(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-14
(45)【発行日】2024-11-22
(54)【発明の名称】変更情報提供システム
(51)【国際特許分類】
A47J 27/00 20060101AFI20241115BHJP
【FI】
A47J27/00 109L
A47J27/00 109Z
(21)【出願番号】P 2021186148
(22)【出願日】2021-11-16
【審査請求日】2024-01-23
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106518
【氏名又は名称】松谷 道子
(74)【代理人】
【識別番号】100132241
【氏名又は名称】岡部 博史
(74)【代理人】
【識別番号】100189555
【氏名又は名称】徳山 英浩
(72)【発明者】
【氏名】塚原 知里
(72)【発明者】
【氏名】柴田 雅章
(72)【発明者】
【氏名】田中 正邦
(72)【発明者】
【氏名】仁井 雄介
【審査官】川口 聖司
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-066065(JP,A)
【文献】特開2007-307415(JP,A)
【文献】特開2014-193286(JP,A)
【文献】特開平01-308509(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2021/0255878(US,A1)
【文献】国際公開第2019/053912(WO,A1)
【文献】韓国公開特許第10-2021-0057592(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47J 9/00-47/20
H05B 3/00- 3/86
H05B 6/00- 6/80
F24C 1/00-15/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被調理物を加熱する加熱部と、調理シーケンス情報が記憶され、かつ、前記調理シーケンス情報を変更するための変更情報を記憶可能な記憶部と、前記調理シーケンス情報と前記変更情報とに基づいて前記加熱部を制御する調理器制御部と、前記変更情報を受信する調理器受信部とを有する加熱調理器と、
前記変更情報が記憶される変更情報データベースと、
前記変更情報を送信する送信部と、前記変更情報を前記変更情報データベースから読み出し、前記送信部に出力する提供装置制御部とを有し、前記変更情報を前記加熱調理器に提供する変更情報提供装置と、
を備え、
前記調理シーケンス情報は、予め決められた調理の手順を示す情報であって、加熱時間又は加熱力を示す複数の基本パラメータを有し、
前記変更情報は、予め決められた順序に並べられた
複数の変更パラメータを有し、
前記調理器制御部は、前記変更情報提供装置から提供された前記変更パラメータ及び前記順序に基づいて、複数の前記基本パラメータのうち予め決められた一部の前記基本パラメータを変更する、
加熱調理器の変更情報提供システム。
【請求項2】
前記記憶部は、前記順序と前記変更パラメータに基づいて変更される前記基本パラメータとの予め決められた組合せを示す組合せ情報を有し、
前記調理器制御部は、前記変更情報提供装置から提供された前記変更パラメータ及び前記組合せ情報に基づいて、複数の前記基本パラメータのうち予め決められた一部の前記基本パラメータを変更する、
請求項1に記載の加熱調理器の変更情報提供システム。
【請求項3】
情報端末を更に備え、
前記変更情報提供装置は、提供装置受信部を更に備え、
前記提供装置制御部は、前記送信部が前記変更情報を送信するよりも前に、前記情報端末に前記変更情報の提供を承認するか否かを確認する通知を送信するように前記送信部を制御し、
前記提供装置制御部は、前記変更情報の提供の承認を示す承認情報が前記提供装置受信部によって受信された後に、前記変更情報を送信するように前記送信部を制御する、
請求項1又は2に記載の加熱調理器の変更情報提供システム。
【請求項4】
前記記憶部には、前記変更情報が記憶されており、
前記調理器制御部は、前記調理器受信部によって受信された前記変更情報を、前記記憶部に記憶されている前記変更情報に代えて前記記憶部に記憶させる、
請求項1~3のいずれか1つに記載の加熱調理器の変更情報提供システム。
【請求項5】
前記変更情報は、前記記憶部に記憶された第1変更情報と、前記変更情報データベースに記憶された第2変更情報とを有し、
前記第1変更情報と前記第2変更情報とは、互いに異なる前記変更パラメータを有し、
前記変更情報は、前記変更情報同士を識別するための識別子をそれぞれ有し、
前記識別子は、前記第1変更情報が有する第1識別子と、前記第2変更情報が有する第2識別子とを有し、
前記提供装置制御部は、前記記憶部に前記変更情報が記憶されていないとき、又は、前記提供装置制御部が前記第1識別子と前記第2識別子との比較を行い、前記第1識別子と前記第2識別子とが異なるときに、前記第2変更情報を送信するように前記送信部を制御する、
請求項1~4のいずれか1つに記載の加熱調理器の変更情報提供システム。
【請求項6】
前記加熱調理器の個体識別情報と前記第1識別子とが互いに関連付けられて記憶される識別子データベースを更に備え、
前記変更情報提供装置は、前記加熱調理器から前記第1識別子を受信する提供装置受信部を更に有し、
前記提供装置制御部は、前記提供装置受信部によって受信された前記第1識別子を前記識別子データベースに記憶させ、
前記提供装置制御部は、前記比較において、前記識別子データベースに記憶された前記第1識別子と前記第2識別子とを比較する、
請求項5に記載の加熱調理器の変更情報提供システム。
【請求項7】
前記加熱調理器は、被調理物を収容する鍋と、前記鍋内と外部空間とを連通する穴を開閉可能に動作する圧力弁とを更に有し、
前記調理器制御部は、前記調理シーケンス情報と前記変更情報とに基づいて前記圧力弁を制御し、
複数の前記基本パラメータは、加熱時間、加熱力、前記鍋内の圧力、及び前記圧力の維持時間のうち少なくとも1つを示す、
請求項1~6のいずれか1つに記載の加熱調理器の変更情報提供システム。
【請求項8】
前記調理シーケンス情報は、予め決められた炊飯の手順を示す炊飯シーケンス情報である、請求項1~7のいずれか1つに記載の加熱調理器の変更情報提供システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、調理シーケンス情報を変更するための変更情報を加熱調理器に提供する変更情報提供システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、内部メニューの料理ごとの調理情報を記憶する記憶部と、食材の加熱調理を制御する調理制御部と、通信部とを備えた加熱調理器が開示されている。通信部は、外部メニューの料理ごとの調理部分情報を保持する管理装置と通信する。調理部分情報は、内部メニューのいずれかの料理の調理情報と関連付けられている。調理制御部は、外部メニューの料理が選択された場合に、選択された料理の調理部分情報を管理装置から取得し、取得した調理部分情報と関連付けられた調理情報を使用して、食材の加熱調理を制御する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示は、加熱調理器に提供される変更情報のデータ量を小さくすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示における変更情報提供システムは、
被調理物を加熱する加熱部と、調理シーケンス情報が記憶され、かつ、前記調理シーケンス情報を変更するための変更情報を記憶可能な記憶部と、前記調理シーケンス情報と前記変更情報とに基づいて前記加熱部を制御する調理器制御部と、前記変更情報を受信する調理器受信部とを有する加熱調理器と、
前記変更情報が記憶される変更情報データベースと、
前記変更情報を送信する送信部と、前記変更情報を前記変更情報データベースから読み出し、前記送信部に出力する提供装置制御部とを有し、前記変更情報を前記加熱調理器に提供する変更情報提供装置と、
を備え、
前記調理シーケンス情報は、予め決められた調理の手順を示す情報であって、加熱時間又は加熱力を示す複数の基本パラメータを有し、
前記変更情報は、予め決められた順序に並べられた少なくとも1つの変更パラメータを有し、
前記調理器制御部は、前記変更情報提供装置から提供された前記変更パラメータ及び前記順序に基づいて、複数の前記基本パラメータのうち予め決められた一部の前記基本パラメータを変更する。
【発明の効果】
【0006】
本開示によれば、加熱調理器に提供される変更情報のデータ量を小さくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】実施の形態1における変更情報提供システムの概略構成を示すブロック図。
【
図2】実施の形態1において加熱調理器によって調理の一例である炊飯が行われたときの鍋内の温度、加熱部の電力量、鍋内の圧力、及び圧力弁の開閉状態の関係を示すグラフ。
【
図3】実施の形態1における変更情報の提供処理を示す概略図。
【
図4A】実施の形態1における変更情報の提供処理を示すフローチャート。
【
図4B】実施の形態1における変更情報の提供処理を示すフローチャート。
【
図5】実施の形態1における基本パラメータの変更処理を示すフローチャート。
【
図6】実施の形態1における基本パラメータの変更処理を示す概略図。
【
図7】実施の形態2における変更情報の提供処理を示す概略図。
【
図8A】実施の形態2における変更情報の提供処理を示すフローチャート。
【
図8B】実施の形態2における変更情報の提供処理を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0008】
(本開示に至った経緯)
特許文献1に記載の加熱調理器において、管理装置から取得された調理部分情報は、記憶部に記憶される。調理制御部は、記憶部に記憶された調理情報及び調理部分情報を使用して、外部メニューの調理を制御する。
【0009】
このような加熱調理器において、記憶部の記憶容量は、通常、当該加熱調理器の動作に必要なプログラム等によって、製造時点でほぼ満たされてしまう。そのため、ユーザによる使用時(すなわち、製造後)に記憶部に記憶させることのできるデータの量は、非常に少ない。すなわち、記憶部に記憶させておくことのできる調理部分情報の数及びデータ量は、非常に少ない。このことは、調理部分情報を新たに記憶させるために、他の料理のための調理部分情報を削除しなければならない事態を頻繁に引き起こし、加熱調理器の利便性を低下させる。
【0010】
そこで、本発明者らは、加熱調理器に提供される変更情報のデータ量を小さくする変更情報提供システムの構成を見出し、本開示に至った。
【0011】
本開示の第1態様の変更情報提供システムは、
被調理物を加熱する加熱部と、調理シーケンス情報が記憶され、かつ、前記調理シーケンス情報を変更するための変更情報を記憶可能な記憶部と、前記調理シーケンス情報と前記変更情報とに基づいて前記加熱部を制御する調理器制御部と、前記変更情報を受信する調理器受信部とを有する加熱調理器と、
前記変更情報が記憶される変更情報データベースと、
前記変更情報を送信する送信部と、前記変更情報を前記変更情報データベースから読み出し、前記送信部に出力する提供装置制御部とを有し、前記変更情報を前記加熱調理器に提供する変更情報提供装置と、
を備え、
前記調理シーケンス情報は、予め決められた調理の手順を示す情報であって、加熱時間又は加熱力を示す複数の基本パラメータを有し、
前記変更情報は、予め決められた順序に並べられた少なくとも1つの変更パラメータを有し、
前記調理器制御部は、前記変更情報提供装置から提供された前記変更パラメータ及び前記順序に基づいて、複数の前記基本パラメータのうち予め決められた一部の前記基本パラメータを変更する。
【0012】
第1態様の変更情報提供システムによれば、調理器制御部は、変更パラメータ及び当該変更パラメータの変更情報における順序に基づいて、予め決められた一部の基本パラメータを変更する。すなわち、調理器制御部は、各変更パラメータをその順序と予め組み合わされた各基本パラメータに適用することにより、基本パラメータを変更する。そのため、変更情報は、変更パラメータと当該変更パラメータに基づいて変更される基本パラメータとの組合せの情報を有する必要がない。したがって、変更情報が当該組合せの情報を有する構成と比較して、変更情報のデータ量を小さくすることができる。
【0013】
本開示の第2態様の変更情報提供システムにおいて、前記記憶部は、前記順序と前記変更パラメータに基づいて変更される前記基本パラメータとの予め決められた組合せを示す組合せ情報を有してもよい。前記調理器制御部は、前記変更情報提供装置から提供された前記変更パラメータ及び前記組合せ情報に基づいて、複数の前記基本パラメータのうち予め決められた一部の前記基本パラメータを変更してもよい。
【0014】
第2態様の変更情報提供システムによれば、調理器制御部は、変更パラメータ及び組合せ情報に基づいて、複数の基本パラメータのうち予め決められた一部の基本パラメータを変更する。当該組合せ情報が記憶部に記憶されているので、変更情報は、組合せ情報を有する必要がない。したがって、変更情報が組合せ情報を有する構成と比較して、変更情報のデータ量を小さくすることができる。
【0015】
本開示の第3態様の変更情報提供システムは、情報端末を更に備えてもよい。前記変更情報提供装置は、提供装置受信部を更に備え、前記提供装置制御部は、前記送信部が前記変更情報を送信するよりも前に、前記情報端末に前記変更情報の提供を承認するか否かを確認する通知を送信するように前記送信部を制御してもよい。前記提供装置制御部は、前記変更情報の提供の承認を示す承認情報が前記提供装置受信部によって受信された後に、前記変更情報を送信するように前記送信部を制御してもよい。
【0016】
第3態様の変更情報提供システムによれば、提供装置制御部は、変更情報の提供の承認を示す承認情報が提供装置受信部によって受信された後に、変更情報を送信するように送信部を制御する。そのため、変更情報の提供が希望されないときに変更情報が提供されることを防止することができる。
【0017】
本開示の第4態様の変更情報提供システムにおいて、前記記憶部には、前記変更情報が記憶されていてもよい。前記調理器制御部は、前記調理器受信部によって受信された前記変更情報を、前記記憶部に記憶されている前記変更情報に代えて前記記憶部に記憶させてもよい。
【0018】
第4態様の変更情報提供システムによれば、調理器制御部は、調理器受信部によって受信された変更情報を、記憶部に記憶されている変更情報に代えて記憶部に記憶させる。このことにより、記憶部には、1つの調理シーケンス情報に対応する変更情報が1つだけ記憶される。そのため、記憶部に1つの調理シーケンス情報に対応する変更情報が2つ以上記憶される構成と比較して、記憶部に記憶される変更情報の数及びデータ量を削減することができる。したがって、記憶部が容量不足に陥る可能性を低減することができる。
【0019】
本開示の第5態様の変更情報提供システムにおいて、前記変更情報は、前記記憶部に記憶された第1変更情報と、前記変更情報データベースに記憶された第2変更情報とを有してもよい。前記第1変更情報と前記第2変更情報とは、互いに異なる前記変更パラメータを有してもよい。前記変更情報は、前記変更情報同士を識別するための識別子をそれぞれ有してもよい。前記識別子は、前記第1変更情報が有する第1識別子と、前記第2変更情報が有する第2識別子とを有してもよい。前記提供装置制御部は、前記記憶部に前記変更情報が記憶されていないとき、又は、前記提供装置制御部が前記第1識別子と前記第2識別子との比較を行い、前記第1識別子と前記第2識別子とが異なるときに、前記第2変更情報を送信するように前記送信部を制御してもよい。
【0020】
第5態様の変更情報提供システムによれば、記憶部に変更情報が記憶されていないとき、又は、第1識別子と第2識別子とが異なるときに、変更情報が提供される。このことにより、同じ変更パラメータを有する変更情報が複数回提供されること、及び、同じ変更パラメータを有する複数の変更情報が記憶部に記憶されることを防止することができる。したがって、記憶部が容量不足に陥る可能性を低減することができる。
【0021】
本開示の第6態様の変更情報提供システムは、前記加熱調理器の個体識別情報と前記第1識別子とが互いに関連付けられて記憶される識別子データベースを更に備えてもよい。前記変更情報提供装置は、前記加熱調理器から前記第1識別子を受信する提供装置受信部を更に有してもよい。前記提供装置制御部は、前記提供装置受信部によって受信された前記第1識別子を前記識別子データベースに記憶させてもよい。前記提供装置制御部は、前記比較において、前記識別子データベースに記憶された前記第1識別子と前記第2識別子とを比較してもよい。
【0022】
第6態様の変更情報提供システムによれば、識別子データベースに記憶された第1識別子を前記の比較に使用するので、当該比較時に加熱調理器から変更情報提供装置に第1識別子を送信する必要がない。このことにより、加熱調理器と変更情報提供装置との間で通信ができない場合にも、当該比較を行うことができる。また、当該比較において、第1識別子を送信する工程が必要とされないので、当該比較における工程数及び当該比較にかかる時間を削減することができる。
【0023】
本開示の第7態様の変更情報提供システムにおいて、前記加熱調理器は、被調理物を収容する鍋と、前記鍋内と外部空間とを連通する穴を開閉可能に動作する圧力弁とを更に有してもよい。前記調理器制御部は、前記調理シーケンス情報と前記変更情報とに基づいて前記圧力弁を制御してもよい。複数の前記基本パラメータは、加熱時間、加熱力、前記鍋内の圧力、及び前記圧力の維持時間のうち少なくとも1つを示してもよい。
【0024】
第7態様の変更情報提供システムによれば、鍋内の圧力及び当該圧力の維持時間を示す基本パラメータを、変更パラメータに基づいて変更することができる。このことにより、変更情報によって変更可能な基本パラメータの種類が増加するので、変更情報によって調理シーケンス情報を変更することによる食味向上をより容易に実現することができる。
【0025】
本開示の第8態様の変更情報提供システムにおいて、前記調理シーケンス情報は、予め決められた炊飯の手順を示す炊飯シーケンス情報であってもよい。
【0026】
含水量等の米の性質は、産地、品種等のほか、生産時期ごとの作柄によっても異なる。そのため、予め記憶部に記憶された調理シーケンス情報のみに基づく炊飯では、ユーザが使用する米の作柄に応じた最適な炊飯を行うことができない。一方、第8態様の変更情報提供システムによれば、米の作柄に応じた変更パラメータを有する変更情報を提供することにより、ユーザが使用する米の作柄に応じた最適な炊飯を行うことができる。
【0027】
本開示に係る実施の形態を説明する前に、まず本開示において用いられる用語の定義について述べる。
【0028】
「調理シーケンス」とは、1以上の調理工程を順に行うにあたって、各工程における加熱時間、加熱力等が予め決められた調理の手順をいう。調理シーケンスを示す「調理シーケンス情報」は、調理シーケンスを構成する1つ又は複数の調理工程の存在を定義する工程情報と、各工程における調理の制御内容(加熱時間や加熱力等)を規定するパラメータとの両方を有する。「基本パラメータ」とは、調理シーケンス情報がパラメータの変更(後述)よりも前に有するパラメータを示す。
【0029】
本開示における加熱調理器は、後述する変更情報が提供されない場合にも、基本パラメータを有する調理シーケンス情報に基づいて調理を行うことができる。しかしながら、仮に調理シーケンス情報がパラメータを有していない場合には、各工程における調理の制御内容が規定されないので、加熱調理器は調理を行うことができない。また、仮に調理シーケンス情報が工程情報を有していない場合には、調理工程の存在が定義されないため、加熱調理器は調理を行うことができない。
【0030】
「変更情報」とは、調理シーケンス情報を変更するために加熱調理器に提供される情報であって、変更パラメータと識別子とを有する。「変更パラメータ」は、基本パラメータを変更するためのパラメータである。例えば、変更パラメータは、基本パラメータに対して加減乗除される値、又は、基本パラメータを置換するための置換値である。
【0031】
「識別子」とは、同一の調理シーケンス情報に対応し、かつ、異なる変更パラメータを有する複数の変更情報を識別するために、各変更情報に付される名称、符号、値、文字列等である。すなわち、同一の調理シーケンス情報に対応し、かつ、異なる変更パラメータを有する複数の変更情報には、互いに異なる識別子が付与される。識別子のデータ量は、当該識別子が付された変更情報が有する変更パラメータの総データ量よりも小さい。
【0032】
以下、本開示の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、本開示は、これらの実施の形態に限定されるものではない。また、図面において実質的に同一の部材については、同一の符号を付すことにより説明を省略する。
【0033】
(実施の形態1)
[1.構成]
図1を参照しながら、実施の形態1における変更情報提供システムの構成について説明する。
図1は、実施の形態1における変更情報提供システムの概略構成を示すブロック図である。
図1に示すように、変更情報提供システムは、加熱調理器1と、加熱調理器1に変更情報を提供する変更情報提供装置2と、変更情報の提供の承認を与えるための情報端末5とを備えている。加熱調理器1と変更情報提供装置2と情報端末5とは、インターネット等のネットワーク6を介して互いに接続される。
【0034】
加熱調理器1は、料理や食材等に応じた調理シーケンス情報に基づいて加熱調理を行う。実施の形態1では、加熱調理器1が圧力式炊飯器であるものとして説明する。加熱調理器1は、被調理物が入れられる鍋11と、鍋11及び被調理物を加熱する加熱部12と、圧力弁13と、鍋11の温度を測定するための温度検出部14と、鍋11内の圧力を測定するための圧力検出部15と、記憶部16と、ネットワーク6に接続可能な調理器通信部17と、調理器制御部18とを有する。調理器通信部17は、本開示における「調理器受信部」の一例である。
【0035】
加熱部12は、例えば、鍋11を誘導加熱するためのコイルである。圧力弁13は、鍋11内と外部空間とを連通する穴を開閉可能に動作する。温度検出部14は、例えば、鍋11に接触可能に配置された温度センサである。圧力検出部15は、例えば、大気圧に対する鍋11内の圧力を測定するゲージ圧センサである。
【0036】
記憶部16には、調理シーケンス情報と後述する組合せ情報とが記憶されている。記憶部16に記憶された調理シーケンス情報の数は、1個又は複数のいずれであってもよい。実施の形態1では、記憶部16には、炊飯される米の産地や品種等に応じた約60個の調理シーケンス情報が記憶されている。つまり、実施の形態1では、調理シーケンス情報は、予め決められた炊飯の手順を示す炊飯シーケンス情報である。さらに、記憶部16は、変更情報を記憶可能である。
【0037】
調理器通信部17、提供装置通信部21(後述)、及び端末通信部51(後述)は、例えば、インターネット、無線LAN等のネットワーク6に接続可能なネットワークモジュール(インターフェース回路)である。各通信部は、Wi-Fi(登録商標)、IEEE802.2、IEEE802.3、3G、LTE等の規格にしたがい通信を行う。各通信部は、インターネットの他、イントラネット、エキストラネット、LAN、ISDN、VAN、CATV通信網、仮想専用網、電話回線網、移動体通信網、衛星通信網等と通信してもよい。
【0038】
調理器制御部18は、加熱部12、圧力弁13、温度検出部14、圧力検出部15、記憶部16、及び調理器通信部17にそれぞれ接続されている。調理器制御部18には、温度検出部14及び圧力検出部15の各々から、鍋11の温度の値又は鍋11内の圧力値が入力される。調理器制御部18は、当該温度の値及び当該圧力値、並びに、調理シーケンス情報及び変更情報に基づいて、加熱部12の加熱力及び圧力弁13の開閉を制御する。調理器制御部18は、記憶部16からの情報の読み出し及び記憶部16に対する記憶(書き込み)を制御する。調理器制御部18は、調理器通信部17のネットワーク6への接続のタイミングを制御する。
【0039】
変更情報提供装置2は、ネットワーク6に接続可能な提供装置通信部21と、提供装置制御部22と、変更情報が記憶される変更情報データベース(以下、「変更情報DB」)3と、ユーザ情報データベース(以下、「ユーザ情報DB」)4とを有する。提供装置通信部21は、本開示における「送信部」及び「提供装置受信部」の一例である。変更情報提供装置2は、例えば、サーバである。
【0040】
変更情報DB3には、加熱調理器1に提供される変更情報が記憶される。実施の形態1では、変更情報は、複数の変更パラメータと、識別子とを有する。複数の変更パラメータは、予め決められた順序に並べられている。複数の変更パラメータの各々は、1つの基本パラメータに対応する。
【0041】
実施の形態1において、識別子は、変更情報の作成年を示す4ビットの第1の値と、当該作成年内におけるバージョンを示す4ビットの第2の値とが組み合わされた、8ビットの値である。変更情報が新しいほど、第1の値及び第2の値の各々は大きくなる。
【0042】
ユーザ情報DB4には、加熱調理器1の個体識別情報と、当該個体識別情報に関連付けられたユーザ情報が記憶されている。加熱調理器1の個体識別情報は、加熱調理器1の異なる個体同士を識別するための情報である。例えば、加熱調理器1の個体識別情報は、製造シリアル番号である。実施の形態1において、ユーザ情報は、加熱調理器1のユーザ登録時にユーザに付与されるユーザ番号である。
【0043】
提供装置制御部22は、変更情報DB3及びユーザ情報DB4の各々に接続され、各データベースからの情報の読み出し及び各データベースに対する記憶(書き込み)を行う。また、提供装置制御部22は、提供装置通信部21に接続され、提供装置通信部21のネットワーク6への接続のタイミングを制御する。
【0044】
変更情報DB3及びユーザ情報DB4の少なくとも一方は、データベースからの情報の読み出し及びデータベースに対する記憶を行うことができれば、変更情報提供装置2とは別に設けられてもよい。
【0045】
情報端末5は、ネットワーク6に接続可能な端末通信部51と、タッチスクリーン52と、端末通信部51及びタッチスクリーン52の各々に接続された端末制御部53とを有する。端末通信部51は、ネットワーク6への接続のタイミングを端末制御部53によって制御される。端末制御部53は、タッチスクリーン52の表示を制御し、タッチスクリーン52からタッチされた画面上の位置等の情報を受け取る。例えば、情報端末5は、スマートフォン、タブレット端末、パーソナルコンピュータ等の情報機器である。実施の形態1では、情報端末5は、スマートフォンである。当該スマートフォンには、変更情報の提供を承認するためのアプリケーションがインストールされている。
【0046】
[2.動作]
[2-1.加熱調理器の調理動作]
図2を参照しながら、加熱調理器1によって調理の一例である炊飯が行われるときの制御について説明する。
図2は、実施の形態1において加熱調理器によって調理の一例である炊飯が行われたときの鍋内の温度、加熱部の電力量、鍋内の圧力、及び圧力弁の開閉状態の関係を示すグラフである。
【0047】
まず、ユーザによって、米と水とを含む被調理物が収容された鍋11が加熱調理器1の本体にセットされる。その後、加熱調理器1が備える操作部を介して、ユーザによって炊飯コースが選択される。各炊飯コースは、記憶部16に記憶された複数の調理シーケンス情報の各々と対応している。例えば、炊飯コース「魚沼産こしひかり」が選択された場合には、魚沼産こしひかりの炊飯に適する調理シーケンス情報に基づいて、調理が行われる。
【0048】
ユーザによって調理開始操作、例えば、操作部に設けられた「スタート」ボタンが押下される操作が行われると、調理器制御部18は、調理シーケンス情報に基づく調理を実行するための制御を開始する。実行される調理シーケンス情報に対応する変更情報が記憶部16に記憶されている場合、調理器制御部18は、まず、当該変更情報に基づいて、調理シーケンス情報が有する基本パラメータを変更する。その後、調理器制御部18は、変更されたパラメータを有する調理シーケンス情報に基づいて、加熱部12及び圧力弁13を制御する。変更情報に基づく基本パラメータの変更処理については、後述する。
【0049】
図2に示すように、米の調理(炊飯)シーケンスは、前炊き工程、炊き上げ工程、沸騰維持工程、蒸らし工程の4つの工程から構成されている。調理が開始されると、まず、前炊き工程が開始される。
【0050】
前炊き工程は、米を炊き上げるよりも前に、米に吸水させる工程である。前炊き工程において、調理器制御部18は、鍋11内の温度を温度θ1(例えば、約60℃)まで昇温させた後、温度θ1を維持するように、温度検出部14から入力された温度の値に基づいて加熱部12を制御する。例えば、加熱部12が鍋11を誘導加熱するためのコイルである場合には、当該コイルに流れる電力量及び当該コイルに対する通電時間を制御する。また、調理器制御部18は、前炊き工程及び後述する炊き上げ工程の間、圧力弁13を開放状態に制御する。そのため、鍋11内の圧力は、前炊き工程及び炊き上げ工程の間、大気圧(1.0気圧)に維持される。前炊き工程の開始から予め決められた時間t1が経過すると、次の炊き上げ工程に移行する。なお、温度θ1、時間t1等の値は、調理シーケンス情報が有するパラメータによって規定されている。
【0051】
炊き上げ工程は、鍋11を強い加熱力で短時間に加熱し、被調理物に含まれる水を沸騰状態(約100℃)にする工程である。炊き上げ工程において、調理器制御部18は、鍋11を急速に加熱し、当該水が短時間で沸騰するように加熱部12を制御する。例えば、調理器制御部18は、加熱部12に流れる電力量が最大になるように制御する。温度検出部14から調理器制御部18に入力される値が100℃に達したとき、次の沸騰維持工程に移行する。
【0052】
沸騰維持工程は、鍋11内における水の沸騰状態を維持する工程である。沸騰維持工程において、調理器制御部18は、鍋11内における水の沸騰状態を維持するように、加熱部12及び圧力弁13を制御する。具体的には、調理器制御部18は、加熱部12が単位時間(例えば、16秒)のうち予め決められた時間t2だけ駆動する動作を繰り返すように、デューティ制御を行う。このことにより、鍋11は、沸騰維持工程の間、間欠加熱される。時間t2は、調理シーケンス情報が有するパラメータによって規定されている。
【0053】
また、調理器制御部18は、沸騰維持工程の前半では、鍋11内の圧力が大気圧(1.0気圧)と大気圧を超える圧力(例えば、1.2気圧)との間で変動するように、圧力弁13を制御する。具体的には、調理器制御部18は、まず、沸騰維持工程の開始時に圧力弁13を閉鎖する。その後、調理器制御部18は、圧力検出部15から入力される鍋11内の圧力が1.2気圧に達したときに圧力弁13を開放し、当該圧力が1.0気圧まで下がったときに圧力弁13を閉鎖するように制御する。
【0054】
沸騰維持工程の後半では、調理器制御部18は、圧力弁13を閉鎖するように制御する。このことにより、鍋11内の圧力は、大気圧を超える圧力に維持される。沸騰維持工程の終盤では、鍋11内の水量が沸騰によって少なくなるので、鍋11の温度が水の沸点以上に上昇する。温度検出部14から調理器制御部18に入力される値が水の沸点よりも高い温度(例えば、130℃)となったとき、又は、沸騰維持工程の開始から一定時間が経過したときに、次の蒸らし工程に移行する。このとき、調理器制御部18は、加熱部12の駆動を停止するとともに、圧力弁13を開放するように制御を行う。
【0055】
蒸らし工程は、余熱を利用して余剰な水分を蒸発させる工程である。蒸らし工程では、鍋11の温度が一定温度を下回ったときに、鍋11の温度及び鍋11内の圧力を一時的に高める「追い炊き」が行われる。例えば、調理器制御部18は、温度検出部14から入力される値が予め決められた温度(例えば、100℃)を下回ったときに、加熱部12を駆動するとともに圧力弁13を閉鎖させる。このことにより、前記の追い炊きが開始される。追い炊きの間、調理器制御部18は、圧力検出部15から入力される値が予め決められた圧力P1となるように、圧力弁13の開閉を制御する。
【0056】
追い炊きの開始から時間t3が経過したとき、調理器制御部18は、加熱部12の駆動を停止するとともに圧力弁13を開放して追い炊きを終了するように、制御を行う。時間t3は、本開示における「圧力の維持時間」に対応する。圧力P1及び時間t3は、調理シーケンス情報が有するパラメータによって規定されている。追い炊きが一定の回数行われると、調理が完了する。
【0057】
[2-2.変更情報の提供処理]
図3~
図4Bを参照しながら、実施の形態1における変更情報の提供処理について説明する。
図3は、実施の形態1における変更情報の提供処理を示す概略図である。なお、実施の形態1では、加熱調理器1と変更情報提供装置2と情報端末5とはネットワーク6(
図1参照)を介して接続可能に構成されているが、
図3ではネットワーク6を省略する。
図4A及び
図4Bは、実施の形態1における変更情報の提供処理を示すフローチャートである。
【0058】
以下の説明では、加熱調理器1の記憶部16及び変更情報DB3の各々に、同一の調理シーケンス情報に対応する変更情報が1つずつ記憶されているものとする。すなわち、記憶部16に記憶された第1変更情報と、変更情報DB3に記憶された第2変更情報とが存在する。第1変更情報は第1識別子を有し、第2変更情報は第2識別子を有する。以下に説明する例では、第2変更情報が有する変更パラメータは、第1変更情報が有する変更パラメータと異なる。そのため、第2識別子は、第1識別子とは異なっている。また、第2変更情報は、第1変更情報よりも新しいものとする。ユーザ情報DB4には、ユーザ情報と加熱調理器1の個体識別情報とが関連付けられて予め記憶されている。
【0059】
まず、提供装置通信部21において、変更情報の提供の要求(以下、「提供要求」という。)が受信される(
図4AにおけるステップS1)。提供要求は、例えば、ネットワーク6に接続可能な加熱調理器1、情報端末5等の機器から任意のタイミングで送信される。実施の形態1では、端末制御部53は、情報端末5において前述のアプリケーションが立ち上げられたときに、端末通信部51及びネットワーク6を介して提供要求を送信する。提供要求は、ユーザ情報を有する。
【0060】
提供装置通信部21において提供要求が受信されると、提供装置制御部22は、提供装置通信部21からユーザ情報を取得する。続いて、提供装置制御部22は、ユーザ情報DB4から、取得したユーザ情報と関連付けられた加熱調理器1の個体識別情報を取得する(
図4AにおけるステップS2)。
【0061】
次に、提供装置制御部22は、ユーザ情報DB4から取得した個体識別情報を有する加熱調理器1に対して、当該加熱調理器1の記憶部16に記憶された変更情報の識別子を送信するように要求する。具体的には、提供装置制御部22は、提供装置通信部21及びネットワーク6を介して、当該加熱調理器1の調理器通信部17に識別子の送信要求(以下、「識別子送信要求」という。)を送信する(
図4AにおけるステップS3)。
【0062】
調理器通信部17において識別子送信要求が受信されると、調理器制御部18は、記憶部16に記憶されている第1変更情報の第1識別子を取得する(
図4AにおけるステップS4)。実施の形態1では、記憶部16に変更情報が記憶されていないとき、例えば、加熱調理器1の使用開始後に1回も変更情報が提供されていないときには、記憶部16に、予め決められた初期識別子が記憶されている。この場合、調理器制御部18は、初期識別子を第1識別子として取得する。初期識別子は、当該記憶部16に変更情報が記憶されていないことを示す、予め決められた識別子であって、変更情報が有する識別子とは異なる。例えば、初期識別子は、8つの0で構成された8ビットの値である。
【0063】
続いて、調理器制御部18は、調理器通信部17及びネットワーク6を介して、取得した第1識別子を提供装置通信部21に送信する(
図4AにおけるステップS5)。
【0064】
提供装置通信部21において第1識別子が受信されると、提供装置制御部22は、変更情報DB3から、当該変更情報DB3に記憶された第2変更情報の第2識別子を取得する(
図4AにおけるステップS6)。なお、第2識別子の取得は、前記した識別子送信要求よりも前に行われてもよい。
【0065】
次に、提供装置制御部22は、第1識別子と第2識別子とを比較し、第1識別子と第2識別子とが異なるか否かを判断する。
図4Aに示すように、提供装置制御部22は、まず、第1識別子と第2識別子との間で第1の値同士を比較し、第2識別子の第1の値が第1識別子の第1の値よりも大きいか否かを判定する(ステップS7)。すなわち、提供装置制御部22は、第2変更情報の作成年が第1変更情報の作成年よりも後か否かを判定する。第2識別子の第1の値が第1識別子の第1の値よりも大きい場合、後述するステップS9に進む。第1の値同士が同じである場合、次のステップS8に進む。第2識別子の第1の値が第1識別子の第1の値よりも小さい場合、後述のステップが行われずに処理が終了する(
図4A及び
図4B参照)。すなわち、変更情報提供装置2は、変更情報を加熱調理器1に提供しない。
【0066】
図4AにおけるステップS8において、提供装置制御部22は、第1識別子と第2識別子との間で第2の値同士を比較し、第2識別子の第2の値が第1識別子の第2の値よりも大きいか否かを判断する。すなわち、第2変更情報のバージョンが第1変更情報のバージョンよりも新しいか否かを判定する。第2識別子の第2の値が第1識別子の第2の値よりも大きい場合、後述するステップS9(
図4A参照)に進む。一方、第2識別子の第2の値が第1識別子の第2の値よりも小さい場合、又は、第2の値同士が同じである場合、後述のステップが行われずに処理が終了する(
図4A及び
図4B参照)。すなわち、変更情報提供装置2は、変更情報を加熱調理器1に提供しない。
【0067】
図3には、ステップS9に進む場合の提供処理が示されている。
図4Aに示すステップS9,S10において、提供装置制御部22は、情報端末5のタッチスクリーン52に、変更情報の提供を承認するか否かを情報端末のユーザに選択させる画面(以下、「承認選択画面」という。)を表示させる。具体的には、提供装置制御部22は、提供装置通信部21及びネットワーク6を介して、タッチスクリーン52に承認選択画面を表示させるための画面表示要求を送信する(ステップS9)。
【0068】
端末通信部51において画面表示要求が受信されると、端末制御部53は、承認選択画面をタッチスクリーン52に表示させる(ステップS10)。例えば、承認選択画面では、「新しい変更情報の提供を承認しますか?」という記載と、「承認する」及び「承認しない」の2つの仮想ボタンとが表示される。
【0069】
次に、端末制御部53は、タッチスクリーン52において前記した2つの仮想ボタンのいずれが選択されたかを判断する(
図4AにおけるステップS11)。「承認する」の仮想ボタンが選択された場合、
図4Bに示すステップS12に進む。「承認しない」の仮想ボタンが選択された場合、後述のステップが行われずに処理が終了する(
図4A及び
図4B参照)。すなわち、変更情報提供装置2は、変更情報を加熱調理器1に提供しない。
【0070】
図3には、「承認する」の仮想ボタンが選択された場合の提供処理が示されている。
図4Bに示すステップS12において、端末制御部53は、端末通信部51及びネットワーク6を介して、変更情報の提供が承認されたことを示す承認情報を提供装置通信部21に送信する。
【0071】
承認情報が提供装置通信部21において受信されると、提供装置制御部22は、変更情報DB3から第2変更情報を取得する(
図4BにおけるステップS13)。続いて、提供装置制御部22は、提供装置通信部21及びネットワーク6を介して、第2変更情報を調理器通信部17に送信する(
図4BにおけるステップS14)。このことにより、第1変更情報よりも新しい第2変更情報が、変更情報提供装置2から加熱調理器1に提供される。
【0072】
第2変更情報が調理器通信部17において受信されると、調理器制御部18は、記憶部16に変更情報が記憶されているか否かを判断する(
図4BにおけるステップS15)。記憶部16に変更情報が記憶されている場合、
図4Bに示すステップS16に進む。記憶部16に変更情報が記憶されていない場合、後述するステップS17(
図4B参照)に進む。
【0073】
図3には、ステップS16に進む場合の提供処理が示されている。
図4Bに示すステップS16において、調理器制御部18は、記憶部16に記憶された第1変更情報を削除する。第1変更情報の削除が完了したら、次のステップS17に進む。
【0074】
図4Bに示すステップS17において、調理器制御部18は、第2変更情報を記憶部16に記憶させる。このことにより、変更情報の提供処理が完了する。
【0075】
なお、前記した変更情報の提供処理において、提供装置通信部21から第2変更情報が送信されない場合(すなわち、
図4BにおけるステップS14が行われない場合)には、変更情報が提供されなかったことを示すメッセージがタッチスクリーン52に表示されてもよい。具体的には、提供装置制御部22は、提供装置通信部21及びネットワーク6を介して、情報端末5のタッチスクリーン52に当該メッセージを表示するための要求を送信してもよい。
【0076】
[2-3.基本パラメータの変更処理]
図5及び
図6を参照しながら、実施の形態1における基本パラメータの変更処理について説明する。
図5は、実施の形態1における基本パラメータの変更処理を示すフローチャートである。
図6は、実施の形態1における基本パラメータの変更処理を示す概略図である。
【0077】
図5に示すように、まず、ユーザによって調理開始操作が行われる(ステップS21)。調理開始操作が行われると、調理器制御部18は、ユーザによって選択された炊飯コースに対応する調理シーケンス情報を記憶部16から取得する(ステップS22)。
【0078】
図5に示すステップS23において、調理器制御部18は、ステップS22で取得した調理シーケンス情報に対応する変更情報が記憶部16に記憶されているか否かを判断する。当該変更情報が記憶部16に記憶されていない場合、ステップS24(
図5参照)に進む。
【0079】
図5に示すステップS24において、調理器制御部18は、基本パラメータを有する調理シーケンス情報に基づいて加熱部12及び圧力弁13を制御する。このことにより、加熱調理器1において調理が実行される。
【0080】
一方、ステップS23において変更情報が記憶部16に記憶されている場合、調理器制御部18は、当該変更情報と組合せ情報とを記憶部16から取得する(
図5におけるステップS25)。続いて、調理器制御部18は、調理シーケンス情報が有する基本パラメータを、変更情報に基づいて変更する(
図5におけるステップS26)。
【0081】
ここで、調理シーケンス情報が有する基本パラメータの変更処理について、
図6を参照しながら説明する。調理シーケンス情報が有するパラメータは、例えば、4ビットの値が2つ組み合わされた8ビットの値である。
図6に示す例では、調理シーケンス情報は、200個の基本パラメータを有する。
図6には、基本パラメータのうち4個を示す。
【0082】
例えば、パラメータNo.1として示す基本パラメータ「1111 1010」のうち下位4ビットの値「1010」は、前炊き工程の時間(すなわち、前記した時間t1)を示す。当該下位4ビットの値「1010」は、実数変換値として160秒を示す。
【0083】
パラメータNo.4として示す基本パラメータ「0001 0011」は、前炊き工程の温度(すなわち、前記した温度θ1)を50.0℃に対する加算値として示す。温度θ1を示すパラメータ「0001 0011」は、実数変換値として9.5℃を示す。この場合、前炊き工程の温度は、59.5℃に指定される。
【0084】
パラメータNo.110として示す基本パラメータ「0101 0110」は、沸騰維持工程における加熱部12の加熱力を示す。加熱部12の加熱力は、前記したように、単位時間(例えば、16秒)における加熱部12の駆動時間(すなわち、前記した時間t2)を変更することにより制御される。時間t2を示すパラメータ「0101 0110」は、実数変換値として11.2秒を示す。
【0085】
パラメータNo.180として示す基本パラメータ「0001 1001」のうち上位4ビットの値「0001」は、蒸らし工程における追い炊き中の圧力(すなわち、前記した圧力P1)を大気圧(1.0気圧)に対する加算値で示す。上位4ビットの値「0001」は、実数変換値として0.05気圧を示す。この場合、追い炊き中の圧力は、1.05気圧に指定される。また、当該基本パラメータのうち下位4ビットの値「1001」は、蒸らし工程における追い炊きの時間(すなわち、時間t3)を示す。下位4ビットの値「1001」は、実数変換値として144秒を示す。
【0086】
調理器制御部18は、記憶部16に記憶された変更情報と組合せ情報とに基づいて、予め決められた基本パラメータを変更する。変更情報は、予め決められた順序に並べられた変更パラメータを有する。実施の形態1では、変更パラメータは、基本パラメータに対する加算値である。
【0087】
一方で、変更情報は、各変更パラメータと各変更パラメータに基づいて変更される基本パラメータとの組合せ情報を有していない。また、変更情報は、前記した工程情報を有していない。
【0088】
組合せ情報は、変更情報における変更パラメータの順序と、変更パラメータに基づいて変更される基本パラメータとの予め決められた組合せを有している。
図6に示す例では、変更情報において1~4番目に並べられた変更パラメータと、パラメータNo.1,4,110,180の4つの基本パラメータとが、それぞれ組み合わされている。つまり、当該4つの基本パラメータは、変更パラメータに基づいて変更されるパラメータとして予め決められている。
【0089】
調理器制御部18は、組合せ情報に基づいて、各変更パラメータを各基本パラメータに適用する。
図6に示す例では、組合せ情報において、1番目に並べられた変更パラメータとパラメータNo.1とが組み合わされている。調理器制御部18は、当該組合せに基づいて、パラメータNo.1の基本パラメータ「1111 1010」に、1番目に並べられた変更パラメータ「0000 0010」を加算する。このことにより、パラメータNo.1の基本パラメータは、変更後のパラメータ「1111 1100」に変更される。変更後のパラメータにおいて前炊き工程の時間を示す下位4ビット「1100」は、実数変換値として192秒を示す。
【0090】
次に、調理器制御部18は、組合せ情報に基づいて、パラメータNo.4の基本パラメータ「0001 0011」に、2番目に並べられた変更パラメータ「0000 0000」を加算する。この場合、変更パラメータが「0000 0000」であるので、パラメータNo.4のパラメータは変更されない。
【0091】
次に、調理器制御部18は、組合せ情報に基づいて、パラメータNo.110の基本パラメータ「0101 0110」に、3番目に並べられた変更パラメータ「0000 0000」を加算する。この場合も、変更パラメータが「0000 0000」であるので、パラメータNo.110のパラメータは変更されない。
【0092】
次に、調理器制御部18は、組合せ情報に基づいて、パラメータNo.180の基本パラメータ「0001 1001」に、4番目に並べられた変更パラメータ「0001 0001」を加算する。このことにより、パラメータNo.180の基本パラメータは、変更後のパラメータ「0010 1010」に変更される。当該パラメータのうち、蒸らし工程における追い炊きの圧力を示す上位4ビット「0010」は、実数変換値として0.10気圧を示す。つまり、追い炊き中の圧力は、1.10気圧に変更される。当該パラメータのうち、蒸らし工程における追い炊きの時間を示す下位4ビット「1010」は、実数変換値として160秒を示す。
【0093】
図5に示すように、調理器制御部18は、基本パラメータを変更した後、変更されたパラメータを有する調理シーケンス情報に基づいて、加熱部12及び圧力弁13を制御する。このことにより、加熱調理器1において調理が実行される(ステップS27)。
【0094】
調理器制御部18が工程情報によって定義されたすべての調理工程を完了すると、調理が完了する(
図5におけるステップS28)。
【0095】
なお、基本パラメータの変更後にも、記憶部16には、基本パラメータを有する調理シーケンス情報が記憶されている。そのため、変更情報が記憶部16から削除された場合であっても、調理器制御部18は、基本パラメータを有する調理シーケンス情報に基づいて調理を制御すること(
図5におけるステップS24)ができる。変更情報の削除は、調理器制御部18によって行われる。例えば、変更情報の削除は、加熱調理器1の操作部又は情報端末5におけるユーザの操作に起因して行われてもよい。
【0096】
実施の形態1の変更情報提供システムによれば、以下の効果を奏することができる。
【0097】
実施の形態1において、変更情報提供システムは、加熱調理器1と、変更情報が記憶される変更情報DB3と、変更情報提供装置2と、を備えている。加熱調理器1は、被調理物を加熱する加熱部12と、調理シーケンス情報が記憶され、かつ、調理シーケンス情報を変更するための変更情報を記憶可能な記憶部16と、調理シーケンス情報と変更情報とに基づいて加熱部12を制御する調理器制御部18と、変更情報を受信する調理器通信部17とを有する。変更情報提供装置2は、変更情報を送信する提供装置通信部21と、変更情報を変更情報DB3から読み出し、提供装置通信部21に出力する提供装置制御部22とを有し、変更情報を加熱調理器1に提供する。調理シーケンス情報は、予め決められた調理の手順を示す情報であって、加熱時間又は加熱力を示す複数の基本パラメータを有する。変更情報は、予め決められた順序に並べられた少なくとも1つの変更パラメータを有する。調理器制御部18は、変更情報提供装置2から提供された変更パラメータ及びその順序に基づいて、複数の基本パラメータのうち予め決められた一部の基本パラメータを変更する。
【0098】
この構成によれば、調理器制御部18は、変更パラメータ及び当該変更パラメータの変更情報における順序に基づいて、予め決められた一部の基本パラメータを変更する。すなわち、調理器制御部18は、各変更パラメータをその順序と予め組み合わされた各基本パラメータに適用することにより、基本パラメータを変更する。そのため、変更情報は、変更パラメータと当該変更パラメータに基づいて変更される基本パラメータとの組合せの情報を有する必要がない。したがって、変更情報が当該組合せの情報を有する構成と比較して、変更情報のデータ量を小さくすることができる。
【0099】
例えば、
図6に示す変更情報が4つの変更パラメータ(各8ビット)と各変更パラメータに基づいて変更される基本パラメータのパラメータNo.(各8ビットとする)とによって構成される場合、変更情報のデータ量は、64ビットになる。一方、前記の構成によれば、調理器制御部18は、予め決められた組合せ情報に基づいて、各変更パラメータを当該変更パラメータに対応する基本パラメータの変更に使用する。例えば、調理器制御部18は、4番目の変更パラメータ(すなわち、変更パラメータ「0001 0001」)をパラメータNo.180(すなわち、基本パラメータ「0001 1001」)の変更に使用する。このことにより、変更情報は、4つの変更パラメータのみで構成されることができる。この場合、変更情報のデータ量は、32ビットになる。したがって、前記の構成によれば、変更情報のデータ量を小さくすることができる。
【0100】
また、実施の形態1において、記憶部16は、変更パラメータの順序と変更パラメータに基づいて変更される基本パラメータとの予め決められた組合せを示す組合せ情報を有する。調理器制御部18は、変更情報提供装置2から提供された変更パラメータ及び組合せ情報に基づいて、複数の基本パラメータのうち予め決められた一部の基本パラメータを変更する。
【0101】
この構成によれば、調理器制御部18は、変更パラメータ及び組合せ情報に基づいて、複数の基本パラメータのうち予め決められた一部の基本パラメータを変更する。当該組合せ情報が記憶部に記憶されているので、変更情報は、組合せ情報を有する必要がない。したがって、変更情報が当該組合せ情報を有する構成と比較して、変更情報のデータ量を小さくすることができる。
【0102】
また、実施の形態1において、変更情報提供システムは、情報端末5を更に備えている。提供装置制御部22は、提供装置通信部21が変更情報を送信するよりも前に、情報端末5に変更情報の提供を承認するか否かを確認する通知を送信するように提供装置通信部21を制御する。提供装置制御部22は、変更情報の提供の承認を示す承認情報が提供装置通信部21によって受信された後に、変更情報を送信するように提供装置通信部21を制御する。
【0103】
この構成によれば、提供装置制御部22は、変更情報の提供の承認を示す承認情報が提供装置通信部21によって受信された後に、変更情報を送信するように提供装置通信部21を制御する。そのため、変更情報の提供が希望されないときに変更情報が提供されることを防止することができる。
【0104】
含水量等の米の性質は、生産時期ごと(例えば、年ごと)の作柄によって変化する。そのため、最新の米の性質に応じた炊飯を実現するための変更情報を提供することが考えられる。このとき、ユーザがまだ前年の米を使用している間に変更情報が提供されると、変更情報の使用が想定されている米(当年の米)と実際に使用される米(前年の米)との不適合が起こる。当該不適合が起こると、炊飯されたご飯の食味が悪化するおそれがある。一方、前記の構成によれば、ユーザは、前年の米を使用している間、変更情報の提供を承認せずに拒否できる。このことにより、前記の不適合によってご飯の食味が悪化してしまう可能性を低減することができる。
【0105】
また、実施の形態1において、記憶部16には、第1変更情報が記憶されている。調理器制御部18は、調理器通信部17によって受信された第2変更情報を、記憶部16に記憶されている第1変更情報に代えて記憶部16に記憶させる。
【0106】
例えば、前記のように、最新の米の性質に応じた炊飯を実現するための変更情報が提供される場合、変更情報は、1つの調理シーケンス情報に対して生産時期ごとに繰り返し提供される。この場合、記憶部16に変更情報が蓄積され、記憶部16が容量不足に陥るおそれがある。一方、前記の構成によれば、記憶部16には、1つの調理シーケンス情報に対応する変更情報が1つだけ記憶される。そのため、記憶部16に1つの調理シーケンス情報に対応する変更情報が2つ以上記憶される構成と比較して、記憶部16に記憶される変更情報の数及びデータ量を削減することができる。したがって、記憶部16が容量不足に陥る可能性を低減することができる。
【0107】
また、実施の形態1において、変更情報は、記憶部16に記憶された第1変更情報と、変更情報DB3に記憶された第2変更情報とを有する。第1変更情報と第2変更情報とは、互いに異なる変更パラメータを有する。変更情報は、変更情報同士を識別するための識別子をそれぞれ有する。識別子は、第1変更情報が有する第1識別子と、第2変更情報が有する第2識別子とを有する。提供装置制御部22は、記憶部16に変更情報が記憶されていないとき、又は、提供装置制御部22が第1識別子と第2識別子との比較を行い、第1識別子と第2識別子とが異なるときに、第2変更情報を送信するように提供装置通信部21を制御する。
【0108】
この構成によれば、記憶部16に変更情報が記憶されていないとき、又は、第1識別子と第2識別子とが異なるときに、変更情報が提供される。このことにより、同じ変更パラメータを有する変更情報が複数回に亘って提供されること、及び、同じ変更パラメータを有する複数の変更情報が記憶部16に記憶されることを防止することができる。したがって、記憶部16が容量不足に陥る可能性を低減することができる。
【0109】
また、実施の形態1において、加熱調理器1は、被調理物を収容する鍋11と、鍋11内と外部空間とを連通する穴を開閉可能に動作する圧力弁13とを更に有する。調理器制御部18は、調理シーケンス情報と変更情報とに基づいて圧力弁13を制御する。複数の基本パラメータは、加熱時間、加熱力、鍋11内の圧力、及び当該圧力の維持時間のうち少なくとも1つを示す。
【0110】
この構成によれば、鍋11内の圧力及び当該圧力の維持時間を示す基本パラメータを、変更パラメータに基づいて変更することができる。このことにより、変更情報によって変更可能な基本パラメータの種類が増加するので、変更情報によって調理シーケンス情報を変更することによる食味向上をより容易に実現することができる。
【0111】
また、実施の形態1において、調理シーケンス情報は、予め決められた炊飯の手順を示す炊飯シーケンス情報である。
【0112】
含水量等の米の性質は、産地、品種等のほか、生産時期ごとの作柄によっても異なる。そのため、予め記憶部16に記憶された調理シーケンス情報のみに基づく炊飯では、ユーザが使用する米の作柄に応じた最適な炊飯を行うことができない。一方、前記の構成によれば、米の作柄に応じた変更パラメータを有する変更情報を提供することにより、ユーザが使用する米の作柄に応じた最適な炊飯を行うことができる。
【0113】
(実施の形態2)
図7~
図8Bを参照しながら、実施の形態2における変更情報提供システムについて説明する。
図7は、実施の形態2における変更情報の提供処理を示す概略図である。
図8A及び
図8Bは、実施の形態2における変更情報の提供処理を示すフローチャートである。なお、以下の説明では、実施の形態1と同一又は同等の構成については同じ符号を付して説明する。また、実施の形態2では、実施の形態1と重複する記載を省略する。
【0114】
実施の形態2における変更情報提供システムが実施の形態1における変更情報提供システムと異なる点は、ユーザ情報DB4に、記憶部16に記憶されている第1変更情報の第1識別子が記憶される点である。
【0115】
実施の形態2における変更情報提供システムの構成は、実施の形態1における変更情報提供システムの構成と同一である。すなわち、実施の形態1における変更情報提供システムは、加熱調理器1と、変更情報提供装置2と、情報端末5とを備えている。加熱調理器1は、加熱部12と、圧力弁13と、温度検出部14と、圧力検出部15と、記憶部16と、調理器通信部17と、調理器制御部18とを有する。変更情報提供装置2は、提供装置通信部21と、提供装置制御部22と、変更情報DB3と、ユーザ情報DB4とを有する。ユーザ情報DB4は、本開示における「識別子データベース」の一例である。情報端末5は、端末通信部51と、タッチスクリーン52と、端末制御部53とを有する。
【0116】
ユーザ情報DB4には、ユーザ情報と、加熱調理器1の個体識別情報と、記憶部16に記憶されている変更情報の識別子とが関連付けられて記憶されている。なお、加熱調理器1の個体識別情報及びユーザ情報がユーザ情報DB4に記憶されるときに、前記した初期識別子が加熱調理器1の個体識別情報及びユーザ情報と関連付けて記憶されてもよい。
【0117】
提供装置制御部22は、任意のタイミングで、ユーザ情報DB4に既に記憶されている識別子に代えて、新たな識別子を記憶させる。新たな識別子を記憶部16に記憶させる処理は、例えば、変更情報提供装置2が変更情報を加熱調理器1に提供するときに行われる。具体的には、提供装置制御部22は、提供装置通信部を介して変更情報を送信(
図4BにおけるステップS14)した後に、送信した変更情報の識別子をユーザ情報DB4に記憶させる。
【0118】
あるいは、調理器制御部18は、記憶部16に記憶されている変更情報の識別子と加熱調理器1の個体識別情報を、調理器通信部17を介して予め決められたタイミングで送信する。例えば、調理器制御部18は、調理が完了するごとに当該識別子を送信する。当該識別子が提供装置通信部21で受信されると、提供装置制御部22は、当該識別子をユーザ情報DB4に記憶させる。
【0119】
次に、実施の形態2における変更情報の提供処理について説明する。実施の形態1で説明したように、提供装置制御部22は、端末通信部51から送信された提供要求が提供装置通信部21において受信されると、当該提供要求が有するユーザ情報を取得する(
図7及び
図8AにおけるステップS1)。
【0120】
次に、
図7に示すように、提供装置制御部22は、当該ユーザ情報と関連付けられた、加熱調理器1の個体識別情報をユーザ情報DB4から取得する(
図8AにおけるステップS2)。
【0121】
次に、提供装置制御部22は、当該ユーザ情報と関連付けられた第1識別子をユーザ情報DB4から取得する(
図8AにおけるステップS101)。
【0122】
次に、提供装置制御部22は、変更情報DB3に記憶された第2識別子を取得する(
図8AにおけるステップS6)。なお、第2識別子の取得は、前記した第1識別子の取得よりも前に行われてもよい。以降の処理(
図8A及び
図8BにおけるステップS7~S17)は、実施の形態1において説明した処理と同様である。
【0123】
実施の形態2の変更情報提供システムによれば、以下の効果を奏することができる。
【0124】
実施の形態2における変更情報提供システムは、加熱調理器1の個体識別情報と第1識別子とが互いに関連付けられて記憶されるユーザ情報DB4を備えている。変更情報提供装置2は、加熱調理器1から第1識別子を受信する提供装置通信部21を有する。提供装置制御部22は、提供装置通信部21によって受信された第1識別子をユーザ情報DB4に記憶させる。提供装置制御部22は、ユーザ情報DB4に記憶された第1識別子と第2識別子とを比較する。
【0125】
この構成によれば、ユーザ情報DB4に記憶された第1識別子を当該比較に使用するので、当該比較時に第1識別子を加熱調理器1から変更情報提供装置2に送信する必要がない。このことにより、加熱調理器1と変更情報提供装置2との間で通信ができない場合にも、当該比較を行うことができる。また、当該比較時に、加熱調理器1と変更情報提供装置2との間で前記した識別子送信要求及び第1識別子を送受信する工程(
図4AにおけるステップS3~S5)が必要とされないため、当該比較における工程数及び当該比較にかかる時間を削減することができる。
【0126】
なお、前記した実施の形態では、加熱調理器1が圧力式炊飯器であり、炊飯調理が行われるものとして説明したが、これに限定されない。加熱調理器1は、調理シーケンス情報に基づいて加熱調理を行うものであればよく、例えば、電子レンジ、オーブン、圧力鍋、フライヤ、ノンフライヤ、パン焼き機等であってもよい。また、加熱調理器1において行われる調理は、炊飯に限定されず、加熱調理器1に応じた調理であってもよい。また、変更後のパラメータを有する調理シーケンス情報に基づいて調理される料理は、基本パラメータを有する調理シーケンス情報に基づいて調理される料理と異なってもよい。
【0127】
また、識別子は、そのデータ量が変更パラメータの総データ量よりも小さいものであればよく、前記した8ビットの値には限定されない。
【0128】
また、前記した実施の形態では、記憶部16に調理シーケンス情報と変更情報との両方が記憶されるものとしたが、これに限定されない。例えば、記憶部16は、調理シーケンス情報が記憶された読み出し専用の第1記憶部と、変更情報が記憶される書き込み可能な第2記憶部とを有していてもよい。
【0129】
また、前記した実施の形態において、ユーザ情報は、加熱調理器1の個体識別情報(例えば、加熱調理器1の製造シリアル番号)であってもよい。この場合、実施の形態1では、提供装置制御部22が調理器個体識別情報をユーザ情報DB4から取得する処理(
図4AにおけるステップS2)は必要とされない。また、前記の場合、実施の形態1では、ユーザ情報DB4は、必要とされない。
【0130】
また、前記した実施の形態において、変更情報が4つの変更パラメータを有するものとしたが、これに限定されない。変更パラメータの数は、基本パラメータの総数よりも少ない限り、4つ以外であってもよい。また、組合せ情報における、変更パラメータの順序と変更される基本パラメータとの組合せの数は、変更パラメータの数に対応した数であってよい。
【0131】
また、前記した実施の形態において、識別子が変更情報の作成年を示す第1の値と変更情報のバージョンを示す第2の値とを有するものとしたが、これに限定されない。識別子は、名称、符号、値、文字列等であってもよい。識別子は、当該識別子が付与される変更情報の新旧に関する情報を有していなくてもよい。
【0132】
また、前記した実施の形態において、情報端末5がタッチスクリーン52を有するものとしたが、これに限定されない。例えば、情報端末5は、ユーザによって変更情報の提供の承認又は不承認が選択できるように構成されていれば、タッチスクリーン52を有していなくてもよい。
【0133】
また、前記した実施の形態において、提供装置制御部22は、第1識別子と第2識別子との間で第1の値及び第2の値の各々の大小を判断するものとしたが、これに限定されない。例えば、提供装置制御部22は、第1識別子と第2識別子とが異なるか否かのみを判断し、識別子の大小を判断しなくてもよい。
【0134】
なお、前述の様々な実施の形態から任意の実施の形態を適宜組み合わせることにより、それぞれの有する効果を奏するようにすることができる。
【0135】
本開示は、添付図面を参照しながら好ましい実施の形態に関連して充分に記載されているが、この技術に熟練した人々にとっては種々の変形や修正は明白である。そのような変形や修正は、添付した請求の範囲による本開示の範囲から外れない限りにおいて、その中に含まれると理解されるべきである。
【産業上の利用可能性】
【0136】
本開示は、調理シーケンス情報を変更するための変更情報を加熱調理器に提供する変更情報提供システムに有用である。
【符号の説明】
【0137】
1 加熱調理器
11 鍋
12 加熱部
13 圧力弁
16 記憶部
17 調理器通信部
18 調理器制御部
2 変更情報提供装置
21 提供装置通信部
22 提供装置制御部
3 変更情報データベース
4 ユーザ情報データベース
5 情報端末