(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-14
(45)【発行日】2024-11-22
(54)【発明の名称】投写型映像表示装置
(51)【国際特許分類】
G03B 21/14 20060101AFI20241115BHJP
G03B 21/00 20060101ALI20241115BHJP
F21S 2/00 20160101ALI20241115BHJP
F21V 5/02 20060101ALI20241115BHJP
F21V 9/40 20180101ALI20241115BHJP
F21V 8/00 20060101ALI20241115BHJP
F21V 7/00 20060101ALI20241115BHJP
F21V 7/28 20180101ALI20241115BHJP
F21Y 115/30 20160101ALN20241115BHJP
【FI】
G03B21/14 Z
G03B21/14 A
G03B21/00 F
F21S2/00 330
F21S2/00 355
F21V5/02 400
F21V9/40 100
F21V8/00 300
F21V7/00 590
F21V7/28 240
F21Y115:30
(21)【出願番号】P 2021573102
(86)(22)【出願日】2021-01-14
(86)【国際出願番号】 JP2021000962
(87)【国際公開番号】W WO2021149573
(87)【国際公開日】2021-07-29
【審査請求日】2024-01-10
(31)【優先権主張番号】P 2020006914
(32)【優先日】2020-01-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106116
【氏名又は名称】鎌田 健司
(74)【代理人】
【識別番号】100151378
【氏名又は名称】宮村 憲浩
(74)【代理人】
【識別番号】100157484
【氏名又は名称】廣田 智之
(72)【発明者】
【氏名】奥田 倫弘
(72)【発明者】
【氏名】栗田 礼
【審査官】中村 直行
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-063448(JP,A)
【文献】特開2015-114621(JP,A)
【文献】特開2013-120250(JP,A)
【文献】特開平09-073650(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0138516(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2007/0053275(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03B 21/00 ー 21/64
F21S 2/00
F21V 5/02
F21V 9/40
F21V 8/00
F21V 7/00
F21V 7/28
F21Y 115/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の固体光源を含む固体光源アレーと、
前記固体光源アレーからの出射光を拡散する第1の拡散板と、
前記第1の拡散板を透過した光を均一化する光均一化素子と、
前記光均一化素子から得られる光を映像信号で変調して映像光を生成する光変調素子と、
前記光変調素子で生成された映像光を投写する投写ユニットと、を備え、
前記第1の拡散板は、第1の方向と前記第1の方向に垂直な第2の方向に対して異なる拡散特性を有しており、前記固体光源アレーからの前記出射光を透過し透過した前記出射光の角度分布の縦横比が略1となるように前記出射光を拡散する、
投写型映像表示装置。
【請求項2】
前記第1の拡散板を前記第1の方向または前記第2の方向に一定周期で振動させる移動機構をさらに備える、
請求項1に記載の投写型映像表示装置。
【請求項3】
前記第1の方向と前記第2の方向に対して実質的に同じ拡散特性を有する第2の拡散板をさらに備え、
前記第2の拡散板は、前記固体光源アレーと前記第1の拡散板の間に配置される、
請求項1または2に記載の投写型映像表示装置。
【請求項4】
前記複数の固体光源の各々は、レーザダイオードである、
請求項1~3のいずれかに記載の投写型映像表示装置。
【請求項5】
前記光均一化素子は、ロッドインテグレータである、
請求項1~4のいずれかに記載の投写型映像表示装置。
【請求項6】
前記第1の方向と前記第2の方向に対して実質的に同じ拡散特性を有する第2の拡散板をさらに備え、
前記第2の拡散板は、前記第1の拡散板と前記光均一化素子の間に配置される、
請求項1または2に記載の投写型映像表示装置。
【請求項7】
前記第2の拡散板を前記第1の方向または前記第2の方向に一定周期で振動させる移動機構をさらに備える、
請求項3または6に記載の投写型映像表示装置。
【請求項8】
前記固体光源アレーからの前記出射光は、前記第1の方向に第1の拡散角度成分、前記第2の方向に第2の拡散角度成分を持って、前記第1の拡散板に入射し、
前記第1の拡散板は、前記第1の方向に第1の拡散角、前記第2の方向に第2の拡散角の拡散特性を持ち、
前記第1の拡散角度成分と前記第1の拡散角との和は、前記第2の拡散角度成分と前記第2の拡散角との和に実質的に一致する、
請求項1~7のいずれかに記載の投写型映像表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、固体光源アレーから出射される光を拡散板で拡散し、拡散された光を光均一化素子で均一化する光源装置を備えた投写型映像表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、出射されるレーザ光束の均一程度を向上させるため、角度分布制御素子を用いてレーザ光束の長軸および短軸の発散角比率を調整する投写型映像表示装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【0004】
本開示は、スペックルノイズを抑制できる光源装置を備えた投写型映像表示装置を提供する。
【0005】
本開示の投写型映像表示装置は、複数の固体光源を含む固体光源アレーと、固体光源アレーからの出射光を拡散する第1の拡散板と、第1の拡散板を透過した光を均一化する光均一化素子と、光均一化素子から得られる光を映像信号で変調して映像光を生成する光変調素子と、光変調素子で生成された映像光を投写する投写ユニットと、を備える。第1の拡散板は、第1の方向と第1の方向に垂直な第2の方向に対して異なる拡散特性を有しており、固体光源アレーからの出射光を透過し透過した出射光の角度分布の縦横比が略1となるように出射光を拡散する。
【0006】
本開示の投写型映像表示装置によれば、スペックルノイズを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】実施の形態1における投写型映像表示装置を示す図
【
図3】実施の形態1における固体光源アレーを示す図
【
図4】実施の形態1における光源装置出射後の光束分布を示す図
【
図5A】実施の形態1におけるハーフミラーの特性図
【
図5B】実施の形態1におけるダイクロイックミラー140の特性図
【
図5C】実施の形態1におけるダイクロイックミラー141、142の特性図
【
図5D】実施の形態1におけるダイクロイックミラー143の特性図
【
図6】実施の形態1における拡散板20の形状、拡散特性を示す図
【
図7】実施の形態1における拡散板21の形状、拡散特性を示す図
【
図8A】実施の形態1における光線の様子を示す上面図
【
図8B】実施の形態1における光線の様子を示す側面図
【
図9A】実施の形態1における拡散板での拡散の様子を示す上面図
【
図9B】実施の形態1における拡散板での拡散の様子を示す側面図
【
図10A】実施の形態1の比較例におけるロッドインテグレータ30への入射光の角度分布を示す図
【
図10B】実施の形態1におけるロッドインテグレータ30への入射光の角度分布を示す図
【
図11】実施の形態2における投写型映像表示装置を示す図
【
図13】実施の形態2における固体光源アレーを示す図
【
図14】実施の形態2における光源装置出射後の光束分布を示す図
【
図15】実施の形態2における拡散板21Aの形状、拡散特性を示す図
【
図16A】実施の形態2における光線の様子を示す上面図
【
図16B】実施の形態2における光線の様子を示す側面図
【
図17A】実施の形態2における拡散板での拡散の様子を示す上面図
【
図17B】実施の形態2における拡散板での拡散の様子を示す側面図
【
図18A】実施の形態2の比較例におけるロッドインテグレータ30への入射光の角度分布を示す図
【
図18B】実施の形態2におけるロッドインテグレータ30への入射光の角度分布を示す図
【
図20A】実施の形態3における光線の様子を示す上面図
【
図20B】実施の形態3における光線の様子を示す側面図
【
図21A】実施の形態3における拡散板での拡散の様子を示す上面図
【
図21B】実施の形態3における拡散板での拡散の様子を示す側面図
【
図22】実施の形態3におけるロッドインテグレータ30への入射光の角度分布を示す図
【
図23】実施の形態3における拡散板での拡散の様子を示す模式図
【
図24A】実施の形態1におけるロッドインテグレータの入射面上の光強度分布を示す図
【
図24B】実施の形態3におけるロッドインテグレータの入射面上の光強度分布を示す図
【
図25A】実施の形態1における光強度分布を示す図
【
図25B】実施の形態3における光強度分布を示す図
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、適宜図面を参照しながら、実施の形態を詳細に説明する。但し、必要以上に詳細な説明は省略する場合がある。例えば、既によく知られた事項の詳細説明や実質的に同一の構成に対する重複説明を省略する場合がある。これは、以下の説明が不必要に冗長になるのを避け、当業者の理解を容易にするためである。
【0009】
なお、添付図面および以下の説明は、当業者が本開示を十分に理解するために提供されるのであって、これらにより請求の範囲に記載の主題を限定することは意図されていない。
【0010】
[実施の形態1]
(投写型映像表示装置)
以下において、実施の形態1に係る投写型映像表示装置の構成について、
図1を用いて説明する。
図1は、実施の形態1に係る投写型映像表示装置100の光学構成を示す図である。
【0011】
図1に示すように、第1に、投写型映像表示装置100は、第1固体光源アレー10Aと、第2固体光源アレー10B1と、第2固体光源アレー10B2と、第3固体光源アレー10C1と、第3固体光源アレー10C2とを含む光源装置10と、ロッドインテグレータ30と、DMD(デジタル・マイクロミラー・デバイス)(3つのDMD40R、40G、40Bの総称)と、投写ユニット50とを有する。
【0012】
第1固体光源アレー10A、第2固体光源アレー10B1、10B2、及び第3固体光源アレー10C1、10C2は、例えば、レーザダイオード(LD:Laser Diode)や発光ダイオード(LED:Light Emitting Diode)などの固体光源によって構成される。本実施の形態では固体光源としてレーザダイオード、特に第1固体光源アレー10Aは青色光(第1の色光)、第2固体光源アレー10B1、10B2は緑色光(第2の色光)、第3固体光源アレー10C1、10C2は赤色光(第3の色光)を出射するレーザダイオードを使用している。ここで、レーザダイオードは、レーザ光源の一例である。なお、第1固体光源アレー10A、第2固体光源アレー10B1、10B2、及び第3固体光源アレー10C1、10C2の詳細については、後述する(
図3を参照)。
【0013】
ロッドインテグレータ30は、ガラスなどの透明部材によって構成される中実のロッドである。ロッドインテグレータ30は、光源装置10から出射される光を均一化する。なお、ロッドインテグレータ30は、内壁がミラー面によって構成される中空のロッドであってもよい。ここで、ロッドインテグレータ30は、後述する拡散板21を透過した光を均一化する光均一化素子の一例である。
【0014】
DMDは、第1固体光源アレー10A、第2固体光源アレー10B1、10B2、第3固体光源アレー10C1、10C2から出射される光を映像信号に基づいて変調する。詳細には、DMDは、複数の微小ミラーによって構成されており、複数の微小ミラーは可動式である。各微小ミラーは、基本的に1画素に相当する。DMDは、各微小ミラーの角度を変更することによって、投写ユニット50側に光を反射するか否かを切り替える。
【0015】
実施の形態1では、DMDとして、DMD40R、DMD40G及びDMD40Bが設けられる。DMD40Rは、赤映像信号に基づいて赤成分光Rを変調する。DMD40Gは、緑映像信号に基づいて緑成分光Gを変調する。DMD40Bは、青映像信号に基づいて青成分光Bを変調する。DMDは、ロッドインテグレータから得られる光を映像信号で変調して映像光を生成する光変調素子の一例である。
【0016】
投写ユニット50は、DMDによって変調された映像光を投写面上に拡大投写する。
【0017】
第2に、投写型映像表示装置100は、必要なレンズ群及びミラー群を有する。レンズ群としては、レンズ121~125が設けられており、ミラー群としては、ミラー13、ハーフミラー14、ミラー131およびダイクロイックミラー140~143が設けられている。また、投写型映像表示装置100は、必要な拡散板20および拡散板21を有する。
【0018】
レンズ121およびレンズ122は、第1固体光源アレー10A、第2固体光源アレー10B1、10B2、第3固体光源アレー10C1、10C2からの出射光を集光し、ロッドインテグレータ30へ導くコンデンサレンズである。レンズ123、レンズ124、レンズ125は、ロッドインテグレータ30からの出射光を各DMD40R、40G、40B上に略結像するリレーレンズである。
【0019】
ミラー13、ミラー131は、光路を折り曲げるミラーである。ハーフミラー14は第1固体光源アレー10Aからの出射光を分離し、一部の光束を反射し、残余の光束を透過するミラーでる。ダイクロイックミラー140は青色光を透過し、緑色光を反射するダイクロイックミラーである。ダイクロイックミラー141は、青色光と緑色光を透過し、赤色光を反射するダイクロイックミラーである。ダイクロイックミラー142は、青色光を透過し、赤色光を反射するダイクロイックミラーである。ダイクロイックミラー143は、青色光および赤色光を透過し、緑色光を反射するダイクロイックミラーである。ハーフミラー14、ミラー13、ダイクロイックミラー140~143は、光合成部を構成する光学素子の一例である。なおダイクロイックミラーの詳細については、後述する(
図5A~
図5Dを参照)。
【0020】
拡散板20は、第1~第3固体光源アレーを含む光源装置10と拡散板21との間にあって、レンズ122の後段に配置され、拡散板21およびロッドインテグレータ30に入射する光が一点に集光しないよう拡散する拡散板である。ここで、拡散板21は第1の拡散板の一例であり、拡散板20は第2の拡散板の一例である。第1~第3固体光源アレーを含む光源装置10からの出射光を拡散する拡散板21はロッドインテグレータ30に入射する光の角度分布を調整する拡散板である。移動機構22は拡散板21を
図1のx方向に一定周期で振動させる。拡散板20および拡散板21の作用についての詳細は後述する(
図6~
図10B参照)。拡散板20および拡散板21は、例えば、ガラス基板の表面に微細な凹凸が形成された構成となっている。また、微細な凹凸面の形成は、片面であっても、両面であっても良い。
【0021】
第3に、投写型映像表示装置100は、必要なプリズム群を有する。プリズム群として、プリズム210、プリズム220、プリズム230、プリズム240及びプリズム250が設けられる。
【0022】
プリズム210は、透光性部材によって構成されており、面211及び面212を有する。プリズム210(面211)とプリズム250(面251)との間にはエアギャップが設けられており、プリズム210に入射した光が面211に入射する角度(入射角)が全反射角よりも大きいため、プリズム210に入射した光は面211で反射される。一方で、プリズム210(面212)とプリズム220(面221)との間にはエアギャップが設けられるが、面211で反射された光が面212に入射する角度(入射角)が全反射角よりも小さいため、面211で反射された光は面212を透過する。
【0023】
プリズム220は、透光性部材によって構成されており、面221及び面222を有する。面222は、赤成分光R及び緑成分光Gを透過して、青成分光Bを反射するダイクロイックミラー面である。従って、面211で反射された光のうち、赤成分光R及び緑成分光Gは面222を透過し、青成分光Bは面222で反射される。面222で反射された青成分光Bは面221で反射される。
【0024】
プリズム210(面212)とプリズム220(面221)との間にはエアギャップが設けられており、面222で最初に反射された青成分光B及びDMD40Bから出射された青成分光Bが面221に入射する角度(入射角)が全反射角よりも大きいため、面222で最初に反射された青成分光B、及びDMD40Bから出射された青成分光Bは面221で反射される。面222で反射された青成分光Bは、面221で反射されてDMD40Bに入射し、DMD40Bがこの入射光を反射して出射光として出射する。一方で、面221で反射された後に面222で2回目に反射された青成分光Bが面221に入射する角度(入射角)が全反射角よりも小さいため、面221で反射された後に面222で2回目に反射された青成分光Bは面221を透過する。
【0025】
プリズム230は、透光性部材によって構成されており、面231及び面232を有する。面232は、緑成分光Gを透過して、赤成分光Rを反射するダイクロイックミラー面である。従って、面231を透過した光のうち、緑成分光Gは面232を透過し、赤成分光Rは面232で反射される。面232で反射された赤成分光Rは面231で反射される。DMD40Gから出射された緑成分光Gは面232を透過する。
【0026】
プリズム220(面222)とプリズム230(面231)との間にはエアギャップが設けられており、面231を透過して面232で反射された赤成分光R及びDMD40Rから出射された赤成分光Rが再び面231に入射する角度(入射角)が全反射角よりも大きいため、面231を透過して面232で反射された赤成分光R及びDMD40Rから出射された赤成分光Rは面231で反射される。面232で反射された赤成分光Rは、面231で反射されて、DMD40Rに入射し、DMD40Rがこの入射光を反射して出射光として出射する。一方で、DMD40Rから出射されて面231で反射された後に面232で反射された赤成分光Rが再び面231に入射する角度(入射角)が全反射角よりも小さいため、DMD40Rから出射されて面231で反射された後に面232で反射された赤成分光Rは面231を透過する。
【0027】
プリズム240は、透光性部材によって構成されており、面241を有する。面241は、緑成分光Gを透過するように構成されている。なお、DMD40Gへ入射する緑成分光G及びDMD40Gから出射された緑成分光Gは面241を透過する。
【0028】
プリズム250は、透光性部材によって構成されており、面251を有する。
【0029】
言い換えると、青成分光Bは、(1)面211で反射されて、(2)面212及び面221を透過した上で、面222で反射されて、(3)面221で反射されて、(4)DMD40Bで反射されて、(5)面221で反射されて、(6)面222で反射されて、(7)面221、面212、面211、及び面251を透過する。これによって、青成分光Bは、DMD40Bで変調されて、投写ユニット50に導かれる。
【0030】
赤成分光Rは、(1)面211で反射されて、(2)面212、面221、面222及び面231を透過した上で、面232で反射されて、(3)面231で反射されて、(4)DMD40Rで反射されて、(5)面231で反射されて、(6)面232で反射されて、(7)面231、面222、面221、面212、面211及び面251を透過する。これによって、赤成分光Rは、DMD40Rで変調されて、投写ユニット50に導かれる。
【0031】
緑成分光Gは、(1)面211で反射されて、(2)面212、面221、面222、面231、面232、面241を透過した上で、DMD40Gで反射されて、(3)面241、面232、面231、面222、面221、面212、面211及び面251を透過する。これによって、緑成分光Gは、DMD40Gで変調されて、投写ユニット50に導かれる。
【0032】
(光源装置)
以下において、実施の形態1に係る光源装置について、
図2~
図5Dを用いて説明する。
図2は、実施の形態1に係る光源装置10を示す図である。
【0033】
実施の形態1では、
図1で示した投写型映像表示装置に使用される光源装置10は、主として第1固体光源アレー10A、第2固体光源アレー10B1、10B2、第3固体光源アレー10C1、10C2、ハーフミラー14、ミラー13およびダイクロイックミラー140~143によって構成される。
【0034】
そして、ハーフミラー14、ミラー13、ダイクロイックミラー140~143からなる光合成部から出射される光束Lの光軸Aを境として、一方側には第3固体光源アレー10C1と第3固体光源アレー10C2とが中心間隔d1離れて配置され、他方側には第1固体光源アレー10Aと第2固体光源アレー10B1、及び第2固体光源アレー10B1と第2固体光源アレー10B2がそれぞれ中心間隔d1離れて配置される。
【0035】
第1固体光源アレー10Aから出射された青色光のうちハーフミラー14で反射された光束と、第2固体光源アレー10B1から出射された緑色光と、第3固体光源アレー10C2から出射された赤色光は、ダイクロイックミラー140およびダイクロイックミラー141によって合成され、白色光の光束LAを構成し、第1光路17Aを進行する。
【0036】
第1固体光源アレー10Aから出射された青色光のうちハーフミラー14を透過しミラー13で反射された光束と、第2固体光源アレー10B2から出射された緑色光と、第3固体光源アレー10C1から出射された赤色光は、赤色光を反射し青色光を透過するダイクロイックミラー142および緑色光を反射し青色光及び赤色光を透過するダイクロイックミラー143によって合成され、白色光の光束LBを構成し、第2光路17Bを進行する。
【0037】
このとき、光束LAの光軸ALAと光束LBの光軸ALBの間隔を中心間隔d2とすると、d1>d2となるように、ハーフミラー14、ミラー13、ダイクロイックミラー140~143の位置が調整されて配置されている。これにより、第1光路17Aを進行する光束LAと、第2光路17Bを進行する光束LBとの中心間隔d2は、隣接して配置された固体光源アレー(第2固体光源アレー10B1、10B2、もしくは、第3固体光源アレー10C1、10C2)から出射された色光の中心間隔d1に比べて狭まる。なお、本実施の形態では固体光源アレーの中心間隔d1が共通の値となっているが、適宜調整することが可能である。
【0038】
また、光源装置10は、必要な冷却機構群を含む。冷却機構群は、第1固体光源アレー10Aに併設する冷却機構11A、第2固体光源アレー10B1に併設する冷却機構11B1、第2固体光源アレー10B2に併設する冷却機構11B2、第3固体光源アレー10C1に併設する冷却機構11C1、第3固体光源アレー10C2に併設する冷却機構11C2によって構成される。
【0039】
冷却機構11A、冷却機構11B1および冷却機構11B2は、レーザのケース温度が50℃~70℃の高温条件下で使用が可能な第1固体光源アレー10A、第2固体光源アレー10B1および第2固体光源アレー10B2をそれぞれ冷却するための冷却機構である。ここで、レーザのケース温度が50℃~70℃の高温条件下で使用可能というのは、第1固体光源アレー10A、第2固体光源アレー10B1および第2固体光源アレー10B2の目標冷却温度として各固体光源アレーのレーザのケース温度を50℃~70℃にすることを意味する。
【0040】
一方、冷却機構11C1および冷却機構11C2は、レーザのケース温度が20℃~40℃の低温条件下で使用する必要のある第3固体光源アレー10C1および第3固体光源アレー10C2をそれぞれ冷却するための冷却機構であり、ペルチェ素子12C1およびペルチェ素子12C2を挟んでそれぞれ第3固体光源アレー10C1および第3固体光源アレー10C2に併設されている。ここで、レーザのケース温度が20℃~40℃の低温条件下で使用する必要があるというのは、第3固体光源アレー10C1、10C2の目標冷却温度として各固体光源アレーのレーザケース温度を20℃から40℃にすることを意味する。従って、本実施の形態では、第3固体光源アレー10C1、10C2が、第1~第3固体光源アレーのうち最も低い目標冷却温度を必要とする光源アレーである。尚、冷却機構群は、それぞれ、併設する第1固体光源アレー、第2固体光源アレーもしくは第3固体光源アレーの裏面に、例えば、熱伝導性グリス等を介して、接着されている。冷却機構群は、冷却装置の一例である。
【0041】
図3の(a)は、第1固体光源アレー10Aを
図2の+x方向に向かって見た図、
図3の(b)は第2固体光源アレー10B1と第2固体光源アレー10B2を
図2の+x方向に向かって見た図、
図3の(c)は、第3固体光源アレー10C1と第3固体光源アレー10C2を
図2の-x方向に向かって見た図である。
【0042】
第1固体光源アレー10Aは、主波長が465nmである青色光(第1の色光)を出射する複数のレーザダイオード16Aを含み、第2固体光源アレー10B1、10B2は、主波長が525nmである緑色光(第2の色光)を出射する複数のレーザダイオード16Bを含み、第3固体光源アレー10C1、10C2は、主波長が640nmである赤色光(第3の色光)を出射する複数のレーザダイオード16Cを含む。なお、青色光は440~470nm、緑色光は515~550nm、赤色光は630~660nmの範囲内の他の波長であってもよく、また、上記範囲内の複数波長を用いても良い。
【0043】
青色及び緑色のレーザダイオードは温度特性が比較的良好であり、ケース温度が50~70℃の高温条件下でも信頼性を維持することができ、光出力の低下も比較的少ない。一方で、赤色のレーザダイオードは温度特性が悪く、高温条件下では信頼性の維持が困難であり、光出力が低下することから、ケース温度を20~40℃に保つ必要がある。第1固体光源アレー10A、第2固体光源アレー10B1、第2固体光源アレー10B2、第3固体光源アレー10C1および第3固体光源アレー10C2は、水平方向に4個、垂直方向に6個、計24個のレーザダイオード16A、16B、16Cがそれぞれ配列された構成となっている。レーザダイオード16A、16B、16Cは、光が出射されるエミッター18A、18B、18Cをそれぞれ含み、出射光を平行光化するコリメートレンズとの一体型となっており、レーザダイオード16A、16B、16Cからは略平行の光が出射される。
【0044】
エミッター18A、18B、18Cは、x軸方向が短辺、y軸方向が長辺となるよう配置されており、x軸方向がFast軸、y軸方向がSlow軸となっている。ロッドインテグレータ30の入射面におけるエミッターの像の長辺方向をロッドインテグレータ30の長辺方向と同一にすることで、より効率よくロッドインテグレータ内に光束を入射させることができる。なお、青色光(第1の色光)を出射する第1固体光源アレー10Aおよび緑色光(第2の色光)を出射する第2固体光源アレー10B1、10B2はSlow軸方向、すなわちy軸方向が偏光方向となっており、赤色光(第3の色光)を出射する第3固体光源アレー10C1、10C2はFast軸方向、すなわちx軸方向が偏光方向である。固体光源アレーに含まれるレーザダイオード16A、16B、16Cの個数および配列は、これに限定されない。
【0045】
図4はレンズ121に入射する光束Lの配置を示す図であり、光束Lは、第1光路17Aを進行する光束LAと、第2光路17Bを進行する光束LBとを含む。光束LA、LBは、
図3の(a)~(c)のエミッターの像19を含み、各エミッターの像19は青色光(第1の色光)、緑色光(第2の色光)および赤色光(第3の色光)が合成された、白色の像である。光束Lはx方向の幅を光束幅Wx、y方向の幅を光束幅Wyとすると、Wx>Wyとなっている。なお、固体光源アレーに含まれるレーザダイオード16A、16B、16Cの個数および配列は、これに限定されないため、エミッターの像19においても、青色光、緑色光および赤色光の各色のエミッターの像が重ならない配置となりうる。
【0046】
図5A~
図5Dは、45°の入射角でハーフミラーおよびダイクロイックミラーに光が入射したときの透過特性を示す特性図である。
図5Aは、ハーフミラー14の特性図であり、s偏光の入射光に対して、440nm~480nmの範囲の波長の光を50%透過し、50%反射する特性を有する。光源装置10において、ハーフミラー14は第1固体光源アレー10Aから出射された波長465nm、s偏光の青色光(第1の色光)を50%透過し、50%反射する。
【0047】
図5Bは、ダイクロイックミラー140の特性図であり、s偏光およびp偏光のいずれの入射光に対しても、480nm以下の波長の光を透過し、510nm以上の波長の光を反射する、という特性を有する。光源装置10において、ダイクロイックミラー140は第1固体光源アレー10Aから出射された主波長465nm、s偏光の青色光(第1の色光)を透過し、第2固体光源アレー10B1から出射された主波長525nm、s偏光の緑色光(第2の色光)を反射する。
【0048】
図5Cはダイクロイックミラー141、142の特性図であり、s偏光の入射光に対しては、550nm以下の波長の光を透過し、570nm以上の波長の光を反射し、p偏光の入射光に対しては、574nm以下の波長の光を透過し、594nm以上の波長の光を反射する、という特性を有する。光源装置10において、ダイクロイックミラー141は第1固体光源アレー10Aから出射された主波長465nm、s偏光の青色光(第1の色光)および、第2固体光源アレー10B1および第2固体光源アレー10B2から出射された主波長525nm、s偏光の緑色光(第2の色光)を透過し、第3固体光源アレー10C2から出射された主波長640nm、p偏光の赤色光(第3の色光)を反射する。光源装置10において、ダイクロイックミラー142は第1固体光源アレー10Aから出射された主波長465nm、s偏光の青色光を透過し、第3固体光源アレー10C1から出射された主波長640nm、p偏光の赤色光を反射する。
【0049】
図5Dは、ダイクロイックミラー143の特性図であり、s偏光およびp偏光のいずれの入射光に対しても、480nm以下、および630nm以上の波長の光を透過し、510nm~540nmの範囲の波長の光を反射する、という特性を有する。光源装置10において、ダイクロイックミラー143は第1固体光源アレー10Aから出射された主波長465nm、s偏光の青色光(第1の色光)を透過し、第2固体光源アレー10B2から出射された主波長525nm、s偏光の緑色光(第2の色光)を反射し、第3固体光源アレー10C1および第3固体光源アレー10C2から出射された波長640nm、p偏光の赤色光(第3の色光)を透過する。なお、ダイクロイックミラー140には、ダイクロイックミラー143との仕様共通化のために、
図5Dの特性を有するダイクロイックミラーを用いてもよい。
【0050】
また、ダイクロイックミラー140に
図5Dの特性を有するダイクロイックミラーを用いると、ダイクロイックミラー140とダイクロイックミラー142のペアーとダイクロイックミラー141とダイクロイックミラー143のペアーとを、
図1と同じ角度を保ったままで互いの位置を入れ替えても、白色光の光束LA、LBを構成することができる。この場合、第1光路17Aを進行する光束LAは、第1固体光源アレー10Aから出射された青色光のうちハーフミラー14で反射された光束と、第2固体光源アレー10B2から出射された緑色光と、第3固体光源アレー10C1から出射された赤色光とで構成される。第2光路17Bを進行する光束LBは、第1固体光源アレー10Aから出射された青色光のうちハーフミラー14を透過した光束と、第2固体光源アレー10B1から出射された緑色光と、第3固体光源アレー10C2から出射された赤色光とで構成される。
【0051】
ただし、ダイクロイックミラー140~143は
図1の配置をとるときに、同色の色光の進行する光路長の差を最も小さくすることが可能である。すなわち、第2固体光源アレー10B1から出射される緑色光(第2の色光)と第2固体光源アレー10B2から出射される緑色光(第2の色光)との光路長差、第3固体光源アレー10C1から出射される赤色光(第3の色光)と第3固体光源アレー10C2から出射される赤色光(第3の色光)との光路長差を最小にすることができる。
【0052】
以下において、拡散板20および拡散板21の作用について
図6~
図10Bを用いて説明する。
図6の(a)は拡散板20の形状を示す図である。拡散板20は、片方の面が平坦な面であり、もう片方の面に正方形型のマイクロレンズが正方配列された形状となっている。また、拡散板20は、各マイクロレンズがx方向とy方向に同一サイズの正方形型となっている。
【0053】
図6の(b)は拡散板20の拡散角特性を示す図である。拡散板20は、拡散板20を透過した光がx方向およびx方向に垂直なy方向にトップハット型に拡散され、かつx方向とy方向に略同一の角度で拡散される等方性の特性を有している。ここで、x方向は第1の方向の一例であり、y方向は第2の方向の一例である。なお、拡散板20は、同様の拡散特性を持つ別の形状であってもよく、可干渉性を低減するため各マイクロレンズがランダム配列された形状でも良い。また、拡散板20は、トップハット型の拡散特性ではなく、ガウシアン型の拡散特性であっても良い。詳細は後述するが、ロッドインテグレータ30に入射する光が損失しない程度にできるだけ拡散角を大きくする方が望ましい。
【0054】
図7の(a)は拡散板21の形状を示す図である。拡散板21は、片方の面が平坦な面であり、もう片方の面に長方形型のマイクロレンズが正方配列された形状となっている。また、拡散板21は、各マイクロレンズがx方向よりy方向に長い長方形型となっている。
【0055】
図7の(b)は拡散板21の拡散角特性を示す図である。拡散板21は、拡散板21を透過した光がx方向およびx方向に垂直なy方向にトップハット型に拡散され、かつx方向よりy方向に大きな角度で拡散される異方性の特性を有している。x方向の拡散角(FWHM:Full Width at Half Maximum)は拡散角α
x、y方向の拡散角(FWHM)は拡散角α
yとすると、α
x<α
yである。なお、拡散板21は、同様の拡散特性を持つ別の形状であってもよく、可干渉性を低減するため各マイクロレンズがランダム配列された形状でも良い。また、拡散板21は、トップハット型の拡散特性ではなく、ガウシアン型の拡散特性であっても良い。また、拡散板21は、y方向にのみ拡散するシリンドリカルレンズアレイであっても良い。
【0056】
図8Aは、光源装置10から出射された光がロッドインテグレータ30に入る光線の様子を示した上面図(x-z断面図)である。ただし、ここではレンズの屈折作用のみを示しており、拡散板20および拡散板21による拡散の様子は示していない。上面図(x-z断面図)において、レンズ121およびレンズ122は、光源装置10から出射された光束幅Wx(
図4参照)の略平行光を集光し、ロッドインテグレータ30の入射面近傍に集光する。
【0057】
図8Bは、光源装置10から出射された光がロッドインテグレータ30に入る光線の様子を示した側面図(y-z断面図)である。ただし、ここではレンズの屈折作用のみを示しており、拡散板20および拡散板21による拡散の様子は示していない。側面図(y-z断面図)において、レンズ121およびレンズ122は、光源装置10から出射された光束幅Wy(
図4参照)の略平行光を集光し、ロッドインテグレータ30の入射面近傍に集光する。
【0058】
図9Aは、拡散板20および拡散板21による光線の拡散の様子を示した上面図(x-z断面図)である。簡単のため、拡散板20に入射する光線は、最外周の光線と中心近傍の光線についてのみ示している。拡散板20は、入射する光線を拡散面(拡散板20の出射側の面)で拡散する。拡散板20によって拡散された光は、z方向に進むにつれて拡がっていき、拡散板21を一定程度に広い面積で照明する。拡散板21は、拡散板20で拡散された光を拡散面(拡散板21の出射側の面)でさらに拡散する。具体的には、x方向に光軸と拡散角度成分Θ1(第1の拡散角度成分)の角度をなして拡散板21に入射した光線は、拡散板21でさらにx方向に拡散角ΔΘ1(第1の拡散角、ΔΘ1=α
x/2)を与えられて拡散する。拡散板21によって拡散された光は、ロッドインテグレータ30に入射する。拡散板20によって、拡散板21およびロッドインテグレータ30の入射面近傍において、光が一点に集光されることなく、光密度が緩和されるため、拡散板21およびロッドインテグレータ30の損傷を防ぐことができる。また、拡散板20によって、拡散板21の広い領域を照明するため、光の均一化効果を高めることができ、投写光の均一性およびスペックルノイズ低減に寄与することができる。拡散板20による拡散の程度は、ロッドインテグレータ30のx方向の幅Hxに対して入射する光が損失しない程度にできるだけ大きくすることが望ましい。
【0059】
図9Bは、拡散板20および拡散板21による光線の拡散の様子を示した側面図(y-z断面図)である。簡単のため、拡散板20に入射する光線は、最外周の光線と中心近傍の光線についてのみ示している。拡散板20は、入射する光線を拡散面(拡散板20の出射側の面)で拡散する。拡散板20によって拡散された光は、z方向に進むにつれて拡がっていき、拡散板21を一定程度に広い面積で照明する。拡散板21は、拡散板20で拡散された光を拡散面(拡散板21の出射側の面)でさらに拡散する。具体的には、y方向に光軸と拡散角度成分Θ2(第2の拡散角度成分)の角度をなして拡散板21に入射した光線は、拡散板21でさらにy方向に拡散角ΔΘ2(第2の拡散角、ΔΘ2=α
y/2)を与えられて拡散する。拡散板21によって拡散された光は、ロッドインテグレータ30に入射する。拡散板20によって、拡散板21およびロッドインテグレータ30の入射面近傍において、光が一点に集光されることなく、光密度が緩和されるため、拡散板21およびロッドインテグレータ30の損傷を防ぐことができる。また、拡散板20によって、拡散板21の広い領域を照明するため、光の均一化効果を高めることができ、投写光の均一性およびスペックルノイズ低減に寄与することができる。拡散板20による拡散の程度は、ロッドインテグレータ30のy方向の幅Hyに対して入射する光が損失しない程度にできるだけ大きくすることが望ましい。
【0060】
移動機構22は、拡散板21をx方向に一定周期で振動させる機構である。移動機構22によって、拡散板21が振動することにより、可干渉性を低減することができる。なお、拡散板21の動きについては、拡散板21が回転方向に移動しなければよく、y方向の振動であっても良く、また揺動の動きであっても良い。なお、拡散板20を移動機構により一定周期で振動させてもよい。この場合、拡散板20の拡散特性は等方性であるので、回転方向に移動する振動であってもよい。拡散板20を振動させることにより、可干渉性をさらに低減することができる。また、拡散板20の配置箇所については、
図1に示されたレンズ122と拡散板21の間に限らず、光源装置10(固体光源アレー)と拡散板21の間であれば、レンズ121とレンズ122の間に配置しても良く、また光源装置10とレンズ121の間に配置しても良い。
【0061】
図10Aは、比較例として拡散板21がない場合のロッドインテグレータ30への入射光の角度分布を示した模式図である。光源装置10から出射された光がレンズ121およびレンズ122で集光されるため、
図10Aの角度分布は、
図4で示される光源装置10から出射された光束分布と略相似となっている。すなわち、
図4における光束幅Wxと光束幅Wyとの比率と、
図10Aにおけるx方向の角度分布幅Px
0とy方向の角度分布幅Py
0との比率が略等しく(Wx:Wy≒Px
0:Py
0)、したがって、x方向の角度分布幅Px
0はy方向の角度分布幅Py
0より大きい(Px
0>Py
0)。
図10Aにおいて、ロッドインテグレータ30への最大許容入射角31に対して、エミッターの像19の分布はx方向よりy方向に対してより裕度がある状態となっている。
【0062】
図10Bは、拡散板21がある場合(実施の形態1)のロッドインテグレータ30への入射光の角度分布を示した模式図である。実施の形態1では、拡散板21がx方向よりy方向に強く拡散される特性を有しているため、
図10Bは
図10Aの角度分布をy方向に引き伸ばしたような角度分布となり、x方向の角度分布幅Px
1とy方向の角度分布幅Py
1が略同一(Px
1≒Py
1)である。したがって、実施の形態1では、ロッドインテグレータ30への最大許容入射角31に対して、x方向およびy方向において入射光の角度分布が同程度の範囲に分布(すなわち、入射光の角度分布の縦横比が略1)し、ぎりぎりまで角度分布を拡げた状態となっている。このとき、拡散板21の拡散特性は、拡散板21への入射光の入射角におけるx方向とy方向との成分(拡散角度成分)の差を、異方性の拡散角によって、エミッターの像19で形成される角度分布の縦横比が略1になるように補正する特性となっている。即ち、光軸に対する入射光のx方向の角度(拡散角度成分Θ1)と拡散角ΔΘ1との和が、光軸に対する入射光のy方向の角度(拡散角度成分Θ2)と拡散角ΔΘ2との和に略等しい(Θ1+ΔΘ1≒Θ2+ΔΘ2)。また、
図10Bに示す角度分布上に現れるそれぞれのエミッターの像19は、x方向よりもy方向に大きく引き伸ばされた楕円形状となる。
【0063】
ところで、可干渉性の高いレーザ光源を用いた投写型映像表示装置において、スペックルノイズを効果的に抑制する方法として、スクリーンの一点に入射する光線の角度を多重化するという角度重畳による方法がある。具体的には、投写ユニット50の射出瞳において、瞳径を大きく、かつ瞳上光強度分布を平坦化することが望ましい。投写ユニット50の射出瞳上の光強度分布と、ロッドインテグレータ30への入射光の角度分布は相関がある。したがって、
図10Aおよび
図10Bは、ロッドインテグレータ30への入射光の角度分布として説明したが、同時に、投写ユニット50の射出瞳上の光強度分布と読み替えることができ、最大許容入射角31で示される円は、投写ユニット50の射出瞳径と読み替えることができる。
【0064】
以上のことから、実施の形態1では、
図10Bで示されるように投写ユニット50の射出瞳において、射出瞳径のサイズにできるだけ近い光強度分布となっているため、上述するように角度重畳の効果により、スペックルノイズを効果的に低減することができ、かつ光強度分布が射出瞳径内に収まっているため光損失も軽減できる。
【0065】
(作用および効果)
光源装置10から出射される光束の光強度分布がy方向よりx方向に長い場合、x方向よりy方向に強く拡散する拡散板21によって、ロッドインテグレータ30への入射光の角度分布の縦横比を略1とし、最大許容入射角近傍まで拡げることで、光損失が少なく、スペックルノイズを効果的に軽減することができる。
【0066】
[実施の形態2]
以下において、実施の形態2について、
図11~
図18Bを用いて説明する。以下においては、実施の形態1に対する相違点を主として説明し、その他は実施の形態1と同様であるので、同一構成要素については同一符号を付して重複説明は省略する。
【0067】
(投写型映像表示装置)
以下において、実施の形態2に係る投写型映像表示装置の構成について、
図11を用いて説明する。
図11は、実施の形態2に係る投写型映像表示装置200の光学構成を示す図である。
図11に示すように、実施の形態1との相違点として、投写型映像表示装置200は、第1固体光源アレー60Aと、第2固体光源アレー60B1と、第2固体光源アレー60B2と、第3固体光源アレー60C1と、第3固体光源アレー60C2とを含む光源装置60を有しており、レンズ121からロッドインテグレータ30までの光学系において、光路折り返しのためのミラー144およびミラー145が配置されている。
【0068】
(光源装置)
以下において、実施の形態2に係る光源装置について、
図12~
図14を用いて説明する。
図12は、実施の形態2に係る光源装置60を示す図である。
【0069】
実施の形態2では、
図11で示した投写型映像表示装置に使用される光源装置60は、主として第1固体光源アレー60A、第2固体光源アレー60B1、60B2、第3固体光源アレー60C1、60C2、ハーフミラー14、ミラー13およびダイクロイックミラー140~143によって構成される。
【0070】
そして、ハーフミラー14、ミラー13、ダイクロイックミラー140~143からなる光合成部から出射される光束Lの光軸Aを境として、一方側には第3固体光源アレー60C1と第3固体光源アレー60C2が中心間隔d1離れて配置され、他方側には第1固体光源アレー60Aと第2固体光源アレー60B1、及び第2固体光源アレー60B1と第2固体光源アレー60B2がそれぞれ中心間隔d1離れて配置される。
【0071】
第1固体光源アレー60Aから出射された青色光のうちハーフミラー14で反射された光束と、第2固体光源アレー60B1から出射された緑色光と、第3固体光源アレー60C2から出射された赤色光は、ダイクロイックミラー140およびダイクロイックミラー141によって合成され、白色光の光束LAを構成し、第1光路67Aを進行する。
【0072】
第1固体光源アレー60Aから出射された青色光のうちハーフミラー14を透過しミラー13で反射された光束と、第2固体光源アレー60B2から出射された緑色光と、第3固体光源アレー60C1から出射された赤色光は、赤色光を反射し青色光を透過するダイクロイックミラー142および緑色光を反射し青色光及び赤色光を透過するダイクロイックミラー143によって合成され、白色光の光束LBを構成し、第2光路67Bを進行する。
【0073】
このとき、光束LAの光軸ALAと光束LBの光軸ALBの間隔を中心間隔d2とすると、d1>d2となるように、ハーフミラー14、ミラー13、ダイクロイックミラー140~143の位置が調整されて配置されている。これにより、第1光路67Aを進行する光束LAと、第2光路67Bを進行する光束LBとの中心間隔d2は、隣接して配置された固体光源アレー(第2固体光源アレー60B1、60B2、もしくは、第3固体光源アレー60C1、60C2)から出射された色光の中心間隔d1に比べて狭まる。なお、本実施の形態では固体光源アレーの中心間隔d1が共通の値となっているが、適宜調整することが可能である。
【0074】
また、光源装置60は、必要な冷却機構群を含む。冷却機構群は、第1固体光源アレー60Aに併設する冷却機構61A、第2固体光源アレー60B1に併設する冷却機構61B1、第2固体光源アレー60B2に併設する冷却機構61B2、第3固体光源アレー60C1に併設する冷却機構61C1、第3固体光源アレー60C2に併設する冷却機構61C2によって構成される。
【0075】
冷却機構61A、冷却機構61B1および冷却機構61B2は、レーザのケース温度が50℃~70℃の高温条件下で使用が可能な第1固体光源アレー60A、第2固体光源アレー60B1および第2固体光源アレー60B2をそれぞれ冷却するための冷却機構である。ここで、レーザのケース温度が50℃~70℃の高温条件下で使用可能というのは、第1固体光源アレー60A、第2固体光源アレー60B1および第2固体光源アレー60B2の目標冷却温度として各固体光源アレーのレーザのケース温度を50℃~70℃にすることを意味する。
【0076】
一方、冷却機構61C1および冷却機構61C2は、レーザのケース温度が20℃~40℃の低温条件下で使用する必要のある第3固体光源アレー60C1および第3固体光源アレー60C2をそれぞれ冷却するための冷却機構であり、ペルチェ素子62C1およびペルチェ素子62C2を挟んで第3固体光源アレー60C1および第3固体光源アレー60C2にそれぞれ併設されている。ここで、レーザのケース温度が20℃~40℃の低温条件下で使用する必要があるというのは、第3固体光源アレー60C1および第3固体光源アレー60C2の目標冷却温度として各固体光源アレーのレーザケース温度を20℃から40℃にすることを意味する。従って、本実施の形態では、第3固体光源アレー60C1および第3固体光源アレー60C2が、第1~第3固体光源アレーのうち最も低い目標冷却温度を必要とする光源アレーである。尚、冷却機構群は、それぞれ、併設する第1固体光源アレー、第2固体光源アレーもしくは第3固体光源アレーの裏面に、例えば、熱伝導性グリス等を介して、接着されている。冷却機構群は、冷却装置の一例である。
【0077】
図13の(a)は、第1固体光源アレー60Aを
図12の+x方向に向かって見た図、
図13の(b)は第2固体光源アレー60B1と第2固体光源アレー60B2を
図12の+x方向に向かって見た図、
図13の(c)は、第3固体光源アレー60C1と第3固体光源アレー60C2を
図12の-x方向に向かって見た図である。
【0078】
実施の形態1との相違点として、第1固体光源アレー60A、第2固体光源アレー60B1、第2固体光源アレー60B2、第3固体光源アレー60C1および第3固体光源アレー60C2は、水平方向に4個、垂直方向に6個、計24個のレーザダイオード16A、16B、16Cが配列されて、光源ブロック15A、15B、15C上に配置された単位が、y方向に2個併設されている。固体光源アレーに含まれるレーザダイオード16A、16B、16Cの個数および配列は、これに限定されない。
【0079】
図14はレンズ121に入射する光束Lの配置を示す図であり、光束Lは、第1光路67Aを進行する光束LAと、第2光路67Bを進行する光束LBとを含む。光束LA、LBは、
図13の(a)~(c)のエミッターの像19を含み、各エミッターの像19は青色光(第1の色光)、緑色光(第2の色光)および赤色光(第3の色光)が合成された、白色の像である。光束Lはx方向の幅を光束幅Wx、y方向の幅を光束幅Wyとすると、Wx<Wyとなっている。なお、固体光源アレーに含まれるレーザダイオード16A、16B、16Cの個数および配列は、これに限定されないため、エミッターの像19においても、青色光、緑色光および赤色光の各色のエミッターの像が重ならない配置となりうる。
【0080】
以下において、拡散板20および拡散板21Aの作用について
図15~
図18Bを用いて説明する。
【0081】
図15の(a)は拡散板21Aの形状を示す図である。拡散板21Aは、片方の面が平坦な面であり、もう片方の面に長方形型のマイクロレンズが正方配列された形状となっている。また、拡散板21Aは、各マイクロレンズがy方向よりx方向に長い長方形型となっている。拡散板21Aは第1の拡散板の一例である。
【0082】
図15の(b)は拡散板21Aの拡散角特性を示す図である。拡散板21Aは、拡散板21Aを透過した光がx方向およびy方向にトップハット型に拡散され、かつy方向よりx方向に大きな角度で拡散される異方性の特性を有している。x方向の拡散角(FWHM)は拡散角α
x、y方向の拡散角(FWHM)は拡散角α
yとすると、α
x>α
yである。なお、拡散板21Aは、同様の拡散特性を持つ別の形状であってもよく、可干渉性を低減するため各マイクロレンズがランダム配列された形状でも良い。また、拡散板21Aは、トップハット型の拡散特性ではなく、ガウシアン型の拡散特性であっても良い。また、拡散板21Aは、x方向にのみ拡散するシリンドリカルレンズアレイであっても良い。
【0083】
図16Aは、光源装置60から出射された光がロッドインテグレータ30に入る光線の様子を示した上面図(x-z断面図)である。ただし、ここではレンズの屈折作用のみを示しており、拡散板20および拡散板21Aによる拡散の様子は示しておらず、ミラー144およびミラー145を省略している。上面図(x-z断面図)において、レンズ121およびレンズ122は、光源装置60から出射された光束幅Wx(
図14参照)の略平行光を集光し、ロッドインテグレータ30の入射面近傍に集光する。
【0084】
図16Bは、光源装置60から出射された光がロッドインテグレータ30に入る光線の様子を示した側面図(y-z断面図)である。ただし、ここではレンズの屈折作用のみを示しており、拡散板20および拡散板21Aによる拡散の様子は示しておらず、ミラー144およびミラー145を省略している。側面図(y-z断面図)において、レンズ121およびレンズ122は、光源装置60から出射された光束幅Wy(
図14参照)の略平行光を集光し、ロッドインテグレータ30の入射面近傍に集光する。
【0085】
図17Aは、拡散板20および拡散板21Aによる光線の拡散の様子を示した上面図(x-z断面図)である。簡単のため、拡散板20に入射する光線は、最外周の光線と中心近傍の光線についてのみ示している。拡散板20は、入射する光線を拡散面(拡散板20の出射側の面)で拡散する。拡散板20によって拡散された光は、z方向に進むにつれて拡がっていき、拡散板21Aを一定程度に広い面積で照明する。拡散板21Aは、拡散板20で拡散された光を拡散面(拡散板21Aの出射側の面)でさらに拡散する。具体的には、x方向に光軸と拡散角度成分Θ1(第1の拡散角度成分)の角度をなして拡散板21Aに入射した光線は、拡散板21Aでさらにx方向に拡散角ΔΘ1(第1の拡散角、ΔΘ1=α
x/2)を与えられて拡散する。拡散板21によって拡散された光は、ロッドインテグレータ30に入射する。拡散板20によって、拡散板21Aおよびロッドインテグレータ30の入射面近傍において、光が一点に集光されることなく、光密度が緩和されるため、拡散板21Aおよびロッドインテグレータ30の損傷を防ぐことができる。また、拡散板20によって、拡散板21Aの広い領域を照明するため、光の均一化効果を高めることができ、投写光の均一性およびスペックルノイズ低減に寄与することができる。
【0086】
拡散板20による拡散の程度は、ロッドインテグレータ30のx方向の幅Hxに対して入射する光が損失しない程度にできるだけ大きくすることが望ましい。
【0087】
図17Bは、拡散板20および拡散板21Aによる光線の拡散の様子を示した側面図(y-z断面図)である。簡単のため、拡散板20に入射する光線は、最外周の光線と中心近傍の光線についてのみ示している。拡散板20は、入射する光線を拡散面(拡散板20の出射側の面)で拡散する。拡散板20によって拡散された光は、z方向に進むにつれて拡がっていき、拡散板21Aを一定程度に広い面積で照明する。拡散板21Aは、拡散板20で拡散された光を拡散面(拡散板21Aの出射側の面)でさらに拡散する。具体的には、y方向に光軸と拡散角度成分Θ2(第2の拡散角度成分)の角度をなして拡散板21Aに入射した光線は、拡散板21Aでさらにy方向に拡散角ΔΘ2(第2の拡散角、ΔΘ2=α
y/2)を与えられて拡散する。拡散板21Aによって拡散された光は、ロッドインテグレータ30に入射する。拡散板20によって、拡散板21Aおよびロッドインテグレータ30の入射面近傍において、光が一点に集光されることなく、光密度が緩和されるため、拡散板21Aおよびロッドインテグレータ30の損傷を防ぐことができる。また、拡散板20によって、拡散板21Aの広い領域を照明するため、光の均一化効果を高めることができ、投写光の均一性およびスペックルノイズ低減に寄与することができる。
【0088】
拡散板20による拡散の程度は、ロッドインテグレータ30のy方向の幅Hyに対して入射する光が損失しない程度にできるだけ大きくすることが望ましい。
【0089】
移動機構22は、拡散板21Aをx方向に一定周期で振動させる機構である。移動機構22によって、拡散板21Aが振動することにより、可干渉性を低減することができる。なお、拡散板21Aの動きについては、拡散板21Aが回転方向に移動しなければよく、y方向の振動であっても良く、また揺動の動きであっても良い。また、拡散板20の配置箇所については、
図11に示されたミラー145と拡散板21の間に限らず、光源装置60(固体光源アレー)と拡散板21Aの間であれば、レンズ121とレンズ122の間に配置しても良く、また光源装置60とレンズ121の間に配置しても良い。
【0090】
図18Aは、比較例として拡散板21Aがない場合のロッドインテグレータ30への入射光の角度分布を示した模式図である。光源装置60から出射された光がレンズ121およびレンズ122で集光されるため、
図18Aの角度分布は、
図14で示される光源装置10から出射された光束分布と略相似となっている。すなわち、
図14における光束幅Wxと光束幅Wyの比率と、
図18Aにおけるx方向の角度分布幅Px
0とy方向の角度分布幅Py
0の比率が略等しく(Wx:Wy≒Px
0:Py
0)、したがって、x方向の角度分布幅Px
0はy方向の角度分布幅Py
0より小さい(Px
0<Py
0)。
図18Aにおいて、ロッドインテグレータ30への最大許容入射角31に対して、エミッターの像19の分布はy方向よりx方向に対してより裕度がある状態となっている。
【0091】
図18Bは、拡散板21Aがある場合(実施の形態2)のロッドインテグレータ30への入射光の角度分布を示した模式図である。実施の形態2では、拡散板21Aがy方向よりx方向に強く拡散される特性を有しているため、
図18Bは
図18Aの角度分布をx方向に引き伸ばしたような角度分布となり、x方向の角度分布幅Px
1とy方向の角度分布幅Py
1が略同一(Px
1≒Py
1)である。したがって、実施の形態2では、ロッドインテグレータ30への最大許容入射角31に対して、x方向およびy方向において入射光の角度分布が同程度の範囲に分布(すなわち、入射光の角度分布の縦横比が略1)し、ぎりぎりまで角度分布を拡げた状態となっている。このとき、拡散板21Aの拡散特性は、拡散板21Aへの入射光の入射角におけるx方向とy方向との成分(拡散角度成分)の差を、異方性の拡散角によって、エミッターの像19で形成される角度分布の縦横比が略1になるように補正する特性となっている。即ち、光軸に対する入射光のx方向の角度(拡散角度成分Θ1)と拡散角ΔΘ1との和が、光軸に対する入射光のy方向の角度(拡散角度成分Θ2)と拡散角ΔΘ2との和に略等しい(Θ1+ΔΘ1≒Θ2+ΔΘ2)。また、
図18Bの角度分布上に現れるそれぞれのエミッターの像19は、y方向よりもx方向に大きく引き伸ばされた楕円形状となる。
【0092】
ところで、可干渉性の高いレーザ光源を用いた投写型映像表示装置において、スペックルノイズを効果的に抑制する方法として、スクリーンの一点に入射する光線の角度を多重化するという角度重畳による方法がある。具体的には、投写ユニット50の射出瞳において、瞳径を大きく、かつ瞳上光強度分布を平坦化することが望ましい。投写ユニット50の射出瞳上の光強度分布と、ロッドインテグレータ30への入射光の角度分布は相関がある。したがって、
図18Aおよび
図18Bは、ロッドインテグレータ30への入射光の光強度分布として説明したが、同時に、投写ユニット50の射出瞳上の光強度分布(空間分布)と読み替えることができ、最大許容入射角31で示される円は、投写ユニット50の射出瞳径と読み替えることができる。
【0093】
以上のことから、実施の形態2では、
図18Bで示されるように投写ユニット50の射出瞳において、射出瞳径のサイズにできるだけ近い光強度分布となっているため、上述するように角度重畳の効果により、スペックルノイズを効果的に低減することができ、かつ光強度分布が射出瞳径内に収まっているため光損失も軽減できる。
【0094】
(作用および効果)
光源装置60から出射される光強度分布がx方向よりy方向に長い場合、y方向よりx方向に強く拡散する拡散板21Aによって、ロッドインテグレータ30への入射光の角度分布の縦横比を略1とし、最大許容入射角近傍まで拡げることで、光損失が少なく、スペックルノイズを効果的に軽減することができる。
【0095】
また、光源装置60から出射される光強度分布がx方向よりy方向に長いため、ミラー144およびミラー145における折り返し部において、コンパクトに構成することができる。
【0096】
(実施の形態3)
図19は、実施の形態3における投写型映像表示装置を示す図である。実施の形態3の投写型映像表示装置300における実施の形態1の投写型映像表示装置100と同一の構成については同一の符号を付して詳細な説明を省略する。投写型映像表示装置300は、拡散板21(第1の拡散板)をロッドインテグレータ30から離して設置し、拡散板21とロッドインテグレータ30の間に拡散板20(第2の拡散板)を設置する点で、実施の形態1の投写型映像表示装置100と異なる。拡散板20には移動機構22が備えられる。移動機構22は、拡散板20をx方向に一定周期で振動させる。移動機構22によって、拡散板20が振動することにより、可干渉性を低減することができる。なお、拡散板20の動きについては、y方向の振動であっても良く、回転方向の振動であっても良く、また揺動の動きであっても良い。なお、拡散板21を移動機構により一定周期で振動させてもよい。この場合、拡散板21の拡散特性は異方性であるので、回転方向に移動しないように振動させる必要がある。拡散板21を振動させることにより、可干渉性をさらに低減することができる。
【0097】
図20A、
図20Bは、それぞれ実施の形態3における光源装置10から出射された光がロッドインテグレータ30に入る光線の様子を示す上面図(x-z断面図)、側面図(y-z断面図)である。実施の形態1とは、拡散板21および拡散板20の配置が異なっている。
【0098】
図21A、
図21Bは、それぞれ実施の形態3における拡散板21及び拡散板20による光線の拡散の様子を示す上面図(x-z断面図)、測面図(y-z断面図)である。光源装置10から出射された光線は、x方向に光軸と拡散角度成分Θ1(第1の拡散角度成分)の角度をなして拡散板21に入射し、拡散板21でさらにx方向に拡散角ΔΘ1(第1の拡散角)を与えられて、x方向に拡散角度成分Θ1と拡散角ΔΘ1との和の拡散角(Θ1+ΔΘ1)をもつ光線となる。同様に、光源装置10から出射された光線は、y方向に光軸と拡散角度成分Θ2(第2の拡散角度成分)の角度をなして拡散板21に入射し、拡散板21でさらにy方向に拡散角ΔΘ2(第2の拡散角)を与えられて、y方向に拡散角度成分Θ2と拡散角ΔΘ2との和の拡散角(Θ2+ΔΘ2)をもつ光線となる。x方向の拡散角(Θ1+ΔΘ1)およびy方向の拡散角(Θ2+ΔΘ2)は略一致し、拡散板20を通過して、x方向およびy方向に等しい拡散角をさらに与えられて、ロッドインテグレータ30に入射する。
【0099】
図22は、ロッドインテグレータ30への入射光の角度分布を示した模式図である。実施の形態1の場合(
図10B)と同様に、拡散板21がx方向よりy方向に強く拡散する特性を有しているため、
図10Aの角度分布をy方向に引き伸ばしたような角度分布となり、x方向の角度分布幅Px
1とy方向の角度分布幅Py
1が略同一(Px
1≒Py
1)である。また、
図22の角度分布上に現れるそれぞれのエミッターの像19は、x方向よりもy方向に大きく引き伸ばされた楕円形状となる。
【0100】
次に、ロッドインテグレータの入射面上の光強度分布について説明する。
図23は、実施の形態3における拡散板での拡散の様子を示す模式図、
図24Aは、実施の形態1におけるロッドインテグレータの入射面上の光強度分布を示す図、
図24Bは、実施の形態3におけるロッドインテグレータの入射面上の光強度分布を示す図である。
【0101】
実施の形態1で説明した投写型映像表示装置100では、
図24Aに示すように、ロッドインテグレータ入射面301に対して光束は光束分布範囲L0に分布する。投写型映像表示装置100では、異方性の拡散特性を有する拡散板21とロッドインテグレータ入射面301との距離が小さく、拡散板21によるy方向へ光束分布を拡げる効果が限定されているため、光束分布範囲L
0のアスペクト比、即ちx方向の長さLx0とy方向の長さLy0との比率は、
図20A、
図20Bに示す光束幅Wxと光束幅Wyとの比率に略一致する。そのため、光源装置10から出射される光束Lのアスペクト比が、ロッドインテグレータの断面形状のアスペクト比、即ちロッドインテグレータ30のx方向の幅Hxとy方向の幅Hyとの比率と異なる場合、光束はロッドインテグレータ入射面301の全体を照射できない。
【0102】
これに対し、実施の形態3の投写型映像表示装置300では、
図23、
図24Bに示すように、ロッドインテグレータ入射面301に対して光束は光束分布範囲L1に分布する。実施の形態3においては、x方向およびy方向に異なる拡散特性を持つ拡散板21は、実施の形態1の投写型映像表示装置100と比べてロッドインテグレータ入射面301から離して設置される。そのため、拡散板21を透過後、光束のアスペクト比を比較的大きく変化させることができる。具体的には、拡散板21は
図7に示す拡散特性を有するので、拡散板21を透過した光束Lの光束幅はx方向に比べてy方向が大きくなる。そのため、ロッドインテグレータ入射面301の光束分布範囲L1のアスペクト比、即ちx方向の長さLx1とy方向の長さLy1との比率は、ロッドインテグレータの断面形状のアスペクト比、即ちロッドインテグレータ30のx方向の幅Hxとy方向の幅Hyとの比率と略一致させることができ、ロッドインテグレータ入射面301の全体を均一に照射することができる。
【0103】
図25Aおよび
図25Bに投写レンズ内の射出瞳51における光強度分布を示す。
図25Aに示す実施の形態1での光強度分布は、分布範囲の縦横比が略1となるものの、射出瞳51上におけるそれぞれのエミッターの像19Pの広がりが小さく、射出瞳51に対するエミッターの像19Pの占める割合(充填率)が低い。一方、
図25Bに示す実施の形態3での光強度分布では、それぞれのエミッターの像19Pの広がりが互いに重なり合う程度にまで大きくなり、充填率が向上している。それぞれのエミッターの像19Pの大きさはロッドインテグレータ30に入射する光束の大きさに従って決定されるため、実施の形態3においてロッドインテグレータ入射面301全体を光束が均一に照射することで、投写レンズ内の射出瞳における光強度分布の充填率が向上している。
【0104】
(作用および効果)
光束がロッドインテグレータに入射する際、実施の形態1および2と同様に光線の角度分布が略1の縦横比となることに加え、ロッドインテグレータ入射面における光線の分布範囲のアスペクト比がロッドインテグレータ入射面の断面形状のアスペクト比と略一致する。それにより、ロッドインテグレータ入射面全体が均一に照射され、投写レンズ内の射出瞳における分布がさらに均一化し、スペックルノイズをより効果的に軽減することができる。
【0105】
なお、実施の形態2の投写型映像表示装置200において、拡散板20と拡散板21Aの互いの位置を入れ替えるとともに、ロッドインテグレータ入射面の断面形状がx方向の長い長方形状のロッドインテグレータを用いることにより、光源装置10からの光束がロッドインテグレータ入射面全体を均一に照射する投写型映像表示装置を構成することができる。
【産業上の利用可能性】
【0106】
本開示は、プロジェクタ等の投写型映像表示装置に適用可能である。
【符号の説明】
【0107】
10、60 光源装置
10A、60A 第1固体光源アレー
10B1、10B2、60B1、60B2 第2固体光源アレー
10C1、10C2、60C1、60C2 第3固体光源アレー
11A、11B1、11B2、11C1、11C2、61A、61B1、61B2、61C1、61C2 冷却機構
12C1、12C2、62C1、62C2 ペルチェ素子
13 ミラー
14 ハーフミラー
15A、15B、15C 光源ブロック
16A、16B、16C レーザダイオード
17A、67A 第1光路
17B、67B 第2光路
18A、18B、18C エミッター
19 エミッターの像
19P 射出瞳上のエミッターの像
20、21、21A 拡散板
22 移動機構
30 ロッドインテグレータ
31 最大許容入射角
301 ロッドインテグレータ入射面
40R、40G、40B DMD
50 投写ユニット
51 射出瞳
100、200、300 投写型映像表示装置
121、122、123、124、125 レンズ
131、144、145 ミラー
140、141、142、143 ダイクロイックミラー
210、220、230、240、250 プリズム
211、212、221、222、231、232、241、251 面
A 光軸
ALA、ALB 光軸
d1、d2 中心間隔
L、LA、LB 光束
L0、L1 光束分布範囲
Θ1、Θ2 光軸に対する光線の角度
ΔΘ1、ΔΘ2 拡散板のもつ拡散角