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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-14
(45)【発行日】2024-11-22
(54)【発明の名称】ヒンジキャップ
(51)【国際特許分類】
   B65D 47/20 20060101AFI20241115BHJP
   B65D 47/32 20060101ALI20241115BHJP
   B65D 47/08 20060101ALI20241115BHJP
【FI】
B65D47/20 300
B65D47/32 200
B65D47/08 100
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2021109248
(22)【出願日】2021-06-30
(65)【公開番号】P2023006574
(43)【公開日】2023-01-18
【審査請求日】2024-01-05
(73)【特許権者】
【識別番号】000006909
【氏名又は名称】株式会社吉野工業所
(74)【代理人】
【識別番号】100141139
【弁理士】
【氏名又は名称】及川 周
(74)【代理人】
【識別番号】100140718
【弁理士】
【氏名又は名称】仁内 宏紀
(74)【代理人】
【識別番号】100140774
【弁理士】
【氏名又は名称】大浪 一徳
(74)【代理人】
【識別番号】100188592
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 洋
(72)【発明者】
【氏名】立藏 亮
(72)【発明者】
【氏名】山本 学
【審査官】加藤 信秀
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第04782985(US,A)
【文献】特開平09-077111(JP,A)
【文献】特開2011-178415(JP,A)
【文献】特開2010-006398(JP,A)
【文献】特開2001-055261(JP,A)
【文献】実開昭62-182245(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 47/20
B65D 47/32
B65D 47/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内容物が収容される容器本体の口部に装着されるキャップ本体と、
前記キャップ本体に第1ヒンジ部を介して回動可能に連結され、前記キャップ本体を覆う蓋体と、を備え、
前記キャップ本体は、前記容器本体の口部を閉塞する閉塞壁を備え、
前記閉塞壁には、内容物を注出する注出口、及び前記容器本体内に外気を導入させる外気導入口を有する外気導入筒が形成され、
前記注出口及び前記外気導入口は、キャップ軸方向から見た平面視で、前記注出口、前記外気導入口及び前記第1ヒンジ部がこの順に前記キャップ本体の径方向に沿って並ぶように配置され、
前記蓋体は、
前記第1ヒンジ部に連結されると共に、前記外気導入口を覆う第1蓋体と、
前記第1ヒンジ部と同方向に回動する第2ヒンジ部を介して前記第1蓋体に回動可能に連結されると共に、前記注出口を覆う第2蓋体と、を備え、
前記第1蓋体には、前記外気導入口を閉塞すると共に、前記第1ヒンジ部回りの前記第1蓋体の開操作に伴って前記外気導入口から離脱可能とされた第1栓体が設けられ、
前記第2蓋体には、前記注出口を閉塞すると共に、前記第2ヒンジ部回りの前記第2蓋体の開操作に伴って前記注出口から離脱可能とされた第2栓体が設けられ
前記第1栓体は、前記外気導入筒の内側に上方から入り込むことで前記外気導入口を閉塞し、
前記第1栓体のうち前記外気導入筒内に入り込む部分を除いた部分には、前記第1ヒンジ部側に向けて突出する縦リブが形成され、
前記縦リブには、前記縦リブよりも下方に向けて延びるように形成され、前記外気導入筒に対して前記第1ヒンジ部側から接触する案内ガイドが形成されていることを特徴とするヒンジキャップ。
【請求項2】
請求項1に記載のヒンジキャップにおいて、
前記第1蓋体及び前記第2蓋体には、前記第2蓋体を開蓋状態で保持する保持部材が設けられている、ヒンジキャップ。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のヒンジキャップにおいて、
前記外気導入口は、キャップ軸方向から見た平面視で、前記径方向に沿って延びる長孔状に形成されている、ヒンジキャップ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヒンジキャップに関する。
【背景技術】
【0002】
容器本体の口部に装着されるキャップとして、例えば下記特許文献1には、内容物が収容される容器本体の口部に装着されるキャップ本体と、キャップ本体にヒンジを介して連結される蓋体と、を備えるヒンジキャップが知られている。
キャップ本体には、内容物を注出する注出口が開口した閉塞壁と、閉塞壁から立設されると共に、内側が注出口を通じて容器本体内に連通する注出筒と、が設けられている。蓋体には、閉蓋時に注出筒の内側に嵌合するシール筒が設けられている。
【0003】
このように構成されたヒンジキャップでは、蓋体を開操作することで、注出筒からシール筒を離脱させて注出口を開放することができる。従って、例えば容器本体を傾倒させることで、注出筒を通じて容器本体内から内容物を外部に注出することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2019-151402号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上記従来のヒンジキャップにおいて内容物を注出する際、内容物を注出する注出筒を通じて、容器本体内に外部から空気(外気)が導入される。これにより、容器本体内の空気置換を行うことができ、内容物の注出を行うことが可能とされている。
しかしながら、注出筒の内側を利用して、内容物の注出だけでなく空気の導入を同時に行っているので、容器本体内への空気の導入量を任意に変化させることが難しい。そのため、内容物の注出量を制御することが難しい。これにより、例えば少量の内容物を注出する、或いは大量の内容物を注出する等といった要求に応えることが難しく、改善の余地がある。
【0006】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、その目的は、内容物の注出量を制御することができるヒンジキャップを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(1)本発明に係るヒンジキャップは、内容物が収容される容器本体の口部に装着されるキャップ本体と、前記キャップ本体に第1ヒンジ部を介して回動可能に連結され、前記キャップ本体を覆う蓋体と、を備え、前記キャップ本体は、前記容器本体の口部を閉塞する閉塞壁を備え、前記閉塞壁には、内容物を注出する注出口、及び前記容器本体内に外気を導入させる外気導入口を有する外気導入筒が形成され、前記注出口及び前記外気導入口は、キャップ軸方向から見た平面視で、前記注出口、前記外気導入口及び前記第1ヒンジ部がこの順に前記キャップ本体の径方向に沿って並ぶように配置され、前記蓋体は、前記第1ヒンジ部に連結されると共に、前記外気導入口を覆う第1蓋体と、前記第1ヒンジ部と同方向に回動する第2ヒンジ部を介して前記第1蓋体に回動可能に連結されると共に、前記注出口を覆う第2蓋体と、を備え、前記第1蓋体には、前記外気導入口を閉塞すると共に、前記第1ヒンジ部回りの前記第1蓋体の開操作に伴って前記外気導入口から離脱可能とされた第1栓体が設けられ、前記第2蓋体には、前記注出口を閉塞すると共に、前記第2ヒンジ部回りの前記第2蓋体の開操作に伴って前記注出口から離脱可能とされた第2栓体が設けられ、前記第1栓体は、前記外気導入筒の内側に上方から入り込むことで前記外気導入口を閉塞し、前記第1栓体のうち前記外気導入筒内に入り込む部分を除いた部分には、前記第1ヒンジ部側に向けて突出する縦リブが形成され、前記縦リブには、前記縦リブよりも下方に向けて延びるように形成され、前記外気導入筒に対して前記第1ヒンジ部側から接触する案内ガイドが形成されていることを特徴とする。
【0008】
本発明に係るヒンジキャップによれば、キャップ本体を覆う蓋体が、キャップ本体に第1ヒンジ部を介して連結された第1蓋体と、第1蓋体に第2ヒンジ部を介して連結された第2蓋体と、を備え、2段階で開く構造とされている。そのため、第1蓋体を閉蓋状態に維持したまま、第2ヒンジ部回りに第2蓋体を開操作することで、第2蓋体だけを開蓋状態にすることが可能である。さらには、第1ヒンジ部回りに第1蓋体を開操作することで、第1蓋体及び第2蓋体の両方を開蓋状態にすることができる。このように、開操作する蓋体(第1蓋体、第2蓋体)を任意に選択しながら、内容物の注出を行える。
【0009】
例えば第1蓋体を閉蓋状態に維持したまま、第2ヒンジ部回りに第2蓋体を開操作した場合には、外気導入口を閉塞した状態を維持したまま、注出口から第2栓体を離脱させることができ、注出口を開放することができる。これにより、例えば容器本体を傾倒させることで、注出口を通じて容器本体内の内容物を外部に注出することができる。この際、外気導入口が閉塞しているので、注出口を通じて容器本体に外気を導入することができ、容器本体内の空気置換を行える。
【0010】
次に、第1ヒンジ部回りに第1蓋体を開操作することで、第1蓋体及び第2蓋体の両方を開蓋状態にした場合には、注出口から第2栓体を離脱させ、且つ外気導入口から第1栓体を離脱させることができる。従って、注出口及び外気導入口の両方を開放することができる。これにより、外気導入口を優先的に利用して、容器本体内の空気置換を行いながら、内容物の注出を行える。
この場合には、外気導入口を利用して空気置換を行えるので、注出口を空気置換に用いる必要がなく、専ら内容物の注出に用いることができる。従って、注出口を通じて内容物を効率良く注出することができ、外気導入口が閉塞されている場合に比べて内容物を大量に注出することができる。従って、第1蓋体及び第2蓋体の開操作に応じて、内容物の注出量を制御することができる。そのため、用途に応じて注出量を任意に変化させる等といった使い方を行うことができ、使い易いヒンジキャップとすることができる。
【0011】
しかも、第1蓋体及び第2蓋体の開操作を行うだけの簡便な操作で内容物の注出量を制御できるので、操作性に優れたヒンジキャップすることができる。さらに、いずれの場合であっても注出口を通じて内容物を注出できるので、一定の注出位置から内容物を注出することができる。従って、対象物に対して内容物を安定して注出することができ、操作感が変化せず、注出操作を行い易い。
【0012】
(2)前記第1蓋体及び前記第2蓋体には、前記第2蓋体を開蓋状態で保持する保持部材が設けられても良い。
【0013】
この場合には、保持部材を利用して第2蓋体を開蓋状態で保持できるので、外気導入口を閉塞した状態で注出口から内容物を注出する際に、第2蓋体が意図せずに閉蓋状態に戻ってしまうことや、第2蓋体にがたつき等が生じること等を抑制することができる。従って、第2蓋体を気にすることなく、内容物の注出操作を行うことができ、使い易い。
【0014】
(3)前記外気導入口は、キャップ軸方向から見た平面視で、前記径方向に沿って延びる長孔状に形成されても良い。
【0015】
この場合には、外気導入口を通じて外気を優先的に導入しながら、注出口を通じて内容物を注出する際に、例えば指先等を利用して長孔状の外気導入口の少なくとも一部を閉塞することが可能となる。しかも、外気導入口を塞ぐ量を変化させることができる。これにより、容器本体内への外気の導入量を任意に変化させることができるので、注出口を通じた内容物の注出量を微調整することができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、内容物の注出量を制御することができ、使い易いヒンジキャップとすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明に係るヒンジキャップの第1実施形態を示す縦断面図である。
図2図1に示す第2蓋体を第2ヒンジ部回りに開操作した状態を示す縦断面図である。
図3図1に示す第1蓋体を第1ヒンジ部回りに開操作した状態を示す縦断面図である。
図4図3に示すヒンジキャップの上面図である。
図5図2に示す状態から容器本体を傾けて内容物を注出している状態を示す縦断面図である。
図6図3に示す状態から容器本体を傾けて内容物を注出している状態を示す縦断面図である。
図7】本発明に係るヒンジキャップの第2実施形態を示す縦断面図である。
図8図7に示す第1蓋体を第1ヒンジ部回りに開操作した状態を示す縦断面図である。
図9図8に示すヒンジキャップの上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
(第1実施形態)
本発明に係るヒンジキャップの第1実施形態について、図面を参照して説明する。
図1に示すように、本実施形態のヒンジキャップ1は、内容物が収容される容器本体2の口部2aに装着された筒状のキャップ本体10と、キャップ本体10に対して第1ヒンジ部11を介して連結され、キャップ本体10を覆う有頂筒状の蓋体12と、を備えている。
なお、キャップ本体10及び蓋体12は、例えば射出成形等によって一体に形成された成形品とされている。
【0019】
ヒンジキャップ1及び容器本体2は、それぞれの中心軸線が共通軸上に位置された状態で配設されている。本実施形態では、この共通軸をキャップ軸O1といい、キャップ軸O1に沿った蓋体12側を上側といい、容器本体2側を下側という。さらにキャップ軸O1方向から見た平面視において、キャップ軸O1に交差する方向を径方向といい、キャップ軸O1回りに周回する方向を周方向という。
さらに径方向のうち互いに直交し合う一方向を前後方向L1といい、他方向を左右方向L2という。さらには前後方向L1のうち第1ヒンジ部11側を後方とし、その反対側を前方とする。
【0020】
図1に示すように、容器本体2の口部2aの外周面には、径方向の外側に向けて突出した第1係合突起3が形成されている。第1係合突起3は、環状に形成されていても構わないし、周方向に間隔をあけて複数形成されていても構わない。
なお、容器本体2の口部2aに第1係合突起3を形成する場合に限定されるものではなく、例えば第1係合突起3に代えて、容器本体2の口部2aの外周面に雄ねじ部を形成しても構わない。
【0021】
容器本体2内に収容される内容物は、特に限定されるものではないが、例えば、液体食品や液体調味料等の流動性を有する液状の内容物等を好適に利用することができる。さらには、内容物として、例えば塩や紛体食品調味料、小麦粉等の紛体状の内容物や、肥料、除草剤等の粒体状の内容物等を用いることも可能である。
【0022】
図1図4に示すように、キャップ本体10は、容器本体2の口部2aに装着される装着部20と、装着部20に連設されると共に、容器本体2の口部2aを覆って閉塞する閉塞壁40と、を備えている。
【0023】
装着部20は、容器本体2の口部2aの上端開口縁上に位置する環状のフランジ部21と、フランジ部21の内周縁部から下方に向けて延びると共に、容器本体2の口部2aの内側に嵌合するシール筒22と、フランジ部21の外周縁部から下方に向けて延びると共に、容器本体2の口部2aを径方向の外側から囲む装着筒23と、を備えている。
【0024】
フランジ部21には、上方に向けて突出すると共に蓋体12を下方から支持する環状の支持筒24が形成されている。
シール筒22及び装着筒23は、例えば打栓によって、シール筒22と装着筒23との間に形成された装着溝25内に口部2aが入り込むことで、口部2aに対して嵌合固定されている。この際、シール筒22及び装着筒23は、口部2aを内外から挟み込んでいるので、強固な嵌合力で口部2aに装着されている。なお、シール筒22は、容器本体2の口部2aの内側に例えば気密に嵌合され、容器本体2を適切に密封している。
【0025】
図示の例では、装着筒23は、容器本体2の口部2aに対してアンダーカット嵌合されている。
具体的には、装着筒23の下端部における内周面には、口部2aの外周面に形成された第1係合突起3に係合する第2係合突起26が径方向の内側に向けて突出しており、第2係合突起26が第1係合突起3に対してアンダーカット嵌合されている。
なお、第2係合突起26は、第1係合突起3に対してアンダーカット嵌合可能とされていれば、環状に形成されていても構わないし、周方向に間隔をあけて複数形成されていても構わない。
【0026】
ただし、容器本体2の口部2aに対する装着筒23の装着方法は、打栓等によるアンダーカット嵌合に限定されるものではない。例えば先に述べたように、容器本体2の口部2aの外周面に雄ねじ部を形成した場合には、装着筒23の内周面に雄ねじ部に螺合する雌ねじ部を形成することで、螺着によって容器本体2の口部2aに対して装着筒23を装着しても構わない。
【0027】
装着筒23の上端部のうち前方側に位置する部分には、キャップ軸O1を中心として略180°の範囲に亘って下方に凹むように形成された平面視円弧状の段差部30が形成されている。なお、装着筒23の上端部のうち後方側に位置する残りの部分は、上端面が閉塞壁40の上面と略面一とされた平面視円弧状の後方部35とされている。
【0028】
段差部30は、閉塞壁40の上面よりも下方に位置すると共に周方向に延びる平面視円弧状の平坦面31と、平坦面31の周端部と後方部35との間をそれぞれ接続する第1傾斜面32及び第2傾斜面33と、を備えている。
第1傾斜面32及び第2傾斜面33は、キャップ軸O1を挟んで径方向に向かい合うように配置されている。つまり、第1傾斜面32及び第2傾斜面33は、キャップ軸O1を挟んで左右方向L2に沿って並ぶように配置されている。さらに第1傾斜面32及び第2傾斜面33は、平坦面31から後方部35側に向かうにしたがって上方に向けて延びるように、傾斜した状態で形成されている。
【0029】
装着筒23における後方部35のうち、後方側に位置する部分の外周面には、第1ヒンジ部11が連結されている。
図4に示すように、装着筒23における後方部35の外周面には、径方向の内側に向けて、平面視略V字状に切り込まれた切り込み部36が形成されている。切り込み部36は、後方部35のうち第1ヒンジ部11と第1傾斜面32との間に位置する部分に形成されている。切り込み部36は、後方部35の上端面から下方に向けて延びるように形成され、上方に向けて開口している。なお、切り込み部36は、下端部に図示しない薄肉底壁が残るように形成されている。
【0030】
さらに、装着筒23における後方部35のうち切り込み部36に対応する部分の内周面には、図示しない内側切り込み部が切り込み部36に対応して上下方向に沿って縦長に形成されている。これにより、切り込み部36の内側には、薄肉の縦方向引き裂きラインとして機能する縦弱化部37が形成されている。
【0031】
図1及び図4に示すように、装着筒23における後方部35には、上方に向けて開口したスリット溝38が形成されている。スリット溝38は、縦弱化部37を挟んで切り込み部36とは周方向の反対側に位置する部分を起点として、第2傾斜面33に向けて周方向に延びるように形成されている。スリット溝38は、第2傾斜面33に達する程度の長さで平面視円弧状に形成されていると共に、平坦面31に連なるように形成されている。
なお、スリット溝38の底面のうち、該スリット溝38の起点付近に位置する部分の内周側は、周方向に延びる薄肉の横弱化部39とされている。この横弱化部39は、薄肉の周方向引き裂きラインとして機能する。
さらに装着筒23における後方部35のうち、切り込み部36と第1傾斜面32との間に位置する部分は、厚肉部34とされている。
【0032】
上述のように、キャップ本体10に切り込み部36、縦方向引き裂きラインとして機能する縦弱化部37、及び周方向引き裂きラインとして機能する横弱化部39が形成されているので、容器本体2の口部2aからヒンジキャップ1を分別廃棄することが可能とされている。この点については、後に説明する。
【0033】
図1図4に示すように、閉塞壁40は、シール筒22の上端部に、外周縁部が全周に亘って繋がるように形成されている。これにより、閉塞壁40は、装着部20に連設されると共に、容器本体2の口部2aを上方から覆って塞いでいる。
閉塞壁40には、内容物を注出する注出口41を有する注出筒42と、容器本体2内に外気(空気)を導入させる外気導入口43を有する外気導入筒44と、が設けられている。
【0034】
注出筒42は、キャップ軸O1よりも前方側に配置され、閉塞壁40から上方に向けて突出するように形成されている。注出口41は、注出筒42の内側に配置され、閉塞壁40を上下に貫通するように形成されている。これにより、注出筒42は、注出口41を通じて容器本体2内に連通している。そのため、注出筒42の内側を通じて内容物を外部に注出することが可能とされている。
なお、注出口41の中心を上下に貫く軸線を、注出軸O2と称する。
【0035】
注出筒42は、上端部側の内径が上方に向かうにしたがって漸次拡径するように形成されている。さらに注出筒42の突出高さは、全周に亘って同一ではなく、周方向に沿って変化している。具体的には、注出筒42は、突出高さが最も高い頂上部42aが前方側に位置し、突出高さが最も低い低位置部42bが後方側に位置するように形成されている。これにより、注出筒42は、頂上部42a及び低位置部42bが、注出軸O2を挟んで前後方向L1に向かい合うように形成されている。
このように注出筒42が形成されているため、頂上部42aが下向きとなるように容器本体2を前方に向けて傾けることで、内容物をスムーズに注出することが可能とされている。
【0036】
さらに、閉塞壁40には、下方に向けて突出する有底筒状の流量調整筒45が形成されている。流量調整筒45は、閉塞壁40から下方に向けて延びる周壁46と、周壁46の下端開口部を閉塞する底壁47と、を備え、注出軸O2と同軸に形成されている。これにより、流量調整筒45は、注出口41を下方から覆うように形成されている。
【0037】
周壁46は、注出口41の開口周縁部を囲むように形成されていると共に、下方に向かうにしたがって縮径するように形成されている。ただし、周壁46の形状は、この場合に限定されるものではなく、例えばストレート状に形成されても構わない。
さらに周壁46には、該周壁46を径方向に貫通する縦長のスリット孔48が、注出軸O2を中心として周方向に間隔をあけて複数形成されている。図示の例では、スリット孔48は、周壁46の周方向に等間隔をあけて4つ形成されている。さらにスリット孔48は、周壁46の上端部から下端部に亘って形成され、下方に向けて開口している。
【0038】
このように、流量調整筒45が形成されているため、容器本体2内の内容物を、スリット孔48を通過させた後に注出口41に向けて流動させることができる。従って、スリット孔48を利用して内容物の流量を抑制することができ、容器本体2内の内容物が注出口41を通じて注出筒42内に勢いよく流れ込むことを抑えることが可能とされている。
なお、流量調整筒45は、必須なものではなく、具備しなくても構わない。さらに、スリット孔48の開口形状、開口サイズ、個数等は、例えば内容物の種類、用途等に応じて適宜変更しても構わない。
【0039】
外気導入筒44は、キャップ軸O1よりも後方側に配置され、閉塞壁40から上方及び下方に向けて突出するように形成されている。外気導入口43は、外気導入筒44の内側に配置され、閉塞壁40を上下に貫通するように形成されている。これにより、外気導入筒44は、外気導入口43を通じて容器本体2内に連通している。そのため、外気導入筒44の内側を通じて、容器本体2内に外部から外気を導入することが可能とされている。
なお、外気導入口43の中心を上下に貫く軸線を、外気導入軸O3と称する。
【0040】
外気導入筒44は、注出筒42の外径よりも小さい外径の円筒状に形成されていると共に、上方及び下方に向けてストレート状に延びるように形成されている。図示の例では、外気導入筒44は、閉塞壁40から下方に向けた突出量よりも、閉塞壁40から上方に向けた突出量の方が大きくなるように形成されている。ただし、外気導入筒44の上方に向けた突出高さは、注出筒42の突出高さよりも低くなるように形成されている。
外気導入筒44は、閉塞壁40から上方及び下方に向けて延びるように形成されているが、少なくとも閉塞壁40から上方に向けて延びていれば良い。
【0041】
上述のように、閉塞壁40には、キャップ軸O1よりも前方側に注出筒42が設けられ、キャップ軸O1よりも後方側に外気導入筒44が設けられている。
従って、図4に示すように、キャップ軸O1方向から見た平面視で、注出口41を含む注出筒42、外気導入口43を含む外気導入筒44、及び第1ヒンジ部11は、キャップ本体10の径方向に沿って直線状に並ぶように配置されている。従って、注出口41を含む注出筒42は、外気導入口43を含む外気導入筒44を挟んで第1ヒンジ部11とは反対側に位置するように配置されている。
つまり、キャップ軸O1方向から見た平面視で、注出口41を含む注出筒42、外気導入口43を含む外気導入筒44及び第1ヒンジ部11は、前後方向L1に沿って並ぶように配置され、且つ前方から後方に向けて、この順番で並ぶように配置されている。
【0042】
図1図4に示すように、蓋体12は、第1蓋体50及び第2蓋体60を備える2パーツ構成とされている。蓋体12は、全体としてはキャップ周壁70及びキャップ頂壁71を有する有頂筒状に形成され、キャップ本体10における注出筒42及び外気導入筒44を上方から覆っている。
【0043】
キャップ周壁70の下端面は、キャップ本体10における装着筒23の上端面に対して接触する。これにより、キャップ本体10に対して蓋体12を閉めた際に、蓋体12を安定した姿勢で閉蓋状態に維持することが可能とされている。
さらに、キャップ周壁70の下端部側の内周面には、キャップ本体10の支持筒24に対して着脱可能に嵌合される蓋係合部72が形成されている。蓋係合部72は、キャップ周壁70の全周に亘って環状に形成されている。ただし、蓋係合部72は、環状に形成されている必要はなく、例えば周方向に間隔をあけて複数形成されても構わない。
【0044】
蓋係合部72は、キャップ周壁70の内周面から径方向の内側に向けて突出すると共に、支持筒24の上端開口縁に対して上方から接触する係合面を有する第1蓋係合部73と、キャップ周壁70のうち第1蓋係合部73よりも下方に位置する部分の内周面から径方向の内側に向けて突出すると共に、支持筒24に対しアンダーカット嵌合される第2蓋係合部74と、を備えている。
【0045】
このように、キャップ周壁70に蓋係合部72が設けられているので、キャップ本体10に対して蓋体12が意図せずに開蓋してしまうことを抑制することができる。
さらに、キャップ周壁70の下端面のうち、装着筒23に形成された段差部30(平坦面31、第1傾斜面32及び第2傾斜面33)に対向する部分には、下方に向けて延びる被覆壁75が形成されている。
被覆壁75は、段差部30に対応して周方向に延びる平面視円弧状に形成されている。被覆壁75の下端部は、段差部30を構成する平坦面31、第1傾斜面32及び第2傾斜面33のそれぞれに対して、近接或いは当接するように形成されている。
【0046】
キャップ周壁70における後側部分の外周面には、第1ヒンジ部11が連結されている。これにより、第1ヒンジ部11は、キャップ軸O1方向から見た平面視で、外気導入筒44よりも後方に配置される。従って、注出筒42及び外気導入筒44とは径方向の反対側に向けて、すなわち後方側に向けて、蓋体12の全体を開操作することが可能となる。
【0047】
なお、キャップ周壁70のうち、キャップ軸O1を挟んで第1ヒンジ部11とは反対側に位置する前側部分には、径方向の外側に向けて突出した摘み片76が形成されている。この摘み片76を利用することで、蓋体12を容易に開閉操作することが可能とされている。
【0048】
上述のように構成された蓋体12は、先に述べたように第1蓋体50及び第2蓋体60によって構成されている。
具体的には、蓋体12のうち、主に外気導入口43及び外気導入筒44を上方から覆う部分が第1蓋体50とされ、主に注出口41及び注出筒42を上方から覆う残りの部分が第2蓋体60とされている。
【0049】
これにより、第1蓋体50は、第1ヒンジ部11に連結されている。さらに、キャップ頂壁71のうち、第1蓋体50と第2蓋体60との間に位置する部分には、薄肉に形成された第2ヒンジ部80が形成されている。第2ヒンジ部80は、左右方向L2に沿って直線状に延びるように形成されていると共に、キャップ周壁70に達するように形成されている。これにより、蓋体12は、第2ヒンジ部80を挟んで前後方向L1に区画されるように形成されている。
そして、蓋体12のうち第2ヒンジ部80よりも後方側に位置する部分が第1蓋体50として機能し、第2ヒンジ部80よりも前方側に位置する部分が第2蓋体60として機能する。
【0050】
なお、第2ヒンジ部80は、キャップ軸O1方向から見た平面視で、キャップ軸O1よりも後方側にシフトした位置に形成されている。そのため、本実施形態では、第1蓋体50のサイズよりも第2蓋体60のサイズの方が大きくなるように形成されている。ただし、この場合に限定されるものではなく、キャップ軸O1方向から見た平面視で、第2ヒンジ部80をキャップ軸O1と重なる位置に形成しても構わないし、キャップ軸O1よりも前方側にシフトした位置に形成しても構わない。
【0051】
上述のように構成されているため、第2蓋体60は、第1ヒンジ部11と同方向に(前後方向L1)に回動する第2ヒンジ部80を介して第1蓋体50に連結されている。そのため、図3に示すように、第1蓋体50を閉蓋状態に維持したまま、第2ヒンジ部80回りに第2蓋体60を開閉操作することが可能とされている。これにより、第1蓋体50を閉蓋状態に維持したまま、第2蓋体60を開操作することで、注出口41及び注出筒42を外部に露出させることが可能となる。
【0052】
さらに、図3に示すように、第1ヒンジ部11回りに第1蓋体50を開操作することで、第2蓋体60の回動状態に関係なく、蓋体12の全体を開蓋状態にすることができる。これにより、注出口41及び注出筒42だけでなく、外気導入口43及び外気導入筒44を外部に露出させることが可能となる。
【0053】
図1図4に示すように、キャップ頂壁71のうち第1蓋体50を構成する部分には、外気導入口43を閉塞すると共に、第1ヒンジ部11回りの第1蓋体50の開操作に伴って外気導入口43から離脱可能とされた外気導入栓(第1栓体)81が設けられている。
外気導入栓81は、キャップ頂壁71から下方に向けて延びるように形成された円柱状に形成され、外気導入軸O3と同軸に形成されている。図示の例では、外気導入栓81は、下方に向かうにしたがって縮径するように形成され、外気導入筒44の内側に上方から入り込むことで、外気導入口43を閉塞している。
【0054】
さらに、外気導入栓81のうち、外気導入筒44内に入り込む部分を除いた部分に、後方に向けて突出する縦リブ82が一体に形成されている。縦リブ82の後端部には、外気導入軸O3を中心として周方向に延びる平面視円弧状の案内ガイド83が一体に形成されている。案内ガイド83の下端部は、縦リブ82よりも下方に向けて延びるように形成され、外気導入筒44に対して後方から接触している。
【0055】
これにより、外気導入栓81及び案内ガイド83を利用して、外気導入筒44を内外から挟むことができ、外気導入筒44の内側に外気導入栓81を安定して入り込ませることができる。特に、第1ヒンジ部11回りに第1蓋体50を閉操作した場合に、外気導入筒44に対して、外気導入栓81よりも前に案内ガイド83を接触させることができる。そのため、外気導入筒44に対して案内ガイド83を接触させながら、外気導入筒44の内側に外気導入栓81を案内することができる。従って、確実且つスムーズに外気導入筒44の内側に外気導入栓81を入り込ませることが可能である。
【0056】
さらに、キャップ頂壁71のうち第2蓋体60を構成する部分には、注出口41を閉塞すると共に、第2ヒンジ部80回りの第2蓋体60の開操作に伴って注出口41から離脱可能とされた注出栓(第2栓体)85が設けられている。
注出栓85は、キャップ頂壁71から下方に向けて延びるように形成された円筒状に形成され、注出軸O2と同軸に形成されている。注出栓85は、注出筒42の内側に上方から入り込むことで、注出口41を閉塞している。なお、注出栓85は、円筒状に形成される場合に限定されるものではなく、例えば中実の円筒状に形成されても構わない。
【0057】
さらに、キャップ周壁70のうち注出栓85の上端部を囲む部分は、環状の薄肉部86とされている。薄肉部86は、キャップ周壁70の下面側に形成された環状の凹部によって形成されている。
このように、キャップ頂壁71に薄肉部86が形成されているため、例えば内容物が高温充填された容器本体2にヒンジキャップ1を打栓するときに、打栓によって容器本体2内の圧力が上昇したとしても、薄肉部86による変形を利用して圧力を緩和することができる。従って、圧力上昇に起因して、キャップ本体10から蓋体12が意図せずに開いてしまうことを防止することができる。
【0058】
上述のように構成された第1蓋体50及び第2蓋体60には、図2に示すように、第2蓋体60を開蓋状態で保持する保持部材90が設けられている。
図4に示すように、保持部材90は、第1蓋体50及び第2蓋体60のうちの一方の蓋体12に設けられた保持凸部と、他方の蓋体12に設けられ、保持凸部が嵌合する保持凹部と、を備えている。
【0059】
具体的には、第1蓋体50に第1保持凸部(保持凸部)91が設けられ、第2蓋体60に第1保持凸部91が嵌合する第1保持凹部(保持凹部)92が設けられている。さらには、第2蓋体60に第2保持凸部(保持凸部)95が設けられ、第1蓋体50に第2保持凸部95が嵌合する第2保持凹部(保持凹部)96が設けられている。
従って、第1蓋体50には、第1保持凸部91及び第2保持凹部96の両方が形成されていると共に、第2蓋体60には、第1保持凹部92及び第2保持凸部95の両方が形成されている。
【0060】
第1保持凸部91及び第2保持凹部96は、キャップ頂壁71のうち第1蓋体50を構成する部分の上面に、第2ヒンジ部80に沿うように配置されている。具体的には、第1保持凸部91及び第2保持凹部96は、左右方向L2に沿って交互に並ぶように複数形成されている。図1及び図4に示すように、第2保持凹部96は、キャップ頂壁71の上面から下方に凹むように形成されていると共に、上方及び前方に向けて開口するように形成されている。なお、第2保持凹部96は、平面視矩形状に形成されている。
キャップ頂壁71のうち、左右方向L2に沿って隣り合う第2保持凹部96同士の間に位置する部分が、第1保持凸部91とされている。
【0061】
第1保持凹部92及び第2保持凸部95は、キャップ頂壁71のうち第2蓋体60を構成する部分の上面に、第2ヒンジ部80に沿うように配置されている。具体的には、第1保持凹部92及び第2保持凸部95は、左右方向L2に沿って交互に並ぶように複数形成されている。第1保持凹部92は、キャップ頂壁71の上面から下方に凹むように形成されていると共に、上方及び後方に向けて開口するように形成されている。なお、第1保持凹部92は、平面視矩形状に形成されている。
キャップ頂壁71のうち、左右方向L2に沿って隣り合う第1保持凹部92同士の間に位置する部分が、第2保持凸部95とされている。
【0062】
特に、第2蓋体60に形成された第1保持凹部92及び第2保持凸部95は、第1蓋体50に形成された第1保持凸部91及び第2保持凹部96に対して、前後方向L1に対向するように形成されている。これにより、図2に示すように、第2ヒンジ部80回りに第2蓋体60を開操作した場合に、第1保持凸部91を第1保持凹部92内に嵌合させることができると共に、第2保持凸部95を第2保持凹部96内に嵌合させることが可能とされている。これにより、第2蓋体60を開蓋状態で保持することが可能となる。
【0063】
(ヒンジキャップの作用)
上述のように構成されたヒンジキャップ1の作用について説明する。
製品輸送時や製品流通時等の未開封時では、図1に示すように、注出栓85が注出筒42内に入り込んで注出口41を閉塞していると共に、外気導入栓81が外気導入筒44内に入り込んで外気導入口43を閉塞している。これにより、容器本体2内を密封することができ、外部への内容物の漏出を適切に防止することができる。
【0064】
次に、内容物の注出を行う場合について説明する。
この場合には、キャップ本体10を覆う蓋体12が、キャップ本体10に第1ヒンジ部11を介して連結された第1蓋体50と、第1蓋体50に第2ヒンジ部80を介して連結された第2蓋体60とを備え、2段階で開く構造とされている。従って、第1蓋体50を閉蓋状態に維持したまま、第2ヒンジ部80回りに第2蓋体60を開操作することで、第2蓋体60だけを開蓋状態にすることが可能である。さらには、第1ヒンジ部11回りに第1蓋体50を開操作することで、第1蓋体50及び第2蓋体60の両方を開蓋状態にすることができる。
このように、開蓋する蓋体12(第1蓋体50、第2蓋体60)を任意に選択しながら、内容物の注出を行える。
【0065】
図2に示すように、第1蓋体50を閉蓋状態に維持したまま、摘み片76等を利用して第2蓋体60を第2ヒンジ部80回りに開操作した場合には、外気導入口43を閉塞した状態を維持したまま、注出筒42から注出栓85を離脱させることができ、注出口41を開放することができる。
これにより、図5に示すように、容器本体2を前方に向けて傾けることで、注出筒42における頂上部42aを下向きにすることができる。そのため、容器本体2内の内容物を、図5に示す矢印Wの如く、スリット孔48及び注出口41を通じて注出筒42内に流動させることができ、注出筒42の頂上部42aから外部に注出することが可能である。
【0066】
この際、外気導入口43が閉塞しているので、図5に示す矢印Fの如く、注出口41から流量調整筒45の後方側に貫通したスリット孔48を通じて容器本体2内に外気を導入することができ、容器本体2内の空気置換を行える。さらに、第2蓋体60を開操作することで、第1蓋体50側の第1保持凸部91を第2蓋体60側の第1保持凹部92内に嵌合させ、第2蓋体60側の第2保持凸部95を第1蓋体50側の第2保持凹部96内に嵌合させることができる。これにより、第2蓋体60を開蓋状態で保持しながら内容物の注出を行うことができる。
なお、内容物の注出後、第2蓋体60を第2ヒンジ部80回りに閉操作することで、注出栓85を注出筒42の内側に再び入り込ませることができ、注出口41を適切に閉塞(シール)することができる。
【0067】
次に、図3に示すように、第1ヒンジ部11回りに第1蓋体50を開操作することで、第1蓋体50及び第2蓋体60の両方を開蓋状態にした場合には、注出筒42から注出栓85を離脱させて注出口41を開放することができると共に、外気導入筒44から外気導入栓81を離脱させて外気導入口43を開放することができる。これにより、注出口41及び外気導入口43の両方を開放することができる。
従って、図6に示すように、容器本体2を前方に向けて傾けることで、先ほどと同様に、図6に示す矢印Wの如く、容器本体2内の内容物を、注出筒42の頂上部42aから外部に注出することが可能である。特に、外気導入口43が開放されているので、図6に示す矢印Fの如く、外気導入口43を優先的に利用して容器本体2内の空気置換を行いながら、内容物の注出を行うことができる。
【0068】
従って、この場合には、外気導入口43を通じて空気置換を適切に行えるので、注出口41を空気置換に用いる必要がなく、専ら内容物の注出に用いることができる。従って、注出口41を通じて内容物を効率良く注出することができ、外気導入口43が閉塞されている場合に比べて、内容物を大量に注出することができる。
従って、第1蓋体50及び第2蓋体60の開操作に応じて、内容物の注出量を制御することができる。そのため、用途に応じて注出量を任意に変化させる等といった使い方を行うことができ、使い易いヒンジキャップ1とすることができる。
【0069】
以上説明したように、本実施形態のヒンジキャップ1によれば、蓋体12が第1蓋体50及び第2蓋体60で構成されているため、第1蓋体50及び第2蓋体60の使い分けを任意に行うことで、内容物の注出量を制御することができる。従って、使い易いヒンジキャップ1とすることができる。
さらに、第1蓋体50及び第2蓋体60の開操作を行うだけの簡便な操作で内容物の注出量を制御できるので、操作性に優れたヒンジキャップ1とすることができる。さらに、いずれの場合であっても注出口41を通じて内容物を注出できるので、一定の注出位置から内容物を注出することができる。従って、対象物に対して内容物を安定して注出することができ、操作感が変化せず、注出操作を行い易い。
【0070】
さらに、第2蓋体60を開操作した際、図2及び図5に示すように、保持部材90を利用して第2蓋体60を開蓋状態で保持することができる。従って、外気導入口43を閉塞した状態で注出口41から内容物を注出する際に、第2蓋体60が意図せずに閉蓋状態に戻ってしまうことや、第2蓋体60にがたつき等が生じること等を抑制することができる。従って、第2蓋体60を気にすることなく、内容物の注出操作を行うことができ、使い易い。
【0071】
なお、内容物を注出し終わった後、ヒンジキャップ1を廃棄する場合について、簡単に説明する。
この場合には、第1ヒンジ部11回りに第1蓋体50を開操作した後、蓋体12の全体を指先等で把持しながら引き上げるように外方に引っ張る。これにより、切り込み部36によって形成された縦弱化部37を破断させることができると共に、続けて横弱化部39を破断させながら、蓋体12を引き上げることができる。さらに、蓋体12を引き上げることで、破断不能な厚肉部34を含むキャップ本体10の全体を容器本体2の口部2aから取り外すことができ、ヒンジキャップ1の全体を取り外すことができる。その結果、ヒンジキャップ1と容器本体2とを分別廃棄することができる。
【0072】
(第2実施形態)
次に、本発明に係るヒンジキャップの第2実施形態について図面を参照して説明する。なお、この第2実施形態においては、第1実施形態における構成要素と同一の部分については、同一の符号を付しその説明を省略する。
【0073】
図7図9に示すように、本実施形態のヒンジキャップ100は、外気導入筒101の形状が第1実施形態と異なっている。外気導入筒101は、左右方向L2よりも前後方向L1に長い筒状に形成されている。これにより、外気導入口43は、前後方向L1に沿って延びる長孔状に形成されている。
これに対応して、キャップ頂壁71に形成された外気導入栓(第1栓体)102は、左右方向L2よりも前後方向L1に細長い板状に形成されている。図示の例では、外気導入栓102は、下方に向かうにしたがって、前後方向L1の長さが漸次短くなるように形成されている。これにより、外気導入栓102は、左右方向L2から見た側面視で、先細りになるテーパ状に形成されている。そのため、外気導入栓102は、第1蓋体50の開閉操作に伴って外気導入筒101内に入り込み易く、且つ外気導入口43内から離脱し易い設計とされている。
【0074】
(ヒンジキャップの作用)
このように構成された本実施形態のヒンジキャップ100であっても、第1実施形態と同様の作用効果を奏功することができる。
それに加えて、第1ヒンジ部11回りに第1蓋体50を開操作した場合には、細長い外気導入筒101が露出する。そのため、外気導入口43を通じて外気を優先的に導入しながら、注出口41を通じて内容物を注出するときに、例えば指先等を利用して外気導入筒101の少なくとも一部を塞ぐことができる。しかも、指先等を滑らすことで、外気導入筒101の塞ぐ量を容易に変化させることができる。
これにより、外気導入口43を塞ぐ量を変化させることができ、容器本体2内への外気の導入量を任意に変化させることができる。従って、注出口41を通じた内容物の注出量を微調整することが可能となる。
【0075】
以上、本発明の実施形態を説明したが、これらの実施形態は例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。実施形態は、その他様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。実施形態やその変形例には、例えば当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のもの、均等の範囲のものなどが含まれる。
【0076】
例えば、上記各実施形態では、第1蓋体50に、第1保持凸部91及び第2保持凹部96の両方を形成し、且つ第2蓋体60に、第1保持凹部92及び第2保持凸部95の両方を形成した場合を例に挙げて説明したが、この場合に限定されるものではない。
例えば、第1蓋体50に保持凸部だけを形成し、第2蓋体60に保持凸部が嵌合する保持凹部だけを形成しても構わない。これとは逆に、第1蓋体50に保持凹部だけを形成し、第2蓋体60に保持凸部が嵌合する保持凹部だけを形成しても構わない。
さらには、保持凸部(第1保持凸部91、第2保持凸部95)、及び保持凹部(第1保持凹部92、第2保持凹部96)は、複数形成されている必要はない。
【符号の説明】
【0077】
O1…キャップ軸
1、100…ヒンジキャップ
2…容器本体
2a…容器本体の口部
10…キャップ本体
11…第1ヒンジ部
12…蓋体
40…閉塞壁
41…注出口
43…外気導入口
50…第1蓋体
60…第2蓋体
80…第2ヒンジ部
81、102…外気導入栓(第1栓体)
85…注出栓(第2栓体)
90…保持部材
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9