(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-14
(45)【発行日】2024-11-22
(54)【発明の名称】トリガー式液体噴出器
(51)【国際特許分類】
B05B 11/00 20230101AFI20241115BHJP
B65D 47/34 20060101ALI20241115BHJP
【FI】
B05B11/00 102A
B05B11/00 102G
B65D47/34 100
(21)【出願番号】P 2021214360
(22)【出願日】2021-12-28
【審査請求日】2024-07-01
(73)【特許権者】
【識別番号】000006909
【氏名又は名称】株式会社吉野工業所
(74)【代理人】
【識別番号】100141139
【氏名又は名称】及川 周
(74)【代理人】
【識別番号】100140718
【氏名又は名称】仁内 宏紀
(74)【代理人】
【識別番号】100140774
【氏名又は名称】大浪 一徳
(74)【代理人】
【識別番号】100188592
【氏名又は名称】山口 洋
(72)【発明者】
【氏名】坂田 耕太
【審査官】土谷 秀人
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-070785(JP,A)
【文献】特開2012-176384(JP,A)
【文献】特開平10-192748(JP,A)
【文献】特開2017-226474(JP,A)
【文献】特開平10-043648(JP,A)
【文献】米国特許第4940186(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B05B 11/00
B65D 47/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体を噴出する噴出孔が形成されたノズル部材と、
前記ノズル部材が装着された噴出器本体と、
前記噴出器本体を、前記液体が収容された容器体の口部に装着させる装着キャップと、を備え、
前記噴出器本体は、
前記容器体内の液体を吸上げる縦供給筒部と、
前方付勢状態で後方に移動可能に配設されたトリガー部を有し、前記トリガー部の後方への移動によって、液体を前記縦供給筒部内から前記噴出孔側に向けて流通させるトリガー機構と、を備え、
前記装着キャップは、前記噴出器本体に上下方向に近接または当接し、前記装着キャップと前記噴出器本体との相対変位を規制する規制部を備え
、
前記縦供給筒部は、内筒と、前記内筒に外嵌した外筒と、を備え、
前記内筒には、前記外筒の一部が上下方向に挿し込まれる差込部が設けられ、
前記規制部は、前記差込部の外側を囲う筒状に形成されている、トリガー式液体噴出器。
【請求項2】
液体を噴出する噴出孔が形成されたノズル部材と、
前記ノズル部材が装着された噴出器本体と、
前記噴出器本体を、前記液体が収容された容器体の口部に装着させる装着キャップと、を備え、
前記噴出器本体は、
前記容器体内の液体を吸上げる縦供給筒部と、
前方付勢状態で後方に移動可能に配設されたトリガー部を有し、前記トリガー部の後方への移動によって、液体を前記縦供給筒部内から前記噴出孔側に向けて流通させるトリガー機構と、を備え、
前記装着キャップは、前記噴出器本体に上下方向に近接または当接し、前記装着キャップと前記噴出器本体との相対変位を規制する規制部を備え、
前記トリガー機構は、
前記縦供給筒部に連通するとともに、前方に開口する主シリンダと、
前記主シリンダの内周面上を摺動可能な摺動部を有し、前記トリガー部の前後方向への移動に伴い前記主シリンダに対して前後方向に移動する主ピストンと、を備え、
前記噴出器本体は、
前記縦供給筒部から前方に向けて突出すると共に、前記主シリンダが装着される主シリンダ装着用筒部を備え、
前記装着キャップは、前記縦供給筒部が内側に挿入され前記容器体の口部に装着される装着部を備え、
前記規制部は、前記装着部から上方に延在し、かつ前記主シリンダ装着用筒部の下部に近接または当接し、前記装着キャップと前記噴出器本体との相対変位を規制する、
トリガー式液体噴出器。
【請求項3】
前記主シリンダ装着用筒部の下部から下方に延在し、かつ前記装着キャップの前方に近接または当接し、前記装着キャップと前記噴出器本体との相対変位を規制する第2の規制部を備える、
請求項2に記載のトリガー式液体噴出器。
【請求項4】
液体を噴出する噴出孔が形成されたノズル部材と、
前記ノズル部材が装着された噴出器本体と、
前記噴出器本体を、前記液体が収容された容器体の口部に装着させる装着キャップと、を備え、
前記噴出器本体は、
前記容器体内の液体を吸上げる縦供給筒部と、
前方付勢状態で後方に移動可能に配設されたトリガー部を有し、前記トリガー部の後方への移動によって、液体を前記縦供給筒部内から前記噴出孔側に向けて流通させるトリガー機構と、を備え、
前記装着キャップは、前記噴出器本体に上下方向に近接または当接し、前記装着キャップと前記噴出器本体との相対変位を規制する規制部を備え、
前記噴出器本体は、
前記トリガー部の後方への移動によって、前記縦供給筒部内を通過した液体が内部に供給される貯留シリンダと、
前記貯留シリンダ内に前記貯留シリンダの中心軸線に沿う軸方向に移動可能に配設され、前記貯留シリンダ内への液体の供給に伴って前記軸方向のうちの一方側に向けて移動すると共に、他方側に向けて付勢される貯留プランジャと、を備える、
トリガー式液体噴出器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トリガー式液体噴出器に関する。
【背景技術】
【0002】
トリガー部の操作によって容器体内から液体を吸い上げ、噴出孔を通じて液体を噴出するトリガー式液体噴出器が知られている。下記特許文献1に記載されたトリガー式液体噴出器は、トリガー部の移動に伴って前後に移動するピストンと、ピストンの移動に伴って内部が加圧および減圧し、かつ内部が縦供給筒部内に連通するシリンダと、シリンダの内側に配置され、ピストンを介してトリガー部を前方に向けて付勢する付勢部材と、を備えている。
【0003】
さらに、下記特許文献1に記載されたトリガー式液体噴出器は、トリガー部の後方への移動によって、縦供給筒部内を通過した液体が内部に供給される貯留シリンダと、貯留シリンダ内に配設され、貯留シリンダ内への液体の供給に伴って軸方向のうちの一方側に向けて移動すると共に、他方側に向けて付勢される貯留プランジャと、を備え、液体の連続噴出が可能とされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記トリガー式液体噴出器は、トリガー機構を有する噴出器本体(ヘッド部分)の重量が重く、例えば噴出器本体が下向きになって落下した場合、容器体の口部に嵌合する部分(ネック部分)に過大な負荷がかかり、当該嵌合する部分を支点として噴出器本体が曲がるなど、噴出器本体の変形の懸念があった。
【0006】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、その目的は、トリガー機構を有する噴出器本体の変形を抑制できるトリガー式液体噴出器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(1)本発明に係るトリガー式液体噴出器は、液体を噴出する噴出孔が形成されたノズル部材と、前記ノズル部材が装着された噴出器本体と、前記噴出器本体を、前記液体が収容された容器体の口部に装着させる装着キャップと、を備え、前記噴出器本体は、前記容器体内の液体を吸上げる縦供給筒部と、前方付勢状態で後方に移動可能に配設されたトリガー部を有し、前記トリガー部の後方への移動によって、液体を前記縦供給筒部内から前記噴出孔側に向けて流通させるトリガー機構と、を備え、前記装着キャップは、前記噴出器本体に上下方向に近接または当接し、前記装着キャップと前記噴出器本体との相対変位を規制する規制部を備える。
【0008】
本発明に係るトリガー式液体噴出器によれば、トリガー部を操作して後方に移動させることで、液体を縦供給筒部内から噴出孔側に向けて流通させることができる。これにより、ノズル部材の噴出孔を通じて液体を外部に向けて噴出させることができる。
ところで、噴出器本体は、装着キャップによって容器体の口部に装着されている。特に、装着キャップには、噴出器本体に上下方向に近接または当接する規制部が設けられている。従って、噴出器本体が容器体の口部に嵌合する部分を支点として、仮に噴出器本体が容器体側に近づくように変形しようとしても、規制部と当接するため、その変形を規制できる。
これにより、落下等に強いトリガー式液体噴出器とすることができる。
【0009】
(2)前記縦供給筒部は、内筒と、前記内筒に外嵌した外筒と、を備え、前記内筒には、前記外筒の一部が上下方向に挿し込まれる差込部が設けられ、前記規制部は、前記差込部の外側を囲う筒状に形成されていても良い。
【0010】
この場合には、内筒と外筒との上下方向の差し込みによって嵌合する部分が、筒状の規制部によって全周に亘って外側から保護されるため、差込部に挿し込まれた部分にかかる曲げや負荷を低減し、破損や抜けを抑制することができる。
【0011】
(3)前記トリガー機構は、前記縦供給筒部に連通するとともに、前方に開口する主シリンダと、前記主シリンダの内周面上を摺動可能な摺動部を有し、前記トリガー部の前後方向への移動に伴い前記主シリンダに対して前後方向に移動する主ピストンと、を備え、前記噴出器本体は、前記縦供給筒部から前方に向けて突出すると共に、前記主シリンダが装着される主シリンダ装着用筒部を備え、前記装着キャップは、前記縦供給筒部が内側に挿入され前記容器体の口部に装着される装着部を備え、前記規制部は、前記装着部から上方に延在し、かつ前記主シリンダ装着用筒部の下部に近接または当接し、前記装着キャップと前記噴出器本体との相対変位を規制しても良い。
【0012】
この場合には、主シリンダを装着する強度部材である主シリンダ装着用筒部の下部に、規制部が上下方向に近接または当接するため、噴出器本体の変形を規制する際に規制部から加わる負荷を、噴出器本体側で十分に受けることができる。
【0013】
(4)前記主シリンダ装着用筒部の下部から下方に延在し、かつ前記装着キャップの前方に近接または当接し、前記装着キャップと前記噴出器本体との相対変位を規制する第2の規制部を備えても良い。
【0014】
この場合には、より高い負荷が噴出器本体に加わり、規制部による規制された状態からさらに噴出器本体が容器体側に近づくように変形しようとしても、第2の規制部が装着キャップの前方に当接するため、その変形を規制できる。
【0015】
(5)前記噴出器本体は、前記トリガー部の後方への移動によって、前記縦供給筒部内を通過した液体が内部に供給される貯留シリンダと、前記貯留シリンダ内に前記貯留シリンダの中心軸線に沿う軸方向に移動可能に配設され、前記貯留シリンダ内への液体の供給に伴って前記軸方向のうちの一方側に向けて移動すると共に、他方側に向けて付勢される貯留プランジャと、を備えても良い。
【0016】
この場合には、縦供給筒部内から貯留シリンダ内に液体を供給して、貯留シリンダ内を加圧することができる。従って、貯留プランジャを軸方向の他方側に向けた付勢力に抗して軸方向の一方側に向けて押圧することができ、液体を噴出しながら貯留プランジャを軸方向の一方側に向けて移動させることができる。そのため、トリガー部を引く操作を行う毎に、貯留プランジャを軸方向の一方側に移動させて、貯留シリンダ内に液体を溜めながら(充填しながら)、液体を噴出することができる。
なお、貯留シリンダ内への液体の充填後、トリガー部の操作を停止すると、縦供給筒部内を通じた貯留シリンダ内への液体の供給が停止するが、貯留プランジャが軸方向の他方側に向けて復元移動しはじめる。これにより、貯留シリンダ内に充填した液体を、貯留シリンダ内から噴出孔側に向けて押し出すことができ、噴出孔から噴出させることができる。従って、液体の連続噴出を行うことが可能となる。
このように液体の連続噴出を行う場合、噴出器本体の重量がより重くなるが、このような場合であっても、規制部によって落下等に強いトリガー式液体噴出器とすることができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明に係るトリガー式液体噴出器によれば、トリガー機構を有する噴出器本体の変形を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明の第1実施形態に係るトリガー式液体噴出器の縦断面図である。
【
図2】
図1に示すトリガー式液体噴出器の要部の拡大図である。
【
図3】本発明の第2実施形態に係るトリガー式液体噴出器の縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明に係るトリガー式液体噴出器の実施形態について、図面を参照して説明する。本実施形態では、トリガー式液体噴出器が容器体に取り付けられた噴出容器を例にして説明する。
【0020】
[第1実施形態]
図1に示すように、第1実施形態のトリガー式液体噴出器1は、液体を収容する容器体Aの口部に装着される装着キャップ30と、装着キャップ30を介して容器体Aに装着される噴出器本体2と、液体を噴出する噴出孔4が形成され、噴出器本体2に装着されたノズル部材3と、を備えている。噴出器本体2及びノズル部材3は、カバー体5によって覆われている。
なお、トリガー式液体噴出器1の各構成部品は、特に記載がなければ、合成樹脂を用いた成形品とされている。
【0021】
(噴出器本体)
噴出器本体2は、縦供給筒部10と、接続筒部20と、貯留シリンダ40と、貯留プランジャ50と、プランジャ付勢部材60と、射出筒部70と、トリガー機構80と、ボール弁90と、貯留弁91と、を主に備えている。
【0022】
本実施形態では、縦供給筒部10の中心軸線を軸線O1とし、この軸線O1に沿って容器体A側を下側、その反対側を上側といい、軸線O1に沿う方向を上下方向という。また、上下方向から見た平面視において、軸線O1に交差する一方向を前後方向といい、上下方向及び前後方向の双方向に直交する方向を左右方向という。
【0023】
さらに本実施形態では、貯留シリンダ40の中心軸線を軸線O2とする。本実施形態において軸線O2は、前後方向に延びている。従って、本実施形態において前後方向は、貯留シリンダ40の中心軸線に沿う軸方向に相当する。
なお、本実施形態において後方は、貯留シリンダ40の中心軸線に沿う軸方向のうちの一方側に相当し、前方は貯留シリンダ40の中心軸線に沿う軸方向のうちの他方側に相当する。ただし、軸線O2に沿う軸方向は、前後方向と一致していなくても良い。
【0024】
縦供給筒部10は、上下方向に延在し、容器体A内の液体を吸い上げる機能を有する。縦供給筒部10は、装着キャップ30によって、容器体Aに装着されている。縦供給筒部10には、上下方向に延びると共に容器体Aから液体を吸い上げるパイプ11の上部が嵌合されている。
【0025】
図1に示すように、縦供給筒部10の上端部には、前方に向けて延びる接続筒部20が設けられている。
接続筒部20は、噴出器本体2の前方に開口した開口部21を有する筒状に形成され、縦供給筒部10内に連通している。接続筒部20の開口部21には、閉塞栓100が装着され、開口部21を閉塞(シール)している。
【0026】
接続筒部20の下方、且つ、装着キャップ30の上方には、主シリンダ装着用筒部110が設けられている。主シリンダ装着用筒部110は、縦供給筒部10から前方に向けて突出すると共に、前方に向けて開口している。主シリンダ装着用筒部110内には、主シリンダ82が嵌合されている。主シリンダ82は、前方に開口すると共に後方が閉塞された有底筒状に形成されている。主シリンダ82内は、縦供給筒部10内に連通している。
【0027】
貯留シリンダ40は、縦供給筒部10及び接続筒部20の上方に配置されている。貯留シリンダ40の後端は、装着キャップ30の後端よりも後方へ突出している。また、貯留シリンダの前端は、軸線O1よりも前方に位置している。
なお本実施形態では、貯留シリンダ40の下端部は、縦供給筒部10の上端部及び接続筒部20の上端部と一体に形成されている。
貯留シリンダ40の内部(後述する貯留空間40a)には、トリガー部81の後方への揺動によって、縦供給筒部10内及び接続筒部20内を通過した液体が供給される。
具体的には、貯留シリンダ40における前端部の下側部分には、接続筒部20内に連通する供給孔41が形成されている。なお、供給孔41は、後述する閉塞栓100より後方に位置する部分に開口している。これにより、貯留シリンダ40内に、縦供給筒部10内及び接続筒部20内を通過した液体を、供給孔41を通じて供給することが可能とされている。
【0028】
貯留プランジャ50は、貯留シリンダ40内に軸線O2に沿う前後方向に移動可能に配置されている。これにより、貯留プランジャ50は、貯留シリンダ40内を前後方向に密に摺動する。
貯留プランジャ50は、貯留シリンダ40内への液体の供給に伴って後方に向けて移動する。貯留プランジャ50は、接続筒部20内を通じた縦供給筒部10内と噴出孔4との連通を遮断し、且つ後方に移動したときに、接続筒部20内を通じた縦供給筒部10内と噴出孔4との連通を許容する。
つまり、貯留プランジャ50は、最前方位置において、接続筒部20内を通じた縦供給筒部10内と噴出孔4(射出筒部70内)との連通を遮断し、最前方位置から後方に移動したときに、接続筒部20内を通じた縦供給筒部10内と噴出孔4(射出筒部70内)との連通を許容する。なお、貯留シリンダ40において、貯留プランジャ50よりも前方に位置する空間は、貯留空間40aとして機能する。
【0029】
貯留空間40aは、縦供給筒部10内及び接続筒部20内を通過すると共に、供給孔41を通過した液体が貯留される。貯留空間40aは、液体の供給によって貯留プランジャ50が後方に向けて移動することで拡張する。なお、貯留空間40aは、後述する射出筒部70内にも連通可能とされている。
【0030】
プランジャ付勢部材60は、貯留プランジャ50を前方に向けて付勢している。プランジャ付勢部材60は、貯留シリンダ40内において貯留プランジャ50よりも後方に配置されている。プランジャ付勢部材60は、トリガー部81を操作する前の初期状態において、貯留プランジャ50を前方に向けて付勢している。これにより、貯留プランジャ50は、最前方位置に位置している。
なお、プランジャ付勢部材60は、軸線O2と同軸に配設された金属製のコイルばねとされている。ただし、例えばプランジャ付勢部材60として樹脂製のばねを用いても良いし、その他の弾性を有する部材を用いても構わない。
【0031】
上述のように構成された貯留シリンダ40及び貯留プランジャ50において、貯留プランジャ50が後方に移動するまでの間、貯留空間40a内で液体を加圧することが可能となる。その後、貯留空間40aの液圧が所定値に達すると、貯留プランジャ50がプランジャ付勢部材60に抗して後方に移動する。これにより、貯留空間40aの液体を、噴出孔4側に供給することが可能とされている。
従って、貯留プランジャ50を蓄圧弁として機能させることができる。
【0032】
射出筒部70は、貯留シリンダ40から前方に向けて延びている。射出筒部70は、貯留シリンダ40内(貯留空間40a)及び接続筒部20内を通じて縦供給筒部10の内部に連通している。これにより、射出筒部70は、縦供給筒部10内、接続筒部20内及び貯留シリンダ40内(貯留空間40a)を通過した液体を噴出孔4に導くことが可能とされている。
【0033】
トリガー機構80は、トリガー部81と、主シリンダ82と、主ピストン83と、付勢部材84とを備えている。トリガー機構80は、トリガー部81の後方への揺動によって、液体を縦供給筒部10内から接続筒部20内を通じて噴出孔4側に向けて流通させることが可能とされている。
【0034】
トリガー部81は、縦供給筒部10の前方に前方付勢状態で後方に移動可能に配置されている。トリガー部81は、上下方向に延びるように形成されていると共に、射出筒部70の下方に配置されている。トリガー部81は、上端部がノズル部材3に前後方向に揺動可能に軸支され、下端部が主シリンダ82の前方に配置される。
【0035】
なお図示の例では、トリガー部81と、主シリンダ82との間の前後方向の隙間には、ストッパTが設けられている。ストッパTは、トリガー部81及び主シリンダ82のそれぞれに当接することで、トリガー部81の後方への揺動を規制する。ただし、ストッパTは必須なものではなく、具備しなくても構わない。
【0036】
主ピストン83は、主シリンダ82の内部に前後方向に移動可能に配置されている。主ピストン83は、トリガー部81の揺動に連動して前後方向に移動可能とされている。これにより、主シリンダ82の内部は、主ピストン83の前後方向の移動に伴って加圧及び減圧される。なお、主ピストン83は、後方に開口すると共に前方が閉塞された有頂筒状に形成されている。
【0037】
主ピストン83は、付勢部材84の付勢力によってトリガー部81を介して前方に付勢されている。主ピストン83は、トリガー部81の後方への揺動に伴って後方に移動して主シリンダ82内に押し込まれる。なお、主ピストン83は、トリガー部81が最前方揺動位置にあるときに、これに対応して最前方位置に位置している。
【0038】
付勢部材84は、例えば金属製のコイルばねとされている。付勢部材84は、主ピストン83及び主シリンダ82と同軸に配設され、主ピストン83が連結されたトリガー部81を前方に付勢している。付勢部材84は、主シリンダ82の前方の開口部に装着されたばね受け130とトリガー部81との間に配置されている。
ただし、付勢部材84の材質は金属製に限定されるものではなく、例えば樹脂ばね等を採用してもよい。
【0039】
ボール弁90及び貯留弁91は、縦供給筒部10内に設けられている。
ボール弁90は、主シリンダ82内の加圧時に、縦供給筒部10内を通じた容器体A内と主シリンダ82内との連通を遮断すると共に、主シリンダ82内の減圧時に上方に向けて変位することで、縦供給筒部10内を通じた容器体A内と主シリンダ82内との連通を許容する逆止弁とされている。
【0040】
ボール弁90の上方には、貯留弁91が配置されている。貯留弁91は、縦供給筒部10内から接続筒部20内を通じた貯留シリンダ40内への液体の供給を許容すると共に、貯留シリンダ40内から接続筒部20内を通じた縦供給筒部10内への液体の流出を規制する逆止弁とされている。
【0041】
カバー体5は、縦供給筒部10のうちの下端部を除く全体、射出筒部70の全体、及び貯留シリンダ40の全体を、少なくとも左右方向の両側及び上方から覆うように形成されている。
【0042】
(ノズル部材)
ノズル部材3は、主に射出筒部70を利用して噴出器本体2に組付けられている。
ノズル部材3は、射出筒部70に前方から外嵌された装着筒部120と、装着筒部120における前端部の内側に位置するノズル軸部121と、ノズル軸部121に装着されたノズルキャップ122と、を備えている。ノズルキャップ122には、前方に開口し、液体を前方に向けて噴出する噴出孔4が形成されている。
【0043】
(装着キャップ)
以上のように構成されたトリガー式液体噴出器1において、先に述べた装着キャップ30及び装着キャップ30の周辺の構造について説明する。
【0044】
図2に示すように、前方に向けて開口する有底筒状の主シリンダ82には、その後壁部の中央部分から前方に向けて突出した筒状のガイド筒82aが設けられている。ガイド筒82aの前端部は、主シリンダ82の前端部よりも後方に位置している。ガイド筒82aの底部は環状に形成され、内側に主シリンダ装着用筒部110に設けられた嵌合筒部111が嵌合されている。なお、嵌合筒部111の前端部は、ガイド筒82aの内部に突出している。ガイド筒82aは、嵌合筒部111と同軸に配設されている。
【0045】
なお、本実施形態では、前後方向に沿って延びる主シリンダ82、ガイド筒82a、主シリンダ装着用筒部110、及び嵌合筒部111の同軸の中心軸線を軸線O3とする。さらに軸線O3方向から見た平面視において、軸線O3に交差する方向を径方向といい、軸線O3回りに周回する方向を周方向という。
【0046】
主ピストン83は、主シリンダ82の内部に前後方向に移動可能に配置される摺動部85を備えている。摺動部85は、有頂筒状の主ピストン83の後端部に環状に設けられている。摺動部85の内側には、ガイド筒82aが挿入されている。ガイド筒82aの後端部における外周面には、環状の窪み部82bが形成されている。
【0047】
摺動部85は、ガイド筒82aの外周面に摺接する内側リップ部85aと、内側リップ部85aから径方向外側に向けて延在するリップ連結部85bと、リップ連結部85bの径方向外側に連設され、主シリンダ82の内周面に摺接する外側リップ部85cと、を備えている。内側リップ部85aは、その後端部が径方向内側に延び、ガイド筒82aの外周面に摺接している。これにより、内側リップ部85aとガイド筒82aの外周面との間に、シール性が確保されている。
【0048】
リップ連結部85bは、内側リップ部85aと外側リップ部85cとの間を径方向において連結する環状に形成されている。リップ連結部85bの前方を向く面は、平面状に形成されている。外側リップ部85cは、リップ連結部85bの外周端から前方及び後方に向かうに従って各別に拡径して前後一対で形成され、主シリンダ82の内周面に対して摺接している。これにより、外側リップ部85cと主シリンダ82の内周面との間に、シール性が確保されている。
【0049】
なお、内側リップ部85aは、主ピストン83が最後方位置に位置したときに窪み部82bに達する。内側リップ部85aがガイド筒82aの窪み部82bに達すると、内側リップ部85aと窪み部82bとの間に若干の隙間が形成される。この隙間を通じて、主シリンダ82のガイド筒82a内と、主ピストン83の内周面とガイド筒82aの外周面との間の隙間と、が連通する。これにより、主シリンダ82内が、ガイド筒82a内を通じて嵌合筒部111内に連通する。
【0050】
縦供給筒部10は、上下方向に延在し、容器体A(
図1参照)から液体を吸い上げる。縦供給筒部10は、外筒12と、外筒12内に嵌合された内筒13とを有している。外筒12及び内筒13で構成される縦供給筒部10の軸線O1は、容器体Aの容器軸より後方に位置している。
【0051】
外筒12は、大径部12aと、大径部12aの上方に配置され、且つ大径部12aよりも縮径した小径部12bと、大径部12aの上端部と小径部12bの下端部とを連結した環状連結部12cと、環状連結部12cの内周縁から下方に垂設された差込筒部12dと、を有している。小径部12bは、円筒状に形成され、軸線O1と同軸に配設されている。小径部12bの上端部は、貯留シリンダ40(
図1参照)と一体に形成されている。これにより、縦供給筒部10を構成する外筒12は、貯留シリンダ40と一体に形成されている。
【0052】
内筒13は、大径部13aと、大径部13aの径方向内側に配置され、且つ大径部13aよりも縮径した小径部13bと、大径部13aの内周面と小径部13bの外周面とを径方向に連結する環状連結部13cとを有している。
【0053】
大径部13aは、外筒12の大径部12a内に配設されている。大径部13aの下端部は、外筒12の大径部12aよりも下方に突出していると共に、容器体Aの口部の内側に嵌合している。大径部13aのうち外筒12の大径部12aよりも下方に突出した部分には、大径部13aの径方向の外側に向けて突出した環状の鍔部13dが形成されている。鍔部13dは、容器体Aの口部に装着(例えば螺着)される装着キャップ30の有頂筒状の装着部31の上端部内に配設され、装着部31の上端部をその軸線回りに回転自在に係止している。鍔部13dは、装着部31の上端部と容器体Aの口部における上端開口縁とにより上下方向に挟まれる。
【0054】
小径部13bは、軸線O1と同軸に配設され、上下方向の両方に開口した円筒状に形成されている。小径部13bは、外筒12の小径部12b内に配設されている。なお、小径部13bの上端開口縁は、外筒12の上端部から僅かに下方に離れている。小径部13bの下側部分の内側には、上下方向に延びると共に容器体Aから液体を吸い上げるパイプ11の上部が嵌合されている。なお、パイプ11の下端開口部は、容器体Aの図示しない底部に位置している。
【0055】
環状連結部13cは、小径部13bより前方側に位置する部分よりも、小径部13bより後方側に位置する部分の方が下方に位置するように上下方向に段差が付いた状態で形成されている。ただし、この場合に限定されるものではなく、環状連結部13cは、全周に亘って同等の高さを維持するように形成されていても構わない。
環状連結部13cの小径部13bの周囲には、上下方向に差込部13eが設けられている。差込部13eは、軸線O1を中心に環状連結部13cの上面から一定の深さで環状に形成されている。差込部13eは、小径部13bの前方側において環状連結部13cの下面まで貫通しているが、小径部13bの後方側においては環状連結部13cの下面まで貫通していない。
【0056】
小径部13bには、環状連結部13cよりも下方に突出する環状のパイプ嵌合筒13fが形成されている。パイプ嵌合筒13fは、下方に向けて開口しており、下方に向かうにしたがって内周面が漸次拡径する縦断面視テーパ状に形成されている。パイプ11は、パイプ嵌合筒13fを通じて小径部13bの内側に下方から差し込まれることで嵌合されている。
【0057】
外筒12と内筒13との間には、回収通路17が軸線O1よりも後方に位置するように設けられている。回収通路17は、上下方向に延びていると共に、上方に開口し、且つ下方には非開口とされている。
具体的に回収通路17は、外筒12の小径部12bの内周面に形成された縦溝とされている。回収通路17は、小径部12bにおける上下方向の全長に亘って設けられ、下端部は内筒13における環状連結部13cに形成された差込部13eの後方側における底部によって下方から閉塞されている。ただし、回収通路17の下端部は、連通路17aを通じて後述する接続通路18に連通すると共に、連通開口18aを通じて容器体A内に連通している。
【0058】
なお回収通路17は、例えば内筒13の外周面に形成された縦溝であってもよい。さらに回収通路17が、外筒12及び内筒13のそれぞれに形成された縦溝が組み合わされることで形成されてもよい。
【0059】
連通路17aは、回収通路17と後述する接続通路18とを連通する通路であり、回収通路17から縦供給筒部10の周方向に延びるように形成されている。連通路17aは、回収通路17の下端部から前方に延び、接続通路18に繋がっている。なお、連通路17aは、例えば円弧状に形成され、軸線O1を径方向に挟んで2つ設けられている。
【0060】
連通路17aは、外筒12の小径部12bから下方に延び、差込部13eに差し込まれる小径部12bより薄肉の差込筒部12dの内周面に形成され、且つ周方向に延びる周溝とされている。なお連通路17aは、例えば内筒13の内周面に形成された周溝であっても良い。さらに連通路17aは、外筒12及び内筒13のそれぞれに形成された周溝が組み合わされることで形成されても良い。
連通路17aは、後述する連通開口18aを通じて容器体A内と連通している。なお、連通路17aは、連通開口18a以外の部分では、差込部13eの底部によって下方(容器体A内)に向けて非開口とされている。
【0061】
外筒12の内周面と、内筒13の外周面との間には、上下方向に延びる接続通路18が形成されている。接続通路18は、回収通路17から軸線O1回りに離れていると共に、回収通路17及び軸線O1よりも前方に位置している。具体的には、接続通路18は、縦供給筒部10の前端部に配置されている。
接続通路18の上端部は、嵌合筒部111の後方に位置している。接続通路18の下端部は、内筒13における環状連結部13cに形成された連通開口18aを通じて容器体A内に連通している。
これにより、接続通路18は、連通開口18a及び大径部13a内を通じて嵌合筒部111内と容器体A内とを連通している。なお、接続通路18は、主シリンダ82内の空気を排出する残圧解除通路として機能する。さらに、先に述べた回収通路17は、連通路17a、接続通路18及び連通開口18aを通じて容器体A内に連通している。
【0062】
なお、接続通路18は、例えば内筒13の外周面に形成された縦溝によって形成されていても良いし、外筒12及び内筒13のそれぞれに形成された縦溝が組み合わされることで形成されても良い。
【0063】
回収通路17の上端部は、貯留シリンダ40(
図1参照)内に連通している。貯留プランジャ50がある程度後方に移動すると、貯留空間40a内が、回収通路17を通じて容器体A内に連通する。つまり、貯留プランジャ50が後方に移動したときに、回収通路17を利用して、貯留空間40a内と容器体A内とを連通させることができる。
従って、貯留空間40a内の液体の一部を容器体A内に戻すことができ、貯留空間40a内に液体が過剰に供給されることを抑制することができる。これにより、貯留空間40a内の圧力が過度に高くなることを抑制することができ、液漏れや各部の破損等が発生することを抑制することができる。
【0064】
装着キャップ30は、縦供給筒部10が内側に挿入され容器体Aの口部に装着される装着部31と、噴出器本体2に上下方向に近接または当接し、装着キャップ30と噴出器本体2との相対変位を規制する規制部32と、を備える。装着部31は、その内周面に雌ネジが形成された有頂筒状に形成されている。装着部31の内面側の上端面は、鍔部13dと上下方向で対向し、縦供給筒部10の鍔部13dを、容器体Aの口部における上端開口縁との間で上下方向に挟み込む。
【0065】
装着部31の外面側は、その上端部において上方に向かうに従って縮径している。規制部32は、装着部31の上端部の縮径した部分から上方に延びる円筒状に形成されている。規制部32は、外筒12の差込筒部12dが上下方向に差し込まれる内筒13の差込部13eの外側を、全周に亘って囲っている。つまり、規制部32は、差込部13eを含むように上下方向に延びている。規制部32の内周面は、外筒12の大径部12aの外周面に近接している。なお、規制部32の内周面は、外筒12の大径部12aの外周面に当接していても構わない。
【0066】
規制部32の上端開口縁である上端部32aは、主シリンダ装着用筒部110と上下方向で隙間をあけて対向する環状連結部13cの上面よりも上方に位置している。また、規制部32の上端部32aは、縦供給筒部10の前方側において、主シリンダ82を装着する主シリンダ装着用筒部110の下部に近接している。なお、規制部32の上端部32aは、主シリンダ82を装着する主シリンダ装着用筒部110の下部に当接していても構わない。また、規制部32の上端部32aは、縦供給筒部10の後方側において、カバー体5の下面5aに近接している。なお、規制部32の上端部32aは、カバー体5の下面5aに当接していても構わない。
【0067】
ここで、「規制部32が噴出器本体2に上下方向に近接する」とは、規制部32と噴出器本体2とが当接していないが、規制部32と噴出器本体2との間に形成される隙間が微小であること言う。「隙間が微小」とは、例えば、噴出器本体2の縦供給筒部10が装着キャップ30を支点として容器体A側に曲がろうとしたときに、噴出孔4の噴出角度が基準角度(例えば0°)から微小角度(例えば±3°以下)の範囲で収まる隙間寸法であるとよい。当該隙間寸法は、規制部32の外周面から内周面までの厚みと比較すると、規制部32の厚み以下であればよく、好ましくは、当該規制部32の厚みの1/5以下であってもよい。なお、規制部32の内周面と外筒12の大径部12aの外周面との隙間も当該隙間寸法と同じかそれ以下であるとよい。
なお、装着キャップ30は、容器体Aへの装着が完了した状態において、噴出器本体2に微小な隙間を有して近接していることが好ましい。装着キャップ30が噴出器本体2と微小な隙間を有して近接していることで、トリガー式液体噴出器1を容器体Aから脱着する際に、装着キャップ30が噴出器本体2と摺動することなく回動可能となる。したがって、トリガー式液体噴出器1の容器体Aに対する取り付け及び取り外しが容易になる。
【0068】
(トリガー式液体噴出器の作用)
次に、上述のように構成されたトリガー式液体噴出器1を使用する場合について説明する。なお、
図1に示すトリガー部81の複数回の操作によって、トリガー式液体噴出器1の各部内に液体が充填され、縦供給筒部10内に液体を吸い上げることができる状態になっているものとする。
【0069】
ストッパTを取り外した後、トリガー部81を付勢部材84の付勢力に抗して、後方に引くように操作すると、主ピストン83が最前方位置から後方に移動し、主シリンダ82内が加圧される。これにより、主シリンダ82内の液体が、縦供給筒部10に供給される。縦供給筒部10に供給された液体は、ボール弁90を下方に押し付けると共に、貯留弁91を押し上げる。
【0070】
これにより、縦供給筒部10内の液体を、接続筒部20内及び供給孔41を通じて貯留シリンダ40の貯留空間40aに供給することができ、貯留空間40aを加圧することができる。そのため、貯留空間40aの加圧に伴って、貯留プランジャ50をプランジャ付勢部材60の付勢力に抗して最前進位置から後方に向けて移動させることができ、液体を貯留空間40aに溜める(充填する)ことができる。貯留プランジャ50が後方に移動することで、圧力が高まった貯留空間40aの液体を、射出筒部70内を通じて噴出孔4に導くことができる。これにより、噴出孔4から前方に向けて液体を噴出させることができる。
【0071】
上述のように、トリガー部81を後方に引く操作を行う毎に、液体を噴出孔4から噴出させることができると共に、貯留プランジャ50を後方に移動させて、貯留空間40a内に液体を溜めることができる。
【0072】
その後、トリガー部81を解放すると、付勢部材84の弾性復元力(付勢力)によってトリガー部81が前方に復元移動するので、これに伴ってトリガー部81に連結された主ピストン83も主シリンダ82内を前方に向けて復元移動する。そのため、主シリンダ82内を減圧させて、容器体A内の圧力よりも低い圧力にすることができるので、貯留弁91が閉弁したままの状態で、ボール弁90を上昇させることができる。従って、容器体A内の液体を、縦供給筒部10内に吸い上げ、主シリンダ82内に導入することができる。
これにより、次回の噴出に備えることができる。
【0073】
なお、トリガー部81の後方に向けた操作を停止すると、縦供給筒部10内及び接続筒部20内を通じた貯留空間40aへの液体の供給は停止するものの、プランジャ付勢部材60の付勢力によって貯留プランジャ50が最前進位置に向けて前方移動しはじめる。
なお、この際、貯留空間40aから縦供給筒部10内への液体の流出は、貯留弁91によって規制される。
【0074】
これにより、貯留空間40aに溜まった液体を、射出筒部70内を通じて噴出孔4に導き、噴出孔4を通じて前方に向けて液体を引き続き噴出させることができる。
このように、トリガー部81を後方に引く操作を行ったときだけでなく、トリガー部81を操作しない場合であっても液体を噴出させることができ、液体の連続噴出を行うことができる。
【0075】
以上説明したように、本実施形態のトリガー式液体噴出器1によれば、トリガー部81を後方に引く操作を行ったときだけでなく、トリガー部81を操作しない場合であっても液体を噴出させることができ、液体の連続噴出を行うことができる。
なお、トリガー部81は、上端部(支点)がノズル部材3に揺動可能に軸支され、トリガー部81の中間部(作用点)に主ピストン83が連結されているので、例えばトリガー部81の下端部(力点)を操作することで、いわゆるてこの原理を利用して、主ピストン83を効率良く移動させることができる。そのため、トリガー部81の操作性を向上することができる。
【0076】
さらに本実施形態のトリガー式液体噴出器1によれば、
図2に示すように、噴出器本体2は、装着キャップ30によって容器体Aの口部に装着されている。
特に、装着キャップ30には、噴出器本体2に上下方向に近接または当接する規制部32が設けられている。従って、例えば噴出器本体2が下向きになって落下するなどして、噴出器本体2が装着キャップ30を支点として、仮に噴出器本体2が容器体A側に近づくように変形しようとしても、主シリンダ装着用筒部110の下部やカバー体5の下面5aに、規制部32の上端部32aが当接するため、その変形を規制できる。
これにより、落下等に強いトリガー式液体噴出器1とすることができる。
【0077】
このように、本実施形態に係るトリガー式液体噴出器1は、液体を噴出する噴出孔4が形成されたノズル部材3と、ノズル部材3が装着された噴出器本体2と、噴出器本体2を、液体が収容された容器体Aの口部に装着させる装着キャップ30と、を備え、噴出器本体2は、容器体A内の液体を吸上げる縦供給筒部10と、前方付勢状態で後方に移動可能に配設されたトリガー部81を有し、トリガー部81の後方への移動によって、液体を縦供給筒部10内から噴出孔4側に向けて流通させるトリガー機構80と、を備え、装着キャップ30は、噴出器本体2に上下方向に近接または当接し、装着キャップ30と噴出器本体2との相対変位を規制する規制部32を備える。この構成によれば、トリガー機構80を有する噴出器本体2の変形を抑制できる。
【0078】
また、本実施形態では、縦供給筒部10は、内筒13と、内筒13に外嵌した外筒12と、を備え、内筒13には、外筒12の一部(差込筒部12d)が上下方向に挿し込まれる差込部13eが設けられ、規制部32は、差込部13eの外側を囲う筒状に形成されている。この構成によれば、内筒13と外筒12との上下方向の差し込みによって嵌合する部分が、筒状の規制部32によって全周に亘って外側から保護されるため、差込部13eに挿し込まれた薄肉の差込筒部12dにかかる曲げや負荷を低減し、破損や抜けを抑制することができる。
【0079】
また、本実施形態では、トリガー機構80は、縦供給筒部10に連通するとともに、前方に開口する主シリンダ82と、主シリンダ82の内周面上を摺動可能な摺動部85を有し、トリガー部81の前後方向への移動に伴い主シリンダ82に対して前後方向に移動する主ピストン83と、を備え、噴出器本体2は、縦供給筒部10から前方に向けて突出すると共に、主シリンダ82が装着される主シリンダ装着用筒部110を備え、装着キャップ30は、縦供給筒部10が内側に挿入され容器体Aの口部に装着される装着部31を備え、規制部32は、装着部31から上方に延在し、かつ主シリンダ装着用筒部110の下部に近接または当接し、装着キャップ30と噴出器本体2との相対変位を規制する。この構成によれば、主シリンダ82を装着する強度部材である主シリンダ装着用筒部110の下部に、規制部32が上下方向に近接または当接するため、噴出器本体2の変形を規制する際に規制部32から加わる負荷を、噴出器本体2側で十分に受けることができる。
【0080】
また、本実施形態では、噴出器本体2は、トリガー部81の後方への移動によって、縦供給筒部10内を通過した液体が内部に供給される貯留シリンダ40と、貯留シリンダ40内に貯留シリンダ40の中心軸線に沿う軸方向に移動可能に配設され、貯留シリンダ40内への液体の供給に伴って軸方向のうちの一方側に向けて移動すると共に、他方側に向けて付勢される貯留プランジャ50と、を備える。この構成によれば、縦供給筒部10内から貯留シリンダ40内に液体を供給して、貯留シリンダ40内を加圧することができる。従って、貯留プランジャ50を軸方向の他方側に向けた付勢力に抗して軸方向の一方側に向けて押圧することができ、液体を噴出しながら貯留プランジャ50を軸方向の一方側に向けて移動させることができる。そのため、トリガー部81を引く操作を行う毎に、貯留プランジャ50を軸方向の一方側に移動させて、貯留シリンダ40内に液体を溜めながら(充填しながら)、液体を噴出することができる。
なお、貯留シリンダ40内への液体の充填後、トリガー部81の操作を停止すると、縦供給筒部10内を通じた貯留シリンダ40内への液体の供給が停止するが、貯留プランジャ50が軸方向の他方側に向けて復元移動しはじめる。これにより、貯留シリンダ40内に充填した液体を、貯留シリンダ40内から噴出孔4側に向けて押し出すことができ、噴出孔4から噴出させることができる。従って、液体の連続噴出を行うことが可能となる。
このように液体の連続噴出を行う場合、噴出器本体2の重量がより重くなるが、このような場合であっても、規制部32によって落下等に強いトリガー式液体噴出器1とすることができる。
また、本実施形態では、
図1に示すように、貯留シリンダ40の後端が装着キャップ30の後端よりも後方へ突出し、貯留シリンダ40の前端が軸線O1よりも前方に位置している。このような、貯留シリンダ40を有して連続噴出が可能なトリガー式液体噴出器1では、後方に突出した貯留シリンダ40とバランスを取り、かつノズル部材3と射出筒部70との嵌合寸法を確保するため、通常のトリガー式液体噴出器よりもノズル部材3の前端が前方に位置するように形成されている。
そのため、落下などによって、後方に突出した貯留シリンダ40の後端部や前方に突出したノズル部材3の前端部に衝撃が加わった場合、より強く力のモーメントが縦供給筒部10と容器体Aの口部との嵌合箇所に生じる。そのため、連続噴出式のトリガー式液体噴出器1によれば、通常のトリガー式液体噴出器よりも、上述した規制部32によって噴出器本体2の変形を抑制する有効性が高い。
【0081】
[第2実施形態]
次に、本発明の第2実施形態について説明する。以下の説明において、上述の実施形態と同一又は同等の構成については同一の符号を付し、その説明を簡略若しくは省略する。
【0082】
図3に示すように、第2実施形態のトリガー式液体噴出器1は、主シリンダ装着用筒部110の下部から下方に延在し、かつ装着キャップ30の前方に近接または当接し、装着キャップ30と噴出器本体2との相対変位を規制する第2の規制部140を備える。
【0083】
第2の規制部140は、主シリンダ装着用筒部110と一体的に形成された側面視略直角三角形のリブである。第2の規制部140の斜面側は、前方を向き、第2の規制部140の垂直面側は、後方を向いている。つまり、第2の規制部140の垂直面側は、装着キャップ30に前後方向に対向し、且つ装着キャップ30の前方側に近接している。なお、第2の規制部140と装着キャップ30との前後方向の隙間寸法も、上述した
図2に示す規制部32と噴出器本体2との上下方向の隙間寸法と同じか、当該隙間寸法より大きくてもよい。なお、第2の規制部140は、装着キャップ30に当接していても構わない。
【0084】
上記構成の第2実施形態によれば、主シリンダ装着用筒部110の下部から下方に延在し、かつ装着キャップ30の前方に近接または当接し、装着キャップ30と噴出器本体2との相対変位を規制する第2の規制部140を備える。この構成によれば、より高い負荷が噴出器本体2に加わり、上述した
図2に示す規制部32による規制された状態からさらに噴出器本体2が容器体A側に近づくように変形しようとしても、第2の規制部140が装着キャップ30の前方に当接するため、その変形を規制できる。また、装着キャップ30は、容器体Aへの装着が完了した状態において、第2の規制部140との間に前後方向に微小な隙間を有して近接していることが好ましい。装着キャップ30が第2の規制部140と前後方向に微小な隙間を有して近接していることで、トリガー式液体噴出器1を容器体Aから脱着する際に、装着キャップ30が噴出器本体2と摺動することなく回動可能となる。なお、第2の規制部140が装着キャップ30に近接または当接する位置は、
図2に示す装着部31の前方であっても、規制部32の前方であっても構わないが、装着キャップ30の回し易さを考慮すると、装着部31ではなく、規制部32の前方であるとよい。
【0085】
以上、本発明の実施形態を説明したが、これらの実施形態は例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。実施形態は、その他様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。実施形態やその変形例には、例えば当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のもの、均等の範囲のものなどが含まれる。
【0086】
例えば上記実施形態では、規制部32が筒状である場合を例に挙げて説明したが、規制部32は、装着部31の上端部において、周方向の一箇所ないし複数箇所に突設された突起であっても構わない。
【0087】
また、例えば上記実施形態では、規制部32が主シリンダ装着用筒部110またはカバー体5に近接または当接する場合を例に挙げて説明したが、規制部32は、主シリンダ装着用筒部110及びカバー体5のいずれか一方にのみに近接または当接しても構わない。また、規制部32は、噴出器本体2と装着キャップ30との相対変位を規制できれば、主シリンダ装着用筒部110及びカバー体5以外の場所と当接または近接しても構わない。
【0088】
その他、本発明の趣旨に逸脱しない範囲で、前記実施形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能である。
【符号の説明】
【0089】
1…トリガー式液体噴出器、2…噴出器本体、3…ノズル部材、4…噴出孔、5…カバー体、5a…下面、10…縦供給筒部、11…パイプ、12…外筒、12a…大径部、12b…小径部、12c…環状連結部、12d…差込筒部、13…内筒、13a…大径部、13b…小径部、13c…環状連結部、13d…鍔部、13e…差込部、13f…パイプ嵌合筒、17…回収通路、17a…連通路、18…接続通路、18a…連通開口、20…接続筒部、21…開口部、30…装着キャップ、31…装着部、32…規制部、32a…上端部、40…貯留シリンダ、40a…貯留空間、41…供給孔、50…貯留プランジャ、60…プランジャ付勢部材、70…射出筒部、80…トリガー機構、81…トリガー部、82…主シリンダ、82a…ガイド筒、82b…窪み部、83…主ピストン、84…付勢部材、85…摺動部、85a…内側リップ部、85b…リップ連結部、85c…外側リップ部、90…ボール弁、91…貯留弁、100…閉塞栓、110…主シリンダ装着用筒部、111…嵌合筒部、120…装着筒部、121…ノズル軸部、122…ノズルキャップ、130…ばね受け、140…第2の規制部、A…容器体、O1…軸線、O2…軸線、O3…軸線、T…ストッパ