(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-14
(45)【発行日】2024-11-22
(54)【発明の名称】バッテリー、バッテリー取付構造及び電動自転車
(51)【国際特許分類】
B62J 43/23 20200101AFI20241115BHJP
B62J 43/13 20200101ALI20241115BHJP
B62M 6/90 20100101ALI20241115BHJP
【FI】
B62J43/23
B62J43/13
B62M6/90
(21)【出願番号】P 2020215505
(22)【出願日】2020-12-24
【審査請求日】2023-10-16
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002527
【氏名又は名称】弁理士法人北斗特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小川 満
(72)【発明者】
【氏名】蕭 宇宣
【審査官】三宅 龍平
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-176714(JP,A)
【文献】中国実用新案第202703828(CN,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62J 43/13
B62J 43/23
B62M 6/90
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電動自転車用のバッテリーであって、
電動自転車に設けられたロック装置に対して着脱可能に固定される接続構造を含み、
前記接続構造は、前記ロック装置を前記接続構造にロックさせるために用いられるロック部と、外壁部と、内壁部とを備え、
前記内壁部は、前記ロック部と前記外壁部との間に位置し
、
前記内壁部は、前記外壁部に対して傾き、かつ互いに向きが異なる複数の斜面を有する
バッテリー。
【請求項2】
前記外壁部は、前記内壁部よりも高く突出するように設けられている
請求項1のバッテリー。
【請求項3】
前記内壁部は、前記外壁部とは別体に設けられている
請求項1又は2のバッテリー。
【請求項4】
前記内壁部と前記外壁部とが並んだ方向において、前記内壁部は、前記外壁部よりも大きな厚みを有する
請求項1から3のいずれか一項のバッテリー。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか一項のバッテリーを、前記電動自転車のフレームに取り付けるための構造であって、
前記フレームに取り付けられる前記ロック装置を備え、
前記ロック装置は、変位可能なロック部材を有し、
前記内壁部は、前記バッテリーが前記フレームに取り付けられた状態で、前記ロック部材と前記外壁部との間に位置するように構成されている
バッテリー取付構造。
【請求項6】
バッテリーを、電動自転車のフレームに取り付けるための構造であって、
前記フレームに取り付けられるロック装置を備え、
前記バッテリーは、前記ロック装置に対して着脱可能に固定される接続構造を含み、前記接続構造は、前記ロック装置を前記接続構造にロックさせるために用いられるロック部と、外壁部と、内壁部とを備え、前記内壁部は、前記ロック部と前記外壁部との間に位置し、
前記ロック装置は、変位可能なロック部材を有し、
前記バッテリーの前記内壁部は、前記バッテリーが前記フレームに取り付けられた状態で、前記ロック部材と前記外壁部との間に位置するように構成されており、
前記ロック装置は、前記バッテリーが前記フレームに取り付けられた状態で、前記外壁部の内側に位置する中間壁部を、更に備える
バッテリー取付構造。
【請求項7】
請求項5又は6のバッテリー取付構造と、前記フレームと、前記バッテリーとを具備する
電動自転車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、バッテリー、バッテリー取付構造及び電動自転車に関する。
【背景技術】
【0002】
電動自転車のフレームに対して着脱可能に取り付けられるバッテリーが、従来公知である(例えば特許文献1等参照)。
【0003】
この種の電動自転車においては、フレームがロック装置を備え、バッテリーは、ロック装置が引っ掛かることのできるロック部を備えている。ロック装置から突出した部材が、バッテリー側のロック部に引っ掛かってロックすることで、バッテリーはフレームに対して装着状態で固定される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記した従来技術において、バッテリーには、ロック部を囲むように外壁が設けられていることが通常である。しかし、例えばバッテリーが落下した場合や、バッテリーに何らかの物体が当たった場合に、この外壁が破損して不具合を生じる虞がある。
【0006】
本開示は、バッテリーが破損して不具合を生じることを抑えることができるバッテリー、バッテリー取付構造及び電動自転車を提案することを、目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一態様に係るバッテリーは、電動自転車用のバッテリーであって、電動自転車に設けられたロック装置に対して着脱可能に固定される接続構造を含む。前記接続構造は、前記ロック装置を前記接続構造にロックさせるために用いられるロック部と、外壁部と、内壁部とを備える。前記内壁部は、前記ロック部と前記外壁部との間に位置している。
【0008】
本開示の一態様に係るバッテリー取付構造は、前記バッテリーを、前記電動自転車のフレームに取り付けるための構造であって、前記フレームに取り付けられる前記ロック装置を備える。前記ロック装置は、変位可能なロック部材を有する。前記内壁部は、前記バッテリーが前記フレームに取り付けられた状態で、前記ロック部材と前記外壁との間に位置するように構成されている。
【0009】
本開示の一態様に係る電動自転車は、前記バッテリー取付構造と、前記フレームと、前記バッテリーとを具備する。
【発明の効果】
【0010】
本開示は、バッテリーが破損して不具合を生じることを抑えることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】
図1は、一実施形態の電動自転車の側面図である。
【
図6】
図6は、同上の電動自転車が備えるバッテリーの要部斜視図である。
【
図7】
図7は、同上の電動自転車が備えるロック装置の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
1.実施形態
1-1.電動自転車の全体構成
図1に示す一実施形態の電動自転車1は、電動アシスト自転車である。一実施形態の電動自転車1は、電動自転車用のフレーム10と、フレーム10に支持された駆動ユニット11と、駆動ユニット11に電力を供給するようにフレーム10に着脱可能に装着されたバッテリー2とを備える。
【0013】
更に、一実施形態の電動自転車1は、フレーム10の前部に支持されたフロントフォーク13と、フロントフォーク13の下部に回転可能に連結された前輪142と、フレーム10の後部に回転可能に連結された後輪144と、フレーム10の中央部に軸支されたペダル155付きのクランク15と、フロントフォーク13の上部に連結されたハンドル16と、フレーム10に装着されたサドル175付きのシートピラー17とを備える。
【0014】
一実施形態の電動自転車1では、運転者がペダル155を漕いでクランク15を回転させる動力と、駆動ユニット11から出力される駆動力とが、駆動ユニット11と後輪144との間に架け渡されたチェイン115を介して後輪144に伝達されることで、後輪144が回転駆動される。
【0015】
本文において用いる前後、上下等の各方向は、水平面上に前輪142と後輪144とを乗せた電動自転車1の運転者を基準として、定義される。運転者が電動自転車1に乗って進行する方向が前方、これの反対側が後方である。
【0016】
フレーム10は、フレーム10の中心部に位置するブラケット101と、ダウンチューブ102と、シートチューブ103と、チェーンステー104と、シートステー105と、ヘッドパイプ106とを備える。
【0017】
ブラケット101は、駆動ユニット11を支持する部材である。ブラケット101が、センサー、制御装置等の他の機器を支持することも好ましい。
【0018】
ダウンチューブ102は、ブラケット101から前斜め上方に伸びるように、ブラケット101に連結されている。シートチューブ103は、ブラケット101から後ろ斜め上方に伸びるように、ブラケット101に連結されている。シートチューブ103の上端部に、サドル175を支持するシートピラー17が挿入される。
【0019】
チェーンステー104は、ブラケット101から後方に伸びるように、ブラケット101に連結されている。チェーンステー104の後端部に、後輪144が軸支されている。
【0020】
シートステー105は、チェーンステー104の後端部とシートチューブ103の上端部とをつなぐ部材である。シートステー105は、チェーンステー104の後端部から前斜め上方に伸び、シートチューブ103の上端部に連結されている。シートチューブ103、チェーンステー104及びシートステー105は、ブラケット101を介して、側面視において三角形状をなすように連結されている。
【0021】
ヘッドパイプ106は、フロントフォーク13を回転可能に支持するために、ダウンチューブ102の上端部(換言するとダウンチューブ102の前端部)に連結された部材である。
【0022】
以上、一実施形態の電動自転車1の基本的な構成について説明した。以下においては、一実施形態の電動自転車1が備える特徴的な構成について、詳しく説明する。
【0023】
1-2.バッテリー取付構造
バッテリー取付構造3は、電動自転車1のフレーム10に対して、駆動ユニット11への電力供給用のバッテリー2を着脱可能に取り付けるための構造である(
図3等参照)。
【0024】
バッテリー取付構造3は、フレーム10に固定されたロック装置4を備える。ロック装置4が、バッテリー2の一部として構成された接続構造5に対して着脱可能に固定されることで、バッテリー2はフレーム10に対して着脱可能に固定される。
【0025】
1-3.ロック装置
ロック装置4は、フレーム10のシートチューブ103に固定される外殻部分40と、外殻部分40に収容されたシリンダー41及びロック部材42(
図4参照)とを備える。
【0026】
図7等に示すように、シリンダー41は、その一端面に鍵穴413を有し、鍵穴413に対して外部から鍵を挿し込んで回すことで、自身の内筒部分が回転するように構成されている。ロック部材42は、シリンダー41の内筒部分の回転に連動して動作する棒状の金属部材である。
【0027】
外殻部分40には、連結部401と、開口402とが設けられている。連結部401は、外殻部分40の外面から突出するように設けられた部分であり、その突出した側から見たときに、切欠部分が設けられたコ字状の外形を有する。開口402は、外殻部分40の外面のうち、コ字状の連結部401に囲まれた位置に、設けられている。
【0028】
外殻部分40に収容されたロック部材42の一部421は、開口402を通じて外部に突出することが可能である。ロック部材42の一部421は、ロック部材42の軸方向の先端部分である。
【0029】
ロック部材42の一部421には、接続構造5に引っ掛かってロックすることができる面423が設けられている。面423は、ロック部材42の中心軸に対して平行に設けられた、平坦面である。本文中で用いる平行の文言は、厳密な意味での平行に限定されず、例えば、設計上許容される範囲において厳密には平行でないものも含まれる。また、本文中で用いる平坦の文言は、厳密な意味での平坦に限定されず、例えば、設計上許容される範囲において厳密には平坦でないものも含まれる。
【0030】
ロック部材42は、外殻部分40に収容された状態において、一方向の所定範囲内で移動可能である。当該一方向は、ロック部材42の中心軸と平行な方向である。ロック部材42の一部421が開口402から突出する突出量は、シリンダー41の内筒部分が回転することに伴って、切り替えられる。ロック部材42は、接続構造5に引っ掛かることができる位置(これを「施錠位置」という。)と、接続構造5に引っ掛かることのない位置(これを「非施錠位置」という。)との間で、変位可能である。
【0031】
更に、ロック装置4の外殻部分40には、コ字状の連結部401と隣接した位置に、連結部401と同方向に突出した中間壁部43が設けられている。ロック装置4において、中間壁部43の高さは、連結部401の高さよりも低く設けられている。中間壁部43は、連結部401の切欠部分に隣接して位置する平板状の壁本体431と、壁本体431から連結部401に近づく側に向けて延長された三角リブ状の補強部432とを含む(
図4等参照)。
【0032】
開口402に対して中間壁部43が位置する側は、開口402に対してシートチューブ103が位置する側とは、反対の側である。また、開口402に対して中間壁部43が位置する側は、開口402に対して鍵穴413が位置する側と、同じ側である。
【0033】
1-4.接続構造
図6等に示すように、接続構造5は、バッテリー2の外殻部分20と一体に形成されている。接続構造5は、ロック装置4に当接するように構成された連結台8と、ロック装置4と接続構造5をロックさせるためのロック部6と、二重壁7とを備える。なお本実施形態では二重壁7を備える接続構造5をバッテリー2の外殻部分20と一体に形成したが、接続構造5の二重壁7の少なくとも一部、例えば後述する内壁部74を、外殻部分20とは別体に形成してもよい。
【0034】
連結台8は、バッテリー2の外殻部分20の外側面(バッテリー2の装着状態で前方を向く側面)に形成された凸状の部分である。連結台8は、ロック装置4に当接するように構成された平板状の頂板部81と、頂板部81を支持するように外殻部分20の側面から起立した周壁部82とを一体に有する。
【0035】
頂板部81は、ロック装置4の連結部401を嵌め込むことができるように、バッテリー2の装着状態での左右方向の一側(これを「第1の向き91」という。)向けて凹むように切り欠かれた切欠部815を有する。切欠部815は、バッテリー2の装着状態での左右方向の他側(これを「第2の向き92」という。)に向けて、開放されている。
【0036】
周壁部82は、バッテリー2の装着状態において連結台8の左右方向の一側の端部(言い換えれば連結台8の第1の向き91の端部)を構成する縦壁部821と、バッテリー2の装着状態において連結台8の上側の端部を構成する第1横壁部823と、バッテリー2の装着状態において連結台8の下側の端部を構成する第2横壁部825とを含む。縦壁部821と第1横壁部823は全体としてL字状を成すように連続して設けられ、また、縦壁部821と第2横壁部825は全体としてL字状を成すように連続して設けられている。
【0037】
第1及び第2横壁部823,825は、バッテリー2の装着状態において上下に距離をあけて互いに平行に位置する。第1及び第2横壁部823,825と縦壁部821は、全体としてコ字状を成すように連続して設けられている。
【0038】
ロック部6は、バッテリー2の外殻部分20の外側面(詳細にはバッテリー2の装着状態で前方を向く側面)に形成された、突起状の部分である。ロック部6は、連結台8の内側に位置し、より詳細には、第1横壁部823と第2横壁部825との間に位置し、縦壁部821から第2の向き92に距離をあけて位置している。
【0039】
ロック部6には、ロック部材42の一部421に引っ掛かってロックすることができる面63が設けられている。面63は、縦壁部821に対して平行に設けられた平坦面である。面63は、バッテリー2の外殻部分20の外側面に対して、直交するように設けられている。本文中で用いる直交の文言は、厳密な意味での直交に限定されず、例えば、設計上許容される範囲において厳密には直交でないものも含まれる。
【0040】
前述したロック部材42の変位に伴って、ロック部材42の一部421が面63に引っ掛かってロックする状態と、ロック部材42の一部421が面63に引っ掛からない状態とが切り替わる。ロック部材42が施錠位置にあるとき、ロック部材42の一部421は面63に引っ掛かってロックすることができ、ロック部材42が非施錠位置にあるときには、ロック部材42の一部421は面63に引っ掛かることがない。
【0041】
ロック部6は、面63が設けられた平板状のロック部本体61と、ロック部本体61から第2の向き92に延長された三角リブ状の補強部62とを含む。一実施形態において、ロック部6は、2つの補強部62を含んでいる。2つの補強部62は、バッテリー2の装着状態において上下に距離をあけて互いに平行に位置する。
【0042】
二重壁7は、バッテリー2の外殻部分20の外側面(詳細にはバッテリー2の装着状態で前方を向く側面)に形成された外壁部72と内壁部74とを含む。外壁部72と内壁部74とは、バッテリー2の外殻部分20と同様に樹脂で形成されているが、外壁部72と内壁部74とが互いに別素材で形成されてもよい。例えば外壁部72はバッテリー2の外殻部分20と同様に樹脂で形成され、内壁部74は、外壁部72や外殻部分20の素材とは異なる金属等の素材で形成されてもよい。内壁部74が金属製である場合には、バッテリー2の外殻部分20が破損した場合に、これに伴って内壁部74が破損することが抑えられる。そのため、バッテリー2に加わる損傷をより低減することができる。
【0043】
外壁部72は、連結台8の一部で構成された平板状の壁部分であり、より詳細には、ロック部6から第1の向き91に距離をあけて位置する縦壁部821の一部で、構成されている。ロック部6に設けられた面63と、外壁部72とは、左右方向において互いに対向する位置関係にある。
【0044】
内壁部74は、連結台8とは別体で構成された突起状の部分であり、内壁部74と外壁部72とは別体である。内壁部74は、ロック部6から第1の向き91に距離をあけて位置し、且つ、外壁部72から第2の向き92に距離をあけて位置する。左右方向において、内壁部74は、ロック部6と外壁部72との間に位置する。ロック部6に設けられた面63と、内壁部74とは、左右方向において互いに対向する位置関係にある。
【0045】
内壁部74と外壁部72とが並んだ方向(一実施形態では左右方向)において、内壁部74は、外壁部72よりも大きな厚みを有している。
【0046】
内壁部74は、外壁部72に対して傾いた複数の斜面740を有する。複数の斜面740は、互いに向きが異なる3つの斜面740a,740b,740cを含む。斜面740a,740b,740cは、外壁部72の第1方向91を向く外面と第2方向92を向く内面に対して、それぞれ傾いている。
【0047】
斜面740aは、第1の向き91に寄った部分ほどバッテリー2の外殻部分20の近くに位置するように(言い換えれば、第2の向き92に寄った部分ほどバッテリー2の外殻部分20から遠くに位置するように)傾斜した面である。
【0048】
斜面740bと斜面740cは、第1の向き91に寄った部分ほど互いに近づくように(言い換えれば、第2の向き92に寄った部分ほど互いに離れるように)傾斜した一対の面である。そのため、内壁部74をその突出した側から見たときに、内壁部74は、第1の向き91に尖った外形を有する。内壁部74には、斜面740aの中央部から凹むように肉抜き部分が設けられているが、内壁部74の肉抜き部分は必須ではない。また、一実施形態では内壁部74に斜面740を3つ設けているが、内壁部74には斜面740を少なくとも1つ設けていればよい。
【0049】
図6等に示すように、連結台8の頂板部81の切欠部815は、バッテリー2の非装着状態において、ロック部6と内壁部74とを外部に露出させるように位置する。そのため、バッテリー2の非装着状態において連結台8を頂板部81の側から見たときに、ロック部6と内壁部74との間においてロック部材42の一部421が挿し込まれる部分は、切欠部815を通じて視認可能となる。
【0050】
図4、
図5等に示すように、施錠位置にあるロック部材42の一部421は、接続構造5が備えるロック部6と内壁部74との間に位置し、一部421に設けられた面423と、ロック部6の面63とが引っ掛かってロック可能な状態となる。施錠位置にあるロック部材42の一部421は、ロック部6の高さよりも低く且つ内壁部74の高さよりも低い位置にまで、挿し込まれる(
図4参照)。
【0051】
更に、バッテリー2の装着状態において、内壁部74よりも高く突出するように設けられた外壁部72の内側には、ロック装置4の中間壁部43が挿し込まれる。中間壁部43は、外壁部72の高さよりも低い位置にまで、切欠部815を通じて挿し込まれる。バッテリー2の装着状態において、中間壁部43は、内壁部74と対向する位置(より詳細には斜面740aと対向する位置)にある。
【0052】
上記した一実施形態の電動自転車1の各構成は、いずれも一例に過ぎず、同様の作用効果を奏する範囲内において適宜変形を施すことが可能である。例えば、一実施形態の電動自転車1は、電動アシスト自転車であるが、例えば電動モーターの回転力だけで前輪142と後輪144の少なくとも一方を回転駆動させることのできる電動自転車でもよい。一実施形態の電動自転車1は二輪タイプであるが、例えば三輪タイプであってもよい。
【0053】
1-5.作用効果
一実施形態の電動自転車1が備えるバッテリー2は、上記の構成を具備するものであるから、バッテリー2が破損して不具合を生じることは効果的に抑えられている。
【0054】
例えば、何らかの原因で外壁部72が破損しても、その内側には内壁部74が設けられているので、バッテリー2のフレーム10との接続構造等に不具合が生じることは抑えられる。
【0055】
加えて、一実施形態の電動自転車1が備えるバッテリー取付構造3によれば、バッテリー2がフレーム10に装着された状態において、外壁部72の内側にはロック装置4の中間壁部43が更に存在する。そのため、バッテリー2がフレーム10に装着された状態において、バッテリー2が破損して不具合が生じることは、更に効果的に抑えられる。
【0056】
2.態様
以上、添付図面に示す実施形態に基づいて説明したように、第1の態様に係るバッテリー(2)は、電動自転車用のバッテリー(2)であって、電動自転車(1)に設けられたロック装置(4)に対して着脱可能に固定される接続構造(5)を含む。接続構造(5)は、ロック装置(4)を接続構造(5)にロックさせるために用いられるロック部(6)と、外壁部(72)と、内壁部(74)とを備える。内壁部(74)は、ロック部(6)と外壁部(72)との間に位置している。
【0057】
したがって、第1の態様に係るバッテリー(2)によれば、例えばバッテリー(2)が落下した場合や、バッテリー(2)に何らかの物体が当たった場合であっても、外壁部(72)の内側に内壁部(74)が存在することによって、バッテリー(2)に不具合が発生することが抑えられる。
【0058】
第2の態様に係るバッテリー(2)では、第1の態様に加えて、外壁部(72)は内壁部(74)よりも高く突出するように設けられている。
【0059】
したがって、第2の態様に係るバッテリー(2)によれば、高く突出した外壁部(72)によって、バッテリー(2)の接続構造が保護されるとともに、外壁部(72)を超えて内側に異物が侵入することが効果的に抑えられる。
【0060】
第3の態様に係るバッテリー(2)では、第1又は第2の態様に加えて、内壁部(74)は、外壁部(72)に対して傾いた少なくとも1つの斜面(740)を有する。
【0061】
したがって、第3の態様に係るバッテリー(2)によれば、何らかの原因で外壁部(72)が破損し、該破損部分を通じて異物が侵入しても、侵入した異物は斜面(740)に当たって滑りやすくなり、これにより内壁部(74)の破損が抑えられる。
【0062】
第4の態様に係るバッテリー(2)では、第3の態様に加えて、少なくとも1つの斜面(740)は、互いに向きが異なる複数の斜面(740(740a,740b,740c))である。
【0063】
したがって、第4の態様に係るバッテリー(2)によれば、内壁部(74)が破損することが更に効果的に抑えられる。
【0064】
第5の態様に係るバッテリー(2)では、第1から第4の態様のいずれか1つに加えて、内壁部(74)は、外壁部(72)とは別体に設けられている。
【0065】
したがって、第5の態様に係るバッテリー(2)によれば、何らかの原因で外壁部(72)が破損しても、その破損の影響が内壁部(74)にまで直接的に及ぶことが抑えられる。
【0066】
第6の態様に係るバッテリー(2)では、第1から第5の態様のいずれか1つに加えて、内壁部(74)と外壁部(72)とが並んだ方向において、内壁部(74)は、外壁部(72)よりも大きな厚みを有する。
【0067】
したがって、第6の態様に係るバッテリー(2)によれば、内壁部(74)が破損することが更に効果的に抑えられる。
【0068】
第7の態様に係るバッテリー取付構造(3)は、第1から第6の態様のいずれか1つのバッテリー(2)を、電動自転車(1)のフレーム(10)に取り付けるための構造であって、フレーム(10)に取り付けられるロック装置(4)を備える。ロック装置(4)は、変位可能なロック部材(42)を有する。内壁部(74)は、バッテリー(2)がフレーム(10)に取り付けられた状態で、ロック部材(42)と外壁部(72)との間に位置するように構成されている。
【0069】
したがって、第7の態様に係るバッテリー取付構造(3)によれば、バッテリー(2)がフレーム(10)に取り付けられた状態で、外壁部(72)と内壁部(74)によって、ロック部材(42)が強固に保護される。
【0070】
第8の態様に係るバッテリー取付構造(3)では、第7の態様に加えて、ロック装置(4)は、バッテリー(2)がフレーム(10)に取り付けられた状態で、外壁部(72)の内側に位置する中間壁部(43)を、更に備える。
【0071】
したがって、第8の態様に係るバッテリー取付構造(3)によれば、バッテリー(2)がフレーム(10)に取り付けられた状態で、ロック部材(42)が更に強固に保護される。
【0072】
第9の態様に係る電動自転車(1)は、第7又は第8の態様のバッテリー取付構造(3)と、フレーム(10)と、バッテリー(2)とを具備する。
【0073】
したがって、第9の態様に係る電動自転車(1)によれば、バッテリー(2)が破損して不具合を生じることが抑えられ、また、バッテリー(2)がフレーム(10)に取り付けられた状態で、ロック部材(42)が強固に保護される。
【符号の説明】
【0074】
1 電動自転車
10 フレーム
2 バッテリー
3 バッテリー取付構造
4 ロック装置
42 ロック部材
43 中間壁部
5 接続構造
6 ロック部
72 外壁部
74 内壁部
740 斜面
740a 斜面
740b 斜面
740c 斜面