(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-14
(45)【発行日】2024-11-22
(54)【発明の名称】UAV測量システム及びUAV測量プログラム
(51)【国際特許分類】
G01C 7/04 20060101AFI20241115BHJP
G01C 11/00 20060101ALI20241115BHJP
【FI】
G01C7/04
G01C11/00
(21)【出願番号】P 2024151834
(22)【出願日】2024-09-03
【審査請求日】2024-09-03
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】523222574
【氏名又は名称】合同会社パブテックラボ
(74)【代理人】
【識別番号】100177231
【氏名又は名称】鴨志田 伸一
(72)【発明者】
【氏名】山本 武史
【審査官】山▲崎▼ 和子
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-064768(JP,A)
【文献】特開2013-108927(JP,A)
【文献】特開2016-180761(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第112923904(CN,A)
【文献】特開2020-078949(JP,A)
【文献】特開2020-170438(JP,A)
【文献】韓国登録特許第10-2517970(KR,B1)
【文献】特開2022-095569(JP,A)
【文献】米国特許第11046430(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01C 7/00
11/00
15/00
B64B 1/00-1/70
B64C 1/00-99/00
B64D 1/00-47/08
B64F 1/00-5/60
B64G 1/00-99/00
B64U 10/00-80/86
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
それぞれが少なくとも一種類以上の測定装置を有する複数の測量用UAVと、
前記複数の測量用UAVを搭載して前記複数の測量用UAVを輸送する輸送用UAVと、
前記複数の測量用UAV及び前記輸送用UAVと通信可能に接続され、前記複数の測量用UAV及び前記輸送用UAVを制御する制御装置であって、(1)予め前記複数の測量用UAVが搭載された前記輸送用UAVを離陸位置からそれぞれの目標位置まで飛行させ、(2)前記複数の測量用UAVのそれぞれが予め設定されたルートであって互いに異なるルートを飛行するように、前記複数の測量用UAVを前記それぞれの目標位置に位置する前記輸送用UAVから発進させ、(3)互いに異なるルートを飛行している前記複数の測量用UAVのそれぞれに、前記少なくとも一種類以上の測定装置により各異なるルートに相当する地上の測量をさせつつ予め定められたタイミングで自身に各異なるルートの測量データを複数回送信させ、(4)自身が前記予め定められたタイミングで前記各異なるルートの測量データを複数回受信して、過去に受信した複数回分の前記各異なるルートの測量データを合成してそれまでの測量結果を算出することで全ルートの測定結果を算出する制御装置と、
を備え、
前記制御装置は、前記それまでの測量結果において、一のルートの測量結果と、残りのすべてのルートの測量結果とに予め設定された測量差以上の差があった場合、前記一のルートに対応する測量領域が前記残りのすべてのルートに対応する測量領域に囲まれるように、前記複数の測量用UAVのうち前記一のルート以外のルートを飛行する少なくとも1台以上の測量用UAVの前記予め設定されたルートを変更する、
UAV測量システム。
【請求項2】
前記複数の測量用UAVの一の測量用UAVにおける前記予め設定されたルートの少なくとも一部は、他の測量用UAVにおける前記予め設定されたルートの少なくとも一部に相当するように設定されており、
前記制御装置は、前記(4)において、
前記各異なるルートの測量を時間差で少なくとも2回行うことに伴って算出される少なくとも2回の前記全ルートの測量結果
のそれぞれを比較して、前記時間差での変化を示す前記全ルートの観察結果を算出する、
請求項
1に記載のUAV測量システム。
【請求項3】
前記制御装置は、気象情報を記憶する気象情報記憶装置に通信可能に接続されており、
前記制御装置は、前記全ルートの観察結果に、前記気象情報記憶装置から受信した気象情報を組み合わせて、今後の全ルートに相当する領域の観察結果を予測する、
請求項
2に記載のUAV測量システム。
【請求項4】
請求項
3に記載のUAV測量システムを用いて、
前記制御装置に、
予め前記複数の測量用UAVが搭載された前記輸送用UAVを離陸位置からそれぞれの目標位置まで飛行させる機能と、
前記複数の測量用UAVのそれぞれが予め設定されたルートであって互いに異なるルートを飛行するように、前記複数の測量用UAVを前記それぞれの目標位置に位置する前記輸送用UAVから発進させる機能と、
互いに異なるルートを飛行している前記複数の測量用UAVのそれぞれに、前記少なくとも一種類以上の測定装置により各異なるルートに相当する地上の測量をさせつつ自身に各異なるルートの測量データを送信させる機能と、
自身が受信した前記各異なるルートの測量データを合成して全ルートの測量結果を算出するとともに前記全ルートの観察結果を算出する機能と、
それぞれ前記全ルートとは異なるルートで過去に観察された複数の観察結果と、当該複数の観察結果のそれぞれの観察時の気象情報との相関関係を教師データとして機械学習された予測モデルを用いて、前記全ルートの観察結果と、前記全ルートの観察結果の算出時における前記全ルートの気象情報とから前記全ルートにおける今後の測量結果を予測する機能と、
を実行させる、
UAV測量プログラム。
【請求項5】
請求項1
~3のいずれか一項に記載のUAV測量システムを用いて、
前記制御装置に、
予め前記複数の測量用UAVが搭載された前記輸送用UAVを離陸位置からそれぞれの目標位置まで飛行させる機能と、
前記複数の測量用UAVのそれぞれが予め設定されたルートであって互いに異なるルートを飛行するように、前記複数の測量用UAVを前記それぞれの目標位置に位置する前記輸送用UAVから発進させる機能と、
互いに異なるルートを飛行している前記複数の測量用UAVのそれぞれに、予め定められたタイミングで、前記少なくとも一種類以上の測定装置により各異なるルートに相当する地上の測量をさせつつ自身に各異なるルートの測量データを複数回送信させる機能と、
自身が前記予め定められたタイミングで複数回受信した前記各異なるルートの測量データを合成して全ルートの測量結果を算出するとともに過去に受信した複数回分の前記各異なるルートの測量データを合成してそれまでの測量結果を算出する機能と、
前記それまでの測量結果において、一のルートの測量結果と、残りのすべてのルートの測量結果とに予め設定された測量差以上の差があった場合、前記一のルートに対応する測量領域が前記残りのすべてのルートに対応する測量領域に囲まれるように、前記複数の測量用UAVのうち前記一のルート以外のルートを飛行する少なくとも1台以上の測量用UAVの前記予め設定されたルートを変更する機能と、
を実行させる、
UAV測量プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、UAV測量システム及びUAV測量プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
地上の状況を迅速かつ効率的に把握する方法として、無人航空機(以下、本明細書ではUAV(Unmanned Aerial Vehicle)という。)に測量機材を搭載して遠隔で測量する方法(遠隔測量(リモートセンシング))が知られている。ここで、測量の方法としては、レーザー測距(電磁波及び赤外線を含む)、熱画像分析、カメラ映像分析、超音波データ分析等の方法がある。UAVから通信ネットワークを介して外部コンピュータに送信される複数の測量データにそれぞれの測量位置の衛星測位情報(GPS情報)の関係を持たせて合成することで、詳細かつ高精度な測量結果が迅速に得られる。
また、遠隔測量の活用場面として、例えば、災害発生時の状況把握が検討されている(非特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】災害時におけるUAV(無人航空機)の活用について、尾無 雅実、新技術・新工法部門:No.16[online]、[2024年8月23日検索]、インターネット<URL:https://www.kkr.mlit.go.jp/plan/happyou/thesises/2017/pdf05/shingijutsu-16.pdf>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
非特許文献1には、災害発生時におけるUAVの活用方法として、1台(単数)のUAVによる写真撮影等の例が開示されているが、複数のUAVを用いた場合については開示されていない。
【0005】
本発明は、複数の測量用UAVを用いた測量システムの提供を目的とする。より具体的には、1台の測量用UAVで測量する場合に比べて、短時間に測量することができるUAV測量システムの提供を目的の1つとする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1態様のUAV測量システムは、
それぞれが少なくとも一種類以上の測定装置を有する複数の測量用UAVと、
前記複数の測量用UAVを搭載して前記複数の測量用UAVを輸送する輸送用UAVと、
前記複数の測量用UAV及び前記輸送用UAVと通信可能に接続され、前記複数の測量用UAV及び前記輸送用UAVを制御する制御装置と、
を備え、
前記制御装置は、(1)予め前記複数の測量用UAVが搭載された前記輸送用UAVを離陸位置からそれぞれの目標位置まで飛行させ、(2)前記複数の測量用UAVのそれぞれが予め設定されたルートであって互いに異なるルートを飛行するように、前記複数の測量用UAVを前記それぞれの目標位置に位置する前記輸送用UAVから発進させ、(3)互いに異なるルートを飛行している前記複数の測量用UAVのそれぞれに、前記少なくとも一種類以上の測定装置により各異なるルートに相当する地上の測量をさせつつ自身に各異なるルートの測量データを送信させ、(4)自身が受信した前記各異なるルートの測量データを合成して全ルートの測量結果を算出する。
第2態様のUAV測量システムは、
さらに、
前記制御装置は、前記(3)において、前記複数の測量用UAVのそれぞれに、予め定められたタイミングで、前記各異なるルートの測量データを複数回送信させるとともに、前記(4)において、前記予め定められたタイミングで前記各異なるルートの測量データを複数回受信して、過去に受信した複数回分の前記各異なるルートの測量データを合成してそれまでの測量結果を算出する。
第3態様のUAV測量システムは、
さらに、
前記複数の測量用UAVの一の測量用UAVにおける前記予め設定されたルートの少なくとも一部は、他の測量用UAVにおける前記予め設定されたルートの少なくとも一部に相当するように設定されており、
前記制御装置は、前記(4)において、前記全ルートの測量結果を算出するとともに前記全ルートの観察結果を算出する。
第4態様のUAV測量システムは、
さらに、
前記制御装置は、前記それまでの測量結果において、一のルートの測量結果と、残りのすべてのルートの測量結果とに予め設定された測量差以上の差があった場合、前記一のルートに対応する測量領域が前記残りのすべてのルートに対応する測量領域に囲まれるように、前記複数の測量用UAVのうち前記一のルート以外のルートを飛行する少なくとも1台以上の測量用UAVの前記予め設定されたルートを変更する。
第5態様のUAV測量システムは、
さらに、
前記制御装置は、前記それまでの測量結果において、一のルートの測量結果と、残りのすべてのルートの測量結果とに予め設定された測量差以上の差があった場合、前記一のルートに対応する測量領域が前記残りのすべてのルートに対応する測量領域に囲まれるように、前記複数の測量用UAVのうち前記一のルート以外のルートを飛行する少なくとも1台以上の測量用UAVの前記予め設定されたルートを変更する。
第6態様のUAV測量システムは、
さらに、
前記制御装置は、気象情報を記憶する気象情報記憶装置に通信可能に接続されており、
前記制御装置は、前記全ルートの観察結果に、前記気象情報記憶装置から受信した気象情報を組み合わせて、今後の全ルートに相当する領域の観察結果を予測する。
第7態様のUAV測量システムは、
さらに、
前記制御装置は、前記全ルートの測量情報を記憶する測量情報記憶装置に通信可能に接続されており、
前記制御装置は、更に、前記測量情報記憶装置から受信した前記全ルートの測量情報を組み合わせて、今後の全ルートに相当する領域の観察結果を予測する。
第1態様のUAV測量プログラムは、
第1態様又は第2態様のUAV測量システムを用いて、
前記制御装置に、
予め前記複数の測量用UAVが搭載された前記輸送用UAVを離陸位置からそれぞれの目標位置まで飛行させる機能と、
前記複数の測量用UAVのそれぞれが予め設定されたルートであって互いに異なるルートを飛行するように、前記複数の測量用UAVを前記それぞれの目標位置に位置する前記輸送用UAVから発進させる機能と、
互いに異なるルートを飛行している前記複数の測量用UAVのそれぞれに、前記少なくとも一種類以上の測定装置により各異なるルートに相当する地上の測量をさせつつ自身に各異なるルートの測量データを送信させる機能と、
自身が受信した前記各異なるルートの測量データを合成して全ルートの測量結果を算出するとともに前記全ルートの観察結果を算出する機能と、
を実行させる。
第2態様のUAV測量プログラムは、
第1態様又は第2態様のUAV測量システムを用いて、
前記制御装置に、
予め前記複数の測量用UAVが搭載された前記輸送用UAVを離陸位置からそれぞれの目標位置まで飛行させる機能と、
前記複数の測量用UAVのそれぞれが予め設定されたルートであって互いに異なるルートを飛行するように、前記複数の測量用UAVを前記それぞれの目標位置に位置する前記輸送用UAVから発進させる機能と、
互いに異なるルートを飛行している前記複数の測量用UAVのそれぞれに、前記少なくとも一種類以上の測定装置により各異なるルートに相当する地上の測量をさせつつ自身に各異なるルートの測量データを送信させる機能と、
自身が受信した前記各異なるルートの測量データを合成して全ルートの測量結果を算出するとともに前記全ルートの観察結果を算出する機能と、
それぞれ前記全ルートとは異なるルートで過去に観察された複数の観察結果と、当該複数の観察結果のそれぞれの観察時の気象情報との相関関係を教師データとして機械学習された予測モデルを用いて、前記全ルートの観察結果と、前記全ルートの観察結果の算出時における前記全ルートの気象情報とから前記全ルートにおける今後の測量結果を予測する機能と、
を実行させる。
第3態様のUAV測量プログラムは、
第4態様のUAV測量システムを用いて、
前記制御装置に、
予め前記複数の測量用UAVが搭載された前記輸送用UAVを離陸位置からそれぞれの目標位置まで飛行させる機能と、
前記複数の測量用UAVのそれぞれが予め設定されたルートであって互いに異なるルートを飛行するように、前記複数の測量用UAVを前記それぞれの目標位置に位置する前記輸送用UAVから発進させる機能と、
互いに異なるルートを飛行している前記複数の測量用UAVのそれぞれに、予め定められたタイミングで、前記少なくとも一種類以上の測定装置により各異なるルートに相当する地上の測量をさせつつ自身に各異なるルートの測量データを複数回送信させる機能と、
自身が前記予め定められたタイミングで複数回受信した前記各異なるルートの測量データを合成して全ルートの測量結果を算出するとともに過去に受信した複数回分の前記各異なるルートの測量データを合成してそれまでの測量結果を算出する機能と、
前記それまでの測量結果において、一のルートの測量結果と、残りのすべてのルートの測量結果とに予め設定された測量差以上の差があった場合、前記一のルートに対応する測量領域が前記残りのすべてのルートに対応する測量領域に囲まれるように、前記複数の測量用UAVのうち前記一のルート以外のルートを飛行する少なくとも1台以上の測量用UAVの前記予め設定されたルートを変更する機能と、
を実行させる。
【発明の効果】
【0007】
第1態様のUAV測量システムによれば、1台の測量用UAVで測量する場合に比べて、短時間に測量することができる。
第2態様のUAV測量システムによれば、全ルートの測量結果が算出されるまでに、それまでの測量結果を算出することができる。
第3態様のUAV測量システムによれば、複数の測量結果を算出することで観察結果を得ることができる。
第4態様及び第5態様のUAV測量システムによれば、予め設定されたルート(測量領域)を変更して、より適切な測量結果を取得することができる。
第6態様及び第7態様のUAV測量システムによれば、現時点での観察結果に気象情報を組み合わることで、その直後の観察結果をより適切に予想することができる。
第1態様のUAV測量プログラムによれば、1台の測量用UAVで測量する場合に比べて、UAV測量システムに短時間に測量させることができる。
第2態様のUAV測量プログラムによれば、UAV測量システムに将来の測量結果を予測させることができる。また、第2態様のUAV測量プログラムによれば、UAV測量システムに過去から将来に亘る観察結果を提供することができる。
第3態様のUAV測量プログラムによれば、予め設定されたルート(測量領域)を変更して、UAV測量システムにより適切な測量結果を取得させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】第1実施形態のUAV測量システムの概略図である。
【
図2】第1実施形態のUAV測量システムが備える管理サーバーの概略図である。
【
図3A】第1実施形態のUAV測量システムの動作を説明するための図であって、大型UAVの離陸位置及び目標位置並びにこれらの周辺の概略図である。
【
図3B】
図3Aの概略図において、離陸位置に大型UAVがセットされた際の様子を示す概略図である。
【
図3C】
図3Aの概略図において、目標位置に大型UAVが到着して大型UAVから複数の小型UAVが発信された際の様子を示す概略図である。
【
図3D】
図3Cの概略図における測量領域を上下方向上側から見た概略図である。
【
図3E】第1実施形態のUAV測量システムの動作時のフロー図である。
【
図4A】第2実施形態のUAV測量システムの概略図であって、第1目標位置に大型UAVが到達した直後における測量領域を上下方向上側から見た概略図である。
【
図4B】第2実施形態のUAV測量システムの概略図であって、第2目標位置に大型UAVが到達した直後における測量領域を上下方向上側から見た概略図である。
【
図5】第3実施形態のUAV測量システムの動作時のフロー図である。
【
図6A】第4実施形態のUAV測量システムの動作時のフロー図である。
【
図6B】
図6Aのフロー図における修正検討(S70B)の部分フロー図である。
【
図6C】第4実施形態のUAV測量システムにおいて、修正検討の結果、ルート変更になった場合の変更前後のルートを説明するための概略図である。
【
図7】第5実施形態のUAV測量システムの動作時のフロー図である。
【
図8】第6実施形態のUAV測量システムの動作時のフロー図である。
【
図9】第1変形例のUAV測量システムの動作時のフロー図である。
【
図10】第2変形例のUAV測量システムの概略図であって、目標位置に大型UAVが到達した直後における測量領域を上下方向上側から見た概略図である。
【
図11】第3変形例のUAV測量システムの動作時のフロー図である。
【
図12】第4変形例のフロー図における修正検討(S70F)の部分フロー図である。
【
図13】第5変形例のUAV測量システムの概略図であって、目標位置に大型UAVが到達した直後における測量領域を上下方向上側から見た概略図である。
【
図14】第6変形例のUAV測量システムの動作時のフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
≪概要≫
以下、第1~第6実施形態及び複数の変形例並びに参考例について説明する。本明細書では、異なる実施形態等で参照する各図面において、同じような機能を有する構成要素に対して同じ符号又は同じような符号を付している点に留意されたい。
【0010】
≪第1実施形態≫
まず、第1実施形態のUAV測量システムMS1(
図1等参照)について、機能及び構成、動作並びに効果に分けて
図1~
図3Eを参照しながら説明する。
【0011】
<第1実施形態の機能及び構成>
本実施形態のUAV測量システムMS1は、(1)大型UAV10(輸送用UAVの一例)により離陸位置SPから目標位置TPまで複数の小型UAV20(複数の測量用UAVの一例)を輸送して、(2)複数の小型UAV20のそれぞれにより目標位置TPの周辺地域(測量領域)を分割した各領域の測量を行い、(3)複数の測量結果を合成して測量領域の測量結果を算出する、機能を有する。
本実施形態のUAV測量システムMS1の使用目的は、例えば、ある地域で、地震、火事、洪水等の災害が発生した場合に、当該ある地域の災害の状況を迅速に調査することである。本実施形態では、UAV測量システムMS1の使用目的を、一例として、ある地域での災害発生時の災害状況の調査とするが、UAV測量システムMS1の使用目的を、当該調査以外の調査に使用してもかまわない点に留意されたい。
【0012】
UAV測量システムMS1は、
図1に示されるように、大型UAV10と、複数の小型UAV20と、管理サーバー30(制御装置の一例)と、外部サーバー40と、ユーザー端末50とを備えている。そして、これらの構成要素は、管理サーバー30を中心として通信ネットワークNW(一例として、インターネット)を介して通信可能に接続されている。
【0013】
(大型UAV)
大型UAV10は、複数の小型UAV20を搭載して複数の小型UAV20を、離陸位置SPから目標位置TPまで輸送する機能を有する(
図3B及び
図3C参照)。ここで、離陸位置SPとは、例えば、災害が発生しているにも関わらず大型UAV10が離陸可能な位置、すなわち、災害による影響を受けることなく離陸可能な位置をいう。また、目標位置TPとは、例えば、災害が発生した地域において、自身から複数の小型UAV20を切り離す(発信させる)ことが設定された位置をいう。目標位置TPの設定及び離陸位置SPから目標位置TPまでの飛行ルートの設定は、例えば、後述するユーザー端末50を使用してユーザーU(オペレーター)により行われる。
なお、大型UAV10には、GPS受信機(図示省略)が搭載されている。
【0014】
(複数の小型UAV)
複数の小型UAV20のそれぞれは、目標位置TPで大型UAVから切り離されて、目標位置TPの周辺地域(測量領域)を分割した各領域の測量を行いつつその測量データを管理サーバー30に送信する機能を有する。
本実施形態では、複数の小型UAV20の台数は一例として4台とするが、2~3台でも5台以上でもよい。複数の小型UAV20は、小型UAV20A、20B、20C、20Dとする(
図1、
図3D等参照)。
前述の分割した各領域とは、
図3Dに示されるように、一例として、第1領域、第2領域、第3領域及び第4領域のことをいう。
前述の各領域の測量とは、各領域における、地上の地理的な情報を収集し、位置、形状、高さ等を正確に測定することを意味する。
複数の小型UAV20のそれぞれは、各領域の測量を行うために、少なくとも1種以上の測定装置(図示省略)を有している。例えば、レーザー測距(電磁波及び赤外線を含む)、熱画像分析、カメラ映像分析、超音波データ分析等による測定のための装置を搭載している。
なお、複数の小型UAV20のそれぞれには、GPS受信機(図示省略)が搭載されている。
【0015】
(管理サーバー)
管理サーバー30は、
図1に示されるように、通信ネットワークNWを介して、大型UAV10、複数の小型UAV20、外部サーバー40及びユーザー端末50と、通信可能に接続されている。管理サーバー30は、一例として、クラウドCLD上に存在する、いわゆるクラウドサーバーである。
管理サーバー30は、ユーザー端末50から受け取った指令(指示情報)に基づいて、大型UAV10及び複数の小型UAV20を制御する機能を有する。また、管理サーバー30は、大型UAV10及び複数の小型UAV20から送信される情報(位置情報、測量の情報)をユーザー端末50に転送する機能、並びに、当該測量の情報を合成して更にユーザー端末50に転送する機能を有する。
管理サーバー30は、
図2に示されるように、処理部32(CPU(Central Processing Unit))と、記憶部34(Memory)とを備えている。
処理部32は、記憶部34に格納されているデータを読み出して演算処理を行う。当該データには、一例として、アプリケーションAPが含まれている。アプリケーションAPは、プログラムPG1と、データファイルDFと、各種ライブラリLBとを含んで構成されている。
管理サーバー30による大型UAV10及び複数の小型UAV20の制御方法並びにプログラムPG1については、後述する動作の説明の中で説明する。
【0016】
(外部サーバー)
外部サーバー40は、一例として、クラウドCLD上に存在するサーバーであって、管理サーバー30とは別のサーバーである。外部サーバー40には、一例として、地図情報、過去の災害情報(その日時、その時の天候、その時の被害情報その他の情報)、過去にプログラムPG1~PG6等が実行されることで得られた測量結果、過去及び現在の天候に関する情報等が記憶されている。そして、外部サーバー40に管理サーバー30からこれらの情報の取得リクエスト(一例として、WebAPIによるリクエスト)を送信すると、管理サーバー30は通信ネットワークNWを経由してこれらの情報を受信可能となっている。
【0017】
(ユーザー端末)
ユーザー端末50は、ユーザーU(オペレーター)によって使用される端末であって、ユーザーUが入力した測量のための条件の情報を、通信ネットワークNWを介して管理サーバー30に送信可能となっている。また、ユーザー端末50は、大型UAV10及び複数の小型UAV20から管理サーバー30に送信される情報(位置情報、測量の情報)並びに管理サーバー30により合成される測量の情報を受信可能となっている。
【0018】
以上が、第1実施形態のUAV測量システムMS1の機能及び構成についての説明である。
【0019】
<第1実施形態の動作>
次に、第1実施形態のUAV測量システムMS1の動作について
図3A~
図3Eを参照しながら説明する。
【0020】
(S10)
ある地域で災害が発生したことで(
図3A参照)、ユーザーU(オペレーター)は、災害地域の場所を想定し、目標位置TP及び測量領域を特定する。その情報をユーザー端末50から管理サーバー30に送信する(
図1参照)。
これに伴い、管理サーバー30は、外部サーバー40から測量領域の地図情報を受信し、複数の小型UAV20の台数分に分割する。この分割は、測量時間が最短で終了するように、管理サーバー30が地図情報を参照しながら設定する。
(S20)
次いで、作業者(図示省略)により、離陸位置SPに、複数(4台)の小型UAV20を搭載した大型UAV10をセットする(
図3B参照)。そして、作業者は自身の情報端末(図示省略)からセットが完了したことを、通信ネットワークNWを介して管理サーバー30に通知する。
その結果、管理サーバー30は、大型UAV10を離陸させる。大型UAV10の飛行位置は、GPS装置からの位置情報から管理サーバー30に把握される。
【0021】
(S30)
次いで、管理サーバー30は、大型UAV10が目標位置TPに到達したと判断すると、大型UAV10から4台の小型UAV20を空中で切り離させ、更に、4台の小型UAV20のそれぞれを予め設定された(分割された)測量領域(第1~第4領域(
図3D参照))に向けて発進させる。
【0022】
(S40)
次いで、管理サーバー30は、4台の小型UAV20のそれぞれに、各測量領域(第1~第4領域(
図3D参照))の予め設定されたルートを飛行させる(
図3D参照)。また、管理サーバー30は、飛行する4台の小型UAV20に、それぞれの測定装置により定められたタイミングで測量をさせて、測量データをGPS情報(位置情報)とともに自身に送信させる。ここで、定められたタイミングとは、例えば、1秒~3秒等に設定されているが、全ルートを飛行する期間に、多数のデータを取得できれば、この例よりも短くても長くてもかまわない。また、測量データは、レーザー測距(電磁波及び赤外線を含む)、熱画像分析、カメラ映像分析、超音波データ分析等のデータである。
【0023】
(S50及びS60)
次いで、管理サーバー30は、4台の小型UAV20がそれぞれの測量領域(第1~第4領域(
図3D参照))の全ルートの飛行・測量を完了したと判断すると(S50)、4台の小型UAV20のそれぞれから受信した複数の測定データを合成して、全測定領域(全ルート)の測定結果を算出して、測定動作のプログラムPG1が終了する(S60)。
なお、管理サーバー30は、測定結果の算出を完了すると、その結果を、通信ネットワークNWを介して、ユーザー端末50に送信する。
【0024】
(制御動作の総括)
ここで、前述の説明において参照した
図3Eの動作フロー(又はプログラムPG1のアルゴリズム)を総括すると、以下のとおりである。
管理サーバー30は、(1)予め複数の小型UAV20が搭載された大型UAV10を離陸位置SPからそれぞれの目標位置TPまで飛行させ、(2)複数の小型UAV20のそれぞれ(20A~20D)が予め設定されたルートであって互いに異なるルートを飛行するように、複数の小型UAV20をそれぞれの目標位置TPに位置する大型UAV10から発進させ、(3)互いに各測量領域(第1~第4領域)の異なるルートを飛行している複数の小型UAV20のそれぞれ(20A~20D)に、少なくとも一種類以上の測定装置により各異なるルートに相当する地上の測定(レーザー測距(電磁波及び赤外線を含む)、熱画像分析、カメラ映像分析、超音波データ分析等による測定)をさせつつ自身に各異なるルートの測定データを送信させ、(4)自身が受信した各異なるルートの測定データを合成して全ルート(又は全測量領域)の測定結果を算出する。
【0025】
以上が、第1実施形態のUAV測量システムMS1の動作についての説明である。
【0026】
<第1実施形態の効果>
次に、第1実施形態の効果について説明する。
【0027】
(第1の効果)
本実施形態の場合、測量領域で飛行しながら測量を行う複数の小型UAV20は、離陸位置SPから目標位置TPまで大型UAV10により輸送される(
図3C参照)。
そのため、複数の小型UAV20が大型UAV10に輸送される期間、それぞれに搭載されるバッテリー等のエネルギーは飛行動作によって消費されることがない。
したがって、本実施形態は、離陸位置SPから複数の小型UAV20を離陸させて測量を行う場合に比べて、広範囲での測量を行うことができる。
【0028】
(第2の効果)
また、本実施形態の場合、大型UAV10により離陸位置SPから目標位置TPまで輸送される小型UAV20の台数は複数(本実施形態では一例として4台)である(
図3B参照)。
そのため、各小型UAV20A、20B、20C、20Dが、それぞれ、複数の小型UAV20の台数分に分割された第1~第4領域を飛行して測量すれば、全測量領域の測量が完了する(
図3D参照)。
したがって、本実施形態は、1台の測量用UAV(小型UAV)で全測定領域を測量する場合に比べて、短時間に測量することができる。これに伴い、管理サーバー30から測量結果を受信したユーザー端末50によって、ユーザーU(オペレーター)は、ある地域(測量領域)での災害状況の測量結果をより早く得ることができる。
【0029】
以上が第1実施形態の効果についての説明である。また、以上が本実施形態についての説明である。
【0030】
≪第2実施形態≫
次に、第2実施形態のUAV測量システムMS2について、
図4A及び
図4Bを参照しながら説明する。以下の説明は、本実施形態における、前述の第1実施形態(
図1~
図3E参照)と異なる部分のみについて行う。
なお、以下の説明では、第1実施形態の場合も本実施形態の場合も全測量領域は同じ場所かつ同じ範囲とする。
【0031】
第1実施形態の場合、目標位置TPは全測量領域の中央の1ヶ所である(
図3D参照)。
第1実施形態の場合、大型UAV10が全測量領域の中央に設定されている目標位置TP1に到着しなければ、複数の小型UAV20による測定が開始されない。
【0032】
これに対して、本実施形態の場合、目標位置TP1、TP2は、全測量領域の周縁の1ヶ所(目標位置TP1)と、全測量領域の中央よりも少しオフセットされた目標位置TP2との2ヶ所(複数個所)に設定されている。そして、本実施形態の場合、(1)全測量領域の周縁かつ2つの領域(一例として、第2領域と第3領域)に設定された目標位置TP1を通過する際に、2台の小型UAV20B、20Cが大型UAV10から切り離されて各領域(第2及び第3領域)での飛行・測量を開始し(
図4A参照)、(2)次いで、大型UAV10が目標位置TP2に到達すると、残りの2台の小型UAV20A、20Dが大型UAV10から切り離されて残りの各領域(第1及び第4領域)での飛行・測量を開始する(
図4B参照)。本実施形態の場合、管理サーバー30によって、一例として、(1)第2及び第3領域の面積が第1及び第4領域の面積よりも大きく、かつ、(2)すべての領域(第1~第4領域)での各小型UAV20A、20B、20C、20Dの飛行が同等のタイミングで終了するように設定される。
【0033】
したがって、本実施形態の場合、前述の第1実施形態の場合に比べて、短時間で全測量領域の測量結果の算出を完了することができる。
【0034】
以上が、第2実施形態についての説明である。
【0035】
≪第3実施形態≫
次に、第3実施形態のUAV測量システムMS3について、
図5を参照しながら説明する。以下の説明は、本実施形態における、前述の第1実施形態(
図1~
図3E参照)と異なる部分のみについて行う。
【0036】
第1実施形態の場合、管理サーバー30は、(1)4台の小型UAV20に測量領域(第1~第4領域(
図3D参照))の全ルートの飛行・測量を完了させ(
図3EのS40及びS50参照)、次いで、(2)4台の小型UAV20のそれぞれから受信した複数の測定データを合成して、全測定領域(全ルート)の測定結果を算出する(
図3EのS60参照)。
【0037】
これに対して、本実施形態の場合、管理サーバー30は、(1)4台の小型UAV20に、それぞれの測量領域(第1~第4領域(
図3D参照))のルートを飛行させながら予め定められたタイミングで測量データを送信させ(
図5のS40参照)、次いで、(2)当該予め定められたタイミングで受信した4台の小型UAV20からの測量データをその都度合成して、すなわち、それまでの各ルートの測量データを合成して、それまでの測定領域(それまでのルート)の測定結果を算出する(
図5のS60A及びS50参照)。
【0038】
したがって、本実施形態の場合、第1実施形態及び第2実施形態の場合と異なり、全ルートの測量結果が算出されるまでに、それまでの測量結果を算出することができる。これに伴い、管理サーバー30からそれまでの(途中の)測量結果を受信したユーザー端末50によって、ユーザーU(オペレーター)は、ある地域(測量領域)での途中の災害状況の測量結果を得ることができる。
【0039】
以上が、第3実施形態についての説明である。
【0040】
≪第4実施形態≫
次に、第4実施形態のUAV測量システムMS4について、
図6A~
図6Cを参照しながら説明する。以下の説明は、本実施形態における、前述の第3実施形態(
図5参照)と異なる部分のみについて行う。
【0041】
第4実施形態の場合、管理サーバー30は、予め定められたタイミングで受信した4台の小型UAV20からの測量データをその都度合成して、それまでの測定領域(それまでのルート)の測量結果を算出する動作(以下、途中測量算出動作という。)を、判断ステップS50によりすべての(4台の)小型UAV20A、20B、20C、20Dの各ルートの飛行が終了するまで継続して終了する(
図5のS60A及びS50参照)。
【0042】
これに対して、本実施形態の場合、管理サーバー30は、判断ステップS50で否定判断となった場合、途中測量算出動作中に、S70(ルートの修正判断を行うステップ)を行う(
図6A参照)。
(S71B)
ここで、S70では、(1)まず、判断ステップS71Bで過去にルートを変更したかが判断される。過去にルート変更があった場合(肯定判断の場合)、S40(
図6A)に進む。これに対して、過去にルート変更がなかつた場合(否定判断の場合)、判断ステップS72Bに進む。
(S72B)
次いで、判断ステップS72Bでは、分割された複数の測量領域(第1~第4領域)において、それまでの測量の結果、一の領域での測量データから得られる値(一例として、温度、光度等)が他の(残りのすべての)領域での測量データから得られる値に対して予め設定された差(一定値以上の差)がない場合(否定判断の場合)、S40(
図6A)に進む。これに対して、予め設定された差(一定値以上の差)がある場合(肯定判断の場合)、S73Bに進む。
(S73B)
S73Bでは、S72Bで肯定判断となった測量の結果が、管理サーバー30を経由して、ユーザー端末50に送信される。そのため、測量の結果は、ユーザー端末50を使用するユーザーU(オペレータ-)に報知される。
ここで、測量の結果において、例えば、第2領域(一の領域の一例)での測量データから得られる温度の値が、第1、第3及び第4領域(残りのすべての領域)での測量データから得られる温度の値に対して予め設定された差(一例として300℃)以上であるとする。
(S74B及びS75B)
次いで、ユーザーUがユーザー端末50から管理サーバー30にルート変更の指示を送信すると、管理サーバー30は、判断ステップS74Bで肯定判断をして、ルート変更がされる(
図6C参照)。具体的には、上記のような測量の結果が報知されたユーザーUは、当初予定していた全測量領域(
図6Cのルート修正直前の図参照)のまま測量を続けるよりも、例えば第2領域が全測量領域でより中央に位置するように変更して測量をした方がより欲しい災害の情報を得られると考えるであろう。
そこで、本実施形態のプログラムPG4では、修正検討のステップS70Bにおいて、第2領域が第1、第3及び第4領域に囲まれるように、ルートを修正する(
図6C参照)。
一般化すると、本実施形態では、管理サーバー30は、判断ステップS60Aで否定判断をするまでの測量結果において、一のルートの測量結果と、残りのすべてのルートの測量結果とに予め設定された測量差以上の差があった場合、一のルートに対応する測量領域が残りのすべてのルートに対応する測量領域に囲まれるように、複数の小型UAV20のうち一のルート以外のルートを飛行する少なくとも1台以上の小型UAVの予め設定されたルートを変更する。
なお、ユーザーUがユーザー端末50から管理サーバー30にルート変更をしない旨の指示を送信すると、管理サーバー30は、判断ステップS74Bで否定判断をして、S40に進む(
図6C参照)。
【0043】
したがって、本実施形態によれば、予め設定されたルート(測量領域)を変更して、より適切な測量結果を取得することができる。
【0044】
以上が、第4実施形態についての説明である。
【0045】
≪第5実施形態≫
次に、第5実施形態のUAV測量システムMS5について、
図7を参照しながら説明する。以下の説明は、本実施形態における、前述の第3実施形態(
図5参照)と異なる部分のみについて行う。
【0046】
第3実施形態の場合、管理サーバー30は、S60Aの後の判断ステップS50で肯定判断をすると終了となる。すなわち、第3実施形態の場合、全測量領域の測量結果を算出すると終了となる。ただし、この後に、算出した測量結果を、管理サーバー30がユーザー端末50に送信する(図示省略)。
【0047】
これに対して、本実施形態の場合、管理サーバー30は、判断ステップS50で肯定判断をして終了とはならず、S80Cを行ってから終了する。
S80Cでは、管理サーバー30が、外部サーバー40(測量情報記憶装置の一例)から、外部サーバー40に記憶されている過去に得られた全測量領域の測量結果(全ルートの測量情報)を受信して、今回算出した同じ全測量領域の測量結果と比較する。ここで、過去に得られた全測量領域の測量結果(全ルートの測量情報)とは、例えば、今回の災害(例えば台風)が発生することが想定されたため、その数日前(災害が発生する前)に予め本実施形態のUAV測定システムMS5を利用して得られたものである。
【0048】
そして、本実施形態では、管理サーバー30が、S50で肯定判断をした時点で得られた全測量領域の測量結果と、S80において外部サーバー40から得られた災害前(平常時)の全測量領域の測量結果とを比較することで、災害によって具体的に被害を受けた場所、被害の程度等を観察結果として算出することができる。また、管理サーバー30が災害時及び災害前の測量結果をユーザー端末50に送信することで、ユーザーU(オペレーター)に2つの測量結果を比較させて観察等に利用させることができる。
【0049】
以上が、第5実施形態についての説明である。
【0050】
≪第6実施形態≫
次に、第6実施形態のUAV測量システムMS6について、
図8を参照しながら説明する。以下の説明は、本実施形態における、前述の第5実施形態(
図7参照)と異なる部分のみについて行う。
【0051】
第5実施形態の場合、管理サーバー30は、(1)各小型UAV20A、20B、20C、20Dに、互いに重複することがない領域(第1~第4領域)のルートを飛行・測量させ(
図7のS40及び援用する
図3D参照)、次いで、(2)送信時までの各ルートの測定データを合成して、送信時までの測量結果を算出する(
図7のS60A参照)。
【0052】
これに対して、本実施形態の場合、S40に換えてS40Dを行うとともに、S60Aに換えてS60Dを行う。
具体的には、S40Dでは、管理サーバー30は、一例として、小型UAV20Aに第1領域及び第2領域の2つのルート、小型UAV20Bに第2領域及び第3領域の2つのルート、小型UAV20Cに第3領域及び第4領域の2つのルート、小型UAV20Dに第4領域及び第1領域の2つのルートというように(第1~第4領域については
図3Dを援用して参照)、各小型UAV20A、20B、20C、20Dに、2つの領域を跨って飛行・測量をさせる。
また、S60Dでは、S40Dの際に送信された測定データを逐次合成して測量結果を算出する。そのうえで、最終的には各ルートの測量が時間差で2回行われることから変化する測定結果(観察結果)も算出されることになる。
さらに、S80Dでは、管理サーバー30は、外部サーバー40(気象情報記憶装置の一例)から、外部サーバー40に記憶されている過去及び現在の天候に関する情報(気象情報)を受信する。
そして、管理サーバー30は、S50の終了時に得られた観察結果と、気象情報とを組み合わせて、今後の災害の状況(今後の測量結果)を予想する。
【0053】
したがって、本実施形態によれば、現時点での観察結果に気象情報を組み合わることで、その直後の観察結果をより適切に予想することができる。
【0054】
以上が、第6実施形態についての説明である。
【0055】
≪複数の変形例≫
以上のとおり、第1~第6実施形態をそれぞれ本発明の一例であるとして説明したが、本発明はこれらの形態に限定されるものではない。本発明の一例には、以下の複数の変形例も含まれる。
なお、本発明の技術的範囲には、前述の各実施形態及び後述する複数の変形例のうちの一の形態の一部の構成要件を他の形態の一部の構成要件に置き換えてもよいし、一の形態に他の形態の一部の構成要件を追加してもよい。
【0056】
<第1変形例>
第1実施形態では、全測量領域の分割(第1~第4領域(
図3D参照))は、測量時間が最短で終了するように、管理サーバー30が地図情報を参照しながら設定する説明した。
しかしながら、
図9の第1変形例のUAV測量システムMS7(プログラムPG7)のように、全測量領域を複数の領域に分割する場合に、外部サーバー40から気象情報を取得して、気象情報による小型UAV20の飛行時の空気抵抗等を加味しつつより迅速に測量動作が終了するように、分割領域の形状等を定めるようにしてもよい(S5E参照)。
この変形例の場合、S10をS5Eの後に行ってもよい。
【0057】
<第2変形例>
第1実施形態では、目標位置TPが全測量領域の中央に設定されていた(
図3D参照)。
しかしながら、
図10の第2変形例のUAV測量システムMS8(プログラムPG8)のように、目標位置TPを全測定領域の周縁に設定して、周縁に設定された目標位置TPからすべての小型UAV20A、20B、20C、20Dを発進させるようにしてもよい。この変形例の場合、全測定領域の形状等によっては、第1実施形態の場合よりも、測量動作を早く終了させることができる。
【0058】
<第3変形例>
大型UAV10の離陸前に、予め離陸位置SP、測量領域及び複数の小型UAV20の台数は決まっている。また、測量領域の形状、全測量領域の分割及び目標位置TPの設定によって測量動作を完了させるための時間が異なる。
そこで、
図11の第3変形例のUAV測量システムMS9(プログラムPG9)のように、測量動作が完了するまでに必要な時間(離陸から全測量領域の飛行・測量が完了するまでの時間)が最短時間となるように、管理サーバー30に、測量領域の位置及び形状、離陸位置SPの場所、並びに、複数の小型UAV20の台数をパラメータとして計算させて、全測量領域の分割及び目標位置TPを設定してもよい(S5G)。S5Gでは、例えば、第1実施形態の場合(
図3D参照)、第2実施形態の場合(
図4A参照)及び第2変形例の場合(
図10参照)のいずれかに設定される。
【0059】
<第4変形例>
第4実施形態におけるS70(修正検討)では、ユーザーU(オペレーター)からのルート変更の指示があった場合にルート変更をするように設定されていた(
図6BのS74B及びS75B参照)。
しかしながら、
図12の第4変形例のUAV測量システムMS10(プログラムPG10)のS70F(修正検討)のように、判断ステップS72Bで肯定判断の場合、自動的にルート変更をするようにしてもよい。更に、この場合、ルート変更とともに、管理サーバー30からユーザー端末50にルート変更をしたことを報知するようにしてもよい(S75F)。
【0060】
<第5変形例>
第1実施形態等では、大型UAV10の機能は複数の小型UAV20を離陸位置SPから目標位置TPまで輸送すること説明した。
しかしながら、
図13の第5変形例のUAV測量システムMS11(プログラムPG11)のように、大型UAV10に、全測量領域の一部(一例として第5領域)の測量をする機能を持たせてもよい。
【0061】
<第6変形例>
第6実施形態(
図8参照)では、管理サーバー30が、外部サーバー40から過去及び現在の天候に関する情報(気象情報)を受信して(S80D)、測量動作の終了後(S50の終了後)に得られた観察結果と、気象情報とを組み合わせて、今後の災害の状況(今後の測量結果)を予想することを説明した。
しかしながら、
図14の第6変形例のUAV測量システムMS12(プログラムPG12)のように、今後の測量結果(災害の予測)を、生成AIを用いて行ってもよい(S80H)。
具体的には、外部サーバー40に記録されている、(1)過去にあった複数の災害情報(場所、災害の広がり方(時間変化))と、(2)それらの場所における災害時の気象情報との相関関係を教師データとして機械学習された予測モデルを生成する。そして、この予測モデルに、S50の終了後に得られた観察結果、及び、その場所の実際の気象情報を入力することで、今後の災害の状況(今後の測量結果)を予想するようにしてもよい(S80H)。
ここで、(1)過去にあった複数の災害情報(場所、災害の広がり方(時間変化))とは、それぞれ今回の測量の対象である測量領域における全ルートとは異なるルートで過去に観察された複数の観察結果を意味する。
【0062】
以上が、複数の変形例についての説明である。
【0063】
≪参考例≫
前述の複数の実施形態及び複数の変形例は、測量を行うことを前提とした発明に関する。
しかしながら、これらの形態に含まれる構成要件は、測量以外の発明に利用してもよい。例えば、離陸位置SPから離陸した大型UAV10が空中の目標位置TPで複数の小型UAV20を切り離すという思想は、いわゆるドローンショーで使用される複数のドローンを複数の小型UAV20に置き換えて利用してもよい。この形態により、複数のドローンの離陸時の電力は不要となり、複数のドローンを離陸させるスペースも不要となる。
また、例えば、目標位置TPにおいて大型UAV10から複数の小型UAV20を切り離す際に、気象情報を利用して各小型UAV20A、20B、・・・の飛行領域(飛行ルート)を求めるという思想は、農業での農薬散布、建築物、山林等の観測等に利用してもよい。
【0064】
以上が、参考例についての説明である。
【符号の説明】
【0065】
10 大型UAV(輸送用UAVの一例)
20 複数の小型UAV(複数の測量用UAVの一例)
20A 小型UAV(測量用UAVの一例)
20B 小型UAV(測量用UAVの一例)
20C 小型UAV(測量用UAVの一例)
20D 小型UAV(測量用UAVの一例)
30 管理サーバー(制御装置の一例)
32 処理部
34 記憶部
40 外部サーバー(気象情報記憶装置の一例、測量情報記憶装置の一例)
50 ユーザー端末
AP アプリケーション
CLD クラウド
DF データファイル
LB 各種ライブラリ
MS1~12 UAV測量システム
NW 通信ネットワーク
PG1~12 プログラム
SP 離陸位置
TP 目標位置
TP1 目標位置
TP2 目標位置
U ユーザー(オペレーター)
【要約】
【課題】本発明は、短時間に測量することができるUAV測量システムの提供を目的とする。
【解決手段】本発明のUAV測量システムは、一種類以上の測定装置を有する複数の測量用UAVと、前記複数の測量用UAVを輸送する輸送用UAVと、前記複数の測量用UAV及び前記輸送用UAVを制御する制御装置と、を備え、前記制御装置は、(1)前記複数の測量用UAVが搭載された前記輸送用UAVを離陸位置から目標位置まで飛行させ、(2)前記複数の測量用UAVを前記目標位置に位置する前記輸送用UAVから発進させ、(3)互いに異なるルートを飛行している前記複数の測量用UAVのそれぞれに、前記少なくとも一種類以上の測定装置により各異なるルートに相当する地上の測量をさせつつ自身に各異なるルートの測量データを送信させ、(4)自身が受信した前記各異なるルートの測量データを合成する。
【選択図】
図3D