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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-14
(45)【発行日】2024-11-22
(54)【発明の名称】コンロ
(51)【国際特許分類】
   F24C 15/00 20060101AFI20241115BHJP
   F24C 3/02 20210101ALI20241115BHJP
【FI】
F24C15/00 M
F24C15/00 S
F24C3/02 H
F24C3/02 Q
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2021016257
(22)【出願日】2021-02-04
(65)【公開番号】P2022119268
(43)【公開日】2022-08-17
【審査請求日】2023-11-09
(73)【特許権者】
【識別番号】000112015
【氏名又は名称】株式会社パロマ
(74)【代理人】
【識別番号】100104178
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 尚
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 浩也
(72)【発明者】
【氏名】山田 晋也
【審査官】伊藤 紀史
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-044429(JP,A)
【文献】特開2005-196500(JP,A)
【文献】実開平03-116423(JP,U)
【文献】特開2019-027659(JP,A)
【文献】特開2019-032098(JP,A)
【文献】特開2019-039594(JP,A)
【文献】特開2019-039593(JP,A)
【文献】特開2019-035511(JP,A)
【文献】特開2019-044993(JP,A)
【文献】特開2019-044994(JP,A)
【文献】特開2019-044988(JP,A)
【文献】特開2019-070490(JP,A)
【文献】特開2020-101336(JP,A)
【文献】特開2019-100562(JP,A)
【文献】特開2020-106198(JP,A)
【文献】特開2020-106197(JP,A)
【文献】特開2017-044430(JP,A)
【文献】特開2005-351521(JP,A)
【文献】特開2005-351522(JP,A)
【文献】実開昭58-186301(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2014/0047944(US,A1)
【文献】中国実用新案第211902987(CN,U)
【文献】中国実用新案第207196551(CN,U)
【文献】特開2022-126074(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24C 15/00
F24C 3/00
H05B 6/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
上部にコンロバーナが配置される筐体と、
前記筐体に配置され、前記コンロバーナへ燃料を供給する燃料供給装置と、
前記燃料供給装置の前方において前記筐体に固定されるパネル部と、
前記燃料供給装置によって前記コンロバーナに供給される燃料の供給量を回動操作によって調節し、少なくとも前記回動操作が行われる場合に前記パネル部の前方に突出して配置される操作つまみと
を備えたコンロであって、
前記パネル部は、
前後方向に貫通し、前記操作つまみが配置される貫通穴を備えるパネル本体と、
前記貫通穴の内部において前記操作つまみの外側に配置され、前記操作つまみの前記回動操作に応じて回動可能な筒状体と、
前記パネル本体の後側において発光する発光部と
を備え、
前記操作つまみの外周部には、導光材料を用いて構成され、前記操作つまみの前記回動操作が行われる場合に前記パネル部の前面よりも後方に配置される後方配置部と、前記回動操作が行われる場合に前記パネル部よりも前方に配置される前方配置部とを有する導光部が設けられ、
前記前方配置部は、前記後方配置部に対して前方に突出した部分である突出部を、前記操作つまみの前記外周部の周方向に沿って等間隔に複数備え、
前記筒状体は、光を通過させる光通過部を一部に備え、前記操作つまみの前記回動操作に応じた回動によって、前記発光部から前記後方配置部に向かう光である出射光が前記光通過部を通過して前記後方配置部に対して到達する位置又は範囲の少なくともいずれかを変化させ、
前記導光部は、前記後方配置部から内部に進入した光を、前記前方配置部のうち前記出射光が前記後方配置部に到達した部分の前方に配置される部分へ導き発光させ、前記筒状体の回動に応じて、前記突出部を発光させること
を特徴とするコンロ。
【請求項2】
前記後方配置部は、前記操作つまみの前記外周部の後端部を環状に覆い、
前記前方配置部は、前記操作つまみの前記外周部の全周に亘って前記突出部を等間隔に備え、
前記燃料供給装置は、
前記コンロバーナへの燃料の供給量を調節する調節部と、
前記操作つまみと前記調節部とを連結する連結部とを備え、
前記連結部は前記調節部に噛み合う歯を複数有するギヤ部を有し、
前記ギヤ部における前記歯の数と、前記前方配置部における前記突出部の数とが同じであることを特徴とする請求項1に記載のコンロ。
【請求項3】
前記操作つまみは、前後方向に延びる筒部を有する円筒状であり、
前記操作つまみの前記外周部である前記筒部は、法線を前記筒部の径方向に沿って配置して前後方向に延びる平面を有する面部を複数備えることを特徴とする請求項1又は2に記載のコンロ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンロに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、コンロバーナへの燃料の供給量を調節可能な操作つまみの回動位置に対応して火力表示を行うコンロが知られている。特許文献1に開示されたガスコンロは、操作つまみの回動位置に応じた所定の部分において発光部の光を前方に通過させる光通過部を備える。光通過部を通過した光は、筐体前面部に設けられる化粧パネルに設けられる透光部を介して、前方に出射される。このような構成により、透光部は、現在の火力に応じた部分を光らせることで、火力表示を行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2019-27659号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の透光部による火力表示は、前方に向けて出射される光を用いて行われるので、正面から視認される場合に最も視認性が高まる。一方、コンロを用いて調理等を行うコンロの使用者は、透光部を上方から見下ろす姿勢になることが多く、この場合には、透光部による火力表示が使用者の視線に入り難くなる可能性があるといった問題がある。
【0005】
本発明はこのような問題点を解決するためになされたものであり、コンロを使用中の使用者が視認しやすい火力表示を行うことができるコンロを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の請求項1に係るコンロは、上部にコンロバーナが配置される筐体と、前記筐体に配置され、前記コンロバーナへ燃料を供給する燃料供給装置と、前記燃料供給装置の前方において前記筐体に固定されるパネル部と、前記燃料供給装置によって前記コンロバーナに供給される燃料の供給量を回動操作によって調節し、少なくとも前記回動操作が行われる場合に前記パネル部の前方に突出して配置される操作つまみとを備えたコンロであって、前記パネル部は、前後方向に貫通し、前記操作つまみが配置される貫通穴を備えるパネル本体と、前記貫通穴の内部において前記操作つまみの外側に配置され、前記操作つまみの前記回動操作に応じて回動可能な筒状体と、前記パネル本体の後側において発光する発光部とを備え、前記操作つまみの外周部には、導光材料を用いて構成され、前記操作つまみの前記回動操作が行われる場合に前記パネル部の前面よりも後方に配置される後方配置部と、前記回動操作が行われる場合に前記パネル部よりも前方に配置される前方配置部とを有する導光部が設けられ、前記前方配置部は、前記後方配置部に対して前方に突出した部分である突出部を、前記操作つまみの前記外周部の周方向に沿って等間隔に複数備え、前記筒状体は、光を通過させる光通過部を一部に備え、前記操作つまみの前記回動操作に応じた回動によって、前記発光部から前記後方配置部に向かう光である出射光が前記光通過部を通過して前記後方配置部に対して到達する位置又は範囲の少なくともいずれかを変化させ、前記導光部は、前記後方配置部から内部に進入した光を、前記前方配置部のうち前記出射光が前記後方配置部に到達した部分の前方に配置される部分へ導き発光させ、前記筒状体の回動に応じて、前記突出部を発光させることを特徴とする。
【0007】
【0008】
請求項2に係るコンロは、請求項1に記載の構成に加えて、前記後方配置部は、前記操作つまみの前記外周部の後端部を環状に覆い、前記前方配置部は、前記操作つまみの前記外周部の全周に亘って前記突出部を等間隔に備え、前記燃料供給装置は、前記コンロバーナへの燃料の供給量を調節する調節部と、前記操作つまみと前記調節部とを連結する連結部とを備え、前記連結部は前記調節部に噛み合う歯を複数有するギヤ部を有し、前記ギヤ部における前記歯の数と、前記前方配置部における前記突出部の数とが同じであることを特徴とする。
【0009】
請求項3に係るコンロは、請求項1又は2に記載の構成に加えて、前記操作つまみは、前後方向に延びる筒部を有する円筒状であり、前記操作つまみの前記外周部である前記筒部は、法線を前記筒部の径方向に沿って配置して前後方向に延びる平面を有する面部を複数備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
筒状体は、操作つまみの回動動作に応じて回動する。光通過部は、出射光を通過させて、後方配置部から導光部の内部に光を進入させる。したがって、操作つまみの回動動作に応じて、後方配置部のうち出射光が到達した部分に対応する前方配置部の部分に光が導かれて発光し、そうでない部分は発光しない。すなわち、導光部は、操作つまみのうちパネル部よりも前方に配置される前方配置部において、燃料供給装置への燃料の供給量に応じた発光動作を行うことができる。使用者が操作する操作つまみ自体において火力表示が行われるので、請求項1に係るコンロは、コンロを使用中の使用者が視認しやすい火力表示を行うことができる。
【0011】
また、筒状体の回動に応じて、所定の位置の突出部又は所定の範囲の突出部が、それぞれ独立して発光する。したがって、請求項1に係るコンロは、前方配置部が突出部を複数備えない場合よりも火力を把握しやすい火力表示を行うことができる。
【0012】
請求項2に係るコンロは、請求項1に記載の発明の効果に加え、操作つまみの回動操作の量と、調節部による燃料の供給量の調節とが一意に対応する。したがって、請求項2に係るコンロは、火力表示を正確に行うとともに、使用者の火力調節の精度を高めることができる。
【0013】
請求項3に係るコンロは、請求項1又は2に記載の発明の効果に加え、操作つまみの外周部である筒部に複数の面部を設けるので、操作つまみを操作する使用者が操作つまみを摘まみやすくなる。したがって、請求項3に係るコンロは、操作つまみの回動操作の操作性を向上し、火力調節及び火力表示の精度を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】コンロ1の斜視図である。
図2】燃料供給装置20の斜視図である。
図3】パネル装置9Bの分解斜視図である。
図4】操作つまみ13の分解斜視図である。
図5】筒状体70の斜視図である。
図6】操作つまみ13における火力表示の動作原理を説明する説明図である。
図7図6からパネル装置9Bを省略した説明図である。
図8図6のパネル装置9B及び燃料供給装置20を左方から見た説明図である。
図9】変形例の導光部236を備える操作つまみ13の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態を説明する。以下に記載される装置の構造等は、特定的な記載がない限り、それのみに限定する趣旨ではなく、単なる説明例である。図面は、本発明が採用しうる技術的特徴を説明するために用いられるものである。以下説明では、図中に矢印で示す左右、前後、上下を使用する。
【0016】
図1を参照して、コンロ1について説明する。コンロ1は、ビルトインタイプのガスコンロである。コンロ1は筐体2と天板3とを備える。筐体2は、上部が開口した略直方体状に形成される。天板3は、筐体2の開口部分に設置される。天板3において、右前部に右バーナ4、左前部に左バーナ5、中央部に奥バーナ6が、それぞれ設けられる。天板3の後部には、筐体2の内部に設置されたグリル庫(図示略)の使用時にグリル庫の内部に生ずる燃焼排気を外部に排出する排気口7が設けられる。
【0017】
コンロ1の前面の略中央には、グリル庫の前側開口部分を開閉するグリル扉8が設けられる。グリル扉8の右側の領域には、正面視円形状の2つの操作つまみ11,12が左右方向に並んで設けられる。グリル扉8の左側の領域には、操作つまみ11,12と同じ高さの位置に、同一形状の2つの操作つまみ13,14が左右方向に並んで設けられる。操作つまみ11,12,13,14のそれぞれは、右バーナ4、グリル庫内のグリルバーナ(図示略)、奥バーナ6、左バーナ5の点火、消火、及び火力調節を行うために設けられる。
【0018】
図2を参照して、燃料供給装置20について説明する。コンロ1は、右バーナ4、左バーナ5、奥バーナ6のそれぞれに燃料であるガスを供給する3つの燃料供給装置20を、筐体2の内部に備える。操作つまみ11,13,14は、それぞれ、燃料供給装置20の前端部に取り付けられる。コンロ1は、グリルバーナにガスを供給する燃料供給装置(図示略)も、筐体2の内部に備える。グリルバーナにガスを供給する燃料供給装置は、燃料供給装置20の構成に加えて、グリルバーナの火力を弱火力と強火力とに切替えるための電磁弁、グリルバーナに供給するガス圧を調節するためのガバナ装置等を備える。操作つまみ12は、グリルバーナにガスを供給する燃料供給装置の前端部に取り付けられる。グリルバーナにガスを供給する燃料供給装置については、説明を省略する。以下では、奥バーナ6にガスを供給する燃料供給装置20及び奥バーナ6にガスを供給する燃料供給装置20に対応する操作つまみ13について説明する。本発明が実現する、後述する操作つまみ13における奥バーナ6の火力表示は、操作つまみ11,12,14における右バーナ4、グリルバーナ、左バーナ5の火力表示においても同様に行われる。
【0019】
操作つまみ13は、前後方向に延びる外周部132及び前端部を覆う円形の平面部である前面134を有し、前後方向に延びる円筒形状の本体部131を備える。燃料供給装置20は、操作つまみ13の押込操作に応じて奥バーナ6の点火及び消火を行い、操作つまみ13の回動操作に応じて奥バーナ6へのガスの供給量の調節を行う。押込操作は、操作つまみ13を後方へ押圧し、操作つまみ13の前面134をコンロ1の筐体2の前面F(パネル装置9Bの前面、図1参照)よりも後方に押し込む操作である。回動操作は、操作つまみ13の外周部132を指等で摘まみ、前後方向に延びる軸(軸心AX)を中心に操作つまみ13を回転する操作である。
【0020】
燃料供給装置20は、プッシュ・プッシュ機構24、ガス流路部22、火力調節カム26、流量調節部31、連結部材25、中火ガイド90等を備える。プッシュ・プッシュ機構24は、公知の機構であり、本実施形態では、操作つまみ13を待機位置、押込位置、操作位置の各位置にて位置決めし、各位置に応じて後述するメイン弁(図示略)を開放状態又は閉鎖状態に維持するために用いられる。待機位置は、操作つまみ13の前面134が、コンロ1の筐体2の前面Fと前後方向においてほぼ同じ位置となる位置である。待機位置において、操作つまみ13の前面134は、前面Fよりも僅かに後側に位置してもよいし、前面Fよりも僅かに前側に位置してもよい。押込位置は、操作つまみ13の前面134が、前面Fよりも後方に押し込まれた位置である。押込位置において、操作つまみ13は待機位置よりも後方に位置する。操作位置は、操作つまみ13の後端部133が前面Fよりも後方に位置するとともに、操作つまみ13の本体部131の大部分が前面Fよりも前方に突出する位置である。操作位置において、操作つまみ13は待機位置よりも前方に位置する。操作つまみ13は、操作位置にある場合、軸心AXを中心に回転可能(回動操作可能)である。
【0021】
プッシュ・プッシュ機構24は、操作つまみ13の押込操作に合わせて前後方向に移動するスライダ40、スライダ40を前方へ押し戻すバネ(図示略)、メイン弁を駆動する弁駆動部(図示略)等を備える。スライダ40は、操作つまみ13が押込操作される度に、操作つまみ13を待機位置から押込位置を経て操作位置に移動する動作と、操作位置から押込位置を経て待機位置に移動する動作とを繰り返す。弁駆動部は、操作つまみ13が待機位置から操作位置に移動する動作に連動してメイン弁を開放し、且つ開放状態に維持する動作を行い、操作つまみ13が操作位置から待機位置に移動する動作に連動してメイン弁を閉鎖し、且つ閉鎖状態に維持する動作を行う。
【0022】
ガス流路部22は、プッシュ・プッシュ機構24の後側に連結される。ガス流路部22の内部には第一ガス通路(図示略)が形成される。第一ガス通路は、下部に開口する導入口23に接続するガス供給管(図示略)から供給されるガスを、流量調節部31に流通する。第一ガス通路には安全弁(図示略)とメイン弁(図示略)とが設けられる。安全弁は、第一ガス通路を閉じる閉状態に弾性付勢された電磁操作式の弁である。メイン弁は、操作つまみ13の押込操作に応じて第一ガス通路の開閉を行う弁である。なお、メイン弁及び安全弁は周知のものであるので、動作の詳細な説明は省略する。
【0023】
流量調節部31はプッシュ・プッシュ機構24とガス流路部22との上部に設けられる。流量調節部31の内部には第二ガス通路(図示略)が形成される。第二ガス通路は、ガス流路部22から供給されるガスを流通し、上部に開口する流出口(図示略)に接続されるガス供給管(図示略)を介して奥バーナ6に供給する。なお、図示しないが、グリルバーナにガスを供給する燃料供給装置の上側にはガバナ装置が設けられ、流出口から流出するガスがガバナ装置の内部に導入される。ガバナ装置は、内部に導入したガスの圧力を調節してグリルバーナに供給する。
【0024】
流量調節部31の前端部には第二ガス通路に連通する穴部30が形成され、ニードル弁28が挿入される。ニードル弁28は、前端部側が穴部30から外部に露出され、後端部側が第二ガス通路内にて前後方向に移動可能に配置される。ニードル弁28の前端部には、上下方向に延びるピン29が設けられる。
【0025】
火力調節カム26は略半円筒状に形成され、プッシュ・プッシュ機構24の前端側上部を覆うようにして、軸心AXの周りを回転可能に設けられる。火力調節カム26は、前後方向への移動が規制される。火力調節カム26の外周部には、カム溝27が設けられる。カム溝27は、軸心AXを中心とする螺旋状に形成される。カム溝27にはニードル弁28に設けられたピン29の下端部が係合する。火力調節カム26が回転すると、カム溝27がピン29を案内し、ニードル弁28を前後方向に移動する。
【0026】
火力調節カム26は、前方に延びる延伸部34を備え、延伸部34の前端部分に、内向きに突出する歯部35を有する。操作つまみ13が操作位置にある場合、歯部35は連結部材25の歯部38(後述)に噛み合い、連結部材25を介して火力調節カム26を操作つまみ13とともに軸心AXを中心に回転する。延伸部34の外周面には、筒状体操作部材36が固定される。筒状体操作部材36は、前方に延びる係合片36Bを有する。筒状体操作部材36は筒状体70(後述)に係合し、筒状体70を火力調節カム26とともに軸心AXを中心に回転する。延伸部34は、途中で狭窄するテーパ部34Aを備える。操作つまみ13に対する押込操作がなされる場合、テーパ部34Aは中火ガイド90に係合し、中火ガイド90を回転する。
【0027】
連結部材25は、プッシュ・プッシュ機構24のスライダ40から前方に延び、軸心AXを軸とする軸体37に係合する。連結部材25は軸体37の前端部に保持され、軸心AXを中心に軸体37の周囲を回転可能な状態で、スライダ40とともに前後方向へ移動可能に設けられる。操作つまみ13は連結部材25の先端部25Aに保持され、連結部材25とともに前後方向へ移動可能、且つ軸心AXを中心に回転可能に設けられる。連結部材25は、火力調節カム26の歯部35に噛み合う歯38Aを複数有する歯部38を、後端部の外周面に有する。操作つまみ13が操作位置にある場合、連結部材25の歯部38は火力調節カム26の歯部35と噛み合い、操作つまみ13と火力調節カム26とを連結する。操作つまみ13が操作位置にない場合、火力調節カム26の歯部35は連結部材25の歯部38の前方に位置して歯部38と噛み合わず、操作つまみ13と火力調節カム26との連結状態を解除する。
【0028】
中火ガイド90は連結部材25の後側に配置される。中火ガイド90はスライダ40の軸体37に固定されて、スライダ40とともに前後方向へ移動可能に設けられる。中火ガイド90は、固定部91、半鍔部92、案内部93を有する。固定部91は筒状であり、中火ガイド90を軸体37に固定する。半鍔部92は固定部91の前端部のうち下側の部分から径方向外向きに鍔状に突出する。連結部材25は半鍔部92の前面に対して回転可能に設けられる。
【0029】
案内部93は略筒状であり、下側部分の後端部内面が半鍔部92の外周部分に接続する。案内部93の上側部分は下側部分よりも大径に設けられ、後端部内面と固定部91の前端部のうち上側の部分との間に開口部94が形成される。開口部94には、火力調節カム26の延伸部34のテーパ部34Aが挿通される。案内部93の下側部分の内径は、連結部材25の歯部38の最大径よりも大きい。また、案内部93の上側部分の上面には、案内突起95が設けられる。案内突起95は、筒状体操作部材36の下面に設けられる溝部36Aに係合する。
【0030】
操作つまみ13の押込操作及び回動操作による奥バーナ6の点火及び消火と火力の調節について説明する。奥バーナ6が消火している場合、操作つまみ13は待機位置にある。コンロ1の使用者が待機位置にある操作つまみ13を押し込み、操作つまみ13が押込位置に移動する過程で、安全弁とメイン弁が開放され、イグナイタ(図示略)によって奥バーナ6が点火される。使用者が押込位置にある操作つまみ13から手を離すと、プッシュ・プッシュ機構24のバネがスライダ40を前方へ押し戻すことに応じて、操作つまみ13が操作位置に移動する。安全弁とメイン弁は開放状態に維持される。連結部材25によって、操作つまみ13と火力調節カム26とが連結される。
【0031】
操作位置にある操作つまみ13が回動操作されると、連結部材25の歯部38が火力調節カム26の歯部35と噛み合った状態で、火力調節カム26が操作つまみ13とともに軸心AXの周りを回転する。火力調節カム26が回転すると、ニードル弁28のピン29がカム溝27に案内されて、前後方向に移動する。これにより、ニードル弁28が前後方向に移動する。ニードル弁28の位置に応じて、第二ガス通路を流通するガスの流量が調節され、奥バーナ6の火力が変更される。
【0032】
使用者が操作位置にある操作つまみ13を押し込み、操作つまみ13が押込位置に移動する過程で、安全弁とメイン弁とが閉鎖される。奥バーナ6は消火する。使用者が押込位置にある操作つまみ13から手を離すと、プッシュ・プッシュ機構24のバネがスライダ40を前方へ押し戻すことに応じて、操作つまみ13が待機位置に移動する。安全弁とメイン弁は閉鎖状態に維持される。
【0033】
このように、操作位置にある操作つまみ13の回動操作に伴い、連結部材25が火力調節カム26を回転させる。回転する火力調節カム26がニードル弁28を移動することによって、流量調節部31の第二ガス通路を流通するガスの流量が無段階に調節される。すなわち、操作つまみ13の回転量に応じて連結部材25が奥バーナ6へのガスの供給量を調節し、奥バーナ6へのガスの供給量に応じて奥バーナ6の火力が変化する。操作つまみ11,12,14の押込操作及び回動操作による右バーナ4、グリルバーナ、左バーナ5の点火及び消火と火力の調節についても同様である。
【0034】
次いで、パネル装置9Bについて説明する。コンロ1は、グリル扉8の右側の領域にパネル装置9Aを備え、グリル扉8の左側の領域にパネル装置9Bを備える(図1参照)。パネル装置9A,9Bは、筐体2の前面Fに操作つまみ11~14を配置するために設けられる。パネル装置9A,9Bは、燃料供給装置20の前方において筐体2に固定され、グリル扉8とともに筐体2の前面Fを構成する。
【0035】
図3を参照して、パネル装置9Bについて説明する。なお、操作つまみ13における火力表示に係るパネル装置9Bの構成は、操作つまみ14におけるものと同様である。また、操作つまみ11,12における火力表示に係るパネル装置9Aの構成は、パネル装置9Bの構成と同様であるので、説明を省略する。
【0036】
パネル装置9Bは、パネル本体部50、光源基板60、筒状体70、化粧パネル80を備える。パネル本体部50は、筐体2の前端部に組み付けられる。パネル本体部50の下側部分51は箱型に形成され、使用者が調理内容に応じた火力制御の選択等の入力、タイマ設定等を行うための操作パネル(図示略)が収容される。パネル本体部50の上側部分52は、下側部分51から上方に向けて板状に突出する。上側部分52には、前後方向に貫通する2つの貫通穴53が左右方向に並んで形成される。2つの貫通穴53の上部には、貫通穴53と同様にパネル本体部50の上側部分52を前後方向に矩形状に貫通する切欠部54が形成される。貫通穴53の内径は、操作つまみ13,14の外径より大きい。奥バーナ6の燃料供給装置20は、パネル本体部50の上側部分52に後側から固定される。奥バーナ6の燃料供給装置20の連結部材25と操作つまみ13とは、右側の貫通穴53内に配置される。なお、左バーナ5の燃料供給装置20は、奥バーナ6の燃料供給装置20の左側に並んで配置され、パネル本体部50の上側部分52に後側から固定される(図示略)。
【0037】
上側部分52の後面には、光源基板60が固定される。光源基板60は、光源であるLED61(図7参照)を複数実装する実装面が、左右方向に長い略矩形状に形成される基板である。光源基板60は、光源基板60を保持する基板ホルダ62に保持される。基板ホルダ62は、複数のネジ63によって、貫通穴53よりも上方の位置において、上側部分52の後面に対して固定される。
【0038】
化粧パネル80は、パネル本体部50の上側部分52の前側に組み付けられる板状体である。化粧パネル80は、前後方向に貫通する2つの開口部86と、それぞれの開口部86の上部に配置される透光部81とを備える。化粧パネル80は正面視略長方形状であり、上端部にスライドロック85を備える。化粧パネル80がパネル本体部50の上側部分52に組み付けられた状態において、スライドロック85が右側にスライドされると、化粧パネル80がパネル本体部50に固定される。
【0039】
2つの開口部86は左右方向に並んで形成される。2つの開口部86の内径は、それぞれ、操作つまみ13,14の外径より大きい。2つの開口部86内にはそれぞれ、操作つまみ13,14が配置される。透光部81は、化粧パネル80がパネル本体部50の上側部分52に組み付けられた状態において、光源基板60の前方に設けられる。
【0040】
図4を参照して、操作つまみ13の詳細について説明する。操作つまみ13は、本体部131、導光部136、固定部139を備える。本体部131の外周部132には、前後方向に延びる平面である平面部135が複数設けられる。平面部135は、その法線を円筒形状の外周部132の径方向に沿って等間隔に配置する。すなわち、平面部135は、本体部131の外周部132に対する接線に沿って前後方向に延びる複数の面部のそれぞれである。
【0041】
導光部136は、導光材料を用いて構成される。導光部136は、導光材料として、アクリル系樹脂等、透明性を有して光を導くことのできる材料を採用できる。導光材料を板状に形成した板状体は、板状体の端面(小口)から入射した光を内部で拡散させることによって、板状体の表面の任意の一部又は全体に導光する。導光部136は、後方配置部137と、前方配置部138とを備える。後方配置部137は、本体部131の後端部133の外径とほぼ同じ内径を有する円環状である。前方配置部138は、後方配置部137から前方に向けて櫛歯状に等間隔に突出する突出部138Aを複数備える。後方配置部137は、操作つまみ13が操作位置にある場合、パネル本体部50の上側部分52よりも後方(化粧パネル80よりも後方)に配置される。前方配置部138は、操作つまみ13が操作位置にある場合、後方配置部137に近接する部分を除く大部分が、化粧パネル80よりも前方(筐体2の前面Fよりも前方)に配置される。
【0042】
後方配置部137及び前方配置部138は、ともに導光材料を板状に形成した板状体の表面を外周面とする。導光部136に用いられる導光材料を用いた板状体は、端面から光が入射された場合、入射された入射光が表面の全体に導光され、表面の全体が均一に発光するように構成されている。導光部136は、本体部131の後端部133に組み付けられる。突出部138Aの数は、連結部材25の歯部35の歯38Aの数と同じである。また、本体部131の外周部132における平面部135の数と、前方配置部138における突出部138Aの数とは同じである。本体部131の後端部133に導光部136が組み付けられた状態において、後方配置部137は本体部131の後端部133の外側を環状に覆い、前方配置部138の突出部138Aのそれぞれは、2つの平面部135同士の間の位置に配置される。
【0043】
固定部139は、導光部136を本体部131に固定するとともに、操作つまみ13を連結部材25の先端部25Aに保持させるための部品である。固定部139は円筒状であり、円筒状の側面139Aの外径は、本体部131の側面の内径とほぼ同じである。導光部136が本体部131の後端部133に組み付けられた状態で、固定部139が後方から本体部131の内側に挿入される。側面139Aは、本体部131の内側に係合するフック片139Bを備える。固定部139の後端部には、固定部139が本体部131の内側に挿入された状態で本体部131の後端部133に当接するフランジ部139Cが設けられる。フック片139Bとフランジ部139Cとによって、固定部139及び導光部136が本体部131に組み付けられた状態で抜け止めされる。固定部139の内側は、連結部材25の先端部25Aを保持する保持部(図示略)を備える。連結部材25は、先端部25Aにおいて操作つまみ13を一体に固定する。
【0044】
図5を参照して、筒状体70の詳細について説明する。筒状体70は、本体部71とフランジ部76とを備える。本体部71は、前後方向に延びる円筒状である。本体部71の外径は、パネル本体部50の貫通穴53の内径よりも小さい。本体部71の内径は、操作つまみ11,12,13,14の外径よりも大きい(図3参照)。本体部71の前端部には、光通過部77が形成される。光通過部77は、本体部71の前端部のうちほぼ半分が後方に所定の幅で切り欠かれた部位である。
【0045】
フランジ部76は、本体部71の前端部のうち光通過部77が設けられない部分において、径方向外向きに鍔状に形成される。本体部71は、周方向の2か所に(図2参照)、パネル本体部50の貫通穴53の縁部に対して後側から掛け留めされるフック片75を備える。貫通穴53の縁部の前面に当接するフランジ部76と、フック片75とによって、筒状体70は本体部71が貫通穴53内に配置された状態で抜け止めされ、且つ貫通穴53内で軸心AXを中心に回転可能に保持される。本体部71において2つのフック片75の間の位置に係合部74が設けられる。係合部74は、筒状体操作部材36の先端部に設けた係合片36B(図2参照)に係合する。本体部71において、係合部74を周方向の両側から挟む部分はそれぞれ後方へ延び、係合片36Bを外れにくくする。
【0046】
図6から図8を参照して、操作つまみ13における火力表示について説明する。図6から図8において、操作つまみ13は操作位置にある。光源基板60は、LED61が実装される実装面が正面よりも下方を向くように傾斜した状態で設置される。光源基板60の複数のLED61は、安全弁の開放時に全てが点灯する。複数のLED61は、実装面に対して垂直方向に光を出射する。したがって、LED61から出射する出射光は、操作つまみ13の後端部133のうち上側の部分に向けて、光源基板60から斜め下方に向かう。光源基板60は、LED61を複数用いることで、単独のLED等の光源を用いる場合よりも強い光を、操作つまみ13の後端部133に向けて出射できる。
【0047】
前述したように、操作つまみ13が操作位置にある場合、火力調節カム26は操作つまみ13と連結し、操作つまみ13の回動操作に応じて奥バーナ6の火力を調節する。操作つまみ13が回転すると、筒状体70は筒状体操作部材36を介して火力調節カム26とともに軸心AXの周りを回転する。筒状体70の本体部71は、光通過部77が設けられる位置を除き、操作つまみ13の後端部133に対してLED61の出射光を遮る。光通過部77が設けられる位置においてはLED61の出射光が通過し、出射光が操作つまみ13の後端部133の上側の部分に到達する。操作つまみ13が回転されて火力が変更されると、光通過部77が軸心AXの周りを周方向に移動するので、LED61の出射光が操作つまみ13の後端部133に到達する範囲が変化する。
【0048】
前述したように、操作つまみ13が待機位置にある場合、導光部136は、その全体が化粧パネル80よりも後方(筐体2の前面Fよりも後方)に配置される。このため、操作つまみ13が待機位置にある場合、使用者は導光部136を視認することができない。一方、操作つまみ13が待機位置から押込位置を経て操作位置に移動すると、操作つまみの本体部131の大部分が、前面Fよりも前方に突出する。これに伴い、図6及び図8のW領域に示すように、前方配置部138の先端部分が、化粧パネル80よりも前方(筐体2の前面Fよりも前方)に突出して配置される。よって、操作つまみ13が操作位置にある場合、使用者は導光部136の前方配置部138の先端部分を視認できる。
【0049】
図7に示すように、操作つまみ13の後端部133は導光部136の後方配置部137によって覆われている。光通過部77を通過するLED61の出射光は、後方配置部137のうち光通過部77が配置される位置に対応する部分を照射する。後方配置部137を照射する光は、後方配置部137の端面から導光部136の内部に進入し、進入した光は導光部136の内部で拡散し、拡散した光が突出部138Aに導かれる。このため、後方配置部137のうちLED61の出射光が到達した部分の近傍に配置される突出部138Aが発光する。一方、後方配置部137のうち光通過部77が配置されない位置に対応する部分からはLED61の出射光が進入しないので、その部分に対応する突出部138Aは発光しない。よって、操作つまみ13が回転されて火力が変更されることに応じて、LED61の出射光が操作つまみ13の後端部133の上側の部分に到達する範囲が変化する。
【0050】
前方配置部138は、複数の突出部138Aを備えるので、後方配置部137のうちLED61の出射光が到達した部分の前方に配置される突出部138Aが発光し、出射光が到達しない部分の突出部138Aは発光しない。すなわち、奥バーナ6の火力に応じて、突出部138Aのそれぞれが独立して発光する。LED61の出射光が操作つまみ13の後端部133に到達する範囲が広くなるほど、発光する突出部138Aの数が増加する。また、出射光が後端部133に到達する範囲が狭くなるほど発光する突出部138Aの数が減少する。したがって、操作つまみ13は、操作つまみ13の回転量に対応する奥バーナ6の火力の程度を、操作つまみ13の外周部132の上側部分において、前方配置部138が発光する範囲(発光する突出部138Aの数)によって示すことができる。
【0051】
本実施形態では、奥バーナ6の火力が強くなるほどLED61の出射光が操作つまみ13の後端部133に到達する範囲が広くなり、前方配置部138の発光する範囲が広くなる(発光する突出部138Aの数が多くなる)。また、奥バーナ6の火力が弱くなるほどLED61の出射光が操作つまみ13の後端部133に到達する範囲が狭くなり、前方配置部138が発光する範囲が狭くなる(発光する突出部138Aの数が少なくなる)。したがって、コンロ1は、前方配置部138が発光する範囲によって、奥バーナ6の火力を使用者に直観的に把握させることができる。操作位置における操作つまみ13の外周部132は、コンロ1の筐体2の前面F(図1参照)よりも前方に配置される。調理等でコンロ1を使用する使用者は、外周部132における前方配置部138の発光範囲を、調理中の姿勢のまま上方から見下ろすことで、奥バーナ6の火力を認識できる。
【0052】
前述したように、操作つまみ13と連結する連結部材25の歯部38における歯38A(図4参照)の数は、前方配置部138の突出部138Aの数と同じである。よって、回動操作における操作つまみ13の回転量と、歯38Aが噛み合う火力調節カム26の歯部35の回転量に応じたガスの供給量とが対応する。これにより、使用者は、操作つまみ13の回動操作を、火力調節カム26の回転度合いに合わせて行いやすくなる。使用者は、前方配置部138の発光範囲を見ながら操作つまみ13を回転させることで、奥バーナ6を所望する火力に、精度よく調節することができる。操作つまみ13の外周部132には複数の平面部135が設けられているので、使用者は回動操作において操作つまみ13をしっかりと摘まむことができる。平面部135の数も、前方配置部138の突出部138Aの数と同じであるので、使用者は、回動操作において、操作つまみ13の回転量と火力調節カム26の歯部38の回転量とを一致させやすい。
【0053】
なお、化粧パネル80において光源基板60の前方の位置に設けられる透光部81(図6参照)は、LED61から出射され、パネル本体部50の上側部分52の切欠部54(図3参照)を介して後面から入射する光を、化粧パネル80の前面から前方へ出射する。透光部81は、LED61の光を出射することによって、奥バーナ6が点火中であることを使用者に報知できる。なお、光源基板60の複数のLED61は、安全弁の閉鎖時においてコンロ1に何らかのエラーが生じている場合にも点灯する。この場合、透光部81は、LED61の光を出射することによって、コンロ1に何らかのエラーが生じていることを使用者に報知できる。安全弁の閉鎖時においては、操作つまみ13は待機位置にあり、導光部136による奥バーナ6の火力表示が行われないので、使用者は、コンロ1に何らかのエラーが生じていることと、奥バーナ6が点火中であることとを誤認することがない。
【0054】
以上説明したように、筒状体70は、操作つまみ13の回動操作に応じて軸心AXの周りを回転する。筒状体70の光通過部77は、光源基板60に実装されるLED61の出射光を、操作つまみ13の後端部133に向けて通過させる。操作つまみ13の後端部133に到達した光は、導光部136の後方配置部137のうち光通過部77が配置される位置に対応する部分を照射する。後方配置部137から導光部136の内部に進入した光は、突出部138Aに向けて前方に導かれる。操作つまみ13の回動操作に応じて、後方配置部137のうちLED61の出射光が到達した部分の前方に配置される突出部138Aが発光し、出射光が到達しない部分の突出部138Aは発光しない。また、操作つまみ13が回転されて奥バーナ6の火力が変更されることに応じて筒状体70が回転するので、LED61の出射光が後方配置部137に到達する範囲が変化する。よって、導光部136は、前方配置部138において突出部138Aが発光する範囲によって、奥バーナ6の火力を示すことができる。このような火力表示が操作つまみ13自体の外周部132において行われるので、コンロ1は、コンロ1を使用中の使用者が視認しやすい火力表示を行うことができる。
【0055】
前方配置部138は、複数の突出部138Aを備えるので、操作つまみ13の回動操作に応じてLED61の出射光が操作つまみ13の後端部133に到達する範囲が広くなるほど、発光する突出部138Aの数が増加する。すなわち、奥バーナ6の火力に応じて、突出部138Aのそれぞれが独立して発光する。コンロ1は、発光する突出部138Aの数によって奥バーナ6の火力を使用者に把握させることができる。
【0056】
操作つまみ13と連結する連結部材25の歯部38における歯38Aの数は、前方配置部138の突出部138Aの数と同じである。このため、操作つまみ13の回動操作の量と、火力調節カム26の歯部38の回転量に応じた奥バーナ6へのガスの供給量とが対応する。したがって、コンロ1は、操作つまみ13における奥バーナ6の火力表示を正確に行うとともに、使用者が操作つまみ13を用いて行う火力調節の精度を高めることができる。
【0057】
操作つまみ13の外周部132には、複数の平面部135が設けられているので、使用者による操作つまみ13の回動操作において操作つまみ13が滑りにくい。コンロ1は、使用者に操作つまみ13をしっかりと摘ませて、回動操作の操作性を向上し、火力調整及び火力表示の精度を向上できる。
【0058】
本実施形態において、コンロ1が、本発明の「コンロ」に相当する。筐体2が、本発明の「筐体」に相当する。右バーナ4、左バーナ5、奥バーナ6、グリルバーナが、本発明の「コンロバーナ」に相当する。燃料供給装置20が、本発明の「燃料供給装置」に相当する。パネル装置9A,9Bが、本発明の「パネル部」に相当する。パネル本体部50が、本発明の「パネル本体」に相当する。操作つまみ11,12,13,14が、本発明の「操作つまみ」に相当する。外周部132が、本発明の「外周部」に相当する。筒状体70が、本発明の「筒状体」に相当する。光通過部77が、本発明の「光通過部」に相当する。光源基板60のLED61が、本発明の「発光部」に相当する。導光部136が、本発明の「導光部」に相当する。後方配置部137が、本発明の「後方配置部」に相当する。前方配置部138が、本発明の「前方配置部」に相当する。突出部138Aが、本発明の「突出部」に相当する。火力調節カム26が、本発明の「調節部」に相当する。連結部材25が、本発明の「連結部」に相当する。歯部38が、本発明の「ギヤ部」に相当する。歯38Aが、本発明の「歯」に相当する。平面部135が、本発明の「面部」に相当する。
【0059】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、種々の変更が可能である。例えば、光通過部77として本体部71の前端部が周方向に切り欠かかれる幅は、上記実施形態よりも広くても狭くてもよい。例えば、光通過部77として本体部71の前端部が周方向に切り欠かかれる幅が、前方配置部138の1つの突出部138Aの周方向の幅と同じ程度であってもよい。この場合、操作つまみ13が回転されて火力が変更されることに応じて、LED61の出射光が操作つまみ13の後端部133の上側の部分に到達する位置が変化し、出射光が到達した位置に対応する1つの突出部138Aが発光する。したがって、操作つまみ13は、導光部136の前方配置部138が発光する位置(1つの突出部138Aが発光する位置)を変化させることで、奥バーナ6の火力を示すことができる。
【0060】
操作つまみ13は、完全な円筒状である必要はなく、例えば、操作つまみ13の本体部131が、後端部133から前面134に向けて徐々に先細る形状であってもよい。
【0061】
操作つまみ13は、少なくとも回動操作による火力調節が行われる場合に操作位置にあればよい。したがって、操作つまみ13が待機位置に配置されることがなく、奥バーナ6が消火している場合にも、操作位置と同様に、操作つまみ13の外周部132が化粧パネル80よりも前方に突出して配置されてもよい。この場合、導光部136の前方配置部138は、奥バーナ6の点火時及び消火時のいずれにおいても化粧パネル80よりも前方(筐体2の前面Fよりも前方)に配置される。前方配置部138は、発光することによる奥バーナ6が点火中であることの表示及び発光する範囲による奥バーナ6の火力表示を行い、消灯することによって奥バーナ6が消火していることを示すことができる。
【0062】
本体部131の外周部132に設けられる平面部135は、面部の全体が平面である必要はなく、その一部が平面に形成されていればよい。例えば、平面部135の左右の端部が面取りされたり、丸められたりしてもよい。この場合、操作つまみ13の外周部132の外観が滑らかになり、美観が向上する。
【0063】
コンロ1は、ビルトインタイプのガスコンロであるが、この他、コンロ1は、操作つまみ13の回動操作によって火力調節を行う、ガステーブルコンロ、カセット式のガスコンロ等であってもよい。
【0064】
コンロ1において、操作つまみ11,12,13,14の全てが、その外周部において導光部136を用いた火力表示を行う必要はない。例えば、グリルバーナの火力調節が、無段階ではなく複数段階に調節可能にされている場合には、操作つまみ12の導光部136の前方配置部138の発光によって複数段階のそれぞれが表示されてもよいし、操作つまみ12に導光部136が設けられなくてもよい。
【0065】
導光部136の前方配置部138における突出部138Aの数が、連結部材25の歯部38の歯38Aの数の整数倍であってもよい。また、連結部材25の歯部38の歯38Aの数が、突出部138Aの数の整数倍であってもよい。この場合であっても、操作つまみ13の回転量と、歯38Aが噛み合う火力調節カム26の歯部35の回転量に応じたガスの供給量とが倍数に応じた比率で対応するので、コンロ1は、奥バーナ6の火力調節を精度良く行うことができる。
【0066】
導光部136の前方配置部138が突出部138Aを備えない形状であってもよい。具体的には、図9に示すように、操作つまみ13の外周部132に、導光材料を用いて構成される導光部236が設けられてもよい。導光部236は前後方向に所定の幅を有する帯状であり、後方配置部237と前方配置部238とを備える。後方配置部237は、本体部131の後端部133の外側を環状に覆い、操作つまみ13が操作位置にある場合に化粧パネル80よりも後方(筐体2の前面Fよりも後方)に配置される部分である。前方配置部238は、後方配置部237から前方に延伸し、操作つまみ13が操作位置にある場合に化粧パネル80よりも前方(筐体2の前面Fよりも前方)に配置される部分である。このような導光部236を用いる場合にも、コンロ1は、前方配置部238が発光する範囲又は位置によって奥バーナ6の火力を表示できる。この変形例において、導光部236が、本発明の「導光部」に相当する。後方配置部237が、本発明の「後方配置部」に相当する。前方配置部238が、本発明の「前方配置部」に相当する。
【0067】
操作つまみ13が操作位置にある場合に、前方配置部138,238が化粧パネル80よりも前方に露出する量は、コンロ1を使用中の使用者が前方配置部138,238の一部を視認できる量であればよい。したがって、前方配置部138,238が化粧パネル80よりも前方に露出する量は、導光部136,236による火力表示の見映え等に応じて任意に変更可能であり、上記実施形態よりも多くても少なくてもよい。
【0068】
上記実施形態では、操作つまみ13が操作位置にある場合に連結部材25の歯部38が火力調節カム26の歯部35に噛み合い、操作つまみ13が待機位置にある場合には、連結部材25の歯部38が火力調節カム26の歯部35に噛み合わない。例えば、操作つまみ13がいずれの位置にある場合にも、連結部材25の歯部38が火力調節カム26の歯部35に噛み合うように構成されていてもよい。この場合、導光部136,236は、操作つまみ13の外周部132のうち上側に配置される部分にのみ設けられてもよい。すなわち、後方配置部137,237は、本体部131の後端部133の外側の一部を覆う形状であってもよい。
【符号の説明】
【0069】
1 コンロ
2 筐体
4 右バーナ
5 左バーナ
6 奥バーナ
9A,9B パネル装置
11,12,13,14 操作つまみ
25 連結部材
26 火力調節カム
38 歯部
38A 歯
50 パネル本体部
61 LED
70 筒状体
77 光通過部
132 外周部
135 平面部
136,236 導光部
137,237 後方配置部
138,238 前方配置部
138A 突出部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9