(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-14
(45)【発行日】2024-11-22
(54)【発明の名称】光学測定装置
(51)【国際特許分類】
G01B 11/02 20060101AFI20241115BHJP
【FI】
G01B11/02 H
(21)【出願番号】P 2020193513
(22)【出願日】2020-11-20
【審査請求日】2023-09-08
(73)【特許権者】
【識別番号】000129253
【氏名又は名称】株式会社キーエンス
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】弁理士法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】杉野 公彦
(72)【発明者】
【氏名】森本 英敏
(72)【発明者】
【氏名】大川 陽平
【審査官】眞岩 久恵
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-032360(JP,A)
【文献】特開2012-032224(JP,A)
【文献】特開2014-137327(JP,A)
【文献】特開2009-192297(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01B 11/00-11/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワークが
通過する測定領域に投射される平行光を生成する投光側テレセントリックレンズが取り付けられ、投光窓を有する投光用筐体と、測定領域を通過した平行光が入射する受光側テレセントリックレンズ及び前記受光側テレセントリックレンズを通過した光を受光する二次元撮像素子が取り付けられ、受光窓を有する受光用筐体と
、前記投光用筐体と前記受光用筐体とを接続するケーブルと、を備え、
前記投光用筐体と前記受光用筐体とを、前記投光窓と前記受光窓とが対向するように設置した状態で、測定領域を通過するワー
クに対する寸法測定を行う光学測定装置において、
寸法測定の設定の対象となる複数の基準画像と、それぞれの基準画像に対して設定された寸法測定領域、寸法測定項目、及び判定閾値を関連付けて記憶する記憶部と、
測定領域
を通過するワークを前記二次元撮像素子により撮像させて
、測定画像を取得する画像取得部と、
前記記憶部に記憶された複数の基準画像に基づいて、前記画像取得部により取得された測定画像と当該複数の基準画像との一致判定を行う画像判定部と、
前記画像判定部により、前記測定画像が前記複数の基準画像のいずれかと一致したと判定されると、前記測定画像に対し、
前記測定画像と一致した当該基準画像に
対して設定された寸法測定領域、寸法測定項目、及び判定閾値を適用した寸法測定を実行する実行部と、
測定領域を通過するワークに対して
、前記画像取得部による測定画像の取得と、前記画像判定部による一致判定と、一致した場合に前記実行部によ
り実行され
る寸法測定
とを、複数回繰り返した結果に基づいて、ワークの寸法に関する総合判定を行う総合判定部とを備えている光学測定装置。
【請求項2】
請求項1に記載の光学測定装置において、
前記光学測定装置の設定時に、前記二次元撮像素子にワークの異なる部位をそれぞれ撮像させて取得した複数の画像を識別する識別情報を当該各画像に付与し、当該各画像を基準画像として登録する登録部を備えており、
前記記憶部は、前記識別情報が付与された基準画像を記憶し、
前記光学測定装置は、前記識別情報と基準画像とを関連付けて表示する表示部を更に備えている光学測定装置。
【請求項3】
請求項2に記載の光学測定装置において、
前記登録部に登録された基準画像毎に、寸法測定領域、寸法測定項目、及び判定閾値を設定可能な設定部を備え、
前記記憶部は、前記設定部で設定された寸法測定領域、寸法測定項目、及び判定閾値と、前記識別情報と、基準画像とを関連付けて記憶する光学測定装置。
【請求項4】
請求項3に記載の光学測定装置において、
前記設定部には、複数の基準画像の中から任意の基準画像を選択する選択部が設けられており、
前記表示部は、前記選択部で選択された基準画像を表示し、
前記設定部は、前記表示部に表示された基準画像に適用する寸法測定領域、寸法測定項目、及び判定閾値を設定可能に構成されている光学測定装置。
【請求項5】
請求項2から4のいずれか1つに記載の光学測定装置において、
前記画像判定部は、前記登録部で登録された基準画像と、前記画像取得部により取得された測定画像との一致判定を行う光学測定装置。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか1つに記載の光学測定装置において、
前記総合判定部は、複数の寸法測定の結果の全てが判定閾値内である場合にのみ、総合判定を良とする光学測定装置。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか1つに記載の光学測定装置において、
前記総合判定部は、複数の寸法測定の結果のうち、全ての結果を総合判定の対象とするか、一部の結果についてのみ総合判定の対象とするかの選択を受け付ける光学測定装置。
【請求項8】
請求項1から7のいずれか1つに記載の光学測定装置において、
前記画像判定部は、前記記憶部に記憶された複数の基準画像のうち、一の基準画像と前記画像取得部により取得された測定画像との一致判定を行い、一致しないと判定した場合に、別の基準画像と前記測定画像との一致判定を行うか否かの選択を受け付ける光学測定装置。
【請求項9】
請求項1から8のいずれか1つに記載の光学測定装置において、
前記総合判定部は、前記画像判定部による判定の結果、前記画像取得部により取得された測定画像と一致する基準画像が存在しない場合には、判定結果を不良とする光学測定装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、測定領域に測定光を投射して測定対象物を測定する光学測定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1には、光源から照射された光を貼り合わせ基板の外周縁越しに画像センサに向けて照射し、基板のエッジの影像を画像センサに投影することで、2枚の基板の位置ずれを検出することが開示されている。画像センサ側には、テレセントリックレンズが設けられており、基板のエッジの影像はテレセントリックレンズを介して画像センサに投影される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1のようにテレセントリック光学系を用いて平行光を生成する場合、その平行光を照射可能な視野範囲は狭くなりがちであり、視野範囲を広くしようとする光学系が大型化し、実際には難しい。
【0005】
一方、長尺ワークが測定対象物となることがある。長尺ワークでは、長手方向に離れた複数箇所の寸法検査が必要なことがある。この場合、長尺ワークの一部が光学測定装置の視野範囲外に位置してしまい、視野範囲外の寸法検査が行えなくなるので、ワークを長手方向に移動させるとともに、基準となる画像を変更する等、段取り替えを行ってから寸法検査する工程を必要回数繰り返さなければならなかった。そして、全ての検査結果をPLC(Programmable Logic Controller)等の外部制御機器に出力し、PLCにて総合判定を行う必要がある。
【0006】
このような長尺ワークの検査では、PLCから段取り替え信号を送るプログラムや、PLCにて総合判定を行うプログラムを作成する必要があり、ユーザの作業負担が大きく、使い勝手が悪い。加えて、プログラミングに不慣れなユーザの場合、プログラミングすることすら困難な場合もある。
【0007】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、視野範囲よりも長いワークであっても段取り替えを行うことなく、各部の寸法検査を実行可能にし、光学測定装置内で総合判定まで行えるようにして、光学測定装置の使い勝手を向上させることにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、第1の開示では、ワークが配置される測定領域に投射される平行光を生成する投光側テレセントリックレンズが取り付けられ、投光窓を有する投光用筐体と、測定領域を通過した平行光が入射する受光側テレセントリックレンズ及び前記受光側テレセントリックレンズを通過した光を受光する二次元撮像素子が取り付けられ、受光窓を有する受光用筐体とを、前記投光窓と前記受光窓とが対向するように設置した状態で、測定領域を通過するワークの異なる部位に対する寸法測定を行う光学測定装置を前提とする。
【0009】
光学測定装置は、ワークの異なる部位に応じた複数の基準画像を、それぞれ寸法測定領域、寸法測定項目、及び判定閾値を関連付けて記憶する記憶部と、測定領域に入ったワークの部位を前記二次元撮像素子により撮像させて、当該部位の測定画像を取得する画像取得部と、前記記憶部に記憶された複数の基準画像に基づいて、前記画像取得部により取得された測定画像と当該複数の基準画像との一致判定を行う画像判定部と、前記画像判定部により、前記測定画像が前記複数の基準画像のいずれかと一致したと判定されると、前記測定画像に対し、当該基準画像に関連付けられた寸法測定領域、寸法測定項目、及び判定閾値を適用した寸法測定を実行する実行部と、ワークの異なる部位に対して前記実行部により複数回繰り返し実行された複数の寸法測定の結果に基づいて、ワークの寸法に関する総合判定を行う総合判定部とを備えている。
【0010】
この構成によれば、投光窓と受光窓とが対向するように投光用筐体と受光用筐体とを設置すると、投光側テレセントリックレンズによって生成された平行光が測定領域に投射され、測定領域を通過した平行光が受光側テレセントリックレンズを通過して二次元撮像素子で受光される。本構成のようにテレセントリック光学系を用いていると、視野範囲が限定される。そこで、例えば長尺ワークの長手方向に離れた複数箇所の寸法検査を行おうとした場合、ワークをその長手方向に移動させながら、測定領域を通過させる方法が考えられる。
【0011】
本構成によれば、測定領域に入ったワークの部位を二次元撮像素子により撮像することで、当該部位の測定画像を取得し、画像判定部が、取得された測定画像と複数の基準画像との一致判定を行う。測定画像が複数の基準画像のいずれかと一致した場合には、測定画像に対し、当該基準画像に関連付けられた寸法測定領域、寸法測定項目、及び判定閾値を適用した寸法測定が実行される。その後、ワークの別の部位に対しても同様に撮像、一致判定し、一致した場合には基準画像に関連付けられた寸法測定領域、寸法測定項目、及び判定閾値を適用した寸法測定が実行される。よって、段取り替えすることなく、ワークの複数箇所の寸法検査を行うことが可能になるので、外部制御機器から段取り替え信号を送るためのプログラムの作成は不要になる。
【0012】
また、寸法測定が複数回繰り返し実行されることで得られた複数の寸法測定の結果に基づいて総合判定部で総合判定が行われるので、外部制御機器に対して総合判定を行わせるためのプログラムの作成は不要になる。
【0013】
第2の開示では、前記光学測定装置が、設定時に、前記二次元撮像素子にワークの異なる部位をそれぞれ撮像させて取得した複数の画像を識別する識別情報を当該各画像に付与し、当該各画像を基準画像として登録する登録部を備えている。前記記憶部は、前記識別情報が付与された基準画像を記憶することができる。識別情報としては、例えば番号等であり、この番号等を基準画像とを関連付けて表示部に表示することで、ユーザは複数の基準画像を識別できる。
【0014】
第3の開示では、前記光学測定装置が、前記登録部に登録された基準画像毎に、寸法測定領域、寸法測定項目、及び判定閾値を設定可能な設定部を備えている。前記記憶部は、前記設定部で設定された寸法測定領域、寸法測定項目、及び判定閾値と、前記識別情報と、基準画像とを関連付けて記憶することができる。
【0015】
第4の開示では、前記設定部に、複数の基準画像の中から任意の基準画像を選択する選択部が設けられているので、ユーザは複数の基準画像の中から所望の基準画像を選択できる。前記選択部で選択された基準画像は表示部に表示されるので、ユーザが選択した基準画像を確認できる。前記設定部は、前記表示部に表示された基準画像に適用する寸法測定領域、寸法測定項目、及び判定閾値を設定可能に構成されているので、基準画像を確認しながら、寸法測定領域、寸法測定項目、及び判定閾値を設定することができる。
【0016】
第5の開示では、前記画像判定部は、前記登録部で登録された基準画像と、前記画像取得部により取得された測定画像との一致判定を行うことができる。
【0017】
第6の開示では、前記総合判定部は、複数の寸法測定の結果の全てが判定閾値内である場合にのみ、総合判定を良とすることができる。
【0018】
第7の開示では、前記総合判定部は、複数の寸法測定の結果のうち、全ての結果を総合判定の対象とするか、一部の結果についてのみ総合判定の対象とするかの選択を受け付けることができる。
【0019】
第8の開示では、前記画像判定部は、前記記憶部に記憶された複数の基準画像のうち、一の基準画像と前記画像取得部により取得された測定画像との一致判定を行い、一致しないと判定した場合に、別の基準画像と前記測定画像との一致判定を行うか否かの選択を受け付けることができる。
【0020】
第9の開示では、前記総合判定部は、前記画像判定部による判定の結果、前記画像取得部により取得された測定画像と一致する基準画像が存在しない場合には、判定結果を不良とすることができる。
【発明の効果】
【0021】
以上説明したように、ワークの異なる部位に応じた複数の基準画像を、それぞれ寸法測定領域、寸法測定項目、及び判定閾値を関連付けて記憶しておき、測定領域に入ったワークの部位を撮像して取得された測定画像と複数の基準画像との一致判定を行い、いずれかの基準画像と一致した場合に、その基準画像に関連付けられた寸法測定領域、寸法測定項目、及び判定閾値を適用した寸法測定を実行し、これがワークの異なる部位に対して複数回繰り返し実行された複数の寸法測定の結果に基づいて、ワークの寸法に関する総合判定を行うことができる。これにより、視野範囲よりも長いワークであっても段取り替えを行うことなく、各部の寸法検査を実行して総合判定まで行うことができるので、光学測定装置の使い勝手を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】本発明の実施形態に係る光学測定装置の模式図である。
【
図2】投光用ユニット及び受光用ユニットを固定部材に固定して使用する形態を示す斜視図である。
【
図3】投光用ユニット及び受光用ユニットを固定部材に固定して使用する形態を示す側面図である。
【
図4】固定部材を使用せずに投光用ユニット及び受光用ユニットを設置する形態を示す斜視図である。
【
図5】固定部材を使用せずに投光用ユニット及び受光用ユニットを設置する形態を示す側面図である。
【
図6】投光用ユニット及び受光用ユニットを固定部材に固定して使用する場合の光軸に沿った縦断面図である。
【
図8】テレセントリックレンズ及び受光側反射体を外した状態を示す
図7相当図である。
【
図9】光学測定装置の設定時の処理手順の一例を示すフローチャートである。
【
図10】設定用ユーザーインターフェース画面の一例を示す図である。
【
図11】詳細設定用ユーザーインターフェース画面の一例を示す図である。
【
図12】測定条件指定用ユーザーインターフェース画面の一例を示す図である。
【
図13】公差指定用ユーザーインターフェース画面の一例を示す図である。
【
図14】光学測定装置の運用時の処理手順の一例を示すフローチャートである。
【
図15】運用時のユーザーインターフェース画面の一例を示す図である。
【
図16A】現在選択している処理パターンの結果のみ表示したユーザーインターフェース画面の一例を示す図である。
【
図16B】現在有効な処理パターンの結果を強調表示したユーザーインターフェース画面の一例を示す図である。
【
図18】基準画像設定用ユーザーインターフェース画面の一例を示す図である。
【
図19】基準画像選択用ユーザーインターフェース画面の一例を示す図である。
【
図20】総合判定処理の一例を示すフローチャートである。
【
図21】複数種のワークを入れ換えて測定を行う場合のフローチャートである。
【
図22】1種類のワークを複数回に分けて検査を行う場合のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。尚、以下の好ましい実施形態の説明は、本質的に例示に過ぎず、本発明、その適用物或いはその用途を制限することを意図するものではない。
【0024】
図1は、本発明の実施形態に係る光学測定装置1の概略構成を模式的に示すものである。光学測定装置1は、測定領域Sに測定光を投射して測定対象物であるワークWを測定する装置であり、投光用ユニット10と、受光用ユニット30と、制御装置70と、キーボード80及びマウス81と、表示装置82と、記憶装置83とを備えている。また、制御装置70にはプログラマブルコントローラ90が接続されている。キーボード80及びマウス81は、操作手段の一例であり、例えばタッチパネル式の操作手段等であってもよい。表示装置82は、例えば液晶ディスプレイや有機ELディスプレイ等で構成されている。記憶装置83は、例えばハードディスクドライブやSSD(ソリッドステートドライブ)等で構成されている。プログラマブルコントローラ90は、外部制御機器の一例であり、制御装置70から出力される所定の制御信号を受信し、外部に接続された各種機器を制御する。
【0025】
投光用ユニット10は、ワークWが配置される測定領域Sに投射する測定光を生成する光源11と、光源11を保持する光源ホルダ12と、拡散手段13と、投光側反射体14と、投光側テレセントリックレンズ15と、投光用筐体20とを備えている。
【0026】
受光用ユニット30は、二次元撮像素子31と、二次元撮像素子31を保持する撮像素子ホルダ37と、受光レンズ33と、絞り34と、受光側反射体35と、受光側テレセントリックレンズ36と、撮像制御部39と、受光用筐体40とを備えている。撮像制御部39は、受光用ユニット30に設けることができるが、投光用ユニット10に設けられていてもよい。
【0027】
投光用筐体20及び受光用筐体40は高剛性な金属材からなる単一部材で構成されており、各種位置決めの基準となる面や、各部材の取り付けの基準となる面、各部材が接触する面等は切削加工されていて高い精度が確保されている。各種位置決めの基準となる面や、各部材が取り付けの基準となる面、各部材が接触する面等は成型によって形成されてもよい。
【0028】
また、制御装置70は、画像取得部71と、DSP72と、CPU73と、メモリ74と、入出力回路75とを備えている。制御装置70は、例えばパーソナルコンピュータ等で構成することができる。画像取得部71で取得された測定画像のデータは、DSP72で信号処理された後、CPU73に出力される。CPU73では、測定画像のエッジを抽出し、抽出されたエッジを用いて寸法測定を実行する。測定画像のエッジ抽出処理は従来から周知の手法を用いることができる。寸法測定としては、例えば2つのエッジ間の距離等である。メモリ74には、RAM及びROMが含まれており、CPU73に所定の機能を実行させるプログラムの記憶や、測定画像、測定結果の一時的な記憶のために利用される部分である。入出力回路75は、測定画像や測定結果、制御信号を外部へ出力するとともに、キーボード80やマウス81の操作状態の入力を受け付ける回路である。測定画像や測定結果は、入出力回路75から記憶装置83に出力することができる。また、制御信号は、入出力回路75からプログラマブルコントローラ90に出力することができる。さらに、測定画像や測定結果は、所定のユーザーインターフェース画面を示すデータとともに表示装置82に出力して表示させることができる。ユーザーインターフェース画面は、CPU73で生成することができる。
【0029】
(光学測定装置1の使用形態)
図2及び
図3は、投光用ユニット10及び受光用ユニット30を共通の固定部材60に固定して使用する形態である。固定部材60は、光学測定装置1の一部を構成する部材であり、所定方向に長い金属製の板材で構成され、高い剛性を持っている。固定部材60の長手方向一側に投光用ユニット10を取り付け、固定部材60の長手方向他側に受光用ユニット30を取り付けて使用する。固定部材60の形状は、図示した形状に限られるものではなく、例えば中空状の部材であってもよい。
【0030】
一方、
図3及び
図5は、投光用ユニット10及び受光用ユニット30を固定部材60に固定せずに使用する形態である。この形態では、投光用ユニット10及び受光用ユニット30を、測定を行う現場にある各種部材(図示せず)に固定して使用する。
【0031】
どちらの使用形態も、投光用ユニット10と受光用ユニット30との間に測定領域Sが形成される。また、投光用ユニット10と受光用ユニット30との距離(ワーキングディスタンス)は予め設定された距離以内とされている。
【0032】
また、この実施形態の説明では、
図3や
図5に示すように、投光用ユニット10と受光用ユニット30とが水平方向に離れていて、両ユニット10、30の光軸が水平方向に延び、かつ互いに一致する場合について説明するが、光軸が斜めに延びるように両ユニット10、30を配置してもよいし、光軸が上下方向に延びるように両ユニット10、30を配置してもよい。つまり、両ユニット10、30を互いに向き合わせたとき斜め方向や上下方向となるように配置してもよい。
【0033】
(投光用ユニット10の構成)
図6にも示すように、投光用ユニット10の光源11は、例えばInGaNグリーンLED等の発光ダイオード等で構成されており、基板11aに実装されている。基板11aにはマイクロコンピュータ等からなる撮像制御部39(
図1に示す)が接続されており、この撮像制御部39により、光源11が制御される。例えば撮像の間隔が数ミリ秒~数十ミリ秒であって各撮像における露光時間が1ミリ秒以下である場合、撮像の間隔や露光時間に応じて、撮像制御部39により、光源11がパルス点灯制御される。各撮像における露光時間を例えば100マイクロ秒とすることで、光学測定装置1は高速搬送ワークも止めずに測定可能となり、撮像の間隔や露光時間に応じて光源11がパルス点灯制御されることで、光源11における発熱を抑制することができる。
【0034】
基板11aは、光源ホルダ12に固定されている。基板11aを光源ホルダ12に固定することで、光源11を光源ホルダ12に保持することができる。基板11aは、光源ホルダ12の下部に固定されており、その上に光源11が配置され、光源11は上方へ向けて光を投射する姿勢となっている。基板11aは、光源ホルダ12に対して位置調整可能に取り付けられている。
【0035】
光源ホルダ12には、平行光が得られるように収差補正されたコリメートレンズ12aと、光拡散ユニット12bと、2つの投光レンズ12cとが設けられている。投光レンズ12cは1つであってもよい。コリメートレンズ12aは、光源11の上方に位置しており、光源11の光がコリメートレンズ12aに直接入射するようになっている。コリメートレンズ12aに入射した光は、平行光に変換されて上方へ出射する。コリメートレンズ12aの光出射面の上方には、光拡散ユニット12bが位置している。光拡散ユニット12bは入射した光を拡散させるための部材であり、光拡散ユニット12bに入射した光は、光拡散ユニット12bを通過することで、拡散されて上方へ出射する。コリメートレンズ12aから入射した平行光は、光拡散ユニット12bにおいて円形の光像を形成する。光拡散ユニット12bを通過した平行光は、光像の各点において平行成分をピークとする角度特性の拡散光として光拡散ユニット12bから出射される。2つの投光レンズ12cは、光拡散ユニット12bの光出射面の上方に位置している。光拡散ユニット12bから出射した光は、2つの投光レンズ12cを通過して上方へ出射する。2つの投光レンズ12cは、光拡散ユニット12bから出射した光の広がり角を調整する。光拡散ユニット12bから出射した光の広がり角を狭い角度に調整することで、投光側テレセントリックレンズ15を通過する光の光密度を高めることができる。また、投光レンズ12cを通過した光は、スリット12dを通過するが、スリット12d近傍の各位置において、光量の総和や角度分布が全て均質になる。これにより、影像の境界の状態が場所によって変わらず、測定精度を高めることができる。
【0036】
光源11、コリメートレンズ12a、光拡散ユニット12b及び2つの投光レンズ12cは、光源ホルダ12に固定されて相対変位が不能になっている。この状態で、光源11の中心を通って当該光源11の光放射面に垂直な線上に、コリメートレンズ12a、光拡散ユニット12b及び2つの投光レンズ12cの光軸が位置するように、コリメートレンズ12a、光拡散ユニット12b及び2つの投光レンズ12cが配置されている。
【0037】
光源ホルダ12は、投光用筐体20の内部に収容された状態で当該投光用筐体20に取り付けられている。光源ホルダ12を投光用筐体20に取り付ける際には、ネジ16による締結構造を用いることができる。光源ホルダ12には、ネジ16が挿通する挿通孔(図示せず)が形成されており、この挿通孔を長穴に形成することで、光源ホルダ12の位置調整を行うことが可能になる。
【0038】
投光用筐体20は、受光用筐体40と対向する面が前面であり、前面は上下方向にのびている。投光用筐体20の後面は、受光用筐体40と対向する面と反対に位置する面であり、この後面は、上端に近づくほど前に位置するように傾斜しており、この傾斜角度は、後述する投光側反射体14の設置角度と対応している。後面の下側からは受光用ユニット30と接続される信号ケーブルC(
図2等に示す)が外部へ出ている。また、投光用筐体20の両側面は互いに平行に上下方向に延びている。投光用筐体20の下面は、固定部材60への取付面となっている。
【0039】
投光用筐体20の内部には、投光レンズ12cから出射した光を反射する投光側反射体14が収容されている。この投光側反射体14は、例えば平板状のミラー等で構成されている。投光用筐体20の内部における上側部分には、投光側反射体14を取り付けるための複数の反射体取付部21が互いに間隔をあけて設けられている。反射体取付部21は、投光用筐体20の内面から突出しており、突出方向先端部には、反射体取付部21の裏面が当接する当接面21aが形成されている。各当接面21aに投光側反射体14の裏面を当接させた状態で、投光側反射体14を投光用筐体20に対して高精度に位置決めすることができる。すなわち、投光用筐体20に一体成形された反射体取付部21の当接面21aに投光側反射体14を直接当接させることで、投光用筐体20と反射体取付部21との間に別部材が介在しないので、投光用筐体20の成形精度と同程度の高い精度で投光側反射体14を位置決めできる。投光側反射体14は、反射体取付部21に対して接着剤によって接着してもよいし、ネジ等の締結部材で締結してもよい。
【0040】
投光側反射体14は、光源ホルダ12の投光レンズ12cから出射した光が当該投光側反射体14の中央部に向けて入射するように配置されている。投光側反射体14の角度は、投光レンズ12cから入射した光を水平方向に出射するように設定されている。投光側反射体14は、光路を折りたたむことで投光用筐体20のサイズを小型化するものであり、投光用筐体20のサイズを許容するのであれば必ずしも必要ではない。
【0041】
投光側テレセントリックレンズ15は、投光用筐体20における受光側筐体40と対向する側に取り付けられている。投光用筐体20における受光側筐体40と対向する側の壁部には、投光側テレセントリックレンズ15が嵌め込まれる投光側レンズ取付孔22が当該壁部を貫通するように形成されている。投光側レンズ取付孔22の奥側の内周面には、径方向内方へ突出するとともに、周方向に延びる突出部で構成された投光側レンズ取付座22aが一体成形されている。この投光側レンズ取付座22aに投光側テレセントリックレンズ15の奥側(光入射側)の端面の周縁部が当接することにより、投光側テレセントリックレンズ15が投光用筐体20に対して位置決めされる。投光側テレセントリックレンズ15も投光側レンズ取付座22aに直接当接させることで、投光用筐体20と投光側テレセントリックレンズ15との間に別部材が介在しないので、投光用筐体20の成形精度と同程度の高い精度で投光側テレセントリックレンズ15を位置決めできる。
【0042】
投光側テレセントリックレンズ15は、光軸が水平となるように配置されている。投光側反射体14から出射した光は、投光側テレセントリックレンズ15に入射すると、投光側テレセントリックレンズ15が測定領域Sに向けた平行光に変換して出射する。測定領域Sにおいて投光側テレセントリックレンズ15により形成される光像は、投光側テレセントリックレンズ15の光軸に沿ってその大きさが一定となる。投光側テレセントリックレンズ15は、投光用筐体20内に形成された光像を測定領域S内にピントのあった光像として結像させる。測定領域Sのいずれの位置においてもピントのあった光像が形成されることが好ましい。ピントのあった光像は、投光側テレセントリックレンズ15の光軸に沿って所定の範囲に形成されるが、これは投光用筐体20内に形成された光像から投光側テレセントリックレンズ15までの光路長に応じており、光路長が長いほど光像のピントのあう範囲は広くなる。例えば高精度な測定をするための測定領域が大きい光学測定装置1の場合、投光用筐体20内に形成された光像から投光側テレセントリックレンズ15までの光路長は長いため、投光側反射体14により光路を折りたたむことで投光用筐体20のサイズを小型化するようにしてもよい。
【0043】
コリメートレンズ12aから平行光が入射されて光拡散ユニット12bにおいて円形の光像を形成する場合、光拡散ユニット12bを通過した平行光は、光像の各点において平行成分をピークとする角度特性の拡散光として光拡散ユニット12bから出射される。このような角度特性を有する光像を、投光側テレセントリックレンズ15を介して測定領域Sに照射することで、場所や角度によらず光が略均一な照明光を実現することができる。また、2つの投光レンズ12cにより、光拡散ユニット12bから出射した光の広がり角を狭い角度に調整することで、投光側テレセントリックレンズ15を通過する光の光密度を高めるようにしてもよい。
【0044】
投光用筐体20には、投光側テレセントリックレンズ15から出射された平行光を測定領域Sへ投射するための投光窓23が設けられている。投光窓23は、投光側テレセントリックレンズ15の光出射面を覆うように形成された略円形の投光側カバーガラス23aと、投光側カバーガラス23aが取り付けられた投光側枠体23bとを有している。投光側枠体23bは、投光側レンズ取付孔22における投光側テレセントリックレンズ15の光出射面側に嵌め込まれて投光用筐体20に固定されている。投光側テレセントリックレンズ15の光出射面と、投光側枠体23bとの間には、投光側弾性材23cが配設されている。投光側弾性材23cは、例えばゴムや弾性を有する金属材等で構成されている。投光側弾性材23cにより、投光側テレセントリックレンズ15が投光側レンズ取付座22aに常時押し付けられるように付勢されている。
【0045】
(受光用ユニット30の構成)
受光用ユニット30の二次元撮像素子31は、例えばCMOSイメージセンサー等で構成されていて、画素がX方向とY方向の二次元に配列されている。二次元撮像素子31は、基板31aに実装されている。基板31aには、撮像制御部39(
図1に示す)が設けられている。撮像制御部39によって二次元撮像素子31が制御される。例えば撮像の間隔が数ミリ秒~数十ミリ秒であって各撮像における露光時間が100マイクロ秒となるように撮像制御部39によって二次元撮像素子31が制御される。露光時間が1ミリ秒以下、例えば100マイクロ秒とすることで、光学測定装置1は高速搬送ワークも止めずに測定可能となる。露光時間は、光源11のパルス点灯制御と二次元撮像素子31のシャッター制御とを同期制御して実現されてもよい。基板31aは、撮像素子ホルダ37に固定されている。基板31aを撮像素子ホルダ37に固定することで、二次元撮像素子31を撮像素子ホルダ37に保持することができる。
【0046】
撮像素子ホルダ37には、受光側レンズユニット38が固定されている。
図7に示すように、受光側レンズユニット38には、全体として筒状をなしており、その内部に複数の受光レンズ(結像レンズ)33が設けられている。受光レンズ33の光軸は斜め方向に延びており、その受光レンズ33の光軸の延長線が二次元撮像素子31の中央部に対して垂直に交わるように、受光側レンズユニット38と二次元撮像素子31との相対的な位置関係が設定されている。受光側レンズユニット38の上部には、絞り34が設けられている。
【0047】
絞り34は、受光側テレセントリックレンズ36介して受光した平行な光を通過させ、平行な光以外の外乱光を阻止する。これにより外乱光の影響を低減することができる。受光レンズ33は、像側テレセントリックレンズであってもよい。像側テレセントリックレンズにより、受光レンズ33と二次元撮像素子31との間の距離が変化しても、二次元撮像素子31上に結像される像の大きさは変化しない。例えば撮像素子ホルダ37が熱膨張することで受光レンズ33と二次元撮像素子31との間の距離が変化しても、二次元撮像素子31上に結像される像の大きさは変化しないため温度変化の影響を低減することができる。投光側テレセントリックレンズ15を物体側テレセントリックレンズとし、受光レンズ33を像側テレセントリックレンズとすることで、両側テレセントリックの光学系とすることができる。
【0048】
受光用筐体40は、投光用筐体20と対向する面が前面であり、前面は上下方向にのびている。受光用筐体40の後面は、投光用筐体20と対向する面と反対に位置する面であり、この後面は、上端に近づくほど前に位置するように傾斜しており、この傾斜角度は、後述する受光側反射体35の設置角度と対応している。後面の下側からは投光用ユニット10と接続される信号ケーブルC及び制御装置70と接続される接続ケーブルD(
図2等に示す)が外部へ出ている。また、受光用筐体40の両側面は互いに平行に上下方向に延びている。受光用筐体40の下面は、固定部材60への取付面となっている。
【0049】
図6に示すように、受光側テレセントリックレンズ36は、受光用筐体40における投光側筐体20と対向する側に取り付けられており、その光軸が投光側テレセントリックレンズ15と同じ光軸上に位置するように配置されている。
図7及び
図8に示すように、受光用筐体40における投光側筐体20と対向する側の壁部には、受光側テレセントリックレンズ36が嵌め込まれる受光側レンズ取付孔42が当該壁部を貫通するように形成されている。受光側レンズ取付孔42の奥側の内周面には、径方向内方へ突出するとともに、周方向に延びる突出部で構成された受光側レンズ取付座42aが一体成形されている。この受光側レンズ取付座42aに受光側テレセントリックレンズ36の奥側(光出射側)の端面の周縁部が当接することにより、受光側テレセントリックレンズ36が受光用筐体40に対して位置決めされる。受光側テレセントリックレンズ36を受光側レンズ取付座42aに直接当接させることで、受光用筐体40と受光側テレセントリックレンズ36との間に別部材が介在しないので、受光用筐体40の成形精度と同程度の高い精度で受光側テレセントリックレンズ36を位置決めできる。
【0050】
受光用筐体40には、投光側テレセントリックレンズ15から出射されて測定領域Sを通過した平行光を受光側テレセントリックレンズ36へ入射させるための受光窓43が設けられている。受光窓43は、受光側テレセントリックレンズ36の光入射面を覆うように形成された略円形の受光側カバーガラス43aと、受光側カバーガラス43aが取り付けられた受光側枠体43bとを有している。受光側枠体43bは、受光側レンズ取付孔42における受光側テレセントリックレンズ36の光入射面側に嵌め込まれて受光用筐体40に固定されている。受光側テレセントリックレンズ36の光入射面と、受光側枠体43bとの間には、受光側弾性材(レンズ付勢部材)43cが配設されている。受光側弾性材43cは、例えばゴムや弾性を有する金属材等で構成されており、受光側テレセントリックレンズ36を受光側レンズ取付座42aに押し付ける方向に常時付勢するための部材である。受光側弾性材43cにより、受光側テレセントリックレンズ36が受光側レンズ取付座42aに常時押し付けられた状態で取り付けられる。
【0051】
受光用筐体40における導入用開口41が形成された面とは異なる面、即ち投光用ユニット10と反対側に位置する面には、受光側反射体35が嵌め込まれる受光側反射体取付孔44が開口している。受光側反射体取付孔44の奥側の内周面には、径方向内方へ突出するとともに、周方向に延びる突出部で構成された受光側反射体取付座44aが一体成形されている。この受光側反射体取付座44aに受光側反射体35の奥側の端面の周縁部が当接することにより、受光側反射体35が受光用筐体40に対して位置決めされる。受光側反射体35を受光側反射体取付座44aに直接当接させることで、受光用筐体40と受光側反射体35との間に別部材が介在しないので、受光用筐体40の成形精度と同程度の高い精度で受光側反射体35を位置決めできる。
【0052】
受光側反射体35は、例えば平板状のミラー等で構成されている。受光側反射体35は、受光側テレセントリックレンズ36の光出射面から出射した光が当該受光側反射体35の中央部に向けて入射するように配置されている。受光側反射体35の角度は、受光側テレセントリックレンズ36を通過した光を反射して折り返し、受光レンズ33へ向けて出射するように設定されている。受光側反射体35によって光を折り返すようにしているので、発熱源である二次元撮像素子31と受光側テレセントリックレンズ36とを離すことができる。
【0053】
受光用筐体40には、反射体取付孔44を受光用筐体40の外から覆うカバー44dが取り付けられている。カバー44dは、受光用筐体40に対して着脱可能に取り付けられている。カバー44dの内面と、受光側反射体35との間には、反射体側弾性材(反射体付勢部材)44cが配設されている。反射体弾性材44cは、例えばゴムや弾性を有する金属材等で構成されており、受光側反射体35を受光側反射体取付座44aに押し付ける方向に常時付勢するための部材である。反射体側弾性材44cにより、受光側反射体35が受光側反射体取付座44aに常時押し付けられた状態で取り付けられる。
【0054】
図12に示すように、受光用筐体40の側面(外面)には、当該受光用筐体40を設置する時の基準となる複数の側方基準面40aが設けられている。側方基準面40aは、平面で構成されており、互いに同一平面上に位置する高精度な面である。受光用筐体40を設置する部材に側方基準面40aを当接させることで、受光用筐体40を高精度に位置決めすることができる。この実施形態では、側方基準面40aの中央部に貫通孔40bが形成されている。
【0055】
また、受光用筐体40の底面(外面)には、当該受光用筐体40を設置する時の基準となる複数の底部基準面40cが設けられている。底部基準面40cは、平面で構成されており、互いに同一平面上に位置する高精度な面である。受光用筐体40を設置する部材に底部基準面40cを当接させることで、受光用筐体40を高精度に位置決めすることができる。受光用筐体40を設置する際には、側方基準面40aと底部基準面40cのどちらを基準にしてもよい。
【0056】
また、
図3に示すように、受光用筐体40の前面である投光側ユニット10と対向する面には、ワーキングディスタンス基準面40dが設けられている。
【0057】
図7における符号55は、二次元撮像素子31の位置調整の際に使用するねじであり、また、符号46は工具200を挿入するため開口である。また、
図8に示す符号48はシール材、符号49は閉塞部材である。
【0058】
(制御装置70の構成)
図1に示すように、受光用ユニット30に設けられている撮像制御部39は、接続ケーブルDを介して制御装置70の画像取得部71によって制御されて、所定のタイミングで光源11に光を照射させるとともに、二次元撮像素子31により撮像させる。受光用ユニット30を駆動する電力は、接続ケーブルDを介して制御装置70から供給される。接続ケーブルDには、耐屈曲ケーブルを用いることができ、受光用ユニット30及び投光用ユニット10をロボットアーム等の可動部に設置し、制御装置70を非可動に設置する等分離して配置することができる。光源11と二次元撮像素子31との同期は、信号ケーブルCによってとることができる。例えば撮像の間隔が数ミリ秒~数十ミリ秒であって各撮像における露光時間が100マイクロ秒となるように撮像制御部39によって二次元撮像素子31に撮像タイミング及び露光タイミングを定義するタイミング信号が供給され、撮像制御部39によって光源11に信号ケーブルCを介して発光タイミングを定義するタイミング信号が供給される。光源11を駆動する電力は信号ケーブルCを介して受光用ユニット30から供給される。光源11により生成された測定光は、拡散手段13によって拡散された後、投光側反射体14で反射して折り返されてから投光側テレセントリックレンズ15に入射する。投光側テレセントリックレンズ15は、入射した測定光を平行光に変換して測定領域Sに向けて出射する。つまり、投光側テレセントリックレンズ15は、測定光による拡散手段13上の光像を、投光側テレセントリックレンズ15の光軸に沿ってサイズが一定となるような光像が測定領域Sに形成されるように測定光を出射する。このとき、平行光は受光窓23を通過して測定領域Sに達する。測定領域SにワークWが配置されていると、平行光の一部がワークWによって遮られる。
【0059】
測定領域Sを通過した平行光は、受光窓43を通過して受光側テレセントリックレンズ36に入射した後、受光側反射体35で反射して折り返されてから絞り34、受光レンズ33を通過する。そして、ワークWの影像が二次元撮像素子31の撮像面で結像する。制御装置70の画像取得部71は、二次元撮像素子31を制御して当該二次元撮像素子31により撮像させてワークWの測定画像を取得する。取得されたワークWの測定画像は略円形の画像である。DSP72は、画像取得部71により取得された測定画像にフィルタ処理等の画像処理を実行する。CPU73は、DSP72から出力された測定画像のエッジを抽出し、抽出されたエッジを用いて寸法測定を実行する。測定画像や測定結果等は一時的にメモリ74に記憶することができる。測定画像や測定結果等は入出力回路75から記憶装置83、プログラマブルコントローラ90及び表示装置82に出力される。
【0060】
(光学測定装置の設定時)
光学測定装置1は、当該光学測定装置1の運用前に各種設定を行うことができる。以下、
図9に示すフローチャートに基づいて光学測定装置1の設定時の処理手順の一例を説明する。
図9に示すフローチャートは、ユーザによる設定処理開始の操作が行われたことを検出するとスタートする。例えば、設定開始ボタン等をユーザが操作すると、ステップSA1に進み、測定設定の元になる基準画像を設定する。このステップSA1では、制御装置70が
図10に示すような設定用ユーザーインターフェース画面300を生成して表示装置82に表示させる。設定用ユーザーインターフェース画面300には、基準画像301が表示される基準画像表示領域302と、各種設定操作領域303とが設けられている。基準画像301は、基準となるワークWを測定領域Sに配置して二次元撮像素子31で撮像し、画像取得部71により取得された画像である。ワークWは影像として基準画像表示領域302に表示される。また、基準画像301は円形である。ユーザは、基準画像301が所望の画像であるか否かを確認し、所望の画像であれば、
図9に示すフローチャートの次のステップSA2に進む。
【0061】
ステップSA2では、ユーザが測定方法を選択する。測定方法の選択は、測定ツールの選択のことであり、
図10に示す設定用ユーザーインターフェース画面300の各種設定操作領域303に表示されている測定ツールの中から選択可能になっている。測定ツールは、例えば線と線との距離を測定する「線-線」ツール、線と点との距離を測定する「線-点」ツール、点と点との距離を測定する「点-点」ツール、円と円との距離を測定する「円-円」ツール、円の直径を測定する「円径」ツール等があり、これら以外の測定ツールがあってもよい。
図10に示す例では、「線-線」ツールが選択されている。
【0062】
測定方法の選択が終わると、
図9に示すフローチャートの次のステップSA3に進む。ステップSA3ではユーザが画像測定要素の設定を行う。具体的には、基準画像表示領域302に表示されている基準画像301内で、ステップSA2で選択した測定方法に応じた測定エリアの設定を行う。
図10に示す例では、「線-線」ツールに応じた測定エリアを表示する形態として、2つの枠線304、304を表示させており、この枠線304、304で囲まれた領域が測定エリアである。
【0063】
画像測定要素の設定後に、測定エリア(枠線304内)を例えばダブルクックすると、制御装置70が
図11に示すような詳細設定用ユーザーインターフェース画面310を生成して表示装置82に表示させる。詳細設定用ユーザーインターフェース画面310では、エッジの検出方向(明→暗・暗→明)、異常点除去有無、エッジ処理の際のフィルタ幅(強度)などの設定、測定エリアの詳細な座標の指定、マスクの指定等が行える。
【0064】
画像測定要素の設定が終わると、
図9に示すフローチャートの次のステップSA4に進む。ステップSA4ではユーザが測定条件を指定する。制御装置70が
図12に示すような測定条件指定用ユーザーインターフェース画面320を生成して表示装置82に表示させる。測定条件指定用ユーザーインターフェース画面320では、平均回数などの設定が受け付けられる。
【0065】
測定条件の指定が終わると、
図9に示すフローチャートの次のステップSA5に進む。ステップSA5ではユーザが公差を指定する。制御装置70が
図13に示すような公差指定用ユーザーインターフェース画面330を生成して表示装置82に表示させる。具体的には、公差の数値を選択すると、数値設定ウインドウ331が表示され、この数値設定ウインドウ331内のボタン等をクリックすることで、数値を設定することができる。
【0066】
公差の指定が終わると、
図9に示すフローチャートの次のステップSA6に進む。ステップSA6では、画像測定要素の詳細設定の有無を判定する。画像測定要素の詳細設定があればステップSA7に進む一方、画像測定要素の詳細設定がなければステップSA7を飛ばしてステップSA8に進む。ステップSA7では、画像測定要素の詳細設定を行うことができる。その後、ステップSA8に進むと、測定要素が他にもあるか否かを判定する。測定要素が他にもある場合には、ステップSA2に戻り、当該他の測定要素について測定方法を選択する。測定要素が他にもない場合には、ステップSA9に進み、特徴量情報を登録する。特徴量情報の登録とは、位置補正の登録のことである。
【0067】
特徴量情報の登録が終了すると、ステップSA10に進み、測定設定の情報がすべて記憶装置83に保存される。測定設定の情報には、基準画像301、測定ツールの情報が含まれる。測定ツールの情報には、エリアの座標とサイズ、オフセット、エッジの検出方向、平均回数、ゼロ基準、エッジの算出方法(最小二乗近似・最大・最小など)、公差、小数点桁数、マスクの座標情報、スケーリング情報、表示単位等が含まれる。
【0068】
以上が設定光学測定装置1の設定時の処理手順の流れである。
【0069】
(光学測定装置の運用時)
次に、設定後、光学測定装置1を実際の測定現場で運用する手順について
図14に示すフローチャートに基づいて説明する。このフローチャートは、制御装置70がトリガ信号を発行するとスタートする(ステップSB1)。トリガ信号は、外部からの入力信号であってもよいし、制御装置70が所定のタイミングで発行するものであってもよい。ステップSB2では、撮像制御部39が投光用ユニット10の光源11を発光させる。光源11が発光したタイミングに合わせて撮像制御部39が二次元撮像素子31に撮像処理を実行させる。
【0070】
その後、ステップSB3に進み、二次元撮像素子31で撮像された測定画像を画像取得部71によって取得する。測定画像を取得した後、ステップSB4に進む。ステップSB4では、ビニング、即ち取得した測定画像の4画素を1画素に結合して、画像サイズを1/4にするとともに、画像フィルタ処理として測定画像の平均化処理を行う。例えば、複数枚の画像を重ねることで平均化する等の方法を挙げることができる。
【0071】
次いで、ステップSB5に進んで測定画像をDSP72に転送する。その後、ステップSB6に進んで測定エリア部画像抽出を行う。設定情報の測定エリアの情報(エリアの座標とサイズ)をもとに、測定画像からエッジ処理を行う範囲を切り出す。
【0072】
しかる後、ステップSB7に進んでエッジ処理を行う。ステップSB7では、抽出された画像のエッジを求める。測定エリアの向き(X方向、Y方向)に対してエッジ処理を行うことができる。エッジ処理では例えばガウシアンフィルタと微分処理とが用いられ、微分波形のピークを算出することでエッジが抽出される。また、画素単位からmm単位への変換も行うことができる。
【0073】
エッジ処理の後、ステップSB8に進む。ステップSB8では、後処理、即ち、設定情報の平均回数、オフセット、ゼロ基準、スケーリング情報をもとに、数値の後処理が行われる。
【0074】
後処理の後、ステップSB9に進む。ステップSB9では、判定処理、即ち、設定情報の公差設定値を元にして、測定された数値が良品を示すものであるか、不良品を示すものであるか判定(良否判定)が行われる。
図15は、運用時に制御装置70が生成して表示装置82に表示されるユーザーインターフェース画面340の一例を示すものである。ユーザーインターフェース画面340には、測定画像341を表示する測定画像表示領域342と、測定結果表示領域343と、総合判定結果表示領域344とが設けられている。測定結果表示領域343には、測定要素の測定結果と、良否判定の結果とが表示され、また、総合判定結果表示領域344には、測定要素が複数ある場合にそれらを総合した良否判定結果が表示される。
【0075】
結果表示画面の例としては、例えば
図16Aに示すように現在選択している処理パターンの結果のみ表示する形態であってもよいし、
図16Bに示すようにすべての処理パターンの表示が同時になされたうえで、現在有効な処理パターンを強調表示する形態であってもよい。
図16Bに示す形態では、上の1~7が現在有効な処理パターンであり、下の1~3が現在非選択の処理パターンに対応した結果である。
【0076】
(総合判定機能)
上述したようなテレセントリック光学系を用いて平行光を生成する場合、その平行光を照射可能な視野範囲は狭くなりがちであり、視野範囲を広くしようとする光学系が大型化し、実際には難しい。
【0077】
ところが、例えば長尺状のワークWが測定対象物となる場合がある。長尺ワークでは、長手方向に離れた複数箇所の寸法検査が必要なことがある。この場合、長尺状ワークの一部が光学測定装置1の視野範囲外に位置してしまい、視野範囲外の寸法検査が行えなくなるので、ワークを長手方向に移動させながら、複数箇所の測定を順次行うことになる。このような検査では、PLCから段取り替え信号を送るプログラムや、PLCにて総合判定を行うプログラムを作成する必要があり、ユーザの作業負担が大きく、使い勝手が悪い。加えて、プログラミングに不慣れなユーザの場合、プログラミングすることすら困難な場合もある。
【0078】
本実施形態では、光学測定装置1に総合判定機能を搭載しており、この総合判定機能により、視野範囲よりも長いワークWであっても段取り替えを行うことなく、各部の寸法検査を実行可能にし、光学測定装置1内で総合判定まで行うことが可能になる。以下、総合判定機能について具体的に説明する。
【0079】
光学測定装置1は、ワークWの異なる部位に応じた複数の基準画像を、それぞれ寸法測定領域、寸法測定項目、及び判定閾値を関連付けて記憶する記憶部としての記憶装置83を備えている。基準画像は、
図9に示すフローチャートのステップSA1で設定することができる。寸法測定領域は、
図9に示すフローチャートのステップSA3で設定する測定エリアである。寸法測定項目は、
図9に示すフローチャートのステップSA2で設定する測定ツールである。判定閾値は、
図9に示すフローチャートのステップSA5で設定する公差である。寸法測定項目には、
図9に示すフローチャートのステップSA4で設定する測定条件等が含まれていてもよい。
【0080】
図9の設定フローチャートに示すように、1つの基準画像には、少なくとも1つの寸法測定領域、寸法測定項目及び判定閾値が設定されており、基準画像と、寸法測定領域、寸法測定項目及び判定閾値とは互いに関連付けられている。関連付けられているというのは、ある基準画像を特定すると、その基準画像で設定された寸法測定領域、寸法測定項目及び判定閾値も特定することが可能であるということであり、例えば共通の識別情報を付与しておくことで、基準画像と、寸法測定領域、寸法測定項目及び判定閾値とを関連付けることができる。
【0081】
図9の設定フローチャートを繰り返し行うことで、複数の基準画像と、各基準画像に関連付けられた寸法測定領域、寸法測定項目及び判定閾値とを設定することができる。例えば、
図17に示すような長尺状のワークWを想定する。
図17における破線で示す円(符号500)は、光学測定装置1の視野を示しており、ワークWの長さは1つの視野500の幅よりも長くなっている。この場合、例えば、1番目に、ワークWの左側領域が視野500に入るように当該ワークWを配置して1番目の基準画像を設定するとともに、1番目の基準画像に関連付けて寸法測定領域、寸法測定項目及び判定閾値を設定する。その後、ワークWの中央領域が視野500に入るように当該ワークWを配置して2番目の基準画像を設定するとともに、2番目の基準画像に関連付けて寸法測定領域、寸法測定項目及び判定閾値を設定する。最後に、ワークWの右側領域が視野500に入るように当該ワークWを配置して3番目の基準画像を設定するとともに、3番目の基準画像に関連付けて寸法測定領域、寸法測定項目及び判定閾値を設定する。
【0082】
この場合、
図1に示す光学測定装置1が備えている登録部73aにより、基準画像を登録させることができる。登録部73aは、上述したように二次元撮像素子31にワークWの異なる部位をそれぞれ撮像させて複数の画像を取得させ、取得した複数の画像を識別する識別情報を当該各画像に付与する。例えば、1番目に取得した画像に「1」という識別情報を付与し、2番目に取得した画像に「2」という識別情報を付与し、3番目に取得した画像に「3」という識別情報を付与することができる。登録部73aは、各画像に識別情報を付与した後、当該各画像を基準画像として登録する。記憶装置83は、識別情報が付与された複数の基準画像を記憶することができる。識別情報と基準画像とを関連付けて表示装置82に表示させることができる。
【0083】
また、基準画像の設定、寸法測定領域、寸法測定項目、及び判定閾値の設定の方法はどのような方法であってもよいが、その一例として、光学測定装置1は、設定部73bを備えている。設定部73bは、登録部73aに登録された基準画像毎に、寸法測定領域、寸法測定項目、及び判定閾値を設定する部分であり、具体的には、
図9に示すフローチャートのステップSA2~SA8を基準画像が設定される毎に、繰り返し実行可能にする部分である。
【0084】
また、設定部73bには、複数の基準画像の中から任意の基準画像を選択する選択部73cが設けられていてもよい。複数の基準画像が設定されている場合、複数の基準画像を例えば表示装置82に表示させておき、それら基準画像の中からユーザによる所望の基準画像の選択を選択部73cが受け付けると、所望の基準画像を表示装置82に表示させる。設定部73bは、表示装置82に表示された基準画像に適用する寸法測定領域、寸法測定項目、及び判定閾値を設定可能に構成されている。
【0085】
図18に基づいて具体的に説明する。
図18は、基準画像設定用ユーザーインターフェース画面550の一例を示す図である。基準画像設定用ユーザーインターフェース画面550には、画像取得部71で取得された画像を表示する基準画像表示領域551と、基準画像選択ボタン552と、基準画像登録ボタン553と、計測設定ボタン554とが設けられている。基準画像選択ボタン552を押すと、
図19に示す基準画像選択用ユーザーインターフェース画面600が表示される。基準画像選択用ユーザーインターフェース画面600には、複数の基準画像が表示されるようになっており、この例では、上から下に1~8の基準画像が表示可能である。ここで例えば「3」を選択すると、
図18に示す基準画像設定用ユーザーインターフェース画面550の基準画像選択ボタン552に「3」と表示され、3番目の基準画像の設定が可能になる。この状態で基準画像登録ボタン553を押すと、基準画像登録画面を表示装置82に表示する。例えば基準画像登録画面に表示されている登録ボタンを操作する等、所定の操作を行うことで、基準画像表示領域551に表示されている画像を3番目の基準画像として設定し、登録する。また、計測設定ボタン554を押すと、3番目の基準画像に対して、上述した寸法測定領域、寸法測定項目、及び判定閾値の設定が可能になる。このようにして複数の基準画像と、それに関連付けられた寸法測定領域、寸法測定項目、及び判定閾値の設定を行うことができる。
【0086】
図1に示すように、光学測定装置1は画像判定部73dを備えている。画像判定部73dは、記憶装置82に記憶された複数の基準画像に基づいて、画像取得部71により取得された測定画像と当該複数の基準画像との一致判定を行う部分である。このとき、画像判定部73dは、パターンマッチングの手法を利用して測定画像と基準画像との一致判定を行うことができる。
【0087】
光学測定装置1は実行部73eを備えている。実行部73eは、運用時に、画像判定部73dにより、測定画像が複数の基準画像のいずれかと一致したと判定されると、測定画像に対し、当該基準画像に関連付けられた寸法測定領域、寸法測定項目、及び判定閾値を適用した寸法測定を実行する部分である。例えば、上記1番目の基準画像と、測定画像とが一致したと画像判定部73dが判定した場合、その判定結果に基づいて上記1番目の基準画像に関連付けられた寸法測定領域、寸法測定項目、及び判定閾値を読み出し、読み出した寸法測定領域、寸法測定項目、及び判定閾値を測定画像に対して適用する。これにより、測定画像に対して寸法測定が実行され、上記1番目の基準画像に基づいた測定値が取得される。また、上記2番目の基準画像と、測定画像とが一致したと画像判定部73dが判定した場合には、同様に、上記2番目の基準画像に基づいた測定値が取得される。3番目の基準画像についても同様である。このように、実行部73eは、ワークWの異なる部位に対して寸法測定を実行することができる。測定回数は、1回でもよいし、複数回でもよい。
【0088】
光学測定装置1は総合判定部73fを備えている。総合判定部73fは、運用時に、ワークWの異なる部位に対して実行部73eにより複数回繰り返し実行された複数の寸法測定の結果に基づいて、ワークWの寸法に関する総合判定を行う部分である。総合判定部73fは、複数の寸法測定の結果の全てが判定閾値内である場合にのみ、総合判定を良とするように構成できる。
【0089】
また、これに限らず、総合判定部73fは、複数の寸法測定の結果のうち、全ての結果を総合判定の対象とするか、一部の結果についてのみ総合判定の対象とするかの選択を受け付けるように構成されていてもよい。
図19に示す基準画像選択用ユーザーインターフェース画面600には、「複数処理をまとめて判定する」のチェックボックス601にチェックが可能となっている。このチェックボックス601にチェックすることで、全ての処理パターンに属するツールが総合判定の対象となり、一方、チェックを外すことで、有効な処理パターンに属するツールのみが総合判定の対象となる。尚、この切替手法は一例であり、例えば、チェックボックス601にチェックすることで、総合判定部73fが全ての結果を総合判定の対象としてもよい。
【0090】
また、基準画像選択用ユーザーインターフェース画面600には、「パターンを自動で切り換える」のチェックボックス602にチェックが可能となっている。パターンとは、基準画像のことである。このチェックボックス602にチェックすることで、画像判定部73dが複数の基準画像を自動で切り換えてパターンマッチングを行う。
【0091】
登録部73a、設定部73b、選択部73c、画像判定部73d、実行部73e及び総合判定部73fは、CPU73が所定のプログラムに基づいて信号処理を実行することによって構成することや、物理的な処理装置で構成することができ、また、これらを組み合わせて構成することができる。
【0092】
以下、
図20に示すフローチャートに基づいて総合判定処理の具体例を説明する。この例では、基準画像が3つある場合、即ち、パターン1基準画像、パターン2基準画像、パターン3基準画像が登録されている。また、「複数処理をまとめて判定する」のチェックボックス601にチェックされ、「パターンを自動で切り換える」のチェックボックス602にチェックされている例である。
【0093】
このフローチャートは、光学測定装置1の運用時にトリガ信号が入力するとスタートする。ステップSD1ではワークWを撮像した測定画像を画像取得部71から取得する。ステップSD2では、画像判定部73dが、測定画像とパターン1基準画像とのマッチング処理を実行する。また、ステップSD3では、画像判定部73dが、測定画像とパターン2基準画像とのマッチング処理を実行する。また、ステップSD4では、画像判定部73dが、測定画像とパターン3基準画像とのマッチング処理を実行する。ステップSD2~4の各々で一致度合いを求める。ステップSD2~4の順番は問わないし、並行してもよい。
【0094】
ステップSD5では、パターンNo.を切り換えてパターン判定を行う。ステップSD2~4で求めた一致度合いを比較し、最も近いパターンを寸法測定処理の対象とするようにパターンNo.を変更する。すなわち、パターン1基準画像の一致度合いが最も高い場合には、実行部73eが、パターン1基準画像に関連付けられた寸法測定領域、寸法測定項目、及び判定閾値を適用した寸法測定を測定画像に対して実行する。ステップSD6~8では、測定値を算出するとともに、その測定値の良否を判定して判定結果を求める。測定画像がどのパターン基準画像とも一致しなかった場合には、パターンNo.を0としてステップSD9に進み、不良と判定する。
【0095】
次いでステップSD10に進む。ステップSD10では、ステップSD6~9で得られた判定結果を元にして、総合判定結果を求める。「複数処理をまとめて判定する」のチェックボックス601にチェックされているので、前回の判定結果も含めて全ての判定結果が良の場合に、総合判定結果が良となり、判定結果の1つでも不良であれば、総合判定結果が不良となる。
【0096】
その後、ステップSD11に進み、ステップSD10で得られた総合判定結果を測定値と共に出力する。
【0097】
尚、総合判定の際、前回結果も合わせて判定するので、判定結果が何も無い状態から新たな判定を行うためには、前回結果を初期化する手段が必要になる。全ての判定結果を初期化するための手段として、例えばユーザが制御可能なコマンド、オールリセット等が行えるようにしておくのが好ましい。
【0098】
「複数処理をまとめて判定する」のチェックボックス601にチェックされていない場合には、今回取得された測定画像に対してのみ、寸法測定と良否判定を行えばよい。ユーザは、ワークWを入れ換えて順次測定及び良否判定結果を得ることができる。
【0099】
その他の例として、
図21にフローチャートで示すように、1つのワークWだけでなく、複数種のワークWの検査も行うことができる。設定時に、例えば、第1のワークWの基準画像と、第2のワークWの基準画像とをそれぞれ寸法測定領域、寸法測定項目、及び判定閾値と関連付けて記憶させておけば、運用時に、第1のワークWの測定画像を入力すると、第1のワークWの基準画像とのマッチングに基づいて寸法測定と良否判定結果を得ることができ、また、第2のワークWの測定画像を入力すると、第2のワークWの基準画像とのマッチングに基づいて寸法測定と良否判定結果を得ることができる。つまり、ユーザはステップSE1とSE2の処理を、ワークWを入れ換えて繰り返すだけでよく、段取り替えが不要になるので、ユーザの負担を軽減できるとともに、測定ミスを減らすことができる。
【0100】
1種類のワークを複数回に分けて検査を行う場合の処理の例を
図22のフローチャートに示している。この場合、上述したように前回結果を初期化するための処理が最初に必要であり、そのため、ステップSF1では、前回結果を初期化するためのリセットをユーザが実行する。その後、ステップSF2では、ユーザがワークWの測定箇所Xを測定視野内に入れる。測定箇所が3カ所ある場合にはXは1~3となり、最初は1である。そして、ステップSF3~5を経た後、ステップSF2で次の測定箇所を測定視野内に入れ、ステップSF3~5を行う。このようにして全ての測定箇所の測定が終わると、ステップSF6に進んで判定結果に応じた処理を実行する。その後、ワークWを入れ換えて測定を繰り返す。
【0101】
ステップSF1の初期化を自動化することもできる。例えば、全登録画像分の測定が行われた場合に、1ワーク分の検査が完了した、と仮定して、そのタイミングで上記初期化を行うことで、ユーザの制御対象を減らすことができる。
【0102】
また、ワークW内で測定したい箇所の数を設定することにより、指定回数分の測定が終わった時のみ、結果出力を行うことや、指定回数分の測定が終わったら、上記初期化を自動で実行することもできる。
【0103】
(実施形態の作用効果)
以上説明したように、この実施形態によれば、投光用筐体20と受光用筐体40とを設置した後、測定領域に入ったワークWの部位を二次元撮像素子31により撮像することで、当該部位の測定画像を取得し、画像判定部73dが、取得された測定画像と複数の基準画像との一致判定を行う。測定画像が複数の基準画像のいずれかと一致した場合には、測定画像に対し、当該基準画像に関連付けられた寸法測定領域、寸法測定項目、及び判定閾値を適用した寸法測定が実行される。その後、ワークWの別の部位に対しても同様に撮像、一致判定し、一致した場合には基準画像に関連付けられた寸法測定領域、寸法測定項目、及び判定閾値を適用した寸法測定が実行される。よって、段取り替えすることなく、ワークWの複数箇所の寸法検査を行うことが可能になるので、外部制御機器から段取り替え信号を送るためのプログラムの作成は不要になる。
【0104】
また、寸法測定が複数回繰り返し実行されることで得られた複数の寸法測定の結果に基づいて総合判定部73fで総合判定が行われるので、外部制御機器に対して総合判定を行わせるためのプログラムの作成は不要になる。
【0105】
上述の実施形態はあらゆる点で単なる例示に過ぎず、限定的に解釈してはならない。さらに、特許請求の範囲の均等範囲に属する変形や変更は、全て本発明の範囲内のものである。
【0106】
なお、例えば、受光用ユニット30及び投光用ユニット10をロボットアーム等の可動部に設置し、制御装置70を非可動に設置する等分離して配置してもよい。この場合、受光用ユニット30を駆動する電力は、接続ケーブルDを介して制御装置70から供給される。
【0107】
受光用ユニット30及び投光用ユニット10が、ロボットアーム等の可動部に設置された場合の光学測定装置の処理動作の一例について説明する。ワークWの異なる2つ部位A,Bに対し寸法測定を行う場合を考える。まず、部位Aについて寸法測定を行い、測定結果がNG(不良)でなければ総合判定としてOK判定を出力する。次に、部位Bについて寸法測定を行い、測定結果がNGでなければ総合判定を変更することなく、OK判定を出力する。仮に部位Bの測定結果がNGであれば、総合判定をOK判定からNG判定に変更して出力する。
【0108】
一方で、部位Aについて寸法測定を行い、測定結果がNGであれば総合判定としてNG判定を出力する。次に、部位Bについて寸法測定を行うが、たとえ測定結果がNGでなくても、総合判定としてNG判定を出力する(部位Aの測定結果がNGであるため)。部位Bについての寸法測定がOKだった場合において、例えば、ロボットアームが可動し、再び部位Aについての寸法測定を行ったとする。このとき、部位Aについての測定結果がOKであれば、総合判定をNG判定からOK判定に変更して出力する。
【0109】
このような処理動作は、外部から光学測定装置に対してリセット信号が送信されるまで続く。言い換えると、光学測定装置は、外部からリセット信号が受信するまで、部位Aと部位Bの寸法測定結果のうちいずれかがNGであれば、総合判定としてNG判定を出力し、それ以外は総合判定としてOK判定を出力する、という処理動作を行ってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0110】
以上説明したように、本発明に係る光学測定装置は、投光用筐体と受光用筐体との間に配置したワークの寸法等を測定する場合に利用できる。
【符号の説明】
【0111】
1 光学測定装置
10 投光用ユニット
11 光源
12 光源ホルダ
15 投光側テレセントリックレンズ
20 投光用筐体
23 投光窓
30 受光用ユニット
31 二次元撮像素子
35 受光側反射体
36 受光側テレセントリックレンズ
38 受光側レンズユニット
40 受光用筐体
43 受光窓
73a 登録部
73b 設定部
73c 選択部
73d 画像判定部
73e 実行部
73f 総合判定部
82 表示装置(表示部)
S 測定領域
W ワーク