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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-14
(45)【発行日】2024-11-22
(54)【発明の名称】シェルター用避難梯子
(51)【国際特許分類】
   E02D 29/05 20060101AFI20241115BHJP
【FI】
E02D29/05 E
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2024115710
(22)【出願日】2024-07-19
【審査請求日】2024-07-23
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】517357826
【氏名又は名称】株式会社シェルタージャパン
(74)【代理人】
【識別番号】100103207
【弁理士】
【氏名又は名称】尾崎 隆弘
(74)【代理人】
【識別番号】100196106
【弁理士】
【氏名又は名称】杉田 一直
(72)【発明者】
【氏名】寿福 誠
(72)【発明者】
【氏名】矢野 昭彦
【審査官】山口 剛
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2021/070547(WO,A1)
【文献】特開2019-218821(JP,A)
【文献】実開昭60-051251(JP,U)
【文献】実開昭59-167300(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2021/0388669(US,A1)
【文献】特許第7521857(JP,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E02D 29/045- 29/16
E04H 9/00 - 9/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シェルターに設置されるシェルター用避難梯子であって、
前記シェルターは、床と、側壁と、天井と、前記天井に設けられる開口部を開閉する片開式の扉体と、を有し、
一端がリンクヒンジを介して前記扉体に回動可能に接続するリンク部材と、
前記リンク部材をスライド可能に支持する支持部と
子部材と、を備え、
前記リンク部材は、前記梯子部材が延びる方向に延びる部材であり、前記リンク部材が延びる方向に沿って延びるスライド孔が設けられるとともに、前記梯子部材の両側に接続して、前記梯子部材が延びる方向にスライドするスライド部を有し、
前記支持部は、前記天井に固定されて、前記開口部に架け渡される一対の支持梁と、一対の前記支持梁の間に架け渡される支持部材と、を有し、前記支持部材は、前記スライド孔を貫通して、前記リンク部材をスライド可能に支持するとともに、梯子ヒンジを介して前記梯子部材の一端と回動可能に接続し、
前記開口部を開放する方向に前記扉体を回動させるとき、前記梯子部材は前記扉体と反対方向に回動し、前記梯子部材の先端は、前記床に近接することを特徴とするシェルター用避難梯子。
【請求項2】
前記扉体が前記開口部を閉鎖するとき、前記梯子部材は、全体が前記天井に近接することを特徴とする請求項1に記載のシェルター用避難梯子。
【請求項3】
前記扉体の扉回動軸、前記リンク部材のリンク回動軸、および前記梯子部材の梯子回動軸は平行に設定されることを特徴とする請求項1に記載のシェルター用避難梯子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、片開式の扉本体の回動に同期して、扉本体と反対方向に回動するシェルター用避難梯子に関する。
【背景技術】
【0002】
東日本大震災では、巨大津波によって多くの人々の生命が奪われた。このような巨大津波から身を守るためには、津波襲来前に迅速に高台に避難することが防災上の有効な手段の一つとなっている。しかし、東海、東南海、南海の三連動地震が発生した場合、地震発生後わずか5分で高さ30mの津波が襲来する地域が存在することが予想されている。このような短時間で高台に避難することは、小さなお子様、高齢者・障害者の方々にとっては困難を極める。仮に、避難ビルに退避するとしても、高い階段を昇ることすら困難であるのが現状である。
【0003】
津波や津波火災の被災が予見されるときの対策として、自宅の庭など住居に近接して設置された地下シェルターあるいは半地下シェルターに避難することも考えられる。地震発生とともに速やかに地下シェルター、あるいは半地下シェルターに退避し、津波が去ったあとに脱出することで人々を津波災害から守ることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2014-98297号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、地下シェルター、半地下シェルター用の扉は、津波の波力や漂流物の衝突に耐える性能を具備することが求められるため、頑強なつくりとする必要がある。そのため、扉を開閉するには多大な労力を要することとなる。また、開口部から非難するために梯子や階段を利用する必要に迫られる。例えば、梯子を使用するときは、短時間に開口部に梯子を設置することを要する。また、階段を設けることは空間利用効率の低下を招くこととなる。
【0006】
本発明は、これらの問題点に着目してなされたものであり、シェルターに避難するとき、迅速に避難できて、空間利用効率に優れるシェルター用避難梯子を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するための発明は、シェルターに設置されるシェルター用避難梯子であって、シェルターは、床と、側壁と、天井と、天井に設けられる開口部を開閉する片開式の扉体と、を有し、扉体に回動可能に接続するリンク部材と、リンク部材をスライド可能に支持する支持部と、支持部に回動可能に接続する梯子部材と、を備え、リンク部材は、梯子部材をリンク部材が延びる方向にスライドさせるためのスライド部を有し、開口部を開放する方向に扉体を回動させるとき、梯子部材は扉体と反対方向に回動し、梯子部材の先端は、床に近接することを特徴とするシェルター用避難梯子である。
【0008】
この構成によれば、開口部を開放する方向に扉体を回動させるとき、梯子部材は扉体と反対方向に回動し、梯子部材の先端は、床に近接するので、扉体を回動して開口部を開口すると同時にシェルター用避難梯子は避難者が避難できる状態に自動的に設置され得る。このとき梯子部材の先端は床から離れた状態、すなわち自由端となるが、梯子部材は支持部材に支持されるとともに、スライド部材にスライド可能に支持される状態となり、すくなくとも2か所で支持されているので先端のブレは抑制される。
【0009】
好ましくは、扉体が開口部を閉鎖するとき、梯子部材は、全体が天井に近接することを特徴とする。
【0010】
この構成によれば、扉体が開口部を閉鎖するとき、梯子部材は、全体が天井に近接するので、扉体が開口部を閉鎖する状態、すなわち避難者がシェルター室内に避難した状態において、シェルター室内の空間利用効率を高めることができる。
【0011】
好ましくは、支持部は、天井に固定されて、開口部に架け渡される一対の支持梁と、一対の支持梁の間に架け渡される支持部材とを有することを特徴とする。
【0012】
この構成によれば、支持部は、天井に固定されて、開口部に架け渡される一対の支持梁と、一対の支持梁の間に架け渡される支持部材とを有するので、シェルター室内の空間利用効率を阻害することなく、支持梁を介して支持部材を天井に強固に固定できる。
【0013】
好ましくは、リンク部材は、リンク部材が延びる方向に沿って延びるスライド孔が設けられ、支持部材はスライド孔を貫通した状態で、リンク部材を支持することを特徴とする。
【0014】
この構成によれば、支持部材はスライド孔を貫通した状態で、リンク部材を支持するので、リンク部材は支持部材に安定的に支持され得る。
【0015】
好ましくは、梯子部材は、支持部材と回動可能に接続することを特徴とする。
【0016】
この構成によれば、梯子部材は、支持部材と回動可能に接続するので、一定要件下、梯子部材を円滑に回動させることができる。
【0017】
好ましくは、扉体の扉回動軸、リンク部材のリンク回動軸、および梯子部材の梯子回動軸は平行に設定されることを特徴とする。
【0018】
この構成によれば、扉体の扉回動軸、リンク部材のリンク回動軸、および梯子部材の梯子回動軸は平行に設定されるので、梯子部材は扉体の回動に同期して、扉体と反対方向に回動する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】(a)は、扉体が開口部を開放した状態における、シェルター室内の側面図であり、(b)は、同、正面図である。
図2】シェルター用避難梯子の側面断面図である。
図3図2における矢視A-Aの断面図である。
図4】(a)、(b)は、扉体の開閉とパッキンの状態を説明する側断面図である。ロック機構は省略している。
図5】(a)は、ロック機構の取り付け状態を説明する側断面図であり、(b)は、同、正面断面図である。
図6】(a)~(c)はロック機構の動作を説明する断面図である。
図7】(a)~(d)は、シェルター用避難梯子の回動状態を説明する概略側面図である。ただし、パワーシリンダは省略している。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図1~6を参照して本発明のシェルター用避難梯子1(以後、避難梯子1と称する。)の実施形態を詳述する。
【0021】
図1(a)、(b)に示す通り、避難梯子1は、シェルター100の室内100aに設置されており、リンク部材10、支持部20、および梯子部材30を有している。扉体150が開口部140を塞ぐとき、避難梯子1は全体が天井130に近接した状態となる(図7(a)参照)。また、扉体150を回動させて開口部140を開放すると、避難梯子1は、扉体150の回動と反対方向に回動し、梯子部材30の先端31は床110に近接する(図7(b)~(d)参照)。すなわち、扉体150が開口部140を開放すると同時に、避難梯子1で室内100aに避難できる状態となる。
【0022】
シェルター100は、床110と側壁120と天井130を有する、略直方体の筐体であり、ほぼ全ての部分が地下に埋設される、いわゆる地下シェルターである。シェルターの形式はこれに限るものではなく、シェルターのおおむね半分程度が地下に埋設される、半地下シェルターであってもよい。
【0023】
床110、側壁120、天井130は、鉄筋コンクリート製であり、本実施形態において、構造厚さは30cmを例示している。床110、側壁120、天井130の厚さは少なくとも20cm以上であることが好ましく、より好ましいのは50cm以上である。構造厚さは、核や津波で被災したとき安全に避難するために必要と考える放射線遮蔽性能や、シェルター100に付加される外力を勘案して、適宜に定めればよい。
【0024】
天井130は、開口部140が設けられており、開口部140は片開式の扉体150が、回動することで開閉する。開口部140の大きさは、避難梯子1を使用して、室内100aに避難できる大きさに設定されることが好ましい。図1(a)において、避難梯子1で避難する人は正面に向いて避難する。開口部140の第1方向D1、および第2方向D2の幅は、少なくとも、避難者が容易に避難できる幅を確保することが好ましい。
【0025】
扉体150は、片開式であり、端部は、扉ヒンジ151を介して天井130と回動可能に接続されている。また、扉体150の下面150Lは、パワーシリンダ40のピストン部41が回動可能に接続されている。パワーシリンダ40の本体部は、側壁120に回動可能に接続されている。パワーシリンダ40を動作してピストン部41を伸ばすことで扉体150は扉ヒンジ151を中心に床110から天井130の方向に回動する。また、ピストン部41を短縮することで、扉体150は扉ヒンジ151を中心に天井130から床110の方向に回動する。なお、扉体150の扉回動軸R1は、扉体150が回動するときの、中心となる軸であり、本実施形態では、平面視で、第2方向D2に平行となるように設定されている。
【0026】
開口部140は、平面視で長方形の孔である。扉体150の回動端部155に対向する端部対向面145は、傾斜が設けられている。この傾斜は、扉体150が回動するとき、扉体150の回動端部155が、端部対向面145と干渉することを回避するためのものである。端部対向面145を除く他の3面については、傾斜は設けられておらず、垂直な面となっている。
【0027】
リンク部材10はリンクヒンジ12を介して扉体150に回動可能に接続している。これにより、リンク部材10は、リンク回動軸R3を回動中心とし回動する。また、リンクヒンジ12の近傍から先端31に向かって延びるスライド孔15が設けられている。また、梯子部材30とスライド可能に接続するスライド部11を有している。スライド部11は、スライド孔15の近傍から先端31に向かって延びる溝11aを画定している(図2図3参照)。
【0028】
図3に示す通り、支持部20は、一対の支持梁21、21と支持部材25を有している。支持梁21は第1方向D1に沿って延びており、開口部140に架け渡されている。また、その端部は天井130に固定されている。ここで、第1方向D1は、扉体150の回動軸である扉回動軸R1に、平面視で直交する方向である。
【0029】
支持部材25は、第1方向D1に直交する方向となる第2方向D2に延びる外形が円形状の棒部材であり、端部が一対の支持梁21、21のそれぞれに接続している。また、リンク部材10に設けられるスライド孔15を貫通している。支持部材25の取り付け位置は、平面視で扉ヒンジ151に近接するように設定することが好ましい。
【0030】
梯子部材30は、梯子ヒンジ32を介して支持部材25と回動可能に接続している。これにより、梯子部材30は梯子回動軸R2を回動中心として回動する。本実施形態では、扉回動軸R1、リンク回動軸R3、および梯子回動軸R2は平行となるように設定されている。
【0031】
梯子部材30は、リンク部材10に設けられるスライド部11にスライド可能に接続している。具体的には、スライド部11に画定される溝11aに挿入された状態でスライド部11にスライド可能に接続している。梯子部材30の構造は、一般的に使用する梯子の構造とほぼ同じであることから、構造詳細の説明は省略する。
【0032】
図4(a)、(b)に示す通り、扉体150は外周部に、環状部材153を有している。扉体150が開口部140を閉鎖したとき、環状部材153の外縁は天井130に、パッキン160を介して接する。扉体150の厚さは天井130の厚さと同じ厚さに設定されており、開口部140に挿入できる大きさとなっている。扉体150は、天井130と同じで、鉄筋コンクリート製である。
【0033】
扉ヒンジ151は、扉体150の回動を制限するストッパ152が装着されている。ストッパ152が天井130の上面に接することで扉体150の上昇方向の回動は停止する。また、環状部材153が、パッキン160を介して天井130の上面に接触することで扉体150の下降方向の回動が停止する。
【0034】
パッキン160は、第1パッキン161と第2パッキン162を有しており、開口部140を取り囲む状態で、天井130の上面に取り付けられている。第1パッキン161は、主に雨水の侵入を防止することを目的としており、第2パッキン162の外周側に設けられている。第2パッキン162は、主に津波の襲来等でシェルター100が水没したとき、室内100aへの浸水を防止することを目的としている。
【0035】
第1パッキン161は、スポンジシリコンタイプであり、第2パッキン162は、耐圧シリコンタイプである。また、第2パッキン162の立ち上がり高さは、第1パッキン161よりも低く設定されている。本実施形態では、第1パッキン161の本数は1本、第2パッキン162の本数は2本を例示しているが、これに限るものではない。
【0036】
図4(a)に示す通り、扉体150が開口部140を閉鎖する状態において、パワーシリンダ40による力が扉体150に作用せず、扉体150の重さのみがパッキン160に付加される状態では、第2パッキン162と環状部材153との間は若干の隙間が生じており、第1パッキン161のみが環状部材153に接する状態となっている。この状態を創出することで雨水の浸水を防ぐことができる。また、津波襲来時などにおいて、地上に設けられる水位計が周囲の水位が一定の水位を超えたと認識したとき、パワーシリンダ40を動作して、扉体150を下方に引き下げる力を負荷する。そうすると、第1パッキン161は圧縮されて、立ち上がり高さが次第に低くなることで、環状部材153は、第2パッキン162に接触した後に、第2パッキン162を押圧する(図4(b)参照)。この状態を創出することで、第1パッキン161と第2パッキン162が協働して室内100aの浸水を防止する。
【0037】
扉体150が開口部140を閉鎖する状態を維持するために、図5(a)、(b)に示す通り、パワーシリンダ40に対向する位置に、ロック機構170が設けられている。ロック機構170は、図6(a)~(c)に示す通り、扉体150が開口部140を閉鎖するとき、バネ172で移動するラッチ171が、嵌合部材173に設けられる嵌合穴173aに挿入されることで、扉体150の回動を制限する。ラッチ171はバネ172を介して天井130の下面に取り付けられ、嵌合部材173はラッチ171に対向する状態で、扉体150に取り付けられている。
【0038】
なお、扉体150が図4(a)や図5(a)の状態にあるとき、言い換えれば、環状部材153が第1パッキン161のみと接触しているとき、ロック機構170は図6(b)の状態に調整されている。また、扉体150が図4(b)の状態にあるとき、言い換えれば、環状部材153が第1パッキン161と第2パッキン162の双方に接触するとき、ロック機構170は図6(c)の状態に調整されている。
【0039】
避難梯子1の動作について図7(a)~(d)を参照して説明する。
【0040】
扉体150が開口部140を閉鎖するとき、図7(a)に示す通り、梯子部材30は天井130に近接しており、天井130に平行な状態となっている。このとき、支持部材25はスライド孔15の第1端部51近傍に位置している。また、梯子部材30は、ほぼ全てがリンク部材10に設けられる溝11aに収容されている。
【0041】
パワーシリンダ40を動作してピストン部41を伸ばすことで、扉体150は、扉回動軸R1を回動中心として床110から天井130の方向に回動する。同時に、リンク部材10はリンク回動軸R3を回動中心として、天井130から床110の方向に回動する。さらに、梯子部材30はリンク部材10に同期して、梯子回動軸R2を回動中心として、天井130から床110の方向に向かって回動する。リンク部材10の回動に伴って、支持部材25がリンク部材10を支持する位置が変化する。本実施形態では、第1状態F1から第2状態F2に至る過程で、支持部材25とリンクヒンジ12との離隔距離が最小となる。すなわち第1状態F1から第2状態F2に至る過程で、支持部材25は第1端部51に近接していく(図7(b)参照)。
【0042】
第2状態F2から第3状態F3に至る過程では、支持部材25は第1端部51から遠ざかり第2端部52に近接する。同時に、梯子部材30とスライド部11が重なり合う範囲は減少して、梯子部材30はリンク部材10の先端部から突出した状態となる。(図7(c)参照)。
【0043】
本実施形態では、扉ヒンジ151とリンクヒンジ12の間の水平離隔距離である第1離隔距離L1は、扉ヒンジ151と支持部材25の間の離隔距離である第2離隔距離L2に比べて、常に小さくなるように設定している。この場合、第1離隔距離L1が最大となるとき、天井130と避難梯子1のなす角度は最大となる。また、第1離隔距離L1と第2離隔距離L2を同距離に設定するとき、天井130と避難梯子1のなす角度は90度となる。本実施形態では、第1離隔距離L1は第2離隔距離L2に比べて小さくしているが、第1離隔距離L1と第2離隔距離L2を等しくしてもよい。
【0044】
第3状態F3から第4状態F4に至る過程では、第1離隔距離L1は第2離隔距離L2に比べてさらに小さくなる。この状態では、天井130と避難梯子1のなす角度は徐々に小さくなっていく。一方で、梯子部材30はリンク部材10の先端31からさらに突出した状態となる。すなわち、天井130と梯子部材30のなす角度は徐々に小さくなっていくが、リンクヒンジ12から梯子部材30の先端31までの距離は長くなっていく(図7(d)参照)。
【0045】
ストッパ152が天井130の上面に接することで扉体150の上昇方向の回動は停止する。本実施形態では扉体150の下面150Lが垂直となるとき扉体150の回動が停止するように設定しているが、これに限るものではない。扉体150の回動はこの状態よりも大きくてもよいし、小さくてもよい。具体的には、避難者が梯子部材30を使用して抵抗なく避難できる状態が創出できる回動角度であればよい。
【0046】
本実施形態は例示であり、本発明の技術的思想を逸脱しない範囲で改変できることは勿論である。例えば、扉体150は出入りが可能な筐体(図示略)に収容されることが好ましい。扉本体が収容筐体に収容されることで、仮に、開口部140を開放する状態としておいても雨水のシェルター室内100aへの侵入は阻止できる。さらに、筐体に入室することで、直ちに避難梯子1を利用してシェルター室内100aに入室できる。
【産業上の利用可能性】
【0047】
本発明に係る避難梯子を活用することで、避難が容易となり、地下シェルターの普及に大きく貢献できることから産業上の利用可能性は大である。
【符号の説明】
【0048】
1 :避難梯子
10 :リンク部材
11 :スライド部
15 :スライド孔
20 :支持部
21 :支持梁
25 :支持部材
30 :梯子部材
31 :先端
100 :シェルター
110 :床
120 :側壁
130 :天井
140 :開口部
150 :扉体
R1 :扉回動軸
R2 :梯子回動軸
R3 :リンク回動軸
【要約】
【課題】シェルターに避難するとき、迅速に避難できて、空間利用効率に優れるシェルター用避難梯子を提供する。
【解決手段】避難梯子1は、シェルター100の室内100aに設置されており、リンク部材10、支持部20、および梯子部材30を有している。扉体150が開口部140を塞ぐとき、避難梯子1は全体が天井130に近接した状態となる。また、扉体150を回動させて開口部140を開放すると、避難梯子1は、扉体150の回動と反対方向に回動し、梯子部材30の先端31は床110に近接する。すなわち、扉体150が開口部140を開放すると同時に、避難梯子1で室内100aに避難できる状態となる。
【選択図】 図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7