(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-14
(45)【発行日】2024-11-22
(54)【発明の名称】微粒化装置、および微粒化装置の健全性診断方法
(51)【国際特許分類】
B02C 19/06 20060101AFI20241115BHJP
B02C 25/00 20060101ALI20241115BHJP
G05B 23/02 20060101ALI20241115BHJP
【FI】
B02C19/06 A
B02C25/00 B
G05B23/02 V
(21)【出願番号】P 2021205668
(22)【出願日】2021-12-20
【審査請求日】2023-11-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000132161
【氏名又は名称】株式会社スギノマシン
(72)【発明者】
【氏名】土屋 敬幸
(72)【発明者】
【氏名】田村 宏
【審査官】大内 康裕
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-036830(JP,A)
【文献】特開2017-205683(JP,A)
【文献】国際公開第2021/121935(WO,A1)
【文献】中国特許出願公開第103909006(CN,A)
【文献】特開2002-059024(JP,A)
【文献】特表2023-508923(JP,A)
【文献】特開2021-183931(JP,A)
【文献】特開2020-011160(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B02C 19/06
B02C 25/00
G05B 23/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
原料タンク内の原料を供給する給液ポンプと、
前記給液ポンプで吐出された前記原料を加圧する増圧機と、
前記増圧機で加圧された前記原料をフィルタ処理する高圧フィルタと、
前記高圧フィルタを通過した前記原料を噴射する噴射チャンバーと、
前記噴射チャンバーで微粒化処理された前記原料を冷却する熱交換器と、
少なくとも前記増圧機の吐出圧力を検知する検知手段と、
前記検知手段の検知データに基づいて、故障が発生する前の健全性を診断する健全性診断手段と、
を
有し、
さらに前記健全性診断手段には、前記増圧機の吐出圧力の脈動の値を監視する脈動判定部を有する、微粒化装置。
【請求項2】
前記増圧機を冷却する冷却部
と、前記増圧機と前記冷却部の間を流れる冷却液の流量と温度の両方又は一方を前記健全性診断手段に伝達するための検知手段と、を有する、請求項1に記載の微粒化装置。
【請求項3】
前記健全性診断手段は、事前に指定する消耗品の寿命時間を計測する寿命期間判定部を有する、
請求項1又は2に記載の微粒化装置。
【請求項4】
前記健全性診断手段は、消耗品に関する過去の故障や不具合情報、または交換情報を加味して前記健全性を判断する、
請求項1、2又は3に記載の微粒化装置。
【請求項5】
原料タンク内の原料を供給する給液ポンプと、
前記給液ポンプで吐出された前記原料を加圧する増圧機と、
前記増圧機で加圧された前記原料をフィルタ処理する高圧フィルタと、
前記増圧機を冷却する冷却部と、
前記高圧フィルタを通過した前記原料を噴射する噴射チャンバーと、
前記噴射チャンバーで微粒化処理された前記原料を冷却する熱交換器と、
を有し、
前記給液ポンプに配置する給液検知センサ、
前記増圧機に配置する増圧機検知センサ、
前記高圧フィルタに配置する高圧フィルタ検知センサ、
前記噴射チャンバーに配置する噴射チャンバー検知センサ、
前記冷却部に配置する冷却検知センサ、
前記熱交換器に配置する熱交換器検知センサのうち、少なくとも
前記増圧機検知センサで前記増圧機の吐出圧力を取得する工程と、
前記増圧機の吐出圧力データに基づいて、前記増圧機の吐出圧力の脈動の値を監視する工程と、を含む、微粒化装置の健全性診断方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、微粒化装置、および微粒化装置の健全性診断方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、工作機械などの生産設備において、メンテナンスや故障時の対応を円滑に行う場合、生産設備の稼働中に各種センサなどの検知手段を用いて検出値を取得する。そして、検出値が閾値を超えたことで異常個所を検出し、問題発生時に対処するのが一般的である。また、近年、IоT(Internet of Things)が普及しつつあり、PC(personal computer)、携帯端末等を用いて遠隔監視をすることが実用化されている。
【0003】
例えば、特許文献1には、ポンプ設備の異常診断システムとして、データセット取得部、偏差指標値算出部、異常判定部、要因特定部、および対策データ出力部とを備えるポンプ設備の異常診断システムが開示されている。
ここで、データセット取得部は、ポンプ設備の運転状態と相関がある複数の指標の組合せからなるデータセットを取得する。
偏差指標値算出部は、ポンプ設備の正常時における複数の指標の組合せからなる基準データセットと実際のデータセットとの偏差を示す偏差指標値を算出する。
【0004】
異常判定部は、偏差指標値が閾値を上回った場合、ポンプ設備に異常兆候があると判定する。
要因特定部は、ポンプ設備に異常兆候があると判定された場合、偏差指標値に対する複数の指標の各々の寄与度に基づいて、異常兆候の要因を特定する。
対策データ出力部は、要因特定部で特定された要因に予め関連付けられた対策データを出力する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、特許文献1は、ポンプの吸込圧や吐出圧を検知することによって、異常診断を行っているものの、微粒化装置は、医薬品や化学品などの原料をポンプで高圧化した後、チャンバー内で原料を微粒化(例えば、分散、粉砕、乳化、表面改質、劈開等)することで、原料特性を変化させるものであり、特許文献1と同様の異常診断を微粒化装置に適用する場合には、微粒化装置の特性を考慮した診断を行う必要があった。
つまり、特許文献1におけるポンプの運転状態の維持だけでなく、装置の稼働中において原料処理を適切に実施するための環境維持までは考慮されていない。
【0007】
また、特許文献1は、偏差指標値に対する複数の指標の各々の寄与度に基づいて、異常兆候の要因を特定している。そのため、指標が多ければ多いほど予兆診断の精度を高めることができる。しかし、その分、指標の相関性や寄与度の複雑性が多様化して処理のための記憶領域を多く使い、通信機器やサーバー等に過度の負荷がかかってしまう、といった課題があった。
【0008】
さらに、微粒化装置等の流体を用いる装置の場合、流体が及ぼす各種影響は、目視による判断だけでは推し量れない場合が多く、故障や不具合が発生した場合、長年の経験や知識に基づいて対策を講じることが多い。そうした流体を用いる場合に特有の故障や不具合の原因傾向に対して、適切に健全性診断を行うことのできる装置や対策が求められていた。
【0009】
本発明は、装置を構成する主構成要素の状態を監視し、微粒化装置による処理精度を安定させることのできる微粒化装置、および微粒化装置の健全性診断方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の微粒化装置は、原料タンク内の原料を供給する給液ポンプと、給液ポンプで吐出された原料を加圧する増圧機と、増圧機で加圧された原料をフィルタ処理する高圧フィルタと、高圧フィルタを通過した原料を噴射する噴射チャンバーと、噴射チャンバーで微粒化処理された原料を冷却する熱交換器と、少なくとも増圧機の吐出圧力を検知する検知手段と、検知手段の検知データに基づいて、故障が発生する前の健全性を診断する健全性診断手段と、を有し、さらに健全性診断手段には、増圧機の吐出圧力の脈動の値を監視する脈動判定部を有する。
【0011】
本発明の微粒化装置の健全性診断方法は、原料タンク内の原料を供給する給液ポンプと、給液ポンプで吐出された原料を加圧する増圧機と、増圧機で加圧された原料をフィルタ処理する高圧フィルタと、増圧機を冷却する冷却部と、高圧フィルタを通過した原料を噴射する噴射チャンバーと、噴射チャンバーで微粒化処理された原料を冷却する熱交換器と、を有し、給液ポンプに配置する給液検知センサ、増圧機に配置する増圧機検知センサ、高圧フィルタに配置する高圧フィルタ検知センサ、噴射チャンバーに配置する噴射チャンバー検知センサ、冷却部に配置する冷却検知センサ、熱交換器に配置する熱交換器検知センサのうち、少なくとも増圧機検知センサで増圧機の吐出圧力を取得する工程と、増圧機の吐出圧力データに基づいて、増圧機の吐出圧力の脈動の値を監視する工程と、を含む。
【発明の効果】
【0012】
本発明の微粒化装置、および微粒化装置の健全性診断方法によれば、装置を構成する主構成要素の状態を監視し、微粒化装置による処理精度を安定させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図2】実施形態の微粒化装置の検知手段および健全性診断手段を示す構成図
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。
【0015】
(微粒化装置の構成)
図1に、本発明に係る実施形態の微粒化装置1の構成図を示す。
実施形態の微粒化装置1は、原料M(スラリー)を微粒化する装置である。
微粒化装置1は、原料タンク2と、給液ポンプ3と、増圧機4と、超高圧フィルタ5と、噴射チャンバー6と、冷却部7と、熱交換器Hを備えている。
【0016】
原料タンク2は、原料M(スラリー)を貯留する。給液ポンプ3は、原料タンク2の原料Mを圧送する。増圧機4は、シリンダ4Aと、プランジャ4Bと、加圧室4Cと、シール部4Dを有し、油圧ポンプ11(不図示)からの作動油の給排によって、プランジャ4Bがシリンダ4A内を往復動し、給液ポンプ3から圧送される原料Mを加圧室C内で加圧して吐出する。
超高圧フィルタ5は、加圧された原料Mをフィルタ処理する。噴射チャンバー6は、微粒化処理を行う。冷却部7は、増圧機4の温度上昇を防ぐために冷却液Lを循環させている。
【0017】
冷却部7は、冷却液給液ポンプ(不図示)と、冷却タンク7Aと、冷却液流路7Bを有している。
冷却液Lは、冷却液供給ポンプ(不図示)により、増圧機4の一部または全部に供給された後、冷却液流路7Bを流れて、冷却タンク7Aに排出される。例えば、シリンダ4A、プランジャ4B、および/またはシール部4Cを直接または間接的に冷却できる構成であればよい。
【0018】
また、冷却部7において、冷却液Lは、循環する形態や、常時排出する形態等とすることができる。循環する形態の場合、冷却液給液ポンプ(不図示)と冷却タンク7Aが接続することで、冷却液Lが循環する。また、常時排出する形態の場合、冷却液給液ポンプ(不図示)と冷却タンク7Aは接続しておらず、外部に排出される。
【0019】
熱交換器Hは、原料Mが加圧されることによって発生する温度上昇を抑制するために冷却する。原料Mには、温度上昇を伴うことによって、物性が変化してしまうものものあるため、冷却部7による冷却だけでなく、流路(配管)内の温度も適切に管理できる構成である。
【0020】
検知手段8は、
図1に示す給液ポンプ3、増圧機4、高圧フィルタ5、噴射チャンバー6、冷却部7、熱交換器H等のデータを検知する。
検知手段8は、例えば、給液ポンプ3に配置する給液検知センサ8A、増圧機4に配置する増圧機検知センサ8B、高圧フィルタ5に配置する高圧フィルタ検知センサ8C、噴射チャンバー6に配置する噴射チャンバー検知センサ8D、冷却部7に配置する冷却検知センサ8E、熱交換器Hに配置する熱交換器検知センサ8H等である。
図1に示すように、給液検知センサ8Aは、給液ポンプ3から供給される原料Mの供給圧力や吐出量を図る。増圧機検知センサ8Bは、増圧機4から供給される原料Mの供給圧力や吐出量を図る。高圧フィルタ検知センサ8Cは、高圧フィルタ5から供給された原料Mの供給圧力や吐出量を図る。噴射チャンバー検知センサ8Dは、原料Mの吐出圧力を図る。冷却検知センサ8Eは、冷却液Lの流量、温度を図る。熱交換器検知センサ8Hは、流量温度を図る。
【0021】
さらに、冷却検知センサ8Eとして、冷却液流量検知センサ8Fや、冷却液温度検知センサ8Gを利用することもできる。微粒化装置1を用いた原料Mの微粒化処理の性能を決める大きな要素は、増圧機3における正常な加圧と、噴射チャンバー6における最適な噴射条件であるが、その中でも、増圧機3の状態を正常に維持することが重要である。増圧機3の異常を引き起こす理由の1つとして、過度な温度上昇やシール漏れ等がある。そうした対策として、冷却液流量検知センサ8Fによって、冷却液Lの適切な流量が維持されることを確認することや、冷却液温度検知センサ8Gによって、冷却液Lの適切な温度が維持されることを確認することで、微粒化装置1を安定的に使用することができる。
【0022】
検知手段8としては、例えば、圧力、排水、稼働(ON・OFFや回転数等)、温度、振動、流量、粘度センサ等である。なお、本明細書中においては、センサとして表現するが、センサの別の形態としては、CCDカメラ等の撮像手段等を適宜利用することもできることは言うまでもない。
【0023】
検知手段8による検知データD1として、給液ポンプ3の供給圧力、吐出圧力、もしくは吐出流量、増圧機4の供給圧力もしくは吐出圧力、回転数もしくは切換時間、高圧フィルタ5の目詰まり量、噴射チャンバー6の供給圧力、吐出圧力、もしくは吐出流量、または、冷却タンク7の流量や温度、または、熱交換器8の温度のうち、少なくとも1つ以上を選択できる。
【0024】
また、冷却部7は、増圧機4と連結しており、循環する冷却液Lの中に原料Mが混入してくるケースがあり、その場合、増圧機4の内部におけるシールがうまく機能していない(例えば、パッキン等のシールが損傷している)可能性がある。
そこで、冷却部7に循環される冷却液Lの中に混入する原料Mの量を計測しておくことによって、異常を検知することができる。
【0025】
健全性診断手段9は、
図1および
図2に示すように、検知手段8で取得した検知データD1に基づいて微粒化装置1における主構成要素の状態を監視することで、微粒化装置1の安定的な稼働を実現し、その結果、原料Mの微粒化性能の向上を図ることができる。
健全性診断手段9は、取得部9Aと、演算部9Bと、判定部9Cと、を有する。
【0026】
取得部9Aは、有線または無線で検知データD1を取得する。取得部9Aは、記憶部9Fを備えており、検知データD1を一定期間保存できるため、微粒化装置1の継続的な使用データを蓄積できる。取得部9Aは、微粒化装置1が配置される工場内におけるネットワークに限らず、セキュリティ効果が高い外部ネットワーク上に構成することもできる。
【0027】
演算部9Bは、取得部9Aで取得した検知データD1を予め設定する基準値と比較し、偏差データD2を演算する。予め設定する基準値とは、検知データD1の許容範囲の上限や下限等を設定した値である。演算部9Bは、検知データD1の許容範囲である基準値の範囲内または範囲外のどちらに属するか偏差データD2を演算する。
【0028】
判定部9Cは、演算部9Bで演算した偏差データD2を予め設定する寄与度に基づいて健全性診断結果D3を判定する。寄与度とは、検知手段8で取得される圧力、排水、稼働(ON・OFFや回転数等)、温度、振動といった属性の組み合わせで、健全性の度合いを測る指標である。健全性基準の高低を調整できる。
図3に示すように、健全性基準をあらかじめ定めておき、検知手段8で取得されるデータの組み合わせに基づく数値のコンディションスコアを監視することによって、健全性を判定する。健全性基準(太実線)より低いコンディションスコアの場合が健全性がある。
【0029】
また、複数の増圧機4を用いる場合、複数の動力の違いに起因する脈動が発生すると、原料Mに対する加圧性能や増圧機4自体の要素部位の損傷等にも繋がるため、できるだけ脈動は小さくした方が良い。例えば、2台の増圧機4を用いる場合、それぞれの増圧機4の吐出圧力から脈動の値を監視し、増圧機4の動きを15%未満に脈動を抑えることで、装置の安定化を維持することができる。脈動が15%以上になった場合には、健全性診断結果として、消耗品等の交換を促す判断をすることができる。
そこで、判定部9Cは、検知データD1に基づいて判断するものであるが、別途、脈動判定部9Dを配置することによって、微粒化装置1の処理性能を安定化させることができる。
【0030】
判定部9Cは、検知データD1に基づいて判断するものであるが、別途、寿命期間判定部9Eを配置することによって、消耗品、例えば、シール部材、増圧機のプランジャ等の平均的な寿命期間(100時間、200時間、300時間、400時間、500時間等)を予め設定しておき、そうした寿命期間に至った場合には、交換を推奨する仕組みである。
【0031】
また、判定部9Cで、健全性診断結果D3を判定するにあたり、原料Mの物性に応じた指標を加味することもできる。原料Mは、粒径、粘性、pH(酸性、中性、アルカリ性)、界面活性剤などの分散溶媒等の有無等、様々なものがある。そうした条件の異なる原料Mの物性に応じて、健全診断結果D3の判定を調整する。
例えば、水を基準として、水よりも粒径、粘性、pH(酸性、中性、アルカリ性)等の項目がどの程度特性に違いがあり、各消耗品に対して影響を与えやすいか、を事前に設定しておくことによって、健全性診断結果D3の判定を行うことができる。
【0032】
また、過去の健全性診断結果D3を記憶部9Fに蓄積しておき、故障や交換した事実を加味して、新たな(リアルタイムの)健全性診断結果D3を判定する。
【0033】
遠隔操作手段11は、
図1および
図4に示すように、健全性診断手段9で判定されたデータを、通信網10を介して、遠隔で操作する。遠隔操作手段11は、状態監視部12と、アラーム部13と、消耗品交換部14と、を有する。
【0034】
状態監視部12は、健全性診断手段9で判定されたデータ、例えば、圧力、排水、稼働(ON・OFFや回転数等)、温度、振動の検知データD1、偏差データD2、健全性診断結果D3等である。表示の形式としては、すべて表示する形式、選択によって重点的に表示する形式等である。
さらに、原則的には、リアルタイムにおける各種データであるが、検知や演算のタイミングを事前に設定することによって、10分、30分、60分、90分、1日、1週間、3カ月毎にデータを更新する形式を選択できる。
【0035】
さらに、状態監視部12は表示部としての機能を有している。水を基準として、水よりも粒径、粘性、pH(酸性、中性、アルカリ性)等の項目がどの程度特性に違いがあり、各消耗品に対して影響を与えやすいか、を事前に設定しておくことによって、健全性診断結果D3の判定を効果的に実施するために、処理対象選択パネル(不図示)等も配置できる。
【0036】
アラーム部13は、健全性診断手段9で判定される健全性診断結果D3の結果、故障や不具合と判定した場合や、寿命期間判定部9Eによって、消耗品が寿命期間に到達するタイミング(寿命期間よりも一定時間長く設定することも可能)で、アラームが表示される。
【0037】
消耗品交換部14は、アラーム部13によるアラーム表示に関するデータを一覧化して表示する部位である。部品の交換時期(推奨)に到達した場合において、交換を推奨することが表示される。
【0038】
次に、
図5を参照して、本実施形態の健全性診断方法について説明する。
【0039】
微粒化装置1の稼働手順を説明する。まず、原料タンク2内に処理対象となる原料Mを投入し、スラリー状に調整する。次に、原料タンク2内の原料Mが、給液ポンプ3によって、増圧機4に圧送される。圧送された原料Mは、増圧機4によって加圧される。そして、加圧された原料Mは、超高圧フィルタ5を通った後、噴射チャンバー6に供給され、噴射される。なお、この処理は1回だけでなく、複数回繰り返してもよい。
【0040】
次に、健全性診断方法の稼働手順を説明する。
給液ポンプ3に配置する給液検知センサ8Aを用いた給液ポンプ3の供給圧力、吐出圧力、もしくは吐出流量、増圧機4に配置する増圧機検知センサ8Bを用いた増圧機4の供給圧力もしくは吐出圧力、回転数もしくは切換時間、高圧フィルタ5に配置する高圧フィルタ検知センサ8Cを用いた高圧フィルタ5の目詰まり量、噴射チャンバー6に配置する噴射チャンバー検知センサ8Dを用いた噴射チャンバー6の供給圧力、吐出圧力、もしくは吐出流量、冷却部7に配置する冷却検知センサ8Dを用いた冷却部7の流量や温度、熱交換器Hの温度のうち、少なくとも1つ以上配置される検知手段7で検知データD1を取得する(P1)。
【0041】
検知データD1を予め設定する基準値と比較し、偏差データD2を演算する(P2)。
【0042】
さらに、寿命期間判定部9Eにおいて、消耗品、例えば、シール部材、増圧機のプランジャ等の平均的な寿命期間を予め設定しておき、そうした寿命期間に至った場合には、交換を推奨する工程(P3)を追加できる。
【0043】
さらに、過去の健全性診断結果D3を記憶部9Fに蓄積しておき、故障や交換した事実を加味して、新たな(リアルタイムの)健全性診断結果D3を判定する工程(P4)を追加できる。
【0044】
さらに、健全性診断結果D3に基づいて、増圧機4や増圧機4の駆動源(油圧ポンプ等)のONまたはOFFの切換え、または回転数を調整し、故障や不具合に至らないようにフィードバック制御をする工程(P5)を追加できる。
【0045】
また、健全性診断を行うタイミングとしては、原料Mの処理前、処理中、処理後等、適宜選択できるが、原料Mの処理後に健全性診断を行う場合、事前に微粒化装置1内に内部の流路を洗浄するための洗浄流体を数回循環させることで、健全性診断の誤差を小さくすることもできる。微粒化装置1で処理する原料Mは、高粘度原料、酸性またはアルカリ性の原料、原料処理を促す各種溶媒等、多岐に亘るため、検知手段9のデータ取得に影響を与えることのないようにすることもできる。
【0046】
また、検知手段7で検知データD1を取得する工程(P1)の前に、水を基準として、水よりも粒径、粘性、pH(酸性、中性、アルカリ性)等の項目がどの程度特性に違いがあり、各消耗品に対して影響を与えやすいか、を事前に設定しておくことによって(P0)、健全性診断結果D3の判定を行うことができる。
【0047】
以上、本発明は上述した実施の形態に限定されるものではなく、本発明はその趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更が可能であることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0048】
1 微粒化装置
2 原料タンク
3 給液ポンプ
4 増圧機
4A シリンダ
4B プランジャ
4C 加圧室
4D シール部
5 超高圧フィルタ
6 噴射チャンバー
7 冷却部
7A 冷却タンク
7B 冷却液流路
8 検知手段
8A 給液検知センサ
8B 増圧機検知センサ
8C 高圧フィルタ検知センサ
8D 噴射チャンバー検知センサ
8E 冷却検知センサ
8F 冷却液流量検知センサ
8G 冷却液温度検知センサ
8H 熱交換器検知センサ
9 健全性診断手段
9A 取得部
9B 演算部
9C 判定部
9D 脈動判定部
9E 寿命期間判定部
9F 記憶部
10 通信網
11 遠隔操作手段
12 状態監視部
13 アラーム部
14 部品交換部
M 原料
L 冷却液
D1 検知データ
D2 偏差データ
D3 健全性診断結果
H 熱交換器