IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ パナソニックIPマネジメント株式会社の特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-14
(45)【発行日】2024-11-22
(54)【発明の名称】洗濯機
(51)【国際特許分類】
   D06F 39/08 20060101AFI20241115BHJP
【FI】
D06F39/08 301B
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2021165558
(22)【出願日】2021-10-07
(65)【公開番号】P2023056286
(43)【公開日】2023-04-19
【審査請求日】2024-02-22
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106518
【弁理士】
【氏名又は名称】松谷 道子
(74)【代理人】
【識別番号】100132241
【弁理士】
【氏名又は名称】岡部 博史
(74)【代理人】
【識別番号】100183276
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 裕三
(72)【発明者】
【氏名】手島 賢
【審査官】渡邉 洋
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-107309(JP,A)
【文献】特開2020-054551(JP,A)
【文献】特開2012-170690(JP,A)
【文献】欧州特許出願公開第02653601(EP,A1)
【文献】中国特許出願公開第111455628(CN,A)
【文献】国際公開第2019/044305(WO,A1)
【文献】特開2017-127339(JP,A)
【文献】特開2000-157782(JP,A)
【文献】特開2018-42989(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D06F37/00-39/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体内に弾性支持された外槽と、
前記外槽に供給される液剤を収容するタンクと、
前記タンクから前記液剤を吸引し前記外槽に供給する液剤投入装置と、
前記液剤投入装置から供給される液剤を前記外槽へ案内する液剤吐出流路と、
前記液剤吐出流路の上流に設けられ、給水口から給水弁を介して供給される水を前記液剤吐出流路へ案内する給水流路と、を備え、
前記給水流路は、
前記給水弁と連通する第1の流路と、
大気が出入り可能に構成され、前記液剤吐出流路と接続される第2の流路と、
前記第1の流路から前記第2の流路に吐水する吐水口と、を含み、
前記第2の流路は、前記第1の流路の下方に配置され、前記吐水口から落下された水を受ける、
洗濯機。
【請求項2】
洗濯動作を制御する制御部と、
前記洗濯動作において前記外槽に水を供給する洗濯用給水流路と、を備え、
前記給水弁は、前記給水流路および前記洗濯用給水流路に水を供給する、
請求項1に記載の洗濯機。
【請求項3】
手動で投入された剤を収容する手動投入用剤ケースと、
前記手動投入用剤ケースに水を供給する手動投入用給水流路と、を備え、
前記給水弁は、前記給水流路および前記手動投入用給水流路に水を供給する、
請求項1または2に記載の洗濯機。
【請求項4】
前記タンクは、少なくとも、第1のタンクと、第2のタンクと、を含み、
前記液剤投入装置は、少なくとも、前記第1のタンクと接続される第1の液剤投入装置と、前記第2のタンクと接続される第2の液剤投入装置と、を含み
前記液剤吐出流路は、下方傾斜して配置され、
前記第1の液剤投入装置と前記液剤吐出流路とが接続される箇所は、前記第2の液剤投入装置と前記液剤吐出流路とが接続される箇所より上方に配置され、
前記第2の流路は、前記第1の液剤投入装置と前記液剤吐出流路とが接続される箇所よりも上方において前記液剤吐出流路と接続される、
請求項1から3のいずれか1つに記載の洗濯機。
【請求項5】
前記第2のタンクは、前記第1のタンクより大きな深さを有し、
前記第1のタンクは、前記第2のタンクよりも前記外槽の略中心側に配置され、
前記吐水口は、前記第1のタンクよりも前記外槽の略中心側に配置される、
請求項4に記載の洗濯機。
【請求項6】
収容ケースと、
前記収容ケースから排出された液体を前記外槽に案内する排出経路と、を備え、
前記収容ケースには、前記第2の流路と、前記第2の流路から溢れた水を前記排出経路に案内する回収経路と、が形成されている、
請求項1から5のいずれか1つに記載の洗濯機。
【請求項7】
前記収容ケースは、少なくとも前記タンクを収容し、
前記タンクは、接続部を介して前記液剤投入装置と接続され、
前記回収経路は、前記タンクが前記収容ケースに収容された状態で前記接続部の下方となる位置を通過する、
請求項6に記載の洗濯機。
【請求項8】
前記収容ケースには、底面から前記吐水口よりも低い位置まで鉛直に延伸し、前記第2の流路と前記回収経路とを区切る、壁が形成されている、
請求項6または7に記載の洗濯機。
【請求項9】
前記壁は、高さの異なる第1領域と第2領域とを有し、
前記第2領域は、前記第1領域よりも低い、
請求項8に記載の洗濯機。
【請求項10】
前記吐水口は、第1開口と、前記第1開口の下流側に配置された第2開口と、を含む、
請求項1から9のいずれか1つに記載の洗濯機。
【請求項11】
前記第2開口の開口面積は、前記第1開口の開口面積よりも大きい、
請求項10に記載の洗濯機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、洗濯機に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1には液剤自動投入装置を搭載する洗濯機が開示されている。
【0003】
特許文献1に記載された洗濯機は、2つのタンク、即ち、洗剤タンク及び柔軟剤タンクが装着される収容ケースを含む液剤自動投入装置を備える。また、給水栓に接続された給水弁と液剤自動投入装置との間には、逆流防止装置が設けられている。これにより、液剤自動投入装置を流れる水が給水弁に逆流するのを防ぐことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】国際公開第2019/044305号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の洗濯機において、逆流防止装置により給水量が低下する場合がある。
【0006】
したがって、本開示の目的は、上記課題を解決することにあって、逆流を抑制しつつ給水量の低下を抑制する洗濯機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一態様の洗濯機は、筐体内に弾性支持された外槽と、外槽に供給される液剤を収容するタンクと、タンクから液剤を吸引し外槽に供給する液剤投入装置と、液剤投入装置から供給される液剤を外槽へ案内する液剤吐出流路と、液剤吐出流路の上流に設けられ、給水口から給水弁を介して供給される水を液剤吐出流路へ案内する給水流路と、を備える。給水流路は、給水弁と連通する第1の流路と、大気が出入り可能に構成され、液剤吐出流路と接続される第2の流路と、第1の流路から第2の流路に吐水する吐水口と、を含む。第2の流路は、第1の流路の下方に配置され、吐水口から落下された水を受ける。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、逆流を抑制しつつ給水量の低下を抑制する洗濯機を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本開示に係る実施形態の洗濯機の模式断面図
図2】洗濯機の模式正面図
図3】自動投入ユニットの斜視図
図4】自動投入ユニットの斜視図
図5】自動投入ユニットの上面図
図6】自動投入ユニットの一部の斜視図
図7】ケースの斜視図
図8A】自動投入ユニットの斜視断面図
図8B】自動投入ユニットの断面図
図8C】タンク、液剤投入装置、及び液剤吐出流路の部分分解図
図9】タンク、液剤投入装置、及び液剤吐出流路の背面図
図10】水の流れを示すケースの上面図
図11】水の流れを示すケースの上面図
図12】水及び液剤の流れを示すケースの斜視図
図13図10のXIII-XIII矢視断面図
図14A図13のA-A矢視断面図
図14B図13のB-B断面における矢視Cからの投影図
図15】斜め上方向からみた収容ケースの横断面図
【発明を実施するための形態】
【0010】
(実施形態)
本開示の実施形態に係る洗濯機について説明する。
【0011】
[全体構成]
図1は、本開示に係る実施形態の洗濯機1を示す模式断面図である。図2は洗濯機1の模式正面図である。本実施形態の洗濯機1は、液剤の自動投入機能を有する洗濯乾燥機である。本明細書にて、液剤とは、衣類等の洗濯物15を洗浄するために用いられる液剤であり、洗剤、柔軟剤、中性洗剤等を含む。
【0012】
図1に示すよう、洗濯機1は、筐体2と、外槽3と、内槽4と、駆動部5と、自動投入ユニット6と、接続流路8と、給水口10と、排水弁11と、制御部12と、を備える。
【0013】
<筐体>
筐体2は、洗濯機1の外観を形成する部材である。筐体2の前面には、開口20と、開口20を覆う開閉自在な扉21とが設けられている。
【0014】
<外槽>
外槽3は、筐体2の内部に設けられ、洗濯水を溜める機能を有する大略円筒状の部材である。外槽3は、水槽と称してもよい。外槽3は、筒部34と、筒部34の一端を閉じる底部36とを有する。外槽3の中心軸V0は、底部36の中心を通過する。中心軸V0は、水平に対して傾斜される。外槽3は、ダンパ30とコイルスプリング(図示せず)によって弾性支持され、洗濯、脱水時の振動をダンパ30とコイルスプリングによって吸収する。外槽3は、筐体2の開口20に面する位置に開口31を有し、ベローズ32によって、筐体2の開口20と密閉されて連結される。外槽3にはさらに通水のための開口33、35が設けられる。開口33は、接続流路8に接続される開口であり、開口35は外槽3の水を外部に排水するための排水口である。
【0015】
また、後述において、中心軸V0に沿った水平方向を前後方向M(図1)として、中心軸V0を含む平面に直交する水平方向を幅方向K(図2)とする。前後方向Mは、開口31に向かう前側M1と底部36に向かう後側M2を有し、幅方向Kは、中心軸V0から離れる外側K1と中心軸V0に向かう中心側K2を有する。
【0016】
<内槽>
内槽4は、外槽3の内側において中心軸V0周りで回転可能に設けられ、衣類等の洗濯物15を収容する大略円筒状の部材である。内槽4は、ドラムと称してもよい。内槽4には多数の貫通孔40が形成される。貫通孔40は内槽4と外槽3とを連通させ、洗濯水が内槽4から外槽3に移動することを可能にする。内槽4はさらに、筐体2の開口20及び外槽3の開口31に面する位置に、開口41を有する。
【0017】
<駆動部>
駆動部5は、内槽4を回転駆動させる部材である。駆動部5は例えば、内槽4を回転させる動力部を有する。
【0018】
<自動投入ユニット>
自動投入ユニット6は、所定量の液剤を、液剤を貯蔵するタンクから、外槽3に自動で投入するためのユニットである。自動投入ユニット6は、液剤を手動で投入しない場合に、洗い工程やすすぎ工程等の際に、例えば、洗濯物15の量や種類に応じて、適切な種類の液剤を適切な量において、外槽3に投入する。自動投入ユニット6は、液剤を外槽3に供給するために、接続流路8を介して外槽3に接続される。
【0019】
自動投入ユニット6は、ケース61と、タンク62A、62B、62C(タンク62B、62C図示せず)と、液剤投入装置63A、63B、63C(液剤投入装置63B、63C図示せず)と、液剤吐出流路64と、手動投入部65と、給水弁66を備える。
【0020】
図2に示すように自動投入ユニット6は、筐体2の内部において、外槽3の斜め上方に設けられる。ケース61の底面55は、外槽3の筒部34の外周に沿った形状を有する。底面55は、外側K1に向かって下方に傾斜される。さらに、図1に示すように、底面55は、後側M2に向かって下方に傾斜される。自動投入ユニット6の上部は、筐体2の上面に設けられた開閉可能なカバー60に面する。
【0021】
<接続流路>
接続流路8は、自動投入ユニット6から外槽3へ液剤を流すための流路である。接続流路8は、自動投入ユニット6の液剤出口81から外槽3の開口33まで下方に延びる。
【0022】
<給水口>
給水口10は、自動投入ユニット6を介して外槽3に水を供給するホースを接続するための接続口である。給水口10は、筐体2の上部に設けられる。
【0023】
<排水弁>
排水弁11は、開閉可能に構成され、開かれると、外槽3に溜められた水を外槽3の開口35を通じて排水するための弁である。排水弁11は、筐体2の下部に設けられる。
【0024】
<制御部>
制御部12は、洗濯機1の運転を制御する部材である。制御部12は、駆動部5、自動投入ユニット6の液剤投入装置63A、63B、63C、給水口10、及び排水弁11等の洗濯機1の構成要素を制御する。制御部12は、例えば、プログラムを記憶したメモリ(図示せず)と、CPUなどのプロセッサに対応する処理回路(図示せず)とを備え、プロセッサがプログラムを実行することでこれらの要素として機能してもよい。
【0025】
続いて、自動投入ユニット6の構成要素について、図3から図6を参照しながら説明する。図3及び図4は、自動投入ユニット6の斜視図である。図5は、自動投入ユニット6の上面図である。図6は、自動投入ユニット6の一部の斜視図である。
【0026】
<ケース>
図3に示すように、ケース61は、自動投入ユニット6を構成するタンク62A、62B、62Cと、手動投入部65と、を収容する部材である。ケース61の底面55は、点線によって模式的に示す外槽3の外郭に沿って、外側K1に傾斜している。ケース61は、タンク62A、62B、62C、及び手動投入部65を収容する収容ケース61bと、上ケース61cとを有する。上ケース61cが収容ケース61b上に取り付けられている。
【0027】
ここで、収容ケース61bの前側M1の面を前面56として、収容ケース61bの後側M2の面を背面57とする。図4及び図6に示すように、収容ケース61bの背面57には、液剤投入装置63A、63B、63C(図6)と、液剤吐出流路64と、給水弁66(図4)と、接続流路8(図4)とが接続される。
【0028】
図5及び図10に示すように、上ケース61cには、水を供給する供給流路67が形成される。供給流路67は、複数の経路を形成する。供給流路67は、給水流路67a、洗濯用給水流路67b、及び、手動投入用給水流路67cと、を有する。給水流路67aは、収容ケース61bの背面57に沿って延びる。洗濯用給水流路67bは、給水流路67aに沿って収容ケース61bの背面57側に沿って延び、さらに、一方の側面58の長手方向に沿って前面56側に延びる。手動投入用給水流路67cは、収容ケース61bの他方の側面58の長手方向に沿って前面56側に延びる。給水流路67a及び手動投入用給水流路67cはそれぞれ同一の給水弁66から水を供給され、同一のタイミングで給水が行われる。給水流路67aと手動投入用給水流路67cとの分岐点には、それぞれ定められた割合で水が分割されるように分岐点の流路が設計されている。洗濯用給水流路67bは、給水流路67a及び手動投入用給水流路67cと異なる給水弁66から給水されるので、異なるタイミングで給水される。制御部12は、選択された運転コースに応じて給水弁66を駆動制御することで、給水流路67a、洗濯用給水流路67b、及び、手動投入用給水流路67cのどの流路に水を給水するかを制御する。
【0029】
<タンク>
収容ケース61bには、3つのタンク62A、62B、62Cが幅方向Kに並んで配置された状態で収容される。タンク62A、62B、62Cは、洗い工程及びすすぎ工程で使用する液剤を貯蔵する容器である。タンク62A、62B、62Cは、略直方体の形状を有し、略直方体の長手方向は前後方向Mと平行である。
【0030】
タンク62A、62B、62Cは、収容ケース61bから取り外し可能である。収容ケース61bから手動投入部65を取り出した状態においては、ケース61の前側M1に空いたスペースが形成される。そのため、タンク62A、62B、62Cを前側M1に引いて液剤投入装置63A、63B、63C(図6)から取り外し、上方に取り出すことができる。
【0031】
<液剤投入装置>
図6に示すように、液剤投入装置63A、63B、63Cは、タンク62A、62B、62Cから既定量の液剤を吸い出して、液剤吐出流路64に吐出する装置である。液剤投入装置63A、63B、63Cは、収容ケース61bの背面57を介して、それぞれのタンク62A、62B、62Cに接続される。タンク62Aには液剤投入装置63Aが接続され、タンク62Bには液剤投入装置63Bが接続され、タンク62Cには液剤投入装置63Cが接続される。液剤投入装置63A、63B、63Cは、幅方向Kに並んで配置される。
【0032】
ケース61、タンク62A、62B、62C、及び液剤投入装置63A、63B、63Cの詳細構造については後述する。
【0033】
<液剤吐出流路>
図6に示すように、液剤吐出流路64は、液剤及び水を、ケース61を介して外槽3に供給する流路部材である。液剤吐出流路64は、ケース61の背面57に設けられ、3つの液剤投入装置63A、63B、63Cに接続される。液剤吐出流路64は、外側K1に向かって下方に傾斜して延びる。液剤吐出流路64を流れる流体は、液剤吐出流路64の傾斜に応じて一方向に流れる。
【0034】
<手動投入部>
図5に示すように、手動投入部65は、洗濯運転の度に、使用者が1回分の洗濯処理剤としての液剤を、手動で投入するための機構である。手動投入される液剤は、投入された量において、ケース61から接続流路8(図1)を介して外槽3(図1)に流入する。手動投入部65に投入される液剤は、液体または粉末状であってもよい。手動投入部65は、ケース61内において、タンク62A、62B、62Cの前側M1で、取り外し可能に収容される。
【0035】
<給水弁>
図4及び図5に示すように、給水弁66は、3つの電磁弁によって構成され、それぞれの弁の開閉によって、給水先となる供給流路67(図5)の経路を変更する。水は、ケース61を介して外槽3に流入する。
【0036】
上ケース61cは収容ケース61bの背面57、及び2つの側面58の上端に沿って延びる。上ケース61cの中央部は開口しており、収容ケース61bの中に直接アクセス可能である。したがって、タンク62A、62B、及び62Cを取り出す際に、上ケース61cを収容ケース61bから取り外す必要がない。
【0037】
続いて、自動投入ユニット6のケース61の構造について、図7を参照しながらより詳細に説明する。図7はケース61の斜視図である。
【0038】
収容ケース61bは、上部の一部が開口した箱形状を有し、内底面B1、B2、B3を有する。内底面B1、B2、B3は外側K1に沿って順番に並ぶ。内底面B1は、タンク62A(図6)の直下に位置する面であり、内底面B2は、タンク62B(図6)の直下に位置する面であり、内底面B3は、タンク62C(図6)の直下に位置する面である。言い換えれば、内底面B1、B2、B3はそれぞれタンク62A、62B、62Cを収容する領域P1、P2、P3を形成する。
【0039】
収容ケース61bの背面57には、タンク接続口77A、77B、77Cと、第1ケース接続口78と、第2ケース接続口79と、液剤出口81とが形成される。
【0040】
タンク接続口77A、77B、77Cは、収容ケース61bに収容されたタンク62A、62B、62Cと、収容ケース61bの外部に配置された液剤投入装置63A、63B、63Cとの接続のために設けられた開口である。
【0041】
また、第1ケース接続口78は、給水流路67aから流れる水を液剤吐出流路64に流入させる開口である。第2ケース接続口79は、液剤吐出流路64からの水と、自動投入される液剤を収容ケース61bに流入させる開口である。液剤出口81は、第2ケース接続口79から収容ケース61bに流入した流体と、手動投入部65からの流体を、接続流路8を通じて外槽3に向かって排出する開口である。第1ケース接続口78は、第2ケース接続口79より高い位置に設けられる。
【0042】
上述のように構成されたケース61に、タンク62A、62B、62Cを取り付けた状態について、図8A及び図8Bを参照しながら、より詳細に説明する。図8Aは、自動投入ユニット6の斜視断面図である。図8Bは、自動投入ユニット6の断面図である。
【0043】
図8A及び図8Bに示すように、深さL1、L2、L3を、それぞれのタンク62A、62B、62Cの上面から最深部までの距離とする。3つのタンク62A、62B、62Cの深さL1、L2、L3は、外側K1に増加する。タンク62Bの深さL2はタンク62Aの深さL1より大きく、タンク62Cの深さL3はタンク62Bの深さL2より大きい。
【0044】
ここで、タンク62A、62B、62Cの容積について説明する。図5に戻ると、タンク62A、62B、62Cの上面は共通した形状を有する。タンク62A、62B、62Cの幅方向K及び前後方向Mにおける寸法は互いに一致してもよい。上面の形状が共通しているため、タンク62A、62B、62Cの容積は、深さL1、L2、L3に応じて、外側K1に沿って増加する。
【0045】
3つのタンク62A、62B、62Cには、異なるまたは同一の液剤が収容されてもよい。液剤の種類及びタンク62A、62B、62Cの容積を考慮して、液剤の使用頻度が低いものから順に、タンク62A、62B、62Cに収容されてもよい。例えば、タンク62Aには中性洗剤が貯蔵され、タンク62Bには柔軟剤が貯蔵され、タンク62Cには洗剤が貯蔵される。
【0046】
図8A及び図8Bに示すように、最深部を含むタンク62A、62B、62Cの底面は、幅方向Kに沿っており、タンク毎に外側K1に向かって低くなっている。よって、タンク62A、62B、62Cの底面は、階段状に並ぶ。タンク62A、62B、62Cの底面に直下には、収容ケース61bの内底面B1、B2、B3が位置する。内底面B1、B2、B3も、外側K1に向かって順に低い位置に、即ち階段状に形成される。よって、領域P1、P2、P3の深さは、外側K1に向かって順に増加する。
【0047】
また、図8Bに示すように、それぞれのタンク62A、62B、62Cと、内底面B1、B2、B3との間には間隙H1、H2、H3が形成される。内底面B3とタンク62Cの底面との間の間隙H3は、間隙H1、H2より大きい。
【0048】
タンク62Aは、タンク62Cよりも外槽3の略中心側に配置されている。タンク62Cの直下は、筐体2の外側に近く、タンク62A、62Bと比較して、上下方向のスペースを確保しやすいため、大きな間隙H3が形成できる。そのため、内底面B3に沿って液剤及び水を外槽3に流す投入流路82を形成することが容易にできる。このような構成によって、タンク62A、62Bの容積を最大化しつつ、投入流路82のスペースも確保できる。投入流路82の下端は、液剤出口81(図7)を形成し、液剤出口81を介して外槽3に連通する。
【0049】
タンク62A、62B、62Cの後側M2の面、即ち、短手方向を含む面は、接続部76A、76B、76Cを形成する。接続部76A、76B、76Cは、液剤投入装置63A、63B、63Cに接続される構造である。接続部76A、76B、76Cは、それぞれ、逆止弁(図示せず)と接続口とを備える。逆止弁は、液剤投入装置63A、63B、63Cが装着されると開放され、タンク62A、62B、62Cと液剤投入装置63A、63B、63Cとが連通する。接続口は、液剤が吸い出される開口であり、図7に示すタンク接続口77A、77B、77Cに面する。なお、接続部76A、76B、76Cは、他の構造をさらに備えてもよい。接続部76A、76B、76Cは、タンク62A、62B、62Cの最深部において形成される。よって、接続部76A、76B、76Cの深さL1、L2、L3は、外側K1に向かって増加する。
【0050】
続いて、タンク62A、62B、62Cに接続される液剤投入装置63A、63B、63Cについて、図8C及び図9を参照しながらより詳細に説明する。図8Cは、タンク62A、62B、62C、液剤投入装置63A、63B、63C、及び液剤吐出流路64の部分分解図である。図9は、タンク62A、62B、62C、液剤投入装置63A、63B、63C、及び液剤吐出流路64の背面図である。ここで、タンク62、液剤投入装置63、及び接続部76を、それぞれ、タンク62A、62B、62C、液剤投入装置63A、63B、63C、及び接続部76A、76B、76Cの総称とする。
【0051】
図8C及び図9に示すように、タンク62の接続部76の深さの変化に応じて、液剤投入装置63A、63B、63Cは、外側K1に向かって低くなる。液剤投入装置63の液剤流入口91が、タンク62の短手方向を含む面に形成された接続部76に対向するように、液剤投入装置63A、63B、63Cは配置される。本実施形態では、液剤投入装置63A、63B、63Cは階段状に配置され、階段状における液剤投入装置63と、タンク62及び接続部76とは、深さ方向に等しいピッチを有する。このような構造によって、3つのタンク62において、接続部76から液剤投入装置63まで液剤が流れる距離を等しくすることが可能になる。そのため、接続部76と液剤投入装置63との間の経路において、後述のポンプ機構73を駆動させた際に生じる圧力損失のばらつきを小さくすることができる。したがって、液剤投入装置63による液剤の供給量のばらつきを抑制することができる。
【0052】
さらに、図8Cに示すように、タンク62は、本体87と蓋88とを備える。本体87の上部は開口しており、蓋88に覆われている。蓋88は、本体87に取り外し可能に保持される。前述のように、タンク62の上面は共通の形状を有しており、よって、本体87の上面は共通の形状を有する。また、蓋88を保持するための構造も共通である。そのため、それぞれのタンク62の蓋88を共通で形成することが可能であり、蓋88は交換可能である。より具体的には、任意のタンク62A、62B、62Cの蓋88は、他のタンク62A、62B、62Cにも取り付け可能である。一方で、蓋88に付される色、模様、文字等、その他タンク62の識別性を向上させる表示は、異なってもよい。蓋88は、タンク62の前側M1に、蓋88に対して開閉可能な小蓋88Aを有する。
【0053】
以上のような構成において、水の流れについて、図10図12を参照しながら説明する。図10及び図11は、水の流れを示すケース61の上面図である。図12は、水及び液剤S1、S2の流れを示すケース61の斜視図である。
【0054】
自動投入ユニット6は、洗濯機1の洗い工程と、すすぎ工程との際に動作する。自動投入ユニット6の動作は、制御部12によって制御される。制御部12は、例えば、給水弁66の開閉、及び投入する液剤の種類、投入量や投入のタイミング等を制御する。
【0055】
図10図12に示すように、洗い工程及びすすぎ工程において、自動投入ユニット6は、外槽3に水及び液剤を供給する。
【0056】
ここで、水の流れについて、より詳細に説明する。水は、給水弁66から、矢印X1~X3に示す経路に供給される。経路は、給水弁66から、供給流路67及びケース61を介して、外槽3に到達する。
【0057】
図10に示すように、洗い工程において、洗剤の自動または手動投入を実行するために、給水弁66の第1電磁弁(図示せず)が開放される。この状態において、水は、給水弁66から、供給流路67において矢印X1及び矢印X2で示す経路に分岐して流れる。
【0058】
矢印X1に沿って給水流路67aを流れる水は、タンク62の背面90の上方に形成される吐水口94からケース61に流入する。矢印X2に沿って手動投入用給水流路67cを流れる水は、手動投入部65付近に形成される開口95を通過して、手動投入部65に配置された手動投入用剤ケース65aに形成される水投入開口96から、手動投入された洗剤とともに、ケース61に向かって下方に流れる。手動投入用剤ケース65aに手動投入される洗剤は、粉末の剤でもよいし、液体の剤でもよい。
【0059】
図11に示すように、矢印X1に沿ってケース61に流入した水は、矢印X11及び矢印X12で示す2つの経路にさらに分岐する。矢印X11に沿って流れる水は、収容ケース61bから第1ケース接続口78を介して液剤吐出流路64に流入する。水は、傾斜された液剤吐出流路64を重力に沿って流れて、第2ケース接続口79から収容ケース61bの投入流路82に流入する。矢印X12に沿って流路105bを流れる水は、3つの液剤投入装置63がタンク62と接続する先端の下を順に通過するように、収容ケース61bの内底面に沿って流れる。この流れによって、タンク62の脱着動作により、漏れ出て収容ケース61bの内底面に付着した液剤を洗い落とすことができる。流路105bを矢印X12に沿って流れる水は、矢印X11に沿って流れる水と投入流路82にて合流する。矢印X2に沿ってケース61に流入した水は、接続流路8に向かって、投入流路82を流れる。矢印X2に沿って流れる水は、矢印X11、X12に沿って流れる水と投入流路82にて合流する。
【0060】
図12に示すように、投入流路82を流れる水は、液剤出口81から接続流路8(図11)を通じて外槽3に流入する。
【0061】
また、図10に戻って、すすぎ工程において柔軟剤の手動投入を実行するために、給水弁66の第2電磁弁(図示せず)が開放される。この状態において、水は、供給流路67において矢印X3で示す経路を流れる。矢印X3に沿って流れる水は、手動投入部65付近に形成される開口97を通過して、手動投入部65から、手動投入された柔軟剤とともに収容ケース61bに流入する。
【0062】
図11に示すように、矢印X3に沿ってケース61に流入した水は、収容ケース61bに内底面B4を沿って、投入流路82に向かって流れる。内底面B4は、タンク62の直下に形成される内底面B1~B3の前側に形成され、内底面B1から内底面B3に向かう方向に沿って下方に傾斜される。傾斜によって、水は内底面B4を重力に沿って流れる。その後、水は、図12に示すように、液剤出口81から接続流路8(図11)を通じて外槽3に流入する。
【0063】
続いて、自動投入される液剤の流れについて、より詳細に説明する。洗い工程における制御部12の動作によって、洗剤が収容されるタンク62C(図8C)に接続される液剤投入装置63C(図8C)が駆動される。図12Aに示すように、液剤投入装置63Cにおける動力部71が回転し、動力部71の回転が、減速機構72を介して減速され、ポンプ機構73のピストン83に伝達される。ピストン83が下死点から上昇すると、タンク62Cの洗剤S1は、入口流路85を通じて、シリンダ84に吸い上げられる。ピストン83が上死点に到達し下降し始めると、シリンダ84内の洗剤S1は、出口流路86を通じて液剤吐出流路64に排出される。
【0064】
図9に示すように、洗剤S1は、傾斜された液剤吐出流路64を重力に沿って流れる。洗剤S1は、液剤吐出流路64において、矢印X11に沿って流れる水と合流してもよい。洗剤S1は、第2ケース接続口79から収容ケース61bの投入流路82に流入し、投入流路82の傾斜によって液剤出口81に導かれ、接続流路8を介して外槽3に流入する。
【0065】
また、選択された運転コース、および/またはユーザの選択操作に基づいて、外槽3に投入される液剤が決定される。運転コースとしておしゃれ着洗いが選択されると、中性洗剤が外槽3に投入されてもよい。この場合、洗剤S1が収容されるタンク62Cの液剤投入装置63Cの代わりに、中性洗剤が収容されるタンク62Aの液剤投入装置63Aが駆動される。
【0066】
すすぎ工程における制御部12の動作によって、柔軟剤S2が収容されるタンク62Bの液剤投入装置63Bが駆動される。
【0067】
洗い工程及びすすぎ工程を繰り返すと、タンク62に収容される液剤の量が減少する。洗濯機1の使用者は、タンク62に液剤を補充することができる。タンク62が収容ケース61bに配置された場合において、図8Cに示すように、小蓋88Aを開けて、液剤を補充することができる。一方で、タンク62を収容ケース61bから取り出した場合において、蓋88を取り外して、または小蓋88Aを開けて、液剤を補充することができる。
【0068】
<エアギャップ>
次に、図13から図15を参照して、液剤投入装置63から供給される液剤が給水口10へ逆流するのを防止する構成についてさらに詳細に説明する。図13は、図10のXIII-XIII矢視断面図であり、図14Aは、図13のA-A矢視断面図である。図14Bは、図13のB-B断面における矢視Cからの投影図であり、図15は、斜め上方向からみた収容ケース61bの横断面図である。
【0069】
給水流路67aは、給水口10から給水弁66を介して供給される水を液剤吐出流路64へ案内する。給水流路67aは、給水弁66に連通する第1の流路101と、第1の流路101の下流端付近に設けられた吐水口94と、吐水口94から流れ出た水を液剤吐出流路64へ導く為の流路102aと、吐水口94の下方かつ流路102aの上方に位置し、大気が出入り可能な空間であるエアギャップ68と、を有する。第2の流路102は、エアギャップ68と流路102aとで構成される。流路102aの下流側端部に第1ケース接続口78が配置されている。収容ケース61bには、第2の流路102から溢れた水を液剤投入装置63の接続部63dの下方へ案内する回収経路105が形成されている。
【0070】
第1の流路101は上ケース61c内に形成されており、上部をケースカバー61aで覆われているので、圧力がかかった状態で水が第1の流路101内を流れる。第2の流路102は、収容ケース61bの底面55と底面55から起立した壁104により形成されている。第3の流路103を流れる水は、上述したように図11の矢印X12に沿って流れる。
【0071】
吐水口94は、第1の流路101とエアギャップ68とを連通する第1開口94a及び第2開口94bを有する。第1の流路101において、第1開口94aは第2開口94bよりも上流側に配置され、第2開口94bの開口面積が第1開口94aの開口面積よりも大きい。吐水口94は、タンク62A~62Cよりも外槽3の略中心側に配置される。
【0072】
第2の流路102は、第1の流路101の下方に配置され、吐水口94から落下された水を受ける。第2の流路102の下流側は、液剤吐出流路64と接続される。エアギャップ68は、水を大気圧に開放している空間であり、図14Bに示すように、大気が出入り可能に構成されている。収容ケース61bの中央部は、タンク62が着脱可能な構造なので、洗濯機1の周囲の大気が収容ケース61bのタンク収容部内からエアギャップ68まで空気の流路Af1及びAf2が形成されている。また、上ケース61cと収容ケース61bとの間に気密レベルのシーリングがされていないので、上ケース61cと収容ケース61bとの間で空気の流路Af3によって、空気の出入りも可能である。
【0073】
実施形態においては、エアギャップ68は、吐水口94から鉛直下向きに吐水させる構成としているが、上流側である吐水口94と下流側である流路102aとの間にある程度の高低差が設けられ、かつ大気の出入りを妨げないように構成されていればよい。エアギャップ68における流路の高低差は、鉛直落下だけでなくスロープ等により形成されてもよい。エアギャップ68は、液剤投入装置63により液剤吐出流路64に液剤が投入される箇所よりも上流側に配置されている。これにより、液剤投入装置63から供給される液剤が給水口10へ逆流するのを防止することができる。エアギャップ68の長さLaは、例えば、20mm以上である。また、収容ケース61b内に長さLaのエアギャップ68を設けることで、吐水口94から落下した水が第1の流路101に逆流することを抑制することができる。
【0074】
回収経路105は、第2の流路102から溢れた水を収容ケース61bのタンク62が収容されている側に案内する流路105aと、一端が流路105aに接続し、他端が投入流路82へ接続する流路105bとを有する。流路105bは、接続部63dの下方を通る。
【0075】
図15を参照する。収容ケース61bは、底面55から第2の流路102と流路105aとを区切る壁104を有する。壁104は、高さの異なる第1領域104aと第2領域104bとを有し、第2領域104bは第1領域104aよりも低い。第1の流路101の下流側の方が圧力が高いので、第2開口94bの下方に第1領域104aを配置し、第1開口94aの下方に第2領域104bを配置することで、収容ケース61bの底面55での跳ね返りによる飛散を抑制することができる。そのため、上ケース61cと収容ケース61bとの接合部をラビリンス構造にしたり、パッキンを間に挟まなくてもいいので、省スペース化やコスト削減をすることができる。また、第2の流路102へ過剰となる水は、第2領域104bの上方を流路105aの方へ流れることができる。
【0076】
[効果]
実施の形態に係る洗濯機1によれば、以下の効果を奏することができる。
【0077】
上述したように、本実施形態の洗濯機1は、外槽3と、タンク62と、液剤投入装置63(自動液剤投入装置)と、液剤吐出流路64と、給水流路67aと、を備える。外槽3は、筐体2内に弾性支持される。タンク62は、外槽3に供給される液剤を収容する。液剤投入装置63は、タンク62から液剤を吸引し外槽3に供給する。液剤吐出流路64は、液剤投入装置63から供給される液剤を外槽3へ案内する。給水流路67aは、液剤吐出流路64の上流に設けられ、給水口10から給水弁66を介して供給される水を液剤吐出流路64へ案内する。給水流路67aは、給水弁66と連通する第1の流路101と、大気が出入り可能に構成され、液剤吐出流路64と接続される第2の流路102と、第1の流路101から第2の流路102に吐水する吐水口94と、を含む。第2の流路102は、第1の流路101の下方に配置され、吐水口94から落下された水を受ける。
【0078】
液剤投入装置63から液剤が供給される液剤吐出流路64へ水を案内する給水流路67aが、大気が出入り可能に構成された第2の流路102があるので、液剤吐出流路64から給水口へ液剤が逆流するのを防止することができる。また、給水流路67a内に第2の流路102を配置することで、負圧吸い込み用の分岐や逆止弁を配置することに比べて圧力損失を低減し、供給する水量の低減を抑制することができる。そのため、液剤吐出流路64を充分に洗い流すことができるとともに、水の供給にかかる時間が延びることを抑制できる。
【0079】
また、本実施形態の洗濯機1は、洗濯動作を制御する制御部12と、洗濯動作において外槽3に水を供給する洗濯用給水流路67bと、を備える。給水弁66は、給水流路67aおよび洗濯用給水流路67bに水を供給する。
【0080】
洗い給水用の弁の分流として利水している場合、供給する水量の低減を抑制する効果を洗濯工程全体に適用できる。その結果、給水時間が長いことによる洗濯時間の延長を抑制できる。
【0081】
また、本実施形態の洗濯機1は、手動で投入された剤を収容する手動投入用剤ケースと、手動投入用剤ケースに水を供給する手動投入用給水流路67cと、を備える。給水弁66は、給水流路67a及び手動投入用給水流路67cに水を供給する。
【0082】
手動投入用剤ケースへの水の供給にも適用できる。その結果、粉末洗剤などの溶け残りを抑制することができる。
【0083】
また、本実施形態の洗濯機1において、タンク62は、少なくとも、タンク62A(第1のタンク)と、タンク62C(第2のタンク)と、を含む。液剤投入装置63は、少なくとも、タンク62Aと接続される液剤投入装置63Aと、タンク62Cと接続される液剤投入装置63Cと、を含む。液剤吐出流路64は、下方傾斜して配置され、液剤投入装置63Aと液剤吐出流路64とが接続される箇所P4は、液剤投入装置63Cと液剤吐出流路64とが接続される箇所P6及び液剤投入装置63Bと液剤吐出流路64とが接続される箇所P5より上方に配置される。第2の流路102は、液剤投入装置63Aと液剤吐出流路64とが接続される箇所P4よりも上方において液剤吐出流路64と接続される。
【0084】
これにより、第2の流路102から導入された水は、下方傾斜する液剤吐出流路64を流下するため、液剤吐出流路64を逆流しにくい。そのため、効率的な部品配置をした上で、液剤吐出流路64を流れる液体が給水流路67aに逆流することを抑制できる。
【0085】
また、本実施形態の洗濯機1において、タンク62Cは、タンク62Aより大きな深さを有する。タンク62Aは、第2のタンク62Cよりも外槽3の略中心側、すなわち、外槽3の中心軸V0へ向かうK2側に配置され、吐水口94は、タンク62Aよりも外槽3の略中心側に配置される。
【0086】
これにより、筐体2内部において空間が小さい外槽3の略中心側、すなわち、外槽3の中心軸V0へ向かうK2側にタンク62Aを配置し、筐体2内部において空間が大きい外槽3の略中心、すなわち、外槽3の中心軸V0から離れるK1側にタンク62Cを配置できる。そのため、効率的な部品配置をした上で、液剤吐出流路64を流れる液体が給水流路67aに逆流することを抑制できる。
【0087】
また、本実施形態の洗濯機1は、収容ケース61bと、収容ケース61bから排出された液体を外槽3に案内する、投入流路82と接続流路8とで構成される排出経路と、を備える。収容ケース61bには、第2の流路102と、第2の流路102から溢れた水を排出経路に案内する回収経路105と、が形成されている。
【0088】
これにより、溢れ水を回収し、洗いやすすぎの水に使用することで、水資源を無駄なく使用することができる。また、何らかの理由で、吐出経路が閉塞した場合であっても、収容ケース61b内で水を回収できるので、洗濯機1外への水漏れを防止することができ、充電部に被水するなどの不安全な故障に陥るのを防止することができる。また、第2の流路102と排出経路とを一体の部品で形成することができる。
【0089】
また、本実施形態の洗濯機1において、収容ケース61bは、少なくともタンク62を収容する。タンク62は、接続部63dを介して液剤投入装置63と接続され、回収経路105は、タンク62が収容ケース61bに収容された状態で接続部63dの下方となる位置を通過する。
【0090】
第2の流路102から溢れた水を、接続部63dの下方の洗浄用の水として用いることで、接続部63dの下方に洗剤が残留することを抑制するとともに溢れ水を有効利用できる。
【0091】
また、本実施形態の洗濯機1において、前記収容ケース61bは、底面55から吐水口94よりも低い位置まで鉛直に延伸し、第2の流路102と回収経路105とを区切る、壁104が形成されている。
【0092】
これにより、第2の流路102の容量を超えた水は、壁104を乗り越えて、回収経路105に流入する。また、壁104は、溢れ水の水位を低く抑え、吐水口94から第1の流路101に逆流することを抑制する。
【0093】
また、本実施形態の洗濯機1において、壁104は、高さの異なる第1領域104aと第2領域104bとを有し、第2領域104bは第1領域104aよりも低い。
【0094】
このような構成によって、壁は、第1領域104aにおいて落下した水が飛散することを抑制し、第2領域104bにおいて回収経路へ水を誘導することができる。第1領域104aと第2領域104bの大きさに応じて、第2の流路102へ流れる水の量を調整することができる。
【0095】
また、本実施形態の洗濯機1において、吐水口94は、第1開口94aと、第1開口94aの下流側に配置された第2開口94bと、を含む。
【0096】
このような構成によって、第1の流路101の第2開口94bから落下した水と、第1の流路101の第1開口94aから落下した水とを衝突させることで、それぞれの水の跳ね返りを低減することができる。
【0097】
また、本実施形態の洗濯機1において、第2開口94bの開口面積は、第1開口94aの開口面積よりも大きい。
【0098】
水圧の大きい下流側の第2開口94bの開口面積が第1開口94aよりも大きいので、第2開口94bから落下する水の方が第1開口94aから落下する水よりも量が多い。したがって、第2開口94bから落下してエアギャップ68を通過した水は、収容ケース61b内ではね返る。このはね返った水に第1開口94aから落下する水を衝突させることができるので、落下する水の勢いを低減することができ、ケース61から水が外部に漏れるのを低減することができる。
【0099】
また、本実施形態の洗濯機1において、タンク62を収容する収容ケース61bと、収容ケース61bの上部に配置された上ケース61cとを有するケース61を備え、上ケース61cは、給水流路67aの第1の流路101が配置され、収容ケース61bに、第2の流路102が配置されている。
【0100】
タンク62を収容する収容ケース61bは、給水流路67aを有することで、流路のレイアウトを簡易にし、小スペース化することができる。
【0101】
また、本実施形態の洗濯機1において、エアギャップ68は、液剤投入装置63により液剤吐出流路64に液剤が投入される箇所よりも上流側に配置されている。
【0102】
なお、本開示は前記実施形態に限定されるものではなく、その他種々の態様で実施できる。
【0103】
なお、実施形態において、自動投入ユニット6が3つのタンク62を有する場合について説明したが、このような場合に限定されない。自動投入ユニット6が2つのタンク62または4つ以上のタンク62を有してもよい。
【0104】
なお、実施形態において、タンク62が幅方向Kに沿って配置した例について説明したが、これに限定されない。例えば、外槽3が筐体2の設置面に対して、後側M2に向かって下方に傾くように弾性支持されている場合、タンク62を前後方向Mに沿って配置してもよい。言い換えると、タンク62Bは、タンク62Aに対して、外槽3の底部36を通過する中心軸V0に沿って配置されてもよい。この場合、タンク62の階段状配置は後側M2に向かって低くなり、液剤吐出流路64は後側M2に向かって下方に傾斜される。このような構成によっても、タンク62の合計容積を大きくすることができる。
【0105】
なお、実施形態において、タンク62と液剤投入装置63との接続方向が前後方向Mであると説明したが、これに限定されない。例えば、後述の変形例1のように、タンク62と液剤投入装置63との接続方向は上下方向に沿ってもよい。
【0106】
本開示は、添付図面を参照しながら好ましい実施の形態に関連して充分に記載されているが、この技術に熟練した人々にとっては種々の変形や修正は明白である。そのような変形や修正は、添付した請求の範囲による本発明の範囲から外れない限りにおいて、その中に含まれると理解されるべきである。
【産業上の利用可能性】
【0107】
本開示の洗濯機は、液剤投入に関する構成の機能を向上させることができるため、家庭用の洗濯機、業務用の洗濯機、あるいは任意の種類の洗濯乾燥機(例えば家庭用のドラム式洗濯機)として有用である。
【符号の説明】
【0108】
1 洗濯機
2 筐体
3 外槽
4 内槽
5 駆動部
6 自動投入ユニット
8 接続流路
10 給水口
11 排水弁
61 ケース
62 タンク
63 液剤投入装置
64 液剤吐出流路
65 手動投入部
66 給水弁
71 動力部
72 減速機構
73 ポンプ機構
76 接続部
77、78、79 接続口
83 ピストン
84 シリンダ
91 液剤流入口
94 吐水口
94a 第1開口
94b 第2開口
104 壁
104a 第1領域
104b 第2領域
105 回収経路
105a 流路
105b 流路
K 幅方向
M 前後方向
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8A
図8B
図8C
図9
図10
図11
図12
図13
図14A
図14B
図15