(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-14
(45)【発行日】2024-11-22
(54)【発明の名称】電力変換システム、ケーブル支持器、及び電力変換器
(51)【国際特許分類】
H02J 9/04 20060101AFI20241115BHJP
B60L 50/60 20190101ALI20241115BHJP
B60L 53/14 20190101ALI20241115BHJP
B60L 53/66 20190101ALI20241115BHJP
B60L 55/00 20190101ALI20241115BHJP
B60L 58/10 20190101ALI20241115BHJP
H02J 7/00 20060101ALI20241115BHJP
H02J 7/34 20060101ALI20241115BHJP
H02M 3/00 20060101ALI20241115BHJP
【FI】
H02J9/04
B60L50/60
B60L53/14
B60L53/66
B60L55/00
B60L58/10
H02J7/00 P
H02J7/34 G
H02M3/00 B
(21)【出願番号】P 2023183163
(22)【出願日】2023-10-25
(62)【分割の表示】P 2019159823の分割
【原出願日】2019-09-02
【審査請求日】2023-11-20
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002527
【氏名又は名称】弁理士法人北斗特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】藤井 裕之
(72)【発明者】
【氏名】花村 賢治
【審査官】宮本 秀一
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-004579(JP,A)
【文献】特開2015-061439(JP,A)
【文献】特開2012-023948(JP,A)
【文献】特開2014-124034(JP,A)
【文献】特開2012-005313(JP,A)
【文献】特開2017-017929(JP,A)
【文献】特開2017-118709(JP,A)
【文献】国際公開第2014/174842(WO,A1)
【文献】特開2013-046474(JP,A)
【文献】特許第6559391(JP,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60L1/00-3/12
B60L7/00-13/00
B60L15/00-58/40
H01M10/42-10/48
H02J7/00-7/12
H02J7/34-11/00
H02M3/00-3/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動体の有する蓄電池と電力系統との間に設けられて、前記蓄電池から放電される直流電力を調整可能な電力変換器と、
前記移動体と前記電力変換器との間に接続されて前記蓄電池と前記電力変換器との間の電力供給路を形成するケーブルを支持するケーブル支持器と、
補助電源部と、
を備え、
前記電力変換器は、
前記直流電力を調整する主回路と、
前記主回路の動作を制御する制御回路と、を有し、
前記補助電源部は、前記電力系統が停電した際に、前記制御回路を起動させるための制御電力を、前記ケーブル支持器から前記電力変換器へ供給
し、
前記ケーブル支持器は、前記移動体との通信を処理することにより前記主回路の制御パラメータを得る処理部を有し、
前記制御回路は、前記処理部と通信することにより前記処理部から取得する前記制御パラメータに基づいて、前記主回路を制御する、
電力変換システム。
【請求項2】
前記補助電源部は、前記制御回路を起動させた後に、前記制御電力の供給を停止する、
請求項1記載の電力変換システム。
【請求項3】
前記補助電源部は、前記制御電力を出力する外部電源が接続される電源接続部を有している、
請求項1又は2に記載の電力変換システム。
【請求項4】
前記蓄電池と前記ケーブル支持器との間に接続されて直流電力が供給される第1ケーブルを更に備え、
前記補助電源部は、前記第1ケーブルのうち前記蓄電池とは異なる経路から供給される直流電力を受けて前記制御電力を生成する補助電源回路を有する、
請求項1~3のいずれか1項に記載の電力変換システム。
【請求項5】
前記補助電源部は、前記処理部に動作電力を供給する、
請求項1~4のいずれか1項に記載の電力変換システム。
【請求項6】
前記電力変換器は、前記補助電源部から印加される電圧を受けて、前記制御回路に印加する電圧を生成する電源回路を有し、
前記補助電源部から前記電源回路に印加される電圧は、前記電源回路の生成する電圧よりも高い、
請求項1~5のいずれか1項に記載の電力変換システム。
【請求項7】
前記ケーブル支持器と前記電力変換器との間に接続されて直流電力が供給される第2ケーブルと、
前記ケーブル支持器と前記電力変換器との間に接続されて前記制御電力が供給される電源線と、更に備え、
前記電源線は、前記第2ケーブルに内包されている、
請求項1~6のいずれか1項に記載の電力変換システム。
【請求項8】
前記ケーブル支持器は、前記制御回路の起動の完了を提示する提示部を更に備える、
請求項1~7のいずれか1項に記載の電力変換システム。
【請求項9】
請求項1~8のいずれか1項に記載の電力変換システムに用いられる、
ケーブル支持器。
【請求項10】
請求項1~8のいずれか1項に記載の電力変換システムに用いられる、
電力変換器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般に電力変換システム、ケーブル支持器、及び電力変換器に関する。より詳細には、本開示は、移動体の有する蓄電池から負荷へ電力供給するための電力変換システム、電力変換システムに用いられるケーブル支持器及び電力変換器に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、蓄電池を搭載した電動車両が接続される電力変換システムが開示されている。この電力変換システムは、電力変換装置(電力変換器)と、電力変換装置にケーブルを介して接続されているコネクタと、を備えている。電力変換装置は、蓄電池の充電時及び放電時に電力変換を行う主回路を有している。コネクタは、電動車両のインレットに装着されることによって電力変換装置と蓄電池との間に給電路を形成する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示は、電力系統の停電時において、電力変換器を起動可能な電力変換システム、ケーブル支持器、及び電力変換器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一態様に係る電力変換システムは、電力変換器と、ケーブル支持器と、を備える。前記電力変換器は、移動体の有する蓄電池と電力系統との間に設けられて、前記蓄電池から放電される直流電力を調整可能である。前記ケーブル支持器は、ケーブルを支持する。前記ケーブルは、前記移動体と前記電力変換器との間に接続されて前記蓄電池と前記電力変換器との間の電力供給路を形成する。前記電力変換器は、前記直流電力を調整する主回路と、前記主回路の動作を制御する制御回路と、を有する。前記電力変換システムは、補助電源部を更に備える。前記補助電源部は、前記電力系統が停電した際に、前記制御回路を起動させるための制御電力を、前記ケーブル支持器から前記電力変換器へ供給する。前記ケーブル支持器は、前記移動体との通信を処理することにより前記主回路の制御パラメータを得る処理部を有する。前記制御回路は、前記処理部と通信することにより前記処理部から取得する前記制御パラメータに基づいて、前記主回路を制御する。
【0006】
本開示の一態様に係るケーブル支持器は、上記の電力変換システムに用いられる。
【0007】
本開示の一態様に係る電力変換器は、上記の電力変換システムに用いられる。
【発明の効果】
【0008】
本開示は、電力系統の停電時において、電力変換器を起動可能である、という利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、本開示の一実施形態に係る電力変換システムを含む全体構成を示す概略図である。
【
図2】
図2は、同上の電力変換システムの構成を示す概略図である。
【
図3】
図3は、同上の電力変換システムの設置例を示す概略図である。
【
図4】
図4は、変形例1の電力変換システムにおけるケーブル支持器の構成を示す概略図である。
【
図5】
図5は、変形例2の電力変換システムにおける第2電力変換装置の構成を示す概略図である。
【
図6】
図6は、変形例3の電力変換システムにおけるケーブル支持器の構成を示す概略図である。
【
図7】
図7は、変形例4の電力変換システムにおけるケーブル支持器の構成を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(1)概要
本実施形態の電力変換システム100は、例えば、戸建住宅若しくは集合住宅等の住宅の施設、又は事務所、店舗若しくは介護施設等の非住宅の施設に導入される。そして、電力変換システム100は、これらの施設にて移動体3の有する蓄電池31から電力供給(放電)するためのシステムである(
図1参照)。本実施形態では、一例として、戸建住宅である住宅H1に電力変換システム100が導入される場合について説明する。
【0011】
移動体3は、電動機(モータ)等の動力部と、動力部に電力を供給する動力源としての蓄電池31と、を備えている。移動体3は、蓄電池31から入力される電気エネルギ(電力)を、動力部で機械エネルギ(駆動力)に変換し、この機械エネルギを利用して移動する。移動体3は、電力制御回路32を備えている。電力制御回路32は、蓄電池31を、所定の最大値を超えない充電電力で充電する。
【0012】
移動体3は、ここでは車両30である。車両30は、例えば、蓄電池31に蓄積された電気エネルギを用いて走行する電動車両である。本開示でいう「電動車両」は、例えば、電動機の出力によって走行する電気自動車、又はエンジンの出力と電動機の出力とを組み合わせて走行するプラグインハイブリッド車等である。電動車両は、シニアカー、二輪車(電動バイク)、三輪車又は電動自転車等であってもよい。
【0013】
電力変換システム100は、
図1に示すように、第1電力変換装置11と、第2電力変換装置12と、ケーブル支持器2と、を備えている。以下の説明では、第1電力変換装置11及び第2電力変換装置12を一括して「電力変換器1」と称することもある。また、以下の説明では、第2電力変換装置12を「電力変換器1」と称することもある。
【0014】
第1電力変換装置11は、電力系統4から入力される交流電力を直流電力に変換して直流バスDB1に出力する。つまり、第1電力変換装置11は、入力される交流電力を所定の大きさの直流電力に変換して出力するAC/DCコンバータの機能を有している。
【0015】
第2電力変換装置12は、直流バスDB1から入力される直流電力を、移動体3の有する蓄電池31の充電電力に変換して出力する。つまり、第2電力変換装置12は、入力される直流電力を所定の大きさの直流電力に変換して出力するDC/DCコンバータの機能を有している。
【0016】
本実施形態では、第1電力変換装置11は、第2電力変換装置12の出力する直流電力を所定の大きさの交流電力に変換して電力系統4に出力する機能を有している。また、本実施形態では、第2電力変換装置12は、蓄電池31から放電される直流電力を所定の大きさの直流電力に変換して第1電力変換装置11に出力する機能を有している。つまり、電力変換器1は、移動体3の有する蓄電池31と電力系統4との間に設けられて、蓄電池31から放電される直流電力を調整可能である。
【0017】
ケーブル支持器2は、ケーブルC1を支持する。ケーブルC1は、移動体3と第2電力変換装置12との間に接続されて、蓄電池31と第2電力変換装置12との間の電力供給路を形成する。ケーブルC1の先端部には、コネクタCN1が取り付けられている。コネクタCN1は、移動体3のインレット34に接続可能に構成されている。つまり、第2電力変換装置12から出力される直流電力(充電電力)は、コネクタCN1がインレット34に接続された状態において、ケーブル支持器2により支持されたケーブルC1を介して、蓄電池31に供給されることになる。
【0018】
本開示でいう「ケーブル」は、1本以上の電線をシース(外皮)で保護した線状の部材をいう。また、本開示でいう「電線」は、電気導体のみの裸電線の他、電気導体を絶縁物で被覆した絶縁電線を含み得る。
【0019】
本開示でいうケーブル支持器2によるケーブルC1の支持は、例えばコネクタCN1の未使用時にユーザU1(
図3参照)の通行の妨げとならないように、ユーザU1がケーブルC1を引っ掛ける等することによりケーブルC1を一時的に支持する態様のみを意味するのではない。つまり、本開示でいうケーブル支持器2によるケーブルC1の支持は、原則としてユーザU1による着脱を伴わずに、ケーブルC1を恒久的に支持することも併せて意味する。
【0020】
ここで、電力変換器1(ここでは、第2電力変換装置12)は、直流電力を調整する主回路121と、主回路121の動作を制御する制御回路122と、を有している。電力変換器1は、制御回路122に制御電力が供給されて制御回路122が起動することで、起動する(言い換えれば、主回路121が動作を開始する)。そして、本実施形態では、電力変換システム100は、補助電源部24を更に備えている。補助電源部24は、電力系統4が停電した際に、制御回路122を起動させるための制御電力を、ケーブル支持器2から電力変換器1へ供給する。つまり、電力系統4が停電した場合、電力系統4から電力変換器1への電力供給が途絶えるため、電力変換器1への動作が停止する。本実施形態では、補助電源部24から制御回路122に制御電力を供給することができるので、電力系統4の停電時においても、電力変換器1の制御回路122を起動させることができる。このように、本実施形態では、電力系統4の停電時において、電力変換器1を起動可能である、という利点がある。
【0021】
(2)詳細
以下、本実施形態の電力変換システム100について、図面を参照して詳細に説明する。
【0022】
(2.1)全体構成
まず、電力変換システム100を含めた全体構成について、
図1を参照して説明する。本実施形態では、電力変換システム100は、住宅H1の内部に設置された機器制御装置5と互いに連携することにより、電力変換システム100としての機能を実現する。
【0023】
電力変換システム100の電力変換器1と機器制御装置5とは、互いに通信可能に構成されている。本開示において「通信可能」とは、有線通信又は無線通信の適宜の通信方式により、直接的、又はネットワーク若しくは中継器等を介して間接的に、情報を授受できることを意味する。すなわち、電力変換器1と機器制御装置5とは、互いに情報を授受することができる。本実施形態では、電力変換器1と機器制御装置5とは、互いに双方向に通信可能であって、電力変換器1から機器制御装置5への情報の送信、及び機器制御装置5から電力変換器1への情報の送信の両方が可能である。
【0024】
機器制御装置5は、少なくとも電力変換器1を制御する装置である。機器制御装置5は、電力変換器1に対して、充電の開始を指示するための充電開始信号、及び充電の停止を指示するための充電停止信号を出力することにより、電力変換器1による移動体3の蓄電池31の充電の開始及び停止を制御する。したがって、例えばユーザU1が機器制御装置5にて所定の操作を行うことにより、電力変換器1に対して、蓄電池31の充電の開始を指示したり、蓄電池31の充電の停止を指示したりすることが可能である。
【0025】
本実施形態では、機器制御装置5は、ルータを介して、インターネット等のネットワークに接続されている。このため、機器制御装置5は、ルータ、又はルータ及びネットワークを介して、ユーザU1の所持する情報端末と通信可能である。情報端末は、例えばスマートフォン、タブレット端末、又はパーソナルコンピュータ等である。したがって、ユーザU1は、機器制御装置5を直接操作するのみならず、情報端末を操作することによっても、蓄電池31の充電の開始を指示したり、蓄電池31の充電の停止を指示したりすることが可能である。
【0026】
電力変換器1は、移動体3の蓄電池31を充電するための充電設備である。本実施形態では、電力変換器1は、住宅H1の内部に設置されている。電力変換器1には、ケーブルC1が接続されている。ケーブルC1の先端部には、移動体3のインレット34に対して取外し可能に接続されるコネクタCN1を有している。電力変換器1は、コネクタCN1がインレット34に接続されている状態で、ケーブルC1を介して移動体3と接続されるので、ケーブルC1を介して移動体3の蓄電池31に電力を供給可能になり、蓄電池31の充電が可能になる。
【0027】
また、本実施形態では、電力変換器1は、コネクタCN1がインレット34に接続されている状態で、ケーブルC1を介して移動体3の蓄電池31から放電する機能を有した放電設備でもある。したがって、本実施形態では、移動体3の有する蓄電池31の放電電力を、住宅H1の負荷(分電盤を含む)に出力することで、V2H(Vehicle To Home)のシステムを構築可能である。
【0028】
移動体3は、蓄電池31と、電力制御回路32と、ECU(Electronic Control Unit)33と、を備えている。電力制御回路32は、電力変換器1からの電力の供給を受けて、蓄電池31の充電を実行する回路である。本実施形態では、電力制御回路32は、蓄電池31の充電を実行する機能の他に、蓄電池31の放電を実行する機能も有している。EUC33は、ケーブルC1の通信線L2(後述する)を介して伝送される信号(ここでは、一例としてCHAdeMO(登録商標)規格に基づく信号)に基づいて、電力制御回路32を制御する。
【0029】
(2.2)電力変換システム
次に、電力変換システム100について、
図1~
図3を参照して説明する。電力変換システム100は、電力変換器1としての第1電力変換装置11及び第2電力変換装置12と、ケーブル支持器2と、を備えている。
【0030】
第1電力変換装置11は、
図2に示すように、主回路111と、制御回路112と、通信部113と、を備えている。また、第1電力変換装置11では、主回路111、制御回路112、及び通信部113は、いずれも直方体状の筐体11A(
図3参照)に収容されている。本実施形態では、筐体11Aは、
図3に示すように、住宅H1内に設置されている。
【0031】
主回路111は、双方向のAC/DCコンバータであって、一端が電力系統4に接続されており、他端が直流バスDB1である直流ケーブルC2を介して第2電力変換装置12の主回路121に接続されている。主回路111は、例えばフルブリッジ接続された複数のスイッチング素子を有しており、複数のスイッチング素子を制御回路112によりPWM(Pulse Width Modulation)制御されることで、直流電力から交流電力、又は交流電力から直流電力への変換を行う。
【0032】
本実施形態では、主回路111は、電力系統4から入力する交流電力を所定の大きさの直流電力に変換して第2電力変換装置12に出力する機能を有している。また、本実施形態では、主回路111は、第2電力変換装置12の出力する直流電力を所定の大きさの交流電力に変換して電力系統4に出力する機能を有している。言い換えれば、第1電力変換装置11は、直流ケーブルC2(直流バスDB1)から入力される直流電力を交流電力に変換して電力系統4に出力する機能を有している。
【0033】
制御回路112は、少なくとも一部が1以上のプロセッサ及びメモリを有するマイクロコントローラにて構成されている。言い換えれば、制御回路112の少なくとも一部は、1以上のプロセッサ及びメモリを有するコンピュータシステムにて実現されており、1以上のプロセッサがメモリに格納されているプログラムを実行することにより、コンピュータシステムが制御回路112の一部として機能する。プログラムは、ここでは制御回路112のメモリに予め記録されているが、インターネット等の電気通信回線を通じて、又はメモリカード等の非一時的な記録媒体に記録されて提供されてもよい。また、制御回路112は、主回路111の有する複数のスイッチング素子を駆動するためのドライバを有している。制御回路112は、例えば、FPGA(Field-Programmable Gate Array)、又はASIC(Application Specific Integrated Circuit)等で構成されてもよい。
【0034】
制御回路112は、通信部113を介して機器制御装置5又は情報端末からの指令を受けることにより、主回路111を制御して蓄電池31の充電を開始したり、蓄電池31の充電を停止したりする機能を有する。本実施形態では、制御回路112は、例えば電力系統4の停電時において、主回路111を制御して、第2電力変換装置12からの直流電力を交流電力に変換して住宅H1内の負荷(分電盤を含む)に出力させる機能も有する。
【0035】
通信部113は、機器制御装置5と通信する機能を有している。通信部113と機器制御装置5との間の通信方式としては、無線通信又は有線通信の適宜の通信方式が採用される。本実施形態では、一例として、通信部113と機器制御装置5との間の通信方式は、有線LAN(Local Area Network)等の通信規格に準拠した有線通信である。通信部113と機器制御装置5との間の通信における通信プロトコルは、例えば、Ethernet(登録商標)、又はECHONET Lite(登録商標)等である。
【0036】
通信部113は、第2電力変換装置12の通信部123(後述する)と通信する機能も有している。通信部113と第2電力変換装置12の通信部123との間の通信方式としては、無線通信又は有線通信の適宜の通信方式が採用される。本実施形態では、一例として、通信部113は、直流ケーブルC2の有する通信線L2を介して、第2電力変換装置12の通信部123と有線通信を行う。
【0037】
第2電力変換装置12は、
図2に示すように、主回路121と、制御回路122と、通信部123と、を備えている。また、第2電力変換装置12では、主回路121、制御回路122、及び通信部123は、いずれも直方体状の筐体12A(
図3参照)に収容されている。本実施形態では、筐体12Aは、
図3に示すように、住宅H1内に設置されている。
【0038】
主回路121は、双方向のDC/DCコンバータであって、一端が第1ケーブルC11に接続されており、他端が直流ケーブルC2を介して第1電力変換装置11の主回路111に接続されている。主回路121は、例えば1以上のスイッチング素子を有しており、1以上のスイッチング素子を制御回路122によりPWM制御されることで、入力された直流電力を調整して出力する。
【0039】
本実施形態では、主回路121は、第1電力変換装置11の出力する直流電力を所定の大きさの直流電力に変換して、第1ケーブルC11及びコネクタCN1を介して蓄電池31に出力する機能を有している。また、本実施形態では、主回路121は、第1ケーブルC11及びコネクタCN1を介して蓄電池31から放電される直流電力を所定の大きさの直流電力に変換して第1電力変換装置11に出力する機能を有している。言い換えれば、第2電力変換装置12は、蓄電池31から放電される放電電力(直流電力)を調整して直流バスDB1に出力する機能を有している。
【0040】
制御回路122は、少なくとも一部が1以上のプロセッサ及びメモリを有するマイクロコントローラにて構成されている。言い換えれば、制御回路122の少なくとも一部は、1以上のプロセッサ及びメモリを有するコンピュータシステムにて実現されており、1以上のプロセッサがメモリに格納されているプログラムを実行することにより、コンピュータシステムが制御回路122の一部として機能する。プログラムは、ここでは制御回路122のメモリに予め記録されているが、インターネット等の電気通信回線を通じて、又はメモリカード等の非一時的な記録媒体に記録されて提供されてもよい。また、制御回路122は、主回路121の有する1以上のスイッチング素子を駆動するためのドライバを有している。制御回路122は、例えば、FPGA、又はASIC等で構成されてもよい。
【0041】
制御回路122は、通信部123及び第1電力変換装置11の通信部113を介して機器制御装置5又は情報端末からの指令を受けることにより、主回路121を制御して蓄電池31の充電を開始したり、蓄電池31の充電を停止したりする機能を有する。本実施形態では、制御回路122は、例えば電力系統4の停電時において、主回路121を制御して、蓄電池31からの放電電力(直流電力)を調整して第1電力変換装置11へ出力させる機能も有する。
【0042】
通信部123は、第1電力変換装置11の通信部113と通信する機能を有している。通信部123と第1電力変換装置11の通信部113との間の通信方式としては、無線通信又は有線通信の適宜の通信方式が採用される。本実施形態では、一例として、通信部123は、直流ケーブルC2の有する通信線L2を介して、第1電力変換装置11の通信部113と有線通信を行う。
【0043】
通信部123は、移動体3と通信する機能も有している。通信部123と移動体3との間の通信方式としては、無線通信又は有線通信の適宜の通信方式が採用される。本実施形態では一例として、通信部123は、ケーブルC1の有する通信線L2を介して、移動体3と有線通信を行う。本実施形態では、一例として、通信部123は、少なくともCHAdeMO(登録商標)規格に基づく信号により、電力変換器1と移動体3との接続確認、及び移動体3の状態確認等のための通信を行う。
【0044】
ケーブル支持器2は、
図2に示すように、ケーブルC1の一部を支持する。また、ケーブル支持器2では、ケーブルC1の一部を、直方体状の筐体2A(
図3参照)に収容する形で支持している。本実施形態では、筐体2Aは、
図3に示すように、住宅H1の外側であって、移動体3の駐車スペースA1に設置されている。言い換えれば、ケーブル支持器2は、地面(ここでは、駐車スペースA1)に自立して設置されている。
【0045】
本実施形態では、ケーブルC1は、第1ケーブルC11と、第2ケーブルC12と、を有している。第1ケーブルC11は、移動体3とケーブル支持器2との間に接続される。言い換えれば、第1ケーブルC11は、蓄電池31とケーブル支持器2との間に接続されて直流電力が供給されるケーブルである。第2ケーブルC12は、第1ケーブルC11とは異なる種類であって、ケーブル支持器2と第2電力変換装置12との間に接続される。言い換えれば、第2ケーブルC12は、ケーブル支持器2と電力変換器1との間に接続されて直流電力が供給されるケーブルである。つまり、実施形態では、第1ケーブルC11及び第2ケーブルC12は、互いに種類が異なっている。
【0046】
本実施形態では、1本のケーブルC1を切断して得られる2本のケーブルをそれぞれ第1ケーブルC11及び第2ケーブルC12とする場合を除いて、基本的に、第1ケーブルC11及び第2ケーブルC12は、互いに種類が異なっている、と言える。具体的には、第1ケーブルC11及び第2ケーブルC12は、互いに径寸法が異なっていることで、互いに種類が異なっている、と言える。また、第1ケーブルC11及び第2ケーブルC12は、互いに内包する電線の数が異なっていることで、互いに種類が異なっている、と言える。その他、第1ケーブルC11及び第2ケーブルC12は、互いにケーブルの構造、材質、又は製造メーカが異なっている場合も、互いに種類が異なっている、と言える。
【0047】
本実施形態では、第1ケーブルC11は、一例として、キャブタイヤケーブルである。また、本実施形態では、第2ケーブルC12は、一例として、架橋ポリエチレン絶縁ビニルシースケーブル(CVケーブル)である。また、本実施形態では、第1ケーブルC11及び第2ケーブルC12は、いずれも1以上(ここでは、2本)の電力線L1と、1以上(ここでは、複数本)の通信線L2と、を有している。さらに、本実施形態では、直流ケーブルC2は、第2ケーブルC12と同様にCVケーブルであって、1以上の電力線L1と、1以上の通信線L2と、を有している。
【0048】
そして、ケーブル支持器2(電力変換システム100)は、第1ケーブルC11と第2ケーブルC12とを互いに接続する接続部20を更に備えている。本実施形態では、接続部20は、ケーブル支持器2の筐体2Aの内部に収容されている。つまり、接続部20は、ケーブル支持器2の内側に設けられている。
【0049】
本実施形態では、接続部20は、第1ケーブルC11が接続される第1端子21と、第2ケーブルC12が接続される第2端子22と、を有している。つまり、本実施形態では、第1ケーブルC11は、その一端が第1端子21に接続されることにより、ケーブル支持器2に固定(支持)されることになる。また、第2ケーブルC12は、その一端が第2端子22に接続されることにより、ケーブル支持器2に固定(支持)されることになる。
【0050】
そして、第1端子21と第2端子22との間は、電気回路23を介して接続されている。電気回路23は、例えば第1ケーブルC11の有する1以上の電力線L1及び1以上の通信線L2を、第2ケーブルC12の有する1以上の電力線L1及び1以上の通信線L2に接続できるように、電気的な接続を変換する変換回路である。もちろん、電気回路23は、第1ケーブルC11の有する1以上の電力線L1及び1以上の通信線L2と、第2ケーブルC12の有する1以上の電力線L1及び1以上の通信線L2と、を互いに繋ぐ単なる電気導体であってもよい。
【0051】
本実施形態では、
図3に示すように、ケーブル支持器2と第1電力変換装置11との間において、ケーブルC1の一部が地中に配線されている。同様に、第1電力変換装置11と第2電力変換装置12との間において、直流ケーブルC2の一部が地中に配線されている。そして、地中においては、ケーブルC1は、例えば金属製の電線管等の配管C3に通されている。配管C3の硬度は、ケーブルC1のシース(外皮)の硬度よりも高い。
【0052】
また、ケーブル支持器2(電力変換システム100)は、
図1及び
図2に示すように、補助電源部24を更に備えている。本実施形態では、補助電源部24は、電源接続部241を有している。電源接続部241は、外部電源6が接続される電源インタフェースである。言い換えれば、電源接続部241は、制御電力を出力する外部電源6が接続される。ここで、外部電源6は、電力変換システム100の外部にある電源であって、電力変換器1(ここでは、第2電力変換装置12)の制御回路122を動作させるための制御電力を出力する。本実施形態では、外部電源6は、一例として、移動体3に備え付けのシガーソケット、又は鉛蓄電池を含むバッテリ等である。外部電源6は、例えば一対の電力線L4を介して電源接続部241に接続することが可能である。
【0053】
本実施形態では、電源接続部241は、第2ケーブルC12に含まれる一対の電源線L3を介して、電力変換器1(ここでは、第2電力変換装置12)の制御回路122に接続される。そして、補助電源部24は、電源接続部241に外部電源6が接続された状態においては、一対の電源線L3を介して、外部電源6から制御回路122に制御電力を供給する。つまり、本実施形態では、電力変換システム100は、ケーブル支持器2と電力変換器1との間に接続されて制御電力が供給される電源線L3を更に備えている。そして、電源線L3は、第2ケーブルC12に内包されている。
【0054】
(3)動作
以下、電力系統4が停電した場合における電力変換システム100の動作の一例について説明する。電力系統4が停電すると、電力系統4から第1電力変換装置11及び第2電力変換装置12に対する電力供給が途絶える。このため、第1電力変換装置11及び第2電力変換装置12の動作が停止する。
【0055】
ここで、ユーザU1は、蓄電池31を用いたブラックアウトスタートを試みる場合、外部電源6を電源接続部241に接続する。これにより、補助電源部24は、電源接続部241及び一対の電源線L3を介して、外部電源6の出力する制御電力を電力変換器1(ここでは、第2電力変換装置12)の制御回路122に供給する。すると、制御電力を受けて制御回路122が起動することで、ケーブルC1の通信線L2を介した通信部123と移動体3との通信を確立する。これにより、蓄電池31の開閉器を閉じることができ、電力線L1を介して第2電力変換装置12の主回路121へ直流電力が供給される。
【0056】
そして、制御回路122により主回路121が制御されることで、第2電力変換装置12にて直流電力が所定の大きさの直流電力に変換されて直流バスDB1に供給される。すると、直流バスDB1からの電力供給を受けて第1電力変換装置11の制御回路112が起動することで、直流ケーブルC2の通信線L2を介した通信部113と通信部123との間の通信が復旧する。
【0057】
ここで、直流バスDB1に供給される直流電力が安定化すると、補助電源部24は、例えば制御電力の供給路に設けられたリレーを制御することにより、制御電力の供給を停止する。言い換えれば、補助電源部24は、制御回路122を起動させた後に、制御電力の供給を停止する。補助電源部24からの制御電力の供給の停止後においては、制御回路122は、直流バスDB1から制御電力を供給されて動作する。なお、制御回路122は、ケーブルC1から制御電力を供給されて動作してもよい。
【0058】
その後、制御回路112により主回路111が制御されることで、第1電力変換装置11にて直流電力が交流電力に変換されて電力系統4に接続される負荷(分電盤を含む)に出力する。このため、本実施形態では、電力系統4の停電時においても、蓄電池31の放電電力を負荷へ供給することが可能である。
【0059】
(4)利点
上述のように、本実施形態では、電力系統4が停電した際に、補助電源部24から電力変換器1(ここでは、第2電力変換装置12)の制御回路122を起動させることができる。このため、本実施形態では、電力系統4が停電した場合においても、電力変換器1を起動可能である。また、本実施形態では、補助電源部24は、ケーブル支持器2から電力変換器1へ制御電力を供給する。つまり、本実施形態では、電力系統4が停電した際に、ユーザU1は、電力変換器1のある場所まで赴かずとも、ケーブル支持器2のある場所、言い換えれば移動体3の駐車スペースA1にて補助電源部24を用いた作業を完結することができる、という利点もある。
【0060】
(5)変形例
上述の実施形態は、本開示の様々な実施形態の一つに過ぎない。上述の実施形態は、本開示の目的を達成できれば、設計等に応じて種々の変更が可能である。以下、上述の実施形態の変形例を列挙する。以下に説明する変形例は、適宜組み合わせて適用可能である。
【0061】
(5.1)変形例1
変形例1の電力変換システム100では、
図4に示すように、一対の電力線L4が第1ケーブルC11に内包されている点で、上述の実施形態の電力変換システム100と相違する。本変形例では、外部電源6は、移動体3に設けられた鉛蓄電池等のバッテリである。そして、外部電源6は、コネクタCN1がインレット34に接続された状態で、一対の電力線L4を介して補助電源部24の電源接続部241に接続される。
【0062】
したがって、本変形例では、コネクタCN1をインレット34に接続するだけで、外部電源6から電源接続部241を介して電力変換器1(ここでは、第2電力変換装置12)の制御回路122への電力供給路を形成することが可能である。このため、本変形例では、別途電力線を用いてユーザU1が電源接続部241に配線する作業が不要であり、ユーザU1の利便性が向上する、という利点がある。
【0063】
(5.2)変形例2
変形例2の電力変換システム100では、
図5に示すように、電力変換器1(ここでは、第2電力変換装置12)が電源回路124を更に備えている点で、上述の実施形態の電力変換システム100と相違する。電源回路124は、降圧型のDC/DCコンバータであって、補助電源部24から印加される電圧を降圧して、降圧した電圧を制御電圧として制御回路122に出力する。言い換えれば、電源回路124は、補助電源部24から印加される電圧を受けて、制御回路122に印加する電圧を生成する。そして、補助電源部24から電源回路124に印加される電圧は、電源回路124の生成する電圧よりも高い。
【0064】
したがって、本変形例では、補助電源部24から直接的に制御回路122に電圧を印加する場合と比較して、電源回路124により制御回路122に安定した電圧を印加することが可能である。また、本変形例では、線路保安上の理由から電力線L4に線路抵抗の制限が課せられる場合において、移動体3から距離の近いケーブル支持器2内に電力線L4の線路端点となる補助電源部24を有している。このため、本変形例では、電力線L4の距離を短くすることができ、電力線L4の線路抵抗を制限内に抑えることができる。このように、本変形例では、補助電源部24から直接的に制御回路122に制御電力を供給する場合と比較して、電源回路124により制御回路122に安定した制御電力を供給すると共に、線路保安を確保することが可能である。
【0065】
(5.3)変形例3
変形例3の電力変換システム100では、
図6に示すように、補助電源部24が補助電源回路242を有している点で、変形例1の電力変換システム100と相違する。また、変形例3の電力変換システム100では、ケーブル支持器2が処理部25を有している点でも、変形例1の電力変換システム100と相違する。
【0066】
補助電源回路242は、例えば昇圧型のDC/DCコンバータであって、第1ケーブルC11の一対の電力線L4を介して外部電源6から供給される直流電力を、所定の大きさの直流電力に変換して出力する。補助電源回路242から出力される直流電力は、制御電力として第2ケーブルC12の一対の電源線L3を介して、電力変換器1(ここでは、第2電力変換装置12)の制御回路122に供給される。つまり、補助電源回路242は、第1ケーブルC11のうち蓄電池31とは異なる経路(一対の電力線L4)から供給される直流電力を受けて制御電力を生成する。また、補助電源回路242から出力される直流電力は、処理部25の動作電力として処理部25に供給される。つまり、補助電源部24は、処理部25の動作電力を供給する。
【0067】
処理部25は、少なくとも一部が1以上のプロセッサ及びメモリを有するマイクロコントローラにて構成されている。言い換えれば、処理部25は、1以上のプロセッサ及びメモリを有するコンピュータシステムにて実現されており、1以上のプロセッサがメモリに格納されているプログラムを実行することにより、コンピュータシステムが処理部25の一部として機能する。プログラムは、ここでは処理部25のメモリに予め記録されているが、インターネット等の電気通信回線を通じて、又はメモリカード等の非一時的な記録媒体に記録されて提供されてもよい。
【0068】
処理部25は、移動体3との通信を処理することにより主回路121の制御パラメータを得る。制御パラメータは、一例として、充電電流の上限値、放電電流の上限値、蓄電池31の充電又は放電の許可/禁止の指令、移動体3からの異常停止要求の指令、又は過充電による停止の指令等を含み得る。処理部25は、第2ケーブルC12の通信線L2を介して、制御パラメータを電力変換器1(ここでは、第2電力変換装置12)の制御回路122に送信する。
【0069】
制御回路122は、通信部123にて処理部25からの制御パラメータを受信すると、受信した制御パラメータに基づいて、主回路121を制御する。つまり、制御回路122は、処理部25と通信することにより処理部25から取得する制御パラメータに基づいて、主回路121を制御する。
【0070】
したがって、本変形例では、別途電力線を用いてユーザU1が電源接続部241に配線する作業が不要であり、ユーザU1の利便性が向上する、という利点がある。また、本変形例では、例えば補助電源回路242が入力電圧を昇圧して出力する態様であれば、ケーブルC1での電圧降下分を補助電源回路242での昇圧により補うことが可能である。したがって、本変形例では、補助電源回路242を有さない場合と比較して、制御回路122への制御電力の供給路を十分に確保しつつ、ケーブルC1を長くすることが可能である、という利点もある。
【0071】
また、本変形例では、処理部25を有さない場合と比較して、ケーブル支持器2と電力変換器1との間に配線される通信線L2の本数を減らすことができる、という利点がある。すなわち、移動体3と電力変換器1との間の通信においては、移動体3との通信規格(ここでは、CHAdeMO(登録商標)規格)に基づいて1以上の通信線L2を必要とする。ここで、本変形例では、この複数本の通信線L2を用いた通信を、移動体3と処理部25との間の通信で完結することが可能である。したがって、本変形例では、処理部25と電力変換器1との間の通信においては、移動体3との通信規格に基づく1以上の通信線L2が不要であるため、ケーブル支持器2と電力変換器1との間に配線される通信線L2の本数を減らすことが可能である。
【0072】
(5.4)変形例4
変形例4の電力変換システム100は、
図7に示すように、提示部26を備えている点で、上述の実施形態の電力変換システム100と相違する。提示部26は、制御回路122の起動の完了を提示する。具体的には、提示部26は、制御回路122に制御電力が供給されて制御回路122が起動すると、例えばLED(Light Emitting Diode)等の固体発光素子を所定の光色で発光させることにより、制御回路122が起動した旨をユーザU1に提示する。その他、提示部26は、例えばブザー又はスピーカから所定の音を鳴動させることにより、制御回路122が起動した旨をユーザU1に提示してもよい。
【0073】
したがって、本変形例では、ユーザU1が制御回路122の起動が完了したこと、言い換えれば蓄電池31を用いたブラックアウトスタートに成功したことを把握しやすい、という利点がある。
【0074】
(5.5)その他の変形例
本開示における電力変換システム100は、例えば処理部25にコンピュータシステムを含んでいる。コンピュータシステムは、ハードウェアとしてのプロセッサ及びメモリを主構成とする。コンピュータシステムのメモリに記録されたプログラムをプロセッサが実行することによって、本開示における処理部25としての機能が実現される。プログラムは、コンピュータシステムのメモリに予め記録されてもよく、電気通信回線を通じて提供されてもよく、コンピュータシステムで読み取り可能なメモリカード、光学ディスク、ハードディスクドライブ等の非一時的記録媒体に記録されて提供されてもよい。コンピュータシステムのプロセッサは、半導体集積回路(IC)又は大規模集積回路(LSI)を含む1ないし複数の電子回路で構成される。ここでいうIC又はLSI等の集積回路は、集積の度合いによって呼び方が異なっており、システムLSI、VLSI(Very Large Scale Integration)、又はULSI(Ultra Large Scale Integration)と呼ばれる集積回路を含む。さらに、LSIの製造後にプログラムされる、FPGA(Field-Programmable Gate Array)、又はLSI内部の接合関係の再構成若しくはLSI内部の回路区画の再構成が可能な論理デバイスについても、プロセッサとして採用することができる。複数の電子回路は、1つのチップに集約されていてもよいし、複数のチップに分散して設けられていてもよい。複数のチップは、1つの装置に集約されていてもよいし、複数の装置に分散して設けられていてもよい。ここでいうコンピュータシステムは、1以上のプロセッサ及び1以上のメモリを有するマイクロコントローラを含む。したがって、マイクロコントローラについても、半導体集積回路又は大規模集積回路を含む1ないし複数の電子回路で構成される。
【0075】
また、処理部25における複数の機能が、1つの筐体に集約されていることは処理部25に必須の構成ではない。処理部25の構成要素は、複数の筐体に分散して設けられていてもよい。さらに、処理部25の少なくとも一部の機能は、例えば、サーバ装置及びクラウド(クラウドコンピューティング)等によって実現されてもよい。反対に、上述の変形例3のように、処理部25の全ての機能が、1つの筐体に集約されていてもよい。
【0076】
上述の実施形態において、外部電源6は、交流電力を出力する小型発電機であってもよい。この場合、補助電源部24は、小型発電機から入力される交流電力を直流電力に変換して出力する構成を有していればよい。
【0077】
上述の実施形態において、第1ケーブルC11と第2ケーブルC12とは、互いに種類が異なっていなくてもよい。例えば、第1ケーブルC11と第2ケーブルC12とは、同じ種類のケーブルであって、接続部20にて接続されている態様であってもよい。
【0078】
上述の実施形態において、電力変換システム100(ケーブル支持器2)は、接続部20を備えていなくてもよい。つまり、ケーブル支持器2は、移動体3と第2電力変換装置12との間を一繋ぎに接続する1本のケーブルC1を支持する態様であってもよい。
【0079】
上述の実施形態において、ケーブル支持器2には、蓄電池31の充電の開始及び停止を指示するための操作部が設けられていてもよい。この場合、ユーザU1は、機器制御装置5を直接操作せずとも、操作部を操作することにより、蓄電池31の充電の開始及び停止を指示することが可能である。また、操作部は、ケーブル支持器2ではなく、コネクタCN1に設けられていてもよい。
【0080】
上述の実施形態において、第1電力変換装置11及び第2電力変換装置12は、互いに別体に構成されていなくてもよい。つまり、第1電力変換装置11及び第2電力変換装置12は、電力変換器1として1つの筐体に収容されていてもよい。
【0081】
上述の実施形態において、電力変換器1は、第1電力変換装置11を備えていなくてもよい。つまり、第1電力変換装置11は、電力変換システム100の構成要素に含まれていなくてもよい。
【0082】
上述の実施形態において、ケーブル支持器2は、単独で市場に流通し得る。つまり、ケーブル支持器2は、電力変換システム100に用いられる。同様に、電力変換器1は、単独で市場に流通し得る。つまり、電力変換器1は、電力変換システム100に用いられる。
【0083】
(まとめ)
以上述べたように、第1の態様に係る電力変換システム(100)は、電力変換器(1)(ここでは、第2電力変換装置(12))と、ケーブル支持器(2)と、を備える。電力変換器(1)は、移動体(3)の有する蓄電池(31)と電力系統(4)との間に設けられて、蓄電池(31)から放電される直流電力を調整可能である。ケーブル支持器(2)は、ケーブル(C1)を支持する。ケーブル(C1)は、移動体(3)と電力変換器(1)との間に接続されて蓄電池(31)と電力変換器(1)との間の電力供給路を形成する。電力変換器(1)は、直流電力を調整する主回路(121)と、主回路(121)の動作を制御する制御回路(122)と、を有する。電力変換システム(100)は、補助電源部(24)を更に備える。補助電源部(24)は、電力系統(4)が停電した際に、制御回路(122)を起動させるための制御電力を、ケーブル支持器(2)から電力変換器(1)へ供給する。
【0084】
この態様によれば、電力系統(4)の停電時において、電力変換器(1)を起動可能である、という利点がある。
【0085】
第2の態様に係る電力変換システム(100)では、第1の態様において、補助電源部(24)は、制御回路(122)を起動させた後に、制御電力の供給を停止する。
【0086】
この態様によれば、補助電源部(24)から必要以上に電力を供給するのを抑制することができる、という利点がある。
【0087】
第3の態様に係る電力変換システム(100)では、第1又は第2の態様において、補助電源部(24)は、制御電力を出力する外部電源(6)が接続される電源接続部(241)を有している。
【0088】
この態様によれば、電力系統(4)の停電時において、外部電源(6)を利用して電力変換器(1)を起動可能である、という利点がある。
【0089】
第4の態様に係る電力変換システム(100)は、第1~第3のいずれかの態様において、第1ケーブル(C11)を更に備える。第1ケーブル(C11)は、蓄電池(31)とケーブル支持器(2)との間に接続されて直流電力が供給されるケーブルである。補助電源部(24)は、補助電源回路(242)を有する。補助電源回路(242)は、第1ケーブル(C11)のうち蓄電池(31)とは異なる経路(一対の電力線(L4))から供給される直流電力を受けて制御電力を生成する。
【0090】
この態様によれば、別途電力線を用いてユーザ(U1)が電源接続部(241)に配線する作業が不要であり、ユーザ(U1)の利便性が向上する、という利点がある。
【0091】
第5の態様に係る電力変換システム(100)では、第1~第4のいずれかの態様において、ケーブル支持器(2)は、移動体(3)との通信を処理することにより主回路(121)の制御パラメータを得る処理部(25)を有する。制御回路(122)は、処理部(25)と通信することにより処理部(25)から取得する制御パラメータに基づいて、主回路(121)を制御する。
【0092】
この態様によれば、処理部(25)を有さない場合と比較して、ケーブル支持器(2)と電力変換器(1)との間に配線される通信線L2の本数を減らすことができる、という利点がある。
【0093】
第6の態様に係る電力変換システム(100)では、第5の態様において、補助電源部(24)は、処理部(25)に動作電力を供給する。
【0094】
この態様によれば、処理部(25)に動作電力を供給するための電源を別途用意する必要がない、という利点がある。
【0095】
第7の態様に係る電力変換システム(100)では、第1~第6のいずれかの態様において、電力変換器(1)は、電源回路(124)を有する。電源回路(124)は、補助電源部(24)から印加される電圧を受けて、制御回路(122)に印加する電圧を生成する。補助電源部(24)から電源回路(124)に印加される電圧は、電源回路(124)の生成する電圧よりも高い。
【0096】
この態様によれば、補助電源部(24)から直接的に制御回路(122)に制御電力を供給する場合と比較して、電源回路(124)により制御回路(122)に安定した制御電力を供給することが可能である、という利点がある。
【0097】
第8の態様に係る電力変換システム(100)は、第1~第7のいずれかの態様において、第2ケーブル(C12)と、電源線(L3)と、を更に備える。第2ケーブル(C12)は、ケーブル支持器(2)と電力変換器(1)との間に接続されて直流電力が供給されるケーブルである。電源線(L3)は、ケーブル支持器(2)と電力変換器(1)との間に接続されて制御電力が供給される電線である。電源線(L3)は、第2ケーブル(C12)に内包されている。
【0098】
この態様によれば、制御電力を制御回路(122)に供給するための電力線をケーブルとは別に用意する必要がない、という利点がある。
【0099】
第9の態様に係る電力変換システム(100)では、第1~第8のいずれかの態様において、ケーブル支持器(2)は、制御回路(122)の起動の完了を提示する提示部(26)を更に備える。
【0100】
この態様によれば、ユーザ(U1)が制御回路(122)の起動が完了したこと、言い換えれば蓄電池(31)を用いたブラックアウトスタートに成功したことを把握しやすい、という利点がある。
【0101】
第10の態様に係るケーブル支持器(2)は、第1~第9のいずれかの態様の電力変換システム(100)に用いられる。
【0102】
この態様によれば、電力系統(4)の停電時において、電力変換器(1)を起動可能である、という利点がある。
【0103】
第11の態様に係る電力変換器(1)は、第1~第9のいずれかの態様の電力変換システム(100)に用いられる。
【0104】
この態様によれば、電力系統(4)の停電時において、電力変換器(1)を起動可能である、という利点がある。
【0105】
第2~第9の態様に係る構成については、電力変換システム(100)に必須の構成ではなく、適宜省略可能である。
【符号の説明】
【0106】
100 電力変換システム
1 電力変換器
121 主回路
122 制御回路
124 電源回路
2 ケーブル支持器
24 補助電源部
241 電源接続部
242 補助電源回路
25 処理部
26 提示部
3 移動体
31 蓄電池
4 電力系統
6 外部電源
C1 ケーブル
C11 第1ケーブル
C12 第2ケーブル
L3 電源線