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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-14
(45)【発行日】2024-11-22
(54)【発明の名称】固液混合分散システム
(51)【国際特許分類】
   B01F 23/50 20220101AFI20241115BHJP
   B01F 25/52 20220101ALI20241115BHJP
   B01F 27/80 20220101ALI20241115BHJP
   B01F 31/80 20220101ALI20241115BHJP
【FI】
B01F23/50
B01F25/52
B01F27/80
B01F31/80
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2019214457
(22)【出願日】2019-11-27
(65)【公開番号】P2021084067
(43)【公開日】2021-06-03
【審査請求日】2022-08-03
【審判番号】
【審判請求日】2023-10-11
(73)【特許権者】
【識別番号】000253019
【氏名又は名称】澁谷工業株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000124959
【氏名又は名称】株式会社カイジョー
(74)【代理人】
【識別番号】100156199
【弁理士】
【氏名又は名称】神崎 真
(74)【代理人】
【識別番号】100124497
【弁理士】
【氏名又は名称】小倉 洋樹
(72)【発明者】
【氏名】関本 峰幸
(72)【発明者】
【氏名】山本 仁士
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 浩史
(72)【発明者】
【氏名】河村 孝
【合議体】
【審判長】三崎 仁
【審判官】原 賢一
【審判官】金 公彦
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-10756(JP,A)
【文献】特開平6-285346(JP,A)
【文献】特開2011-242561(JP,A)
【文献】特開2001-166531(JP,A)
【文献】特開2010-180322(JP,A)
【文献】特開2013-78740(JP,A)
【文献】特開2011-200758(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01F21/00-33/87
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
粉体と液体とを混合して分散する固液分散システムであって、
粉体と液体との混合液が供給される供給口と、供給される混合液をロータとステータとにより混合分散させる分散室と、混合分散された混合液を排出する排出口とを有する分散装置と、
前記排出口と前記供給口とを連通して前記分散装置から排出された混合液を前記供給口へ循環する循環通路と、
前記循環通路に設けられた超音波ホモジナイザーと、
前記循環通路に設けられて混合液の粘度を検出する粘度検出手段と、
前記分散装置および前記超音波ホモジナイザーの動作を制御する制御手段とを備え、
前記制御手段は分散作業を行う際、前記分散装置を動作させるとともに、前記粘度検出手段から検出される粘度の値が所定の値Vに下降するまで前記分散装置のみで分散を行い、前記粘度検出手段から検出される粘度の値が前記V以下になると前記超音波ホモジナイザーを動作させることにより前記分散装置と前記超音波ホモジナイザーの両方で分散を行い、さらに前記粘度検出手段から検出される粘度の値が前記Vよりも低い所定の値Vまで下降すると前記分散装置の動作を停止させて前記超音波ホモジナイザーのみで分散を行う
ことを特徴とする固液混合分散システム。
【請求項2】
前記超音波ホモジナイザーを複数設けるとともに、前記各超音波ホモジナイザーの動作を制御可能とすることを特徴とする請求項1に記載の固液混合分散システム。
【請求項3】
前記超音波ホモジナイザーを並列に設けたことを特徴とする請求項2に記載の固液混合分散システム。
【請求項4】
前記超音波ホモジナイザーが、超音波照射ホーンを覆うホルダを備え、前記ホルダは下方に混合液の取り入れ口が形成されるとともに、側方に混合物の取り出し口が形成されることを特徴とする請求項1~3の何れか一項に記載の固液混合分散システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粉体と液体を混合して分散する固液分散システムに関する。
【背景技術】
【0002】
粉体を液体に混合・分散させ懸濁液を生成する固液混合分散システムとして、複数のロータとステータ混合、分散装置を通して混濁液を生成するものが知られている。また、粉体と液体の混合液を、収容タンクと分散装置との間で循環させて効率的に混濁液を生成する方法も提案されている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第6388501号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、従来の固液混合分散システムでは、粉体、液体の組み合わせによっては十分な品質の懸濁液が得られなかった。例えばロータとステータを用いる分散装置では、分散を促進するためにロータを高速で回転させると粉体が破壊され、懸濁液の品質が低下することがある。一方、粉体が破壊されないようにロータを低速で回転させると粉体が十分均一に分散されず要求される分散レベルが得られないことがある。
【0005】
本発明は、多様な粉体、液体の組み合わせに対して、より効果的に粉体の分散を行える固液分散システムを提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の発明である固液混合分散システムは、粉体と液体とを混合して分散する固液分散システムであって、粉体と液体との混合液が供給される供給口と、供給される混合液をロータとステータとにより混合分散させる分散室と、混合分散された混合液を排出する排出口とを有する分散装置と、前記排出口と前記供給口とを連通して前記分散装置から排出された混合液を前記供給口へ循環する循環通路と、前記循環通路に設けられた超音波ホモジナイザーと、前記循環通路に設けられて混合液の粘度を検出する粘度検出手段と、前記分散装置および前記超音波ホモジナイザーの動作を制御する制御手段とを備え、前記制御手段は分散作業を行う際、前記分散装置を動作させるとともに、前記粘度検出手段から検出される粘度の値が所定の値Vに下降するまで前記分散装置のみで分散を行い、前記粘度検出手段から検出される粘度の値が前記V以下になると前記超音波ホモジナイザーを動作させることにより前記分散装置と前記超音波ホモジナイザーの両方で分散を行い、さらに前記粘度検出手段から検出される粘度の値が前記Vよりも低い所定の値Vまで下降すると前記分散装置の動作を停止させて前記超音波ホモジナイザーのみで分散を行うことを特徴としている。
【0007】
本発明の第2の発明である固液混合分散システムは、第1の発明において、前記超音波ホモジナイザーを複数設けるとともに、前記各超音波ホモジナイザーの動作を制御可能とすることを特徴としている。
【0008】
本発明の第3の発明である固液混合分散システムは、第2の発明において、前記超音波ホモジナイザーを並列に設けたことを特徴としている。
【0009】
本発明の第4の発明である固液混合分散システムは、第1~3の発明において、前記超音波ホモジナイザーが、超音波照射ホーンを覆うホルダを備え、前記ホルダは下方に混合液の取り入れ口が形成されるとともに、側方に混合物の取り出し口が形成されることを特徴としている。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、様々な粉体、液体の組み合わせに対して、より効果的に粉体の分散を行える固液分散システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の一実施形態である固液分散システムの全体の構成を示すブロック図である。
図2】第1、第2超音波ホモジナイザーユニットの全体的な構成を示すブロック図である。
図3】超音波ホモジナイザーの縦断面図である。
図4】ホルダを中心とする超音波ホモジナイザーの一部拡大縦断面図である。
図5】照射ホーンとホルダの径方向の配置を示す平面図である。
図6】本実施形態の分散処理における混合液の粘度変化とロータステータ式分散装置、第1、第2超音波ホモジナイザーユニットの駆動状態を示すグラフである。
図7】変形例における第1、第2超音波ホモジナイザーユニットの全体的な構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照して説明する。図1は、本発明の一実施形態である固液分散システムの全体の構成を示すブロック図である。
【0013】
本実施形態の固液分散システム10は、粉体(例えばグラファイト等の導電助剤)と液体(例えばバインダ溶解液)を混合し、混合液を循環させてスラリー化する。液体はタンク12に供給され、タンク12内の液体は第1超音波ホモジナイザーユニット14に送られる。第1超音波ホモジナイザーユニット14の下流にはポンプ16が接続され、ポンプ16の下流には、ロータ18Aとステータ18Bを備えるロータステータ式分散機18が接続される。ロータステータ式分散機18には、ポンプ16を介して液体(または混合液)がインレット部(供給口)18Cからに供給されるとともに、後述するように粉体が供給される。ロータステータ式分散機18で液体と粉体が混合された混合液は、アウトレット部(排出口)18Eから送出され、第2超音波ホモジナイザーユニット20、冷却機22を介してタンク12へと送られ、タンク12へと戻される。
【0014】
すなわち、同経路は循環通路25を構成し、混合液はポンプ16により、タンク12、第1超音波ホモジナイザーユニット14、ポンプ16、ロータステータ式分散機18、第2超音波ホモジナイザーユニット20、冷却機22の間を循環される。
【0015】
なお、第1超音波ホモジナイザーユニット14とポンプ16の間の配管には第1温度計24が、ロータステータ式分散機18と第2超音波ホモジナイザーユニット20の間の配管には第2温度計26が、冷却機22とタンク12の間の配管には第3温度計28が設けられる。また、ポンプ16との間の配管には流量計30が設けられ、第2超音波ホモジナイザーユニット20と冷却機22の間の配管には例えば振動式の粘度計(粘度検出手段)31が設けられる。
【0016】
第1~第3温度計24、26、28や流量計30、粘度計31からの信号は、制御装置(制御手段)34に送られ、第1、第2超音波ホモジナイザーユニット14、20、ロータステータ式分散機18、ポンプ16の駆動は制御装置34によって制御される。本実施形態では、流量計30の信号に基づきポンプ16が制御されて循環通路25を通して循環される混合液の流量は所定の値に制御され、第1~第3温度計24、26、28の信号に基づき冷却機22の駆動が制御される。また、後述するように本実施形態では、粘度計31からの信号に基づき、第1、第2超音波ホモジナイザーユニット14、20、ロータステータ式分散機18の駆動が制御される。
【0017】
ロータステータ式分散機18は、その内部下方に回転自在に配置されるロータ18Aを備える。ロータ18Aは、上方に延出するとともにロータ18Aと一体的に回転する回転軸19を備える。回転軸19には、上方から下方に向けてスクリュー19Aと予備混合用の撹拌羽根19Bが設けられる。すなわち、ロータステータ式分散機18は、スクリュー19Aが配置される導入部と、撹拌羽根19Bが配置される予備混合部と、ロータ18Aおよびステータ18Bが配置される分散室18Dとを備える。
【0018】
粉体はロータステータ式分散機18の上方から導入部へと投入される。導入部へ投入された粉体は、スクリュー19Aによって下方の予備混合部へと送られる。予備混合部にはロータステータ式分散機18のインレット部(供給口)18Cが設けられ、ポンプ16から送出された液体(または混合液)が、インレット部18Cを通してから予備混合部に供給される。予備混合部では、導入部から供給された粉体とインレット部18Cから供給された液体とが撹拌羽根19Bにより混合され下方の分散室18Dへと送られる。分散室18Dには、アウトレット部(排出口)18Eが設けられ、ロータ18Aとステータ18Bにより粉体が液体に混合分散された混合液は、アウトレット部18Eを通して第2超音波ホモジナイザーユニット20へと送出される。
【0019】
図2は、第1、第2超音波ホモジナイザーユニット14、20の全体的な構成を示すブロック図である。
【0020】
本実施形態の第1、第2超音波ホモジナイザーユニット14、20は、各々、複数の超音波ホモジナイザー32を複数並列に接続した構成を備える。図2に示される本実施形態の超音波ホモジナイザーユニット14、20は、例えば並列に接続された4台の超音波ホモジナイザー32で構成される。
【0021】
超音波ホモジナイザー32は、混合液が注入されるホルダ32Aと、所定の周波数、強度、波形の超音波を発生する超音波発生装置32Bとを備える。混合液は、各超音波ホモジナイザー32のホルダ32Aに分配されて供給され、各ホルダ32Aで超音波によって分散された混合液は、再び合流されて排出される。
【0022】
次に図3図5を参照して、本実施形態の超音波ホモジナイザー32の構成について説明する。図3は、超音波ホモジナイザー32の縦断面図であり、図4は、ホルダ32Aを中心とする超音波ホモジナイザー32の一部拡大縦断面図である。また、図5は、超音波ホモジナイザー32の照射ホーン33Dとホルダ32Aの径方向の配置を示す平面図である。
【0023】
超音波発生装置32Bは、超音波発振器33A、超音波振動子33B、ブースター33C、照射ホーン33Dを備える。超音波発振器33Aは、設定される所定の周波数、強度、波形に対応する駆動信号を発生し、これを超音波振動子33Bへ供給(印加)する。超音波振動子33Bは、超音波発振器33Aからの駆動信号により振動し、超音波振動子33Bで発生した超音波振動は、ブースター33Cにおいて振幅が増幅されて照射ホーン33Dへと伝達される。これにより照射ホーン33Dは、所定の周波数、強度、波形で軸に沿って上下方向に振動される。照射ホーン33Dは、例えば円筒形状を呈し、軸を垂直にしてその下端部がホルダ32A内に挿入される。
【0024】
照射ホーン33Dは、ホルダ32Aの上部開口縁34に取り付けられたフランジ部材36によってその振動中心が保持され、ホルダ32Aに対して所定位置に固定される。フランジ部材36は、例えばネジ36Aなどの取り付け部材によりホルダ32Aの上部開口縁34に取り付けられる。
【0025】
ホルダ32Aは、照射ホーン33Dが挿入されるとともに混合液が供給される混合液槽38が中央に配置され、その周囲に外周を取り囲むように冷却液が流通する冷却液槽40が配置される。混合液槽38は円筒形状を呈し、上部開口縁34を通して外部へと開放される。
【0026】
混合液槽38の底面の中央にはインレット部(取り入れ口)38Aが設けられ、混合液供給管42Aが接続される。混合液槽38の上方外側部にはアウトレット部(取り出し口)38Bが設けられ、混合液排出管42Bが接続される。すなわち、混合液は、混合液槽38の底部中央から流入し、上方外側部から排出される。
【0027】
一方、冷却液槽40の下方外側部にはインレット部40Aが設けられ、冷却液供給管44Aが接続される。一方、冷却液槽40の上方外側部において、例えば混合液槽38Bを挟んでインレット部40Aとは略反対側には、アウトレット部40Bが設けられ、冷却液排出管44Bが接続される。なお、冷却液は、超音波振動によるホルダ32A内の混合液の温度上昇を抑える。
【0028】
図4に示されるように、円筒形の照射ホーン33Dの下端面33Eは、混合液槽38の底面から所定距離を隔てて配置される。これにより、混合液槽38と照射ホーン33Dの間には一定間隔の流路が形成される。
【0029】
一方、図5には、混合液槽38のインレット部38Aの内周面、照射ホーン33Dの外周面、混合液槽38の外周壁、冷却液槽40の外周壁の位置が描かれる。図5に示されるように、本実施形態において、混合液槽38のインレット部38Aの内周面、照射ホーン33Dの外周面、混合液槽38の外周壁、冷却液槽40は略同心円的に配置され、照射ホーン33Dの外周面と混合液槽38の内周面の間には一定間隔の流路が形成される。
【0030】
インレット部38Aの円形開口の内径は、照射ホーン33Dの外径よりも小さく、インレット部38Aから混合液槽38内に流入された混合液は、照射ホーン33Dの底面中央に向けて略垂直上向に流れ込み、照射ホーン33Dの下端面33Eに当たって略水平方向に放射状に流れの向きを変える。混合液は、混合液槽38の底面と照射ホーン33Dの間に形成された流路に沿って放射状に径方向外側に流れる。同経路において、混合液は照射ホーン33Dの振動面を構成する下端面33E近くをこれに沿って移動する。そのため、混合液体の粉体は照射ホーン33Dの下端面33Eが生成する超音波キャビテーションによって効率的に一様に分散される。
【0031】
放射状に流れる混合液が混合液槽38の内周面近くに達すると、内周面に当たって上向きに流れが変えられる。これにより混合液は、混合液槽38の内周面と照射ホーン33Dの外周面の間の流路に沿って上昇し、アウトレット部38Bから排出される。
【0032】
一方、インレット部40Aから冷却液槽40内に流入した冷却液は、混合液槽38の外周面と冷却液槽40の内周面の間に形成される円環状の流路に沿って流れ、反対側のアウトレット部40Bから排出される。すなわち、混合液槽38内を流れる混合液と冷却液槽40内を流れる冷却液の間では、混合液槽38の側壁を通して熱交換が行われ、混合液が冷却される。
【0033】
次に図6のグラフを参照して、本実施形態の固液分散システム10を用いた粉体の分散処理におけるロータステータ式分散装置、超音波ホモジナイザーの作動方法について説明する。なお、図6の横軸は時間、縦軸は混合液の粘度である。
【0034】
分散処理の開始時、タンク12内に液体が投入される。また、ポンプ16、ロータステータ式分散機18、および冷却機22が駆動される一方、第1、第2超音波ホモジナイザーユニット14、20は停止された状態に維持される。ポンプ16の駆動により固液分散システム10には循環通路25を通して液体が循環される。
【0035】
その後、ロータステータ式分散機18を通して粉体の投入が開始されると、粘度計31で計測される粘度の値は液体自身の粘度V0から粉体の投入が完了するまで急速に増大し、最大粘度V1に達する。粉体の投入が停止され、粉体の分散が進むと、投入された粉体の塊の大きさが小さくなり、粘度計31で計測される粘度は漸次単調に低減する。
【0036】
本実施形態では、分散処理開始から粘度計31の値が所定の粘度V2まで下がるまで、ロータステータ式分散機18のみが駆動され第1、第2超音波ホモジナイザーユニット14、20は停止された状態に維持される(第1工程A1)。粘度がV2以下になると、第1、第2超音波ホモジナイザーユニット14、20の駆動が開始され、分散処理は、ロータステータ式分散機18および第1、第2超音波ホモジナイザーユニット14、20に全てによって実行される(第2工程2)。
【0037】
本実施形態では、更に粘度が所定の粘度V3まで低下すると、ロータステータ式分散機18の駆動が停止され、分散処理は第1、第2超音波ホモジナイザーユニット14、20のみによって実行する(第3工程A3)。なお、粘度が所望(目的)の粘度V4まで低下すると、ロータステータ式分散機18、第1、第2超音波ホモジナイザーユニット14、20の駆動が全て停止され、分散処理は終了する。
【0038】
なお、本実施形態では、制御装置34により第2工程A2と第3工程A3の間において超音波ホモジナイザー32の振幅や駆動する超音波ホモジナイザー32の数を変更することも可能である。例えば、第2工程A2では、第1、第2超音波ホモジナイザーユニット14、20に設けられる8つの超音波ホモジナイザー32を振幅40μmで駆動し、第3工程A3では、第1、第2超音波ホモジナイザーユニット14、20に設けられる8つの超音波ホモジナイザー32を振幅15μmで駆動しても良い。また、第2工程A2では、第1、第2超音波ホモジナイザーユニット14、20に設けられる8つの超音波ホモジナイザー32を振幅40μmで駆動し、第3工程A3では、第1超音波ホモジナイザーユニット14に設けられる4つの超音波ホモジナイザー32のうち2つの超音波ホモジナイザー32を振幅40μmで駆動するとともに2つの超音波ホモジナイザー32の駆動を停止させ、第2超音波ホモジナイザーユニット20が保有する4つの超音波ホモジナイザー32のうち2つの超音波ホモジナイザー32を振幅40μmで駆動するとともに2つの超音波ホモジナイザー32の駆動を停止しても良い。
【0039】
以上のように、本実施形態の固液分散システムによれば、混合液の循環経路に異なる方式の分散装置(ホモジナイザー)を設け、これらの駆動をそれぞれ混合液の粘度に応じて切り換えることで、様々な粉体、液体の組み合わせに対しても、粉体の破壊や不十分な分散による品質劣化を招くことなく、効果的に粉体の分散を行い、高品質な懸濁液を生成することができる。
【0040】
また、本実施形態の超音波ホモジナイザーの構成では、ホルダに流通する混合液が全て照射ホーンの振動面の近傍に沿って移動するので、混合液内の粉体が超音波キャビテーションによって効率的に一様に分散され、粉体がより均一に分散された懸濁液を生成できる。
【0041】
次に、図7を参照して本実施形態の固液分散システム10の変形例について説明する。実施形態の超音波ホモジナイザーユニット14、20は、複数の超音波ホモジナイザー32を並列に接続していたが、変形例の超音波ホモジナイザーユニット14、20では複数(4台)の超音波ホモジナイザー32を直列に接続している。すなわち、最後段の超音波ホモジナイザー32を除く各超音波ホモジナイザー32の混合液排出管42Bは、次の段の超音波ホモジナイザー32の混合液供給管42Aとして利用される。変形例の固液分散システムにおいても、実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0042】
なお、各超音波ホモジナイザーの振幅や周波数は、条件に応じて個別に調整してもよく、また、ロータステータ式分散機を含む各ホモジナイザーの駆動/停止の選択、組み合わせも本実施形態に限定されるものではない。
【0043】
本実施形態では、第1、第2超音波ホモジナイザーユニットの構成を同一したが、それぞれ異なる構成であってもよい。例えば、第1、第2超音波ホモジナイザーユニットを構成する超音波ホモジナイザーの台数が異なってもよく、超音波ホモジナイザー同士の接続を、一方のユニットでは並列、他方のユニットでは直列としてもよい。また、1つのユニットにおいて並列接続と直列接続が混在してもよい。
【0044】
本実施形態の固液分散システムでは、1台のロータステータ式分散機と一対の超音波ホモジナイザーユニットが組み合わされて用いられたが、混合液の状態に合わせた切り換え駆動が行えれば、各装置の台数や配置の組み合わせは変更可能である。
【符号の説明】
【0045】
10 固液分散システム
14 第1超音波ホモジナイザーユニット
18 ロータステータ式分散機
18A ロータ
18B ステータ
18C インレット部(供給口)
18D 分散室
18E アウトレット部(排出口)
20 第2超音波ホモジナイザーユニット
25 循環通路
31 粘度計(粘度検出手段)
32 超音波ホモジナイザー
32A ホルダ
33D 照射ホーン
34 制御装置(制御手段)
38A インレット部(取り入れ口)
38B アウトレット部(取り出し口)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7