(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-14
(45)【発行日】2024-11-22
(54)【発明の名称】レンズ鏡筒の製造方法、ホルダの製造方法、レンズユニットおよびカメラモジュール
(51)【国際特許分類】
G02B 7/02 20210101AFI20241115BHJP
【FI】
G02B7/02 C
G02B7/02 Z
(21)【出願番号】P 2023060811
(22)【出願日】2023-04-04
(62)【分割の表示】P 2019130878の分割
【原出願日】2019-07-16
【審査請求日】2023-04-04
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000202
【氏名又は名称】弁理士法人新樹グローバル・アイピー
(72)【発明者】
【氏名】窪田 浩
(72)【発明者】
【氏名】本莊 護
(72)【発明者】
【氏名】惠美 健一
(72)【発明者】
【氏名】田中 哲朗
(72)【発明者】
【氏名】古賀 昭
(72)【発明者】
【氏名】坂根 将伍
【審査官】▲うし▼田 真悟
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-203891(JP,A)
【文献】特開2018-194805(JP,A)
【文献】特開2008-242021(JP,A)
【文献】特開2002-098878(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 7/02- 7/16
G03B 17/02
H04N 23/50
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ホルダに対して装着されるレンズ鏡筒の製造方法であって、
前記レンズ鏡筒は、
レンズと、
前記ホルダに装着される側に設けられており前記レンズの光軸の方向と略直交する第1面と、前記レンズを透過した光を通過させる開口部と、を有し、前記開口部において前記レンズを保持する枠体と、
前記枠体の前記第1面から前記ホルダ側に向かって突出するように設けられており、前記ホルダにおいて前記枠体側に突出するように形成された3つの第2当接部に対してそれぞれ当接して3点支持される3つの第1当接部と、
前記枠体に設けられており、前記ホルダに設けられた第2嵌合部に嵌合して、前記ホルダに対する前記枠体の前記光軸を中心とする回転を規制する第1嵌合部と、
を備え、
前記光軸の傾きを調整するために、3つの前記第1当接部の少なくとも1つを加工する、
レンズ鏡筒の製造方法。
【請求項2】
レンズ鏡筒が装着されるホルダの製造方法であって、
前記ホルダは、
前記レンズ鏡筒が装着される側に設けられた第2面を有する略円筒状の本体部と、
前記本体部の前記第2面から前記レンズ鏡筒に向かって突出するように設けられ、前記レンズ鏡筒において前記本体部側に突出するように設けられた3つの第1当接部に対してそれぞれ当接して3点支持される3つの第2当接部と、
前記本体部に設けられており、前記レンズ鏡筒に設けられた第1嵌合部に嵌合して、前記ホルダに対する前記本体部の前記レンズ鏡筒のレンズの光軸を中心とする回転を規制する第2嵌合部と、
を備え、
前記光軸の傾きを調整するために、3つの前記第2当接部の少なくとも1つを加工する、
ホルダの製造方法。
【請求項3】
前記本体部における前記レンズ鏡筒が装着される前記第2面とは反対側の面に設けられており、撮像素子を含むイメージセンサモジュールの一部が当接して位置合わせされる支持部を、さらに備えている、
請求項2に記載のホルダの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、レンズ鏡筒の製造方法、ホルダの製造方法、レンズユニットおよびカメラモジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、カメラ等のカメラモジュールは、光学部品(レンズ等)を含むレンズ鏡筒と、レンズ鏡筒が装着されるホルダと、を有するレンズユニットを備えている。
このようなレンズユニットでは、レンズ鏡筒に含まれるレンズの光軸を合わせる光軸調整が重要である。
例えば、特許文献1には、簡素な構成により6軸調整を可能とする構成を備えた光学素子のホルダについて開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来の光学素子のホルダでは、以下に示すような問題点を有している。
すなわち、上記公報に開示された構成では、複数の調整ネジを用いて光学素子の6軸調整を実施しているため、調整作業が複雑化するおそれがある。
本開示の課題は、より簡素な構成により、簡単な調整作業によって光学部品の光軸調整を実施することが可能なレンズ鏡筒の製造方法、ホルダの製造方法、レンズユニットおよびカメラモジュールを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示に係るレンズ鏡筒の製造方法は、ホルダに対して装着されるレンズ鏡筒の製造方法であって、レンズ鏡筒は、レンズと、枠体と、3つの第1当接部と、第1嵌合部とを備えている。枠体は、ホルダに装着される側に設けられておりレンズの光軸方向と略直交する第1面と、レンズを透過した光を通過させる開口部と、を有し、開口部においてレンズを保持する。3つの第1当接部は、枠体の第1面からホルダ側に向かって突出するように設けられており、ホルダにおいて枠体側に突出するように形成された3つの第2当接部に対してそれぞれ当接して3点支持される。第1嵌合部は、枠体に設けられており、ホルダに設けられた第2嵌合部に嵌合してホルダに対する枠体の光軸を中心とする回転を規制する。光軸の傾きを調整するために、3つの第1当接部の少なくとも1つが加工される。
【発明の効果】
【0006】
本開示に係るレンズ鏡筒の製造方法によれば、より簡素な構成により、簡単な調整作業によって光学部品の光軸調整を実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】(a),(b)は、本開示の一実施形態に係るレンズユニットを含むカメラモジュールの構成を示す全体斜視図。
【
図2】
図1(a)等のレンズユニットの構成を示す分解斜視図。
【
図3】
図1(a)等のレンズユニットの構成を示す分解斜視図。
【
図5】(a)および(b)は、
図1(a)等のレンズユニットを構成するレンズ鏡筒の構成を示す斜視図。
【
図6】(a)および(b)は、
図1(a)等のレンズユニットを構成するレンズ鏡筒の構成を示す正面図および断面図。
【
図7】(a)および(b)は、
図1(a)等のレンズユニットを構成するホルダの構成を示す斜視図。
【
図8】(a)および(b)は、
図1(a)等のカメラモジュールに含まれるイメージセンサモジュールの構成を示す斜視図。
【
図9】(a),(b)は、本開示の他の実施形態に係るレンズユニットの構成を示す全体斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、適宜図面を参照しながら、実施の形態を詳細に説明する。ただし、必要以上に詳細な説明は省略する場合がある。例えば、既によく知られた事項の詳細説明や実質的に同一の構成に対する重複説明を省略する場合がある。これは、以下の説明が不必要に冗長になるのを避け、当業者の理解を容易にするためである。
なお、出願人は、当業者が本開示を十分に理解するために添付図面および以下の説明を提供するのであって、これらによって特許請求の範囲に記載の主題を限定することを意図するものではない。
【0009】
(実施形態1)
本開示の一実施形態に係るレンズ鏡筒11およびホルダ13を備えたレンズユニット10を含むカメラモジュール1について、
図1(a)~
図8(b)を用いて説明すれば以下の通りである。
(1)カメラモジュール1の構成
本実施形態に係るカメラモジュール1は、例えば、車載用カメラとして搭載され、
図1(a)および
図1(b)に示すように、レンズユニット10と、イメージセンサモジュール14と、を備えている。
【0010】
レンズユニット10は、後述する複数のレンズL1,L2を含むレンズ鏡筒11と、IRカットガラス12と、レンズ鏡筒11が装着されるホルダ13と、を備えている。
なお、レンズユニット10の詳細な構成については、後段にて詳述する。
イメージセンサモジュール14は、レンズユニット10を介して入力された被写体像を撮像して画像信号を生成する。そして、イメージセンサモジュール14は、
図1(b)に示すように、レンズユニット10の光軸X方向における被写体側とは反対側の面に取り付けられている。
【0011】
なお、イメージセンサモジュール14の詳細な構成についても、後段にて詳述する。
(2)レンズユニット10の構成
本実施形態に係るレンズユニット10は、
図2および
図3に示すように、光軸X方向において、被写体側から順に、レンズ鏡筒11と、IRカットガラス12と、ホルダ13と、を備えている。
【0012】
(2-1)レンズ鏡筒11
レンズ鏡筒11は、レンズL1と、パッキン21と、枠体22と、3つの突出部23と、凸部24と、パッキン25と、レンズL2、IRカットガラス12とを備えている。
レンズL1は、
図4に示すように、レンズユニット10における最も被写体側に配置されており、被写体側に向かって突出する凸面を有している。そして、レンズL1は、レンズ鏡筒11における被写体側の端部に取り付けられている。
【0013】
パッキン21は、
図2および
図3に示すように、弾性を有する円環状のゴムリングであって、
図4に示すように、レンズL1とレンズ鏡筒11との間の隙間に配置されている。そして、パッキン21は、レンズL1とレンズ鏡筒11との間で押圧されて弾性変形することで、レンズL1とレンズ鏡筒11との間の隙間からレンズ鏡筒11の内部へ水や埃等の異物が浸入することを防止する防塵防水機構を構成する。
【0014】
枠体22は、
図5(a)および
図5(b)に示すように、外径が異なる複数の略円筒状の部分(土台部22a、第1・第2円筒部22b,22c)を組み合わせた形状を有している。そして、枠体22は、
図4に示すように、略円筒状の内周側においてレンズL1,L2を保持している。
また、枠体22は、例えば、ナイロン系の樹脂によって成形されている。これにより、例えば、カメラモジュール1が車載用カメラとして搭載された場合でも、温度の上昇に対する耐熱性を保持することができる。
【0015】
さらに、枠体22は、
図5(a)および
図5(b)に示すように、ホルダ13に装着される側に設けられておりレンズL1,L2の光軸X方向に略垂直な第1面F1と、レンズL1,L2を透過した光を通過させる開口部22dと、を有している。
土台部22aは、枠体22を構成する3つの略円筒状の部分のうち、最も外径が大きい部分であって、被写体側に配置されている。
【0016】
第1面F1は、光軸Xに対して略垂直な平面であって、3つの突出部23の先端の平面で形成される仮想面である。
第1円筒部22bは、土台部22aにおけるホルダ13側に形成されており、土台部22aよりも外径が小さくなるように形成されている。
第2円筒部22cは、第1円筒部22bにおけるホルダ13側に形成されており、第1円筒部22bよりもさらに外径が小さくなるように形成されている。そして、第2円筒部22cの外周面には、径方向外側に向かって突出する凸部24が形成されている。
【0017】
3つの突出部23は、枠体22の一部として設けられており、枠体22の成形時に一体成形されている。より具体的には、3つの突出部23は、
図5(b)および
図6(b)に示すように、ホルダ13に対向する枠体22の面から光軸X方向に沿ってホルダ13側に向かって突出するように設けられている。そして、3つの突出部23は、
図4に示すように、ホルダ13において枠体22側に突出するように形成された3つの突出部31に対してそれぞれ当接して3点支持される。
【0018】
また、突出部23は、
図6(a)に示すように、120度の等角度間隔で設けられている。
これにより、ホルダ13の突出部31に対して当接させる突出部23がそれぞれ等角度間隔で配置されているため、3点支持された状態で光軸Xに対する傾きを均等に調整することができる。
【0019】
ここで、レンズユニット10は、
図4に示すように、レンズ鏡筒11の枠体22とホルダ13との対向面の間に形成される隙間に注入された接着剤(固定部)41を用いて、ホルダ13に対してレンズ鏡筒11が固定される。このため、ホルダ13に対してレンズ鏡筒11が固定される前に、3つの突出部23は、必要に応じて、例えば、超音波加工によって高さを調整することで、レンズ鏡筒11に固定されたレンズL1,L2の光軸X調整(チルト調整、光軸X方向の調整、光軸Xに垂直な方向の調整)が実施される。
【0020】
なお、接着剤41は、レンズ鏡筒11の枠体22とホルダ13との対向面の間に形成される隙間の全周にわたって注入されていてもよいし、周方向における一部に注入されていてもよい。
凸部24は、
図3等に示すように、枠体22の一部として設けられており、3つの突出部23と同様に、枠体22の成形時に一体成形されている。そして、凸部24は、ホルダ13に設けられた凹部32に嵌合することで、ホルダ13に対する枠体22の光軸Xを中心とする回転を所定範囲内に規制する。
【0021】
また、凸部24は、
図6(a)に示すように、3つの突出部23が配置された円周よりも内径側に配置されている。さらに、凸部24は、3つの突出部23を結ぶ正三角形の底辺の中央付近に配置されている。
パッキン25は、弾性を有する円環状のゴムリングであって、レンズ鏡筒11とホルダ13との間の隙間に配置されている。そして、パッキン25は、レンズ鏡筒11とホルダ13との間で押圧されて弾性変形することで、レンズ鏡筒11とホルダ13との間の隙間から水や埃等の異物が浸入することを防止する防塵防水機構を構成する。
【0022】
また、パッキン25は、
図4に示すように、レンズ鏡筒11側の突出部23とホルダ13側の突出部31とを互いに当接させる位置よりも、径方向内側に配置されている。
これにより、パッキン25がレンズ鏡筒11側の突出部23とホルダ13側の突出部31とを互いに当接する位置よりも径方向外側に配置された構成と比較して、光軸Xの調整のためにレンズ鏡筒11をチルトさせた場合に生じるパッキン25の変形量を抑制することができる。また、チルト調整、光軸X調整、光軸Xに垂直方向の調整を行った場合でも、パッキン25によるレンズ鏡筒11への負荷を低減することができる。さらに、レンズ鏡筒11とホルダ13とを、接着やレーザ溶着によって互いに固定することもできる。
【0023】
レンズL2は、レンズユニット10の内部に配置された光学部品であって、例えば、被写体とは反対側に向かって突出する凸レンズである。そして、レンズL2は、レンズ鏡筒11における被写体とは反対側の端部に取り付けられている。なお、レンズL2は、凸レンズでなくてもよい。
IRカットガラス12は、レンズL1,L2を通過してきた赤外線を遮断して可視光のみをイメージセンサモジュール14に入射させるために、
図4等に示すように、レンズL2とイメージセンサモジュール14との間に設けられている。そして、IRカットガラス12は、ホルダ13に対して固定されている。
【0024】
(2-2)ホルダ13
ホルダ13は、略円筒状の部材であって、
図2等に示すように、被写体側から上述したレンズ鏡筒11が装着されるとともに、被写体とは反対側からイメージセンサモジュール14が装着される。そして、ホルダ13は、
図7(a)および
図7(b)に示すように、略円筒状の本体部13aと、3つの突出部(第2当接部)31と、凹部(第2嵌合部)32と、ネジ穴33と、円柱部34と、を備えている。
【0025】
本体部13aは、略円筒状の部材であって、レンズ鏡筒11の枠体22と同様に、例えば、ナイロン系の樹脂によって成形されている。
これにより、レンズ鏡筒11の枠体22とホルダ13の本体部13aとが同じ材料によって成形されていることで、枠体22と本体部13aとで温度変化に伴う寸法変化が生じた際に、互いを固定する接着剤41が破壊される等の不具合の発生を抑制することができる。
【0026】
また、本体部13aは、
図7(a)および
図7(b)に示すように、被写体側に設けられ光軸Xに略垂直な第2面F2と、被写体側とは反対側に設けられ光軸Xに略垂直な第3面F3と、を有している。
第2面F2は、
図4に示すように、対向配置されたレンズ鏡筒11側の面との間の隙間に接着剤41が注入され、レンズ鏡筒11とホルダ13とが互いに固定される。
【0027】
第3面F3は、略円筒状の本体部13aの被写体と反対側の端面から段差を介して奥まった位置に配置されており、後述するイメージセンサモジュール14の表面(フェイスガラス14c)を3点支持するために、
図7(b)に示すように、3つの円柱部(支持部)34が設けられている。
3つの突出部(第2当接部)31は、
図7(a)に示すように、略円柱状の部材であって、本体部13aにおけるレンズ鏡筒11が装着される略円環状の第2面F2からレンズ鏡筒11に向かって突出するように設けられている。そして、3つの突出部31は、レンズ鏡筒11において本体部13a側に突出するように設けられた3つの突出部23に対してそれぞれ当接して3点支持される。
【0028】
凹部(第2嵌合部)32は、略円筒状の本体部13aの内周側に設けられており、レンズ鏡筒11に設けられた凸部24が挿入された状態で嵌合する。これにより、ホルダ13に対する本体部13aのレンズ鏡筒11のレンズL1,L2の光軸Xを中心とする回転が規制される。
ネジ穴33は、本体部13aの第2面F2の反対側の面に4つ形成されており、イメージセンサモジュール14をホルダ13に対して固定するための4本のネジ42(
図4参照)が螺合して固定される。
【0029】
3つの円柱部(支持部)34は、
図7(b)に示すように、第3面F3からイメージセンサモジュール14に向かって突出するように設けられており、イメージセンサモジュール14の表面(フェイスガラス14c)に当接した状態で3点支持する。
これにより、ホルダ13に対してイメージセンサモジュール14の撮像素子を位置合わせすることができる。
【0030】
また、円柱部34は、ホルダ13の本体部13aと一体成形されている。
さらに、略円筒状のホルダ13には、
図4に示すように、略円筒状のレンズ鏡筒11がその内周面側に挿入された状態で装着されている。このとき、ホルダ13の本体部13aの内周面とレンズ鏡筒11の枠体22の外周面との間には、
図4に示す隙間部G1が形成されている。
【0031】
隙間部G1は、ホルダ13に対するレンズ鏡筒11の光軸X調整(チルト調整、光軸X方向の調整、光軸Xに垂直な方向の調整)を実施する際に、レンズ鏡筒11を傾けるためのスペースとして使われる。
(3)イメージセンサモジュール14
イメージセンサモジュール14は、上述したように、レンズ鏡筒11のレンズL1,L2を介して入力される被写体像を撮像素子によって撮像して画像信号を生成するために、
図4等に示すように、レンズユニット10を構成するホルダ13の被写体側と反対側の面に装着されている。
【0032】
また、イメージセンサモジュール14は、
図8(a)および
図8(b)に示すように、基板14a、孔部14b、フェイスガラス14cを有している。
基板14aは、略四角形の板状の部材であって、その表面に素子部分(図示せず)が設けられている。
孔部14bは、イメージセンサモジュール14を固定するためのネジ42(
図4参照)が挿入される貫通穴であって、略四角形の基板14aの4辺の中央部分から突出した部分に形成されている。
【0033】
フェイスガラス14cは、イメージセンサモジュール14の基板14a上に配置された撮像素子の、特に受光面を保護するために、基板14aのホルダ13側の面に設けられている。そして、イメージセンサモジュール14は、フェイスガラス14cが上述したホルダ13側の第3面F3に設けられた3つの円柱部34に当接することで、3点支持される。これにより、イメージセンサモジュール14(撮像素子)とホルダ13との位置精度を確保することができる。このため、イメージセンサモジュール14における撮像素子の位置調整を不要にする、あるいは簡素化することができる。
【0034】
<主な特徴>
本実施形態のレンズユニット10では、
図4に示すように、レンズ鏡筒11側の凸部24とホルダ13側の凹部との嵌合によって、ホルダ13に対するレンズ鏡筒11の回転が所定量範囲内で規制された状態とし、レンズ鏡筒11側の3つの突出部23とホルダ13側の3つの突出部31とが互いに当接した3点支持によって、レンズL1,L2の光軸X(チルト調整、光軸X方向の調整、光軸Xに垂直な方向の調整)の向き調整を実施する。
【0035】
これにより、ホルダ13に対してレンズ鏡筒11が装着される際に、レンズ鏡筒11側の突出部23とホルダ13側の突出部31とを互いに当接させた状態で、光軸Xの向きが適切な向きになるように調整することができる。
ここで、光軸X調整が不適切である場合には、突出部23,31の少なくとも一方のうち少なくとも1つを超音波加工等によって高さを調整することで、光軸X調整を適切に調整することができる。
【0036】
よって、例えば、ネジやワッシャ等の調整部材を用いた光軸の調整作業と比較して、簡素な構成により、光軸調整作業を容易化することができる。
さらに、上記の構成によれば、カメラモジュール1とホルダ13とイメージセンサモジュール14とが、例えば、それぞれ別の製造業者によって製造された場合でも、光軸調整を容易に実施することができる。
【0037】
また、本実施形態のレンズユニット10では、
図4に示すように、レンズ鏡筒11の枠体22(第1円筒部22b)の外周面と、ホルダ13の本体部13aの内周面との間に、所定の大きさの隙間部G1が形成されている。
隙間部G1は、レンズ鏡筒11の枠体22(第1円筒部22b)の外周面と、ホルダ13の本体部13aの内周面との間に、円筒状に形成されている。
【0038】
これにより、上述したレンズ鏡筒11側の3つの突出部23とホルダ13側の3つの突出部31とにおける3点支持部分における高さ調整によってレンズ鏡筒11の光軸Xの調整が実施される際に、レンズ鏡筒11を光軸Xに対して傾ける(チルトさせる)または光軸Xと略垂直な方向に移動させるだけのスペースが確保される。
(実施形態2)
本開示の他の実施形態に係るレンズ鏡筒111を備えたレンズユニット110を含むカメラモジュール101について、
図9(a)~
図10を用いて説明すれば以下の通りである。
【0039】
本実施形態のレンズユニット110は、上記実施形態1で説明したホルダ13を共通とし、異なるタイプのレンズ鏡筒111がホルダ13に装着されている点で異なっている。
なお、上記実施形態1と同じ構成については、同じ符号を付し、その説明を省略する。
すなわち、本実施形態のレンズユニット110には、
図9(a)および
図9(b)に示すように、実施形態1とは、焦点距離、画角等が異なり、望遠用のレンズ鏡筒111(レンズユニット110)が装着されている。
【0040】
本実施形態のレンズ鏡筒111は、
図10に示すように、
図1(a)に示すレンズ鏡筒11(レンズユニット10)よりもレンズL1とレンズL2との間隔が大きい2つのレンズL101,L102を有している。
このように、上記実施形態1とは異なる望遠用のレンズ鏡筒111が装着される場合でも、上記実施形態1と同様に、レンズ鏡筒111が、3つの突出部(第1当接部)123を備えていることで、共通のホルダ13に装着することができる。
【0041】
すなわち、本実施形態のレンズユニット110では、上記実施形態1とは異なる望遠用のレンズ鏡筒111が装着された場合でも、上記実施形態1と同様に、レンズ鏡筒111側の3つの突出部123が、ホルダ13側の3つの突出部31と当接した状態で3点支持される。さらに、上記実施形態1と同様に、レンズ鏡筒111側の凸部124が、ホルダ13側の凹部32に挿入された状態で嵌合することで、ホルダ13に対するレンズ鏡筒111の回転を規制することができる。
【0042】
以上のことから、本実施形態の構成によれば、焦点距離、画角、Fナンバー等が異なる複数のタイプのレンズ鏡筒が装着される場合でも、共通のホルダ13を用いて、上記実施形態1と同様の効果を得ることができる。
[他の実施形態]
以上、本開示の一実施形態について説明したが、本開示は上記実施形態に限定されるものではなく、開示の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【0043】
(A)
上記実施形態1,2では、通常撮影用のレンズ鏡筒11と、望遠用のレンズ鏡筒111とが、共通のホルダ13に対して装着される例をそれぞれ挙げて説明した。しかし、本開示はこれに限定されるものではない。
例えば、通常撮影用、望遠用以外にも、魚眼撮影用、広角撮影用等、他のタイプのレンズ鏡筒が共通のホルダに対して装着されるレンズユニットであってもよい。
【0044】
(B)
上記実施形態では、ホルダ13に対するレンズ鏡筒11の光軸Xを中心とする回転を規制する第1・第2嵌合部として、ホルダ13側の凹部32と、凹部32に嵌合するレンズ鏡筒11側の凸部24とを用いた例を挙げて説明した。しかし、本開示はこれに限定されるものではない。
【0045】
例えば、レンズ鏡筒側に設けられた凹部と、ホルダ側に設けられた凸部とが、第1・第2嵌合部として用いられた構成であってもよい。
(C)
上記実施形態では、レンズユニット10の最外周面に設けられたレンズ鏡筒11とホルダ13との間の隙間に注入させた接着剤41によって、レンズ鏡筒11とホルダ13とを互いに固定する例を挙げて説明した。しかし、本開示はこれに限定されるものではない。
【0046】
例えば、接着剤の代わりに、レンズ鏡筒およびホルダの少なくとも一方を溶着させた部分(溶着部)を固定部として用いてもよい。
なお、固定部として用いられる接着剤あるいは溶着部は、レンズユニットの外周面に沿って360度全体に設けられていてもよいし、外周面における数点に設けられていてもよい。
【0047】
(D)
上記実施形態では、ホルダ13側に設けられた突出部31によって3点支持されるレンズ鏡筒11側の3つの突出部23が、120度の等角度間隔で配置された例を挙げて説明した。しかし、本開示はこれに限定されるものではない。
例えば、レンズ鏡筒側の3つの突出部が非等角度間隔で設けられた構成であってもよい。
【0048】
ホルダ側の3つの突出部についても同様に、非等角度間隔で設けられた構成であってもよい。
(E)
上記実施形態では、レンズ鏡筒11側の3つの突出部23がレンズ鏡筒11の枠体22と、ホルダ13側の3つの突出部31がホルダ13の本体部13aと、それぞれ一体成形された例を挙げて説明した。しかし、本開示はこれに限定されるものではない。
【0049】
例えば、3つの突出部23,31の少なくとも一方が、レンズ鏡筒の枠体およびホルダの本体部とは別部材として設けられた構成であってもよい。
(F)
上記実施形態では、レンズ鏡筒11側の3つの突出部23およびホルダ13側の3つの突出部31が、それぞれ略円柱状に形成されている例を挙げて説明した。しかし、本開示はこれに限定されるものではない。
【0050】
例えば、3つの突出部23,31の形状は、略円柱状の先端が略半球形状、略四角柱形状等、他の形状であってもよい。
ただし、一方の略円柱状の先端部を略半球形状とし、略半球形状の先端部と当接する他方の先端部を略円柱状や略四角柱形状等の先端が平面となる形状としてもよい。この場合には、3点支持する際のガタをより効果的に抑制して、より高精度に位置決めを行うことができる。
【0051】
(G)
上記実施形態では、レンズ鏡筒11の枠体22が、土台部22a、第1円筒部22b、第2円筒部22cという外径が異なる3つの円筒部分を組み合わせて構成された例を挙げて説明した。しかし、本開示はこれに限定されるものではない。
例えば、土台部と第1円筒部という2つの円筒部分を組み合わせた構成であってもよい。あるいは、4つ以上の円筒部分を組み合わせた構成であってもよい。
【0052】
また、土台部等の形状としては、円筒形状に限らず、例えば、略楕円筒形状、略四角柱形状等、他の形状であってもよい。
(H)
上記実施形態では、2枚のレンズL1,L2を含むレンズ鏡筒11,111を例として挙げて説明した。しかし、本開示はこれに限定されるものではない。
【0053】
例えば、3枚以上のレンズを含むレンズ鏡筒に対して、本開示の特徴を適用してもよい。
(I)
上記実施形態では、イメージセンサモジュール14がホルダ13の被写体とは反対側の面に、ネジ42によって装着された例を挙げて説明した。しかし、本開示はこれに限定されるものではない。
【0054】
例えば、イメージセンサモジュールが接着剤を用いてホルダに装着された構成であってもよい。
(J)
上記実施形態では、車載用カメラとして、本開示のカメラモジュール1を用いた例を挙げて説明した。しかし、本開示はこれに限定されるものではない。
【0055】
例えば、車載用カメラ以外にも、他の用途で使用されるカメラモジュールとして、本開示を実現してもよい。
(K)
上記実施形態では、凸部24が3つの突出部23を結ぶ正三角形の底辺の中央付近に配置された例を挙げて説明した。しかし、本開示はこれに限定されるものではない。
【0056】
凸部と突出部との位置関係は、上記実施形態の配置に限定されるものではなく、例えば、3つの突出部のいずれか1つと円周方向において略同じ位置に配置されていてもよい。
また、センサの長手方向(16:9アスペクトのセンサの場合の16の方)と突出部23の三角形の一辺が平行となるように配置し、凸部24がその一辺の垂直な線分上にある構成(
図6(a)等)では、センサの長手方向の調整幅は狭まるものの、調整感度を高く(2つの突出部23の距離が長くなるので精度が高くなる)することができる。
【0057】
逆に、センサの短手方向に一辺を平行になるように配置した構成では、調整感度は低くはなるものの、調整幅を広くすることができる。
【産業上の利用可能性】
【0058】
本開示のレンズ鏡筒は、より簡素な構成により、簡単な調整作業によって光学部品の光軸調整を実施することができるという効果を奏することから、各種装置に搭載されるレンズ鏡筒に対して広く適用可能である。
【符号の説明】
【0059】
1 カメラモジュール
10 レンズユニット
11 レンズ鏡筒
12 IRカットガラス
13 ホルダ
13a 本体部
14 イメージセンサモジュール
14a 基板
14b 孔部
14c フェイスガラス
21 パッキン
22 枠体
22a 土台部
22b 第1円筒部
22c 第2円筒部
22d 開口部
23 突出部(第1当接部)
24 凸部(第1嵌合部)
25 パッキン
31 突出部(第2当接部)
32 凹部(第2嵌合部)
33 ネジ穴
34 円柱部(支持部)
41 接着剤(固定部)
42 ネジ
101 カメラモジュール
110 レンズユニット
111 レンズ鏡筒
123 突部(第1当接部)
124 凸部
F1 第1面
F2 第2面
F3 第3面
G1 隙間部
L1,L101 第1レンズ
L2,L102 第2レンズ