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特許7588462故障箇所特定システム、故障箇所特定方法、故障箇所特定プログラム、故障箇所特定装置、および画像形成装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-14
(45)【発行日】2024-11-22
(54)【発明の名称】故障箇所特定システム、故障箇所特定方法、故障箇所特定プログラム、故障箇所特定装置、および画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   G03G 21/00 20060101AFI20241115BHJP
   B41J 29/38 20060101ALI20241115BHJP
   B41J 29/393 20060101ALI20241115BHJP
   B41J 29/42 20060101ALI20241115BHJP
   G01N 21/892 20060101ALI20241115BHJP
   H04N 1/00 20060101ALI20241115BHJP
【FI】
G03G21/00 510
G03G21/00 396
B41J29/38 301
B41J29/393 105
B41J29/42 F
G01N21/892 A
H04N1/00 002Z
H04N1/00 127Z
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2019172703
(22)【出願日】2019-09-24
(65)【公開番号】P2021051133
(43)【公開日】2021-04-01
【審査請求日】2022-08-19
【審判番号】
【審判請求日】2023-11-15
(73)【特許権者】
【識別番号】000001270
【氏名又は名称】コニカミノルタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000925
【氏名又は名称】弁理士法人信友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】源田 大輔
【合議体】
【審判長】川俣 洋史
【審判官】道祖土 新吾
【審判官】殿川 雅也
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-257459号公報
【文献】特開2014-219624号公報
【文献】特開2017-198944号公報
【文献】特開2014-178306号公報
【文献】特開2007-280135号公報
【文献】特開2016-46595号公報
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 21/00
B41J 29/393
B41J 29/38
B41J 29/42
G01N 21/892
H04N 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録媒体に画像を形成する画像形成装置の故障箇所を特定するためのシステムであって、
前記画像形成装置を構成する部品の交換前に形成した検査画像を画像読取部により読み取った部品交換前の検査画像データ、部品交換後に形成した検査画像を前記画像読取部により読み取った部品交換後の検査画像データを比較して、前記部品交換前の検査画像データには存在し前記部品交換後の検査画像データには存在しない少なくとも1つの欠陥を抽出する消失欠陥抽出部と、
前記部品交換前の検査画像データに存在する欠陥の特徴量のうち、前記部品交換後の検査画像データには存在しない欠陥の特徴量を特定する特徴量特定部と、
前記特定した欠陥の特徴量と、前記交換した部品の識別情報とを関連付けした特定情報を保持する特定情報保持部と、
基準画像を用いて前記画像形成装置で形成した画像に生じた欠陥の特徴量を抽出した場合に、前記抽出された欠陥の特徴量と前記特定情報保持部に保持された欠陥の特徴量とに基づいて、前記欠陥の発生要因となった部品を故障個所として特定する部品特定部とを備えた
故障箇所特定システム。
【請求項2】
前記画像形成装置で形成した画像を読み取る画像読取部と、
前記画像読取部で読み取った検査画像データと前記検査画像の基準となる基準画像データとを比較して前記画像形成装置で形成した画像の欠陥を検出し、検出した欠陥の特徴量を抽出する欠陥検出部とを備え、
前記消失欠陥抽出部は、前記欠陥検出部にて抽出した特徴量の比較によって前記少なくとも1つの欠陥の抽出をおこなう
請求項1に記載の故障箇所特定システム。
【請求項3】
前記特徴量は、前記欠陥の種類によって設定されている
請求項1または2に記載の故障箇所特定システム。
【請求項4】
前記欠陥が方向成分を有する欠陥である場合、
前記特徴量は、前記欠陥の位置、前記欠陥の延設方向、前記欠陥の延設方向の長さ、前記欠陥の延設方向と垂直な方向の幅、および前記欠陥の強度を含む
請求項3に記載の故障箇所特定システム。
【請求項5】
前記欠陥が点状の欠陥である場合、
前記特徴量は、前記欠陥の位置、前記欠陥のサイズ、前記欠陥の強度を含む
請求項3に記載の故障箇所特定システム。
【請求項6】
前記部品特定部で特定された部品に関する情報を表示する表示部を備えた
請求項1に記載の故障箇所特定システム。
【請求項7】
前記表示部は、前記部品に関する情報と共に、前記部品を特定した際の前記欠陥の特徴量として、欠陥の位置、延設方向、延設方向の長さ、延設方向と垂直な方向の幅、サイズ、および強度のうちから、前記各欠陥の種類毎に設定された特徴量を表示する
請求項6に記載の故障箇所特定システム。
【請求項8】
前記消失欠陥抽出部は、前記画像形成装置を構成する部品のうちの一つが交換された場合にのみ、前記少なくとも1つの欠陥の抽出を行う
請求項1~7のうちの何れか1項に記載の故障箇所特定システム。
【請求項9】
記録媒体に画像を形成する複数の画像形成装置と、
前記複数の画像形成装置との間で情報の送受信が可能な故障箇所特定装置とを有し、
前記各画像形成装置は、
前記消失欠陥抽出部を備え、前記消失欠陥抽出部で抽出した前記欠陥の特徴量と前記各部品の識別情報とを関連付けした複数の特定情報を、前記故障箇所特定装置に送信し、
前記故障箇所特定装置は、
前記特定情報保持部と前記部品特定部とを備え、前記各画像形成装置から送信された前記特定情報を前記特定情報保持部に保存する
請求項1または6に記載の故障箇所特定システム。
【請求項10】
前記各画像形成装置は、形成した画像に生じた欠陥の特徴量を前記故障箇所特定装置に送信し、
前記部品特定部は、前記画像形成装置から送信された欠陥の特徴量と、前記特定情報保持部に保持された前記特定情報とに基づいて、前記欠陥の発生要因となった部品を特定し、特定した部品に関する情報を、前記欠陥の特徴量の送信元の画像形成装置に送信する
請求項9に記載の故障箇所特定システム。
【請求項11】
記録媒体に画像を形成する画像形成装置の故障箇所を特定するための方法であって、
消失欠陥抽出部によって、前記画像形成装置を構成する部品の交換前に形成した検査画像を画像読取部により読み取った部品交換前の検査画像データ、部品交換後に形成した検査画像を前記画像読取部により読み取った部品交換後の検査画像データを比較して、前記部品交換前の検査画像データには存在し前記部品交換後の検査画像データには存在しない少なくとも1つの欠陥を抽出し、
特徴量特定部によって、前記部品交換前の検査画像データに存在する欠陥の特徴量のうち、前記部品交換後の検査画像データには存在しない欠陥の特徴量を特定し、
特定情報保持部によって、前記特定した欠陥の特徴量と、前記交換した部品の識別情報とを関連付けした特定情報を保持し、
部品特定部により、基準画像を用いて前記画像形成装置で形成した画像に生じた欠陥の特徴量を抽出した場合に、前記抽出された欠陥の特徴量と前記特定情報保持部に保持された欠陥の特徴量とに基づいて、前記欠陥の発生要因となった部品を故障個所とし特定する
故障箇所特定方法。
【請求項12】
記録媒体に画像を形成する画像形成装置の欠陥箇所を特定するための欠陥箇所特定プログラムであって、
コンピュータを、
前記画像形成装置を構成する部品の交換前に形成した検査画像を画像読取部により読み取った部品交換前の検査画像データ、部品交換後に形成した検査画像を前記画像読取部により読み取った部品交換後の検査画像データを比較して、前記部品交換前の検査画像データには存在し前記部品交換後の検査画像データには存在しない少なくとも1つの欠陥を抽出する消失欠陥抽出手段と、
前記部品交換前の検査画像データに存在する欠陥の特徴量のうち、前記部品交換後の検査画像データには存在しない欠陥の特徴量を特定する特徴量特定手段と、
前記特定した欠陥の特徴量と、前記交換した部品の識別情報とを関連付けした特定情報を保持する特定情報保持手段と、
基準画像を用いて前記画像形成装置で形成した画像に生じた欠陥の特徴量を抽出した場合に、前記抽出された欠陥の特徴量と前記特定情報保持手段に保持された欠陥の特徴量とに基づいて、前記欠陥の発生要因となった部品を故障個所として特定する部品特定手段として機能させるための故障箇所特定プログラム。
【請求項13】
請求項1~8のうちの何れか1項の記載の故障箇所特定システムを備えた
故障箇所特定装置。
【請求項14】
請求項1~8のうちの何れか1項の記載の故障箇所特定システムを備えた
画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、故障箇所特定システム、故障箇所特定方法、故障箇所特定プログラム、故障箇所特定装置、および画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
シート状の記録媒体に画像を形成する画像形成装置の中には、画像に生じた欠陥の発生要因となっている故障個所を特定するシステムを備えたものがある。このような技術として、下記特許文献1に開示の技術がある。この特許文献1には、テストパターンの出力画像を読み取り、読み取った読取画像に基づく判定を実施し、故障箇所特定の指示があった場合、証拠情報に基づいて故障箇所の判定を行うシステムが記載されている。証拠情報は、画像欠陥の特徴量、画像欠陥の時系列特性、および画像形成装置の交換部品の使用状況(交換されてからの日数)などの装置状態情報であるとしている。また故障箇所の判定は、故障診断エンジンを用い、画像形成にかかわる部位ごとの故障確率を推論する、としている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2014-16347号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、画像形成装置に対しては、さらに高精度に故障箇所を特定することが求められている。そこで本発明は、高精度に故障箇所を特定することが可能な故障箇所特定システム、故障箇所特定方法、故障箇所特定プログラム、故障箇所特定装置、および画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
このような目的を達成するための本発明は、記録媒体に画像を形成する画像形成装置の故障箇所を特定するためのシステムであって、前記画像形成装置を構成する部品の交換前に形成した画像と交換後に形成した画像の画像データを比較して、前記部品交換前の画像には存在し前記部品交換後の画像には存在しない欠陥を抽出する消失欠陥抽出部と、前記抽出した欠陥の特徴量と、前記交換した部品の識別情報とを関連付けした特定情報を保持する特定情報保持部と、前記画像形成装置で形成した画像に生じた欠陥の特徴量と、前記特定情報保持部に保持された前記特定情報とに基づいて、前記欠陥の発生要因となった部品を特定する部品特定部とを備えた。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、高精度に故障箇所を特定することが可能な故障箇所特定システム、故障箇所特定方法、故障箇所特定プログラム、故障箇所特定装置、および画像形成装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】実施形態に係る故障箇所特定システムの全体構成を示す概略図である。
図2】実施形態に係る画像形成装置が備える画像読取部の構成図である。
図3】実施形態に係る画像形成装置における制御部の機能構成図である。
図4】実施形態に係る故障箇所特定装置の機能構成図である。
図5】本発明の故障箇所特定プログラムに基づいて実施される欠陥情報の保存方法を示すフローチャートである。
図6】検査画像に発生する欠陥を説明するための図(その1)である。
図7】検査画像に発生する欠陥を説明するための図(その2)である。
図8】本発明の故障箇所特定プログラムに基づいて実施される故障箇所の特定情報の作成方法を示すフローチャートである。
図9】本発明の故障箇所特定プログラムに基づいて実施される故障箇所の特定情報の保存方法を示すフローチャートである。
図10】本発明の故障箇所特定プログラムに基づいて実施される故障箇所特定方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明を適用した故障箇所特定システム、故障箇所特定方法、故障箇所特定プログラム、故障箇所特定装置、および画像形成装置の実施の形態を、図面に基づいて詳細に説明する。
【0009】
≪故障箇所判定システム≫
図1は、実施形態に係る故障箇所特定システム1の全体構成を示す概略図である。この図に示す故障箇所特定システム1は、例えば複数の画像形成装置100、および各画像形成装置100と通信可能な故障箇所特定装置300とによって構成されている。以下、これらの構成要素の詳細を説明する。
【0010】
<画像形成装置100>
画像形成装置100は、シート状の記録媒体Pにトナー画像を形成する電子写真方式のものであって、筐体10の上面部分に操作部11および表示部12を備えている。筐体10の内部には、画像形成部20、転写部30が設けられ、定着部40、媒体供給部50、画像読取部60が設けられ、それぞれが画像形成のための各部品によって構成されている。また画像形成装置100の筐体10内には、さらに制御部70およびネットワークインターフェース80が設けられている。以下、これらの各構成要素の詳細を説明する。
【0011】
[操作部11]
操作部11は、この画像形成装置100を用いて実施されるジョブの設定を入力する部分である。この操作部11は、次に説明する表示部12と一体に設けたタッチパネルであってもよく、表示部12と共に操作パネルを構成する。なお、このような操作部11は、画像形成装置100との間でデータの受け渡しのための通信が可能なパーソナルコンピューターや他の外部装置であってもよい。
【0012】
[表示部12]
表示部12は、操作部11での操作の内容を表示する。またこの表示部12は、以降に説明する故障箇所特定装置300において特定した故障箇所であって、故障箇所を構成する部品を表示し、さらに必要情報を表示する。
【0013】
[画像形成部20]
画像形成部20は、例えばイエロー(Y)、マゼンダ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各色のトナー像を形成するための4つの画像形成ユニット20y,20m,20c,20kを有する。各画像形成ユニット20y,20m,20c,20kは、それぞれが感光体21、感光体21の周囲に配置されたクリーニングユニット22、帯電部23、露光部24、および現像部25などの各部品を備えている。
【0014】
-感光体21-
このうち感光体21は、トナー像が形成される像担持体の1つであって、駆動モーターによって回転するドラム状であり、ドラム状の側周表面を像担持面21aとしている。このような感光体21を有する画像形成ユニット20y,20m,20c,20kは、感光体21の軸方向を平行にして配置される。配置された状態においては、各感光体21の周囲に配置されたクリーニングユニット22と現像部25との間で、感光体21の像担持面21aが、同一方向に向けられた状態となっている。
【0015】
-クリーニングユニット22-
クリーニングユニット22は、感光体21の像担持面21aの残留トナーを除去する。このようなクリーニングユニット22は、感光体21の像担持面21aからトナーをかき落として収集するためのものである。このようなクリーニング装置22bは、感光体21の像担持面21aに潤滑剤を供給する滑剤塗布ブラシ、感光体21の像担持面21aからトナーをかき落とすためのクリーニングブレードと、掻き落としたトナーを収集するためのスクリューを備える。
【0016】
-帯電部23-
帯電部23は、クリーニングユニット22によって残留トナーの除去された感光体21の像担持面21aを、一様に帯電する。
【0017】
-露光部24-
露光部24は、帯電部23によって帯電させた像担持面21aに、露光走査によって静電潜像を形成する。なお、露光部24による露光走査は、例えば画像読取部60で読み取られた画像データ、または外部装置から受信した画像データに基づいて行われる。
【0018】
-現像部25-
現像部25は、露光部24によって静電潜像が形成された感光体21の像担持面21aに帯電させたトナーを供給することにより、感光体21の像担持面21aに形成された静電潜像に各色のトナーを付着させる。これにより、画像形成ユニット20yにおける感光体21の像担持面21aにはイエローのトナー像、画像形成ユニット20mにおける感光体21の表面にはマゼンタのトナー像、画像形成ユニット20cの感光体21にはシアンのトナー像、画像形成ユニット20kの感光体21にはブラックのトナー像が形成される。
【0019】
[転写部30]
転写部30は、画像形成部20と並列して配置されている。この転写部30は、回転する無端ベルトとして構成された中間転写ベルト31と、中間転写ベルト31に内接された複数のローラー32および一次転写部33とを備えている。また転写部30は、二次転写ローラー34、除電ローラー35、およびクリーニングユニット36などの各部品を備えている。
【0020】
このうち中間転写ベルト31は、複数のローラー32に掛け渡された状態で配置され、その外周面が像担持面31aとなっている。このような中間転写ベルト31は、画像形成ユニット20y,20m,20c,20kの各感光体21の回転方向とは逆方向に回転し、像担持面31aが感光体21の全てに順次接触する状態で配置されている。
【0021】
また複数のローラー32は、中間転写ベルト31の像担持面31aを感光体21の全てに接触させるように中間転写ベルト31の内周側に配設されている。これらのローラー32のうちの1つは、中間転写ベルト31を回転させるための駆動ローラーとして構成されている。
【0022】
一次転写部33は、中間転写ベルト31の内周側で、各画像形成ユニット20y,20m,20c,20kの感光体21と対向するそれぞれの位置に、各感光体21との間に中間転写ベルト31を挟持する状態で配置されている。これらの一次転写部33は、トナーと反対の極性の電圧が印加され、これにより感光体21の像担持面21a上に付着したトナーを中間転写ベルト31の像担持面31aに転写させる。
【0023】
また二次転写ローラー34は、中間転写ベルト31の像担持面31a側において、複数のローラー32のうちの1つに対向する位置に、ローラー32との間に中間転写ベルト31を挟持する状態で配置されている。そして、二次転写ローラー34とローラー32とが接触するニップ部は、中間転写ベルト31の像担持面31a上に形成されたトナー画像を、以降に説明する媒体供給部50から搬送された記録媒体Pに転写する転写位置となる。
【0024】
さらに除電ローラー35は、中間転写ベルト31の回転方向おける二次転写ローラー34の下流側で、かつ一次転写部33の上流側において、中間転写ベルト31を挟持する状態で設けられ、中間転写ベルト31の電荷を除去する。
【0025】
またクリーニングユニット36は、除電ローラー35と一次転写部33との間における中間転写ベルト31の外周側において、中間転写ベルト31の像担持面31aに対向して配置されている。このクリーニングユニット36は、中間転写ベルト31の像担持面31aに残留したトナーを除去するためのものである。
【0026】
[定着部40]
定着部40は、次に説明する媒体供給部50から搬送された記録媒体Pの搬送方向に対して、転写部30における二次転写ローラー34の下流側に配置されている。この定着部40は、二次転写ローラー34から供給された記録媒体Pを加熱した状態でニップして搬送し、記録媒体Pに転写されたトナー像を記録媒体Pに定着させる。また、トナー像を定着させた記録媒体Pを筐体10の外部に排出する。このような定着部40は、記録媒体Pをニップするための加熱ローラーおよび加圧ローラーなどの各部品を備えている。
【0027】
[媒体供給部50]
媒体供給部50は、転写部30における二次転写ローラー34に近接して配置されている。この媒体供給部50は、記録媒体Pを収納するカセット51と、カセット51に収納された記録媒体Pを送り出す送り出しローラー53、送り出しローラー53で送り出された記録媒体Pを搬送する搬送ローラー55などの各部品を備えている。そして搬送ローラー55により、二次転写ローラー34とローラー32との間における中間転写ベルト31の外周側に、中間転写ベルト31と共に記録媒体Pを挟持させる。
【0028】
[画像読取部60]
画像読取部60は、定着部40から排出された記録媒体Pの主面を撮像するための機械要素部分である。図2は、実施形態に係る画像形成装置が備える画像読取部60の構成図である。この図に示すように、画像読取部60は、媒体搬送部61と、撮像装置62を備えている。媒体搬送部61は、定着部40から排出された記録媒体Pを、所定の搬送方向[FD]に向かって搬送する機械要素部分であって、例えば複数の搬送ローラーによって構成されている。また撮像装置62は、搬送方向[FD]と垂直方向に撮像素子を配列したラインセンサーであってよく、撮像素子は、CCD(Charge Coupled Device)であっても他の素子であってもよい。
【0029】
このような撮像装置62は、媒体搬送部61で搬送される記録媒体Pの両面に配置され、記録媒体Pの両側の主面の画像を読み取る。また各撮像装置62に対向する位置には、記録媒体Pに形成された画像に対して基準となる白色または黒色を検出するためのシェーディング62aが設けられていることとする。なお、画像読取部60を構成する媒体搬送部61および撮像装置62は、記録媒体Pに画像を形成するための部品ではない。しかしながら、媒体搬送部61および撮像装置62の故障や不具合は、記録媒体Pに形成した画像を検査するための検査画像に欠陥を発生させる要因となる。このため、記録媒体Pに形成された画像の欠陥と区別する必要があり、媒体搬送部61および撮像装置62も、本実施形態の部品に含むこととする。
【0030】
[制御部70]
制御部70は、計算機によって構成されている。計算機は、いわゆるコンピューターとして用いられるハードウェアであって、ここでの図示を省略したCPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、およびROM(Read Only Memory)やHDD(hard disk drive)のような不揮発性の記憶部を備える。また制御部70は、RTC(real-time clock)を備える。
【0031】
このような制御部70は、各種の画像および各種のプログラムを不揮発性の記憶部に保存し、保存されたプログラムに基づく処理を実行する。不揮発性の記憶部が保持する各種のプログラムは、画像形成のためのプログラムおよび故障箇所特定のための故障箇所特定プログラムを含む。本実施形態においては、この故障箇所特定プログラムが特徴的であり、この故障箇所特定プログラムの詳細は、以降の故障箇所特定方法において詳細に説明する。
【0032】
図3は、実施形態に係る画像形成装置100における制御部70の機能構成図であって、制御部70によって実行される機能を示す図である。以下、図3に基づき、先の図1を参照しつつ、制御部70の各機能部の構成を説明する。制御部70は、駆動制御部70a、画像情報処理部70b、欠陥検出部70c、欠陥情報保持部70d、部品交換検知部70e、消失欠陥抽出部70f、および特定情報作成部70gを備えている。これらの各機能部は、以下の通りである。
【0033】
-駆動制御部70a-
駆動制御部70aは、画像形成装置100を構成する各動作部の動作を制御し、記録媒体Pに対する画像の形成を実施する。また駆動制御部70aは、画像読取部60を構成する各動作部の動作を制御し、記録媒体Pに形成された画像の読み取りを実施する。さらに駆動制御部70aは、ネットワークインターフェース80を介しての情報の入出力制御や、表示部12での表示の制御を行う。
【0034】
-画像情報処理部70b-
画像情報処理部70bは、ジョブの実施によって記録媒体P上に形成する画像の原稿データをラスタライズ処理することにより、印刷用の画像データを作成する。画像情報処理部70bが処理する画像の原稿データは、例えばネットワークインターフェース80を介して外部装置2から入力された画像である。また画像情報処理部70bは、ネットワークインターフェース80で受信した画像の原稿データが圧縮されたデータである場合には、原稿データを伸張する。なお、この画像形成装置100が、原稿台と原稿台に載置された原稿の画像を読み取る読み取り装置を有する場合、画像情報処理部70bが処理する画像の原稿データは、この読み取り装置から読み取った原稿データであってもよい。
【0035】
-欠陥検出部70c-
欠陥検出部70cは、画像読取部60で取得した検査画像に生じた欠陥を検出する部分である。また欠陥検出部70aは、検出した欠陥の特徴量を抽出する。欠陥の特徴量、およびこの欠陥検出部70cにおいて実施する処理の詳細は、以降の故障箇所特定方法において説明する。
【0036】
-欠陥情報保持部70d-
欠陥情報保持部70dは、欠陥検出部70cにおいて検出した欠陥についての欠陥情報を保持する。欠陥情報保持部70dが保持する欠陥情報は、欠陥検出部70cにおいて抽出した欠陥の特徴量と、欠陥の検出タイミングとを関連付けた情報である。この欠陥情報保持部70dにおいて実施する処理の詳細は、以降の故障箇所特定方法において説明する。
【0037】
-部品交換検知部70e-
部品交換検知部70eは、画像形成装置100を構成する各種の部品を交換した場合に、交換した部品の種類を特定して検知する。部品の種類は、図1を用いて説明した画像形成部20、転写部30、定着部40、媒体供給部50、および画像読取部60を構成する各部品である。この部品交換検知部70eにおいて実施する処理の詳細は、以降の故障箇所特定方法において説明する。
【0038】
-消失欠陥抽出部70f-
消失欠陥抽出部70fは、部品交換検知部70eが部品交換を検知した場合に、部品交換の後に、検査画像から消失した欠陥を消失欠陥として抽出する。この消失欠陥抽出部70fにおいて実施する処理の詳細は、以降の故障箇所特定方法において説明する。
【0039】
-特定情報作成部70g-
特定情報作成部70gは、消失欠陥抽出部70fが抽出した消失欠陥の特徴量を、部品交換検知部70eで検知した部品の情報と関連付けした故障箇所の特定情報を作成する。また特定情報作成部70gが作成する故障箇所の特定情報は、欠陥の特徴量に対して、その欠陥が発生した画像形成装置100の機種の識別情報、およびその他の情報が関連付けされていてもよい。
【0040】
[ネットワークインターフェース80]
ネットワークインターフェース80は、例えば画像形成装置100と、故障箇所特定装置300を含む外部装置との間でのデータの受け渡しをするためのものである。
【0041】
<故障箇所特定装置300>
図1に戻り、故障箇所特定装置300は、複数の画像形成装置100と接続可能なコンピューターであって、クラウドサーバーであってよい。このような故障箇所特定装置300は、各画像形成装置100において記録媒体Pに形成した画像に欠陥が生じていた場合に、画像に生じた欠陥の特徴量に基づいて、画像形成装置100の故障箇所を特定する装置である。なお、このような故障箇所特定装置300は、各画像形成装置100の制御部70に設けられたものであってもよい。
【0042】
図4は、施形態に係る故障箇所特定装置300の機能構成図である。この図に示すように、故障箇所特定装置300は、特定情報保持部300aと、部品特定部300bとを備えている。これらの各要素は、次の通りである。
【0043】
[特定情報保持部300a]
特定情報保持部300aは、各画像形成装置100から送信された故障箇所の特定情報を保持する部分である。故障箇所の特定情報は、各画像形成装置100の制御部70における特定情報作成部70g(図3参照)で作成された情報であって、各画像形成装置100から送信された情報である。
【0044】
[部品特定部300b]
部品特定部300bは、各画像形成装置100から送信された欠陥の特徴量に基づいて、欠陥が生じた要因となっている部品を故障箇所として特定する部分である。この部品特定部300bは、特定情報保持部300aに保存された特定情報を参照し、各画像形成装置100から送信された欠陥の特徴量と同じ特徴量に対して関連付けして、特定情報保持部300aに保存された部品を特定する。
【0045】
部品特定部300bは、特定情報保持部300aに保存された特定情報が、画像形成装置100の機種の識別情報を含む場合、欠陥の特徴量を送信した画像形成装置100と同一の機種に関連付けされた部品を優先して特定する。また部品特定部300bは、特定結果を画像形成装置100に送信する。特定結果には、欠陥が生じた要因となっている部品が特定できない場合の結果も含む。
【0046】
≪故障箇所特定方法≫
次に、上述した故障箇所特定システム1によって実施される故障箇所特定方法を説明する。ここで説明する故障箇所特定方法は、本発明の故障箇所特定プログラムに基づいて実施される手順である。以下においては、各フローチャートおよび先の図1図4を参照して故障箇所特定方法の手順を説明する。
【0047】
<欠陥情報の保存>
図5は、本発明の故障箇所特定プログラムに基づいて実施される欠陥情報の保存方法を示すフローチャートであって、画像形成装置100の制御部70において実施される手順を示す。なお、このフローは各画像形成装置100の画像読取部60が、記録媒体Pに形成された画像を読み取ったことによって、以下のように開始される。
【0048】
[ステップS101]
ステップS101において、欠陥検出部70cは、画像読取部60において読み取った記録媒体Pの画像についての画像検査を実施し、欠陥が検出されたか否かの判断を実施する。画像検査において、欠陥検出部70cは、画像読取部60で読み取った画像を検査画像として取得し、この検査画像と、記憶部に保存した基準画像とを比較することで、検査画像に生じている欠陥を検出する。基準画像は、例えばネットワークインターフェース80を介して外部装置から入力された画像であるか、画像読取部60で読み取られ、欠陥がないと判断された画像であることとする。
【0049】
欠陥検出部70cは、画像検査において欠陥が検出された(YES)と判断した場合には、次のステップS102に進む。一方、欠陥が検出されない(NO)と判断した場合には、処理を終了させる。
【0050】
[ステップS102]
ステップS102において、欠陥検出部70cは、検出された欠陥についての欠陥の特徴量を抽出する。ここで抽出する欠陥の特徴量は、欠陥の種類によって設定されていることとする。
【0051】
図6および図7は、検査画像に発生する欠陥を説明するための図(その1)および(その2)である。これらの図に示すように、検査画像1001,1002には、画像形成装置100を構成する各部品の劣化に起因して、様々な欠陥[L1]~[L4],「L」が生じる場合がある。ここでは一例として、スジ、帯、あるいはムラとも言われる方向成分を有する欠陥[L1]~[L4]と、ホタルと称されるトナー濃度が薄い点状の欠陥や、斑点と称される不要部にトナーが印刷される欠陥のような点状の欠陥[L]を示した。これらの欠陥は、画像形成装置100を構成する部品ごとに、特徴的な欠陥の特徴量を有する。
【0052】
例えば、方向成分を有する欠陥[L1]~[L4]の場合、欠陥の特徴量は、欠陥の位置、欠陥の延設方向、欠陥の延設方向の長さ、欠陥の延設方向と垂直な方向の幅、および欠陥の強度を含む。また点状の欠陥[L]の場合、欠陥の特徴量は、欠陥の位置、欠陥のサイズ、欠陥の強度を含む。なお、欠陥の強度とは、基準画像に対する検査画像の差分の大きさであることとする。
【0053】
[ステップS103]
ステップS103において、欠陥情報保存部70dは、欠陥検出部70cが抽出した欠陥の特徴量を、欠陥を検出した日時情報と関連付けした欠陥情報を保存する。これにより、欠陥情報保存部70dには、画像読取部60において読み取った検査画像に欠陥が発生する毎に、発生した欠陥の特徴量と、その欠陥の発生タイミングを示す日時情報とが、欠陥情報として保存されることになる。
【0054】
また、欠陥情報保持部70dは、複数の欠陥が重なる位置に検出された場合、その情報も各欠陥の特徴量に関連付けて保存するか、または欠陥情報として保存しなくてもよい。
【0055】
[ステップS104]
さらにステップS104において、駆動制御部70aは、欠陥検出部70cが抽出した欠陥の特徴量を、ネットワークインターフェース80から故障箇所特定装置300に送信させ、欠陥情報の保存処理を終了する。
【0056】
<故障箇所の特定情報の作成>
図8は、本発明の故障箇所特定プログラムに基づいて実施される故障箇所の特定情報の作成方法を示すフローチャートであって、画像形成装置100の制御部70において実施される手順を示す。以下、図8のフローチャートに示す順に、故障箇所の特定情報の作成の手順を説明する。
【0057】
[ステップS105]
ステップS105において、部品交換検知部70eは、画像形成装置100を構成する部品の交換が検知されたか否かを判断する。この部品交換検知部70eは、各部品に取り付けられたセンサーまたは部品に近接して設けられたセンサーからの信号により、交換された部品を特定するか、または操作部11からの操作によって、交換した部品を特定する構成であってもよい。
【0058】
部品交換検知部70eは、検知された(YES)と判断された場合には次のステップS106に進み、検知された(YES)と判断されるまで、処理を繰り返す。ただし部品交換検知部70eは、一つの部品が交換された場合にのみ、検知された(YES)と判断することとする。
【0059】
なお本ステップ105は、部品交換検知部70eが、画像形成装置100の制御部70が有するメンテナンス記録情報から、各部品のうちの一つのみを交換したタイミングを抽出する構成としてもよい。
【0060】
[ステップS106]
ステップS106において、消失欠陥抽出部70fは、欠陥情報保存部70dに保存された欠陥情報を参照し、部品交換を実施した前後の画像に発生した全ての欠陥の特徴量を取得する。ここで部品交換を実施した前後の画像とは、部品交換の直前と直後に画像形成装置100で形成した画像であることとする。なお、欠陥情報保存部70dに部品交換を実施した直後の欠陥情報が保存されていない場合には、消失欠陥抽出部70fは、欠陥情報保存部70dに部品交換を実施した直後の欠陥情報が保存されるまで待機する。
【0061】
[ステップS107]
ステップS106において、消失欠陥抽出部70fは、部品交換が発生した直前と直後の全ての欠陥の特徴量に基づき、部品交換の後に検査画像から消失した欠陥を抽出する。この際、消失欠陥抽出部70fは、部品交換を実施する直前の日時情報を有する欠陥情報と、直前の日時情報を有する欠陥情報とを取得し、これらの欠陥情報が有する全ての欠陥の特徴量を比較する。これにより、部品交換の直前の検査画像に存在していたが、部品交換の直後の検査画像には存在していない欠陥を消失欠陥として抽出する。
【0062】
ここで、先の図6および図7に図示した例は、4つの画像形成ユニット20y~20kのうちの特定のユニットの感光体21を交換した場合においての、交換直前の検査画像1001と交換直後の検査画像1002の一例であるとする。この場合、消失欠陥抽出部70fは、各検査画像1001,1002で検出した各欠陥[L1]~[L4],[L]の欠陥の特徴量を比較し、交換直後の検査画像1002には生じていない欠陥[L1]を、消失欠陥として抽出する。
【0063】
[ステップS108]
ステップS108において、特定情報作成部70gは、消失欠陥抽出部70fが抽出した消失欠陥の特徴量を、部品交換検知部70eで検知した部品の情報と関連付けした故障箇所の特定情報を作成する。ここで、消失欠陥の特徴量は、部品交換を実施した直前の日時情報に関連付けされた欠陥の特徴量である。また部品交換検知部70eで検知した部品の情報とは、検知した部品に対して付与された識別情報であることとし、例えば特定のユニットの感光体21に付与された識別情報である。なお、故障箇所の特定情報は、欠陥の特徴量に対して、その欠陥が発生した画像形成装置100の機種の識別情報、およびその他の情報が関連付けされていてもよい。その他の情報とは、例えば画像形成装置100の使用履歴に関する情報や、設置環境に関する情報であることとする。
【0064】
[ステップS109]
ステップS109において、駆動制御部70aは、特定情報作成部70gが作成した故障箇所の特定情報を、ネットワークインターフェース80から故障箇所特定装置300に送信させ、故障箇所特定情報の作成処理を終了する。
【0065】
<故障箇所の特定情報の作成>
図9は、本発明の故障箇所特定プログラムに基づいて実施される故障箇所の特定情報の保存方法を示すフローチャートであって、故障箇所特定装置300において実施される手順を示す。以下、図9のフローチャートに示す順に、故障箇所の特定情報の保存方法の手順を説明する。
【0066】
[ステップS301]
ステップS301において、故障箇所特定装置300の特定情報保持部300aは、故障箇所の特定情報を受信したか否かの判断を実施する。特定情報保持部300aは、受信した(YES)と判断された場合には次のステップS302に進み、受信した(YES)と判断されるまで、処理を繰り返す。
【0067】
[ステップS302]
ステップS302において、特定情報保持部300aは、受信した故障箇所の特定情報を保存し、処理を終了させる。
【0068】
<故障箇所の特定情報の作成>
図10は、本発明の故障箇所特定プログラムに基づいて実施される故障箇所特定方法を示すフローチャートであって、故障箇所特定装置300において実施される手順を示す。以下、図10のフローチャートに示す順に、故障箇所特定方法の手順を説明する。
【0069】
[ステップS303]
ステップS303において、故障箇所特定装置300の部品特定部300bは、画像形成装置100から欠陥の特徴量を受信したか否かの判断を実施する。部品特定部300bは、受信した(YES)と判断された場合には次のステップS304に進み、受信した(YES)と判断されるまで、処理を繰り返す。
【0070】
[ステップS304]
ステップS304において、部品特定部300bは、特定情報保持部300aに保存された故障箇所の特定情報を参照し、保存されている特定情報の中から受信した欠陥の特徴量と一致する欠陥の特徴量を有する特定情報を検索する。この場合に、欠陥の特徴量の一致は、欠陥の特徴量が完全に一致している必要はなく、予め設定した範囲内で一致していればよい。また部品特定部300bは、特定情報の中から、ステップS303で受信した欠陥の特徴量を送信した画像形成装置と同一の機種の識別情報を有する特定情報に絞って、上記検索を実施してもよい。
【0071】
部品特定部300bは、受信した欠陥の特徴量と一致していると判断された欠陥の特徴量に対して関連付けされた部品の識別情報を、特定情報保持部300aに保存され特定情報の中から抽出し、欠陥の発生要因となった部品を特定する。
【0072】
[ステップS305]
ステップS305において、部品特定部300bは、特定した部品の識別情報を、画像形成装置100に送信する。ここでは、複数の画像形成装置100のうち、ステップS303で受信した欠陥の特徴量の送信元である画像形成装置100に対して、特定した部品の識別情報を送信する。
【0073】
なお、ここでの図示を省略したが、識別情報を受信した画像形成装置100は、受信した部品の識別情報を表示部12に対して表示させる。この際、表示部12には、ステップS303で故障箇所特定装置300に送信した欠陥の特徴量も、同時に表示させる。
【0074】
<実施形態の効果>
以上説明した実施形態によれば、実際の部品交換によって画像から消失した欠陥の特徴量と、交換した部品の情報とを関連付けした特定情報に基づいて、画像に生じた欠陥の発生要因となる部品が故障箇所として特定される。このため、高精度に故障箇所を特定することが可能である。また、画像形成装置のメンテナンス情報と、画像検査による欠陥検出の情報の蓄積がある場合、これらの情報から交換した部品と消失欠陥とを関連付けした特定情報を抽出することができるため、既に存在する情報によって、高精度な故障箇所の検出が可能である。また、部品交換の直前と直後の画像について欠陥の特徴量を取得するため、部品交換によって欠陥が消失したことを示す検査レポートを作成することも可能である。
【符号の説明】
【0075】
1…故障箇所特定システム
1…故障箇所特定システム
12…表示部
60…画像読取部
70c…欠陥検出部
70f…消失欠陥抽出部
100…画像形成装置
300…故障箇所特定装置
300a…特定情報保持部
300b…部品特定部
P…記録媒体
[L1]~[L4]…欠陥(方向性を有する欠陥)
[L]…欠陥(点状の欠陥)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10