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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-14
(45)【発行日】2024-11-22
(54)【発明の名称】カメラシステムおよびその駆動方法
(51)【国際特許分類】
   H04N 25/51 20230101AFI20241115BHJP
   H04N 25/70 20230101ALI20241115BHJP
【FI】
H04N25/51
H04N25/70
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2023061931
(22)【出願日】2023-04-06
(62)【分割の表示】P 2018118896の分割
【原出願日】2018-06-22
(65)【公開番号】P2023076666
(43)【公開日】2023-06-01
【審査請求日】2023-04-06
(31)【優先権主張番号】P 2017188375
(32)【優先日】2017-09-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109210
【弁理士】
【氏名又は名称】新居 広守
(74)【代理人】
【識別番号】100137235
【弁理士】
【氏名又は名称】寺谷 英作
(74)【代理人】
【識別番号】100131417
【弁理士】
【氏名又は名称】道坂 伸一
(72)【発明者】
【氏名】小林 努
(72)【発明者】
【氏名】西村 佳壽子
(72)【発明者】
【氏名】三宅 康夫
(72)【発明者】
【氏名】宍戸 三四郎
【審査官】藏田 敦之
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-086407(JP,A)
【文献】特開2017-135704(JP,A)
【文献】特開2013-021548(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 25/51
H04N 25/70
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
入射光を電荷に変換する光電変換層、前記光電変換層に対し光が入射される側に位置する第1電極、および前記光電変換層を介して前記第1電極に対向する第2電極を含む光電変換部と、
電圧供給回路と、
制御回路と
を備え、
前記制御回路は、第1フレームに対して設定された減衰率に対応するデューティを求め、前記第1フレームにおいて、前記電圧供給回路に前記デューティを有するパルス電圧を前記第1電極に印加させる、
カメラシステム。
【請求項2】
入射光を電荷に変換する光電変換層、前記光電変換層に対し光が入射される側に位置する第1電極、および前記光電変換層を介して前記第1電極に対向する第2電極を含む光電変換部と、
電圧供給回路と、
制御回路と
を備え、
前記制御回路は、第1フレームに対して設定された減衰率に対応する電圧値を求め、前記第1フレームにおいて、前記電圧供給回路に前記電圧値を有する電圧を前記第1電極に印加させる、
カメラシステム。
【請求項3】
前記減衰率は、NDフィルタナンバーに対応する、
請求項1または2に記載のカメラシステム。
【請求項4】
ユーザから前記減衰率を含む指示を受けるためのユーザインターフェースユニットをさらに備える、
請求項1から3のいずれか一項に記載のカメラシステム。
【請求項5】
前記ユーザインターフェースユニットは、前記減衰率を連続的に変化させるための指示を受け取るための画像を表示するディスプレイを含む、
請求項4に記載のカメラシステム。
【請求項6】
前記ユーザインターフェースユニットは、前記減衰率を段階的に変化させるための指示を受け取るための画像を表示するディスプレイを含む、
請求項4に記載のカメラシステム。
【請求項7】
前記第1電極に電気的に接続され、前記第1電極によって補足された前記電荷を検出する検出回路をさらに備える、
請求項1から6のいずれか一項に記載のカメラシステム。
【請求項8】
入射光を電荷に変換する光電変換層、前記光電変換層に対し光が入射される側に位置する第1電極、および前記光電変換層を介して前記第1電極に対向する第2電極を含む光電変換部を備えるカメラシステムの駆動方法であって、
第1フレームに対して設定された減衰率に対応するデューティを求め、
前記第1フレームにおいて、前記デューティを有するパルス電圧を前記第1電極に印加させる、
駆動方法。
【請求項9】
入射光を電荷に変換する光電変換層、前記光電変換層に対し光が入射される側に位置する第1電極、および前記光電変換層を介して前記第1電極に対向する第2電極を含む光電変換部を備えるカメラシステムの駆動方法であって、
第1フレームに対して設定された減衰率に対応する電圧値を求め、
前記第1フレームにおいて、前記電圧値を有する電圧を前記第1電極に印加させる、
駆動方法。
【請求項10】
前記減衰率は、NDフィルタナンバーに対応する、
請求項8または9に記載の駆動方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、電気的に感度を変更できるカメラシステムおよびその駆動方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、照度を調整する際に、絞りやシャッタだけではなく、いわゆる電子ND(Neutral Density)フィルタ機能を用いる手法が提案されている(例えば特許文献1参照)。この手法では、照度に対応した透過率になるように電圧を印加し、電気的に照度を調整している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2013-88596号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
明るさの変化に対して感度をより細かく調整できるカメラシステム等が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一態様に係るカメラシステムは、入射光を電荷に変換する光電変換層、前記光電変換層に対し光が入射される側に位置する第1電極、および前記光電変換層を介して前記第1電極に対向する第2電極を含む光電変換部と、電圧供給回路と、制御回路とを備え、前記制御回路は、第1フレームに対して設定された減衰率に対応するデューティを求め、前記第1フレームにおいて、前記電圧供給回路に前記デューティを有するパルス電圧を前記第1電極に印加させる。
【発明の効果】
【0006】
本開示によれば、明るさの変化に対して感度をより細かく調整できるカメラシステム等を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1図1は、第1の実施形態に係るカメラシステムの構成を示す機能ブロック図である。
図2図2は、ユーザI/F部の例を示す図である。
図3図3は、第1の実施形態に係るカメラシステムにおける第1変換手段及び第2変換手段の構成を説明する図である。
図4図4は、第1の実施形態に係るカメラシステムにおける第1変換手段及び第2変換手段の感度調整方法を説明する図である。
図5図5は、周波数フィルタの概略断面図である。
図6図6は、周波数フィルタの周波数特性を説明するグラフである。
図7図7は、第1の実施形態の変形例1に係るカメラシステムの構成を示す機能ブロック図である。
図8図8は、第1の実施形態の変形例1における第1変換手段及び第2変換手段の制御パターンを示す表である。
図9図9は、第2の実施形態に係るカメラシステムの構成を示す機能ブロック図である。
図10図10は、第2の実施形態に係るカメラシステムにおける第1変換手段及び第2変換手段の構成を説明する図である。
図11図11は、光電変換膜への印加電圧と受光部からの出力電圧との関係を示すグラフである。
図12図12は、光電変換部が電子NDフィルタとして使用される場合の、光電変換部の光感度を補正する手順を示すフローチャートである。
図13図13は、電圧制御方式により光感度を調整するタイミングチャートの一例である。
図14図14は、電圧制御方式により光感度を調整するタイミングチャートの他の例である。
図15図15は、パルスデューティ制御方式により光感度を調整するタイミングチャートの一例である。
図16図16は、パルスデューティ制御方式による光感度を調整するタイミングチャートの他の例である。
図17図17は、第2の実施形態の変形例1に係るカメラシステムの構成を示す機能ブロック図である。
図18図18は、第2の実施形態の変形例1における第1変換手段及び第2変換手段の感度調整方法を説明する図である。
図19図19は、第2の実施形態の変形例2における受光部を説明する図である。
図20図20は、第2の実施形態の変形例2における光電変換部の構成を説明するための図である。
図21図21は、第2の実施形態の変形例2における光電変換部の感度調整方法を説明する図である。
図22図22は、第2の実施形態の変形例2における光電変換部の感度調整方法を説明する図である。
図23図23は、第2実施形態の変形例3に係るカメラシステムの構成を示す機能ブロック図である。
図24図24は、光電変換膜への印加電圧と波長の分光特性との関係を示すグラフである。
図25図25は、第3の実施形態に係るカメラシステムの構成を示す機能ブロック図である。
図26図26は、第3の実施形態に係るカメラシステムにおける第1変換手段及び第2変換手段の構成を説明する図である。
図27図27は、第3の実施形態における第1変換手段及び第2変換手段の感度調整方法を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
電子NDフィルタは、絞りに比べて、撮像画像の明るさを均質に制御することができることが知られている。また、電子NDフィルタは、絞りにおいて見られる回析現象が発生しないため画質の低下を低減できる。しかしながら、明るさの変化に対して、感度をより細かく調整できることが求められている。本開示は、明るさの変化に対して、感度をより細かく調整できる撮像装置を提供する。
【0009】
本開示の一態様の概要は、以下のとおりである。
【0010】
[項目1]
画素電極と、対向電極と、前記画素電極と前記対向電極との間に挟まれ、入射光を電荷に変換する光電変換層と、を含む光電変換部と、前記画素電極と前記対向電極との間に電圧を供給する電圧印加回路と、を備え、前記電圧印加回路は、第1のフレームにおいて、一定の電圧値を有する第1電圧を供給し、前記第1のフレームとは異なる第2のフレームにおいて、パルス状の第2電圧を供給する、撮像装置。
【0011】
[項目2]
第1面と前記第1面に対向する第2面とを有し入射光を電荷に変換する光電変換層と、前記第1面上に位置する対向電極と、前記第2面上に位置する画素電極および補助電極と、を含む光電変換部と、前記対向電極と前記補助電極との間に電圧を供給する電圧印加回路と、を備え、前記電圧印加回路は、第1のフレームにおいて、一定の電圧値を有する第1電圧を供給し、前記第1のフレームとは異なる第2のフレームにおいて、パルス状の第2電圧を供給する、撮像装置。
【0012】
[項目3]
前記電圧印加回路は、フレーム毎に設定されるND値に応じて、前記第1電圧および前記第2電圧を選択的に供給する、項目1または2に記載の撮像装置。
【0013】
[項目4]
前記電圧印加回路は、第1の値以上のND値に設定されたフレームにおいて前記第1電圧を供給し、前記第1の値よりも小さいND値に設定されたフレームにおいて前記第2電圧を供給する、項目3に記載の撮像装置。
【0014】
[項目5]
前記電圧印加回路は、前記第1の値以上のND値に設定されたフレームにおいて、前記ND値に対応する電圧値を有する前記第1電圧を供給する、項目4に記載の撮像装置。
【0015】
[項目6]
前記電圧印加回路は、前記第1の値よりも小さいND値に設定されたフレームにおいて、前記ND値に対応するデューティを有する前記第2電圧を供給する、項目4または5に記載の撮像装置。
【0016】
[項目7]
前記電圧印加回路は、前記第1の値よりも小さいND値に設定されたフレームにおいて、前記ND値に対応する電圧値およびデューティを有する前記第2電圧を供給する、項目4または5に記載の撮像装置。
【0017】
[項目8]
入射光の強度に応じて前記電圧印加回路が供給する電圧を変化させる自動モードと、ユーザからの指示に応じて前記電圧印加回路が供給する電圧を変化させる手動モードとを切り替える自動手動制御部をさらに備える、項目1から項目7のいずれか一項に記載の撮像装置。
【0018】
[項目9]
項目1から項目8のいずれか一項に記載の撮像装置と、ディスプレイと、前記ディスプレイに、感度を連続的に変えるための指示を受け付ける第1画像、及び、前記感度を段階的に変えるための指示を受け付ける第2画像を切り替えて表示するグラフィックインターフェース部と、を備える、カメラシステム。
【0019】
また、本開示の一態様の概要は、以下のとおりである。
【0020】
本開示の一態様に係るカメラシステムは、入射光を電気信号に変換する受光部と、印加された電圧に応じて、前記入射光が入射してから前記受光部によって電気信号に変換されるまでの過程における利得を変化させる第1変換手段及び第2変換手段と、前記第1変換手段及び前記第2変換手段に電圧を印加する印加電圧制御部と、を備え、前記第2変換手段は、前記第1変換手段を通過した光が入射される位置に配置されている。
【0021】
このように変換手段を2つ有するため、それぞれ独立して前記利得を変化させることができる。よって、明るさの変化に対して感度をより細かく調整することができる。また、変換手段を2つ有することにより、1つの変換手段で行う前記利得の変化を2つの変換手段で行うため、1つの変換手段のサイズを小さくすることができる。さらに、個々の変換手段を制御する印加電圧を小さくすることができるため、1つの変換手段しか有しない場合よりも、前記利得の変化をより高速に行うことができる。
【0022】
例えば、本開示の一態様に係るカメラシステムでは、前記第1変換手段は、印加された電圧に応じて入射光の光量を減衰させることによって前記利得を変化させるフィルタであり、前記第2変換手段は、前記第1変換手段を通過した光が入射され、印加された電圧に応じて入射光の光量を減衰させることによって前記利得を変化させるフィルタであり、前記受光部は、前記第2変換手段を通過した光を入射光として電気信号に変換してもよい。
【0023】
これにより、例えば、1つだけ電子NDフィルタを有する通常の撮像装置に電子NDフィルタをもう1つ追加するだけで、明るさの変化に対して感度をより細かく調整することができる。
【0024】
例えば、本開示の一態様に係るカメラシステムでは、前記第1変換手段及び前記第2変換手段は、異なる種類のND(Neutral Density)機構を持つフィルタであってもよい。
【0025】
これにより、異なる種類のND機構の長所を生かして、入射光の光量を調整することができる。
【0026】
例えば、本開示の一態様に係るカメラシステムでは、前記第1変換手段は、印加された電圧に応じて入射光の光量を減衰させることによって前記利得を変化させるフィルタであり、前記受光部は、前記第1変換手段を通過した光を入射光として電気信号に変換する第2光電変換層及び前記第2光電変換層を挟む2つの第2電極を有し、前記第2光電変換層は、前記第2変換手段として、印加された電圧に応じて、入射光を電気信号に変換する際の量子効率を変えることによって前記利得を変化させてもよい。
【0027】
これにより、電子NDフィルタの機能を受光部によって実現することができるため、電子NDフィルタを2つ配置する場合に比べて、コンパクト化できる。
【0028】
例えば、本開示の一態様に係るカメラシステムでは、前記受光部は、入射光を電気信号に変換する第1光電変換層及び前記第1光電変換層を挟む2つの第1電極と、前記第1変換手段を通過した光を入射光として電気信号に変換する第2光電変換層及び第2光電変換層を挟む2つの第2電極とを有し、前記第1光電変換層は、前記第1変換手段として、印加された電圧に応じて、入射光を電気信号に変換する際の量子効率を変えることによって前記利得を変化させ、前記第2光電変換層は、前記第2変換手段として、印加された電圧に応じて、入射光を電気信号に変換する際の量子効率を変えることによって前記利得を変化させてもよい。
【0029】
このように、第1変換手段及び第2変換手段が受光部に設けられることにより、2つの電子NDフィルタの機能を受光部によって実現することができる。よって、受光部と別体に電子NDフィルタを設ける場合よりもコンパクト化できる。
【0030】
例えば、本開示の一態様に係るカメラシステムでは、前記印加電圧制御部は、前記量子効率に応じて、前記第2光電変換層に繰り返し印加する電圧パルスのデューティを変えてもよい。
【0031】
これにより、例えば、パルスデューティを変えることによって、前記利得を変化させることができる。
【0032】
例えば、本開示の一態様に係るカメラシステムは、さらに、入射光の強度に応じて前記印加電圧制御部が印加する電圧を変化させる自動モードと、ユーザからの指示に応じて前記印加電圧制御部が印加する電圧を変化させる手動モードとを切り替える自動手動制御部を備えてもよい。
【0033】
これにより、撮影状況に応じてユーザが自由に所望のモードを選択することができる。
【0034】
例えば、本開示の一態様に係るカメラシステムは、さらに、前記第2光電変換層に印加される電圧に応じて、前記受光部で変換された電気信号に対してホワイトバランスを調整するホワイトバランス制御部を備えてもよい。
【0035】
これにより、印加電圧を変えてもホワイトバランスが保たれるため、バランスの取れた画像を得ることができる。
【0036】
例えば、本開示の一態様に係るカメラシステムでは、前記受光部は、さらに、前記第2光電変換層に電圧を印加するための第3電極を有し、前記印加電圧制御部は、前記量子効率に応じて、前記第3電極に印加する電圧を変えてもよい。
【0037】
このように、第3電極を有するため、第3電極の電圧を調整するたけで、量子効率を調整することができる。
【0038】
例えば、本開示の一態様に係るカメラシステムでは、前記第1変換手段及び前記第2変換手段の少なくとも一方は、印加された電圧に応じて周波数フィルタとしての特性を変えてもよい。
【0039】
このように、周波数フィルタを有するため、特定の波長域の光を選択的に通過させることができ、所望の色調の画像を得ることができる。
【0040】
例えば、本開示の一態様に係るカメラシステムは、さらに、ディスプレイと、前記ディスプレイに、前記利得を連続的に変えるための指示を受け付ける第1画像、及び、前記利得を段階的に変えるための指示を受け付ける第2画像を切り替えて表示するグラフィックインターフェース部を備えてもよい。
【0041】
これにより、所望のユーザインターフェースを実現することができる。
【0042】
なお、これらの包括的又は具体的な態様は、システム、方法、集積回路、コンピュータプログラム又はコンピュータで読み取り可能なCD-ROMなどの記録媒体で実現されてもよく、システム、方法、集積回路、コンピュータプログラム及び記録媒体の任意な組み合わせで実現されてもよい。
【0043】
以下、本開示の実施形態について、図面を参照しながら具体的に説明する。
【0044】
但し、必要以上に詳細な説明は省略する場合がある。例えば、既によく知られた事項の詳細説明や実質的に同一の構成に対する重複説明を省略する場合がある。これは、以下の説明が不必要に冗長になるのを避け、当業者の理解を容易にするためである。なお、添付図面及び以下の説明は当業者が本開示を十分に理解するためのものであって、これらによって請求の範囲に記載の主題を限定することを意図するものではない。
【0045】
なお、図面において、実質的に同一の構成、動作、及び効果を表す要素については、同一の符号を付す。また、以下において記述される数値は、全て本開示を具体的に説明するために例示するものであり、本開示は例示された数値に制限されない。さらに、構成要素間の接続関係は、本開示を具体的に説明するために例示するものであり、本開示の機能を実現する接続関係はこれに限定されない。
【0046】
本開示の一態様に係るカメラシステムは、入射光を電気信号に変換する受光部と、印加された電圧に応じて、入射光が入射してから受光部によって電気信号に変換されるまでの過程における利得を変化させる第1変換手段及び第2変換手段と、第1変換手段及び第2変換手段に電圧を印加する印加電圧制御部と、を備え、第2変換手段は、第1変換手段を通過した光が入射される位置に配置されている。例えば、カメラシステムは、動画像及び静止画像を撮像するカメラである。
【0047】
本開示において、受光部は、撮像素子又は撮像装置であり、例えば、積層型の有機固体撮像装置であってもよく、フォトダイオードであってもよい。
【0048】
また、第1変換手段及び第2変換手段は、印加電圧を変えることにより、入射光が入射してから受光部によって電気信号に変換されるまでの過程における利得を変化させる。ここで、入射光が入射してから受光部によって電気信号に変換されるまでの過程における利得とは、入射光を電気信号に変換する変換率だけではなく、光から光への変換率、つまり、入射光の光量を減衰させる減衰率も含む。例えば、上記利得を低下させる例として、カメラシステムが直射日光などの強い光を受けた場合、入射光の光量を減衰させることにより、受光部に過大な電圧が生じることを抑制することができる。また、上記利得を変化させる例として、入射光を電気信号に変換する際の量子効率を変化させることにより、受光部の光感度を調整することができる。
【0049】
本開示のカメラシステムは、上記構成を有することにより、明るさの変化に対して、変換手段の感度をより細かく調整することができる。
【0050】
以下、具体例として、第1の実施形態から第4の実施形態について説明する。
【0051】
(第1の実施形態)
以下、本開示の第1の実施形態に係るカメラシステムの概要について説明する。図1は、本実施形態に係るカメラシステム70Aの構成を示す機能ブロック図である。
【0052】
本実施形態に係るカメラシステム70Aでは、第1変換手段12Aは、印加された電圧に応じて入射光の光量を減衰させることによって利得を変化させるフィルタである。第2変換手段13Aは、第1変換手段12Aを通過した光が入射され、印加された電圧に応じて入射光の光量を減衰させることによって利得を変化させるフィルタである。受光部11Aは、第2変換手段13Aを通過した光を入射光として電気信号に変換してもよい。
【0053】
図1に示すように、本実施形態に係るカメラシステム70Aは、被写体を撮像する撮像部10Aと、撮像部10Aから出力される電気信号を処理するグラフィックインターフェース部(以下、グラフィックI/F部)30と、撮像部10A内の各構成の動作を制御するシステム制御部20Aと、グラフィックI/F部30で処理された画像データを格納する記録媒体40と、画像を表示するディスプレイ50と、ユーザからの入力指示をシステム制御部20Aに伝達するユーザインターフェース部(以下、ユーザI/F部と呼ぶ)60と、を備える。
【0054】
撮像部10Aは、撮像部10Aに光が入射する側から順に、レンズ14、メカシャッタ15、フォーカスレンズ16、第1変換手段12A、第2変換手段13A、及び受光部11Aを備える。つまり、第1変換手段12A及び第2変換手段13Aは、受光部11Aとは別体に設けられる。第2変換手段13Aは、第1変換手段12Aを通過した光が入射される位置に配置されている。
【0055】
本実施形態における第1変換手段12Aは、印加された電圧に応じて入射光の光量を減衰させることによって、入射光が入射してから受光部11Aによって電気信号に変換されるまでの過程における利得を変化させるフィルタであり、いわゆる、電子NDフィルタである。
【0056】
第2変換手段13Aは、第1変換手段12Aを通過した光が入射され、印加された電圧に応じて入射光の光量を減衰させることによって、入射光が入射してから受光部11Aによって電気信号に変換されるまでの過程における利得を変化させるフィルタであり、いわゆる、電子NDフィルタである。
【0057】
つまり、本実施形態に係るカメラシステム70Aは、印加電圧により感度を変更可能な第1変換手段(第1の電子NDフィルタ)12Aと第2変換手段(第2の電子NDフィルタ)13Aとを備える。
【0058】
なお、図1では、第1の電子NDフィルタ12A及び第2の電子NDフィルタ13Aの2つの電子NDフィルタを備える例を示しているが、電子NDフィルタを3つ以上備えてもよい。
【0059】
本実施形態では、受光部11Aは、第2変換手段13Aを通過した光を入射光として電気信号に変換する、いわゆる、撮像素子である。本実施形態では、受光部11Aは、例えば、入射した光に応じて光電変換する光電変換膜を用いた積層型の固体撮像素子から構成されてもよい。光電変換膜は、例えばアモルファスシリコンを含んでもよい。なお、受光部11Aは、CCD(Charge Coupled Device)イメージセンサ及びCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)イメージセンサなどの撮像装置であってもよい。
【0060】
さらに、本実施形態に係るカメラシステム70Aは、ディスプレイ50と、ディスプレイ50に、上記利得を連続的に変えるための指示を受け付ける第1画像60a、及び、上記利得を段階的に変えるための指示を受け付ける第2画像60bを切り替えて表示するグラフィックI/F部30を備えてもよい。
【0061】
ディスプレイ50は、画像を表示する表示装置であり、例えば、液晶(LC:Liquid Crystal)ディスプレイ又は有機EL(Electro Luminescence)ディスプレイである。
【0062】
グラフィックI/F部30は、受光部11Aから出力されるデジタル処理された撮像データを受け取り、JPEG形式等の所定の圧縮方式で撮像データを圧縮し、圧縮された撮像データを記録媒体40に格納する。記録媒体40は、不揮発性のメモリであって、例えば、フラッシュメモリーなどである。
【0063】
また、グラフィックI/F部30は、デジタル処理された撮像データをディスプレイ50のサイズに合わせた画像サイズに縮小してディスプレイ50に表示する。
【0064】
また、グラフィックI/F部30は、受光部11Aから出力されるデジタル処理された撮像データから算出した特徴量の結果をシステム制御部20Aに送信する。ここで、特徴量とは、画像の特徴を示す情報であり、例えば、画像のピントずれ量、露光量又は色調などを表す数値である。
【0065】
システム制御部20Aは、グラフィックI/F部30で算出された撮像データの特徴量を受信して、その特徴量から適切な撮像条件を決定する。そして、決定された撮像条件に基づいて、撮像部10Aに制御信号を送信する。
【0066】
本実施形態におけるシステム制御部20Aは、レンズ制御部22と、露光制御部23と、印加電圧制御部24とを備える。
【0067】
レンズ制御部22は、グラフィックI/F部30で算出されたピントずれ量に基づいて、フォーカスレンズ16を移動させる位置を制御する。図1では、撮像部10Aは、フォーカスレンズ16を1枚のみ備えているが、フォーカスレンズ16を複数枚備えてもよい。フォーカスレンズ16を複数枚備えることにより、収差の影響を受けにくくなり、より細かくピントを調節することができる。
【0068】
露光制御部23は、グラフィックI/F部30で算出された露光量に基づいて、メカシャッタ15の絞り値及びシャッタ速度を制御する。メカシャッタ15は、撮像部10Aに入射した光の光量(照度)を調整する。
【0069】
印加電圧制御部24は、グラフィックI/F部30で算出された撮像データの特徴量に基づいて、第1変換手段12A(例えば、透過率可変減光フィルタ)及び第2変換手段13Aへの印加電圧を制御する。これにより、第1変換手段12A及び第2変換手段13Aにおける光から光への変換率、つまり、光量の減衰率を調整する。
【0070】
なお、システム制御部20Aは、受光部11Aの電荷蓄積の開始タイミングを制御する電子シャッタ制御部を備えてもよい。また、以下で説明する各実施形態及び変形例においても同様にシステム制御部は電子シャッタ制御部を備えてもよい。
【0071】
ユーザインターフェース(ユーザI/F)部60は、ユーザからの操作を受け付ける操作部を有し、ユーザからの操作信号をシステム制御部20Aに送信する。ユーザI/F部60は、例えば、タッチパネル、ダイヤル、プッシュボタンである。タッチパネルは、ディスプレイ50に配置され、タッチパネル上でユーザの指が触れた位置を検出し、システム制御部20Aに位置情報を送信する。ユーザは、ディスプレイ50に表示された設定パラメータなどの表示項目を確認しながら操作することにより、容易に所望の設定パラメータを指定することができる。
【0072】
ユーザI/F部60について具体例を挙げて説明する。図2は、ユーザI/F部60の例を示す図である。
【0073】
図2に示すように、ユーザがND値の設定を変更する手段として、ユーザがディスプレイ50に表示されたパラメータを指定するタッチ式と、ユーザがダイヤル及びプッシュボタンなどでパラメータを指定する機械式とがある。また、パラメータを多段階で調節できる多段階制御と、パラメータを連続的に調節できる無段階制御とがある。ここでは、パラメータは、ND値である。
【0074】
図2の(a)に示すタッチ式無段階ND制御では、ディスプレイ50に、第1画像60aであるND値の階調を示すバーが表示される。ユーザがディスプレイ50に表示されたND値の階調を示すバー60aを指でなぞると、なぞった指の位置をタッチパネルが検出する。タッチパネルは、検出した指の位置情報をシステム制御部20Aに送信する。これにより、ユーザは、所望のND値への変更をシステム制御部20Aに指示することができる。このとき、ユーザが第1画像60aのND値の階調を示すバーを指でなぞると、指で触れた透過率に対応した画像が連続的にディスプレイ50に表示される。
【0075】
図2の(b)に示すタッチ式多段階ND制御では、ディスプレイ50に、第2画像60bである、各段階のND値を示すアイコンが表示される。ユーザがディスプレイ50に表示された多段階のND値を示すアイコン60bを指で触れて選択すると、指が触れた位置をタッチパネルが検出する。タッチパネルは、検出した指の位置情報をシステム制御部20Aに送信する。これにより、ユーザは、所望のND値への変更をシステム制御部20Aに指示することができる。このとき、ユーザが第2画像60bの各段階のND値を示すアイコンを指で触れて選択すると、指で触れたND値に対応した画像がディスプレイ50に表示される。
【0076】
図2の(c)に示す機械式多段階ND制御では、ユーザは、カメラ本体に配置されたダイヤル60cを回すことにより、所望のND値への変更をシステム制御部20Aに指示することができる。
【0077】
上記のいずれの場合も、ユーザは、ディスプレイ50に表示された画像を見ながらND値を調整することができるため、より細かくより早く連続的又は多段階に感度調整を行うことが可能となる。これにより、露出の急激な変化に伴いディスプレイ50の表示が急激に変化することを防ぐことができる。したがって、ユーザの、例えば眼精疲労を軽減することも可能となる。
【0078】
続いて、図3を用いて、本実施形態に係るカメラシステム70AにおけるND機構について詳細を説明する。図3は、第1の実施形態に係るカメラシステム70Aにおける第1変換手段12A及び第2変換手段13Aの構成を説明する図である。なお、図3では、ND機構を説明するために必要な構成のみを記載している。本実施形態では、第1変換手段12A及び第2変換手段13Aは、共に電子NDフィルタである。以下、本実施形態において、第1変換手段12A及び第2変換手段13Aをそれぞれ第1の電子NDフィルタ12A及び第2の電子NDフィルタ13Aと呼ぶ。
【0079】
図3に示すように、入射光は、レンズ14を通して撮像部10Aに入射する。撮像部10Aに入射した光は、第1の電子NDフィルタ12Aを通過した後、第2の電子NDフィルタ13Aを通過する。これにより、撮像部10Aに入射した光は、所望の光量まで減衰され、受光部11Aに入射する。
【0080】
第1のNDフィルタ12Aは、一対の電極120A及び122Aと、一対の電極120A及び122Aに挟まれた第1NDフィルタ層121Aとを有する。第2のNDフィルタ13Aは、一対の電極130A及び132Aと、一対の電極130A及び132Aに挟まれた第2NDフィルタ層131Aとを有する。
【0081】
本実施形態に係るカメラシステム70Aでは、第1の電子NDフィルタ12A及び第2の電子NDフィルタ13Aは、異なる種類のND機構を持つフィルタであってもよい。
【0082】
例えば、第1の電子NDフィルタ12Aは、第1NDフィルタ層121Aとして液晶層を有する液晶型の電子NDフィルタであり、第2の電子NDフィルタ13Aは、第2NDフィルタ層131Aとして反応物質層を有する析出型の電子NDフィルタである。
【0083】
次に、第1の電子NDフィルタ12A及び第2の電子NDフィルタ13Aの感度調整方法について説明する。図4は、本実施形態に係るカメラシステム70Aにおける第1の電子NDフィルタ12A及び第2の電子NDフィルタ13Aの感度調整方法を説明する図である。図4の電圧電源80は、フィルタの電極に電圧を印加する電源であり、パルスデューティ電圧電源81は、フィルタの電極にパルスデューティ化された電圧を印加する電源である。
【0084】
ここでは、第1の電子NDフィルタ12Aは、液晶型の電子NDフィルタであり、第2の電子NDフィルタ13Aは、析出型の電子NDフィルタである。これらの電子NDフィルタは、電圧電源80で印加電圧を調整することにより光の透過率を変化させる。液晶型の電子NDフィルタは、液晶が光を吸収する調光材料を含むため、印加電圧を調整することにより液晶分子の傾きを変化させて、調光の度合い、つまり、光の透過率を変化させる。析出型の電子NDフィルタは、内面に電極が設けられたセルの内部に、可逆的に酸化還元反応する反応物質を含む反応溶液が満たされており、印加電圧を調整することによりセル内の反応物質の酸化還元反応を制御する。より具体的には、印加電圧を調整することにより、反応溶液中で反応物質である塩化銀が酸化還元反応を起こして銀を析出させたり溶解させたりする。
【0085】
これらの液晶型及び析出型の電子NDフィルタは、均質に光の透過率を変化させることができるが、入射光の光量変化に対する応答速度が比較的遅いことが知られている。しかしながら、本実施形態に係るカメラシステム70Aのように、2つの電子NDフィルタを組み合わせて用いることで、1つの電子NDフィルタを用いる場合よりも、個々の電子NDフィルタが減衰する光量を少なくすることができる。そのため、本実施形態では、電子NDフィルタを1つのみ備える場合に比べ、入射光を所望の光量に減衰させるまでの応答時間を約1/2倍にすることができる。つまり、被写体の急激な露光量の変化に対しても、電子NDフィルタが入射光を所望の光量に減衰させる光透過率に変化するまでの応答速度を短縮することが可能となる。
【0086】
なお、図3及び図4に示すND機構は一例であり、本開示におけるND機構は、2つ以上の電子NDフィルタから構成されてもよい。また、本実施形態では、個々の電子NDフィルタは、液晶型及び析出型のように異なる構成を有する例を示したが、2つ以上の電子NDフィルタは、全て同じ構成であってもよく、任意の組み合わせで構成されてもよい。
【0087】
本実施形態では、上述の液晶型及び析出型の電子NDフィルタ以外の特性を有するフィルタを備えてもよい。例えば、本実施形態に係るカメラシステム70Aでは、第1の電子NDフィルタ12A及び第2の電子NDフィルタ13Aの少なくとも一方は、印加された電圧に応じて周波数フィルタとしての特性を変えてもよい。以下、周波数フィルタについて説明する。
【0088】
図5は、周波数フィルタ300の概略断面図である。周波数フィルタ300は、陽極301と陰極302を対とする電極対と、電極対に挟まれたフィルタ層303と、電極対の間隔を保持しながらフィルタ層の外周を囲むように封止するスペーサ304とを含む。
【0089】
フィルタ層303は、電極対及びスペーサ304により囲まれた閉空間に配置され、電極対に電圧を印加することにより色調及び色彩が変化する物質を含む。一般に、このような色変化は、エレクトロクロミズムと呼ばれ、電気化学的な酸化還元反応によって引き起こされる、物質の色調及び色彩の可逆的変化である。つまり、色変化は、物質に含まれる分子及び金属イオンの酸化還元状態が変化して光の吸収帯が変化することに起因する。このようなエレクトロクロミズムを示す物質は、エレクトロクロミック物質と呼ばれる。なお、エレクトロクロミック物質については、後述する。
【0090】
エレクトロクロミック物質を含む電解質層の構成材料が液状又はゲル状である場合は、構成材料を例えば導電性フィルムに封止して電極間に配置してもよく、電極対とスペーサとで封止された空間に直接注入してもよい。また、エレクトロクロミック物質を含む電解質層の構成材料が、例えば粉末状、粒子状、フィルム状、層状、又は板状などの固体状である場合は、構成材料をプレスにより成型してもよく、樹脂等と練合して成型してもよい。構成材料を、一般に固体状と言われる流動性のない状態に成型すればよい。この場合、フィルタ層303を電極対の間に封止するスペーサ304は、あっても無くてもよい。
【0091】
上述のとおり、周波数フィルタ300は、周波数フィルタ300への印加電圧を調整することにより、色調及び色彩が変化する。色変化を起こす際のメカニズムは、電極対におけるエレクトロクロミック物質の可逆的な酸化還元反応であり、電極対への印加電圧を調整することにより消色と着色とを切り替えることが可能である。
【0092】
また、陽極301及び陰極302は、透明電極であるとよい。これにより、周波数フィルタ300を透過した光を受光部11Aに入射させることができる。なお、透明電極は、一般に使用されるものであればよい。具体的な材料及び透明の定義については、第2の実施形態における対向電極で後述する。
【0093】
次に、エレクトロクロミック物質について具体的に説明する。エレクトロクロミック物質は、有機化合物及び無機化合物の両方に存在する。エレクトロクロミック物質が有機化合物の場合は、電極対に電圧を印加すると、分子が酸化還元反応により他の物質に変化する、又は、ラジカル状態に変化することにより色が変わる。また、エレクトロクロミック物質が無機化合物の場合にも、電極対に電圧を印加すると、分子が酸化還元反応により変化することにより、色が変わる。例えば、無機化合物の例としては、ペンタシアノカルボニル鉄酸塩が挙げられる。ペンタシアノカルボニル鉄酸塩は、酸化時に青に着色するが還元時は無色となる。また、酸化ニッケル(NiOx)は酸化時に褐色で還元時は無色となる。これらの無機化合物は、酸化発色型である。有機化合物での例としては、ヘプチルビオロゲンが挙げられる。ヘプチルビオロゲンは還元時に紫に着色し、酸化時には無色となる。つまり、ヘプチルビオロゲンは、還元発色型である。
【0094】
続いて、周波数フィルタ300の周波数特性について説明する。図6は、周波数フィルタ300の周波数特性を説明するグラフである。図6では、縦軸は出力、横軸はフィルタを透過する光の波長を示している。
【0095】
図6の(a)は、短波長域の波長の、つまり、高い周波数の光のみ透過率が高いハイパスフィルタの周波数特性を示すグラフである。ハイパスフィルタでは、エレクトロクロミック物質として、ペンタシアノカルボニル鉄酸塩を使用している。上述したように、ペンタシアノカルボニル鉄酸塩は、酸化されると青に着色するため、図6の(a)に示すように、青色の波長が含まれる短波長域の波長の光に対してのみ、透過率を高める。
【0096】
図6の(b)は、長波長域の波長の、つまり、低い周波数の光のみ透過率が高いローパスフィルタの周波数特性を示すグラフである。ローパスフィルタでは、エレクトロクロミック物質として、酸化ニッケル(NiOx)を使用している。上述したように、酸化ニッケル(NiOx)は、酸化されると褐色に変化するため、褐色の波長が含まれる赤外及び近赤外領域などの長波長域の波長の光に対してのみ、透過率を高める。
【0097】
図6の(c)は、中波長域の波長の光のみ透過率が高いバンドパスフィルタの周波数特性を示すグラフである。バンドパスフィルタは、上述のローパス特性及びハイパス特性を持つエレクトロクロミック物質を組み合わせることにより、短波長域及び長波長域の波長の光の透過率を低下させ、可視光領域などの中波長域の波長の光の透過率を向上させる。これにより、赤外領域及び紫外領域の波長の光を吸収し、可視光領域の波長の光に対してのみ、透過率を高める。
【0098】
図6の(d)は、バンドパスフィルタとは逆に、短波長域及び長波長域の波長の光のみ透過率が高いバンドエリミネーションフィルタの周波数特性を示すグラフである。バンドエリミネーションフィルタは、短波長域及び長波長域の光の透過率を向上させ、可視光領域などの中波長域の光の透過率を低下させる。これにより、赤外領域及び紫外領域の波長の光のみを透過させる使い方が可能となる。
【0099】
このように、電子NDフィルタとして周波数フィルタを使用することにより、色変換フィルタをレンズに付け外しするよりはるかに早くかつ簡単に受光部11Aへ入射する光の波長分布(色温度)を変えることが可能となる。
【0100】
(第1の実施形態の変形例1)
続いて、第1の実施形態の変形例1に係るカメラシステムについて説明する。図7は、本変形例に係るカメラシステム70Bの構成を示す機能ブロック図である。以下、第1の実施形態に係るカメラシステム70Aと異なる点についてのみ説明する。
【0101】
本変形例に係るカメラシステム70Bは、さらに、入射光の強度に応じて印加電圧制御部24が印加する電圧を変化させる自動モードと、ユーザからの指示に応じて印加電圧制御部24が印加する電圧を変化させる手動モードとを切り替える自動手動制御部26を備えてもよい。
【0102】
図7に示すように、本変形例に係るカメラシステム70Bは、システム制御部20Bに自動手動制御部26を有する点で、第1の実施形態に係るカメラシステム70Aと異なる。
【0103】
自動手動制御部26は、第1の電子NDフィルタ12Aと第2の電子NDフィルタ13Aに接続され、ユーザI/F60により選択された自動制御又は手動制御のいずれか選択された制御方式を第1の電子NDフィルタ12A及び第2の電子NDフィルタ13Aに伝える回路である。
【0104】
自動手動制御部26は、グラフィックI/F部30で算出された撮像データの特徴量を受信して、その特徴量から適切な撮像条件を決定し、決定された撮像条件で撮像部10Aに制御信号を送信する自動制御を行う。さらに、自動手動制御部26は、グラフィックI/F部30からディスプレイ50に出力された撮像データをユーザが確認し、ユーザがユーザI/F部60に入力した撮像条件に基づいて撮像部10Aに制御信号を送信する手動制御も行う。
【0105】
例えば、ユーザが電子NDフィルタの自動制御を選択した場合は、自動手動制御部26が選択した推奨ND値に制御するための印加電圧及び/又はパルスデューティ化された印加電圧が第1の電子NDフィルタ12A及び第2の電子NDフィルタ13Aに供給される。また、ユーザが電子NDフィルタの手動制御を選択した場合は、ユーザがユーザI/F部60で指定したND値に相当する印加電圧及び/又は印加電圧のパルスデューティ化された印加電圧が、第1の電子NDフィルタ12A及び第2の電子NDフィルタ13Aに供給される。
【0106】
図8は、本変形例に係るカメラシステム70Bにおける第1の電子NDフィルタ12A及び第2の電子NDフィルタ13Aの制御パターンを示す表である。
【0107】
図8のパターン1、パターン3、パターン7及びパターン9のように、ユーザは、第1の電子NDフィルタ12A及び第2の電子NDフィルタ13Aの2つとも常に自動制御又は手動制御のいずれかで固定される制御パターンを選択することができる。あるいは、図8のパターン5のように、ユーザは、第1の電子NDフィルタ12A及び第2の電子NDフィルタ13Aの2つとも常に自動制御又は手動制御に切り替え可能な制御パターンを選択することができる。また、ユーザは、第1の電子NDフィルタ12A及び第2の電子NDフィルタ13Aのいずれか一方が自動制御又は手動制御に切り替え可能であり、第1の電子NDフィルタ12A及び第2の電子NDフィルタ13Aのいずれか他方が常に手動制御又は自動制御に固定される制御パターンを選択することができる。
【0108】
(第2の実施形態)
以下、第2の実施形態に係るカメラシステムの概要について説明する。図9は、本実施形態に係るカメラシステム70Cの構成を示す機能ブロック図である。なお、図9では、第1の実施形態に係るカメラシステム70Aと異なる構成についてのみ異なる符号を付している。
【0109】
本実施形態に係るカメラシステム70Cでは、第1変換手段12Cは、印加された電圧に応じて入射光の光量を減衰させることによって利得を変化させるフィルタであってもよい。受光部11Cは、光電変換部を有する。光電変換部は、第1変換手段12Cを通過した光を電気信号に変換する光電変換層と、光電変換層を挟む2つの電極とを含んでいてもよい。光電変換部は、第2変換手段13Cとして、印加された電圧に応じて、入射光を電気信号に変換する際の量子効率を変えることによって利得を変化させてもよい。
【0110】
以下、第1の実施形態に係るカメラシステム70Aと異なる構成についてのみ説明する。
【0111】
図9に示すように、本実施形態に係るカメラシステム70Cは、受光部11C内の光電変換部が第2変換手段13Cとして機能する点で、第1の実施形態と異なる。このとき、第1変換手段12Cは、受光部11Cと別体に配置される。
【0112】
続いて、図10を用いて、本実施形態に係るカメラシステム70CにおけるND機構について詳細を説明する。図10は、本実施形態に係るカメラシステム70Cにおける第1変換手段12C及び第2変換手段13Cの構成を説明する図である。なお、図10では、ND機構を説明するために必要な構成のみを記載している。本実施形態では、第1変換手段12Cは、電子NDフィルタである。以下、本実施形態において、第1変換手段12Cを第1の電子NDフィルタ12Cと呼ぶ。なお、本実施形態では、受光部11Cと別体に第1の電子NDフィルタ12Cを備える例を示しているが、受光部11Cと別体に電子NDフィルタを2つ以上備えてもよい。また、それらの電子NDフィルタは、異なるND機構を持つフィルタであってもよい。
【0113】
図10に示すように、入射光は、レンズ14を通して撮像部10Cに入射する。撮像部10Cに入射した光は、第1の電子NDフィルタ12Cを通過した後、受光部11C内の第2変換手段13Cに入射する。ここで、第1の電子NDフィルタ12Cは、例えば、液晶型の電子NDフィルタであり、第2変換手段13Cは、受光部11C内の光電変換部である。第1の電子NDフィルタ12Cは、一対の電極120A及び122Aと、一対の電極120A及び122Aに挟まれた第1NDフィルタ層121Aとを有する。光電変換部は、一対の電極105及び101と、一対の電極105及び101の間に挟まれた光電変換層104とを有し、光電変換部に入射した光を電気信号に変換する。
【0114】
グラフィックI/F部30は、受光部11Cから出力されるデジタル処理された撮像データから算出した特徴量の結果を、システム制御部20Aに送信する。印加電圧制御部24は、システム制御部20Aが受信した特徴量に基づき、第1の電子NDフィルタ12Cと第2変換手段13Cである光電変換部への印加電圧を調整する指示を撮像部10Cに送信する。
【0115】
本実施形態では、印加電圧制御部24は、第1の電子NDフィルタ12Cの印加電圧を制御することにより、光の減衰率を調整すると共に、第2変換手段13Cである光電変換部への印加電圧を制御することにより、光電変換部の光感度を調整する。なお、光電変換部の光感度の調整方法については、図12にて後述する。
【0116】
本実施形態に係るカメラシステム70Cは、このような構成を有することにより、明るさの変化に対して感度をより細かく、かつ、素早く調整することができる。
【0117】
次に、光電変換部について説明する。光電変換部は、一対の電極と、一対の電極である対向電極105及び画素電極101の間に挟まれた光電変換層104とを有する。
【0118】
対向電極105は、典型的には、透明な導電性材料から形成される透明電極である。対向電極105は、光電変換部において光が入射される側に配置される。そのため、光電変換層104には、対向電極105を透過した光が入射する。なお、撮像部10Cによって検出される光は、可視光の波長範囲(例えば、380nm以上780nm以下)内の光に限定されない。本明細書における「透明」は、検出しようとする波長範囲の光の少なくとも一部を透過することを意味し、可視光の波長範囲全体に亘って光を透過することは必須ではない。本明細書では、赤外線及び紫外線を含めた電磁波全般を、便宜上「光」と表現する。対向電極105には、例えば、ITO(Indium Tin Oxide)、IZO(Indium Zinc Oxide)、AZO(Aluminum-doped Zinc Oxide)、FTO(Florine-doped Tin Oxide)、SnO、TiO、ZnOなどの透明導電性酸化物(TCO:Transparent Conducting Oxide)を用いることができる。図11はITOを用いた光電変換膜における印加電圧と受光部の出力の関係を示している。
【0119】
光電変換層104は、入射する光を受けて正孔-電子対を発生させる。発生した正孔-電子対のうち一方の電荷が、信号電荷として画素電極101に捕捉される。画素電極101に捕捉された電荷は、公知の信号検出回路により検出される。信号検出回路は、信号電荷に応じた信号を増幅して出力する増幅トランジスタを含んでいてもよい。増幅トランジスタのゲートは画素電極101に電気的に接続されていてもよい。光電変換層104は、典型的には、有機半導体材料から形成される。
【0120】
続いて、光電変換部を電子NDフィルタとして機能させる方法の概要について説明する。
【0121】
図11は、光電変換膜への印加電圧と受光部からの出力電圧との関係を示すグラフである。図11の縦軸は、規格化出力電圧を示している。ここで、規格化出力電圧は、光電変換部への印加電圧が10Vであるときの受光部からの出力電圧を1.0として規格化した値である。なお、印加電圧が10Vであるときの出力電圧を規格化の基準とする必要はなく、適宜変更してもよい。また、近似直線の算出方法及び算出範囲により閾値も変わり得るため、リニアリティが確保される領域も本図とは異なり得る。
【0122】
図11から、光電変換部への印加電圧を調整することで、受光部からの出力電圧を調整することができることがわかる。例えば、図11に示すグラフから、出力される光の光量をフィルタに入射する光の光量の半分に減光するND2に相当する規格化出力電圧は、1.0の半分の0.5である。そのため、規格化出力電圧を0.5に調整する印加電圧を光電変換部に印加することにより、ND2に相当するND機能を光電変換部で実現できることがわかる。また、出力される光の光量をフィルタに入射する光の光量の4分の1に減光するND4に相当する規格化出力電圧は、1.0の4分の1の0.25であり、出力される光の光量をフィルタに入射する光の光量の8分の1に減光するND8に相当する規格化出力電圧は、1.0の8分の1の0.125である。これらのNDについても、同様に、規格化出力電圧に調整する印加電圧を光電変換部に印加することにより、ND機能を光電変換部で実現することができる。
【0123】
したがって、所望のND機能に相当する規格化出力電圧に対応する電圧を光電変換部に印加することにより、光電変換部が電子NDフィルタとしても機能するように制御が可能である。但し、光電変換部への印加電圧と受光部からの出力電圧との関係は、光電変換部がこれらのND機能を奏する電圧領域において曲線的であり、光電変換部への印加電圧の全領域に亘ってリニアリティが確保されているわけではない。
【0124】
例えば、図11に示すように、光電変換部への印加電圧と受光部からの出力電圧(ここでは、規格化出力電圧)との間にリニアリティが確保されている領域とリニアリティが確保されていない領域とが存在する。印加電圧が閾値よりも大きい領域、つまり、印加電圧と規格化出力電圧との間にリニアリティが確保される電圧領域内では、印加電圧と規格化出力電圧との間に直線的な相関関係が得られるため、光電変換部への印加電圧の大きさを調整することにより光電変換部の光感度を容易に調整可能である。一方、印加電圧が閾値よりも小さい領域、つまり、印加電圧と規格化出力電圧との間にリニアリティが確保されていない電圧領域では、光電変換部への印加電圧と規格化出力電圧との関係を表す関数から、所望の規格化出力電圧に対応する印加電圧を算出する。そのため、カメラシステムに印加電圧と規格化出力電圧との関係を示す関数を記憶させる必要がある。
【0125】
したがって、光電変換部の光感度を調整して所望のND機能を発揮させる場合には、印加電圧と規格化出力電圧との関係にリニアリティが確保されている領域の印加電圧と規格化出力電圧とを用いると、光電変換部の光感度の制御が容易になる。これにより、カメラシステムに関数を記憶させる必要がなくなり、簡便に、光電変換部の光感度を調整することができ、ND機能を光電変換部で実現することができる。
【0126】
続いて、電子NDフィルタとして、光電変換部の光感度を制御する手順について説明する。図12は、光電変換部が電子NDフィルタとして使用される場合の、光電変換部の光感度を補正する手順を示すフローチャートである。
【0127】
本実施形態に係るカメラシステム70Cでは、印加電圧制御部24は、量子効率に応じて、光電変換部に繰り返し印加する電圧パルスのデューティを変えてもよい。本実施形態では、上記光電変換部は、第2変換手段13Cである。
【0128】
図12に示すように、印加電圧制御部24は、まず、所望のND値に相当する、光電変換部の出力電圧に対応する印加電圧が閾値(図11参照)よりも大きいか否かを判定する(ステップS1)。印加電圧が閾値よりも大きい場合(ステップS1にてYES)、光電変換部への印加電圧と出力電圧との間に直線的な相関関係が得られるため、所望のND値に対応する印加電圧を決定し(ステップS2)、光電変換部への印加電圧を調整する(ステップS3)。これにより、光電変換部を、所望のND値に対応する光感度に変更することができる(ステップS4)。
【0129】
次に、印加電圧と規格化出力電圧との間にリニアリティが確保されていない電圧領域における光電変換部の光感度の調整方法(ステップS1にてNO)について説明する。
【0130】
印加電圧制御部24は、まず、所望のND値に相当する、受光部の出力電圧に対応する印加電圧が閾値(図11参照)、例えば、9Vよりも大きいか否かを判定する(ステップS1)。そして、印加電圧制御部24が当該印加電圧は閾値9V以下であると判定した場合(ステップS1にてNO)、印加電圧の調整によるND値の補正が可能か否かを判定する(ステップS5)。ステップS5での閾値は、例えば、7Vである。ステップS5では、7Vより大きいか否かで、印加電圧の調整によるND値の補正が可能か否かを判定する。
【0131】
ここで、ステップS1の閾値9V以下の近傍領域では、近似直線の算出方法などによってはリニアリティが得られる場合があり、所望のND値に対応する印加電圧を決定することにより、光電変換部の光感度を制御することも可能となる。例えば、図11における印加電圧7Vより大きく9V以下の範囲の領域では、7V以下の領域に比べて、近似直線の算出方法によってはリニアリティが得られると考えられる。このような領域では、印加電圧と後述するパルスデューティとを組み合わせて、所望のND値に対応する光感度に調整してもよい。
【0132】
したがって、印加電圧の調整によるND値の補正が可能であると判定された場合(ステップS5にてYES)、印加電圧とパルスデューティとの組み合わせを決定する(ステップS6)。次に、ステップS6で決定された印加電圧に調整し(ステップS7)、パルスデューティを調整する(ステップS8)。これにより、光電変換部を、所望のND値に対応する光感度に変更することができる(ステップS4)。
【0133】
一方、印加電圧の調整によるND値の補正が可能でないと判定された場合(ステップS5にてNO)、つまり、所望のND値に相当する出力電圧に対応する印加電圧が7V以下である場合、印加電圧と規格化出力電圧との間にリニアリティは得られない。また、この場合、所望のND値に相当する出力電圧に対応する印加電圧をそのまま光電変換部に印加すると、図24を用いて後述するように、ホワイトバランスが悪化する。そのため、例えば、印加電圧がステップS1の閾値9Vより大きい領域、つまり、リニアリティが確保されている領域の印加電圧と規格化出力電圧との関係から、所望のND値を実現できるパルスデューティを決定する(ステップS9)。そして、印加電圧を所定の値として、決定されたパルスデューティに調整する(ステップS10)。所定の値は、閾値9Vより大きい値であってもよい。これにより、光電変換部を、所望のND値に対応する光感度に変更することができる(ステップS4)。印加電圧を閾値9Vより大きい値に設定することにより、ホワイトバランスの悪化を抑制することができる。
【0134】
なお、本実施形態では、上記のように閾値9V以下の領域を、閾値の近傍領域(7Vより大きく9V以下)とそれ以下(7V以下)の領域とに分けて説明したが、閾値9V以下の領域を上記のように細かく分けなくてもよい。例えば、所望のND値に対応する印加電圧が閾値9Vよりも大きい領域では、ステップS1~S4の印加電圧の調整により光感度を調整し、所望のND値に対応する印加電圧が閾値9V以下の領域では、ステップS9~S10のパルスデューティの調整により光感度を調整してもよい。パルスデューティの調整により光感度を調整する場合、印加電圧の大きさを調整してもよく、印加電圧の大きさを所定の値に固定してもよい。
【0135】
以上のように、図12では、光電変換部への印加電圧と規格化出力電圧との間にリニアリティが確保されている領域とリニアリティが確保されていない領域の閾値を設ける例を説明した。しかしながら、閾値に関係なく、印加電圧の大きさを制御する電圧制御方式による印加電圧の制御と、印加電圧をパルスデューティ化して制御するパルスデューティ制御方式による印加電圧の制御との間には、相関関係が得られる。以下、それらの相関関係について説明する。
【0136】
図13は、電圧制御方式により光感度を調整するタイミングチャートの一例である。図14は、電圧制御方式により光感度を調整するタイミングチャートの他の例である。
【0137】
図13及び図14では、縦軸が光電変換部への印加電圧を示し、横軸が印加時間を示している。ここでは、任意の3フレームである、N-1フレーム、Nフレーム及びN+1フレームの印加電圧の変化を例示している。なお、後述する図15及び図16についても同様である。
【0138】
被写体から撮像部10Dへの入射光の光量が安定している場合、図13に示すように、N-1フレーム、Nフレーム、N+1フレームにおける光電変換部への印加電圧は一定である。このように、入射光の光量が安定している場合は、フレーム毎にND値を調整する必要がなく、印加電圧が一定の値(V)であっても安定した動画像を取得することが可能である。
【0139】
被写体から撮像部10Dへの入射光の光量が変動する場合、つまり、被写体の明るさが明暗を繰り返す場合、図14に示すように、N-1フレーム、Nフレーム、N+1フレームの各フレームにおいて印加電圧は調整される。このように、入射光の光量が変動する場合は、例えば、N-1フレームでは印加電圧V、NフレームではV(>V)、N+1フレームではV(<V)のように、フレーム毎に印加電圧を調整して所望のND値に相当する出力電圧に変更する。これにより、光電変換部の光感度を入射光の光量の変化に合わせて適切に調整することができるため、光量が安定した動画像を取得可能となる。なお、図14においては、V、V、V[V]は図11の閾値電圧以上の印加電圧とする。
【0140】
続いて、パルスデューティ制御方式により光電変換部の光感度を調整する例について説明する。図15は、パルスデューティ制御方式により光感度を調整するタイミングチャートの一例である。
【0141】
図14に示すタイミングチャートにおいて、V及びVが、図11の閾値電圧よりも小さい値である場合には、パルスデューティ制御方式により光感度を調整する方法も有効である。以下、V及びVは、図11の閾値電圧よりも小さい値であるとする。
【0142】
図15に示すタイミングチャートでは、印加電圧値を一定(V)にし、フレーム毎に印加電圧のパルスデューティを変化させている。このとき、図15に示す各フレームにおける印加電圧は、それぞれ図14に示す各フレームにおける印加電圧と相関関係を有する。具体的には、例えば、図15のN-1フレームの印加電圧のパルス期間T[s]のデューティとして、High期間をV/V、Low期間を(V-V)/Vと設定する。これにより、図14のN-1フレームの印加電圧Vに相当する印加電圧を再現できる。同様に、図15のN+1フレームの印加電圧のパルス期間T[s]のパルスデューティとして、High期間をV/V、Low期間を(V-V)/Vと設定する。これにより、図14のN+1フレームの印加電圧Vに相当する印加電圧を再現できる。図14に示す印加電圧のみで光電変換部の光感度、つまり、ND値を調整した場合の光電変換部の量子効率は、図15に示すパルスデューティのみでND値を調整した場合の光電変換部の量子効率と同じになる。
【0143】
図16は、パルスデューティ制御方式により光感度を調整するタイミングチャートの他の例である。図16に示すタイミングチャートでは、フレーム毎に印加電圧値と印加電圧のパルスデューティを変化させている。このとき、図16に示す各フレームにおける印加電圧は、それぞれ図14に示す各フレームにおける印加電圧と相関関係を有する。具体的には、図16のN-1フレームの印加電圧をV(<V)[V]、パルス期間T[s]のデューティとして、High期間をV/V4、Low期間を(V-V)/Vと設定する。これにより、図14のN-1フレームの印加電圧Vに相当する印加電圧を再現できる。同様に、図16のN+1フレームの印加電圧をV(<V)[V]、パルス期間T[s]のパルスデューティとして、High期間をV/V、Low期間を(V-V)/Vと設定する。これにより、図14のN+1フレームの印加電圧Vに相当する印加電圧を再現できる。図14に示す印加電圧のみでND値を調整した場合の光電変換部の量子効率は、図16に示す印加電圧とパルスデューティとでND値を調整した場合の光電変換部の量子効率と同じになる。
【0144】
なお、図15及び図16においては、V、V、V[V]は図11の閾値電圧以上のリニアリティが確保される印加電圧とする。また、図13から図16は1フレームが1/60[s]の例である。しかし、本開示では、1フレームが1/120[s]又は1/180[s]など他のフレームレートにも同じ効果が期待できる。
【0145】
なお、本実施形態において、第2の実施形態の変形例3にて後述するように、システム制御部20Aにホワイトバランス制御部及びホワイトバランステーブルを備えてもよい。さらに、システム制御部20Aは、自動手動制御部を備えてもよい。
【0146】
また、図11及び図24では、印加電圧を下げると、印加電圧と規格化出力電圧との間のリニアリティの悪化及びホワイトバランスの崩れが発生する例を示した。それとは逆に、印加電圧を上げることにより、リニアリティの悪化又はホワイトバランスの崩れが発生するような光電変換部についても、上述した効果と同じ効果を得ることが可能である。例えば、印加電圧を上げることによりリニアリティが悪化するような光電変換部に対しては、リニアリティの良い印加電圧領域に対応する光感度に調整する場合において一定電圧を印加し、リニアリティの悪い印加電圧領域に対応する光感度に調整する場合においてパルス電圧を印加するようにしてもよい。
【0147】
(第2の実施形態の変形例1)
続いて、第2の実施形態の変形例1に係るカメラシステムについて説明する。図17は、本変形例に係るカメラシステム70Dの構成を示す機能ブロック図である。以下、第2の実施形態に係るカメラシステム70Cと異なる点についてのみ説明する。
【0148】
図17に示すように、本変形例に係るカメラシステム70Dは、システム制御部20Dにパルスデューティ制御部29を有する点で、第2の実施形態に係るカメラシステム70Cと異なる。
【0149】
パルスデューティ制御部29は、グラフィックI/F部30から送信された撮像データの特徴量に基づき、光電変換部の光感度を制御する。第2の実施形態では、印加電圧制御部24が受光部11Cとは別体に配置された第1の電子NDフィルタ12C及び第2変換手段13Cである光電変換部への印加電圧を制御する。本変形例では、印加電圧制御部24は、第1の電子NDフィルタ12Cの印加電圧を制御し、パルスデューティ制御部29は、第2の実施形態で上述した制御と同様に、光電変換部への印加電圧を制御する。
【0150】
以下、図18を用いて、より具体的に説明する。図18は、本変形例に係るカメラシステム70Dにおける第1の電子NDフィルタ12C及び第2変換手段13Cの感度調整方法を説明する図である。本図では、説明に必要な構成のみ記載している。
【0151】
図18に示すように、入射光は、レンズ14を通じて撮像部10Cに入射する。撮像部10Cに入射した光は、第1の電子NDフィルタ12Cを通過した後、受光部11C内の光電変換部である第2変換手段13Cに入射する。ここで、第1の電子NDフィルタ12Cは、例えば、液晶型の電子NDフィルタである。
【0152】
第1の電子NDフィルタ12Cは、印加電圧制御部24により電圧電源80の印加電圧を制御される。これにより、第1の電子NDフィルタ12Cに入射する光の減衰率が調整される。
【0153】
第2変換手段13Cである光電変換部に対して、パルスデューティ制御部29により、電圧電源80とパルスデューティ電圧電源81とを組み合わせた電源の、印加電圧及びパルスデューティが制御される。光電変換部を電子NDフィルタとして機能させる場合、光電変換部への印加電圧と受光部の出力電圧との間にリニアリティが確保されている領域の電圧を使用するため、素早く感度を調整することができる。このとき、利用可能な印加電圧値は限られるが、電圧をパルスデューティ化することにより、所望のND値に相当する印加電圧に調整することができる。これにより、光電変換部の光感度をより細かく調整することができる。
【0154】
なお、ユーザI/F部60により選択されたND値により、必要に応じて、印加電圧制御部24が第1の電子NDフィルタ12Cの印加電圧を調整してもよく、パルスデューティ制御部29が第2変換手段13Cである光電変換部への印加電圧を調整してもよい。このように、光電変換部を電子NDフィルタとして機能させる場合に、パルスデューティ制御部29が光電変換部への印加電圧を制御することにより、印加電圧制御部24への負荷を軽減することができる。
【0155】
(第2の実施形態の変形例2)
以下、第2の実施形態の変形例2に係るカメラシステムの概要について説明する。
【0156】
図19は、本変形例における受光部11Eを説明する図である。本実施形態における受光部11Eは、図19に示すように、半導体基板に形成された複数の画素100及び周辺回路を有する。各画素100は、半導体基板の上方に配置された光電変換部を含み、例えば、m行n列(m、nは、2以上の整数である。)のマトリクス状に配置されることにより、撮像領域200を形成する。周辺回路は、行走査回路201、信号処理回路202、制御部203、及び出力回路204を含んでいる。行走査回路201は、それぞれの画素信号を読み出し走査を行う。信号処理回路202は、読み出された画素信号の信号処理を行う。制御部203は、行走査回路201及び信号処理回路202を制御するための制御信号を生成する。出力回路204は、信号処理回路の信号を出力する。
【0157】
本実施形態に係るカメラシステムは、光電変換部が電子NDフィルタとして機能する点で、第2の実施形態に係るカメラシステム70C及び第3の実施形態に係るカメラシステム70G(図25参照)と共通するが、光電変換部の電極構造が異なる。
【0158】
図20は、本変形例における光電変換部の構成を説明するための図である。なお、本図では、説明の容易のため、異なる構成のみ記載している。
【0159】
図20に示すように、本変形例における光電変換部は、画素100内の画素電極101の周囲を囲むように配置された第3電極102を有する点で、第2の実施形態及び第3の実施形態と異なる。
【0160】
以下、本変形例における光電変換部の感度調整方法について説明する。図21及び図22は、本変形例における光電変換部の感度調整方法を説明する図である。
【0161】
第2の実施形態の変形例2に係るカメラシステムでは、受光部11Eは、さらに、光電変換層104に電圧を印加するための第3電極102を有し、印加電圧制御部24(不図示)は、必要とする量子効率に応じて、第3電極102に印加する電圧を変えてもよい。
【0162】
図21に示すように、画素100は、光が入射する側から、対向電極105、光電変換層104、画素電極101、画素電極101の周囲を囲むように配置された第3電極102、配線が配置された層間絶縁層107、及び読み出し回路が配置された半導体基板108を含む。第3電極102は補助電極とも呼ぶ。
【0163】
ここで、光電変換部12Eは、対向電極105、光電変換層104、画素電極101及び第3電極102から構成される。光電変換部12Eの光感度は、画素電極101と対向電極105との電位差によって生じる電界の強さと、第3電極102と対向電極105との電位差によって生じる電界の強さとの関係によって調整される。
【0164】
例えば、第3電極102と対向電極105との間に電位差がない場合、第3電極102が電荷106を捕獲可能な領域の形成範囲は小さい(領域104A)。そのため、第3電極102の近傍の光電変換層104で発生した電荷106は、第3電極102には捕獲されず、画素電極101に流れ込むため、光電変換部12Eの光感度に寄与する。
【0165】
一方、図22に示すように、第3電極102と対向電極105との間の電位差がある場合、電位差の増加に伴い、第3電極102が電荷106を捕獲可能な領域が拡大する(領域104B)。そのため、第3電極102近傍の光電変換層104で発生した電荷106は、電位差が小さい場合に比べてより多く捕獲されるため、光電変換部12Eの光感度は低下する。
【0166】
また、捕獲される電荷106の量は、第3電極102と対向電極105との電位差によって生じる電界の強さに比例する。つまり、光電変換部12Eの光感度は、第3電極102の電圧によって調整される。例えば、第3電極102の電圧を上げると光電変換部12Eの光感度は向上させることができ、第3電極102の電圧を下げると光電変換部12Eの光感度を低下させることができる。
【0167】
以上のように、第2の実施形態の変形例2に係るカメラシステムは、第3電極102への印加電圧を調整することにより、光電変換部の光感度を調整することができる。これにより、受光部11Eの感度が最適化され、ダイナミックレンジが拡大される。
【0168】
(第2の実施形態の変形例3)
続いて、第2の実施形態の変形例3に係るカメラシステムについて説明する。図23は、本変形例に係るカメラシステム70Fの構成を示す機能ブロック図である。以下、第2の実施形態に係るカメラシステム70Cと異なる点についてのみ説明する。
【0169】
本変形例に係るカメラシステム70Fは、さらに、光電変換部に印加される電圧に応じて、受光部11Cで変換された電気信号に対してホワイトバランスを調整するホワイトバランス制御部27を備えてもよい。本変形例では、上記光電変換部は、受光部11C内の光電変換部である。
【0170】
図23に示すように、本変形例に係るカメラシステム70Fは、システム制御部20Fにホワイトバランス制御部27とホワイトバランステーブル28とを有する点で、第2の実施形態に係るカメラシステム70C及び第2の実施形態の変形例1に係るカメラシステム70Dと異なる。
【0171】
ホワイトバランスの制御は、光電変換部への印加電圧を調整することにより、光感度を調整する場合に必要となる。例えば、本変形例のように、受光部11C内の光電変換部を第2変換手段として機能させる場合である。
【0172】
以下、ホワイトバランスの制御について具体的に説明する。図24は、光電変換膜への印加電圧と波長の分光特性との関係を示すグラフである。
【0173】
図24に示すように、光電変換部への印加電圧が高くなるほど、光電変換部の量子効率は高くなる。しかしながら、光電変換部への印加電圧の大きさにより、赤色(R)、緑色(G)、青色(B)の光の波長域によって、量子効率に違いが生じる。例えば、図24に示す印加電圧が最も高い場合のグラフは、Bの波長域の量子効率が高く、緑色(G)の波長域及びRの波長域の量子効率は同程度である。この場合、得られる画像は、ホワイトバランスを調整しないと、青みを帯びた色調になる。一方、図24に示す印加電圧が最も低い場合のグラフは、赤色(R)の波長域の量子効率が高く、青色(B)の波長域の量子効率が低い。この場合、得られる画像は、ホワイトバランスを調整しないと、赤みを帯びた色調になる。
【0174】
このように、光電変換部への印加電圧によって、赤色(R)の波長域、緑色(G)の波長域、青色(B)の波長域の量子効率が異なるため、これらの波長域の光に対する光感度を調整することにより、ホワイトバランスを調整する必要がある。
【0175】
ホワイトバランス制御部27は、図24に示した光電変換部の印加電圧の大きさにより波長の分光特性が変化する光電変換部の特性を補正するための回路である。
【0176】
ホワイトバランステーブル28には印加電圧が変わってもホワイトバランスが一定となるようにRGBの画像信号をそれぞれに係数掛けできるように印加電圧及び係数がテーブルとして保存されている。また、別の手法として光電変換部への印加電圧が変わっても、所望の透過率となる光電変換部の印加電圧に応じたRGBのホワイトバランスが一定を維持するような関数をホワイトバランス制御部27に記憶させてもよい。
【0177】
これにより、本変形例では、光電変換部への印加電圧が変わっても、ホワイトバランス制御部27に保存された関数により、又は、ホワイトバランス制御部27とホワイトバランステーブル28とを相互に機能させることにより、ホワイトバランスを調整することができる。したがって、RGBの画素信号のバランスを制御し、受光部11Aの感度を可変制御可能となり、良好な画像の撮像が可能となる。また、色毎に最適な感度調整が可能なため、ホワイトバランスの良好なカラー画像の撮像が可能となる。
【0178】
また、ホワイトバランステーブル28はシステム制御部20Fに配置する必要はなく、記録媒体40など他の場所に配置されていてもよい。なお、第2の実施形態の変形例1にて上述したとおり、受光部11C内の光電変換部を電子NDフィルタとして機能させる場合、パルスデューティ制御部29(図17参照)を備えてもよい。光電変換部に印加する電圧をパルスデューティ化することにより、より細かく光電変換部の光感度を調整することができる。
【0179】
(第3の実施形態)
以下、第3の実施形態に係るカメラシステムの概要について説明する。図25は、本実施形態に係るカメラシステム70Gの構成を示す機能ブロック図である。なお、図25では、第1の実施形態に係るカメラシステム70A及び第2の実施形態に係るカメラシステム70Cと異なる構成についてのみ異なる符号を付している。
【0180】
本実施形態に係るカメラシステム70Gでは、受光部11Gは、入射光を電気信号に変換する第1光電変換層及び第1光電変換層を挟む2つの第1電極を含む第1光電変換部を有してもよい。また、受光部11Gは、第1変換手段12Gを通過した光を入射光として電気信号に変換する第2光電変換層及び第2光電変換層を挟む2つの第2電極を含む第2光電変換部を有してもよい。第1光電変換部は、第1変換手段12Gとして、印加された電圧に応じて、入射光を電気信号に変換する際の量子効率を変えることによって利得を変化させてもよい。第2光電変換部は、第2変換手段13Gとして、印加された電圧に応じて、入射光を電気信号に変換する際の量子効率を変えることによって利得を変化させてもよい。
【0181】
なお、本実施形態では、受光部11G内に第1変換手段12G及び第2変換手段13Gを備える例を示しているが、受光部11Gとは別体に電子NDフィルタをさらに備えてもよい。
【0182】
以下、第1の実施形態に係るカメラシステム70A及び第2の実施形態に係るカメラシステム70Cと異なる構成についてのみ説明する。
【0183】
図25に示すように、本実施形態に係るカメラシステム70Gは、第1変換手段12G及び第2変換手段13Gが受光部11Gの内部にある点で、第1の実施形態及び第2の実施形態と異なる。
【0184】
続いて、図26を用いて、本実施形態に係るカメラシステム70GにおけるND機構について詳細に説明する。図26は、本実施形態に係るカメラシステム70Gにおける第1変換手段12G及び第2変換手段13Gの構成を説明する図である。
【0185】
図26に示すように、入射光は、レンズ14を通して撮像部10Gに入射する。撮像部10Gに入射した光は、受光部11G内の第1変換手段12Gである光電変換部に入射する。第1変換手段12Gは、第1光電変換層1041及び第1光電変換層1041を挟む2つの第1電極1051及び1011を有する。第1光電変換層1041は、第1変換手段12Gに入射した光を電気信号に変換する。第1変換手段12Gを通過した入射光は、第2変換手段13Gである光電変換部に入射する。第2変換手段13Gは、第2光電変換層1042及び第2光電変換層1042を挟む2つの第2電極1052及び1012を有する。第2光電変換層1042は、第2変換手段13Gに入射した光を電気信号に変換する。
【0186】
本実施形態では、これらの2つの光電変換部の量子効率を変えることにより、光から電気への変換率を変化させる。以下、図27を用いて、より具体的に説明する。図27は、本実施形態における第1変換手段12G及び第2変換手段13Gの感度調整方法を説明する図である。
【0187】
図27に示すように、第1変換手段12Gである光電変換部に対して、印加電圧制御部24により、電圧電源80の印加電圧が制御される。図12で上述したステップS1~S3のとおり、印加電圧制御部24は、光電変換部への印加電圧を調整することにより、光電変換部の量子効率を変化させる。すなわち、所望のND値に対応する電圧を光電変換部に印加することにより、光電変換部の光感度を調整する。例えば、図13及び図14に示す電圧制御方式で光感度を調整する場合、光電変換部への印加電圧と出力電圧との間にリニアリティが確保されている電圧領域内では、光電変換部への印加電圧の大きさを調整することにより、光電変換部の光感度を容易に調整可能である。なお、リニアリティが確保されている電圧領域内では、光電変換部への印加電圧の大きさを調整することにより、後述するパルスデューティ化による印加電圧の調整よりも、光電変換部の光感度をより素早く調整可能である。
【0188】
第2変換手段13Gである光電変換部に対して、印加電圧制御部24により、電圧電源80とルスデューティ電圧電源81とを組み合わせた電源の、印加電圧及びパルスデューティが制御される。図12で上述したステップS5~S7及びステップS9~S10のとおり、印加電圧制御部24は、光電変換部への印加電圧及びパルスデューティを調整することにより、光電変換部の量子効率を変化させる。このとき、所望のND値に対応する電圧が、光電変換部への印加電圧と受光部からの出力電圧との間にリニアリティが確保されていない電圧領域内に存在するため、リニアリティが確保されている電圧領域内の電圧をパルスデューティ化する必要がある。例えば、図15及び図16に示すパルスデューティ制御方式で光感度を調整する場合、リニアリティが確保されている領域の値、例えば、印加電圧が9V以上の値の印加電圧をパルスデューティ化することにより、所望のND値に相当する出力電圧に調整することができる。これにより、光電変換部を所望のND値に相当する光感度に調整することができる。なお、光電変換部への印加電圧をパルスデューティ化して調整することにより、印加電圧の大きさで調整する場合よりも、光電変換部の光感度をより細かく調整可能である。
【0189】
以上、本開示に係る撮像装置およびカメラシステムについて、実施の形態及び変形例に基づいて説明したが、本開示は、これらの実施の形態及び変形例に限定されるものではない。本開示の主旨を逸脱しない限り、当業者が思いつく各種変形を実施の形態及び変形例に施したものや、実施の形態及び変形例における一部の構成要素を組み合わせて構築される別の形態も、本開示の範囲に含まれる。
【0190】
また、上記各実施の形態において、各構成要素の一部は、当該構成要素に適したソフトウェアプログラムを実行することによって実現されてもよい。構成要素は、CPU又はプロセッサなどのプログラム実行部が、ハードディスク又は半導体メモリなどの記録媒体に記録されたソフトウェアプログラムを読み出して実行することによって実現されてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0191】
本発明に係る撮像装置およびカメラシステムは、デジタルスチルカメラ、放送・業務用カメラ、医療用カメラ、監視用カメラ、車載用カメラ、デジタル一眼レフカメラ、デジタルミラーレス一眼カメラ等、様々なカメラシステム及びセンサシステムへの利用が可能である。
【符号の説明】
【0192】
10A、10C、10G 撮像部
11A、11C、11E、11G 受光部
12A、12C 第1変換手段(第1の電子NDフィルタ)
12E 光電変換部
12G 第1変換手段
13A 第2変換手段(第2の電子NDフィルタ)
13C 第2変換手段
13G 第2変換手段
14 レンズ
15 メカシャッタ
16 フォーカスレンズ
20A、20B、20D、20F システム制御部
22 レンズ制御部
23 露光制御部
24 印加電圧制御部
26 自動手動制御部
27 ホワイトバランス制御部
28 ホワイトバランステーブル
29 パルスデューティ制御部
30 グラフィックインターフェース部(グラフィックI/F部)
40 記録媒体
50 ディスプレイ
60 ユーザインターフェース部(ユーザI/F部)
60a 第1画像
60b 第2画像
70A、70B、70C、70D、70F、70G カメラシステム
80 電圧電源
81 パルスデューティ電圧電源
100 画素
101 画素電極(電極)
102 第3電極
104 光電変換層
104A、104B 領域
105 対向電極(電極)
106 電荷
107 層間絶縁層
108 半導体基板
120A 電極
121A 第1NDフィルタ層
122A 電極
130A 電極
131A 第2NDフィルタ層
132A 電極
200 撮像領域
201 行走査回路
202 信号処理回路
203 制御部
204 出力回路
1041 第1光電変換層
1042 第2光電変換層
1051、1011 第1電極
1052、1012 第2電極
図1
図2
図3
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