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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-14
(45)【発行日】2024-11-22
(54)【発明の名称】処理システム及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   A63F 13/814 20140101AFI20241115BHJP
   A63F 13/55 20140101ALI20241115BHJP
   A63F 13/54 20140101ALI20241115BHJP
   G10H 1/00 20060101ALI20241115BHJP
【FI】
A63F13/814
A63F13/55
A63F13/54
G10H1/00 102Z
G10H1/00 Z
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2020047764
(22)【出願日】2020-03-18
(65)【公開番号】P2021145838
(43)【公開日】2021-09-27
【審査請求日】2022-12-20
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000134855
【氏名又は名称】株式会社バンダイナムコエンターテインメント
(74)【代理人】
【識別番号】100166523
【弁理士】
【氏名又は名称】西河 宏晃
(74)【代理人】
【識別番号】100124682
【弁理士】
【氏名又は名称】黒田 泰
(74)【代理人】
【識別番号】100090479
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 一
(74)【代理人】
【識別番号】100104710
【弁理士】
【氏名又は名称】竹腰 昇
(72)【発明者】
【氏名】大久保 博
【審査官】柳 重幸
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-331905(JP,A)
【文献】特開2018-011201(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63F 13/00-13/98
G10H 1/00- 7/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の楽曲についての楽曲情報を記憶する楽曲情報記憶部と、
マーカー情報を記憶するマーカー情報記憶部と、
前記楽曲情報に基づいて楽曲の再生処理を行う音処理部と、
キャラクタの動作制御を行うキャラクタ処理部と、
前記キャラクタの画像の表示処理を行う表示処理部と、
を含み、
前記音処理部は、
先行楽曲から後続楽曲への切り替えの際に、前記マーカー情報に応じて前記先行楽曲と前記後続楽曲のミキシング処理を行い、
前記キャラクタ処理部は、
前記先行楽曲から前記後続楽曲への切り替えの際に、前記マーカー情報に応じて前記先行楽曲と前記後続楽曲のミキシング期間での前記キャラクタの動作を制御し、
前記音処理部は、
前記キャラクタの情報に基づいて、前記先行楽曲と前記後続楽曲のミキシングパターン、複数の楽曲再生におけるミックスモード、及びミキシングに使用する前記マーカー情報の少なくとも1つを変化させ、
前記ミキシングパターンは、前記先行楽曲と前記後続楽曲のミキシングにおける音量調整パターン及びイコライザー調整パターンの少なくとも一方の調整パターンであり、
前記ミックスモードは、前記先行楽曲に対して前記後続楽曲を早いタイミングでミキシングするマーカーが楽曲に設定されるショートミックスモードと、前記先行楽曲に対して前記後続楽曲を遅いタイミングでミキシングするマーカーが楽曲に設定されるロングミックスモードを含むことを特徴とする処理システム。
【請求項2】
請求項において、
前記マーカー情報記憶部は、
前記ミキシング期間の開始タイミングに対応するマーカーの情報と、前記ミキシング期間の終了タイミングに対応するマーカーの情報を記憶することを特徴とする処理システム。
【請求項3】
請求項1又は2において、
前記マーカー情報のマーカーは、楽曲の曲構成に対応づけられており、
前記音処理部は、
前記先行楽曲が第j曲構成(jは1以上の整数)であり、前記後続楽曲が第k曲構成(kは1以上の整数)である期間を、前記マーカー情報に基づき特定し、当該期間を前記ミキシング期間として前記ミキシング処理を行うことを特徴とする処理システム。
【請求項4】
請求項1乃至のいずれかにおいて、
前記マーカー情報記憶部は、
楽曲が第1ジャンルである場合には、第1設定パターンで楽曲の曲構成に対してマーカーが設定され、楽曲が第2ジャンルである場合には、前記第1設定パターンとは異なる第2設定パターンで楽曲の曲構成に対してマーカーが設定される前記マーカー情報を記憶することを特徴とする処理システム。
【請求項5】
請求項1乃至のいずれかにおいて、
前記マーカー情報記憶部は、
楽曲が前記先行楽曲であるときのミキシング開始の許可タイミングを設定する第1マーカーの情報と、楽曲が前記先行楽曲であるときのミキシング終了タイミングを設定する第2マーカーの情報と、楽曲が前記後続楽曲であるときのミキシング開始の許可タイミングを設定する第3マーカーの情報と、楽曲が前記後続楽曲であるときのミキシング終了タイミングを設定する第4マーカーの情報を記憶することを特徴とする処理システム。
【請求項6】
請求項において、
前記音処理部は、
前記先行楽曲の前記第2マーカーと前記後続楽曲の前記第4マーカーとに基づいて、前記後続楽曲の再生開始タイミングを決定し、前記先行楽曲の前記第1マーカーと前記後続楽曲の前記第3マーカーに基づいて、前記ミキシング処理の開始タイミングを決定することを特徴とする処理システム。
【請求項7】
複数の楽曲についての楽曲情報を記憶する楽曲情報記憶部と、
マーカー情報を記憶するマーカー情報記憶部と、
前記楽曲情報に基づいて楽曲の再生処理を行う音処理部と、
キャラクタの動作制御を行うキャラクタ処理部と、
前記キャラクタの画像の表示処理を行う表示処理部として、
コンピュータを機能させ、
前記音処理部は、
先行楽曲から後続楽曲への切り替えの際に、前記マーカー情報に応じて前記先行楽曲と前記後続楽曲のミキシング処理を行い、
前記キャラクタ処理部は、
前記先行楽曲から前記後続楽曲への切り替えの際に、前記マーカー情報に応じて前記先行楽曲と前記後続楽曲のミキシング期間での前記キャラクタの動作を制御し、
前記音処理部は、
前記キャラクタの情報に基づいて、前記先行楽曲と前記後続楽曲のミキシングパターン、複数の楽曲再生におけるミックスモード、及びミキシングに使用する前記マーカー情報の少なくとも1つを変化させ、
前記ミキシングパターンは、前記先行楽曲と前記後続楽曲のミキシングにおける音量調整パターン及びイコライザー調整パターンの少なくとも一方の調整パターンであり、
前記ミックスモードは、前記先行楽曲に対して前記後続楽曲を早いタイミングでミキシングするマーカーが楽曲に設定されるショートミックスモードと、前記先行楽曲に対して前記後続楽曲を遅いタイミングでミキシングするマーカーが楽曲に設定されるロングミックスモードを含むことを特徴とするプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、処理システム及びプログラム等に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、先行楽曲の再生後、先行楽曲の途中から後続楽曲を再生するというように2つの楽曲を連続再生する手法が知られている。例えば特許文献1には、先行楽曲のコマンドコメントと後続楽曲のコマンドコメントとに応じて2つの楽曲を連続再生する再生装置が開示されている。特許文献2には、リスナーの心情や気分を感知して楽曲を自動選択することで、先行楽曲の途中から後続楽曲へと違和感なくスムーズに再生移行する再生装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2005-331905号公報
【文献】特開2006-106103号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
先行楽曲から後続楽曲への再生移行の際には、先行楽曲と後続楽曲のミキシングを行うことが望ましい。例えばミキシング期間において、先行楽曲の音量を徐々に小さくしながら、後続楽曲の音量を徐々に大きくすることで、違和感のないスムーズな再生移行を実現できる。そして先行楽曲から後続楽曲へと、ミキシングしながら再生移行するためには、先行楽曲と後続楽曲を接続するための接続情報が必要になる。しかしながら、これまでは、このような接続情報を有効利用する手法や、接続情報を用いた適切でスムーズな再生移行を実現する手法については提案されていなかった。
【0005】
本開示によれば、先行楽曲と後続楽曲の接続情報の有効利用や、或いは接続情報を利用した適切でスムーズな楽音の再生移行を実現できる処理システム及びプログラム等を提供できる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様は、複数の楽曲についての楽曲情報を記憶する楽曲情報記憶部と、マーカー情報を記憶するマーカー情報記憶部と、前記楽曲情報に基づいて楽曲の再生処理を行う音処理部と、キャラクタの動作制御を行うキャラクタ処理部と、前記キャラクタの画像の表示処理を行う表示処理部と、を含み、前記音処理部は、先行楽曲から後続楽曲への切り替えの際に、前記マーカー情報に応じて前記先行楽曲と前記後続楽曲のミキシング処理を行い、前記キャラクタ処理部は、前記先行楽曲から前記後続楽曲への切り替えの際に、前記マーカー情報に応じて前記先行楽曲と前記後続楽曲のミキシング期間での前記キャラクタの動作を制御する処理システムに関係する。また本開示の一態様は、上記各部としてコンピュータを機能させるプログラム、又は該プログラムを記憶したコンピュータ読み取り可能な情報記憶媒体に関係する。
【0007】
本開示の一態様によれば、楽曲情報記憶部に記憶される楽曲情報に基づいて楽曲の再生処理が行われると共に、キャラクタの動作制御が行われて、当該キャラクタの画像の表示処理が行われる。そして先行楽曲から後続楽曲への切り替えの際に、マーカー情報に応じた先行楽曲と後続楽曲のミキシング処理が行われると共に、マーカー情報に応じたミキシング期間でのキャラクタの動作制御が行われる。このようにすれば、先行楽曲と後続楽曲の接続情報となるマーカー情報の有効利用を図ったり、或いは先行楽曲と後続楽曲の接続情報となるマーカー情報を利用した適切でスムーズな楽音の再生移行を実現できるようになる。
【0008】
また本開示の一態様では、前記キャラクタ処理部は、前記先行楽曲と前記後続楽曲のミキシングパターン、複数の楽曲再生におけるミックスモード、外部情報の分析結果、及び楽曲の曲構成の少なくとも1つに応じて、前記キャラクタの動作を変化させてもよい。
【0009】
このようにすれば、ミキシングパターン、ミックスモード、外部情報の分析結果、又は楽曲の曲構成に応じてキャラクタの動作が様々に変化するようになり、ミキシングパターン、ミックスモード、外部情報の分析結果、又は曲構成を反映させたキャラクタの動作制御を実現できるようになる。
【0010】
また本開示の一態様では、前記音処理部は、前記キャラクタの情報に基づいて、前記先行楽曲と前記後続楽曲のミキシングパターン、複数の楽曲再生におけるミックスモード、及びミキシングに使用する前記マーカー情報の少なくとも1つを変化させてもよい。
【0011】
このようにすればキャラクタの情報に応じたミキシングパターン、ミックスモード又はマーカー情報により、先行楽曲と後続楽曲のミキシング処理などを行えるようになり、様々な態様の楽曲ミキシングを実現できるようになる。
【0012】
また本開示の一態様では、前記ミキシングパターンは、前記先行楽曲と前記後続楽曲のミキシングにおける音量調整パターン及びイコライザー調整パターンの少なくとも一方の調整パターンであり、前記ミックスモードは、ベーシックミックスモード、ショートミックスモード又はロングミックスモードであってもよい。
【0013】
このようにすれば、ミキシングの音量調整パターン又はイコライザー調整パターン、ベーシックミックスモード、ショートミックスモード又はロングミックスモードを反映させたキャラクタの動作制御を実現したり、或いは、音量調整パターン又はイコライザー調整パターン、或いはこれらのミックスモードを、キャラクタの情報に応じて変化させることが可能になる。
【0014】
また本開示の一態様では、前記マーカー情報記憶部は、前記ミキシング期間の開始タイミングに対応するマーカーの情報と、前記ミキシング期間の終了タイミングに対応するマーカーの情報を記憶してもよい。
【0015】
このようにすれば、マーカー情報によりミキシング期間の開始タイミングや終了タイミングを設定して、先行楽曲と後続楽曲のミキシング処理を行ったり、ミキシング期間でのキャラクタの動作を制御できるようになる。
【0016】
また本開示の一態様では、前記マーカー情報のマーカーは、楽曲の曲構成に対応づけられており、前記音処理部は、前記先行楽曲が第j曲構成(jは1以上の整数)であり、前記後続楽曲が第k曲構成(kは1以上の整数)である期間を、前記マーカー情報に基づき特定し、当該期間を前記ミキシング期間として前記ミキシング処理を行ってもよい。
【0017】
このようにすれば、先行楽曲が第j曲構成であり、後続楽曲が第k曲構成であるときに、第j曲構成と第k曲構成のミキシング処理を行って、再生楽曲を先行楽曲から後続楽曲に切り替えることが可能になる。
【0018】
また本開示の一態様では、前記マーカー情報記憶部は、楽曲が第1ジャンルである場合には、第1設定パターンで楽曲の曲構成に対してマーカーが設定され、楽曲が第2ジャンルである場合には、前記第1設定パターンとは異なる第2設定パターンで楽曲の曲構成に対してマーカーが設定される前記マーカー情報を記憶してもよい。
【0019】
このようにすれば、楽曲のジャンルに応じて異なる設定パターンで楽曲の曲構成に設定されるマーカーの情報に応じて、先行楽曲と後続楽曲のミキシング処理を行ったり、ミキシング期間でのキャラクタの動作制御を行うことが可能になる。
【0020】
また本開示の一態様は、複数の楽曲についての楽曲情報を記憶する楽曲情報記憶部と、マーカー情報を記憶するマーカー情報記憶部と、前記楽曲情報に基づいて楽曲の再生処理を行う音処理部と、を含み、前記マーカー情報記憶部は、楽曲が第1ジャンルである場合には、第1設定パターンで楽曲の曲構成に対してマーカーが設定され、楽曲が第2ジャンルである場合には、前記第1設定パターンとは異なる第2設定パターンで楽曲の曲構成に対してマーカーが設定される前記マーカー情報を記憶し、前記音処理部は、先行楽曲から後続楽曲への切り替えの際に、前記マーカー情報に応じて設定されるミキシング期間において、前記先行楽曲と前記後続楽曲のミキシング処理を行う処理システムに関係する。また本開示の一態様は、上記各部としてコンピュータを機能させるプログラム、又は該プログラムを記憶したコンピュータ読み取り可能な情報記憶媒体に関係する。
【0021】
本開示の一態様によれば、楽曲情報記憶部に記憶される楽曲情報に基づいて楽曲の再生処理が行われる。そして楽曲のジャンルに応じて異なった設定パターンでマーカー情報が設定されており、当該マーカーの情報に応じて設定されるミキシング期間において、先行楽曲と後続楽曲のミキシング処理が行われる。従って、先行楽曲と後続楽曲の接続情報であるマーカー情報を利用して適切でスムーズな楽音の再生移行を実現できるようになる。
【0022】
また本開示の一態様では、前記先行楽曲の音波形と、前記後続楽曲の音波形と、前記マーカー情報のマーカーのタイミングを、ユーザが視覚的に認識するための表示処理を行う表示処理部を含んでもよい。
【0023】
このような表示処理を行えば、ユーザは、先行楽曲、後続楽曲の音波形や、マーカーの画像を見ることで、先行楽曲から後続楽曲への切り替え操作や、或いは先行楽曲と後続楽曲のミキシングの操作を容易に行えるようになる。
【0024】
また本開示の一態様では、前記音処理部は、ユーザのミキシング操作のタイミングと前記マーカー情報のマーカーのタイミングとのズレ量が所定の範囲内である場合に、前記マーカーのタイミングに合うように前記ミキシング操作のタイミングを補正する処理を行ってもよい。
【0025】
このようにすれば、ユーザの技量が足りなくて、ユーザの操作が適切なタイミングで行われなかった場合にも、マーカーにより設定されるタイミングで楽曲のミキシングや切り替えを行うことが可能になる。
【0026】
また本開示の一態様では、前記音処理部は、ユーザのミキシング操作のタイミングとマーカーのタイミングとのズレ量に基づいて、ユーザのミキシング操作の評価処理を行ってもよい。
【0027】
このようにすれば、マーカーを見ながらユーザがミキシング操作を行った場合に、そのミキシング操作のタイミングが適切なタイミングであったか否かを評価できるようになり、ミキシング操作を行うことの面白味をユーザに与えることが可能になる。
【0028】
また本開示の一態様では、前記マーカー情報記憶部は、楽曲が前記先行楽曲であるときのミキシング開始の許可タイミングを設定する第1マーカーの情報と、楽曲が前記先行楽曲であるときのミキシング終了タイミングを設定する第2マーカーの情報と、楽曲が前記後続楽曲であるときのミキシング開始の許可タイミングを設定する第3マーカーの情報と、楽曲が前記後続楽曲であるときのミキシング終了タイミングを設定する第4マーカーの情報を記憶してもよい。
【0029】
このような第1マーカー、第2マーカー、第3マーカー、第4マーカーの情報を用いることで、先行楽曲と後続楽曲のミキシング期間を適切に設定して、先行楽曲と後続楽曲をミキシングしながら、先行楽曲から後続楽曲に切り替える再生移行を実現できるようになる。
【0030】
また本開示の一態様では、前記音処理部は、前記先行楽曲の前記第2マーカーと前記後続楽曲の前記第4マーカーとに基づいて、前記後続楽曲の再生開始タイミングを決定し、前記先行楽曲の前記第1マーカーと前記後続楽曲の前記第3マーカーに基づいて、前記ミキシング処理の開始タイミングを決定してもよい。
【0031】
このようにすれば、第1マーカー~第4マーカーの情報を用いて、ミキシング期間の開始タイミングや終了タイミングを決定して、当該ミキシング期間において先行楽曲と後続楽曲のミキシング処理を行いながら、先行楽曲から後続楽曲に切り替える再生移行を実現できるようになる。
【0032】
また本開示の一態様では、前記マーカー情報記憶部は、第1ミックスモードで使用される前記第1~第4マーカーの第1マーカーセットの情報と、第2ミックスモードで使用される前記第1~第4マーカーの第2マーカーセットの情報を記憶し、前記音処理部は、前記第1ミックスモードでは、前記第1マーカーセットの情報に応じて設定される前記ミキシング期間において前記ミキシング処理を行い、前記第2ミックスモードでは、前記第2マーカーセットの情報に応じて設定される前記ミキシング期間において前記ミキシング処理を行ってもよい。
【0033】
このようにすれば、ベーシックミックスモード、ショートミックスモード又はロングミックスモードなどのミックスモードが設定された場合に、楽曲に設定される複数のマーカーセットの中から、設定されたミックスモードに対応するマーカーセットを用いることで、当該ミックスモードに適切なマーカーを用いてミキシング処理を行えるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
図1】本実施形態の処理システムの構成例を示すブロック図。
図2】仮想的なDJのキャラクタについての説明図。
図3】キャラクタが操作するDJ機器の一例を示す図。
図4】本実施形態の処理例を説明するフローチャート。
図5】ミキシングパターンに応じたキャラクタの動作制御についての説明図。
図6】ミックスモードに応じた楽曲再生及びキャラクタの動作制御の処理を説明するフローチャート。
図7】外部入力情報を利用する手法の説明図。
図8】楽曲の曲構成に応じたキャラクタの動作制御の説明図。
図9】楽曲の曲構成に応じたキャラクタの動作制御の説明図。
図10】キャラクタの情報に基づいてミキシングパターン、ミックスモード、使用するマーカー情報を変化させる処理を説明するフローチャート。
図11】ミキシング期間の開始タイミング、終了タイミングに対応するマーカーを用いたミキシング処理の説明図。
図12】本実施形態の処理例を説明するフローチャート。
図13】DJ画面の一例を示す図。
図14】本実施形態で用いられるマーカーの具体例の説明図。
図15】マーカーを用いたミキシング処理を説明するフローチャート。
図16図16(A)、図16(B)、図16(C)は、ハウスミュージック、EDM、アニメソングのジャンルにおける曲構成についての説明図。
図17】ハウスミュージックでのマーカーの設定パターンとミキシング処理の説明図。
図18】EDMでのマーカーの設定パターンとミキシング処理の説明図。
図19】アニメソングでのマーカーの設定パターンとミキシング処理の説明図。
図20】ミキシング開始の許可マーカーを用いる手法の説明図。
図21】各ミックスモードのマーカーセットの説明図。
図22】ミキシング操作とマーカーのタイミングのズレ量に基づく処理のフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0035】
以下、本実施形態について説明する。なお、以下に説明する本実施形態は、特許請求の範囲の記載内容を不当に限定するものではない。また本実施形態で説明される構成の全てが、必須構成要件であるとは限らない。
【0036】
1.処理システム
図1は、本実施形態の処理システム(情報処理装置、アトラクション用装置、ゲーム装置)の構成例を示すブロック図である。なお、本実施形態の処理システムは図1の構成に限定されず、その構成要素の一部を省略したり、他の構成要素を追加するなどの種々の変形実施が可能である。
【0037】
操作部160は、ユーザ(オペレータ、プレーヤ)が種々の操作情報(入力情報)を入力するためのものである。操作部160は、例えばキーボード、操作ボタン、方向指示キー、ジョイスティック、レバー又はタッチパネル型ディスプレイ等により実現できる。
【0038】
記憶部170は各種の情報を記憶する。記憶部170は、処理部100や通信部196などのワーク領域として機能する。プログラムや、プログラムの実行に必要なデータは、この記憶部170に保持される。記憶部170の機能は、半導体メモリ(DRAM、VRAM)、HDD(hard disk drive)、SSD(Solid State Drive)、又は光ディスク装置などにより実現できる。記憶部170は、楽曲情報記憶部172、マーカー情報記憶部174、モーションデータ記憶部175、キャラクタ情報記憶部176、オブジェクト情報記憶部177、描画バッファ178を含む。楽曲情報記憶部172は再生対象となる楽曲の情報を記憶する。例えば楽曲のサウンドデータや、ジャンル、アーティスト名又はアルバム名などの付加データを記憶する。マーカー情報記憶部174はマーカーについての各種の情報を記憶する。例えば楽曲に対するマーカーの設定パターン等の設定情報を楽曲に関連づけて記憶する。モーションデータ記憶部175は、キャラクタ等のモデルオブジェクトのモーション再生処理を行うためのモーションデータを記憶する。モーション再生処理はアニメーション処理とも呼ばれる。キャラクタ情報記憶部176は、キャラクタについての種々の情報を記憶する。例えばキャラクタのレベル又は能力等のパラメータの情報や、キャラクタの性格などの属性や状態を表す情報を記憶する。オブジェクト情報記憶部177は、キャラクタなどのモデルオブジェクトを構成するオブジェクトや仮想空間を構成するオブジェクトについての各種の情報(形状情報、位置情報等)を記憶する。描画バッファ178は、フレームバッファ、ワークバッファ等のピクセル単位で画像情報を記憶できるバッファである。
【0039】
情報記憶媒体180は、コンピュータにより読み取り可能な媒体であり、プログラムやデータなどを格納するものである。情報記憶媒体180は、光ディスク(DVD、BD、CD)、HDD、或いは半導体メモリ(ROM)などにより実現できる。処理部100は、情報記憶媒体180に格納されるプログラム(データ)に基づいて本実施形態の種々の処理を行う。即ち情報記憶媒体180には、本実施形態の各部としてコンピュータ(入力装置、処理部、記憶部、出力部を備える装置)を機能させるためのプログラム(各部の処理をコンピュータに実行させるためのプログラム)が記憶される。
【0040】
表示部190は、本実施形態により生成された画像を出力するものであり、その機能は、LCD、有機ELディスプレイ、CRT、タッチパネル型ディスプレイ、或いはHMD(Head Mounted Display)などにより実現できる。音出力部192は、本実施形態により生成された音を出力するものであり、その機能は、スピーカ又はヘッドホン等により実現できる。
【0041】
I/F部194(インターフェース部)は、携帯型情報記憶媒体195とのインターフェース処理を行うものであり、その機能はI/F処理用のASICなどにより実現できる。携帯型情報記憶媒体195は、ユーザが各種の情報を保存するためのものであり、電源が非供給になった場合にもこれらの情報の記憶を保持する記憶装置である。携帯型情報記憶媒体195は、ICカード(メモリカード)、USBメモリ、或いは磁気カードなどにより実現できる。
【0042】
通信部196は、有線や無線のネットワークを介して外部(他の装置)との間で通信を行うものであり、その機能は、通信用ASIC又は通信用プロセッサなどのハードウェアや、通信用ファームウェアにより実現できる。
【0043】
なお本実施形態の各部としてコンピュータを機能させるためのプログラム(データ)は、サーバ(ホスト装置)が有する情報記憶媒体からネットワーク及び通信部196を介して情報記憶媒体180(或いは記憶部170)に配信してもよい。このようなサーバによる情報記憶媒体の使用も本実施形態の範囲内に含めることができる。
【0044】
処理部100(プロセッサ)は、操作部160からの操作入力情報やプログラムなどに基づいて、音処理、キャラクタ処理、或いは表示処理などを行う。
【0045】
処理部100の各部が行う本実施形態の各処理はプロセッサ(ハードウェアを含むプロセッサ)により実現できる。例えば本実施形態の各処理は、プログラム等の情報に基づき動作するプロセッサと、プログラム等の情報を記憶するメモリにより実現できる。プロセッサは、例えば各部の機能が個別のハードウェアで実現されてもよいし、或いは各部の機能が一体のハードウェアで実現されてもよい。例えば、プロセッサはハードウェアを含み、そのハードウェアは、デジタル信号を処理する回路及びアナログ信号を処理する回路の少なくとも一方を含むことができる。例えば、プロセッサは、回路基板に実装された1又は複数の回路装置(例えばIC等)や、1又は複数の回路素子(例えば抵抗、キャパシター等)で構成することもできる。プロセッサは、例えばCPU(Central Processing Unit)であってもよい。但し、プロセッサはCPUに限定されるものではなく、GPU(Graphics Processing Unit)、或いはDSP(Digital Signal Processor)等、各種のプロセッサを用いることが可能である。またプロセッサはASICによるハードウェア回路であってもよい。またプロセッサは、アナログ信号を処理するアンプ回路やフィルター回路等を含んでもよい。メモリ(記憶部170)は、SRAM、DRAM等の半導体メモリであってもよいし、レジスターであってもよい。或いはハードディスク装置(HDD)等の磁気記憶装置であってもよいし、光学ディスク装置等の光学式記憶装置であってもよい。例えば、メモリはコンピュータにより読み取り可能な命令を格納しており、当該命令がプロセッサにより実行されることで、処理部100の各部の処理が実現されることになる。ここでの命令は、プログラムを構成する命令セットでもよいし、プロセッサのハードウェア回路に対して動作を指示する命令であってもよい。
【0046】
処理部100は、音処理部102、キャラクタ処理部110、表示処理部120を含む。上述したように、これらの各部により実行される本実施形態の各処理は、プロセッサ(或いはプロセッサ及びメモリ)により実現できる。なお、これらの構成要素(各部)の一部を省略したり、他の構成要素を追加するなどの種々の変形実施が可能である。
【0047】
音処理部102は種々の音処理を行う。例えば音処理部102は楽曲の再生処理を行う。或いは音処理部102は、サウンドデータに対するフィルター処理などのデジタル信号処理や、音声解析処理などの音の解析処理や、或いは音に関する種々の判断処理を行ってもよい。
【0048】
キャラクタ処理部110は、キャラクタについての種々の処理を行う。例えばキャラクタ処理部110は、オブジェクト空間である仮想空間において、モデルオブジェクトであるキャラクタを動作させる処理を行う。例えばキャラクタ処理部110は、モーションデータ記憶部175に記憶されるモーションデータに基づいてキャラクタを動作させる処理を行う。モーションデータに基づくモーション再生処理はアニメーション処理とも呼ばれる。例えばキャラクタ処理部110は、プログラム(移動・動作アルゴリズム)や、各種データ(モーションデータ、キャラクタ情報)などに基づいて、キャラクタを仮想空間内で動作(モーション、アニメーション)させたり、移動させる制御処理を行う。具体的には、キャラクタの動作情報(パーツオブジェクトの位置、或いは回転角度)や、移動情報(位置、回転角度、速度、或いは加速度)を、1フレーム(例えば1/60秒)毎に順次求めるシミュレーション処理を行う。なおフレームは、キャラクタの動作処理や画像生成処理を行う時間の単位である。
【0049】
表示処理部120は、表示部190に画像を表示するための処理を行う。例えば処理部100で行われる種々の処理の結果に基づいて描画処理を行い、これにより画像を生成し、表示部190に表示する。具体的には、座標変換(ワールド座標変換、カメラ座標変換)、クリッピング処理、透視変換、或いは光源処理等のジオメトリ処理が行われ、その処理結果に基づいて、描画データ(プリミティブ面の頂点の位置座標、テクスチャ座標、色データ、法線ベクトル或いはα値等)が作成される。そして、この描画データ(プリミティブ面データ)に基づいて、透視変換後(ジオメトリ処理後)のオブジェクト(1又は複数プリミティブ面)を、描画バッファ178(フレームバッファ、ワークバッファ等のピクセル単位で画像情報を記憶できるバッファ)に描画する。これにより、仮想空間において仮想カメラから見える画像が生成される。なお、表示処理部120で行われる描画処理は、頂点シェーダ処理やピクセルシェーダ処理等により実現することができる。
【0050】
例えば本実施形態では、処理部100は、ゲーム処理、仮想空間設定処理、仮想カメラ設定処理、移動体処理などを行うことができる。ゲーム処理は、例えば、ゲーム開始条件が満たされた場合にゲームを開始する処理、開始したゲームを進行させる処理、ゲーム終了条件が満たされた場合にゲームを終了する処理、或いはゲーム成績を演算する処理などである。仮想空間設定処理は、例えば、移動体(車、人、ロボット、電車、飛行機、船、モンスター又は動物等)、マップ(地形)、建物、観客席、コース(道路)、アイテム、樹木、壁、水面などの表示物を表す各種オブジェクト(ポリゴン、自由曲面又はサブディビジョンサーフェイスなどのプリミティブ面で構成されるオブジェクト)を仮想空間に配置設定する処理である。例えば仮想空間設定処理では、ワールド座標系でのオブジェクトの位置や回転角度(向き、方向と同義)を決定し、その位置(X、Y、Z)にその回転角度(X、Y、Z軸回りでの回転角度)でオブジェクトを配置する処理が行われる。具体的には、記憶部170のオブジェクト情報記憶部177には、仮想空間でのオブジェクト(パーツオブジェクト)の位置、回転角度、移動速度又は移動方向等の情報であるオブジェクト情報がオブジェクト番号に対応づけて記憶される。仮想空間設定処理では、例えば各フレーム毎に、仮想空間情報であるオブジェクト情報の更新処理が行われる。また仮想カメラ設定処理は、仮想空間での仮想カメラの位置や方向を設定する処理である。例えば仮想カメラ設定処理では、キャラクタなどの移動体の位置や方向の情報や、或いは仮想カメラの位置や方向の設定情報に基づいて、仮想空間での仮想カメラの位置や方向を設定する処理が行われる。移動体処理は、仮想空間での移動体の移動情報を演算する処理である。例えば移動体処理では、仮想空間において移動体を移動させるための処理が行われる。また処理部100は、音の生成処理を行う。例えば処理部100での種々の処理の結果に基づいて音の生成処理を行う。具体的には、楽曲、効果音、又は音声などを生成し、音出力部192に出力させる。
【0051】
そして本実施形態の処理システムは、図1に示すように、楽曲情報記憶部172と、マーカー情報記憶部174と、音処理部102と、キャラクタ処理部110と、表示処理部120を含む。
【0052】
楽曲情報記憶部172は楽曲情報を記憶する。例えば複数の楽曲についての楽曲情報を記憶する。例えば楽曲情報記憶部172は、再生対象となる複数の楽曲についての楽曲情報を記憶する。楽曲情報は、例えば楽曲のサウンドデータである。或いは楽曲情報は、ジャンル、アーティスト名又はアルバム名などの付加データを含んでもよい。この楽曲情報に基づいて、楽曲の再生処理が行われる。
【0053】
マーカー情報記憶部174は、マーカー情報を記憶する。マーカー情報は、例えば先行楽曲から後続楽曲に切り替える際のタイミングを設定する情報である。例えばマーカー情報のマーカーは、先行楽曲から後続楽曲への切り替えタイミングの目印となるものである。具体的にはマーカー情報は、先行楽曲と後続楽曲のミキシング期間を設定する情報である。例えばマーカー情報のマーカーは、ミキシング期間のタイミングの目印となるものである。先行楽曲は、現在の楽曲から次の楽曲に切り替える再生移行において、先行する楽曲であり、後続楽曲は、先行楽曲に続く次の楽曲である。
【0054】
キャラクタ処理部110はキャラクタの動作制御を行う。例えばキャラクタ処理部110は、キャラクタの動作制御としてキャラクタのモーションを再生するモーション再生処理を行う。モーション再生処理は、モデルオブジェクトのスケルトンの姿勢を変化させて、モデルオブジェクトを動かすための処理であり、アニメーション処理とも呼ばれる。具体的にはキャラクタ処理部110は、モーションデータ記憶部175に記憶されたモーションデータに基づいてキャラクタのモーション処理を行う。モーションデータは、例えばキャラクタの動作を演じる演者の動作のモーションキャプチャを行うことで取得できる。モーションキャプチャの方式としては、光学式、慣性センサ式、機械式、磁気式などの種々の方式がある。モーションデータは、キャラクタ(演者)に対応するスケルトンの姿勢を規定するものであり、スケルトンは、複数の関節や、関節で規定される骨により構成され、階層構造である親子構造を有する。具体的にはモーションデータは、親の骨に対する子の骨の、X軸、Y軸、Z軸回りの回転角度α、β、γなどの情報を含むことができる。或いはモーションデータは、X軸方向、Y軸方向、Z軸方向での骨のスケーリング率などの情報を含んでもよい。例えばモーションデータは、回転角度α、β、γ等が行列要素となる行列情報などにより実現される。
【0055】
表示処理部120は、キャラクタの画像の表示処理を行う。例えば表示処理部120は、3次元のモデルオブジェクトであるキャラクタのレンダリング処理を行い、オブジェクト空間である仮想空間において仮想カメラから見える画像であって、キャラクタの画像を含む仮想空間画像を生成する。
【0056】
そして音処理部102は、先行楽曲から後続楽曲への切り替えの際に、マーカー情報に応じて先行楽曲と後続楽曲のミキシング処理を行う。例えば音処理部102は、マーカー情報に応じたミキシング期間を設定し、設定されたミキシング期間において先行楽曲と後続楽曲のミキシング処理を行う。例えばミキシング期間の開始タイミングに対応するマーカーと、ミキシング期間の終了タイミングに対応するマーカーが、先行楽曲や後続楽曲に設定されており、これらのマーカーを用いてミキシング期間が特定される。そして音処理部102は、これらのマーカーで特定されたミキシング期間において、先行楽曲と後続楽曲のミキシング処理を行う。ミキシング処理では、ミキシング期間において、例えば先行楽曲の音量を徐々に小さくしながら後続楽曲の音量を徐々に大きくする音量調整が行われる。例えばミキシング期間の開始タイミングでは、後続楽曲の音量は例えばゼロであり、先行楽曲だけが再生出力される状態になっている。そしてミキシング期間の終了タイミングでは、先行楽曲の音量が例えばゼロになり、後続楽曲だけが再生出力される状態になる。またミキシング期間においては、例えば低周波数帯域などの特定の周波数帯域を減衰したり或いは増幅するイコライザー調整が行われる。例えばミキシング期間が開始してから所定期間の間は、後続楽曲の低周波数帯域を減衰したままの状態にし、ミキシング期間の終了タイミング又は終了タイミングを含む短い期間において、後続楽曲の低周波数帯域を増幅して元に戻すというようなイコライザー調整が行われる。
【0057】
そしてキャラクタ処理部110は、先行楽曲から後続楽曲への切り替えの際に、マーカー情報に応じて先行楽曲と後続楽曲のミキシング期間でのキャラクタの動作を制御する。例えばキャラクタ処理部110は、マーカー情報により設定されるミキシング期間において、ミキシング用の動作を行うようにキャラクタの動作を制御する。例えばキャラクタ処理部110は、マーカー情報に応じてミキシング期間を設定し、設定されたミキシング期間において、ミキシング用の動作を行うようにキャラクタの動作を制御する。具体的には、ミキシング期間の開始タイミングに対応するマーカーと、ミキシング期間の終了タイミングに対応するマーカーが先行楽曲や後続楽曲に設定され、キャラクタ処理部110は、これらのマーカーを用いてミキシング期間を特定して、キャラクタの動作を制御する。例えばキャラクタ処理部110は、ミキシング期間において行われる音処理部102のミキシング処理に連動して、キャラクタの動作を制御する。例えばミキシング用のモーションでキャラクタを動作させる。例えばキャラクタ処理部110は、キャラクタのモーションの補正を行うことで、ミキシング用のモーションでキャラクタを動作させる。具体的には、キャラクタの手がミキシング操作を行うように、キャラクタのモーション補正を行う。ミキシング操作は、例えばフェーダーの操作又はイコライザーの操作などである。一例としては、キャラクタの手(指)が、ミキシング操作を行うように、キャラクタの手を動かすためのインバースキネマティクス処理を行うことで、ミキシング用のモーションをキャラクタに行わせる。
【0058】
またキャラクタ処理部110は、先行楽曲と後続楽曲のミキシングパターン、複数の楽曲再生におけるミックスモード、外部情報の分析結果、及び楽曲の曲構成の少なくとも1つに応じて、キャラクタの動作を変化させる。例えばミキシングパターンが第1ミキシングパターンである場合には、第1ミキシングパターンに対応するモーションパターンで、キャラクタを動作させ、ミキシングパターンが第2ミキシングパターンである場合には、第2ミキシングパターンに対応するモーションパターンで、キャラクタを動作させる。また複数の楽曲を再生する際におけるミックスモードが、第1ミックスモードである場合には、第1ミックスモードに対応するモーションパターンで、キャラクタを動作させ、ミックスモードが第2ミックスモードである場合には、第2ミックスモードに対応するモーションパターンで、キャラクタを動作させる。或いは処理システムが外部情報を取得して外部情報の分析を行い、キャラクタ処理部110は、この外部情報の分析結果に基づいて、キャラクタの動作を変化させる。外部情報の分析結果は、例えばインターネット投票の分析結果、歓声などの外部環境の音声の分析結果、或いは観客の動きの分析結果などである。また楽曲の曲構成が第1曲構成である場合には、第1曲構成に対応するモーションパターンで、キャラクタを動作させ、楽曲の曲構成が第2曲構成である場合には、第2曲構成に対応するモーションパターンで、キャラクタを動作させる。
【0059】
また音処理部102は、キャラクタの情報に基づいて、先行楽曲と後続楽曲のミキシングパターン、複数の楽曲再生におけるミックスモード、及びミキシングに使用するマーカー情報の少なくとも1つを変化させる。キャラクタの情報は例えばキャラクタに対して設定された判断条件の情報である。例えば音処理部102は、キャラクタの情報が第1情報である場合には、第1ミキシングパターンで先行楽曲と後続楽曲のミキシング処理を行い、キャラクタの情報が第1情報から第2情報に変化すると、第2ミキシングパターンで先行楽曲と後続楽曲のミキシング処理を行う。また音処理部102は、キャラクタの情報が第1情報である場合には、第1ミックスモードで複数の楽曲再生を行い、キャラクタの情報が第1情報から第2情報に変化すると、第2ミックスモードで複数の楽曲再生を行う。また音処理部102は、キャラクタの情報が第1情報である場合には、ミキシング処理や表示処理に使用するマーカー情報として、第1タイプのマーカー情報を使用し、キャラクタの情報が第1情報から第2情報に変化すると、第2タイプのマーカー情報を使用する。キャラクタの情報は、例えばキャラクタのレベル又は能力のパラメータや、キャラクタに設定された動作アルゴリズムなどのアルゴリズムの情報や、キャラクタの性格又は属性などの情報である。キャラクタの能力は例えばキャラクタのリズム感の能力、演奏テクニックの能力又はその場対応能力などであり、例えばDJとして能力である。キャラクタの情報は、例えばキャラクタに対して予め設定されており、例えばキャラクタに対応づけてキャラクタ情報記憶部176に記憶される。
【0060】
またミキシングパターンは、先行楽曲と後続楽曲のミキシングにおける音量調整パターン及びイコライザー調整パターンの少なくとも一方の調整パターンである。音量調整パターンは、例えばミキシングにおけるフェーダーによる音量調整パターンである。例えば音量調整のパターンは、ミキシング期間における先行楽曲や後続楽曲の音量の調整度合いや音量カープのパターンである。イコライザー調整パターンは、例えばミキシングにおけるイコライザーの調整パターンである。例えばイコライザー調整のパターンは、イコライザーによる低音、中音又は高音などの各周波数帯域の成分の調整度合いや調整カーブのパターンである。
【0061】
またミックスモードは、ベーシックミックスモード、ショートミックスモード又はロングミックスモードである。ショートミックスモードは、ベーシックミックスモードに比べて、先行楽曲に対して早いタイミングで後続楽曲をミキシングするミックスモードである。例えばショートミックスモードは、所定の演奏時間内における楽曲の演奏曲数が、ベーシックミックスモードに比べて多くなるミックスモードである。ロングミックスモードは、ベーシックミックスモードに比べて、先行楽曲に対して遅いタイミングで後続楽曲をミキシングするミックスモードである。例えばロングミックスモードは、所定の演奏時間内における楽曲の演奏曲数が、ベーシックミックスモードに比べて少なくなるミックスモードである。なおミックスモードの設定は、複数の楽曲に対して一括で行われてもよいし、楽曲ごとに変えてミックスモードを設定してもよい。例えばベーシックミックスモード用の第1楽曲群、ショートミックスモード用の第2楽曲群、ロングミックスモード用の第3楽曲群を用意して、これらの楽曲情報を楽曲情報記憶部172に記憶してもよい。またミックスモードの設定は、処理システムが自動的に行ってもよいし、ユーザが操作部160などを用いて設定してもよい。
【0062】
またマーカー情報記憶部174は、ミキシング期間の開始タイミングに対応するマーカーの情報と、ミキシング期間の終了タイミングに対応するマーカーの情報を記憶する。ミキシング期間の開始タイミングに対応するマーカーは、例えば当該開始タイミングに対応づけられるマーカーであり、例えばミキシング期間の開始タイミングを設定するマーカーであってもよいし、ミキシング開始の許可タイミングを設定するマーカーであってもよい。ミキシング期間の終了タイミングに対応するマーカーは、例えば当該終了タイミングに対応づけられるマーカーであり、ミキシング期間の終了タイミングを設定するマーカーである。或いはミキシング終了の許可タイミングを設定するマーカーであってもよい。
【0063】
またマーカー情報のマーカーは、楽曲の曲構成に対応づけられている。例えば楽曲が第1曲構成~第m曲構成(mは2以上の整数)を有する場合に、マーカーは、例えば第1曲構成~第m曲構成のうちの第i曲構成(1≦i≦m)に対応づけられている。例えばマーカーは、曲構成の先頭タイミング、終了タイミング又は途中タイミングに対応づけられている。なおマーカーは例えば小節単位で設定される。また楽曲の曲構成に対して、楽曲が先行楽曲である場合のマーカーと、楽曲が後続楽曲である場合のマーカーを対応づけてもよい。曲構成は、例えば2小節、4小節、8小節、16小節又は32小節などの複数小節を1つのブロックとするものであり、楽曲は、このブロックである曲構成が複数個連なることで構成される。曲構成としては、例えばイントロ、イントロコーラス、ビルドアップ、ドロップ、ブレーク、コーラス、バース、Aメロ、Bメロ又はアウトロなどの種々の構成がある。そして音処理部102は、先行楽曲が第j曲構成(jは1以上の整数)であり、後続楽曲が第k曲構成(kは1以上の整数)である期間を、マーカー情報に基づき特定し、当該期間をミキシング期間としてミキシング処理を行う。例えば先行楽曲用のマーカーが先行楽曲の第j曲構成に設定されており、後続楽曲用のマーカーが後続楽曲の第k曲構成に設定されている場合に、音処理部102は、これらのマーカーに基づいてミキシング期間を特定する。先行楽曲用のマーカーとしては、例えば先行楽曲の第j曲構成の開始タイミングに対応するマーカーや、第j曲構成の終了タイミングに対応するマーカーなど想定できる。また後続楽曲用のマーカーとしては、例えば後続楽曲の第k曲構成の開始タイミングに対応するマーカーや、第k曲構成の終了タイミングに対応するマーカーなどを想定できる。そして音処理部102は、これらのマーカーを用いてミキシング期間を設定して、先行楽曲と後続楽曲のミキシング処理を行う。例えば先行楽曲の第j曲構成と後続楽曲の第k曲構成は、両者の曲構成同士をミキシングしても違和感や不自然さが少ない曲構成として、例えば楽曲のジャンルに応じて特定されている曲構成である。
【0064】
また本実施形態の処理システムは、複数の楽曲についての楽曲情報を記憶する楽曲情報記憶部172と、マーカー情報を記憶するマーカー情報記憶部174と、楽曲情報に基づいて楽曲の再生処理を行う音処理部102を含む。そしてマーカー情報記憶部174は、楽曲が第1ジャンルである場合には、第1設定パターンで楽曲の曲構成に対してマーカーが設定され、楽曲が第2ジャンルである場合には、第1設定パターンとは異なる第2設定パターンで楽曲の曲構成に対してマーカーが設定されるマーカー情報を記憶する。第1設定パターン、第2設定パターンは、楽曲のどの曲構成にマーカーを設定するかについてのパターンである。例えば第1設定パターン、第2設定パターンは、楽曲のどの曲構成に、ミキシング期間の開始タイミング用のマーカーやミキシング期間の終了タイミング用のマーカーを設定するかについてのパターンである。例えば楽曲が第1ジャンルである場合と第2ジャンルである場合とで、楽曲のどの曲構成に対してマーカーを設定するかが異なっている。
【0065】
そして音処理部102は、先行楽曲から後続楽曲への切り替えの際に、マーカー情報に応じて設定されるミキシング期間において、先行楽曲と後続楽曲のミキシング処理を行う。例えば音処理部102は、ジャンルに応じて異なった設定パターンで曲構成に対してマーカーが設定されるマーカー情報に基づいて、ミキシング期間を設定し、設定されたミキシング期間において先行楽曲と後続楽曲のミキシング処理を行う。例えばミキシング期間の開始タイミングに対応するマーカーと、ミキシング期間の終了タイミングに対応するマーカーが、ジャンルに応じて異なる設定パターンで、先行楽曲や後続楽曲の曲構成に設定されており、これらのマーカーを用いてミキシング期間が設定される。そして音処理部102は、これらのマーカーにより設定されたミキシング期間において、先行楽曲と後続楽曲のミキシング処理を行う。
【0066】
また表示処理部120は、先行楽曲の音波形と、後続楽曲の音波形と、マーカー情報のマーカーのタイミングを、ユーザが視覚的に認識するための表示処理を行う。例えば表示処理部120は、先行楽曲の音波形の画像と、後続楽曲の音波形の画像を表示部190に表示する処理を行う。そして表示処理部120は、先行楽曲の音波形の画像に対して、先行楽曲用のマーカーの画像を、当該マーカーにより設定されるタイミングの位置に表示する処理を行う。また表示処理部120は、後続楽曲の音波形の画像に対して、後続楽曲用のマーカーの画像を、当該マーカーにより設定されるタイミングの位置に表示する処理を行う。
【0067】
また音処理部102は、ユーザのミキシング操作のタイミングとマーカー情報のマーカーのタイミングとのズレ量が所定の範囲内である場合に、マーカーのタイミングに合うようにミキシング操作のタイミングを補正する処理を行う。即ちユーザが、操作部160を用いて、後続楽曲の再生開始操作、フェーダーによる音量調整、又はイコライザーによるイコライザー調整などのミキシング操作を行った場合に、当該ミキシング操作のタイミングを取得する。そして当該ミキシング操作のタイミングと、マーカー情報のマーカーにより設定されるタイミングとのズレ量を測定する。そしてズレ量が所定の許容の範囲内である場合には、マーカーのタイミングに合うようにミキシング操作のタイミングを補正する処理を行う。即ち音処理部104は、マーカーで設定されるタイミングで、ユーザのミキシング操作が行われたとして、先行楽曲と後続楽曲のミキシング処理を行う。
【0068】
また音処理部104は、ユーザのミキシング操作のタイミングとマーカーのタイミングとのズレ量に基づいて、ユーザのミキシング操作の評価処理を行う。例えばズレ量が所定の範囲内である場合にはミキシング操作に対して良い評価(グッド、エクセレント)を付与し、ズレ量が所定の範囲を越えている場合にはミキシング操作に対して悪い評価(バッド)を付与する評価処理を行う。そして表示処理部120は、この評価処理の結果に応じた表示処理を行う。例えば表示処理部120は、ユーザのミキシング操作に対する評価が、どのような評価結果(グッド、エクセレント、バッド)であったのかをユーザに報知する表示処理を行う。例えば評価処理の結果に基づくゲーム成績の情報を表示する。或いは表示処理部120は、評価処理の結果に基づいて、演出用の表示処理を行う。例えば演出エフェクトを発生させるような表示処理を行う。具体的には、キャラクタの周囲に演出エフェクトの表示物を出現させる表示処理を行う。
【0069】
またマーカー情報記憶部174は、楽曲が先行楽曲であるときのミキシング開始の許可タイミングを設定する第1マーカーの情報と、楽曲が先行楽曲であるときのミキシング終了タイミングを設定する第2マーカーの情報を記憶する。またマーカー情報記憶部174は、楽曲が後続楽曲であるときのミキシング開始の許可タイミングを設定する第3マーカーの情報と、楽曲が後続楽曲であるときのミキシング終了タイミングを設定する第4マーカーの情報を記憶する。即ち、マーカー情報記憶部174は、1つの楽曲に対して、楽曲が先行楽曲であるときに使用される第1マーカー、第2マーカーの情報と、楽曲が後続楽曲であるときに使用される第3マーカー、第4マーカーの情報を、当該楽曲に対応づけて記憶する。ここで、ミキシング開始の許可タイミングを設定するマーカーは、当該許可タイミング移行のタイミングでのミキシングを許可(許容)することを示すマーカーである。
【0070】
そして音処理部102は、先行楽曲の第2マーカーと後続楽曲の第4マーカーとに基づいて、後続楽曲の再生開始タイミングを決定する。そして先行楽曲の第1マーカーと後続楽曲の第3マーカーに基づいて、ミキシング処理の開始タイミングを決定する。例えば先行楽曲の第2マーカーのタイミングと後続楽曲の第4マーカーのタイミングが一致するように、後続楽曲の再生開始タイミングを決定する。そして後続楽曲の再生開始以降のタイミングにおいて、第1マーカーと第3マーカーによりミキシングが許可されたと判断されたタイミングで、先行楽曲と後続楽曲のミキシング処理を開始する。
【0071】
またマーカー情報記憶部174は、第1ミックスモードで使用される第1~第4マーカーの第1マーカーセットの情報と、第2ミックスモードで使用される第1~第4マーカーの第2マーカーセットの情報を記憶する。即ち第1ミックスモード用の第1~第4マーカーの情報を、第1マーカーセットの情報として記憶し、第2ミックスモード用の第1~第4マーカーの情報を、第2マーカーセットの情報として記憶する。第1ミックスモード、第2ミックスモードの各々は、ベーシックミックスモード、ショートミックスモード又はロングミックスモードである。そして音処理部102は、第1ミックスモードでは、第1マーカーセットの情報に応じて設定されるミキシング期間においてミキシング処理を行う。例えば第1マーカーセットの第1~第4マーカーを用いて、ミキシング期間を設定し、設定されたミキシング期間において先行楽曲と後続楽曲のミキシング処理を行う。また音処理部102は、第2ミックスモードでは、第2マーカーセットの情報に応じて設定されるミキシング期間においてミキシング処理を行う。例えば第2マーカーセットの第1~第4マーカーを用いて、ミキシング期間を設定し、設定されたミキシング期間において先行楽曲と後続楽曲のミキシング処理を行う。
【0072】
なお本実施形態の処理システムは情報処理装置により実現される。即ち、この場合には情報処理装置が本実施形態の処理システムを含む構成になる。情報処理装置は、楽曲情報やマーカー情報などの各種の情報を処理する装置であり、プロセッサ等により実現される。情報処理装置は、例えばパーソナルコンピュータ、ゲーム装置又は携帯型情報処理装置などの端末装置である。或いは情報処理装置はサーバ装置であってもよい。また処理システムは端末装置とサーバ装置の分散処理により実現されてもよい。この場合には処理システムは複数の情報処理装置により実現される。この場合に端末装置は情報の入力処理や受信処理や送信処理や表示処理などだけを行うものであってもよい。
【0073】
2.本実施形態の手法
次に本実施形態の手法について詳細に説明する。
【0074】
2.1 仮想DJのキャラクタ
本実施形態では、図2に示すように、仮想的なDJ(Disc Jockey)のキャラクタCHを登場させて、当該キャラクタCHの映像の表示を可能にしている。例えば仮想空間には、DJ機器10のオブジェクトが配置され、キャラクタCHはこのDJ機器10を操作して、楽曲を連続再生するパフォーマンスを行う。例えばキャラクタCHは、楽曲のリズムやテンポに合わせて飛び跳ねたり踊るなどの動作をしながら、DJ機器10のフェーダーやイコライザーやターンテーブルなどを操作するDJのパフォーマンスを行う。このようなDJのパフォーマンスを行うキャラクタCHの映像は、クラブやライブの会場に設置された大型のモニターに表示される。また会場に設置されたスピーカからは、キャラクタCHの操作で次々と再生される楽曲のサウンドが出力される。或いは、図2のDJのキャラクタCHの映像は、インターネットなどのネットワークを介して、ユーザのスマートフォンやPC(パーソナルコンピュータ)などの端末装置に配信される。ユーザはDJのキャラクタCHの映像をスマートフォンやPCのディスプレイを見ながら、スピーカから出力される楽曲を聴いて、DJのキャラクタCHのパフォーマンスを楽しむ。
【0075】
キャラクタCHは、キャラクタCHに対応する人物である演者のモーションキャプチャにより収録されたモーションデータに基づいて動作する。例えばキャラクタCHは、モーションデータに基づいて、楽曲のリズムやテンポに合わせて飛び跳ねたり踊るなどの動作を行う。また先行楽曲から後続楽曲に切り替わる際には、先行楽曲をフェードアウトして、後続楽曲をフェードインするミキシングが行われるが、このミキシング期間において、キャラクタCHはミキシング操作の動作を行う。例えばキャラクタCHは、仮想的なDJ機器10のフェーダーやイコライザーなどを操作するミキシング操作を行う。例えばキャラクタCHの手がフェーダーを動かしたり、イコライザーのツマミを回す操作を行う。
【0076】
図3は、キャラクタCHが操作するDJ機器10(DJプレーヤー、ミキシング装置)の一例を簡素的に示す図である。フェーダー11、12は、各々、チャンネル1、チャンネル2の音量を調整するものである。本実施形態ではチャンネル1(デッキ1)で先行楽曲が再生され、チャンネル2(デッキ2)で後続楽曲が再生されるものとする。クロスフェーダー14は、チャンネル1とチャンネル2の音量バランスを調整するものである。イコライザー21、22は、各々、チャンネル1、チャンネル2の楽曲のイコライジングを行うものであり、高音、中音、低音の調整用のツマミを有する。トリム調整ツマミ23、24は、各々、チャンネル1、2のゲインを調整するものである。また再生ボタン31、32、キューボタン33、34により、チャンネル1、2の楽曲の再生、停止、キューの操作などが可能になる。またターンテーブル35、36によりスクラッチなどのエフェクトの操作が可能になる。またディスプレイ41、42には楽曲の音波形が表示される。なお図3はDJ機器10の一例を模式的に示すものであり、DJ機器10には図3に示すもの以外にも、例えばピッチコントローラー、エフェクト操作ツマミ又はパフォーマンスパッドなどが設けられていてもよい。またDJ機器10は、キャラクタCHと同様に仮想空間のオブジェクトにより構成されるものであり、キャラクタCHやDJ機器10のオブジェクトを用いて、キャラクタCHやDJ機器10の画像を含む仮想空間画像が生成される。
【0077】
2.2 マーカー情報に応じたミキシング処理とキャラクタ動作制御
図4は本実施形態の処理を説明するフローチャートである。まず処理システムは、再生対象となる楽曲の楽曲情報を読み出す(ステップS1)。例えば図1の楽曲情報記憶部172から楽曲のサウンドデータなどの楽曲情報を読み出す。例えばDJの演奏においてプレイリストが作成されている場合には、プレイリストの複数の楽曲の楽曲情報を読み出す。また楽曲のマーカー情報を読み出す(ステップS2)。例えば図1のマーカー情報記憶部174から、再生される楽曲に対応づけられるマーカー情報を読み出す。そして処理システムは、キャラクタの楽曲の再生操作の動作に合わせ、楽曲の再生を開始する(ステップS3)。例えば1曲目の再生開始時には、キャラクタが再生ボタンを押すなどの再生操作の動作(アニメーション)を行うため、この再生操作の動作に合わせて、楽曲再生を開始する。具体的には複数の楽曲を、楽曲同士のミキシング等を行いながら次々に連続再生する楽曲再生を開始する。そして再生楽曲の情報に基づいたキャラクタの動作制御を行う(ステップS4)。例えば図2に示す仮想的なDJのキャラクタCHが、再生楽曲のテンポやリズムに合わせてダンスをしたり煽り動作をする動作制御を行う。
【0078】
次に処理システムは、マーカー情報に基づいて、先行楽曲と後続楽曲のミキシング期間になったか否かを判断する(ステップS5)。例えば先行楽曲の所定の楽曲構成に対応づけられたマーカーの情報や、後続楽曲の所定の楽曲構成に対応づけられたマーカーの情報に基づいて、先行楽曲と後続楽曲のミキシング期間になったか否かを判断する。具体的には、ミキシング期間の開始タイミングに対応するマーカーの情報や、ミキシング期間の終了タイミングに対応するマーカーの情報に基づいて、ミキシング期間になったか否かを判断する。そしてミキシング期間になった場合には、先行楽曲と後続楽曲のミキシング処理を行う(ステップS6、S7)。例えば先行楽曲をフェードアウトさせながら後続楽曲をフェードインさせるミキシング処理を行う。またミキシング期間になった場合には、ミキシング処理に基づいたキャラクタの動作制御を行う(ステップS8)。例えばミキシング用のモーションでキャラクタを動作させる。例えばインバースキネマティクス処理などによりキャラクタの手(指)を動かすモーション補正を、その時の基準のモーションに対して行うことで、ミキシング操作の動作をキャラクタに行わせる。即ち図3のフェーダー11、12、クロスフェーダー14、イコライザー21、22などを操作するミキシング操作の動作をキャラクタに行わせる。そしてミキシング期間が終了したか否かを判断し(ステップS9)、終了した場合にはステップS4に戻る。これにより、そのときの後続楽曲を先行楽曲とし、次の楽曲を後続楽曲とするミキシング処理が行われるようになる。そして、全楽曲の再生が完了するまで複数の楽曲の連続再生が行われる。
【0079】
このように本実施形態では、図4のステップS1~S4に示すように、楽曲情報に基づいて楽曲の再生処理が行われると共に、キャラクタの動作制御が行われ、図2に示すようにキャラクタの画像の表示処理が行われる。そして図4のステップS5~S9に示すように、先行楽曲から後続楽曲への切り替えの際に、マーカー情報に応じて先行楽曲と後続楽曲のミキシング処理が行われると共に、マーカー情報に応じて先行楽曲と後続楽曲のミキシング期間でのキャラクタの動作制御が行われる。例えばマーカー情報に基づいてミキシング期間が特定され、特定されたミキシング期間において、先行楽曲と後続楽曲のミキシング処理が行われると共に、ミキシング操作に対応したモーションを行うように、キャラクタの動作が制御される。例えばマーカー情報に基づいてミキシング期間での先行楽曲と後続楽曲のミキシング処理とキャラクタの動作制御とが連動するように制御され、当該キャラクタの画像が図2に示すように表示されるようになる。このようにすれば、先行楽曲から後続楽曲に切り替える際に、先行楽曲と後続楽曲の接続情報となるマーカー情報を有効利用した画像生成を実現できるようになる。例えばマーカー情報を用いて先行楽曲と後続楽曲のミキシング処理を実現できると共に、ミキシング操作等の動作を行うキャラクタの画像を生成できるようになる。また先行楽曲と後続楽曲の接続情報となるマーカー情報を利用したスムーズな楽音の再生移行も実現できるようになる。例えばマーカー情報により設定されるミキシング期間において先行楽曲と後続楽曲のミキシングを行うことで、先行楽曲から後続楽曲へのスムーズに再生移行することが可能になる。
【0080】
また本実施形態では、先行楽曲と後続楽曲のミキシングパターン、複数の楽曲再生におけるミックスモード、外部情報の分析結果、及び楽曲の曲構成の少なくとも1つに応じて、キャラクタの動作を変化させる。このようにすれば、ミキシングパターン、ミックスモード、外部情報の分析結果、又は楽曲の曲構成に応じてキャラクタの動作が様々に変化するようになり、ミキシングパターン、ミックスモード、外部情報の分析結果、又は曲構成を反映させたキャラクタの動作制御を実現できるようになる。
【0081】
例えば図5では、先行楽曲と後続楽曲のミキシングパターンPMX、PMY、PMZ・・・と、キャラクタの動作パターンMTX、MTY、MTZ・・・とが対応づけられている。そしてミキシングパターンがPMXである場合には、ミキシング期間においてキャラクタは動作パターンMTXで動作する。同様に、ミキシングパターンがPMY、PMZである場合には、ミキシング期間においてキャラクタは、各々、動作パターンMTY、MTZで動作する。
【0082】
ここでミキシングパターンは、例えば先行楽曲と後続楽曲のミキシングにおける音量調整パターン及びイコライザー調整パターンの少なくとも一方の調整パターンである。例えばミキシングパターンPMXが、ミキシング期間において、先行楽曲の音量を徐々に小さくしながら、後続楽曲の音量を徐々に大きくする音量調整を行うパターンだったとする。この場合にミキシングパターンPMXに対応するキャラクタの動作パターンMTXは、図2の先行楽曲用のフェーダー11を徐々に下方向に下げながら、後続楽曲用のフェーダー12を徐々に上方向に上げる動作パターンになる。具体的には、リズムやテンポに合わせて動く基本モーションを行っている図2のキャラクタの左手を、フェーダー11の位置に移動し、右手をフェーダー12の位置に移動し、左手を下方向に動かし、右手を上方向に動かす動作パターンMTXのモーションを行わせる。このような動作パターンMTXのモーション処理は、左手や右手をエンドエフェクタとするインバースキネマティクス処理などにより実現できる。
【0083】
またミキシングパターンPMYが、ミキシングパターンPMXのような音量調整を行うと共に、低音をイコライザー調整するパターンであったとする。例えばミキシング期間の初めにおいて、後続楽曲の低音を減衰させてバスドラム等が聞こえないようにして、ミキシング期間の最後に後続楽曲の低音を増加させて元に戻し、バスドラムが聞こえるようにするイコライザー調整パターンであったとする。この場合には、ミキシングパターンPMYに対応するキャラクタの動作パターンMTYは、フェーダー11、12又はクロスフェーダー14の操作を行いながら、後続楽曲用のイコライザー22の低音の調整ツマミを回す動作パターンになる。この動作パターンMTYも上述のようなインバースキネマティクス処理などにより実現できる。
【0084】
またミキシングパターンPMZが、ミキシングパターンPMXのような音量調整を行うと共に、中音をイコライザー調整するパターンであったとする。例えば、先行楽曲及び後続楽曲がボーカル曲であり、ミキシング期間の初めにおいて、後続楽曲の中音を減衰させてボーカルが聞こえないようにして、ミキシング期間の最後に後続楽曲の中音を増加させて元に戻し、ボーカルが聞こえるようにするイコライザー調整パターンであったとする。この場合には、ミキシングパターンPMZに対応するキャラクタの動作パターンMTZは、フェーダー11、12又はクロスフェーダー14の操作を行いながら、後続楽曲用のイコライザー22の中音の調整ツマミを回す動作パターンになる。この動作パターンMTZも上述のようなインバースキネマティクス処理などにより実現できる。或いは、例えば図3のターンテーブル35、36によるエフェクトが加わるミキシングパターンである場合には、ターンテーブル35、36を操作するような動作パターンでキャラクタを動作させてもよい。このようにすれば、ミキシングパターンにおける音量調整やイコライザー調整のパターンに連動するように、ミキシング期間においてキャラクタを動作させること可能になり、あたかも本物のDJがDJ機器10を操作しているかのように見える仮想空間画像を生成できるようになる。
【0085】
なおミキシング期間におけるキャラクタの動作は、インバースキネマティクス処理を行う手法には限定されず、種々のモーション処理手法を採用できる。例えばミキシング期間用のモーションデータを別途に用意して、ミキシング期間になったら、モーションデータを、ミキシング期間用のモーションデータに切り替えるようにしてもよい。
【0086】
また本実施形態では、ミックスモードに応じてキャラクタの動作を変化させる。ここでミックスモードは、ベーシックミックスモード、ショートミックスモード又はロングミックスモードである。ショートミックスモードは、ベーシックミックスモードに比べて、先行楽曲に対して早いタイミングで後続楽曲をミキシングするモードであり、ロングミックスモードは、先行楽曲に対して遅いタイミングで後続楽曲をミキシングするモードである。図6は、ミックスモードに応じてキャラクタの動作を変化させる処理を説明するフローチャートである。
【0087】
まず処理システムは、ミックスモードが設定(変更)された否かを判断し、ベーシックミックスモードが設定された場合には、後述の図21で例示されるようなベーシックミックスモード用のマーカーセットを用いて、ベーシックミックスモードで楽曲再生を行うと共に、ベーシックミックスモードに対応したキャラクタの動作制御を行う(ステップS11、S12、S13、S14)。一方、ショートミックスモードが設定された場合には、ショートミックスモード用のマーカーセットを用いて、ショートミックスモードで楽曲再生を行うと共に、ショートミックスモードに対応したキャラクタの動作制御を行う(ステップS15、S16、17)。またショートミックスモードが設定されていない場合には、ロングミックスモードが設定されたとして、ロングミックスモード用のマーカーセットを用いて、ロングミックスモードで楽曲再生を行うと共に、ロングミックスモードに対応したキャラクタの動作制御を行う(ステップS18、S19)。
【0088】
例えばショートミックスモードでは、ベーシックミックスモードに比べて、演奏時間内において速いタイミングで次々に楽曲が切り替わって行く。そこでショートミックスモードでは、ベーシックミックスモードに比べて、速い動きや激しい動きの動作パターンでキャラクタを動作させる。例えばショートミックスモード用のモーションデータとして、ベーシックミックスモード用のモーションデータに比べて、速い動きや激しい動きになるモーションデータを用意して、モーション再生を行う。一方、ロングミックスモードでは、ベーシックミックスモードに比べて、演奏時間内において遅いタイミングでゆっくりと楽曲が切り替わって行く。そこでロングミックスモードでは、ベーシックミックスモードに比べて、遅い動きや穏やかな動きの動作パターンでキャラクタを動作させる。例えばロングミックスモード用のモーションデータとして、ベーシックミックスモード用のモーションデータに比べて、遅い動きや穏やかな動きになるモーションデータを用意して、モーション再生を行う。このようにすれば、ベーシックミックスモード、ショートミックスモード又はロングミックスモードに応じたモーションでキャラクタを動作させることが可能になり、各ミックスモードに適した動作を行うキャラクタの画像を表示できるようになる。
【0089】
また本実施形態では、外部情報の分析結果に応じて、キャラクタの動作を変化させる。例えば図7では端末装置TM1~TMnがネットワーク510を介して本実施形態の処理システムに通信接続されている。ネットワーク510は、例えばインターネットを利用した通信路である。そして端末装置TM1~TMnのユーザが、DJのキャラクタのパフォーマンスや再生楽曲についてのインターネット投票を行い、このインターネット投票の結果が、外部情報として分析される。そして処理システムは、インターネット投票の結果である外部情報の分析結果に応じて、キャラクタの動作を変化させる。例えばキャラクタのパフォーマンスを多くのユーザが支持するような分析結果である場合には、キャラクタの動きが盛り上がった動きになったり、ユーザへの特典となる特別な動きを行うようになる。或いはインターネット投票の結果である外部情報の分析結果に応じて、キャラクタがDJとして次に演奏する楽曲を選択するようにしてもよい。また外部情報の分析結果は、外部環境の音声や観客の動きの分析結果であってもよい。例えばクラブやライブの会場で図2に示すようなDJのキャラクタの映像をモニターに表示した場合に、観客の歓声や、キャラクタのパフォーマンスで盛り上がった観客の動きを分析する。そして、この分析結果を反映した動きでキャラクタを動作させる。例えば歓声が大きかったり、観客が盛り上がった動きをした場合には、それに応じてキャラクタの動きが盛り上がった動きになったり、ユーザへの特典となる特別な動きを行うようになる。このようにすれば、外部情報の分析結果を反映させた動作をキャラクタが行うようになり、あたかも本物のDJが、観客の歓声や動きに反応してパフォーマンスを行うようなリアルな仮想空間画像を生成することが可能になる。
【0090】
また本実施形態では、楽曲の曲構成に応じてキャラクタの動作を変化させる。例えば後述するようにハウスミュージック(テクノハウス)のジャンルの楽曲は、図8に示すようにイントロ、ビルドアップA、ドロップA、ブレーク、ビルドアップB、ドロップB、アウトロの曲構成を有する。この場合にこれらの曲構成に対して、キャラクタの動作パターンMTA、MTB、MTC、MTD、MTE、MTF、MTGが対応づけられている。例えば楽曲のイントロの曲構成が再生されているときには、キャラクタは動作パターンMTAで動作する。同様にビルドアップA、ドロップA、ブレーク、ビルドアップB、ドロップB、アウトロの曲構成が再生されているときには、各々、キャラクタは動作パターンMTB、MTC、MTD、MTE、MTF、MTGで動作する。例えば図8の各曲構成が再生されているときに、動作パターンMTA~MTGに対応するモーションデータを用いてキャラクタのモーション再生を行う。このようにすれば楽曲の曲構成に応じた動きでキャラクタを動作させることができ、楽曲に連動したキャラクタの動作を実現できるようになる。例えば楽曲のビルドアップが再生されているときには、図9に示すように、キャラクタCHが手を振ったり、体を激しく動かすなどの動作パターンで動作するようにする。これによりクラブやライブの会場の観客や、動画配信を端末装置で見ているユーザを盛り上げることが可能になる。なお動作パターンMTA~MTGは全てが互いに異なった動作パターンである必要はなく、これらのうちの少なくとも2つが異なった動作パターンであればよい。
【0091】
また本実施形態では、キャラクタの情報に基づいて、先行楽曲と後続楽曲のミキシングパターン、複数の楽曲再生におけるミックスモード、及びミキシングに使用するマーカー情報の少なくとも1つを変化させる。このようにすればキャラクタの情報に応じたミキシングパターン、ミックスモード又はマーカー情報により、先行楽曲と後続楽曲のミキシング処理などを行えるようになり、様々な態様の楽曲ミキシングを実現できるようになる。図10は、キャラクタの情報に基づいてミキシングパターン、ミックスモード、使用するマーカー情報を変化させる処理を説明するフローチャートである。
【0092】
まずキャラクタのレベル等のパラメータ、性格情報、又は制御アルゴリズム情報などのキャラクタの情報を読み出す(ステップS21)。即ち図1のキャラクタ情報記憶部176からキャラクタの情報を読み出す。キャラクタの情報は例えばキャラクタに対して予め設定された判断条件の情報である。次にキャラクタの情報に基づいて、先行楽曲と後続楽曲のミキシングパターン、複数の楽曲再生におけるミックスモード、又はミキシングに使用するマーカー情報を設定する(ステップS22)。そして、このようにして設定されたミキシングパターン、ミックスモード又はマーカー情報に基づいて、先行楽曲と後続楽曲のミキシング処理を実行する(ステップS23)。これによりキャラクタの情報を反映させたミキシングパターン、ミックスモード又はマーカー情報を用いてミキシング処理を実行できるようになる。
【0093】
例えばキャラクタの情報に基づいて、図5で説明した先行楽曲と後続楽曲のミキシングにおける音量調整パターン及びイコライザー調整パターンの少なくとも一方の調整パターンであるミキシングパターンを設定する。キャラクタの情報は、例えばキャラクタのレベル、能力等のパラメータ、キャラクタの性格、或いはキャラクタの制御アルゴリズムなどの情報である。例えばキャラクタのレベル又は能力が高い場合には、より複雑で難易度が高いミキシングパターンを設定する。或いはキャラクタの性格に応じてミキシングパターンを設定する。例えばキャラクタが細かい綿密な性格である場合には、複雑で綿密なミキシングパターンを設定する。或いはキャラクタを制御する制御アルゴリズムに応じて、ミキシングパターンを異ならせる。またキャラクタのレベル、能力等のパラメータ、性格、又は制御アルゴリズムに応じて、ベーシックミックスモード、ショートミックスモード、ロングミックスモードのうちのどのミックスモードを使用するのかを異ならせる。例えばキャラクタのレベル又は能力が低い場合には、ベーシックミックスモードしか使用できないが、レベル又は能力が高くなると、ショートミックスモードやロングミックスモードについても使用できるようになる。また例えばキャラクタがノリの良い性格である場合には、ショートミックスモードが使用され、大人しく落ち着きのある性格である場合には、ロングミックスモードが使用される。またキャラクタのレベル、能力等のパラメータ、性格、又は制御アルゴリズムに応じて、使用されるマーカー情報を異ならせる。例えば後述の図21のように複数のマーカーセットがある場合に、どのマーカーセットを使用するかをキャラクタの情報に応じて異ならせる。或いは、キャラクタのレベル、能力等のパラメータ、性格又は制御アルゴリズムに応じて、楽曲の複数の曲構成のうちのどの曲構成に設定されたマーカー情報を使用するかを決定する。例えばキャラクタがノリの良い性格である場合には、ノリの良い曲構成のパートに設定されたマーカー情報が使用され、その曲構成になったときにミキシング処理が行われる。またキャラクタが大人しく落ち着きのある性格である場合には、静かなタイプの曲構成のパートに設定されたマーカー情報が使用され、その曲構成になったときにミキシング処理が行われる。
【0094】
またマーカー情報記憶部174は、ミキシング期間の開始タイミングに対応するマーカーの情報と、ミキシング期間の終了タイミングに対応するマーカーの情報を記憶する。このようにすれば、マーカー情報記憶部174に記憶されるマーカー情報により、ミキシング期間の開始タイミングや終了タイミングを設定して、先行楽曲と後続楽曲のミキシング処理を行ったり、ミキシング期間でのキャラクタの動作を制御できるようになる。
【0095】
例えば図11では、先行楽曲はCXA~CXGの曲構成を有しており、後続楽曲はCYA~CYGの曲構成を有している。そして先行楽曲では、曲構成CXEに対して、ミキシング期間の開始タイミングに対応するマーカーMSXと、ミキシング期間の終了タイミングに対応するマーカーMEXが設定されている。また後続楽曲では、曲構成CYCに対して、ミキシング期間の開始タイミングに対応するマーカーMSYと、ミキシング期間の終了タイミングに対応するマーカーMEYが設定されている。このようにすれば、例えばマーカーMSX、MSYのタイミングをミキシング期間の開始タイミングとし、マーカーMEX、MEYのタイミングをミキシング期間の終了タイミングとして、先行楽曲と後続楽曲のミキシング処理を行えるようになる。例えばマーカーMSXのタイミングを開始タイミングとして、先行楽曲のフェードアウトが開始され、マーカーMEXのタイミングを終了タイミングとして、先行楽曲のフェードアウトが終了する。またマーカーMSYのタイミングを開始タイミングとして、後続楽曲のフェードインが開始され、マーカーMEYのタイミングを終了タイミングとして、後続楽曲のフェードインが終了する。この場合に、マーカーMSX、MSYが一致するタイミングや、或いはマーカーMEX、MEYが一致するタイミングを特定することで、後続楽曲の再生を開始するタイミングを特定できる。例えばマーカーMSX、MSYのタイミングが一致するように、後続楽曲の再生を開始したり、或いはマーカーMEX、MEYのタイミングが一致するように、後続楽曲の再生を開始する。
【0096】
また本実施形態では、マーカー情報のマーカーは、楽曲の曲構成に対応づけられている。そして先行楽曲が第j曲構成(jは1以上の整数)であり、後続楽曲が第k曲構成(kは1以上の整数)である期間を、マーカー情報に基づき特定し、当該期間をミキシング期間としてミキシング処理を行う。このようにすれば、先行楽曲が第j曲構成であり、後続楽曲が第k曲構成であるときに、第j曲構成と第k曲構成のミキシング処理を行って、再生楽曲を先行楽曲から後続楽曲に切り替えることが可能になる。
【0097】
例えば図11では、マーカー情報のマーカーMSX、MEXは、先行楽曲の曲構成CXEに対応づけられ、マーカーMSY、MEYは、後続楽曲の曲構成CYCに対応づけられている。そして先行楽曲が曲構成CXE(第j曲構成)であり、後続楽曲が曲構成CYC(第k曲構成)である期間が、マーカーMSX、MEX、MSY、MEYに基づき特定され、当該期間をミキシング期間として、先行楽曲の曲構成CXEと後続楽曲の曲構成CYCのミキシング処理が行われる。例えば、マーカーMSX、MSYのタイミングを開始タイミングとし、マーカーMEX、MEYのタイミングを終了タイミングとするミキシング期間において、先行楽曲の曲構成CXEと後続楽曲の曲構成CYCのミキシング処理が行われる。例えば当該ミキシング期間において、先行楽曲の曲構成CXEをフェードアウトしながら、後続楽曲の曲構成CYCをフェードインするミキシング処理が行われる。この場合、例えば、曲構成CXEは、先行楽曲の曲構成CXA~CXGのうち、後続楽曲の曲構成CYCとミキシングが行われても、不自然さや違和感が少ない曲構成である。同様に曲構成CYEは、後続楽曲の曲構成CYA~CYGのうち、先行楽曲の曲構成CXEとミキシングが行われても不自然さや違和感が少ない曲構成である。従って、マーカーMSX、MEX、MSY、MEYを利用して、先行楽曲の曲構成CXEと後続楽曲の曲構成CYCのミキシングを行えば、先行楽曲から後続楽曲への不自然さや違和感が少ない再生移行が可能になる。
【0098】
2.3 ジャンルに応じた設定パターンのマーカー情報
本実施形態では、楽曲のジャンルに応じた設定パターンのマーカー情報を用いる手法を採用する。即ち楽曲のジャンルに応じて異なる設定パターンで楽曲の曲構成に設定されるマーカーの情報を用いて、先行楽曲と後続楽曲のミキシング処理を行う。なお、このようなマーカー情報を用いる本実施形態の手法は、上述のような仮想的なDJのキャラクタを登場させる適用例には限定されず、例えばキャラクタの動作制御や表示処理を行わないシステムにも適用できる。
【0099】
具体的には、このようなマーカー情報を用いる本実施形態の処理システムは、楽曲情報記憶部172とマーカー情報記憶部174と音処理部102を含む。そしてマーカー情報記憶部174は、楽曲が第1ジャンルである場合には第1設定パターンで曲構成に対してマーカーが設定され、楽曲が第2ジャンルである場合には第2設定パターンで曲構成に対してマーカーが設定されるマーカー情報を記憶する。即ち、ジャンルに応じて異なる設定パターンで楽曲の曲構成に設定されるマーカーの情報を記憶する。そして音処理部102は、先行楽曲から後続楽曲への切り替えの際に、このマーカー情報に応じて設定されるミキシング期間において、先行楽曲と後続楽曲のミキシング処理を行う。図12はこの場合の本実施形態の処理例を説明するフローチャートである。
【0100】
まず処理システムは、再生対象となる楽曲の楽曲情報を読み出す(ステップS31)。そして、ジャンルに応じて異なる設定パターンで楽曲の曲構成に設定されるマーカーのマーカー情報を読み出す(ステップS32)。即ちマーカー情報記憶部174は、楽曲が第1ジャンルである場合には第1設定パターンで曲構成に対してマーカーが設定され、楽曲が第2ジャンルである場合には第2設定パターンで曲構成に対してマーカーが設定されるマーカー情報を記憶しており、このような設定パターンのマーカー情報を読み出す。そして楽曲の再生を開始する(ステップS33)。例えば複数の楽曲を、楽曲同士のミキシング等を行いながら次々に連続再生する楽曲再生を開始する。
【0101】
次に処理システムは、マーカー情報に基づいて先行楽曲と後続楽曲のミキシング期間になったか否かを判断する(ステップS34)。例えばジャンルに応じて異なる設定パターンで先行楽曲や後続楽曲の曲構成に設定されるマーカー情報に基づいて、先行楽曲と後続楽曲のミキシング期間になったか否かを判断する。そしてミキシング期間になった場合には、先行楽曲と後続楽曲のミキシング処理を行う(ステップS35、S36)。例えば先行楽曲をフェードアウトさせながら後続楽曲をフェードインさせるミキシング処理を行う。そしてミキシング期間が終了したか否かを判断し(ステップS37)、終了した場合にはステップS34に戻る。これにより、そのときの後続楽曲を先行楽曲とし、次の楽曲を後続楽曲とするミキシング処理が行われるようになる。そして、全楽曲の再生が完了するまで複数の楽曲の連続再生が行われる。
【0102】
図13は、DJ画面の一例を示す図である。このDJ画面は、例えばPC、スマートフォン又はゲーム装置などの端末装置のディスプレイに表示される。そしてユーザは、このDJ画面を見ながらDJの操作を行う。フェーダー51、52は、各々、チャンネル1、チャンネル2の音量を調整するものである。クロスフェーダー54は、チャンネル1とチャンネル2の音量バランスを調整するものである。イコライザー61、62は、各々、チャンネル1、チャンネル2の楽曲のイコライジングを行うものであり、高音、中音、低音の調整用のツマミが設けられる。トリム調整ツマミ63、64は、各々、チャンネル1、2のゲインを調整するものである。シンクボタン65、66は、チャンネル1とチャンネル2の楽曲のテンポを同期させるボタンである。再生ボタン71、72、キューボタン73、74により、チャンネル1、2の楽曲の再生、停止、キューの操作が可能になる。表示領域80には、楽曲再生のプレイリストが表示される。表示領域81には、チャンネル1の先行楽曲の音波形が表示され、表示領域82には、チャンネル2の後続楽曲の音波形が表示される。そして表示領域81には、先行楽曲に設定されたマーカーMK1、MK2が、先行楽曲の音波形に対応づけられて表示される。表示領域82には、後続楽曲に設定されたマーカーMK3、MK4が、後続楽曲の音波形に対応づけられて表示される。なお表示領域83、84には、各々、先行楽曲、後続楽曲の音波形が拡大表示される。
【0103】
図14は本実施形態のマーカー情報のマーカーMK1、MK2、MK3、MK4の説明図である。マーカーMK1、MK2、MK3、MK4は、各々、第1マーカー、第2マーカー、第3マーカー、第4マーカーである。
【0104】
例えばマーカーMK1は、楽曲が先行楽曲であるときのミキシング開始の許可タイミングを設定するマーカーである。即ちマーカーMK1のタイミング以降のタイミングにおいて、ミキシングの開始が許容される。マーカーMK1は、先行楽曲のミックスアウトのマーカーとも呼ぶことができる。
【0105】
マーカーMK2は、楽曲が先行楽曲であるときのミキシング終了タイミングを設定するマーカーである。マーカーMK2は、例えばミキシングの対象となる先行楽曲の曲構成の終了タイミングを示している。マーカーMK2は先行楽曲のカットのマーカーとも呼ぶことができる。
【0106】
マーカーMK3は、楽曲が後続楽曲であるときのミキシング開始の許可タイミングを設定するマーカーである。即ちマーカーMK3のタイミング以降のタイミングにおいて、ミキシングの開始が許容される。マーカーMK3は、後続楽曲のミックスインのマーカーとも呼ぶことができる。
【0107】
マーカーMK4は、楽曲が後続楽曲であるときのミキシング終了タイミングを設定するマーカーである。例えばマーカーMK4は、先行楽曲から後続楽曲への完全移行のタイミングを示している。マーカーMK4は、後続楽曲への完全移行を示すトランスのマーカーとも呼ぶことができる。本実施形態では、マーカー情報記憶部174が、これらのマーカーMK1、MK2、MK3、MK4の情報を、例えば複数の楽曲の各楽曲に対応づけて記憶している。
【0108】
このようなマーカーMK1、MK2、MK3、MK4の情報を用いることで、先行楽曲と後続楽曲のミキシング期間を適切に設定して、先行楽曲と後続楽曲をミキシングしながら、先行楽曲から後続楽曲に切り替える再生移行を実現できるようになる。例えばマーカーMK1、MK3を用いれば、先行楽曲と後続楽曲の各々について、どのタイミング以降であればミキシングの開始が許容されるのかを処理システム(コンピュータ)又はユーザが認識できるようになる。例えば先行楽曲から後続楽曲への切り替えを処理システムが自動的に行う場合は、マーカーMK1、MK3を用いることで、ミキシングの開始が許容されるタイミングを処理システムが認識できるようになる。一方、先行楽曲から後続楽曲への切り替えをユーザが手動で行う場合は、マーカーMK1、MK3を用いることで、ミキシングの開始が許容されるタイミングをユーザが認識できるようになる。またマーカーMK2、MK4を用いれば、先行楽曲と後続楽曲の各々について、どのタイミングでミキシング期間が終了して先行楽曲から後続楽曲に移行するのかを処理システム又はユーザが認識できるようになる。
【0109】
また本実施形態では、先行楽曲のマーカーMK2と後続楽曲のマーカーMK4とに基づいて、後続楽曲の再生開始タイミングを決定する。そして先行楽曲のマーカーMK1と後続楽曲のマーカーMK3に基づいて、ミキシング処理の開始タイミングを決定する。このようにすればマーカーMK1、MK2、MK3、MK4の情報を用いて、ミキシング期間の開始タイミングや終了タイミングを決定して、当該ミキシング期間において先行楽曲と後続楽曲のミキシング処理を行いながら、先行楽曲から後続楽曲に自動的に切り替える再生移行を実現できるようになる。図15はこの場合の本実施形態の処理例を説明するフローチャートである。
【0110】
まず先行楽曲の再生を開始する(ステップS41)。そして先行楽曲に設定されたマーカーMK2と、後続楽曲に設定されたマーカーMK4とに基づいて、後続楽曲の再生開始タイミングを決定する(ステップS42)。即ち、先行楽曲、後続楽曲のミキシング終了タイミングを設定するマーカーMK2、MK4を利用して、先行楽曲の次に再生される後続楽曲の再生開始タイミングを決定する。例えば先行楽曲のマーカーMK2のタイミングと、後続楽曲のマーカーMK4のタイミングが同じタイミングになるように、後続楽曲の再生開始タイミングを決定する。そして決定された再生開始タイミングで後続楽曲の再生を開始する(ステップS43)。
【0111】
次に先行楽曲のマーカーMK1と後続楽曲のマーカーMK3とに基づいて、ミキシング処理の開始タイミングを決定する(ステップS44)。例えばミキシング開始の許可タイミングを設定するマーカーMK1、MK3の両方が許可状態になったことを条件に、ミキシング処理の開始が許可される。そしてミキシングの開始タイミングになったと判断した場合に、先行楽曲と後続楽曲のミキシング処理を開始する(ステップS45、S46)。なお先行楽曲と後続楽曲のテンポ(BPM)は自動調整されるものとする。そしてミキシングの終了タイミングになったか否かを判断し、終了タイミングになったらミキシング処理を終了する(ステップS47)。例えば先行楽曲、後続楽曲のマーカーMK2、MK4のタイミングになったらミキシング処理を終了する。このように図15の処理によれば、マーカーMK1、MK2、MK3、MK4を用いて、ミキシング処理の開始タイミング及び終了タイミングを自動的に判断して、ミキシング期間でのミキシング処理を自動的に実行できるようになる。
【0112】
次に、ジャンルに応じて異なる設定パターンに設定されるマーカーの具体例について詳細に説明する。
【0113】
図16(A)はハウスミュージック(テクノハウス)のジャンルの曲構成の代表例である。ハウスミュージックは、イントロ、ビルドアップA(1回目のビルドアップ)、ドロップA(1回目のドロップ)、ブレーク、ビルドアップB(2回目のビルドアップ)、ドロップB(2回目のドロップ)、アウトロの曲構成を有する。これらの曲構成の小節数は、図16(A)に示すように、各々、16、16、32、16、16、32、32である。なおビルドアップAはブレークであってもよい。
【0114】
図16(B)はEDM(フューチャーベース)のジャンルの曲構成の代表例である。EDMは、イントロ、バースA(1回目のバース)、ビルドアップA(1回目のビルドアップ)、コーラスA(1回目のコーラス)、ブレーク、バースB(2回目のバース)、ビルドアップB(2回目のビルドアップ)、コーラスB(2回目のコーラス)、アウトロの曲構成を有する。これらの曲構成の小節数は、図16(B)に示すように、各々、8、8、8、16、8、8、16、16、8である。
【0115】
図16(C)は、アニソンと呼ばれるアニメソングのジャンルの曲構成の代表例である。アニメソングは、イントロコーラス、イントロ、Aメロ、Bメロ、ブレーク、コーラスA(1回目のコーラス)、ブレーク、コーラスB(2回目のコーラス)、アウトロの曲構成を有する。これらの曲構成の小節数は、図16(C)に示すように、各々、8、4、8、8、2、16、2、16、2である。
【0116】
図17は、図16(A)で説明したハウスミュージックでのマーカーMK1~MK4の設定パターンとミキシング処理についての説明図である。図17に示すように、ベーシックミックスモードとショートミックスモードとロングミックスモードとで、マーカーMK1~MK4の設定パターンが異なっている。
【0117】
図17に示すようにハウスミュージックのベーシックミックスモードでは、先行楽曲のビルドアップBに対して、図14で説明したマーカーMK1、MK2が設定され、後続楽曲のビルドアップAに対してマーカーMK3、MK4が設定される。これによりマーカーMK1、MK3により設定される先行楽曲のビルドアップB及び後続楽曲のビルドアップAの先頭(小節の先頭)のタイミングで、先行楽曲と後続楽曲のミキシング処理が開始して、再生移行が開始する。即ち先行楽曲のフェードアウトと後続楽曲のフェードインが開始する。そしてマーカーMK2、MK4により設定されるビルドアップB及びビルドアップAの最後のタイミングで、ミキシング処理が終了する。即ち先行楽曲から次曲の後続楽曲に完全移行する。例えばビルドアップA、ビルドアップBは、共に盛り上がりのパートであるため、先行楽曲のビルドアップBと後続楽曲のビルドアップAをミキシングすることで、先行楽曲から後続楽曲への違和感の少ない再生移行を実現できる。
【0118】
ハウスミュージックのショートミックスモードでは、先行楽曲のブレークに対してマーカーMK1、MK2が設定され、後続楽曲のビルドアップAに対してマーカーMK3、MK4が設定される。これにより先行楽曲のブレーク及び後続楽曲のビルドアップAの先頭のタイミングで、ミキシング処理が開始して、再生移行が開始する。そして先行楽曲のブレーク及び後続楽曲のビルドアップAの最後のタイミングで、ミキシング処理が終了して、後続楽曲に完全移行する。即ち、ベーシックミックスモードでは、先行楽曲のブレークの終了後に、先行楽曲から後続楽曲への再生移行が行われているが、ショートミックスモードでは、ノリを持続するために、穏やかなパートである先行楽曲のブレークを聴者に聴かせることなく、後続楽曲への再生移行が行われる。
【0119】
ハウスミュージックのロングミックスモードでは、先行楽曲のアウトロに対してマーカーMK1、MK2が設定され、後続楽曲のイントロ、ビルドアップAに対してマーカーMK3、MK4が設定される。これにより先行楽曲のアウトロ及び後続楽曲のイントロの先頭のタイミングで、ミキシング処理が開始して、再生移行が開始する。そして先行楽曲のアウトロ及び後続楽曲のビルドアップAの最後のタイミングで、ミキシング処理が終了して、後続楽曲に完全移行する。これによりロングミックスモードでは、ショートミックスモードやベーシックミックスモードに比べて、長い時間間隔での楽曲の切り替えを実現できるようになる。
【0120】
図18は、図16(B)で説明したEDMでのマーカーMK1~MK4の設定パターンとミキシング処理についての説明図である。
【0121】
図18に示すようにEDMのベーシックミックスモードでは、先行楽曲のアウトロに対してマーカーMK1、MK2が設定され、後続楽曲のイントロに対してマーカーMK3、MK4が設定される。これにより先行楽曲のアウトロ及び後続楽曲のイントロの先頭のタイミングで、先行楽曲と後続楽曲のミキシング処理が開始して、再生移行が開始する。そして先行楽曲のアウトロ及び後続楽曲のイントロの最後のタイミングで、ミキシング処理が終了して、後続楽曲に完全移行する。
【0122】
EDMのショートミックスモードでは、先行楽曲のブレークに対してマーカーMK1、MK2が設定され、後続楽曲のイントロに対してマーカーMK3、MK4が設定される。これにより先行楽曲のブレーク及び後続楽曲のイントロの先頭のタイミングで、ミキシング処理が開始して、再生移行が開始する。そして先行楽曲のブレーク及び後続楽曲のイントロの最後のタイミングで、ミキシング処理が終了して、後続楽曲に完全移行する。これによりショートミックスモードでは、ベーシックミックスモードに比べて、短い時間間隔での楽曲の切り替えを実現できるようになる。
【0123】
図19は、図16(C)で説明したアニメソングでのマーカーMK1~MK4の設定パターンとミキシング処理についての説明図である。
【0124】
図19に示すようにアニメソングのベーシックミックスモードでは、先行楽曲のアウトロの終わりの1小節に対してマーカーMK1、MK2が設定され、後続楽曲のイントロの終わりの1小節に対してマーカーMK3、MK4が設定される。これにより先行楽曲のアウトロ及び後続楽曲のイントロの終わりの1小節の先頭のタイミングで、先行楽曲と後続楽曲のミキシング処理が開始して、再生移行が開始する。そして先行楽曲のアウトロ及び後続楽曲のイントロの終わりの1小節の最後のタイミングで、ミキシング処理が終了して、後続楽曲に完全移行する。
【0125】
アニメソングのショートミックスモードでは、先行楽曲のコーラスAの終わりの1小節に対してマーカーMK1、MK2が設定され、後続楽曲のイントロの終わりの1小節に対してマーカーMK3、MK4が設定される。これにより先行楽曲のコーラスA及び後続楽曲のイントロの終わりの1小節の先頭のタイミングで、ミキシング処理が開始して、再生移行が開始する。そして先行楽曲のコーラスA及び後続楽曲のイントロの終わりの1小節の最後のタイミングで、ミキシング処理が終了して、後続楽曲に完全移行する。これによりショートミックスモードでは、ベーシックミックスモードやロングミックスモードに比べて、短い時間間隔での楽曲の切り替えを実現できるようになる。また、ロングミックスモードでは、先行楽曲のアウトロの小節の終わりから、後続楽曲の先頭が来て、後続楽曲の再生が開始する。
【0126】
なお図20では、図17と同様に、ハウスミュージックのベーシックミックスモードでのマーカーの設定パターンとミキシング処理の例を示している。そして図17では、後続楽曲のビルドアップAの小節数は16であったが、図20では、後続楽曲のビルドアップAの小節数は32になっている。従って、この場合にビルドアップAに設定されたマーカーMK3のタイミングでミキシング処理を開始してしまうと、適切なミキシング処理を実現できなくなる。この点、マーカーMK3、MK1は、図14で説明したようにミキシング開始の許可タイミングを設定するマーカーである。従って、マーカーMK3のタイミングでは、先行楽曲のマーカーMK1は許可状態のタイミングになっていないため、ミキシング処理は開始しないようになる。そして図20に示すように、マーカーMK3、MK1の両方が許可状態になったタイミングにおいてミキシング処理が開始する。これにより先行楽曲のビルドアップBの小節数と後続楽曲のビルドアップAの小節数が異なっている場合にも、適正なミキシング処理を実現できるようになる。
【0127】
以上のように本実施形態では、マーカー情報のマーカーは、楽曲の曲構成に対応づけられている。そして図17図19に示すように、楽曲のジャンルに応じて異なる設定パターンで楽曲の曲構成に対してマーカーが設定される。例えば楽曲が第1ジャンル(例えばハウスミュージック)である場合には、第1設定パターンで曲構成に対してマーカーが設定され、楽曲が第2ジャンル(例えばEDM)である場合には、第2設定パターンで曲構成に対してマーカーが設定される。そして、このように楽曲のジャンルに応じて異なった設定パターンで設定されるマーカーの情報を用いて、先行楽曲と後続楽曲のミキシング処理が行われる。従って、先行楽曲と後続楽曲の接続情報であるマーカー情報を利用して、楽曲のジャンルに応じた適切な楽音の再生移行を実現できるようになる。例えばハウスミュージックでは、図17のような設定パターンでマーカーMK1~MK4を設定してミキシング処理を行うことで、ハウスミュージックのジャンルに適切な再生移行を実現できる。またEDMでは、図18のような設定パターンでマーカーMK1~MK4を設定してミキシング処理を行うことで、EDMのジャンルに適切な再生移行を実現できる。またアニメソングでは、図19のような設定パターンでマーカーMK1~MK4を設定してミキシング処理を行うことで、アニメソングのジャンルに適切な再生移行を実現できる。
【0128】
また本実施形態では図21に示すように、マーカー情報記憶部174は、ベーシックミックスモードで使用されるマーカーMK1(N)~MK4(N)のマーカーセットであるベーシックミックスモード用のマーカーセットと、ショートミックスモードで使用されるマーカーMK1(S)~MK4(S)のマーカーセットであるショートミックスモード用のマーカーセットの情報を記憶する。またロングミックスモードで使用されるマーカーMK1(L)~MK4(L)のマーカーセットであるロングミックスモード用のマーカーセットの情報を記憶する。例えば、1つの楽曲に対して、ベーシックミックスモード用のマーカーセットと、ショートミックスモード用のマーカーセットと、ロングミックスモード用のマーカーセットが設定される。即ち1つの楽曲に対して、各々が4種類のマーカーMK1~MK4のセットである複数のマーカーセットが設定される。このようにすれば、ベーシックミックスモード、ショートミックスモード又はロングミックスモードなどのミックスモードが設定された場合に、楽曲に設定される複数のマーカーセットの中から、設定されたミックスモードに対応するマーカーセットを用いることで、当該ミックスモードに適切なマーカーを用いてミキシング処理を実行できるようになる。なおベーシックミックスモード、ショートミックスモード、ロングミックスモードの1つが、第1ミックスモードであり、他の1つが第2ミックスモードである。またベーシックミックスモード用のマーカーセット、ショートミックスモード用のマーカーセット、ロングミックスモード用のマーカーセットの1つが、第1マーカーセットであり、他の1つが第2マーカーセットである。
【0129】
また本実施形態では、所定の条件が満たされた場合に、先行楽曲から後続楽曲への切り替えや先行楽曲と後続楽曲のミキシングが行われるが、この楽曲の切り替えやミキシングは、処理システム(コンピュータ)が自動的に行う全自動で実現してもよい、ユーザの操作を必要とする手動又は半自動により実現してもよい。半自動の場合には、例えば先行楽曲と後続楽曲の終了タイミングを合わせる操作や後続楽曲の再生を開始する操作については、処理システムが自動的に行う。そしてフェーダーによる音量調整やイコライザー調整についてはユーザが手動で行う。
【0130】
例えば本実施形態では図13のようなDJ画面を、ユーザの端末装置のディスプレイに表示し、ユーザがDJの操作を行うことで、先行楽曲から後続楽曲への切り替えやミキシングが行われる。この場合には、先行楽曲の音波形と、後続楽曲の音波形と、マーカー情報のマーカーのタイミングを、ユーザが視覚的に認識するための表示処理を行う。例えば図13では、表示領域81に、先行楽曲の音波形と、先行楽曲に設定されたマーカーMK1、MK2の画像が表示される。また表示領域82に、後続楽曲の音波形と、後続楽曲に設定されたマーカーMK3、MK4の画像が表示される。このような表示処理を行えば、ユーザは、先行楽曲、後続楽曲の音波形や、マーカーMK1~MK4の画像を見ることで、先行楽曲から後続楽曲への切り替え操作や、或いは先行楽曲と後続楽曲のミキシングの操作を容易に行えるようになる。従って、例えば楽曲の切り替えやミキシングの操作に関する特別な知識や技術がなくても、聴者が違和感を感じないような楽曲の切り替えやミキシングを実現できるようになる。
【0131】
また本実施形態では、ユーザのミキシング操作のタイミングとマーカー情報のマーカーのタイミングとのズレ量が所定の範囲内である場合に、マーカーのタイミングに合うようにミキシング操作のタイミングを補正する処理を行うようにしてもよい。このようにすれば、ユーザの技量が足りなくて、ユーザの操作が適切なタイミングで行われなかった場合にも、マーカーにより設定されるタイミングで楽曲のミキシングや切り替えを行うことが可能になる。これにより、ユーザにとって利便性が高い操作インターフェースを提供できるようになる。また本実施形態では、ユーザのミキシング操作のタイミングとマーカーのタイミングとのズレ量に基づいて、ユーザのミキシング操作の評価処理を行うようにしてもよい。これにより、マーカーを見ながらユーザがミキシング操作を行った場合に、そのミキシング操作のタイミングが適切なタイミングであったか否かを評価できるようになる。従って、ユーザは、ミキシング操作をタイミング良く行えば、良い評価を得ることができるため、ミキシング操作に熱中するようになる。これにより、ミキシング操作を行うことの面白味をユーザに与えることができ、これまでにないDJのゲームの実現が可能になる。図22はこの場合の本実施形態の処理例を示すフローチャートである。
【0132】
まず処理システムは、ユーザのミキシング操作のタイミングとマーカーのタイミングのズレ量を求める(ステップS51)。例えばユーザのミキシング操作のタイミングを短い時間間隔でサンプリングする監視処理を行うことで、ミキシング操作のタイミングとマーカーのタイミングのズレ量を測定できる。そして、求められたズレ量に基づいて、ユーザのミキシング操作の評価処理を行う(ステップS52)。例えばズレ量が小さければ、ユーザのミキシング操作に対する評価は良い評価(グッド、エクセレント)になり、ズレ量が大きければ、ユーザのミキシング操作に対する評価は悪い評価(バッド)になる。次に、ズレ量が所定の範囲内か否かを判断する(ステップS53)。例えばユーザのミキシング操作のズレ量が、許容できる範囲内なのかを判断できる。そしてズレ量が所定の範囲内である場合には、マーカーのタイミングに合うようにミキシング操作のタイミングを補正する(ステップS54)。このようにすることで、ユーザのミキシング操作のアシストが可能になり、ユーザは、ミキシング操作に関する特別や技量や知識が無くても、先行楽曲と後続楽曲の適切なミキシングや切り替えを行えるようになる。
【0133】
なお図22のステップS52に示すような評価処理を行った場合には、ユーザのDJタイムの時間で、楽曲の切り替えやミキシングについての評価の集計処理を行って、集計結果をユーザに提示したり、集計結果に応じた特典をユーザに付与するようにしてもよい。また、ユーザのミキシング操作に対する評価結果をユーザに報知する処理を行うことが望ましい。例えば「グッド」、「エクセレント」、「バッド」の文字が書かれた画像を表示する。またユーザのミキシング操作の評価が良い評価であった場合には、演出エフェクトを発生する処理を行ってもよい。例えばキャラクタの周囲に、キラキラと輝くエフェクト表示物などを表示する処理を行う。
【0134】
なお、上記のように本実施形態について詳細に説明したが、本開示の新規事項および効果から実体的に逸脱しない多くの変形が可能であることは当業者には容易に理解できるであろう。従って、このような変形例はすべて本開示の範囲に含まれるものとする。例えば、明細書又は図面において、少なくとも一度、より広義または同義な異なる用語と共に記載された用語は、明細書又は図面のいかなる箇所においても、その異なる用語に置き換えることができる。また音の再生処理、ミキシング処理、再生処理、キャラクタの動作制御処理、表示処理、マーカーの設定処理等も、本実施形態で説明したものに限定されず、これらと均等な手法・処理・構成も本開示の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0135】
10…DJ機器、11、12…フェーダー、14…クロスフェーダー、
21、22…イコライザー、23、24…トリム調整ツマミ、31、32…再生ボタン、
33、34…キューボタン、35、36…ターンテーブル、41、42…ディスプレイ、
51、52…フェーダー、54…クロスフェーダー、61、62…イコライザー、
63、64…トリム調整ツマミ、65、66…シンクボタン、71、72…再生ボタン、
73、74…キューボタン、80、81、82、83、84…表示領域、
100…処理部、102…音処理部、104…音処理部、110…キャラクタ処理部、
120…表示処理部、160…操作部、170…記憶部、172…楽曲情報記憶部、
174…マーカー情報記憶部、175…モーションデータ記憶部、
176…キャラクタ情報記憶部、177…オブジェクト情報記憶部、
178…描画バッファ、180…情報記憶媒体、190…表示部、192…音出力部、
194…I/F部、195…携帯型情報記憶媒体、196…通信部、
510…ネットワーク、CH…キャラクタ、CXA~CXG、CYA~CYG…曲構成、
MK1、MK2、MK3、MK4、MEX、MEY、MSX、MSY…マーカー、
MTA~MTG、MTX、MTY、MTZ…動作パターン、
PMX、PMY、PMZ…ミキシングパターン、TM1~TMn…端末装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
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