IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ パナソニックIPマネジメント株式会社の特許一覧

特許7588347部品実装装置および部品撮像装置の清掃要否判断方法
<>
  • 特許-部品実装装置および部品撮像装置の清掃要否判断方法 図1
  • 特許-部品実装装置および部品撮像装置の清掃要否判断方法 図2
  • 特許-部品実装装置および部品撮像装置の清掃要否判断方法 図3
  • 特許-部品実装装置および部品撮像装置の清掃要否判断方法 図4
  • 特許-部品実装装置および部品撮像装置の清掃要否判断方法 図5
  • 特許-部品実装装置および部品撮像装置の清掃要否判断方法 図6
  • 特許-部品実装装置および部品撮像装置の清掃要否判断方法 図7
  • 特許-部品実装装置および部品撮像装置の清掃要否判断方法 図8
  • 特許-部品実装装置および部品撮像装置の清掃要否判断方法 図9
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-14
(45)【発行日】2024-11-22
(54)【発明の名称】部品実装装置および部品撮像装置の清掃要否判断方法
(51)【国際特許分類】
   H05K 13/04 20060101AFI20241115BHJP
   H05K 13/08 20060101ALI20241115BHJP
【FI】
H05K13/04 A
H05K13/08 Q
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2021040910
(22)【出願日】2021-03-15
(65)【公開番号】P2022140874
(43)【公開日】2022-09-29
【審査請求日】2024-01-09
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002000
【氏名又は名称】弁理士法人栄光事務所
(72)【発明者】
【氏名】岡田 康一
(72)【発明者】
【氏名】森 秀雄
(72)【発明者】
【氏名】松田 鷹則
(72)【発明者】
【氏名】坪田 一総
(72)【発明者】
【氏名】有馬 恭旭
【審査官】福島 和幸
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-88424(JP,A)
【文献】特開平11-330799(JP,A)
【文献】特開2012-64781(JP,A)
【文献】特開2001-267796(JP,A)
【文献】特開2007-157848(JP,A)
【文献】特開2008-28275(JP,A)
【文献】特開2013-211653(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 13/00-13/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
装着されたノズルで部品を保持して基板に実装する実装ヘッドと、
前記実装ヘッドと一体的に移動して前記基板を撮像する基板撮像装置と、
前記基板撮像装置の被写界深度に位置する透明なカバーを有し、前記ノズルに保持された部品を撮像する部品撮像装置と、
前記基板撮像装置が前記カバーを撮像した結果に基づいて、前記部品撮像装置の清掃作業の要否を判断する清掃要否判断部と、を備える、部品実装装置。
【請求項2】
前記清掃要否判断部により清掃作業が必要と判断されると、その旨を報知する報知部をさらに備える、請求項1の部品実装装置。
【請求項3】
前記報知部は、清掃作業が必要と判断された箇所を含む前記カバーの撮像結果を表示する、請求項2に記載の部品実装装置。
【請求項4】
前記実装ヘッドに装着されているノズルが交換された後、または、前記ノズルの状態の確認時に前記部品撮像装置が前記ノズルを撮像する際に、前記基板撮像装置が前記カバーを撮像し、
前記清掃要否判断部が清掃作業の要否を判断する、請求項1から3のいずれかに記載の部品実装装置。
【請求項5】
実装ヘッドに装着され、部品を保持して基板に実装するノズルに保持された部品を撮像する部品撮像装置の清掃作業の要否を判断する部品撮像装置の清掃要否判断方法であって、
前記部品撮像装置は、前記実装ヘッドと一体的に移動して前記基板を撮像する基板撮像装置の被写界深度に位置する透明なカバーを有しており、
前記基板撮像装置が前記カバーを撮像し、
前記カバーの撮像結果に基づいて、前記部品撮像装置の清掃作業の要否を判断する、部品撮像装置の清掃要否判断方法。
【請求項6】
前記部品撮像装置の清掃作業が必要と判断されると、その旨を報知する、請求項5に記載の部品撮像装置の清掃要否判断方法。
【請求項7】
前記部品撮像装置の清掃作業が必要と判断されると、清掃作業が必要と判断された箇所を含む前記カバーの撮像結果を表示する、請求項5または6に記載の部品撮像装置の清掃要否判断方法。
【請求項8】
前記実装ヘッドに装着されているノズルが交換された後、または、前記ノズルの状態の確認時に前記部品撮像装置が前記ノズルを撮像する際に、前記基板撮像装置が前記カバーを撮像し、
前記部品撮像装置の清掃作業の要否を判断する、請求項5から7のいずれかに記載の部品撮像装置の清掃要否判断方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、部品を撮像する部品撮像装置を備える部品実装装置および部品撮像装置の清掃要否判断方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ノズルで部品を保持して基板に実装する部品実装装置は、ノズルに保持された部品を下方から撮像する部品撮像装置を備えている(例えば、特許文献1参照)。ところで、光軸を上方に向けた部品撮像装置の撮像エリア上にノズルから落下した部品やゴミなどの異物が付着すると、撮像視野が遮られたり撮像画像がぼやけたりする問題が発生するため、付着した異物を取り除く清掃作業が必要となる。特許文献1に記載の部品実装装置(電子部品装着装置)は、複数のノズルを同心円周上に有するロータリーヘッドを備えており、部品撮像装置(部品認識カメラ)の上方で複数のノズルを周回させながら撮像して、ノズルを正常に検出できない撮像領域があると、異物による認識異常が発生したと判断している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2012-64781号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の部品実装装置は、部品撮像装置の上に付着した異物を自動で検出することができるものの、異物の大きさや位置によっては認識異常を見逃して適切に清掃作業を行うことができないという問題点があり、さらなる改善の余地があった。
【0005】
そこで本発明は、部品を撮像する部品撮像装置の清掃作業の要否を適切に判断することができる部品実装装置および部品撮像装置の清掃要否判断方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の部品実装装置は、装着されたノズルで部品を保持して基板に実装する実装ヘッドと、前記実装ヘッドと一体的に移動して前記基板を撮像する基板撮像装置と、前記基板撮像装置の被写界深度に位置する透明なカバーを有し、前記ノズルに保持された部品を撮像する部品撮像装置と、前記基板撮像装置が前記カバーを撮像した結果に基づいて、前記部品撮像装置の清掃作業の要否を判断する清掃要否判断部と、を備える。
【0007】
本発明の部品撮像装置の清掃要否判断方法は、実装ヘッドに装着され、部品を保持して基板に実装するノズルに保持された部品を撮像する部品撮像装置の清掃作業の要否を判断する部品撮像装置の清掃要否判断方法であって、前記部品撮像装置は、前記実装ヘッドと一体的に移動して前記基板を撮像する基板撮像装置の被写界深度に位置する透明なカバーを有しており、前記基板撮像装置が前記カバーを撮像し、前記カバーの撮像結果に基づいて、前記部品撮像装置の清掃作業の要否を判断する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、部品を撮像する部品撮像装置の清掃作業の要否を適切に判断することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の一実施の形態の部品実装装置の平面図
図2】本発明の一実施の形態の部品実装装置の構成説明図
図3】本発明の一実施の形態の部品実装装置が備える部品認識カメラの構成説明図
図4】本発明の一実施の形態の部品実装装置が備える基板認識カメラの構成説明図
図5】本発明の一実施の形態の部品実装装置の制御系の構成を示すブロック図
図6】本発明の一実施の形態の部品実装装置が備える部品認識カメラに異物が付着している状態を説明する(a)平面図(b)側面図
図7】本発明の一実施の形態の部品実装装置が備えるタッチパネルに表示された清掃作業推奨画面の一例の説明図
図8】本発明の一実施の形態の実装基板の製造方法のフロー図
図9】本発明の一実施の形態の清掃要否判断方法のフロー図
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に図面を用いて、本発明の一実施の形態を詳細に説明する。以下で述べる構成、形状等は説明のための例示であって、部品実装装置、部品認識カメラ、基板認識カメラの仕様に応じ、適宜変更が可能である。以下では、全ての図面において対応する要素には同一符号を付し、重複する説明を省略する。図1、及び後述する一部では、水平面内で互いに直交する2軸として、基板搬送方向のX軸(図1における左右方向)、基板搬送方向に直交するY軸(図1における上下方向)が示される。図2、及び後述する一部では、水平面と直交する高さ方向としてZ軸(図2における上下方向)が示される。
【0011】
まず図1図2を参照して、部品実装装置1の構成を説明する。なお図2は、図1における部品実装装置1の一部を模式的に示している。部品実装装置1は、部品供給部から供給された部品を基板に装着する部品実装作業を実行する機能を有する。基台1aの中央には、基板搬送機構2がX軸に沿って配置されている。基板搬送機構2は、上流側から搬送された基板3を、実装作業位置に搬入して位置決めして保持する。また、基板搬送機構2は、部品実装作業が完了した基板3を下流側に搬出する。
【0012】
基板搬送機構2の両側(Y軸の前後方向)には、部品供給部4が配置されている。それぞれの部品供給部4には、複数のテープフィーダ5(部品供給装置)がX軸に沿って並列に装着されている。テープフィーダ5は、部品Dを格納するポケットが形成された部品テープを部品供給部4の外側から基板搬送機構2に向かう方向(テープ送り方向)にピッチ送りすることにより、以下に説明する実装ヘッドによって部品Dが取り出される部品供給位置5aに部品Dを供給する。
【0013】
図1図2において、基台1a上面においてX軸における両端部には、リニア駆動機構を備えたY軸テーブル6がY軸に沿って配置されている。Y軸テーブル6には、同様にリニア駆動機構を備えたビーム7が、Y軸に沿って移動自在に結合されている。ビーム7はX軸に沿って配置されている。ビーム7には、実装ヘッド8がX軸に沿って移動自在に装着されている。実装ヘッド8は、その下端部に装着されたノズル9によって部品Dを吸着保持し、部品Dを保持したノズル9を昇降可能な吸着ユニット8aを備えている。ノズル9は、部品Dを保持するノズル軸9aと、ノズル軸9aの上部(ノズル軸9aの先端面とは反対側)に設けられた反射板9bと、を有している(図3参照)。
【0014】
図1において、Y軸テーブル6およびビーム7は、実装ヘッド8をX軸およびY軸に沿って水平方向に移動させるヘッド移動機構10を構成する。ヘッド移動機構10および実装ヘッド8は、部品供給部4に配置されたテープフィーダ5の部品供給位置5aから部品Dをノズル9のノズル軸9aの先端面に吸着して取り出して、基板搬送機構2に位置決めされた基板3の実装位置に装着する実装ターンを実行する。すなわち、Y軸テーブル6、ビーム7および実装ヘッド8は、テープフィーダ5の部品供給位置5aに供給される部品Dをノズル9で保持して基板3に装着する部品実装手段を構成する。そして、実装ヘッド8は、装着されたノズル9で部品Dを保持して基板3に実装する。
【0015】
図1図2において、部品供給部4と基板搬送機構2との間には、部品認識カメラ20が配置されている。部品供給部4から部品Dを取り出した実装ヘッド8のノズル9が部品認識カメラ20の上方を移動する際に(図3の矢印a)、部品認識カメラ20はノズル9に保持された状態の部品Dを撮像して部品Dの保持姿勢を認識する。
【0016】
実装ヘッド8が取り付けられたプレート7aには基板認識カメラ30が取り付けられている。基板認識カメラ30は、実装ヘッド8と一体的に移動する。実装ヘッド8が移動することにより、基板認識カメラ30は基板搬送機構2に位置決めされた基板3の上方に移動し、基板3に設けられた基板マーク3aを撮像して基板3の位置を認識する。実装ヘッド8による基板3への部品実装動作においては、部品認識カメラ20による部品Dの保持姿勢の認識結果と、基板認識カメラ30による基板位置の認識結果とを加味して実装位置の補正が行われる。
【0017】
図2において、部品供給部4にはフィーダベース11aに予め複数のテープフィーダ5が装着された状態の台車11がセットされる。台車11には、部品Dを保持した部品テープ12を巻回状態で収納するテープリール13が保持されている。テープリール13から引き出された部品テープ12は、テープフィーダ5によって部品供給位置5aまでピッチ送りされる。
【0018】
図1において、部品実装装置1の前面で作業者が作業する位置には、作業者が操作するタッチパネル14が設置されている。タッチパネル14は、その表示部に各種情報を表示し、また表示部に表示される操作ボタンなどを使って作業者がデータ入力や部品実装装置1の操作を行う。
【0019】
次に図3を参照して、部品認識カメラ20の構成について説明する。部品認識カメラ20は、筐体21の内部に1次元CCDや2次元CMOSセンサなどの撮像素子を有する撮像部22を備えている。筐体21の上面には、透明な板ガラスなどで形成されたカバー21aが設置されている。カバー21aの上面の高さ位置は、基板搬送機構2の実装作業位置に位置決めされた基板3の上面の高さと同じ装着基準高さH0に位置している(図2も参照)。
【0020】
撮像部22の上方には、レンズ23が配置されている。撮像部22は、光軸22aを上方に向けて設置されており、レンズ23とカバー21aを通して、ノズル9が保持する部品Dを撮像する。すなわち、部品認識カメラ20が被写体(部品Dやノズル9の先端)を撮像する際に鮮明な像が得られる距離の範囲である被写界深度は、カバー21aより高い位置に設定されている。
【0021】
筐体21の内部であってレンズ23の上方には、同軸照明部24と透過照明部25が設置されている。同軸照明部24は、複数のLEDチップなどを備えて構成された照明手段24aとハーフミラー24bを備えて構成されている。ハーフミラー24bは、撮像部22の光軸22aの途中に配置されており、照明手段24aから照射された光をハーフミラー24bの上方に反射させる。
【0022】
図3において、透過照明部25は複数のLEDチップなどを備えて構成されており、部品認識カメラ20の上方に位置するノズル9の反射板9bを下斜め方向から照明する。透過照明部25から照射された光は、主にノズル9の反射板9bで反射されてノズル9が保持する部品Dを上方から照明する。部品認識カメラ20は、撮像する対象に応じて、同軸照明部24による同軸照明と透過照明部25による透過照明を切り替えて、もしくは組み合わせて照明する。
【0023】
次に図4を参照して、基板認識カメラ30の構成について説明する。基板認識カメラ30は、筐体31の内部にカメラユニット32、基板照明部33が設置されている。カメラユニット32は、光軸を下方に向けた2次元CMOSセンサなどの撮像素子、レンズなどを備えて構成されている。筐体31の下部には、筐体31の一部を切り欠いて光を透過するガラスなどの窓部材34が設置されている。基板認識カメラ30は、その被写界深度に、実装作業位置に位置決めされた基板3の上面(装着基準高さH0)が含まれるように設定されている。
【0024】
基板照明部33は、上斜め方向から下方の撮像対象を照明する側射基板照明部33a、同軸基板照明部33b、同軸基板照明部33bから照射された光を下方の撮像対象の方向に反射させるハーフミラー33cを備えている。基板照明部33は、カメラユニット32が撮像する対象の材質等に応じて、側射基板照明部33aによる側射照射と同軸基板照明部33bによる同軸照明を切り替えて、もしくは組み合わせて照明する。基板認識カメラ30が基板3上に形成された基板マーク3aや部品認識カメラ20のカバー21a上を撮像する時は、撮像対象の上方に移動し、基板照明部33で照明しながら撮像対象をカメラユニット32で撮像する。
【0025】
このように、基板認識カメラ30は、実装ヘッド8と一体的に移動して基板3を撮像する基板撮像装置である。また、部品認識カメラ20は、基板撮像装置の被写界深度(装着基準高さH0)に位置する透明なカバー21aを有し、ノズル9に保持された部品Dを撮像する部品撮像装置である。なお、部品撮像装置のカバー21aの上面の高さ位置は、厳密に装着基準高さH0と一致している必要はなく、部品撮像装置の被写界深度の範囲外であり、かつ、基板撮像装置の被写界深度の範囲内であればよい。これにより、カバー21a上に異物が付着していても、部品撮像装置によるノズル9に保持された部品Dの撮像が阻害されず、かつ、基板撮像装置によりカバー21a上の異物の撮像が可能となる。
【0026】
次に図5を参照して、部品実装装置1の制御系の構成について説明する。部品実装装置1は、制御装置40、基板搬送機構2、テープフィーダ5、実装ヘッド8、ヘッド移動機構10、部品認識カメラ20、基板認識カメラ30、タッチパネル14を備えている。制御装置40は、画像処理部41、清掃要否判断部42、報知処理部43、実装動作処理部44、実装記憶部45を備えている。実装記憶部45は記憶装置であり、実装データ46、撮像画像データ47などが記憶されている。
【0027】
実装データ46には、基板3の種類(基板種)毎に、基板3のサイズ、実装される部品Dの種類と実装位置(XY座標)など、部品実装作業に必要な情報が記憶されている。画像処理部41は、実装ヘッド8、ヘッド移動機構10、部品認識カメラ20を制御して、ノズル9が保持する部品Dを同軸照明部24または透過照明部25で照明しながら撮像部22に撮像させ、撮像画像を画像処理してノズル9に保持された部品Dの位置を検出する。
【0028】
図4において、画像処理部41は、ヘッド移動機構10、基板認識カメラ30を制御して、基板搬送機構2に位置決めされた基板3の基板マーク3aを撮像させ、撮像画像を画像処理して基板3の位置を検出する。また、画像処理部41は、ヘッド移動機構10、基板認識カメラ30を制御して、部品認識カメラ20のカバー21a上を撮像させ、カバー21a上に落下した部品D、ゴミ、汚れなどの異物を検出する。基板認識カメラ30による撮像画像は、撮像画像データ47として実装記憶部45に記憶される。
【0029】
実装動作処理部44は、実装データ46、画像処理部41によって検出された基板搬送機構2に位置決めされた基板3の位置、ノズル9に保持された部品Dの位置に基づいて、部品実装作業を実行させる。清掃要否判断部42は、基板認識カメラ30(基板撮像装置)が部品認識カメラ20(部品撮像装置)のカバー21aを撮像した結果(撮像画像)に基づいて、基板認識カメラ30の清掃作業の要否を判断する清掃要否判断処理を実行する。具体的には、画像処理部41によりカバー21a上の異物が検出されると、清掃要否判断部42は清掃作業が必要と判断する。
【0030】
図5において、清掃要否判断処理は、実装ヘッド8に装着されているノズル9が交換された後、または、部品実装作業中のノズル9の状態が確認される時に部品認識カメラ20がノズル9を撮像する際に実行される。清掃要否判断処理を実行するタイミングになると、画像処理部41が基板認識カメラ30(基板撮像装置)にカバー21aを撮像させて、清掃要否判断部42が清掃作業の要否を判断する。部品認識カメラ20が部品Dを保持していないノズル9を撮像する際は、実装ヘッド8と一体的に移動する基板認識カメラ30も部品認識カメラ20の上方に移動しているため、清掃要否判断処理を開始するまでの時間を短縮することができる。なお、部品認識カメラ20によるノズル9の撮像の前に、清掃要否判断処理を実行するようにしてもよい。
【0031】
報知処理部43は、清掃要否判断部42により清掃作業が必要と判断されると、タッチパネル14に後述する清掃作業が必要な旨を含む清掃作業推奨画面を表示させる。すなわち、タッチパネル14は、清掃要否判断部42により清掃作業が必要と判断されると、その旨を報知する報知部である。
【0032】
次に、図6を参照して、清掃要否判断処理の例について説明する。清掃要否判断処理を実行するタイミングになると、画像処理部41は基板認識カメラ30を部品認識カメラ20の上方に移動させて、部品認識カメラ20のカバー21a上を撮像させる。基板認識カメラ30の被写界深度はカバー21a上の高さ位置(装着基準高さH0)に設定されているため、基板認識カメラ30はカバー21a上の異物を鮮明に撮像することができる。図6の例では、カバー21a上に部品(異物C1)とペーストなどの汚れ(異物C2)が落下している。そのため、画像処理部41のよる画像処理によって、カバー21a上の異物C1,C2が検出され、清掃要否判断部42によって清掃作業が必要と判断される。この際の撮像画像は、撮像画像データ47に記憶される。
【0033】
次に、図7を参照して、タッチパネル14に表示される清掃作業推奨画面51の例について説明する。図7は、図6に示す異物C1,C2が検出された部品認識カメラ20に対する清掃作業推奨画面51の例である。清掃作業推奨画面51には、警告表示欄52、撮像画像表示欄53、実装中断ボタン54、清掃終了ボタン55が表示されている。警告表示欄52には、部品認識カメラ20の上面に異物C1,C2が発見された旨と部品認識カメラ20の清掃を推奨する旨がテキストで表示される。撮像画像表示欄53には、撮像画像データ47に記憶されている基板認識カメラ30によって撮像された部品認識カメラ20のカバー21a上の撮像画像が表示される。
【0034】
この例では、撮像画像表示欄53に、画像処理部41によって検出された異物C1,C2を中心とする異物C1,C2より大きな異物表示円E1,E2が重ねて表示されている。異物表示円E1,E2を表示することで、検出された異物C1,C2の認識が肉眼では困難なほどに小さくても、部品認識カメラ20を清掃する作業者が異物C1,C2を除去すべき箇所を容易に知ることができる。このように、タッチパネル14(報知部)は、清掃作業が必要と判断された箇所を含むカバー21aの撮像結果を表示する。
【0035】
図7において、実装中断ボタン54が操作されると、部品実装装置1における部品実装作業が中断されて、作業者による部品認識カメラ20の清掃作業が可能な状態となる。清掃終了ボタン55が操作されると、清掃作業推奨画面51の表示が終了して、中断していた部品実装作業が再開される。なお、清掃終了ボタン55が操作されると、清掃要否判断処理を実行して清掃作業によって異物C1,C2が除去できたか否か(追加の清掃作業が必要か否か)を再度判断するようにしてもよい。
【0036】
次に図8を参照して、部品実装装置1による実装基板の製造方法について説明する。以下に説明するフローでは、部品認識カメラ20の清掃作業の要否を判断する工程と基板3に部品Dを装着する工程を主に説明し、基板搬送機構2による基板3の搬入、位置決め、搬出の各工程は省略する。
【0037】
まず、画像処理部41は、清掃要否判断処理を実行するタイミングであるか否かを判断する(ST1:タイミング判断工程)。部品認識カメラ20がノズル9を撮像する際などの清掃要否判断のタイミングである場合は(ST1においてYes)、清掃要否判断工程(ST2)が実行される。清掃要否判断のタイミングではない場合は(ST1においてNo)、清掃要否判断工程(ST2)がスキップされて、基板3に部品Dを装着する部品実装工程(ST3)が実行される。製造する実装基板が残っている間は(ST4においてNo)タイミング判断工程(ST1)に戻って部品実装工程(ST3)が継続され、清掃要否判断のタイミングに(ST1においてYes)清掃要否判断工程(ST2)が実行される。
【0038】
次に図9を参照して、部品認識カメラ20(部品撮像装置)の清掃作業の要否を判断する清掃要否判断工程(ST2)(部品撮像装置の清掃要否判断方法)について説明する。清掃要否判断工程(ST2)では、まず、基板認識カメラ30(基板撮像装置)が部品認識カメラ20のカバー21aを撮像する(ST11:カバー撮像工程)。次いで清掃要否判断部42は、カバー21aの撮像結果に基づいて、部品認識カメラ20の清掃作業の要否を判断する(ST12:判断工程)。すなわち、カバー21a上の異物C1,C2の有無が判断される。
【0039】
部品認識カメラ20の清掃作業が必要と判断されると(ST12においてYes)、報知処理部43は、清掃作業が必要である旨と清掃作業が必要と判断された箇所(異物C1,C2)を含むカバー21aの撮像結果(清掃作業推奨画面51)をタッチパネル14に表示する(ST13:報知工程)。部品認識カメラ20の清掃作業は必要でないと判断されると(ST12においてNo)、報知工程(ST13)はスキップされて清掃要否判断工程(ST2)が終了する。
【0040】
なお、清掃作業が必要と判断されてタッチパネル14に清掃作業推奨画面51が表示されても(ST13)、部品実装作業には支障がないため部品実装作業は継続される(ST3)。これにより、部品実装作業を長時間停止させることなく、基板待ちなどの適切なタイミングに作業者が部品認識カメラ20の清掃作業を実行することができる。
【0041】
上記説明したように、本実施の形態の部品実装装置は、装着されたノズル9で部品Dを保持して基板3に実装する実装ヘッド8と、実装ヘッド8と一体的に移動して基板3を撮像する基板撮像装置(基板認識カメラ30)と、基板撮像装置の被写界深度(装着基準高さH0)に位置する透明なカバー21aを有し、ノズル9に保持された部品Dを撮像する部品撮像装置(部品認識カメラ20)と、基板撮像装置がカバー21aを撮像した結果に基づいて、部品撮像装置の清掃作業の要否を判断する清掃要否判断部42と、を備えている。これによって、部品Dを撮像する部品撮像装置の清掃作業の要否を適切に判断することができる。
【産業上の利用可能性】
【0042】
本発明の部品実装装置および部品撮像装置の清掃要否判断方法は、部品を撮像する部品撮像装置の清掃作業の要否を適切に判断することができるという効果を有し、部品を基板に実装する分野において有用である。
【符号の説明】
【0043】
1 部品実装装置
3 基板
8 実装ヘッド
9 ノズル
14 タッチパネル(報知部)
20 部品認識カメラ(部品撮像装置)
21a カバー
30 基板認識カメラ(基板撮像装置)
D 部品
H0 装着基準高さ(被写界深度)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9