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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-14
(45)【発行日】2024-11-22
(54)【発明の名称】柔軟物品の取出し装置
(51)【国際特許分類】
   B65H 3/00 20060101AFI20241115BHJP
   B65H 29/02 20060101ALI20241115BHJP
   B65G 47/12 20060101ALI20241115BHJP
   B65G 47/90 20060101ALI20241115BHJP
   D06F 93/00 20060101ALI20241115BHJP
【FI】
B65H3/00 301
B65H29/02
B65G47/12
B65G47/90 A
D06F93/00
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2020166254
(22)【出願日】2020-09-30
(65)【公開番号】P2022057812
(43)【公開日】2022-04-11
【審査請求日】2023-09-21
(73)【特許権者】
【識別番号】519221659
【氏名又は名称】ワイエイシイマシナリー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000121
【氏名又は名称】IAT弁理士法人
(74)【代理人】
【識別番号】100093953
【弁理士】
【氏名又は名称】横川 邦明
(72)【発明者】
【氏名】瀧澤 将
(72)【発明者】
【氏名】渡邊 亮
【審査官】松江川 宗
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-024062(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0368119(US,A1)
【文献】国際公開第2015/198791(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 1/00-3/68,29/00-29/10,
29/26-29/30,29/34-29/51
B65G 47/00-47/20,47/80,
47/84-47/86,47/90-47/96
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の柔軟物品を山積み状態で載せることができる物品載置手段と、
1つの柔軟物品を挟むことができる柔軟物品挟み手段と、
前記柔軟物品挟み手段を、山積み状態の複数の柔軟物品に接触する位置である前進位置と、複数の柔軟物品から離れた位置である後退位置との間で移動させる挟み手段進退移動手段と、
前記柔軟物品挟み手段を前記物品載置手段の幅方向に沿って移動させる挟み手段幅方向移動手段と、
前記物品載置手段の幅方向に関して柔軟物品を検出して信号を出力するセンサと、
前記センサの出力信号に基づいて前記挟み手段幅方向移動手段の動作を制御する制御装置と、を有しており、
前記制御装置は、前記物品載置手段の幅方向に関して前記柔軟物品挟み手段を停止させる位置を前記センサの出力信号に基づいて決めることを行い、
前記センサは前記物品載置手段の幅方向に沿って互いに間隔をあけて並べられた複数の光電センサを有し、
前記制御装置は、前記複数の光電センサのうち柔軟物品を検知した光電センサの個数に応じて、前記柔軟物品挟み手段を停止させる位置を決める
ことを特徴とする柔軟物品の取出し装置。
【請求項2】
前記物品載置手段は搬送ベルトを有しており、
当該搬送ベルトは、柔軟物品を投入する位置と、前記センサによる柔軟物品の検知位置と、の間で柔軟物品を搬送する
ことを特徴とする請求項1記載の柔軟物品の取出し装置。
【請求項3】
前記挟み手段幅方向移動手段は、
前記柔軟物品挟み手段を直線方向で案内する直進ガイドと、
前記柔軟物品挟み手段を移動させる動力源であるサーボモータと、
を有することを特徴とする請求項1又は請求項2記載の柔軟物品の取出し装置。
【請求項4】
前記制御装置は、前記複数の光電センサのうち柔軟物品を検知した光電センサが1個の場合、その光電センサによる検知位置を前記柔軟物品挟み手段を停止させる位置として決めることを特徴とする請求項記載の柔軟物品の取出し装置。
【請求項5】
前記制御装置は、前記複数の光電センサのうち柔軟物品を検知した光電センサが2個の場合、前記物品載置手段の幅方向の中央に近い光電センサによる検知位置を前記柔軟物品挟み手段を停止させる位置として決めることを特徴とする請求項記載の柔軟物品の取出し装置。
【請求項6】
前記制御装置は、前記複数の光電センサのうち柔軟物品を検知した光電センサが前記物品載置手段の幅方向の中心線を挟んだ2個の場合、前記物品載置手段の幅方向の中心線を前記柔軟物品挟み手段を停止させる位置として決めることを特徴とする請求項記載の柔軟物品の取出し装置。
【請求項7】
前記制御装置は、前記複数の光電センサのうち柔軟物品を検知した光電センサが3個の場合、
当該3個の光電センサのうちの真ん中の光電センサによる検知位置を前記柔軟物品挟み手段を停止させる位置として決めるか、
前記物品載置手段の幅方向の中央に近い光電センサによる検知位置を前記柔軟物品挟み手段を停止させる位置として決めるか、又は
前記物品載置手段の幅方向に関して当該物品載置手段の端に最も近い光電センサによる検知位置を前記柔軟物品挟み手段を停止させる位置として決める
ことを特徴とする請求項記載の柔軟物品の取出し装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、衣類、布袋、タオル製品、等といった不定形で柔軟な物品(以下、柔軟物品という)の山積み状態の束の中から1つの柔軟物品を取り出すための柔軟物品の取出し装置に関する。
【背景技術】
【0002】
柔軟物品の取出し装置として、従来、特許文献1に開示されたものが知られている。この従来の柔軟物品の取出し装置は、容器の中に収容された複数の衣類(すなわち、柔軟物品)の山の中から1つの衣類を取り出すように機能する。より具体的には、この従来の柔軟物品取出し装置は、開閉可能な一対の挟み部材を備えたグリッパを有しており、このグリッパによって衣類をつまみ上げる構造となっている。
【0003】
また、従来の柔軟物品の取出し装置として、特許文献2に開示されたものがある。この従来の柔軟物品の取出し装置においては、一対の搬送ベルトを互いに対向させて配置し、これらの搬送ベルトを互いに反対方向へ周囲移動させることにより、衣類の山の中から1つの衣類を挟んで取り出す構造となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特表2004-533871
【文献】WO2019/137585A1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に示された柔軟物品の取出し装置においては、衣類を挟むためのグリップを衣類の山のどの部分に差し入れるかの判断が難しかった。また、引用文献2に示された柔軟物品の取出し装置においては、衣類を挟むための搬送ベルトを衣類の山の中のどの部分に差し入れるかの判断が難しかった。
【0006】
本発明は、従来装置における上記の問題点に鑑みて成されたものであって、衣類等といった柔軟物品を挟むための柔軟物品挟み手段を柔軟物品の束のどの部分に差し入れるかを正確に判断できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る柔軟物品の取出し装置は、複数の柔軟物品を山積み状態で載せることができる物品載置手段と、1つの柔軟物品を挟むことができる柔軟物品挟み手段と、前記柔軟物品挟み手段を、山積み状態の複数の柔軟物品に接触する位置である前進位置と、複数の柔軟物品から離れた位置である後退位置との間で移動させる挟み手段進退移動手段と、前記柔軟物品挟み手段を前記物品載置手段の幅方向に沿って移動させる挟み手段幅方向移動手段と、前記物品載置手段の幅方向に関して柔軟物品を検出して信号を出力するセンサと、前記センサの出力信号に基づいて前記挟み手段幅方向移動手段の動作を制御する制御装置と、を有しており、前記制御装置は、前記物品載置手段の幅方向に関して前記柔軟物品挟み手段を停止させる位置を前記センサの出力信号に基づいて決めることを行い、前記センサは前記物品載置手段の幅方向に沿って互いに間隔をあけて並べられた複数の光電センサを有し前記制御装置は、前記複数の光電センサのうち柔軟物品を検知した光電センサの個数に応じて、前記柔軟物品挟み手段を停止させる位置を決めることを特徴とする。
【0008】
上記構成において、「柔軟物品」は以降に説明する実施形態(以下、本実施形態ということがある)において衣類Aである。しかし、柔軟物品は、不定形で柔軟な物品のことであり、衣類以外に布袋、タオル製品等といった種々のものがある。「物品載置手段」は、本実施形態では搬送ベルトを用いているが、単なる載置台のこともある。「柔軟物品挟み手段」は、本実施形態では公転の回転移動及び自転の回転をする挟持用ローラを用いているが、その他の任意の構造の挟持装置を用いることができる。「挟み手段進退移動手段」は、本実施形態では直進ガイド及びサーボモータを含む機構を用いているが、その他の任意の構造を用いることができる。「挟み手段幅方向移動手段」は、本実施形態では直進ガイド及びサーボモータを含む機構を用いているが、その他の任意の構造を用いることができる。「センサ」は、本実施形態では光電センサを用いているが、必要に応じてその他のセンサを用いることも可能である。
【0009】
上記構成の本発明に係る柔軟物品の取出し装置によれば、柔軟物品が物品載置手段の幅方向のどこにあるかをセンサによって検出し、その検出結果に基づいて挟み手段幅方向移動手段によって柔軟物品挟み手段の幅方向の位置を対象である柔軟物品の位置に合わせるようにしたので、1つの柔軟物品を安定して正確に取り出すことができるようになった。
【0010】
本発明に係る柔軟物品の取出し装置の他の発明態様において、前記物品載置手段は搬送ベルトを有しており、当該搬送ベルトは、柔軟物品を投入する位置と、前記センサによる柔軟物品の検知位置と、の間で柔軟物品を搬送する。
この発明態様によれば、作業者は投入位置において柔軟物品を投入することができるので、作業が楽になる。
【0011】
本発明に係る柔軟物品の取出し装置のさらに他の発明態様において、前記挟み手段幅方向移動手段は、前記柔軟物品挟み手段を直線方向で案内する直進ガイドと、前記柔軟物品挟み手段を移動させる動力源であるサーボモータとを有する。
本発明態様によれば、柔軟物品を幅方向における適正な位置へ迅速且つ確実に置くことができる。
【0012】
本発明に係る柔軟物品の取出し装置において、前記センサは前記物品載置手段の幅方向に沿って互いに間隔をあけて並べられた複数の光電センサを有する。
この構成によれば、柔軟物品を非接触で検出できるので、柔軟物品の取出し装置の他の構成要素の構造を決めることが楽になる。
【0013】
本発明に係る柔軟物品の取出し装置において、前記制御装置は、前記複数の光電センサのうち柔軟物品を検知した光電センサの個数に応じて、前記柔軟物品挟み手段を停止させる位置を決める。
この構成によれば、簡単な制御手順によって柔軟物品の位置を正確に判定できる。
【0014】
本発明に係る柔軟物品の取出し装置のさらに他の発明態様において、前記制御装置は、前記複数の光電センサのうち柔軟物品を検知した光電センサが1個の場合、その光電センサによる検知位置を前記柔軟物品挟み手段を停止させる位置として決める
この発明態様によれば、1個の光電センサを用いて柔軟物品の位置を簡単且つ確実に判定できる。
【0015】
本発明に係る柔軟物品の取出し装置のさらに他の発明態様において、前記制御装置は、前記複数の光電センサのうち柔軟物品を検知した光電センサが2個の場合、前記物品載置手段の幅方向の中央に近い光電センサによる検知位置を前記柔軟物品挟み手段を停止させる位置として決める。
この発明態様によれば、2個の光電センサを用いて柔軟物品の位置を簡単且つ確実に判定できる。
【0016】
本発明に係る柔軟物品の取出し装置のさらに他の発明態様において、前記制御装置は、前記複数の光電センサのうち柔軟物品を検知した光電センサが前記物品載置手段の幅方向の中心線を挟んだ2個の場合、前記物品載置手段の幅方向の中心線を前記柔軟物品挟み手段を停止させる位置として決める。
この発明態様によれば、2個の光電センサを用いて柔軟物品の位置を簡単且つ確実に判定できる。
【0017】
本発明に係る柔軟物品の取出し装置のさらに他の発明態様において、前記制御装置は、前記複数の光電センサのうち柔軟物品を検知した光電センサが3個の場合、当該3個の光電センサのうちの真ん中の光電センサによる検知位置を前記柔軟物品挟み手段を停止させる位置として決めるか、前記物品載置手段の幅方向の中央に近い光電センサによる検知位置を前記柔軟物品挟み手段を停止させる位置として決めるか、又は前記物品載置手段の幅方向に関して当該物品載置手段の端に最も近い光電センサによる検知位置を前記柔軟物品挟み手段を停止させる位置として決める。
この発明態様によれば、3個の光電センサを用いて柔軟物品の位置を簡単且つ確実に判定できる。
【発明の効果】
【0018】
請求項1に規定した柔軟物品の取出し装置によれば、柔軟物品が物品載置手段の幅方向のどこにあるかをセンサによって検出し、その検出結果に基づいて挟み手段幅方向移動手段によって柔軟物品挟み手段の幅方向の位置を対象である柔軟物品の位置に合わせるようにしたので、1つの柔軟物品を安定して正確に取り出すことができるようになった。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明に係る柔軟物品の取出し装置を適用した装置の一例であるユニフォーム選別装置を示す図である。
図2】本発明に係る柔軟物品の取出し装置の一実施形態の正面図である。
図3図2の矢印Bに従った柔軟物品の取出し装置の左側面図である。
図4図2の矢印Dに従った柔軟物品の取出し装置の右側面図である。
図5図2の矢印Fに従った柔軟物品の取出し装置の平面図である。
図6図2のG-G線に従った柔軟物品の取出し装置の平面断面図である。
図7図2の主要部であるローラチャックユニットを一部破断して示す正面図であり、ローラの開状態を示す図である。
図8図7の矢印Qに従ったローラチャックユニットの左側面図である。
図9図7の矢印Rに従ったローラチャックユニットの平面図である。
図10】ローラが閉状態になっているローラチャックユニットの正面図である。
図11】柔軟物品の取出し装置の他の実施形態の正面図である。
図12図11の矢印Bに従った柔軟物品の取出し装置の左側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明に係る柔軟物品の取出し装置を実施形態に基づいて説明する。なお、本発明がこの実施形態に限定されないことはもちろんである。また、本明細書に添付した図面では特徴的な部分を分かり易く示すために実際のものとは異なった比率で構成要素を示す場合がある。
【0021】
図1は、本発明に係る柔軟物品の取出し装置を用いたリネンサプライ向けのユニフォーム選別装置の一例である。このユニフォーム選別装置1は、本発明に係る柔軟物品の取出し装置2と、異物検出装置3と、排出装置4と、種類識別装置5と、第1種別カゴ6aと、第2種別カゴ6bと、第3種別カゴ6cと、第4種別カゴ6dと、第5種別カゴ6eとを有している。ベルトコンベア7がこれらの機器の間に設けられている。ベルトコンベア7の適所に複数のテレビカメラ(図示せず)が配置され、これらのテレビカメラによって撮影された画像がモニタ8a、8b,8cに映し出される。
【0022】
異物検出装置3はX線測定装置11を有している。X線測定装置11はベルトコンベア7に乗って搬送される衣類AのX線画像を取得する。このX線画像を観察することにより、衣類Aのポケットに異物があるか否かを判別できる。排出装置4はベルト開閉部12を有している。ベルト開閉部12が開状態のとき、ベルトコンベア7に乗って移動する衣類Aが排出カゴ4aの内部に落下する。ベルト開閉部12が閉状態のとき衣類Aは排出カゴ4aの上部を通過する。
【0023】
種類識別装置5は読取り装置13を有している。複数の衣類Aのそれぞれには、衣類の種類(例えば、白衣であるか否か、色の種別、等)を表示するICチップが固着、例えば縫い付けられている。読取り装置13は衣類Aに着けられたICチップを読取る。第1種別カゴ6aから第4種別カゴ6dには、ぞれぞれ、ベルト開閉部14a~14dが設けられている。ベルト開閉部14a~14dのそれぞれが開状態のとき、ベルトコンベア7に乗って移動する衣類Aがそれぞれのベルト開閉部に属する種別カゴ6a~6dの内部に落下する。ベルト開閉部14a~14dのそれぞれが閉状態のとき、衣類Aはそれぞれの種別カゴ6a~6dの上部を通過する。最後段のベルト開閉部14dが閉状態のとき、衣類Aは第5種別カゴ6eの内部へ落下する。
【0024】
ユニフォーム選別装置1は適所、例えば柔軟物品の取出し装置2の内部に制御装置15を有している。制御装置15は、例えば、所定のプログラムに従って演算処理を実行して所定の動作を実現するコンピュータによって構成される。制御装置15は、上述した柔軟物品の取出し装置2から第5種別カゴ6eに至る間に設けられた各種の機器の動作をプログラムに従って制御する。
【0025】
作業者は、複数のユニフォームすなわち衣服Aを柔軟物品の取出し装置2の柔軟物品投入部20へ投入する。投入された衣類Aは柔軟物品投入部20内で無秩序な山積み状態となる。衣服Aは柔軟物品の一例である。柔軟物品の取出し装置2は、山積み状態である複数の衣服Aの束の中から1つの衣服Aを取り出して、後段に配置された異物検出装置3へ送り出す。送り出された1つの衣服Aはベルトコンベア7によって異物検出装置3、排出装置4、種類識別装置5、そして種別カゴ6a~6eへ順次に送られる。
【0026】
異物検出装置3は、X線測定装置11によって衣類AのX線画像を撮像する。衣類Aのポケット等に異物(例えば、ハサミその他の金属物)が残っている場合には、X線画像によってその異物が認識できる。その場合、制御装置15は排出カゴ4aに属するベルト開閉部12を開状態に開く。これにより、異物を保有する衣類Aを排出カゴ4aに回収できる。
【0027】
種類識別装置5は読取り装置13によって取得した衣類Aの画像に基づいて、衣類Aの種類(例えば、何色か?白衣か?等)を判別する。この判別結果に基づいて制御装置15は、該当するベルト開閉部14a~14dを開状態に開く。これにより、同じ種類の衣類Aを種別カゴ6a~6eのそれぞれに、まとめて収容できる。
【0028】
作業者は、排出カゴ4a及び種別カゴ6a~6eのそれぞれの内部に収容された、同じ種類の衣服Aに対して適切な処理を行うことができる。例えば、作業者はそれぞれの種類の衣類Aに対して適切な条件でクリーニング処理を行うことができる。
【0029】
(柔軟物品の取出し装置)
図2は、本発明に係る柔軟物品の取出し装置2の正面図を示している。図3図2の矢印Bに従った柔軟物品の取出し装置2の左側面図を示している。図2図3のC-C線に従った断面図である。図4図2の矢印Dに従った柔軟物品の取出し装置2の右側面図を示している。図2図4のE-E線に従った断面図である。図4中の矢印Kで示す部分は図2の矢印Lに示す方向から該当部分を見た図である。図5図2の矢印Fに従った平面図である。図6図2のG-G線に従った平面断面図である。
【0030】
図2図3及び図4において、柔軟物品の取出し装置2の底部に柔軟物品投入部20が設けられている。柔軟物品投入部20は、駆動ローラ21と従動ローラ22に掛け渡された搬送ベルト23と、図3の搬送ベルト23の左右の上方領域に設けられた側壁24とを有している。搬送ベルト23及び側壁24は、柔軟物品の取出し装置2の大体の形状を形成している骨組み構造である機枠25によって支持されている。
【0031】
駆動ローラ21は図示しない動力源(例えば電動モータ)によって回転するように駆動される。駆動ローラ21によって駆動される搬送ベルト23は図2において矢印Hで示す方向へ周回移動する。側壁24は清潔を維持できる金属、例えばステンレス鋼によって形成されている。搬送ベルト23は清潔を維持できる柔軟性の材料(例えばポリウレタン樹脂)によって形成されている。
【0032】
図2の柔軟物品の取出し装置2のほぼ中央部分に、ローラ進退移動装置30が設けられている。ローラ進退移動装置30は、ローラチャックユニット31を直線移動するように案内する直進ガイド32と、動力源であるサーボモータ33とを有する。直進ガイド32は図の上下方向へ延びている。サーボモータ33が作動すると、ローラチャックユニット31は直進ガイド32にガイドされながら上下移動する。ローラ進退移動装置30は、ローラチャックユニット31を、搬送ベルト23へ向かう方向(すなわち、図の下方向)及び搬送ベルト23から離れる方向(すなわち、図の上方向)の両方向へ直線的に移動させる。すなわち、ローラ進退移動装置30はローラチャックユニット31を搬送ベルト23上の衣類Aの山積みの束に対して前進移動及び後退移動させる。
【0033】
図2において、ローラ進退移動装置30に関して柔軟物品投入部20の反対側に、柔軟物品の受取搬送装置35が設けられている。柔軟物品の受取搬送装置35は、駆動ローラ36と従動ローラ37に掛け渡された搬送ベルト38と、図4において搬送ベルト38の左右の上方領域に設けられた側壁39とを有している。搬送ベルト38及び側壁39は機枠25によって支持されている。駆動ローラ36は図示しない動力源(例えば電動モータ)によって駆動されて回転する。駆動ローラ36によって駆動される搬送ベルト38は図2において矢印Jで示す方向へ周回移動する。
【0034】
柔軟物品の受取搬送装置35の上部に、柔軟物品の抜取り装置42が設けられている。この抜取り装置42は、挟持ユニット43を直線移動するように案内する直進ガイド44と、動力源であるサーボモータ45とを有する。直進ガイド44はローラ進退移動装置30へ向けて斜め上方から直線的に延びている。サーボモータ45が作動すると、挟持ユニット43は直進ガイド44にガイドされながら斜め方向で上下移動する。
【0035】
挟持ユニット43は、図5に示すように、一対のアーム部材46と、駆動機構47とを有している。駆動機構47は動力源(例えば電動モータ)を内蔵しており、その動力源の動力によりアーム46を矢印Mのように開移動させたり、矢印Nのように閉移動させたりする。
【0036】
図2において、柔軟物品投入部20の搬送ベルト23の前方(図の右方)にセンサユニット50が設けられている。センサユニット50は図6に示すように複数個(本実施形態では4個)の光電センサ50a,50b,50c,50dを搬送ベルト23の幅方向に互いに間隔をあけて並べることによって形成されている。各光電センサ50a~50dは、搬送ベルト23に乗って搬送される衣類Aが所定の距離まで近づいた所で衣類Aを検知する。光電センサ50a~50dを設けたのは、ローラチャックユニット31の移動及び搬送ベルト23の移動を制御するためである。これらのローラチャックユニット31及び搬送ベルト23の動作については後述する。
【0037】
(ローラチャックユニット)
図2及び図3において、ローラ進退移動装置30の直進ガイド32の上端部に可動ブロック51が配置されている。この可動ブロック51は、サーボモータ33によって駆動されて直進ガイド32に案内されながら図の上下方向へ移動する。この可動ブロック51にブラケット52,52が固定されており、これらのブラケット52,52の底面に取付板53が固定され、その取付板53に直進移動装置54が固定されている。
【0038】
直進移動装置54は、直進ガイド55と、サーボモータ56と、可動ブロック57とを有している。可動ブロック57は、サーボモータ56に駆動されて直進ガイド55に案内されながら図3の矢印P-P方向へ往復直線移動する。P-P方向は柔軟物品投入部20の搬送ベルト23の幅方向と平行の方向(すなわち、搬送ベルト23の周回移動方向と直角の方向)である。連結具60を介して可動ブロック57にローラチャックユニット31が固定されている。
【0039】
図7はローラチャックユニット31を拡大して示す正面図である。図8図7の矢印Qに従ったローラチャックユニット31の左側面図である。図9図7の矢印Rに従ったローラチャックユニット31の平面図である。図7は図に示されたローラチャックユニット31を拡大して示している。図8は図に示されたローラチャックユニット31を拡大して示している。
【0040】
図7及び図8において、ローラチャックユニット31は、連結具60に固定されたハウジング61を有している。ハウジング61は、図8において2つのハウジング片61a及び61bの上端部を連結具60の下端部に固定することによって形成されている。ハウジング61は図7の上方向(すなわちR方向)から見て四角形状の角筒形状に形成されている。ハウジング61の内部には、エアシリンダ62と、エアシリンダ62の出力軸62aの先端に固定された連結具63と、4つの回動プレート(すなわち回動板)64とを有している。図7及び図8では4つの回動プレート64のうちの手前側の2つの回動プレート64が図示されている。
【0041】
連結具63は図7の矢印Q方向から見てコ字形状を有している。回動プレート64は略三角形状の平板である。回動プレート64は、軸部材65によってハウジング61の側面に回転移動自在に、しかし縦横方向へのスライド移動は不能に取り付けられている。回動プレート64は、また、可動連結部材66によって連結具63に連結されている。可動連結部材66は図7の矢印R方向から見てコ字形状を有している。
【0042】
可動連結部材66は図7の軸部材70によって連結具63に回動自在に連結され、さらに軸部材71によって回動プレート64に回動自在に連結されている。図7において手前側と奥側とで対向している2組の回動プレート64によって(すなわち、図8において左右で対向している2組の回動プレート64によって)、挟持用ローラ72が支持されている。挟持用ローラ72は、本実施形態の場合、金属製の軸部材の周りに円筒形状のウレタンゴムを固着した構造を有している。
【0043】
ハウジング61の幅の狭い側面の下端部にボルト73によって当接部材としての係り部材74が取付けられている。係り部材74は図7において略L字形状に折れ曲がっており、ハウジング61の中心部へ延びている。さらに、係り部材74の先端領域74aはさらに上方へ折れ曲がって、ハウジング61の内部の上方向へ傾斜している。係り部材74の先端はさらに略90°で上方へ曲がっている。係り部材74は本実施形態の場合、バネ性を持った金属材料によって形成されている。なお、係り部材74はバネ性を持たない材料によって形成しても良い。
【0044】
図8においてエアシリンダ62の両側に光電センサ77,77が設けられている。これらの光電センサ77はハウジング61の内面に固定されている。光電センサ77の光出射先は図8の下方向、すなわち図3において柔軟物品投入部20の搬送ベルト23へ向かう方向である。ローラチャックユニット31がローラ進退移動装置30のモータ33によって駆動されて図3の下方向移動するとき、光電センサ77も一緒に下方向へ移動する。降下する光電センサ77と搬送ベルト23上の衣類Aとの間の距離が所定の距離まで近づくと、光電センサ77が衣類Aを検知して信号を出力する。
【0045】
図7に示す状態は、エアシリンダ62の出力軸62aが最下点へ突出した状態であり、回動プレート64は矢印Sで示すように軸部材65を中心として最も外側へ回動している。このとき、一対の挟持用ローラ72の間隔は最も開いた状態(すなわち、開状態)になっている。本柔軟物品の取出し装置において、装置が待機時にある場合には、挟持用ローラ72はこの開状態に置かれている。
【0046】
一方、エアシリンダ62が作動して出力軸62aが図7の矢印Tのようにエアシリンダ62の本体方向へ引込み移動すると、回動プレート64は軸部材65を中心として矢印Uで示すように内側へ回転移動する。これにより、両挟持用ローラ72の間隔は徐々に狭まり、最終的には図10に示すように両挟持用ローラ72が互いに当接する状態になる。この状態が挟持用ローラ72の閉状態である。
【0047】
挟持用ローラ72が図7に示す開状態から図10に示す閉状態へと回転移動する際、挟持用ローラ72は係り部材74の下面に当接することにより、摩擦力により図7の矢印Vで示すように内部方向へ向かって回転する。つまり、挟持用ローラ72は、内部方向へ回転(自転)しながら開状態から閉状態へと回転移動(公転)する。
【0048】
(柔軟物品の取出し装置の動作)
本実施形態の柔軟物品の取出し装置2は以上のように構成されているので、作業者は図2において作業の対象である1つ又は数個の衣類Aを衣類投入部20の搬送ベルト23の上へ順々に投入する。側壁24が設けられているので、投入された衣類Aが外部へ飛散することが無い。投入された複数の衣類Aは乱雑に重なった山積みの状態で搬送ベルト23によって搬送されて柔軟物品の取出し装置2の内部の中央部へ向けて移動する。このとき、ローラチャックユニット31の挟持用ローラ72は図7に示す開状態に置かれている。
【0049】
移動する衣類Aが図6において光電センサ50a~50dのいずれか又は全部の検知距離に到達すると、衣類Aを検知した光電センサから検知信号が出力される。この検知信号は図2の制御装置15へ送られる。検知信号を受けた制御装置15は搬送ベルト23の周回移動を停止する。搬送ベルト23の停止によりセンサ50a~50dの少なくとも1つによって検知された衣類Aも停止する。この衣類Aの停止位置は、図8において挟持用ローラ72のセンサ50に近い側の端部72aの下方位置となるように制御装置15によって制御される。衣類Aの停止位置をこのように制御するのは、ローラ72の軸方向のできるだけ広い領域においてローラ72が衣類Aと接触できるようにするためである。
【0050】
また、制御装置15は、搬送ベルト23の幅方向のどの位置に衣類Aが存在するかを判定する。搬送ベルト23の幅方向に関する衣類Aの位置が決められると、制御装置15は、図3において直進移動装置54のサーボモータ56を適宜に作動させて、すなわちサーボモータ56の出力軸の回転数(すなわち回転角度)を適宜に制御して、ローラチャックユニット31をP-P方向へ適宜の距離だけ移動させる。これにより、ローラチャックユニット31がセンサ50a~50dによって認定された位置まで平行移動する。
【0051】
以上のローラチャックユニット31の位置調整と共に、制御装置15は図3のローラ進退移動装置30のサーボモータ33を作動させて可動ブロック51を下降移動(すなわち前進移動)させる。これにより、光電センサ50a~50dによって搬送ベルト23の幅方向に関して特定された衣類Aの位置へ移動したローラチャックユニット31が、その衣類Aに向けて下降移動する。このローラチャックユニット31の下降移動に伴って図8において光電センサ77も下降移動する。下降移動する光電センサ77が図2の所定距離まで移動して搬送ベルト23上の衣類Aを検知すると、該当する光電センサ77から検知信号が出力され、この検知信号が制御装置15(図2)へ伝送される。
【0052】
この検知信号を受けた制御装置15は、図7においてエアシリンダ62を作動させる。すると、出力軸62aが矢印T方向へ引き込まれ、これにより、回動プレート64従って挟持用ローラ72が図10の閉状態へ向けて閉移動を開始する。閉移動する挟持用ローラ72は搬送ベルト23上の衣類Aの束の中に入り込み、搬送ベルト23の直上位置に達したときに図10に示す閉状態になる。
【0053】
挟持用ローラ72が開状態(図7)から閉状態(図10)へと軸部材65を中心として回転移動する際、挟持用ローラ72は係り部材74に当接しながら移動するので、摩擦力の働きにより挟持用ローラ72は中心軸X0を中心として内部方向へ回転(自転)する。このような挟持用ローラ72の開閉移動(公転)と回転(自転)により、挟持用ローラ72は1つの衣類Aだけを確実に巻き上げて挟持する。係り部材74はバネ材によって形成されているので、挟持用ローラ72が閉状態(図10)に近付くのに応じて挟持用ローラ72の回転(自転)の力が強くなる。その結果、挟持用ローラ72による衣類Aの挟持力が強くなる。
【0054】
挟持用ローラ72が図2の搬送ベルト23の直上の最下位位置に停止してから比較的短い所定時間が経過すると、制御装置15はサーボモータ33を作動させてローラチャックユニット31を上方へ移動させる。これにより、挟持用ローラ72によって挟持された1つの衣類Aだけが上方へ持ち上げられる。
【0055】
上方へ移動するローラチャックユニット31が図2に示す初期位置又はその近傍に達すると、制御装置15は図2の柔軟物品の抜取り装置42のサーボモータ45を作動させて挟持ユニット43を、持ち上げられた衣類Aへ向けて前進移動させる。そして、同時に、図5において挟持ユニット43の駆動機構47を作動させてアーム部材46をN方向へ閉じる。これにより、持ち上げられた衣類Aがアーム部材46によって挟持される。
【0056】
その後、制御装置15(図2)は挟持用ローラ72を図7に示す開状態へ戻す。こうして挟持用ローラ72による衣類Aの挟持が解除された後、制御装置15は挟持ユニット43を柔軟物品の受取搬送装置35の上方位置である初期位置へ戻す。これにより、アーム部材46によって挟持されている1つの衣類Aが柔軟物品の受取搬送装置35の上方位置へ持ち運ばれる。
【0057】
その後、制御装置15によってアーム部材46が図5の矢印Mで示す開位置へ開かれ、これにより図2において1つの衣類Aが柔軟物品の受取搬送装置35の搬送ベルト38上に落下する。落下した衣類Aは搬送ベルト38によって搬送されて図1において異物検出装置3へ向けて送り出される。以上により、柔軟物品投入部20に投入された衣類Aの山積み状態の束の中から1つの衣類Aが受取搬送装置35へ取り出される。
【0058】
図6のセンサユニット50の作用)
図3において柔軟物品投入部20の搬送ベルト23上の衣類Aの束の中から1つの衣類Aを取り上げることを考えた場合、ローラチャックユニット31の挟持用ローラ72を搬送ベルト23の幅方向(図3の左右方向)のどの位置に置くか、ということが重要な問題である。本実施形態では、図2及び図6に示したセンサユニット50を用いた制御装置15におけるプログラムにより、有効な位置決め制御を実現している。
【0059】
図6において、柔軟物品投入部20の搬送ベルト23の幅方向の1側端から順に光電センサ50a~50dが間隔を置いて順に配置されている。各センサ50a~50dが衣類Aを検知する点が、それぞれ、P1,P2,P4,P5である。P3は検知点P2と検知点P4との中間点である。検知点P1~P5の位置は、センサ50a~50dの特性によって決まる位置であるが、制御装置15(図2)はこれらの検知点P1~P5に基づいて搬送ベルト23の停止のタイミング、すなわち衣類Aを停止させる位置を特定する。この位置が図8の挟持用ローラ72のセンサ50に近い側の端部72aに合うように制御されることは記述の通りである。
【0060】
(センサ50a~50dの1個だけが衣類を検知する場合)
本実施形態ではセンサ50a~50dの1個だけが衣類Aを検知する場合がある。この場合には、衣類を検知しているセンサ(すなわち50a~50dのいずれか)に対応した検知点(すなわちP1,P2,P4,P5のいずれか)を検知点とする。例えば、センサ50aが衣類Aを検知した場合には検知点P1を検知点とする。図2の制御装置15は、図3のローラチャックユニット31をこの検知点に一致するようにP-P方向へ移動させる。
【0061】
(センサ50a~50dの2個が衣類を検知する場合)
この場合には、搬送ベルト23の幅方向の中央に近いセンサの検知点を優先して検知点とする。例えば、センサ50a(検知点P1)とセンサ50b(検知点P2)が衣類を検知した場合には、まず検知点P2を検知点としてローラチャックユニット31をこの検知点に合わせて、挟持用ローラ72による衣類の挟持動作を行う。仮に検知点P2での挟持が不成功であった場合、図2の制御装置15はローラチャックユニット31を一旦、図3に示す初期位置(すなわち上死点)へ戻してから、ローラチャックユニット31をP-P方向へ移動させて次の候補点である検知点P1に合わせる。そして、検知点P1において挟持用ローラ72による再度のグリップ処理を実行する。
【0062】
(中央にある2つのセンサ50bとセンサ50cが衣類を同時に検知する場合)
この場合には中央の検知点P3を検知点として認定する。そして、検知点P3においてローラチャックユニット31による衣類の挟持動作を行う。
【0063】
(センサ50a~50dの3個が衣類を検知する場合)
この場合には、まず3個のうちの真ん中のセンサに対応する検知点を選択して衣類の挟持動作を行う。その検知点での挟持処理が不成功であったときには、次に搬送ベルト23の幅方向の中央寄りのセンサに対応する検知点を次の検知点として設定して衣類の挟持動作を行う。この検知点でも挟持処理が不成功であったときには、次に残りの1個のセンサに対応する検知点を最後の検知点として設定して衣類の表示動作を行う。
例えば、センサ50a、センサ50b及びセンサ50cの3個のセンサが衣類を検知した場合には、検知点P2→検知点P4→検知点P1の順で衣類の挟持動作を行う。
【0064】
(センサ50a~50dの4個の全部が衣類を検知する場合)
この場合には、まず中央の検知点を優先し、その後に両端を選択する。例えば、中央の検知点P3をまず初めに検知点として選択する。検知点P3での挟持処理が不成功のときに検知点P1を次に検知点として選択する。さらに、検知点P1での挟持処理が不成功のときに、検知点P5を検知点として選択して挟持処理を行う。
【0065】
以上のような挟持動作を行っても、ローラチャックユニット31による衣類Aの挟持処理が不成功に終わる場合がある。この場合には、図2において搬送ベルト23をH方向の逆方向に周回移動させて衣類Aを後退移動させる。そして、衣類Aをセンサ50a~50dの検知距離に入れることからやり直す。これにより、衣類Aの束の中で個々の衣類Aの位置にズレが生じるので、衣類の挟持処理が成功する確率が高くなる。
【0066】
本実施形態では4個のセンサを用いて5個の検知点を設定したが、以上の説明の通り3ヶ所以下の検知点を用いて衣類の検知を行うことにした。これにより、やり直しの判断にかかる時間を短縮化でき、その結果、制御装置15(図2)の処理能力の低下を防止できる。
【0067】
(柔軟物品の取出し装置の第2の実施形態)
以上の実施形態では、図2及び図3に示したように、挟持用ローラ72の開閉方向が搬送ベルト23の幅方向(すなわち搬送ベルト23の周回移動方向と直角方向)に合わされていた。これとは別に、図11及び図12に示すように、挟持用ローラ72の開閉方向を搬送ベルト23の周回移動方向と同じ方向(すなわち、周回移動方向と平行の方向)に合わせることもできる。この場合でも、挟持用ローラ72,72によって衣類Aをしっかりと把持できる。
【0068】
なお、挟持用ローラ72の開閉方向を搬送ベルト23の幅方向(すなわち搬送ベルト23の周回移動方向と直角の方向)に合わせた図2及び図3に示した実施形態においては、搬送ベルト23を停止させる位置(すなわち、衣類Aを停止させる位置)を図8の挟持用ローラ72のセンサ50側の端部72aに合わせた。これに対し、挟持用ローラ72の開閉方向を搬送ベルト23の周回移動方向に合わせた図11及び図12に示した実施形態においては、搬送ベルト23を停止させる位置(すなわち、衣類Aを停止させる位置)を図7においてセンサ50に近い側の挟持用ローラ72の回転中心軸X0に合わせることが望ましい。こうすれば、自身の中心線X0を中心として自転しながら、軸部材65を中心として公転する一対の挟持用ローラ72が衣類Aに接触する面積を大きくとることができるので、好ましい。
【0069】
(その他の実施形態)
以上、好ましい実施形態を挙げて本発明を説明したが、本発明はその実施形態に限定されるものでなく、請求の範囲に記載した発明の範囲内で種々に改変できる。
例えば、以上の説明では本発明に係る柔軟物品の取出し装置を図1のユニフォーム選別装置に適用した場合を例示したが、本発明はその他の種々の装置に適用可能である。
【0070】
また、以上の説明では、柔軟物品として衣服Aを例示したが、柔軟物品は不定形で柔軟な物品であれば何でも適用可能である。例えば、布袋、タオル製品、等が考えられる。
【符号の説明】
【0071】
1:ユニフォーム選別装置、 2:柔軟物品の取出し装置、 3:異物検出装置、 4:排出装置、 4a:排出カゴ、 5:種類識別装置、 6a~6e:種別カゴ、 7:ベルトコンベア、 8a,8b,8c:モニタ、 11:X線測定装置、 12:ベルト開閉部、 13:読取り装置、 14a,14b,14c,14d:ベルト開閉部、 15:制御装置(ローラ閉動作手段)、 20:柔軟物品投入部、 21:駆動ローラ、 22:従動ローラ、 23:搬送ベルト、 24:側壁、 25:機枠、 30:ローラ進退移動装置(挟み手段進退移動手段)、 31:ローラチャックユニット、 32:直進ガイド(ガイド部材、ローラ進退移動手段)、 33:サーボモータ(ローラ進退移動手段)、 35:柔軟物品の受取搬送装置、 36:駆動ローラ、 37:従動ローラ、 38:搬送ベルト、 39:側壁、 42:柔軟物品の抜取り装置、 43:挟持ユニット、 44:直進ガイド、 45:サーボモータ、 46:アーム部材、 47:駆動機構、 50:センサユニット、 50a~50d:センサ、 51:可動ブロック、 52:ブラケット、 53:取付板、 54:直進移動装置、 55:直進ガイド、 56:サーボモータ、 57:可動ブロック、 60:連結具、 61:ハウジング、 61a,61b:ハウジング片、 62:エアシリンダ(ローラ閉動作手段)、 62a:出力軸、 63:連結具、 64:回動プレート(回動板、ローラ支持手段)、 65:軸部材、 66:可動連結部材、 70:軸部材、 71:軸部材、 72:挟持用ローラ、 73:ボルト、 74:係り部材(当接部材、ローラ回転手段)、 74a:先端領域、 77:光電センサ(ローラ閉動作手段)、 A:衣服(柔軟物品)、 P1~P5:検知点
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12