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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-14
(45)【発行日】2024-11-22
(54)【発明の名称】酸化染毛・毛髪脱色/脱染剤組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/02 20060101AFI20241115BHJP
   A61Q 5/08 20060101ALI20241115BHJP
   A61Q 5/10 20060101ALI20241115BHJP
   A61K 8/86 20060101ALI20241115BHJP
   A61K 8/92 20060101ALI20241115BHJP
   A61K 8/365 20060101ALI20241115BHJP
   A61K 8/34 20060101ALI20241115BHJP
【FI】
A61K8/02
A61Q5/08
A61Q5/10
A61K8/86
A61K8/92
A61K8/365
A61K8/34
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2020103686
(22)【出願日】2020-06-16
(65)【公開番号】P2021195342
(43)【公開日】2021-12-27
【審査請求日】2023-05-18
(73)【特許権者】
【識別番号】000113274
【氏名又は名称】ホーユー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000578
【氏名又は名称】名古屋国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】山田 みなみ
(72)【発明者】
【氏名】唐渡 誠
【審査官】河村 明希乃
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-013836(JP,A)
【文献】特開2001-002537(JP,A)
【文献】特開2014-047188(JP,A)
【文献】特開2014-047185(JP,A)
【文献】特開2015-151335(JP,A)
【文献】特開2000-351718(JP,A)
【文献】特開2018-104329(JP,A)
【文献】特開2004-161707(JP,A)
【文献】特開平11-130641(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 8/00-8/99
A61Q 5/00-5/12
Mintel GNPD
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
アルカリ剤を含有する第1剤と、酸化剤を含有する第2剤を含んで構成される複数剤式のエアゾール型酸化染毛剤又は毛髪脱色/脱染剤であって、第1剤及び第2剤が下記(A)成分及び(C)成分を含有すると共に、第1剤が更に下記(B)成分及び下記(E)成分を含有する酸化染毛・毛髪脱色/脱染剤組成物。
(A)ノニオン性界面活性剤
(B)ラノリン及び/又はその誘導体
(C)噴射剤
(E)α―ヒドロキシ酸
【請求項2】
前記第1剤及び第2剤における(A)成分の含有量が、第1剤において0.01~10質量%の範囲内、第2剤において0.01~5質量%の範囲内である請求項1に記載の酸化染毛・毛髪脱色/脱染剤組成物。
【請求項3】
前記第1剤における(B)成分の含有量が0.01~2質量%の範囲内である請求項1又は請求項2に記載の酸化染毛・毛髪脱色/脱染剤組成物。
【請求項4】
前記第1剤及び/又は第2剤が、更に下記(D)成分を含有する請求項1~請求項3のいずれかに記載の酸化染毛・毛髪脱色/脱染剤組成物。
(D)20℃で固体の脂肪族アルコール
【請求項5】
前記第1剤における(A)成分と(D)成分の合計含有量が、それぞれ0.01~12質量%の範囲内、第2剤における(A)成分と(D)成分の合計含有量が、それぞれ0.01~10質量%の範囲内である請求項4に記載の酸化染毛・毛髪脱色/脱染剤組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は酸化染毛・毛髪脱色/脱染剤組成物に関し、より具体的には、アルカリ剤を含有する第1剤と、酸化剤を含有する第2剤を含んで構成される複数剤式のエアゾール型酸化染毛剤又は毛髪脱色/脱染剤に関する。
【背景技術】
【0002】
アルカリ剤を含有する第1剤と酸化剤を含有する第2剤に噴射剤を含有させ、これらの剤をエアゾール容器を用いて泡状に吐出し、両剤の泡を混合して毛髪に適用するエアゾール型の酸化染毛剤や毛髪脱色/脱染剤が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2017-137309号公報
【文献】特開2019-011292号公報
【0004】
特許文献1は、アルカリ剤の他にカチオン界面活性剤、非イオン界面活性剤、高級アルコール、シリコーン油等を含有し、使用時に酸化剤含有の第2剤と混合して使用するエアゾール染毛用第1剤組成物を開示する。発明の課題は第1剤の保存時における経時的な増粘の抑制である。
【0005】
特許文献2は、炭化水素及び酸化剤を含有し、好ましくは炭化水素が流動パラフィンであり、更に好ましくは多価アルコールを含有し、使用時にアルカリ剤を含有する剤と混合して用いる酸化剤含有組成物を開示する。発明の課題は製剤安定性、良好な泡質及び発泡速度の向上である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで特許文献1、2に開示するようなエアゾール型の酸化染毛剤等では、一般的に、泡状に吐出することで第1剤と第2剤の混合や、混合した泡の毛髪への塗布が容易となり、塗布後における毛髪からの垂れ落ちも起こり難い、とされている。
【0007】
しかし実際には、従来のエアゾール型泡状剤型の酸化染毛剤等では、毛髪への塗布時の延びの良さ、泡持ちの良さ等が必ずしも十分ではなく、そのために、毛髪への塗りムラも起こり易い、という問題があった。
【0008】
そこで本発明は、複数剤式のエアゾール型酸化染毛剤又は毛髪脱色/脱染剤において、エアゾール容器によって第1剤及び第2剤から良質な泡が得られ、それらを混合した泡も良質となるようにすることを、解決すべき技術的課題とする。
【0009】
本願発明者は、上記課題の解決手段を研究した結果、アルカリ剤を含有する第1剤と酸化剤を含有する第2剤に特定の界面活性剤を配合し、併せて特定の油性成分を第1剤に選択的に配合すれば課題を解決できることを見出し、本発明を完成した。また、さらに第1剤に特定の酸を配合することにより、ブリーチ力を向上できることを見出した。
【課題を解決するための手段】
【0010】
(第1発明の構成)
上記課題を解決するための本願第1発明の構成は、アルカリ剤を含有する第1剤と、酸化剤を含有する第2剤を含んで構成される複数剤式のエアゾール型酸化染毛剤又は毛髪脱色剤であって、第1剤及び第2剤が下記(A)成分及び(C)成分を含有すると共に、第1剤が更に下記(B)成分を含有する酸化染毛・毛髪脱色/脱染剤組成物である。
(A)ノニオン性界面活性剤
(B)ラノリン及び/又はその誘導体
(C)噴射剤
【0011】
(第2発明の構成)
上記課題を解決するための本願第2発明の構成は、前記第1発明に係る酸化染毛・毛髪脱色/脱染剤組成物において、第1剤における(A)成分の含有量が0.01~10質量の範囲内、第2剤における(A)成分の含有量が、0.01~5質量%の範囲内である。
なお、この明細書では、(C)成分以外の成分について第1剤や第2剤中の含有量を表記するときは、(C)成分を除外した剤の全量を100質量%とした場合の質量%数で表す。そして(C)成分についての含有量表記は、上記した剤の全量100質量%に対する相対値を質量%数で表す。
【0012】
(第3発明の構成)
上記課題を解決するための本願第3発明の構成は、前記第1発明又は第2発明に係る酸化染毛・毛髪脱色/脱染剤組成物において、第1剤における(B)成分の含有量が0.01~2質量%の範囲内である。
【0013】
(第4発明の構成)
上記課題を解決するための本願第4発明の構成は、前記第1発明~第3発明のいずれかに係る酸化染毛・毛髪脱色/脱染剤組成物において、第1剤及び/又は第2剤が、更に下記(D)成分を含有する。
(D)20℃で固体の脂肪族アルコール
【0014】
(第5発明の構成)
上記課題を解決するための本願第5発明の構成は、前記第4発明に係る酸化染毛・毛髪脱色/脱染剤組成物において、第1剤における(A)成分と(D)成分の合計含有量が、0.01~12質量%の範囲内、第2剤における(A)成分と(D)成分の合計含有量が、0.01~10質量%の範囲内である。
【0015】
(第6発明の構成)
上記課題を解決するための本願第6発明の構成は、前記第1発明~第5発明のいずれかに係る酸化染毛・毛髪脱色/脱染剤組成物において、第1剤が、更に下記(E)成分を含有する
(E)α-ヒドロキシ酸
【発明の効果】
【0016】
(第1発明の効果)
第1発明の酸化染毛・毛髪脱色/脱染剤組成物は、第1剤及び第2剤が(A)ノニオン性界面活性剤及び(C)噴射剤を含有するため、両剤共にエアゾール容器から吐出した際に良質な泡状となり、ひいては、泡状の第1剤と泡状の第2剤の混合が容易で、混合した泡の泡質が良いため毛髪への塗布時の延びが良く、泡持ちが良好で消泡し難いため毛髪から液だれし難い。
【0017】
更に重要なことに、本願発明者は、第1剤が(B)ラノリン及び/又はその誘導体を含有すると、第1剤の泡質が格段に良好となり、その分だけ、泡状の第1剤と泡状の第2剤を混合した後の泡も更に良質となることを発見した。
以下、単に「混合後」というときは、「泡状の第1剤と泡状の第2剤を混合した後」を意味する。また、単に「混合液」というときは、「泡状の第1剤と泡状の第2剤を混合した泡」を意味する。
【0018】
なお、本願発明者が更に研究を進めたところ、(B)成分を第1剤ではなく、第2剤に配合した場合、特に第2剤に0.3質量%以上配合した場合は、泡状の第2剤の泡質が却って悪化し、ひいては混合後の泡質も悪化することを見出した。(B)成分を第1剤に配合するか、第2剤に配合するかにより、このように予測外の大きな差異を生じる技術的理由は未だに解明できていない。
【0019】
(第2発明の効果)
酸化染毛・毛髪脱色/脱染剤組成物の第1剤及び第2剤における(A)成分の含有量は、混合後の泡質の向上や液だれ防止の観点から、第1剤において0.01~10質量%の範囲内、第2剤において0.01~5質量%の範囲内であることが好ましい。
【0020】
(第3発明の効果)
酸化染毛・毛髪脱色/脱染剤組成物の第1剤における(B)成分の含有量は、混合後の泡質の向上のため、0.01~2質量%の範囲内が好ましい。
【0021】
(第4発明の効果)
酸化染毛・毛髪脱色/脱染剤組成物の第1剤及び/又は第2剤が(D)成分を含有すると、混合後の泡質が更に向上する。
【0022】
(第5発明の効果)
酸化染毛・毛髪脱色/脱染剤組成物の第1剤における(A)成分と(D)成分の合計含有量が、0.01~12質量%の範囲内、第2剤における(A)成分と(D)成分の合計含有量が、0.01~10質量%の範囲内であると、混合後の泡質が更に向上する。
【0023】
(第6発明の効果)
酸化染毛・毛髪脱色/脱染剤組成物の第1剤が(E)成分を含有すると、毛髪に対するブリーチ力が向上する。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下に、本発明の実施形態を、その最良の形態を含めて説明する。本発明の技術的範囲は以下の実施形態によって限定されない。
【0025】
〔酸化染毛・毛髪脱色/脱染剤組成物〕
本発明に係る「酸化染毛・毛髪脱色/脱染剤組成物」とは、2剤式等の複数剤式の酸化染毛剤、毛髪脱色剤及び毛髪脱染剤の総称である。これらの剤は、いずれも噴射剤を含有し、いわゆるエアゾール容器を用いて複数剤の各剤を泡状に吐出した後またはクリーム状に吐出し発泡した後、各剤の泡を混合して毛髪に塗布する。なお、クリーム状に吐出した後に発泡する、いわゆる後発泡タイプでは、混合または毛髪に塗布する過程で発泡してもよい。
【0026】
吐出前の酸化染毛・毛髪脱色/脱染剤組成物の第1剤及び第2剤は、例えば乳液状、クリーム状等の製剤とすることが好ましいが、これらの剤型に限定されず、可能であればゲル状、水溶液状等としても良い。
【0027】
酸化染毛・毛髪脱色/脱染剤組成物は、アルカリ剤を含有する第1剤と酸化剤を含有する第2剤からなる2剤式であっても良いが、例えば、このような第1剤を、アルカリ剤を主とする第1剤と、第1剤中のアルカリ剤以外の成分を含有する第3剤に分けた3剤式とすることもできる。
ある成分についての酸化染毛・毛髪脱色/脱染剤組成物中の含有量表記は、複数剤式の各剤の混合物中における含有量を意味する。
【0028】
複数剤式の酸化染毛・毛髪脱色/脱染剤組成物における各剤のpHは、それぞれ技術常識に従って適宜に調整すれば良いが、アルカリ剤を含有する第1剤については、通常はpH7~13程度、酸化剤を含有する第2剤については、通常はpH2~6程度である。
【0029】
〔酸化染毛・毛髪脱色/脱染剤組成物の主要成分〕
((A)成分)
(A)成分であるノニオン性界面活性剤としてはポリオキシエチレン(以下、「POE」と表記する)アルキルエーテル類、POEアルキルフェニルエーテル類、POE・POPアルキルエーテル類、POEソルビタン脂肪酸エステル類、POEモノ脂肪酸エステル類、POEグリセリン脂肪酸エステル類、ソルビタン脂肪酸エステル類、ショ糖脂肪酸エステル類、アルキルポリグルコシド類、脂肪酸アルカノールアミド類等が挙げられる。これらの中でもエーテル型のノニオン性界面活性剤が好ましく、特に、POEアルキルエーテル類が好ましい。
【0030】
POEアルキルエーテル類の具体例として、POE(21)ラウリルエーテル、POE(2)ラウリルエーテル、POE(10)オレイルエーテル、POE(50)オレイルエーテル、POE硬化ヒマシ油、POE(7)セチルエーテル、POE(20)ステアリルエーテル、POE(5)ベヘニルエーテル等が挙げられる。
これらの中でも、POE(21)ラウリルエーテル、POE(2)ラウリルエーテル、POE(10)オレイルエーテル、POE(50)オレイルエーテル、POE硬化ヒマシ油が好ましく、特にPOE(21)ラウリルエーテル、POE(2)ラウリルエーテルが好ましい
【0031】
ノニオン性界面活性剤のその他の具体例として、POEソルビタン脂肪酸エステル類であるモノオレイン酸POEソルビタン、モノステアリン酸POEソルビタン、トリオレイン酸POEソルビタン等が例示される。POEグリセリン脂肪酸エステル類であるモノステアリン酸POEグリセリン、モノミリスチン酸POEグリセリン等も例示される。ソルビタン脂肪酸エステル類であるテトラオレイン酸POEソルビット、ヘキサステアリン酸POEソルビット等も例示される。脂肪酸アルカノールアミド類であるラウリン酸モノエタノールアミド、ステアリン酸モノエタノールアミド、POEヤシ油脂肪酸モノエタノールアミド等も例示される。
【0032】
(A)ノニオン性界面活性剤の含有量は特に限定されないが、前記した(A)成分の作用・効果から見て、酸化染毛・毛髪脱色/脱染剤組成物中における第1剤において0.01~10質量%の範囲内、第2剤において0.01~5質量%の範囲内であることが好ましい。特に第1剤中での上限値は、より好ましくは7質量%、さらに好ましくは5質量%であり、下限値は、より好ましくは0.1質量%、さらに好ましくは0.3質量%である。また、第2剤中での上限値は、より好ましくは3質量%、さらに好ましくは2質量%であり、下限値は、より好ましくは0.1質量%、さらに好ましくは0.2質量%である。ノニオン性界面活性剤は、その1種が含有され、又は2種以上が組合せて含有される。
【0033】
((B)成分)
(B)成分であるラノリン及び/又はその誘導体に関し、ラノリンは周知のようにウールに覆われた動物の皮脂腺から分泌されるワックスであり、採取源となった羊などの動物種や、その精製プロセスの相違などにより、長鎖の脂質エステル、ラノリンアルコール、ラノリン酸、ラノリン炭化水素等が多様な組成で混在する油性成分であるが、本発明の(B)成分にはそれらの全てのラノリンが包含される。好ましいラノリンとしては、液状ラノリン、硬質ラノリン、軟質ラノリン、吸着精製ラノリン、還元ラノリンが挙げられる。
【0034】
次に、ラノリン誘導体における誘導体の種類は限定されない。POEラノリン、POE還元ラノリン、POEラノリンアルコール、ラノリン脂肪酸、ラノリンアルコール、軟質ラノリン脂肪酸、ラノリン脂肪酸オクシルドデシル、ラノリン脂肪酸イソプロピル、ラノリン脂肪酸PEGエステル、エチル硫酸ラノリン脂肪酸アミノプロピルエチルジメチルアンモニウム等のラノリン誘導体が例示されるが、特にPOEラノリンが好ましい。なお、POEラノリンは上記(A)ノニオン性界面活性剤の一種でもあるが、(A)成分としての効果よりも(B)成分としての効果を優勢に示すので、本発明では(B)成分として扱っており、前記(A)成分には包含させない。また、ラノリンアルコールは(D)20℃で固体の脂肪族アルコールの一種でもあるが、(D)成分としての効果よりも(B)成分としての効果を優勢に示すので、本発明では(B)成分として扱っており、(D)成分には包含させない。ラノリン及び/又はその誘導体は、その1種が含有され、又は2種以上が組合せて含有される。
【0035】
また、複雑な多成分系であるラノリンやラノリン誘導体について、ある程度までの大雑把な組成は解明されているが、未解明の成分も多く存在すると推定され、如何なる組成下における如何なる成分が(B)成分としての効果をサポートしているのかは、技術常識として不明であり、本願発明者にも不明である。従って、ラノリンについて既に解明された大雑把な組成情報に基づき構成された脂質混合物をラノリンと同一視し、又は類似物と推定することはできない。
【0036】
(B)ラノリン及び/又はその誘導体の含有量は特に限定されないが、(B)成分の作用・効果から見て、酸化染毛・毛髪脱色/脱染剤組成物中の0.01~2質量%の範囲内であることが好ましい。上限値としては、より好ましくは1.5質量%、さらに好ましくは1質量%であり、下限値としては、より好ましくは0.1質量%、さらに好ましくは0.2質量%である。第2剤には(B)成分を含有してもよいが、泡質および泡持ちの観点から、含有量は0.3質量%未満であることが好ましく、実質的に含有しないことがより好ましい。
【0037】
((C)成分)
(C)成分である噴射剤は、本発明の酸化染毛・毛髪脱色/脱染剤組成物の第1剤や第2剤をエアゾール容器から泡状に吐出するために配合する。(C)成分としては、例えば液化石油ガス(LPG)、ジメチルエーテル(DME)、イソペンタン、イソブタン、窒素ガス、炭酸ガス等が挙げられる。これらの中でも液化石油ガス、ジメチルエーテル、イソペンタン、イソブタンが好ましく、特に液化石油ガスが好ましい。
【0038】
(C)噴射剤の含有量は特に限定されないが、第1剤や第2剤中のそれぞれ3~10質量%の範囲内であることが好ましく、特に3~7質量%の範囲内であることが好ましい。噴射剤は、その1種が含有され、又は2種以上が組合せて含有される。
【0039】
((D)成分)
(D)成分である20℃で固体の脂肪族アルコールの種類は限定されないが、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、セチルアルコール(セタノール)、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール等が例示され、前記した(D)成分の作用・効果から見て、特に直鎖脂肪族のラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、セタノールが好ましく、とりわけミリスチルアルコール、セタノールが好ましい。
【0040】
(D)成分の含有量も特に限定されないが、前記した(D)成分の作用・効果から見て、酸化染毛・毛髪脱色/脱染剤組成物中における0.1~10質量%の範囲内であることが好ましい。上限値としては、より好ましくは7質量%、さらに好ましくは5質量%であり、下限値としては、より好ましくは0.1質量%、さらに好ましくは0.3質量%である。(D)成分は、その1種が含有され、又は2種以上が組合せて含有される。
【0041】
(合計含有量(A+D))
更に、酸化染毛・毛髪脱色/脱染剤組成物の第1剤又は第2剤中における(D)成分の含有量と前記(A)成分の含有量との合計含有量(A+D)は、第1剤において0.01~12質量%の範囲内であることが好ましい。上限値としては、より好ましくは9質量%、さらに好ましくは7質量%であり、下限値としては、より好ましくは0.2質量%、さらに好ましくは0.5質量%である。12質量%以下であると、組成物が良好な乳液状となり、LPG等の噴射剤が第1剤中に溶け込みやすくなり、ひいては、泡質がさらに良好となる。合計含有量(A+D)は、第2剤においては0.01~10質量%の範囲内であることが好ましい。上限値としては、より好ましくは7質量%、さらに好ましくは5質量%であり、下限値としては、より好ましくは0.2質量%、さらに好ましくは0.5質量%である。10質量%以下であると組成物が良好な乳液状となり、LPG等の噴射剤が第2剤中に溶け込みやすくなり、ひいては、泡質がさらに良好となる。
【0042】
((E)成分)
(E)成分であるα-ヒドロキシ酸は、前記したようにブリーチ力を向上させる成分であり、その含有量は特に限定されないが、酸化染毛・毛髪脱色/脱染剤組成物の第1剤中0.1~5質量%の範囲内であることが好ましい。上限値としては、より好ましくは3質量%、さらに好ましくは2質量%であり、下限値としては、より好ましくは0.1質量%、さらに好ましくは0.5質量%である。(E)成分の種類は限定されないが、グリコール酸(ヒドロキシ酢酸)、クエン酸、リンゴ酸、酒石酸、乳酸等が例示され、乳化安定性の観点からグリコール酸が好ましい。(E)成分は、その1種が含有され、又は2種以上が組合せて含有される。
【0043】
〔酸化染毛・毛髪脱色/脱染剤組成物のその他の主要成分〕
酸化染毛・毛髪脱色/脱染剤組成物の第1剤はアルカリ剤を含有し、第2剤は酸化剤を含有する。また、酸化染毛・毛髪脱色/脱染剤組成物が酸化染毛剤である場合は、その第1剤が酸化染料を含有し、酸化染毛・毛髪脱色/脱染剤組成物が毛髪脱染剤である場合は、その第2剤が酸化剤に加えて酸化助剤を含有する。
【0044】
(アルカリ剤)
アルカリ剤としては、アンモニアの他に、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モノイソプロパノールアミン、アミノメチルプロパノール、イソプロピルアミン等のアルカノールアミンが例示される。ケイ酸ナトリウム、ケイ酸カリウム等のケイ酸塩も例示される。炭酸ナトリウム、炭酸アンモニウム、炭酸マグネシウム、炭酸グアニジン、炭酸水素アンモニウム等の炭酸塩も例示される。更に、各種の炭酸水素塩、メタケイ酸塩、リン酸塩、塩基性アミノ酸、水酸化物等も例示される。これらの中でも、アンモニア、アルカノールアミン、炭酸塩が代表的である。
【0045】
アルカリ剤の含有量は特に限定されないが、通常は0.1~20質量%の範囲内で使用目的に応じて適宜に決定される。アルカリ剤はその1種が含有され、又は2種以上が組合せて含有される。
【0046】
(酸化剤、酸化助剤)
酸化剤の種類は限定されないが、過酸化水素、過酸化尿素、過酸化メラミン、過炭酸ナトリウム、過炭酸カリウム、過ホウ酸ナトリウム、過ホウ酸カリウム、過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム、過酸化ナトリウム、過酸化カリウム、過酸化マグネシウム、過酸化バリウム、過酸化カルシウム、過酸化ストロンチウム、硫酸塩の過酸化水素付加物、リン酸塩の過酸化水素付加物、及びピロリン酸塩の過酸化水素付加物等が挙げられる。
酸化助剤としては、過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム等の過硫酸塩が挙げられる。
【0047】
酸化染毛・毛髪脱色/脱染剤組成物の第2剤における酸化剤の含有量は適宜に設定すれば良いが、例えば0.1~15質量%の範囲内とすることができる。
【0048】
(酸化染料)
酸化染料は、染料中間体、又は染料中間体及びカプラーである。なお、酸化染料と共に、酸性染料、塩基性染料、天然染料、ニトロ染料、HC染料、分散染料等の直接染料も適宜に配合することができる。
【0049】
染料中間体の具体例としてp-フェニレンジアミン、p-トルエンジアミン、p-アミノフェノール、2,2'-[(4-アミノフェニル)イミノ]ビスエタノール及びこれらの塩が挙げられる。その他にも、N-フェニル-p-フェニレンジアミン、4,4’-ジアミノジフェニルアミン、o-アミノフェノール、p-メチルアミノフェノール、2-ヒドロキシエチル-p-フェニレンジアミン、o-クロル-p-フェニレンジアミン、4-アミノ-m-クレゾール、2-アミノ-4-ヒドロキシエチルアミノアニソール、2,4-ジアミノフェノール及びこれらの塩が挙げられる。
【0050】
カプラーの具体例としてパラメチルアミノフェノール、2,4-ジアミノフェノキシエタノール、α-ナフトール、2,6-ジアミノピリジン、5-アミノ-o-クレゾール、5-(2-ヒドロキシエチルアミノ)-2-メチルフェノール、レゾルシン、m-アミノフェノール、カテコール、ピロガロール、フロログルシン、没食子酸、ハイドロキノン、m-フェニレンジアミン、トルエン-3,4-ジアミン、ジフェニルアミン、3,3’-イミノジフェニール、1,5-ジヒドロキシナフタレン、タンニン酸、及びこれらの塩が挙げられる。
【0051】
酸化染毛剤の第1剤における酸化染料の含有量は染毛効果を考慮して適宜に設定すれば良いが、例えば0.1~10質量%の範囲内とすることができる。
【0052】
〔酸化染毛・毛髪脱色/脱染剤組成物の任意成分〕
本発明の酸化染毛・毛髪脱色/脱染剤組成物には、上記の主要成分以外に、以下に例示するような多様な任意成分を、本発明の効果を阻害しない限りにおいて、任意の含有量範囲で含有することができる。
【0053】
(ノニオン性界面活性剤以外の界面活性剤)
ノニオン性界面活性剤以外の界面活性剤として、カチオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤及び両性界面活性剤が挙げられる。
【0054】
(カチオン性界面活性剤)
カチオン界面活性剤としては、モノアルキル型、ジアルキル型、トリアルキル型、ベンザルコニウム型、モノアルキルエーテル型等のアルキル4級アンモニウム塩類の他、各種のアミン塩類や塩化ベンゼトニウム等も例示される。
【0055】
具体的には、塩化ラウリルトリメチルアンモニウム、塩化セチルトリメチルアンモニウム、臭化ラウリルトリメチルアンモニウム、塩化ベヘニルトリメチルアンモニウム、塩化ジアルキル(12~15)ジメチルアンモニウム、塩化ジアルキル(12~18)ジメチルアンモニウム、塩化ジアルキル(14~18)ジメチルアンモニウム、塩化ジココイルジメチルアンモニウム、塩化ジセチルジメチルアンモニウム、塩化ジステアリルジメチルアンモニウム、塩化イソステアリルラウリルジメチルアンモニウム等が挙げられる。
【0056】
(アニオン性界面活性剤)
アニオン性界面活性剤としては、アルキルエーテル硫酸塩、POEアルキルエーテル硫酸塩、アルキル硫酸塩、アルケニルエーテル硫酸塩、アルケニル硫酸塩、オレフィンスルホン酸塩、アルカンスルホン酸塩、飽和又は不飽和脂肪酸塩、アルキル又はアルケニル エーテルカルボン酸塩、α-スルホン脂肪酸塩、N-アシルアミノ酸型界面活性剤、リン酸モノ又はジエステル型界面活性剤、及びスルホコハク酸エステルが例示される。これらの界面活性剤のアニオン基の対イオンは、例えばナトリウムイオン、カリウムイオン、及びトリエタノールアミンのいずれであってもよい。
【0057】
具体的には、ラウリル硫酸ナトリウム、ミリスチル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸カリウム、ラウリル硫酸アンモニウム、ラウリル硫酸トリエタノールアミン、セチル硫酸ナトリウム、ステアリル硫酸ナトリウム、POEラウリルエーテル硫酸ナトリウム、POEラウリルエーテル硫酸トリエタノールアミン、POEラウリルエーテル硫酸アンモニウム、POEステアリルエーテル硫酸ナトリウム、ステアロイルメチルタウリンナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸トリエタノールアミン、テトラデセンスルホン酸ナトリウム、ラウリルリン酸ナトリウム、POEラウリルエーテルリン酸及びその塩、N-ラウロイルグルタミン酸塩類(ラウロイルグルタミン酸ナトリウム等)、N-ラウロイルメチル-β-アラニン塩、N-アシルグリシン塩、N-アシルグルタミン酸塩、高級脂肪酸であるラウリン酸、ミリスチン酸及びこれらの高級脂肪酸の塩が例示される。
【0058】
(両性界面活性剤)
両性界面活性剤としては、アミノ酸型両性界面活性剤、ベタイン型両性界面活性剤が挙げられる。
アミノ酸型両性界面活性剤としては、N-ラウロイル-N’-カルボキシメチル-N’-ヒドロキシエチルエチレンジアミンナトリウム(ラウロアンホ酢酸Na)、塩酸アルキルジアミノエチルグリシン、ラウリルジアミノエチルグリシンナトリウム、パーム油脂肪酸アシル-N-カルボキシエチル-N-ヒドロキシエチルエチレンジアミンナトリウムなどのグリシン型両性界面活性剤、ラウリルアミノプロピオン酸ナトリウム、ラウリルアミノジプロピオン酸ナトリウム、ラウリルアミノプロピオン酸トリエタノールアミンなどのアミノプロピオン酸型両性界面活性剤等が例示される。
【0059】
ベタイン型両性界面活性剤の具体例としては、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ヤシ油アルキルベタイン、ミリスチルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ステアリルジメチルベタインナトリウム、ヤシ油脂肪酸アミドプロピルベタイン、パーム油脂肪酸アミドプロピルベタイン、ラウリン酸アミドプロピルベタイン、リシノレイン酸アミドプロピルベタイン、ステアリルジヒドロキシエチルベタインなどのアミノ酢酸ベタイン型両性界面活性剤、ラウリルヒドロキシスルホベタインなどのスルホベタイン型両性界面活性剤等が例示される。
【0060】
((B)、(D)成分以外の油性成分)
(B)ラノリン及び/又はその誘導体及び(D)20℃で固体の脂肪族アルコール以外の油性成分としては、20℃で液状又は半ば液状である脂肪族アルコール、ラノリンやその誘導体以外の油脂とロウ類、炭化水素、高級脂肪酸、エステル類、シリコーン油等が例示される。
【0061】
20℃で液状又は半ば液状である脂肪族アルコールとしては、カプリルアルコール、ヘキシルデカノール、イソステアリルアルコール等が例示される。
【0062】
ラノリンやその誘導体以外の油脂とロウ類としては、オリーブ油、ツバキ油、シア脂、マカデミアナッツ油、サフラワー油、ゴマ油、牛脂、カカオ脂、ナタネ油、小麦胚芽油、アボカド油、卵黄油、ミツロウ(蜜蝋)、キャンデリラロウ、カルナウバロウ、ホホバ油、鯨ロウ等が例示される。
【0063】
炭化水素としては、流動パラフィン、パラフィン、マイクロクリスタリンワックス、ワセリン、α-オレフィンオリゴマー等が例示される。高級脂肪酸としては、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘニン酸等が例示される。エステル類としては、アジピン酸ジイソプロピル、ミリスチン酸イソプロピル、ミリスチン酸ミリスチル、オクタン酸セチル等が例示される。シリコーン油としては、ジメチルポリシロキサン(INCI名:ジメチコン)、ヒドロキシ末端基を有するジメチルポリシロキサン(INCI名:ジメチコノール)、メチルフェニルポリシロキサン、ポリエーテル変性シリコーン、アミノ変性シリコーン等が例示される。
【0064】
((E)成分以外の酸類)
(E)成分であるα―ヒドロキシ酸以外の酸類としては、リン酸、ピロリン酸等のリン酸類、塩酸、硫酸、硝酸等の無機酸類、酢酸、レブリン酸、グルコン酸、アスパラギン酸、グルタミン酸、ヒドロキシエタンジホスホン酸、アスコルビン酸等のα―ヒドロキシ酸以外の有機酸類が挙げられる。酸類は通常、酸化染毛剤等の第2剤に含有され、第1剤との混合時にアルカリ剤を中和する効果を示す。
【0065】
〔その他の任意成分〕
酸化染毛・毛髪脱色/脱染剤組成物には、上記の任意成分以外に、安息香酸ナトリウム等の防腐剤、エタノール等の有機溶剤、ソルビトール、マルトース等の糖類、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシビニルポリマー等の水溶性高分子、ポリ塩化ジメチルメチレンピペリジニウム液、塩化ジアリルジメチルアンモニウム・ヒドロキシエチルセルロース等のカチオン化水溶性高分子、ポリエチレングリコール、ジプロピレングリコール等の多価アルコール、ヒドロキシエタンジホスホン酸四ナトリウム液等のキレート剤、塩化ナトリウム等の無機塩、炭酸水素アンモニウム等のpH調整剤、育毛成分、植物抽出物、生薬抽出物、アミノ酸・ペプチド、尿素、ビタミン類、香料、及び紫外線吸収剤等を任意に含有することができる。
【実施例
【0066】
以下に本発明の実施例を、対応する比較例と共に説明する。本発明の技術的範囲はこれらの実施例、比較例によって限定されない。
【0067】
〔実施例の調製〕
末尾の表1~表4中の実施例1~実施例13及び実施例1Aに示すように、本発明に係る酸化染毛・毛髪脱色剤の乳液状第1剤を常法に従って調製した。これら第1剤を、表5に示す実施例17の第2剤と質量比1:1で混合して、吐出後の混合液の評価を行った。また、末尾の表5中の実施例14~19に示すように、本発明に係る酸化染毛・毛髪脱色剤の乳液状第2剤を常法に従って調製した。これら第2剤を、表1に示す実施例5の第1剤と質量比1:1で混合して、混合液の評価を行った。
【0068】
表1~5において、本発明の(A)~(E)に該当する成分は、その成分名の左側にそれぞれ「A」~「E」の表記を付した。なお、表1~5の第1剤および第2剤には、前記した段落0011に従って(C)噴射剤(LPG)の含有量5質量%を記載している。表1~5中の各成分の含有量を示す数値は、いずれも質量%単位である。
【0069】
表1~5における「A+D」の欄には、前記第5発明に係る第1剤の(A)成分と(D)成分の合計含有量を記載している。
【0070】
〔実施例の評価〕
(混合液の泡質の評価)
手で泡を触れた際の感覚から泡質を評価した。具体的には、25℃の条件下平らな板上に、第1剤・第2剤をエアゾール容器よりそれぞれ2g泡状に吐出し、均一に混合後、専門のパネラー10名が泡の形状及び手で触れた際の弾力を観察(官能評価)し、下記基準にて評価した。泡の形状保持性・弾力性がともに非常に高いものを、優れる(5点)、形状保持性・弾力性ともに高いものを、良好(4点)、形状は保持しているが弾力性が高いとは言えないものを、可(3点)、形状保持性・弾力性ともにやや低いものを、やや不良(2点)、形状が保持されず弾力性が非常に低いものを、不良(1点)の5段階で採点した。次いで各パネラーの採点結果について、平均点を算出した。
6:平均点が4.6点以上
5:平均点が4.1点以上4.6点未満
4:平均点が3.6点以上4.1点未満
3:平均点が3.1点以上3.6点未満
2:平均点が2.6点以上3.1点未満
1:平均点が2.6点未満
【0071】
(混合液の液だれの評価)
画用紙に置いた混合液の移動距離で液だれを評価した。具体的には、第1剤・第2剤を質量比1:1でエアゾール容器から泡状に吐出させ、均一に混合したものをA3サイズ片面コートガード画用紙(品番:NEW-DV310)表面上に1g置き、45℃条件下で画用紙を水平面に対して90°の角度に立てかけ30分静置し、混合液の移動距離を評価した。混合液の下端部の移動距離が3cm未満のものを、優れる(5点)、下端部の移動距離が3cm以上6cm未満のものを、良好(4点)、下端部の移動距離が6cm以上12cm未満のものを可(3点)、下端部の移動距離が12cm以上18cm未満のものを、やや不良(2点)、下端部の移動距離が18cm以上のものを、不良(1点)の5段階で採点した。
【0072】
(混合液の泡持ち評価)
混合後の泡の精製水保持力で評価した。具体的には、第1剤・第2剤を質量比1:1でエアゾール容器から泡状に吐出させたものを50mLの円筒状遠心缶(内径30mm)に2.5gとり、さらに精製水を7.5g加えて転倒混和した。15分静置後、底に溜まった精製水の深さを測定し、20mm未満のものを○(優れる)、20mm以上のものを×(不良)と評価した。
【0073】
(ブリーチ力の評価)
表4に示す第1剤実施例1A又は実施例13と第2剤(実施例17)の泡を質量比1:1で混合し、黒毛の毛束(10cmのビューラックス社製、明度レベル3)(以下、単に毛束という。)に刷毛を用いて塗布し、30℃にて30分間放置した。次に、毛束に付着した各例の脱色剤を水ですすいだ後、毛束にシャンプー(シャンプー用組成物としてホーユー社製のビゲントリートメントシャンプー)を2回、及びリンス(リンス用組成物としてホーユー社製のビゲントリートメントリンス)を1回施した。なお、シャンプー用組成物及びリンス用組成物は、それぞれ処理毎に水で洗い流している。続いて、毛束を温風で乾燥した後、一日間放置した。
上記各例の染毛処理後の毛束のブリーチ力について、標準光源下で目視にて、以下の基準で評価することにより、明度が優れるか否かについて判断した。JHCAヘアカラーリング・レベルスケールで規定の7レベル以上の明るさのものを◎(優れる)、6レベル以上7レベル未満の明るさのものを○(良好)、6レベル未満の暗さのものを×(不良)と評価した。
【0074】
【表1】

表1に示すように、実施例1と比較例1を比較すると、(A)成分と(B)成分を含有する実施例1では、混合液の泡質、液だれ、泡持ち評価が全て優れていたが、(A)成分を含有しない比較例1では、すべてにおいて評価1または×であった。また、実施例1と、(B)成分を含有しない比較例2を比較すると、(B)成分の配合により混合液の泡質評価が2から6と格段に向上された。
したがって、第1剤に(A)成分及び(B)成分を配合することにより、混合液の泡質、液だれ、泡持ちが全て向上することが示された。
また、種々の(A)、(B)成分を含有する実施例1~4において、混合液の泡質、液だれ、泡持ちがすべて優れていた。
【0075】
【表2】
表2に示すように、実施例5と6を比較すると、第1剤において(A)成分の含有量が10質量%以下である実施例6において、混合液の液だれ防止効果が向上した。
また、実施例7と8を比較すると、第1剤において(B)成分の含有量が2質量%以下である実施例8において、混合液の泡質が向上していた。
【0076】
【表3】
表3に示すように、種々の(D)成分を含有する実施例1、10~12と(D)成分を含有しない実施例9を比較すると、第1剤において(D)成分の配合により混合液の泡質が向上していた。また、実施例11と12を比較すると、第1剤において(A)成分と(D)成分の合計含有量が12質量%以下である実施例11では、混合液の泡質がさらに向上していた。
【0077】
【表4】
表4に示すように、実施例1Aと13を比較すると、第1剤において(E)成分の含有によりブリーチ力が向上した。
【0078】
【表5】
表5に示すように、実施例15と比較例3を比較すると、第2剤において(A)成分を含有する実施例15では、混合液の泡質、液だれ、泡持ち評価が全て良好以上であったが、(A)成分を含有しない比較例3では、すべての評価が著しく劣る結果であった。したがって、第2剤に(A)成分を配合することにより、混合液の泡質、液だれ、泡持ちが全て向上することが示された。
なお、(B)成分を0.25質量%含有する実施例14の第2剤を、実施例5の第1剤と混合した場合の評価は、表5に示すとおり良好であったが、(B)成分を含有しない比較例2の第1剤と混合した場合、混合液の泡質は改善されなかった。したがって、混合液の泡質の改善には、(B)成分を第2剤ではなく第1剤に含有することが有効であることが分かった。
また、実施例16と17を比較すると、第2剤において(A)成分の含有量が5質量%以下である実施例16において、混合液の液だれ防止効果が向上した。さらに(D)成分を含有する実施例15と含有しない実施例18を比較すると、第2剤において(D)成分の配合により混合液の泡質が向上していた。また、実施例15と19を比較すると、第2剤において(A)成分と(D)成分の合計含有量が10質量%以下である実施例15の方が、混合液の泡質がより良好であった。
【産業上の利用可能性】
【0079】
本発明によれば、エアゾール容器によって第1剤及び第2剤から良質な泡が得られ、それらを混合した泡も良質となる複数剤式のエアゾール型酸化染毛剤又は毛髪脱色/脱染剤が提供される。