した当該異常が発生した空気調和装置の前記運転情報を基準データとして特定し、
前記基準データを特定した後、前記複数の空気調和装置のいずれかに新たな異常が発生した場合、当該新たな異常が発生した空気調和装置の前記運転情報を前記基準データに追加し、
前記判定部は、
前記基準データを使用して、前記複数の空気調和装置のそれぞれに対して前記記憶部に記憶した前記運転情報をもとにメンテナンス時期を判定する監視装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、監視技術に関し、特にメンテナンス必要性を監視する監視システム、監視装置に関する。
【背景技術】
【0002】
複数個の居室を備えた高断熱・高気密家屋における空調システムでは、独立して設けられた少なくとも1つの空調室内の空調が制御され、空調された空気が空調室から各居室に搬送される(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】国際公開第19/107163号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
空調制御を実行する空調システムは、例えば1つの施設に1台だけ設置されるので、故障により空調を使用できなくなることは問題である。しかしながら、現状において、故障が発生してから対処がなされている。そのため、適切なタイミングでメンテナンスを実行することが求められる。
【0005】
本開示はこうした状況に鑑みなされたものであり、その目的は、メンテナンスの時期を判定する技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本開示のある態様の監視システムは、複数の空気調和装置を監視する監視システムであって、複数の空気調和装置の運転情報を収集して蓄積する記憶装置と、記憶装置に記憶した運転情報を使用して、複数の空気調和装置のメンテナンス時期を判定する監視装置を備える。記憶装置は、複数の空気調和装置のいずれかに異常が発生した場合に、記憶装置に記憶した当該異常が発生した空気調和装置の運転情報を基準データとして特定し、基準データを特定した後、複数の空気調和装置のいずれかに新たな異常が発生した場合、当該新たな異常が発生した空気調和装置の運転情報を基準データに追加する。監視装置は、基準データを使用して、複数の空気調和装置のそれぞれに対して記憶装置に記憶した運転情報をもとにメンテナンス時期を判定する。
【0007】
本開示の別の態様は、監視装置である。この装置は、複数の空気調和装置の運転情報を収集して蓄積する記憶部と、記憶部に記憶した運転情報を使用して、複数の空気調和装置のメンテナンス時期を判定する判定部を備える。記憶部は、複数の空気調和装置のいずれかに異常が発生した場合に、記憶部に記憶した当該異常が発生した空気調和装置の運転情報を基準データとして特定し、基準データを特定した後、複数の空気調和装置のいずれかに新たな異常が発生した場合、当該新たな異常が発生した空気調和装置の運転情報を基準データに追加する。判定部は、基準データを使用して、複数の空気調和装置のそれぞれに対して記憶部に記憶した運転情報をもとにメンテナンス時期を判定する。
【0008】
なお、以上の構成要素の任意の組合せ、本開示の表現を方法、装置、システム、記録媒体、コンピュータプログラムなどの間で変換したものもまた、本開示の態様として有効である。
【発明の効果】
【0009】
本開示によれば、メンテナンスの時期を判定できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】実施例に係る住宅の構成を示す図である。
図2図1の制御装置を含む監視システムの構成を示す図である。
図3図2の記憶装置に記憶されるデータベースのデータ構造を示す図である。
図4図2の監視システムによる監視手順を示すシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本開示の実施例を具体的に説明する前に、実施例の概要を説明する。本実施例は、住宅等の施設に設けられ、施設に対する全館空調を実行する空調システムに関する。前述のごとく、空調制御を実行する空調システムは、1つで施設内の空調を実行するので、故障すると施設内の空調がなされなくなる。また、空調システムは多くの種類の機器で構成されるので、どの機器に不具合が生じているのかの特定が困難である。さらに、施設毎に構成機器の種類、機器数が異なるので、不具合に対する定型パターンを定義しにくく、専門家の判断が必要になるケースが多い。例えば、部屋の設定温度と実際の温度との差が大きいという不具合が生じた場合に、エアコンディショナ本体、搬送用の送風機、ダンパ等の不具合が考えられる。
【0012】
本実施例は、各空調システムの運転の状況が示された運転情報を収集し、そのうち異常が発生した機器の運転情報を基準データとして、運転情報に対する学習処理を実行する。学習処理の結果に対して新たな運転情報を入力することによって、機器に対するメンテナンスの時期が特定される。また、メンテナンスの時期を特定した場合に、そのことを端末装置に通知する。以下の説明において、風量とは、単位時間、例えば1時間あたりの風量を示す。
【0013】
以下に説明する実施例は、いずれも本開示の好ましい一具体例を示す。よって、以下の実施例で示される、数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置及び接続形態、並びに、ステップ(工程)及びステップの順序などは、一例であって本開示を限定する主旨ではない。したがって、以下の実施例における構成要素のうち、本開示の最上位概念を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。また、各図において、実質的に同一の構成に対しては同一の符号を付しており、重複する説明は省略又は簡略化する。
【0014】
図1は、住宅100の構成を示す。住宅100には、換気装置20、空気調和装置30、制御装置40を含む空調システムが配置される。空調システムは換気制御システム、換気システム、全館空調システムとも呼ばれる。住宅100は、領域10と総称される第1領域10a、第2領域10bを含む。領域10は、例えば、部屋、リビングルーム、ダイニングルーム、キッチンである。住宅100に含まれる領域10の数は「2」に限定されず、住宅100は非住宅を含む施設であってもよい。
【0015】
住宅100の外壁には外気導入口(図示せず)が設置される。外気導入口から住宅100の内部に向かって外気風路50が延びる。外気風路50は外気導入ダクトとも呼ばれる。外気風路50は、換気装置20に接続される。換気装置20には、外気導入ファン(図示せず)が設置され、外気導入ファンの回転により、外気導入口から外気60が取り込まれ、外気60が外気風路50を通って換気装置20に流入される。外気風路50は、換気装置20からさらに延びて、第1循環風路54aに接続され、換気装置20からの外気60を第1循環風路54aに流入させる。
【0016】
換気装置20には、排気風路52も接続される。排気風路52は排気ダクトとも呼ばれる。排気風路52は、各領域10から換気装置20を経由して住宅100の外壁に向かって延びる。住宅100の外壁には排気口(図示せず)が設置され、排気口には排気風路52が接続される。換気装置20は、排気ファン(図示せず)の回転により、排気風路52を通って排気口から排気62を排出する。このように排気風路52は、第1領域10aと第2領域10bからの排気62を集合させ、1つの排気口から屋外へ排気62を排出する。その結果、換気装置20により、互いに異なった第1領域10aと第2領域10bに対する換気がなされ、領域10の内外の空気が入れかえられる。換気装置20において熱交換がなされてもよい。
【0017】
住宅100の内部には、各領域10から空気調和装置30に延びる第1循環風路54aと、空気調和装置30から各領域10に延びる第2循環風路54bとが設置される。第1循環風路54aは還気ダクトとも呼ばれ、第2循環風路54bは給気ダクトとも呼ばれる。第1循環風路54aと第2循環風路54bとを接続した風路は環状に構成される。第1循環風路54a、第2循環風路54bは循環風路54と総称される。第1循環風路54aには、各領域10からの還気64が流入される。前述のごとく、第1循環風路54aは外気風路50に接続されるので、還気64には外気60が混合される。
【0018】
空気調和装置30には、還気64と外気60の混合空気が第1循環風路54aから流入される。空気調和装置30のエアコンディショナ32は、還気64と外気60の混合空気に対して、空調を制御する。エアコンディショナ32は、空気の温度が設定された目標温度となるように、還気64と外気60の混合空気を冷却または加熱する。目標温度は、制御装置40により設定される。エアコンディショナ32は、加湿および除湿機能を有してもよい。
【0019】
エアコンディショナ32からの空気はHEPAフィルタ(High Efficiency Particulate Air)34に流入される。HEPAフィルタ34は、エアフィルタであり、エアコンディショナ32において空調がなされた空気中からゴミ、塵埃などを取り除き、清浄された空気を出力する。HEPAフィルタ34を通過した空気は、空気調和装置30からの空気として、空気調和装置30に含まれる送風機(図示せず)により出力される。送風機の風量は後述の制御装置40により制御可能である。
【0020】
空気調和装置30が第1領域10aと第2領域10bにおける温度を制御するために、空気調和装置30には、第2循環風路54bが接続される。第2循環風路54bは第1領域10aと第2領域10bまで延びる。第1領域10aと第2領域10bのそれぞれには吹出口(図示せず)が設けられ、各吹出口は第2循環風路54bに接続される。空気調和装置30から出力される給気66は、第2循環風路54bを通って、吹出口から領域10に吹き出す。第1領域10aの吹出口には第1ダンパ12aが設置され、第2領域10bの吹出口には第2ダンパ12bが設置される。第1ダンパ12a、第2ダンパ12bはダンパ12と総称され、ダンパ12は開度を調節することによって、吹出口から領域10に吹き出される給気66の風量を調節する。第1ダンパ12aと第2ダンパ12bの開度の調節は制御装置40により制御される。
【0021】
第1領域10aと第2領域10bのそれぞれには吸込口(図示せず)が設けられ、各吸込口は第1循環風路54aに接続される。空気調和装置30の動作により、各領域10からの還気64は、吸込口から第1循環風路54aに流入する。これに続いて、還気64は、前述のごとく、第1循環風路54aを通って空気調和装置30に吸い込まれる。つまり、循環風路54は、空気調和装置30が領域10内の空気を吸い込んでHEPAフィルタ34によって浄化した後、領域10内に吹き出して循環させる。
【0022】
第1領域10aには第1温度センサ74aが設置される。第1温度センサ74aは、第1領域10aの温度を検出するためのセンサである。第1温度センサ74aは、無線通信等の通信機能を有し、検出した温度(以下、「第1温度計測値」という)を制御装置40に送信する。第2領域10bには第2温度センサ74bが設置される。第2温度センサ74bは、第2領域10bの温度を検出するためのセンサである。第2温度センサ74bは、無線通信等の通信機能を有し、検出した温度(以下、「第2温度計測値」という)を制御装置40に送信する。第1温度センサ74a、第2温度センサ74bは、温度センサ74と総称され、第1温度計測値、第2温度計測値は温度計測値と総称される。領域10に設置されるセンサは、温度センサ74に限定されず、湿度センサ、COセンサ等が設置されていてもよい。
【0023】
制御装置40は、空調システム全体を制御するシステムコントローラである。制御装置40は、IF部42、制御部44、記憶部46を含む。IF部42は、ダンパ12、換気装置20、空気調和装置30、温度センサ74と、無線通信により通信可能に接続される。無線通信で接続されることにより、複雑な配線工事が不要になる。しかしながら、これらのうちの少なくとも一部が有線通信により通信可能に接続されてもよい。IF部42は、第1温度センサ74aから第1温度計測値を受信し、第2温度センサ74bから第2温度計測値を受信する。
【0024】
記憶部46には所定の情報が記憶される。例えば、第1領域10aに対する設定温度(以下、「第1設定温度」という)と、第2領域10bに対する設定温度(以下、「第2設定温度」という)とが記憶部46に記憶される。第1設定温度と第2設定温度は、操作部(図示せず)を介してユーザにより設定される。第1設定温度、第2設定温度は、設定温度と総称される。
【0025】
制御部44は、第1温度計測値、第2温度計測値をもとに換気装置20、空気調和装置30、ダンパ12に対する制御の内容を決定する。例えば、制御部44は、温度計測値と設定温度との差異が小さくなるように、ダンパ12の開度を決定する。具体的には、第1領域10aを冷房時に温度計測値が設定温度よりも高い場合、制御部44は、第1ダンパ12aの開度を現在よりも開くように設定する。また、第1領域10aを冷房時に温度計測値が設定温度よりも低い場合、制御部44は、第1ダンパ12aの開度を現在よりも閉めるように設定する。制御部44は、このような処理を各領域10に対して実行する。
【0026】
記憶部46は、ダンパ12の開度と給気66の風量との対応関係が示されたテーブルを予め記憶しており、制御部44は、テーブルを参照して、設定した開度から給気66の風量を取得する。制御部44は、各領域10に対する給気66の風量の積算値を導出する。
【0027】
記憶部46は、規定値、例えば1時間当たり2回の換気回数を満たすための合計風量設定値を記憶する。1時間当たり2回の換気回数は、感染症対策として定められた値である。制御部44は、記憶部46に記憶した合計風量設定値から、積算値を減算することによって排気62の風量を決定する。排気62の風量は、合計風量設定値から積算値を減算した値より大きくてもよい。排気62の風量は、外気60の風量と同等である。制御部44は、排気62の風量あるいは外気60の風量を実現するための換気装置20の風量を決定する。
【0028】
制御部44は、各ダンパ12の開度を指示するための制御信号(以下、「第1制御信号」という)をIF部42に出力する。制御部44は、換気装置20の風量を指示するための制御信号(以下、「第2制御信号」という)をIF部42に出力する。制御部44は、空気調和装置30の風量を指示するための制御信号(以下、「第3制御信号」という)をIF部42に出力してもよい。IF部42は、第1制御信号を各ダンパ12に送信し、第2制御信号を換気装置20に送信し、第3制御信号を空気調和装置30に送信する。
【0029】
空気調和装置30には、ダクトのダンパ12、熱交換換気装置、床暖房機、加湿機、除湿機の少なくとも1つが含まれてもよく、空気調和装置30が前述の機器に相当する。
【0030】
図2は、制御装置40を含む監視システム1000の構成を示す。監視システム1000は、住宅100と総称される第1住宅100a、第2住宅100b、・・・、第N住宅100nのそれぞれに設置される空気調和装置30(図示せず)を監視する。監視システム1000は、制御装置40と総称される第1制御装置40a、第2制御装置40c、・・・、第N制御装置40n、ネットワーク300、監視装置400、記憶装置600、使用者端末装置700、保守用端末装置800を含む。監視装置400は、学習部410、判定部420、通知部430を含む。使用者端末装置700は、通信部710、処理部720、操作部730、表示部740を含み、通信部710は、送信部712、受信部714を含み、処理部720は、入力部722を含む。保守用端末装置800は、通信部810、処理部820、操作部830、表示部840を含み、通信部810は、送信部812、受信部814を含み、処理部820は、設定部822を含む。
【0031】
各住宅100には図1のような空調システムが設置され、1つの住宅100には1つの制御装置40が設置される。制御装置40のIF部42は、通信機能を有し、ネットワーク300に接続される。ネットワーク300は、有線あるいは無線のネットワークであり、インターネットである。制御装置40のIF部42は、空気調和装置30の運転情報をネットワーク300経由で記憶装置600に送信する。運転情報は、空気調和装置30に対する設定温度と、空気調和装置30による温度計測値を含む。また、制御装置40を識別するための識別情報も含まれる。運転情報に含まれる情報はこれらに限定されない。運転情報は定期的に送信される。
【0032】
記憶装置600は、ネットワーク300であるインターネットを介して各制御装置40からの運転情報を収集し、複数の空気調和装置30の運転情報を蓄積する。図3は、記憶装置600に記憶されるデータベースのデータ構造を示す。図示のごとく、識別情報と運転情報とが対応づけられる。例えば、運転情報「K1」には、識別情報「J1」の制御装置40から定期的に受信した運転情報が蓄積されている。運転情報の蓄積期間は予め定められていればよい。複数の住宅100のいずれかに設置された空気調和装置30のいずれかに異常が発生した場合、記憶装置600は、ユーザの操作により、記憶装置600に記憶した運転情報のうち、当該異常が発生した空気調和装置30の運転情報を基準データとして特定する。図3では、運転情報「K2」が基準データとして特定される。
【0033】
監視装置400の学習部410は、異常が発生したときの基準データを教師データとして、記憶装置600に記憶された運転情報をもとにニューラルネットワークを学習させる。ニューラルネットワークについては公知の技術が使用されればよいので、ここでは説明を省略する。判定部420は、学習部410において学習したニューラルネットワークに、記憶装置600に記憶した運転情報を入力することによって、複数の空気調和装置30のそれぞれに対するメンテナンス時期を判定する。これは、基準データを使用して、複数の空気調和装置30のそれぞれに対して記憶装置600に記憶した運転情報をもとにメンテナンス時期を判定することに相当する。
【0034】
判定部420が複数の空気調和装置30のいずれかにおいて異常が発生しうると判定した場合、通知部430は、ネットワーク300を介して使用者端末装置700と保守用端末装置800に通知を送信する。判定部420が複数の空気調和装置30のいずれかにおいて異常が発生しうると判定した場合とは、判定部420が複数の空気調和装置30のいずれかのメンテナンス時期を判定した場合に相当する。使用者端末装置700と保守用端末装置800は、例えば、スマートフォン、タブレット端末、PCであり、通信機能を有する。ここで、通知の送信先となる使用者端末装置700は、メンテナンス対象となる空気調和装置30を設置した住宅100の居住者(ユーザ)に使用される端末装置である。また、通知の送信先となる保守用端末装置800は、管理会社の保守管理者に使用される端末装置である。通知は、メンテナンス対象となる空気調和装置30の識別情報およびメンテナンス必要箇所を含む。
【0035】
監視装置400の判定部420が前述の処理を実行している際に、複数の空気調和装置30のいずれかに新たな異常が発生した場合、記憶装置600は、基準データを特定した後であっても、当該新たな異常が発生した空気調和装置30の運転情報を基準データに追加する。基準データの追加は、基準データの特定と同様になされればよい。学習部410は、追加した基準データをもとに、学習済みのニューラルネットワークを再学習させることによって、ニューラルネットワークを更新する。判定部420は、更新されたニューラルネットワークを処理に使用する。
【0036】
使用者端末装置700の通信部710は、ネットワーク300に接続されており監視装置400、保守用端末装置800との通信を実行可能である。受信部714は、ネットワーク300を介して監視装置400からの通知を受信する。処理部720は、通知の内容を表示部740に表示させる。居住者は、表示部740の表示をもとに、空気調和装置30についてのメンテナンス時期を確認する。居住者は、操作部730を介して、ネットワーク300に対するメンテナンスを許可する操作を入力する。操作部730と表示部740は、例えば、タッチパネルとして一体的に構成されてもよい。処理部720は、操作部730から許可の操作を受けつけると、メンテナンスの依頼するための指令を生成する。送信部712は、ネットワーク300を介して保守用端末装置800に指令を送信する。
【0037】
保守用端末装置800の通信部810は、ネットワーク300に接続されており監視装置400、使用者端末装置700との通信を実行可能である。受信部714は、ネットワーク300を介して監視装置400からの通知と使用者端末装置700からの指令を受信する。処理部820の設定部822は、受信部814が指令を受信した場合に、メンテナンスのスケジュールを設定する。メンテナンスのスケジュールの設定は、操作部830に表示された画面に対して、保守管理者が操作部830を操作することにより入力される。送信部812は、メンテナンスのスケジュールをネットワーク300経由で使用者端末装置700に送信する。
【0038】
使用者端末装置700の受信部714は、保守用端末装置800からのメンテナンスのスケジュールを受信する。処理部720は、メンテナンスのスケジュールを表示部740に表示させる。居住者は、メンテナンスのスケジュールを許諾する場合、操作部730を操作して許諾を入力する。処理部720は、操作部730が許諾を受けつけた場合、許諾の通知を送信部712から保守用端末装置800に送信させる。
【0039】
許諾の通知を送信した後、保守管理者による空気調和装置30のメンテナンスが完了すると、居住者は、操作部730を操作してメンテナンス完了を入力する。処理部720は、操作部730がメンテナンス完了を受けつけた場合、メンテナンス完了の通知を送信部712から保守用端末装置800に送信させる。保守用端末装置800の受信部814は、使用者端末装置700からのメンテナンス完了の通知を受信する。処理部820は、受信部814がメンテナンス完了の通知を受信すると、請求処理を始める。請求処理には公知の技術が使用されればよいので、ここでは説明を省略する。
【0040】
本開示における装置、システム、または方法の主体は、コンピュータを備えている。このコンピュータがプログラムを実行することによって、本開示における装置、システム、または方法の主体の機能が実現される。コンピュータは、プログラムにしたがって動作するプロセッサを主なハードウェア構成として備える。プロセッサは、プログラムを実行することによって機能を実現することができれば、その種類は問わない。プロセッサは、半導体集積回路(IC)、またはLSI(Large Scale Integration)を含む1つまたは複数の電子回路で構成される。複数の電子回路は、1つのチップに集積されてもよいし、複数のチップに設けられてもよい。複数のチップは1つの装置に集約されていてもよいし、複数の装置に備えられていてもよい。プログラムは、コンピュータが読み取り可能なROM、光ディスク、ハードディスクドライブなどの非一時的記録媒体に記録される。プログラムは、記録媒体に予め格納されていてもよいし、インターネット等を含む広域通信網を介して記録媒体に供給されてもよい。
【0041】
以上の構成による空調システムの動作を説明する。図4は、監視システム1000による監視手順を示すシーケンス図である。監視装置400は、メンテナンス時期を判定する(S10)。監視装置400は、通知を使用者端末装置700と保守用端末装置800に送信する(S12、S14)。使用者端末装置700は、保守を許可する(S16)と、指令を保守用端末装置800に送信する(S18)。保守用端末装置800は、スケジュールを設定する(S20)と、スケジュールを使用者端末装置700に送信する(S22)。
【0042】
本実施例によれば、当該異常が発生した空気調和装置30の運転情報である基準データを使用して、複数の空気調和装置30のそれぞれに対して運転情報をもとにメンテナンス時期を判定するので、メンテナンスの時期を高精度に判定できる。また、記憶装置600は、基準データを特定した後に新たな異常が発生した場合、当該新たな異常が発生した空気調和装置30の運転情報を基準データに追加するので、学習の精度を向上できる。また、空気調和装置30は、エアコンディショナ32、換気扇、送風機、ダクトのダンパ、熱交換換気装置の少なくとも1つを含むので、さまざまな設備機器のメンテナンス時期を監視できる。
【0043】
また、空気調和装置30は、床暖房機、加湿機、除湿機の少なくとも1つを含むので、さまざまな設備機器のメンテナンス時期を監視できる。また、運転情報は、空気調和装置30に対する設定温度と温度計測値を含むので、温度をもとにメンテナンス時期を判定できる。また、記憶装置600は、インターネットを介して運転情報を収集するので、多くの空気調和装置30の運転情報を収集できる。また、監視装置400は、複数の空気調和装置30のいずれかのメンテナンス時期を判定した場合、端末装置への通知を実行するので、メンテナンス時期を知らせることができる。また、通知は、メンテナンス対象となる空気調和装置30の識別情報およびメンテナンス必要箇所を含むので、保守作業を容易にできる。
【0044】
また、運転情報をもとに空気調和装置30のメンテナンス時期を判定した場合に、保守用端末装置800と使用者端末装置700とに通知を送信し、使用者端末装置700は空気調和装置30に対する保守を許可する操作がなされると、保守用端末装置800に指令を送信するので、メンテナンスの時期を判定できる。また、運転情報をもとに空気調和装置30のメンテナンス時期を判定した場合に、保守用端末装置800と使用者端末装置700とに通知を送信し、使用者端末装置700は空気調和装置30に対する保守を許可する操作がなされると、保守用端末装置800に指令を送信するので、保守作業を実行できる。
【0045】
また、運転情報と追加情報をもとに空気調和装置30のメンテナンス時期を判定するので、判定精度を向上できる。また、保守用端末装置800は、指令を受信した場合に、メンテナンスのスケジュールを設定し、メンテナンスのスケジュールを使用者端末装置700に送信するので、保守作業を実行できる。また、保守用端末装置800は、使用者端末装置700から受信した指令に応じたメンテナンスの完了後に完了の操作を受けつけると、請求処理を始めるので、処理を簡易にできる。
【0046】
本開示の一態様の概要は、次の通りである。本開示のある態様の監視システム(1000)は、複数の空気調和装置(30)を監視する監視システム(1000)であって、複数の空気調和装置(30)の運転情報を収集して蓄積する記憶装置(600)と、記憶装置(600)に記憶した運転情報を使用して、複数の空気調和装置(30)のメンテナンス時期を判定する監視装置(400)を備える。記憶装置(600)は、複数の空気調和装置(30)のいずれかに異常が発生した場合に、記憶装置(600)に記憶した当該異常が発生した空気調和装置(30)の運転情報を基準データとして特定し、監視装置(400)は、基準データを使用して、複数の空気調和装置(30)のそれぞれに対して記憶装置(600)に記憶した運転情報をもとにメンテナンス時期を判定する。
【0047】
記憶装置(600)は、基準データを特定した後、複数の空気調和装置(30)のいずれかに新たな異常が発生した場合、当該新たな異常が発生した空気調和装置(30)の運転情報を基準データに追加してもよい。
【0048】
空気調和装置(30)は、エアコンディショナ(32)、換気扇、送風機、ダクトのダンパ、熱交換換気装置の少なくとも1つを含んでもよい。
【0049】
空気調和装置(30)は、床暖房機、加湿機、除湿機の少なくとも1つを含んでもよい。
【0050】
運転情報は、空気調和装置(30)に対する設定温度と、空気調和装置(30)による温度を含んでもよい。
【0051】
複数の空気調和装置(30)のそれぞれは、運転情報を記憶装置(600)に送信する通信部を備えてもよい。記憶装置(600)は、インターネットを介して運転情報を収集してもよい。
【0052】
監視装置(400)は、複数の空気調和装置(30)のいずれかのメンテナンス時期を判定した場合、メンテナンス対象となる空気調和装置(30)に対応する端末装置への通知を実行する通知部(430)を備えてもよい。
【0053】
通知は、メンテナンス対象となる空気調和装置(30)の識別情報およびメンテナンス必要箇所を含んでもよい。
【0054】
本開示の別の態様は、監視装置(400)である。この装置は、複数の空気調和装置(30)の運転情報を収集して蓄積する記憶部と、記憶部に記憶した運転情報を使用して、複数の空気調和装置(30)のメンテナンス時期を判定する判定部(420)を備える。記憶部は、複数の空気調和装置(30)のいずれかに異常が発生した場合に、記憶部に記憶した当該異常が発生した空気調和装置(30)の運転情報を基準データとして特定し、判定部(420)は、基準データを使用して、複数の空気調和装置(30)のそれぞれに対して記憶部に記憶した運転情報をもとにメンテナンス時期を判定する。
【0055】
本開示のさらに別の態様もまた、監視システム(1000)である。このシステムは、少なくとも1つの設備機器(30)と、設備機器(30)とネットワークを介して接続される監視装置(400)と、保守管理者に保有され、ネットワークを介して監視装置(400)と接続される保守用端末装置(800)と、ユーザに保有され、ネットワークを介して監視装置(400)と接続される使用者端末装置(700)とを備える。設備機器(30)は、運転情報を監視装置(400)に送信し、監視装置(400)は、運転情報をもとに設備機器(30)のメンテナンス時期を判定し、監視装置(400)は、設備機器(30)のメンテナンス時期を判定した場合に、保守用端末装置(800)と使用者端末装置(700)とに通知を送信し、使用者端末装置(700)は、通知を受信し、設備機器(30)に対する保守を許可する操作がなされると、保守用端末装置(800)に指令を送信する。
【0056】
使用者端末装置(700)は、設備機器(30)についての追加情報を入力する入力部(722)と、入力部(722)に入力された追加情報を監視装置(400)に送信する送信部(712)を備えてもよい。監視装置(400)は、運転情報と追加情報をもとに設備機器(30)のメンテナンス時期を判定してもよい。
【0057】
保守用端末装置(800)は、使用者端末装置(700)から指令を受信した場合に、メンテナンスのスケジュールを設定する設定部(822)と、設定部(822)において設定したメンテナンスのスケジュールを使用者端末装置(700)に送信する送信部(812)を備えてもよい。
【0058】
保守用端末装置(800)は、使用者端末装置(700)から受信した指令に応じたメンテナンスの完了後に完了の操作を受けつけると、請求処理を始めてもよい。
【0059】
以上、本開示を実施例をもとに説明した。この実施例は例示であり、それらの各構成要素あるいは各処理プロセスの組合せにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本開示の範囲にあることは当業者に理解されるところである。
【0060】
実施例における記憶部46は制御装置40に含まれる。しかしながらこれに限らず例えば、記憶部46は記憶装置として制御装置40に接続されてもよい。本変形例によれば、構成の自由度を向上できる。
【0061】
本実施例における監視装置400は、ネットワーク300を介して記憶装置600に接続される。しかしながらこれに限らず例えば、記憶装置600は記憶部として監視装置400に含まれてもよい。本変形例によれば、構成の自由度を向上できる。
【0062】
本実施例における判定部420は、運転情報をもとに空気調和装置30のメンテナンス時期を判定する。しかしながらこれに限らず例えば、使用者端末装置700の入力部722は、空気調和装置30についての追加情報の入力を受けつけ、送信部712は、追加情報を監視装置400に送信し、監視装置400の判定部420は、運転情報と追加情報をもとにメンテナンス時期を判定してもよい。追加情報は、例えば、異音、冷えない、暖かくならない、焦げ臭い、動いていない箇所、リモコン動作不具合に関する情報を含む。本変形例によれば判定精度を向上できる。
【符号の説明】
【0063】
10 領域、 12 ダンパ、 20 換気装置、 30 空気調和装置、 32 エアコンディショナ、 34 HEPAフィルタ、 40 制御装置、 42 IF部、 44 制御部、 46 記憶部、 50 外気風路、 52 排気風路、 54 循環風路、 60 外気、 62 排気、 64 還気、 66 給気、 74 温度センサ、 100 住宅、 220 判定部、 300 ネットワーク、 400 監視装置、 410 学習部、 420 判定部、 430 通知部、 600 記憶装置、 700 使用者端末装置、 710 通信部、 712 送信部、 714 受信部、 720 処理部、 722 入力部、 730 操作部、 740 表示部、 800 保守用端末装置、 810 通信部、 812 送信部、 814 受信部、 820 処理部、 822 設定部、 830 操作部、 840 表示部、 1000 監視システム。
図1
図2
図3
図4