IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社クボタの特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-14
(45)【発行日】2024-11-22
(54)【発明の名称】コンバイン
(51)【国際特許分類】
   A01F 17/02 20060101AFI20241115BHJP
   A01F 12/00 20060101ALI20241115BHJP
   A01F 12/56 20060101ALI20241115BHJP
【FI】
A01F17/02
A01F12/00 F
A01F12/56 Z
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2021047059
(22)【出願日】2021-03-22
(62)【分割の表示】P 2019198415の分割
【原出願日】2016-12-22
(65)【公開番号】P2021090473
(43)【公開日】2021-06-17
【審査請求日】2021-04-20
【審判番号】
【審判請求日】2023-07-06
(73)【特許権者】
【識別番号】000001052
【氏名又は名称】株式会社クボタ
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】弁理士法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】梅林 竜司
【合議体】
【審判長】有家 秀郎
【審判官】土屋 真理子
【審判官】立澤 正樹
(56)【参考文献】
【文献】特開平8-154475(JP,A)
【文献】特開平6-22630(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01F12/00,A01F17/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
刈取穀稈を挟持搬送するフィードチェーンと、
前記フィードチェーンによって搬送される刈取穀稈を扱胴によって脱穀処理する脱穀装置と、
前記脱穀装置の後側に連設されると共に、前記フィードチェーンから脱穀処理後の排藁を受け取って後方へ挟持搬送する排藁搬送装置と、が備えられたコンバインであって、
機体前後方向に延びる揺動軸心周りで上下揺動可能な上部フレームと、
前記排藁搬送装置を支持すると共に、前記排藁搬送装置が排藁の搬送を行う下降位置と前記排藁搬送装置が排藁の搬送を行わない上昇位置とに亘って、前記揺動軸心周りで上下揺動可能な排藁フレームと、が備えられ、
前記排藁搬送装置は、平面視で前記揺動軸心と交差するように設けられ、
前記排藁搬送装置のうち前記揺動軸心に対して搬送始端側に位置する搬送始端側部分と搬送終端側に位置する搬送終端側部分とが、前記排藁フレームと共に前記揺動軸心周りで上下揺動可能に構成され、かつ、前記搬送始端側部分の搬送始端部が上昇すると前記搬送終端側部分の搬送終端部が下降するように構成されているコンバイン。
【請求項2】
前記上部フレームを上方に揺動させるアクチュエータが備えられている請求項1に記載のコンバイン。
【請求項3】
前記上部フレームと前記排藁フレームとは、互いに独立して上下揺動可能に構成されている請求項1又は2に記載のコンバイン。
【請求項4】
前記上部フレームの上昇限界高さと前記排藁フレームの上昇限界高さとは、異なる上昇限界高さに設定されている請求項1から3の何れか一項に記載のコンバイン。
【請求項5】
前記上部フレームの上昇限界高さは、前記排藁フレームの上昇限界高さよりも高い位置に設定されている請求項4に記載のコンバイン。
【請求項6】
前記排藁フレームは、前記上部フレームと同じ上昇限界高さまで上昇可能に構成されている請求項1から3の何れか一項に記載のコンバイン。
【請求項7】
前記排藁フレームを上方に揺動させるアクチュエータが備えられている請求項1から6の何れか一項に記載のコンバイン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、刈取穀稈を挟持搬送するフィードチェーンと、フィードチェーンによって搬送される刈取穀稈を扱胴によって脱穀処理する脱穀装置と、脱穀装置の後側に連設されると共に、フィードチェーンから脱穀処理後の排藁を受け取って後方へ挟持搬送する排藁搬送装置と、が備えられたコンバインに関する。
【背景技術】
【0002】
上記のようなコンバインとして、例えば、特許文献1に記載のコンバインが既に知られている。特許文献1に記載のコンバインには、刈取穀稈を挟持搬送するフィードチェーン(文献では「脱穀フィードチェン」)と、フィードチェーンによって搬送される刈取穀稈を扱胴(文献では「扱胴」)によって脱穀処理する脱穀装置(文献では「脱穀機」)と、脱穀装置の後側に連設されると共に、フィードチェーンから脱穀処理後の排藁を受け取って後方へ挟持搬送する排藁搬送装置(文献では「排藁搬送装置」)と、が備えられている。扱胴の上方には、扱胴を上方から覆う上部カバー(文献では「扱胴カバー」)が設けられている。上部カバーは、扱室の一側を支点として揺動開閉するように構成されている。排藁搬送装置は、前後方向の回動軸を支点として上下に揺動開閉するように構成されている。このような構成によれば、上部カバー及び排藁搬送装置を夫々上方に揺動させることにより、上部カバー及び排藁搬送装置が開放されるため、メンテナンス作業を容易に行ことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2012-50339号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載のコンバインでは、上部カバーと排藁搬送装置とを別々に開放しなければならないし、その開放を手動で行わなければならず、手間がかかる。
【0005】
上記状況に鑑み、上部カバー及び排藁搬送装置を容易に開放可能なコンバインが要望されている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の特徴は、
刈取穀稈を挟持搬送するフィードチェーンと、
前記フィードチェーンによって搬送される刈取穀稈を扱胴によって脱穀処理する脱穀装置と、
前記脱穀装置の後側に連設されると共に、前記フィードチェーンから脱穀処理後の排藁を受け取って後方へ挟持搬送する排藁搬送装置と、が備えられたコンバインであって、
機体前後方向に延びる揺動軸心周りで上下揺動可能な上部フレームと、
前記排藁搬送装置を支持すると共に、前記排藁搬送装置が排藁の搬送を行う下降位置と前記排藁搬送装置が排藁の搬送を行わない上昇位置とに亘って、前記揺動軸心周りで上下揺動可能な排藁フレームと、が備えられ、
前記排藁搬送装置は、平面視で前記揺動軸心と交差するように設けられ、
前記排藁搬送装置のうち前記揺動軸心に対して搬送始端側に位置する搬送始端側部分と搬送終端側に位置する搬送終端側部分とが、前記排藁フレームと共に前記揺動軸心周りで上下揺動可能に構成され、かつ、前記搬送始端側部分の搬送始端部が上昇すると前記搬送終端側部分の搬送終端部が下降するように構成されていることにある。
さらに、本発明において、
前記上部フレームを上方に揺動させるアクチュエータが備えられていると好適である。
さらに、本発明において、
前記上部フレームと前記排藁フレームとは、互いに独立して上下揺動可能に構成されていると好適である。
さらに、本発明において、
前記上部フレームの上昇限界高さと前記排藁フレームの上昇限界高さとは、異なる上昇限界高さに設定されていると好適である。
さらに、本発明において、
前記上部フレームの上昇限界高さは、前記排藁フレームの上昇限界高さよりも高い位置に設定されていると好適である。
さらに、本発明において、
前記排藁フレームは、前記上部フレームと同じ上昇限界高さまで上昇可能に構成されていると好適である。
さらに、本発明において、
前記排藁フレームを上方に揺動させるアクチュエータが備えられていると好適である。
【0007】
【0008】
【0009】
【0010】
【0011】
【0012】
【0013】
【0014】
【0015】
【0016】
【0017】
【0018】
【0019】
【0020】
【0021】
【0022】
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】自脱型コンバインを示す左側面図である。
図2】自脱型コンバインを示す平面図である。
図3】脱穀装置を示す左側面図である。
図4】上部フレームを下降させた状態の脱穀装置を示す背面図である。
図5】上部フレームを上昇させた状態の脱穀装置を示す背面図である。
図6】脱穀装置の後部及び排藁搬送装置を示す平面図である。
図7】上部フレーム及び排藁フレームを下降させた状態における脱穀装置の後部及び排藁搬送装置を示す左側面図である。
図8】上部フレーム及び排藁フレームを下降させた状態における脱穀装置の背後の構造を示す背面図である。
図9】上部フレーム及び排藁フレームを上昇させた状態における脱穀装置の背後の構造を示す背面図である。
図10】上部フレーム及び排藁フレームを下降させた状態の排藁搬送装置を示す背面図である。
図11】上部フレーム及び排藁フレームを上昇させた状態の排藁搬送装置を示す背面図である。
図12】排藁フレームの基端側の構造を示す分解斜視図である。
図13】排藁フレームの基端側の構造を示す左側面図である。
図14】上部フレーム、排藁フレーム及び後部フレームを示す分解斜視図である。
図15】連結機構を示す背面断面図である。
図16】係合状態の内側ロック機構を示す背面断面図である。
図17】係合解除状態の内側ロック機構を示す背面断面図である。
図18】係合状態の外側ロック機構を示す背面断面図である。
図19】係合解除状態の外側ロック機構を示す背面断面図である。
図20】昇降操作部を示す図である。
図21】上部フレーム及び排藁フレームを上昇させた状態における脱穀装置の後部及び排藁搬送装置を示す左側面図である。
図22】上部フレームを上昇させ、かつ、排藁フレームを下降させた状態における脱穀装置の後部及び排藁搬送装置を示す左側面図である。
図23】後上部カバーを示す左側面断面図である。
図24】後上部カバーを示す斜視図である。
図25】上部フレーム及び排藁フレームの夫々の上昇限界高さ及び揺動角度を示す図である。
図26】第一の他の例に係る上部フレーム及び排藁フレームの昇降機構を示す図である。
図27】第一の他の例において、上部フレーム及び排藁フレームが同じ上昇限界高さまで上昇した状態を示す図である。
図28】第一の他の例において、上部フレーム及び排藁フレームが異なる上昇限界高さまで上昇した状態を示す図である。
図29】第二の他の例に係る上部フレーム及び排藁フレームの昇降機構を示す図である。
図30】第二の他の例において、上部フレーム及び排藁フレームが同じ上昇限界高さまで上昇した状態を示す図である。
図31】第二の他の例において、上部フレーム及び排藁フレームが異なる上昇限界高さまで上昇した状態を示す図である。
図32】別実施形態に係る外側ロック機構であって、係合状態を示す背面断面図である。
図33】別実施形態に係る外側ロック機構であって、係合解除状態を示す背面断面図である。
図34】別実施形態に係る排藁フレームを示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
〔コンバインの全体構成〕
図1及び図2には、自脱型コンバインを示している。本コンバインは、機体フレーム1と、機体フレーム1を支持する走行装置2と、を備えている。機体の前部における右側には、運転キャビン3が設けられている。運転キャビン3は、運転者が搭乗する運転部4と、運転部4を覆うキャビン5と、を備えている。運転部4の下方には、エンジン(図示省略)が設けられている。
【0025】
運転キャビン3の前方には、圃場の作物を収穫する収穫部6が設けられている。運転キャビン3の後方には、穀粒を貯留する穀粒貯留タンク7が設けられている。穀粒貯留タンク7内の穀粒を排出する穀粒排出装置8が設けられている。機体の左側部には、刈取穀稈を挟持搬送するフィードチェーン9が設けられている。穀粒貯留タンク7の左方には、脱穀装置10が設けられている。脱穀装置10は、フィードチェーン9によって搬送される刈取穀稈を扱胴11によって脱穀処理する。脱穀装置10の後側には、排藁搬送装置12が連設されている。排藁搬送装置12は、フィードチェーン9から脱穀処理後の排藁を受け取って後方へ挟持搬送する。
【0026】
〔収穫部〕
収穫部6は、複数刈り仕様(例えば、六条刈り仕様)に構成されている。収穫部6は、複数(例えば、七個)の分草具13と、複数(例えば、六個)の引起装置14と、切断装置15と、搬送装置16と、を備えている。分草具13は、圃場の作物を分草する。引起装置14は、分草された作物を引き起こす。切断装置15は、引き起こされた作物を切断する。搬送装置16は、刈り取られた作物を脱穀装置10に向けて後方へ搬送する。
【0027】
〔脱穀装置等〕
図3に示すように、脱穀装置10の上部には、扱室17が形成されている。扱室17には、扱胴11が設けられている。扱胴11は、機体前後方向に延びる回転軸心Y1周りで回転可能である。扱胴11の下方には、受網18が設けられている。扱室17の後方には、塵埃を外部に排出する排塵ファン19が設けられている。
【0028】
脱穀装置10の下部には、選別対象物を機体後方に移送しながら篩い選別する揺動選別装置20、揺動選別装置20に選別風を送風する唐箕21、一番物の穀粒(単粒化穀粒等)を回収する一番回収部22、二番物の穀粒(枝梗付き穀粒等)を回収する二番回収部23等が設けられている。
【0029】
一番回収部22には、一番物の穀粒を右方へ搬送する一番スクリュ24が設けられている。一番スクリュ24の右端部には、一番物の穀粒を穀粒貯留タンク7に揚穀搬送する揚穀装置25が連動連結されている。
【0030】
二番回収部23には、二番物の穀粒を右方へ搬送する二番スクリュ26が設けられている。二番スクリュ26の右端部には、二番物の穀粒を揺動選別装置20に還元する二番還元装置27が連動連結されている。
【0031】
排藁搬送装置12の後部の下方には、排藁搬送装置12によって搬送された排藁を切断する排藁切断装置28が設けられている。排藁切断装置28を覆うカバー29が設けられている。カバー29のうち排藁切断装置28の上方に位置する部分に、切り替え板29aが設けられている。切り替え板29aは、機体左右方向に延びる揺動軸心周りで上昇側の切断位置と下降側の非切断位置とに亘って揺動開閉可能である。切り替え板29aが開いた状態(切断位置の状態)で、排藁搬送装置12によって搬送された排藁が、排藁切断装置28に投入される。切り替え板29aが閉じた状態(非切断位置の状態)で、排藁搬送装置12によって搬送された排藁が、切り替え板29aの上面を滑って地面に落下する。
【0032】
図3から図7に示すように、扱室17における前端部及び後端部には、夫々、壁部30が設けられている。前側の壁部30は、扱室17の前壁部を構成している。後側の壁部30は、扱室17の後壁部を構成している。壁部30は、可動壁31と、固定壁32と、を備えている。可動壁31には、扱胴11が扱胴軸11aを介して回転可能に支持されている。可動壁31と固定壁32とに亘って、これらを連結する連結アーム33が設けられている。可動壁31は、連結アーム33を介して機体前後方向に延びる揺動軸心Y2周りで上下揺動可能に固定壁32に支持されている。前側の固定壁32と後側の固定壁32とに亘って、前記エンジンの動力が伝達される伝動軸34が設けられている。
【0033】
脱穀装置10に右側部は、右側壁35によって構成されている。右側壁35は、機体後端まで延びている。右側壁35は、傾斜部35aを備えている。傾斜部35aは、後側の壁部30よりも後側において、後側ほど機体左右中央側に位置するように傾斜している。
【0034】
脱穀装置10の左右両側部には、夫々、機体前後方向に延びる前後向きフレーム36L・36Rが設けられている。左側の前後向きフレーム36Lは、扱胴11の後端よりも後側まで延びている。左側の前後向きフレーム36Lは、断面形状が略正方形状の角パイプによって構成されている。右側の前後向きフレーム36Rは、扱胴11の後端よりも後側まで延びている。右側の前後向きフレーム36Rは、前側の固定壁32、後側の固定壁32及び右側壁35を支持している。右側の前後向きフレーム36Rは、断面形状が略長方形状(横長の略長方形状)の角パイプによって構成されている。
【0035】
〔後部フレーム〕
機体後上部に、後部フレーム37が設けられている。後部フレーム37は、脱穀装置10のうち機体左右方向で機体外側に位置している。後部フレーム37は、側面視において、脱穀装置10の後部から後方に突出する略U字形状に形成されている。後部フレーム37は、丸パイプによって構成されている。
【0036】
〔上部カバー〕
扱胴11を上方から覆う上部カバー38が設けられている。上部カバー38は、扱胴11の後端よりも後側において、排藁搬送装置12の後部の上方まで延びている。上部カバー38の右隣には、右上部カバー39が設けられている。右上部カバー39は、扱胴11の後端よりも後側において、排藁搬送装置12の後部の上方まで延びている。右上部カバー39は、機体前後方向に延びる揺動軸心周りで上下揺動可能に右側の前後向きフレーム36Rに支持されている。
【0037】
〔上部フレーム〕
上部カバー38は、上部フレーム40に支持されている。上部フレーム40は、機体前後方向に延びる伝動軸34を中心として上下揺動可能である。上部フレーム40は、伝動軸34を介して揺動軸心Y2周りで上下揺動可能に前側の壁部30及び後側の壁部30に支持されている。上部フレーム40は、前後一対の可動壁31と、左側の前後向きフレーム36Lと、を備えている。左側の前後向きフレーム36Lは、上部フレーム40のうち機体左右方向で機体外側に位置している。
【0038】
上部フレーム40を上方に揺動させる油圧シリンダ41が設けられている。油圧シリンダ41は、後側の可動壁31と後側の固定壁32とに亘って設けられている。油圧シリンダ41は、例えば、複動式の油圧シリンダによって構成されている。ただし、油圧シリンダ41が単動式の油圧シリンダによって構成されていてもよい。
【0039】
〔扱胴ロック機構〕
上部フレーム40と共に扱胴11が油圧シリンダ41によって上方に揺動可能である。扱胴11を、脱穀処理を行う脱穀処理位置に位置保持する扱胴ロック機構42が設けられている。扱胴ロック機構42は、前後一対のフックプレート43と、前後一対の扱胴フックピン44と、を備えている。前側の壁部30及び後側の壁部30の夫々に、フックプレート43が機体前後方向に揺動軸心Y3周りで揺動可能に支持されている。フックプレート43の先端部には、扱胴フックピン44に係合可能なフック部43aが設けられている。フック部43aが扱胴フックピン44に係合することにより、扱胴11が脱穀処理位置に位置保持される。扱胴フックピン44に対するフック部43aの係合が解除されることにより、上部フレーム40と共に扱胴11が油圧シリンダ41によって上方に揺動する。前後一対のフックプレート43を揺動駆動するモータMが、後側の壁部30の後面に支持されている。モータMによって、前後一対のフックプレート43が係合側及び係合解除側に揺動される。
【0040】
〔排藁搬送装置〕
図6及び図7に示すように、排藁搬送装置12は、後側ほど機体左右中央側に位置するように傾いた状態で設けられている。排藁搬送装置12は、排藁の株元側を挟持搬送する株元搬送装置45と、排藁の穂先側を係止搬送する穂先搬送装置46と、を備えている。株元搬送装置45は、突起47a付きの排藁チェーン47と、排藁レール48と、を備えている。排藁レール48は、排藁チェーン47の下方において、排藁チェーン47の下側経路に対向する状態で配置されている。穂先搬送装置46は、タイン49a付きの排藁穂先チェーン49を備えている。
【0041】
排藁搬送装置12は、排藁フレーム50に支持されている。排藁搬送装置12は、排藁フレーム50から取り外し可能である。排藁搬送装置12は、前ステー51及び後ステー52を介して排藁フレーム50に吊り下げ支持されている。排藁搬送装置12は、前ステー51に取り外し可能にボルト固定されている。排藁搬送装置12は、後ステー52に取り外し可能にボルト固定されている。
【0042】
排藁搬送装置12の排藁搬送空間Sが、後側の壁部30の後方に形成されている。排藁搬送空間Sは、機体前後方向において、排藁フレーム50を跨ぐように形成されている。排藁搬送空間Sは、平面視において、排藁搬送空間Sの前後中途部(傾斜部35aの前端に対応する箇所)で搬送方向下流側ほど機体左右中央側に位置するように広がっている。
【0043】
〔ベルト伝動機構〕
図6図8及び図9に示すように、伝動軸34と排藁搬送装置12とに亘って、伝動軸34の動力を排藁搬送装置12に伝達するベルト伝動機構53が設けられている。ベルト伝動機構53は、駆動プーリ54と、従動プーリ55と、伝動ベルト56と、を備えている。駆動プーリ54は、伝動軸34のうち後側の固定壁32から後方に突出する部分に固定されている。従動プーリ55は、排藁搬送装置12の入力軸(図示省略)に固定されている。伝動ベルト56は、駆動プーリ54及び従動プーリ55に巻き回されている。
【0044】
〔テンションクラッチ機構〕
ベルト伝動機構53を、排藁搬送装置12に動力を伝達する伝達状態と、排藁搬送装置12への動力の伝達を遮断する遮断状態とに切り替えるテンションクラッチ機構57が設けられている。テンションクラッチ機構57は、第一テンションアーム58と、第一テンションローラ59と、第二テンションアーム60と、第二テンションローラ61と、テンションスプリング62と、を備えている。第一テンションアーム58は、伝動軸34に回転可能に支持されている。第一テンションアーム58の先端部には、第一テンションローラ59が回転可能に支持されている。第一テンションローラ59は、伝動ベルト56のうち下側経路に対応する部分に対して、上方から接触している。第一テンションアーム58の基端部には、テンションスプリング62が取り付けられる取り付け部63が設けられている。
【0045】
第二テンションアーム60は、第一テンションアーム58と一体回転可能なように、第一テンションアーム58に固定されている。第二テンションアーム60の先端部には、第二テンションローラ61が回転可能に支持されている。第二テンションローラ61は、伝動ベルト56のうち上側経路に対応する部分に対して、上方から接触している。
【0046】
テンションンスプリング62は、第一テンションアーム58及び第二テンションアーム60を、揺動軸心Y2周りでテンション付与方向に揺動するように付勢している。テンションスプリング62のうち取り付け部63とは反対側の端部は、ロッド64に取り付けられている。ロッド64は、ステー65に位置調整可能に支持されている。ステー65は、排藁フレーム50(前フレーム67)に固定(例えば、溶接固定)されている。ステー65に対するロッド64の位置調整することにより、テンションスプリング62の付勢力が変化する。
【0047】
〔排藁フレーム〕
図6から図11に示すように、排藁フレーム50は、前ステー51及び後ステー52を介して、排藁搬送装置12における前部及び後部を支持している。排藁フレーム50は、枠状に形成されている。排藁フレーム50は、基端フレーム66と、前フレーム67と、後フレーム68と、遊端フレーム69と、を備えている。一本の丸パイプが折り曲げられて、前フレーム67、後フレーム68及び遊端フレーム69が形成されている。排藁搬送装置12の前部が、前ステー51を介して遊端フレーム69に支持されている。排藁搬送装置12の後部が、後ステー52を介して後フレーム68のうち機体左右中央側の部分に支持されている。
【0048】
排藁フレーム50は、排藁搬送装置12が排藁の搬送を行う下降位置と排藁搬送装置12が排藁の搬送を行わない上昇位置とに亘って、揺動軸心Y2周りで上下揺動可能である。排藁フレーム50は、機体前後方向に延びる支軸70を中心として上下揺動可能である。排藁フレーム50を上方に揺動させる前後一対のガスダンパ71が設けられている。ガスダンパ71は、排藁フレーム50(前フレーム67)と下ステー72とに亘って設けられている。前フレーム67には、ガスダンパ71が連結される上ステー73が固定(例えば、溶接固定)されている。
【0049】
図12から図14に示すように、基端フレーム66は、排藁フレーム50の基端側に設けられていると共に機体前後方向に延びている。基端フレーム66は、前部側を構成する前部側フレーム部74と、後部側を構成する後部側フレーム部75と、前部側フレーム部74と後部側フレーム部75とに亘る連結フレーム部76と、を備えている。基端フレーム66における前部側の部分(前部側フレーム部74)が、前後一対のステー77を介して支軸70に支持されている。
【0050】
基端フレーム66のうち連結フレーム部76に対応する箇所には、下方に落ち込む段差部66aが形成されている。連結フレーム部76は、下方に開口する溝形板78と、連結板79と、を備えている。溝形板78は、前部側フレーム部74の下面と後部側フレーム部75の下面とに亘って設けられている。溝形板78の内部には、溝形板78における左側壁と右側壁とに亘って、これらを連結する連結板79が設けられている。
【0051】
前フレーム67は、基端フレーム66の前端部に連結されていると共に機体左右方向で支軸70側から機体外側に向けて延びている。後フレーム68は、基端フレーム66の後端部に連結されていると共に機体左右方向で支軸70側から機体外側に向けて延びている。
【0052】
遊端フレーム69は、排藁フレーム50の遊端側に設けられていると共に機体前後方向に延びている。遊端フレーム69は、前フレーム67のうち機体左右方向における機体外側の端部及び後フレーム68のうち機体左右方向における機体外側の端部に連結されている。遊端フレーム69は、下降位置において、左側の前後向きフレーム36Lに沿って延び、かつ、左側の前後向きフレーム36Lの右隣に位置する状態で左側の前後向きフレーム36Lと隣り合っている。
【0053】
支軸70は、伝動軸34とは別の軸であり、かつ、伝動軸34を支持する右側の前後向きフレーム36Rに支持されている。伝動軸34と支軸70とは、同一の軸心(揺動軸心Y2)上に配置されている。支軸70は、排藁搬送空間Sの前後中途部(傾斜部35aの前端に対応する箇所)よりも前側に配置されている。右側の前後向きフレーム36Rは、支軸70よりも後側まで延びている。支軸70は、前後一対のステー80を介してブラケット81に支持されている。ブラケット81は、右側の前後向きフレーム36Rの下面に垂設されている。ステー80は、ブラケット81にボルト固定されている。前側のステー80には、下ステー72が支持されている。
【0054】
〔位置決め機構〕
図14に示すように、排藁フレーム50が下降位置に位置する状態で、排藁フレーム50が位置ズレ(機体前後方向等に位置ズレ)しないように、排藁フレーム50の遊端側(遊端フレーム69)を、後部フレーム37に位置決めする位置決め機構82が設けられている。位置決め機構82は、爪部83と、爪部83が差し込まれる被差し込み部84と、を備えている。爪部83は、ステー85を介して遊端フレーム69に支持されている。爪部83は、ステー85にボルト86によって取り外し可能に固定されている。被差し込み部84は、後部フレーム37に固定(例えば、溶接固定)されている。爪部83が被差し込み部84に差し込まれることにより、排藁フレーム50が下降位置に位置する状態で、排藁フレーム50が位置ズレ(機体前後方向等に位置ズレ)しないように、排藁フレーム50の遊端側(遊端フレーム69)が後部フレーム37に位置決めされる。
【0055】
〔連結機構〕
図14及び図15に示すように、上部フレーム40(左側の前後向きフレーム36L)と排藁フレーム50(遊端フレーム69)とを連結解除可能に連結する連結機構87が設けられている。連結機構87は、左側の前後向きフレーム36Lと、排藁フレーム50のうち機体左右方向における機体外側の端部(遊端フレーム69)とを連結可能である。連結機構87は、左側の前後向きフレーム36Lの上部と遊端フレーム69の上部とに亘って設けられている。連結機構87は、上部側固定ブラケット88と、排藁側固定ブラケット89と、連結ブラケット90と、を備えている。上部側固定ブラケット88は、左側の前後向きフレーム36Lに固定(例えば、溶接固定)されている。排藁側固定ブラケット89は、遊端フレーム69の前部に固定(例えば、溶接固定)されている。連結ブラケット90は、上部側固定ブラケット88の上面と排藁側固定ブラケット89の上面とに亘って設けられている。連結ブラケット90は、上部側固定ブラケット88及び排藁側固定ブラケット89の夫々に対して、ボルト91によって連結解除可能に連結されている。すなわち、連結機構87は、左側の前後向きフレーム36L及び遊端フレーム69の夫々に対して連結解除可能である。
【0056】
〔内側ロック機構〕
図16及び図17に示すように、排藁フレーム50が下降位置に位置する状態で、排藁フレーム50の基端側(基端フレーム66)を、右側の前後向きフレーム36Rに位置保持する内側ロック機構92が設けられている。内側ロック機構92は、基端フレーム66における後部側の部分を右側の前後向きフレーム36Rに位置保持する。内側ロック機構92は、内側フック93と、内側フックピン94と、を備えている。
【0057】
内側フック93は、基端フレーム66のうち連結フレーム部76(溝形板78)の右側壁にボルト95によって取り外し可能に固定されている。内側フック93は、前後一対のフック部93aを備えている。前側のフック部93aと後側のフック部93aとに亘って、これらを連結する連結板93bが設けられている。
【0058】
内側フックピン94は、第一ステー96及び第二ステー97を介して右側の前後向きフレーム36Rに支持されている。第一ステー96は、右側の前後向きフレーム36Rに固定(例えば、溶接固定)されている。第二ステー97は、第一ステー96にボルト98によって取り外し可能に固定されている。内側フックピン94は、第二ステー97における前壁部と後壁部とに亘って設けられている。
【0059】
〔内側ロック機構の動作〕
内側ロック機構92は、排藁フレーム50が下降位置側に揺動するのに追従して、右側の前後向きフレーム36Rに係合し、かつ、排藁フレーム50が上昇位置側に揺動するのに追従して、右側の前後向きフレーム36Rに対する係合を解除する。
【0060】
詳述すると、排藁フレーム50が下降位置側に揺動するのに追従して、内側フック93が内側フックピン94に係合する。そして、排藁フレーム50が上昇位置側に揺動するのに追従して、内側フックピン94に対する内側フック93の係合が解除される。ここで、排藁フレーム50が下降位置から上昇位置側に揺動する際に、内側フックピン94が段差部66a内に入り込む。これにより、排藁フレーム50が上下揺動する際に、基端フレーム66が内側フックピン94と干渉することがない。
【0061】
〔外側ロック機構〕
図18及び図19に示すように、排藁フレーム50が下降位置に位置する状態で、排藁フレーム50の遊端側(遊端フレーム69)を、後部フレーム37に位置保持する外側ロック機構100が設けられている。外側ロック機構100は、外側フック101と、外側フックピン102と、を備えている。外側フック101は、基部101aと、フック部101bと、を備えている。フック部101bは、基部101aにボルト103によって取り外し可能に固定されている。
【0062】
外側フックピン102は、後部フレーム37の左隣において、後部フレーム37から若干離れた位置に配置されている。外側フックピン102は、第一ステー104及び第二ステー105(図14参照)を介して、後部フレーム37に支持されている。
【0063】
外側ロック機構100は、左側の前後向きフレーム36Lの後部を後部フレーム37に位置保持する。左側の前後向きフレーム36Lと後部フレーム37とが外側ロック機構100によって連結解除可能に連結されている。左側の前後向きフレーム36Lと後部フレーム37とが外側ロック機構100によって連結された状態で、後部フレーム37が左側の前後向きフレーム36Lの右隣に位置している。すなわち、後部フレーム37に、外側ロック機構100によって左側の前後向きフレーム36Lと連結された状態で左側の前後向きフレーム36Lと隣り合う部分が備えられている。左側の前後向きフレーム36Lと後部フレーム37とが外側ロック機構100によって連結された状態で、遊端フレーム69が上下方向で後部フレーム37と接している。具体的には、左側の前後向きフレーム36Lと後部フレーム37とが外側ロック機構100によって連結された状態で、遊端フレーム69が後部フレーム37に対して上方から後部フレーム37と接している。すなわち、遊端フレーム69が後部フレーム37と連結機構87(排藁側固定ブラケット89)とで上下方向に挟み込まれている(サンドイッチ構造)。
【0064】
〔リンク機構〕
図6から図9に示すように、扱胴ロック機構42(後側のフックプレート43)と外側ロック機構100(外側フック101)とを連動連結するリンク機構106が設けられている。リンク機構106は、第一リンクアーム107と、第二リンクアーム108と、リンクロッド109と、を備えている。第一リンクアーム107は、後側のフックプレート43の基端部に相対揺動可能に連結されている。第一リンクアーム107と第二リンクアーム108とは、相対揺動可能に連結されている。
【0065】
リンクロッド109は、前ステー110及び後ステー111を介して、左側の前後向きフレーム36Lに支持されている。リンクロッド109は、前ステー110及び後ステー111に回動可能に支持されている。リンクロッド109の前端部には、第二リンクアーム108が相対揺動不能に連結されている。リンクロッド109の後端部には、外側フック101が相対揺動不能に連結されている。
【0066】
〔昇降操作部〕
図20に示すように、昇降操作用の昇降操作部112が、運転部4に設けられている。昇降操作部112は、電源スイッチ113と、上昇スイッチ114と、下降スイッチ115と、を備えている。上昇操作する際には、上昇スイッチ114と電源スイッチ113とを、同時に押し操作する。上昇スイッチ114と電源スイッチ113とを同時に押し操作している間だけ、上昇操作が行われる。下降操作する際には、下降スイッチ115と電源スイッチ113とを、同時に押し操作する。下降スイッチ115と電源スイッチ113とを同時に押し操作している間だけ、下降操作が行われる。昇降操作部112が運転部4に加えて(あるいは、運転部4に代えて)、作業者が機外から操作可能なように、例えば、脱穀装置10の左側部に設けられていてもよい。
【0067】
〔後上部カバー〕
図2図6図23及び図24に示すように、排藁搬送装置12を後上方から覆う後上部カバー116が設けられている。後上部カバー116は、本体部117と、上方部分118と、を備えている。
【0068】
本体部117は、前方に開口する切欠部117aを有している。切欠部117aは、平面視において、横長の略台形形状に形成されている。切欠部117aの前縁の長さ(機体左右方向の長さ)は、切欠部117aの後縁の長さ(機体左右方向の長さ)よりも長い。
【0069】
上方部分118は、後上部カバー116のうち排藁搬送装置12の後部の上方に位置している。上方部分118は、平面視において、排藁搬送装置12の後部と重複している。上方部分118は、切欠部117aを塞ぐように、切欠部117a内に設けられている。上方部分118は、上方部分118の後部側で機体左右方向に延びる支軸119を介して本体部117に上下揺動可能に支持されている。上方部分118は、上方部分118の後部側で機体左右方向に延びる支軸119を中心として、排藁搬送空間Sを閉じる閉位置と排藁搬送空間Sを開く開位置とに亘って上下揺動可能である。
【0070】
〔連動機構〕
排藁フレーム50が上昇位置側に揺動するのに連動して、上方部分118を開位置側に揺動させる連動機構120が設けられている。連動機構120は、アーム121と、ローラ122と、を備えている。アーム121は、排藁フレーム50(後フレーム68)から上方部分118の下方箇所まで延びている。アーム121の先端部に、接触部126cに対して下方から接触可能なローラ122が設けられている。ローラ122は、機体前後方向に延びる回転軸心周りで回転可能である。アーム121は、アームステー123にボルト124によって取り外し可能に固定されている。アームステー123は、後フレーム68に固定(例えば、溶接固定)されている。
【0071】
本体部117の内面部には、本体部ステー125がボルト固定されている。上方部分118の内面部には、上方部分ステー126が固定(例えば、溶接固定)されている。本体部ステー125と上方部分ステー126とに亘って、支軸119が設けられている。上方部分ステー126は、支軸119を支持する左右一対の支持部126aと、スプリング127が取り付けられる取り付け部126bと、ローラ122が接触可能な接触部126cと、を備えている。接触部126cは、上方部分118の内面に沿って機体左右方向に延びる板状部分によって構成されている。
【0072】
上方部分118を閉位置側に揺動するように付勢するスプリング127が設けられている。スプリング127は、上方部分118と本体部117とに亘って設けられている。スプリング127のうち上方部分118側の端部は、取り付け部126bに取り付けられている。本体部117には、スプリング127が取り付けられる取り付け部128が設けられている。スプリング127のうち本体部117側の端部は、取り付け部128に取り付けられている。
【0073】
上方部分118は、平面視において、切欠部117aよりも若干大きな形状に形成されている。上方部分118の縁部が、本体部117のうち切欠部117aに対応する縁部に対して上方から当接することにより、上方部分118が閉位置よりも下側に揺動するのが阻止される。すなわち、上方部分118の縁部と、本体部117のうち切欠部117aに対応する縁部とで、上方部分118を閉位置よりも下側に揺動するのを阻止する阻止部129が構成されている。
【0074】
〔上部フレーム及び排藁フレームの昇降動作〕
図8及び図9に示すように、作業者が昇降操作部112によって上昇操作を行うと、モータMによって、前後一対のフックプレート43が係合解除側に揺動される。これにより、扱胴フックピン44に対するフックプレート43(フック部43a)の係合が解除される。そして、後側のフックプレート43の係合解除側への揺動に連動して、外側フック101が係合解除側に揺動される。
【0075】
そして、上部フレーム40と排藁フレーム50とが連結機構87によって連結された連結状態では、図9及び図21に示すように、外側フックピン102に対する外側フック101の係合が解除されると、上部フレーム40及び排藁フレーム50が油圧シリンダ41によって上方に揺動される。その際、上部フレーム40及び排藁フレーム50と共に扱胴11やベルト伝動機構53、テンションクラッチ機構57も、油圧シリンダ41によって上方に揺動される。したがって、ベルト伝動機構53におけるプーリ(駆動プーリ54、従動プーリ55)の位置関係が変化することがない。
【0076】
そして、排藁フレーム50が上昇位置側に揺動するのに追従して、内側フックピン94に対する内側フック93の係合が解除される。こうして、上部フレーム40と排藁フレーム50とが同じ上昇限界高さまで一体的に上昇する。
【0077】
また、排藁フレーム50が上昇位置側に揺動すると、排藁フレーム50が上昇位置側に揺動するのに連動して、アーム121がローラ122を介して上方部分118を押し上げる。こうして、排藁フレーム50が上昇位置側に揺動するのに連動して、上方部分118が開位置側に揺動する。
【0078】
そして、作業者が昇降操作部112によって下降操作を行うと、油圧シリンダ41の縮動作に伴って、上部フレーム40及び排藁フレーム50が下方に揺動される。そして、排藁フレーム50が下降位置側に揺動するのに追従して、内側フック93が内側フックピン94に係合する。
【0079】
そして、上部フレーム40及び排藁フレーム50が下降位置に位置すると、モータMによって、前後一対のフックプレート43が係合側に揺動される。これにより、フックプレート43(フック部43a)が扱胴フックピン44に係合する。そして、後側のフックプレート43の係合側への揺動に連動して、外側フック101が係合側に揺動される。
【0080】
一方、上部フレーム40と排藁フレーム50との連結が解除されている状態(連結解除状態)では、図22に示すように、外側フックピン102に対する外側フック101の係合が解除されると、上部フレーム40及び排藁フレーム50のうち上部フレーム40のみが油圧シリンダ41によって上方に揺動される。その際、上部フレーム40と共に扱胴11やテンションクラッチ機構57も、油圧シリンダ41によって上方に揺動される。なお、上部フレーム40及び排藁フレーム50のうち上部フレーム40のみを、上方に揺動させる場合は、前もって、伝動ベルト56を駆動プーリ54から取り外しておく必要がある。こうして、上部フレーム40及び排藁フレーム50のうち上部フレーム40のみが前記上昇限界高さまで上昇する。
【0081】
そして、排藁フレーム50をガスダンパ71によって上方に揺動させることにより、排藁フレーム50が前記上昇限界高さまで上昇する。なお、上述のように、排藁搬送装置12が排藁フレーム50から取り外し可能であるところ、排藁搬送装置12を排藁搬送装置12から取り外せば、排藁フレーム50のみを上方に揺動させることができる。
【0082】
次に、上部フレーム40と排藁フレーム50とが同じ上昇限界高さまで一体的に上昇可能な状態(以下「第一モード」という。)と、上部フレーム40と排藁フレーム50とが異なる上昇限界高さまで上昇可能な状態(以下「第二モード」という。)とに切り替え可能な実施形態について、図25から図31を用いて説明する。
【0083】
図25に示すように、第一モードにおいて、上部フレーム40の上昇限界高さと排藁フレーム50の上昇限界高さとは、同じ上昇限界高さH1に設定されている。また、上部フレーム40の揺動角度と排藁フレーム50の揺動角度とは、同じ揺動角度αに設定されている。
【0084】
第二モードにおいて、上部フレーム40の上昇限界高さと排藁フレーム50の上昇限界高さとは、異なる上昇限界高さに設定されている。具体的には、上部フレーム40の上昇限界高さは、上昇限界高さH1に設定されており、かつ、排藁フレーム50の上昇限界高さは、上昇限界高さH1よりも低い位置(上昇限界高さH2)に設定されている。すなわち、油圧シリンダ41による上部フレーム40の上昇限界高さH1は、ガスダンパ71による排藁フレーム50の上昇限界高さH2よりも高い位置に設定されている。
【0085】
また、上部フレーム40の揺動角度と排藁フレーム50の揺動角度とは、異なる揺動角度に設定されている。具体的には、上部フレーム40の揺動角度は、揺動角度αに設定されており、かつ、排藁フレーム50の揺動角度は、揺動角度αよりも小さい角度(揺動角度β)に設定されている。
【0086】
図26から図28に示す例では、上部フレーム40及び排藁フレーム50の昇降機構として、上部フレーム40を上方に揺動させる油圧シリンダ41と、排藁フレーム50を上方に揺動させるガスダンパ71と、上部フレーム40と排藁フレーム50とを連結解除可能に連結する連結機構87と、が備えられている。図26から図28に示す例では、連結機構87が、第一モードと第二モードとを切り替える切り替え機構として機能する。図26には、上部フレーム40及び排藁フレーム50が下降位置に位置する状態を示している。
【0087】
図27に示すように、第一モードでは、上部フレーム40と排藁フレーム50とが連結機構87によって連結されている(連結状態)。この連結状態では、上部フレーム40と排藁フレーム50とが同じ上昇限界高さH1まで一体的に上昇するように、上部フレーム40及び排藁フレーム50が油圧シリンダ41によって上方に揺動される。
【0088】
なお、この場合において、前もって、ガスダンパ71と排藁フレーム50との連結を解除しておくことにより、排藁フレーム50がガスダンパ71の最大伸長長さ(上昇限界高さH2に対応)を超えて上昇限界高さH1まで上昇しても、ガスダンパ71が損壊することがない。
【0089】
図28に示すように、第二モードでは、上部フレーム40と排藁フレーム50との連結が解除されている(連結解除状態)。この連結解除状態では、上部フレーム40が上昇限界高さH1まで上昇するように、上部フレーム40が油圧シリンダ41によって上方に揺動される。
【0090】
そして、排藁フレーム50が上昇限界高さH2まで上昇するように、排藁フレーム50をガスダンパ71によって上方に揺動させることができる。
【0091】
また、図29から図31に示すように、上部フレーム40に、排藁フレーム50を上方から押さえる押さえ部40aが備えられ、ガスダンパ71のうち排藁フレーム50側の端部に、排藁フレーム50がガスダンパ71に対して上方に離間可能に載置されていてもよい。図29から図31に示す例でも、連結機構87が、第一モードと第二モードとを切り替える切り替え機構として機能する。図29には、上部フレーム40及び排藁フレーム50が下降位置に位置する状態を示している。
【0092】
図30に示すように、第一モードでは、上部フレーム40と排藁フレーム50とが連結機構87によって連結されている(連結状態)。この連結状態では、上部フレーム40と排藁フレーム50とが同じ上昇限界高さH1まで一体的に上昇するように、上部フレーム40及び排藁フレーム50が油圧シリンダ41によって上方に揺動される。
【0093】
その際、上述のように、ガスダンパ71のうち排藁フレーム50側の端部に、排藁フレーム50がガスダンパ71に対して上方に離間可能に載置されているため、排藁フレーム50がガスダンパ71の最大伸長長さ(上昇限界高さH2に対応)を超えて上昇すると、排藁フレーム50がガスダンパ71に対して上方に離間する。これにより、排藁フレーム50がガスダンパ71の最大伸長長さ(上昇限界高さH2に対応)を超えて上昇限界高さH1まで上昇しても、ガスダンパ71が損壊することがない。
【0094】
図31に示すように、第二モードでは、上部フレーム40と排藁フレーム50との連結が解除されている(連結解除状態)。この連結解除状態では、上部フレーム40が上昇限界高さH1まで上昇するように、上部フレーム40が油圧シリンダ41によって上方に揺動される。
【0095】
そして、排藁フレーム50が上昇限界高さH2まで上昇するように、排藁フレーム50がガスダンパ71によって上方に揺動させることができる。
【0096】
その後、上部フレーム40が下降する際、押さえ部40aが排藁フレーム50を上方から押さえることにより、ガスダンパ71が自動的に縮動作するのに伴って、上部フレーム40と共に排藁フレーム50が下降する。
【0097】
なお、図26から図28に示す例や、図29から図30に示す例において、排藁フレーム50を後部フレーム37に位置保持するロック機構(図示省略)が備えられていてもよい。これにより、第二モードにおいて、上部フレーム40が上昇しても、排藁フレーム50が上昇しないように、前記ロック機構によって、排藁フレーム50を後部フレーム37に位置保持することができる。
【0098】
また、図示はしないが、油圧シリンダ41に代えて、上部フレーム40を上下揺動させるアクチュエータとして、電動アクチュエータ(図示省略)を採用し、かつ、ガスダンパ71に代えて、排藁フレーム50を上下揺動させるアクチュエータとして、電動アクチュエータ(図示省略)を採用してもよい。電動アクチュエータは、電動モータ及び電動シリンダの何れであってもよい。この例では、電動アクチュエータを制御する制御装置(図示省略)に、第一モードと第二モードとを切り替える機能が備えられることになる。
【0099】
この例では、第二モードにおいて、作業者が昇降操作部112によって上昇操作を行うことにより、上部フレーム40及び排藁フレーム50が上昇限界高さH2まで上昇すると、上部フレーム40及び排藁フレーム50が上昇限界高さH2で一旦停止する。その後、再び、作業者が昇降操作部112によって上昇操作を行うことにより、上部フレーム40のみが上昇限界高さH1まで上昇する。
【0100】
また、この例において、昇降操作部112が次のように構成されていてもよい。すなわち、第一モードにおいて、上部フレーム40及び排藁フレーム50を昇降操作する昇降操作部(上昇スイッチ、下降スイッチ)と、第二モードにおいて、上部フレーム40を昇降操作する昇降操作部(上昇スイッチ、下降スイッチ)と、第二モードにおいて、排藁フレーム50を昇降操作する昇降操作部(上昇スイッチ、下降スイッチ)とが、備えられていてもよい。
【0101】
〔別実施形態〕
(1)上記実施形態では、外側ロック機構100が採用されている。これに代えて、外側ロック機構200が採用されていてもよい。
【0102】
図32及び図33に示すように、外側ロック機構200は、外側フック201と、外側フックアーム202と、外側フックスプリング203と、外側フックピン102と、を備えている。外側フック201は、支軸204を介して後ステー111の後面部に揺動可能に支持されている。外側フック201と後ステー111の後面部とに亘って、外側フック201を係合側に揺動するように付勢する外側フックスプリング203が設けられている。外側フックアーム202は、リンクロッド109の後端部に固定されている。外側フック201には、開口部201aが形成されている。外側フックアーム202には、後方に突出するピン202aが設けられている。ピン202aは、開口部201a内に位置している。このような構成によれば、外側フックアーム202がピン202aを介して開口部201aに係合することにより、外側フックピン102が係合側に揺動する。その際、外側フックスプリング203の付勢力によって、外側フックピン102に対する外側フック201の係合を素早くで行うことができる。
【0103】
(2)上記実施形態では、基端フレーム66に、段差部66aが形成されている。しかし、図34に示すように、基端フレーム66に、段差部66aに相当する部分が形成されていなくてもよい。この場合、内側フック93の上下位置が上記実施形態よりも高くなるため、内側フックピン94の上下位置を上記実施形態よりも高くすればよい。
【0104】
(3)上記実施形態において、切り替え板29aが開いた状態(切断位置の状態)であれば、切り替え板29aが閉じた状態(非切断位置の状態)に切り替わった後、排藁フレーム50が上昇するようにしてもよい。また、排藁フレーム50が上昇している状態では、切り替え板29aが開いた状態(切断位置の状態)に切り替わらないようにしてもよい。
【0105】
(4)上記実施形態では、連結機構87が左側の前後向きフレーム36Lの上部と遊端フレーム69の上部とに亘っている。しかし、これに代えて、連結機構87が左側の前後向きフレーム36Lの下部と遊端フレーム69の下部とに亘っていてもよい。
【0106】
(5)上記実施形態では、連結機構87が左側の前後向きフレーム36L及び遊端フレーム69の夫々に対して連結解除可能である。しかし、これに代えて、連結機構87が左側の前後向きフレーム36L及び遊端フレーム69のうち何れか一方に対して連結解除可能であってもよい。
【0107】
(6)上記実施形態では、連結機構87が左側の前後向きフレーム36Lと遊端フレーム69とを連結解除可能に連結している。しかし、これに代えて、連結機構87が上部フレーム40のうち左側の前後向きフレーム36L以外の部分と排藁フレーム50のうち遊端フレーム69以外の部分とを連結解除可能に連結してもよい。
【0108】
(7)上記実施形態では、上部フレーム40と共に扱胴11が油圧シリンダ41によって上方に揺動可能である。しかし、これに代えて、上部フレーム40のみが油圧シリンダ41によって上方に揺動可能であってもよい。
【0109】
(8)上記実施形態では、連結機構87がボルト式(ボルト91)の連結構造である。しかし、これに代えて、連結機構87がレバー等によるワンタッチ式の連結構造であってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0110】
本発明は、キャビン付きのコンバインの他、キャビン無しのコンバインにも利用可能である。
【符号の説明】
【0111】
9 フィードチェーン
10 脱穀装置
11 扱胴
12 排藁搬送装置
40 上部フレーム
41 油圧シリンダ(アクチュエータ)
50 排藁フレーム
71 ガスダンパ(アクチュエータ)
H1 上昇限界高さ
H2 上昇限界高さ
Y2 揺動軸心
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26
図27
図28
図29
図30
図31
図32
図33
図34