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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-14
(45)【発行日】2024-11-22
(54)【発明の名称】車体下部構造
(51)【国際特許分類】
   B62D 25/20 20060101AFI20241115BHJP
   B60K 1/04 20190101ALI20241115BHJP
【FI】
B62D25/20 E
B62D25/20 H
B60K1/04 Z
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2021155787
(22)【出願日】2021-09-24
(65)【公開番号】P2023046934
(43)【公開日】2023-04-05
【審査請求日】2023-11-28
(73)【特許権者】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100165179
【弁理士】
【氏名又は名称】田▲崎▼ 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100126664
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 慎吾
(74)【代理人】
【識別番号】100154852
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 太一
(74)【代理人】
【識別番号】100194087
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 伸一
(72)【発明者】
【氏名】早川 大貴
(72)【発明者】
【氏名】千野 峻吾
(72)【発明者】
【氏名】新田 貴志
(72)【発明者】
【氏名】木村 和矢
(72)【発明者】
【氏名】吉岡 秀真
【審査官】長谷井 雅昭
(56)【参考文献】
【文献】独国特許出願公開第102010039109(DE,A1)
【文献】特開2018-075878(JP,A)
【文献】特開2020-026159(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62D 25/20
B60K 1/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
バッテリの車両前方に配置されるフロントクロスメンバと、
前記フロントクロスメンバの車幅方向外側端部に接続され、前記バッテリの車幅方向外側に配置されたリアサイドフレームと、を備える車体下部構造であって、
前記フロントクロスメンバの車両前方に配置されたフロアパネルと、
前記フロアパネルとともに閉断面を形成し、前記車幅方向外側端部に連結されたフロントフロアフレームと、を備え
前記フロントクロスメンバは、
前記フロントクロスメンバの上部を形成するクロスメンバアッパと、前記クロスメンバアッパに接続されて前記フロントクロスメンバの下部を形成するクロスメンバロアと、により閉断面に形成された第1閉断面部を備え、
前記リアサイドフレームは、
前記第1閉断面部に突き当てられ、車両前後方向に延びる閉断面に形成された第2閉断面部を備え、
前記フロントフロアフレームは、
前記クロスメンバアッパと前記クロスメンバロアとに挟持された状態で接続されている、
ことを特徴とする車体下部構造。
【請求項2】
記クロスメンバロアは、
車幅方向の中央部を形成するロア中央部と、
前記ロア中央部の端部に接続されて前記車幅方向外側のロア端部を形成するエクステンション部と、を備え、
前記エクステンション部に前記リアサイドフレーム及び前記フロントフロアフレームが連結されている、
ことを特徴とする請求項1に記載の車体下部構造。
【請求項3】
前記フロントクロスメンバは、
前記クロスメンバアッパのうち車幅方向の中央部を形成するアッパ中央部と前記ロア中央部とが接続されたクロス中央部と、
前記アッパ中央部の端部に形成された前記車幅方向外側のアッパ端部と前記エクステンション部とが接続された拡幅部と、を備え、
前記拡幅部は、
前記クロス中央部に対して車両前後方向の前後方向幅が広く形成され、前記クロス中央部から前記車幅方向外側に向かうに従って車両後方に傾斜する傾斜部を備える、
ことを特徴とする請求項2に記載の車体下部構造。
【請求項4】
前記拡幅部は、
側面視において車両上方向に向かうに従って車両後方に傾斜する閉断面で形成された拡幅閉断面部を備える、
ことを特徴とする請求項に記載の車体下部構造。
【請求項5】
前記フロントフロアフレームは、
車両前後方向からみて、車幅方向において前記傾斜部に重なる位置に配置されている、
ことを特徴とする請求項に記載の車体下部構造。
【請求項6】
前記フロントフロアフレームは、
前記バッテリよりも前記車幅方向外側に配置されている、
ことを特徴とする請求項2に記載の車体下部構造。
【請求項7】
前記拡幅部は、
車幅方向において前記リアサイドフレームと重なり、かつ、前記前後方向幅が最も広く設定された拡幅重複部を備える、
ことを特徴とする請求項に記載の車体下部構造。
【請求項8】
前記バッテリの後方に配置され、前記リアサイドフレームに連結するリアクロスメンバと、
前記リアクロスメンバ及び前記フロントクロスメンバに接続され、前記バッテリの上部を覆うバッテリカバーと、を備え、
前記バッテリカバーは金属で形成されている、
ことを特徴とする請求項2に記載の車体下部構造。
【請求項9】
バッテリの車両前方に配置されるフロントクロスメンバと、
前記フロントクロスメンバの車幅方向外側端部に接続され、前記バッテリの車幅方向外側に配置されたリアサイドフレームと、を備える車体下部構造であって、
前記フロントクロスメンバの車両前方に配置されたフロアパネルと、
前記フロアパネルとともに閉断面を形成し、前記車幅方向外側端部に連結されたフロントフロアフレームと、を備え、
前記フロントクロスメンバは、
前記フロントクロスメンバの上部を形成するクロスメンバアッパと、
前記クロスメンバアッパのうち車幅方向の中央部を形成するクロス中央部と、
前記クロス中央部の前記車幅方向外側端部に接続され、第1閉断面部を形成するエクステンション部と、
前記クロス中央部から前記車幅方向外側に向かうに従って車両後方に傾斜する傾斜部と、を備え、
前記エクステンション部は、
前記クロス中央部に対して車両前後方向の前後方向幅が広く、別体で形成され、
前記リアサイドフレームの前端と前記フロントフロアフレームの後端部とが前記エクステンション部に接続され、
前記リアサイドフレームの前記前端に対し、前記フロントフロアフレームの後端の位置が車幅方向の内側に配置されている、
ことを特徴とする車体下部構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車体下部構造に関する。
【背景技術】
【0002】
車体下部構造として、例えば、リアシートの下方にフロアパネルが設けられるとともに、フロアパネルが車体の骨格部で囲われることにより収容部が形成されたものが知られている。収容部には、蓄電装置が配置されている。配置された蓄電装置が、収容部で保護されている。
車体の骨格部は、蓄電装置の車幅方向左右側に設けられた左右のリアサイドフレームと、蓄電装置の車両前方に設けられた第1クロスメンバと、蓄電装置の車両後方に設けられた第2クロスメンバと、により格子状に形成されている。第1クロスメンバ及び第2クロスメンバは、それぞれが車幅方向に延びて左右のリアサイドフレームに架け渡されている。
【0003】
また、蓄電装置の上方には、複数のシートフレームが車両前後方向に延在され、かつ車幅方向に間隔をあけて設けられている。複数のシートフレームは収容部を補強している。これにより、例えば、車両前後方向の衝突により収容部に入力した衝突荷重を車体の骨格部や複数のシートフレームで支えることが可能とされている。以下、収容部をバッテリ収容部ということもある(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特許第6631472号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1のバッテリ収容部は、車体の骨格部とフロアパネルとの強度、剛性に比較的大きな差がある。このため、車両前後方向の衝突荷重が車両前後方向から格子状の骨格部に入力した場合に、骨格部とフロアパネルとの強度、剛性の差によって荷重を骨格部からフロアパネルに効率よく伝達することが難しい。したがって、例えば、蓄電装置の車両前後方向においてバッテリ収容部が蓄電装置側に変形することが考えられ、バッテリ収容部で蓄電装置を保護することが難しい。
この対策として、例えば、バッテリ収容部の骨格部やフロアパネルを補強部材で補強することが考えられる。しかし、骨格部やフロアパネルを補強部材で補強することは、部品点数の増加や大型化を招くことになり、例えば車体の軽量化の観点から好ましくない。
【0006】
本発明は、例えばバッテリ収容部を補強部材で補強することなく、車両前後方向の衝突により入力した衝突荷重によるバッテリ収容部の変形を抑制できる車体下部構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するために、本発明は以下の手段を提案している。
(1)本発明に係る車体下部構造(例えば、実施形態の車体下部構造10)は、バッテリ(例えば、実施形態のバッテリモジュール121、バッテリ121)の車両前方に配置されるフロントクロスメンバ(例えば、実施形態の第1フロアクロスメンバ14)と、前記フロントクロスメンバの車幅方向外側端部に接続され、前記バッテリの車幅方向外側に配置されたリアサイドフレーム(例えば、実施形態のリアサイドフレーム13)と、を備える車体下部構造(例えば、実施形態の車体下部構造10)であって、前記フロントクロスメンバの車両前方に配置されたフロアパネル(例えば、実施形態のフロントフロアパネル22)と、前記フロアパネルとともに閉断面を形成し、前記車幅方向外側端部に連結されたフロントフロアフレーム(例えば、実施形態のフロントフロアフレーム23)と、を備える。
【0008】
このように、バッテリの車両前方にフロントクロスメンバを配置した。また、フロントクロスメンバの車幅方向外側端部に接続したリアサイドフレームをバッテリの車幅方向外側に配置した。このため、フロントクロスメンバとリアサイドフレームとによりバッテリ収容部が囲まれ、バッテリ収容部にバッテリが収容される。
また、フロントクロスメンバの車両前方にフロアパネルを設け、フロアパネルとともに閉断面を形成するフロントフロアフレームを設けた。さらに、フロントクロスメンバの車幅方向外側端部にフロントフロアフレームを接続した。ここで、バッテリ収容部を囲むリアサイドフレームもフロントクロスメンバの車幅方向外側端部に接続されている。
【0009】
したがって、例えば、後面衝突によりリアサイドフレームに入力した後突荷重(衝突荷重)を、フロントクロスメンバの車幅方向外側端部を経てフロントフロアフレームに伝達できる。また、例えば、前面衝突によりフロントフロアフレームに入力した前突荷重(衝突荷重)を、フロントクロスメンバの車幅方向外側端部を経てリアサイドフレームに伝達できる。すなわち、車両前後方向の衝突により入力した衝突荷重を、リアサイドフレームとフロントフロアフレームとの間において、フロントクロスメンバの車幅方向外側端部を経て円滑(スムーズ)に伝達できる。
【0010】
このため、車両前後方向の衝突により入力する衝突荷重の一部をバッテリ収容部に入力しないように分散できる。これにより、衝突荷重に対するバッテリ収容部の強度、剛性を高めることができる。したがって、例えばバッテリ収容部を補強部材で補強することなく、車両前後方向の衝突により入力した衝突荷重によるバッテリ収容部の変形を抑制できる。この結果、バッテリ収容部でバッテリの損傷を抑制してバッテリを保護でき、かつ、車体の軽量化を図ることができる。
【0011】
(2)前記フロントクロスメンバは、前記フロントクロスメンバの上部を形成するクロスメンバアッパ(例えば、実施形態の第1アッパメンバ36)と、前記クロスメンバアッパに接続されて前記フロントクロスメンバの下部を形成するクロスメンバロア(例えば、実施形態の第1ロアメンバ37)と、を備え、前記クロスメンバロアは、車幅方向の中央部を形成するロア中央部(例えば、実施形態のロア中央部71)と、前記ロア中央部の端部に接続されて車幅方向外側のロア端部を形成するエクステンション部(例えば、実施形態のエクステンション部72)と、を備え、前記エクステンション部に前記リアサイドフレーム及び前記フロントフロアフレームが連結されていてもよい。
【0012】
このように、クロスメンバロアのエクステンション部をロア中央部と別体で形成し、別体のエクステンション部にフロントフロアフレームとリアサイドフレームとを連結した。これにより、車両前後方向の衝突により入力した衝突荷重を、リアサイドフレームとフロントフロアフレームとの間においてエクステンション部を経て円滑に伝達できる。
【0013】
(3)前記フロントクロスメンバは、前記フロントクロスメンバの上部を形成するクロスメンバアッパ(例えば、実施形態の第1アッパメンバ36)と、前記クロスメンバアッパに接続されて前記フロントクロスメンバの下部を形成するクロスメンバロア(例えば、実施形態の第1ロアメンバ37)とにより閉断面に形成された第1閉断面部(例えば、実施形態の第1閉断面部78)を備え、前記リアサイドフレームは、前記第1閉断面部に突き当てられ、車両前後方向に延びる閉断面に形成された第2閉断面部(例えば、実施形態の第2閉断面部29)を備え、前記フロントフロアフレームは、前記クロスメンバアッパと前記クロスメンバロアとに挟持された状態で接続されていてもよい。
【0014】
このように、リアサイドフレームの第2閉断面部をフロントクロスメンバの第1閉断面部に突き当てた。また、フロントフロアフレームをクロスメンバアッパとクロスメンバロアとに挟持させた。ここで、フロントフロアフレームは、フロアパネルとともに第3閉断面部を形成している。
このため、フロントフロアフレームの第3閉断面部とリアサイドフレームの第2閉断面部とをフロントクロスメンバの第1閉断面部を介して連続して接続できる。これにより、車両前後方向の衝突により入力した衝突荷重を、リアサイドフレームとフロントフロアフレームとの間においてフロントクロスメンバの第1閉断面部を経て円滑に伝達できる。
【0015】
(4)前記フロントクロスメンバは、前記クロスメンバアッパのうち車幅方向の中央部を形成するアッパ中央部(例えば、実施形態のアッパ中央部36a)と前記ロア中央部とが接続されたクロス中央部(例えば、実施形態のクロス中央部14A)と、前記アッパ中央部の端部に形成された車幅方向外側のアッパ端部(例えば、実施形態のアッパ端部36b)と前記エクステンション部とが接続された拡幅部(例えば、実施形態の拡幅部14B)と、を備え、前記拡幅部は、前記クロス中央部に対して車両前後方向の前後方向幅が広く形成され、前記クロス中央部から車幅方向外側に向かうに従って車両後方に傾斜する傾斜部(例えば、実施形態の第1傾斜部88、第2傾斜部89)を備えていてもよい。
【0016】
このように、フロントクロスメンバの拡幅部をクロス中央部に対して前後方向幅を広く形成した。さらに、拡幅部の傾斜部をクロス中央部から車幅方向外側に向かうに従って車両後方に傾斜させた。このため、車両前後方向の衝突により入力した衝突荷重を、リアサイドフレームとフロントフロアフレームとの間において傾斜部を経て円滑に伝達できる。また、車両後方の後面衝突により入力した後突荷重(衝突荷重)を、リアサイドフレームから傾斜部を経てフロントクロスメンバのクロス中央部へ円滑に伝達できる。
【0017】
また、拡幅部の幅をクロス中央部に対して広く設定することにより、拡幅部の断面積を大きく確保できる。このため、衝突荷重により拡幅部を好適に変形させて、衝突荷重による衝突エネルギの吸収量を増すことができる。
したがって、車両前後方向の衝突により入力した衝突荷重を、傾斜部を経て円滑に伝達でき、さらに、拡幅部を好適に変形させて衝突エネルギの吸収量を増すことができる。これにより、バッテリの損傷を抑制してバッテリを保護できる。
【0018】
(5)前記拡幅部は、側面視において車両上方向に向かうに従って車両後方に傾斜する閉断面で形成された拡幅閉断面部(例えば、実施形態の拡幅閉断面部79)を備えていてもよい。
【0019】
この構成によれば、拡幅部の拡幅閉断面部を車両上方向に向かうに従って車両後方に傾斜させた。これにより、車両前後方向の衝突により入力した衝突荷重を、リアサイドフレームとフロントフロアフレームとの間において拡幅部の拡幅閉断面部を経て円滑に伝達できる。
また、拡幅部の拡幅閉断面部を傾斜させことにより、車両前後方向の衝突により入力した衝突荷重で拡幅部の拡幅閉断面部を車両前方に好適に変形させることができる。このため、衝突エネルギの吸収量を増すことができる。
このように、車両前後方向の衝突により入力した衝突荷重を、拡幅閉断面部を経て円滑に伝達でき、さらに、拡幅閉断面部を好適に変形させて衝突エネルギの吸収量を増すことができる。これにより、バッテリの損傷を抑制してバッテリを保護できる。
【0020】
(6)前記フロントフロアフレームは、車両前後方向からみて、車幅方向において前記傾斜部に重なる位置に配置されていてもよい。
【0021】
このように、フロントフロアフレームを車幅方向において傾斜部に重なる位置に配置した。このため、例えば、車両後方の後面衝突により入力した後突荷重(衝突荷重)を、リアサイドフレームから傾斜部を経てフロントフロアフレームへ円滑に伝達できる。また、例えば、車両前方の前面衝突により入力した前突荷重(衝突荷重)を、フロントフロアフレームから傾斜部を経てリアサイドフレームへ円滑に伝達できる。すなわち、車両前後方向の衝突により入力した衝突荷重を、リアサイドフレームとフロントフロアフレームとの間において傾斜部を経て円滑に伝達できる。
したがって、衝突荷重に対するバッテリ収容部の強度、剛性を高めることができ、車両前後方向の衝突により入力した衝突荷重によるバッテリ収容部の変形を抑制できる。よって、バッテリ収容部でバッテリの損傷を抑制してバッテリを保護できる。
【0022】
(7)前記フロントフロアフレームは、前記バッテリよりも車幅方向外側に配置されていてもよい。
【0023】
このように、フロントフロアフレームをバッテリよりも車幅方向外側に配置した。このため、フロントフロアフレームを車幅方向においてリアサイドフレームに近づけることができる。これにより、車両前後方向の衝突により入力した衝突荷重を、リアサイドフレームとフロントフロアフレームとの間において円滑(スムーズ)に伝達できる。
また、フロントフロアフレームをバッテリよりも車幅方向外側に配置することにより、車幅方向においてフロントフロアフレームをバッテリに重ならない位置に配置できる。このため、車両前後方向の衝突により入力した衝突荷重をバッテリと重ならない位置において、リアサイドフレームとフロントフロアフレームとの間を円滑(スムーズ)に伝達できる。
よって、バッテリ収容部の変形を抑制でき、バッテリの損傷を抑制してバッテリを保護できる。
【0024】
(8)前記拡幅部は、車幅方向において前記リアサイドフレームと重なり、かつ、前記前後方向幅が最も広く設定された拡幅重複部(例えば、実施形態の拡幅重複部14C)を備えていてもよい。
【0025】
このように、拡幅部の拡幅重複部を車幅方向においてリアサイドフレームと重なるように配置し、かつ、拡幅重複部の前後方向幅を最も広く設定した。このため、例えば、車両前後方向において拡幅重複部をリアサイドフレームに接触させる、あるいは近づけることが可能になる。これにより、例えば、側面衝突によりバッテリの車幅方向外側から入力する荷重(以下、側突荷重ということもある)による拡幅部のリアサイドフレームの側への折れ曲がり(倒れこみ)をリアサイドフレームで抑制できる。
したがって、側突荷重をフロントクロスメンバに効率よく伝達でき、側突荷重をフロントクロスメンバで支えることができる。この結果、側突荷重によるバッテリ収容部の変形を抑制でき、バッテリの損傷を抑制してバッテリを保護できる。
【0026】
さらに、例えば、側面衝突により過度の側突荷重が入力した場合にも、側突荷重による拡幅部のリアサイドフレームの側への倒れこみをリアサイドフレームで抑制できる。このため、過度の側突荷重をフロントクロスメンバに効率よく伝達できる。また、過度の側突荷重で拡幅部(特に、拡幅重複部)を好適に変形させて過度の側突荷重による衝撃エネルギを吸収することもできる。これにより、過度の側突荷重によるバッテリ収容部の変形を抑制でき、バッテリの損傷を抑制してバッテリを保護できる。
【0027】
(9)前記バッテリの後方に配置され、前記リアサイドフレームに連結するリアクロスメンバ(例えば、実施形態の第2フロアクロスメンバ15)と、前記リアクロスメンバ及び前記フロントクロスメンバに接続され、前記バッテリの上部を覆うバッテリカバー(例えば、実施形態のバッテリカバー18)と、を備え、前記バッテリカバーは金属で形成されていてもよい。
【0028】
このように、バッテリの上部を覆うバッテリカバーを金属で形成した。バッテリカバーを金属で形成することにより、バッテリカバーの強度、剛性を高めることができる。このバッテリカバーをリアクロスメンバ及びフロントクロスメンバに接続した。このため、リアクロスメンバ及びフロントクロスメンバをバッテリカバーで補強できる。
これにより、例えば、側突荷重をバッテリカバー、リアクロスメンバ、及びフロントクロスメンバに分散させることにより、各部材で側突荷重を支持できる。したがって、側突荷重によるバッテリ収容部の変形を抑制でき、バッテリの損傷を抑制してバッテリを保護できる。
【発明の効果】
【0029】
本発明によれば、例えばバッテリ収容部を補強部材で補強することなく、車両前後方向の衝突により入力した衝突荷重によるバッテリ収容部の変形を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1】本発明の実施形態における車体下部構造の斜視図である。
図2】本発明の実施形態における車体下部構造の平面図である。
図3】本発明の実施形態における車体下部構造を車両後方の下側からみた背面図である。
図4図2のIV-IV線に沿って破断した断面図である。
図5図2のV-V線に沿って破断した断面図である。
図6図2のVI-VI線に沿って破断した断面図である。
図7図2のVII-VII線に沿って破断した断面図である。
図8図2のVIII部を拡大した平面図である。
図9】本発明の実施形態における車体下部構造の第1フロアクロスメンバとバッテリ収容部とを分解した分解斜視図である。
図10】本発明の実施形態における車体下部構造の車体左側下部を示す底面図である。
図11図10のXI-XI線に沿って破断した断面図である。
図12図10のXII-XII線に沿って破断した断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて車体下部構造を説明する。なお、図面において、矢印FRは車両の前方、矢印UPは車両の上方、矢印LHは車両の左側方を示す。実施形態においては、一例として、車体下部構造を走行用の電気モータを備えたハイブリッド車などの電動自動車に適用する例について説明する。しかしながらこれに限られるものではなく、その他のさまざま自動車に車体後部構造を適用させることも可能である。
なお、車体下部構造は概ね左右対称の構成であり、左側の各構成部材及び右側の各構成部材に同じ符号を付して右側の各構成部材の詳しい説明を省略する。
【0032】
<車体下部構造>
図1から図3に示すように、車体下部構造10は、例えば、左右のサイドシル12と、フロントフロアパネル(フロアパネル)22と、サイドシル12の車幅方向内側に配置された左右のリアサイドフレーム13と、第1フロアクロスメンバ(フロントクロスメンバ)14と、第1フロアクロスメンバ14よりも車両後方に配置された第2フロアクロスメンバ(リアクロスメンバ)15と、第1フロアクロスメンバ14と第2フロアクロスメンバ15との間で、かつリアサイドフレーム13の車幅方向内側に配置されたバッテリ収容部(収容部)16、蓄電装置17、及びバッテリカバー18と、第1フロアクロスメンバ14の車両前方に配置された左右のフロントフロアフレーム23と、を備えている。
以下、左サイドシル12を「サイドシル12」と略記し、左リアサイドフレーム13を「リアサイドフレーム13」と略記することもある。また、左フロントフロアフレーム23を「フロントフロアフレーム23」と略記することもある。
【0033】
<サイドシル、フロントフロアパネル>
図2から図4に示すように、サイドシル12は、例えば、フロントフロアパネル22に対して車幅方向外側において車両前後方向に延びている。サイドシル12は、例えば、インナサイドシル24及びアウタサイドシル25により矩形閉断面に形成され、車体骨格を構成する強度、剛性の高い部材である。
左サイドシル12及び右サイドシル12の間には、フロントフロアパネル22が設けられている。フロントフロアパネル22は、後述する第1フロアクロスメンバ14に後端部が接続され、第1フロアクロスメンバ14に対して車両前方側に設けられている(配置されている)。フロントフロアパネル22は、車室の床面を形成している。
サイドシル12の後端部12aにリアサイドフレーム13が接続されている。
【0034】
<リアサイドフレーム>
リアサイドフレーム13は、前端部13aがサイドシル12の後端部12aに車幅方向内側から接続されている。以下、リアサイドフレーム13の前端部13aを「フレーム前端部13a」ということもある。リアサイドフレーム13は、バッテリ収容部16及び第2フロアクロスメンバ15に対して車幅方向外側に設けられ、サイドシル12の後端部12aから車両後方に延びている。すなわち、リアサイドフレーム13は、後述するバッテリモジュール121の車幅方向外側においてフレーム前端部13aがバッテリモジュール121に沿って配置されている。
リアサイドフレーム13は、リアサイドフレームロア27と、リアサイドフレームロア27の上部に配置されたリアサイドフレームアッパ28と、を備えている。リアサイドフレームロア27は、ロアフレーム前端部27aと、ロアフレーム本体部(図示せず)と、を有する。
【0035】
ロアフレーム前端部27aは、サイドシル12の後端部12aに車幅方向内側から接続されている。ロアフレーム前端部27aは、サイドシル12の後端部12aより車幅方向内側に配置され、ロア内壁31及びロア底部32が断面L字状に形成されている。ロア内壁31は、上側フランジ31aがバッテリ収容部16の左収容端部16a及びリアフロアパネル35に下方から接続されている。
リアフロアパネル35は、左リアサイドフレーム13及び右リアサイドフレーム13の間に設けられている。リアフロアパネル35は、後述する第2フロアクロスメンバ15に接続され、第2フロアクロスメンバ15に対して車両後方側に設けられている。リアフロアパネル35は、例えば荷室の床面を形成している。
【0036】
ロア底部32は、外側フランジ32aがインナサイドシル24の底部に下方から接続されている。このため、ロアフレーム前端部27a(すなわち、ロア内壁31及びロア底部32)は、インナサイドシル24の内側壁24aとともに上部が開口する断面U字状に形成されている。また、ロアフレーム前端部27aは、ロアスティフナ33により補強されている。
【0037】
さらに、不図示のロアフレーム本体部は、上部が開口する断面U字状に形成されている。
すなわち、ロアフレーム前端部27a及びロアフレーム本体部で形成されたリアサイドフレームロア27は、断面U字状に形成されて上部が開口されている。リアサイドフレームロア27は、上部の開口がリアサイドフレームアッパ28により閉塞されている。
【0038】
具体的には、リアサイドフレームアッパ28は、アッパフレーム前端部28aの内側フランジ28b(図8も参照)がバッテリ収容部16の左収容端部16a及びリアフロアパネル35に上方から接続されている。また、リアサイドフレームアッパ28は、アッパフレーム前端部28aの外側フランジ28c(図8も参照)がインナサイドシル24の頂部に上方から接続されている。この結果、ロアフレーム前端部27a及びインナサイドシル24の内側壁24aで形成された断面U字状の上部開口がアッパフレーム前端部28aにより閉塞されている。
【0039】
これにより、ロアフレーム前端部27a、インナサイドシル24の内側壁24a、及びアッパフレーム前端部28aにより断面矩形状の閉断面が形成されている。ロアフレーム前端部27a及びアッパフレーム前端部28aは、リアサイドフレーム13のフレーム前端部13aを形成する。すなわち、リアサイドフレーム13は、フレーム前端部13aがインナサイドシル24の内側壁24aとともに断面矩形状の閉断面に形成されている。アッパフレーム前端部28aは、第1フロアクロスメンバ14に上方から接続されている(図7参照)。
【0040】
さらに、リアサイドフレームアッパ28は、アッパフレーム前端部28aの後端部から車両後方に延びるアッパフレーム本体部(図示せず)を有する。このアッパフレーム本体部は、不図示のロアフレーム本体部の上部開口を閉塞している。これにより、ロアフレーム本体部及びアッパフレーム本体部により断面矩形状の閉断面が形成されている。ロアフレーム本体部及びアッパフレーム本体部は、リアサイドフレーム13のフレーム本体部を形成する。すなわち、リアサイドフレーム13は、フレーム本体部が断面矩形状の閉断面に形成されている。
【0041】
不図示のフレーム本体部で形成された閉断面は、ロアフレーム前端部27a及びインナサイドシル24の内側壁24aで形成された閉断面に連通されている。すなわち、リアサイドフレーム13は、車両前後方向に延びる矩形状の閉断面に形成され、車体骨格を構成する強度、剛性の高い第2閉断面部29を備えている。
【0042】
<第1フロアクロスメンバ>
図3図5に示すように、左リアサイドフレーム13のフレーム前端部13a及び右リアサイドフレーム13のフレーム前端部13aに第1フロアクロスメンバ14が接続(連結)されている。第1フロアクロスメンバ14は、車幅方向に延びて、左サイドシル12の後端部12a及び右サイドシル12の後端部12aに当接された状態において接続されることにより架け渡されている。また、第1フロアクロスメンバ14は、バッテリ収容部16及び蓄電装置17(図2参照)に対して車両前方に配置されている。
【0043】
図3図6図7に示すように、第1フロアクロスメンバ14は、第1アッパメンバ(クロスメンバアッパ)36と、第1アッパメンバ36の下方に配置された第1ロアメンバ(クロスメンバロア)37と、を備えている。第1アッパメンバ36は、第1フロアクロスメンバ14の上部を形成している。第1ロアメンバ37は、第1アッパメンバ36に接続されて、第1フロアクロスメンバ14の下部を形成している。
【0044】
<第1アッパメンバ>
第1アッパメンバ36は、アッパ本体41と、アッパ本体41の車幅方向外側に設けられたスティフナ42(図9も参照)と、を備えている。アッパ本体41は、第1アッパメンバ36の主要部を形成する。アッパ本体41は、第1アッパ本体部44と、第1アッパ本体部44の車両後方に設けられた第2アッパ本体部45と、を備えている。第1アッパ本体部44は、アッパ前壁47と、アッパ前壁47の下部に設けられた第1アッパフランジ48と、アッパ前壁47の上部に設けられた第1頂部フランジ49と、を有する。
【0045】
アッパ前壁47は、フロントフロアパネル22に対して上方に向けて立ち上げられている。また、アッパ前壁47は、車幅方向に延びて、左サイドシル12の後端部12a及び右サイドシル12の後端部12aに架け渡されている(図2参照)。第1アッパフランジ48は、アッパ前壁47の下辺から車両前方に向けて形成され、フロントフロアパネル22に下方から接続されている。第1頂部フランジ49は、アッパ前壁47の上辺から車両後方に向けて形成されている。
すなわち、第1アッパ本体部44は、アッパ前壁47、第1アッパフランジ48、及び第1頂部フランジ49により断面クランク状に形成されている。
【0046】
図7図8に示すように、アッパ前壁47は、車幅方向の左外側端部及び右外側端部にアッパ前壁外端部51を有する。アッパ前壁外端部51は、傾斜壁52と、傾斜壁52の下方の部位53と、を有する。以下、アッパ前壁47のうち傾斜壁52の下方の部位53を「外側前壁53」ということもある。傾斜壁52は、外側前壁53の上辺から車両後方へ向けて上向きに傾斜されている。
【0047】
図6図8に示すように、第1アッパ本体部44の車両後方において、第1アッパ本体部44に沿って第2アッパ本体部45が設けられている。第2アッパ本体部45は、アッパ後壁57と、第2アッパフランジ58と、第2頂部フランジ59と、を有する。
アッパ後壁57は、アッパ前壁47に対して間隔をあけて車両後方に配置されている。アッパ後壁57は、車幅方向に延び、車幅方向左外側及び車幅方向右外側のエクステンション部72(図3図7で後述する)に接続されている。
【0048】
第2アッパフランジ58は、アッパ後壁57の下辺から車両後方に向けて形成されている。第2頂部フランジ59は、アッパ後壁57の上辺から車両前方に向けて形成されている。
すなわち、第2アッパ本体部45は、アッパ後壁57、第2アッパフランジ58、及び第2頂部フランジ59により断面クランク状に形成されている。
【0049】
第2アッパ本体部45は、第2頂部フランジ59が第1頂部フランジ49に下方から接続されている。この結果、第1頂部フランジ49及び第2頂部フランジ59により、アッパ本体41のアッパ頂部61が形成されている。
すなわち、アッパ本体41は、アッパ前壁47、アッパ後壁57、アッパ頂部61、第1アッパフランジ48、及び第2アッパフランジ58により概ね断面ハット状に形成されている。
【0050】
図7から図9に示すように、第1アッパ本体部44のうち車幅方向外側の左端部及び右端部(具体的には、アッパ前壁47の外端部及び第1頂部フランジ49の外端部)にスティフナ42が接続されている。すなわち、第1アッパメンバ36は、車幅方向外側の端部上面がアッパ本体41とは別体のスティフナ42で形成されている。なお、アッパ前壁47の外端部には傾斜壁52を含む。
【0051】
スティフナ42は、第1スティフナ部65と、第1スティフナ部65の上部に設けられた第2スティフナ部66と、を有する。第1スティフナ部65は、アッパ前壁47のうち外端部の上部に沿って車両後方から接続されている。第2スティフナ部66は、第1スティフナ部65の上辺から車両後方に向けて形成され、第1頂部フランジ49の外端部に下方から接続されている。
【0052】
このように、スティフナ42は、アッパ前壁47のうち外端部の上部及び第1頂部フランジ49の外端部に接続されることにより、第1アッパメンバ36のうち端部上面部(端部上面)を形成する。スティフナ42は、例えば、アッパ本体41より板厚を厚く形成し、あるいは、アッパ本体41より強度、剛性が高い材質を使用することにより、アッパ本体41より強度、剛性が高く設定されている。さらに、スティフナ42は、第1スティフナ部65と第2スティフナ部66とが断面V字状に形成されている。よって、スティフナ42は、強度、剛性が一層高く設定されている。
【0053】
ここで、第2スティフナ部66は、車幅方向外側の外端部のうち車両後方のスティフナ後端部66aが第1頂部フランジ49の外端部49aから車両後方に張り出されている。第1頂部フランジ49の外端部49a及び第2スティフナ部66により第1アッパメンバ36のアッパ頂部外端部67がアッパ頂部61から車幅方向外側に向けて連続して形成されている。
【0054】
<第1ロアメンバ>
図3図6図7に示すように、第1ロアメンバ37は、ロア中央部71と、ロア中央部71の車幅方向両端に設けられたエクステンション部72と、を備えている。ロア中央部71は、エクステンション部72と別体の部材であり、第1ロアメンバ37のうち車幅方向の中央部を形成している。ロア中央部71は、第1アッパメンバ36の車幅方向の中央部36a(以下、アッパ中央部36aということもある)に下方から接続されている。
【0055】
具体的には、ロア中央部71は、アッパ中央部36aの下部に設けられた中央底部74と、中央底部74の車両後方に設けられた中央後壁75と、中央底部74の車両前方に設けられた第1中央フランジ76と、中央後壁75の上部に設けられた第2中央フランジ77と、を有する。
なお、アッパ中央部36aは、車幅方向において、第1アッパメンバ36のうち車幅方向左外側(車幅方向外側)のアッパ端部36b及び車幅方向右外側(車幅方向外側)のアッパ端部36bの間に配置され、各アッパ端部36bに連続して形成されている。
【0056】
中央底部74は、アッパ中央部36aにおけるアッパ前壁47の下方で、かつ、アッパ頂部61に対向する位置に配置されている。中央後壁75は、中央底部74の後辺から上方に立ち上げられてアッパ前壁47に対して車両後方に間隔をあけて配置されている。第1中央フランジ76は、中央底部74の前辺から車両前方に張り出されている。第2中央フランジ77は、中央後壁75の上辺から車両後方に向けて形成されている。
すなわち、ロア中央部71は、中央底部74、中央後壁75、第1中央フランジ76、及び第2中央フランジ77により断面クランク状に形成されている。
【0057】
ロア中央部71は、アッパ中央部36aの第1アッパフランジ48に第1中央フランジ76が下方から接続され、さらに、アッパ中央部36aの第2アッパフランジ58に第2中央フランジ77が下方から接続されている。
これにより、アッパ中央部36a及びロア中央部71により、第1フロアクロスメンバ14のうち車幅方向の中央部14A(以下、クロス中央部14Aということもある)が断面矩形状の閉断面に形成されている。
【0058】
ロア中央部71のうち車幅方向の左端部(端部)及び右端部(端部)にエクステンション部72が接続されている。エクステンション部72は、車幅方向において第1ロアメンバ37の左側ロア端部(ロア端部)及び右側ロア端部(ロア端部)を形成している。
エクステンション部72は、アッパ前壁外端部51の下部に設けられたエクステンション底部81と、エクステンション底部81の車両後方に設けられたエクステンション後壁82と、エクステンション底部81の車両前方に設けられた第1エクステンションフランジ83と、エクステンション後壁82の上部に設けられた第2エクステンションフランジ84と、を有する。
【0059】
エクステンション底部81は、アッパ前壁外端部51(すなわち、傾斜壁52及び外側前壁53)の下方で、かつ、アッパ頂部外端部67に対して車両前方側にオフセット(変位)された位置に配置されている。エクステンション後壁82は、エクステンション底部81の後辺から車両後方へ向けて上向きに傾斜された状態に立ち上げられている。
エクステンション後壁82は、車両前方側に位置するアッパ前壁外端部51に対して車両後方に間隔をあけて配置されている。第1エクステンションフランジ83は、エクステンション底部81の前辺から車両前方に向けて形成されている。第2エクステンションフランジ84は、エクステンション後壁82の上辺から車両後方に向けて形成されている。
【0060】
エクステンション部72は、アッパ端部36bの第1アッパフランジ48に第1エクステンションフランジ83が下方から接続されている。さらに、エクステンション部72は、アッパ頂部外端部67の後端部(具体的には、第2スティフナ部66)に第2エクステンションフランジ84が下方から接続されている。
このため、アッパ前壁外端部51、アッパ頂部外端部67、及びエクステンション部72により、第1フロアクロスメンバ14の車幅方向外側端部(具体的には、左外端部及び右外端部)に拡幅部14Bが断面菱形状の閉断面に形成されている。
【0061】
<拡幅部>
ここで、アッパ前壁外端部51及びアッパ頂部外端部67は、第1アッパメンバ36のうち車幅方向外側のアッパ端部36bを形成している。また、エクステンション部72は、第1ロアメンバ37のうち車幅方向外側のロア端部を形成している。
すなわち、拡幅部14Bは、第1フロアクロスメンバ14の車幅方向外側において、アッパ端部36bとエクステンション部72とが接続されることにより形成されている。
【0062】
また、拡幅部14Bは、断面菱形状の閉断面に形成されることにより拡幅閉断面部79を備えている。さらに、アッパ前壁外端部51の傾斜壁52は、車両後方へ向けて上向きに傾斜されている。また、エクステンション部72のエクステンション後壁82は、車両後方へ向けて上向きに傾斜された状態に立ち上げられている。よって、拡幅部14Bの拡幅閉断面部79は、側面視において上方(車両上方向)に向かうに従って車両後方に傾斜する閉断面で形成されている。
【0063】
図2図5に示すように、拡幅部14Bは、車幅方向においてクロス中央部14Aの左端部(端部)及び右端部(端部)に連続して形成されている。左側の拡幅部14B、右側の拡幅部14B、及びクロス中央部14Aにより第1フロアクロスメンバ14が形成されている。すなわち、第1フロアクロスメンバ14は、左側の拡幅部14B、右側の拡幅部14B、及びクロス中央部14Aを備えている。
このように、第1フロアクロスメンバ14は、左側の拡幅部14B、右側の拡幅部14B、及びクロス中央部14A(換言すれば、第1アッパメンバ36及び第1ロアメンバ37)により車幅方向に連続する矩形閉断面に形成されている。第1フロアクロスメンバ14は、矩形閉断面に形成されることにより、車体骨格を構成する強度、剛性の高い第1閉断面部78を備えている。第1閉断面部78には、車幅方向外側に拡幅閉断面部79が含まれている。
【0064】
図8図9に示すように、第1フロアクロスメンバ14は、車幅方向外側に向かうに従って上方(車両上方)へ向けて高さH(図6図7も参照)が高くなるように形成され、拡幅部14Bが最も高く設定されている。
また、拡幅部14Bは、例えば、後述するバッテリモジュール121に対して車両前後方向において重なる拡幅位置P1から車幅方向外側に向けて設けられ、車両前後方向の前後方向幅W(図6も参照)がクロス中央部14Aより拡幅されている。
【0065】
さらに、拡幅部14Bは、車幅方向においてリアサイドフレーム13の前端13bと重なる部分14C(以下、拡幅重複部14Cということもある)を備えている。すなわち、拡幅重複部14Cは、拡幅部14Bのうち車幅方向外側に位置する部位である。拡幅重複部14Cは、拡幅部14B(すなわち、第1フロアクロスメンバ14)において車両前後方向の前後方向幅W1(図7も参照)が最も大きく(広く)設定されている。
【0066】
図3図8に示すように、第1傾斜部(傾斜部)88と、第2傾斜部(傾斜部)89と、を備えている。第1傾斜部88は、クロス中央部14Aの外端部(すなわち、拡幅位置P1)と車幅方向外側の拡幅重複部14Cとの間に形成されている。第1傾斜部88は、例えば、アッパ前壁47の傾斜壁52と第1頂部フランジ49の外端部49aとの凸状の交差部のうち車幅方向内側の部位で形成される稜線を含んでいる。第1傾斜部88は、拡幅位置P1から車幅方向外側の拡幅重複部14Cに向かうに従って車両後方に傾斜されている。
【0067】
また、第2傾斜部89も、第1傾斜部88と同様に、クロス中央部14Aの外端部(すなわち、拡幅位置P1)と車幅方向外側の拡幅重複部14Cとの間に形成されている。第2傾斜部89は、例えば、エクステンション部72の第2エクステンションフランジ84とエクステンション後壁82との凹状の交差部のうち車幅方向内側の部位を含んでいる。第2傾斜部89は、拡幅位置P1から車幅方向外側の拡幅重複部14Cに向かうに従って車両後方に傾斜されている。
【0068】
図3図7に示すように、拡幅部14Bのエクステンション後壁82には、リアサイドフレーム13のフレーム前端部13aが突き当てられた状態で接続されている。ここで、第1フロアクロスメンバ14は、車幅方向に延びる第1閉断面部78に形成されている。第1閉断面部78には、車幅方向外側に拡幅閉断面部79が含まれている。また、リアサイドフレームは、車両前後方向に延びる第2閉断面部29に形成されている。
すなわち、リアサイドフレーム13の第2閉断面部29は、第1フロアクロスメンバ14の第1閉断面部78のうち拡幅閉断面部79に突き当てられた状態で車両前後方向に延びている。
【0069】
<第2フロアクロスメンバ>
図2から図4に示すように、第2フロアクロスメンバ15は、後述するバッテリモジュール121などを含む蓄電装置17に対して車両後方に配置されている。第2フロアクロスメンバ15は、車幅方向に延在されて、左リアサイドフレーム13と右リアサイドフレーム13とに連結されている。
【0070】
具体的には、第2フロアクロスメンバ15は、この第2フロアクロスメンバ15の上部を形成する第2アッパメンバ101と、第2フロアクロスメンバ15の下部を形成する第2ロアメンバ102と、を備えている。第2アッパメンバ101は、後述するバッテリ収容部16の収容後端部114を兼用している。第2ロアメンバ102は、第2アッパメンバ101に接続されている。
【0071】
具体的には、図6に示すように、第2アッパメンバ101は、上角部103が車両前方で、かつ上方に突出するように折り曲げられることにより断面L字状に形成されている。第2ロアメンバ102は、下角部106が車両後方で、かつ下方に突出するように折り曲げられることにより概ね断面L字状に形成されている。
【0072】
第2アッパメンバ101の下端部104と第2ロアメンバ102の下フランジ107とが接続されている。また、第2アッパメンバ101の後フランジ105と第2ロアメンバ102の後フランジ108とが接続されている。これにより、第2フロアクロスメンバ15は、第2アッパメンバ101及び第2ロアメンバ102により矩形閉断面に形成されている。第2フロアクロスメンバ15は、車体骨格を構成する強度、剛性の高い部材である。なお、後フランジ105にはリアフロアパネル35の前端部が上方から接続されている。
【0073】
<バッテリ収容部、蓄電装置>
図2図6に示すように、バッテリ収容部16は、第1フロアクロスメンバ14、第2フロアクロスメンバ15、左リアサイドフレーム13、及び右リアサイドフレーム13に囲まれている。バッテリ収容部16には、蓄電装置17が収容されている。
蓄電装置17は、例えば、バッテリモジュール121と、不図示の送風ファンと、高電圧ジャンクションボード122と、及びECU(Electronic Control Unit)123などを備えている。バッテリモジュール121は、例えば、複数のバッテリ単体124を備えている。バッテリ単体124は、例えば、複数の電池セル(図示せず)が車幅方向に積層されて形成されている。以下、バッテリモジュール121を「バッテリ121」と略記することもある。
【0074】
<バッテリカバー>
図1図2に示すように、バッテリ収容部16は、開口部16bがバッテリカバー18により上方から覆われている。バッテリカバー18は、金属材料により蓄電装置17の上部を覆うように形成された金属製のカバーである。バッテリカバー18は、第1フロアクロスメンバ14及び第2フロアクロスメンバ15に接続されている。
【0075】
具体的には、バッテリカバー18は、蓄電装置17の上部に位置するカバー本体131と、カバー本体131の車両前端に設けられた前側接続部132と、カバー本体131の車両後端に設けられた後側接続部133と、カバー本体131の車幅方向両端に設けられた左右の車幅外側接続部134と、を有する。
なお、左車幅外側接続部134及び右車幅外側接続部134は、概ね左右対称の部位である。よって、以下、左車幅外側接続部134を「車幅外側接続部134」と略記して詳しく説明し、右車幅外側接続部134の説明を省略する。
【0076】
カバー本体131は、蓄電装置17から上方へ向けて膨出されている。前側接続部132は、第1フロアクロスメンバ14のアッパ前壁47に、例えば、ボルト141、ナット(図示せず)などの締結部材により締結されることにより固定(接続)されている。
後側接続部133は、第2フロアクロスメンバ15の第2アッパメンバ101に、例えば、ボルト142、ナット(図示せず)などの締結部材により締結されることにより固定(接続)されている。
【0077】
図1図7に示すように、車幅外側接続部134は、車幅方向左外側(車幅方向外側)においてカバー本体131の左端部(すなわち、カバー外側端部)に形成されている。車幅外側接続部134は、傾斜壁52を車両前後方向へ跨いで接続されている。
車幅外側接続部134は、前側固定部136がアッパ前壁47のうち傾斜壁52の下方に位置する部位(すなわち、外側前壁53)に、例えば、ボルト145、ナット146などの締結部材により締結されることにより固定(接続)されている。
また、車幅外側接続部134は、後側固定部137がアッパフレーム前端部28a、スティフナ後端部66a、及び第2エクステンションフランジ84に、例えば、ボルト147、ナット148などの締結部材により締結されることにより固定(接続)されている。
【0078】
<フロントフロアフレーム>
図3図10図11に示すように、フロントフロアパネル22に下方から左右のフロントフロアフレーム23が接続されている。フロントフロアフレーム23は、車幅方向においてサイドシル12の側に寄せた位置に設けられて車両前後方向に延在されている。フロントフロアフレーム23は、フロントフロアパネル22の下方から接続されることにより、フロントフロアパネル22とともに閉断面を形成している。
【0079】
具体的には、フロントフロアフレーム23は、フロントフロアパネル22に対して下方に間隔をあけて配置されたフレーム底部151と、フレーム底部151に連結されているフレーム内側壁152及びフレーム外側壁153と、フレーム内側壁152に連結されているフレーム内側フランジ154と、フレーム外側壁153に連結されているフレーム外側フランジ155と、を有する。
【0080】
フレーム底部151は、フロントフロアパネル22に沿って車両前後方向に延在されている。フレーム内側壁152は、フレーム底部151の内辺からフロントフロアパネル22に向けて形成されている。フレーム外側壁153は、フレーム底部151の外辺からフロントフロアパネル22に向けて形成されている。フレーム内側フランジ154は、フレーム内側壁152の上辺からフロントフロアパネル22に沿って車幅方向内側へ向けて形成されている。フレーム外側フランジ155は、フレーム外側壁153の上辺からフロントフロアパネル22に沿って車幅方向外側へ向けて形成されている。
【0081】
すなわち、フロントフロアフレーム23は、フレーム底部151、フレーム内側壁152、フレーム外側壁153、フレーム内側フランジ154、及びフレーム外側フランジ155により断面ハット状に形成されている。また、断面ハット状に形成されたフロントフロアフレーム23は、第1稜線156と、第2稜線157と、を有する。第1稜線156は、フレーム底部151とフレーム内側壁152との交差部で形成されている。第2稜線157は、フレーム底部151とフレーム外側壁153との交差部で形成されている。
【0082】
フロントフロアフレーム23は、フレーム内側フランジ154及びフレーム外側フランジ155がフロントフロアパネル22に下方から接続されている。これにより、フロントフロアフレーム23は、例えば、フロントフロアパネル22とともに矩形閉断面に形成され、車体骨格を構成する強度、剛性の高い第3閉断面部158を形成している。
【0083】
図10図12に示すように、フロントフロアフレーム23は、例えば、車両後方のフレーム後端部23aにおいて、フレーム底部151が車両後方に向かうに従って上方へ向けて傾斜状に形成されている。また、フレーム内側壁152及びフレーム外側壁153は、例えば、後端部において下辺がフレーム底部151に沿って車両後方へ向かうに従って上方へ向けて傾斜して形成されている。
【0084】
すなわち、フロントフロアフレーム23は、例えば、フレーム後端部23aが車両後方に向かうに従ってフレーム底部151が上方に傾斜する先細状に形成されている。先細状に形成されたフレーム後端部23aは、第1アッパメンバ36の第1アッパフランジ48と第1ロアメンバ37(詳しくは、エクステンション部72)の第1エクステンションフランジ83とにより上下方向から挟持された状態で接続されている。換言すれば、先細状に形成されたフレーム後端部23aは、第1アッパメンバ36と第1ロアメンバ37とにより上下方向から挟持された状態で接続されている。
【0085】
図7図10に示すように、先細状に形成されたフレーム後端部23aは、第1エクステンションフランジ83(すなわち、エクステンション部72)に接続されている。エクステンション部72のエクステンション後壁82には、リアサイドフレーム13のフレーム前端部13aが突き当てられた状態において接続されている。これにより、エクステンション部72にリアサイドフレーム13のフレーム前端部13a及びフロントフロアフレーム23のフレーム後端部23aが連結されている。
【0086】
ここで、エクステンション部72は、第1フロアクロスメンバ14のうち車幅方向外側端部(すなわち、拡幅部14B)の一部を形成している。このため、リアサイドフレーム13は、第1フロアクロスメンバ14の車幅方向外側端部に連結(接続)されている。また、フロントフロアフレーム23も、第1フロアクロスメンバ14の車幅方向外側端部に連結(接続)されている。
【0087】
図8図10に示すように、フロントフロアフレーム23は、車両前後方向からみて、車幅方向において拡幅部14Bの第1傾斜部88及び第2傾斜部89に重なる位置に配置されている。特に、フロントフロアフレーム23の第1稜線156及び第2稜線157が、第1傾斜部88及び第2傾斜部89に重なる位置に配置されている。
さらに、フロントフロアフレーム23は、バッテリ121よりも車幅方向外側に配置されている。
【0088】
以上説明したように、実施形態の車体下部構造10によれば以下の作用、効果が得られる。なお、以下においては、車体の左側構成について詳しく説明して右側構成の詳しい説明を省略する。
図2図3図10に示すように、バッテリ121の車両前方に第1フロアクロスメンバ14を配置した。また、第1フロアクロスメンバ14の車幅方向外側端部(拡幅部14B)に接続したリアサイドフレーム13をバッテリ121の車幅方向外側に配置した。よって、第1フロアクロスメンバ14とリアサイドフレーム13とによりバッテリ収容部16が囲まれ、バッテリ収容部16にバッテリ121が収容されている。
【0089】
また、第1フロアクロスメンバ14の車両前方にフロントフロアパネル22を備えた。さらに、第1フロアクロスメンバ14の車両前方にフロントフロアパネル22とともに閉断面を形成するフロントフロアフレーム23を備えた。加えて、フロントフロアフレーム23のフレーム後端部23aを第1フロアクロスメンバ14の車幅方向外側端部(すなわち、拡幅部14B)に接続した。ここで、バッテリ収容部16を囲むリアサイドフレーム13のフレーム前端部13aも第1フロアクロスメンバ14の車幅方向外側端部(拡幅部14B)に接続されている。
【0090】
このため、例えば、後面衝突によりリアサイドフレーム13に入力した後突荷重(衝突荷重)F1を、第1フロアクロスメンバ14の拡幅部14Bを経てフロントフロアフレーム23に矢印Aの如く伝達できる。また、例えば、前面衝突によりフロントフロアフレーム23に入力した前突荷重(衝突荷重)F2を、第1フロアクロスメンバ14の拡幅部14Bを経てリアサイドフレーム13に矢印Aの逆方向へ伝達できる。
すなわち、車両前後方向の衝突により入力した衝突荷重F1,F2を、リアサイドフレーム13とフロントフロアフレーム23との間において、第1フロアクロスメンバ14の拡幅部14Bを経て円滑(スムーズ)に伝達できる。
【0091】
したがって、車両前後方向の衝突により入力した衝突荷重F1,F2の一部を、バッテリ収容部16に入力しないように分散できる。これにより、衝突荷重F1,F2に対するバッテリ収容部16の強度、剛性を高めることができる。このため、例えばバッテリ収容部16を補強部材で補強することなく、車両前後方向の衝突により入力した衝突荷重F1,F2によるバッテリ収容部16の変形を抑制できる。この結果、バッテリ収容部16でバッテリ121の損傷を抑制してバッテリ121を保護でき、かつ、車体の軽量化を図ることができる。
【0092】
また、拡幅部14Bのエクステンション部72を第1ロアメンバ37のロア中央部71と別体で形成し、別体のエクステンション部72にフロントフロアフレーム23とリアサイドフレーム13とを連結した。これにより、車両前後方向の衝突により入力した衝突荷重F1,F2を、リアサイドフレーム13とフロントフロアフレーム23との間においてエクステンション部72を経て円滑に伝達できる。
【0093】
図3図7図12に示すように、リアサイドフレーム13の第2閉断面部29を第1フロアクロスメンバ14の第1閉断面部78(具体的には、拡幅部14Bの拡幅閉断面部79)に突き当てた。また、フロントフロアフレーム23のフレーム後端部23aを第1アッパメンバ36と第1ロアメンバ37とに挟持させた。ここで、フロントフロアフレーム23は、例えば、フロントフロアパネル22とともに矩形閉断面の第3閉断面部158を形成している。
【0094】
このため、フロントフロアフレーム23の第3閉断面部158とリアサイドフレーム13の第2閉断面部29とを第1フロアクロスメンバ14の拡幅閉断面部79を介して連続して接続できる。これにより、車両前後方向の衝突により入力した衝突荷重F1,F2を、リアサイドフレーム13とフロントフロアフレーム23との間において第1フロアクロスメンバ14の拡幅閉断面部79を経て円滑に伝達できる。
【0095】
図7図8図10に示すように、第1フロアクロスメンバ14の拡幅部14B(具体的には、拡幅重複部14C)をクロス中央部14Aに対して前後方向幅W1を広く形成した。さらに、拡幅部14Bの第1傾斜部88及び第2傾斜部89をクロス中央部14Aから車幅方向外側に向かうに従って車両後方に傾斜させた。
【0096】
このため、車両前後方向の衝突により入力した衝突荷重F1,F2を、リアサイドフレーム13とフロントフロアフレーム23との間において第1傾斜部88及び第2傾斜部89を経て矢印A方向あるいは矢印Aの逆方向へ円滑に伝達できる。また、車両後方の後面衝突により入力した後突荷重(衝突荷重)F1を、リアサイドフレーム13から第1傾斜部88及び第2傾斜部89を経て第1フロアクロスメンバ14のクロス中央部14Aへ矢印Bの如く円滑に伝達できる。
【0097】
また、拡幅部14Bの前後方向幅W1をクロス中央部14Aに対して広く設定することにより、拡幅部14Bの断面積を大きく確保できる。このため、衝突荷重により拡幅部14Bを好適に変形させて、衝突荷重F1,F2による衝突エネルギの吸収量を増すことができる。
このように、車両前後方向の衝突により入力した衝突荷重F1,F2を第1傾斜部88及び第2傾斜部89を経て円滑に伝達でき、さらに、拡幅部14Bを好適に変形させて衝突エネルギの吸収量を増すことができる。これにより、バッテリ121の損傷を抑制してバッテリ121を保護できる。
【0098】
図7図8に示すように、拡幅部14Bの拡幅閉断面部79を車両上方向に向かうに従って車両後方に傾斜させた。これにより、車両前後方向の衝突により入力した衝突荷重F1,F2を、リアサイドフレーム13とフロントフロアフレーム23との間において拡幅部14Bの拡幅閉断面部79を経て矢印A方向あるいは矢印Aの逆方向へ円滑に伝達できる。
【0099】
また、拡幅部14Bの拡幅閉断面部79を傾斜させことにより、車両前後方向の衝突により入力した衝突荷重F1,F2で拡幅部14Bの拡幅閉断面部79を車両前方に好適に変形させることができる。このため、衝突エネルギの吸収量を増すことができる。
このように、車両前後方向の衝突により入力した衝突荷重F1,F2を、拡幅閉断面部79を経て円滑に伝達でき、さらに、入力した衝突荷重F1,F2により拡幅閉断面部79を好適に変形させて衝突エネルギの吸収量を増すことができる。これにより、バッテリ121の損傷を抑制してバッテリ121を保護できる。
【0100】
図3図8図10に示すように、フロントフロアフレーム23を車幅方向において第1傾斜部88及び第2傾斜部89に重なる位置に配置した。特に、フロントフロアフレーム23の第1稜線156及び第2稜線157が、第1傾斜部88及び第2傾斜部89に重なる位置に配置されている。第1稜線156及び第2稜線157は、車両前後方向の荷重に対して強度、剛性の高い部位である。
【0101】
このため、例えば、車両後方の後面衝突により入力した後突荷重(衝突荷重)F1を、リアサイドフレーム13から第1傾斜部88及び第2傾斜部89を経てフロントフロアフレーム23へ矢印Aの如く一層円滑に伝達できる。また、例えば、車両前方の前面衝突により入力した前突荷重(衝突荷重)F2を、フロントフロアフレーム23から傾斜部を経てリアサイドフレームに向けて矢印Aの逆方向へ一層円滑に伝達できる。
【0102】
すなわち、車両前後方向の衝突により入力した衝突荷重F1,F2を、リアサイドフレーム13とフロントフロアフレーム23との間において第1傾斜部88及び第2傾斜部89を経て一層円滑に伝達できる。
これにより、衝突荷重F1,F2に対するバッテリ収容部16の強度、剛性を高めることができ、車両前後方向の衝突により入力した衝突荷重F1,F2によるバッテリ収容部16の変形を抑制できる。したがって、バッテリ収容部16でバッテリ121の損傷を抑制してバッテリ121を保護できる。
【0103】
フロントフロアフレーム23をバッテリ121よりも車幅方向外側に配置した。このため、フロントフロアフレーム23を車幅方向においてリアサイドフレーム13に近づけることができる。これにより、車両前後方向の衝突により入力した衝突荷重F1,F1を、リアサイドフレーム13とフロントフロアフレーム23との間において一層円滑(スムーズ)に伝達できる。
【0104】
また、フロントフロアフレーム23をバッテリ121よりも車幅方向外側に配置することにより、車幅方向においてフロントフロアフレーム23をバッテリ121に重ならない位置に配置できる。このため、車両前後方向の衝突により入力した衝突荷重F1,F2をバッテリ121と重ならない位置において、リアサイドフレーム13とフロントフロアフレーム23との間を円滑(スムーズ)に伝達できる。
これにより、バッテリ収容部16の変形を一層良好に抑制でき、バッテリ121の損傷を抑制してバッテリ121を保護できる。
【0105】
図8に示すように、拡幅部14Bの拡幅重複部14Cを車幅方向においてリアサイドフレーム13のフレーム前端部13aと重なるように配置し、かつ、拡幅重複部14Cの前後方向幅W1を最も広く設定した。このため、例えば、車両前後方向において拡幅重複部14Cをリアサイドフレーム13に接触させる、あるいは近づけることが可能になる。
【0106】
ここで、例えば、側面衝突によりバッテリ121の車幅方向外側から荷重F3(以下、側突荷重F3ということもある)が入力することが考えられる。この場合、側面衝突により入力する側突荷重F3による拡幅部14Bのリアサイドフレーム13のフレーム前端部13aの側への折れ曲がり(倒れこみ)をリアサイドフレーム13で抑制できる。
このため、側突荷重F3を第1フロアクロスメンバ14に効率よく伝達でき、側突荷重F3を第1フロアクロスメンバ14で支えることができる。これにより、側突荷重F3によるバッテリ収容部16の変形を一層良好に抑制でき、バッテリ121の損傷を抑制してバッテリ121を保護できる。
【0107】
さらに、例えば、側面衝突により過度の側突荷重が入力した場合にも、側突荷重による拡幅部14Bのリアサイドフレーム13の側への倒れこみをリアサイドフレーム13で抑制できる。このため、過度の側突荷重を第1フロアクロスメンバ14に効率よく伝達でき、かつ、過度の側突荷重で拡幅部14B(特に、拡幅重複部14C)を好適に変形させて過度の側突荷重による衝撃エネルギを吸収することもできる。これにより、過度の側突荷重によるバッテリ収容部16の変形を抑制でき、バッテリ121の損傷を抑制してバッテリ121を保護できる。
【0108】
図1図8に示すように、バッテリ121の上部を覆うバッテリカバー18を金属で形成した。バッテリカバー18を金属で形成することにより、バッテリカバー18の強度、剛性を高めることができる。このバッテリカバー18を第1フロアクロスメンバ14及び第2フロアクロスメンバ15に接続した。このため、第1フロアクロスメンバ14及び第2フロアクロスメンバ15をバッテリカバー18で補強できる。
【0109】
これにより、例えば、側面衝突により入力する側突荷重F3をバッテリカバー18、第1フロアクロスメンバ14及び第2フロアクロスメンバ15に分散させることにより、各部材で側突荷重F3を支持できる。したがって、側突荷重F3によるバッテリ収容部16の変形を一層良好に抑制でき、バッテリ121の損傷を抑制してバッテリ121を保護できる。
【0110】
なお、本発明の技術的範囲は前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
【0111】
その他、本発明の趣旨に逸脱しない範囲で、前記実施形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能であり、また、前記した変形例を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0112】
10…車体下部構造
13…リアサイドフレーム
14…第1フロアクロスメンバ(フロントクロスメンバ)
14A…クロス中央部
14B…拡幅部
14C…拡幅重複部
15…第2フロアクロスメンバ(リアクロスメンバ)
18…バッテリカバー
22…フロントフロアパネル(フロアパネル)
23…フロントフロアフレーム
29…第2閉断面部
36…第1アッパメンバ(クロスメンバアッパ)
36a…アッパ中央部
36b…アッパ端部
37…第1ロアメンバ(クロスメンバロア)
71…ロア中央部
72…エクステンション部
78…第1閉断面部
79…拡幅閉断面部
88…第1傾斜部(傾斜部)
89…第2傾斜部(傾斜部)
121…バッテリモジュール(バッテリ)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12