(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-14
(45)【発行日】2024-11-22
(54)【発明の名称】光学情報ストレージ媒体
(51)【国際特許分類】
G11B 7/0065 20060101AFI20241115BHJP
G11B 7/245 20060101ALI20241115BHJP
G11B 7/2405 20130101ALI20241115BHJP
G11B 7/24073 20130101ALI20241115BHJP
G11B 7/24044 20130101ALI20241115BHJP
G11B 7/007 20060101ALI20241115BHJP
G11B 7/0045 20060101ALI20241115BHJP
G11B 7/005 20060101ALI20241115BHJP
G02B 1/14 20150101ALI20241115BHJP
【FI】
G11B7/0065
G11B7/245
G11B7/2405
G11B7/24073
G11B7/24044
G11B7/007
G11B7/0045 D
G11B7/005 C
G02B1/14
(21)【出願番号】P 2021553374
(86)(22)【出願日】2020-03-12
(86)【国際出願番号】 US2020022454
(87)【国際公開番号】W WO2020186093
(87)【国際公開日】2020-09-17
【審査請求日】2023-03-10
(32)【優先日】2019-03-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】597138069
【氏名又は名称】ケース ウエスタン リザーブ ユニバーシティ
(74)【代理人】
【識別番号】100114775
【氏名又は名称】高岡 亮一
(74)【代理人】
【識別番号】100121511
【氏名又は名称】小田 直
(74)【代理人】
【識別番号】100202751
【氏名又は名称】岩堀 明代
(74)【代理人】
【識別番号】100208580
【氏名又は名称】三好 玲奈
(74)【代理人】
【識別番号】100191086
【氏名又は名称】高橋 香元
(72)【発明者】
【氏名】シンガー,ケネス ディー.
(72)【発明者】
【氏名】シヤノフスカヤ,イリナ
【審査官】川中 龍太
(56)【参考文献】
【文献】特表2014-522544(JP,A)
【文献】国際公開第2014/136486(WO,A1)
【文献】国際公開第2006/051765(WO,A1)
【文献】特開2013-232252(JP,A)
【文献】特開2010-040075(JP,A)
【文献】特開2013-225361(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G11B 7/0065
G11B 7/245
G11B 7/2405
G11B 7/24073
G11B 7/24044
G11B 7/007
G11B 7/0045
G11B 7/005
G02B 1/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光ディスクであって、
第1の表面および対向する第2の表面を有する基板と、前記基板の前記第1の表面に接着された多層ポリマーフィルムと、前記多層ポリマーフィルムの外面に接着されたカバー層および/またはハードコート層と、を備え、
前記多層ポリマーフィルムが、複数の共押し出しされたポリマーアクティブデータストレージ層およびポリマーバッファー層を交互に含み、
前記アクティブデータストレージ層が、1光子または多光子光学書き込みプロセスによって書き込まれた場合、光学特性の永続的に誘発された局所的非線形または閾値変化を受けるように構成され、
前記バッファー層が、前記光学書き込みプロセスによって書き込まれた少なくとも1つのデータボクセルを軸方向に閉じ込めるのに十分な厚さで、前記アクティブデータストレージ層を光学読み取りデバイスによって読み取り可能な単一の個別のアクティブデータストレージ層に分離し、
前記バッファー層が、3μm~100μmの平均的な厚さを有し、
前記多層ポリマーフィル
ムが、前記光学読み取りおよび/または光学書き込みプロセス中に光学読み取りおよび/または光学書き込みデバイスに光学ガイダンスを提供する少なくとも1つのトラッキング機能を含む、光ディスク。
【請求項2】
前記多層ポリマーフィルム、カバー層、およびハードコート層が、トラッキングレーザーからの光が前記トラッキング機能から光学ピックアップに反射されるまたは発されることを可能にするように、トラッキングレーザー波長で十分な透明性を有する、請求項1に記載の
光ディスク。
【請求項3】
前記少なくとも1つのトラッキング機能が、ランドおよび溝パターンを含み、前記ランドおよび溝パターンが、前記基板、前記多層ポリマーフィルム、または前記カバー層のうちの少なくとも2つに設けられる、請求項1に記載の
光ディスク。
【請求項4】
前記カバー層が、前記多層ポリマーフィルムの前記外面に接着され、前記ハードコート層が、前記カバー層の外面に接着され、前記ハードコート層が、前記多層ポリマーフィルムを環境的損傷から保護する前記
光ディスクの外面を形成する、および/または前記多層ポリマーフィルムの光学収差を補正する、請求項1に記載の
光ディスク。
【請求項5】
前記多層ポリマーフィルムが、前記多層ポリマーフィルムの読み取りおよび/もしくは書き込みのための波長に対して光学的に透過性である接着剤で、前記基板の前記第1の表面に積層され、および/もしくは前記基板の前記第1の表面に接着される、ならびに/または
前記多層ポリマーフィルムが、前記多層ポリマーフィルムの内面から前記外面まで延在する外縁および内縁を有し、前記外縁および/もしくは前記内縁が、密封されて前記外縁および/もしくは内縁を環境的損傷から保護する、
請求項1に記載の
光ディスク。
【請求項6】
前記光ディスクが、前記基板の前記対向する第2の表面に接着された第2の多層ポリマーフィルムと、前記第2の多層ポリマーフィルムの外面に接着された第2のカバー層および/または第2のハードコート層と、を含み、
前記第2の多層ポリマーフィルムが、複数の共押し出しされたポリマーアクティブデータストレージ層およびポリマーバッファー層を交互に含み、
前記アクティブデータストレージ層が、1光子または多光子光学書き込みプロセスによって書き込まれた場合、光学特性の永続的に誘発された局所的非線形または閾値変化を受けるように構成され、
前記バッファー層が、前記光学書き込みプロセスによって書き込まれた少なくとも1つのデータボクセルを軸方向に閉じ込めるのに十分な厚さで、前記アクティブデータストレージ層を光学読み取りデバイスによって読み取り可能な単一の個別のアクティブデータストレージ層に分離し、
前記バッファー層が、3μm~100μmの平均的な厚さを有する、請求項1に記載の
光ディスク。
【請求項7】
前記基板の前記第1の表面および前記対向する第2の表面が、少なくとも1つのトラッキング機能を含み、
前記基板の前記第1の表面および前記対向する第2の表面の前記トラッキング機能が、前記光学読み取りおよび/または光学書き込みプロセス中に、前記光学読み取りおよび/または光学書き込みデバイスに対する
光ディスクの向きおよび/または傾きに関する情報を提供する、請求項6に記載の
光ディスク。
【請求項8】
前記多層ポリマーフィルムが、10~100の層、および15μm~2センチメートルの厚さを含み、前記第2の多層ポリマーフィルムが、10~100の層、および15μm~2センチメートルの厚さを含む、請求項7に記載の
光ディスク。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本出願は、2019年3月12日出願の米国第16/351,166号の優先権を主張し、その主題は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
政府資金
本発明は、アメリカ国立科学財団(National Science Foundation)によって授与された助成金認可番号DMR0423914の下で政府の支援を受けてなされた。米国政府は、本発明に対してある特定の権利を有し得る。
【0003】
本出願は、光学情報ストレージ媒体に関し、具体的には、ポリマー押し出しプロセスを使用して形成される三次元多層光学情報ストレージ媒体に関する。
【背景技術】
【0004】
光への曝露によるパターン化が可能な媒体は、情報ストレージの一般的な表現である。最も古い技法のうちの1つでは、感光乳剤を使用して、感光乳剤に入射する光の画像を記録する。近年、アーカイブ、セキュリティタグ、画像の3D表現、収差補正、およびデジタルデータのストレージに使用するための、光学的手段による情報ストレージに対する需要が増加している。所望の光学応答またはより大きい光学応答を達成するために、3D媒体が使用されている。さらに、面情報容量は、読み取り/書き込みシステムの光学系によって制限されている。例えば、ホログラフィックステレオグラムは、高い画像解像度を達成するには小さい横方向の形状を必要とし、同様に大きい画像コントラストを達成するには厚い媒体を必要とする。容量をさらに増やすには、空間的な厚さ寸法を含み得るが、また色、偏光、または位相の多重化を含み得る追加の寸法が必要とされる。
【0005】
第三空間次元に入力するための主な手法は、多層情報ストレージまたはホログラフィック情報ストレージのいずれかに関与する。多層ストレージは、物理層、または多光子吸収を使用してレーザーの焦点近くに局所化させることによって設けられる光学層のいずれかによって影響を受け得る。しかしながら、これらの手法は大幅な制限を有する。ホログラフィックストレージは、複雑かつコストがかかる可能性のある光学読み取り/書き込みハードウェアを必要とする。同様に、多光子吸収に必要なレーザーは、より複雑かつコストがかかり、さらなるノイズ源を導入する。物理的な多層化は、より単純なハードウェアを採用しているが、ストレージ媒体に複数の層を製造することを経済的に大規模化することは困難であることが証明されている。
【発明の概要】
【0006】
本出願の実施形態は、多層フィルムを含む光学情報ストレージ媒体に関する。多層フィルムは、複数の交互に押し出された、アクティブデータストレージ層およびアクティブデータストレージ層を分離するバッファー層を含む。アクティブデータストレージ層およびバッファー層は、光学読み取り装置よって読み取り可能なアクティブデータストレージ層内にデータボクセル(例えば、離散ビット、画像、形状、ホログラムなど)を画定するために、アクティブデータストレージ層を書き込み可能にする厚さを有する。光学情報ストレージ媒体は、限定されないが、ディスク、ロール、カード、ステッカー、紙を含むフォーマットに適合性があるか、または可撓性もしくは非可撓性の基板上に積層されている。
【0007】
光学情報ストレージ媒体は、既存の光学読み取り/書き込み技術に適合性のある三次元データストレージ、および適切な永続的または可逆的な1光子、または多光子、線形、非線形、または閾値の光学書き込みスキームに対応するように設計することができる。媒体は、セキュリティ、身分証明書、バーコード、製品トラッキング、耐改ざんパッケージ用の情報を担持する文書に組み込まれたデジタル情報のストレージ、ホログラム、ステレオグラム、ホログラフィック光学素子、ホログラフィックディフューザー、およびフォトニックペーパーなどの情報を担持する回折素子の製造に適用することができる。
【0008】
物理媒体を層化することにより、三次元に局所化して情報を書き込み、その後高い信号対雑音比で読み取ることが可能になる。そのような向上は、アクティブデータストレージ層を薄い層に明確に画定して分離して閉じ込めることから生じ得、読み取り中のデータの正確な位置を提供し、層間クロストークを低減し、焦点領域の外側の領域からの寄生吸収を低減し、散乱材料が少ないことから収差を低減する。多層フィルムは、アクティブ層およびバッファー層に加えて他の層を容易に含めることができる。これらの他の層は、例えば、媒体内の深さをトラッキングするための、またはメタデータ、暗号化情報、チェックサム、コーデック、もしくはファームウェアを記憶するための信号を提供することができる。
【0009】
いくつかの実施形態では、アクティブデータストレージ層は、適切な永続的または可逆的な1光子、または多光子、線形、非線形、または閾値の光学書き込みプロセスによって書き込まれると、光学的に誘発された局所化された光学特性の変化を受ける材料を含み得る。光学特性の変化としては、限定されないが、材料の化学的または物理的変化によってもたらされる蛍光色、蛍光強度、吸収色、透明度、散乱、反射率、屈折率、または偏光の可逆的または不可逆的変化のうちの少なくとも1つを挙げることができる。材料は、それらの光学特性の変化をもたらす光学的に誘発された物理的、熱的、または化学的変化を呈するポリマーおよび/または添加剤を含み得る。
【0010】
他の実施形態では、アクティブデータストレージ層は、ホストポリマー材料および蛍光色素を含み得る。蛍光色素は、光への曝露によって、第1の蛍光を呈する第1の条件と、第1の蛍光とは異なる第2の蛍光を呈する第2の条件との間で可逆的であり得る。蛍光色素はまた、光への曝露によって退色され得る。蛍光色素は、エキシマ形成蛍光色素、アグレガクロミック(aggregachromic)色素、または光退色性蛍光色素のうちの1つであり得る。一例では、蛍光色素は、シアノ置換オリゴ(フェニレンビニレン)色素である。
【0011】
なお他の実施形態では、アクティブデータストレージ層は、ホストポリマー材料、ならびに無機ナノ粒子および/または色素を含み得る。アクティブデータストレージ層の吸収、フォトルミネッセンス、または屈折率は、光への曝露によって変更または変化させることができる。
【0012】
他の実施形態では、光学情報ストレージ媒体は、情報を担持する文書上のカラーシフトフィルムに、またはホログラムもしくはホログラム様の特性を生成するための回折多層フィルムに、複数の画像または1つの画像を記憶するために使用することができる。
【0013】
本発明の他の目的および利点、ならびにより完全な理解は、好ましい実施形態の以下の詳細な説明および添付の図面から明らかになるであろう。
【0014】
他の実施形態は、第1の表面および対向する第2の表面を有する基板と、基板の第1の表面に接着された多層ポリマーフィルムと、多層ポリマーフィルムの外面に接着されたカバー層および/またはハードコート層と、を含む、光ディスクに関する。多層ポリマーフィルムは、複数の交互に共押し出しされた、ポリマーアクティブデータストレージ層およびポリマーバッファー層を含む。アクティブデータストレージ層は、1光子または多光子の光学書き込みプロセスによって書き込まれると、永続的に誘発された局所的な非線形のまたは閾値の光学特性の変化を受けるように構成される。バッファー層は、光学書き込みプロセスによって書き込まれた少なくとも1つのデータボクセルを、光学読み取りデバイスによって読み取り可能な単一の個別のアクティブデータストレージ層に軸方向に閉じ込めるのに十分な厚さでアクティブデータストレージ層を分離する。バッファー層は、3μm~約100μmの平均的な厚さを有する。基板、多層ポリマーフィルム、またはカバー層のうちの少なくとも1つは、光学読み取りおよび/または光学書き込みプロセス中に光学読み取りおよび/または光学書き込みデバイスに光学ガイダンスを提供する、少なくとも1つのトラッキング機能を含む。
【0015】
いくつかの実施形態では、基板、多層ポリマーフィルム、またはカバーのうちの少なくとも1つまたは少なくとも2つは、少なくとも1つのトラッキング機能を含む。例えば、基板の第1の表面は、少なくとも1つのトラッキング機能を含み得る。少なくとも1つのトラッキング機能は、基板の表面に複数のランドおよび溝を含み得る。
【0016】
他の実施形態では、多層ポリマーフィルムは、トラッキング機能を含まなくてもよい。
【0017】
多層ポリマーフィルム、カバー層、およびハードコート層は、トラッキングレーザーからの光がトラッキング機能から光学ピックアップに反射または発されることを可能にするように、トラッキングレーザー波長で十分な透明性を有し得る。
【0018】
他の実施形態では、カバー層は、多層ポリマーフィルムの外面に接着され、ハードコート層は、カバー層の外面に接着される。ハードコート層は、多層ポリマーフィルムを環境的損傷から保護する、ディスクの外面を形成し得る。カバー層および/またはハードコート層は、多層ポリマーフィルムの光学収差を補正することができる。
【0019】
いくつかの実施形態では、多層ポリマーフィルムは、多層ポリマーフィルムの読み取りおよび/または書き込みのための波長に対して光学的に透過性である接着剤で、基板の表面に積層され、および/または基板の表面に接着される。
【0020】
いくつかの実施形態では、多層ポリマーフィルムは、多層ポリマーフィルムの内面から外面まで延在する外縁および内縁を有する。外縁および/または内縁を環境的損傷から保護するために、外縁および/または内縁は密封され得る。
【0021】
他の実施形態では、光ディスクは、基板の対向する第2の表面に接着された第2の多層ポリマーフィルム、ならびに第2の多層ポリマーフィルムの外面に接着された第2のカバー層および/または第2のハードコート層を含み得る。第2の多層ポリマーフィルムは、複数の交互に共押し出しされた、ポリマーアクティブデータストレージ層およびポリマーバッファー層を含み得る。アクティブデータストレージ層は、1光子または多光子の光学書き込みプロセスによって書き込まれると、永続的に誘発された局所的な非線形のまたは閾値の光学特性の変化を受けるように構成され得る。バッファー層は、光学書き込みプロセスによって書き込まれた少なくとも1つのデータボクセルを、光学読み取りデバイスによって読み取り可能な単一の個別のアクティブデータストレージ層に軸方向に閉じ込めるのに十分な厚さでアクティブデータストレージ層を分離することができる。バッファー層は、3μm~約100μmの平均的な厚さを有し得る。
【0022】
いくつかの実施形態では、基板、第2の多層ポリマーフィルム、または第2のカバー層のうちの少なくとも1つは、光学読み取りおよび/または光学書き込みプロセス中に光学読み取りおよび/または光学書き込みデバイスに光学ガイダンスを提供する、少なくとも1つのトラッキング機能を含み得る。例えば、基板の対向する第2の表面は、少なくとも1つのトラッキング機能を含み得る。基板の対向する第2の表面上の少なくとも1つのトラッキング機能は、基板の対向する第2の表面に複数のランドおよび溝を含み得る。
【0023】
いくつかの実施形態では、基板の第1の表面および対向する第2の表面のトラッキング機能は、光学読み取りおよび/または光学書き込みプロセス中に、光学読み取りおよび/または光学書き込みデバイスに対するディスクの向きおよび/または傾きに関する情報を提供し得る。
【0024】
他の実施形態では、第2の多層ポリマーフィルムは、トラッキング機能を含まない。
【0025】
いくつかの実施形態では、第2の多層ポリマーフィルム、第2のカバー層、および第2のハードコート層は、トラッキングレーザーからの光がトラッキング機能から光学ピックアップに反射または発されることを可能にするように、トラッキングレーザー波長で十分な透明性を有する。
【0026】
他の実施形態では、第2の多層ポリマーフィルムは、第2の多層ポリマーフィルムの内面から外面まで延在する外縁および内縁を有する。第2の多層ポリマーフィルムの外縁および/または内縁を環境的損傷から保護するために、外縁および/または内縁は密封され得る。
【0027】
第2の多層ポリマーフィルムは、多層ポリマーフィルムおよび第2の多層ポリマーフィルムの読み取りおよび/または書き込みのための波長に対して光学的に透過性である接着剤で、基板の表面に積層され、および/または基板の表面に接着され得る。
【0028】
なお他の実施形態では、多層ポリマーフィルムおよび/または第2の多層ポリマーフィルムは、約10~約100の層および約15μm~約2センチメートルの厚さを含み得る。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【
図1】本出願の一態様による光学情報ストレージ媒体の概略図である。
【
図2】様々な、データ層間の分離(y軸)およびデータを含有する層が小さく作製されるにつれて増大するストレージ媒体の信号対雑音比(SNR)(x軸)を示すグラフである。
【
図3】本出願の別の態様による光学情報ストレージ媒体の概略図である。
【
図4】多層フィルムを製造するために使用される共押し出し機の概略図を示す。
【
図5A-5B】(A)色素(C18-RG)の化学構造を示す。(B)64のアクティブ層を含有する200μmの厚さのMLフィルム全体の吸収、および書き込みによって誘発されるFL低減の典型的なレベルを示す、書き込み前後の単一層のFLスペクトル。
【
図6A-6B】(A)23層フィルム(偽色)に記憶されたパターン化された画像を示す。左上が最上層であり、右下が最内層であり、その後の層は左から右に移動する。(B)相補的な画像を書き込んだ後の2つの層の断面。上の断面は青い線に沿っており、下は赤い線に沿っている。画像は、バックグラウンドに正規化されている。各画像は、512ピクセルを含有する22μmの正方形である。
【
図7A-7B】(A)5μmの厚さの単一アクティブ層に書き込まれた単一の線の断面を示す。無修正のFL強度は、バックグラウンドによって正規化され、線の長さ全体で平均化した。(B)FWHMが380nmの、ウエストでのスポットの強度プロファイル。
【
図8A-8C】(A)層1自体(上)、層1~5(中央)、および層1~10(下)を記録した後の層1の一連のビットのFL画像。画像は、同じ輝度およびコントラストの設定を有する。
図8(B)は、(A)の画像の変調信号を示す。
図8(C)は、実験的に測定された層1のCBR(三角形)に対する記録された層数を、理論的な予測(正方形)とともに示している。
【
図9】一実施形態による光ディスクの上部平面図を示す。
【
図11】別の実施形態による光ディスクの拡大断面図を示す。
【
図12】別の実施形態による光ディスクの拡大断面図を示す。
【
図13】別の実施形態による光ディスクの拡大断面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0030】
本出願の実施形態は、光学情報ストレージ媒体、および多層押し出しプロセスを使用して光学情報ストレージ媒体を形成する方法に関する。光学情報ストレージ媒体は、例えば、デジタル光学データストレージで使用する場合、最大ペタバイト規模のデータ容量に十分な合計書き込み可能領域を有する、多様なフォーマット(例えば、ディスク、ロール、カード、ステッカー、紙、または可撓性もしくは非可撓性基板上に積層されている)で提供され得る、多層フィルムを含む。ビット、画像、形状、ホログラムなどのデータの読み取り/書き込み、または記録は、既存の読み取り/書き込み技術(例えば、既存のレーザー技術)および他の適切な永続的または可逆的な1光子、または多光子、線形、非線形、または閾値の光学書き込みプロセスもしくはスキームを用いて実施され得る。適切な永続的または可逆的な1光子、または多光子、線形、非線形、または閾値の光学書き込みスキームと物理媒体の層化との組み合わせにより、データを三次元に局所化して書き込み、その後既存の技術と比較して信号対雑音が大幅に改善された読み取りが繰り返して可能になる。光学情報ストレージ媒体を作製するために使用される多層押し出しプロセスは、追加の層あたりわずかなコストで数十~数百の層を含む多層フィルムを提供し、低コストで非常に大容量のデータストレージを生み出すことができる。
【0031】
図1は、本出願の一実施形態による光学情報ストレージ媒体10の概略図である。光学情報ストレージ媒体10は、複数の交互に押し出された、アクティブデータストレージ層14およびバッファー層16から形成された、多層フィルム12を含む。バッファー層16は、アクティブデータストレージ層14を分離して、アクティブデータストレージ層14間の明確に画定された分離またはバッファーリングを提供することができ、これにより、データの読み取りまたは書き込み中のデータの正確な位置特定を可能にし、層間クロストークを低減し、アクティブデータストレージ層14の書き込みまたは読み取り中の寄生吸収を低減することが可能になる。
【0032】
アクティブデータストレージ層14は、光学書き込みおよび読み取りスキームに適した感熱性の、感光性の、または変化させることが可能な材料を含み得る。いくつかの実施形態では、材料は、書き込みプロセスの結果として、光学的に誘発された、または熱的に誘発された局所的な可逆的または不可逆的な光学特性の変化を受けることができる。光学特性の局所的な変化により、光学読み取りデバイスを使用して読み取ることができるアクティブデータストレージ層内にデータボクセルを画定することができる。光学特性の可逆的または不可逆的変化としては、例えば、書き込みプロセスに起因する材料の化学的または物理的変化によってもたらされる蛍光色、蛍光強度、吸収色、透明度、散乱、反射率、屈折率、または偏光の可逆的または不可逆的変化を挙げることができる。
【0033】
「データボクセル」とは、限定されないが、強度、スペクトル、偏光、発光の位相、吸収、反射、および散乱を含む少なくとも1つの光学特性において、バイナリまたは連続的であり得る変数でコードされた、情報の三次元空間単位を意味する。データボクセルは、任意の形状または構成を有し得、例えば、離散ビット、画像、形状、および/またはホログラムの形態であり得る。データボクセルのサイズおよび/または形状は、データボクセルを形成するために使用される書き込みプロセス、およびデータボクセルが形成されるアクティブストレージ層のサイズによってのみ制限されることが理解されるであろう。一例では、記憶されたデータボクセルは、ユーザデータおよび/または読み取り/書き込み機器を制御または誘導するためのデータを含み得る。別の例では、データボクセルは、情報を担持する文書上のカラーシフトフィルム内の画像などの画像を含み得る。
【0034】
いくつかの実施形態では、アクティブデータストレージ層12は、ホストポリマー材料、ならびにフォトクロミック、蛍光、アグレガクロミックドーパントもしくは色素などの感光性もしくは感熱性添加剤材料、ならびに/またはホストポリマー材料中に分散されているかもしくは提供される粒子添加剤を含む。総じて、ポリマー材料および感光性または感熱性添加剤材料は、アクティブデータストレージ層を形成するために容易に押し出すことができるポリマーマトリックスを形成することができる。
【0035】
他の実施形態では、アクティブストレージ層を形成するために使用されるポリマー材料は、フォトクロミック、蛍光、アグレガクロミックドーパントもしくは色素、および/または粒子添加剤を添加することなく、それ自体が感光性または感熱性であり得る。そのような感光性または感熱性材料は、アクティブデータストレージ層を形成するために容易に押し出すことができるポリマーマトリックスを形成することができる。
【0036】
ポリマー材料は、任意の天然もしくは合成の固体であり得るか、または押し出しもしくは共押し出しすることができ、ポリマー分子構造の一部として、もしくは添加剤として、もしくは両方としてのいずれかで、感光性もしくは感熱性材料の適切な組み込みを可能にする、高粘度熱可塑性材料であり得る。ポリマー材料はまた、実質的に光学的に透明であり得、ポリマー内の感光性または感熱性材料の分離および/または凝集を可能にする。使用され得るポリマーの例は、限定されないが、ポリエチレン(線状低密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、超高分子量ポリエチレンを含む)およびポリ(プロピレン)などのポリオレフィン、環状オレフィンポリマーおよびコポリマー、ポリ(メチルメタクリレート)、ポリメタクリレート、ポリブチルアクリレート、ポリ(アクリルアミド)、ポリ(アクリロニトリル)などのポリ(アクリレート)、ポリ(塩化ビニル)、ポリ(塩化ビニリデン)、ポリ(フッ化ビニル)、ポリ(フッ化ビニリデン)、ポリ(テトラフルオロエチレン)、ポリ(クロロトリフルオロエチレン)、ポリ(酢酸ビニル)、ポリ(ビニルアルコール)、ポリ(2-ビニルピリジン)、ポリ(ビニルブチラール)、ポリ(スチレン)などのビニルポリマー、アクリロニトリルブタジエンスチレンコポリマー、エチレン酢酸ビニルコポリマーなどのコポリマー、ポリアミド6および6,6、ポリアミド12、ポリアミド4,6などのポリアミド、ポリ(エチレンテレフタレート)、ポリ(ブチレンテレフタレート)、およびポリ(エチレンナフタレート)、ポリ(カーボネート)、ポリウレタン、ポリ(アリールスルホン)、ポリ(フェニレンオキシド)などのポリエステル、ならびに本明細書で前述したもののうちの2つ以上または他の化合物を含むブレンドまたは複合材料を含む、天然および合成ポリマーである。加えて、ホストポリマー材料は、スチレン-ブタジエンコポリマー、ポリブタジエン、エチレン-プロピレンコポリマー、ポリクロロプレン、ポリイソプレン、ニトリルゴム、シリコーンゴム、または熱可塑性エラストマーなどのエラストマーであり得る。
【0037】
感光性または感熱性添加剤は、ポリマー材料と、またはポリマー材料中に容易に混合または分散、例えば、融解ブレンドすることができ、レーザーなどの光源で書き込む前に第1の読み取り可能な状態(例えば、適合性、色、蛍光、分布、および/または反射率)、および書き込み後に第2の異なる読み取り可能な状態(例えば、適合性、色、蛍光、分布、および/または反射率)を呈する任意の材料を含み得る。一例では、感光性または感熱性材料は、機能性ナノ粒子、および/またはそれらの表面上もしくは体積に機能性添加剤を含むナノ粒子などの粒子添加剤を含み得る。例としては、ポリマーおよび/または色素界面活性剤またはそれらの体積にドープされた色素を含むかまたは含まない、量子ドットなどの半導体、金属またはガラスナノ粒子が挙げられる。
【0038】
別の例では、感光性または感熱性材料は、物質の状態または色素が曝露されている環境に基づいて異なる発光スペクトルを発することが可能である、任意の色素を含み得る。色素は、例えば、ホスト材料に対するエキシマの相対濃度に基づいて異なる発光スペクトル、例えば、蛍光を発するエキシマを形成する色素、または色素とホスト材料との間の超分子関係に基づいて異なるスペクトルを発する色素、光学情報ストレージ媒体、例えば、バッファー層中の他の色素分子もしくは別の化学化合物などの、例えば、1光子、2光子、または多光子吸収色素であり得る。色素は、単独で、および/または電荷およびエネルギー移動などの色素とナノ粒子との間の相互作用を使用してデータを記憶することができるナノ粒子と組み合わせて、使用することができる。いくつかの実施形態では、蛍光色素(例えば、光退色性蛍光色素)などの色素を、量子ドットなどの複数のナノ粒子と組み合わせて使用することができる。
【0039】
蛍光色素の例としては、限定されないが、エキシマ形成蛍光色素、およびアグレガクロミック色素が挙げられる。いくつかの実施形態では、アグレガクロミック色素は、限定されないが、シアノ-OPV C18-RG、1,4-ビス-(α-シアノ-4-メトキシスチリル)-ベンゼン、1,4-ビス-(α-シアノ-4-メトキシスチリル)-2,5-ジメトキシベンゼン、および1,4-ビス-(α-シアノ-4-(2-エチルヘキシルオキシスチリル)-2,5-ジメトキシベンゼン、および2,5-ビス-(α-シアノ-4-メトキシスチリル)-チオフェンなどのシアノ置換オリゴ(フェニレンビニレン)(シアノ-OPV)色素化合物を挙げることができる。アクティブデータストレージ層で使用され得る他の色素の例は、その全体が参照によりその全体が本明細書に組み込まれる米国特許第7,223,988号に開示されている。
【0040】
本出願の態様は、例えば、結晶性固体の限界状態と分子液体溶液の限界状態との間のπスタッキングの程度を単に調整することによって、所与の蛍光色素の発光色を広範囲にわたって制御することを含み得ることが理解されるであろう。色調整可能な蛍光色素の発光スペクトルは、その結晶性固体状態と分子液体状態との間で任意の測定可能な量でシフトし得る。ポリマー材料または光学情報ストレージ媒体中の色調整可能な蛍光色素の発光スペクトルは、ホストポリマー中の色素の濃度、ホストポリマー中の色素の溶解度、ホストポリマーの極性、凝集体またはエキシマを形成する色素の能力、ホスト材料またはバッファー層に対する色素エキシマの深色シフトの程度、熱または光への曝露の程度、光学情報ストレージ媒体に印加される外圧、および光学情報ストレージ媒体が経験した使用法などのいくつかの要因に依存する。ある特定の用途に対する特定の対象の他の要因としては、機械的変形に基づいて光学情報ストレージ媒体の発光スペクトルを変化させる能力が挙げられる。したがって、光学情報ストレージ媒体が機械的変形、熱および/または光を介した温度変化、光学情報ストレージ媒体の劣化、圧力変化または化学化合物への曝露などの環境変化、ならびに他の要因を受ける場合、光学情報ストレージ媒体の発光スペクトルのシフトが発生し得る。
【0041】
発光スペクトルは、色素分子および/または粒子(例えば、ナノ粒子)とホストポリマー中の他の化合物との化学的および物理的相互作用に依存することも理解されるであろう。これらの相互作用としては、色素分子-色素分子相互作用、色素分子-ポリマー分子相互作用、または色素分子と他の化合物および/またはホスト材料中の粒子(例えば、ナノ粒子)との間の相互作用を挙げることができる。例えば、ホスト材料中での色素のエキシマ形成は、光学情報ストレージ媒体の発光スペクトルに大きい深色シフトを引き起こし得る。その後のアニーリングまたは冷却作業、ならびに他の力および要因により、ホスト材料中のエキシマの数が低減され、したがって、色素が希釈な溶液のスペクトルにより近く発光スペクトルをシフトさせることができる。他の要因により、ホストポリマー中のエキシマの数が増加され、結晶性固体のスペクトルにより近いスペクトルのシフトが生じ得る。ホスト材料中の色素の分離および凝集は、可逆的または不可逆的であり得る。
【0042】
ポリマー材料に組み込まれる色素および/または粒子の特性および機能性は、ポリマー材料中の色素の溶解度および拡散特徴が所望の用途に適合するように選択することができる。分岐の程度、分岐の長さ、分子量、極性、機能性、ならびに他の特性などのこれらの特性を使用して、光学情報ストレージ媒体が経験する外部刺激の程度に基づいて発光スペクトルの深色シフトの速度または程度を変動させることができる。
【0043】
いくつかの実施形態では、1光子または2光子または多光子吸収に基づく書き込みスキームを使用して、アクティブデータストレージ層にビット、画像、形状、および/またはホログラムなどのデータボクセルを生成または画定するように、アクティブデータストレージ層の蛍光特性を局所的に変更してもよい。例えば、光学情報ストレージ媒体は、ディスクの形状であり得、アクティブストレージ層内のボクセルの蛍光特性を局所的に変化させるのに効果的であるレーザー書き込みビームがディスクに集束されるときに、回転させてもよい。代替的に、書き込みビームが移動している間、光学情報ストレージ媒体を静止状態に保持してもよい。読み取りプロセス中に、レーザー源を使用して蛍光を励起させることができ、蛍光は、光学系によって収集され、バンドパスフィルターを通じて光検出器に送られ得る。検出された変調蛍光は、さらなる処理のために変調されたバイナリ電気信号に変換することができる。交互に、2つ以上の色を発するシステムでは、適切なフィルターを用いる光ダイオードによる異なる蛍光成分の同時検出および処理を使用して、コントラストまたはさらにはストレージ密度を向上することができる。
【0044】
他の実施形態では、アクティブデータストレージ層の書き込みおよび読み取りは、アクティブデータストレージ層内の局所的な屈折率の変化に基づいてもよい。アクティブデータストレージ層は、例えば、フォトクロミック、結晶性材料、またはパターン化されデータの書き込み/読み取りに使用されると反射特性が変化する材料のいくつかの他の組み合わせを含み得る。いくつかの実施形態では、書き込みビームは、局所的な化学的または物理的変化を誘発することによって、ボクセルの屈折率を変化させることができる。結晶性の系では、書き込みビームは、材料の局所位相への変化を誘発して、ボクセルを局所的にアドレス指定することができる。次いで、反射率の違いを検出することによって、そのようなアクティブデータストレージ層を含むディスクを読み取ることができる。読み取りはまた、光学干渉パターンの画像化または検出によって実施することができる。
【0045】
アクティブデータストレージ層を分離するバッファー層は、アクティブデータストレージ層と同じ感光性材料または感熱性材料を含まない、実質的に光学的に透明なポリマーなどの不活性材料を含み得る。バッファー層は、感光性もしくは感熱性材料を欠いていてもよいか、またはアクティブデータストレージ層で使用される感光性もしくは感熱性材料、もしくは感光性もしくは感熱性材料の一部を含んでもよい。しかしながら、ディスクを調製し書き込む場合、バッファー層は、アクティブ層と同じ方式または同じ程度で変化しなくてもよい。いくつかの実施形態では、バッファー層は、アクティブデータストレージ層の容易な書き込みおよび読み取りを可能にするように、アクティブストレージ層に一致する屈折率を有し得る。
【0046】
バッファー層を形成するために使用されるポリマーは、バッファー層を単独で押し出すこと、またはアクティブデータストレージ層と共押し出すことを可能にすることができる。ポリマー材料は、アクティブストレージ層を形成するために使用されるポリマー材料と同じであっても異なっていてもよい。いくつかの実施形態では、バッファー層を形成するために使用されるポリマー材料は、アクティブデータストレージ層を形成するために使用されるポリマー材料の融解時の粘度と一致する粘度を有し、バッファー層をアクティブデータストレージ材料と共押し出しすることを可能にする熱可塑性ポリマーであり得る。上記のポリマーに加えて、ポリマー材料は、光学ポリカーボネート、光学ポリイミド、光学シリコーン接着剤、光学UV接着剤、または光学ラッカーなどの光学ポリマーであり得る。光学ポリマーの例としては、Bayer AGのMacrolon(登録商標)CD2005/MAS130、Macrolon(登録商標)DP1-1265、Macrofol(登録商標)DE1-1、またはRogers Corp.のDuramid(登録商標)、GE PlasticsのUltem(登録商標)、AmocoのAl-10(登録商標)などが挙げられる。それでもなお、バッファー層の光学特性は、アクティブデータストレージ層と同じ方式または同じ程度に変化しない。
【0047】
バッファー層の厚さに対するアクティブデータストレージ媒体層の厚さは、アクティブデータストレージ層が適切な永続的または可逆的な1光子、または多光子、線形、非線形、または閾値の光学書き込みプロセスによって書き込み可能であることを可能にするように選択して、光学読み取りデバイスによって読み取り可能であるアクティブデータストレージ層内にデータボクセル(例えば、離散ビット、画像、形状、またはホログラム)を画定することができる。いくつかの実施形態では、厚さは、適切な永続的または可逆的な1光子、または多光子、線形、非線形、または閾値の光学書き込みプロセスのために、書き込みビームの波長および焦点特性のために、情報ストレージ密度を増加させるために、層間クロストークを減少させるために、媒体からデータを読み取るために使用される光学装置の検討のために、または上の任意の組み合わせのために選択することができる。アクティブデータストレージ層14およびバッファー層16の厚さ、ならびに/または層14および16の合計厚さを適切に設計することにより、光学情報ストレージ媒体内の信号対雑音比(SNR)を、大幅に向上させることができる。SNRは、光検出器のノイズと組み合わせた、データボクセルのサイズおよびボクセルクロストークによって決定される。本明細書に記載の光学情報ストレージ媒体の多層構造は、従来のモノリシックデータストレージ媒体とは対照的に、SNRを大幅に向上させ、より単純な低コストの光学系の使用を可能にする。
【0048】
いくつかの実施形態では、アクティブデータストレージ層(A)の厚さ対アクティブデータストレージ層とバッファー層との二重層(AB)の厚さの比(すなわち、A/(A+B))は、約0.3未満、約0.2未満、約0.1未満、約0.09未満、約0.08未満、約0.07未満、約0.06未満、約0.05未満、約0.04未満、約0.03未満、約0.02未満、または約0.01未満であり得る。他の実施形態では、アクティブデータストレージ層の厚さ対アクティブデータストレージ層とバッファー層との二重層の厚さの比は、約0.3~約0.01、約0.2~約0.02、約0.1~約0.05であり得る。他の実施形態では、アクティブデータストレージ層の厚さは、約5nm~約10μmであり得、バッファー層の厚さは、約50nm~約100μmであり得る。
【0049】
多層フィルムならびにフィルムの個々の層の形状および厚さは、光学情報ストレージ媒体のSNRに顕著な影響を有する。例として、
図2は、アクティブデータストレージ層の厚さ(A)対二重層の厚さ(AB)の比と、蛍光アクティブデータストレージ層を含む模擬光学情報ストレージ媒体のSNRとの間の相関関係を示している。この模擬実験では、光学情報ストレージ媒体は、0.85NAの集束光学系を備えた405nmレーザーダイオードによって照射され、蛍光は、同じ光学系によって収集され、直径10μmの共焦点ピンホールを通過し、その後1μAの暗電流を有する光ダイオードによって検出される。ある特定の書き込み/読み取り条件下では、およそ0.1のアクティブデータストレージ層(A)対二重層(AB)の厚さの比は、最大350倍モノリシックデバイスを上回って改善されたSNRがもたらされる。そのような向上は、アクティブデータストレージ媒体を薄い層に明確に画定して分離して閉じ込めることから生じ得、読み取り中のデータの正確な位置を提供し、それによって層間クロストーク、および焦点領域の外側の層からの寄生吸収を低減する。典型的には、蛍光ボクセルの形式で記憶されているデータを読み取るには、共焦点顕微鏡が必要である。しかしながら、適切な設計制約があれば、そのような高いSNRを有する本明細書に記載の光学情報ストレージ媒体は、共焦点セットアップなしで、または共焦点セットアップの大幅に緩和された設計制約で操作することができ、それによって読み取り装置を大幅に単純化し、システムコストを下げることができる。代替的に、デバイスは、同じSNRを保持しながら、モノリシック設計よりも高密度のストレージを提供することができる。
【0050】
いくつかの実施形態では、SNRを活用して、2光子書き込みスキームでデータ充填密度を増加させることができる。多層データストレージ媒体はまた、既知の光学データストレージ技術および書き込みスキームに適合性のある閾値1光子書き込みプロセスを採用することができる。この設計では、最適なA/AB層の厚さの比が維持されるが、全体の厚さは、ディスクに集束された光が意図した層にのみ書き込まれるように、閾値1光子書き込みスキームに適切な値に一致させる。
【0051】
閾値1光子書き込みスキームでは、例えば、アクティブデータストレージ媒体層は、書き込みレーザー出力が、ある特定の閾値を超えている場合、屈折率、吸収、または蛍光などの光学特性の局所的な変化をもたらす1光子プロセスによって書き込みビームを吸収することができる。閾値の本質的に非線形の挙動により、三次元すべてでデータを局所化させることができる。また、回折限界を超えた面ストレージが可能になり、したがってより高い面ストレージ密度がもたらされる。これらのアクティブデータストレージ層の書き込みビームを、単一の書き込み層に集束し、周囲のバッファー層またはアクティブデータストレージ層における任意の変化とは異なる、単一の書き込み層の光学特性に局所的な変化を誘発することができる。閾値1光子書き込みスキームでは、書き込みまたは読み取りビームが実質的に吸収される前にアドレス指定された層に伝搬して深い層にアクセスすることを可能にしながら、いずれかまたは両方のビームの吸収を低減するために、書き込みビーム、読み取りビーム、または両方のいずれかに対して実質的に透明なバッファー層を使用することができる。
【0052】
光学情報ストレージ媒体は、任意の押し出しプロセスを使用して形成することができる。いくつかの実施形態では、光学情報ストレージ媒体は、多層共押し出しプロセスを使用して形成することができる。一例として、光学情報ストレージ媒体は、参照によりそれらの全体が本明細書に組み込まれる2003年6月24日にBaerらに発行された米国特許第6,582,807号、および2006年2月21日にBaerらに発行された同第7,002,754号に記載および開示されているように、アクティブデータストレージ層およびバッファー層を階層構造に層化することによって形成することができる。一実施形態では、光学情報ストレージ媒体は、それぞれ、アクティブデータストレージ層(A)およびバッファー層(B)の2つの交互の層(ABABA...)から作製される。アクティブデータストレージ層(A)およびバッファー層(B)は、式(AB)x(式中、x=(2)nであり、nが、増倍器要素の数であり、1~256以上の範囲である)によって表される多層複合光学情報ストレージ媒体を形成する。
【0053】
多数の交互の層(A)および(B)は、少なくとも2つの交互の層(A)および(B)、好ましくは少なくとも16層、例えば少なくとも16、32、64、128、256、512、1024、2028、またはそれ以上の交互の層を含む多層複合光学ストレージ媒体を形成することができる。層(A)および(B)の各々は、マイクロ層またはナノ層であり得る。上記の一連のステップを利用することにより、多層複合光学情報ストレージ媒体として形成された3-Dメモリデバイスが得られる。この構造は、記録された情報を担持することができ、構造の間で複数のバッファー層(B)によって分割された複数のアクティブデータストレージ層(A)からなる。各バッファー層(B)は、その上に配置された次のアクティブデータストレージ層(A)の基板として、またはさらなるアクティブデータストレージ層の必要がない場合は保護層と見なすことができる。
【0054】
代替的に、多層光学情報ストレージ媒体は、3つ以上の異なる層を含み得る。例えば、層(A)、(B)、および(C)をそれぞれ有する交互の層(ABCABCABC...)の3層構造は、(ABC)x(式中、xが、上に定義したとおりである)で表される。(CACBCACBC...)などの、任意の所望の構成および組み合わせで任意の数の異なる層を含む構造は、本明細書に記載の本出願の範囲内に含まれる。そのような3成分多層複合光学情報ストレージ媒体では、第3の層(C)は、層(A)とは異なるアクティブデータストレージ層、または層(B)とは異なるバッファー層を構成し得る。代替的に、層(C)は、信号を提供する蛍光または反射率を生成することができ、これを使用して、読み取りまたは書き込み中に媒体への一定の焦点深度を維持することができる。
【0055】
上記の2成分多層光学情報ストレージ媒体では、光学情報ストレージ媒体は、多層共押し出しによって調製することができる。例えば、構造は、2つ以上の層(A)および(B)を層化し次いで数回増倍する、強制アセンブリ共押し出しによって形成することができる。典型的な多層共押し出し装置を
図4に示す。2成分(AB)共押し出しシステムは、各々が融解ポンプによって共押し出し供給ブロックに接続された2つの3/4インチ単軸押し出し機からなる。この2成分システムの供給ブロックは、ポリマー材料(A)とポリマー材料(B)とを(AB)層構成に組み合わせる。融解ポンプは、供給ブロックで2つの平行な層として組み合わせられる2つの融解ストリームを制御する。融解ポンプの速度を調節することにより、相対的な層の厚さ、すなわちA対Bの比を変動させることができる。供給ブロックからの融解物は、一連の増倍要素を通過する。増倍要素は、まずAB構造を垂直方向にスライスし、その後融解物を水平方向に広げる。流れるストリームが再び組み合わさり、層の数が2倍になる。n個の増倍器要素のアセンブリは、層シーケンス(AB)
x(式中、xが、(2)
nに等しく、nが、増倍要素の数である)を有する押し出し物を製造する。本発明の構造を作製するために使用される押し出し機の数は、成分の数に等しいことが当業者には理解される。したがって、3成分多層(ABC...)は、3つの押し出し機を必要とする。
【0056】
共押し出しプロセスによって形成された多層構造は、自立型の可撓性フィルムまたはシートなどのフィルムまたはシートの形態である。フィルムまたはシートの厚さを一定に保持しながら、相対的な流量または層の数を変化させることにより、個々の層の厚さを制御することができる。この押し出しプロセスは、大面積の、例えば幅数フィート×幅数ヤードの、個々の層の厚さが5nmほど薄い数十、または数百、または数千の層からなる、多層フィルムを生じる。共押し出しされた光学情報ストレージ媒体は、これらの範囲内の任意の増分を含む、約100nm~約10cm、具体的には約25μm~約3cmの範囲の全体の厚さを有し得る。
【0057】
作製された多層複合光学情報ストレージ媒体は、3-Dデータまたはボクセルのための書き込み可能な、読み取り可能な、および消去可能な媒体としての使用に好適である。一例では、アクティブデータストレージ層(A)内のエキシマ形成蛍光色素またはアグレガクロミック色素を光を介して刺激することができるが、化学物質または機械的な力への曝露などの代替的な刺激も同様に使用することができる。書き込みメカニズムは、色素の2光子吸収特性を含み、それにより書き込みビームの焦点でのみ光吸収を可能にする。したがって吸収されたエネルギーの一部は熱に変換され、ひいては局所的、すなわち焦点の周りで色素の分散が引き起こされ、発色の顕著な局所的な固定された変化がもたらされる。
【0058】
例えば、シアノ-OPV C18-RG色素がアクティブデータストレージ層(A)で使用される場合、発光を橙色と緑色との間で切り替えて、光学情報ストレージ媒体にデータを書き込むことができ、したがって、適切なフィルタリングを使用して、書き込まれたデータをその後読み取ることができる。読み取り中の平面および軸方向の位置は、読み取りレンズの位置によって決定される。軸方向の解像度は、共焦点配置によって向上される。2光子吸収と適切な波長の厳密に集束されたレーザービームとの組み合わせにより、書き込まれたボクセルを軸方向で位置させることが可能になる。
【0059】
光学情報ストレージ媒体に書き込まれたデータの一部またはすべてを消去することが望ましい場合、特定のアクティブデータストレージ層(A)は、色素の凝集を逆転させるために、外部刺激、例えば、光または熱に再び曝露され、それによってそこに記憶されているすべてのデータが消去される。書き込み、読み取り、および消去プロセスは、望む限り何度でも実行することができる。
【0060】
他の実施形態では、材料の非アクティブ層は、多層フィルムの一方または両方の主表面上に同一の広がりを持って配置され得る。スキン層とも呼ばれる層の組成は、例えば、光学情報ストレージ媒体の一体性を保護するように、多層フィルムに機械的もしくは物理的特性を加えるように、または多層フィルムに光学的機能性を加えるように選択され得る。材料としては、アクティブデータストレージ層またはバッファー層の1つ以上の材料を挙げることができる。押し出されたアクティブデータストレージ層またはバッファー層と同様の融解粘度を有する他の材料もまた有用であり得る。
【0061】
1つのまたは複数のスキン層は、押し出された多層スタックが押し出しプロセス内で、特にダイで経験し得る広範囲の剪断強度を低減し得る。高剪断環境は、多層フィルムに望ましくない変形を引き起こし得る。代替的に、色の局所的な変動が望ましい効果である場合、装飾的な層の歪みは、層および/もしくはスキンの粘度の不一致、またはスキンがほとんどもしくはまったくない処理によって作製されるので、層のうちの少なくともいくつかが局所的な厚さの変形を受け、装飾的な色の効果を生じることができる。1つのまたは複数のスキン層はまた、得られる複合多層フィルムに物理的強度を加えるか、または例えば、その後の位置決め中に多層フィルムが分かれる傾向を低減するなどの、処理中の問題を低減し得る。アモルファスのままであるスキン層材料は、より高い靭性を有するフィルムを作製する傾向があり得る一方で、半結晶性であるスキン層材料は、より高い引張弾性率を有するフィルムを作製する傾向があり得る。帯電防止添加剤、UV吸収剤、色素、抗酸化剤、および顔料などの他の機能性成分は、それらが光学情報ストレージ媒体の所望の特性を実質的に干渉しないことを条件に、スキン層に添加され得る。
【0062】
また、得られる多層フィルムまたは光学情報ストレージ媒体に所望のバリア特性を付与するために、スキン層またはコーティングを加えてもよい。したがって、例えば、バリアフィルムまたはコーティングをスキン層として、またはスキン層の構成要素として加えて、水もしくは有機溶媒などの液体、または酸素もしくは二酸化炭素などの気体に対する多層フィルムまたは光学情報ストレージ媒体の透過特性を変化させることができる。
【0063】
また、得られる多層フィルムまたは光学情報ストレージ媒体に耐摩耗性を付与するかまたは耐摩耗性を改善するために、スキン層またはコーティングを加えてもよい。したがって、無論、そのような層が光学特性を過度に損なわないことを条件に、例えば、ポリマーマトリックスに埋め込まれたシリカの粒子を含むスキン層を、本明細書に記載の多層フィルムに加えて、フィルムに耐摩耗性を付与することができる。
【0064】
また、得られる多層フィルムまたは光学情報ストレージ媒体に耐穿刺性および/もしくは耐引き裂き性を付与するかまたは耐穿刺性および/もしくは耐引き裂き性を改善するために、スキン層またはコーティングを加えてもよい。耐引き裂き性層の材料を選択する際に考慮すべき要因としては、破断伸び率、ヤング率、引き裂き強度、内層への接着、対象の電磁帯域幅での透過率および吸収率、光学的透明度またはヘイズ、周波数に相関する屈折率、テクスチャーおよび粗さ、融解熱安定性、分子量分布、融解レオロジーおよび共押し出し性、スキンおよびアクティブデータストレージ層およびバッファー層の材料間の混和性および相互拡散の速度、粘弾性応答、使用温度での熱安定性、耐候性、コーティングへの接着能力、ならびに様々な気体および溶媒に対する浸透性が挙げられる。耐穿刺性または耐引き裂き性スキン層は、製造プロセス中に適用されても、後で多層フィルムにコーティングまたは積層してもよい。共押し出しプロセスによるなどの製造プロセス中にこれらの層を多層フィルムに接着することにより、製造プロセス中に多層フィルムが保護されるという利点が提供される。いくつかの実施形態では、1つ以上の耐穿刺性または耐引き裂き性層は、単独で、または耐穿刺性もしくは耐引き裂き性スキン層と組み合わせてのいずれかで、多層フィルム内に設けられ得る。
【0065】
スキン層は、押し出しプロセス中のある時点で、すなわち、スキン層が押し出され押し出しダイを出る前に、押し出された多層フィルムの片側または両側に適用され得る。これは、従来の共押し出し技術を使用して達成することができ、これは、3層共押し出しダイの使用を含み得る。以前に形成された多層フィルムへのスキン層の積層も可能である。
【0066】
いくつかの用途では、多層フィルムの製造中に、追加の層をスキン層の外側に共押し出しまたは接着させてもよい。そのような追加の層はまた、別々のコーティング作業で多層フィルム上に押し出すかもしくはコーティングしてもよいか、または別々のフィルム、ホイル、もしくはポリエステル(PET)、アクリル(PMMA)、ポリカーボネート、金属、もしくはガラスなどの剛性もしくは半剛性基板として多層フィルムに積層してもよい。
【0067】
スキン層には、広範囲のポリマーを使用することができる。主なアモルファスポリマーのうち、例としては、テレフタル酸、2,6-ナフタレンジカルボン酸、イソフタル酸フタル酸、またはそれらの対応するアルキルエステル、およびエチレングリコールなどのアルキレンジオールのうちの1つ以上に基づくコポリエステルが挙げられる。スキン層での使用に好適な半結晶性ポリマーの例としては、2,6-ポリエチレンナフタレート、ポリエチレンテレフタレート、およびナイロン材料が挙げられる。多層フィルムの靭性を増加させるために使用され得るスキン層としては、高い伸びを有するポリエステルおよびポリカーボネートが挙げられる。ポリプロピレンおよびポリエチレンなどのポリオレフィンはまた、特に、相溶化剤で多層フィルムに接着して作製される場合、この目的に使用することができる。
【0068】
他の実施形態では、特にフィルムまたは光学情報ストレージ媒体の表面に沿って、様々な機能性層またはコーティングを多層フィルムおよび光学情報ストレージ媒体に加えて、それらの物理的または化学的特性を変化または改善することができる。そのような層またはコーティングは、例えば、スリップ剤、低接着裏側材料、導電層、帯電防止コーティングもしくはフィルム、バリア層、難燃剤、UV安定剤、耐摩耗性材料、光学コーティング、またはフィルムもしくは光学情報ストレージ媒体の機械的一体性もしくは強度を改善するように設計された基板を含み得る。
【0069】
いくつかの用途では、多層フィルムが粘着テープの構成要素として使用される場合、低接着バックサイズ(low adhesion backsize)(LAB)コーティング、またはウレタン、シリコーン、もしくはフルオロカーボン化学物質に基づくものなどのフィルムで多層フィルムを処理することが望ましい場合がある。この様式で処理されたフィルムは、感圧接着剤(PSA)に対して適切な剥離特性を呈し、それによって、接着剤で処理し、ロールに巻くことが可能になる。この様式で作製された粘着テープは、バーコード、ステッカー、耐改ざんパッケージなどの情報ストレージ文書の生成に使用することができる。
【0070】
多層フィルムおよび光学情報ストレージ媒体はまた、1つ以上の導電層を設けられてもよい。そのような導電層は、銀、金、銅、アルミニウム、クロム、ニッケル、スズ、およびチタンなどの金属、銀合金、ステンレス鋼、およびINCONELなどの金属合金、ならびにドープおよび非ドープ酸化スズ、酸化亜鉛、および酸化インジウムスズ(ITO)などの半導体金属酸化物を含み得る。
【0071】
多層フィルムおよび光学情報ストレージ媒体はまた、帯電防止コーティングまたはフィルムを設けられてもよい。そのようなコーティングまたはフィルムとしては、例えば、V2O5、およびスルホン酸の塩ポリマー、炭素または他の導電性金属層が挙げられる。
【0072】
多層フィルムおよび光学情報ストレージ媒体はまた、ある特定の液体または気体に対する多層フィルムの透過特性を変化させる1つ以上のバリアフィルムまたはコーティングを設けられてもよい。したがって、例えば、本発明のフィルムおよび光学デバイスは、フィルムを通した水蒸気、有機溶媒、O2、またはCO2の透過を阻害するフィルムまたはコーティングを設けられてもよい。バリアコーティングは、フィルムまたはデバイスの構成要素が湿気の浸透に起因して歪みを受けるであろう高湿度環境では特に望ましいであろう。
【0073】
多層フィルムおよび光学情報ストレージ媒体はまた、厳しい消防規則を受ける飛行機などの環境で使用される場合は特に、難燃剤で処理され得る。好適な難燃剤としては、アルミニウム三水和物、三酸化アンチモン、五酸化アンチモン、および難燃性有機リン化合物が挙げられる。
【0074】
多層フィルムおよび光学情報ストレージ媒体は、構造的剛性、耐候性、またはより容易な取り扱いを提供するために、例えば、ガラス、金属、アクリル、ポリエステル、および他のポリマー裏材などの剛性または半剛性基板にさらに積層され得る。例えば、多層フィルムおよび光学情報ストレージ媒体は、所望の形状に打ち抜かれるか、または形成および維持されることができるように、薄いアクリルまたは金属の裏材に積層され得る。光学フィルムが他の壊れやすい裏材に適用される場合などのいくつかの用途では、PETフィルムまたは耐穿刺-引き裂き性フィルムを含む追加の層を使用することができる。
【0075】
多層フィルムおよび光学情報ストレージ媒体はまた、耐飛散性フィルムおよびコーティングを設けられてもよい。この目的に好適なフィルムおよびコーティングは、例えば、刊行物EP592284およびEP591055に記載されており、3M Company、St. Paul,Minn.から市販されている。
【0076】
様々な光学層、材料、およびデバイスはまた、特定の用途のために、多層フィルムおよび光学情報ストレージ媒体に適用されるか、またはそれらと組み合わせて使用され得る。これらとしては、限定されないが、磁気または磁気光学コーティングまたはフィルム、反射層またはフィルム、半反射層またはフィルム、リニアフレネルレンズなどのプリズムフィルム、輝度向上フィルム、ホログラフィックフィルムまたは画像、エンボス加工可能なフィルム、改ざん防止フィルムまたはコーティング、低放射率用途用のIR透明フィルム、剥離フィルムまたは剥離コーティングされた紙、偏光子または鏡、およびメタデータまたは暗号化情報の深さトラッキング、記憶用の層が挙げられる。
【0077】
多層フィルム内の、または多層フィルムの片方もしくは両方の主要な表面上への複数の追加の層が企図され、追加の層は、前述のコーティングまたはフィルムの任意の組み合わせであり得る。例えば、接着剤が多層フィルムに適用される場合、接着剤は、全体の反射率を増加させるために二酸化チタンなどの白色顔料を含有し得るか、または基板の反射率が多層フィルムの反射率に加わることを可能にするように光学的に透明であり得る。
【0078】
フィルムのロール形成および変換性を改善するために、多層フィルムはまた、フィルムに組み込まれるか、または別々のコーティングとして添加されるスリップ剤を含み得る。ほとんどの用途では、スリップ剤は、フィルムの片側のみ、理想的にはヘイズを最小限に抑えるために剛性基板に面する側に添加されるであろう。
【0079】
多層フィルムおよび光学情報ストレージ媒体はまた、例えば、従来の真空コーティングされた誘電体金属酸化物または金属/金属酸化物光学フィルム、シリカゾルゲルコーティング、および3M Company(St.Paul,Minn.)から入手可能な押し出し可能なフルオロポリマーである、THVなどの低屈折率フルオロポリマーから誘導されたものなどのコーティングまたは共押し出しされた反射防止層などの1つ以上の反射防止層またはコーティングを含み得る。偏光に敏感であってもなくてもよいそのような層またはコーティングは、透過を増加させ、反射グレアを低減するように機能し、コーティングまたはスパッタエッチングなどの適切な表面処理を通じて多層フィルムおよび光学情報ストレージ媒体に付与することができる。
【0080】
多層フィルムおよび光学情報ストレージ媒体はまた、曇り防止特性を付与するフィルムまたはコーティングを設けられてもよい。場合によっては、上記のような反射防止層は、多層フィルムおよび光学情報ストレージ媒体に反射防止および曇り防止の両方の特性を付与する二重の目的で機能するであろう。様々な曇り防止剤が当技術分野で既知である。しかしながら典型的には、これらの材料は、フィルム表面に疎水特性を付与し、連続した不透明度の低い水のフィルムの形成を促進する脂肪酸エステルなどの物質を含有するであろう。
【0081】
多層フィルムおよび光学情報ストレージ媒体は、UV安定化フィルムまたはコーティングの使用を通じてUV照射から保護され得る。UV安定化フィルムおよびコーティングとしては、ベンゾトリアゾールまたはヒンダードアミン光安定剤(HALS)を組み込んだものが挙げられ、これらの両方は、Ciba Geigy Corp.、Hawthorne,N.Y.から市販されている。他のUV安定化フィルムおよびコーティングとしては、BASF Corp.、Parsippany,N.J.から市販のベンゾフェノンまたはジフェニルアクリレートを含有するものが挙げられる。そのようなフィルムまたはコーティングは、多層フィルムおよび光学情報ストレージ媒体が屋外用途または光源がUV領域のスペクトルでかなりの量の光を発する照明器具で使用される場合、特に重要であろう。
【0082】
接着剤を使用して、光学多層フィルムおよび光学情報ストレージ媒体を別のフィルム、表面、または基板に積層することができる。そのような接着剤としては、光学的に透明な接着剤および拡散接着剤の両方、ならびに感圧接着剤および非感圧接着剤が挙げられる。感圧接着剤は通常、室温で粘着性があり、最大でも指で軽い圧力を適用することにより表面に接着することができるが、非感圧接着剤としては、溶媒、熱、または照射によって活性化される接着剤系が挙げられる。接着剤の例としては、ポリアクリレート;ポリビニルエーテル、天然ゴム、ポリイソプレン、およびポリイソブチレンなどのジエン含有ゴム;ポリクロロプレン;ブチルゴム;ブタジエン-アクリロニトリルポリマー;熱可塑性エラストマー;スチレン-イソプレンおよびスチレン-イソプレン-スチレンブロックコポリマー、エチレン-プロピレン-ジエンポリマー、およびスチレン-ブタジエンポリマーなどのブロックコポリマー;ポリアルファオレフィン;アモルファス-ポリオレフィン;シリコーン;エチレン酢酸ビニル、エチルアクリレート、およびエチルメタクリレートなどのエチレン含有コポリマー;ポリウレタン;ポリアミド;ポリエステル;エポキシ;ポリビニルピロリドン、およびビニルピロリドンコポリマー;ならびに上の混合物の一般的な組成物に基づくものが挙げられる。
【0083】
加えて、接着剤は、粘着付与剤、可塑剤、充填剤、酸化防止剤、安定剤、顔料、拡散粒子、硬化剤、および溶媒などの添加剤を含有し得る。積層接着剤を使用して多層フィルムを別の表面に接着する場合、接着剤の組成および厚さは、多層フィルムの光学特性を干渉しないように選択され得る。例えば、積層接着剤は、光学情報ストレージ媒体を読み取り/書き込みするのに望ましい波長領域で光学的に透明でなければならない。
【0084】
いくつかの実施形態では、多層フィルムは、連続相および分散相を有する1つ以上の層を設けられてもよく、その2つの位相の間の界面は、多層フィルムの配向中に間隙を生じるように十分に弱いであろう。間隙の平均寸法は、処理パラメータおよびストレッチ比を注意深く操作することを通じて、または相溶化剤を選択的に使用することを通じて制御することができる。完成製品内の間隙は、液体、気体、または固体を用いて埋め戻してもよい。多層フィルムの鏡面光学系と間隙を組み合わせて使用して、得られるフィルムに望ましい光学特性を生成することができる。
【0085】
なお他の実施形態では、多層フィルムおよび光学情報ストレージ媒体は、これらの材料の表面またはそれらの任意の一部を、コーティング、染色、金属化、または積層などのその後の処理のさらなる一助となるようにすることによって変更する、様々な処理を受け得る。これは、PVDC、PMMA、エポキシ、およびアジリジンなどのプライマーを用いた処理を通じて、またはコロナ、炎、プラズマ、フラッシュランプ、スパッタ-エッチング、e-ビーム処理、もしくは表面層をアモルファス化して高温缶などを用いて結晶性を除去するなどの物理的なプライミング処理を通じて達成することができる。
【0086】
本明細書に記載の光学情報ストレージ媒体は、任意の三次元光学データ情報デバイスで使用または実装することができる。三次元という言葉によって、三次元で含有されるか、またはそれ自体がデバイスを構成する光学情報ストレージ媒体が、その体積を通じて三次元で光学データを記憶する能力を有することを意味する。本明細書のデバイスはまた、二次元情報ストレージのために使用され得ることが理解されるであろう。デバイス上に記憶され得る情報は、例えば、ストレージ用に電子信号から光信号に変換され得る二進桁またはビットデータであり得る。次いで、読み取られた光信号は、電子信号に戻して変換され得る。電子信号を光信号に、またはその逆に変換するためのプロセスは、当技術分野でよく認識されている。
【0087】
いくつかの実施形態では、デバイスは、多層フィルムの形態をとる光学情報ストレージ媒体自体と単に等しい。他の実施形態では、光学情報ストレージ媒体は、多層フィルムがその上またはその周りに位置する基板を含み得る。例えば、基板は、ガラス、セラミック、プラスチック、または他の好適な、好ましくは不活性の材料であり得る。基板は、光学情報ストレージ媒体の多層フィルムを取り囲むか、または含有する保護コーティングの形態をとることができる。いくつかの実施形態では、基板の少なくとも1つの領域は、その領域が多層フィルムを取り囲むかまたは含有する場合、電磁照射、具体的には紫外光、可視光、および赤外光の透過を可能にする。それは、光学データストレージデバイスが、コンピュータ、コンピュータによって操作されるデバイス、ハイファイ機器、ビデオ機器などの情報技術機器に便利に挿入することができるカードまたはディスクの形態をとる場合であり得る。そのようなデバイスでは、透明な窓がカバー内に設けられ得、それを通じてデータをデバイスに、またはデバイスから記憶(書き込み)または取得(読み取り)することができる。例えば、デバイスは、従来のコンピュータディスク、CD、またはDVDの形状または構成をとることができる。これらの可能性は、例としてのみ言及されており、本発明の範囲を限定することを意図するものではない。
【0088】
図9は、一実施形態による、情報を記録および記憶するために使用することができる光ディスク100の一例を示している。光ディスク100は、DVDおよびブルーレイタイプの光ディスクに使用されるなどの薄い円形の板の形状に形成されており、例えば約120mmの直径、および例えば約1.2mmの厚さを有する。
【0089】
光ディスク100は、光ディスクの業界標準に従って受け入れられる直径(例えば、約15mm)を有する、光ディスク100の中心の穴部分またはスピンドル開口部102を含む。スピンドル開口部102は、スピンドル開口部102の中心が光ディスク100全体の中心と一致するように、光ディスク100を貫通する。
【0090】
図9の光ディスクの拡大断面図である
図10を参照すると、光ディスク100は、第1の表面112および対向する第2の表面114を有する共押し出しされた多層フィルム110を含む。多層フィルム100の第1の表面112は、光学的に透明な接着剤118を用いて基板116に積層されている。多層フィルム110の対向する第2の表面114は、カバー層および/または保護ハードコート120で覆われている。保護カバー層またはハードコート層120は、単一層であるとして示されているが、保護カバー層またはハードコート層120は、2つ以上の層を含み得る。例えば、カバー層を、多層ポリマーフィルムの外面に接着してもよく、ハードコート層を、カバー層の外面に接着してもよい。いくつかの実施形態では、カバー層は、多層ポリマーフィルムまたはディスクにおける球面収差などの光学収差を補正することができる。ハードコート層は、多層ポリマーフィルムを環境的損傷から保護するディスクの外面を形成することができる。
【0091】
共押し出しされた多層フィルム100は、ビデオ、オーディオ、ソフトウェア、または他のデータなどのデータを記憶するために使用される、アクティブデータストレージ層122およびバッファー層124の16の二重層を含み得るが、多層フィルムは、いくつかの二重層ならびに追加の層を含んでもよい。バッファー層124は、例えば、約3μm~約20μmの厚さを有し得、アクティブデータストレージ層122は、例えば、約0.05μm~約1μmの厚さを有し得る。例示的な実施形態では、バッファー層124は、約6μmの厚さを有し、アクティブデータストレージ層は、約0.6μmの厚さを有する。いくつかの実施形態では、共押し出しされた多層フィルム110は、トラッキング機能を含まなくてもよい。
【0092】
基板116は、ポリカーボネートまたはガラスなどの材料で形成することができ、例えば、約1.1mmの厚さを有する。
【0093】
共押し出しされた多層フィルム110を基板116に積層するために使用される光学的に透明な接着剤118は、多層フィルムの読み取りおよび/または書き込みのための波長で光学的に透過性であり得、例えば、感圧接着剤(PSA)または硬化性液体の光学的に透明な接着剤が挙げられる。これらの接着剤は、共押し出しされた多層フィルム110を基板116に積層する前に基板116上にコーティングされ、例えば、紫外線曝露または熱硬化によって硬化される液体として提供され得る。光学的に透明な接着剤は、例えば、約10μmの厚さを有し得る。
【0094】
多層フィルム110の第2の表面114上に設けられるカバー層および/またはハードコート120は、多層フィルム110における光学収差、球面収差を補正し、多層フィルム110を環境的損傷から保護し、かつ/または得られる多層フィルム110もしくは光ディスク120に耐摩耗性を付与もしくは改善する材料で形成され得る。例えば、カバー層120は、ポリマーマトリックスに埋め込まれたシリカの粒子を含み得、無論、そのような層が多層フィルム110の光学特性を過度に損なわないことを条件に、フィルム110に耐摩耗性を付与するために多層フィルム110の第2の表面114に添加される。
【0095】
光ディスクは、共押し出しされた多層フィルムにカバー層および/またはハードコートを適用し、光学的に透明な接着剤で多層フィルムを基板上に積層し、フィルムを基板のサイズに切断し一致させ、フィルムの内縁および外縁を封止することによって形成することができる。いくつかの実施形態では、多層フィルムは、積層の前または後のいずれかに切断することができ、例えば、レーザー切断または機械的切断を使用してそのサイズに切断することができる。スピンドル開口部によって画定されるフィルムの内縁およびディスクの縁によって画定されるフィルムの外縁は、多層フィルムを環境的損傷から保護するために、そのサイズに切断され密封され得る。縁の密封は、積層後に、例えば、レーザー切断プロセス中の熱的手段によって、または別の時に、他の熱密封方法によって実施することができる。密封はまた、硬化性接着剤または密封材料を使用して実施してもよい。
【0096】
いくつかの実施形態では、カバー層および/またはハードコートは、多層フィルムを基板に積層した後、多層フィルムに適用してもよい。例えば、カバー層および/またはハードコートは、標準的なフィルム形成方法および硬化方法を使用して多層フィルムに適用される硬化性コーティングであり得る。カバー層および/またはハードコートはまた、感圧接着剤または硬化性接着剤などの光学的に透明な接着剤を使用して多層フィルムの外側の第2の表面に貼り付けられるフィルムであり得る。
【0097】
いくつかの実施形態では、光ディスクは、任意選択的に、トラッキング制御システム(図示せず)用のガイドトラッキングパターンを有するサーボ層などのトラッキング機能を含み得、トラッキング機能は、光学書き込みプロセスおよび/または光学読み取りプロセス中に光学書き込みデバイスおよび/または光学読み取りデバイスの光学ガイダンスを提供する。トラッキング制御システムは、トラッキングパターンに集束されるトラッキングレーザー、ならびにディスクに対するレーザーなどの光学読み取りおよび/または書き込みデバイスの位置を制御するためのトラッキングアクチュエータを含み得る。
【0098】
いくつかの実施形態では、トラッキングパターンとしては、例えば、基板の射出成形によって付与される基板の表面上にらせん状パターンで提供される、ランドおよび溝の組み合わせを挙げることができる。トラッキングパターンが付与された基板は、溝のないまたはトラッキングパターンを含まない多層フィルム用のトラッキング制御システムのサーボ層として機能することができる。基板トラッキング機能のトラッキングは、上にある接着剤、共押し出しされた多層フィルム、ならびにカバー層および/またはハードコート層が、反射または発された光を使用して光学ピックアップに返される信号を提供するように、トラッキングレーザー波長で十分な透明性を有することを必要とする。
【0099】
多層フィルムは、接着剤層を使用して、基板の両側の溝付きらせん状パターンなどのトラッキング機能を備えるディスク基板の両側に取り付けることができることが理解されるであろう。ディスクの両面から同時に書き込みおよび読み取りを実施することができる。
【0100】
他の実施形態では、カバー層および/または基板は、トラッキング機能を有し得、サーボ層として機能し得る。例えば、
図11に示されるように、光ディスク140は、基板142の表面上にらせん状溝パターン144で設けられたランドと溝との組み合わせを有する基板142、およびらせん状溝パターン150を有するカバー層148を含む。基板142のらせん状溝パターン144は、例えば、基板142の射出成形によって付与することができ、カバー層148のらせん状溝パターンは、エンボス加工によって設けることができる。溝付きカバー層148の溝ピッチは、ディスク基板142上の溝寸法およびパターンと一致させてもよい。
【0101】
他の実施形態では、多層フィルムの1つ以上の中間バッファー層および/または光ディスクの基板は、トラッキング機能を有し得、サーボ層として機能し得る。
図12は、基板202の表面上にらせん状溝パターン204を有する基板202、およびらせん状溝パターン208を有する中間バッファー層206を含む、光ディスク200を示している。
図10と同様に、溝付き中間バッファー層の溝ピッチは、ディスク基板の溝寸法と一致させてもよい。
【0102】
なお他の実施形態では、
図13に示されるように、光ディスク300は、トラッキング機能を備え、サーボ層として機能するカバー層302、中間バッファー層304、および基板306を含み得る。例えば、カバー層302、中間バッファー層304、および基板306は、それぞれ、らせん状溝パターン308、310、および312を含み得る。溝付きカバー層および中間バッファー層の溝ピッチは、ディスク基板上の溝寸法と一致させてもよい。有利には、カバー層302、中間バッファー層304、および基板306にトラッキング機能を設けることにより、より多くの数の層(例えば、32層超)を有する多層フィルムを含む光ディスクのトラッキングが容易になる。
【0103】
なお他の実施形態では、光ディスクは、第1の表面および対向する第2の表面を有する基板、基板の第1の表面に接着された第1の多層ポリマーフィルム、ならびに基板の第2の表面に接着された第2の多層ポリマーフィルムを含む、両側光ディスクであり得る。第1のカバー層および/またはハードコート層、ならびに第2のカバー層および/またはハードコート層は、それぞれ第1の多層ポリマーフィルムおよび第2の多層ポリマーフィルムの外面に接着され得る。基板、第1の多層ポリマーフィルム、第2の多層ポリマーフィルム、第1のカバー層、または第2のカバー層のうちの少なくとも1つは、光学読み取りおよび/または光学書き込みプロセス中に光学読み取りおよび/または光学書き込みデバイスに光学ガイダンスを提供する、少なくとも1つのトラッキング機能を含み得る。
【0104】
いくつかの実施形態では、基板の第1の表面および対向する第2の表面は、少なくとも1つのトラッキング機能を含み得る。基板の第1の表面および対向する第2の表面のトラッキング機能は、光学読み取りおよび/または光学書き込みプロセス中に、光学読み取りおよび/または光学書き込みデバイスに対するディスクの向きおよび/または傾きに関する情報を提供し得る。
【0105】
他の実施形態では、
図3に概略的に示されるように、光学情報ストレージ媒体30は、長い(例えば、100m)連続的な光学データストレージテープ32として提供され得る。テープ32は、本明細書に記載の機械的に可撓性の多層フィルムで形成することができ、ロールまたはドラム34上に提供され得る。テープ32は、テープ32を読み取りおよび書き込みするための読み取り/書き込みシステム36を介して供給され得る。読み取り/書き込みシステム36は、テープ32のアクティブデータストレージ層内に離散データボクセルを画定するための適切な永続的または可逆的な1光子、または多光子、線形、非線形、または閾値の光学デバイス、およびアクティブデータストレージ層内に画定される離散ボクセルを読み取るための光学読み取りデバイスを含み得る。
【0106】
さらに他の実施形態では、光学情報ストレージ媒体は、情報を担持する文書に組み込まれるか、または文書上に設けられ得る。情報を担持する文書としては、(限定されないが)文書、紙幣、証券、ステッカー、ホイル、容器、製品梱包、小切手、クレジットカード、銀行カード、電話カード、ストアドバリューカード、プリペイドカード、スマートカード(例えば、メモリデバイス、マイクロプロセッサ、およびマイクロコントローラなどの1つ以上の半導体チップを含むカード)、接触型カード、非接触型カード、近接型カード(例えば、無線(RFID)カード)、パスポート、運転免許証、ネットワークアクセスカード、従業員バッジ、デビットカード、セキュリティカード、ビザ、入国管理書類、国民IDカード、市民権カード、社会保障カードおよびバッジ、証明書、身分証明カードまたは文書、有権者登録および/または身分証明カード、警察IDカード、国境通過カード、セキュリティクリアランスバッジおよびカード、銃の許可証、バッジ、ギフト券またはカード、会員カードまたはバッジ、ならびにタグを含む、任意のタイプの情報を担持する文書を挙げることができる。さらに、光学情報ストレージ媒体は、消費者製品、ノブ、キーボード、電子部品などのデバイス、または識別される機能および/もしくは物体もしくは他の実体に関連付けられ得る情報、画像、および/もしくは他のデータを記録することができる任意の他の好適なアイテムまたは物品への適用可能性を有し得ることが企図される。本開示の目的では、「文書」、「カード」、「バッジ」、および「書類」という用語は、交換可能に使用されることにも留意されたい。
【0107】
以下の実施例は、本明細書に記載の光学情報ストレージ媒体をさらに示している。実施例は、単に説明を意図したものであり、限定的なものとして解釈されるものではない。
【実施例】
【0108】
この実施例では、高密度光学データストレージシステムODS用のロールツーロール多層(ML)フィルムを作製するための共押し出しプロセスについて説明する。このプロセスにより、テラバイト~ペタバイト規模の容量に十分な合計書き込み可能領域を有する多様なフォーマットに対応する、長さ数百メートル、幅数メートルの連続的な完全なストレージ媒体を容易に製造することができる。共押し出しプロセスはまた、低コストであり、スピンコーティングおよび積層などの現在の製造手法よりもはるかに単純である。
【0109】
この実施例はまた、有機色素の蛍光(FL)消光による連続波ブルーレイ(BR)レーザーを使用して、厚さ78μm、長さ100mのMLテープにおける23層のデータストレージを実証する。面密度は、市販のディスクと同様であり、FLに基づくスキームによって可能になる小さい層間隔により、1.2×1012cm-3のビット密度がもたらされることが見出される。メカニズムおよび高い軸方向密度を考慮して、書き込み中のクロストークも検証する。手法は一般的であるので、高密度ODS用にすでに開発された材料を、「クラウド」規模のデータストレージを含むイノベーションに活用することができる。
【0110】
材料
既知のプロセスを使用して、発色団C18-RGを合成した。PETG Eastar6763は、Eastman Chemical Companyから入手し、受け取ったまま使用した。Haake Rheocord9000バッチミキサーを230℃で5分間使用して、C18-RGとPETGとのブレンド(公称色素含有量2重量%)を調製した。
【0111】
共押し出し
PETG/色素ブレンドおよびPVDFを別々のホッパーに充填し、ポリマーが一致する粘度を有する230℃に加熱した。これらのホッパーを連続して5つのダイに通して送った後、二重層を押し出した。各ダイは二重層を垂直に切断し、フィルムを広げ積み重ねて、層の数を2倍に増倍する。製造した最終的なフィルムは、およそ200μmの全体の厚さを有する64層の系であった。
【0112】
吸収および蛍光
吸収スペクトルは、Cary 500分光光度計を使用して、64のアクティブ層を有する厚さ200μmのMLフィルム全体で測定した。FLは、Acton2300i分光計およびPrinceton PIXIS 100BR CCDにファイバーによって連結した共焦点顕微鏡を使用して測定した。信号対雑音比を低減するためにスキャン速度を6μm ms-1にしたことを除いて、画像の読み取りと同じパラメータを使用して、正方形の領域をまず読み取った(下記参照)。次いで、画像の書き込みと同じパラメータを使用して正方形の領域を書き込み、退色後のスペクトルを測定するために、より低いパワーで再スキャンした。
【0113】
書き込みおよび読み取り
データを書き込むために、Olympus M Plan Apochromat、100x、1.4NAの油浸対物レンズを通じて、レーザーをフィルムに集束させた。カスタマイズした経路に沿って75nm ms-1の速度でレーザービームをスキャンすることによりOlympus FV1000共焦点顕微鏡を使用して、パターンを記録した。入射電力は約150μWであり、強度は、1.0mWμm-2(最上)~1.5mWμm-2(最下層)に変動させた。有害な読み取りを回避するために、より速い速度およびはるかに低減された電力(5μm ms-1で0.01mWμm-2)を除いて同じ設定で読み取りを実施した。サブmsの曝露で測定可能な消光を得るには、0.1mWμm-2以上の程度の強度が必要である。
【0114】
層のクロストークの計算
図8cに示されるビットクロストークの理論曲線は、以下のように計算した。関連するパラメータは、物理的には、すべての他の層のすべての他のビットの書き込み中に取得された強度に対する、そのビットの明確な書き込み中に所与のビット位置で受けた強度の比である。模擬実験したビット配列は、Δ
zの間隔を有するN
zの層からなり、各々が、それぞれΔ
yおよびΔ
xの間隔を有するN
y×N
xからなる。ビット配列は、L
x×L
y×L
zのサイズの体積を占める。原点は、データ配列の中心に置く。回折限界のガウスビームを想定すると、そのビット(信号、S)の明確な書き込み中に原点に位置する単一ビットのFLの低減は、フルエンスの量に比例するはずである。
【数1】
式中、Cが、比例定数であり、αが、吸収係数であり、w
0が、ビームウエストである。すべての他のビット(ノイズ、N)の書き込み中のこの同じビットのFL低減は、
【数2】
と1/e
2のビーム半径との合計によって求められ、層kに書き込む場合のz原点でのw
kは、
【数3】
によって求められ、式中、nが、屈折率であり、λが、書き込み波長である。これからSが差し引かれるのは、信号として定義される合計での単一項を説明するためである。これは、高度に集束されたビームおよび大きいスキャン領域を想定すると、大幅に単純化することができる。しかしながら、単純に数値で合計を実施するほうが、より正確である(Matlab)。パラメータは、書き込み中に使用されたものに対応するように選択した。ビット間隔は、すべてのビットが「オン」(方形波発生器によって生成される0.5μm間隔の「オンオフ」パターンと数値的に同等)、Δ
z=3μm、N
x=N
y=40、N
z=10、L
x=L
y=40μm、L
z=27μm、およびw
0=0.32μmである両方の横方向寸法で1.0μmとして選択した。実験で観察された0.32μmの値に対応するビームウエストを使用する。
図8cにプロットされた結果は、比S/Nである。Sは、変調信号に対応する一方で、合計Nは、全体的に一定の退色を生じるので、この比は、
【数4】
を計算することによって、実験データから計算することで決定することができ、式中、maxが、変調のピーク値の平均であり、minが、波の谷の平均である。
【0115】
この計算は、複数の反射などの、最適なML構造を設計する場合考慮する必要がある多くの他の物理的プロセスが存在するので、大きさの比較としてのみを意図する。ここでの実験と理論との間の主な違いのうちの1つは、ビームが別個にではなく連続的にスキャンされるという事実である。さらに、強度が大きい場合、退色は、劣線形になるが、これは理論では考慮しない。界面で散乱された光、および(リトレースおよびサンプルの位置決めなどの)小規模な共焦点書き込み系のすべての側面を制御する能力がないことはまた、キャリア対バックグラウンド比(CBR)に起因する。観察されたように、これらのうちの多くは、理論と比較してCBRを減少させ、経験的バックグラウンドを増加させるであろう。
【0116】
層間隔の制限および光学システム
FL検出スキームを使用することにより、位相変化および反射に依存するスキームと比較して、より小さい層間隔が可能になる。別の制限要因は、読み取りシステム自体の応答機能である。ここで使用されている1.4開口数(NA)の対物レンズを備える共焦点顕微鏡は、極端な場合である。これらの光学系では、(無限に小さい開口では)サンプルが焦点面から軸方向に(層の間隔よりもはるかに小さく)約0.1μm移動した場合、検出器面での強度は半分に低下する。代わりに、BRプレーヤーに見られる0.85NAの対物レンズを使用する場合、開口の直径が検出器でのスポットサイズよりも10倍大きい場合でさえも、この数値はなおたったの0.89μmである。したがって、最小の層間隔を制限する要因はここでは緩和されるが、読み取りシステムの光学的制限はまだ問題にならない。
【0117】
結果
蛍光(FL)有機分子を含む透明度の高い多層(ML)ポリマーフィルムをアクティブ層に採用した。ここで製造され記録された多数の層では、反射スキームを用いた読み取り中のコヒーレントなクロストークが発生するので、FLメカニズムを使用する。これらのフィルムを製造するために使用した共押し出し技法を
図4に示す。このプロセスでは、2つの熱可塑性ポリマー(AおよびB)を加熱して、粘度が一致する融解物を形成し、次いで二重層供給ブロックに共押し出しする。融解物を切断し、拡げ、積み重ねる一連の増倍ダイにAB二重層を通し送り、その都度層の数が2倍になる。この実施例で採用したプロセスは、およそ200m hr
-1の速度で、最大幅36cm、厚さ200μmのフィルムを作製することを可能にし、これは、商業用途で大規模化することができる。製造プロセスは、本明細書に記載の特定の色素/ポリマー系だけにとどまらず、より広い適用可能性を有し、複数の機能性ドーパントもしくは別個の層、またはさらには位相変化材料に必要である金属反射層などのより洗練されたデバイス構築を実現するために使用することができる。
【0118】
この技法を使用して、ビットを別個の領域内に閉じ込めるように機能する、非アクティブバッファー層間にインターリーブされた23のデータストレージ層からなるストレージシステムを作製した。この実施例で製造したフィルムのロールは、従来のディスクよりも1000倍大きい書き込み可能領域を有した。連続プロセスとして、方法が、無制限の長さのサンプルを製造することができたことに留意されたい。データストレージ層Aは、透明なホストポリマーであるポリ(エチレンテレフタレートグリコール)(PETG)で構成され、2.0重量%の蛍光発色団1,4-ビス(α-シアノ-4-オクタデシルオキシスチリル)-2,5-ジメトキシベンゼン(C18-RG、
図5a)がドープされている。ポリ(フッ化ビニリデン)(PVDF)からなるバッファー層Bは、光学的に不活性であり、層Aと屈折率が一致する。この材料は、処理中の色素の拡散を制限するのに特に効果的である。層AおよびBの平均的な厚さは、それぞれ0.3および3.1μmである。
【0119】
C18-RGは、エキシマ状態とモノマー状態の両方を呈するシアノ置換オリゴ(p-フェニレンビニレン)色素であり、以前は2光子吸収によるODSに使用されていた。PETG中に分子分散している場合、モノマーは、それぞれ450および510nmに吸収ピークおよびFLピークを呈する。エキシマは、それぞれ370および540nmに吸収ピークおよびFLピークを呈する。データ書き込み中に使用されたのとほぼ同じレベルである20%の光退色後のFLスペクトルとともに、吸収スペクトルおよびFLスペクトルを
図5Bに示す。消光は、ピークの領域でかなり均一であり、モノマーおよびエキシマの相対濃度にシフトがないことを示していることに留意されたい。この作業では、単一光子吸収を使用して緑色のFLを退色させることによるデータ記憶に、PETG中に分子分散した色素を使用した。
【0120】
データ書き込みは、選択した層に集束させた405nmの連続波レーザービームを使用して実施し、プロセスをコンパクトなBR源に適合性のあるものにした。書き込みによって引き起こされたFLの変化は、2年以上の期間にわたって永続的かつ安定であることが観察された。
図6Aは、ストレージ層に書き込まれたFL画像を示している。書き込まれた領域は、FL強度が低減された領域(黒)に対応する。ここでは、走査型共焦点顕微鏡を使用して、最下層から最上ストレージ層まで層ごとに、書き込みを実施した。その後、同じ共焦点顕微鏡およびレーザー光源によって、低減させた強度および増加させたスキャン速度でサンプルの3D FL画像を収集した。
【0121】
図6Bは、単純な幾何学的画像を書き込んだ後の2つの隣接する層の断面を示している。画像は相補的であるが、各層のデータは別個であり、対象の層に十分に閉じ込められている。
図6Aおよび6Bに示される画像から、データが、個々のストレージ層の各々から容易に記録され取得され得ることは明らかである。
図6Aはまた、収差に起因して、取得された画像の品質がより深い層で減少することを示しており、これは、より長い動作距離の対物レンズを用いて改善することができる。しかしながら、23層から情報を取得することは容易に可能であり、これは、異種ML ODS媒体で報告された記録された層の最大数である。
【0122】
反射層とスペーサー層との界面での読み取りビームの多重反射に起因して発生するコヒーレントクロストークを制限するために、最先端の2~4層BRディスクの軸方向間隔は、10μm超である。ここで採用したFL検出スキームは、多重反射を大幅に低減するばかりでなく、非縮退波長で発され、使用される間隔を非常に小さくすることが可能になる。したがって、我々の層の間隔(3μm)は、調査した最小のもののうちの1つである。一方、ODSの面密度は、回折限界でのビームウエストによって制約される。我々のMLフィルムのデータビット寸法を検証するために、上で使用したものと同じ書き込み条件下で、アクティブ層のモノリシックフィルムに単一の線を書き込んだ。得られたプロファイルを
図7に示す。適合により、380nmの半値全幅(FWHM)が得られ、これは、現在のシステムで達成可能なほぼ最小のビット間隔であり、回折限界のビームサイズと一致している。
【0123】
光学収差により、BRディスクの厚さは140μm未満に制限される。狭い層間隔およびBR回折限界の書き込みを考慮すると、我々のシステムで達成可能なビット密度は、1.2×1012cm-3であると推定される。したがって、市販のディスクフォーマットでは、我々の共押し出しされた媒体は、BRシステム仕様内のTBストレージに十分である。特定の設定では、可撓性フィルムは安定性および書き込み速度が改善されていることさえ示している。代替的なロール系読み取り/書き込みシステムでは、ペタバイト(PB)容量を達成するためには、およそ150mのこのフィルムが必要であろう。さらに、なお容易に製造されるより長い長さでは、より少ない層をトレードオフして光学的制約を緩和することができる。
【0124】
特に、間隔が狭い多数の層を有するこれらのフィルムでは、軸方向と横方向との両方の寸法での最小ビット間隔を決定する重要な要因は、クロストークである。3Dストレージの背景におけるMLフィルムの1つの魅力的な機能は、ビットを軸方向に閉じ込めることであり、これにより、書き込みおよび読み取り中の隣接するビットと層との間のクロストークが低減される。書き込みクロストークを直接測定するために、ビットの配列を10の連続する層に書き込み、他の層に情報が書き込まれる際に中間(「プローブ」)層のコントラスト変調を読み取った。上記と同様の書き込み条件を採用した。レーザーを方形波発生器で変調し、1.0μm分離したオンオフビットの対を両方とも横方向に生成し、書き込まれた合計面積(40x40μm)は任意の所与の層のビーム径よりも大きいので、任意の2つの層間の合計クロストークを過小評価しない。これはまた、10層のうちのどれがプローブとして選択されるかに依存しない結果をもたらす。書き込みステップを選択した後のFLパターンおよび変調のサブセクションを
図8AおよびBに示す。クロストークの主な影響は、平均FLレベルの全体的な低減であると思われる。
【0125】
バックグラウンドFL枯渇(CBR)に対する信号変調の比を使用して、クロストークを定量化する。(プローブ層から開始して)10層の各々を書き込んだ後のCBRを、
図8C(三角形)でプロットする。層の数が増加するにつれて、値は2から0.15に減少し、数値シミュレーション(正方形)と良好に一致している。これは重要ではないが、
図6に示されるように、このCBR比は、個々のビット情報を解析するのに十分すぎるほどである。合計バックグラウンド枯渇は、多くの小さい曝露にわたって蓄積され、書き込み対物レンズの開口数および不活性バッファー層の多さに起因し、書き込まれている層に隣接する層のフルエンスが10倍以上低減されることに留意されたい。したがって、対象のビットを書き込んでいる間の曝露はなお、任意の他の単一の曝露と比較して約100倍優勢に寄与する。
【0126】
本出願の上の説明から、当業者は、改善、変更、および修正を理解するであろう。そのような改善、変更、および修正は、当技術分野内であり、添付の特許請求の範囲によって網羅されることが意図される。本明細書で引用されたすべての特許、特許出願、および刊行物は、参照によりそれらの全体が組み込まれる。