(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-14
(45)【発行日】2024-11-22
(54)【発明の名称】照明装置および照明器具
(51)【国際特許分類】
F21V 29/10 20150101AFI20241115BHJP
F21V 29/503 20150101ALI20241115BHJP
F21V 29/70 20150101ALI20241115BHJP
F21V 29/15 20150101ALI20241115BHJP
F21V 23/00 20150101ALI20241115BHJP
F21V 19/00 20060101ALI20241115BHJP
F21S 8/04 20060101ALI20241115BHJP
H05B 47/16 20200101ALI20241115BHJP
H05B 47/105 20200101ALI20241115BHJP
H05B 45/375 20200101ALI20241115BHJP
F21Y 115/10 20160101ALN20241115BHJP
F21Y 103/10 20160101ALN20241115BHJP
【FI】
F21V29/10
F21V29/503
F21V29/70
F21V29/15
F21V23/00 120
F21V23/00 117
F21V23/00 140
F21V19/00 150
F21S8/04 310
H05B47/16
H05B47/105
H05B45/375
F21Y115:10
F21Y103:10
(21)【出願番号】P 2021114020
(22)【出願日】2021-07-09
【審査請求日】2023-11-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】390014546
【氏名又は名称】三菱電機照明株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002941
【氏名又は名称】弁理士法人ぱるも特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大津 定治
(72)【発明者】
【氏名】吉野 浩行
(72)【発明者】
【氏名】坂下 友一
(72)【発明者】
【氏名】芝原 信一
【審査官】土谷 秀人
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2016/0281971(US,A1)
【文献】特開2013-004389(JP,A)
【文献】特開2012-123924(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21V 29/00
F21V 23/00
F21V 19/00
F21S 8/00
H05B 45/00
H05B 47/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、複数の発光素子と、複数の電子部品および前記複数の電子部品の各々を接続する電源配線パターンを有し前記複数の発光素子に電流を供給する電源回路と、を備えた照明装置であって、
前記電源回路は、前記基板の第一の面に実装され、
前記複数の発光素子は、前記第一の面とは反対側の第二の面に実装され、
前記複数の発光素子は、前記基板を挟んで前記電源回路と重なる場所に配置された第一発光素子と、
前記第一発光素子とは異なる場所に配置された第二発光素子と
を含み、
前記第一発光素子は、前記第一の面または前記第二の面に形成された第一放熱パターンと熱的に接続され、
前記第二発光素子は、前記第一の面または前記第二の面に形成された第二放熱パターンと熱的に接続され、
前記第一放熱パターンの面積は、前記第二放熱パターンの面積よりも広く形成されていることを特徴とする照明装置。
【請求項2】
前記第一発光素子は、前記第二の面に形成された第一配線パターンに接続され、
前記第一配線パターンは、前記第一の面に形成された前記第一放熱パターンに第一放熱ビアを介して接続され、
前記第二発光素子は、前記第二の面に形成された第二配線パターンに接続され、
前記第二配線パターンは、前記第一の面に形成された前記第二放熱パターンに第二放熱ビアを介して接続されていることを特徴とする請求項1に記載の照明装置。
【請求項3】
前記第一放熱パターンは、前記電源回路を囲むように形成されていることを特徴とする請求項2に記載の照明装置。
【請求項4】
前記第一放熱パターンは、前記第一の面に形成され、前記第一放熱パターンの少なくとも一部と熱的に接続される放熱部材を備えたことを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の照明装置。
【請求項5】
前記放熱部材は、第一放熱部と、第二放熱部と、を含み、
前記第一放熱部は前記第一放熱パターンの少なくとも一部と熱的に接続され、
前記第二放熱部は前記電子部品の少なくとも一部と熱的に接続されていることを特徴とする請求項4に記載の照明装置。
【請求項6】
前記放熱部材は、第一放熱部と、第二放熱部と、を含み、
前記第一放熱部は前記第一放熱パターンの少なくとも一部と、前記第二放熱パターンの少なくとも一部とに熱的に接続され、
前記第一放熱パターンの前記第一放熱部に接する面積が、前記第二放熱パターンの前記第一放熱部に接する面積より大きいことを特徴とする請求項4に記載の照明装置。
【請求項7】
前記放熱部材は、第一放熱部と、第二放熱部と、断熱部と、を含み、
前記第一放熱部は前記第一放熱パターンの少なくとも一部と熱的に接続され、
前記第二放熱部は前記断熱部を介して設けられ、かつ前記電子部品の少なくとも一部と熱的に接続されていることを特徴とする請求項4に記載の照明装置。
【請求項8】
前記第一発光素子は、前記電子部品のうち発熱量の大きなものほど前記基板を挟んで重なりが小さくなるように配置されていることを特徴とする請求項1から7のいずれか1項に記載の照明装置。
【請求項9】
前記発光素子の点灯および消灯を制御する制御器を備え、
前記第一発光素子は前記第二発光素子の配置間隔よりも狭くなるように配置された複数の切替発光素子を含み、
前記複数の切替発光素子は複数個単位で1つの組を形成し、
前記制御器は、前記1つの組の少なくとも1つの前記切替発光素子が消灯状態となるように前記切替発光素子の点灯及び消灯を制御することを特徴とする請求項1から8のいずれか1項に記載の照明装置。
【請求項10】
前記制御器は、前記1つの組の少なくとも1つの前記切替発光素子が消灯状態となるように前記切替発光素子の点灯及び消灯を周期的に制御することを特徴とする請求項9に記載の照明装置。
【請求項11】
前記制御器は、前記第一発光素子および前記電源回路の少なくとも一方の温度を検出する温度検出部を備え、
前記温度検出部により検出された温度が予め設定された閾値以上の時に、前記切替発光素子からの発熱量を抑制するように前記切替発光素子の点灯及び消灯を制御することを特徴とする請求項9または10に記載の照明装置。
【請求項12】
請求項1から11のいずれか1項に記載の照明装置と、前記照明装置の前記第一の面側に取付けられた器具本体とを備えた照明器具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、照明装置および照明器具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
LEDを代表とする各光源を有する照明装置の一形態に、複数の発光素子と、発光素子に電力供給して点灯させるための駆動回路を構成する電子部品とを1枚の基板上に実装する照明装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1では、発光素子および回路部品を基板の同一面に実装し、発光素子および回路部品の実装面とは反対面を、照明器具本体の取付面部に取付けることにより、発光素子および回路部品で発生する熱を効率よく放出している。
【0004】
特許文献1のように、基板の同一面に発光素子および回路部品を実装すると、回路部品が実装される箇所は発光しないため、一面全体の発光ができない、あるいは発光面積を大きくするには回路部品の実装面積を考慮してさらに大きくしなくてはならないという課題があった。
【0005】
このような課題に対し、出願人は一面全体の発光を行う方法として、発光面とは反対の面に回路部品を実装し、発光面のスペースに放熱パターンを形成する、あるいはビアを介して発光面と反対側に放熱パターンを形成する等の方法を提案し、放熱効率を向上させている(特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特許6722856号公報
【文献】特開2011-204442号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献2のように、発光面とは反対の面に回路部品を実装すると、発熱部品である発光素子と回路部品が表裏で重なりあう領域と重なりあわない領域とが生じるため、さらなる放熱効率の向上のみならず発光素子と回路部品が表裏で重なりあう領域での放熱効率の向上が求められる。
【0008】
本願は、上記のような課題を解決するための技術を開示するものであり、回路部品を発光素子の実装されている面とは異なる他方の面に実装しても放熱効率を向上させ熱集中を回避可能な構成の照明装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本願に開示される照明装置は、基板と、複数の発光素子と、複数の電子部品および前記複数の電子部品の各々を接続する電源配線パターンを有し前記複数の発光素子に電流を供給する電源回路と、を備えた照明装置であって、前記電源回路は、前記基板の第一の面に実装され、前記複数の発光素子は、前記第一の面とは反対側の第二の面に実装され、前記複数の発光素子は、前記基板を挟んで前記電源回路と重なる場所に配置された第一発光素子と、前記第一発光素子とは異なる場所に配置された第二発光素子とを含み、前記第一発光素子は、前記第一の面または前記第二の面に形成された第一放熱パターンと熱的に接続され、前記第二発光素子は、前記第一の面または前記第二の面に形成された第二放熱パターンと熱的に接続され、前記第一放熱パターンの面積は、前記第二放熱パターンの面積よりも広く形成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本願に開示される照明装置によれば、基板の第二の面に配置される光源素子による一面全体の発光を可能にし、かつ第一の面にまたは第二の面に形成された第一放熱パターンによって、発光素子と回路部品が表裏で重なりあうことによる熱を効率よく放出することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】実施の形態1に係る照明装置の構成を示すY軸方向の正面図である。
【
図2】実施の形態1に係る照明装置の構成を示すZ軸方向の正面上図である。
【
図3】実施の形態1に係る照明装置の構成を示すZ軸方向の正面下図である。
【
図4】実施の形態2に係る照明装置の構成を示すZ軸方向の正面上図である。
【
図5】実施の形態2に係る照明装置の構成を示すZ軸方向の正面下図である。
【
図6】実施の形態1に係る照明装置の構成を示すZ軸方向の正面上図の一部を拡大した図である。
【
図7】実施の形態3に係る照明装置の構成を示すZ軸方向の正面上図の一部を拡大した図である。
【
図8】実施の形態4に係る照明装置の構成を示すY軸方向の正面図である。
【
図9】実施の形態4に係る照明装置の構成を示すZ軸方向の正面上図である。
【
図10】実施の形態4に係る照明装置の構成を示す斜視図である。
【
図11】実施の形態4に係る別の照明装置の構成を示すY軸方向の正面図である。
【
図12】実施の形態4に係る別の照明装置の構成を示すZ軸方向の正面下図である。
【
図13】実施の形態5に係る照明装置の構成を示すY軸方向の正面図である。
【
図14】実施の形態5に係る照明装置の構成を示す斜視図である。
【
図15】実施の形態1に係る照明装置の構成を示すZ軸方向の正面上図の一部を拡大した図である。
【
図16】実施の形態6に係る照明装置の構成を示すZ軸方向の正面上図の一部を拡大した図である。
【
図17】実施の形態7に係る照明装置の構成を示すZ軸方向の正面下図である。
【
図18A】実施の形態7に係る照明装置の回路構成を示す一部模式図である。
【
図18B】実施の形態7に係る照明装置の別の回路構成を示す一部模式図である。
【
図20】実施の形態8に係る照明装置の構成を示すZ軸方向の正面下図である。
【
図21】実施の形態8に係る照明装置の電源回路の回路構成を示す模式図である。
【
図22】実施の形態9に係る照明装置の構成を示すZ軸方向の正面下図である。
【
図23】実施の形態9に係る照明装置の回路構成を示す一部模式図である。
【
図24】
図23の回路構成を有する照明装置の動作タイミングチャートである。
【
図25】実施の形態10に係る照明器具の構成を示す斜視図である。
【
図26】電源回路および制御器のハードウエア構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本願で開示される照明装置の実施の形態について図を参照して説明する。なお、各図中、同一符号は、同一または相当部分を示すものとする。
【0013】
実施の形態1.
以下に、実施の形態1に係る照明装置について図を用いて説明する。
図1から
図3は、実施の形態1に係る照明装置の構成を示す図で、
図1は、Y軸方向の正面図、
図2はZ軸方向の正面上図、
図3はZ軸方向の正面下図である。図において、照明装置1は長尺状の照明器具に具備されるもので、基板10の第一の面11に電源回路20が実装され、第一の面11とは反対側の基板10の第二の面12に発光素子30が実装されている。
【0014】
図2に示される基板10の第一の面11側において、電源回路20は少なくとも電子部品21と電源配線パターン22を備え、外部から供給される電力(以下、外部電力)を入力する入力部を含み、外部電力を変換することで、発光素子30へ供給する任意の電流を生成する。なお、各電子部品21は電子部品21-1、21-2、・・・、21-m(mは自然数)で示されている。また、第一の面11側には電源配線パターン22と接続された電源配線ビア23-1、23-2、第一放熱パターン61に接続された第一放熱ビア51及び第二放熱パターン62に接続された第二放熱ビア52を備えている。なお、第一放熱パターン61と第二放熱パターン62とを合わせて放熱パターン60と呼び、第一放熱ビア51と第二放熱ビア52とを合わせて放熱ビアと呼ぶ。
【0015】
図3に示される基板10の第二の面12側において、例えば発光素子30は基板10のX方向すなわち長手方向に複数並んで実装されており、各発光素子30は光源配線パターン40と接続されている。この光源配線パターン40は第一放熱ビア51を介して第一放熱パターン61に接続された第一配線パターン41と、第二放熱ビア52を介して第二放熱パターン62に接続された第二配線パターン42とから構成される。なお、第一の面11に形成された電源配線パターン22と、第二の面12に形成された光源配線パターン40は、電源配線ビア23、電源配線パターン24を介して電気的に接続されている。ここでは、基板10のX軸方向の一番左の発光素子30が電源配線ビア23-1を介して電源回路20に接続された電流供給の開始点である。
【0016】
図1から
図3では、複数の電源配線ビア23を基板10の長手方向の一端に並べて形成し、第一の面11の長手方向の一端で接続されるように例示しているが、この例に限らない。電源配線ビア23の配置は、例えば基板10の長手方向中央部にあっても良いし、複数の電源配線ビア23を長手方向の両端に配置しても良い。また、第一の面11および第二の面の間を電源配線ビア23によって電気接続する例を示しているが、これに限らず銅線などの配線による接続であってもよい。
【0017】
発光素子30は、光源配線パターン40によって任意の直並列数で接続され、電源回路20が供給する電流によって発光する。発光素子30は、例えばLED(Light Emitting Diode)である。
図3では、複数の発光素子30は一直列で接続され、第一の面11の長手方向の一端から他端に向かって配置される順番通りに光源配線パターン40によって電気的に接続されているが、この例に限らない。複数の発光素子30は、任意の直並列数で電気接続されて良いし、複数の発光素子30の基板の長手方向に対する並び順と、発光素子30の直並列順が一致しなくてもよい。
【0018】
図2に例示の通り、第一の面11には、電源回路20が形成されていない場所に放熱パターン60が形成される。放熱パターン60は、放熱ビア50を介して光源配線パターン40と接続され、発光素子30が発する熱を放出する。すなわち、第一放熱パターン61は、第一放熱ビア51を介して第一配線パターン41に熱的に接続されており、第二放熱パターン62は、第二放熱ビア52を介して第二配線パターン42に熱的に接続されている。
【0019】
ここで、発光素子30のうち、電源回路20の形成された基板10の第一の面11の領域に対向する第二の面12の領域、すなわち基板10を挟んで基板10の表裏で電源回路20と重なるように実装された発光素子を第一発光素子31とし、第一発光素子31以外の発光素子を第二発光素子32とする。第二発光素子32は、基板10の第二の面12のうち第一発光素子31とは異なる場所に配置され、すなわち基板10を挟んで基板10の表裏で電源回路20と重ならないように実装されている。第一発光素子31が発する熱をそれぞれの第一発光素子31に接続された第一配線パターン41および第一放熱ビア51を介して第一放熱パターン61へ伝導させ、同様に第二発光素子32が発する熱をそれぞれの第二発光素子32に接続された第二配線パターン42および第二放熱ビア52を介して第二放熱パターン62へ伝導させる。
【0020】
しかし、
図1に示すように、第一発光素子31が配置される箇所の第一の面11には電源回路20も配置されるため、第二発光素子32が配置される箇所よりも発熱量が多くなる。そのため、第一放熱パターン61の少なくとも一つを、第二放熱パターン62の少なくとも一つよりも広い面積で形成することにより、第一発光素子31の熱を効率よく放出することができ、第一発光素子31の裏面に配置される電源回路20へ伝導する熱を軽減することが期待できる。なお、第一放熱パターン61の少なくとも一つの面積は、第二放熱パターン62の各々の面積よりも大きいことが好ましい。
【0021】
以上のように、実施の形態1に係る照明装置によれば、基板10の第一の面11に電源回路20が実装され、基板10の第二の面12に複数の発光素子30が実装され、複数の発光素子30は第二の面12においてそれぞれ発光素子30に接続された光源配線パターン40および放熱ビア50を介して第一の面11に形成された放熱パターン60に熱的に接続されている。そして、基板10を挟んで電源回路20と重なる位置に実装された第一発光素子31に接続された第一放熱パターン61の面積を電源回路20とは重ならない位置に実装された第二発光素子32に接続された第二放熱パターン62の面積よりも大きくしたので、第一発光素子31から発生する熱を効率よく放熱パターンに伝導させることができる。これにより、第一発光素子31から基板10を介して電源回路20への熱伝導を抑制することができるとともに、逆に電源回路20からの熱も効率よく放熱可能となる。すなわち、熱集中が回避可能な構造となる。その結果、基板10の表裏で電源回路20と発光素子30の位置が重なる実装構造が可能となり、かつ従来のように発光面に電源回路を実装することで発光面積が制限されることがなくなるので、基板面に占める発光面積率の高い、すなわち第二の面12全体の発光が可能な照明装置を提供することが可能となる。
【0022】
なお、上述の外部電力はバッテリーのような直流電力であっても良いし、商用電力のような交流電力であっても良い。
また、電源回路20は発光素子30へ電流を供給できる構成であればどのようなものであっても良い。例えば、DCDC降圧コンバータ、フライバックコンバータ等であっても良いし、1コンバータ方式に限らず、ACDC昇圧コンバータおよびDCDC降圧コンバータの両者を有する2コンバータ方式であっても良い。ACDC昇圧コンバータは、例えば、PFC(Power Factor Correction)回路で構成すれば良い。
【0023】
また、上記実施の形態1では電源回路20を構成する電子部品21のすべてを面実装タイプの電子部品で構成している例を示している。アキシャル部品等を用いないことによって、基板10の表裏を貫通するリード端子が存在せず、発光面である第二の面12に発光しない箇所あるいはリード部品による影の発生を考慮しなくてもよくなる。また、リフロー行程だけで実装が可能となるため、製造上の効率が向上可能な効果も期待できる。
一方で、電子部品21のすべてを面実装タイプの電子部品に限定するわけではなく、アキシャル部品等を用いても良い。このとき、部品実装した際に第二の面12に露出するリード端子部の平坦化処理を行うことが好ましい。
【0024】
さらに、上記実施の形態1では、電子部品21のすべてを第一の面11に実装する例を示しているが、電子部品21あるいは発光素子30と付加的に電気接続される電子部品21および構造部品が、第二の面12に実装されても良い。このとき、発光面である第二の面12に発光しない箇所あるいは影の発生がないように、第二の面12に実装される電子部品21および構造部品は、実装したときに発光素子30以下の高さとなるものを用いることが好ましい。
【0025】
実施の形態2.
以下に、実施の形態2に係る照明装置について図を用いて説明する。
図4および
図5は、実施の形態2に係る照明装置1の構成を示す図で、
図4はZ軸方向の正面上図、
図5はZ軸方向の正面下図である。実施の形態1とは、電源配線ビア23の位置、発光素子30の直並列数および接続の順番が異なる。その他の構成は実施の形態1と同様で、基板10の任意の位置に配置される1つ以上の発光素子30と電源回路20の出力部が電源配線ビア23を介して接続され、複数の発光素子30は光源配線パターン40によって任意の直並列数および任意の接続順で接続され、電源回路20が供給する電流によって発光する。
【0026】
図5において、基板10のX軸方向の左から3番目と4番目の発光素子30が形成する2並列の発光素子群が電流供給の開始点とし、基板10のX軸方向の左から7番目と8番目の発光素子30が形成する2並列の発光素子群が電流供給の終了点とするように、発光素子30を2並列6直列で接続した例である。なお、電流供給の終了点となる電源配線ビア23-2は第一放熱ビア51を兼ねている。
【0027】
図4に示されるように、基板の第一の面11において、電源配線パターン22の長さを短縮および面積を小さくすることができ、面内の放熱パターン60の面積を広く形成することが可能となる。また、基板10を挟んで電源回路20と重なる位置に実装された第一発光素子31に接続された第一放熱パターン61の面積はいずれも電源回路20とは基板10を挟んで重ならない位置に実装された第二発光素子32に接続された第二放熱パターン62の面積よりも大きい。そのため、実施の形態1よりもさらに効率よく放熱できる。
【0028】
なお、実施の形態1および2において、発光素子30に流れる電流の向きがY軸の負の向きと一定になるように、光源配線パターン40を形成しているが、この例に限らず、発光素子30に流れる電流の向きは、X軸方向の正負およびY軸方向の正負に関わらず任意の方向であってよい。
【0029】
以上のように、実施の形態2によれば、実施の形態1と同様の効果を奏する。さらに、電源配線ビア23を基板10の中央部に設けたので、基板10の第一の面11の電源配線パターン22の長さを短縮および面積を小さくすることができ、面内の放熱パターン60の面積を広く形成することが可能となり、より効率よく放熱することが可能となる。
【0030】
実施の形態3.
以下に、実施の形態3に係る照明装置について図を用いて説明する。
図6は、実施の形態1の
図2の一部拡大図で、基板10の第一の面11における電子部品21が実装される箇所を切り取った拡大図である。なお、第二の面12に実装される第一発光素子31を点線で表している。また、電子部品21および第一発光素子31の位置関係を簡便に表すために電源配線パターン22および第一放熱パターン61の図示は省略している。以下、
図6における電子部品21-2および基板10を挟んだ表裏で重なる第一発光素子31に着目して説明する。
【0031】
電子部品21-2は、他の電子部品21と比べて第一発光素子31と基板表裏で重なっている面積が広く、第一発光素子31が発する熱を受けやすい配置となっている。このとき、第一発光素子31から受ける熱によって、電子部品21-2の温度が温度耐量よりも高くなると部品故障等につながる。また、電子部品21-2が抵抗器、スイッチ素子などの他の電子部品21と比べて高い自己発熱を生じる部品である場合、第一発光素子31および電子部品21-2の両者が発する熱が集中するため、他の場所と比べて高い温度となることが予想される。
【0032】
図7は、本実施の形態3に係る照明装置の作用効果を説明するための一部構成図で、
図6における電子部品21および第一発光素子31の部品配置を変更した例である。この配置例は実施の形態2の
図4の一部拡大図に相当する。電子部品21-2が配置される箇所だけに着目すると、第一発光素子31と重ならないように配置されている。なお、図示しない電源配線パターン22が形成されるため、当該発光素子が第一発光素子31であることに変わりはない。電子部品21-2と第一発光素子31とを重ねないことで、第一発光素子31は第二電子部品21-2から受ける熱の軽減、あるいは第一発光素子31および電子部品21-2の両者が発する熱の集中を軽減することが期待できる。
【0033】
なお、電子部品21のすべてを、第一発光素子31を避けて配置することは基板面積の増大につながるため現実的ではない。そのため、電子部品21の中でも、温度耐量の低い部品あるいは発熱量が高い部品を選択的に、第一発光素子31を避けた配置にすることが好ましい。また、部品配置の変更は、
図6と比べたときに電子部品21だけを変更しても良いし、第一発光素子31だけを変更しても良いし、電子部品21および第一発光素子31の両方を変更しても良い。
【0034】
以上のように、実施の形態3によれば、実施の形態1と同様の効果を奏する。さらに、
基板10の電源回路20に対向する位置に実装された第一発光素子31と電源回路20を構成する電子部品21とがZ軸方向に重ならないように配置したので、第一発光素子31は電子部品21から受けるに熱が軽減されるとともに、電子部品21および第一発光素子31の両者が発する熱の集中を軽減することが可能となる。この時、発熱量の大きな電子部品21を優先的に第一発光素子31と重ならない、あるいは重なりが小さくなるように配置するのがよい。
【0035】
実施の形態4.
以下に、実施の形態4に係る照明装置について
図8から
図10を用いて説明する。本実施の形態4は、実施の形態1に放熱部材100を設けた照明装置1の例である。その他の構成は実施の形態1と同様である。
図8は、実施の形態4に係る照明装置1の構成を示すY軸方向の正面図で、
図9は、Z軸方向の正面上図、
図10は斜視図である。
【0036】
図8に示すように、放熱部材100は、基板10の第一の面11に沿って基板10を支持する部位と電子部品21を覆う電源カバー部とから構成される。基板10を支持する部位を金属製の板金で形成し、金属製の電源カバー部とで形成しても良いし、樹脂製の放熱材等であり、支持部と電源カバー部とが一体成形されたものであってもよい。放熱部材100が金属等の導電性材料からなる場合、放熱部材100と第一の面11との間には絶縁部材が配置される。
【0037】
図9は、基板10と放熱部材100の支持部である板金を接触、すなわち熱的に接続させたときの照明装置1を上から見た図で、電源カバー部を取り外した状態の図である。支持部を板金で形成した場合、少なくとも電子部品21と接触しないように電子部品21と板金との間には空隙を有している。支持部の板金は、第一の面11に形成された放熱パターン60の少なくとも一部と絶縁部材を介して熱的に接続し、発光素子30の発する熱を放出する。実施の形態1で述べたように、放熱パターン60のなかでも、第一放熱パターン61の面積を第二放熱パターン62の面積より広くし、第一放熱パターン61が放熱部材100と接する面積を、第二放熱パターン62が放熱部材100と接する面積より広くすることで、第一発光素子31の熱が優先して放熱される構造となる。また、電源カバー部は、電子部品21を覆うことにより、人が電子部品21を容易に触れられない構造を形成するとともに、電源回路20の熱を効率よく放熱させることができ、第一発光素子31に対する熱の影響を小さくすることができる。さらに、支持部の板金および電源カバー部を熱的に接続させることにより、効率よく熱を放出させることが期待できる。
【0038】
図10は、支持部の板金および電源カバー部を熱的に接続させた放熱部材100の斜視図である。なお、熱的な接続が行われる構成であればどのようなものであっても良く、例えば、ネジ止めであっても良いし、ひっかけ構造であっても良いし、あるいは溶接であっても良い。さらに、放熱部材100は支持部の板金および電源カバーの2つの部位からなる構造に限らず、押出し形成などによる一体化された構造であっても良い。
【0039】
上述では、基板10の第一の面11に、第一の面11に沿った支持部と電子部品を覆う電源カバー部とを有する放熱部材100を備えた例について示したが、放熱部材100は基板10の第二の面12に設けてもよい。
【0040】
図11は、実施の形態4に係る別の照明装置1の構成を示すY軸方向の正面図で、
図12は、Z軸方向の正面下図である。
図11において、
図8の構成からさらに放熱部材100を基板10の第二の面12に沿って基板10と接触するように設けている。
図12は、照明装置1を下側から見た図で、第二の面12と接触する放熱部材100は、発光素子30と接触しないように第二の面12の長辺に沿って配置されている。
【0041】
放熱部材100が金属等の導電性材料からなる場合、放熱部材100と第二の面12との間には絶縁部材が配置される。また、
図12に示されるように、第二の面12側と接触する放熱部材100は第二の面12の長辺に沿った2つの部材でなく、発光素子30を囲むような額縁状の1つの部材であってもよい。さらに、第二の面12と接触する放熱部材100は、第一の面と接触する支持部とは、異なる部位からなる構造で示したが、これに限らず一体化された構造であっても良く、基板10を覆うような構造であっても良い。
【0042】
以上のように、実施の形態4に係る照明装置によれば、基板10の第一の面11に沿った支持部と電子部品を覆う電源カバー部とを有する放熱部材100をさらに設け、放熱パターン60および電子部品21と放熱部材とを熱的に接続するようにしたので、実施の形態1の効果に加え、さらに第一の面11からの放熱を促進させることが可能となる。
【0043】
また、基板10の第二の面12に沿った放熱部材100をさらに設け、放熱パターン60と放熱部材とを熱的に接続するようにしたので、第一の面11からの放熱からだけでなく、第二の面12からも放熱を促進させることが可能となる。
【0044】
実施の形態5.
以下に、実施の形態5に係る照明装置について
図13および
図14を用いて説明する。実施の形態4の放熱部材100は、基板10の第一の面11に沿った支持部と電源カバー部とで構成されていたが、本実施の形態5の放熱部材100は第一の面11からの放熱を促進させる支持部と電子部品からの放熱を促進させる部位との間に断熱構造を有するようにした。その他の構成は実施の形態4と同様である。
図13は、実施の形態5に係る照明装置1の構成を示すY軸方向の正面図で、
図14は斜視図である。
【0045】
図13に例示する放熱部材100は、断熱部103を挟んで第一放熱部101(実施の形態4の支持部に相当)および第二放熱部102を有する構造である。第一放熱部101は、少なくとも第一放熱パターン61の一部と熱的に接続され、第二放熱部102は少なくとも電子部品21と熱的に接続されている。第一放熱部101と第二放熱部102とは断熱部103により互いに断熱されるため、第一放熱部101および第二放熱部102はそれぞれが接触しない箇所からの熱伝導を受けることはない。例えば、電子部品21を第二放熱部102とだけ熱的に接続させた場合、電子部品21が発する熱は、第一放熱部101には伝導しないため、第一放熱部101と接続された第一放熱パターン61から伝導する熱を選択的に効率よく放出することができる。
【0046】
なお、断熱部103によって、電源カバーの天井面を第一放熱部101とする例を示しているが、断熱部103が放熱部材100を二つ以上の放熱部に区分けする構造であればよく、
図14で示された位置に断熱部103の設置場所を限定するものではない。
また、第二放熱部102と電子部品21とは、直接接触させる必要はなく、例えば、シリコーン樹脂のような熱伝導性のある絶縁材を介して熱的に接続させてもよい。
【0047】
以上のように、実施の形態5に係る照明装置によれば、基板10の第一の面11に沿った第一放熱部101と電子部品21に熱的に接触する第二放熱部102との間に断熱部103を有する放熱部材100をさらに設けたので、実施の形態1および実施の形態4の効果に加え、放熱パターン60および電子部品21と放熱部材100とを独立に熱的に接触させて放熱を促進させるようにしたので、電子部品21からの熱が第一放熱部101に伝熱されないため、第一放熱パターン61から伝導される熱を効率よく放熱させることが可能となる。
【0048】
実施の形態6.
以下に、実施の形態6に係る照明装置について
図15および
図16を用いて説明する。
図15は、実施の形態1の
図2の一部を拡大した図で、基板10の第一の面11における電子部品21が実装される箇所を切り取った拡大図である。
図15に示すように、実施の形態1では第一放熱ビア51および第一放熱パターン61は、基板10の短手の下方に配置されるため、基板10の短手下方に熱が偏る。
【0049】
図16は、第一放熱パターン61の配置を変更した実施の形態1からの変形例で、実施の形態6に係る照明装置のZ軸方向の正面上図の一部を拡大した図である。
図16において、基板10の短手方向に対して、電源回路20を挟むように複数の第一放熱パターン61を配置している。基板10の短手上方にある第一放熱パターン61を第三放熱パターン61Aとし、短手下方にある第一放熱パターン61を第四放熱パターン61Bとすると、複数の第一放熱パターン61の熱を短手方向の上下で分散することができる。このとき、第三放熱パターン61Aおよび第四放熱パターン61Bの少なくとも一部は、前述の放熱部材100と熱的に接続することでさらに効率よく放熱することができる。
【0050】
なお、
図16では複数の第一放熱ビア51が基板10の長手方向の順に上下が交互となるような第一放熱ビア51、第三放熱パターン61Aおよび第四放熱パターン61Bの配置を例示しているがこれに限らない。例えば、複数の第一発光素子31のうち最も温度上昇が高い第一発光素子31と接続される第一放熱パターン61だけを第三放熱パターン61Aとして、第三放熱パターン61Aを、放熱パターン60のうち最も広い面積を形成するようにしても良い。また、基板10の短手方向に対して複数の第一放熱パターン61で電源回路20を挟む例を示したが、これに限らない。基板10の長手方向に対して複数の第一放熱パターン61で電源回路20を挟むようにパターン形成してもよい。
【0051】
以上のように、実施の形態6によれば、実施の形態1と同様の効果を奏する。さらに、基板10の電源回路20に対向する位置に実装された第一発光素子31に接続される第一放熱ビア51および第一放熱パターン61を、電源回路20を挟んで基板10の短手方向の上下に分散するように、あるいは電源回路20を挟んで基板10の長手方向に分散するように配置したので、第一発光素子31から発せられる熱を効率よく放熱することが可能となる。
【0052】
実施の形態7.
以下に、実施の形態7に係る照明装置について
図17から
図19を用いて説明する。
図17は、実施の形態7に係る照明装置の構成を示すZ軸方向の正面下図である。
図17において、電源回路20の形成された基板10の第一の面11の領域に対向する第二の面12の領域に実装された、すなわち、基板10を挟んで表裏で電源回路20と重なるように実装された第一発光素子31のうち、点灯と消灯の切り替えが行える発光素子を切替発光素子33とし、切替発光素子33はその配置間隔が複数の第二発光素子32の配置間隔よりも狭く配置されている。さらに、切替発光素子33の点灯および消灯を切り替える制御器70が設けられている。制御器70は制御IC71および制御スイッチ72を具備し、切替発光素子33の近傍には制御スイッチ72が設けられている。
【0053】
図18Aは、
図17で示した基板10を挟んで電源回路20の位置に重なる裏面側に切替発光素子33が実装され、制御器70を具備する照明装置1の回路構成を示す一部模式図である。なお、
図17で示した制御スイッチ72は、2つ以上の制御スイッチ72を包含しており、
図18Aにおける制御スイッチ72の個数と必ずしも一致しなくてよい。また、
図18Bは、
図18Aとは異なる、別の回路構成を示す一部模式図である。
【0054】
まず、
図18Aの回路構成の例について説明する。
電源回路20、第二発光素子32、切替発光素子33、第二発光素子32は直列に接続され、電源回路20から供給された電流はこの順に流れる。各切替発光素子33と制御スイッチ72とは並列接続されており、各切替発光素子33は、制御スイッチ72がオン状態のときに消灯し、制御スイッチ72がオフ状態のときに点灯するように、制御IC71によって制御される。すなわち、電流は、制御スイッチ72がオン状態のときに制御スイッチ72を流れ、制御スイッチ72がオフ状態のときに切替発光素子33に流れる。また、図において、各切替発光素子33_nおよび制御スイッチ72_n(nは自然数)は切替発光素子33_1、切替発光素子33_2、・・・切替発光素子33_nの順に直列に接続されている。
【0055】
図19Aは、
図18Aの回路構成を有する照明装置の動作タイミングチャートを示す。奇数番の制御スイッチ72_(2n-1)と偶数番の制御スイッチ72_2nは、互いのオン(H)とオフ(L)が入れ替わるように制御され、この制御に応じて、奇数番の切替発光素子33_(2n-1)と偶数番の切替発光素子33_2nは、一方が点灯しているとき他方は消灯するように点灯と消灯を繰り返す。ここでは、奇数番と偶数番と2つを1組として切替発光素子33の点灯、消灯を切り替えるようにしたが、これに限るものではなく、3つ以上を1組にして切り替えるようにしてもよい。なお、
図19Aでは全ての切替動作の周期と位相が一致するように示しているが、これに限らず、全体の発光量が一定である限り任意の周期および位相で切替動作を行ってよい。
【0056】
次に、
図18Bの回路構成の例について説明する。
並列に接続される複数の切替発光素子33に制御スイッチ72は直列接続され、これらが直列に接続されている。制御IC71は、並列に接続された複数の切替発光素子33の少なくとも一つに電源回路20が供給する電流が流れないように制御する。
図18Bの回路構成は、
図18Aの回路構成よりも制御スイッチ72の数を減らすことが可能である。
【0057】
図19Bは、
図18Bの回路構成を有する照明装置の動作タイミングチャートを示す。
制御スイッチ72_1、切替発光素子33_1、および切替発光素子33_2に着目すると、制御スイッチ72_1がオン(H)の時、切替発光素子33_1に電源回路20からの電流が流れて点灯し、切替発光素子33_2には電流が流れないため消灯する。一方、制御スイッチ72_1がオフ(L)に切替わったとき、切替発光素子33_1に電流が流れなくなり消灯し、切替発光素子33_2に電流が流れて点灯する。
【0058】
また、制御スイッチ72_2、切替発光素子33_3、および切替発光素子33_4に着目すると、制御スイッチ72_2のオンオフの周期が制御スイッチ72_1の2倍であり、切替発光素子33_3および切替発光素子33_4も切替発光素子33_1および切替発光素子33_2の点灯、消灯の周期の2倍の周期で点灯、消灯が切り替えられる。さらに、制御スイッチ72_n、切替発光素子33_2n-1、および切替発光素子33_2nは3倍周期の例である。
【0059】
このように、二並列の切替発光素子33と制御スイッチ72とを一組として切替発光素子33の点灯および消灯を制御する。また、複数の制御スイッチ72それぞれの制御タイミングは任意に設定でき、ある時刻で見たときの点灯パターンが他の時刻で見たときの点灯パターンと異なっていても良い。また、切替発光素子33を二並列としたが、三並列以上であってもよい。
一方、切替発光素子33と接続される第二発光素子32は、常に点灯状態を維持する。
【0060】
図18Aおよび
図18Bの2つの回路構成の動作例について説明したが、この動作例に示すように、複数の切替発光素子33で形成される1組のうち少なくとも一つの切替発光素子33を消灯することで発熱を抑制でき、かつ切替発光素子33の配置間隔を狭めることによって、空間的に不均一発光にならないようにすることが可能となる。すなわち、発光面全体の均一な発光が実現できる。なお、発光素子30の配置間隔とは、各発光素子30の中心点を直線で結んだときの距離とする。
【0061】
なお、切替動作による光のちらつき(フリッカ)が知覚されないように、切替動作の周波数を概ね50Hz以上にすることが好ましい。あるいは、切替動作中の微小時間において、対となる切替発光素子33_(2n-1)および切替発光素子33_2nにおいて一方の発光量を増加させ、かつ他方の発光量を減少させることで、発光量の和が一定となるように切替動作を行い、発光面全体で見たときに時間変化に対して継ぎ目のない点灯が行われることが好ましい。
【0062】
また、本実施の形態7では、各切替発光素子33と並列に制御スイッチ72を接続させ、制御スイッチ72のオンオフ動作によって点灯と消灯を繰り返す例、および二並列一直列の切替発光素子33と制御スイッチ72が直列接続で一対となり、制御スイッチ72の切替動作によって二並列の切替発光素子33が交互に点灯するように制御する例を示したが、この例に限らない。一つの制御スイッチ72は任意の直並列数で切替発光素子33と接続され、点灯および消灯の切替動作をしても良い。
【0063】
さらに、発光素子30が基板10のX軸方向に一直線状に配置しているが、発光面全体の均一な発光が実現できればよく、この例に限らない。基板10のY軸方向に複数列の切替発光素子33を並べて配置しても良いし、X軸方向およびY軸方向のどちらか一方、またはその両方に対して非対称に切替発光素子33を配置しても良い。
【0064】
以上のように、実施の形態7によれば、実施の形態1と同様の効果を奏する。さらに、基板10を挟んで電源回路20と重なる裏面側の位置に切替発光素子33と制御スイッチ72とを実装し、第二発光素子32同士よりも近い距離で複数の切替発光素子33を配置するとともに複数の切替発光素子33と制御スイッチ72とで1組を形成し、制御スイッチ72により1組内の複数の切替発光素子33のうち少なくとも1つは消灯状態になるようにしたので、単位面積当たりの発熱量を抑制することができるとともに空間的、時間的にも継ぎ目のない発光状態を実現することが可能となる。
【0065】
実施の形態8.
以下に、実施の形態8に係る照明装置について
図20および
図21を用いて説明する。
実施の形態7では、制御器70の少なくとも制御スイッチ72が第二の面12に実装された例を示したが、制御器70は第二の面12に実装する必要はなく、第一の面11に実装されても良い。また、電源回路20が制御器70を具備しても良いし、電源回路20が、切替発光素子33の点灯および消灯を切り替える制御器70の機能を備えていても良い。少なくとも第二の面12に制御スイッチ72を設けないことで、発光面に制御スイッチ72による影などが生じず、均一な発光面を得ることができる。
以下、実施の形態8に係る電源回路20が、切替発光素子33の点灯および消灯を切り替える制御器70の機能を備えている例について説明する。
【0066】
図20は、実施の形態8に係る照明装置1の構成を示すZ軸方向の正面下図である。図において、電源回路20の形成された基板10の第一の面11の領域に対向する第二の面12の領域、すなわち、基板10を挟んで表裏で電源回路20と重なるように実装された発光素子を切替発光素子33とし、X軸方向に並ぶ切替発光素子33をY軸方向に2列、互いに千鳥配置になるように設けている。ここで、Y軸方向上側を偶数列、切替発光素子33_2n、下側を奇数列、切替発光素子33_(2n-1)とする。この切替発光素子33の配置例は実施の形態7の変形例に相当する。
【0067】
図21は、実施の形態8に係る照明装置1の回路構成を示す模式図で、特に電源回路20の構成例を示すものである。図において、電源回路20は、入力部200と、複数の出力部201、202、203と、各出力部201、202、203に接続された発光素子30に流れる出力電流を供給する降圧回路部80と、各出力部201、202、203からの出力電流を検出する電流検出部90を備える。ここで、第一出力部201は第二発光素子32と接続され、第二出力部202および第三出力部203は、それぞれ切替発光素子33_2nおよび切替発光素子33_(2n-1)と接続される。
【0068】
降圧回路部80は、入力部200で入力電圧Vinと接続され、入力電圧Vinは、複数の降圧回路部80のそれぞれの入力電圧となる。降圧回路部80は、それぞれスイッチ素子Q81、ダイオードD82、リアクトルL83、コンデンサC84、スイッチ素子Q81の駆動する駆動素子GD85、およびスイッチ素子Q81のオン時間とオフ時間を制御する降圧制御部86を備える。降圧回路部80は、電流検出部90で検出された検出値を降圧制御部86で受信し、出力電流が一定となるように制御を行う。このとき、少なくとも切替発光素子33_2nおよび切替発光素子33_(2n-1)に流れる電流を制御する複数の降圧制御部86は互いに接続され、少なくとも切替発光素子33_2nおよび切替発光素子33_(2n-1)が同時に点灯しないように、どちらか一方は消灯させる制御を行う。すなわち、切替発光素子33_2nと切替発光素子33_(2n-1)のどちらか一方に電流が流れるとき、他方には電流が流れないように制御する。この複数の降圧制御部86の同期制御が、制御器70の代替機能に相当する。
【0069】
なお、複数の降圧制御部86の連携した制御は、時間同期によって消灯制御を行っても良いし、互いの出力電流を検出し、対となる切替発光素子33の点灯および消灯状態を検出して、点灯および消灯状態を制御しても良い。あるいは、複数の降圧制御部86は一つの制御ICを使用して実現しても良い。これらの例は、降圧制御部86が実施の形態7で示した制御器70の動作を兼ねているが、降圧制御部86とは別に制御器70を備え、実施の形態7で示した制御と組み合わせても良い。
また、電源回路20は1入力3出力の例を示したが、これに限らず多入力多出力であって良く、切替発光素子33の各々に個別に電源を設けて切り替え動作をしても良い。
【0070】
以上のように、実施の形態8によれば、実施の形態1および実施の形態7と同様の効果を奏する。また、切替発光素子33の点灯および消灯を切り替えるための制御スイッチ72が発光面である第二の面12にないので、制御スイッチ72による影などが生じず、均一な発光面を得ることができる。さらに、例えば、複数色の光源を個別に制御し、色温度を変化させる電源においては、元々多出力の構成をとるため、制御器70の機能を電源回路20に持たせることにより、制御器70を付加することなく装置構成が小型化する。
【0071】
実施の形態9.
以下に、実施の形態9に係る照明装置について
図22から
図24を用いて説明する。
実施の形態7および8においては、複数の切替発光素子33の点灯および消灯の切替を主として時間に依存して制御していたが、切替発光素子33の配置あるいは対向する面の電子部品21の配置、および切替制御パターンによっては切替発光素子33の温度が上昇することがある。本実施の形態9では、温度検出により制御を行う例について説明する。制御器70は、切替発光素子33、電源回路20のどちらか一方またはその両方の少なくとも一部の箇所の温度を検出する温度検出部73を備えていればよい。
【0072】
図22は、実施の形態9に係る照明装置の構成を示すZ軸方向の正面下図で、実施の形態7の
図17に温度検出部73をさらに設けた例である。
図22では、温度検出部73は基板10の第二の面12の切替発光素子33の近傍に設けられている。
図23は、
図22のように温度検出部73を備えた照明装置の回路構成を示す一部模式図で、実施の形態7の
図18Aの回路構成図の制御器70に温度検出部73が追加され、温度検出部73の出力が制御IC71に入力されることがわかる。また、温度検出部73で検出される温度Tが、予め設定された第一温度閾値Tthr1以上であるときに、温度が低下するように、切替発光素子33の点灯および消灯の切替制御を実施する。第一温度閾値Tthr1以上の温度を検出したときに切替制御が行われるため、より効率よく発熱の分散を行える。
【0073】
以下、温度検出部73で検出される温度Tに対応した切替制御について、
図24の動作タイミングチャートを用いて、説明する。
ここで、制御器70は、上述の第一温度閾値Tthr1に加え、第一温度閾値Tthr1よりも低い温度で第二温度閾値Tthr2が予め設定されている。また、切替発光素子33_2nの方が切替発光素子33_(2n-1)よりも発熱量が小さいものとする。
【0074】
点灯開始前は、全ての切替発光素子は消灯している。点灯動作を開始し、切替発光素子33_(2n-1)は点灯し、切替発光素子33_2nは消灯を維持する。温度Tが第一温度閾値Tthr1以上の値となったタイミングで、制御スイッチ72_(2n-1)はオン(H)および制御スイッチ72_2nはオフ(L)となり切替動作を行う。それにより、切替発光素子33_(2n-1)は消灯し、切替発光素子33_2nは点灯する。
切替動作によって温度Tは第二温度閾値Tthr2以下まで温度が低下する。温度Tが第二温度閾値Tthr2以下となったタイミングで、制御スイッチ72_(2n-1)はオフ(L)および制御スイッチ72_2nはオン(H)となり切替動作を行い、点灯と消灯が入れ替わる。この動作を繰り返すことによって、切替発光素子33は高温に晒されず、効率よく発熱の分散を行うことができる。
【0075】
なお、上述では、温度検出部73が検出する温度に対して、予め第一温度閾値Tthr1および第一温度閾値Tthr1より低い第二温度閾値Tthr2を設定して制御するようにしていたが、閾値は他の設定であってもよい。例えば、温度検出部73を複数箇所配置し、一方の検出箇所においては第一温度閾値Tthr1を設定し、第一温度閾値Tthr1以上となったときに切替動作を行い、他方の検出箇所においては第三温度閾値Tthr3を設定し、第三温度閾値Tthr3以上となったときに切替動作を行うように、検出箇所毎に温度の上限値を設定して切替制御を行っても良い。さらに、実施の形態7または8と組み合わせて、両方が点灯しないように、一方の切替動作は温度を基準に行い、他方の切替動作は経過時間を基準に行っても良い。
【0076】
なお、実施の形態8のように電源回路20が制御器70の機能を具備していれば、温度検出部73で検出された温度を電源回路20の降圧制御部86に出力して、切替発光素子33が高温にならないように降圧制御部86による切替制御を行うことも可能である。
【0077】
以上のように、実施の形態9によれば、実施の形態1、7および8の効果を奏する。さらに、実施の形態9の照明装置は切替発光素子33、電源回路20のどちらか一方またはその両方の少なくとも一部の箇所の温度を検出する温度検出部73を設けたので、切替発光素子33は高温に晒されず、効率よく発熱の分散を行うことができる。
【0078】
実施の形態10.
以下、実施の形態10では、実施の形態1から9に記載の照明装置を用いた照明器具の例について図を用いて説明する。
図25は、実施の形態10に係る照明器具2の斜視図である。図において、照明器具2は、照明装置1と器具本体300とを備える。照明装置1の放熱部材100に本体取付部104を設け、照明装置1の背面カバーを兼ねた器具本体300には本体取付部104と係合され本体取付部104を保持する保持部301を設ける。本体取付部104が保持部301に係合されることにより器具本体300が照明装置1に取付けられる。その状態で、器具本体300が、被取付部に取付けられることにより、照明器具が被取付部に設置される。この被取付部は、例えば、住宅等の天井または壁である。器具本体300は、照明装置1の電源回路20に少なくとも外部電力を供給する入力配線400を器具本体300の外部から内部へ通すための配線孔302を少なくとも一つ備えている。なお、図においては器具本体300を照明装置1から浮かした状態、すなわち、取付け前の状態を示している。器具本体300が照明装置1に取付けられた状態で、照明装置1の基板10の第二の面12を覆うように、光拡散性および透光性を有するカバー部材(図示せず)が器具本体300に取付けられてもよい。
【0079】
電源回路20の入力部と配線孔302の距離は、電源回路20の出力部と配線孔302の距離よりも短くなるように構成される。この構成をとることで、器具本体300の内部における入力配線400の引回しが最短となり、器具本体300の内部における放熱部材100の体積を大きくすることが可能となり、効率よく放熱することができる。
さらに、
図25に示すように、付加放熱部材105のように放熱部材を追加しても良いし、放熱部材100の厚みを厚くしても良い。
【0080】
実施の形態1から9で述べた照明装置1は、長尺状のベース照明を例にとり説明を行ったが、これに限らず発光素子30と電源回路20が一体となる照明装置1であれば器具本体300に取り付けて発光素子30からの放熱性のよい照明器具2を実現できる。実施の形態1から9で述べた照明装置1は、放熱効果の優れた照明装置1であるので、埋込型のダウンライトおよび投光器などにも適用できる。また、発光素子30はLEDを例にとり説明を行ったが、これに限らず有機EL等の他の光源であっても良い。
【0081】
以上のように、実施の形態10によれば、放熱効果の優れた実施の形態1から9の照明装置1を器具本体300に取付けて照明器具2を構成したので、均一で安定した面発光を有する照明器具が実現できる。
【0082】
なお、上記実施の形態に示された照明装置1の電源回路20および制御器70は、ハードウエアの一例を
図26に示すように、プロセッサ1001と記憶装置1002から構成される。記憶装置は図示していないが、ランダムアクセスメモリ等の揮発性記憶装置と、フラッシュメモリ等の不揮発性の補助記憶装置とを具備する。また、フラッシュメモリの代わりにハードディスクの補助記憶装置を具備してもよい。プロセッサ1001は、記憶装置1002から入力されたプログラムを実行する。この場合、補助記憶装置から揮発性記憶装置を介してプロセッサ1001にプログラムが入力される。また、プロセッサ1001は、演算結果等のデータを記憶装置1002揮発性記憶装置に出力してもよいし、揮発性記憶装置を介して補助記憶装置にデータを保存してもよい。
【0083】
<実施の形態の変形例>
上記実施の形態1から9では、基板10の第二の面12に配線パターン41、42が形成され、基板10の第一の面11に放熱パターン61、62が形成されるが、これに限らず、放熱パターンが配線パターン41、42として基板10の第二の面12に形成されてもよい。すなわち、配線パターン41、42自体が放熱の役割を担ってもよい。この場合、少なくとも一つの第一配線パターン41の面積は、少なくとも一つの第二配線パターン42の面積よりも大きく設定される。また、一つの第一配線パターン41の面積は、第二配線パターン42の各々の面積よりも大きく設定されることが好ましい。
【0084】
本願は、様々な例示的な実施の形態及び実施例が記載されているが、1つ、または複数の実施の形態に記載された様々な特徴、態様、及び機能は特定の実施の形態の適用に限られるのではなく、単独で、または様々な組み合わせで実施の形態に適用可能である。
従って、例示されていない無数の変形例が、本願明細書に開示される技術の範囲内において想定される。例えば、少なくとも1つの構成要素を変形する場合、追加する場合または省略する場合、さらには、少なくとも1つの構成要素を抽出し、他の実施の形態の構成要素と組み合わせる場合が含まれるものとする。
【符号の説明】
【0085】
1:照明装置、 2:照明器具、 10:基板、 11:第一の面、 12:第二の面、 20:電源回路、 21:電子部品、 22、24:電源配線パターン、 23:電源配線ビア、 30:発光素子、 31:第一発光素子、 32:第二発光素子、 33:切替発光素子、 40:光源配線パターン、 41:第一配線パターン、 42:第二配線パターン、 50:放熱ビア、 51:第一放熱ビア、 52:第二放熱ビア、 60:放熱パターン、 61:第一放熱パターン、 62:第二放熱パターン、 61A:第三放熱パターン、 61B:第四放熱パターン、 70:制御器、 71:制御IC、 72:制御スイッチ、 73:温度検出部、 80:降圧回路部、 86:降圧制御部、 90:電流検出部、 100:放熱部材、 101:第一放熱部、 102:第二放熱部、 103:断熱部、 104:本体取付部、 200:入力部、 201:第一出力部、 202:第二出力部、 203:第三出力部、 300:器具本体、 301:保持部、 302:配線孔、 400:入力配線。