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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-14
(45)【発行日】2024-11-22
(54)【発明の名称】建具
(51)【国際特許分類】
   E06B 1/56 20060101AFI20241115BHJP
   E06B 1/60 20060101ALI20241115BHJP
   E06B 1/62 20060101ALI20241115BHJP
【FI】
E06B1/56 Z
E06B1/60
E06B1/62 Z
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2020052686
(22)【出願日】2020-03-24
(65)【公開番号】P2021152266
(43)【公開日】2021-09-30
【審査請求日】2023-01-06
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】504163612
【氏名又は名称】株式会社LIXIL
(74)【代理人】
【識別番号】100141139
【弁理士】
【氏名又は名称】及川 周
(74)【代理人】
【識別番号】100161506
【弁理士】
【氏名又は名称】川渕 健一
(74)【代理人】
【識別番号】100179833
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 将尚
(72)【発明者】
【氏名】高橋 謙司
(72)【発明者】
【氏名】柴崎 忠男
(72)【発明者】
【氏名】小林 健二
(72)【発明者】
【氏名】住江 嘉宣
【審査官】櫻井 茂樹
(56)【参考文献】
【文献】特開平08-338176(JP,A)
【文献】特開平09-013804(JP,A)
【文献】特開平08-319766(JP,A)
【文献】特開平09-032424(JP,A)
【文献】特開2019-112911(JP,A)
【文献】特開2018-021384(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E06B 1/56-1/62
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
枠体と、
前記枠体の縦枠を建物躯体に固定する縦枠固定具と、を有し、
前記枠体は、上枠および下枠が前記建物躯体に固定され、
前記縦枠固定具は、前記縦枠と前記建物躯体との幅方向に相対変位を許容し、かつ室内外方向の相対変位を拘束し、
前記縦枠固定具は、
前記縦枠に固定される縦枠固定部材と、
前記建物躯体に固定される躯体固定部材と、を有し、
前記縦枠固定部材および前記躯体固定部材の何れか一方には、他方に向かって幅方向に突出する凸部が形成され、
他方には、一方に向かって幅方向に開口する凹部が形成され、
前記凸部は、前記凹部に幅方向に変位可能に挿入可能で、
前記凸部と前記凹部とは、室内外方向の相対変位が拘束され、
前記縦枠固定部材は、固定具によって前記縦枠に固定され、
前記固定具は、前記縦枠に形成された上下方向に延びる溝部に挿入されて前記縦枠固定部材を前記縦枠に固定し、前記溝部に対して固定される高さ位置を調整可能であり、
前記建物躯体に固定された前記躯体固定部材の前記凸部および前記凹部の何れか一方は、前記建物躯体の室内側の端部よりも室内側に配置されている建具。
【請求項2】
前記上枠および上記下枠の何れか一方は前記建物躯体に湿式工法で固定され、他方は乾式工法で固定される請求項1に記載の建具。
【請求項3】
前記縦枠固定具の室外側に配置され、前記縦枠と前記建物躯体との間に充填されたシール材を有する請求項1または2に記載の建具。
【請求項4】
前記縦枠に固定された前記縦枠固定部材の前記凹部および前記凸部のいずれか一方は、前記縦枠の室内側の端部よりも室外側に配置されている請求項1から3のいずれか一項に記載の建具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、建具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、地震などにより、建物躯体と建具の枠とが相対変位し、建具の枠が変形することがある。このため、建具の枠と建物躯体との間に隙間を設け、隙間の範囲において建具の枠と建物躯体との相対変形を許容する建具が知られている。特許文献1に開示された建具は、建具の枠の上部(上枠)および両側部(縦枠)と、建物躯体との間に隙間を設け、この隙間に常時は隙間の間隔を一定に保ち、建具の枠と建物躯体とが互いに近づくように相対変位した際には、相対変位を妨げないように変形する保持機構が設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平9-195631号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
高層建物の高層階では、建具に室内外方向の大きな風圧力が作用することがあるため、この風圧力によって建具が建物躯体に対して室内外方向に変位する虞がある。大きな風圧力によって建具が建物躯体に対して室内外方向に変位すると、軋み音が生じたり、建具に撓みが生じたりする虞がある。
【0005】
本開示は、建物躯体に対する建具の幅方向の変位は許容しても、風圧力よる建具の室内外方向の変位を防止できる建具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本開示に係る建具は、枠体と、前記枠体の縦枠を建物躯体に固定する縦枠固定具と、を有し、前記枠体は、上枠および下枠が前記建物躯体に固定され、前記縦枠固定具は、前記縦枠と前記建物躯体との幅方向に相対変位を許容し、かつ室内外方向の相対変位を拘束し、前記縦枠固定具は、前記縦枠に固定される縦枠固定部材と、前記建物躯体に固定される躯体固定部材と、を有し、前記縦枠固定部材および前記躯体固定部材の何れか一方には、他方に向かって幅方向に突出する凸部が形成され、他方には、一方に向かって幅方向に開口する凹部が形成され、前記凸部は、前記凹部に幅方向に変位可能に挿入可能で、前記凸部と前記凹部とは、室内外方向の相対変位が拘束され、前記縦枠固定部材は、固定具によって前記縦枠に固定され、前記固定具は、前記縦枠に形成された上下方向に延びる溝部に挿入されて前記縦枠固定部材前記縦枠に固定し、前記溝部に対して固定される高さ位置を調整可能であり、前記建物躯体に固定された前記躯体固定部材の前記凸部および前記凹部のいずれか一方は、前記建物躯体の室内側の端部よりも室内側に配置されている
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本実施形態の建具の一例を示す水平断面図である。
図2図1のA-A線断面図である。
図3図1のB-B線断面図である。
図4図1のA-A線断面における片引き障子がスライドしている図である。
図5図1のC部分拡大図である。
図6図1のD部分拡大図である。
図7図2のE部分拡大図である。
図8図2のF部分拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
図1から図4に示す本実施形態による建具1は、高層建物の高層階における外壁111の開口部(躯体開口部12とする)に設けられる。本実施形態による建具1は、高さが約3mとなる比較的大型となる建具である。建具1が設けられた外壁111に沿った水平方向を幅方向(図の矢印Xの方向)とし、室内13と室外14とを結ぶ外壁111に直交する方向を室内外方向(図の矢印Yの方向)とする。外壁111や床部112などの建物の躯体を建物躯体11とする。本実施形態では、建具1は、FIX窓付きの片引戸で、FIX窓の室外14側で片引戸が幅方向にスライドするように構成される。
【0009】
建具1は、枠体2と、FIX障子3と、片引き障子4と、網戸5と、を有する。枠体2は、四方枠である。FIX障子3は、枠体2の内側の幅方向の一方側に配置される。枠体2の内側におけるFIX障子3よりも幅方向の他方側の領域が開口部(枠体内開口部21とする、図1参照)となる。片引き障子4は、枠体2の内側においてスライド可能に構成され、幅方向の一方側に配置されると枠体内開口部21を開口し、幅方向の他方側に配置されると枠体内開口部21を閉塞する。片引き障子4は、FIX障子3の室外14側に配置される。網戸5は、片引き障子4に取り付けられる。網戸5は、蛇腹状で、片引き障子4が枠体内開口部21を閉鎖している状態では折り畳まれ、片引き障子4が枠体内開口部21を開口すると広がって配置される(図4参照)。
【0010】
枠体2は、幅方向に延びる上枠22および下枠23(図2から図4参照)と、上下方向に延びる一対の縦枠24,25(図1参照)と、上下方向に延びる方立9と、を有する。一対の縦枠24,25のは、上端部が上枠22の幅方向の端部と接合され、下端部が下枠23の幅方向の端部と接合される。方立9は、上端部が上枠22の幅方向の中間部と接合され、下端部が下枠23の幅方向の中間部と接合される。上枠22、下枠23、一対の縦枠24,25および方立9は、それぞれの長さ方向に直交する断面形状が長さ方向全体にわたってほぼ同じ形状となる。図2から図4に示すように、上枠22は、建物躯体11の外壁111にボルト・ナット15で固定される。下枠23は、建物躯体11の床部112に埋設されたサッシアンカー16に固定される。上枠22は、建物躯体11に乾式工法で固定され、下枠23は建物躯体11に湿式工法で固定される。図1に示すように、一対の縦枠24,25は、それぞれ縦枠固定具6を介して建物躯体11に固定される。
【0011】
図5に示すように、上枠22は、第1上枠上板部221と、第2上枠上板部222と、第1上枠下板部223と、第2上枠下板部224と、上枠室外側板部225と、上枠室内側板部226と、第1上枠見付板部227と、第2上枠見付板部228と、上レール229と、を有する。
【0012】
第1上枠上板部221および第2上枠上板部222は、平板状に形成され板面が略水平面となる姿勢で躯体開口部12の上縁部に沿って配置される。第1上枠上板部221は、第2上枠上板部222の室外14側かつ上側に配置される。上枠室外側板部225は、平板状に形成され、板面が室内外方向を向く姿勢で第1上枠上板部221の室外14側の端部から下側に突出している。第1上枠見付板部227は、平板状に形成され、板面が室内外方向を向く姿勢で第1上枠上板部221の室内外方向の中間部から下側に突出している。第2上枠見付板部228は、平板状に形成され、板面が室内外方向を向く姿勢で第1上枠上板部221の室外14側の端部から下側に突出している。第2上枠見付板部228の高さ方向の中間部には、室外14側から第2上枠上板部222の室外14側の端部が接続される。上枠室内側板部226は、板面が室内外方向を向く姿勢で第2上枠上板部222の室内13側の端部から下側に突出している。上枠室内側板部226には、上枠22を建物躯体11に固定するためのボルト151が取り付けられる。
【0013】
第1上枠下板部223は、平板状に形成され板面が略水平面となる姿勢で第1上枠上板部221の下側に間隔をあけて配置される。第1上枠下板部223は、室外14側の端部が第1上枠見付板部227の下端部と接続され、室内13側の端部が第2上枠見付板部228の高さ方向の中間部と接続される。第2上枠下板部224は、平板状に形成され板面が略水平面となる姿勢で第2上枠上板部222の下側に間隔をあけて配置される。第2上枠下板部224は、室外14側の端部が第2上枠見付板部228の下端部と接続され、室内13側の端部が上枠室内側板部226の高さ方向の中間部と接続される。第1上枠下板部223は、第2上枠下板部224の室外14側かつ上側に配置される。第1上枠下板部223の下側には、片引き障子4が幅方向にスライド可能に配置される。第2上枠下板部224における幅方向の一方側の下側には、FIX障子3が配置される。図3に示すように、第2上枠下板部224における幅方向の一方側には、FIX障子3の押縁34が取り付けられる押縁溝部224aが形成されている。
【0014】
第2上枠下板部224は、図5に示すように他の部分よりも厚く形成されてもよいし、図4に示すように他の部分を同様に薄く形成されていてもよい。図3に示すように、上枠22には、第2上枠上板部222、第2上枠下板部224、上枠室内側板部226および第2上枠見付板部228に囲まれた中空部271に補強材272が設けられてもよい。第2上枠下板部224における幅方向の他方側の下には、片引き障子4のスライド開閉移動を抑制する制動装置17が取り付けられる。上枠室内側板部226の室外側には、FIX障子3の第1スペーサ32(図3参照)を取り付けるための凸部226aが形成される。
【0015】
上レール229は、平板状に形成され板面が室内外方向を向く姿勢で第1上枠下板部223の室内外方向の中間部から下側に突出している。上レール229の下部側は、片引き障子4の上レール溝部716に挿入される。上枠室外側板部225と上レール229とは、室内外方向に間隔をあけて配置される。
【0016】
図6に示すように、下枠23は、第1下枠下板部231と、第2下枠下板部232と、第1下枠上板部233と、第2下枠上板部234と、下枠室外側板部235と、下枠室内側板部236と、第1下枠見付板部237と、第2下枠見付板部238と、第3下枠見付板部239と、第1下レール261と、第2下レール262と、を有する。
【0017】
第1下枠下板部231は、平板状に形成され、板面が略水平面となる姿勢で躯体開口部12の下縁部に沿って配置される。下枠室外側板部235は、平板状に形成され、板面が室内外方向を向く姿勢で第1下枠下板部231の室外14側の縁部から上側に延びる。第1下枠見付板部237は、平板状に形成され、板面が室内外方向を向く姿勢で第1下枠下板部231の室内外方向の中間部から上側に延びる。第2下枠見付板部238は、平板状に形成され、板面が室内外方向を向く姿勢で第1下枠下板部231の室内13側の縁部から上側に延びる。第1下枠見付板部237は、下枠室外側板部235よりも上方まで延びる。第2下枠見付板部238は、第1下枠見付板部237よりも上方まで延びる。
【0018】
第2下枠下板部232は、平板状形成され板面が略水平となる姿勢で第2下枠見付板部238の上に接続される。第2下枠下板部232は、室内外方向の中間部に下側から第2下枠見付板部238が接続される。第2下枠下板部232は、室外14側の縁部が第1下枠見付板部237と第2下枠見付板部238の中間位置に配置され、室内13側の縁部が第2下枠見付板部238よりも室内13側に配置される。
【0019】
第1下枠上板部233は、下枠室外側板部235の上縁部と、第2下枠下板部232の室外14側の縁部と、を接続する。第1下枠上板部233は、第1板部233aと、第2板部233bと、第3板部233cと、第4板部233dと、を有する。第1板部233aは、第1下枠上板部233は、下枠室外側板部235の上縁部から室内13側に延びる。第2板部233bは、第1板部233aの室内13側の縁部から室内13側に向かって漸次上側に延びる。第3板部233cは、第2板部233bの室内13側の縁部から室内13側に延びる。第3板部233cは、室内外方向の中間部に第1下枠見付板部237の上縁部が下側から接続される。第4板部233dは、第3板部233cの室内13側の端部から室内13側に向かって漸次上側に向かって延びる。第4板部233dの室内13側の端部は、第2下枠下板部232の室外14側の縁部と接続される。
【0020】
第3下枠見付板部239は、平板状に形成され、板面が室内外方向を向く姿勢で第1下枠上板部233と第2下枠下板部232との接続部から上側に延びる。第2下枠上板部234は、平板状に形成され板面が略水平面となる姿勢で第3下枠見付板部239の上縁部から室外14側および室内13側に延びる。第2下枠上板部234の上面は、略水平面となる。第2下枠上板部234の上面には、網戸5やFIX障子3が設置される。第2下枠上板部234における第3下枠見付板部239よりも室外14側に突出する室外14側の端面には、気密材234aが設けられている。
【0021】
下枠室内側板部236は、平板状に形成され、板面が室内外方向を向く姿勢で第2下枠下板部232および第2下枠上板部234の室内13側に接続される。下枠室内側板部236は、上部側に第2下枠上板部234の室内13側の縁部が室外14側から接続され、下部側に第2下枠下板部232の室内13側の縁部が室外14側から接続される。下枠室内側板部236は、上端部分が第2下枠上板部234よりも上に突出し、下端部分が第2下枠下板部232よりも下に突出している。
【0022】
下枠室内側板部236の上側部分の室内側には、樹脂額縁取付け部236aが設けられている。樹脂額縁取付け部236aの上には、樹脂額縁236bが取り付けられている。下枠室内側板部236の室外側には、FIX障子3の第1スペーサ32(図3参照)を取り付けるための凸部236cが形成される。
【0023】
第1下枠上板部233の上側には、片引き障子4が幅方向にスライド可能に配置される。第2下枠上板部234における幅方向の一方側の上側には、FIX障子3が配置される。図3に示すように、第2下枠上板部234における幅方向の一方側には、FIX障子3の押縁34が取り付けられる押縁溝部234bが形成されている。
【0024】
第1下レール261は、平板状に形成され、板面が室内外方向を向く姿勢で第1下枠上板部233の第1板部233aの室内外方向の中間部から上側に突出している。第1下レール261の上には、片引き障子4の戸車45が配置される。第1下レール261には、室内外方向に貫通する水抜き孔261aが形成されている。第2下レール262は、平板状に形成され、板面が室内外方向を向く姿勢で第1下枠上板部233の第3板部233cの室外14側の縁部近傍から上側に突出している。第2下レール262には、室内外方向に貫通する水抜き孔262aが形成されている。
【0025】
図3に示すように、下枠23には、第2下枠下板部232、第2下枠上板部234、第3下枠見付板部239および下枠室内側板部236に囲まれた中空部273が形成され、中空部273に補強材274が設けられている。上述しているように、上枠22には、第2上枠上板部222、第2上枠下板部224、上枠室内側板部226および第2上枠見付板部228に囲まれた中空部271に補強材272が設けられている。これにより、例えば、高層建物の大開口に設けられる建具などの高強度を要求される建具において、上枠22および下枠23に補強材272,274を設けることで、要求される高強度を実現することができる。補強材272,274を設ける部分は、中空部271,273のどの部分であってもよい。
【0026】
図1に示すように、一対の縦枠24,25は、幅方向に略対称に形成される。幅方向の一方側に配置される縦枠を第1縦枠24とし、幅方向の他方側に配置される縦枠を第2縦枠25とする。以下では、第2縦枠25について詳細を説明し、第1縦枠24の説明は省略する。図7に示すように、第2縦枠25は、縦枠外板部241と、縦枠内板部242と、縦枠室外側板部243と、縦枠室内側板部244と、縦枠見付板部245と、第1突出片246と、第2突出片247と、第3突出片248と、を有する。
【0027】
縦枠外板部241は、平板状に形成され板面が幅方向を向く姿勢で躯体開口部12の側縁部と対向して配置される。縦枠外板部241には、縦枠固定具6の縦枠固定部材61を固定するためのボルト241aが取り付けられる。縦枠外板部241には、ボルト241aのボルト頭部が挿入されるボルト頭部挿入溝部241bが形成されている。ボルト頭部挿入溝部241bは上下方向に延びている。ボルト241aは、ボルト頭部挿入溝部241bに沿ってスライド移動可能である。ボルト241aは、縦枠固定部材61を固定するためのナット241cが締結されて縦枠固定部材61が固定されると、スライド移動が拘束されて位置が固定される。これにより、縦枠固定部材61と接続される躯体固定部材62の上下方向の位置にバラつきがある場合でも。縦枠固定部材61を上下方向にスライドさせることで、縦枠固定部材61と躯体固定部材62とを接続することができる。
【0028】
縦枠内板部242は、平板状に形成され板面が幅方向を向く姿勢で縦枠外板部241の幅方向の一方側に間隔をあけて配置される。縦枠外板部241と縦枠内板部242とは、幅方向に重なって配置される。縦枠室外側板部243は、平板状に形成され、板面が室内外方向を向く姿勢で縦枠外板部241および縦枠内板部242の室外14側に接続される。
【0029】
縦枠室外側板部243の幅方向の一方側の端部は、縦枠内板部242の室外14側の端部と接続される。縦枠室外側板部243の幅方向の他方側の端部は、縦枠外板部241の室外14側の端部と接続される。縦枠室内側板部244は、平板状に形成され、板面が室内外方向を向く姿勢で縦枠外板部241および縦枠内板部242の室内13側の端部に接続される。縦枠室内側板部244の幅方向の他方側の端部は、縦枠外板部241の室内13側の端部よりも幅方向の一方側に突出している。縦枠室内側板部244の幅方向の一方側の端部は、縦枠内板部242よりも幅方向の一方側に位置する。縦枠室外側板部243の幅方向の中間部には、縦枠内板部242の室内13側の端部が室外14側から接続される。
【0030】
縦枠見付板部245は、平板状に形成され、板面が室内外方向を向く姿勢で縦枠外板部241と縦枠内板部242との間に配置される。縦枠見付板部245の幅方向の一方側の端部は、縦枠内板部242の室内外方向の中間部に接続される。縦枠見付板部245の幅方向の他方側の端部は、縦枠外板部241の室内外方向の中間部に接続される。
【0031】
第1突出片246、第2突出片247および第3突出片248は、いずれも平板状に形成され、板面が室内外方向を向く姿勢で、縦枠内板部242の室内外方向の中間部から幅方向の一方側に突出している。第1突出片246、第2突出片247、第3突出片248の順に室内13側から室外14側に間隔をあけて配置される。第1突出片246は、縦枠見付板部245の幅方向の一方側に重なって配置される。第1突出片246は、先端部分の室外14側に気密材246aが設けられている。第2縦枠25は、縦枠外板部241が躯体開口部12の側縁部と間隔をあけるようにして建物躯体11に設置される。縦枠外板部241と、躯体開口部12の側縁部との間には、シール材81および断熱材82が設けられる。図1に示すように、第1縦枠24の縦枠室内側板部244の室外側には、FIX障子3の第1スペーサ32を取り付けるための凸部244aが形成される。
【0032】
図1に示す、縦枠24,25を建物躯体11に固定する縦枠固定具6は、縦枠および建物躯体11に対して上下方向に間隔をあけて複数設けられる。第1縦枠24を建物躯体11に固定する縦枠固定具6と、第2縦枠25を建物躯体11に固定する縦枠固定具6とは、幅方向に対称の形状である。以下では、第2縦枠25を建物躯体11に固定する縦枠固定具6について詳細を説明し、第1縦枠24を建物躯体11に固定する縦枠固定具6については説明を省略する。
【0033】
図7に示すように、縦枠固定具6は、第2縦枠25に固定される縦枠固定部材61と、建物躯体11に固定される躯体固定部材62と、を有する。縦枠固定部材61と躯体固定部材62とは、第1方向に相対変位可能で、第1方向に直交する第2方向の相対変位が拘束される。縦枠固定具6は、縦枠固定部材61と躯体固定部材62とが幅方向に相対変位が可能で、室内外方向の相対変位が拘束されるように設置される。以下の説明は、縦枠固定具6が上記の姿勢に設置されるものとする。
【0034】
縦枠固定部材61および躯体固定部材62は、例えば金属などで形成される。縦枠固定部材61は、縦枠外板部241にボルト接合される。躯体固定部材62は、建物躯体11に固定されたアングル材18にボルト接合される。アングル材18は、外壁111の室内13側における躯体開口部12の側縁部の近傍に設けられる。アングル材18は、断面形状がL字形状の長尺の部材で、上下方向に延びる向きに配置される。
【0035】
縦枠固定部材61は、縦枠固定片63と、突出片64と、を有する。縦枠固定片63は、縦枠外板部241の幅方向の他方側の面(躯体開口部12の縁部と対向する面)に沿って配置される。突出片64は、縦枠固定片63から幅方向の他方側に突出する。縦枠固定片63は、平板状に形成され、板面が幅方向を向く姿勢で縦枠外板部241の幅方向の他方側の面にボルト接合される。突出片64は、縦枠固定片63の室内13側の縁部から幅方向の他方側に突出している。突出片64の先端部分641は、基端部側よりも室内外方向に厚く形成される。縦枠固定部材61は、上下方向から見た形状がL字形となる。縦枠固定部材61の室内13側の端部は、第2縦枠25の縦枠室内側板部244における縦枠外板部241よりも幅方向の他方側に突出している部分に室外14側から接触する。縦枠外板部241と躯体開口部12の側縁部との間に設けられたシール材81および断熱材82は、縦枠固定部よりも室外14側に配置される。
【0036】
躯体固定部材62は、躯体固定片65と、室外側突出片66と、室内側突出片67と、を有する。躯体固定片65は、平板状に形成され、板面が幅方向を向く姿勢でアングル材18に幅方向の一方側からボルト接合される。室外側突出片66は、平板状に形成され、板面が室内外方向を向く姿勢で躯体固定片65の室外14側の縁部から幅方向の他方側に突出している。室内側突出片67は、平板状に形成され、板面が室内外方向を向く姿勢で躯体固定片65の室内13側の縁部から幅方向の他方側に突出している。室外側突出片66と室内側突出片67とは室内外方向に間隔をあけて配置される。
【0037】
躯体固定部材62は、躯体固定片65、室外側突出片66および室内側突出片67に囲まれて幅方向の一方が開口する躯体固定部材溝部68が形成される。躯体固定部材溝部68は、上下方向に延びる。躯体固定部材62は、上下方向から見た形状がU字形となる。室外側突出片66と室内側突出片67との間隔(躯体固定部材溝部68の幅)は、縦枠固定部材61の突出片64の先端部分641の室内外方向の寸法と同じかそれよりも少し大きく形成される。躯体固定部材溝部68には、突出片64が幅方向の一方側から挿入される。突出片64の先端部分641と、躯体固定部材溝部68の底部(躯体固定片65の幅方向の一方側の面)との間には、間隔が設けられる。この間隔は、例えば5mmである。室外側突出片66の先端部および室内側突出片67の先端部と、縦枠固定片63との間には、間隔が設けられる。
【0038】
第2縦枠25と建物躯体11とを連結する縦枠固定部材61と、躯体固定部材62とは、縦枠固定部材61の突出片64の先端部と、躯体固定部材62の躯体固定部材溝部68の底部との間隔の範囲で幅方向に相対変位可能である。縦枠固定部材61と、躯体固定部材62との室内外方向の相対変位は、拘束される。
【0039】
図8に示すように、方立9は、第1方立見込板部91と、第2方立見込板部92と、第3方立見込板部93と、方立室外側板部94と、方立室内側板部95と、方立見付板部96と、を有している。第1方立見込板部91、第2方立見込板部92および第3方立見込板部93は、それぞれ平板状に形成され板面が幅方向を向く姿勢で配置される。方立室外側板部94、方立室内側板部95および方立見付板部96は、それぞれ平板状に形成され、板面が室内外方向を向く姿勢に配置される。方立室外側板部94は、方立室内側板部95の室外14側に、室内外方向に間隔をあけて室内外方向に重なるように配置されている。方立見付板部96は、方立室外側板部94と方立室内側板部95との間に重なって配置されている。方立見付板部96は、方立室外側板部94および方立室内側板部95それぞれと室内外方向に間隔をあけて配置されている。
【0040】
第1方立見込板部91は、室外14側の端部が方立見付板部96の幅方向の一方側の端部と接続され、室内13側の端部が方立室内側板部95の幅方向の一方側の端部と接続されている。第2方立見込板部92は、室外14側の端部が方立室外側板部94の幅方向の他方側の端部と接続され、室内13側の端部が方立室内側板部95の幅方向の他方側の端部と接続されている。第3方立見込板部93は、室外14側の端部が方立室外側板部94の幅方向の中間部と接続され、室内13側の端部が方立見付板部96の幅方向の中間部と接続されている。
【0041】
方立室外側板部94の室外14側の面における幅方向の一方側の端部には、気密材941が設けられている。第2方立見込板部92には、室外14側の部分に片引き障子4を施錠するクレセント97が取り付けられている。方立見付板部96における第3方立見込板部93よりも幅方向の一方側の部分には、FIX障子3の第1スペーサ32を取り付けるための凸部961が形成される。
【0042】
図1および図2に示すように、片引き障子4は、框体7と、框体7の内側にはめ込まれる複層ガラス41と、第1スペーサ42と、第2スペーサ43と、押縁44と、戸車45(図2参照)と、を有する。框体7は、幅方向に延びる上框71および下框72(図2参照)と、上下方向に延びる一対の縦框73,74(図1参照)と、を有する。一対の縦框73,74の上端部が上框71の幅方向の端部と接合され、一対の縦框73,74の下端部が下框72の幅方向の端部と接合される。一対の縦框73,74のうちの幅方向の一方側の第1縦框73が召合せ框となり、幅方向の他方側の第2縦框74が戸先框となる。
【0043】
図5に示すように、上框71は、上框上板部711と、上框下板部712と、上框室外側板部713と、上框室内側板部714と、上框中板部715と、を有する。上框上板部711には、室内外方向の中間部に幅方向全体にわたって上レール溝部716が形成される。上レール溝部716には、上方に開口し、上枠22の上レール229の下端部分が上方から挿入される。
【0044】
上框上板部711は、第1上框上板部717と、レール溝形成部718と、第2上框上板部719と、傾斜板部751と、室内側見付板部752と、を有する。第1上框上板部717、レール溝形成部718、第2上框上板部719、傾斜板部751および室内側見付板部752は、この順に室外14側から室内13側に配置される。第1上框上板部717は、平板状に形成され、板面が水平面となる姿勢に設置される。
【0045】
レール溝形成部718は、第1溝板部754と、第2溝板部755と、第3溝板部756と、第4溝板部757と、を有する。第1溝板部754は、第1上框上板部717の室内13側の縁部から下側に延びる。第2溝板部755は、第1溝板部754の下縁部から室内13側に向かって漸次下側に向かって延びる。第3溝板部756は、第2溝板部755の下縁部から室内13側に延びる。第4溝板部757は、第3溝板部756の室内13側の端部から上側に延びる。第1溝板部754、第2溝板部755、第3溝板部756および第4溝板部757の内側が上レール溝部716である。第4溝板部757の上端部は、第1溝板部754の上端部よりも下側に配置される。第1溝板部754の室内13側の面には、室内13側に突出する気密材83が設けられる。気密材83は、上レール溝部716に挿入された上レール229の室外14側の面と接触する。
【0046】
第2上框上板部719は、平板状に形成され、板面が水平面となる姿勢に設置される。第2上框上板部719の室外14側の縁部が第4溝板部757の上縁部と接続される。第2上框上板部719は、第1上框上板部717よりも下側に配置される。傾斜板部751は、第2上框上板部719の室内13側の端部から室内13側に向かって上側に向かう斜め方向に延びる。室内側見付板部752は、平板状に形成され、板面が室内外方向を向く姿勢で傾斜板部751の室内13側に接続される。室内側見付板部752は、上端部が傾斜板部751の室内13側の端部よりも上側に位置し、下端部が傾斜板部751の室内13側の端部よりも下側に位置する。室内側見付板部752の上端部は、第1上框上板部717と同じ高さに配置される。室内側見付板部752の室内13側の面は、上枠22の上枠室外側板部225に設置された気密材84と接触する。第1溝板部754の室内13側の面に設けられた気密材83と、上枠室外側板部225に設置された気密材84とは、室内外方向に対向する位置に配置されている。
【0047】
上框室外側板部713は、平板状に形成され、板面が室内外方向を向く姿勢で第1上框上板部717の室外14側の縁部から下側に突出している。上框室内側板部714は、平板状に形成され、板面が室内外方向を向く姿勢で第2上框上板部719の室内13側の縁部から下側に突出している。上框室内側板部714は、傾斜板部751および室内側見付板部752よりも室外14側に配置される。上框中板部715は、平板状に形成され、板面が室内外方向を向く姿勢で第4溝板部757の下側に接続される。上框中板部715の下端部は、上框下板部712の上面に接続される。上框中板部715の下端部は、上框室外側板部713および上框室内側板部714の下端部よりも上側に位置する。
【0048】
上框下板部712は、上框上板部711の下側に間隔をあけて設けられる。上框下板部712は、平板状に形成され、板面が略水平面となる姿勢で上框室外側板部713と上框室内側板部714との間に設置される。上框下板部712は、室外14側の縁部が上框室外側板部713の室内13側の面と接続され、室外14側の縁部が上框室外側板部713の室外14側の面と接続される。上述しているように、上框下板部712の室内外方向の中間部には、上框中板部715の下縁部が上側から接続される。上框下板部712には、室外14側の端部近傍に下側に突出する上框突出爪部712aが設けられる。上框突出爪部712aと上框室外側板部713の下端部分との間には、押縁44が取り付けられる上框押縁溝部712bが形成される。
【0049】
上框71に対して、複層ガラス41、第1スペーサ42、第2スペーサ43および押縁44は、上框下板部712の下側に配置される。第1スペーサ42は、上框室内側板部714における上框下板部712よりも下側の部分に設置される。本実施形態では、上框室内側板部714に第1スペーサ42を取り付けるための凸部714aが形成される。複層ガラス41は、第1スペーサ42の室外14側に接触して設置される。第2スペーサ43は、複層ガラス41上端部分の室外14側に接触して設置される。押縁44は、第2スペーサ43の室外14側に接触して設けられ、上端部分が上框押縁溝部712bに挿入されて上框71に固定される。押縁44は、第2スペーサ43を複層ガラス41側に押し付けている。
【0050】
図6に示すように、下框72は、下框上板部721と、第1下框下板部722と、第2下框下板部723と、下框室外側板部724と、下框室内側板部725と、下框中板部726と、を有する。下框上板部721、第1下框下板部722および第2下框下板部723は、それぞれ平板状に形成され、板面が水平面となる姿勢に設置される。下框上板部721の下側に間隔をあけて第1下框下板部722が配置され、第1下框下板部722の下側に間隔をあけて第2下框下板部723が配置される。下框室外側板部724、下框室内側板部725および下框中板部726は、それぞれ平板状に形成され、板面が鉛直面となる姿勢に配置される。下框中板部726は、下框室外側板部724の室内13側に間隔をあけて配置される。下框室内側板部725は、下框中板部726の室内13側に間隔をあけて配置される。
【0051】
下框上板部721、第1下框下板部722および第2下框下板部723は、それぞれ、室外14側の縁部が下框室外側板部724に室内13側から接続される。下框上板部721は、下框室外側板部724の上端部よりもやや下側に接続される。第1下框下板部722は、下框上板部721の下側に位置し、下框室外側板部724の高さ方向の中間部に接続される。第1下框下板部722の室内13側の端部には、下側に突出する突出片722bが設けられている。突出片722bの室内13側の面は、下枠23の第2下枠上板部234の室外14側の端面と対向している。突出片722bの室内13側の面には、下枠23の第2下枠上板部234の室外14側の端面に設けられた気密材234aが接触している。この気密材234aによって下框72と下枠23との気密が確保される。
【0052】
第2下框下板部723は、第1下框下板部722の下側に位置し、下框室外側板部724の下部側に接続される。第1下框下板部722は、下框上板部721よりも室内外方向に大きく形成され、第2下框下板部723は、下框上板部721および第1下框下板部722よりも室内外方向に小さく形成される。
【0053】
下框室内側板部725は、下框上板部721の室内13側の縁部から上側および下側に延びる。下框室内側板部725の下端部は、第1下框下板部722の室内13側の縁部よりもやや室外14側となる位置に接続される。下框中板部726は、下框上板部721の室内外方向の中間部から下側に延びる。下框中板部726の下端部は、第2下框下板部723よりも下側に突出している。下框中板部726は、第1下框下板部722と交差するとともに。下端部よりもやや上側となる位置に第2下框下板部723の室内13側の端部が接続される。下框上板部721には、室外14側の端部近傍に上側に突出する下框突出爪部721aが設けられる。下框突出爪部721aと下框室外側板部724の上端部分との間には、押縁44が取り付けられる下框押縁溝部721bが形成される。
【0054】
第1下框下板部722、下框室外側板部724、下框中板部726、に囲まれた領域に戸車45が設けられる。戸車45は、下端部分が第2下框下板部723よりも下側に突出している。第2下框下板部723には戸車45が貫通する戸車孔部723aが形成される。戸車45は、下框72における幅方向の一方側の端部近傍、および幅方向の他方側の端部近傍に設けられる。第2下框下板部723には、戸車孔部723aと重ならない位置に、上下方向に貫通する第1孔部723bが形成される。第1孔部723bは、外気を取り入れる孔および框に入り込んだ水を抜くための水抜き孔として設けられる。第1下框下板部722には、下框中板部726よりも室外14側の部分に上下方向に貫通する第2孔部722aが形成される。下框上板部721には、下框中板部726よりも室外14側の部分に上下方向に貫通する第3孔部721cが形成される。これらの第2孔部722aおよび第3孔部721cも外気を取り入れる孔および框に入り込んだ水を抜くための水抜き孔として設けられる。
【0055】
下框72に対して、複層ガラス41、第1スペーサ42、第2スペーサ43および押縁44は、下框上板部721の上側に配置される。第1スペーサ42は、下框室内側板部725における下框上板部721よりも上側の部分に設置される。本実施形態では、下框室内側板部725に第1スペーサ42を取り付けるための凸部725aが形成される。複層ガラス41は、第1スペーサ42の室外14側に接触して設置される。第2スペーサ43は、複層ガラス41下端部分の室外14側に接触して設置される。押縁44は、第2スペーサ43の室外14側に接触して設けられ、上端部分が下框押縁溝部721bに挿入されて下框72に固定される。押縁44は、第2スペーサ43を複層ガラス41側に押し付けている。
【0056】
下框72には、第1下框下板部722の下面に皿ねじによって固定された取付け部材727を介して、第2下レール受け部728(負圧受け)が取り付けられている。第2下レール受け部728は、第2下レール262の室内側の見付け面に対向するように配置されている。第2下レール受け部728には、第2下レール受けカバー材(負圧受け樹脂部品)729が取り付けられている。これにより、戸車45の脱輪防止と摺動時の摺動音と摺動抵抗を低減することができる。
【0057】
図7に示すように、第2縦框74は、第2縦框外板部741と、第2縦框内板部742と、第2縦框室外側板部743と、第2縦框室内側板部744と、を有する。第2縦框外板部741および第2縦框内板部742は、平板状に形成され、板面が幅方向を向く姿勢で配置される。第2縦框外板部741と第2縦框内板部742とは、幅方向の一方側に第2縦框内板部742が配置され、幅方向の他方側に第2縦框外板部741が配置される。第2縦框外板部741と第2縦框内板部742とは、幅方向に離れている。
【0058】
第2縦框室外側板部743および第2縦框室内側板部744は、平板状に形成され、室内外方向を向く姿勢で配置される。第2縦框室外側板部743は、第2縦框内板部742および第2縦框外板部741の室外14側の縁部に室外14側から接続される。第2縦框室内側板部744は、第2縦框内板部742および第2縦框外板部741の室内13側の縁部に室内13側から接続される。第2縦框室外側板部743は、幅方向の他方側の端部が第2縦框内板部742よりも幅方向の他方側に位置し、幅方向の一方側の端部が第2縦框外板部741よりも幅方向の一方側に位置する。第2縦框室内側板部744は、幅方向の他方側の端部が第2縦框内板部742の幅方向の他方側の端部よりも幅方向の他方側に位置し、幅方向の一方側の端部が第2縦框外板部741よりも幅方向の一方側に位置する。第2縦框室内側板部744の幅方向の一方向側の端部は、第2縦框室外側板部743の幅方向の一方側の端部よりも幅方向の一方側に位置している。
【0059】
第2縦框内板部742には、室外14側の端部近傍に幅方向の一方側に突出する第2縦框突出爪部742aが設けられる。第2縦框突出爪部742aと第2縦框室外側板部743の幅方向の一方側の端部分との間には、押縁44が取り付けられる第2縦框押縁溝部742bが形成される。第2縦框室内側板部744の室内13側には、蛇腹式の網戸5が取り付けられる。
【0060】
第2縦框外板部741には、室内外方向の中間部に幅方向の他方側に突出する突出片741aが設けられている。突出片741aの先端部には、気密材741bが設けられている。この気密材741bは、片引き障子4が枠体内開口部21を閉鎖すると、第2縦枠25の第3突出片248の室内13側の面と接触する。これにより、第2縦框74と第2縦枠25との気密が確保される。第2縦框室内側板部744は、片引き障子4が枠体内開口部21を閉鎖すると、第2縦框外板部741よりも幅方向の他方側に突出する部分の室内13側の面に第2縦枠25の第1突出片246に取り付けられた気密材246aと接触する。これにより、第2縦框74と第2縦枠25との気密が確保される。第2縦框室内側板部744には、第2縦框外板部741よりも幅方向の他方側に突出する部分の室外14側に、気密材744aが設けられている。この気密材744aは、片引き障子4が枠体内開口部21を閉鎖すると、第2縦枠25の第2突出片247の室内13側の面と接触する。これにより、第2縦框74と第2縦枠25との気密が確保される。
【0061】
第2縦框74に対して、複層ガラス41、第1スペーサ42、第2スペーサ43および押縁44は、第2縦框内板部742の幅方向の一方側に配置される。第1スペーサ42は、第2縦框室外側板部743における第2縦框内板部742よりも幅方向の一方側の部分に設置される。本実施形態では、第2縦框室外側板部743に第1スペーサ42を取り付けるための凸部743aが形成される。複層ガラス41は、第1スペーサ42の室外14側に接触して設置される。第2スペーサ43は、複層ガラス41の幅方向の他方側の端部分の室外14側に接触して設置される。押縁44は、第2スペーサ43の室外14側に接触して設けられ、幅方向の他方側の端部分が第2縦框押縁溝部742bに挿入されて第2縦框74に固定される。押縁44は、第2スペーサ43を複層ガラス41側に押し付けている。
【0062】
図8に示すように、第1縦框73は、第1縦框外板部731と、第1縦框内板部732と、第1縦框室外側板部733と、第1縦框室内側板部734と、を有する。第1縦框外板部731および第1縦框内板部732は、平板状に形成され、板面が幅方向を向く姿勢で配置される。第1縦框外板部731と第1縦框内板部732とは、幅方向の一方側に第1縦框外板部731が配置され、幅方向の他方側に第1縦框内板部732が配置される。第1縦框外板部731と第1縦框内板部732とは、幅方向に離れている。
【0063】
第1縦框室外側板部733および第1縦框室内側板部734は、平板状に形成され、室内外方向を向く姿勢で配置される。第1縦框室外側板部733は、第1縦框内板部732および第1縦框外板部731の室外14側の縁部に室外14側から接続される。第1縦框室内側板部734は、第1縦框内板部732および第1縦框外板部731の室内13側の縁部に室内13側から接続される。第1縦框室外側板部733は、幅方向の一方側の端部が第1縦框内板部732よりも幅方向の一方側に位置し、幅方向の他方側の端部が第1縦框外板部731よりも幅方向の他方側に位置する。第1縦框室内側板部734は、幅方向の一方側の端部が第1縦框内板部732の室内13側の端部と接続され、幅方向の他方側の端部が第1縦框外板部731よりも幅方向の他方側に位置する。
【0064】
第1縦框室内側板部734の幅方向の一方側の端部には、室内13側に突出するヒレ部材735が設けられている。ヒレ部材735は、片引き障子4が枠体内開口部21を閉鎖すると、方立9と接触する。第1縦框室内側板部734の幅方向の他方側の端部分における室内側の面は、片引き障子4が枠体内開口部21を閉鎖すると、FIX障子3の方立9の方立室外側板部94に設けられた気密材941と接触する。これにより、片引き障子4の第1縦框73と方立9との召合せ部の気密を確保することができる。
【0065】
第1縦框73に対しては、押縁44を使用せずに複層ガラス41が設置される。第1縦框73に対して、複層ガラス41、第1スペーサ42、および第2スペーサ43は、第1縦框内板部732の幅方向の他方側に配置される。第1スペーサ42は、第1縦框室内側板部734における第1縦框内板部732よりも幅方向の他方側の部分に設置される。本実施形態では、第1縦框室内側板部734に第1スペーサ42を取り付けるための凸部734aが形成される。複層ガラス41は、第1スペーサ42の室外14側に接触して設置される。第2スペーサ43は、複層ガラス41の幅方向の一方側の端部分の室外14側およびに接触して設置される。第2スペーサ43の室外14側の面は、第1縦框室外側板部733の室内13側の面と接触している。第1縦框73では、第2スペーサ43は、押縁ではなく第1縦框室外側板部733によって室内13側に押し付けられている。
【0066】
図5に示すように、片引き障子4が枠体2に設置されると、上枠室外側板部225が上框室外側板部713の鉛直方向上側に配置される。上枠室外側板部225の下端部225aと上框71とは、上下方向に離れている。上枠室外側板部225は、上枠22に室外14側からあたった雨水を下方に誘導する水切り部として設けられている。上枠室外側板部225が設けられていることにより、上框71の上レール溝部716に入り込むことが防止される。雨水が上框上板部711の上面を伝わって室内13側に浸入した場合には、傾斜板部751が水返し部となり、雨水が上框71よりも室内13側に入り込むことが防止される。
【0067】
図1および図3に示すように、FIX障子3は、上枠22、下枠23、第1縦枠24、方立9の間に組み込まれている。FIX障子3は、複層ガラス31と、第1スペーサ32と、第2スペーサ33と、押縁34と、を有している。図3に示すように、FIX障子3は、上枠22の上枠室内側板部226の室外14側かつ第2上枠下板部224の下側に配置される。第1スペーサ32が上枠室内側板部226の凸部226aに取り付けられる。複層ガラス31は、第1スペーサ32の室外14側に接触して設置される。第2スペーサ33は、複層ガラス31の室外14側に接触して設置される。押縁34は、第2上枠下板部224の押縁溝部224aに取り付けられ、第2スペーサ33の室外14側に接触して設けられる。押縁34は、第2スペーサ33を複層ガラス31側に押し付けている。
【0068】
FIX障子3は、下枠23の下枠室内側板部236の室外14側かつ第2下枠上板部234の上側に配置される。第1スペーサ32は、下枠室内側板部236の凸部236cに取り付けられる。複層ガラス31は、第1スペーサ32の室外14側に接触して設置される。第2スペーサ33は、複層ガラス31の室外14側に接触して設置される。押縁34は、第2下枠上板部234の押縁溝部224bに取り付けられ、第2スペーサ33の室外14側に接触して設けられる。押縁34は、第2スペーサ33を複層ガラス31側に押し付けている。
【0069】
図1に示すように、第1縦枠24および方立9に対しては、押縁34を使用せずにFIX障子3が設置される。FIX障子3は、第1縦枠24の縦枠内板部242の幅方向の他方側かつ縦枠室内側板部244と第1突出片246との間に配置される。第1スペーサ32は、244の凸部244aに取り付けられる。複層ガラス31は、第1スペーサ32の室外14側に接触して設置される。第2スペーサ33は、複層ガラス31の室外14側に接触して設置される。第2スペーサ33は、第1突出片246の室内13側の面と接触している。第1縦枠24の第1突出片246には、第2スペーサ33を取り付けるための凸部246bが形成されている。第2スペーサ33は、第1縦枠24の第1突出片246によって室内13側に押し付けられている。
【0070】
FIX障子3は、方立の第3方立見込板部93の幅方向の一方側かつ方立室外側板部94と方立見付板部96との間に配置される。第1スペーサ32は、方立見付板部96の凸部に取り付けられる。複層ガラス31は、第1スペーサ32の室外14側に接触して設置される。第2スペーサ33は、複層ガラス31の室外14側に接触して設置される。第2スペーサ33は、方立室外側板部94の室内13側の面と接触している。方立室外側板部94には、第2スペーサ33を取り付けるための凸部942が形成されている。第2スペーサ33は、方立室外側板部94によって室内13側に押し付けられている。
【0071】
上記の実施形態による建具1は、縦枠固定具6が縦枠24,25と建物躯体11との幅方向に相対変位を許容し、かつ室内外方向の相対変位を拘束する。これにより、建物躯体11に対する建具1の幅方向の変位は許容しても、風圧力よる建具1の室内外方向の変位を防止でき、強風時に軋み音が生じたり、建具1が撓んだりすることを防止できる。
【0072】
上記の実施形態による建具1は、縦枠固定具6は、縦枠24,25に取り付けられて建物躯体11に向かって突出する突出片64を備える縦枠固定部材61と、建物躯体11に取り付けられて縦枠24,25に向かって幅方向に開口する躯体固定部材溝部68を備える躯体固定部材62と、を有する。縦枠固定具6は、躯体固定部材溝部68に幅方向から突出片64がされた状態で縦枠固定部材61と躯体固定部材62とが幅方向に相対変位可能に構成される。このように、縦枠固定具6を簡便な構造とすることができ、施工や管理容易に行うことができる。
【0073】
上記の実施形態による建具1は、下枠23は、建物躯体11に湿式工法で固定され、上枠22は、建物躯体11に乾式工法で固定される。下枠23は、湿式工法により下枠23全体を受け止めて日常生活の出入りなどによる荷重を受け止め、軋み音も防いでいる。
対して上枠22は、乾式工法により地震による変位を許容している。
【0074】
上記の実施形態による建具1は、縦枠固定具6の室外14側に配置され、縦枠24,25と建物躯体11との間に充填されたシール材81を有する。このようにすることにより、縦枠24,25と建物躯体11との間に幅方向の相対変位を許容する間隔があったとしても、その間隔がシール材81で閉塞され、建具1の気密性および水密性を確保することができる。
【0075】
本開示は上記の実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。例えば、上記の実施形態では、縦枠固定具6は、縦枠24,25に取り付けられて建物躯体11に向かって突出する突出片64を備える縦枠固定部材61と、建物躯体11に取り付けられて縦枠24,25に向かって幅方向に開口する躯体固定部材溝部68を備える躯体固定部材62と、を有する。縦枠固定具6は、縦枠24,25と建物躯体11との幅方向に相対変位を許容し、かつ室内外方向の相対変位を拘束する構成であれば、縦枠固定具6の形態は上記以外であってもよい。例えば、縦枠固定部材61に凹部が形成され、躯体固定部材62に凸部が形成されていてもよい。
【0076】
上記の実施形態では、下枠23は、建物躯体11に湿式工法で固定され、上枠22は、建物躯体11に乾式工法で固定される。上枠22および下枠23は、両方が乾式工法で建物躯体11に固定されていてもよいし、湿式工法で建物躯体11に固定されていてもよい。下枠23が建物躯体11に乾式工法で固定され、上枠22が建物躯体11に湿式工法で固定されていてもよい。
【0077】
上記の実施形態では、縦枠24,25と建物躯体11との間における縦枠固定具6の室外14側には、シール材81が充填されている。縦枠24,25と建物躯体11との間における縦枠固定具6の室外14側には、シール材81が充填されていなくてもよい。
【符号の説明】
【0078】
1 建具、2 枠体、6 縦枠固定具、11 建物躯体、13 室内、14 室外、22 上枠、23 下枠、24 縦枠、25 縦枠、64 突出片(凸部)、68 躯体固定部材溝部(凹部)、81 シール材
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8