(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-14
(45)【発行日】2024-11-22
(54)【発明の名称】水道管発電装置
(51)【国際特許分類】
F03B 17/06 20060101AFI20241115BHJP
【FI】
F03B17/06
(21)【出願番号】P 2023130988
(22)【出願日】2023-08-10
【審査請求日】2023-08-14
(32)【優先日】2023-05-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】TW
(73)【特許権者】
【識別番号】523306760
【氏名又は名称】チョン チョン ユアン
(73)【特許権者】
【識別番号】523306771
【氏名又は名称】リン イー チー
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】チョン チョン ユアン
(72)【発明者】
【氏名】リン イー チー
【審査官】山崎 孔徳
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-068777(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2011/0049882(US,A1)
【文献】韓国公開特許第10-2009-0109213(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F03B 17/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
パイプ部材軸方向に沿って延伸するパイプを有し、前記パイプに前記パイプ部材軸方向に沿って延伸するスリットが設けられている水道管手段と、
前記パイプ部材軸方向に沿って延伸するように前記パイプ内に配置され、且つ、前記スリットに隣接する第1の台座部を有する台座手段と、
前記パイプ部材軸方向に沿って互いに離間するように前記第1の台座部に配置される複数の発電機を有する発電手段と、を備え、
各前記発電機は力を受けて前記パイプ部材軸方向に対して斜めに延伸するインペラ軸方向を回転軸として回転するインペラモジュールと、前記第1の台座部に配置されると共に、前記インペラモジュールに連動されて前記インペラモジュールが回転する運動エネルギーを電気エネルギーに変換する電気変換モジュールと、を有することを特徴とする水道管発電装置。
【請求項2】
前記水道管手段の前記スリットは上方に向かって開口することを特徴とする請求項1に記載の水道管発電装置。
【請求項3】
前記発電手段は、前記台座手段に接続し、且つ、各前記発電機の前記電気変換モジュールに電気的に接続する回路板を更に有し、前記回路板は、前記スリットの外に位置する外側端部と、前記外側端部とは反対側にあり、且つ、前記スリットに隣接する内側端部と、を有することを特徴とする請求項2に記載の水道管発電装置。
【請求項4】
前記発電手段は、前記回路板に電気的に接続することで、各前記発電機の前記電気変換モジュールにより変換される電気エネルギーを受ける蓄電ユニットを更に有することを特徴とする請求項3に記載の水道管発電装置。
【請求項5】
前記パイプの周りを囲むと共に、前記回路板に隣接して前記回路板により挿通される保護カバーを有する保護手段を更に備えることを特徴とする請求項4に記載の水道管発電装置。
【請求項6】
前記台座手段は、前記パイプの外に位置し、且つ、前記第1の台座部から離間するように配置される第2の台座部と、前記スリットを挿通すると共に、前記第1の台座部及び前記第2の台座部に接続される接続部と、を更に有することを特徴とする請求項3に記載の水道管発電装置。
【請求項7】
前記パイプの周りを囲むと共に、前記回路板に隣接して前記回路板により挿通される保護カバーと、前記第2の台座部と前記パイプとの間に粘着される防水グルーと、を有する保護手段を更に備えることを特徴とする請求項6に記載の水道管発電装置。
【請求項8】
前記パイプは管内空間を囲み、且つ、入口端部から前記パイプ部材軸方向(L1)に沿って出口端部まで延伸するパイプ本体を有し、前記インペラ軸方向は前記パイプ部材軸方向に対して斜めに延伸し、且つ、前記入口端部から前記出口端部へ延伸するに連れて、下から上へと徐々に前記スリットに近づくように傾くこと特徴とする請求項2に記載の水道管発電装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は水道管発電裝置に関し、特に、取り替え可能な水道管発電装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に公開される水道管発電装置は、水道管と、前記水道管内に配置されるローターと、前記水道管の外側を囲むように配置されるステータとを有する。
【0003】
前記ローターは、前記水道管内に配置される複数のインペラと、各前記インペラに配置されると共に、前記水道管の内側に隣接する複数の磁石と、を有し、前記水道管内の水がこれらのインペラを通過することでこれらのインペラを回転させる際、前記ステータと前記磁石の磁場の変化による電磁誘導で発電する。
【0004】
しかし、この従来の水道管発電装置は発電できる一方、水道管内の水の流れは大きな面積を有するローターの影響により、水の流れが妨げられ、そして、この水道管発電装置の故障により修理や交換の必要がある場合、水道管を全体的に解体してから初めて修理が可能となるので、非常に不便である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従って、本発明は、従来技術の欠点を改善できる水道管発電装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記問題点に鑑みて、本発明は、
パイプ部材軸方向に沿って延伸するパイプを有し、前記パイプに前記パイプ部材軸方向に沿って延伸するスリットが設けられている水道管手段と、
前記パイプ部材軸方向に沿って延伸するように前記パイプ内に配置され、且つ、前記スリットに隣接する第1の台座部を有する台座手段と、
前記パイプ部材軸方向に沿って互いに離間するように前記第1の台座部に配置される複数の発電機を有する発電手段と、を備え、
各前記発電機は力を受けて前記パイプ部材軸方向に対して斜めに延伸するインペラ軸方向を回転軸として回転するインペラモジュールと、前記第1の台座部に配置されると共に、前記インペラモジュールに連動されて前記インペラモジュールが回転する運動エネルギーを電気エネルギーに変換する電気変換モジュールと、を有することを特徴とする水道管発電装置を提供する。
【発明の効果】
【0008】
本発明は、スリットが設けられたパイプと、台座手段と、パイプ部材軸方向に対して斜めに配置されたインペラモジュールと、電気変換モジュールとを設けることにより、発電する際に水の流れを妨げず、なお且つ発電手段をパイプから取り外して修理したり取り替えたりすることも便利である。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の水道管発電装置の第1の実施例が示される斜視図である。
【
図4】
図3におけるIV-IV線に沿った一部断面図である。
【
図5】本発明の水道管発電装置の第2の実施例が示される側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明が詳しく説明される前に、以下の説明において類似する要素に関しては、全く同じものでなくても、同じ符号が振り分けられ得ることに注意されたい。
【0011】
図1、
図2と
図3に示されるように、本発明の水道管発電装置の第1の実施例は、水道管手段2と台座手段3と発電手段4と保護手段5とを備える。
【0012】
図2、
図3と
図4を参照すると、水道管手段2はパイプ部材軸方向L1に沿って延伸するパイプ21を有し、パイプ21には、パイプ部材軸方向L1に沿って延伸するスリット22が設けられている。この実施例において、パイプ21は管内空間211を囲み、且つ、入口端部213からパイプ部材軸方向L1に沿って出口端部214まで延伸するパイプ本体212を有する。スリット22は上方に向かって開口してパイプ21を貫通し、且つ、入口端部213からパイプ部材軸方向L1に沿って出口端部214に向かって延伸するように設けられ、これにより水がパイプ21を通過した後、水垢が開口22の所に堆積することが防がれる。
【0013】
台座手段3は、パイプ部材軸方向L1に沿って延伸するようにパイプ21の管内空間211内に挿入すると共に、スリット22に隣接する第1の台座部31を有する。
【0014】
発電手段4は、管内空間211内においてパイプ部材軸方向L1に沿って互いに間を開けるように第1の台座部31に配置される複数の発電機41と、台座手段3の第1の台座部31に接続し、且つ、これらの発電機41に電気的に接続する回路板42と、回路板42に電気的に接続する蓄電ユニット43と、を有する。
【0015】
各発電機41は、パイプ部材軸方向L1に対して斜めに延伸するインペラ軸方向L2を軸として配置され、且つ、力を受けてインペラ軸方向L2を中心として回転することができるインペラモジュール411と、第1の台座部31に配置され、且つ、インペラモジュール411に連動されてインペラモジュール411が回転する運動エネルギーを電気エネルギーに変換する電気変換モジュール412と、を有する。インペラ軸方向L2がパイプ部材軸方向L1に対して斜めに延伸するとは、入口端部213から出口端部214へ延伸するに連れて、下から上へと徐々にスリット22に近づくよう傾く構成を指し(
図4参照)、且つ、このインペラ軸方向L2はパイプ部材軸方向L1に対して鋭角を成す。なお、インペラモジュール411の回転を経て電気変換モジュール412が連動されて電気エネルギーを生成する発電技術は、この技術分野における技術者の周知技術であり、そして詳しい発電原理は本出願の主な技術的特徴ではないので、この明細書では更なる説明をしない。
【0016】
回路板42はこれらの発電機41の電気変換モジュール412に電気的に接続し、且つ、スリット22の外に位置する外側端部421と、外側端部421とは反対側にあり、且つ、スリット22に隣接する内側端部422と、を有する。この実施例において、回路板42の内側端部422は第1の台座部31に接続される。
【0017】
蓄電ユニット43は回路板42に電気的に接続することにより、これらの発電機41の電気変換モジュール412が変換した電気エネルギーを受ける。この実施例において、蓄電ユニット43は複数の蓄電池により構成されるが、これに限らず、他の形式でエネルギーを貯蔵する部品であってもよい。ちなみに、蓄電ユニット43はスリット22外に配置される。
【0018】
保護手段5は、パイプ21の周りを囲むと共に、回路板42に隣接して回路板42により挿通される保護カバー51を有する。この実施例において、保護カバー51は発泡スポンジである。
【0019】
水が入口端部213から出口端部214に向かって流れてパイプ21の管内空間211を通過する際は、これらの発電機41のインペラモジュール411の回転を順に駆動し、これにより電気変換モジュール412に電気エネルギーを生成させると共に、回路板42を経由して蓄電ユニット43内に貯蔵する。
【0020】
インペラ軸方向L2がパイプ部材軸方向L1に対して斜めに延伸するので、これらのインペラモジュール411はパイプ21の内部空間を完全にカバーせず、従って水流が通過する際は、妨げられずに通過することができる。
【0021】
修理もしくは水垢を除去する際は、台座手段3をパイプ部材軸方向L1に沿って移動してスリット22から取り出せば、発電手段4と共に簡単に取り出すことが出来るので、従来技術の水道管発電装置と比べて、本出願の水道管発電装置は修理や清掃が便利である。
【0022】
図5に示される本発明の第2の実施例は、第1の実施例に類似し、その相違点は、台座手段3は、パイプ21の外に位置し、且つ、第1の台座部31から離間するように配置される第2の台座部32と、スリット22を挿通するようにスリット22に配置されると共に、第1の台座部31及び第2の台座部32に接続される接続部33と、を更に有するところにある。また、この実施例において、回路板42の内側端部422は第2の台座部32に接続される。
【0023】
保護手段5は、第2の台座部32とパイプ21との間に粘着される防水グルー52を更に有する。
【0024】
これにより、第2の実施例は上記第1の実施例と同等な目的及び効果を達成することができる。
【0025】
以上をまとめると、本発明はパイプ21とスリット22と台座手段3とパイプ部材軸方向L1に対して斜めに配置されたこれらのインペラモジュール411及びこれらの電気変換モジュール412を設けることにより、発電する際の水の流れを妨げず、そいて取り外して修理することも便利であるので、本発明の目的を確実に達成することができる。
【0026】
以上、本発明の実施形態を説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【符号の説明】
【0027】
2 水道管手段
21 パイプ
211 管内空間
213 入口端部
214 出口端部
22 スリット
3 台座手段
31 第1の台座部
32 第2の台座部
33 接続部
4 発電手段
41 発電機
411 インペラモジュール
412 電気変換モジュール
42 回路板
421 外側端部
422 内側端部
43 蓄電ユニット
5 保護手段
51 保護カバー
52 防水グルー
L1 パイプ部材軸方向
L2 インペラ軸方向
【要約】
【課題】取り外しが容易な水道管発電装置の提供。
【解決手段】水道管手段と台座手段と発電手段とを備え、水道管手段はパイプ部材軸方向L1に沿って延伸するパイプ21を有し、パイプ21にパイプ部材軸方向L1に沿って延伸するスリットが設けられ、台座手段は、パイプ部材軸方向L1に沿って延伸してパイプ21内に配置されると共に、スリットに隣接する第1の台座部を有し、発電手段はパイプ部材軸方向L1に沿って第1の台座部に離間するように配置される複数の発電機41を有し、各発電機41は、力を受けてパイプ部材軸方向L1に対して斜めに延伸するインペラ軸方向L2を回転軸として回転するインペラモジュールと、第1の台座部に配置されると共に、インペラモジュールに連動されてインペラモジュールが回転する運動エネルギーを電気エネルギーに変換する電気変換モジュールを有する。
【選択図】
図4