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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-14
(45)【発行日】2024-11-22
(54)【発明の名称】基板処理装置、および、基板処理方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/306 20060101AFI20241115BHJP
【FI】
H01L21/306 J
H01L21/306 E
【請求項の数】 17
(21)【出願番号】P 2021013938
(22)【出願日】2021-01-29
(65)【公開番号】P2022117321
(43)【公開日】2022-08-10
【審査請求日】2023-12-18
(73)【特許権者】
【識別番号】000207551
【氏名又は名称】株式会社SCREENホールディングス
(74)【代理人】
【識別番号】110002310
【氏名又は名称】弁理士法人あい特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】田中 孝佳
【審査官】長谷川 直也
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2019/0099694(US,A1)
【文献】特開2013-021066(JP,A)
【文献】特開2010-263053(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0259641(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/306
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板をエッチング液によりエッチングするエッチング処理部と、
前記エッチング処理部からエッチング液を排出する排出流路と、
前記排出流路に設けられた固形シリカユニットとを備え、
前記固形シリカユニットが、
複数の固形シリカと、
複数の前記固形シリカを収容するシリカ収容部であって、内部にエッチング液を通過させるシリカ収容部と
複数の前記固形シリカを冷却する冷却ユニットとを含み、
前記冷却ユニットは、前記固形シリカの温度が、前記シリカ収容部に流入するエッチング液の温度よりも低くなるように前記固形シリカを冷却する、基板処理装置。
【請求項2】
前記固形シリカが、角部を有する粒形状を有する、請求項1に記載の基板処理装置。
【請求項3】
前記固形シリカが、球体形状を有する、請求項に記載の基板処理装置。
【請求項4】
前記固形シリカが、多面体形状、または、ペレット形状を有する、請求項2に記載の基板処理装置。
【請求項5】
前記固形シリカの粒径が、1mm以上でかつ10mm以下である、請求項2~4のいずれか一項に記載の基板処理装置。
【請求項6】
前記シリカ収容部が、複数の前記固形シリカが充填された筒状空間を有し、
前記排出流路が、前記筒状空間の軸方向における前記筒状空間の一端に接続される上流排出流路と、前記軸方向における前記筒状空間の他端に接続される下流排出流路とを含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の基板処理装置。
【請求項7】
前記シリカ収容部が、内部に複数の固形シリカを収容しエッチング液を貯留する液貯留部を含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の基板処理装置。
【請求項8】
前記冷却ユニットが、前記シリカ収容部に冷却液を供給する冷却液供給流路と、前記シリカ収容部から冷却液を排出する冷却液排出流路とを含む、請求項1~7のいずれか一項に記載の基板処理装置。
【請求項9】
前記排出流路において前記固形シリカユニットよりも下流側の所定の測定位置におけるエッチング液中のシリコン濃度を検出する濃度測定ユニットと、
エッチング液を貯留するエッチング液タンクと、
前記排出流路において前記測定位置よりも下流側に設けられ、前記排出流路を開閉する排出流路開閉ユニットとをさらに備える、請求項1~のいずれか一項に記載の基板処理装置。
【請求項10】
前記排出流路において前記測定位置と同じ位置または前記測定位置よりも下流側の位置に接続され、前記排出流路において前記固形シリカユニットよりも上流側にエッチング液を帰還させる帰還流路と、
前記帰還流路を開閉する帰還流路開閉ユニットとをさらに備える、請求項に記載の基板処理装置。
【請求項11】
前記排出流路において前記帰還流路からエッチング液が帰還する帰還位置よりも下流側で、かつ、前記固形シリカユニットよりも上流側から分岐し、前記固形シリカユニットよりも下流側で、かつ、前記測定位置よりも上流側に接続される分岐流路と、
前記分岐流路を開閉する分岐流路開閉ユニットとをさらに備える、請求項10に記載の基板処理装置。
【請求項12】
前記排出流路において前記測定位置と同じ位置または前記測定位置よりも下流側と前記固形シリカユニットよりも下流側でかつ前記測定位置よりも上流側とに接続され、エッチング液を循環させる循環流路と、
前記循環流路を開閉する循環流路開閉ユニットとをさらに備える、請求項10に記載の基板処理装置。
【請求項13】
前記エッチング液タンク内のエッチング液を前記エッチング処理部に供給する供給流路をさらに備える、請求項12のいずれか一項に記載の基板処理装置。
【請求項14】
前記固形シリカユニットが、複数設けられており、
複数の前記固形シリカユニットが、前記排出流路において、直列配置されている、請求項1~13のいずれか一項に記載の基板処理装置。
【請求項15】
前記固形シリカユニットが、複数設けられており、
複数の前記固形シリカユニットが、前記排出流路において、並列配置されている、請求項1~13のいずれか一項に記載の基板処理装置。
【請求項16】
エッチング処理部において、基板をエッチング液によりエッチングするエッチング工程と、
エッチング液を前記エッチング処理部から排出流路に排出する排出工程と、
前記排出工程において前記排出流路に排出されたエッチング液に、複数の固形シリカを収容するシリカ収容部を通過させる固形シリカ通過工程と
前記固形シリカを冷却する冷却工程とを含み、
前記冷却工程は、前記固形シリカの温度が、前記シリカ収容部に流入するエッチング液の温度よりも低くなるように前記固形シリカを冷却する、基板処理方法。
【請求項17】
前記シリカ収容部を通過したエッチング液中のシリコン濃度を測定する濃度測定工程と、
前記濃度測定工程によって測定されたシリコン濃度が所定の閾値以下であるか否かを判定する判定工程とをさらに含み、
前記濃度測定工程によって測定されたシリコン濃度が前記判定工程において前記閾値以下であると判定された場合には、前記シリカ収容部を通過したエッチング液をエッチング液タンクに回収させる回収工程が実行され、前記濃度測定工程によって測定されたシリコン濃度が前記判定工程において前記閾値以下でないと判定された場合には、前記排出流路において前記シリカ収容部よりも上流側にエッチング液を帰還させる帰還工程が実行されるように、前記回収工程と前記帰還工程とが選択的に実行される、請求項16に記載の基板処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、基板を処理する基板処理装置、および、基板を処理する基板処理方法に関する。
処理の対象となる基板には、たとえば、半導体ウェハ、液晶表示装置および有機EL(Electroluminescence)表示装置等のFPD(Flat Panel Display)用基板、光ディスク用基板、磁気ディスク用基板、光磁気ディスク用基板、フォトマスク用基板、セラミック基板、太陽電池用基板等が含まれる。
【背景技術】
【0002】
基板のエッチング処理に使用されたリン酸水溶液中には、酸化シリコンが溶解している。そのため、リン酸水溶液中の酸化シリコンの濃度(以下では、「シリコン濃度」ということがある。)が飽和濃度を超えて基板上に析出することを抑制するために、基板のエッチング処理中にリン酸水溶液を補充することでシリコン濃度を調整する手法が用いられる。これでは、シリコン濃度の調整に多量のリン酸水溶液を要する。
【0003】
そこで、下記特許文献1および2には、基板のエッチング処理に使用されたリン酸水溶液を再利用する手法が提案されている。
具体的には、特許文献1には、温調機構によって貯留タンク内でリン酸水溶液を冷却してリン酸水溶液中に酸化シリコンを析出させた後、リン酸水溶液をフィルタでろ過することによって、リン酸水溶液から酸化シリコンを除去する手法が開示されている。
【0004】
特許文献2には、エッチング処理に使用されたリン酸水溶液に純水を供給してリン酸水溶液を希釈することで、酸化シリコンを析出させた後、リン酸水溶液をフィルタによってろ過する手法が開示されている。その後、リン酸水溶液から水を蒸発させてリン酸水溶液を濃縮することによってリン酸水溶液がエッチング槽に供給される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特許5829444号公報
【文献】特許3788985号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1および2に開示されている手法では、フィルタが、析出した酸化シリコンを捕捉することによって目詰まりを起こす。そのため、定期的にフィルタを交換する手間が生じる。
また、特許文献1の手法では、酸化シリコンを析出させるために貯留タンク全体を冷却する必要があり、特許文献2の手法では、リン酸水溶液中の水を蒸発させる必要がある。そのため、特許文献1および2のいずれの手法においても、酸化シリコンの析出に要する時間が比較的長い。
【0007】
この発明の1つの目的は、エッチング液中のシリコン濃度を良好に低減できる基板処理装置、および、基板処理方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明の一実施形態は、基板をエッチング液によりエッチングするエッチング処理部と、前記エッチング処理部からエッチング液を排出する排出流路と、前記排出流路に設けられた固形シリカユニットとを備える、基板処理装置を提供する。前記固形シリカユニットが、複数の固形シリカと、複数の前記固形シリカを収容するシリカ収容部であって、内部にエッチング液を通過させるシリカ収容部とを含む。
【0009】
この基板処理装置によれば、基板のエッチングに用いられたエッチング液が、エッチング処理部から排出流路に排出される。排出流路に設けられている固形シリカユニットは、複数の固形シリカを収容するシリカ収容部を含んでいる。そのため、エッチング液は、シリカ収容部内を通過する際に複数の固形シリカと接することによって効率的に冷却される。そのため、エッチング液中に溶解されている酸化シリコンが析出して複数の固形シリカの表面に付着する。このように、エッチング液から速やかに酸化シリコンを析出させることができる。
【0010】
また、互いに隣接する固形シリカ同士の間に充分に大きな隙間が形成される。固形シリカの表面に酸化シリコンが析出した際に、互いに隣接する固形シリカ同士の間の隙間が塞がれることを抑制できる。
その結果、エッチング液中のシリコン濃度を良好に低減できる。
この発明の一実施形態では、前記固形シリカが、角部を有する粒形状を有する。本願発明者らは、角部を有する粒形状の固形シリカを用いた場合には、角部の周囲においてエッチング液の液交換が起こりやすいため、固形シリカの表面において、角部およびその周辺に酸化シリコンが析出しやすいことを見出した。そのため、角部を有する粒形状の固形シリカを用いることによって、エッチング液中に溶解されている酸化シリコンを効果的に析出させることができる。そのような固形シリカの形状としては多面体形状、または、ペレット形状等が挙げれられる。
【0011】
この発明の一実施形態では、前記固形シリカの粒径が、1mm以上でかつ10mm以下である。固形シリカの粒径がこの範囲であれば、互いに隣接する固形シリカ同士の間に適切なサイズの隙間が形成される。固形シリカの表面に酸化シリコンが析出した際に、互いに隣接する固形シリカ同士の間の隙間が塞がれることを一層抑制できる。
この発明の一実施形態では、前記シリカ収容部が、複数の前記固形シリカが充填された筒状空間を含む。前記排出流路が、前記筒状空間の軸方向における前記筒状空間の一端に接続される上流排出流路と、前記軸方向における前記筒状空間の他端に接続される下流排出流路とを含む。
【0012】
この基板処理装置によれば、筒状空間内において、軸方向の一端から他端に向かってエッチング液が流れる。そのため、筒状空間の軸方向の各位置において、エッチング液の線速度の均一性を高めることができる。したがって、筒状空間内の複数の固形シリカの全体に酸化シリコンを析出させやすい。その結果、エッチング液中のシリコン濃度を良好に低減できる。
【0013】
この発明の一実施形態では、前記シリカ収容部が、内部に複数の固形シリカを収容しエッチング液を貯留する液貯留部を含む。
この基板処理装置によれば、エッチング処理部から排出流路に排出されるエッチング液を液貯留部に貯留しつつ、複数の固形シリカによってエッチング液から酸化シリコンを析出させることができる。したがって、エッチング処理部から多量のエッチング液が排出される場合であっても、エッチング液中のシリコン濃度を良好に低減することができる。ひいては、エッチング液の廃棄量を抑制できる。
【0014】
この発明の一実施形態では、前記基板処理装置が、複数の前記固形シリカを冷却する冷却ユニットをさらに備える。そのため、複数の固形シリカを事前に冷却しておけば、エッチング液が固形シリカユニットを通る際に、エッチング液を急速に冷却できる。これにより、酸化シリコンを速やかに析出させることができる。
この発明の一実施形態では、前記冷却ユニットが、前記シリカ収容部に冷却液を供給する冷却液供給流路と、前記シリカ収容部から冷却液を排出する冷却液排出流路とを含む。この基板処理装置によれば、シリカ収容部に冷却液を供給することで複数の固形シリカを冷却できる。そのため、シリカ収容部の外部から複数の固形シリカを冷却する場合と比較して、シリカ収容部内において比較的内側に位置する固形シリカを速やかに冷却できる。その結果、エッチング液中のシリコン濃度を良好に低減できる。
【0015】
この発明の一実施形態では、前記基板処理装置が、前記排出流路において前記固形シリカユニットよりも下流側の所定の測定位置におけるエッチング液中のシリコン濃度を測定する濃度測定ユニットと、エッチング液を貯留するエッチング液タンクと、前記排出流路において前記測定位置よりも下流側に設けられ、前記排出流路を開閉する排出流路開閉ユニットとをさらに備える。
【0016】
固形シリカユニットがエッチング液から酸化シリコンを除去する能力(除去能力)は、固形シリカユニットにエッチング液を通過させ続けることによって低下する。具体的には、複数の固形シリカがエッチング液を冷却することによって、複数の固形シリカの温度が上昇するため、エッチング液を冷却する能力が低下する。
固形シリカユニットの除去能力が充分に高いときには、固形シリカユニットを通過するエッチング液のシリコン濃度が充分に低下し、固形シリカユニットの除去能力が充分に高くないときには、固形シリカユニットを通過するエッチング液のシリコン濃度が充分に低下しない。
【0017】
この基板処理装置によれば、エッチング液をエッチング液タンクへ流入させたり、エッチング液のエッチング液タンクへの流入を停止したりすることができる。そのため、たとえば、濃度測定ユニットによって測定されたシリコン濃度が所定の閾値以下であれば、エッチング液がエッチング液タンクに流入し、濃度測定ユニットによって測定されたシリコン濃度が閾値を超えていれば、エッチング液タンクへのエッチング液の流入が停止されるように排出流路開閉ユニットに排出流路を開閉させることができる。
【0018】
このように排出流路を開閉することによって、固形シリカユニットの除去能力が充分に高いときには、エッチング液がエッチング液タンクに供給される。一方、固形シリカユニットの除去能力が低下して固形シリカユニットを通過するエッチング液のシリコン濃度が閾値よりも高くなった場合には、エッチング液タンクへのエッチング液の供給は停止される。そのため、シリコン濃度が充分に低下したエッチング液を選択的にエッチング液タンクで回収することができる。その結果、シリコン濃度が良好に低減されたエッチング液を回収できる。
【0019】
この発明の一実施形態では、基板処理装置が、前記排出流路において前記測定位置と同じ位置または前記測定位置よりも下流側の位置に接続され、前記排出流路において前記固形シリカユニットよりも上流側にエッチング液を帰還させる帰還流路と、前記帰還流路を開閉する帰還流路開閉ユニットとをさらに備える。
この基板処理装置によれば、エッチング液を帰還流路へ流入させたり、エッチング液の帰還流路への流入を停止したりすることができる。そのため、たとえば、濃度測定ユニットによって測定されたシリコン濃度が閾値以下であれば、帰還流路へのエッチング液の流入が停止され、濃度測定ユニットによって測定されたシリコン濃度が閾値を超えていれば、エッチング液が帰還流路に流入するように、帰還流路開閉ユニットに帰還流路を開閉させることができる。
【0020】
帰還流路をこのように開閉することで、帰還流路を介して排出流路に戻ったエッチング液を固形シリカユニットのシリカ収容部に再び通過させることが可能である。これにより、エッチング液から酸化シリコンをさらに析出させてエッチング液中のシリコン濃度を低減させることができる。固形シリカユニットを複数回通過することによって、シリコン濃度が閾値以下になれば、帰還流路へのエッチング液の流入が停止される。そのため、シリコン濃度が充分に低減されたエッチング液を速やかにエッチング液タンクに流入させることができる。その結果、シリコン濃度が良好に低減されたエッチング液を回収できる。
【0021】
この発明の一実施形態では、前記基板処理装置が、前記排出流路において前記帰還流路からエッチング液が帰還する帰還位置よりも下流側で、かつ、前記固形シリカユニットよりも上流側から分岐し、前記固形シリカユニットよりも下流側で、かつ、前記測定位置よりも上流側に接続される分岐流路と、前記分岐流路を開閉する分岐流路開閉ユニットとをさらに備える。
【0022】
この基板処理装置によれば、帰還流路によって帰還位置へ戻ったエッチング液を分岐流路へ流入させたり、帰還流路によって帰還位置へ戻ったエッチング液の分岐流路への流入を停止したりすることができる。そのため、たとえば、濃度測定ユニットによって測定されたシリコン濃度が所定の閾値を超えている場合に、帰還流路によって帰還位置に戻ったエッチング液が、所定の回復時間の間、分岐流路へ流入するように、分岐流路開閉ユニットに分岐流路を開閉させることができる。分岐流路をこのように開閉することによって、固形シリカユニットへのエッチング液の供給を停止しつつエッチング液を分岐流路および帰還流路内で循環させることができる。
【0023】
そのため、たとえば、エッチング液が分岐流路および帰還流路内で循環している間に、シリカ収容部内の複数の固形シリカを冷却したり、シリカ収容部内の複数の固形シリカを、充分に冷却された固形シリカに交換したりすることができる。所定時間が経過した後には、エッチング液を分岐流路に流入させずに、除去能力が回復した固形シリカユニットに流入させることができる。
【0024】
この発明の一実施形態では、前記基板処理装置が、前記排出流路において前記測定位置と同じ位置または前記測定位置よりも下流側と前記固形シリカユニットよりも下流側でかつ前記測定位置よりも上流側とに接続され、エッチング液を循環させる循環流路と、前記循環流路を開閉する循環流路開閉ユニットとをさらに備える。
この基板処理装置によれば、エッチング液を循環流路へ流入させたり、エッチング液の循環流路への流入を停止して帰還流路に流入させたりすることができる。
【0025】
そのため、たとえば、濃度測定ユニットによって測定されたシリコン濃度が所定の閾値以下であれば、帰還流路および循環流路へのエッチング液の流入が停止され、濃度測定ユニットによって測定されたシリコン濃度が閾値を超えていれば、所定時間の間エッチング液が循環流路に流入した後に循環流路内のエッチング液が帰還流路に流入するように、循環流路を開閉することができる。このように循環流路を開閉することによって、固形シリカユニットへのエッチング液の供給を停止しつつエッチング液を循環流路内で循環させることができる。
【0026】
したがって、たとえば、エッチング液が循環流路内で循環している間にシリカ収容部内の複数の固形シリカを冷却したり、シリカ収容部内の複数の固形シリカを、充分に冷却された固形シリカに交換したりすることができる。所定時間が経過した後は、エッチング液を循環流路に流入させずに、循環流路内のエッチング液が帰還流路に流入される。そのため、所定時間が経過した後には、除去能力が回復した固形シリカユニットにエッチング液を流入させることができる。
【0027】
この発明の一実施形態では、前記基板処理装置が、前記エッチング液タンク内のエッチング液を前記エッチング処理部に供給する供給流路をさらに備える。
この基板処理装置によれば、エッチング液タンクに溜められているエッチング液を、供給流路を介してエッチング処理部に供給することができる。そのため、シリコン濃度が充分に低減されたエッチング液を、エッチング処理部における基板の処理に再利用することができる。
【0028】
この発明の一実施形態では、前記固形シリカユニットが、複数設けられており、複数の前記固形シリカユニットが、前記排出流路において、直列配置されている。そのため、固形シリカユニット一つ当たりの酸化シリコンの除去量を低減できる。したがって、単一の固形シリカユニットが排出流路に設けられている構成と比較して、固形シリカユニットの除去能力を回復させる時期を遅らせることができる。
【0029】
この発明の他の実施形態は、前記固形シリカユニットが、複数設けられており、複数の前記固形シリカユニットが、前記排出流路において、並列配置されている。そのため、複数の固形シリカユニットのうち少なくとも1つの固形シリカユニットを使用可能な状態にしておけば、エッチング液からの酸化シリコンの除去を継続できる。したがって、エッチング液からの酸化シリコンの除去を継続しながら、酸化シリコンの除去が行われていない固形シリカユニットの除去能力を回復させることができる。
【0030】
この発明の他の実施形態は、エッチング処理部において、基板をエッチング液によりエッチングするエッチング工程と、前記エッチング処理部からエッチング液を排出する排出工程と、前記排出工程において前記排出流路に排出されたエッチング液に、複数の固形シリカを収容するシリカ収容部を通過させる固形シリカ通過工程とを含む、基板処理方法を提供する。この基板処理方法によれば、上述した基板処理装置と同様の効果を奏する。
【0031】
この発明の他の実施形態は、前記基板処理方法が、前記固形シリカユニットを通過したエッチング液中のシリコン濃度を測定する濃度測定工程と、前記濃度測定工程によって測定されたシリコン濃度が所定の閾値以下であるか否かを判定する判定工程とをさらに含む。
そして、前記濃度測定工程によって測定されたシリコン濃度が前記判定工程において前記閾値以下であると判定された場合には、前記シリカ収容部を通過したエッチング液をエッチング液タンクに回収させる回収工程が実行され、前記濃度測定工程によって測定されたシリコン濃度が前記判定工程において前記閾値以下でないと判定された場合には、前記排出流路において前記シリカ収容部よりも上流側にエッチング液を帰還させる帰還工程が実行されるように、前記回収工程と前記帰還工程とが選択的に実行される。
【図面の簡単な説明】
【0032】
図1図1は、本発明の第1実施形態に係る基板処理装置の全体構成を示す図である。
図2図2は、前記基板処理装置に備えられる固形シリカユニットの模式図である。
図3A】前記固形シリカユニットに備えれる固形シリカの形状について説明するための模式図である。
図3B】前記固形シリカユニットに備えれる固形シリカの形状について説明するための模式図である。
図4図4は、前記基板処理装置の主要部の電気的構成例を示すブロック図である。
図5図5は、前記基板処理装置の動作例を説明するためのフローチャートである。
図6A図6Aは、前記基板処理装置の動作例を説明するための模式図である。
図6B図6Bは、前記基板処理装置の動作例を説明するための模式図である。
図6C図6Cは、前記基板処理装置の動作例を説明するための模式図である。
図6D図6Dは、前記基板処理装置の動作例を説明するための模式図である。
図7図7は、前記基板処理装置の別の動作例を説明するためのフローチャートである。
図8図8は、前記基板処理装置の第1変形例について説明するための模式図である。
図9図9は、前記基板処理装置の第2変形例について説明するための模式図である。
図10図10は、本発明の第2実施形態に係る基板処理装置について説明するための模式図である。
図11図11は、本発明の第3実施形態に係る基板処理装置について説明するための模式図である。
図12図12は、本発明の第4実施形態に係る基板処理装置について説明するための模式図である。
図13図13は、前記固形シリカユニットの変形例について説明するための模式図である。
図14図14は、前記基板処理装置に備えられるエッチング処理部の変形例について説明するための模式図である。
図15図15は、エッチング処理中の基板の表面付近の様子を説明するための模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下では、この発明の実施の形態を、添付図面を参照して説明する。
<第1実施形態>
図1は、本発明の第1実施形態に係る基板処理装置1の全体構成を示す図である。
基板処理装置1は、リン酸水溶液等のエッチング液で基板Wに対してエッチング処理を行うとともに、エッチング処理に使用されたエッチング液の再生処理を行う。エッチング液は、リン酸水溶液に限られず、たとえば、リン酸水溶液に添加剤を加えた液体等であってもよい。エッチング処理に用いられるエッチング液の温度は、たとえば、160℃程度である。
【0034】
基板処理装置1によって処理される基板Wは、たとえば、円板状の半導体ウェハである。基板Wの表面に対してエッチング処理が実行されることによって酸化シリコンが形成される。
基板Wの表面には、たとえば、酸化シリコン層および窒化シリコン層が露出している。このような基板Wを用いた場合、エッチング液は、窒化シリコン層を選択的にエッチングする。窒化シリコン層のエッチングによって形成される酸化シリコンがエッチング液中に僅かに溶け込む。酸化シリコン層および窒化シリコン層が露出している基板Wは、たとえば、3D NANDメモリデバイスの製造プロセスに用いられる。
【0035】
基板処理装置1は、基板Wに対してエッチング処理を行うエッチング処理部2と、エッチング処理部2からエッチング液を排出する排出配管10と、排出配管10からエッチング液が流入され、エッチング液を貯留するエッチング液タンク20とを備える。排出配管10は、排出流路を構成している。
基板処理装置1は、エッチング処理部2にエッチング液を供給する供給配管30と、排出配管10に設けられた固形シリカユニット40と、排出配管10において固形シリカユニット40よりも下流側で排出配管10内のエッチング液中の酸化シリコンの濃度(シリコン濃度)を測定する濃度測定ユニット50とをさらに備える。基板処理装置1は、基板処理装置1を制御するコントローラ3(図4を参照)とをさらに備える。
【0036】
エッチング処理部2は、この実施形態では、エッチング液中に複数(たとえば、50枚)の基板Wを浸漬させてエッチング処理を行う浸漬処理部である。エッチング処理部2は、エッチング液を貯留してエッチング処理を進行させる浸漬処理槽4を備える。
浸漬処理槽4は、二重槽構造を有している。詳しくは、浸漬処理槽4は、エッチング液を貯留し、エッチング液中に基板Wを浸漬させる内槽5と、内槽5の少なくとも上端部を取り囲み、内槽5とエッチング液を交換可能な外槽6と、内槽5に対して基板Wを昇降させるリフタ7とを含む。
【0037】
内槽5は、エッチング液に対する耐食性に優れた石英またはフッ素樹脂材料によって形成された平面視矩形状の容器である。外槽6は、内槽5と同様の材料によって形成されている。
リフタ7は、複数の基板Wを複数の保持棒(図示せず)によって一括して保持する。複数の基板Wは、起立姿勢(基板主面の法線が水平方向に沿う姿勢)で相互に平行に配列された状態でリフタ7によって保持される。リフタ7は、電動モータまたはエアシリンダを有する昇降機構(図示せず)によって鉛直方向に沿って昇降可能である。リフタ7は、保持する複数枚の基板W(ロット)を内槽5内のエッチング液中に浸漬する処理位置(図1の位置)とエッチング液の液面よりも上側の受渡位置との間で昇降する。
【0038】
排出配管10は、固形シリカユニット40よりも上流側の上流排出配管11と、固形シリカユニット40よりも下流側の下流排出配管12とを含む。排出配管10の上流端(上流排出配管11の上流端)は、浸漬処理槽4の外槽6に接続されている。排出配管10の下流端(下流排出配管12の下流端)は、エッチング液タンク20に接続されている。排出配管10の下流端は、エッチング液の液面よりも上方に位置している。上流排出配管11は、上流排出流路を構成しており、下流排出配管12は、下流排出流路を構成している。
【0039】
詳しくは後述するが、固形シリカユニット40は、複数の固形シリカ41と、複数の固形シリカ41を収容するシリカ収容部42とを含む。固形シリカユニット40は、エッチング液を冷却して、エッチング液から酸化シリコンが析出されることによってエッチング液中のシリコン濃度を低下させる。そのため、固形シリカユニット40は、シリコン濃度が低下したエッチング液を下流側に排出する。
【0040】
上流排出配管11の下流端および下流排出配管12の上流端がシリカ収容部42に接続されている。エッチング液は、上流排出配管11からシリカ収容部42に流入し、シリカ収容部42から下流排出配管12に流出する。エッチング液は、シリカ収容部42の内部空間を通過する際、複数の固形シリカ41によって冷却される。これにより、エッチング液中の酸化シリコンが析出して複数の固形シリカ41の表面に付着する。
【0041】
複数の固形シリカ41の温度は、シリカ収容部42に流入するエッチング液の温度よりも低いことが好ましく、たとえば、常温(たとえば、25℃)以下であることが好ましい。
濃度測定ユニット50は、濃度モニタともいう。濃度測定ユニット50は、たとえば、イオン選択性電極法(ISE:Ion Selective Electrode)を用いた電気化学的測定手法によってエッチング液中のシリコン濃度を測定する。イオン選択性電極法を用いた濃度測定ユニット50は、測定に数分を要するもののエッチング液中のシリコン濃度を正確に測定することができる。
【0042】
電気化学的測定手法としては、たとえば、フッ素イオン選択電極(FISE)を利用した手法が挙げられる。具体的には、酸化シリコンが溶解したリン酸水溶液にフッ化水素酸(HF)が滴下される。これにより、HSiFが生成されその際に消費されたフッ素イオン量による電圧の変化に基づいて、リン酸水溶液中の酸化シリコンの濃度を算出することができる。
【0043】
濃度測定ユニット50は、下流排出配管12に設定された測定位置12aに接続された測定配管51と、測定配管51を介してエッチング液を取得し、取得したエッチング液中のシリコン濃度を測定する測定器52とを含む。
この実施形態とは異なり、濃度測定ユニット50が測定配管51を含んでおらず、濃度測定ユニット50の測定器52が下流排出配管12に介装されていてもよい。この場合、測定器52の内部が排出流路の一部を構成しており、測定器52の内部流路が測定位置12aである。そして、濃度測定ユニット50よりも上流側の配管と、濃度測定ユニット50よりも下流側の配管と、後述する帰還配管60とが測定器52に接続される。
【0044】
基板処理装置1は、排出配管10において濃度測定ユニット50によって測定される位置(測定位置12a)に接続され、排出配管10において固形シリカユニット40よりも上流側にエッチング液を帰還させる帰還配管60と、帰還配管60に介装された帰還バルブ61とをさらに備える。帰還配管60は、帰還流路を構成しており、帰還バルブ61は、帰還流路を開閉する帰還流路開閉ユニットの一例である。
【0045】
基板処理装置1は、上流排出配管11において帰還配管60の下流端が接続される帰還位置11aよりも下流側で、かつ、固形シリカユニット40よりも上流側から分岐し、固形シリカユニット40よりも下流側で、かつ、測定位置12aよりも上流側に接続される分岐配管70と、分岐配管70に介装された分岐バルブ71とをさらに備える。分岐配管70は、分岐流路を構成しており、分岐バルブ71は、分岐流路を開閉する分岐流路開閉ユニットの一例である。
【0046】
帰還配管60によって、上流排出配管11において固形シリカユニット40よりも上流側の位置にエッチング液を帰還させることによって、固形シリカユニット40を一度通過したエッチング液に、固形シリカユニット40を再度通過させることができる。帰還位置11aに戻ったエッチング液を分岐配管70に流入させることによって、固形シリカユニット40へのエッチング液の供給を停止しながら、帰還配管60、上流排出配管11、および、分岐配管70内でエッチング液を循環させることができる。
【0047】
基板処理装置1は、上流排出ポンプ13、第1上流排出バルブ14、第2上流排出バルブ15、下流排出ポンプ16、および、下流排出バルブ17をさらに備える。上流排出ポンプ13、第1上流排出バルブ14、第2上流排出バルブ15、下流排出ポンプ16、および、下流排出バルブ17は、排出配管10の上流側から下流側に向かって、この順番で介装されている。詳しくは、上流排出ポンプ13、第1上流排出バルブ14および第2上流排出バルブ15が上流排出配管11に介装されており、下流排出ポンプ16および下流排出バルブ17が下流排出配管12に介装されている。
【0048】
上流排出ポンプ13は、浸漬処理槽4の外槽6内のエッチング液を、排出配管10の上流排出配管11に送り出す。第1上流排出バルブ14は、帰還位置11aよりも上流側において上流排出配管11に介装されている。第2上流排出バルブ15は、上流排出配管11において分岐配管70の上流端が接続される上流分岐位置11bよりも下流側において上流排出配管11に介装されている。
【0049】
第1上流排出バルブ14は、上流排出配管11によって構成される上流排出流路を開閉する第1上流排出流路開閉ユニットの一例である。第2上流排出バルブ15は、上流排出配管11によって構成される上流排出流路を、第1上流排出バルブ14よりも下流側で開閉する第2上流排出流路開閉ユニットの一例である。
下流排出ポンプ16は、下流排出配管12において、分岐配管70の下流端が接続される下流分岐位置12bよりも下流側で、かつ、測定位置12aよりも上流側に介装されている。下流排出バルブ17は、測定位置12aよりも下流側において下流排出配管12に介装されている。下流排出バルブ17は、下流排出配管12によって構成される下流排出流路を開閉する下流排出流路開閉ユニットの一例である。
【0050】
供給配管30の上流端は、エッチング液タンク20に接続されている。供給配管30の上流端がエッチング液の液面よりも下方に位置するように、供給配管30は、エッチング液タンク20の内部にまで延びている。供給配管30から浸漬処理槽4の外槽6にエッチング液を供給できるように、供給配管30の下流端は外槽6に上側から対向している。基板処理装置1は、供給配管30に介装された供給ポンプ31と、供給配管30において供給ポンプ31よりも下流側に介装された供給バルブ32をさらに備える。供給ポンプ31は、エッチング液タンク20内のエッチング液を供給配管30に送り出す。供給配管30は、供給流路を構成しており、供給バルブ32は、供給流路を開閉する供給流路開閉ユニットの一例である。
【0051】
このように、エッチング液タンク20に溜められているエッチング液を、供給配管30介してエッチング処理部2に供給することができる。そのため、固形シリカユニット40によってシリコン濃度が低減されたエッチング液を、エッチング処理部2における基板Wの処理に再利用することができる。
基板処理装置1は、エッチング液タンク20内のエッチング液の温度を調節する温調ユニット21をさらに備える。温調ユニット21は、たとえば、エッチング液タンク20内のエッチング液を加熱するヒータである。温調ユニット21は、たとえば、図1に示すように、エッチング液タンク20の側壁および底壁に外側から取り付けられたヒータであってもよい。図1とは異なり、温調ユニット21は、エッチング液タンク20内のエッチング液に浸漬されたヒータであってもよいし、エッチング液タンク20内の液体を循環させる配管を設け、その配管を加熱するヒータであってもよい。エッチング液タンク20内のエッチング液は、温調ユニット21によって160℃程度の高温に維持される。
【0052】
基板処理装置1は、排出配管10内のエッチング液を廃棄する廃液配管80と、廃液配管80に介装された廃液バルブ81とをさらに備えている。廃液配管80は、廃液流路を構成している。廃液バルブ81は、廃液流路を開閉する廃液流路開閉ユニットの一例である。
廃液配管80は、上流排出ポンプ13よりも下流側で、かつ、第1上流排出バルブ14よりも上流側において、上流排出配管11に接続されている。廃液配管80は、固形シリカユニット40へのエッチング液の流入が停止されている期間に、エッチング処理部2から上流排出配管11にエッチング液が流入した場合に、エッチング液を廃棄するための配管である。固形シリカユニット40へのエッチング液の流入が停止されている期間とは、たとえば、濃度測定ユニット50がエッチング液中のシリコン濃度を測定している期間である。
【0053】
基板処理装置1は、エッチング液タンク20に新たなエッチング液(新液)を補充する新液配管90と、新液配管90に介装された新液ポンプ91と、新液ポンプ91よりも下流側で新液配管90に介装された新液バルブ92とをさらに備える。新液配管90は、新液流路を構成している。新液バルブ92は、新液流路を開閉する新液流路開閉ユニットの一例である。
【0054】
基板処理装置1は、複数の固形シリカ41を冷却する冷却ユニット100をさらに備える。冷却ユニット100は、シリカ収容部42の内部空間に冷却液を供給する冷却液供給配管101と、冷却液供給配管101に介装された冷却液ポンプ102と、冷却液ポンプ102よりも下流側で冷却液供給配管101に介装された冷却液供給バルブ103と、シリカ収容部42の内部空間から冷却液を排出する冷却液排出配管104と、冷却液排出配管104に介装された冷却液排出バルブ105とを含む。冷却液は、たとえば、常温以下の温度の脱イオン水(DIW)である。
【0055】
冷却液供給配管101は、冷却液供給流路を構成しており、冷却液供給バルブ103は、冷却液供給流路を開閉する冷却液供給流路開閉ユニットの一例である。冷却液排出配管104は、冷却液排出流路を構成しており、冷却液排出バルブ105は、冷却液排出流路を開閉する冷却液排出流路開閉ユニットの一例である。
冷却ユニット100によってシリカ収容部42の内部空間に冷却液を通過させることによって、複数の固形シリカ41を冷却することができる。そのため、エッチング液の通過によって温度が上昇した複数の固形シリカ41の温度を低下させることができる。
【0056】
たとえば、複数の固形シリカ41を事前に冷却しておけば、エッチング液が固形シリカユニット40を通る際に、エッチング液を急速に冷却できる。これにより、酸化シリコンを速やかに析出させることができる。
基板処理装置1は、シリカ収容部42の内部空間に窒素ガス等の不活性ガスを供給する不活性ガス供給ユニット110を備えていてもよい。不活性ガス供給ユニット110は、シリカ収容部42に接続された不活性ガス配管111と、不活性ガス配管111を開閉する不活性ガスバルブ112とを含む。
【0057】
不活性ガス配管111は、不活性ガス供給流路を構成しており、不活性ガスバルブ112は、不活性ガス供給流路を開閉する不活性ガス供給流路開閉ユニットの一例である。
不活性ガス供給ユニット110から供給される不活性ガスによって、シリカ収容部42内に残留する冷却液を押し出すことができる。これにより、複数の固形シリカを冷却液で冷却した後にシリカ収容部42の内部空間にエッチング液を通過させる際、エッチング液と冷却液とが混合されてエッチング液中に含有されるエッチング剤の濃度が低減することを抑制できる。冷却液排出配管104は、不活性ガス排出流路としても機能し、冷却液排出バルブ105は、不活性ガス排出流路を開閉する不活性ガス排出流路開閉ユニットとしても機能する。
【0058】
図2は、固形シリカユニット40の模式図である。
図2を参照して、固形シリカユニット40のシリカ収容部42は、たとえば、円筒状である。シリカ収容部42は、複数の固形シリカ41が充填された筒状空間43(内部空間)を有する。筒状空間43の中心軸線A1に沿う軸方向Xにおける一端には、上流排出配管11の下流端が接続されており、筒状空間43の軸方向Xにおける他端には、下流排出配管12の上流端が接続されている。
【0059】
固形シリカ41は、粒形状を有しており、たとえば、図2に示すように球体形状である。球体形状は、ビーズ形状ともいう。上流排出配管11から筒状空間43に流入したエッチング液ELは、図2の拡大図に示すように、隣り合う固形シリカ41同士の間の隙間Gを通って筒状空間43の一端から他端へ向かう。そのため、エッチング液ELは、シリカ収容部42内を通過する際に複数の固形シリカ41と接することによって効率的に冷却される。エッチング液ELが冷却されることによって、エッチング液ELにおける酸化シリコンの飽和濃度が低下する。そのため、エッチング液EL中に溶解されている酸化シリコンが析出して複数の固形シリカ41の表面に付着する。このように、エッチング液ELから速やかに酸化シリコンを析出させて、エッチング液EL中のシリコン濃度を良好に低減できる。
【0060】
エッチング液ELが固形シリカ41と接することによって局所的に冷却されて酸化シリコンが析出する。そのため、エッチング液ELを浴槽に貯留しその浴槽を冷却することによってエッチング液ELの全体を冷却する構成と比較して、一度に冷却するエッチング液ELの量を低減できるので、エッチング液ELから酸化シリコンを速やかに析出させることができる。
【0061】
さらに、エッチング液ELと複数の固形シリカ41との接触面積は、エッチング液ELを貯留する浴槽を冷却する構成におけるエッチング液ELと浴槽との接触面積と比較して大きくなる。詳しくは、固形シリカ41は複数設けられているため、複数の固形シリカ41の表面積の全体は、浴槽の側壁および底壁の表面積と比較して大きくしやすい。そのため、複数の固形シリカ41を用いることで、エッチング液ELを効率良く冷却できる。
【0062】
また、この実施形態とは異なり、析出した酸化シリコンとともにエッチング液ELをフィルタに通過させて酸化シリコンをエッチング液ELから除去する構成では、フィルタの目詰まりが起こりやすい。一方、固形シリカユニット40では、互いに隣接する固形シリカ41同士の間に充分に大きな隙間Gが形成されるため、固形シリカ41の表面に酸化シリコンが析出した際に、互いに隣接する固形シリカ41同士の間の隙間Gが塞がれることを抑制できる。
【0063】
固形シリカ41の粒径Rは、たとえば、1mm以上10mm以下である。固形シリカ41の粒径Rがこの範囲であれば、互いに隣接する固形シリカ41同士の間に適切なサイズの隙間Gが形成されやすい。固形シリカ41の表面に酸化シリコンが析出した際に、互いに隣接する固形シリカ41同士の間の隙間Gが塞がれることを一層抑制できる。固形シリカ41の粒径Rは、固形シリカ41を完全な球体と仮定した場合に、その直径に相当する便宜的な値である。固形シリカ41が球体形状である場合には、固形シリカ41の粒径Rは、球体形状の直径である。
【0064】
以上のように、固形シリカユニット40を用いることで、エッチング液EL中のシリコン濃度を良好に低減できる。
さらに、エッチング液ELをシリカ収容部42に通過させるだけでエッチング液ELを冷却することができる。すなわち、固形シリカユニット40とは別にエッチング液ELを冷却する装置を設けることなく、エッチング液ELを冷却することができる。したがって、固形シリカユニット40の大型化を抑制できる。
【0065】
また、上述したように、筒状空間43内において、軸方向Xの一端から他端に向かってエッチング液ELが流れる。そのため、筒状空間43の軸方向Xの各位置において、エッチング液ELの線速度の均一性を高めることができる。したがって、筒状空間43内の複数の固形シリカ41の全体に酸化シリコンを析出させやすい。
固形シリカ41の形状は、球体形状に限られず、ある程度の大きさの粒形状を有していればよい。固形シリカ41の形状は、たとえば、楕円体形状、多面体形状(図3Aを参照)またはペレット形状(図3Bを参照)等であってもよい。
【0066】
固形シリカ41が、多面体形状またはペレット形状であれば、各固形シリカ41が、角部41aを有する。多面体形状の場合、角部41aは、頂点および辺のことである。ペレット形状は、円筒面41bと、円筒面41bの軸方向における両端部に設けられた一対の球状面41cとを有する形状である。ペレット形状の場合、角部41aは、円筒面41bと球状面41cとの交線である。
【0067】
固形シリカ41がペレット形状または多面体形状である場合には、固形シリカ41の粒径Rは、固形シリカ41の内部において固形シリカ41の重心を通る直線の平均値である。
本願発明者らは、角部41aを有する粒形状の固形シリカ41を用いた場合には、角部41aの周囲においてエッチング液ELの液交換が起こりやすいため、固形シリカ41の表面において、角部41aおよびその周辺に酸化シリコンが析出しやすいことを見出した。そのため、角部41aを有する粒形状の固形シリカ41を用いることによって、エッチング液EL中に溶解されている酸化シリコンを効果的に析出させることができる。
【0068】
角部41aを有する固形シリカ41の形状は、多面体形状またはペレット形状に限られない。また、図3Bに示す多面体形状は、正六面体形状であるが、正六面体形状に限られず、たとえば、正八面体形状であってもよいし、正十二面体形状であってもよい。さらに、多面体形状は、正多面体形状に限られず、角部41aを有する多面体形状であればよい。
【0069】
コントローラ3は、マイクロコンピュータを備えており、所定のプログラムに従って、基板処理装置1に備えられた制御対象を制御する。より具体的には、コントローラ3は、プロセッサ(CPU)3aと、プログラムが格納されたメモリ3bとを含み、プロセッサ3aがプログラムを実行することによって、基板処理のための様々な制御処理を実行するように構成されている。
【0070】
特に、コントローラ3は、エッチング処理部2、温調ユニット21、濃度測定ユニット50、上流排出ポンプ13、下流排出ポンプ16、供給ポンプ31、新液ポンプ91、冷却液ポンプ102、第1上流排出バルブ14、第2上流排出バルブ15、下流排出バルブ17、供給バルブ32、帰還バルブ61、分岐バルブ71、廃液バルブ81、新液バルブ92、冷却液供給バルブ103、冷却液排出バルブ105、不活性ガスバルブ112等の動作を制御する。その他、コントローラ3は、後述する各変形例に係る基板処理装置1、および、各実施形態に係る基板処理装置1P、1Q、1Rに備えられる部材の動作も制御する。
【0071】
図5は、基板処理装置1の動作例を説明するためのフローチャートである。図6A図6Dは、基板処理装置1の動作例を説明するための模式図である。図6A図6Dでは、開いているバルブを黒色で示しており、閉じているバルブを白色で示している。
エッチング処理部2の浸漬処理槽4に収容されているエッチング液には、基板Wが浸漬されている。これにより、基板Wに対するエッチング処理が実行される(エッチング工程)。図6Aに示すように、たとえば、供給配管30からエッチング処理部2にエッチング液が供給される(供給工程)。供給工程が実行されている間に、浸漬処理槽4内の液量を調整するために、エッチング処理部2から上流排出配管11にエッチング液が排出される(排出工程)。排出工程において上流排出配管11に排出されたエッチング液は、固形シリカユニット40を通過する。詳しくは、複数の固形シリカを収容するシリカ収容部42を通過する(固形シリカ通過工程)。より詳しくは、エッチング液が、固形シリカユニット40のシリカ収容部42の内部空間に流入し、内部空間から下流排出配管12に流出する。エッチング液は、固形シリカユニット40を通過する際に、複数の固形シリカ41によって冷却される(エッチング液冷却工程)。
【0072】
固形シリカユニット40を通過したエッチング液は、測定位置12aに到達する。エッチング液が測定位置12aに達する前に、下流排出バルブ17が閉じられている。さらに、第1上流排出バルブ14が閉じられ、帰還バルブ61が開かれる(図5のステップS1)。これにより、測定位置12aに達したエッチング液は、帰還配管60を介して上流排出配管11に戻る(帰還工程)。測定位置12aに達したエッチング液中のシリコン濃度が濃度測定ユニット50によって測定される(図5のステップS2:濃度測定工程)。詳しくは、測定位置12aに達したエッチング液の一部が、測定配管51を介して測定器52に供給され、測定器52が、エッチング液中のシリコン濃度の測定を開始する。
【0073】
そして、コントローラ3は、エッチング液中のシリコン濃度の測定が完了したか否かを監視する(図5のステップS3:測定時間監視工程)。そのため、所定の測定時間が経過するまでの間(図5のステップS3:NO)、帰還配管60を介して上流排出配管11に戻ったエッチング液は、図6Bに示すように、上流排出配管11、固形シリカユニット40、下流排出配管12、および帰還配管60を循環する(第1循環工程)。
【0074】
所定の測定時間が経過した後(図5のステップS3:YES)、コントローラ3は、濃度測定ユニット50によって測定されたシリコン濃度(測定濃度)が所定の閾値以下であるか否かを判定する(図5のステップS4:判定工程)。
測定濃度が閾値以下であるとコントローラ3が判定した場合には(図5のステップS4:YES)、帰還バルブ61が閉じられ、その代わりに、下流排出バルブ17が開かれる(図5のステップS5)。これにより、図6Cに示すように、エッチング液の循環が停止され、エッチング液は、下流排出配管12を介してエッチング液タンク20に供給される。すなわち、シリコン濃度が充分に低下したエッチング液が回収される(回収工程)。
【0075】
測定濃度が閾値を超えているとコントローラ3が判定した場合には(図5のステップS4:NO)、第2上流排出バルブ15が閉じられ、その代わりに、分岐バルブ71が開かれる(図5のステップS6)。これにより、図6Dに示すように、固形シリカユニット40へのエッチング液の供給が停止され、エッチング液は、帰還配管60、上流排出配管11および分岐配管70内で循環する(第2循環工程)。
【0076】
このように、測定濃度が閾値を超えているとコントローラ3が判定した場合には、帰還工程も実行されている。そのため、判定工程の判定結果によって、回収工程と第2循環工程(帰還工程)とが選択的に実行される。
コントローラ3は、分岐バルブ71が開かれ第2上流排出バルブ15が閉じられてから所定の回復時間が経過したか否かを監視する(図5のステップS7:回復時間監視工程)。
【0077】
回復時間が経過するまでの間(図5のステップS7:NO)、冷却ユニット100によって固形シリカユニット40の複数の固形シリカ41が冷却される(固形シリカ冷却工程)。具体的には、冷却液供給バルブ103および冷却液排出バルブ105が開かれる。これにより、固形シリカユニット40のシリカ収容部42の内部空間に冷却液が供給される(冷却液供給工程)。シリカ収容部42の内部空間に供給された冷却液は、シリカ収容部42を通って、冷却液排出配管104から排出される(冷却液排出工程)。複数の固形シリカ41が冷却液によって冷却されることによって、固形シリカユニット40の除去能力が回復される。
【0078】
この実施形態とは異なり、回復時間が経過するまでの間に、シリカ収容部42内の複数の固形シリカ41新たな固形シリカ41に取り換えてもよいし、固形シリカユニット40の全体を新たな固形シリカユニット40に取り換えてもよい。
回復時間が経過すると(図5のステップS7:YES)、第2上流排出バルブ15が開かれ、その代わりに、分岐バルブ71が閉じられる(図5のステップS8)。これにより、図6Bに示すように、固形シリカユニット40へのエッチング液の供給が再開され、複数の固形シリカ41によるエッチング液の冷却が再開される(エッチング液再冷却工程)。
【0079】
固形シリカユニット40を再度通過したエッチング液は、測定位置12aに到達する。その後、ステップS2に戻り、再び、濃度測定ユニット50によって、エッチング液中のシリコン濃度の測定が開始される。エッチング液の再度の冷却によって、測定濃度が所定の閾値以下となった場合には(図5のステップS4:YES)、帰還バルブ61が閉じられ、その代わりに、下流排出バルブ17が開かれる(図5のステップS5)。これにより、図6Cに示すように、エッチング液の循環が停止され、エッチング液は、下流排出配管12を介してエッチング液タンク20に供給される。すなわち、シリコン濃度が充分に低下したエッチング液が回収される(回収工程)。
【0080】
第1実施形態によれば、固形シリカユニット40によって、エッチング液中のシリコン濃度を良好に低減できる。
第1実施形態によれば、下流排出バルブ17は、測定濃度が所定の閾値以下であれば、エッチング液をエッチング液タンク20に流入させ、測定濃度が閾値を超えていれば、エッチング液タンク20へのエッチング液の流入を停止させる。そのため、複数の固形シリカ41の除去能力が充分に高いときには、エッチング液がエッチング液タンク20に供給される。一方、複数の固形シリカ41の除去能力が低下して固形シリカユニット40を通過するエッチング液のシリコン濃度が閾値よりも高くなった場合には、エッチング液タンク20へのエッチング液の供給は停止される。そのため、シリコン濃度が充分に低下したエッチング液を選択的にエッチング液タンク20で回収することができる。
【0081】
第1実施形態によれば、帰還バルブ61は、測定濃度が閾値以下であれば、帰還配管60へのエッチング液の流入を停止させ、測定濃度が閾値を超えていれば、エッチング液を帰還配管60へ流入させる。さらに、分岐バルブ71は、測定濃度が閾値を超えていれば、帰還配管60によって帰還位置11aに戻ったエッチング液を、所定の回復時間の間、分岐配管70へ流入させる。
【0082】
そのため、測定濃度が閾値を超えていれば、帰還配管60を介して帰還位置11aに戻ったエッチング液は、所定の回復時間の間、分岐配管70に流入する。そのため、固形シリカユニット40へのエッチング液の流入が停止される。そのため、固形シリカユニット40へのエッチング液の供給を停止しつつエッチング液を分岐配管70および帰還配管60内で循環させることができる。
【0083】
第1実施形態によれば、冷却液供給バルブ103は、回復時間の間に、冷却液供給配管101に冷却液を流入させる。そのため、固形シリカユニット40へのエッチング液の流入が停止されている間に、シリカ収容部42に冷却液を供給することで複数の固形シリカ41を冷却できる。そのため、シリカ収容部42の外部から複数の固形シリカ41を冷却する場合と比較して、比較的内側に位置する固形シリカ41を速やかに冷却できる。
【0084】
図7は、基板処理装置1の別の動作例を説明するためのフローチャートである。図7に示す動作例が、図5に示す動作例と異なる点は、ステップS4において、測定濃度が所定の閾値を超えているとコントローラ3が判定した場合に(図7のステップS4:YES)、分岐バルブ71が開かれるのではなく、第2上流排出バルブ15が開かれたままで、再度、濃度測定ユニット50によってエッチング液中のシリコン濃度の測定が開始される(図7のステップS10)。これにより、ステップS3の測定時間の間に、図6Bに示すように、帰還配管60を介して上流排出配管11に戻ったエッチング液が固形シリカユニット40のシリカ収容部42を再び通過させて、エッチング液から酸化シリコンをさらに析出させてエッチング液中のシリコン濃度を低減させることができる。
【0085】
ステップS10の後、コントローラ3は、エッチング液中のシリコン濃度の測定が完了したか否かを監視する(図7のステップS11:測定時間監視工程)。そのため、所定の測定時間が経過するまでの間(図7のステップS11:NO)、帰還配管60を介して上流排出配管11に戻ったエッチング液は、図6Bに示すように、上流排出配管11、固形シリカユニット40、下流排出配管12、および帰還配管60の循環を継続する。
【0086】
所定の測定時間が経過した後(図7のステップS11:YES)、コントローラ3は、測定濃度が所定の閾値以下であるか否かを判定する(図7のステップS12:判定工程)。
測定濃度が閾値以下であるとコントローラ3が判定した場合には(図7のステップS12:YES)、帰還バルブ61が閉じられ、その代わりに、下流排出バルブ17が開かれる(図7のステップS5)。測定濃度が閾値を超えているとコントローラ3が判定した場合には(図7のステップS12:NO)、図5に示す動作例と同様に、ステップS6~ステップS8が実行された後、ステップS2に戻る。
【0087】
以下では、第1実施形態に係る基板処理装置1の変形例(第1変形例および第2変形例)について説明する。
図8は、基板処理装置1の第1変形例について説明するための模式図である。図8に示すように、供給配管30の下流端が、浸漬処理槽4の内槽5の下端部に接続されていてもよい。
【0088】
図9は、基板処理装置1の第2変形例について説明するための模式図である。図9に示すように、複数の固形シリカ41にフッ酸(フッ化水素酸)等の溶解液を供給して、析出により複数の固形シリカ41の表面に付着した酸化シリコンを、溶解させて除去する溶解液供給ユニット150が備えられていてもよい。溶解液供給ユニット150は、たとえば、シリカ収容部42に溶解液を供給する溶解液供給配管151と、溶解液供給配管151に介装された溶解液供給バルブ152とを含む。溶解液供給配管151の下流端は、冷却液供給配管101に分岐接続されていてもよい。溶解液供給配管151は、溶解液供給流路を構成しており、溶解液供給バルブ152は、溶解液供給流路を開閉する溶解液供給流路開閉ユニットの一例である。
【0089】
冷却液排出配管104は、シリカ収容部42から溶解液を排出する溶解液排出配管としても機能する。溶解液供給ユニット150は、溶解液を溶解液供給配管151に送り出すポンプ(図示せず)を含んでいてもよい。
たとえば、溶解液で酸化シリコンを複数の固形シリカ41の表面から除去した後、冷却液でシリカ収容部42から溶解液を置換しつつ、冷却液で複数の固形シリカ41を冷却してもよい。
【0090】
<第2実施形態>
次に、第2実施形態に係る基板処理装置1Pの構成および動作について説明する。図10は、基板処理装置1Pについて説明するための模式図である。図10において、前述の図1図9に示された構成と同等の構成については、図1等と同一の参照符号を付してその説明を省略する。
【0091】
第2実施形態に係る基板処理装置1Pが第1実施形態に係る基板処理装置1と主に異なる点は、分岐配管70の代わりに、下流排出配管12内のエッチング液を循環させる循環配管120が備えられている点である。循環配管120は、下流排出配管12の測定位置12aと、下流排出配管12において固形シリカユニット40よりも下流側でかつ測定位置12aおよび下流排出ポンプ16よりも上流側の上流位置12cとに接続されている。循環配管120には、循環バルブ121が介装されている。循環配管120は、循環流路を構成しており、循環バルブ121は、循環流路を開閉する循環流路開閉ユニットの一例である。
【0092】
基板処理装置1Pを用いれば、エッチング液を循環配管120へ流入させたり、エッチング液の循環配管120への流入を停止して帰還配管60に流入させたりすることができる。そのため、たとえば、以下のような動作を実行できる。測定濃度が所定の閾値以下であれば、帰還配管60および循環配管120へのエッチング液の流入が停止されるように循環流路を閉じられる。さらに、測定濃度が閾値を超えていれば、所定の回復時間の間エッチング液が循環配管120に流入した後、循環配管120内のエッチング液が帰還配管60に流入するように、循環流路が開かれる。このように循環流路を開閉することによって、固形シリカユニット40へのエッチング液の供給を停止しつつエッチング液を循環配管120内で循環させることができる。
【0093】
したがって、たとえば、シリカ収容部42内の複数の固形シリカ41を冷却したり、シリカ収容部42内の複数の固形シリカ41を、充分に冷却された固形シリカ41に交換したりすることができる。回復時間が経過した後は、循環配管120内のエッチング液が帰還配管60に流入される。そのため、回復時間が経過した後には、除去能力が回復した固形シリカユニット40に流入させることができる。これにより、エッチング液から酸化シリコンを除去することができる。
【0094】
<第3実施形態>
次に、第3実施形態に係る基板処理装置1Qの構成および動作について説明する。図11は、基板処理装置1Qについて説明するための模式図である。図11では、基板処理装置1Qにおいて固形シリカユニット40およびその周辺のみを図示している。図11において、前述の図1図10に示された構成と同等の構成については、図1等と同一の参照符号を付してその説明を省略する。
【0095】
基板処理装置1Qが第1実施形態に係る基板処理装置1と主に異なる点は、2つの固形シリカユニット40が排出配管10において、直列配置されている点である。
2つの固形シリカユニット40は、同様の構成を有している。各固形シリカユニット40には、冷却ユニット100が設けられている。図示しないが、各固形シリカユニット40には、不活性ガス供給ユニット110(図1を参照)が設けられていてもよい。
【0096】
排出配管10は、複数の固形シリカユニット40よりも上流側の上流排出配管11と、複数の固形シリカユニット40よりも下流側の下流排出配管12と、固形シリカユニット40同士を接続する中間排出配管18とを含む。上流排出配管11の下流端に接続されているシリカ収容部42を有する固形シリカユニット40を第1固形シリカユニット40Aとし、下流排出配管12の上流端に接続されているシリカ収容部42を有する固形シリカユニット40を第2固形シリカユニット40Bとする。
【0097】
中間排出配管18の上流端は、第1固形シリカユニット40Aのシリカ収容部42に接続されており、中間排出配管18の下流端は、第2固形シリカユニット40Bのシリカ収容部42に接続されている。
2つの固形シリカユニット40が直列配置されていれば、固形シリカユニット40一つ当たりの酸化シリコンの除去量を低減できる。したがって、単一の固形シリカユニット40が排出配管10に設けられている構成と比較して、固形シリカユニット40の除去能力を回復させる時期を遅らせることができる。
【0098】
第3実施形態とは異なり、3つ以上の固形シリカユニット40が直列配置されていてもよい。
<第4実施形態>
次に、第4実施形態に係る基板処理装置1Qの構成および動作について説明する。図12は、基板処理装置1Rについて説明するための模式図である。図12では、基板処理装置1Rにおいて固形シリカユニット40およびその周辺のみを図示している。図12において、前述の図1図11に示された構成と同等の構成については、図1等と同一の参照符号を付してその説明を省略する。
【0099】
基板処理装置1Rが第1実施形態に係る基板処理装置1と主に異なる点は、2つの固形シリカユニット40が排出配管10において、並列配置されている点である。
2つの固形シリカユニット40は、同様の構成を有している。各固形シリカユニット40には、冷却ユニット100が設けられている。図示しないが、各固形シリカユニット40には、不活性ガス供給ユニット110(図1を参照)が設けられていてもよい。
【0100】
排出配管10は、一方の固形シリカユニット40(第1固形シリカユニット40A)よりも上流側の上流排出配管11と、第1固形シリカユニット40Aよりも下流側の下流排出配管12と、上流排出配管11および下流排出配管12に分岐接続され、他方の固形シリカユニット40(第2固形シリカユニット40B)が設けられた分岐排出配管19とを含む。基板処理装置1Rは、分岐排出配管19において第2固形シリカユニット40Bよりも上流側に介装された分岐排出バルブ19vをさらに備えている。分岐排出配管19は、分岐排出流路を構成しており、分岐排出バルブ19vは、分岐排出流路を開閉する分岐排出流路開閉ユニットの一例である。
【0101】
上流排出配管11において分岐排出配管19が分岐接続される上流分岐接続位置19aは、分岐配管70の上流分岐位置11bよりも下流側に位置している。下流排出配管12において分岐排出配管19が分岐接続される下流分岐接続位置19bは、分岐配管70の下流分岐位置12bよりも上流側に位置している。
2つの固形シリカユニット40が並列配置されていれば、2つの固形シリカユニット40のうち少なくとも1つの固形シリカユニット40が充分な除去能力を有していれば、エッチング液からの酸化シリコンの除去を継続できる。図12に示す例では、第1固形シリカユニット40Aが使用可能な状態である。したがって、第1固形シリカユニット40Aを用いてエッチング液からの酸化シリコンの除去を継続しながら、第2固形シリカユニット40Bの除去能力を回復させることができる。図12では、複数の固形シリカ41を冷却ユニット100によって冷却することで、第2固形シリカユニット40Bの除去能力を回復させている状態が示されている。
【0102】
第4実施形態とは異なり、3つ以上の固形シリカユニット40が並列配置されていてもよい。また、第3実施形態と第4実施形態とを組み合わせてもよい。具体的には、複数の固形シリカユニット40が直接配置されて構成される固形シリカユニット群が、複数設けられており、複数の固形シリカユニット群が並列配置されていてもよい。
<その他の実施形態>
この発明は、以上に説明した実施形態に限定されるものではなく、さらに他の形態で実施することができる。
【0103】
たとえば、図13に示すように、固形シリカユニット40のシリカ収容部42が、内部に複数の固形シリカ41を収容しエッチング液を貯留する液貯留部44であってもよい。固形シリカユニット40は、複数の固形シリカ41を収容し、エッチング液を通過させる収容フィルタ45をさらに含んでいてもよい。収容フィルタ45は、固形シリカ41が通過できない程度の大きさ(たとえば、直径1mm以下の大きさ)の複数の孔が形成されていることが好ましい。
【0104】
図13に示すようにシリカ収容部42が液貯留部44であれば、エッチング処理部2から上流排出配管11に排出されるエッチング液を液貯留部44に貯留しつつ、複数の固形シリカ41によってエッチング液から酸化シリコンを析出させることができる。
また、図14に示すように、エッチング処理部2が、エッチング液を基板Wに対して吐出して基板Wを1枚ずつエッチングする枚葉処理部であってもよい。この場合、エッチング処理部2は、基板Wを水平に保持しながら基板Wの中央部を通る鉛直軸線A2まわりに基板Wを回転させるスピンチャック130と、スピンチャック130に保持されている状態の基板Wの上面に向けてエッチング液を吐出するエッチング液ノズル131と、基板Wから飛散するエッチング液を受け止める処理カップ132とを含む。図示しないが、エッチング処理部2には、基板Wの上面からエッチング液を洗い流すリンス液を、基板Wの上面に向けて吐出するリンス液ノズルが設けられていてもよい。
【0105】
エッチング液ノズル131には、供給配管30の下流端が接続されており、処理カップ132の下端部には、排出配管10の上流排出配管11の上流端が接続されている。
以下の点を除いて、エッチング処理部2が枚葉処理部であっても、エッチング処理部2が浸漬処理部である場合と同様の効果を奏する。
エッチング処理部2が枚葉処理部である場合と、エッチング処理部2が浸漬処理部である場合とでは、基板Wの表面付近におけるエッチング液の置換効率が異なる。図15は、エッチング処理中の基板Wの表面付近の様子を説明するための模式図である。
【0106】
エッチング処理部2が枚葉処理部である場合、基板Wの上面(上側の主面)に供給されたエッチング液の流速は比較的速い。そのため、基板Wの上面に形成された凹凸パターン200の凹部201内のエッチング液が、基板Wの上面に新たに供給された新たなエッチング液によって比較的置換されやすい。凹部201は、構造物202同士の間の隙間であってもよし、構造物202に形成された穴であってもよい。
【0107】
凹凸パターン200は、たとえば、酸化シリコン層203および窒化シリコン層204によって形成されている。具体的には、酸化シリコン層203に形成された複数のトレンチ205内に窒化シリコン層204が形成されている。エッチング処理は、このトレンチ205内の窒化シリコン層204をエッチングするために実行されることがある。枚葉処理部を用いて基板Wに対してエッチング処理を実行すれば、トレンチ205内のエッチング液を新たなエッチング液で速やかに置換することで、窒化シリコン層204を速やかにエッチングすることができる。
【0108】
一方、エッチング処理部2が浸漬処理部である場合、基板Wの周囲のエッチング液の流速が比較的遅い。そのため、基板Wの上面に形成された凹凸パターン200の凹部201内のエッチング液が、凹部201外のエッチング液と交換されにくい。したがって、枚葉処理部と比較して、窒化シリコン層204のエッチングに多くの時間(たとえば、3時間)を要する。そのため、エッチング液の消費量も枚葉処理部と比較して多い。
【0109】
そのため、エッチング処理部2が浸漬処理部である場合には、上述の実施形態のように、エッチング液から効率よく酸化シリコンを除去して、エッチング液を再利用することで、エッチング液の消費量を大幅に削減することができる。
上述の実施形態とは異なり、濃度測定ユニット50が設けられていない構成であってもよい。その場合、固形シリカユニット40の除去能力の劣化度合は、固形シリカユニット40の稼働時間に基づいて判断してもよい。具体的には、冷却ユニット100による前回の冷却後、経過した時間に基づいて、固形シリカユニット40の除去能力の劣化度合を判断してもよい。複数の固形シリカ41が一度も冷却ユニット100によって冷却されていない場合には、複数の固形シリカ41の使用開始から経過した時間に基づいて固形シリカユニット40の除去能力の劣化度合を判断してもよい。
【0110】
また、濃度測定ユニット50による測定時間が極めて短く、測定位置12aに達したエッチング液中の測定濃度が閾値以下であるか否かをコントローラ3が即座に判定できる場合には、測定時間が経過するまでの間、エッチング液を、帰還配管60に流入させる必要がない。この場合、測定位置12aに達したエッチング液中の測定濃度が閾値以下である場合には、そのエッチング液は、帰還配管60に流入することなくエッチング液タンク20に送られる。
【0111】
また、濃度測定ユニット50は、たとえば、ICP発光分光分析装置(ICP-AES:Inductively coupled Plasma Atomic Emission Spectroscopy)であってもよい。濃度測定ユニット50が、たとえば、ICP発光分光分析装置である場合、ICP発光分光分析装置が排出配管10に設けられておらず、基板処理装置1とは別に設けられていることが一般的である。この場合、排出配管10内のエッチング液をサンプリングして、基板処理装置1とは別に設けられたICP発光分光分析装置を用いてエッチング液中のシリコン濃度を測定する。しかしながら、ICP発光分光分析装置が排出配管10に設けられた構成であってもよい。
【0112】
また、帰還配管60の上流端および循環配管120の上流端は、測定位置12aに接続されている必要はなく、下流排出配管12において、測定位置12aよりも下流側で、かつ、下流排出バルブ17よりも上流側の位置に接続されていてもよい。
図8および図9に示す各変形例は、第2実施形態~第4実施形態にも適用することができる。
【0113】
その他、特許請求の範囲に記載した範囲で種々の変更を行うことができる。
【符号の説明】
【0114】
1 :基板処理装置
1 :基板処理装置
1P :基板処理装置
1Q :基板処理装置
1R :基板処理装置
2 :エッチング処理部
10 :排出配管(排出流路)
11 :上流排出配管(上流排出流路)
12 :下流排出配管(下流排出流路)
12a :測定位置
17 :下流排出バルブ(下流排出流路開閉ユニット)
20 :エッチング液タンク
30 :供給配管(供給流路)
40 :固形シリカユニット
40A :第1固形シリカユニット
40B :第2固形シリカユニット
41 :固形シリカ
41a :角部
42 :シリカ収容部
43 :筒状空間
44 :液貯留部
50 :濃度測定ユニット
60 :帰還配管(帰還流路)
61 :帰還バルブ(帰還流路開閉バルブ)
70 :分岐配管(分岐流路)
71 :分岐バルブ(分岐流路開閉バルブ)
100 :冷却ユニット
101 :冷却液供給配管(冷却液供給流路)
104 :冷却液排出配管(冷却液排出流路)
120 :循環配管(循環流路)
121 :循環バルブ(循環流路開閉ユニット)
EL :エッチング液
W :基板
X :軸方向
図1
図2
図3A
図3B
図4
図5
図6A
図6B
図6C
図6D
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15