(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-14
(45)【発行日】2024-11-22
(54)【発明の名称】回転操作型電子部品
(51)【国際特許分類】
H01H 19/00 20060101AFI20241115BHJP
H01H 19/20 20060101ALI20241115BHJP
G05G 1/10 20060101ALI20241115BHJP
【FI】
H01H19/00 C
H01H19/20 A
G05G1/10 B
(21)【出願番号】P 2021573984
(86)(22)【出願日】2021-01-22
(86)【国際出願番号】 JP2021002130
(87)【国際公開番号】W WO2021153432
(87)【国際公開日】2021-08-05
【審査請求日】2023-10-24
(31)【優先権主張番号】P 2020010788
(32)【優先日】2020-01-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000220033
【氏名又は名称】東京コスモス電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002952
【氏名又は名称】弁理士法人鷲田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】福嶌 肇
【審査官】石井 茂
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-209876(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01H 19/00-21/88
G05G 1/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸方向一側に配置され、第1穴を有する第1ブロック体と、
軸方向他側に配置され、第2穴を有する第2ブロック体と、
軸回りに回転するように前記第1穴に内嵌する第1筒状部を有する外側操作軸と、
軸方向に延在し、前記第1筒状部および前記第2穴を貫通し、軸回りに回転するように前記第1筒状部に内嵌する内側操作軸と、
前記内側操作軸と一体に回転するように前記内側操作軸に外嵌し、かつ、軸回りに回転するように前記第2穴に内嵌する第2筒状部を有する回転体と、
前記第1穴の内周面と前記第1筒状部の外周面との間の径方向隙間に復元力に抗して撓んだ状態で挟まれた第1径方向弾性部材と、
前記第2穴の内周面と前記第2筒状部の外周面との間の径方向隙間に復元力に抗して撓んだ状態で挟まれた第2径方向弾性部材と、
を備
え、
前記外側操作軸は、前記第1筒状部よりも軸方向一側に配置され、前記第1筒状部よりも大径である第1大径筒部を有し、
前記回転体は、前記第2筒状部よりも軸方向一側に配置され、前記第1筒状部よりも大径である第2大径筒部を有し、
前記第1穴の口縁と前記第1大径筒部との間の軸方向隙間に復元力に抗して撓んだ状態で挟まれた第1軸方向弾性部材と、
前記第2穴の口縁と前記第2大径筒部との間の軸方向隙間に復元力に抗して撓んだ状態で挟まれた第2軸方向弾性部材と、
をさらに備える、
回転操作型電子部品。
【請求項2】
前記第1軸方向弾性部材および前記第2軸方向弾性部材は、互いに共用部品である、
請求項
1に記載の回転操作型電子部品。
【請求項3】
前記第1ブロック体と前記第2ブロック体との間の軸方向隙間に配置され、前記内側操作軸が挿通する第3穴を有する第3ブロック体と、
前記第2大径筒部と前記第3ブロック体との間の軸方向隙間に配置され、前記内側操作軸の操作トルクを調整するトルク調整部材と、
をさらに備える、
請求項
1または
2に記載の回転操作型電子部品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回転操作型電子部品に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1には、第1回転電子部品および第2回転電子部品が軸方向に相互に離れて配置された回転操作型電子部品が開示されている。
【0003】
第1回転電子部品は、第1基台に固定される軸支部材と、軸支部材に回転可能に支持される第1回転型物と、軸支部材と第1回転型物との間に介在する、弾性部を有する第1クリックバネと、第1クリックバネに対向配置される、周方向に複数のクリック係合穴を有する第1クリック板とを備える。
【0004】
また、第2回転電子部品は、軸支部材に固定されるケース及び第2基台と、ケースに回転可能に支持される第2回転つまみ及び第2回転型物と、第2回転型物の回転中心となるロックピンと、第2回転型物とケースとの間に介在する、弾性部を有する第2クリックバネと、第2クリックバネに対向配置される、周方向に複数のクリック係合穴を有する第2クリック板とを備える。
【0005】
第1および第2のクリックバネ及び第1および第2のクリック板は、弾性部がクリック係合穴への挿入・離脱を繰り返すことにより、操作者がクリック感覚を生じるように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、上記特許文献1に記載の回転操作型電子部品においては、例えば、弾性部がクリック係合穴から離脱する場合と、それ以外の場合とで、操作トルクが変動するため、第1および第2の回転型物(二軸)共に一定の高い操作トルクを得ることができない。
【0008】
これにより、二軸を所望の位置に保持することが困難になるという問題がある。また、例えば、第1回転型物および第2回転型物の一方の回転に連れられて、他方の回転型物が回転する連れ回りの現象が発生するという問題がある。
【0009】
本発明の目的は、二軸共に一定の高い操作トルクを得ることが可能な回転操作型電子部品を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の目的を達成するため、本発明における回転操作型電子部品は、
軸方向一側に配置され、第1穴を有する第1ブロック体と、
軸方向他側に配置され、第2穴を有する第2ブロック体と、
軸回りに回転するように前記第1穴に内嵌する第1筒状部を有する外側操作軸と、
軸方向に延在し、前記第1筒状部および前記第2穴を貫通し、軸回りに回転するように前記第1筒状部に内嵌する内側操作軸と、
前記内側操作軸と一体に回転するように前記内側操作軸に外嵌し、かつ、軸回りに回転するように前記第2穴に内嵌する第2筒状部を有する回転体と、
前記第1穴の内周面と前記第1筒状部の外周面との間の径方向隙間に復元力に抗して撓んだ状態で挟まれた第1径方向弾性部材と、
前記第2穴の内周面と前記第2筒状部の外周面との間の径方向隙間に復元力に抗して撓んだ状態で挟まれた第2径方向弾性部材と、
を備え、
前記外側操作軸は、前記第1筒状部よりも軸方向一側に配置され、前記第1筒状部よりも大径である第1大径筒部を有し、
前記回転体は、前記第2筒状部よりも軸方向一側に配置され、前記第1筒状部よりも大径である第2大径筒部を有し、
前記第1穴の口縁と前記第1大径筒部との間の軸方向隙間に復元力に抗して撓んだ状態で挟まれた第1軸方向弾性部材と、
前記第2穴の口縁と前記第2大径筒部との間の軸方向隙間に復元力に抗して撓んだ状態で挟まれた第2軸方向弾性部材と、
をさらに備える。
【発明の効果】
【0011】
本発明の回転操作型電子部品によれば、二軸共に一定の高い操作トルクを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】
図1は、本発明の一実施の形態に係る回転操作型電子部品の構成を部分的に断面にして表した図である。
【
図2】
図2は、第1径方向弾性部材の一例を示す斜視図である。
【
図3A】
図3Aは、変形例1に係る回転操作型電子部品の構成を部分的に断面にして表した図である。
【
図3B】
図3Bは、変形例2に係る回転操作型電子部品の構成を部分的に断面にして表した図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明の一実施の形態に係る回転操作型電子部品1の構成を部分的に断面にして表した図である。
図1では、X軸およびY軸が描かれている。
図1において、左右方向をX方向または軸方向といい、右方向を軸方向一側または「+X方向」、左方向を軸方向他側または「-X方向」という。また、
図1において上下方向を径方向またはY方向といい、X軸からY方向へ離れる方向を径方向外側または「+Y方向」といい、X軸にY方向から近づく方向を径方向内側または「-Y方向」という。
【0014】
回転操作型電子部品1は、
図1に示すように、第1ブロック体10、第2ブロック体20、複数の電子信号制御部31,32、外側操作軸40、内側操作軸50、回転体60、第1径方向弾性部材70、第2径方向弾性部材80、第1軸方向弾性部材91、および、第2軸方向弾性部材92を備える。なお、
図1では、電子信号制御部31,32の内部構成を省略して示す。
【0015】
第1ブロック体10は、軸方向一側(+X方向)に配置される。第1ブロック体10は、円筒部12を有している。円筒部12は、軸方向(X方向)に貫通する第1穴14を有している。第1穴14は、円筒部12の軸方向一側端面12aと円筒部12の軸方向他側端面12bとを繋ぐ内周面14aにより画定される。
【0016】
第2ブロック体20は、軸方向他側(-X方向)に配置される。第2ブロック体20は、直方体形状のブロック部22を有している。ブロック部22は、軸方向(X方向)に貫通する第2穴24を有している。
【0017】
第2穴24は、軸方向一側に配置される第一空間241、軸方向他側に配置される第二空間242、および、軸方向中央部に配置される第三空間243を有している。第一空間241は、右方向を向く円環状の面241aと、面241aとブロック部22の軸方向一側端面22aとを繋ぐ内周面241bとにより画定される。第二空間242は、左方向を向く面242aと、面242aとブロック部22の軸方向他側端面22bとを繋ぐ内周面242bとにより画定される。第三空間243は、面241aと面242aとを繋ぐ内周面243aにより画定される。
【0018】
電子信号制御部31は、第1ブロック体10と第2ブロック体20との間の軸方向隙間に配置されている。電子信号制御部31は、本発明の「第3ブロック体」に対応している。
【0019】
電子信号制御部31は、ハウジング311と、座部312と、電気信号を導入導出する端子313とを有している。ハウジング311は、直方体形状を有している。ハウジング311は、外側操作軸40により回転駆動される可変抵抗器(不図示)を収容する。ハウジング311の軸方向他側端面311aは、ブロック部22の軸方向一側端面22aに当接している。座部312はハウジング311の軸方向一側(右側)に配置されている。座部312は、円筒部12の軸方向他側端面12bに当接する座面312aを有している。
【0020】
電子信号制御部32は、第2ブロック体20よりも軸方向他側に配置されている。電子信号制御部32は、ハウジング321と、電気信号を導入導出する端子322とを有している。ハウジング321は、直方体形状を有している。ハウジング321は、内側操作軸50により回転駆動される可変抵抗器(不図示)およびスイッチ(不図示)を収容する。ハウジング321の軸方向一側端面321aは、ブロック部22の軸方向他側端面22bに当接している。
【0021】
外側操作軸40は、第1筒状部41および第1大径筒部42を有する。第1筒状部41は、軸回りに回転するように第1穴14に内嵌している。第1穴14の内周面と第1筒状部41の外周面との間には所定幅の径方向隙間S11が設けられている。径方向隙間S11の形状のサイズは、第1穴14の内径および第1筒状部41の外径により設定される。第1筒状部41の軸方向他側端面41aは、座面312aに当接している。
【0022】
第1大径筒部42は、第1筒状部41よりも軸方向一側(+X方向)に配置され、第1筒状部41よりも大径である。第1筒状部41の外周面と第1大径筒部42の外周面との間には左方向に面する環形状の面43が配置されている。面43と軸方向一側端面12aとの間には所定幅の軸方向隙間S12が設けられている。
【0023】
内側操作軸50は、軸方向(X方向)に延在している。内側操作軸50は、第1筒状部41、座部312の内部、ハウジング311の内部、第2穴24、および、ハウジング321の内部を貫通する。内側操作軸50は、小径部51、大径部52および回り止め部53を有している。小径部51は、軸回りに回転するように第1筒状部41に内嵌している。大径部52は、小径部51よりも軸方向一側(+X方向)に配置され、小径部51よりも大径である。大径部52には、操作つまみ(不図示)が取り付けられる。回り止め部53は、小径部51よりも軸方向他側(-X方向)に配置される。
【0024】
内側操作軸50の軸方向他側端部54は、ハウジング321の軸方向他側端面321bから左方向(-X方向)に突出している。内側操作軸50の軸方向他側端部54には抜け止めリング55が取り付けられている。
【0025】
回転体60は、第2筒状部61および第2大径筒部62を有する。第2筒状部61は、回り止め部53に外嵌し、第三空間243に内嵌する。第2筒状部61の外周面と第三空間243の内周面との間には、所定幅の径方向隙間S21が設けられている。径方向隙間S21の形状のサイズは、第三空間243の内径および第2筒状部61の外径により設定される。本実施の形態では、径方向隙間S21の形状は、径方向隙間S11の形状と同じサイズに設定される。第2大径筒部62は、回り止め部53に外嵌し、第一空間241に内嵌する。回転体60は、第2筒状部61および第2大径筒部62が回り止め部53に外嵌することで、内側操作軸50と一体に回転する。
【0026】
第2大径筒部62は、第2筒状部61よりも軸方向一側に配置され、第2筒状部61よりも大径である。第2大径筒部62は、左方向に面する円環状の面62aを有している。面62aと面241aとの間には、所定幅の軸方向隙間S22が設けられている。
【0027】
次に、第1径方向弾性部材70の一例について
図1および
図2を参照して説明する。
図2は、第1径方向弾性部材70の一例を示す斜視図である。
【0028】
第1径方向弾性部材70は、所定幅を有する径方向隙間S11に配置される。第1径方向弾性部材70は、復元力を有する長方形の金属板により成形される。金属板には、その短辺方向に長い長方形のスリット70Dを一定間隔で互いに平行に長辺方向に配列する。これにより一端と他端がそれぞれ2つの連結帯70Bで互いに連結された長方形の複数のバネ板70Aが形成される。各バネ板70Aの長手方向中央領域部は、元の金属板の板面に対し同じ一方の側に湾曲状に突出するようプレス成形される。各バネ板70Aの長手方向中央領域部が径方向外側に凸となるよう、かつ、金属板の長辺方向両端70E,70Fが互いに隣接するよう、バネ板70Aを丸めることで、円筒状バネを得る。円筒状バネにおいては、連結帯70Bは、バネ板70Aの両端支点として作用し、バネ板70Aの長手方向中央領域部は作用点として作用する。
【0029】
第1径方向弾性部材70は、自由状態でその最小内径(連結帯70Bの内径)が第1筒状部41の外径よりも小となるように設定される。そのため、第1径方向弾性部材70を第1筒状部41に装着すると、金属板の長辺方向両端70E,70F間の間隔70Cが復元力に抗して広がって、第1径方向弾性部材70はその復元力により第1筒状部41に保持される。この状態で第1径方向弾性部材70の最大外径(バネ板70Aの長手方向中央領域部における外径)は、第1穴14の径よりも大となるように設定される。
【0030】
第1径方向弾性部材70が装着された外側操作軸40を第1穴14に挿通すると、バネ板70Aが第1穴14の内周面に押されて、バネ板70Aの径方向の高さが径方向内側に向けて低くなる。外側操作軸40は、第1径方向弾性部材70と共に回転し、第1径方向弾性部材70は、第1穴14の内周面に対して摺動回転する。これにより、外側操作軸40は、第1径方向弾性部材70を介して第1穴14の内周面から摩擦抵抗を受けるため、回転操作に必要なトルクを得ることが可能となる。
【0031】
次に、第2径方向弾性部材80について
図1および
図2を参照して説明する。第2径方向弾性部材80は、第1径方向弾性部材70と共通して用いられる共用部品である。共用部品が用いられる理由は、前述したように、径方向隙間S21の形状と径方向隙間S11の形状とが同じサイズに設定されるためである。なお、第2径方向弾性部材80の説明においては、第1径方向弾性部材70と同一の符号を用いて説明する。
【0032】
第2径方向弾性部材80は、所定幅を有する径方向隙間S21に配置される。第2径方向弾性部材80は、自由状態でその最小内径(連結帯70Bの内径)が第2筒状部61の外径よりも小となるように設定される。そのため、第2径方向弾性部材80を第2筒状部61に装着すると、金属板の長辺方向両端70E,70F間の間隔70Cが復元力に抗して広がって、第2径方向弾性部材80はその復元力により第2筒状部61に保持される。この状態で第2径方向弾性部材80の最大外径(バネ板70Aの長手方向中央領域部における外径)は、第2穴24の径よりも大となるように設定される。
【0033】
回転体60は内側操作軸50の回り止め部53に外嵌することで、内側操作軸50と一体に回転する。その回転体60の第2筒状部61に上述するように第2径方向弾性部材80が装着される。第2径方向弾性部材80が装着された回転体60を第2穴24に挿通すると、バネ板70Aが第2穴24の内周面に押されて、バネ板70Aの径方向の高さが径方向内側に向けて低くなる。回転体60と一体に回転する内側操作軸50は、第2径方向弾性部材80と共に回転し、第2径方向弾性部材80は、第2穴24の内周面に対して摺動回転する。これにより、内側操作軸50(回転体60)は、第2径方向弾性部材80を介して第2穴24の内周面から摩擦抵抗を受けるため、回転操作に必要なトルクを得ることが可能となる。
【0034】
次に、第1軸方向弾性部材91について
図1を参照して説明する。第1軸方向弾性部材91は、軸方向隙間S12に復元力に抗して撓んだ状態で挟まれる、例えば、バネワッシャーである。外側操作軸40は、第1軸方向弾性部材91に対して摺動回転する。これにより、外側操作軸40は、第1軸方向弾性部材91から摩擦抵抗を受けるため、回転操作に必要なトルクを得ることが可能となる。
【0035】
次に、第2軸方向弾性部材92について
図1を参照して説明する。第2軸方向弾性部材92は、第1軸方向弾性部材91と共通して用いられる共用部品である。共用部品が用いられる理由は、軸方向隙間S21の幅と軸方向隙間S22の幅が同一に設定されるためである。第2軸方向弾性部材92は、軸方向隙間S22に復元力に抗して撓んだ状態で挟まれている。内側操作軸50と一体に回転する回転体60は、第2軸方向弾性部材92に対して摺動回転する。これにより、内側操作軸50(回転体60)は、第2軸方向弾性部材92から摩擦抵抗を受けるため、回転操作に必要なトルクを得ることが可能となる。なお、操作性を向上のため、内側操作軸50の操作トルクと外側操作軸40の操作トルクとは、所定の範囲内にあることが好ましい。
【0036】
ところで、部品の寸法公差などの要因により、軸方向隙間S22にバラツキが発生する。軸方向隙間S22が大きい場合、第2軸方向弾性部材92からの摩擦抵抗が減少し、内側操作軸50の操作トルクが低下する。軸方向隙間S22が小さい場合、第2軸方向弾性部材92からの摩擦抵抗が増大し、内側操作軸50の操作トルクが上昇する。軸方向隙間S22のバラツキにより、内側操作軸50の操作トルクが所定の範囲から外れる場合がある。
【0037】
トルク調整部材100は、第2大径筒部62の軸方向一側端面62bと、ハウジング311の軸方向他側端面311aとの間の軸方向隙間に配置されていることで、内側操作軸50の操作トルクを調整する。トルク調整部材100は、例えば、ワッシャーである。板厚の異なる複数種類のワッシャーの中から当該軸方向隙間に適合するワッシャーを選択的に用いることで、内側操作軸50の操作トルクを調整する。
【0038】
上記実施の形態に係る回転操作型電子部品1は、軸方向一側に配置され、第1穴14を有する第1ブロック体10と、軸方向他側に配置され、第2穴24を有する第2ブロック体20と、軸回りに回転するように第1穴14に内嵌する第1筒状部41を有する外側操作軸40と、軸方向に延在し、第1筒状部41および第2穴24を貫通し、軸回りに回転するように第1筒状部41に内嵌する内側操作軸50と、内側操作軸50と一体に回転するように内側操作軸50に外嵌し、かつ、軸回りに回転するように第2穴24に内嵌する第2筒状部61を有する回転体60と、第1穴14の内周面と第1筒状部41の外周面との間の径方向隙間S11に復元力に抗して撓んだ状態で挟まれた第1径方向弾性部材70と、第2穴24の内周面と第2筒状部61の外周面との間の径方向隙間S21に復元力に抗して撓んだ状態で挟まれた第2径方向弾性部材80と、を備える。
【0039】
上記の構成により、外側操作軸40は、回転操作された場合、第1径方向弾性部材70を介して第1穴14の内周面から摩擦抵抗を受けるため、回転操作に必要なトルクを得ることが可能となる。また、内側操作軸50は、回転操作された場合、第2径方向弾性部材80を介して第2穴24の内周面から摩擦抵抗を受けるため、回転操作に必要なトルクを得ることが可能となる。以上により、二軸(外側操作軸40、内側操作軸50)共に一定の高い操作トルクを得ることが可能となる。
【0040】
また、上記実施の形態に係る回転操作型電子部品1は、軸方向隙間S12に復元力に抗して撓んだ状態で挟まれた第1軸方向弾性部材91と、軸方向隙間S22に復元力に抗して撓んだ状態で挟まれた第2軸方向弾性部材92と、をさらに備える。これにより、二軸共により高い操作トルクを得ることが可能となる。
【0041】
また、上記実施の形態に係る回転操作型電子部品1は、第2大径筒部62とハウジング311との間の軸方向隙間に配置され、内側操作軸の操作トルクを調整するワッシャー(トルク調整部材)を備える。これにより、板厚の異なる複数種類のワッシャーの中から上記軸方向隙間に適合するワッシャーを選択的に用いることで、内側操作軸50の操作トルクを調整することが可能となる。
【0042】
次に、上記実施の形態に係る回転操作型電子部品1の各変形例について
図3Aおよび
図3Bを参照して説明する。変形例の説明においては、上記実施の形態と異なる構成について主に説明し、同じ構成については同一符号を付してその説明を省略する。なお、
図3Aに示す変形例1および
図3Bに示す変形例2では、軸方向隙間S22が強調されて描かれている。
【0043】
変形例2では、ワッシャー(トルク調整部材)を用いることなく、内側操作軸50の操作トルクを調整する。
【0044】
図3Aに示すように軸方向隙間S22が大きい理由は、例えば、内側操作軸50の操作トルクが外側操作軸40の操作トルクより大きく、かつ、所定の範囲を超えた場合、例えば、第2大径筒部62の板厚が薄い回転体60を選択し、軸方向隙間S22を基準幅より大きくすることで、内側操作軸50の操作トルクを所定の範囲内に収めるように、低減させるためである。
【0045】
図3Bに示すように軸方向隙間S22が小さい理由は、例えば、内側操作軸50の操作トルクが外側操作軸40の操作トルクより小さく、かつ、所定の範囲を下回る場合、例えば、第2大径筒部62の板厚が厚い回転体60を選択し、軸方向隙間S22を基準幅より小さくすることで、内側操作軸50の操作トルクを所定の範囲内に収めるように、増大させるためである。
【0046】
上記の各変形例によれば、例えば、第2大径筒部62の板厚の異なる複数種類の回転体60の中から適合する回転体60を選択的に用いることで、内側操作軸50の操作トルクを調整することが可能となる。
【0047】
その他、上記実施の形態は、何れも本発明の実施をするにあたっての具体化の一例を示したものに過ぎず、これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。すなわち、本発明はその要旨、またはその主要な特徴から逸脱することなく、様々な形で実施することができる。
【0048】
上記実施の形態においては、回転操作型電子部品1は、第1および第2の軸方向弾性部材91,92の両方の部材を備えているが、本発明はこれに限らず、例えば、第1および第2の軸方向弾性部材91,92のいずれか一方の部材を備えていればよく、また、第1および第2の径方向弾性部材70,80によって十分な操作トルクが得られる等の理由から、第1および第2の軸方向弾性部材91,92のいずれも備えていなくてもよい。
【0049】
本発明は、2020年1月27日付で出願された日本国特許出願(特願2020-010788)に基づくものであり、その内容はここに参照として取り込まれる。
【産業上の利用可能性】
【0050】
本発明は、二軸共に一定の高い操作トルクを得ることが要求される回転操作型電子部品を備えた電子機器に好適に利用される。
【符号の説明】
【0051】
1 回転操作型電子部品
10 第1ブロック体
12 円筒部
12a 軸方向一側端面
12b 軸方向他側端面
14 第1穴
14a,241b,242b,243a 内周面
20 第2ブロック体
22 ブロック部
22a 軸方向一側端面
22b 軸方向他側端面
24 第2穴
31,32 電子信号制御部
40 外側操作軸
41 第1筒状部
42 第1大径筒部
43,62a,241a,242a 面
50 内側操作軸
51 小径部
52 大径部
53 回り止め部
54 軸方向他側端部
55 抜け止めリング
60 回転体
61 第2筒状部
62 第2大径筒部
62b 軸方向一側端面
70 第1径方向弾性部材
70A バネ板
70B 連結帯
70C 間隔
70D スリット
70E,70F 端
80 第2径方向弾性部材
91 第1軸方向弾性部材
92 第2軸方向弾性部材
100 トルク調整部材
241 第一空間
242 第二空間
243 第三空間
311 ハウジング
311a,321b 軸方向他側端面
312 座部
312a 座面
313,322 端子
321 ハウジング
321a 軸方向一側端面