(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-14
(45)【発行日】2024-11-22
(54)【発明の名称】非水電解質二次電池
(51)【国際特許分類】
H01M 4/133 20100101AFI20241115BHJP
H01M 4/62 20060101ALI20241115BHJP
H01M 4/587 20100101ALI20241115BHJP
H01M 4/36 20060101ALI20241115BHJP
H01M 10/0566 20100101ALI20241115BHJP
H01M 10/052 20100101ALI20241115BHJP
【FI】
H01M4/133
H01M4/62 Z
H01M4/587
H01M4/36 D
H01M10/0566
H01M10/052
(21)【出願番号】P 2021516019
(86)(22)【出願日】2020-04-14
(86)【国際出願番号】 JP2020016401
(87)【国際公開番号】W WO2020218083
(87)【国際公開日】2020-10-29
【審査請求日】2023-03-07
(31)【優先権主張番号】P 2019083098
(32)【優先日】2019-04-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】322003798
【氏名又は名称】パナソニックエナジー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】弁理士法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】津田 貴郎
(72)【発明者】
【氏名】四宮 拓也
(72)【発明者】
【氏名】田下 敬光
(72)【発明者】
【氏名】水越 文一
【審査官】川口 陽己
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-055952(JP,A)
【文献】特開2011-009203(JP,A)
【文献】特開2012-216537(JP,A)
【文献】特表2018-523912(JP,A)
【文献】特開2000-011997(JP,A)
【文献】国際公開第2019/239652(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 4/00-4/62
H01M 10/05-10/0587
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
負極集電体と、前記負極集電体の表面に設けられた負極合剤層と、を有する負極
と、液体の非水電解質とを備え、
前記負極合剤層は、負極活物質としての黒鉛粒子A及び黒鉛粒子Bと、結着剤としてのゴム系バインダとを含み、
前記黒鉛粒子Aの内部空隙率は5%以下であり、前記黒鉛粒子Bの内部空隙率は8%~20%であり、
前記黒鉛粒子Aは、前記負極合剤層を厚み方向において2等分した場合の前記負極集電体側半分の領域より、外表面側半分の領域に多く含まれ、
前記ゴム系バインダは、前記負極集電体側半分の領域に、前記負極合剤層に含まれる全ての前記ゴム系バインダの90質量%~100質量%が含まれている、非水電解質二次電池。
【請求項2】
前記外表面側半分の領域における前記黒鉛粒子Aと前記黒鉛粒子Bの割合は、質量比で60:40~100:0である、請求項1に記載の非水電解質二次電池。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、非水電解質二次電池に関する。
【背景技術】
【0002】
非水電解質二次電池の負極を構成する負極合剤層は、負極活物質と、ゴム系バインダ等の結着剤とを含む。近年、高エネルギー密度化を目的に、負極活物質として、内部空隙率が低い黒鉛粒子等の炭素材料が利用されている。
【0003】
例えば、特許文献1には、炭素材料に内部空隙率が5%以下の緻密化炭素を用いた非水電解質二次電池が開示されている。
【0004】
また、特許文献2には、内部空隙率が1%以上23%未満の炭素材Aと、内部空隙率が23%以上40%以下である炭素材Bを含む炭素材料を用いた非水電解質二次電池が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開平9-320600号公報
【文献】特開2014-67638号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
電気自動車(EV)等の電源として非水電解質二次電池が用いられる場合には、ハイレートで充放電が行われるケースが多いため、急速充放電サイクル特性の低下を抑制することが求められる。急速充放電サイクル特性が低下する要因の一つとして、充電時に膨張した負極から排出された電解質が放電時に速やかに負極に吸収されないことが挙げられる。しかし、特許文献1及び特許文献2では、負極への電解質の吸収性について何ら検討されていない。
【0007】
そこで、本開示の目的は、電解質の吸収性に優れた負極合剤層を備える非水電解質二次電池を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示の一態様である非水電解質二次電池は、負極集電体と、負極集電体の表面に設けられた負極合剤層と、を有する負極を備え、負極合剤層は、負極活物質としての黒鉛粒子A及び黒鉛粒子Bと、結着剤としてのゴム系バインダとを含み、黒鉛粒子Aの内部空隙率は5%以下であり、黒鉛粒子Bの内部空隙率は8%~20%であり、黒鉛粒子Aは、負極合剤層を厚み方向において2等分した場合の負極集電体側半分の領域より、外表面側半分の領域に多く含まれ、ゴム系バインダは、負極集電体側半分の領域に、負極合剤層に含まれる全てのゴム系バインダの90%~100%が含まれていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本開示に係る非水電解質二次電池によれば、負極合剤層が電解質の吸収性に優れるため、急速充放電サイクル特性の低下を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、実施形態の一例である非水電解質二次電池の軸方向断面図である。
【
図2】
図2は、実施形態の一例である負極の断面図である。
【
図3】
図3は、実施形態の一例である黒鉛粒子の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明者らが鋭意検討した結果、負極合剤層の電解質の吸収性を高めるには、内部空隙率の低い黒鉛粒子と内部空隙率の高い黒鉛粒子を含む負極合剤層において、負極集電体側より外表面側に内部空隙率の低い黒鉛粒子を多く配置しつつ、ゴム系バインダを負極集電体側に配置することが極めて効果的であることを見出し、以下に示す態様の非水電解質二次電池を想到するに至った。
【0012】
本開示の一態様である非水電解質二次電池は、負極集電体と、負極集電体の表面に設けられた負極合剤層と、を有する負極を備え、負極合剤層は、負極活物質としての黒鉛粒子A及び黒鉛粒子Bと、結着剤としてのゴム系バインダとを含み、黒鉛粒子Aの内部空隙率は5%以下であり、黒鉛粒子Bの内部空隙率は8%~20%であり、黒鉛粒子Aは、負極合剤層を厚み方向において2等分した場合の負極集電体側半分の領域より、外表面側半分の領域に多く含まれ、ゴム系バインダは、負極集電体側半分の領域に、負極合剤層に含まれる全てのゴム系バインダの90%~100%が含まれていることを特徴とする。
【0013】
以下では、図面を参照しながら、実施形態の一例について詳細に説明する。以下の説明において、具体的な形状、材料、数値、方向等は、本開示の理解を容易にするための例示であって、非水電解質二次電池の仕様に合わせて適宜変更することができる。また、以下の説明において、複数の実施形態、変形例が含まれる場合、それらの特徴部分を適宜に組み合わせて用いることは当初から想定されている。
【0014】
図1は、実施形態の一例である非水電解質二次電池10の軸方向断面図である。
図1に示す非水電解質二次電池10は、電極体14及び非水電解質(図示せず)が電池ケース15に収容されている。電極体14は、正極11及び負極12がセパレータ13を介して巻回されてなる巻回型の構造を有する。なお、電極体14は、正極11及び負極12がセパレータを介して交互に積層されてなる積層型の電極体14など、巻回型以外の形態の電極体14が適用されてもよい。非水電解質の非水溶媒(有機溶媒)としては、カーボネート類、ラクトン類、エーテル類、ケトン類、エステル類等を用いることができて、これらの溶媒の2種以上を混合して用いることができる。例えば、エチレンカーボネート(EC)、プロピレンカーボネート(PC)、ブチレンカーボネート等の環状カーボネート、ジメチルカーボネート(DMC)、エチルメチルカーボネート、ジエチルカーボネート等の鎖状カーボネート、環状カーボネートと鎖状カーボネートの混合溶媒等を用いることができる。非水電解質の電解質塩としては、LiPF
6、LiBF
4、LiCF
3SO
3等及びこれらの混合物を用いることができる。非水溶媒に対する電解質塩の溶解量は、例えば0.5~2.0mol/Lとすることができる。なお、以下では、説明の便宜上、電池ケース15の封口体17側を「上」、外装体16の底部側を「下」として説明する。
【0015】
電池ケース15は、外装体16と、外装体16の開口部を塞ぐ封口体17とにより構成される。電極体14の上下には、絶縁板18,19がそれぞれ設けられる。正極リード20は絶縁板18の貫通孔を通って封口体17側に延び、封口体17の底板であるフィルタ23の下面に溶接される。非水電解質二次電池10では、フィルタ23と電気的に接続された封口体17の天板であるキャップ27が正極端子となる。他方、負極リード21は絶縁板19の貫通孔を通って、外装体16の底部側に延び、外装体16の底部内面に溶接される。非水電解質二次電池10では、外装体16が負極端子となる。負極リード21が巻外端近傍に設置されている場合は、負極リード21は絶縁板19の外側を通って、外装体16の底部側に延び、外装体16の底部内面に溶接される。なお、電池ケース15としては、円筒形、角形、コイン形、ボタン形等の金属製外装ケース、樹脂シートと金属シートをラミネートして形成されたパウチ外装体などが例示できる。
【0016】
外装体16は、例えば有底円筒形状の金属製外装缶である。外装体16と封口体17の間にはガスケット28が設けられ、電池ケース15内の密閉性が確保されている。外装体16は、例えば側面部を外側からプレスして形成された、封口体17を支持する張り出し部22を有する。張り出し部22は、外装体16の周方向に沿って環状に形成されることが好ましく、その上面で封口体17を支持する。
【0017】
封口体17は、電極体14側から順に積層された、フィルタ23、下弁体24、絶縁部材25、上弁体26、及びキャップ27を有する。封口体17を構成する各部材は、例えば円板形状又はリング形状を有し、絶縁部材25を除く各部材は互いに電気的に接続されている。下弁体24と上弁体26とは各々の中央部で互いに接続され、各々の周縁部の間には絶縁部材25が介在している。異常発熱で電池の内圧が上昇すると、例えば、下弁体24が破断し、これにより上弁体26がキャップ27側に膨れて下弁体24から離れることにより両者の電気的接続が遮断される。さらに内圧が上昇すると、上弁体26が破断し、キャップ27の開口部からガスが排出される。
【0018】
以下、電極体14を構成する正極11、負極12、及びセパレータ13について、特に負極12を構成する負極合剤層42について詳説する。
【0019】
[負極]
図2は、実施形態の一例である負極12の断面図である。負極12は、負極集電体40と、負極集電体40の表面に設けられた負極合剤層42とを有する。負極集電体40は、例えば、銅などの負極12の電位範囲で安定な金属の箔、当該金属を表層に配置したフィルム等が用いられる。負極合剤層42は、負極合剤層42の厚みの中間Zで半分に分割したときに負極集電体40から見て近くに位置する負極集電体側半分の領域42aと、負極集電体40から見て遠くに位置する負極合剤層42を外表面側半分の領域42bとを有する。また、負極合剤層42は、負極活物質として黒鉛粒子30と、結着剤としてのゴム系バインダとを含む。
【0020】
ゴム系バインダは、二重結合と単結合との繰り返しの分子構造を有し、スチレンブタジエンゴム(SBR)、ニトリルブタジエンゴム(NBR)及びその変性体等が例示できる。ゴム系バインダの平均一次粒子径は、120~250nmが好ましく、150~230nmがより好ましい。負極合剤層42には、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)等の含フッ素樹脂、ポリアクリロニトリル(PAN)、ポリイミド、アクリル樹脂、ポリオレフィンなどを結着剤がさらに含まれてもよい。また、負極合剤層42には、カルボキシメチルセルロース(CMC)又はその塩、ポリアクリル酸(PAA)又はその塩、ポリビニルアルコール(PVA)などが含まれていてもよい。CMC又はその塩は、負極活物質スラリーを適切な粘度範囲に調整する増粘剤として機能し、また、結着剤としても機能する。これらの結着剤は、単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
【0021】
ゴム系バインダは、負極集電体側半分の領域42aに、負極合剤層42に含まれる全てのゴム系バインダの90%~100%が含まれている。ゴム系バインダは、負極集電体側半分の領域42aに多く含まれることで負極集電体40と負極合剤層42との接着力を向上させることができる。一方、外表面側半分の領域42bに含まれるゴム系バインダが少ないので、負極合剤層42は、電解質を速やかに吸収することができる。これにより、急速充放電サイクル特性の低下を抑制することができる。ゴム系バインダは、後述するように、負極合剤層42の製造中の乾燥時等に負極集電体側半分の領域42aと負極合剤層42の外表面側半分の領域42bの間で拡散するので、乾燥後の負極合剤層42におけるゴム系バインダの分布は、調合時の分布とは異なる。また、ゴム系バインダの含有量は、以下の手順で求められる。
【0022】
<ゴム系バインダの含有量の測定方法>
(1)負極合剤層42の断面を露出させる。断面を露出させる方法としては、例えば、負極12の一部を切り取り、イオンミリング装置(例えば、日立ハイテク社製、IM4000PLUS)で加工し、負極合剤層42の断面を露出させる方法が挙げられる。
(2)四酸化オスミウム等を使用して、オスミウム等のマーカを負極合剤層42の断面に露出したゴム系バインダの二重結合に反応させて固定する。
(3)負極合剤層42の断面について、走査型電子顕微鏡に付属のEDX(Energy Dispersive X-ray Spectroscopy)でマーカをマッピングした画像を取得する。
(4)上記画像から、負極集電体側半分の領域42a及び負極合剤層42の外表面側半分の領域42bに含まれるゴム系バインダの含有量をそれぞれ算出し、負極集電体側半分の領域42aに含まれるゴム系バインダの割合を計算する。ゴム系バインダの含有量は、10個の測定値の平均値とする。
【0023】
次に、
図3を参照しながら黒鉛粒子30について説明する。
図3は、負極合剤層42に含まれる黒鉛粒子30の断面図である。黒鉛粒子30は、黒鉛粒子30の断面視において、粒子内部から粒子表面につながっていない閉じられた空隙32(以下、内部空隙32)と、粒子内部から粒子表面につながっている空隙34(以下、外部空隙34)とを有する。
【0024】
黒鉛粒子30は、内部空隙率が5%以下である黒鉛粒子Aと、内部空隙率が8%~20%である黒鉛粒子Bとを含む。黒鉛粒子Aの内部空隙率は、急速充放電サイクル特性の低下を抑制する等の点で、5%以下であればよいが、好ましくは1%~5%であり、より好ましくは3%~5%である。黒鉛粒子Bの内部空隙率は、急速充放電サイクル特性の低下を抑制する等の点で、8%~20%であればよいが、好ましくは10%~18%であり、より好ましくは12%~16%である。ここで、黒鉛粒子30の内部空隙率とは、黒鉛粒子30の断面積に対する黒鉛粒子30の内部空隙32の面積の割合から求めた2次元値である。そして、黒鉛粒子30の内部空隙率は、以下の手順で求められる。
【0025】
<内部空隙率の測定方法>
(1)ゴム系バインダの含有量の測定方法と同様に、イオンミリング装置等により負極合剤層42の断面を露出させる。
(2)走査型電子顕微鏡を用いて、上記露出させた負極合剤層42の断面の反射電子像を撮影する。反射電子像を撮影する際の倍率は、3千倍から5千倍である。
(3)上記により得られた断面像をコンピュータに取り込み、画像解析ソフト(例えば、アメリカ国立衛生研究所製、ImageJ)を用いて二値化処理を行い、断面像内の粒子断面を黒色とし、粒子断面に存在する空隙を白色として変換した二値化処理画像を得る。
(4)二値化処理画像から、粒径5μm~50μmの黒鉛粒子A,Bを選択し、当該黒鉛粒子断面の面積、及び当該黒鉛粒子断面に存在する内部空隙32の面積を算出する。ここで、黒鉛粒子断面の面積とは、黒鉛粒子30の外周で囲まれた領域の面積、すなわち、黒鉛粒子30の断面部分全ての面積を指している。また、黒鉛粒子断面に存在する空隙のうち幅が3μm以下の空隙については、画像解析上、内部空隙32か外部空隙34かの判別が困難となる場合があるため、幅が3μm以下の空隙は内部空隙32としてもよい。そして、算出した黒鉛粒子断面の面積及び黒鉛粒子断面の内部空隙32の面積から、黒鉛粒子30の内部空隙率(黒鉛粒子断面の内部空隙32の面積×100/黒鉛粒子断面の面積)を算出する。黒鉛粒子A,Bの内部空隙率は、黒鉛粒子A,Bそれぞれ10個の平均値とする。
【0026】
黒鉛粒子A,Bは、例えば、以下のようにして製造される。
<内部空隙率が5%以下である黒鉛粒子A>
例えば、主原料となるコークス(前駆体)を所定サイズに粉砕し、それらを凝集剤で凝集させた状態で、2600℃以上の温度で焼成し、黒鉛化させた後、篩い分けることで、所望のサイズの黒鉛粒子Aを得る。ここで、粉砕後の前駆体の粒径や凝集させた状態の前駆体の粒径等によって、内部空隙率を5%以下に調整することができる。例えば、粉砕後の前駆体の平均粒径(メジアン径D50)は、12μm~25μmの範囲であることが好ましい。また、内部空隙率を5%以下の範囲で小さくする場合は、粉砕後の前駆体の粒径を大きくすることが好ましい。
<内部空隙率が8%~20%である黒鉛粒子B>
例えば、主原料となるコークス(前駆体)を所定サイズに粉砕し、それらを凝集剤で凝集した後、さらにブロック状に加圧成形した状態で、2600℃以上の温度で焼成し、黒鉛化させる。黒鉛化後のブロック状の成形体を粉砕し、篩い分けることで、所望のサイズの黒鉛粒子Bを得る。ここで、ブロック状の成形体に添加される揮発成分の量によって、内部空隙率を8%~20%に調整することができる。コークス(前駆体)に添加される凝集剤の一部が焼成時に揮発する場合、凝集剤を揮発成分として用いることができる。そのような凝集剤としてピッチが例示される。
【0027】
本実施形態に用いられる黒鉛粒子A,Bは、天然黒鉛、人造黒鉛等、特に制限されるものではないが、内部空隙率の調整のし易さ等の点では、人造黒鉛が好ましい。本実施形態に用いられる黒鉛粒子A,BのX線広角回折法による(002)面の面間隔(d002)は、例えば、0.3354nm以上であることが好ましく、0.3357nm以上であることがより好ましく、また、0.340nm未満であることが好ましく、0.338nm以下であることがより好ましい。また、本実施形態に用いられる黒鉛粒子A,BのX線回折法で求めた結晶子サイズ(Lc(002))は、例えば、5nm以上であることが好ましく、10nm以上であることがより好ましく、また、300nm以下であることが好ましく、200nm以下であることがより好ましい。面間隔(d002)及び結晶子サイズ(Lc(002))が上記範囲を満たす場合、上記範囲を満たさない場合と比べて、非水電解質二次電池10の電池容量が大きくなる傾向がある。
【0028】
本実施形態では、黒鉛粒子Aが、
図2に示す負極合剤層42を厚み方向において2等分した場合の負極集電体側半分の領域42aより、外表面側半分の領域42bに多く含まれる。内部空隙率が低い黒鉛粒子Aが外表面側半分の領域42bに多く含まれることで、黒鉛粒子Aが負極合剤層42に均一に分散している場合に比べて、外表面側半分の領域42bにおいて電解質の吸収経路となる活物質粒子間の空隙が増加する。これにより、負極合剤層42に電解質が速やかに吸収される。さらに、黒鉛粒子Aが外表面側半分の領域42bに多く含まれる分、内部空隙率が高い黒鉛粒子Bが負極集電体側半分の領域42aに多く含まれる。これにより、負極集電体側半分の領域42aにおいて活物質粒子間の空隙が減少し、ゴム系バインダの負極集電体側半分の領域42aから外表面側半分の領域42bへの拡散が抑制される。
【0029】
本実施形態では、黒鉛粒子Aが、負極集電体側半分の領域42aより、外表面側半分の領域42bに多く含まれていればよいが、急速充放電サイクル特性の低下をより抑制する点で、さらに、外部表面半分の領域42bにおける黒鉛粒子Aと黒鉛粒子Bの割合が、質量比で60:40~100:0であることが好ましく、100:0であることがより好ましい。また、急速充放電サイクル特性の低下をより抑制する点で、さらに、負極集電体側半分の領域42aにおける黒鉛粒子Aと黒鉛粒子Bの割合は、質量比で40:60~0:100であることが好ましく、0:100であることがより好ましい。
【0030】
次に、黒鉛粒子Aの量を負極集電側半分の領域42aよりも外表面側半分の領域42bに多くするための負極合剤層42の製造方法について説明する。例えば、まず、黒鉛粒子B(必要に応じて黒鉛粒子A)を含む負極活物質と、結着剤と、水等の溶媒とを混合して、負極集電体側用の負極合剤スラリーを調製する。これとは別に、負極集電体側用の負極合剤スラリーよりも多い量の黒鉛粒子A(必要に応じて黒鉛粒子B)を含む負極活物質と、結着剤と、水等の溶媒とを混合して、外表面側用の負極合剤スラリーを調製する。そして、負極集電体40の両面に、負極集電体側用の負極合剤スラリーを塗布した後、負極集電体側用の負極合剤スラリーによる塗膜の上に、外表面側用の負極合剤スラリーを両面に塗布し、塗膜全体を乾燥することにより、負極合剤層42を形成することができる。上記方法では、負極集電体側用の負極合剤スラリーの乾燥前に外表面側用の負極合剤スラリーを塗布したが、負極集電体側用の負極合剤スラリーの乾燥後に外表面側用の負極合剤スラリーを塗布する方法でもよい。負極集電体側用の負極合剤スラリーと外表面側用の負極合剤スラリーは、それぞれの塗膜の厚みが等しくなるように塗布されることが好ましいが、それぞれの塗膜の厚みが互いに異なっていてもよい。つまり、負極集電体側用の負極合剤スラリーの一部が外表面側半分の領域42bに含まれていてもよく、又は、外表面側用の負極合剤スラリーの一部が負極集電体側半分の領域42aに含まれていてもよい。
【0031】
負極活物質は、本実施形態に用いられる黒鉛粒子A,B以外に、リチウムイオンを可逆的に吸蔵、放出できる他の材料を含んでいてもよく、例えば、Si系材料を含んでいてもよい。Si系材料としては、例えば、Si、Siを含む合金、SiOx(xは0.8~1.6)等のケイ素酸化物等が挙げられる。Si系材料は、黒鉛粒子30より電池容量を向上させることが可能な負極材料であるが、その反面、充放電に伴う体積膨張が大きいため、急速充放電サイクル特性の点では不利である。Si系材料の含有量は、電池容量の向上、急速充放電サイクル特性の低下抑制等の点で、例えば、負極活物質の質量に対して1質量%~10質量%であることが好ましく、3質量%~7質量%であることがより好ましい。
【0032】
リチウムイオンを可逆的に吸蔵、放出できる他の材料としては、その他に、錫(Sn)等のリチウムと合金化する金属、又はSn等の金属元素を含む合金や酸化物等が挙げられる。負極活物質は、上記他の材料を含んでいてもよく、上記他の材料の含有量は、例えば、負極活物質の質量に対して10質量%以下であることが望ましい。
【0033】
[正極]
正極11は、例えば金属箔等の正極集電体と、正極集電体上に形成された正極合剤層とで構成される。正極集電体には、アルミニウムなどの正極11の電位範囲で安定な金属の箔、当該金属を表層に配置したフィルム等を用いることができる。正極合剤層は、例えば、正極活物質、結着剤、導電剤等を含む。
【0034】
正極11は、例えば、正極活物質、結着剤、導電剤等を含む正極合剤スラリーを正極集電体上に塗布、乾燥して正極合剤層を形成した後、この正極合剤層を圧延することにより作製できる。
【0035】
正極活物質としては、Co、Mn、Ni等の遷移金属元素を含有するリチウム遷移金属複合酸化物が例示できる。リチウム遷移金属複合酸化物は、例えばLixCoO2、LixNiO2、LixMnO2、LixCoyNi1-yO2、LixCoyM1-yOz、LixNi1-yMyOz、LixMn2O4、LixMn2-yMyO4、LiMPO4、Li2MPO4F(M;Na、Mg、Sc、Y、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Al、Cr、Pb、Sb、Bのうち少なくとも1種、0<x≦1.2、0<y≦0.9、2.0≦z≦2.3)である。これらは、1種単独で用いてもよいし、複数種を混合して用いてもよい。非水電解質二次電池10の高容量化を図ることができる点で、正極活物質は、LixNiO2、LixCoyNi1-yO2、LixNi1-yMyOz(M;Na、Mg、Sc、Y、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Al、Cr、Pb、Sb、Bのうち少なくとも1種、0<x≦1.2、0<y≦0.9、2.0≦z≦2.3)等のリチウムニッケル複合酸化物を含むことが好ましい。
【0036】
導電剤は、例えば、カーボンブラック(CB)、アセチレンブラック(AB)、ケッチェンブラック、黒鉛等のカーボン系粒子などが挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
【0037】
結着剤は、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)等のフッ素系樹脂、ポリアクリロニトリル(PAN)、ポリイミド系樹脂、アクリル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂などが挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
【0038】
[セパレータ]
セパレータ13には、例えば、イオン透過性及び絶縁性を有する多孔性シート等が用いられる。多孔性シートの具体例としては、微多孔薄膜、織布、不織布等が挙げられる。セパレータ13の材質としては、ポリエチレン、ポリプロピレン等のオレフィン系樹脂、セルロースなどが好適である。セパレータ13は、セルロース繊維層及びオレフィン系樹脂等の熱可塑性樹脂繊維層を有する積層体であってもよい。また、ポリエチレン層及びポリプロピレン層を含む多層セパレータ13であってもよく、セパレータ13の表面にアラミド系樹脂、セラミック等の材料が塗布されたものを用いてもよい。
【実施例】
【0039】
以下、実施例により本開示をさらに説明するが、本開示はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0040】
<実施例1>
[正極の作製]
正極活物質として、アルミニウム含有ニッケルコバルト酸リチウム(LiNi0.88Co0.09Al0.03O2)を用いた。上記正極活物質が100質量部、導電剤としてのアセチレンブラック(AB)が1質量部、結着剤としてのポリフッ化ビニリデン(PVdF)が0.9質量部となるよう混合し、さらにN-メチル-2-ピロリドン(NMP)を適量加えて、正極合剤スラリーを調製した。このスラリーをアルミニウム箔(厚さ15μm)からなる正極集電体の両面にドクターブレード法により塗布し、塗膜を乾燥した後、圧延ローラにより塗膜を圧延して、正極集電体の両面に正極合剤層が形成された正極を作製した。
【0041】
[黒鉛粒子Aの作製]
コークスを平均粒径(メジアン径D50)が12μmとなるまで粉砕した。粉砕したコークスに結着剤としてのピッチを添加し、コークスを平均粒径(メジアン径D50)が17μmとなるまで凝集させた。この凝集物を2800℃の温度で焼成して黒鉛化した後、250メッシュの篩いを用いて、篩い分けを行い、平均粒径(メジアン径D50)が23μmの黒鉛粒子Aを得た。
【0042】
[黒鉛粒子Bの作製]
コークスを平均粒径(メジアン径D50)が15μmとなるまで粉砕し、粉砕したコークスに結着剤としてのピッチを添加して凝集させた後、さらに等方的な圧力で1.6g/cm3~1.9g/cm3の密度を有するブロック状の成形体を作製した。このブロック状の成形体を2800℃の温度で焼成して黒鉛化した。次いで、黒鉛化したブロック状の成形体を粉砕し、250メッシュの篩いを用いて、篩い分けを行い、平均粒径(メジアン径D50)が23μmの黒鉛粒子Bを得た。
【0043】
[負極の作製]
黒鉛粒子Aが100質量部、SiOが5質量部となるように混合し、これを負極合剤層の外表面側半分の領域に含まれる負極活物質Aとした。負極活物質A:カルボキシメチルセルロース(CMC):ポリアクリル酸(PAA)の質量比が、100:1:1となるようにこれらを混合して、外表面側用の負極合剤スラリーを調製した。また、黒鉛粒子Bが100質量部、SiOが5質量部となるように混合し、これを負極合剤層の負極集電体側半分の領域に含まれる負極活物質Bとした。負極活物質B:カルボキシメチルセルロース(CMC):ポリアクリル酸(PAA):スチレンブタジエンゴム(SBR)の質量比が、100:1:1:1となるようにこれらを混合して、負極集電体側用の負極合剤スラリーを調製した。ここで、SBRの平均一次粒子径は150nmであった。
【0044】
負極集電体側用の負極合剤スラリーを銅箔からなる負極集電体の両面にドクターブレード法により塗布し、塗膜を乾燥した後、塗膜上に外表面側用の負極合剤スラリーを塗布、乾燥した後、圧延ローラにより塗膜を圧延して、負極集電体の両面に負極合剤層が形成された負極を作製した。すなわち、負極合剤層の外表面側半分の領域における黒鉛粒子A:黒鉛粒子Bは、質量比で100:0であり、負極合剤層の負極集電体側半分の領域における黒鉛粒子A:黒鉛粒子Bは、質量比で0:100である。また、作製した負極において、黒鉛粒子A及びBの内部空隙率を測定したところ、それぞれ3%と15%であった。
【0045】
また、ゴム系バインダの調合比率(外表面側用負極合剤スラリー中のゴム系バインダ:負極集電体側用負極合剤スラリー中のゴム系バインダ)は、質量比で0:100である。負極集電体側用の負極合剤スラリー及び外表面側用の負極合剤スラリーは、それぞれの塗膜の厚みが等しくなるように塗布されている。しかし、負極合剤層の製造中の乾燥時等にゴム系バインダが拡散し、ゴム系バインダの乾燥後の存在比率(負極合剤層の外表面側半分の領域中のゴム系バインダ:負極合剤層の負極集電体側半分の領域中のゴム系バインダ)は、質量比で7:93であった。
【0046】
<実施例2>
60質量部の黒鉛粒子Aと、40質量部の黒鉛粒子Bと、5質量部のSiOとを混合したものを負極活物質Aとして用い、40質量部の黒鉛粒子Aと、60質量部の黒鉛粒子Bと、5質量部のSiOとを混合したものを負極活物質Bとして用いたこと以外は、実施例1と同様にして負極を作製した。すなわち、負極合剤層の外表面側半分の領域における黒鉛粒子A:黒鉛粒子Bは、質量比で60:40であり、負極合剤層の負極集電体側半分の領域における黒鉛粒子A:黒鉛粒子Bは、質量比で40:60である。また、ゴム系バインダの乾燥後の存在比率(負極合剤層の外表面側半分の領域中のゴム系バインダ:負極合剤層の負極集電体側半分の領域中のゴム系バインダ)は、質量比で9:91であった。
【0047】
<比較例1>
黒鉛粒子Aが50質量部、黒鉛粒子Bが50質量部、SiOが5質量部となるように混合し、これを負極合剤層の全体の領域に含まれる負極活物質Cとした。負極活物質C:カルボキシメチルセルロース(CMC):ポリアクリル酸(PAA):スチレンブタジエンゴム(SBR)の質量比が、100:1:1:1となるようにこれらを混合して、負極合剤スラリーを調製した。この負極合剤スラリーを銅箔からなる負極集電体の両面にドクターブレード法により塗布し、塗膜を乾燥した後、圧延ローラにより塗膜を圧延して、負極集電体の両面に負極活物質層が形成された負極を作製した。すなわち、負極活物質層の外表面側半分の領域における黒鉛粒子A:黒鉛粒子Bは、質量比で50:50であり、負極活物質層の負極集電体側半分の領域における黒鉛粒子A:黒鉛粒子Bも、質量比で50:50である。また、ゴム系バインダの乾燥後の存在比率(負極合剤層の外表面側半分の領域中のゴム系バインダ:負極合剤層の負極集電体側半分の領域中のゴム系バインダ)は、質量比で48:52であった。
【0048】
<比較例2>
実施例1と同じ負極活物質Aを用い、負極活物質A:カルボキシメチルセルロース(CMC):ポリアクリル酸(PAA):スチレンブタジエンゴム(SBR)の質量比が、100:1:1:0.5となるようにこれらを混合して、外表面側用の負極合剤スラリーを調製した。また、実施例1と同じ負極活物質Bを用い、負極活物質B:カルボキシメチルセルロース(CMC):ポリアクリル酸(PAA):スチレンブタジエンゴム(SBR)の質量比が、100:1:1:0.5となるようにこれらを混合して、負極集電体側用の負極合剤スラリーを調製した。その後、当該外表面側用の負極合剤スラリー及び負極集電体側用の負極合剤スラリーを用いて、実施例1と同様に負極を作製した。すなわち、負極合剤層の外表面側半分の領域における黒鉛粒子A:黒鉛粒子Bは、質量比で100:0であり、負極合剤層の負極集電体側半分の領域における黒鉛粒子A:黒鉛粒子Bは、質量比で0:100である。また、ゴム系バインダの乾燥後の存在比率(負極合剤層の外表面側半分の領域中のゴム系バインダ:負極合剤層の負極集電体側半分の領域中のゴム系バインダ)は、質量比で43:57であった。
【0049】
<比較例3>
負極活物質A及び負極活物質Bに代えて、比較例1と同じ負極活物質Cを用いたこと以外は、実施例1と同様に負極を作製した。すなわち、負極活物質層の外表面側半分の領域における黒鉛粒子A:黒鉛粒子Bは、質量比で50:50であり、負極活物質層の負極集電体側半分の領域における黒鉛粒子A:黒鉛粒子Bも、質量比で50:50である。また、ゴム系バインダの乾燥後の存在比率(負極合剤層の外表面側半分の領域中のゴム系バインダ:負極合剤層の負極集電体側半分の領域中のゴム系バインダ)は、質量比で9:91であった。
【0050】
[吸液時間の測定]
各実施例及び各比較例の負極を、窒素雰囲気下200℃に加温した恒温槽で10時間乾燥させ、各負極を2cm×5cmの大きさにカットして試料を作製した。各試料の表面に、1.5μmlのポリプロピレンカーボネート(PC)を垂直方向から滴下し、PCが試料の内部に吸収されるまでの時間を目視により測定した。各試料につき、6回ずつ測定を行い、平均値を吸液時間とした。
【0051】
表1に、各実施例及び各比較例の非水電解質二次電池の吸液時間の結果をまとめた。表1に示す吸液時間は、実施例1の吸液時間を100とする相対値である。なお、吸液時間が短いほど、負極合剤層における電解質の入れ替えがよりスムーズに行えるので充電時に負極合剤層から排出された電解質が放電時に速やかに負極合剤層に吸収されるため、急速充放電サイクル特性の低下が抑制される。
【0052】
【0053】
表1から分かるように、実施例1~2はどちらも、比較例1~3と比較して、吸液時間が短い。なお、比較例1から黒鉛比率及びゴム系バインダの質量比のいずれか一方のみを変えた比較例2及び比較例3では、吸液時間がそれぞれ比較例1の80%及び76%に短縮されている。一方、比較例1から黒鉛比率及びゴム系バインダの質量比の両方を変えた実施例1では、吸液時間が比較例1の45%に短縮されている。このように、負極合剤層において、黒鉛粒子Aを負極集電体側半分の領域より外表面側半分の領域に多く含みつつ、ゴム系バインダを負極集電体側半分の領域に90質量%以上含むようにすることで、電解質の吸収速度を顕著に高めることができる。したがって、急速充放電サイクル特性の低下を抑制できる。
【符号の説明】
【0054】
10 非水電解質二次電池、11 正極、12 負極、13 セパレータ、14 電極体、15 電池ケース、16 外装体、17 封口体、18,19 絶縁板、20 正極リード、21 負極リード、22 張り出し部、23 フィルタ、24 下弁体、25 絶縁部材、26 上弁体、27 キャップ、28 ガスケット、30 黒鉛粒子、32 内部空隙、34 外部空隙、40 負極集電体、42 負極合剤層、42a 負極集電体側半分の領域、42b 外表面側半分の領域。