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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-14
(45)【発行日】2024-11-22
(54)【発明の名称】入力支援装置、制御方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06F 3/041 20060101AFI20241115BHJP
   G06F 3/044 20060101ALI20241115BHJP
   G06F 3/0488 20220101ALI20241115BHJP
   B60R 11/02 20060101ALN20241115BHJP
【FI】
G06F3/041 530
G06F3/041 602
G06F3/044 Z
G06F3/0488
B60R11/02 Z
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2021043078
(22)【出願日】2021-03-17
(65)【公開番号】P2022142849
(43)【公開日】2022-10-03
【審査請求日】2023-11-28
(73)【特許権者】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100165179
【弁理士】
【氏名又は名称】田▲崎▼ 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100126664
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 慎吾
(74)【代理人】
【識別番号】100154852
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 太一
(74)【代理人】
【識別番号】100194087
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 伸一
(72)【発明者】
【氏名】小山 啓一郎
(72)【発明者】
【氏名】岩佐 達也
(72)【発明者】
【氏名】奥山 晴子
(72)【発明者】
【氏名】尾幡 創士
【審査官】渡辺 慶人
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-129689(JP,A)
【文献】特開2015-115002(JP,A)
【文献】特開2014-085754(JP,A)
【文献】特開2012-194810(JP,A)
【文献】特表2013-538397(JP,A)
【文献】特開2010-262460(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0032979(US,A1)
【文献】韓国登録特許第10-1433546(KR,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 3/01
3/03 - 3/04895
B60R 9/00 - 11/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
タッチパネルの近傍に備えられ、前記タッチパネルに対してタッチ操作を行うユーザの手の接触を検知する接触センサから圧力分布を示すセンサ情報を取得する取得部と、
前記圧力分布の全体形状の長手方向に基づいて、前記タッチパネルにタッチしようとする指の向きを予測する予測部と、
前記予測部によって予測された前記指の向きに応じて前記タッチパネルにおける入力受付状態を変更させることにより、前記タッチ操作の入力が受け付けられやすくするように制御する状態制御部と、
を備える入力支援装置。
【請求項2】
前記状態制御部は、前記タッチパネルの画面に対する前記指の向きが所定の角度以下である場合に、前記入力受付状態を変更させる
請求項に記載の入力支援装置。
【請求項3】
前記状態制御部は、前記画面に対する前記指の向きが所定の角度以下である場合に、前記タッチパネルの感度をより高くさせる
請求項に記載の入力支援装置。
【請求項4】
前記状態制御部は、前記画面に対する前記指の向きが所定の角度以下である場合に、前記画面の向きを変更させる
請求項に記載の入力支援装置。
【請求項5】
前記接触センサは、前記ユーザの手の接触による圧力を検知する圧力センサであり、
前記予測部は、前記圧力の圧力分布に基づいて前記指の向きを予測する
請求項2からのうちいずれか一項に記載の入力支援装置。
【請求項6】
前記予測部は、前記圧力分布に変化があった場合、前記圧力分布の重心位置の移動方向に基づいて前記指の向きを予測する
請求項に記載の入力支援装置。
【請求項7】
前記接触センサは、前記タッチパネルの下端から前記タッチパネルの手前方向に上向きで設置される
請求項1からのうちいずれか一項に記載の入力支援装置。
【請求項8】
コンピュータが、
タッチパネルの近傍に備えられ、前記タッチパネルに対してタッチ操作を行うユーザの手の接触を検知する接触センサから圧力分布を示すセンサ情報を取得し、
前記圧力分布の全体形状の長手方向に基づいて、前記タッチパネルにタッチしようとする指の向きを予測し、
予測された前記指の向きに応じて前記タッチパネルにおける入力受付状態を変更させることにより、前記タッチ操作の入力が受け付けられやすくするように制御する
制御方法。
【請求項9】
コンピュータに、
タッチパネルの近傍に備えられ、前記タッチパネルに対してタッチ操作を行うユーザの手の接触を検知する接触センサから圧力分布を示すセンサ情報を取得させ、
前記圧力分布の全体形状の長手方向に基づいて、前記タッチパネルにタッチしようとする指の向きを予測させ、
予測された前記指の向きに応じて前記タッチパネルにおける入力受付状態を変更させることにより、前記タッチ操作の入力が受け付けられやすくするように制御させる
プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、入力支援装置、制御方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
昨今、例えば操作ボタンを示す画像又はアイコン画像などの、入力操作を受け付ける領域を表す画像(以下、総称して「操作ボタン画像」という。)が画面上に表示され、ユーザが操作ボタン画像の表示領域をタッチすることで入力操作を行う入出力機器であるタッチパネルが広く普及している。このようなタッチパネルが例えば車両などの移動体に搭載されている場合には、当該移動体の挙動に伴って発生する加速度や振動などによって、ユーザが所望のタッチ操作を行うことができないことがある。この場合、操作ミスが生じうる。
【0003】
従来、近接センサを用いてタッチパネルに近づけられたユーザの手を検出し、検出されたときにタッチパネルの感度をより高くする技術がある(例えば、特許文献1参照)。これにより、ユーザがタッチ操作を行うときにはタッチパネルへの入力操作が受け付けられ易くなり、ユーザがタッチ操作を行わないときには当該ユーザの手を誤検知することが生じ難くなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2015-84194号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記の従来技術では、近接センサによってユーザの手が検出されればタッチパネルの感度を高くすることができるが、例えば移動体の挙動などに伴って加速度や振動などが生じる外乱が発生しているときには、手の検出自体が困難になることがある。また、外乱の発生時には、ユーザは必ずしも適切な姿勢でタッチ操作を行うことができるとは限らない。適切な姿勢でないときには、例えばユーザは、指の腹の部分を用いて十分な接触を伴うタッチ操作を行うことができずに、接触面積が狭い指先の側面部分や爪などによる不十分な接触のタッチ操作を強いられる場合がある。また、タッチ位置が所望の位置からずれてしまう場合もある。このような場合、従来技術では、入力操作は正しく受け付けられず、ユーザの操作ミスを発生させる可能性があった。
【0006】
本発明は、このような事情を考慮してなされたものであり、ユーザの操作ミスの発生をより低減させることができる入力支援装置、制御方法及びプログラムを提供することを目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明に係る入力支援装置、制御方法及びプログラムは、以下の構成を採用した。
(1):この発明の一態様に係る入力支援装置は、タッチパネルの近傍に備えられ、前記タッチパネルに対してタッチ操作を行うユーザの手の接触を検知する接触センサからセンサ情報を取得する取得部と、前記センサ情報に基づいて、前記タッチパネルにおける前記タッチ操作の入力受付状態を変更させる状態制御部と、を備える入力支援装置である。
【0008】
(2):上記(1)の態様において、前記センサ情報に基づいて前記タッチ操作に用いられる指の移動方向を予測する予測部をさらに備え、前記状態制御部は、前記予測部によって予測された前記指の移動方向に応じて前記入力受付状態を変更させることにより前記タッチ操作の入力が受け付けられやすくように制御させるものである。
【0009】
(3):上記(2)の態様において、前記状態制御部は、前記タッチパネルの画面に対する前記指の移動方向の角度が所定の角度以下である場合に、前記入力受付状態を変更させるものである。
【0010】
(4):上記(3)の態様において、前記状態制御部は、前記画面に対する前記指の移動方向の角度が所定の角度以下である場合に、前記タッチパネルの感度をより高くさせるものである。
【0011】
(5):上記(3)の態様において、前記状態制御部は、前記画面に対する前記指の移動方向の角度が所定の角度以下である場合に、前記画面の向きを変更させるものである。
【0012】
(6):上記(2)から(5)のうちいずれかの態様において、前記接触センサは、前記ユーザの手の接触による圧力を検知する圧力センサであり、前記予測部は、前記圧力の圧力分布に基づいて前記指の移動方向を予測するものである。
【0013】
(7):上記(6)の態様において、前記予測部は、前記圧力分布に変化があった場合、前記圧力分布の重心位置の移動方向に基づいて前記指の移動方向を予測するものである。
【0014】
(8):上記(1)から(7)のうちいずれかの態様において、前記接触センサは、前記タッチパネルの下端から前記タッチパネルの手前方向に上向きで設置されるものである。
【0015】
(9):この発明の一態様に係る制御方法は、コンピュータが、タッチパネルの近傍に備えられ、前記タッチパネルに対してタッチ操作を行うユーザの手の接触を検知する接触センサからセンサ情報を取得し、前記センサ情報に基づいて、前記タッチパネルにおける前記タッチ操作の入力受付状態を変更させる制御方法である。
【0016】
(10):この発明の一態様に係るプログラムは、コンピュータに、タッチパネルの近傍に備えられ、前記タッチパネルに対してタッチ操作を行うユーザの手の接触を検知する接触センサからセンサ情報を取得させ、前記センサ情報に基づいて、前記タッチパネルにおける前記タッチ操作の入力受付状態を変更させるプログラムである。
【発明の効果】
【0017】
(1)~(10)の態様によれば、ユーザの操作ミスの発生をより低減させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の第1の実施形態に係る入力支援システム1の全体構成を示すブロック図である。
図2】本発明の第1の実施形態に係るタッチパネル100及び支持台110の一構成例の斜視図である。
図3】本発明の第1の実施形態に係るタッチパネル100に対するユーザのタッチ操作の様子を表す模式図である。
図4】本発明の第1の実施形態に係る圧力センサ111にかけられた圧力の圧力分布の一例を示す図である。
図5】ユーザが適切な姿勢でない場合におけるタッチ操作の様子を表す模式図である。
図6】ユーザが適切な姿勢である場合におけるタッチ操作の様子を表す模式図である。
図7】本発明の第1の実施形態に係る圧力センサ111にかけられた圧力の圧力分布の一例を示す図である。
図8】本発明の第1の実施形態に係る入力支援装置200の動作を示すフローチャートである。
図9】本発明の第2の実施形態に係る入力支援システム1aの全体構成を示すブロック図である。
図10】本発明の第2の実施形態に係るタッチパネル100に対するユーザのタッチ操作の様子を表す模式図である。
図11】本発明の第2の実施形態に係る駆動制御部216aによるタッチパネル100の向きの変更の一例を示す図である。
図12】本発明の第2の実施形態に係る駆動制御部216aによるタッチパネル100の向きの変更の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面を参照し、本発明の入力支援装置、制御方法及びプログラムの実施形態について説明する。
【0020】
<第1の実施形態>
以下、本発明の第1の実施形態に係る入力支援装置200について説明する。入力支援装置200は、移動体に搭載されたタッチパネルを操作するユーザの手を支持する支持台に備えられた圧力センサから得られる、当該ユーザの手からの圧力に基づいて、タッチパネルにタッチしようとするユーザの指の移動方向を予測し、予測結果に応じてタッチパネルの感度を変化させる情報処理装置である。
【0021】
一般的に、外乱が発生しているときには、ユーザは必ずしも適切な姿勢でタッチ操作を行うことができるとは限らない。適切な姿勢でないときには、ユーザは、十分な接触を伴うタッチ操作を行うことができず、接触面積が狭い指先の側面部分などでのタッチ操作を強いられることがある。なお、ここでいう外乱とは、例えばタッチパネルを操作するユーザに対して働く重力以外の力を生じさせる事象である。外乱とは、例えば遠心力を生じさせる移動体の旋回動作、路面の凹凸によって生じる上下方向の振動、及び上下方向の力を生じさせる移動体の坂道の走行などである。これらの外乱の影響が大きいほど、タッチパネルに対して十分な接触を伴うタッチ操作を行うことがより難しくなる。本実施形態における入力支援装置200は、ユーザが十分な接触を伴うタッチ操作ができないと予測される場合にタッチパネル感度を基準値より高くすることで、タッチ操作の入力が受け付けられ易くなるように制御する。
【0022】
[入力支援システムの構成]
以下、上記の入力支援装置200を有する入力支援システム1の構成について説明する。図1は、本発明の第1の実施形態に係る入力支援システム1の全体構成を示すブロック図である。
【0023】
本実施形態の入力支援システム1は、車両(不図示)に搭載されたシステムである。なお、入力支援システム1が搭載される車両は、例えば、電気自動車、或いは、ディーゼルエンジン又はガソリンエンジンなどの内燃機関が搭載された車両である。なお、入力支援システム1が搭載される車両は、内燃機関と駆動用モータに供給される走行用の電力を蓄積する二次電池とが搭載されたハイブリッド車両、又は走行用の電力を駆動用モータに供給する燃料電池が搭載された車両であってもよい。なお、入力支援システム1は、例えば飛行機又は船舶などの、車両以外の移動体に搭載されてもよい。
【0024】
入力支援システム1は、タッチパネル100と、支持台110と、入力支援装置200と、を有する。なお、本実施形態では、タッチパネル100と、支持台110と、入力支援装置200とが、それぞれ別個の装置又は部材であるものとするが、これらの構成要素の一部又は全部が一体の装置として構成されていてもよい。
【0025】
タッチパネル100は、各種情報を表示し、ユーザのタッチ操作による情報の入力を受け付ける入出力部である。また、タッチパネル100は、タッチ操作による入力操作を検出する感度を変更することができる。タッチパネル100は、LCD(Liquid Crystal Display;液晶ディスプレイ)パネル101と、タッチセンサ102と、感度変更部103を備える。
【0026】
LCDパネル101は、各種情報を表示する。タッチセンサ102は、LCDパネル101の表示面上に重ねて配置される。タッチセンサ102は、ユーザのタッチ操作による情報の入力を受け付ける。なお、本実施形態では、タッチパネル100として、感圧式のタッチパネル、又は静電式のタッチパネル等の各種方式のタッチパネルを用いることができる。タッチセンサ102は、タッチ位置(座標)及び範囲、タッチ位置に対応する検知範囲を識別する識別情報、及びタッチ位置における静電容量変化又は圧力変化などの値などを示す信号を、制御部210へ出力する。
【0027】
なお、タッチセンサ102は、検知範囲がタッチされている間は連続的に制御部210へ信号を出力するようにしてもよい。これにより、ユーザによるタッチ操作が、通常のタップであるか、又は長押しであるかの判別が可能になる。また、タッチセンサ102は、検知範囲がタッチされている間は連続的に、タッチされた位置(座標)を示す信号を制御部210へ出力するようにしてもよい。これにより、ユーザによるタッチ操作が、ドラッグ、又はフリックであることの判別が可能になる。さらに、タッチセンサ102は、同時に2つの検知範囲がタッチされていることを検知して、検知範囲がタッチされている間は連続的に、2箇所のタッチされた位置(座標)を示す信号を制御部210へ出力するようにしてもよい。これにより、ユーザによるタッチ操作が、ピンチイン、又はピンチアウトであることの判別が可能になる。
【0028】
感度変更部103は、タッチセンサ102が接触を感知するときの感度を変更させる。感度変更部103は、例えば、高感度と通常感度との切り替えを行う。なお、通常感度とは、所定の基準値に基づく感度であり、高感度とは、通常感度より相対的に高い感度である。なお、感度変更部103は、3段階以上の多段階に感度を変更することができる構成であってもよい。
【0029】
なお、タッチパネル100は、例えば、車両に搭載されたナビゲーションシステム、オーディオシステム、パーソナルアシスタントシステム、ドライブレコーダーシステム、駐車支援システム、運転制御システム、及び車両に関する各種設定画面などの入出力部として機能する。
【0030】
なお、タッチパネル100は、例えば車両内のダッシュボードの中央部に設置される。タッチパネル100の表示面は、例えば車両の運転手にとって操作がし易いように、車両の後部方向から少し運転手側に傾けて設置されてもよい。
【0031】
なお、タッチパネル100の設置位置は、ダッシュボードに限られるものではなく、例えば、運転席又は助手席などの背面に設置されてもよい。なお、タッチパネル100は、スマートフォン又はタブレット型端末などの携帯型端末に搭載されたタッチパネルが代用されてもよい。この場合、例えば、携帯型端末の台座が車両内に設けられ、当該台座に設置された携帯型端末が、据え置き型のタッチパネル100と同様に機能する。
【0032】
支持台110は、タッチパネル100に対してタッチ操作を行うユーザの手を支持する台である。支持台110がアームレストのようにユーザの手を支持することによって、ユーザはタッチ操作を容易に行うことができる。
【0033】
例えば、支持台110は、タッチパネル100の下端から手前方向(表示面が向く方向)に向かって伸びるように配置される板状の部材である。図2に、本発明の第1の実施形態に係るタッチパネル100及び支持台110の一構成例の斜視図を示す。図2に示されるように、支持台110の上部表面の全体を覆うように、圧力センサ111が上向きに配置されている。なお、本実施形態の入力支援システム1では、タッチパネル100と支持台110とが一体化されている構成であるものとするが、これらが分離されている構成であってもよい。
【0034】
例えば、ユーザは、タッチパネル100に人差し指でタッチする場合、薬指又は中指などの手の他の部位を支持台110に乗せることができる。支持台110は、例えば、タッチパネル100の下端から画面手前方向に10~15[mm」程度の幅で設置された台である。そのため、ユーザは、支持台110に指を乗せる場合には、少なくとも指先から第1関節までの部分を乗せることが可能である。
【0035】
支持台110に備えられた圧力センサ111は、支持台110に乗せられた手から受けた圧力と、圧力が生じた位置とを計測し、圧力分布を生成することができる。圧力センサ111は、生成された圧力分布を示す情報を、入力支援装置200へ出力する。圧力センサ111は、例えば、100[Hz]のサンプリング間隔で圧力を計測し、その都度、圧力分布を示す信号を入力支援装置200へ出力する。
【0036】
入力支援装置200は、制御部210と、記憶部220とを備える。制御部210は、入力支援システム1が有する、タッチパネル100、圧力センサ111、及び記憶部220などの各構成要素の動作を制御する。制御部210は、描画処理部211と、検知範囲設定部212と、操作検知処理部213と、操作方向予測部214と、感度制御部215と、を備える。
【0037】
制御部210が備えるこれらの構成要素は、例えば、CPU(Central Processing Unit)などのハードウェアプロセッサがプログラム(ソフトウェア)を実行することにより実現される。これらの構成要素のうち一部又は全部は、LSI(Large Scale Integration)やASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field-Programmable Gate Array)、GPU(Graphics Processing Unit)などのハードウェア(回路部;circuitryを含む)によって実現されてもよいし、ソフトウェアとハードウェアの協働によって実現されてもよい。プログラムは、予めHDD(Hard Disk Drive)やフラッシュメモリなどの記憶装置(非一過性の記憶媒体を備える記憶装置)に格納されていてもよいし、DVDやCD-ROMなどの着脱可能な記憶媒体(非一過性の記憶媒体)に格納されており、記憶媒体がドライブ装置に装着されることでインストールされてもよい。
【0038】
記憶部220は、制御部210が入力支援システム1の制御に使用する制御プログラム及びアプリケーションプログラム等の各種プログラムを記憶する。また、記憶部220は、上記の制御プログラム及びアプリケーションプログラムなどによって使用される各種データを記憶する。記憶部220は、例えば、HDDやフラッシュメモリなどの記憶媒体である。
【0039】
以下、制御部の各構成要素について説明する。
【0040】
描画処理部211は、LCDパネル101による画像の描画処理を制御する。描画処理部211は、例えば、ユーザによるタッチ操作の入力を受け付ける画面(以下、「タッチ操作入力画面」という。)を示す画像をLCDパネル101に表示させる。また、描画処理部211は、例えば、タッチ操作入力画面内の所定の位置に操作ボタン画像を表示させる。
【0041】
検知範囲設定部212は、タッチセンサ102における、ユーザのタッチ操作の検知範囲を制御する。ここでいう検知範囲とは、ユーザにタッチされたことを検知する範囲である。検知範囲設定部212は、LCDパネル101上の操作ボタン画像の表示領域に応じて検知範囲を設定する。検知範囲設定部212は、検知範囲を、操作ボタン画像の表示領域を包含するように、当該表示領域より一回り広く設定するようにしてもよい。これにより、ユーザが所望の操作ボタン画像の表示領域を正確にタッチすることができなくても、少しのズレであれば入力操作が受け付けられる。
【0042】
操作検知処理部213は、タッチセンサ102から出力された信号を取得する。当該信号は、タッチされた領域を示す情報を含む。タッチされた領域を示す情報とは、例えば、タッチ位置及び示す座標、接触範囲を示す座標群、各検知範囲を識別する識別情報等である。操作検知処理部213は、取得された情報に基づいて、タッチされた検知範囲、当該検知範囲の位置、及び当該検知範囲の形状などを特定することができる。また、タッチセンサ102から出力された信号は、タッチされた領域における、静電容量変化、又は圧力変化を示す情報を含む。
【0043】
操作検知処理部213は、ユーザによるタッチ操作の検知結果を示す情報を各種システムへ出力する。ここでいう各種システムとは、例えば、車両に搭載されたナビゲーションシステム、オーディオシステム、パーソナルアシスタントシステム、ドライブレコーダーシステム、駐車支援システム、運転制御システム、及び車両に関する各種設定画面などである。
【0044】
なお、操作検知処理部213は、連続的に信号が取得された時間に応じて、ユーザによるタッチ操作が、通常のタップであるか、又は長押しであるかを判別してもよい。また、操作検知処理部213は、連続的に取得される信号にそれぞれ含まれる情報に基づいて、タッチ位置(座標)の変化を検知し、ユーザによるタッチ操作が、ドラッグ、フリック、ピンチイン、又はピンチアウトであることを判別してもよい。
【0045】
操作方向予測部214は、圧力センサ111から出力された信号を取得する。操作方向予測部214は、取得された信号に基づく圧力分布、及び当該圧力分布の時系列変化に基づいて、タッチパネル100にタッチしようとするユーザの指の移動方向を予測する。なお、移動方向の予測処理、及びタッチパネルの感度を変更させる感度変更処理の一例については、後に詳しく説明する。操作方向予測部214は、予測されたユーザの指の移動方向を示す情報を感度制御部215へ出力する。
【0046】
感度制御部215は、操作方向予測部214から出力された情報を取得する。感度制御部215は、取得された情報に基づいて、ユーザが十分な接触を伴うタッチ操作ができないと予測される場合に、タッチ操作の入力が受け付けられ易くなるように制御する。具体的には、感度制御部215は、タッチパネル100の表示面と、取得された情報に基づくユーザの指の移動方向とがなす角度が所定の角度以下である場合に、タッチセンサ102の感度を基準値より高くするように感度変更部103を制御する。
【0047】
[移動方向の予測処理と感度変更処理]
以下、操作方向予測部214によるユーザの指の移動方向の予測処理と、感度制御部215によるタッチパネル100の感度を変更させるための感度変更処理について具体例を挙げて説明する。
【0048】
図3は、ユーザのタッチ操作の様子を表す模式図である。図3に示す例では、点線の円内に示されるように、ユーザは左手の薬指を支持台110に乗せて、これを支えに、タッチパネル100に対するタッチ操作を人差し指で行っている。ユーザは、例えばタッチパネル100を搭載した車両に対して加速度や振動などが生じる外乱時であっても、支持台110に手を乗せることで、より容易にタッチ操作を行うことができる。なお、ここでは一例として、ユーザが、薬指を支持台110に載せて、人差し指でタッチ操作を行う場合について説明するが、ユーザがどの指を用いて操作するかは任意である。
【0049】
支持台110に備えられた圧力センサ111は、ユーザの薬指から受ける圧力を計測し、圧力分布を生成する。操作方向予測部214は、圧力センサ111から出力された信号を取得し、取得された信号に基づく圧力分布、及び当該圧力分布の時系列変化に基づいて、タッチパネル100にタッチしようとするユーザの人差し指の移動方向を予測する。
【0050】
図4は、図3に示される左手の薬指によって圧力センサ111にかけられた圧力の圧力分布の一例を示す図である。操作方向予測部214は、例えば、圧力分布の全体形状の長手方向(図4における方向D1)が、支持台110に乗せられた薬指の向きであると予測する。また、操作方向予測部214は、支持台110に乗せられた薬指の向きと、タッチパネル100に対してタッチ操作を行う人差し指の向きとは同一であるものとみなす。すなわち、操作方向予測部214は、図4における方向D1が、タッチ操作を行おうとするユーザの人差し指の向きであると予測する。なお、図4において、×印は、圧力分布の重心位置G1を表す。
【0051】
一般的に、ユーザが適切な姿勢でタッチ操作を行うことができない場合には、図5に示されるように、接触面積が狭い指先の側面部分や爪などによる不十分な接触のタッチ操作を強いられることがある。この場合、タッチパネル100の画面と、指の移動方向とがなす角度は相対的に小さく、接触範囲の形状は細長い形となり、接触が検知されにくくなる。そのため、この場合、タッチ操作の入力が受け付けられ易くするためには、タッチパネル100の感度をより高くする必要がある。一方、ユーザが適切な姿勢でタッチ操作を行うことができる場合には、例えば図6に示されるように、指の腹の部分を用いて十分な接触を伴うタッチ操作を行うことができる。この場合、タッチパネル100の画面と、指の移動方向とがなす角度は相対的に大きく、接触範囲の形状は幅広い形となり、接触が検知されやすい。
【0052】
感度制御部215は、操作方向予測部214から取得した情報に基づくユーザの指の移動方向に基づいて、タッチパネル100の画面と、指の移動方向とがなす角度を特定する。感度制御部215は、特定された角度が所定の角度以下である場合、タッチセンサ102の感度を、ユーザが触ろうとしている方向を基準として検知閾値の分布を再設定することによって、基準値より感度を高くするように感度変更部103を制御する。すなわち、感度制御部215は、ユーザの指の移動方向に対向する方向を基準方向として、当該基準方向に交差する方向に向いた仮想的なタッチパネルの角度を設定する。感度制御部215は、当該仮想的なタッチパネルから基準方向に沿った方向に検知精度(感度)を上げるように検知閾値の分布を再設定する制御を行う。そのため、例えばユーザの指が、実際のタッチパネル100に正対する角度より右側に傾斜した角度から進行する場合には、タッチパネル100のより左側の位置における検知に必要な静電容量は相対的に低くなり、タッチパネル100のより右側の位置における検知に必要な静電容量は相対的に高くなる。
【0053】
さらに、本実施形態の入力支援システム1は、支持台110に乗せられたユーザの薬指によって圧力センサ111にかけられた圧力の圧力分布に変化が生じた場合、当該変化に応じてタッチセンサ102の感度を制御する。圧力分布は、例えばユーザが、支持台110に手を乗せた後、タッチパネル100に対するタッチ操作を始めるために手の姿勢を変化させることに伴って変化する。または、圧力分布は、例えばユーザが、支持台110に手を乗せた後、タッチパネル100に対するタッチ操作を行う方向を定めたことによって手の姿勢を変え、支持台110上で薬指の位置が移動したり、回転したりすることに伴って変化する。本実施形態の入力支援システム1は、圧力分布の変化を検出することによってこのようなユーザの動きを捉え、事前にタッチセンサ102の感度を適切に制御する。
【0054】
図7は、図4に示される変化前の圧力分布に対する、変化後の圧力分布の一例を示す図である。図7において、白抜きの×印は、図4に示される変化前の圧力分布における重心位置G1を示す。また、黒塗りの×印は、変化後の圧力分布の重心位置G2を表す。操作方向予測部214は、変化前の圧力分布の重心位置G1から変化後の圧力分布の位置G1への方向D2が、タッチ操作を行おうとするユーザの人差し指の向きであると予測する。
【0055】
一般的に、ユーザが、例えば人差し指などのタッチパネル100にタッチする指を当該タッチパネル100に近づけるため特定の方向に動かした場合、例えば薬指などの支持台110に乗せた指による支持台110に対する圧力の位置も、同一の方向へ移動する傾向がある。本実施形態の入力支援システム1は、このような特徴を利用して、支持台110にかかる圧力分布の移動方向から、タッチパネル100に対してタッチする指の移動方向を予測し、予測結果に応じてタッチセンサ102の感度を変更する。
【0056】
なお、ユーザが、支持台110の上に指ではなく、手の他の部位(例えば握った拳の一部分など)を乗せるような場合も考えられる。例えばこのような場合には、操作方向予測部214が、タッチパネルを操作しようとするユーザの指の移動方向を予測することが困難であることがある。指の移動方向の予測が困難な場合には、例えば感度制御部215は、タッチパネル100の画面と指の移動方向とがなす角度が所定の角度以下である場合と同様に、タッチパネル100の感度を基準値より高くするように変更させるようにしてもよい。
【0057】
あるいは、指の移動方向の予測が困難な場合には、例えば感度制御部215は、タッチパネル100に対して少なくとも一度タッチ操作が行われ、操作検知処理部213によってタッチされた領域が特定された後に、特定された領域に基づいてタッチパネル100の感度を事後的に制御するようにしてもよい。すなわち、入力支援装置200は、指の移動方向の予測が困難な場合においては、タッチ操作が一度行われた後で、当該タッチ操作における静電容量変化又は圧力変化などの値を取得し、取得された値が低い場合(すなわち、接触が十分でないタッチ操作である場合)に、タッチパネル100の感度を基準値よりも高くするように制御してもよい。
【0058】
[入力支援装置の動作]
以下、入力支援装置200の動作の一例について説明する。図8は、本発明の第1の実施形態に係る入力支援装置200の動作を示すフローチャートである。本フローチャートが示す入力支援装置200の動作は、当該入力支援装置200を含む入力支援システム1の電源がオンにされる操作が行われた際に開始される。入力支援システム1の電源は、例えば、当該入力支援装置200が搭載された車両の電源がオンの状態にされることに連動して、オンの状態となる。
【0059】
入力支援システム1の電源がオンにされる。入力支援システム1の電源がオンにされることに伴い、入力支援装置200の電源がオンの状態となる(ステップS101)。電源がオンにされると、描画処理部211は、LCDパネル101に例えばタッチ操作入力画面及び操作ボタン画像などを表示させる。また、検知範囲設定部212は、LCDパネル101上の操作ボタン画像の表示領域に応じて、タッチセンサ102における検知範囲の設定を行う。また、入力支援システム1の電源がオンにされることに伴い、圧力センサ111の電源がオンの状態となる。圧力センサ111は、圧力の検出を開始する。
【0060】
次に、操作方向予測部214は、圧力センサ111から出力される信号の入力を待ち受ける(ステップS102)。操作方向予測部214は、圧力センサ111から出力される信号を取得すると、当該信号に基づく圧力分布に基づいて、タッチパネル100にタッチしようとするユーザの指の移動方向を予測する(ステップS103)。操作方向予測部214は、予測されたユーザの指の移動方向を示す情報を感度制御部215へ出力する。
【0061】
次に、感度制御部215は、操作方向予測部214から出力された情報を取得する。感度制御部215は、タッチパネル100の表示面と、取得された情報に基づくユーザの指の移動方向とがなす角度が、所定の角度以下であるか否かを判定する(ステップS104)。タッチパネル100の表示面と、ユーザの指の移動方向とがなす角度が所定の角度以下である場合、感度制御部215は、感度変更部103を制御し、タッチセンサ102の感度を変更させる(ステップS105)。
【0062】
次に、操作方向予測部214は、入力支援装置200の電源がオフの状態にされるまで(ステップS106)、圧力センサ111から出力される信号に基づく圧力分布が変化することを待ち受ける(ステップS107)。圧力分布が変化した場合、入力支援装置200は、上記ステップS103以降の処理を繰り返す。入力支援装置200の電源がオフにされた場合、図8のフローチャートが示す入力支援装置200の動作が終了する。
【0063】
以上説明したように、本発明の第1の実施形態における入力支援システム1及び入力支援装置200は、移動体に搭載されたタッチパネル100を操作するユーザの手を支持する支持台110に備えられた圧力センサ111から得られる、当該ユーザの手からの圧力に基づいて、タッチパネル100にタッチしようとするユーザの指の移動方向を予測し、予測結果に応じてタッチパネル100の感度を調整する。
【0064】
このような構成を備えることで、本実施形態の入力支援システム1及び入力支援装置200は、例えば外乱が発生することによりユーザが適切な姿勢でタッチ操作を行うことができないような状況であっても、ユーザによるタッチ操作の入力が受け付けられ易くなるようにタッチパネルの感度を調整することができる。これにより、入力支援システム1及び入力支援装置200は、ユーザの操作ミスの発生をより低減させることができる。
【0065】
<第2の実施形態>
以下、本発明の第2の実施形態に係る入力支援装置200aについて説明する。前述の第1の実施形態に係る入力支援装置200が、ユーザの指の移動方向を予測し、予測結果に応じてタッチパネルの感度を調整する構成であるのに対し、以下に説明する第2の実施形態に係る入力支援装置200aは、ユーザの指の移動方向を予測し、予測結果に応じてタッチパネルの向きを調整する構成である。
【0066】
[入力支援システムの構成]
以下、上記の入力支援装置200aを有する入力支援システム1aの構成について説明する。図9は、本発明の第2の実施形態に係る入力支援システム1aの全体構成を示すブロック図である。なお、入力支援システム1aが有する機能ブロックのうち、図1に示される前述の第1の実施形態に係る入力支援システム1が有する機能ブロックと構成が共通するものについては同一の名称及び符号を付し、当該機能ブロックの構成についての説明を省略する。
【0067】
図9に示されるように、入力支援システム1aは、タッチパネル100と、支持台110と、駆動機構120aと、入力支援装置200aと、を有する。なお、本実施形態では、タッチパネル100と、支持台110と、駆動機構120aと、入力支援装置200aとが、それぞれ別個の装置又は部材であるものとするが、これらの構成要素の一部又は全部が一体の装置として構成されていてもよい。
【0068】
タッチパネル100は、例えば車両内のダッシュボードの中央部に設置される。タッチパネル100の表示面は、例えば車両の運転手にとって操作がし易いように、車両の後部方向から少し運転手側に傾けて設置されてもよい。但し、後述されるように、タッチパネル100の向きは、入力支援装置200による制御によって変化する。
【0069】
駆動機構120aは、タッチパネル100の向きを変えさせる機構を有する。駆動機構120は、少なくとも1つのモータ121を備える。駆動機構120は、入力支援装置200による制御のもとでモータ121を駆動させ、タッチパネル100の向きを指定された方向に向けさせる。
【0070】
なお、駆動機構120は、垂直方向の軸でタッチパネル100の向きを左右方向に変化させる1軸式の駆動機構であってもよいし、垂直方向及び水平方向の軸でタッチパネル100の向きを左右方向と上下方向とにそれぞれ変化させる2軸式の駆動機構であってもよい。
【0071】
入力支援装置200aは、制御部210aと、記憶部220とを備える。制御部210aは、入力支援システム1aが有する、タッチパネル100、圧力センサ111、モータ121、及び記憶部220などの各構成要素の動作を制御する。制御部210aは、描画処理部211と、検知範囲設定部212と、操作検知処理部213と、操作方向予測部214と、感度制御部215と、駆動制御部216aと、を備える。
【0072】
操作方向予測部214は、圧力センサ111から出力された信号を取得する。操作方向予測部214は、取得された信号に基づく圧力分布、及び当該圧力分布の時系列変化に基づいて、タッチパネル100にタッチしようとするユーザの指の移動方向を予測する。なお、移動方向の予測処理、及びタッチパネルの向きを変えるための駆動制御処理の一例については、後に詳しく説明する。操作方向予測部214は、予測されたユーザの指の移動方向を示す情報を駆動制御部216aへ出力する。
【0073】
駆動制御部216aは、操作方向予測部214から出力された情報を取得する。駆動制御部216aは、タッチパネル100の表示面と、取得された情報に基づくユーザの指の移動方向とがなす角度が所定の角度以下である場合に、タッチパネル100の表示面の向きを変更させる。この場合、駆動制御部216は、取得された情報に基づくユーザの指の移動方向に基づいて、タッチパネル100の表示面の向きを決定する。例えば、駆動制御部216は、タッチパネル100の表示面の向きを、ユーザの指の移動方向と正反対の方向とするように決定する。駆動制御部216は、タッチパネル100の表示面を上記決定された向きにするために必要となる駆動機構120のモータ121の駆動量(あるいは駆動時間)を特定する。駆動制御部216は、特定された駆動量だけモータ121が駆動するように駆動機構120を制御する。これにより、タッチパネル100の表示面の向きが変更される。
【0074】
[移動方向の予測処理と駆動制御処理]
以下、操作方向予測部214によるユーザの指の移動方向の予測処理と、駆動制御部216aによるタッチパネル100の向きを変更させるための駆動制御処理について具体例を挙げて説明する。
【0075】
図10は、ユーザのタッチ操作の様子を表す模式図である。図3に示す例では、ユーザは左手の薬指を支持台110に乗せて、これを支えに、タッチパネル100に対するタッチ操作を人差し指で行っている。支持台110に備えられた圧力センサ111は、ユーザの薬指から受ける圧力を計測し、圧力分布を生成する。操作方向予測部214は、圧力センサ111から出力された信号を取得し、取得された信号に基づく圧力分布、及び当該圧力分布の時系列変化に基づいて、タッチパネル100にタッチしようとするユーザの人差し指の移動方向を予測する。
【0076】
前述の図4は、図10に示される左手の薬指によって圧力センサ111にかけられた圧力の圧力分布の一例を示す図でもある。操作方向予測部214は、例えば、圧力分布の重心位置を特定する。操作方向予測部214は、例えば、圧力分布の形状の長手方向(図4における方向D1)が、支持台110に乗せられた薬指の向きであると予測する。また、操作方向予測部214は、タッチ操作を行おうとするユーザの人差し指の向きも同様に、図4における方向D1であると予測する。
【0077】
図11は、駆動制御部216aによるタッチパネル100の向きの変更の一例を示す図である。タッチ操作を行おうとするユーザの人差し指の向きが図4に示される方向D1であると予測された場合、駆動制御部216aは、図11に示されるように方向D1とタッチパネルの表示面とが直交する角度となるように、タッチパネル100の向きを変えさせる。
【0078】
例えば外乱が発生することによりユーザが適切な姿勢でタッチ操作を行うことができない状況において、もし上記のようなタッチパネル100の向きの変更が行われない場合には、図5に示されるように、接触面積が狭い指先の側面部分や爪などによる不十分な接触のタッチ操作を強いられることがある。これにより、入力操作が受け付けられなかったり、誤操作が生じたりする。一方、外乱時に、上記のようなタッチパネル100の向きの変更が行われた場合には、たとえユーザが適切な姿勢でタッチ操作を行うことができない状況であっても、例えば前述の図6に示されるように、指の腹の部分を用いて十分な接触を伴うタッチ操作を行うことができる可能性がより高くなる。
【0079】
さらに、本実施形態の入力支援システム1aは、支持台110に乗せられたユーザの薬指によって圧力センサ111にかけられた圧力の圧力分布に変化が生じた場合、当該変化に応じてタッチパネル100の向きを適切に変更させる。
【0080】
前述の通り、図6は、図4に示される変化前の圧力分布に対する、変化後の圧力分布の一例を示す図である。操作方向予測部214は、変化前の圧力分布の重心位置G1から変化後の圧力分布の位置G1への方向D2が、タッチ操作を行おうとするユーザの人差し指の向きであると予測する。
【0081】
図12は、駆動制御部216aによるタッチパネル100の向きの変更の一例を示す図である。タッチ操作を行おうとするユーザの指の向きが図6に示される方向D2であると予測された場合、駆動制御部216aは、図12に示されるように方向D2とタッチパネルの表示面とが直交する角度となるように、圧力分布に対応してタッチパネル100の向きを変えさせる。なお、タッチパネル100が駆動している最中であっても、圧力センサ111の検知状態に応じて、最終的なタッチパネル100の駆動完了状態となる角度が変更されるようにしてもよい。
【0082】
なお、本実施形態では、タッチパネル100と支持台110とが一体化されており、タッチパネル100の向きの変化に応じて支持台110の向きも変化する構成であるものとした。但し、この構成に限られるものではなく、タッチパネル100と支持台110とが分離された構成とする場合、支持台110の向きは変更されずに、タッチパネル100の向きのみが変更される構成であってもよい。その場合、タッチパネル100と支持台110との間は、蛇腹構造等によって隙間が埋められるような構成としてもよい。また、タッチパネル100のLCDパネル101とタッチセンサ102とが分離された構成とする場合、LCDパネル101の向きは変更されずに、タッチセンサ102の向きのみが変更される構成であってもよい。
【0083】
なお、入力支援装置200は、タッチパネル100やタッチセンサ102などの装置の向きを実際に変更させるのではなく、ソフトウェア制御によってタッチパネル100やタッチセンサ102などの装置の向きを変化させたときの同等のタッチ操作の入力受付状態を仮想的に作り出すようにしてもよい。例えば、入力支援装置200は、タッチ操作を行おうとするユーザの指の移動方向にある、予測されるタッチ位置の周辺のタッチセンサ102の感度をより高くするなど、タッチセンサ102の感度を画面上の位置によって異ならせることで、適切なタッチ操作受付状態を仮想的に作り出すようにしてもよい。
【0084】
なお、ユーザが、支持台110の上に指ではなく、手の他の部位(例えば握った拳の一部分など)を乗せるような場合も考えられる。例えばこのような場合には、操作方向予測部214が、タッチパネルを操作しようとするユーザの指の移動方向の予測が困難なことがある。指の移動方向の予測が困難な場合には、例えば、タッチパネル100の向きを変えるのではなく、感度制御部215が、タッチパネル100の感度を変更させるようにしてもよい。
【0085】
[入力支援装置の動作]
以下、入力支援装置200の動作について説明する。本発明の第2の実施形態に係る入力支援装置200aの動作と、前述の第1の実施形態に係る入力支援装置200の動作とが異なる点は、図8に示されるステップS105の動作である。
【0086】
前述の通り、第1の実施形態に係る入力支援装置200は、ステップS105の動作において、タッチパネル100の表示面とユーザの指の移動方向とがなす角度が所定の角度以下である場合、感度制御部215が、感度変更部103を制御し、タッチセンサ102の感度を変更させる。一方、第1の実施形態に係る入力支援装置200は、タッチパネル100の表示面とユーザの指の移動方向とがなす角度が所定の角度以下である場合、駆動制御部216aが、駆動機構120aのモータ121aを制御し、タッチパネル100の向きを変更させる。
【0087】
以上説明したように、本発明の第2の実施形態における入力支援システム1a及び入力支援装置200aは、移動体に搭載されたタッチパネル100を操作するユーザの手を支持する支持台110に備えられた圧力センサ111から得られる、当該ユーザの手からの圧力に基づいて、タッチパネル100にタッチしようとするユーザの指の移動方向を予測し、予測結果に応じてタッチパネル100の向きを調整する。
【0088】
このような構成を備えることで、本実施形態の入力支援システム1a及び入力支援装置200aは、例えば外乱が発生することによりユーザが適切な姿勢でタッチ操作を行うことができないような状況であっても、ユーザが十分な接触を伴うタッチ操作を行い易くなるようにタッチパネルの向きを調整することができる。これにより、入力支援システム1a及び入力支援装置200aは、ユーザの操作ミスの発生をより低減させることができる。
【0089】
上記説明した実施形態は、以下のように表現することができる。
プログラムを記憶した記憶装置と、
ハードウェアプロセッサと、を備え、
前記ハードウェアプロセッサが前記記憶装置に記憶されたプログラムを実行することにより、
タッチパネルの近傍に備えられ、前記タッチパネルに対してタッチ操作を行うユーザの手の接触を検知する接触センサからセンサ情報を取得し、
前記センサ情報に基づいて、前記タッチパネルにおける前記タッチ操作の入力受付状態を変更させる
ように構成されている、入力支援装置。
【0090】
以上、本発明を実施するための形態について実施形態を用いて説明したが、本発明はこうした実施形態に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変形及び置換を加えることができる。
【符号の説明】
【0091】
1 入力支援システム
1a 入力支援システム
100 タッチパネル
101 LCDパネル
102 タッチセンサ
103 感度変更部
110 支持台
111 圧力センサ
120a 駆動機構
121a モータ
200 入力支援装置
210,210a 制御部
211 描画処理部
212 検知範囲設定部
213 操作検知処理部
214 操作方向予測部
215 感度制御部
216a 駆動制御部
217a フィードバック制御部
220 記憶部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12