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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-14
(45)【発行日】2024-11-22
(54)【発明の名称】電気機器システムおよび電気機器
(51)【国際特許分類】
   H01M 50/244 20210101AFI20241115BHJP
   B25F 5/00 20060101ALI20241115BHJP
   H01M 50/247 20210101ALI20241115BHJP
   H01M 50/296 20210101ALI20241115BHJP
【FI】
H01M50/244 A
B25F5/00 H
H01M50/247
H01M50/296
【請求項の数】 19
(21)【出願番号】P 2020204011
(22)【出願日】2020-12-09
(65)【公開番号】P2022091276
(43)【公開日】2022-06-21
【審査請求日】2023-09-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000137292
【氏名又は名称】株式会社マキタ
(74)【代理人】
【識別番号】110000110
【氏名又は名称】弁理士法人 快友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】水谷 真也
【審査官】田代 吉成
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2020/066905(WO,A1)
【文献】国際公開第2019/031272(WO,A1)
【文献】特開2020-150734(JP,A)
【文献】特開2007-144813(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 50/20
B25F 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1電池側取付部を備える第1電池パック型機器と、第2電池側取付部を備える第2電池パック型機器と、第1機器側取付部を備える第1電気機器と、第2機器側取付部を備える第2電気機器を備える電気機器システムであって、
前記第1電池側取付部と前記第2電池側取付部は、それぞれ、
第1電池側端子備えており、
前記第1電池側取付部は、前記第1電池側取付部の前記第1電池側端子よりも上方で前後方向および左右方向に沿って配置された第1上板をさらに備えており、
前記第1電池側取付部の前記第1上板には、前記第1上板の前端から、前記第1電池側取付部の前記第1電池側端子の前端よりも後方まで前後方向に伸びる第1スリットが形成されており、
前記第2電池側取付部は、左右方向の位置が前記第2電池側取付部の前記第1電池側端子の左右方向の位置と略同じであり、前記第2電池側取付部の前記第1電池側端子の後方に配置された第2電池側端子と、前記第2電池側取付部の前記第1電池側端子よりも上方で前後方向および左右方向に沿って配置された第2上板をさらに備えており、
前記第2電池側取付部の前記第2上板には、前記第2上板の前端から前記第2電池側端子の前端よりも後方まで前後方向に伸びる第2スリットが形成されており、
前記第1電池側取付部の前記第1スリットは、前記第2電池側取付部の前記第2スリットよりも短く、
前記第1機器側取付部と前記第2機器側取付部は、それぞれ、前記第1電池側取付部および前記第2電池側取付部の前記第1電池側端子に対応して配置されており、前記第1電池側取付部の前記第1スリットおよび前記第2電池側取付部の前記第2スリットを貫通する形状を有する機器側端子を備えており、
前記第2機器側取付部は、左右方向の位置が前記第2機器側取付部の前記機器側端子の左右方向の位置と略同じであり、前記第2機器側取付部の前記機器側端子の後方に配置されており、前記第1電池側取付部の前記第1スリットおよび前記第2電池側取付部の前記第2スリットを貫通する形状を有する規制部をさらに備えており、
前記第1電池側取付部を前記第1機器側取付部の後方から前方に向けて移動させる場合には、前記第1機器側取付部の前記機器側端子が前記第1電池側取付部の前記第1スリットを貫通し、少なくとも前記第1機器側取付部の前記機器側端子が前記第1電池側取付部の前記第1電池側端子に接触する位置まで、前記第1電池側取付部が前記第1機器側取付部に対して移動可能であり、
前記第1電池側取付部を前記第2機器側取付部の後方から前方に向けて移動させる場合には、前記規制部の下端が前記第1電池側取付部の前記第1上板の下面よりも下方に位置する状態で、前記規制部が前記第1電池側取付部の前記第1スリットを貫通し、前記規制部が前記第1電池側取付部の前記第1スリットの後端面に当接する位置であって、前記第2機器側取付部の前記機器側端子が前記第1電池側取付部の前記第1電池側端子に接触しない位置まで、前記第1電池側取付部が前記第2機器側取付部に対して移動可能であり、
前記第2電池側取付部を前記第1機器側取付部の後方から前方に向けて移動させる場合には、前記第1機器側取付部の前記機器側端子が前記第2電池側取付部の前記第2スリットを貫通し、少なくとも前記第1機器側取付部の前記機器側端子が前記第2電池側取付部の前記第1電池側端子に接触する位置まで、前記第2電池側取付部が前記第1機器側取付部に対して移動可能であり、
前記第2電池側取付部を前記第2機器側取付部の後方から前方に向けて移動させる場合には、前記規制部の下端が前記第2電池側取付部の前記第2上板の下面よりも下方に位置する状態で、前記規制部と前記第2機器側取付部の前記機器側端子が前記第2電池側取付部の前記第2スリットを貫通し、少なくとも前記第2機器側取付部の前記機器側端子が前記第2電池側取付部の前記第1電池側端子に接触する位置まで、前記第2電池側取付部が前記第2機器側取付部に対して移動可能である、電気機器システム。
【請求項2】
前記規制部の、前記第1電池側取付部の前記第1スリットの前記後端面に当接する部分が、金属製である、請求項1の電気機器システム。
【請求項3】
前記規制部が、電流が流れない金属製のダミー端子である、請求項2の電気機器システム。
【請求項4】
前記第1電池側取付部を前記第2機器側取付部の後方から前方に向けて移動させる場合には、前記規制部の下端が前記第1電池側取付部の前記第1電池側端子の上端よりも下方に位置する状態で、前記規制部が前記第1電池側取付部の前記第1スリットを貫通し、前記規制部が前記第1電池側取付部の前記第1スリットの後端面に当接する位置であって、前記第2機器側取付部の前記機器側端子が前記第1電池側取付部の前記第1電池側端子に接触しない位置まで、前記第1電池側取付部が前記第2機器側取付部に対して移動可能であり、
前記第2電池側取付部を前記第2機器側取付部の後方から前方に向けて移動させる場合には、前記規制部の下端が前記第2電池側取付部の前記第1電池側端子の上端よりも下方に位置する状態で、前記規制部と前記第2機器側取付部の前記機器側端子が前記第2電池側取付部の前記第2スリットを貫通し、少なくとも前記第2機器側取付部の前記機器側端子が前記第2電池側取付部の前記第1電池側端子に接触する位置まで、前記第2電池側取付部が前記第2機器側取付部に対して移動可能である、請求項1から3の何れか一項の電気機器システム。
【請求項5】
前記第1電池側取付部および前記第2電池側取付部の前記第1電池側端子が、前記第1機器側取付部および前記第2機器側取付部の前記機器側端子を左右方向から弾性的に挟持する挟持部を備えており、
前記規制部の、前記第1電池側取付部および前記第2電池側取付部の前記第1電池側端子の前記上端よりも下方に位置する部分の左右方向の寸法が、前記第2機器側取付部の前記機器側端子の、前記第1電池側取付部および前記第2電池側取付部の前記第1電池側端子の前記上端よりも下方に位置する部分の左右方向の寸法以下である、請求項4の電気機器システム。
【請求項6】
前記第1電池側取付部の前記第1上板の上面に、前記第1電池側取付部の前記第1スリットの周囲を囲う第1窪み部が形成されており、
前記第2電池側取付部の前記第2上板の上面に、前記第2電池側取付部の前記第2スリットの周囲を囲う第2窪み部が形成されており、
前記第2機器側取付部が、前記第1窪み部および前記第2窪み部に対応して配置されており、前記規制部の周囲を囲うベース部をさらに備えており、
前記第2機器側取付部の前記規制部が前記第1電池側取付部の前記第1スリットの前記後端面に当接する際に、前記第2機器側取付部の前記ベース部が前記第1電池側取付部の前記第1窪み部の後端面に当接する、請求項1から5の何れか一項の電気機器システム。
【請求項7】
前記第2電池パック型機器が、電池パックであって、
前記第1電池パック型機器が、コードを有するアダプタである、請求項1から6の何れか一項の電気機器システム。
【請求項8】
前記第1機器側取付部が、前記第1電気機器の外部に露出しており、
前記第2機器側取付部が、開閉式のカバーによって前記第2電気機器の外部から遮蔽されている、請求項7の電気機器システム。
【請求項9】
前記第1電気機器が、前記電池パックまたは前記アダプタから放電される電力を利用して動作する電気機器であって、
前記第2電気機器が、前記電池パックを充電する充電器である、請求項7の電気機器システム。
【請求項10】
前記第1電気機器が、前記電池パックまたは前記アダプタから放電される電力を利用して動作する電気機器であって、
前記第2電気機器が、前記電池パックの使用履歴を確認する電池チェッカである、請求項7の電気機器システム。
【請求項11】
前記第1電気機器が、前記電池パックまたは前記アダプタから放電される電力を利用して動作する電気機器であって、
前記第2電気機器が、前記電池パックを充電する充電器と前記電池パックを接続するための充電アダプタである、請求項7の電気機器システム。
【請求項12】
電気機器であって、
第1電池側取付部を備える第1電池パック型機器を取付不能であって、第2電池側取付部を備える第2電池パック型機器を取付可能な機器側取付部を備えており、
前記第1電池側取付部と前記第2電池側取付部は、それぞれ、
第1電池側端子備えており、
前記第1電池側取付部は、前記第1電池側取付部の前記第1電池側端子よりも上方で前後方向および左右方向に沿って配置された第1上板をさらに備えており、
前記第1電池側取付部の前記第1上板には、前記第1上板の前端から、前記第1電池側取付部の前記第1電池側端子の前端よりも後方まで前後方向に伸びる第1スリットが形成されており、
前記第2電池側取付部は、左右方向の位置が前記第2電池側取付部の前記第1電池側端子の左右方向の位置と略同じであり、前記第2電池側取付部の前記第1電池側端子の後方に配置された第2電池側端子と、前記第2電池側取付部の前記第1電池側端子よりも上方で前後方向および左右方向に沿って配置された第2上板をさらに備えており、
前記第2電池側取付部の前記第2上板には、前記第2上板の前端から前記第2電池側端子の前端よりも後方まで前後方向に伸びる第2スリットが形成されており、
前記第1電池側取付部の前記第1スリットは、前記第2電池側取付部の前記第2スリットよりも短く、
前記機器側取付部は、
前記第1電池側取付部および前記第2電池側取付部の前記第1電池側端子に対応して配置されており、前記第1電池側取付部の前記第1スリットおよび前記第2電池側取付部の前記第2スリットを貫通する形状を有する機器側端子と、
左右方向の位置が前記機器側端子の左右方向の位置と略同じであり、前記機器側端子の後方に配置されており、前記第1電池側取付部の前記第1スリットおよび前記第2電池側取付部の前記第2スリットを貫通する形状を有する規制部を備えており、
前記第1電池側取付部を前記機器側取付部の後方から前方に向けて移動させる場合には、前記規制部の下端が前記第1上板の下面よりも下方に位置する状態で、前記規制部が前記第1電池側取付部の前記第1スリットを貫通し、前記規制部が前記第1電池側取付部の前記第1スリットの後端面に当接する位置であって、前記機器側端子が前記第1電池側取付部の前記第1電池側端子に接触しない位置まで、前記第1電池側取付部が前記機器側取付部に対して移動可能であり、
前記第2電池側取付部を前記機器側取付部の後方から前方に向けて移動させる場合には、前記規制部の下端が前記第2上板の下面よりも下方に位置する状態で、前記規制部と前記機器側端子が前記第2電池側取付部の前記第2スリットを貫通し、少なくとも前記機器側端子が前記第2電池側取付部の前記第1電池側端子に接触する位置まで、前記第2電池側取付部が前記機器側取付部に対して移動可能である、電気機器。
【請求項13】
前記規制部の、前記第1電池側取付部の前記第1スリットの前記後端面に当接する部分が、金属製である、請求項12の電気機器。
【請求項14】
前記規制部が、電流が流れない金属製のダミー端子である、請求項13の電気機器。
【請求項15】
前記第1電池側取付部を前記機器側取付部の後方から前方に向けて移動させる場合には、前記規制部の下端が前記第1電池側取付部の前記第1電池側端子の上端よりも下方に位置する状態で、前記規制部が前記第1電池側取付部の前記第1スリットを貫通し、前記規制部が前記第1電池側取付部の前記第1スリットの後端面に当接する位置であって、前記機器側端子が前記第1電池側取付部の前記第1電池側端子に接触しない位置まで、前記第1電池側取付部が前記機器側取付部に対して移動可能であり、
前記第2電池側取付部を前記機器側取付部の後方から前方に向けて移動させる場合には、前記規制部の下端が前記第2電池側取付部の前記第1電池側端子の上端よりも下方に位置する状態で、前記規制部と前記機器側端子が前記第2電池側取付部の前記第2スリットを貫通し、少なくとも前記機器側端子が前記第2電池側取付部の前記第1電池側端子に接触する位置まで、前記第2電池側取付部が前記機器側取付部に対して移動可能である、請求項12から14の何れか一項の電気機器。
【請求項16】
前記第1電池側取付部および前記第2電池側取付部の前記第1電池側端子が、前記機器側端子を左右方向から弾性的に挟持する挟持部を備えており、
前記規制部の、前記第1電池側取付部および前記第2電池側取付部の前記第1電池側端子の前記上端よりも下方に位置する部分の左右方向の寸法が、前記機器側端子の、前記第1電池側取付部および前記第2電池側取付部の前記第1電池側端子の前記上端よりも下方に位置する部分の左右方向の寸法以下である、請求項15の電気機器。
【請求項17】
前記第1電池側取付部の前記第1上板の上面に、前記第1電池側取付部の前記第1スリットの周囲を囲う第1窪み部が形成されており、
前記第2電池側取付部の前記第2上板の上面に、前記第2電池側取付部の前記第2スリットの周囲を囲う第2窪み部が形成されており、
前記機器側取付部が、前記第1窪み部および前記第2窪み部に対応して配置されており、前記規制部の周囲を囲うベース部をさらに備えており、
前記機器側取付部の前記規制部が前記第1電池側取付部の前記第1スリットの前記後端面に当接する際に、前記機器側取付部の前記ベース部が前記第1電池側取付部の前記第1窪み部の後端面に当接する、請求項12から16の何れか一項の電気機器。
【請求項18】
前記第2電池パック型機器が、電池パックであって、
前記第1電池パック型機器が、コードを有するアダプタである、請求項12から17の何れか一項の電気機器。
【請求項19】
前記機器側取付部を外部から遮蔽する開閉式のカバーをさらに備える、請求項18の電気機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書で開示する技術は、電気機器システムおよび電気機器に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、第1電池側取付部を備える第1電池パック型機器と、第2電池側取付部を備える第2電池パック型機器と、第1機器側取付部を備える第1電気機器と、第2機器側取付部を備える第2電気機器を備える電気機器システムが開示されている。前記第1電池側取付部と前記第2電池側取付部は、それぞれ、電池側端子と、前記電池側端子よりも上方で前後方向および左右方向に沿って配置された上板を備えている。前記上板には、前記上板の前端から前記電池側端子の前端よりも後方まで前後方向に伸びるスリットが形成されている。前記電池側取付部の前記上板の上面には、前記スリットの周囲を囲う窪み部が形成されている。前記第2電池側取付部の前記上板の上面には、このような窪み部は形成されていない。前記第1機器側取付部と前記第2機器側取付部は、それぞれ、前記電池側端子に対応して配置されており、前記スリットを貫通する形状を有する機器側端子を備えている。前記第2機器側取付部は、前記窪み部に対応して配置されており、前記機器側端子の周囲を囲うベース部をさらに備えている。前記第1機器側取付部は、このようなベース部を備えていない。前記第1電池側取付部を前記第1機器側取付部の後方から前方に向けて移動させる場合には、前記機器側端子が前記スリットを貫通し、少なくとも前記機器側端子が前記電池側端子に接触する位置まで、前記第1電池側取付部が前記第1機器側取付部に対して移動可能である。前記第1電池側取付部を前記第2機器側取付部の後方から前方に向けて移動させる場合には、前記ベース部が前記上板と干渉するので、前記機器側端子が前記スリットを貫通することができず、前記機器側端子が前記電池側端子に接触する位置まで、前記第1電池側取付部を前記第1機器側取付部に対して移動させることができない。前記第2電池側取付部を前記第1機器側取付部の後方から前方に向けて移動させる場合には、前記機器側端子が前記スリットを貫通し、少なくとも前記機器側端子が前記電池側端子に接触する位置まで、前記第2電池側取付部が前記第1機器側取付部に対して移動可能である。前記第2電池側取付部を前記第2機器側取付部の後方から前方に向けて移動させる場合には、前記ベース部が前記窪み部に入り込み、かつ前記機器側端子が前記スリットを貫通し、少なくとも前記機器側端子が前記電池側端子に接触する位置まで、前記第2電池側取付部が前記第2機器側取付部に対して移動可能である。すなわち、上記の電気機器システムでは、電池側取付部における窪み部の有無と、機器側取付部におけるベース部の有無によって、電気機器と電池パック型機器の取付可能な組み合わせを識別している。なお、本明細書でいう電池パック型機器とは、電池パックであってもよいし、電池パックの代わりに電気機器に取付可能な機器、例えばアダプタ等であってもよい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】国際公開第2020/066905号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の構成においては、第1電池側取付部を第2機器側取付部の後方から前方に向けて勢いよく移動させた場合に、第2機器側取付部のベース部が第1電池側取付部の上板に乗り上げてしまい、機器側端子がスリットを貫通してしまって、機器側端子が電池側端子に接触する位置まで、第1電池側取付部が第2機器側取付部に対して移動してしまうおそれがある。すなわち、本来は取付不能な組み合わせであるにも関わらず、窪み部が形成されていない第1電池側取付部に、ベース部が形成されている第2機器側取付部が、誤って取り付けられてしまうおそれがある。本明細書では、電気機器に対して本来は取付不能な電池パック型機器が、誤って取り付けられてしまうことを抑制することが可能な技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本明細書が開示する電気機器システムは、第1電池側取付部を備える第1電池パック型機器と、第2電池側取付部を備える第2電池パック型機器と、第1機器側取付部を備える第1電気機器と、第2機器側取付部を備える第2電気機器を備えていてもよい。前記第1電池側取付部と前記第2電池側取付部は、それぞれ、第1電池側端子と、前記第1電池側端子よりも上方で前後方向および左右方向に沿って配置された上板を備えていてもよい。前記第1電池側取付部の前記上板には、前記上板の前端から前記第1電池側端子の前端よりも後方まで前後方向に伸びる第1スリットが形成されていてもよい。前記第2電池側取付部は、左右方向の位置が前記第1電池側端子の左右方向の位置と略同じであり、前記第1電池側端子の後方に配置された第2電池側端子をさらに備えていてもよい。前記第2電池側取付部の前記上板には、前記上板の前端から前記第2電池側端子の前端よりも後方まで前後方向に伸びる第2スリットが形成されていてもよい。前記第1スリットは、前記第2スリットよりも短くてもよい。前記第1機器側取付部と前記第2機器側取付部は、それぞれ、前記第1電池側端子に対応して配置されており、前記第1スリットおよび前記第2スリットを貫通する形状を有する機器側端子を備えていてもよい。前記第2機器側取付部は、左右方向の位置が前記機器側端子の左右方向の位置と略同じであり、前記機器側端子の後方に配置されており、前記第1スリットおよび前記第2スリットを貫通する形状を有する規制部をさらに備えていてもよい。前記第1電池側取付部を前記第1機器側取付部の後方から前方に向けて移動させる場合には、前記機器側端子が前記第1スリットを貫通し、少なくとも前記機器側端子が前記第1電池側端子に接触する位置まで、前記第1電池側取付部が前記第1機器側取付部に対して移動可能であってもよい。前記第1電池側取付部を前記第2機器側取付部の後方から前方に向けて移動させる場合には、前記規制部の下端が前記上板の下面よりも下方に位置する状態で、前記規制部が前記第1スリットを貫通し、前記規制部が前記第1スリットの後端面に当接する位置であって、前記機器側端子が前記第1電池側端子に接触しない位置まで、前記第1電池側取付部が前記第2機器側取付部に対して移動可能であってもよい。前記第2電池側取付部を前記第1機器側取付部の後方から前方に向けて移動させる場合には、前記機器側端子が前記第2スリットを貫通し、少なくとも前記機器側端子が前記第1電池側端子に接触する位置まで、前記第2電池側取付部が前記第1機器側取付部に対して移動可能であってもよい。前記第2電池側取付部を前記第2機器側取付部の後方から前方に向けて移動させる場合には、前記規制部の下端が前記上板の下面よりも下方に位置する状態で、前記規制部と前記機器側端子が前記第2スリットを貫通し、少なくとも前記機器側端子が前記第1電池側端子に接触する位置まで、前記第2電池側取付部が前記第2機器側取付部に対して移動可能であってもよい。
【0006】
上記の構成においては、第1電池側取付部を第2機器側取付部の後方から前方に向けて勢いよく移動させた場合であっても、規制部が第1スリットを貫通した状態で第1スリットの後端面に当接するので、規制部が上板に乗り上げてしまうことを抑制することができる。このため、機器側端子が第1スリットを貫通して、機器側端子が第1電池側端子に接触する位置まで、第1電池側取付部が第2機器側取付部に対して移動してしまうことを抑制することができる。第2電気機器に対して本来は取付不能な第1電池パック型機器が、誤って取り付けられてしまうことを抑制することができる。
【0007】
本明細書は電気機器も開示する。前記電気機器は、第1電池側取付部を備える第1電池パック型機器を取付不能であって、第2電池側取付部を備える第2電池パック型機器を取付可能な機器側取付部を備えていてもよい。前記第1電池側取付部と前記第2電池側取付部は、それぞれ、第1電池側端子と、前記第1電池側端子よりも上方で前後方向および左右方向に沿って配置された上板を備えていてもよい。前記第1電池側取付部の前記上板には、前記上板の前端から前記第1電池側端子の前端よりも後方まで前後方向に伸びる第1スリットが形成されていてもよい。前記第2電池側取付部は、左右方向の位置が前記第1電池側端子の左右方向の位置と略同じであり、前記第1電池側端子の後方に配置された第2電池側端子をさらに備えていてもよい。前記第2電池側取付部の前記上板には、前記上板の前端から前記第2電池側端子の前端よりも後方まで前後方向に伸びる第2スリットが形成されていてもよい。前記第1スリットは、前記第2スリットよりも短くてもよい。前記機器側取付部は、前記第1電池側端子に対応して配置されており、前記第1スリットおよび前記第2スリットを貫通する形状を有する機器側端子と、左右方向の位置が前記機器側端子の左右方向の位置と略同じであり、前記機器側端子の後方に配置されており、前記第1スリットおよび前記第2スリットを貫通する形状を有する規制部を備えていてもよい。前記第1電池側取付部を前記機器側取付部の後方から前方に向けて移動させる場合には、前記規制部の下端が前記上板の下面よりも下方に位置する状態で、前記規制部が前記第1スリットを貫通し、前記規制部が前記第1スリットの後端面に当接する位置であって、前記機器側端子が前記第1電池側端子に接触しない位置まで、前記第1電池側取付部が前記機器側取付部に対して移動可能であってもよい。前記第2電池側取付部を前記機器側取付部の後方から前方に向けて移動させる場合には、前記規制部の下端が前記上板の下面よりも下方に位置する状態で、前記規制部と前記機器側端子が前記第2スリットを貫通し、少なくとも前記機器側端子が前記第1電池側端子に接触する位置まで、前記第2電池側取付部が前記機器側取付部に対して移動可能であってもよい。
【0008】
上記の構成においては、第1電池側取付部を機器側取付部の後方から前方に向けて勢いよく移動させた場合であっても、規制部が第1スリットを貫通した状態で第1スリットの後端面に当接するので、規制部が上板に乗り上げてしまうことを抑制することができる。このため、機器側端子が第1スリットを貫通して、機器側端子が第1電池側端子に接触する位置まで、第1電池側取付部が第2機器側取付部に対して移動してしまうことを抑制することができる。電気機器に対して本来は取付不能な第1電池パック型機器が、誤って取り付けられてしまうことを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施例1に係る電気機器システム2の構成を模式的に示す図である。
図2】実施例1に係る電気機器100の電気系統のブロック図である。
図3】実施例1に係る電気機器100の端子ユニット106の斜視図である。
図4】実施例1に係る電気機器100の斜視図である。
図5】実施例1に係る電気機器200の電気系統のブロック図である。
図6】実施例1に係る電気機器200の端子ユニット202の斜視図である。
図7】実施例1に係る電気機器200の斜視図である。
図8】実施例1に係る電気機器200の、カバー210が開いた状態での、機器側取付部208の近傍の斜視図である。
図9】実施例1に係る電気機器300の電気系統のブロック図である。
図10】実施例1に係る電気機器300の斜視図である。
図11】実施例1に係る電気機器300の、カバー346が開いた状態での、端子ユニット304の近傍の斜視図である。
図12】実施例1に係る電池パック400の電気系統のブロック図である。
図13】実施例1に係る電池パック400の、上側ケーシング448を取り外した状態での、斜視図である。
図14】実施例1に係る電池パック400の正極電源端子430の斜視図である。
図15】実施例1に係る電池パック400の接続検出端子434の斜視図である。
図16】実施例1に係る電池パック400の斜視図である。
図17】実施例1に係る電池パック400の上面図である。
図18】実施例1に係るアダプタ500の電気系統のブロック図である。
図19】実施例1に係るアダプタ500の、上側ケーシング548を取り外した状態での、斜視図である。
図20】実施例1に係るアダプタ500の斜視図である。
図21】実施例1に係るアダプタ500のケーシング544の近傍の上面図である。
図22】実施例1に係る電源装置600の電気系統のブロック図である。
図23】実施例1に係る電気機器100に電池パック400を取り付けた状態の斜視図である。
図24】実施例1に係る電気機器100にアダプタ500を取り付け、アダプタ500に電源装置600を取り付けた状態の斜視図である。
図25】実施例1に係る電気機器200に電池パック400を取り付け、カバー210が開いた状態での、機器側取付部208の近傍の斜視図である。
図26】実施例1に係る電気機器200にアダプタ500を取り付けようとした状態での、機器側取付部208のダミー端子204および電池側取付部550のスリット482の近傍の断面図である。
図27】実施例1に係る電気機器200にアダプタ500を取り付けようとし、かつコードユニット502がカバー210と干渉した状態での、機器側取付部208の近傍の斜視図である。
図28】実施例1に係る電気機器300に電池パック400を取り付けた状態の側面図である。
図29】実施例1に係る電気機器300にアダプタ500を取り付けようとした状態の側面図である。
図30】実施例2に係る電気機器システム700の構成を模式的に示す図である。
図31】実施例2に係る電気機器720の端子ユニット106の下面図である。
図32】実施例2に係る電気機器740の端子ユニット742の下面図である。
図33】実施例2に係る電池パック760の上面図である。
図34】実施例2に係る電池パック780の上面図である。
図35】実施例3に係る電気機器システム800の構成を模式的に示す図である。
図36】実施例3に係る電気機器820の端子ユニット106の下面図である。
図37】実施例3に係る電気機器840の端子ユニット842の下面図である。
図38】実施例3に係る電池パック860の上面図である。
図39】実施例3に係る電池パック880の上面図である。
図40】実施例1に係る電池パック400の上側ケーシング448を裏側から見た斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の代表的かつ非限定的な具体例について、図面を参照して以下に詳細に説明する。この詳細な説明は、本発明の好ましい例を実施するための詳細を当業者に示すことを単純に意図しており、本発明の範囲を限定することを意図したものではない。また、開示された追加的な特徴ならびに発明は、さらに改善された電気機器システムおよび電動作業機を提供するために、他の特徴や発明とは別に、又は共に用いることができる。
【0011】
また、以下の詳細な説明で開示される特徴や工程の組み合わせは、最も広い意味において本発明を実施する際に必須のものではなく、特に本発明の代表的な具体例を説明するためにのみ記載されるものである。さらに、以下の代表的な具体例の様々な特徴、ならびに、特許請求の範囲に記載されるものの様々な特徴は、本発明の追加的かつ有用な実施形態を提供するにあたって、ここに記載される具体例のとおりに、あるいは列挙された順番のとおりに組合せなければならないものではない。
【0012】
本明細書及び/又は特許請求の範囲に記載された全ての特徴は、実施例及び/又は特許請求の範囲に記載された特徴の構成とは別に、出願当初の開示ならびに特許請求の範囲に記載された特定事項に対する限定として、個別に、かつ互いに独立して開示されることを意図するものである。さらに、全ての数値範囲及びグループ又は集団に関する記載は、出願当初の開示ならびに特許請求の範囲に記載された特定事項に対する限定として、それらの中間の構成を開示する意図を持ってなされている。
【0013】
1つまたはそれ以上の実施形態において、電気機器システムは、第1電池側取付部を備える第1電池パック型機器と、第2電池側取付部を備える第2電池パック型機器と、第1機器側取付部を備える第1電気機器と、第2機器側取付部を備える第2電気機器を備えていてもよい。前記第1電池側取付部と前記第2電池側取付部は、それぞれ、第1電池側端子と、前記第1電池側端子よりも上方で前後方向および左右方向に沿って配置された上板を備えていてもよい。前記第1電池側取付部の前記上板には、前記上板の前端から前記第1電池側端子の前端よりも後方まで前後方向に伸びる第1スリットが形成されていてもよい。前記第2電池側取付部は、左右方向の位置が前記第1電池側端子の左右方向の位置と略同じであり、前記第1電池側端子の後方に配置された第2電池側端子をさらに備えていてもよい。前記第2電池側取付部の前記上板には、前記上板の前端から前記第2電池側端子の前端よりも後方まで前後方向に伸びる第2スリットが形成されていてもよい。前記第1スリットは、前記第2スリットよりも短くてもよい。前記第1機器側取付部と前記第2機器側取付部は、それぞれ、前記第1電池側端子に対応して配置されており、前記第1スリットおよび前記第2スリットを貫通する形状を有する機器側端子を備えていてもよい。前記第2機器側取付部は、左右方向の位置が前記機器側端子の左右方向の位置と略同じであり、前記機器側端子の後方に配置されており、前記第1スリットおよび前記第2スリットを貫通する形状を有する規制部をさらに備えていてもよい。前記第1電池側取付部を前記第1機器側取付部の後方から前方に向けて移動させる場合には、前記機器側端子が前記第1スリットを貫通し、少なくとも前記機器側端子が前記第1電池側端子に接触する位置まで、前記第1電池側取付部が前記第1機器側取付部に対して移動可能であってもよい。前記第1電池側取付部を前記第2機器側取付部の後方から前方に向けて移動させる場合には、前記規制部の下端が前記上板の下面よりも下方に位置する状態で、前記規制部が前記第1スリットを貫通し、前記規制部が前記第1スリットの後端面に当接する位置であって、前記機器側端子が前記第1電池側端子に接触しない位置まで、前記第1電池側取付部が前記第2機器側取付部に対して移動可能であってもよい。前記第2電池側取付部を前記第1機器側取付部の後方から前方に向けて移動させる場合には、前記機器側端子が前記第2スリットを貫通し、少なくとも前記機器側端子が前記第1電池側端子に接触する位置まで、前記第2電池側取付部が前記第1機器側取付部に対して移動可能であってもよい。前記第2電池側取付部を前記第2機器側取付部の後方から前方に向けて移動させる場合には、前記規制部の下端が前記上板の下面よりも下方に位置する状態で、前記規制部と前記機器側端子が前記第2スリットを貫通し、少なくとも前記機器側端子が前記第1電池側端子に接触する位置まで、前記第2電池側取付部が前記第2機器側取付部に対して移動可能であってもよい。
【0014】
1つまたはそれ以上の実施形態において、前記規制部の前記第1スリットの前記後端面に当接する部分は、金属製であってもよい。
【0015】
規制部の第1スリットの後端面に当接する部分は、第1スリットを貫通する形状でなければならないため、左右方向の寸法が小さい。このため、規制部の第1スリットの後端面に当接する部分が樹脂製である場合、強度が弱く、第1スリットの後端面と衝突した時に規制部が破損するおそれがある。上記のように、規制部の第1スリットの後端面に当接する部分を金属製とすることで、強度を高めることができ、第1スリットの後端面と衝突した時に規制部が破損することを抑制することができる。
【0016】
1つまたはそれ以上の実施形態において、前記規制部は、電流が流れない金属製のダミー端子であってもよい。
【0017】
上記の構成によれば、規制部として金属製で強度の高いダミー端子が用いられているので、第1スリットの後端面と衝突した時に規制部であるダミー端子が破損することを抑制することができる。
【0018】
1つまたはそれ以上の実施形態において、前記電気機器システムでは、前記第1電池側取付部を前記第2機器側取付部の後方から前方に向けて移動させる場合には、前記規制部の下端が前記第1電池側端子の上端よりも下方に位置する状態で、前記規制部が前記第1スリットを貫通し、前記規制部が前記第1スリットの後端面に当接する位置であって、前記機器側端子が前記第1電池側端子に接触しない位置まで、前記第1電池側取付部が前記第2機器側取付部に対して移動可能であってもよい。前記電気機器システムでは、前記第2電池側取付部を前記第2機器側取付部の後方から前方に向けて移動させる場合には、前記規制部の下端が前記第1電池側端子の上端よりも下方に位置する状態で、前記規制部と前記機器側端子が前記第2スリットを貫通し、少なくとも前記機器側端子が前記第1電池側端子に接触する位置まで、前記第2電池側取付部が前記第2機器側取付部に対して移動可能であってもよい。
【0019】
上記の構成においては、第1電池側取付部を第2機器側取付部の後方から前方に向けて勢いよく移動させた場合であっても、規制部が第1スリットを貫通して規制部の下端が第1電池側端子の上端よりも下方に位置する状態で第1スリットの後端面に当接するので、規制部が上板に乗り上げてしまうことをより強力に抑制することができる。
【0020】
1つまたはそれ以上の実施形態において、前記第1電池側端子は、前記機器側端子を左右方向から弾性的に挟持する挟持部を備えていてもよい。前記規制部の前記第1電池側端子の前記上端よりも下方に位置する部分の左右方向の寸法が、前記機器側端子の前記第1電池側端子の前記上端よりも下方に位置する部分の左右方向の寸法以下であってもよい。
【0021】
上記の構成では、第1電池側取付部や第2電池側取付部を第2機器側取付部の後方から前方に向けて移動させる場合には、規制部の下端が第1電池側端子の上端よりも下方に位置する状態で、規制部が第1スリットを貫通する。このため、仮に規制部の第1電池側端子の上端よりも下方に位置する部分の左右方向の寸法を、機器側端子の第1電池側端子の上端よりも下方に位置する部分の左右方向の寸法よりも大きくした場合、規制部が第1電池側端子を通過する際に、規制部が挟持部を強い力で挟持した状態で摺動することとなり、規制部や第1電池側端子が摩耗するおそれがある。上記のように、規制部の第1電池側端子の上端よりも下方に位置する部分の左右方向の寸法を、機器側端子の第1電池側端子の上端よりも下方に位置する部分の左右方向の寸法以下とした場合、挟持部が規制部を挟持しない状態で、あるいは、挟持部が規制部を弱い力で挟持した状態で、規制部が第1電池側端子を通過する。このような構成とすることによって、規制部や第1電池側端子が摩耗することを抑制することができる。
【0022】
1つまたはそれ以上の実施形態において、前記第1電池側取付部の前記上板の上面に、前記第1スリットの周囲を囲う第1窪み部が形成されていてもよい。前記第2電池側取付部の前記上板の上面に、前記第2スリットの周囲を囲う第2窪み部が形成されていてもよい。前記第2機器側取付部は、前記第1窪み部および前記第2窪み部に対応して配置されており、前記規制部の周囲を囲うベース部をさらに備えていてもよい。前記第2機器側取付部の前記規制部が前記第1電池側取付部の前記第1スリットの前記後端面に当接する際に、前記第2機器側取付部の前記ベース部が前記第1電池側取付部の前記第1窪み部の後端面に当接してもよい。
【0023】
上記の構成によれば、規制部が第1スリットの後端面に当接する際に、ベース部が第1窪み部の後端面に当接するので、衝突面積を広くすることができ、衝突により作用する力を分散させることができる。
【0024】
1つまたはそれ以上の実施形態において、前記第2電池パック型機器は、電池パックであってもよい。前記第1電池パック型機器は、コードを有するアダプタであってもよい。
【0025】
電気機器の種類によっては、電池パックを取り付けても問題はないものの、コードを有するアダプタを取り付けるのが適さないことがある。上記の構成によれば、コードを有するアダプタを取り付けるのが適さない電気機器に、誤ってコードを有するアダプタが取り付けられてしまうことを抑制することができる。
【0026】
1つまたはそれ以上の実施形態において、前記第1機器側取付部は、前記第1電気機器の外部に露出していてもよい。前記第2機器側取付部は、開閉式のカバーによって前記第2電気機器の外部から遮蔽されていてもよい。
【0027】
第2機器側取付部が開閉式のカバーによって第2電気機器の外部から遮蔽されている構成では、コードを有するアダプタが誤って第2機器側取付部に取り付けられてしまうと、コードが干渉してカバーを閉じることができなくなってしまう。上記の構成によれば、コードを有するアダプタが誤って第2機器側取付部に取り付けられてしまうことを抑制することができる。
【0028】
1つまたはそれ以上の実施形態において、前記第1電気機器は、前記電池パックまたは前記アダプタから放電される電力を利用して動作する電気機器であってもよい。前記第2電気機器は、前記電池パックを充電する充電器であってもよい。
【0029】
コードを有するアダプタが、誤って充電器である第2電気機器の第2機器側取付部に取り付けられてしまうと、充電器が充電動作を行うことは無く、無意味な取り付けとなってしまう。上記の構成によれば、コードを有するアダプタが誤って第2機器側取付部に取り付けられてしまうことを抑制することができる。
【0030】
1つまたはそれ以上の実施形態において、前記第1電気機器は、前記電池パックまたは前記アダプタから放電される電力を利用して動作する電気機器であってもよい。前記第2電気機器は、前記電池パックの使用履歴を確認する電池チェッカであってもよい。
【0031】
コードを有するアダプタが、誤って電池チェッカである第2電気機器の第2機器側取付部に取り付けられてしまうと、電池チェッカが確認動作を行うことは無く、無意味な取り付けとなってしまう。上記の構成によれば、コードを有するアダプタが誤って第2機器側取付部に取り付けられてしまうことを抑制することができる。
【0032】
1つまたはそれ以上の実施形態において、前記第1電気機器は、前記電池パックまたは前記アダプタから放電される電力を利用して動作する電気機器であってもよい。前記第2電気機器は、前記電池パックを充電する充電器と前記電池パックを接続するための充電アダプタであってもよい。
【0033】
コードを有するアダプタが、誤って充電アダプタである第2電気機器の第2機器側取付部に取り付けられてしまうと、充電アダプタが電池パックの充電のための動作を行うことは無く、無意味な取り付けとなってしまう。上記の構成によれば、コードを有するアダプタが誤って第2機器側取付部に取り付けられてしまうことを抑制することができる。
【0034】
1つまたはそれ以上の実施形態において、電気機器は、第1電池側取付部を備える第1電池パック型機器を取付不能であって、第2電池側取付部を備える第2電池パック型機器を取付可能な機器側取付部を備えていてもよい。前記第1電池側取付部と前記第2電池側取付部は、それぞれ、第1電池側端子と、前記第1電池側端子よりも上方で前後方向および左右方向に沿って配置された上板を備えていてもよい。前記第1電池側取付部の前記上板には、前記上板の前端から前記第1電池側端子の前端よりも後方まで前後方向に伸びる第1スリットが形成されていてもよい。前記第2電池側取付部は、左右方向の位置が前記第1電池側端子の左右方向の位置と略同じであり、前記第1電池側端子の後方に配置された第2電池側端子をさらに備えていてもよい。前記第2電池側取付部の前記上板には、前記上板の前端から前記第2電池側端子の前端よりも後方まで前後方向に伸びる第2スリットが形成されていてもよい。前記第1スリットは、前記第2スリットよりも短くてもよい。前記機器側取付部は、前記第1電池側端子に対応して配置されており、前記第1スリットおよび前記第2スリットを貫通する形状を有する機器側端子と、左右方向の位置が前記機器側端子の左右方向の位置と略同じであり、前記機器側端子の後方に配置されており、前記第1スリットおよび前記第2スリットを貫通する形状を有する規制部を備えていてもよい。前記第1電池側取付部を前記機器側取付部の後方から前方に向けて移動させる場合には、前記規制部の下端が前記上板の下面よりも下方に位置する状態で、前記規制部が前記第1スリットを貫通し、前記規制部が前記第1スリットの後端面に当接する位置であって、前記機器側端子が前記第1電池側端子に接触しない位置まで、前記第1電池側取付部が前記機器側取付部に対して移動可能であってもよい。前記第2電池側取付部を前記機器側取付部の後方から前方に向けて移動させる場合には、前記規制部の下端が前記上板の下面よりも下方に位置する状態で、前記規制部と前記機器側端子が前記第2スリットを貫通し、少なくとも前記機器側端子が前記第1電池側端子に接触する位置まで、前記第2電池側取付部が前記機器側取付部に対して移動可能であってもよい。
【0035】
(実施例1)
図1に示すように、本実施例の電気機器システム2は、電気機器100と、電気機器200と、電気機器300と、電池パック400と、アダプタ500と、電源装置600を備えている。
【0036】
電気機器100は、例えば、ハンマドリルやグラインダ等の電動工具であってもよいし、草刈機やブロワ等の電動作業機であってもよい。あるいは、電気機器100は、ライトやラジオ、スピーカ、USBアダプタ等の電気機器であってもよい。電気機器100は、電池パック400を取付可能であり、電池パック400から供給される電力を利用して動作することができる。また、電気機器100は、アダプタ500を取付可能であり、アダプタ500を介して電源装置600から供給される電力を利用して動作することもできる。
【0037】
電気機器200は、例えば、背負い集塵機、ロボットクリーナ、噴霧器、剪定ばさみ、運搬車、高圧洗浄機、芝刈機等の電動作業機であってもよい。あるいは、電気機器200は、暖房ジャケット、ファンジャケット、バッテリコンバータ、ポータブル電源ユニット、バッテリアダプタ等の電気機器であってもよい。電気機器200は、電池パック400を取付可能であり、電池パック400から供給される電力を利用して動作することができる。一方で、電気機器200は、アダプタ500を取付不能であり、アダプタ500を介して電源装置600から供給される電力を利用して動作することはできない。
【0038】
電気機器300は、例えば、電池パック400の充電を行う充電器である。電気機器300は、電池パック400を取付可能であり、電池パック400に充電のための電力を供給することができる。一方で、電気機器300は、アダプタ500を取付不能であり、アダプタ500を介して電源装置600に充電のための電力を供給することはできない。なお、電気機器300は、電池パック400の使用履歴を確認する電池チェッカ、電池パック400の充電を行う充電器と電池パック400を接続するための充電アダプタ、リフレッシュアダプタ等の電気機器であってもよい。
【0039】
電源装置600は、例えば、ユーザが背中に背負って使用する大型の電源装置であってもよいし、ユーザが腰ベルトに掛けて使用する小型の電源装置であってもよい。あるいは、電源装置600は、ユーザが持ち運ばない据え置き型の電源装置であってもよい。電源装置600は、直流電源であってもよいし、交流電源であってもよい。電源装置600が交流電源である場合、アダプタ500は、交流電力を直流電力に変換するAC-DCコンバータを内蔵していてもよく、アダプタ500が交流電力が供給されるコンセントに直接接続されてもよい。
【0040】
(電気機器100の構成)
図2に示すように、本実施例の電気機器100は、モータユニット102と、コントロールユニット104と、端子ユニット106を備えている。モータユニット102は、モータ108と、回転センサ110を備えている。コントロールユニット104は、MPU(Micro Processing Unit)112と、ゲート回路114と、駆動回路116と、電流検出回路118と、電源回路120と、電圧検出部122と、接続検出部124と、放電制御部126と、信号通信部128と、表示部130を備えている。端子ユニット106は、正極電源端子132と、負極電源端子134と、接続検出端子136と、放電制御端子138と、信号通信端子140を備えている。電気機器100には、正極電源端子132と負極電源端子134を介して、最大電圧が例えば40V、定格電圧が例えば36Vの直流電力が供給される。モータ108は、例えば直流ブラシレスモータである。駆動回路116は、モータ108に供給される電力を切り換えるための複数のスイッチング素子(図示せず)を備えている。ゲート回路114は、MPU112から出力される制御信号に基づいて、駆動回路116のそれぞれのスイッチング素子の導通/非導通を切り換えることで、モータ108に供給される電力を制御して、モータ108の動作を制御する。回転センサ110は、モータ108の回転を検出して、MPU112に出力する。電流検出回路118は、駆動回路116を介してモータ108に流れる電流を検出して、MPU112に出力する。電源回路120は、正極電源端子132と負極電源端子134を介して供給される直流電力を、MPU112の動作に適した電圧まで降圧して、MPU112に供給する。電圧検出部122は、正極電源端子132と負極電源端子134の間の電圧を検出して、MPU112に出力する。接続検出部124は、接続検出端子136とMPU112の間を電気的に接続している。接続検出部124は、接続検出端子136の電位に基づいて、電池パック400あるいはアダプタ500の接続または非接続を検出し、接続信号または非接続信号をMPU112へ出力する。さらに、電池パック400あるいはアダプタ500が接続されている場合には、接続検出部124は、MPU112が接続検出部124を介して接続検出端子136の電位を制御することで、電気機器100のスイッチ操作部101(図4参照)のオンまたはオフに相当する信号を電池パック400あるいはアダプタ500に出力することができる。放電制御部126は、放電制御端子138とMPU112の間を電気的に接続している。放電制御部126は、放電制御端子138を介して入力される電池パック400あるいはアダプタ500から送信された放電許可信号または放電禁止信号をMPU112へ出力する。信号通信部128は、信号通信端子140とMPU112の間を電気的に接続している。信号通信部128は、信号通信端子140を介して電池パック400あるいはアダプタ500とデジタル通信を行う。MPU112は、デジタル通信により、電池パック400あるいはアダプタ500へ通信要求を送信する。通信要求には、電気機器100の出力の制限度合いを判定するためのパラメータ値も含まれる。表示部130は、電気機器100の状態をユーザに報知するためのLED(図示せず)等を備えている。表示部130は、MPU112から出力される制御信号に基づいて動作する。
【0041】
図3に示すように、端子ユニット106は、正極電源端子132と、負極電源端子134と、接続検出端子136と、放電制御端子138と、信号通信端子140を保持する端子ホルダ142を備えている。正極電源端子132と、負極電源端子134と、接続検出端子136と、放電制御端子138と、信号通信端子140は金属製であり、端子ホルダ142は樹脂製である。正極電源端子132と、負極電源端子134と、接続検出端子136と、放電制御端子138と、信号通信端子140は、前後方向および上下方向に沿った略平板形状を有している。正極電源端子132と、負極電源端子134と、接続検出端子136と、放電制御端子138と、信号通信端子140は、左右方向の幅が略同一であり、端子ホルダ142の上側基準面142aからの上下方向の高さが略同じである。正極電源端子132と、負極電源端子134と、接続検出端子136と、放電制御端子138と、信号通信端子140は、前方から後方に向かうにつれて左右方向の幅が狭まる形状を有する後縁132a,134a,136a,138a,140aを備えている。正極電源端子132、負極電源端子134、接続検出端子136、放電制御端子138、および信号通信端子140と、上側基準面142aとの接続箇所の近傍の端子ホルダ142には、上側基準面142aから突出する樹脂製のベース部144,146,148,150,152が形成されている。ベース部144,146,148,150,152の左右方向の幅は、対応する正極電源端子132、負極電源端子134、接続検出端子136、放電制御端子138、信号通信端子140の左右方向の幅よりも大きい。また、ベース部144,146,148,150,152の後端は、対応する正極電源端子132、負極電源端子134、接続検出端子136、放電制御端子138、信号通信端子140の後縁132a,134a,136a,138a,140aよりも後方に位置している。なお、以下の説明では、正極電源端子132の長手方向を前後方向といい、正極電源端子132の短手方向を上下方向といい、正極電源端子132の板厚方向を左右方向という。また、上下方向に関して、正極電源端子132から見てベース部144が配置されている方向を上方向といい、前後方向に関して、正極電源端子132から見て後縁132aが配置されている方向を後方向という。本実施例では、端子ユニット106および電気機器100について、この前後方向、上下方向、左右方向を基準として説明する。
【0042】
端子ユニット106においては、正極電源端子132よりも左側に接続検出端子136が配置されており、接続検出端子136よりも左側に放電制御端子138および信号通信端子140が配置されており、放電制御端子138および信号通信端子140よりも左側に負極電源端子134が配置されている。信号通信端子140は放電制御端子138よりも後側に配置されており、放電制御端子138と信号通信端子140の左右方向の位置は略同じである。正極電源端子132の前端と、負極電源端子134の前端と、接続検出端子136の前端と、放電制御端子138の前端は、端子ホルダ142の前側基準面142bに接続している。接続検出端子136の後縁136aと、放電制御端子138の後縁138aは、前後方向の位置が略同じである。正極電源端子132の後縁132aと、負極電源端子134の後縁134aは、前後方向の位置が略同じである。正極電源端子132の後縁132aおよび負極電源端子134の後縁134aは、接続検出端子136の後縁136aおよび放電制御端子138の後縁138aよりも後方に配置されている。信号通信端子140の後縁140aは、正極電源端子132の後縁132aおよび負極電源端子134の後縁134aよりも前方に配置されている。信号通信端子140の前端は、接続検出端子136の後縁136aおよび放電制御端子138の後縁138aよりも後方に配置されている。
【0043】
図4は、ハンマドリルである電気機器100を例示している。電気機器100は、スイッチ操作部101と、機器側取付部154を備えている。機器側取付部154は、端子ユニット106と、機器側レール156と、係合溝158を備えている。機器側レール156と係合溝158は、電気機器100の樹脂製のハウジング100aに形成されている。機器側レール156は、端子ユニット106の右側および左側で、前後方向に伸びている。係合溝158は、端子ユニット106の前側で、上方に向かって陥凹している。
【0044】
(電気機器200の構成)
図5に示すように、本実施例の電気機器200は、モータユニット102と、コントロールユニット104と、端子ユニット202を備えている。電気機器200のモータユニット102とコントロールユニット104は、電気機器100のモータユニット102とコントロールユニット104と同様の構成を備えている。端子ユニット202は、正極電源端子132と、負極電源端子134と、接続検出端子136と、放電制御端子138と、信号通信端子140と、ダミー端子204を備えている。ダミー端子204は、モータユニット102や、コントロールユニット104、正極電源端子132、負極電源端子134、接続検出端子136、放電制御端子138、信号通信端子140とは電気的に接続されておらず、電流が流れない端子である。
【0045】
図6に示すように、端子ユニット202は、電気機器100の端子ユニット106と略同様の構成を備えている。なお、本実施例では、端子ユニット202および電気機器200についても、正極電源端子132の前後方向、上下方向、左右方向を基準として説明する。端子ユニット202では、端子ホルダ142が、ダミー端子204も保持している。ダミー端子204は金属製である。ダミー端子204は、前後方向および上下方向に沿った略平板形状を有している。ダミー端子204の左右方向の幅は、正極電源端子132や、負極電源端子134、接続検出端子136、放電制御端子138、信号通信端子140の左右方向の幅と略同一である。なお、ダミー端子204の左右方向の幅は、正極電源端子132や、負極電源端子134、接続検出端子136、放電制御端子138、信号通信端子140の左右方向の幅よりも小さくてもよい。ダミー端子204の端子ホルダ142の上側基準面142aからの上下方向の高さは、正極電源端子132や、負極電源端子134、接続検出端子136、放電制御端子138、信号通信端子140の、上側基準面142aからの上下方向の高さと略同じである。ダミー端子204は、前方から後方に向かうにつれて左右方向の幅が狭まる形状を有する後縁204aを備えている。ダミー端子204と、上側基準面142aとの接続箇所の近傍の端子ホルダ142には、上側基準面142aから突出する樹脂製のベース部206が形成されている。ベース部206の左右方向の幅は、ダミー端子204の左右方向の幅よりも大きく、ベース部144,146,148,150,152の左右方向の幅と略同じである。ベース部206の後端は、ダミー端子204の後縁204aよりも後方に位置している。
【0046】
端子ユニット202においては、ダミー端子204は接続検出端子136よりも後側に配置されており、接続検出端子136とダミー端子204の左右方向の位置は略同じである。ダミー端子204の前端と、信号通信端子140の前端は、前後方向の位置が略同じである。ダミー端子204の後縁204aと、信号通信端子140の後縁140aは、前後方向の位置が略同じである。
【0047】
図7は、手押し式芝刈機である電気機器200を例示している。電気機器200は、スイッチ操作部201と、機器側取付部208と、機器側取付部208を覆う樹脂製のカバー210を備えている。カバー210は、電気機器200の樹脂製のハウジング200aに対して回動することで開閉する。図8に示すように、機器側取付部208は、端子ユニット202と、機器側レール156と、係合溝158を備えている。機器側レール156と係合溝158は、電気機器100の機器側レール156と係合溝158と同様の構成を備えている。機器側レール156と係合溝158は、電気機器200のハウジング200aに形成されている。
【0048】
(電気機器300の構成)
図9に示すように、本実施例の電気機器300は、充電回路302と、端子ユニット304を備えている。充電回路302は、電源回路306と、FET308と、MPU310と、電流検出回路312と、インターロック回路314と、電圧検出部316と、接続検出部318と、補助電源部320と、信号通信部322と、表示部324を備えている。端子ユニット304は、正極電源端子326と、負極電源端子328と、接続検出端子330と、充電制御端子332と、放電制御端子334と、信号通信端子336を備えている。電気機器300には、電源コード338を介して所定電圧(例えば100V)の交流電力が供給される。電源回路306は、MPU310からの制御信号に基づいて、電源コード338から供給される交流電力を直流電力に変換して、最大電圧が例えば40V、定格電圧が例えば36Vの直流電力を正極電源端子326と負極電源端子328に供給する。FET308は、MPU310からの制御信号に基づいて導通/非導通が切り換わることで、正極電源端子326と負極電源端子328への電力供給のオン/オフを切り換える。電流検出回路312は、正極電源端子326と負極電源端子328に供給される直流電力の電流を検出して、MPU310に出力する。インターロック回路314は、充電制御端子332と電源回路306の間を電気的に接続している。インターロック回路314は、電池パック400からの充電許可信号が入力されているときは、電源回路306による電力供給動作を許可し、電池パック400からの充電禁止信号が入力されているときは、電源回路306による電力供給動作を停止する。電圧検出部316は、正極電源端子326と負極電源端子328間の電圧を検出して、MPU310に出力する。接続検出部318は、接続検出端子330とMPU310の間を電気的に接続している。接続検出部318は、接続検出端子330の電位に基づいて、電池パック400の接続または非接続を検出し、接続信号または非接続信号をMPU310へ出力する。補助電源部320は、放電制御端子334に電気的に接続している。補助電源部320は、接続されている電池パック400の放電制御端子438(詳細は後述する)を介して、電池パック400のMPU410(詳細は後述する)の動作に適した電圧を出力することができる。信号通信部322は、信号通信端子336とMPU310の間を電気的に接続している。信号通信部322は、信号通信端子336を介して電池パック400とデジタル通信を行う。MPU310は、デジタル通信により、電池パック400へ通信要求を送信する。通信要求には、電池パック400の充電制御方法を判定するためのパラメータ値も含まれる。表示部324は、電気機器300の状態をユーザに報知するためのLED(図示せず)等を備えている。表示部324は、MPU310から出力される制御信号に基づいて動作する。
【0049】
図10に示すように、電気機器300は、機器側取付部340を備えている。機器側取付部340は、端子ユニット304と、機器側レール342と、係合溝344と、樹脂製のカバー346を備えている。機器側レール342と係合溝344は、電気機器100の機器側レール156と係合溝158と同様の構成を備えている。機器側レール342と係合溝344は、電気機器300の樹脂製のハウジング300aに形成されている。カバー346は、端子ユニット304を覆う形状を有している。カバー346は、前後方向に摺動可能にハウジング300aに支持されている。カバー346が前方に移動すると、端子ユニット304が外部に露出する。
【0050】
図11に示すように、端子ユニット304においては、正極電源端子326と、負極電源端子328と、接続検出端子330と、充電制御端子332と、放電制御端子334と、信号通信端子336が、電気機器300のハウジング300aに保持されている。正極電源端子326と、負極電源端子328と、接続検出端子330と、充電制御端子332と、放電制御端子334と、信号通信端子336は、金属製である。正極電源端子326と、負極電源端子328と、接続検出端子330と、充電制御端子332と、放電制御端子334と、信号通信端子336は、前後方向および上下方向に沿った略平板形状を有している。正極電源端子326と、負極電源端子328と、接続検出端子330と、充電制御端子332と、放電制御端子334と、信号通信端子336は、左右方向の幅が略同一であり、ハウジング300aの基準面300bからの上下方向の高さが略同じである。正極電源端子326と、負極電源端子328と、接続検出端子330と、充電制御端子332と、放電制御端子334と、信号通信端子336は、前方から後方に向かうにつれて左右方向の幅が狭まる形状を有する後縁326a,328a,330a,332a,334a,336aを備えている。正極電源端子326、負極電源端子328、接続検出端子330、充電制御端子332、放電制御端子334および信号通信端子336と、基準面300bとの接続箇所の近傍のハウジング300aには、基準面300bから突出する樹脂製のベース部348,350.352,354,356,358が形成されている。ベース部348,350.352,354,356,358の左右方向の幅は、対応する正極電源端子326、負極電源端子328、接続検出端子330、充電制御端子332、放電制御端子334、信号通信端子336の左右方向の幅よりも大きい。また、ベース部348,350.352,354,356,358の後端は、対応する正極電源端子326、負極電源端子328、接続検出端子330、充電制御端子332、放電制御端子334、信号通信端子336の後縁326a,328a,330a,332a,334a,336aよりも後方に位置している。なお、以下の説明では、正極電源端子326の長手方向を前後方向といい、正極電源端子326の短手方向を上下方向といい、正極電源端子326の板厚方向を左右方向という。また、上下方向に関して、正極電源端子326から見てベース部348が配置されている方向を上方向といい、前後方向に関して、正極電源端子326から見て後縁326aが配置されている方向を後方向という。本実施例では、端子ユニット304および電気機器300について、この前後方向、上下方向、左右方向を基準として説明する。
【0051】
端子ユニット304においては、正極電源端子326よりも左側に接続検出端子330および充電制御端子332が配置されており、接続検出端子330および充電制御端子332よりも左側に放電制御端子334および信号通信端子336が配置されており、放電制御端子334および信号通信端子336よりも左側に負極電源端子328が配置されている。充電制御端子332は接続検出端子330よりも後側に配置されており、充電制御端子332と接続検出端子330の左右方向の位置は略同じである。信号通信端子336は放電制御端子334よりも後側に配置されており、放電制御端子334と信号通信端子336の左右方向の位置は略同じである。充電制御端子332の後縁332aと、信号通信端子336の後縁336aは、前後方向の位置が略同じである。接続検出端子330の後縁330aと、放電制御端子334の後縁334aは、前後方向の位置が略同じである。正極電源端子326の後縁326aと、負極電源端子328の後縁328aは、前後方向の位置が略同じである。正極電源端子326の後縁326aおよび負極電源端子328の後縁328aは、接続検出端子330の後縁330aおよび放電制御端子334の後縁334aよりも後方に配置されている。充電制御端子332の後縁332aおよび信号通信端子336の後縁336aは、正極電源端子326の後縁326aおよび負極電源端子328の後縁328aよりも後方に配置されている。充電制御端子332の前端および信号通信端子336の前端は、接続検出端子330の後縁330aおよび放電制御端子334の後縁334aよりも後方であって、正極電源端子326の後縁326aおよび負極電源端子328の後縁328aよりも前方に配置されている。
【0052】
(電池パック400の構成)
図12に示すように、本実施例の電池パック400は、電池セルユニット402と、コントロールユニット404と、端子ユニット406を備えている。電池セルユニット402は、電池セル408を備えている。コントロールユニット404は、MPU(Micro Processing Unit)410と、電源回路412と、AFE(Analog Front End)414と、温度検出部416と、電流検出回路418と、接続検出部420と、充電制御部422と、放電制御部424と、信号通信部426と、表示部428を備えている。端子ユニット406は、正極電源端子430と、負極電源端子432と、接続検出端子434と、充電制御端子436と、放電制御端子438と、信号通信端子440を備えている。電池セル408は、例えばリチウムイオン電池セル等の二次電池セルである。電池セル408は、最大電圧が例えば40V、定格電圧が例えば36Vの直流電力を正極電源端子430および負極電源端子432に放電可能であるとともに、正極電源端子430および負極電源端子432から供給される最大電圧が例えば40V、定格電圧が例えば36Vの直流電力によって充電可能である。電源回路412は、電池セル408からの直流電力を、MPU410の動作に適した電圧まで降圧して、MPU410に供給する。電流検出回路418は、電池セル408を流れる電流を検出して、AFE414に出力する。AFE414は、電池セル408のそれぞれの電圧および電流検出回路418で検出された電流を、MPU410で認識可能となるように増幅して、MPU410に出力する。温度検出部416は、電池セル408の温度を検出して、MPU410に出力する。MPU410は、AFE414から受信したセル電圧、電流値、セル温度に基づいて、電池セル408が放電可能な状態か否か判定する。接続検出部420は、接続検出端子434とMPU410の間を電気的に接続している。接続検出部420は、接続検出端子434の電位に基づいて、電気機器100,200,300の接続または非接続を検出し、接続信号または非接続信号をMPU410へ出力する。さらに、接続検出部420は、電気機器100,200が接続されている場合には、接続検出端子434の電位に基づいて、電気機器100,200のスイッチ操作部101,201のオンまたはオフを検出し、スイッチオン信号またはスイッチオフ信号をMPU410へ出力することができる。充電制御部422は、充電制御端子436とMPU410の間を電気的に接続している。電気機器300が接続されている場合には、充電制御部422は、MPU410が充電制御部422を介して充電制御端子436の電位を制御することで、充電許可信号または充電禁止信号を電気機器300へ出力する。放電制御部424は、放電制御端子438とMPU410の間を電気的に接続している。電気機器100,200が接続されている場合には、放電制御部424は、MPU410から入力される放電許可信号または放電禁止信号を、放電制御端子438の電位を制御することで、電気機器100,200に出力することができる。信号通信部426は、信号通信端子440とMPU410の間を電気的に接続している。信号通信部426は、信号通信端子440を介して電気機器100,200,300とデジタル通信を行う。MPU410は、デジタル通信により、電気機器100,200,300からの通信要求に対する回答を送信する。通信要求には、電池パック400の充電制御方法を判定するためのパラメータ値であったり、電気機器100,200の出力の制限度合いを判定するためのパラメータ値等が含まれる。表示部428は、電池パック400の状態をユーザに報知するためのLED(図示せず)等を備えている。表示部428は、MPU410から出力される制御信号に基づいて動作する。
【0053】
図13に示すように、端子ユニット406の正極電源端子430と、負極電源端子432と、接続検出端子434と、充電制御端子436と、放電制御端子438と、信号通信端子440は、コントロールユニット404が実装された回路基板442に固定されている。正極電源端子430と、負極電源端子432と、接続検出端子434と、充電制御端子436と、放電制御端子438と、信号通信端子440は金属製である。正極電源端子430は、電気機器100,200,300の正極電源端子132,326に対応する位置に配置されている。負極電源端子432は、電気機器100,200,300の負極電源端子134,328に対応する位置に配置されている。接続検出端子434は、電気機器100,200,300の接続検出端子136,330に対応する位置に配置されている。充電制御端子436は、電気機器200,300のダミー端子204,充電制御端子332に対応する位置に配置されている。放電制御端子438は、電気機器100,200,300の放電制御端子138,334に対応する位置に配置されている。信号通信端子440は、電気機器100,200,300の信号通信端子140,336に対応する位置に配置されている。なお、本実施例では、端子ユニット406および電池パック400について、電気機器100,200,300の端子ユニット106,202,304の前後方向、上下方向、左右方向を基準として説明する。
【0054】
図14に示すように、正極電源端子430は、底板部430aと、下側湾曲部430bと、傾斜部430cと、挟持部430dと、上側湾曲部430eを備えている。底板部430aは、長手方向が前後方向に沿う長方形状に形成されている。底板部430aには、回路基板442に機械的に固定するとともに電気的に接続するための固定リブ430fが形成されている。下側湾曲部430bは、底板部430aの左右方向の両端部から上方に向けて湾曲した形状に形成されている。傾斜部430cは、下側湾曲部430bの上端部から伸びる平板状に形成されている。挟持部430dは、傾斜部430cの上端部からわずかに外側に屈曲して伸びる平板状に形成されている。上側湾曲部430eは、挟持部430dの上端部から外側に向けて湾曲する形状に形成されている。
【0055】
正極電源端子430に電気機器100,200,300の正極電源端子132,326が差し込まれる場合には、挟持部430dに正極電源端子132,326の後縁132a,326aが入り込み、それによって挟持部430dが外側に開き、挟持部430dによって正極電源端子132,326が挟持される。この際に、下側湾曲部430bおよび傾斜部430cの弾性復元力によって、挟持部430dが正極電源端子132,326に押し当てられることで、正極電源端子430が正極電源端子132,326と機械的に係合するとともに、電気的に接続する。すなわち、挟持部430dは、電気機器100,200,300の正極電源端子132,326を受け入れて、正極電源端子132,326を両側から挟持する。逆に、挟持部430dから電気機器100,200,300の正極電源端子132,326が抜き出されると、正極電源端子430と正極電源端子132,326が機械的に係合解除されるとともに、電気的に接続解除される。そして、下側湾曲部430bおよび傾斜部430cの弾性復元力によって、挟持部430dは元の位置に戻る。
【0056】
なお、上記した正極電源端子430の形状はあくまで一例であって、正極電源端子430は、電気機器100,200,300の正極電源端子132,326を左右から弾性的に挟持可能な他の形状を有していてもよい。あるいは、正極電源端子430は、電気機器100,200,300の正極電源端子132,326を左右から弾性的に挟持することなく、正極電源端子132,326に対して左方または右方から弾性的に当接する形状を有していてもよい。
【0057】
図15に示すように、接続検出端子434は、底板部434aと、下側湾曲部434bと、傾斜部434cと、挟持部434dと、上側湾曲部434eを備えている。底板部434aは、長手方向が前後方向に沿う長方形状に形成されている。底板部434aには、回路基板442に機械的に固定するとともに電気的に接続するための固定リブ434fが形成されている。下側湾曲部434bは、底板部434aの左右方向の両端部から上方に向けて湾曲した形状に形成されている。傾斜部434cは、下側湾曲部434bの上端部から伸びる平板状に形成されている。挟持部434dは、傾斜部434cの上端部からわずかに外側に屈曲して伸びる平板状に形成されている。上側湾曲部434eは、挟持部434dの上端部から外側に向けて湾曲する形状に形成されている。
【0058】
接続検出端子434に電気機器100,200,300の接続検出端子136,330が差し込まれる場合には、挟持部434dに接続検出端子136,330の後縁136a,330aが入り込み、それによって挟持部434dが外側に開き、挟持部434dによって接続検出端子136,330が挟持される。この際に、下側湾曲部434bおよび傾斜部434cの弾性復元力によって、挟持部434dが接続検出端子136,330に押し当てられることで、接続検出端子434が接続検出端子136,330と機械的に係合するとともに、電気的に接続する。すなわち、挟持部434dは、電気機器100,200,300の接続検出端子136,330を受け入れて、接続検出端子136,330を両側から挟持する。逆に、挟持部434dから電気機器100,200,300の接続検出端子136,330が抜き出されると、接続検出端子434と接続検出端子136,330が機械的に係合解除されるとともに、電気的に接続解除される。そして、下側湾曲部434bおよび傾斜部434cの弾性復元力によって、挟持部434dは元の位置に戻る。
【0059】
なお、上記した接続検出端子434の形状はあくまで一例であって、接続検出端子434は、電気機器100,200,300の接続検出端子136,330を左右から弾性的に挟持可能な他の形状を有していてもよい。あるいは、接続検出端子434は、電気機器100,200,300の接続検出端子136,330を左右から弾性的に挟持することなく、接続検出端子136,330に対して左方または右方から弾性的に当接する形状を有していてもよい。
【0060】
図13に示すように、負極電源端子432は、正極電源端子430と同一の形状を有している。充電制御端子436と、放電制御端子438と、信号通信端子440は、接続検出端子434と同一の形状を有している。
【0061】
図16に示すように、電池パック400は、電池セルユニット402と、コントロールユニット404と、端子ユニット406を収容する樹脂製のケーシング444を備えている。ケーシング444は、下側ケーシング446と、上側ケーシング448を備えている。上側ケーシング448には、フック450が取り付けられている。フック450は、係合部450aと、操作部450bを備えている。フック450は、圧縮バネ(図示せず)によって上方に向けて付勢されている。電池パック400が電気機器100,200,300に取り付けられる際には、フック450の係合部450aが電気機器100,200,300の係合溝158,344(図4図8図10等参照)に入り込むことで、電池パック400が電気機器100,200,300に固定される。この状態から、ユーザがフック450の操作部450bを押し下げると、係合部450aが係合溝158,344から抜け出す。この状態では、ユーザは、電池パック400を電気機器100,200,300に対して後方にスライドさせることができ、電池パック400を電気機器100,200,300から取り外すことができる。
【0062】
上側ケーシング448には、基部452と、電池側レール454と、端子収容部456が形成されている。基部452は、前後方向および左右方向に沿っており、上方を向いた上面452aを有している。電池側レール454は、基部452の右端から上方に突出しており、前後方向に沿って延びる右側支持壁458と、右側支持壁458の上端から右方に突出しており、前後方向に沿って延びる右側レール460と、基部452の左端から上方に突出しており、前後方向に沿って延びる左側支持壁462と、左側支持壁462の上端から左方に突出しており、前後方向に沿って延びる左側レール464を備えている。端子収容部456は、端子ユニット406の上方で前後方向および左右方向に沿って配置された上板466と、端子ユニット406の前方で上下方向および左右方向に沿って配置された前板468を備えている。上板466と前板468は、電池側レール454の右側支持壁458と左側支持壁462の間を接続している。
【0063】
端子収容部456の前板468には、前板468を前面から後面まで貫通しており、上下方向に延びるスリット470,472,474,476が形成されている。端子収容部456の上板466には、上板466を上面466aから下面466b(図40参照)まで貫通しており、前後方向に延びるスリット478,480,482,484が形成されている。スリット470,472,474,476の上端は、それぞれ、スリット478,480,482,484の後端に接続している。スリット470,478の左右方向の位置は、正極電源端子430の左右方向の位置に対応している。スリット470,478の左右方向の幅は、電気機器100,200,300の正極電源端子132,326の左右方向の幅よりも大きい。スリット472,480の左右方向の位置は、負極電源端子432の左右方向の位置に対応している。スリット472,480の左右方向の幅は、電気機器100,200,300の負極電源端子134,328の左右方向の幅よりも大きい。スリット474,482の左右方向の位置は、接続検出端子434,充電制御端子436の左右方向の位置に対応している。スリット474,482の左右方向の幅は、電気機器100,200,300の接続検出端子136,330,ダミー端子204,充電制御端子332の左右方向の幅よりも大きい。スリット476,484の左右方向の位置は、放電制御端子438,信号通信端子440の左右方向の位置に対応している。スリット476,484の左右方向の幅は、電気機器100,200,300の放電制御端子138,334,信号通信端子140,336の左右方向の幅よりも大きい。
【0064】
図17に示すように、スリット478は、上板466の前端から正極電源端子430の後端よりも後方の位置まで延びている。スリット480は、上板466の前端から負極電源端子432の後端よりも後方の位置まで延びている。スリット482は、上板466の前端から充電制御端子436の後端と略同じ位置まで延びている。スリット484は、上板466の前端から信号通信端子440の後端と略同じ位置まで延びている。
【0065】
スリット478,480,482,484の近傍の上板466には、下方に陥凹する窪み部478a,480a,482a,484aがそれぞれ形成されている。窪み部478aの左右方向の幅は、電気機器100,200,300の正極電源端子132,326のベース部144,348の左右方向の幅よりも大きい。窪み部478aの後端は、スリット478の後端よりも後方に位置している。窪み部480aの左右方向の幅は、電気機器100,200,300の負極電源端子134,328のベース部146,350の左右方向の幅よりも大きい。窪み部480aの後端は、スリット480の後端よりも後方に位置している。窪み部482aの左右方向の幅は、電気機器100,200,300の接続検出端子136,330,ダミー端子204,充電制御端子332のベース部148,352,206,354の左右方向の幅よりも大きい。窪み部482aの後端は、スリット482の後端よりも後方に位置している。窪み部484aの左右方向の幅は、電気機器100,200,300の放電制御端子138,334,信号通信端子140,336のベース部150,356,152,358の左右方向の幅よりも大きい。窪み部484aの後端は、スリット484の後端よりも後方に位置している。
【0066】
なお、以下の説明では、電池パック400の端子ユニット406と、フック450と、上側ケーシング448の基部452と、電池側レール454と、端子収容部456を総称して、電池側取付部486ともいう。
【0067】
(アダプタ500の構成)
図18に示すように、本実施例のアダプタ500は、コードユニット502と、コントロールユニット504と、端子ユニット506を備えている。コードユニット502は、正極電源端子508と、負極電源端子510と、放電制御端子512と、機種識別端子516と、サーミスタ518を備えている。コントロールユニット504は、MPU(Micro Processing Unit)520と、電源回路522と、電圧検出部524と、放電制御部526と、識別子記憶部530と、温度検出部532と、接続検出部534と、放電制御部536と、信号通信部538と、表示部540を備えている。端子ユニット506は、正極電源端子430と、負極電源端子432と、接続検出端子434と、放電制御端子438と、信号通信端子440を備えている。アダプタ500には、コードユニット502の正極電源端子508と負極電源端子510を介して最大電圧が例えば40V、定格電圧が例えば36Vの直流電力が供給される。そして、アダプタ500は、端子ユニット506の正極電源端子430と負極電源端子432に、最大電圧が例えば40V、定格電圧が例えば36Vの直流電力を供給する。電源回路522は、コードユニット502の正極電源端子508と負極電源端子510に供給される直流電力を、MPU520の動作に適した電圧まで降圧して、MPU520に供給する。電圧検出部524は、正極電源端子508と負極電源端子510の間の電圧を検出して、MPU520に出力する。放電制御部526は、コードユニット502の放電制御端子512とMPU520の間を電気的に接続している。放電制御部526は、コードユニット502に電源装置600が接続されている場合には、放電制御端子512を介して入力された放電許可信号または放電禁止信号を、MPU520へ出力する。識別子記憶部530は、コードユニット502の機種識別端子516に電気的に接続しており、アダプタ500の識別子情報を記憶している。温度検出部532は、サーミスタ518で検出されるコードユニット502の温度をMPU520に出力する。接続検出部534は、端子ユニット506の接続検出端子434とMPU520の間を電気的に接続している。接続検出部534は、接続検出端子434の電位に基づいて、電気機器100の接続または非接続を検出し、接続信号または非接続信号をMPU520へ出力する。さらに、接続検出部534は、端子ユニット506に電気機器100が接続されている場合には、接続検出端子434の電位に基づいて、電気機器100のスイッチ操作部101のオンまたはオフを検出し、スイッチオン信号またはスイッチオフ信号をMPU520へ出力することができる。放電制御部536は、端子ユニット506の放電制御端子438とMPU520の間を電気的に接続している。端子ユニット506に電気機器100が接続されている場合、放電制御部536は、MPU520から入力される放電許可信号または放電禁止信号を、放電制御端子438の電位を制御することで、電気機器100に出力することができる。信号通信部538は、端子ユニット506の信号通信端子440とMPU520の間を電気的に接続している。信号通信部538は、信号通信端子440を介して電気機器100とデジタル通信を行う。MPU520は、デジタル通信により、電気機器100からの通信要求に対する回答を送信する。通信要求には、電気機器100の出力の制限度合いを判定するためのパラメータ値も含まれる。表示部540は、アダプタ500の状態をユーザに報知するためのLED(図示せず)等を備えている。表示部540は、MPU520から出力される制御信号に基づいて動作する。
【0068】
図19に示すように、端子ユニット506は、充電制御端子436を備えていない点を除いて、電池パック400の端子ユニット406と同様の構成を備えている。端子ユニット506の正極電源端子430と、負極電源端子432と、接続検出端子434と、放電制御端子438と、信号通信端子440は、コントロールユニット504が実装された回路基板542に固定されている。なお、本実施例では、端子ユニット506およびアダプタ500について、電気機器100の端子ユニット106の前後方向、上下方向、左右方向を基準として説明する。
【0069】
図20に示すように、アダプタ500は、コントロールユニット504と、端子ユニット506を収容する樹脂製のケーシング544を備えている。ケーシング544は、下側ケーシング546と、上側ケーシング548を備えている。上側ケーシング548には、電池パック400と同様に、フック450が取り付けられている。
【0070】
上側ケーシング548には、基部452と、電池側レール454と、端子収容部456が形成されている。基部452および電池側レール454の構成は、電池パック400の基部452および電池側レール454の構成と同様である。端子収容部456は、スリット482の前後方向の長さを除いて、電池パック400の端子収容部456の構成と同様である。
【0071】
図21に示すように、アダプタ500においては、スリット482は、上板466の前端から接続検出端子434の後端と略同じ位置まで延びている。すなわち、アダプタ500における上板466の前端からスリット482の後端までの長さは、電池パック400における上板466の前端からスリット482の後端までの長さよりも短い。
【0072】
なお、以下の説明では、アダプタ500の端子ユニット506と、フック450と、上側ケーシング548の基部452と、電池側レール454と、端子収容部456を総称して、電池側取付部550ともいう。
【0073】
(電源装置600の構成)
図22に示すように、本実施例の電源装置600は、電池セルユニット602と、コントロールユニット604と、コードユニット606を備えている。電池セルユニット602は、電池セル608を備えている。コントロールユニット604は、MPU(Micro Processing Unit)610と、電源回路612と、AFE(Analog Front End)614と、温度検出部616と、電流検出回路618と、放電制御部620と、機種識別部624と、表示部626を備えている。コードユニット606は、正極電源端子628と、負極電源端子630と、放電制御端子632と、機種識別端子636を備えている。電池セル608は、例えばリチウムイオン電池セル等の二次電池セルである。電池セル608の個数は、電池パック400の電池セル408の個数よりも多い。電池セル608は、最大電圧が例えば40V、定格電圧が例えば36Vの直流電力を正極電源端子628および負極電源端子630に放電可能である。電源回路612は、電池セル608からの直流電力を、MPU610の動作に適した電圧まで降圧して、MPU610に供給する。電流検出回路618は、電池セル608を流れる電流を検出して、AFE614に出力する。AFE614は、電池セル608のそれぞれの電圧および電流検出回路618で検出された電流を、MPU610で認識可能となるように増幅して、MPU610に出力する。温度検出部616は、電池セル608の温度を検出して、MPU610に出力する。MPU610は、AFE614から受信したセル電圧、電流値、セル温度に基づいて、電池セル608が放電可能な状態か否か判定する。放電制御部620は、コードユニット606の放電制御端子632とMPU610の間を電気的に接続している。コードユニット606にアダプタ500のコードユニット502が接続されている場合には、放電制御部620は、MPU610から入力される放電許可信号または放電禁止信号を、放電制御端子632の電位を制御することで、アダプタ500に出力することができる。機種識別部624は、コードユニット606の機種識別端子636とMPU610の間を電気的に接続している。機種識別部624は、コードユニット606にアダプタ500のコードユニット502が接続されると、機種識別端子636を介してアダプタ500の識別子情報を取得し、MPU610へ出力する。MPU610は、識別子情報が入力されると、省電力状態から起動する。表示部626は、電源装置600の状態をユーザに報知するためのLED(図示せず)等を備えている。表示部626は、MPU610から出力される制御信号に基づいて動作する。図24に示すように、電源装置600のコードユニット606がアダプタ500のコードユニット502に接続されると、電源装置600の正極電源端子628と、負極電源端子630と、放電制御端子632と、機種識別端子636は、それぞれ、アダプタ500の正極電源端子508と、負極電源端子510と、放電制御端子512と、機種識別端子516に、電気的に接続される。
【0074】
(電気機器100への電池パック400の取り付け)
電気機器100の機器側取付部154の後方から前方に向けて電池パック400の電池側取付部486をスライドさせると、電気機器100の正極電源端子132が電池パック400のスリット470,478を介して端子収容部456の内部に入り込み、電気機器100の負極電源端子134が電池パック400のスリット472,480を介して端子収容部456の内部に入り込み、電気機器100の信号通信端子140が電池パック400のスリット476,484を介して端子収容部456の内部に入り込む。電池パック400の電池側取付部486は、電気機器100の正極電源端子430,負極電源端子134,信号通信端子140のベース部144,146,152の後端が、電池パック400のスリット478,480,484の窪み部478a,480a,484aの後端面に当接するまで、電気機器100の機器側取付部154に対して前方にスライドさせることができる。この場合、電気機器100の正極電源端子132は、電池パック400の正極電源端子430に挟持される。電気機器100の負極電源端子134は、電池パック400の負極電源端子432に挟持される。電気機器100の信号通信端子140は、電池パック400の放電制御端子438に一旦挟持された後、放電制御端子438を通過して電池パック400の信号通信端子440に挟持される。電気機器100の放電制御端子138は、スリット476,484を介して端子収容部456の内部に入り込み、電池パック400の放電制御端子438に挟持される。電気機器100の接続検出端子136は、スリット474,482を介して端子収容部456の内部に入り込み、電池パック400の接続検出端子434に挟持される。従って、図23に示すように、電池パック400は電気機器100に正常に取り付けることができる。
【0075】
(電気機器100へのアダプタ500の取り付け)
電気機器100の機器側取付部154の後方から前方に向けてアダプタ500の電池側取付部550をスライドさせると、電気機器100の正極電源端子132がアダプタ500のスリット470,478を介して端子収容部456の内部に入り込み、電気機器100の負極電源端子134がアダプタ500のスリット472,480を介して端子収容部456の内部に入り込み、電気機器100の信号通信端子140がアダプタ500のスリット476,484を介して端子収容部456の内部に入り込む。アダプタ500の電池側取付部486は、電気機器100の正極電源端子132,負極電源端子134,信号通信端子140のベース部144,146,152の後端が、アダプタ500のスリット478,480,484の窪み部478a,480a,484aの後端面に当接するまで、電気機器100の機器側取付部154に対して前方にスライドさせることができる。この場合、電気機器100の正極電源端子132は、アダプタ500の正極電源端子430に挟持される。電気機器100の負極電源端子134は、アダプタ500の負極電源端子432に挟持される。電気機器100の信号通信端子140は、アダプタ500の放電制御端子438に一旦挟持された後、放電制御端子438を通過してアダプタ500の信号通信端子440に挟持される。電気機器100の放電制御端子138は、スリット476,484を介して端子収容部456の内部に入り込み、アダプタ500の放電制御端子438に挟持される。電気機器100の接続検出端子136は、スリット474,482を介して端子収容部456の内部に入り込み、アダプタ500の接続検出端子434に挟持される。従って、図24に示すように、アダプタ500は電気機器100に正常に取り付けることができる。なお、図24では、ユーザが背中に背負って使用する電源装置600について、肩ベルト(図示せず)や腰ベルト(図示せず)を備える背負子(図示せず)の図示が省略されている。
【0076】
(電気機器200への電池パック400の取り付け)
電気機器200の機器側取付部208の後方から前方に向けて電池パック400の電池側取付部486をスライドさせると、電気機器200の正極電源端子132が電池パック400のスリット470,478を介して端子収容部456の内部に入り込み、電気機器200の負極電源端子134が電池パック400のスリット472,480を介して端子収容部456の内部に入り込み、電気機器200のダミー端子204がスリット474,482を介して端子収容部456の内部に入り込み、電気機器200の信号通信端子140が電池パック400のスリット476,484を介して端子収容部456の内部に入り込む。電池パック400の電池側取付部486は、電気機器200の正極電源端子132,負極電源端子134,ダミー端子204,信号通信端子140のベース部144,146,206,152の後端が、電池パック400のスリット478,480,482,484の窪み部478a,480a,482a,484aの後端面に当接するまで、電気機器200の機器側取付部208に対して前方にスライドさせることができる。この場合、電気機器200の正極電源端子132は、電池パック400の正極電源端子430に挟持される。電気機器200の負極電源端子134は、電池パック400の負極電源端子432に挟持される。電気機器200のダミー端子204は、電池パック400の接続検出端子434に一旦挟持された後、接続検出端子434を通過して電池パック400の充電制御端子436に挟持される。電気機器200の信号通信端子140は、電池パック400の放電制御端子438に一旦挟持された後、放電制御端子438を通過して電池パック400の信号通信端子440に挟持される。電気機器200の放電制御端子138は、スリット476,484を介して端子収容部456の内部に入り込み、電池パック400の放電制御端子438に挟持される。電気機器200の接続検出端子136は、スリット474,482を介して端子収容部456の内部に入り込み、電池パック400の接続検出端子434に挟持される。従って、図25に示すように、電池パック400は電気機器200に正常に取り付けることができる。
【0077】
(電気機器200へのアダプタ500の取り付け)
電気機器200の機器側取付部208の後方から前方に向けてアダプタ500の電池側取付部550をスライドさせると、電気機器200の正極電源端子132がアダプタ500のスリット470,478を介して端子収容部456の内部に入り込み、電気機器200の負極電源端子134がアダプタ500のスリット472,480を介して端子収容部456の内部に入り込み、電気機器200のダミー端子204がスリット474,482を介して端子収容部456の内部に入り込み、電気機器200の信号通信端子140がアダプタ500のスリット476,484を介して端子収容部456の内部に入り込む。アダプタ500の電池側取付部550は、電気機器200のダミー端子204の後縁204a(図6参照)が、アダプタ500のスリット482(図21参照)の後端面に当接し、かつ電気機器200のダミー端子204のベース部206(図6参照)の後端が、アダプタ500のスリット482の窪み部482a(図21参照)の後端面に当接して、図26に示す状態となると、それ以上は電気機器200の機器側取付部208に対して前方にスライドさせることができない。この場合、電気機器200の正極電源端子132は、アダプタ500の正極電源端子430に挟持される。電気機器200の負極電源端子134は、アダプタ500の負極電源端子432に挟持される。電気機器200のダミー端子204は、アダプタ500の接続検出端子434に挟持される。電気機器200の信号通信端子140は、アダプタ500の放電制御端子438に挟持される。電気機器200の放電制御端子138は、スリット476,484を介して端子収容部456の内部に入り込むことができない。電気機器200の接続検出端子136は、スリット474,482を介して端子収容部456の内部に入り込むことができない。従って、図27に示すように、アダプタ500は電気機器200に正常に取り付けることができない。
【0078】
なお、電気機器200は、電源装置600と接続されたアダプタ500を取り付けることが適さない種々の電気機器とすることができる。例えば、電気機器200は、図7に示すように、機器側取付部208を外部から遮蔽する開閉式のカバー210を備える電動作業機であってもよい。仮に、カバー210を備える電気機器200にアダプタ500を取り付け可能とした場合、図27に示す例と同様に、カバー210を閉じようとしたときにコードユニット502がカバー210と干渉してしまい、カバー210を閉じることができなくなってしまう。あるいは、電気機器200は、ロボットクリーナ等の、自走式の電動作業機であってもよい。電気機器200が自走式の電動作業機である場合、コードユニット502を有するアダプタ500を取り付けると、電気機器200の移動に制約が課されるおそれがある。あるいは、電源装置600が背負い式の電源装置である場合、電気機器200は、背負い式のブロワや背負い式の集塵機等の、背負い式の電動作業機であってもよい。電気機器200が背負い式の電動作業機である場合、アダプタ500を介して背負い式の電源装置600と接続すると、ユーザは、電気機器200と電源装置600の両方を背負った状態で作業を行わなければならず、作業に適さない。本実施例の電気機器システム2によれば、このようにアダプタ500を取り付けることが適さない電気機器200に、アダプタ500が誤って取り付けられてしまうことを抑制することができる。
【0079】
(電気機器300への電池パック400の取り付け)
電気機器300の機器側取付部340の後方から前方に向けて電池パック400の電池側取付部486をスライドさせると、電気機器300の正極電源端子326が電池パック400のスリット470,478を介して端子収容部456の内部に入り込み、電気機器300の負極電源端子328が電池パック400のスリット472,480を介して端子収容部456の内部に入り込み、電気機器300の充電制御端子332がスリット474,482を介して端子収容部456の内部に入り込み、電気機器300の信号通信端子336が電池パック400のスリット476,484を介して端子収容部456の内部に入り込む。電池パック400の電池側取付部486は、電気機器300の正極電源端子326,負極電源端子328,充電制御端子332,信号通信端子336のベース部348,350,354,358の後端が、電池パック400のスリット478,480,482,484の窪み部478a,480a,482a,484aの後端面に当接するまで、電気機器300の機器側取付部340に対して前方にスライドさせることができる。この場合、電気機器300の正極電源端子326は、電池パック400の正極電源端子430に挟持される。電気機器300の負極電源端子328は、電池パック400の負極電源端子432に挟持される。電気機器300の充電制御端子332は、電池パック400の接続検出端子434に一旦挟持された後、接続検出端子434を通過して電池パック400の充電制御端子436に挟持される。電気機器300の信号通信端子336は、電池パック400の放電制御端子438に一旦挟持された後、放電制御端子438を通過して電池パック400の信号通信端子440に挟持される。電気機器300の放電制御端子334は、スリット476,484を介して端子収容部456の内部に入り込み、電池パック400の放電制御端子438に挟持される。電気機器300の接続検出端子330は、スリット474,482を介して端子収容部456の内部に入り込み、電池パック400の接続検出端子434に挟持される。従って、図28に示すように、電池パック400は電気機器300に正常に取り付けることができる。
【0080】
(電気機器300へのアダプタ500の取り付け)
電気機器300の機器側取付部340の後方から前方に向けてアダプタ500の電池側取付部550をスライドさせると、電気機器300の正極電源端子326がアダプタ500のスリット470,478を介して端子収容部456の内部に入り込み、電気機器300の負極電源端子328がアダプタ500のスリット472,480を介して端子収容部456の内部に入り込み、電気機器300の充電制御端子332がスリット474,482を介して端子収容部456の内部に入り込み、電気機器300の信号通信端子336がアダプタ500のスリット476,484を介して端子収容部456の内部に入り込む。アダプタ500の電池側取付部550は、電気機器300の充電制御端子332の後縁332aが、アダプタ500のスリット482の後端面に当接し、かつ電気機器300の充電制御端子332のベース部354の後端が、アダプタ500のスリット482の窪み部482aの後端面に当接すると、それ以上は電気機器300の機器側取付部340に対して前方にスライドさせることができない。この場合、電気機器300の正極電源端子326は、アダプタ500の正極電源端子430に挟持される。電気機器300の負極電源端子328は、アダプタ500の負極電源端子432に挟持される。電気機器300の充電制御端子332は、アダプタ500の接続検出端子434に挟持される。電気機器300の信号通信端子336は、アダプタ500の放電制御端子438に挟持される。電気機器300の放電制御端子334は、スリット476,484を介して端子収容部456の内部に入り込むことができない。電気機器300の接続検出端子330は、スリット474,482を介して端子収容部456の内部に入り込むことができない。従って、図29に示すように、アダプタ500は電気機器300に正常に取り付けることができない。
【0081】
(実施例1の変形例)
電気機器200は、それぞれに電池パック400を取り付け可能な2つの機器側取付部208を備えていてもよい。この場合、2つの機器側取付部208は、電気的に直列に接続される直列型であってもよいし、電気的に並列に接続される並列型であってもよい。この場合に、アダプタ500の電池側取付部550を、2つの機器側取付部208のそれぞれに取り付け可能な構成としてもよい。あるいは、アダプタ500の電池側取付部550を、2つの機器側取付部208のそれぞれに取り付け不能な構成としてもよい。あるいは、アダプタ500の電池側取付部550を、2つの機器側取付部208のうちの一方に取り付け可能であり、2つの機器側取付部208のうちの他方に取付不能な構成としてもよい。あるいは、電気機器200の2つの機器側取付部208に対応して、アダプタ500は、2つの電池側取付部550を備えていてもよい。この場合、2つの電池側取付部550は、電気的に直列に接続される直列型であってもよいし、電気的に並列に接続される並列型であってもよい。例えば、電気機器200の2つの機器側取付部208が並列型であって、アダプタ500の2つの電池側取付部550が直列型である場合、2つの機器側取付部208のそれぞれに2つの電池側取付部550のそれぞれが取り付けられることを防ぐ必要がある。この場合には、上記の実施例と同様の構成によって、2つの電池側取付部550のそれぞれに2つの機器側取付部208のそれぞれを取り付け不能な構成としてもよい。あるいは、電気機器200の2つの機器側取付部208が直列型であって、アダプタ500の2つの電池側取付部550も直列型である場合でも、高圧側の機器側取付部208に低圧側の電池側取付部550が取り付けられること、および/または、低圧側の機器側取付部208に高圧側の電池側取付部550が取り付けられることを防ぐ必要がある。この場合も、上記の実施例と同様の構成によって、高圧側の機器側取付部208に低圧側の電池側取付部550を取り付け不能な構成としてもよいし、低圧側の機器側取付部208に高圧側の電池側取付部550を取り付け不能な構成としてもよい。
【0082】
上記の実施例では、アダプタ500が電源装置600に対して着脱可能な構成について説明したが、これとは異なり、アダプタ500と電源装置600が一体的に形成されており、アダプタ500が電源装置600から取り外し不能な構成としてもよい。
【0083】
以上のように、1つまたはそれ以上の実施形態において、電気機器システム2は、電池側取付部550(第1電池側取付部の例)を備えるアダプタ500(第1電池パック型機器の例)と、電池側取付部486(第2電池側取付部の例)を備える電池パック400(第2電池パック型機器の例)と、機器側取付部154(第1機器側取付部の例)を備える電気機器100(第1電気機器の例)と、機器側取付部208,340(第2機器側取付部の例)を備える電気機器200,300(第2電気機器の例)を備えている。電池側取付部550と電池側取付部486は、それぞれ、接続検出端子434(第1電池側端子の例)と、接続検出端子434よりも上方で前後方向および左右方向に沿って配置された上板466を備えている。電池側取付部550の上板466には、上板466の前端から接続検出端子434の前端よりも後方まで前後方向に伸びるスリット482(第1スリットの例)が形成されている。電池側取付部486は、左右方向の位置が接続検出端子434の左右方向の位置と略同じであり、接続検出端子434の後方に配置された充電制御端子436(第2電池側端子の例)をさらに備えている。電池側取付部486の上板466には、上板466の前端から充電制御端子436の前端よりも後方まで前後方向に伸びるスリット482(第2スリットの例)が形成されている。電池側取付部550のスリット482は、電池側取付部486のスリット482よりも短い。機器側取付部154と機器側取付部208,340は、それぞれ、接続検出端子434に対応して配置されており、電池側取付部550のスリット482および電池側取付部486のスリット482を貫通する形状を有する接続検出端子136,330(機器側端子の例)を備えている。機器側取付部208,340は、左右方向の位置が接続検出端子136,330の左右方向の位置と略同じであり、接続検出端子136,330の後方に配置されており、電池側取付部550のスリット482および電池側取付部486のスリット482を貫通する形状を有するダミー端子204、充電制御端子332(規制部の例)をさらに備えている。電池側取付部550を機器側取付部154の後方から前方に向けて移動させる場合には、接続検出端子136がスリット482を貫通し、少なくとも接続検出端子136が接続検出端子434に接触する位置まで、電池側取付部550が機器側取付部154に対して移動可能である。電池側取付部550を機器側取付部208,340の後方から前方に向けて移動させる場合には、ダミー端子204、充電制御端子332の下端が上板466の下面466bよりも下方に位置する状態で、ダミー端子204、充電制御端子332がスリット482を貫通し、ダミー端子204、充電制御端子332がスリット482の後端面に当接する位置であって、接続検出端子136,330が接続検出端子434に接触しない位置まで、電池側取付部550が機器側取付部208,340に対して移動可能である。電池側取付部486を機器側取付部154の後方から前方に向けて移動させる場合には、接続検出端子136がスリット482を貫通し、少なくとも接続検出端子136が接続検出端子434に接触する位置まで、電池側取付部486が機器側取付部154に対して移動可能である。電池側取付部486を機器側取付部208,340の後方から前方に向けて移動させる場合には、ダミー端子204、充電制御端子332の下端が上板466の下面466bよりも下方に位置する状態で、ダミー端子204、充電制御端子332がスリット482を貫通し、少なくとも接続検出端子136,330が接続検出端子434に接触する位置まで、電池側取付部486が機器側取付部208,340に対して移動可能である。
【0084】
1つまたはそれ以上の実施形態において、ダミー端子204、充電制御端子332の、電池側取付部550のスリット482の後端面に当接する部分は、金属製である。
【0085】
1つまたはそれ以上の実施形態において、ダミー端子204は金属製であり、電流が流れない。
【0086】
1つまたはそれ以上の実施形態において、電気機器システム2では、電池側取付部550を機器側取付部208,340の後方から前方に向けて移動させる場合には、ダミー端子204、充電制御端子332の下端が接続検出端子434の上端よりも下方に位置する状態で、ダミー端子204、充電制御端子332がスリット482を貫通し、ダミー端子204、充電制御端子332がスリット482の後端面に当接する位置であって、接続検出端子136,330が接続検出端子434に接触しない位置まで、電池側取付部550が機器側取付部208,340に対して移動可能である。電池側取付部486を機器側取付部208,340の後方から前方に向けて移動させる場合には、ダミー端子204、充電制御端子332の下端が接続検出端子434の上端よりも下方に位置する状態で、ダミー端子204、充電制御端子332がスリット482を貫通し、少なくとも接続検出端子136,330が接続検出端子434に接触する位置まで、電池側取付部486が機器側取付部208,340に対して移動可能である。
【0087】
1つまたはそれ以上の実施形態において、接続検出端子434は、接続検出端子136,330を左右方向から弾性的に挟持する挟持部434dを備えている。ダミー端子204、充電制御端子332の、接続検出端子434の上端よりも下方に位置する部分の左右方向の寸法は、接続検出端子136,330の、接続検出端子434の上端よりも下方に位置する部分の左右方向の寸法以下である。
【0088】
1つまたはそれ以上の実施形態において、電池側取付部550の上板466の上面466aには、スリット482の周囲を囲う窪み部482a(第1窪み部の例)が形成されている。電池側取付部486の上板466の上面466aには、スリット482の周囲を囲う窪み部482a(第2窪み部の例)が形成されている。機器側取付部208,340は、電池側取付部550の窪み部482aおよび電池側取付部486の窪み部482aに対応して配置されており、ダミー端子204、充電制御端子332の周囲を囲うベース部206,354をさらに備えている。機器側取付部208,340のダミー端子204、充電制御端子332が電池側取付部550のスリット482の後端面に当接する際に、機器側取付部208,340のベース部206,354が電池側取付部550の窪み部482aの後端面に当接する。
【0089】
1つまたはそれ以上の実施形態において、機器側取付部154は、電気機器100の外部に露出している。機器側取付部208は、開閉式のカバー210によって電気機器200の外部から遮蔽されている。
【0090】
1つまたはそれ以上の実施形態において、電気機器100は、電池パック400またはアダプタ500から放電される電力を利用して動作する電気機器である。電気機器300は、電池パック400を充電する充電器である。
【0091】
1つまたはそれ以上の実施形態において、電気機器100は、電池パック400またはアダプタ500から放電される電力を利用して動作する電気機器である。電気機器300は、電池パック400の使用履歴を確認する電池チェッカである。
【0092】
1つまたはそれ以上の実施形態において、電気機器100は、電池パック400またはアダプタ500から放電される電力を利用して動作する電気機器である。電気機器300は、電池パック400を充電する充電器と電池パック400を接続するための充電アダプタである。
【0093】
1つまたはそれ以上の実施形態において、電気機器200は、電池側取付部550(第1電池側取付部の例)を備えるアダプタ500(第1電池パック型機器の例)を取付不能であって、電池側取付部486(第2電池側取付部の例)を備える電池パック400(第2電池パック型機器の例)を取付可能な機器側取付部208を備えている。電池側取付部550と電池側取付部486は、それぞれ、接続検出端子434(第1電池側端子の例)と、接続検出端子434よりも上方で前後方向および左右方向に沿って配置された上板466を備えている。電池側取付部550の上板466には、上板466の前端から接続検出端子434の前端よりも後方まで前後方向に伸びるスリット482(第1スリットの例)が形成されている。電池側取付部486は、左右方向の位置が接続検出端子434の左右方向の位置と略同じであり、接続検出端子434の後方に配置された充電制御端子436(第2電池側端子の例)をさらに備えていてもよい。電池側取付部486の上板466には、上板466の前端から充電制御端子436の前端よりも後方まで前後方向に伸びるスリット482(第2スリットの例)が形成されている。電池側取付部550のスリット482は、電池側取付部486のスリット482よりも短くてもよい。機器側取付部208は、接続検出端子434に対応して配置されており、電池側取付部550のスリット482および電池側取付部486のスリット482を貫通する形状を有する接続検出端子136(機器側端子の例)と、左右方向の位置が接続検出端子136の左右方向の位置と略同じであり、接続検出端子136の後方に配置されており、電池側取付部550のスリット482および電池側取付部486のスリット482を貫通する形状を有するダミー端子204(規制部の例)を備えていてもよい。電池側取付部550を機器側取付部208の後方から前方に向けて移動させる場合には、ダミー端子204の下端が上板466の下面466bよりも下方に位置する状態で、ダミー端子204がスリット482を貫通し、ダミー端子204がスリット482の後端面に当接する位置であって、接続検出端子136が接続検出端子434に接触しない位置まで、電池側取付部550が機器側取付部208に対して移動可能である。電池側取付部486を機器側取付部208の後方から前方に向けて移動させる場合には、ダミー端子204の下端が上板466の下面466bよりも下方に位置する状態で、ダミー端子204と接続検出端子136がスリット482を貫通し、少なくとも接続検出端子136が接続検出端子434に接触する位置まで、電池側取付部486が機器側取付部208に対して移動可能である。
【0094】
(実施例2)
図30に示すように、本実施例の電気機器システム700は、電気機器720と、電気機器740と、電池パック760と、電池パック780を備えている。
【0095】
電気機器720は、実施例1の電気機器100と同様の構成を備えている。図31に示すように、電気機器720の端子ユニット106は、実施例1の電気機器100の端子ユニット106と同様の構成を備えている。
【0096】
図30に示す電気機器740は、実施例1の電気機器100と略同様の構成を備えている。図32に示すように、電気機器740の端子ユニット742は、実施例1の電気機器100の端子ユニット106と略同様の構成を備えている。端子ユニット742は、正極電源端子132と、負極電源端子134と、接続検出端子136と、放電制御端子138と、信号通信端子140と、第2信号通信端子744を備えている。第2信号通信端子744は、第2信号通信部(図示せず)を介して、コントロールユニット104のMPU112に電気的に接続されている。
【0097】
端子ユニット742では、端子ホルダ142が、第2信号通信端子744も保持している。第2信号通信端子744は金属製である。第2信号通信端子744は、前後方向および上下方向に沿った略平板形状を有している。第2信号通信端子744の左右方向の幅は、正極電源端子132や、負極電源端子134、接続検出端子136、放電制御端子138、信号通信端子140の左右方向の幅と略同一である。第2信号通信端子744の端子ホルダ142の上側基準面142aからの上下方向の高さは、正極電源端子132や、負極電源端子134、接続検出端子136、放電制御端子138、信号通信端子140の、上側基準面142aからの上下方向の高さと略同じである。第2信号通信端子744は、前方から後方に向かうにつれて左右方向の幅が狭まる形状を有する後縁744aを備えている。第2信号通信端子744と、上側基準面142aとの接続箇所の近傍の端子ホルダ142には、上側基準面142aから突出する樹脂製のベース部746が形成されている。ベース部746の左右方向の幅は、第2信号通信端子744の左右方向の幅よりも大きく、ベース部144,146,148,150,152の左右方向の幅と略同じである。ベース部746の後端は、第2信号通信端子744の後縁744aよりも後方に位置している。
【0098】
端子ユニット202においては、第2信号通信端子744は接続検出端子136よりも後側に配置されており、接続検出端子136と第2信号通信端子744の左右方向の位置は略同じである。第2信号通信端子744の前端は、信号通信端子140の前端よりも後方に配置されている。第2信号通信端子744の後縁744aは、信号通信端子140の後縁140aよりも後方に配置されており、正極電源端子132の後縁132aや負極電源端子134の後縁134aよりも後方に配置されている。
【0099】
図30に示す電池パック760は、実施例1の電池パック400と同様の構成を備えている。図33に示すように、電池パック760の端子ユニット406は、実施例1の電池パック400の端子ユニット406と同様の構成を備えている。また、電池パック760の上側ケーシング448は、実施例1の電池パック400の上側ケーシング448と同様の構成を備えている。
【0100】
図30に示す電池パック780は、実施例1の電池パック400と略同様の構成を備えている。図34に示すように、電池パック780の端子ユニット782は、実施例1の電池パック400の端子ユニット406と略同様の構成を備えている。端子ユニット782は、正極電源端子430と、負極電源端子432と、接続検出端子434と、充電制御端子436と、放電制御端子438と、信号通信端子440と、第2信号通信端子784を備えている。第2信号通信端子784は、第2信号通信部(図示せず)を介して、コントロールユニット404のMPU410に電気的に接続されている。第2信号通信端子784は、コントロールユニット404が実装された回路基板442に固定されている。第2信号通信端子784は金属製である。第2信号通信端子784は、電気機器740の第2信号通信端子744に対応する位置に配置されている。第2信号通信端子784は、接続検出端子434と同一の形状を有している。
【0101】
電池パック780の上側ケーシング786は、実施例1の電池パック400の上側ケーシング448と略同様の構成を備えている。電池パック780においては、スリット482は、上板466の前端から第2信号通信端子784の後端と略同じ位置まで延びている。すなわち、電池パック780における上板466の前端からスリット482の後端までの長さは、電池パック760における上板466の前端からスリット482の後端までの長さよりも長い。
【0102】
(電気機器720への電池パック760の取り付け)
図30に示す電気機器720は、実施例1の電池パック400と同様の構成を備えており、電池パック760は、実施例1の電気機器100と同様の構成を備えている。従って、電池パック760は電気機器720に正常に取り付けることができる。
【0103】
(電気機器720への電池パック780の取り付け)
電気機器720の機器側取付部154の後方から前方に向けて電池パック780の電池側取付部486をスライドさせると、電気機器720の正極電源端子132が電池パック780のスリット470,478を介して端子収容部456の内部に入り込み、電気機器720の負極電源端子134が電池パック780のスリット472,480を介して端子収容部456の内部に入り込み、電気機器720の信号通信端子140が電池パック780のスリット476,484を介して端子収容部456の内部に入り込む。電池パック780の電池側取付部486は、電気機器720の正極電源端子430,負極電源端子134,信号通信端子140のベース部144,146,152の後端が、電池パック780のスリット478,480,484の窪み部478a,480a,484aの後端面に当接するまで、電気機器720の機器側取付部154に対して前方にスライドさせることができる。この場合、電気機器720の正極電源端子132は、電池パック780の正極電源端子430に挟持される。電気機器720の負極電源端子134は、電池パック780の負極電源端子432に挟持される。電気機器720の信号通信端子140は、電池パック780の放電制御端子438に一旦挟持された後、放電制御端子438を通過して電池パック780の信号通信端子440に挟持される。電気機器720の放電制御端子138は、スリット476,484を介して端子収容部456の内部に入り込み、電池パック780の放電制御端子438に挟持される。電気機器720の接続検出端子136は、スリット474,482を介して端子収容部456の内部に入り込み、電池パック780の接続検出端子434に挟持される。従って、電池パック780は電気機器720に正常に取り付けることができる。
【0104】
(電気機器740への電池パック760の取り付け)
電気機器740の機器側取付部154の後方から前方に向けて電池パック760の電池側取付部486をスライドさせると、電気機器740の第2信号通信端子744が電池パック760のスリット474,482を介して端子収容部456の内部に入り込み、電気機器740の正極電源端子132が電池パック760のスリット470,478を介して端子収容部456の内部に入り込み、電気機器740の負極電源端子134が電池パック760のスリット472,480を介して端子収容部456の内部に入り込み、電気機器740の信号通信端子140が電池パック760のスリット476,484を介して端子収容部456の内部に入り込む。電池パック760の電池側取付部486は、電気機器740の第2信号通信端子744の後縁744aが、電池パック760のスリット482の後端面に当接し、かつ電気機器740の第2信号通信端子744のベース部746の後端が、電池パック760のスリット482の窪み部482aの後端面に当接すると、それ以上は電気機器740の機器側取付部154に対して前方にスライドさせることができない。この場合、電気機器740の正極電源端子132は、電池パック760の正極電源端子430に挟持される。電気機器740の負極電源端子134は、電池パック760の負極電源端子432に挟持される。電気機器740の第2信号通信端子744は、電池パック760の充電制御端子436に挟持される。電気機器740の信号通信端子140は、電池パック780の放電制御端子438に一旦挟持された後、放電制御端子438を通過しており、放電制御端子438にも信号通信端子440にも挟持されていない。電気機器740の放電制御端子138は、スリット476,484を介して端子収容部456の内部に入り込むことができない。電気機器740の接続検出端子136は、スリット474,482を介して端子収容部456の内部に入り込むことができない。従って、電池パック760は電気機器740に正常に取り付けることができない。
【0105】
(電気機器740への電池パック780の取り付け)
電気機器740の機器側取付部154の後方から前方に向けて電池パック780の電池側取付部486をスライドさせると、電気機器740の第2信号通信端子744が電池パック780のスリット474,482を介して端子収容部456の内部に入り込み、電気機器740の正極電源端子132が電池パック780のスリット470,478を介して端子収容部456の内部に入り込み、電気機器740の負極電源端子134が電池パック780のスリット472,480を介して端子収容部456の内部に入り込み、電気機器740の信号通信端子140が電池パック780のスリット476,484を介して端子収容部456の内部に入り込む。電池パック780の電池側取付部486は、電気機器740の正極電源端子132,負極電源端子134,第2信号通信端子744,信号通信端子140のベース部144,146,746,152の後端が、電池パック780のスリット478,480,482,484の窪み部478a,480a,482a,484aの後端面に当接するまで、電気機器740の機器側取付部154に対して前方にスライドさせることができる。この場合、電気機器740の正極電源端子132は、電池パック780の正極電源端子430に挟持される。電気機器740の負極電源端子134は、電池パック780の負極電源端子432に挟持される。電気機器740の第2信号通信端子744は、電池パック780の接続検出端子434に一旦挟持された後、接続検出端子434を通過し、さらに電池パック780の充電制御端子436に一旦挟持された後、充電制御端子436を通過し、電池パック780の第2信号通信端子784に挟持される。電気機器740の信号通信端子140は、電池パック780の放電制御端子438に一旦挟持された後、放電制御端子438を通過して電池パック780の信号通信端子440に挟持される。電気機器740の放電制御端子138は、スリット476,484を介して端子収容部456の内部に入り込み、電池パック780の放電制御端子438に挟持される。電気機器740の接続検出端子136は、スリット474,482を介して端子収容部456の内部に入り込み、電池パック780の接続検出端子434に挟持される。従って、電池パック780は電気機器740に正常に取り付けることができる。
【0106】
以上のように、1つまたはそれ以上の実施形態において、電気機器システム700は、電池側取付部486(第1電池側取付部の例)を備える電池パック760(第1電池パック型機器の例)と、電池側取付部486(第2電池側取付部の例)を備える電池パック780(第2電池パック型機器の例)と、機器側取付部154(第1機器側取付部の例)を備える電気機器720(第1電気機器)と、機器側取付部154(第2機器側取付部の例)を備える電気機器740(第2電気機器の例)を備えている。電池パック760の電池側取付部486と電池パック780の電池側取付部486は、それぞれ、接続検出端子434(第1電池側端子の例)と、接続検出端子434よりも上方で前後方向および左右方向に沿って配置された上板466を備えている。電池パック760の電池側取付部486の上板466には、上板466の前端から接続検出端子434の前端よりも後方まで前後方向に伸びるスリット482(第1スリットの例)が形成されている。電池パック780の電池側取付部486は、左右方向の位置が接続検出端子434の左右方向の位置と略同じであり、接続検出端子434の後方に配置された第2信号通信端子784(第2電池側端子の例)をさらに備えている。電池パック780の電池側取付部486の上板466には、上板466の前端から第2信号通信端子784の前端よりも後方まで前後方向に伸びるスリット482(第2スリットの例)が形成されている。電池パック760の電池側取付部486のスリット482は、電池パック780の電池側取付部486のスリット482よりも短い。電気機器720の機器側取付部154と電気機器740の機器側取付部154は、それぞれ、接続検出端子434に対応して配置されており、電池パック760の電池側取付部486のスリット482および電池パック780の電池側取付部486のスリット482を貫通する形状を有する接続検出端子136(機器側端子の例)を備えている。電気機器740の機器側取付部154は、左右方向の位置が接続検出端子136の左右方向の位置と略同じであり、接続検出端子136の後方に配置されており、電池パック760の電池側取付部486のスリット482および電池パック780の電池側取付部486のスリット482を貫通する形状を有する第2信号通信端子744(規制部の例)をさらに備えている。電池パック760の電池側取付部486を電気機器720の機器側取付部154の後方から前方に向けて移動させる場合には、接続検出端子136がスリット482を貫通し、少なくとも接続検出端子136が接続検出端子434に接触する位置まで、電池パック760の電池側取付部486が電気機器720の機器側取付部154に対して移動可能である。電池パック760の電池側取付部486を電気機器740の機器側取付部154の後方から前方に向けて移動させる場合には、第2信号通信端子744の下端が上板466の下面466bよりも下方に位置する状態で、第2信号通信端子744がスリット482を貫通し、第2信号通信端子744がスリット482の後端面に当接する位置であって、接続検出端子136が接続検出端子434に接触しない位置まで、電池パック760の電池側取付部486が電気機器740の機器側取付部154に対して移動可能である。電池パック780の電池側取付部486を電気機器720の機器側取付部154の後方から前方に向けて移動させる場合には、接続検出端子136がスリット482を貫通し、少なくとも接続検出端子136が接続検出端子434に接触する位置まで、電池パック780の電池側取付部486が電気機器720の機器側取付部154に対して移動可能である。電池パック780の電池側取付部486を電気機器740の機器側取付部154の後方から前方に向けて移動させる場合には、第2信号通信端子744の下端が上板466の下面466bよりも下方に位置する状態で、第2信号通信端子744と接続検出端子136がスリット482を貫通し、少なくとも接続検出端子136が接続検出端子434に接触する位置まで、電池パック780の電池側取付部486が電気機器740の機器側取付部154に対して移動可能である。
【0107】
1つまたはそれ以上の実施形態において、第2信号通信端子744の、電池パック760の電池側取付部486のスリット482の後端面に当接する部分は、金属製である。
【0108】
1つまたはそれ以上の実施形態において、電気機器システム700では、電池パック760の電池側取付部486を電気機器740の機器側取付部154の後方から前方に向けて移動させる場合には、第2信号通信端子744の下端が接続検出端子434の上端よりも下方に位置する状態で、第2信号通信端子744がスリット482を貫通し、第2信号通信端子744がスリット482の後端面に当接する位置であって、接続検出端子136が接続検出端子434に接触しない位置まで、電池パック760の電池側取付部486が電気機器740の機器側取付部154に対して移動可能である。電池パック780の電池側取付部486を電気機器740の機器側取付部154の後方から前方に向けて移動させる場合には、第2信号通信端子744の下端が接続検出端子434の上端よりも下方に位置する状態で、第2信号通信端子744と接続検出端子136がスリット482を貫通し、少なくとも接続検出端子136が接続検出端子434に接触する位置まで、電池パック780の電池側取付部486が電気機器740の機器側取付部154に対して移動可能である。
【0109】
1つまたはそれ以上の実施形態において、接続検出端子434は、接続検出端子136を左右方向から弾性的に挟持する挟持部434dを備えている。第2信号通信端子744の、接続検出端子434の上端よりも下方に位置する部分の左右方向の寸法は、接続検出端子136の、接続検出端子434の上端よりも下方に位置する部分の左右方向の寸法以下である。
【0110】
1つまたはそれ以上の実施形態において、電池パック760の電池側取付部486の上板466の上面466aに、スリット482の周囲を囲う窪み部482a(第1窪み部の例)が形成されている。電池パック780の電池側取付部486の上板466の上面466aに、スリット482の周囲を囲う窪み部482a(第2窪み部の例)が形成されている。電気機器740の機器側取付部154は、電池パック760の電池側取付部486の窪み部482aおよび電池パック780の電池側取付部486の窪み部482aに対応して配置されており、第2信号通信端子744の周囲を囲うベース部746をさらに備えている。電気機器740の機器側取付部154の第2信号通信端子744が電池パック760の電池側取付部486のスリット482の後端面に当接する際に、電気機器740の機器側取付部154のベース部746が電池パック760の電池側取付部486の窪み部482aの後端面に当接する。
【0111】
1つまたはそれ以上の実施形態において、電気機器740は、電池側取付部486(第1電池側取付部の例)を備える電池パック760(第1電池パック型機器の例)を取付不能であって、電池側取付部486(第2電池側取付部の例)を備える電池パック780(第2電池パック型機器の例)を取付可能な機器側取付部154を備えている。電池パック760の電池側取付部486と電池パック780の電池側取付部486は、それぞれ、接続検出端子434(第1電池側端子の例)と、接続検出端子434よりも上方で前後方向および左右方向に沿って配置された上板466を備えている。電池パック760の電池側取付部486の上板466には、上板466の前端から接続検出端子434の前端よりも後方まで前後方向に伸びるスリット482(第1スリットの例)が形成されている。電池パック780の電池側取付部486は、左右方向の位置が接続検出端子434の左右方向の位置と略同じであり、接続検出端子434の後方に配置された第2信号通信端子784(第2電池側端子の例)をさらに備えている。電池パック780の電池側取付部486の上板466には、上板466の前端から第2信号通信端子784の前端よりも後方まで前後方向に伸びるスリット482(第2スリットの例)が形成されている。電池パック760の電池側取付部486のスリット482は、電池パック780の電池側取付部486のスリット482よりも短い。電気機器740の機器側取付部154は、接続検出端子434に対応して配置されており、電池パック760の電池側取付部486のスリット482および電池パック780の電池側取付部486のスリット482を貫通する形状を有する接続検出端子136(機器側端子の例)と、左右方向の位置が接続検出端子136の左右方向の位置と略同じであり、接続検出端子136の後方に配置されており、電池パック760の電池側取付部486のスリット482および電池パック780の電池側取付部486のスリット482を貫通する形状を有する第2信号通信端子744(規制部の例)を備えている。電池パック760の電池側取付部486を電気機器740の機器側取付部154の後方から前方に向けて移動させる場合には、第2信号通信端子744の下端が上板466の下面466bよりも下方に位置する状態で、第2信号通信端子744がスリット482を貫通し、第2信号通信端子744がスリット482の後端面に当接する位置であって、接続検出端子136が接続検出端子434に接触しない位置まで、電池パック760の電池側取付部486が電気機器740の機器側取付部154に対して移動可能である。電池パック780の電池側取付部486を電気機器740の機器側取付部154の後方から前方に向けて移動させる場合には、第2信号通信端子744の下端が上板466の下面466bよりも下方に位置する状態で、第2信号通信端子744と接続検出端子136がスリット482を貫通し、少なくとも接続検出端子136が接続検出端子434に接触する位置まで、電池パック780の電池側取付部486が電気機器740の機器側取付部154に対して移動可能である。
【0112】
(実施例3)
図35に示すように、本実施例の電気機器システム800は、電気機器820と、電気機器840と、電池パック860と、電池パック880を備えている。
【0113】
電気機器820は、実施例1の電気機器100と同様の構成を備えている。図36に示すように、電気機器820の端子ユニット106は、実施例1の電気機器100の端子ユニット106と同様の構成を備えている。
【0114】
図35に示す電気機器840は、実施例1の電気機器100と略同様の構成を備えている。図37に示すように、電気機器740の端子ユニット842は、実施例1の電気機器100の端子ユニット106と略同様の構成を備えている。端子ユニット842は、正極電源端子132と、負極電源端子134と、接続検出端子136と、放電制御端子138と、信号通信端子140と、ダミー端子844を備えている。ダミー端子844は、モータユニット102や、コントロールユニット104、正極電源端子132、負極電源端子134、接続検出端子136、放電制御端子138、信号通信端子140とは電気的に接続されておらず、電流が流れない端子である。
【0115】
端子ユニット842では、端子ホルダ142が、ダミー端子844も保持している。ダミー端子844は金属製である。ダミー端子844は、前後方向および上下方向に沿った略平板形状を有している。ダミー端子844の左右方向の幅は、正極電源端子132や、負極電源端子134、接続検出端子136、放電制御端子138、信号通信端子140の左右方向の幅と略同一である。なお、ダミー端子844の左右方向の幅は、正極電源端子132や、負極電源端子134、接続検出端子136、放電制御端子138、信号通信端子140の左右方向の幅よりも小さくてもよい。ダミー端子844の端子ホルダ142の上側基準面142aからの上下方向の高さは、正極電源端子132や、負極電源端子134、接続検出端子136、放電制御端子138、信号通信端子140の、上側基準面142aからの上下方向の高さと略同じである。ダミー端子844は、前方から後方に向かうにつれて左右方向の幅が狭まる形状を有する後縁844aを備えている。ダミー端子844と、上側基準面142aとの接続箇所の近傍の端子ホルダ142には、上側基準面142aから突出する樹脂製のベース部846が形成されている。ベース部846の左右方向の幅は、ダミー端子844の左右方向の幅よりも大きく、ベース部144,146,148,150,152の左右方向の幅と略同じである。ベース部846の後端は、ダミー端子844の後縁844aよりも後方に位置している。
【0116】
端子ユニット202においては、ダミー端子844は接続検出端子136よりも後側に配置されており、接続検出端子136とダミー端子844の左右方向の位置は略同じである。ダミー端子844の前端と、信号通信端子140の前端は、前後方向の位置が略同じである。ダミー端子844の後縁844aは、信号通信端子140の後縁140aよりも後方に配置されており、正極電源端子132の後縁132aや負極電源端子134の後縁134aよりも後方に配置されている。
【0117】
図35に示す電池パック860は、実施例1の電池パック400と同様の構成を備えている。図38に示すように、電池パック860の端子ユニット406は、実施例1の電池パック400の端子ユニット406と同様の構成を備えている。また、電池パック860の上側ケーシング448は、実施例1の電池パック400の上側ケーシング448と同様の構成を備えている。
【0118】
図35に示す電池パック880は、実施例1の電池パック400と略同様の構成を備えている。図39に示すように、電池パック880の端子ユニット406は、実施例1の電池パック400の端子ユニット406と同様の構成を備えている。
【0119】
電池パック880の上側ケーシング882は、実施例1の電池パック400の上側ケーシング448と略同様の構成を備えている。電池パック880においては、スリット482は、上板466の前端から、第2信号通信端子784の後端よりも後方まで延びており、正極電源端子430の後端や、負極電源端子432の後端よりも後方まで伸びている。すなわち、電池パック880における上板466の前端からスリット482の後端までの長さは、電池パック860における上板466の前端からスリット482の後端までの長さよりも長く、電池パック860における上板466の前端からスリット478,480の後端までの長さよりも長い。
【0120】
(電気機器820への電池パック860の取り付け)
図35に示す電気機器820は、実施例1の電池パック400と同様の構成を備えており、電池パック860は、実施例1の電気機器100と同様の構成を備えている。従って、電池パック860は電気機器820に正常に取り付けることができる。
【0121】
(電気機器820への電池パック880の取り付け)
電気機器820の機器側取付部154の後方から前方に向けて電池パック880の電池側取付部486をスライドさせると、電気機器820の正極電源端子132が電池パック880のスリット470,478を介して端子収容部456の内部に入り込み、電気機器820の負極電源端子134が電池パック880のスリット472,480を介して端子収容部456の内部に入り込み、電気機器820の信号通信端子140が電池パック880のスリット476,484を介して端子収容部456の内部に入り込む。電池パック880の電池側取付部486は、電気機器820の正極電源端子430,負極電源端子134,信号通信端子140のベース部144,146,152の後端が、電池パック880のスリット478,480,484の窪み部478a,480a,484aの後端面に当接するまで、電気機器820の機器側取付部154に対して前方にスライドさせることができる。この場合、電気機器820の正極電源端子132は、電池パック880の正極電源端子430に挟持される。電気機器820の負極電源端子134は、電池パック880の負極電源端子432に挟持される。電気機器820の信号通信端子140は、電池パック880の放電制御端子438に一旦挟持された後、放電制御端子438を通過して電池パック880の信号通信端子440に挟持される。電気機器820の放電制御端子138は、スリット476,484を介して端子収容部456の内部に入り込み、電池パック880の放電制御端子438に挟持される。電気機器820の接続検出端子136は、スリット474,482を介して端子収容部456の内部に入り込み、電池パック880の接続検出端子434に挟持される。従って、電池パック880は電気機器820に正常に取り付けることができる。
【0122】
(電気機器840への電池パック860の取り付け)
電気機器840の機器側取付部154の後方から前方に向けて電池パック860の電池側取付部486をスライドさせると、電気機器840のダミー端子844が電池パック860のスリット474,482を介して端子収容部456の内部に入り込み、電気機器840の正極電源端子132が電池パック860のスリット470,478を介して端子収容部456の内部に入り込み、電気機器840の負極電源端子134が電池パック860のスリット472,480を介して端子収容部456の内部に入り込み、電気機器840の信号通信端子140が電池パック860のスリット476,484を介して端子収容部456の内部に入り込む。電池パック860の電池側取付部486は、電気機器840のダミー端子844の後縁844aが、電池パック860のスリット482の後端面に当接し、かつ電気機器840のダミー端子844のベース部846の後端が、電池パック860のスリット482の窪み部482aの後端面に当接すると、それ以上は電気機器840の機器側取付部154に対して前方にスライドさせることができない。この場合、電気機器840の正極電源端子132は、電池パック860の正極電源端子430に挟持される。電気機器840の負極電源端子134は、電池パック860の負極電源端子432に挟持される。電気機器840のダミー端子844は、電池パック860の充電制御端子436に挟持される。電気機器840の信号通信端子140は、電池パック880の放電制御端子438に一旦挟持された後、放電制御端子438を通過しており、放電制御端子438にも信号通信端子440にも挟持されていない。電気機器840の放電制御端子138は、スリット476,484を介して端子収容部456の内部に入り込むことができない。電気機器840の接続検出端子136は、スリット474,482を介して端子収容部456の内部に入り込むことができない。従って、電池パック860は電気機器840に正常に取り付けることができない。
【0123】
(電気機器840への電池パック880の取り付け)
電気機器840の機器側取付部154の後方から前方に向けて電池パック880の電池側取付部486をスライドさせると、電気機器840のダミー端子844が電池パック880のスリット474,482を介して端子収容部456の内部に入り込み、電気機器840の正極電源端子132が電池パック880のスリット470,478を介して端子収容部456の内部に入り込み、電気機器840の負極電源端子134が電池パック880のスリット472,480を介して端子収容部456の内部に入り込み、電気機器840の信号通信端子140が電池パック880のスリット476,484を介して端子収容部456の内部に入り込む。電池パック880の電池側取付部486は、電気機器840の正極電源端子132,負極電源端子134,ダミー端子844,信号通信端子140のベース部144,146,846,152の後端が、電池パック880のスリット478,480,482,484の窪み部478a,480a,482a,484aの後端面に当接するまで、電気機器840の機器側取付部154に対して前方にスライドさせることができる。この場合、電気機器840の正極電源端子132は、電池パック880の正極電源端子430に挟持される。電気機器840の負極電源端子134は、電池パック880の負極電源端子432に挟持される。電気機器840のダミー端子844は、電池パック880の接続検出端子434に一旦挟持された後、接続検出端子434を通過して電池パック880の充電制御端子436に挟持される。電気機器840の信号通信端子140は、電池パック880の放電制御端子438に一旦挟持された後、放電制御端子438を通過して電池パック880の信号通信端子440に挟持される。電気機器840の放電制御端子138は、スリット476,484を介して端子収容部456の内部に入り込み、電池パック880の放電制御端子438に挟持される。電気機器840の接続検出端子136は、スリット474,482を介して端子収容部456の内部に入り込み、電池パック880の接続検出端子434に挟持される。従って、電池パック880は電気機器840に正常に取り付けることができる。
【0124】
以上のように、1つまたはそれ以上の実施形態において、電気機器システム800は、電池側取付部486(第1電池側取付部の例)を備える電池パック860(第1電池パック型機器の例)と、電池側取付部486(第2電池側取付部の例)を備える電池パック880(第2電池パック型機器の例)と、機器側取付部154(第1機器側取付部の例)を備える電気機器820(第1電気機器)と、機器側取付部154(第2機器側取付部の例)を備える電気機器840(第2電気機器の例)を備えている。電池パック860の電池側取付部486と電池パック880の電池側取付部486は、それぞれ、接続検出端子434(第1電池側端子の例)と、接続検出端子434よりも上方で前後方向および左右方向に沿って配置された上板466を備えている。電池パック860の電池側取付部486の上板466には、上板466の前端から接続検出端子434の前端よりも後方まで前後方向に伸びるスリット482(第1スリットの例)が形成されている。電池パック880の電池側取付部486は、左右方向の位置が接続検出端子434の左右方向の位置と略同じであり、接続検出端子434の後方に配置された充電制御端子436(第2電池側端子の例)をさらに備えている。電池パック880の電池側取付部486の上板466には、上板466の前端から充電制御端子436の前端よりも後方まで前後方向に伸びるスリット482(第2スリットの例)が形成されている。電池パック860の電池側取付部486のスリット482は、電池パック880の電池側取付部486のスリット482よりも短い。電気機器820の機器側取付部154と電気機器840の機器側取付部154は、それぞれ、接続検出端子434に対応して配置されており、電池パック860の電池側取付部486のスリット482および電池パック880の電池側取付部486のスリット482を貫通する形状を有する接続検出端子136(機器側端子の例)を備えている。電気機器840の機器側取付部154は、左右方向の位置が接続検出端子136の左右方向の位置と略同じであり、接続検出端子136の後方に配置されており、電池パック860の電池側取付部486のスリット482および電池パック880の電池側取付部486のスリット482を貫通する形状を有するダミー端子844(規制部の例)をさらに備えている。電池パック860の電池側取付部486を電気機器820の機器側取付部154の後方から前方に向けて移動させる場合には、接続検出端子136がスリット482を貫通し、少なくとも接続検出端子136が接続検出端子434に接触する位置まで、電池パック860の電池側取付部486が電気機器820の機器側取付部154に対して移動可能である。電池パック860の電池側取付部486を電気機器840の機器側取付部154の後方から前方に向けて移動させる場合には、ダミー端子844の下端が上板466の下面466bよりも下方に位置する状態で、ダミー端子844がスリット482を貫通し、ダミー端子844がスリット482の後端面に当接する位置であって、接続検出端子136が接続検出端子434に接触しない位置まで、電池パック860の電池側取付部486が電気機器840の機器側取付部154に対して移動可能である。電池パック880の電池側取付部486を電気機器820の機器側取付部154の後方から前方に向けて移動させる場合には、接続検出端子136がスリット482を貫通し、少なくとも接続検出端子136が接続検出端子434に接触する位置まで、電池パック880の電池側取付部486が電気機器820の機器側取付部154に対して移動可能である。電池パック880の電池側取付部486を電気機器840の機器側取付部154の後方から前方に向けて移動させる場合には、ダミー端子844の下端が上板466の下面466bよりも下方に位置する状態で、ダミー端子844と接続検出端子136がスリット482を貫通し、少なくとも接続検出端子136が接続検出端子434に接触する位置まで、電池パック880の電池側取付部486が電気機器840の機器側取付部154に対して移動可能である。
【0125】
1つまたはそれ以上の実施形態において、ダミー端子844の、電池パック860の電池側取付部486のスリット482の後端面に当接する部分は、金属製である。
【0126】
1つまたはそれ以上の実施形態において、ダミー端子844は金属製であり、電流が流れない。
【0127】
1つまたはそれ以上の実施形態において、電気機器システム800では、電池パック860の電池側取付部486を電気機器840の機器側取付部154の後方から前方に向けて移動させる場合には、ダミー端子844の下端が接続検出端子434の上端よりも下方に位置する状態で、ダミー端子844がスリット482を貫通し、ダミー端子844がスリット482の後端面に当接する位置であって、接続検出端子136が接続検出端子434に接触しない位置まで、電池パック860の電池側取付部486が電気機器840の機器側取付部154に対して移動可能である。電池パック880の電池側取付部486を電気機器840の機器側取付部154の後方から前方に向けて移動させる場合には、ダミー端子844の下端が接続検出端子434の上端よりも下方に位置する状態で、ダミー端子844と接続検出端子136がスリット482を貫通し、少なくとも接続検出端子136が接続検出端子434に接触する位置まで、電池パック880の電池側取付部486が電気機器840の機器側取付部154に対して移動可能である。
【0128】
1つまたはそれ以上の実施形態において、接続検出端子434は、接続検出端子136を左右方向から弾性的に挟持する挟持部434dを備えている。ダミー端子844の、接続検出端子434の上端よりも下方に位置する部分の左右方向の寸法は、接続検出端子136の、接続検出端子434の上端よりも下方に位置する部分の左右方向の寸法以下である。
【0129】
1つまたはそれ以上の実施形態において、電池パック860の電池側取付部486の上板466の上面466aに、スリット482の周囲を囲う窪み部482a(第1窪み部の例)が形成されている。電池パック880の電池側取付部486の上板466の上面466aに、スリット482の周囲を囲う窪み部482a(第2窪み部の例)が形成されている。電気機器840の機器側取付部154は、電池パック860の電池側取付部486の窪み部482aおよび電池パック880の電池側取付部486の窪み部482aに対応して配置されており、ダミー端子844の周囲を囲うベース部846をさらに備えている。電気機器840の機器側取付部154のダミー端子844が電池パック860の電池側取付部486のスリット482の後端面に当接する際に、電気機器840の機器側取付部154のベース部846が電池パック860の電池側取付部486の窪み部482aの後端面に当接する。
【0130】
1つまたはそれ以上の実施形態において、電気機器840は、電池側取付部486(第1電池側取付部の例)を備える電池パック860(第1電池パック型機器の例)を取付不能であって、電池側取付部486(第2電池側取付部の例)を備える電池パック880(第2電池パック型機器の例)を取付可能な機器側取付部154を備えている。電池パック860の電池側取付部486と電池パック880の電池側取付部486は、それぞれ、接続検出端子434(第1電池側端子の例)と、接続検出端子434よりも上方で前後方向および左右方向に沿って配置された上板466を備えている。電池パック860の電池側取付部486の上板466には、上板466の前端から接続検出端子434の前端よりも後方まで前後方向に伸びるスリット482(第1スリットの例)が形成されている。電池パック880の電池側取付部486は、左右方向の位置が接続検出端子434の左右方向の位置と略同じであり、接続検出端子434の後方に配置された充電制御端子436(第2電池側端子の例)をさらに備えている。電池パック880の電池側取付部486の上板466には、上板466の前端から充電制御端子436の前端よりも後方まで前後方向に伸びるスリット482(第2スリットの例)が形成されている。電池パック860の電池側取付部486のスリット482は、電池パック880の電池側取付部486のスリット482よりも短い。電気機器840の機器側取付部154は、接続検出端子434に対応して配置されており、電池パック860の電池側取付部486のスリット482および電池パック880の電池側取付部486のスリット482を貫通する形状を有する接続検出端子136(機器側端子の例)と、左右方向の位置が接続検出端子136の左右方向の位置と略同じであり、接続検出端子136の後方に配置されており、電池パック860の電池側取付部486のスリット482および電池パック880の電池側取付部486のスリット482を貫通する形状を有するダミー端子844(規制部の例)を備えている。電池パック860の電池側取付部486を電気機器840の機器側取付部154の後方から前方に向けて移動させる場合には、ダミー端子844の下端が上板466の下面466bよりも下方に位置する状態で、ダミー端子844がスリット482を貫通し、ダミー端子844がスリット482の後端面に当接する位置であって、接続検出端子136が接続検出端子434に接触しない位置まで、電池パック860の電池側取付部486が電気機器840の機器側取付部154に対して移動可能である。電池パック880の電池側取付部486を電気機器840の機器側取付部154の後方から前方に向けて移動させる場合には、ダミー端子844の下端が上板466の下面466bよりも下方に位置する状態で、ダミー端子844と接続検出端子136がスリット482を貫通し、少なくとも接続検出端子136が接続検出端子434に接触する位置まで、電池パック880の電池側取付部486が電気機器840の機器側取付部154に対して移動可能である。
【符号の説明】
【0131】
2 :電気機器システム
100 :電気機器
100a :ハウジング
101 :スイッチ操作部
102 :モータユニット
104 :コントロールユニット
106 :端子ユニット
108 :モータ
110 :回転センサ
112 :MPU
114 :ゲート回路
116 :駆動回路
118 :電流検出回路
120 :電源回路
122 :電圧検出部
124 :接続検出部
126 :放電制御部
128 :信号通信部
130 :表示部
132 :正極電源端子
132a :後縁
134 :負極電源端子
134a :後縁
136 :接続検出端子
136a :後縁
138 :放電制御端子
138a :後縁
140 :信号通信端子
140a :後縁
142 :端子ホルダ
142a :上側基準面
142b :前側基準面
144 :ベース部
146 :ベース部
148 :ベース部
150 :ベース部
152 :ベース部
154 :機器側取付部
156 :機器側レール
158 :係合溝
200 :電気機器
200a :ハウジング
201 :スイッチ操作部
202 :端子ユニット
204 :ダミー端子
204a :後縁
206 :ベース部
208 :機器側取付部
210 :カバー
300 :電気機器
300a :ハウジング
300b :基準面
302 :充電回路
304 :端子ユニット
306 :電源回路
308 :FET
310 :MPU
312 :電流検出回路
314 :インターロック回路
316 :電圧検出部
318 :接続検出部
320 :補助電源部
322 :信号通信部
324 :表示部
326 :正極電源端子
326a :後縁
328 :負極電源端子
328a :後縁
330 :接続検出端子
330a :後縁
332 :充電制御端子
332a :後縁
334 :放電制御端子
334a :後縁
336 :信号通信端子
336a :後縁
338 :電源コード
340 :機器側取付部
342 :機器側レール
344 :係合溝
346 :カバー
348 :ベース部
350 :ベース部
352 :ベース部
354 :ベース部
356 :ベース部
358 :ベース部
400 :電池パック
402 :電池セルユニット
404 :コントロールユニット
406 :端子ユニット
408 :電池セル
410 :MPU
412 :電源回路
416 :温度検出部
418 :電流検出回路
420 :接続検出部
422 :充電制御部
424 :放電制御部
426 :信号通信部
428 :表示部
430 :正極電源端子
430a :底板部
430b :下側湾曲部
430c :傾斜部
430d :挟持部
430e :上側湾曲部
430f :固定リブ
432 :負極電源端子
434 :接続検出端子
434a :底板部
434b :下側湾曲部
434c :傾斜部
434d :挟持部
434e :上側湾曲部
434f :固定リブ
436 :充電制御端子
438 :放電制御端子
440 :信号通信端子
442 :回路基板
444 :ケーシング
446 :下側ケーシング
448 :上側ケーシング
450 :フック
450a :係合部
450b :操作部
452 :基部
452a :上面
454 :電池側レール
456 :端子収容部
458 :右側支持壁
460 :右側レール
462 :左側支持壁
464 :左側レール
466 :上板
466a :上面
466b :下面
468 :前板
470 :スリット
472 :スリット
474 :スリット
476 :スリット
478 :スリット
478a :窪み部
480 :スリット
480a :窪み部
482 :スリット
482a :窪み部
484 :スリット
484a :窪み部
486 :電池側取付部
500 :アダプタ
502 :コードユニット
504 :コントロールユニット
506 :端子ユニット
508 :正極電源端子
510 :負極電源端子
512 :放電制御端子
516 :機種識別端子
518 :サーミスタ
520 :MPU
522 :電源回路
524 :電圧検出部
526 :放電制御部
530 :識別子記憶部
532 :温度検出部
534 :接続検出部
536 :放電制御部
538 :信号通信部
540 :表示部
542 :回路基板
544 :ケーシング
546 :下側ケーシング
548 :上側ケーシング
550 :電池側取付部
600 :電源装置
602 :電池セルユニット
604 :コントロールユニット
606 :コードユニット
608 :電池セル
610 :MPU
612 :電源回路
616 :温度検出部
618 :電流検出回路
620 :放電制御部
624 :機種識別部
626 :表示部
628 :正極電源端子
630 :負極電源端子
632 :放電制御端子
636 :機種識別端子
700 :電気機器システム
720 :電気機器
740 :電気機器
742 :端子ユニット
744 :第2信号通信端子
744a :後縁
746 :ベース部
760 :電池パック
780 :電池パック
782 :端子ユニット
784 :第2信号通信端子
786 :上側ケーシング
800 :電気機器システム
820 :電気機器
840 :電気機器
842 :端子ユニット
844 :ダミー端子
844a :後縁
846 :ベース部
860 :電池パック
880 :電池パック
882 :上側ケーシング
図1
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