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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-14
(45)【発行日】2024-11-22
(54)【発明の名称】ステータコアおよび回転電機
(51)【国際特許分類】
   H02K 1/18 20060101AFI20241115BHJP
   H02K 1/02 20060101ALI20241115BHJP
   H02K 15/02 20060101ALI20241115BHJP
【FI】
H02K1/18 B
H02K1/18 C
H02K1/18 Z
H02K1/02 Z
H02K15/02 E
H02K15/02 F
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2021556181
(86)(22)【出願日】2020-11-13
(86)【国際出願番号】 JP2020042469
(87)【国際公開番号】W WO2021095857
(87)【国際公開日】2021-05-20
【審査請求日】2022-05-10
【審判番号】
【審判請求日】2023-10-19
(31)【優先権主張番号】P 2019206648
(32)【優先日】2019-11-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000006655
【氏名又は名称】日本製鉄株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100140774
【弁理士】
【氏名又は名称】大浪 一徳
(74)【代理人】
【識別番号】100134359
【弁理士】
【氏名又は名称】勝俣 智夫
(74)【代理人】
【識別番号】100188592
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 洋
(74)【代理人】
【識別番号】100217249
【弁理士】
【氏名又は名称】堀田 耕一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100221279
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 健吾
(74)【代理人】
【識別番号】100207686
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 恭宏
(74)【代理人】
【識別番号】100224812
【弁理士】
【氏名又は名称】井口 翔太
(72)【発明者】
【氏名】上川畑 正仁
(72)【発明者】
【氏名】冨田 美穂
(72)【発明者】
【氏名】村川 鉄州
【合議体】
【審判長】小宮 慎司
【審判官】柴垣 俊男
【審判官】中野 浩昌
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-178380(JP,A)
【文献】特開平8-223830(JP,A)
【文献】特開2002-320350(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02K1/18
H02K1/02
H02K5/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の分割コアを備えたステータコアであって、
前記複数の分割コアは、電磁鋼板からなるコア片を積層して構成され、
前記電磁鋼板は、
質量%で、
C:0.0100%以下、
Si:1.50%~4.00%、
sol.Al:0.0001%~1.0%、
S:0.0100%以下、
N:0.0100%以下、
Mn、Ni、Co、Pt、Pb、Cu、Auからなる群から選ばれる1種以上:総計で2.50%~5.00%、
Sn:0.000%~0.400%、
Sb:0.000%~0.400%、
P:0.000%~0.400%、および
Mg、Ca、Sr、Ba、Ce、La、Nd、Pr、Zn、およびCdからなる群から選ばれる1種以上:総計で0.0000%~0.0100%を含有し、
Mn含有量(質量%)を[Mn]、Ni含有量(質量%)を[Ni]、Co含有量(質量%)を[Co]、Pt含有量(質量%)を[Pt]、Pb含有量(質量%)を[Pb]、Cu含有量(質量%)を[Cu]、Au含有量(質量%)を[Au]、Si含有量(質量%)を[Si]、sol.Al含有量(質量%)を[sol.Al]としたときに、以下の(1)式を満たし、
残部がFeおよび不純物からなる化学組成を有し、
圧延方向におけるB50の値をB50L、圧延方向から45°傾いた方向におけるB50の値をB50D1、圧延方向から90°傾いた方向におけるB50の値をB50C、圧延方向から135°傾いた方向におけるB50の値をB50D2としたときに、以下の(2)式且つ(4)式を満たし、{100}<011>のX線ランダム強度比が5以上30未満であり、板厚が0.50mm以下であり、
前記複数の分割コアのうち少なくとも1つの分割コアのコア片は、
ティースの径方向およびコアバックの延在方向の何れもが、前記電磁鋼板の磁気特性の優れた方向に沿っていることを特徴とするステータコア。
([Mn]+[Ni]+[Co]+[Pt]+[Pb]+[Cu]+[Au])-([Si]+[sol.Al])>0% ・・・(1)
(B50D1+B50D2)/2>1.7T ・・・(2)
(B50D1+B50D2)/2>1.1×(B50L+B50C)/2・・・(4)
【請求項2】
複数の分割コアを備えたステータコアであって、
前記複数の分割コアは、電磁鋼板からなるコア片を積層して構成され、
前記電磁鋼板は、
質量%で、
C:0.0100%以下、
Si:1.50%~4.00%、
sol.Al:0.0001%~1.0%、
S:0.0100%以下、
N:0.0100%以下、
Mn、Ni、Co、Pt、Pb、Cu、Auからなる群から選ばれる1種以上:総計で2.50%~5.00%、
Sn:0.000%~0.400%、
Sb:0.000%~0.400%、
P:0.000%~0.400%、および
Mg、Ca、Sr、Ba、Ce、La、Nd、Pr、Zn、およびCdからなる群から選ばれる1種以上:総計で0.0000%~0.0100%を含有し、
Mn含有量(質量%)を[Mn]、Ni含有量(質量%)を[Ni]、Co含有量(質量%)を[Co]、Pt含有量(質量%)を[Pt]、Pb含有量(質量%)を[Pb]、Cu含有量(質量%)を[Cu]、Au含有量(質量%)を[Au]、Si含有量(質量%)を[Si]、sol.Al含有量(質量%)を[sol.Al]としたときに、以下の(1)式を満たし、
残部がFeおよび不純物からなる化学組成を有し、
圧延方向におけるB50の値をB50L、圧延方向から45°傾いた方向におけるB50の値をB50D1、圧延方向から90°傾いた方向におけるB50の値をB50C、圧延方向から135°傾いた方向におけるB50の値をB50D2としたときに、以下の(3)式且つ(6)式を満たし、{100}<011>のX線ランダム強度比が5以上30未満であり、板厚が0.50mm以下であり、
前記複数の分割コアのうち少なくとも1つの分割コアのコア片は、
ティースの径方向およびコアバックの延在方向の何れもが、前記電磁鋼板の磁気特性の優れた方向に沿っていることを特徴とするステータコア。
([Mn]+[Ni]+[Co]+[Pt]+[Pb]+[Cu]+[Au])-([Si]+[sol.Al])>0% ・・・(1)
(B50D1+B50D2)/2>(B50L+B50C)/2・・・(3)
(B50D1+B50D2)/2>1.8T ・・・(6)
【請求項3】
以下の(5)式を満たすことを特徴とする請求項1または2に記載のステータコア。
(B50D1+B50D2)/2>1.2×(B50L+B50C)/2・・・(5)
【請求項4】
0.020%~0.400%のSn、および0.020%~0.400%のSbからなる群から選ばれる1種以上を含有することを特徴とする、請求項1から3の何れか1項に記載のステータコア。
【請求項5】
前記電磁鋼板は、
前記磁気特性の優れた方向が前記電磁鋼板の圧延方向からの角度45°および135°の方向であり、
前記ティースの径方向が、前記圧延方向からの角度45°および135°のうち何れか一方の方向に沿っており、
前記コアバックの延在方向が、前記圧延方向からの角度45°および135°のうち何れか他方の方向に沿っていることを特徴とする請求項1に記載のステータコア。
【請求項6】
前記複数の分割コアは、
全ての分割コアのコア片において、前記ティースの径方向および前記コアバックの延在方向の何れもが、前記電磁鋼板の磁気特性の優れた方向に沿っていることを特徴とする請求項1から5の何れか1項に記載のステータコア。
【請求項7】
前記複数の分割コアは、それぞれティース部を有し、
複数のティース部のうち、磁気特性の優れた方向に沿ったティース部の幅が、磁気特性の優れた方向に沿っていないティース部の幅よりも狭いことを特徴とする請求項1から5の何れか1項に記載のステータコア。
【請求項8】
前記ティース部の幅と、所定の磁界の強さで励磁したときの前記ティース部の磁束密度との積が、前記複数の分割コアの各ティース部で略一定であることを特徴する請求項7に記載のステータコア。
【請求項9】
請求項1から8の何れか1項に記載のステータコアを備えることを特徴とする回転電機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ステータコアおよび回転電機に関するものである。特に、複数の分割コアを備えるステータコアに用いて好適なものである。
本願は、2019年11月15日に、日本に出願された特願2019-206648号に基づき優先権を主張し、その内容をここに援用する。
【背景技術】
【0002】
回転電機のステータコア(鉄心)として複数の分割コアを周方向に沿って配列したものが知られている。
【0003】
特許文献1には、モータの鉄心が分割面により積層鉄心個片に分割されており、積層鉄心個片が一方向性電磁鋼板または二方向性電磁鋼板で構成されている。積層鉄心個片には絶縁部を介して巻線が巻かれ、積層鉄心個片ごとに磁化容易方向を決めて積層されていることが開示されている。このようなモータによれば、積層鉄心個片内を通る磁束は常に方向性電磁鋼板の磁化容易方向に流れ、また回転時の極歯や空隙内に流れる磁束の方向の変化が小さくなることで、鉄損、励磁電流、コギングトルク、誘起電圧の歪みやトルクリップルが低減できる。
【0004】
特許文献2には、固定子が径方向に延びるティース部を有する複数の積層鉄心を周方向に配列した固定子鉄心を有するモータが開示されている。積層鉄心は、板厚方向に積層された板状の複数の鉄心片を有する。鉄心片は、無方向性電磁鋼板からなり、鉄心片の圧延方向は、径方向に対して傾きを有している。また、積層鉄心は、傾きが同じ鉄心片を積層されてなり、周方向に隣り合う少なくとも一対の積層鉄心は、傾きが互いに逆であることが開示されている。このようなモータによれば、コギングトルクおよびトルクリップルを低減できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】日本国特開平8-47185号公報
【文献】国際公開第2017/090571号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1および特許文献2の何れについても電磁鋼板についての検討がなされていない。このため、従来の複数の分割コアを備えたステータコアには、磁気特性を向上させることについて改善の余地がある。
【0007】
本発明は、複数の分割コアを備えたステータコアの磁気特性を向上させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明は以下の構成を採用する。
(1)本発明の一態様に係るステータコアは、複数の分割コアを備えたステータコアであって、前記複数の分割コアは、電磁鋼板からなるコア片を積層して構成され、前記電磁鋼板は、質量%で、C:0.0100%以下、Si:1.50%~4.00%、sol.Al:0.0001%~1.0%、S:0.0100%以下、N:0.0100%以下、Mn、Ni、Co、Pt、Pb、Cu、Auからなる群から選ばれる1種以上:総計で2.50%~5.00%、Sn:0.000%~0.400%、Sb:0.000%~0.400%、P:0.000%~0.400%、およびMg、Ca、Sr、Ba、Ce、La、Nd、Pr、Zn、およびCdからなる群から選ばれる1種以上:総計で0.0000%~0.0100%を含有し、Mn含有量(質量%)を[Mn]、Ni含有量(質量%)を[Ni]、Co含有量(質量%)を[Co]、Pt含有量(質量%)を[Pt]、Pb含有量(質量%)を[Pb]、Cu含有量(質量%)を[Cu]、Au含有量(質量%)を[Au]、Si含有量(質量%)を[Si]、sol.Al含有量(質量%)を[sol.Al]としたときに、以下の(1)式を満たし、残部がFeおよび不純物からなる化学組成を有し、圧延方向におけるB50の値をB50L、圧延方向から45°傾いた方向におけるB50の値をB50D1、圧延方向から90°傾いた方向におけるB50の値をB50C、圧延方向から135°傾いた方向におけるB50の値をB50D2としたときに、以下の(2)式且つ(4)式を満たし、{100}<011>のX線ランダム強度比が5以上30未満であり、板厚が0.50mm以下であり、前記複数の分割コアのうち少なくとも1つの分割コアのコア片は、ティースの径方向およびコアバックの延在方向の何れもが、前記電磁鋼板の磁気特性の優れた方向に沿っている。
([Mn]+[Ni]+[Co]+[Pt]+[Pb]+[Cu]+[Au])-([Si]+[sol.Al])>0% ・・・(1)
(B50D1+B50D2)/2>1.7T ・・・(2)
(B50D1+B50D2)/2>1.1×(B50L+B50C)/2・・・(4)
ここで、磁束密度B50とは、磁界の強さ5000A/mで励磁したときの磁束密度である。
(2)本発明の一態様に係るステータコアは、複数の分割コアを備えたステータコアであって、前記複数の分割コアは、電磁鋼板からなるコア片を積層して構成され、前記電磁鋼板は、質量%で、C:0.0100%以下、Si:1.50%~4.00%、sol.Al:0.0001%~1.0%、S:0.0100%以下、N:0.0100%以下、Mn、Ni、Co、Pt、Pb、Cu、Auからなる群から選ばれる1種以上:総計で2.50%~5.00%、Sn:0.000%~0.400%、Sb:0.000%~0.400%、P:0.000%~0.400%、およびMg、Ca、Sr、Ba、Ce、La、Nd、Pr、Zn、およびCdからなる群から選ばれる1種以上:総計で0.0000%~0.0100%を含有し、Mn含有量(質量%)を[Mn]、Ni含有量(質量%)を[Ni]、Co含有量(質量%)を[Co]、Pt含有量(質量%)を[Pt]、Pb含有量(質量%)を[Pb]、Cu含有量(質量%)を[Cu]、Au含有量(質量%)を[Au]、Si含有量(質量%)を[Si]、sol.Al含有量(質量%)を[sol.Al]としたときに、以下の(1)式を満たし、残部がFeおよび不純物からなる化学組成を有し、圧延方向におけるB50の値をB50L、圧延方向から45°傾いた方向におけるB50の値をB50D1、圧延方向から90°傾いた方向におけるB50の値をB50C、圧延方向から135°傾いた方向におけるB50の値をB50D2としたときに、以下の(3)式且つ(6)式を満たし、{100}<011>のX線ランダム強度比が5以上30未満であり、板厚が0.50mm以下であり、前記複数の分割コアのうち少なくとも1つの分割コアのコア片は、ティースの径方向およびコアバックの延在方向の何れもが、前記電磁鋼板の磁気特性の優れた方向に沿っている。
([Mn]+[Ni]+[Co]+[Pt]+[Pb]+[Cu]+[Au])-([Si]+[sol.Al])>0% ・・・(1)
(B50D1+B50D2)/2>(B50L+B50C)/2・・・(3)
(B50D1+B50D2)/2>1.8T ・・・(6)
(3)上記(1)または(2)に記載のステータコアは、以下の(5)式を満たしてよい。
(B50D1+B50D2)/2>1.2×(B50L+B50C)/2・・・(5)
(4)上記(1)から(3)の何れか1項に記載のステータコアは、0.020%~0.400%のSn、および0.020%~0.400%のSbからなる群から選ばれる1種以上を含有してよい。
(5)上記(1)に記載のステータコアでは、前記電磁鋼板は、前記磁気特性の優れた方向が前記電磁鋼板の圧延方向からの角度45°および135°の方向であり、前記ティースの径方向が、前記圧延方向からの角度45°および135°のうち何れか一方の方向に沿っており、前記コアバックの延在方向が、前記圧延方向からの角度45°および135°のうち何れか他方の方向に沿っていてよい。
(6)上記(1)から(5)の何れか1項に記載のステータコアでは、前記複数の分割コアは、全ての分割コアのコア片において、前記ティースの径方向および前記コアバックの延在方向の何れもが、前記電磁鋼板の磁気特性の優れた方向に沿っていてよい。
(7)上記(1)から(5)の何れか1項に記載のステータコアでは、前記複数の分割コアは、それぞれティース部を有し、複数のティース部のうち、磁気特性の優れた方向に沿ったティース部の幅が、磁気特性の優れた方向に沿っていないティース部の幅よりも狭くてよい。
(8)上記(7)に記載のステータコアでは、前記ティース部の幅と、所定の磁界の強さで励磁したときの前記ティース部の磁束密度との積が、前記複数の分割コアの各ティース部で略一定であってよい。
(9)本発明の一態様に係る回転電機は、上記(1)から(8)の何れか1項に記載のステータコアを備える。
【発明の効果】
【0009】
本発明の上記態様によれば、複数の分割コアを備えたステータコアの磁気特性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】回転電機の構成の一例を示す図である。
図2】分割コアの構成の一例を示す図である。
図3】コア片の構成の一例を示す図である。
図4】B50比率と、圧延方向からの角度との関係の一例を示すグラフである。
図5】W15/50比率と、圧延方向からの角度との関係の一例を示すグラフである。
図6】W15/100比率と、圧延方向からの角度との関係の一例を示すグラフである。
図7】圧延方向と、磁気特性が最も優れる方向との関係の一例を示す図である。
図8】本発明の一実施形態に係る金型を説明するための図である。
図9】ティース部の幅を説明するための図である。
図10】変形例に係る金型を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
<分割コアに使用する電磁鋼板の例>
まず、後述する実施形態の分割コアに使用する電磁鋼板について説明する。
ここでは、実施形態の分割コアに使用する電磁鋼板の一例である本実施形態の無方向性電磁鋼板およびその製造方法で用いられる鋼材の化学組成について説明する。以下の説明において、本実施形態の無方向性電磁鋼板または鋼材に含まれる各元素の含有量の単位である「%」は、特に断りがない限り「質量%」を意味する。また、「~」を挟んで記載する数値限定範囲には、下限値および上限値がその範囲に含まれる。「未満」または「超」と示す数値には、その値が数値範囲に含まれない。無方向性電磁鋼板および鋼材は、フェライト-オーステナイト変態(以下、α-γ変態)が生じ得る化学組成であって、C:0.0100%以下、Si:1.50%~4.00%、sol.Al:0.0001%~1.0%、S:0.0100%以下、N:0.0100%以下、Mn、Ni、Co、Pt、Pb、Cu、Auからなる群から選ばれる1種以上:総計で2.50%~5.00%、Sn:0.000%~0.400%、Sb:0.000%~0.400%、P:0.000%~0.400%、およびMg、Ca、Sr、Ba、Ce、La、Nd、Pr、Zn、およびCdからなる群から選ばれる1種以上:総計で0.0000%~0.0100%を含有し、残部がFeおよび不純物からなる化学組成を有する。更に、Mn、Ni、Co、Pt、Pb、Cu、Au、Siおよびsol.Alの含有量が後述する所定の条件を満たす。不純物としては、鉱石やスクラップ等の原材料に含まれるもの、製造工程において含まれるもの、が例示される。
【0012】
<<C:0.0100%以下>>
Cは、鉄損を高めたり、磁気時効を引き起こしたりする。したがって、C含有量は低ければ低いほどよい。このような現象は、C含有量が0.0100%超で顕著である。このため、C含有量は0.0100%以下とする。C含有量の低減は、板面内の全方向における磁気特性の均一な向上にも寄与する。尚、C含有量の下限は特に限定しないが、精錬時の脱炭処理のコストを踏まえ、0.0005%以上とすることが好ましい。
【0013】
<<Si:1.50%~4.00%>>
Siは、電気抵抗を増大させて、渦電流損を減少させ、鉄損を低減したり、降伏比を増大させて、鉄心への打ち抜き加工性を向上したりする。Si含有量が1.50%未満では、これらの作用効果を十分に得られない。したがって、Si含有量は1.50%以上とする。一方、Si含有量が4.00%超では、磁束密度が低下したり、硬度の過度な上昇により打ち抜き加工性が低下したり、冷間圧延が困難になったりする。したがって、Si含有量は4.00%以下とする。
【0014】
<<sol.Al:0.0001%~1.0%>>
sol.Alは、電気抵抗を増大させて、渦電流損を減少させ、鉄損を低減する。sol.Alは、飽和磁束密度に対する磁束密度B50の相対的な大きさの向上にも寄与する。ここで、磁束密度B50とは、磁界の強さ5000A/mで励磁したときの磁束密度である。sol.Al含有量が0.0001%未満では、これらの作用効果を十分に得られない。また、Alには製鋼での脱硫促進効果もある。したがって、sol.Al含有量は0.0001%以上とする。一方、sol.Al含有量が1.0%超では、磁束密度が低下したり、降伏比を低下させて、打ち抜き加工性を低下させたりする。したがって、sol.Al含有量は1.0%以下とする。
【0015】
<<S:0.0100%以下>>
Sは、必須元素ではなく、例えば鋼中に不純物として含有される。Sは、微細なMnSの析出により、焼鈍における再結晶および結晶粒の成長を阻害する。したがって、S含有量は低ければ低いほどよい。このような再結晶および結晶粒成長の阻害による鉄損の増加および磁束密度の低下は、S含有量が0.0100%超で顕著である。このため、S含有量は0.0100%以下とする。尚、S含有量の下限は特に限定しないが、精錬時の脱硫処理のコストを踏まえ、0.0003%以上とすることが好ましい。
【0016】
<<N:0.0100%以下>>
NはCと同様に、磁気特性を劣化させるので、N含有量は低ければ低いほどよい。したがって、N含有量は0.0100%以下とする。尚、N含有量の下限は特に限定しないが、精錬時の脱窒処理のコストを踏まえ、0.0010%以上とすることが好ましい。
【0017】
<<Mn、Ni、Co、Pt、Pb、Cu、Auからなる群から選ばれる1種以上:総計で2.50%~5.00%>>
これらの元素は、α-γ変態を生じさせるために必要な元素であることから、これらの元素を総計で2.50%以上含有させる必要がある。一方で、総計で5.00%を超えると、コスト高となり、磁束密度が低下する場合もある。したがって、これらの元素を総計で5.00%以下とする。
【0018】
また、α-γ変態が生じ得る条件として、更に以下の条件を満たしているものとする。つまり、Mn含有量(質量%)を[Mn]、Ni含有量(質量%)を[Ni]、Co含有量(質量%)を[Co]、Pt含有量(質量%)を[Pt]、Pb含有量(質量%)を[Pb]、Cu含有量(質量%)を[Cu]、Au含有量(質量%)を[Au]、Si含有量(質量%)を[Si]、sol.Al含有量(質量%)を[sol.Al]としたときに、質量%で、以下の(1)式を満たすことが好ましい。
([Mn]+[Ni]+[Co]+[Pt]+[Pb]+[Cu]+[Au])-([Si]+[sol.Al])>0% ・・・(1)
【0019】
前述の(1)式を満たさない場合には、α-γ変態が生じないため、磁束密度が低くなる。
【0020】
<<Sn:0.000%~0.400%、Sb:0.000%~0.400%、P:0.000%~0.400%>>
SnやSbは冷間圧延、再結晶後の集合組織を改善して、その磁束密度を向上させる。そのため、これらの元素を必要に応じて含有させてもよいが、過剰に含まれると鋼を脆化させる。したがって、Sn含有量、Sb含有量はいずれも0.400%以下とする。また、Pは再結晶後の鋼板の硬度を確保するために含有させてもよいが、過剰に含まれると鋼の脆化を招く。したがって、P含有量は0.400%以下とする。以上のように磁気特性等のさらなる効果を付与する場合には、0.020%~0.400%のSn、0.020%~0.400%のSb、および0.020%~0.400%のPからなる群から選ばれる1種以上を含有することが好ましい。
【0021】
<<Mg、Ca、Sr、Ba、Ce、La、Nd、Pr、Zn、およびCdからなる群から選ばれる1種以上:総計で0.0000%~0.0100%>>
Mg、Ca、Sr、Ba、Ce、La、Nd、Pr、ZnおよびCdは、溶鋼の鋳造時に溶鋼中のSと反応して硫化物若しくは酸硫化物またはこれらの両方の析出物を生成する。以下、Mg、Ca、Sr、Ba、Ce、La、Nd、Pr、ZnおよびCdを総称して「粗大析出物生成元素」ということがある。粗大析出物生成元素の析出物の粒径は1μm~2μm程度であり、MnS、TiN、AlN等の微細析出物の粒径(100nm程度)よりはるかに大きい。このため、これら微細析出物は粗大析出物生成元素の析出物に付着し、中間焼鈍における再結晶および結晶粒の成長を阻害しにくくなる。これらの作用効果を十分に得るためには、これらの元素の総計が0.0005%以上であることが好ましい。ただし、これらの元素の総計が0.0100%を超えると、硫化物若しくは酸硫化物またはこれらの両方の総量が過剰となり、中間焼鈍における再結晶および結晶粒の成長が阻害される。したがって、粗大析出物生成元素の含有量は総計で0.0100%以下とする。
【0022】
<<集合組織>>
次に、本実施形態の無方向性電磁鋼板の集合組織について説明する。製造方法の詳細については後述するが、本実施形態の無方向性電磁鋼板はα-γ変態が生じ得る化学組成であり、熱間圧延での仕上げ圧延終了直後の急冷によって組織を微細化することによって{100}結晶粒が成長した組織となる。これにより、本実施形態の無方向性電磁鋼板は{100}<011>方位の集積強度が5~30となり、圧延方向に対して45°方向の磁束密度B50が特に高くなる。このように特定の方向で磁束密度が高くなるが、全体的に全方向平均で高い磁束密度が得られる。{100}<011>方位の集積強度が5未満になると、磁束密度を低下させる{111}<112>方位の集積強度が高くなり、全体的に磁束密度が低下してしまう。また、{100}<011>方位の集積強度が30を超える製造方法は熱間圧延板を厚くする必要があり、製造が困難という課題がある。
【0023】
{100}<011>方位の集積強度は、X線回折法または電子線後方散乱回折(electron backscatter diffraction:EBSD)法により測定することができる。X線および電子線の試料からの反射角等が結晶方位毎に異なるため、ランダム方位試料を基準にしてこの反射強度等で結晶方位強度を求めることができる。本実施形態の好適な無方向性電磁鋼板の{100}<011>方位の集積強度は、X線ランダム強度比で5~30となる。このとき、EBSDにより結晶方位を測定し、X線ランダム強度比に換算した値を用いても良い。
【0024】
<<厚さ>>
次に、本実施形態の無方向性電磁鋼板の厚さについて説明する。本実施形態の無方向性電磁鋼板の厚さは、0.50mm以下である。厚さが0.50mm超であると、優れた高周波鉄損を得ることができない。したがって、厚さは0.50mm以下とする。
【0025】
<<磁気特性>>
次に、本実施形態の無方向性電磁鋼板の磁気特性について説明する。磁気特性を調べる際には、本実施形態の無方向性電磁鋼板の磁束密度であるB50の値を測定する。製造された無方向性電磁鋼板において、その圧延方向の一方と他方とは区別できない。そのため本実施形態では、圧延方向とはその一方および他方の双方向をいう。圧延方向におけるB50の値をB50L、圧延方向から45°傾いた方向におけるB50の値をB50D1、圧延方向から90°傾いた方向におけるB50の値をB50C、圧延方向から135°傾いた方向におけるB50の値をB50D2とすると、B50D1およびB50D2が最も高く、B50LおよびB50Cが最も低いという磁束密度の異方性がみられる。
【0026】
ここで、例えば時計回り(反時計回りでもよい)の方向を正の方向とした磁束密度の全方位(0°~360°)分布を考えた場合、圧延方向を0°(一方向)および180°(他方向)とすると、B50D1は45°および225°のB50値、B50D2は135°および315°のB50値となる。同様に、B50Lは0°および180°のB50値、B50Cは90°および270°のB50値となる。45°のB50値と225°のB50値とは厳密に一致し、135°のB50値と315°のB50値とは厳密に一致する。しかしながら、B50D1とB50D2とは、実際の製造に際して磁気特性を同じにすることが容易でない場合があることから、厳密には一致しない場合がある。同様に、0°のB50値と180°のB50値とは厳密に一致し、90°のB50値と270°のB50値とは厳密に一致する一方で、B50LとB50Cとは厳密には一致しない場合がある。本実施形態の無方向性電磁鋼板では、B50D1およびB50D2の平均値と、B50LとB50Cの平均値とを用いて、以下の(2)式且つ(3)式を満たす。
(B50D1+B50D2)/2>1.7T ・・・(2)
(B50D1+B50D2)/2>(B50L+B50C)/2・・・(3)
【0027】
このように、磁束密度を測定すると、(2)式のようにB50D1およびB50D2の平均値が1.7T以上となると共に、(3)式のように磁束密度の高い異方性が確認される。
【0028】
更に、(1)式を満たすことに加え、以下の(4)式のように、(3)式よりも磁束密度の異方性が高いことが好ましい。
(B50D1+B50D2)/2>1.1×(B50L+B50C)/2・・・(4)
更に、以下の(5)式のように、磁束密度の異方性がより高いことが好ましい。
(B50D1+B50D2)/2>1.2×(B50L+B50C)/2・・・(5)
更に、以下の(6)式のように、B50D1およびB50D2の平均値が1.8T以上となることが好ましい。
(B50D1+B50D2)/2>1.8T ・・・(6)
【0029】
尚、前記の45°は、理論的な値であり、実際の製造に際しては45°に一致させることが容易でない場合があることから、厳密には45°に一致していないものも含むものとする。このことは、当該0°,90°,135°,180°,225°,270°,315°についても同様である。
【0030】
磁束密度の測定は、圧延方向に対して45°、0°方向等から55mm角の試料を切り出し、単板磁気測定装置を用いて行うことができる。
【0031】
<<製造方法>>
次に、本実施形態の無方向性電磁鋼板の製造方法の一例について説明する。本実施形態の無方向性電磁鋼板を製造する際には、例えば、熱間圧延、冷間圧延(第1の冷間圧延)、中間焼鈍(第1の焼鈍)、スキンパス圧延(第2の冷間圧延)、仕上焼鈍(第3の焼鈍)、歪取焼鈍(第2の焼鈍)等が行われる。
【0032】
まず、前述した鋼材を加熱し、熱間圧延を施す。鋼材は、例えば通常の連続鋳造によって製造されるスラブである。熱間圧延の粗圧延および仕上げ圧延はγ域(Ar1温度以上)の温度で行う。つまり、仕上げ圧延の仕上温度がAr1温度以上、巻取り温度が250℃超、600℃以下となるように熱間圧延を行う。これにより、その後の冷却によってオーステナイトからフェライトへ変態することにより組織は微細化する。微細化された状態でその後冷間圧延を施すと、張出再結晶(以下、バルジング)が発生しやすくなるので、通常は成長しにくい{100}結晶粒を成長させやすくすることができる。
【0033】
また、本実施形態の無方向性電磁鋼板を製造する際には、更に仕上げ圧延の最終パスを通過する際の温度(仕上温度)をAr1温度以上、巻取り温度が250℃超、600℃以下とする。オーステナイトからフェライトへ変態することによって結晶組織を微細化するようにしている。このように結晶組織を微細化させることによって、その後の冷間圧延、中間焼鈍を経てバルジングを発生させやすくすることができる。
【0034】
その後、熱間圧延板焼鈍は行わずに巻き取り、酸洗を経て、熱間圧延鋼板に対して冷間圧延を行う。冷間圧延では圧下率を80%~95%とすることが好ましい。圧下率が80%未満ではバルジングが発生しにくくなる。圧下率が95%超ではその後のバルジングによって{100}結晶粒が成長しやすくなるが、熱間圧延鋼板を厚くしないといけなく、熱間圧延の巻取りが困難になり、操業が困難になりやすくなる。冷間圧延の圧下率はより好ましくは86%以上である。冷間圧延の圧下率が86%以上では、よりバルジングが発生しやすくなる。
【0035】
冷間圧延が終了すると、続いて中間焼鈍を行う。本実施形態の無方向性電磁鋼板を製造する際には、オーステナイトへ変態しない温度で中間焼鈍を行う。つまり、中間焼鈍の温度をAc1温度未満とすることが好ましい。このように中間焼鈍を行うことによってバルジングが生じ、{100}結晶粒が成長しやすくなる。また、中間焼鈍の時間は、5秒間~60秒間とすることが好ましい。
【0036】
中間焼鈍が終了すると、次にスキンパス圧延を行う。前述したようにバルジングが発生した状態でスキンパス圧延、焼鈍を行うと、バルジングが発生した部分を起点に{100}結晶粒が更に成長する。これはスキンパス圧延により、{100}<011>結晶粒には歪がたまりにくく、{111}<112>結晶粒には歪がたまりやすい性質があり、その後の焼鈍で歪の少ない{100}<011>結晶粒が歪の差を駆動力に{111}<112>結晶粒を蚕食するためである。歪差を駆動力にして発生するこの蚕食現象は歪誘起粒界移動(以下、SIBM)と呼ばれる。スキンパス圧延の圧下率は5%~25%とすることが好ましい。圧下率が5%未満では歪量が少なすぎるため、この後の焼鈍でSIBMが起きなくなり、{100}<011>結晶粒は大きくならない。一方、圧下率が25%超では歪量が多くなり過ぎ、{111}<112>結晶粒の中から新しい結晶粒が生まれる再結晶核生成(以下Nucleation)が発生する。このNucleationでは殆どの生まれてくる粒が{111}<112>結晶粒のため、磁気特性が悪くなる。
【0037】
スキンパス圧延を施した後、歪を開放して加工性を向上させるために仕上げ焼鈍を行う。仕上げ焼鈍も同様にオーステナイトへ変態しない温度とし、仕上げ焼鈍の温度をAc1温度未満とする。このように仕上げ焼鈍を行うことによって、{100}<011>結晶粒が{111}<112>結晶粒を蚕食し、磁気特性を向上させることができる。また、仕上げ焼鈍時に600℃~Ac1温度となる時間を1200秒以内とする。この焼鈍時間が短すぎるとスキンパスで入れた歪がほとんど残り、複雑な形状を打ち抜くときに反りが発生する。一方、焼鈍時間が長すぎると結晶粒が粗大になり過ぎ、打ち抜き時にダレが大きくなり、打ち抜き精度が出なくなる。
【0038】
仕上焼鈍が終了すると、所望の鉄鋼部材とすべく、無方向性電磁鋼板の成形加工等が行われる。そして、無方向性電磁鋼板からなる鉄鋼部材に成形加工等(例えば打ち抜き)により生じた歪等を除去すべく、鉄鋼部材に歪取焼鈍を施す。本実施形態では、Ac1温度よりも下で、SIBMが発生し、結晶粒径も粗大に出来るようにするため、歪取焼鈍の温度を例えば800℃程度とし、歪取焼鈍の時間を2時間程度とする。歪取焼鈍により、磁気特性を向上させることができる。
【0039】
本実施形態の無方向性電磁鋼板(鉄鋼部材)では、前述の製造方法のうち、主に熱間圧延工程においてAr1温度以上で仕上げ圧延をすることにより、前記(1)式の高いB50および前記(2)式の優れた異方性が得られる。更に、スキンパス圧延工程において圧下率を10%程度にすることで前記(4)式のより優れた異方性が得られる。
なお、本実施形態においてAr1温度は、1℃/秒の平均冷却速度で冷却中の鋼材(鋼板)の熱膨張変化から求める。また、本実施形態においてAc1温度は、1℃/秒の平均加熱速度で加熱中の鋼材(鋼板)の熱膨張変化から求める。
【0040】
以上のように本実施形態の無方向性電磁鋼板からなる鉄鋼部材を製造することができる。
【0041】
次に、本実施形態の無方向性電磁鋼板について、実施例を示しながら具体的に説明する。以下に示す実施例は、無方向性電磁鋼板のあくまでも一例にすぎず、無方向性電磁鋼板が下記の例に限定されるものではない。
【0042】
<<第1の実施例>>
溶鋼を鋳造することにより、以下の表1から表2に示す成分のインゴットを作製した。ここで、式左辺とは、前述の(1)式の左辺の値を表している。その後、作製したインゴットを1150℃まで加熱して熱間圧延を行い、板厚が2.5mmになるように圧延した。そして、仕上げ圧延終了後に水冷し熱間圧延鋼板を巻き取った。この時の仕上げ圧延の最終パスの段階での温度(仕上温度)は830℃であり、すべてAr1温度より大きい温度だった。尚、γ-α変態が起こらないNo.108については、仕上温度を850℃とした。また、巻取り温度については表1に示す条件にて行った。
【0043】
次に、熱間圧延鋼板において酸洗によりスケールを除去し、表1に示す冷間圧延後の圧下率で圧延した。そして、無酸化雰囲気で700℃で30秒の中間焼鈍を行った。次いで、表1に示す2回目の冷延圧延(スキンパス圧延)圧下率で圧延した。
【0044】
次に、磁気特性を調べるために2回目の冷間圧延(スキンパス圧延)の後に800℃で30秒の仕上げ焼鈍を行い、55mm角の試料を剪断加工で作成した後、800℃で2時間の歪取焼鈍を行い、磁束密度B50を測定した。測定試料は55mm角の試料を圧延方向に0°と45°の2種類の方向に採取した。そして、この2種類の試料を測定し、圧延方向に対して0°、45°、90°、135°の磁束密度B50をそれぞれB50L、B50D1、B50C、B50D2とした。
【0045】
【表1】
【0046】
【表2】
【0047】
表1から表2中の下線は、本発明の範囲から外れた条件を示している。発明例であるNo.101~No.107、No.109~No.111、No.114~No.130は、いずれも45°方向および全周平均共に磁束密度B50は良好な値であった。ただし、No.116とNo.127は適切な巻取り温度から外れたため、磁束密度B50はやや低かった。No.129とNo.130は冷間圧延の圧下率が低かったため、同等の成分、巻取り温度であるNo.118と比べて磁束密度B50はやや低かった。一方、比較例であるNo.108はSi濃度が高く、式左辺の値が0以下であり、α-γ変態しない組成であったことから、磁束密度B50はいずれも低かった。比較例であるNo.112は、スキンパス圧延率を低くしたため、{100}<011>強度を5未満であり、磁束密度B50がいずれも低かった。比較例であるNo.113は{100}<011>強度が30以上となり、本発明から外れている。No.113は熱間圧延板の厚みが7mmもあったため、操業しづらいという難点があった。
【0048】
<<第2の実施例>>
溶鋼を鋳造することにより、以下の表3に示す成分のインゴットを作製した。その後、作製したインゴットを1150℃まで加熱して熱間圧延を行い、板厚が2.5mmになるように圧延した。そして、仕上げ圧延終了後に水冷し熱間圧延鋼板を巻き取った。この時の仕上げ圧延の最終パスの段階での仕上温度は830℃であり、すべてAr1温度より大きい温度だった。
【0049】
次に、熱間圧延鋼板において酸洗によりスケールを除去し、板厚が0.385mmになるまで冷間圧延を行った。そして、無酸化雰囲気中で中間焼鈍を行い、再結晶率が85%となるように中間焼鈍の温度を制御した。次いで、板厚が0.35mmになるまで2回目の冷間圧延(スキンパス圧延)を行った。
【0050】
次に、磁気特性を調べるために2回目の冷間圧延(スキンパス圧延)の後に800℃で30秒の仕上げ焼鈍を行い、55mm角の試料を剪断加工で作成した後、800℃で2時間の歪取焼鈍を行い、磁束密度B50と鉄損W10/400を測定した。磁束密度B50に関しては第1の実施例と同様の手順で測定した。一方で鉄損W10/400は、最大磁束密度が1.0Tになるように400Hzの交流磁場をかけた時に試料に生じるエネルギーロス(W/kg)として測定した。鉄損は圧延方向に対して0°、45°、90°、135°に測定した結果の平均値とした。
【0051】
【表3】
【0052】
【表4】
【0053】
No.201~No.214は全て発明例であり、いずれも磁気特性が良好であった。特に、No.202~No.204はNo.201、No.205~No.214よりも磁束密度B50が高く、No.205~No.214はNo.201~No.204よりも鉄損W10/400が低かった。
【0054】
なお、以下の説明では、<分割コアに使用する電磁鋼板の例>の説明において記載した、圧延方向から45°傾いた方向を、必要に応じて、圧延方向からの角度45°と称し、圧延方向から135°傾いた方向を、必要に応じて、圧延方向からの角度135°と称する。その他、圧延方向からθ°傾いた方向を、必要に応じて、圧延方向となす角度がθ°の方向と称する。このように、圧延方向からθ°傾いた方向と、圧延方向となす角度がθ°の方向は、同じ意味である。
【0055】
以上の無方向性電磁鋼板は、本発明者らが新規に開発したものであり、圧延方向からの角度が45°、135°となる2つの方向において、磁気特性が最も優れる。一方、圧延方向からの角度が0°、90°の2つの方向において、磁気特性が最も劣る。ここで、当該45°、135°は、理論的な値であり、実際の製造に際しては45°、135°に一致させることが容易でない場合がある。したがって、理論的には、磁気特性が最も優れる方向が、圧延方向からの角度が45°、135°となる2つの方向であれば、実際の無方向性電磁鋼板においては、当該45°、135°は、厳密に45°、135°に一致していないものも含むものとする。このことは、当該0°、90°においても同じである。また、理論的には、磁気特性が最も優れる2つの方向の磁気特性は同じになるが、実際の製造に際しては当該2つの方向の磁気特性を同じにすることが容易でない場合がある。したがって、理論的には、磁気特性が最も優れる2つの方向の磁気特性が同じであれば、当該同じは、厳密に同じでないものも含むものとする。このことは、磁気特性が最も劣る2つの方向においても同じである。尚、時計回りの角度を正の値の角度とする。
【0056】
<ステータコア>
本発明者らは、かかる無方向性電磁鋼板の特性を有効に活用できるように、複数の分割コアでステータコアを構成することを検討し、以下に説明する実施形態を見出した。
以下、図面を参照しながら、本発明の一実施形態を説明する。以下の説明において、特に断りがなければ、電磁鋼板は、<分割コアに使用する電磁鋼板の例>の項で説明した無方向性電磁鋼板であるものとする。また、以下の説明において、長さ、方向、位置等が同じである(一致する)ことは、(厳密に)同じである(一致する)場合の他、発明の主旨を逸脱しない範囲内(例えば、製造工程において生じる誤差の範囲内)で同じである(一致する)ことも含むものとする。
尚、本実施形態では、回転電機として電動機、具体的には交流電動機、より具体的には同期電動機、より一層具体的には永久磁石界磁型電動機を一例に挙げて説明する。この種の電動機は、例えば、電気自動車などに好適に採用される。
【0057】
図1は、回転電機10の構成の一例を示す図である。図1は、回転電機を、回転電機の軸心に平行な方向から見た図(平面図)である。図1に示すX-Y-Z座標は、図における向きの関係を示すものである。
図1に示すように、回転電機10は、ステータ20と、ロータ50とを備える。ステータ20およびロータ50は、図示しないケースに収容される。また、ステータ20は、ケースに固定される。
本実施形態では、回転電機10として、ロータ50がステータ20の内側に位置するインナーロータ型を採用する。しかしながら、回転電機10として、ロータ50がステータ20の外側に位置するアウターロータ型を採用してもよい。また、本実施形態では、回転電機10は、10極12スロットの三相交流モータである。ただし、極数やスロット数、相数などは適宜変更することができる。
【0058】
ステータ20は、ステータコア21と、図示しないコイルと、を備える。
以下の説明では、ステータコア21の軸方向(ステータコア21の中心軸線Oに沿う方向(Z軸方向))を、必要に応じて軸方向と称する。また、ステータコア21の径方向(ステータコア21の中心軸線Oに直交する方向)を、必要に応じて径方向と称する。また、ステータコア21の周方向(ステータコア21の中心軸線O回りに周回する方向)を、必要に応じて周方向と称する。
【0059】
ステータコア21は、複数の分割コア30を備える。具体的に、本実施形態のステータコア21は、12個の分割コア30が周方向、すなわち中心軸線O回りに周回する方向に配列される。本実施形態の分割コア30は、それぞれ同じ形状かつ同じ大きさである。各分割コア30は、ティース部31と、コアバック部32とを有する。
【0060】
ティース部31は、ステータ20の巻線が巻き回される。ティース部31は、コアバック部32から径方向の内側に向けて突出する。すなわち、ティース部31は、径方向に沿って中心軸線Oに向けて突出する。ティース部31は、周方向に同等の間隔をあけて配置される。本実施形態では、ステータコア21の中心軸線Oを中心として角度30°の間隔になるように、12個のティース部31が設けられる。なお、ステータ20の巻線は、集中巻きされていてもよく、分布巻きされていてもよい。
コアバック部32は、円弧状に形成される。複数の分割コア30が周方向に配列されることで、コアバック部32全体で円環状に形成される。
【0061】
図2は、分割コア30の構成の一例を示す図である。図2は、ステータコア21が備える複数の分割コア30のうち1つを斜めから見た図(斜視図)である。
分割コア30は、電磁鋼板からなるコア片40が積層して構成される。各コア片40は、板状であり、それぞれ同じ形状かつ同じ大きさである。コア片40が同じ向きで板厚方向に積層されることで、分割コア30は軸方向、すなわち中心軸線Oに沿って同じ形状となる。
【0062】
図3は、コア片40の構成の一例を示す図である。図3は、分割コア30を構成する複数のコア片40のうち1つを中心軸線Oに沿って見た平面図である。図3に示すように、コア片40は、ティース41と、コアバック42とを有する。
【0063】
ティース41は、コア片40が積層されることで、分割コア30のティース部31を構成する。なお、ティース41は、コアバック42の周方向中央から径方向に延びるティース基部41aと、ティース基部41aの先端に位置する鍔部41bとを有する。分割コア30を用いて回転電機10を構成した場合に、鍔部41bはロータ50と対向する。
【0064】
コアバック42は、コア片40が積層されることで、分割コア30のコアバック部32を構成する。コアバック42は、周方向の一方端に周方向に向かって突出する凸部43aを有し、周方向の他方端に周方向に向かって凹む凹部43bを有する。凸部43aと凹部43bとは、互いに反転した形状である。複数の分割コア30を周方向に配列した場合に、凸部43aは隣接するコア片40の凹部43bと嵌まり合い、凹部43bは隣接するコア片40の凸部43aと嵌まり合う。
【0065】
コア片40では、ティース41の径方向とコアバック42の延在方向とが直交する。ティース41の径方向とは、図3の一点鎖線L1に示すように、ティース41の板面と平行であって、かつティース41の周方向の中心を通る線に沿った方向である。あるいは、ティース41の径方向とは、ティース41の板面と平行であって、かつコアバック42の外周の長さを二等分する位置Pと、コアバック42の外周の円の中心とを繋ぐ線に沿った方向である。
一方、コアバック42の延在方向とは、ティース41の径方向に対して直交方向である。すなわち、コアバック42の延在方向とは、図3の一点鎖線L2に示すように、一点鎖線L1とコアバック42の外周との位置Pにおけるコアバック42の外周の接線に沿った方向である。あるいは、コアバック42の延在方向とは、コアバック42の外周の長さを二等分する位置Pにおけるコアバック42の外周の接線に沿った方向である。
【0066】
図1に戻り、ロータ50は、ステータコア21に対して径方向の内側に配置される。ロータ50は、ロータコア51と、複数の永久磁石52と、回転軸60とを備える。
ロータコア51は、ステータコア21と同軸に配置される。ロータコア51の形状は、概ね環状(円環状)である。複数の永久磁石52は、ロータコア51に固定される。本実施形態では、ロータコア51の中心軸線Oを中心として角度36°の間隔になるように、5組(全体では10個)の永久磁石52が設けられる。ロータコア51内には、回転軸60が配置される。回転軸60は、ロータコア51に固定される。
本実施形態では、永久磁石界磁型電動機として、表面磁石型モータを採用したが、埋込磁石型モータを採用してもよい。
【0067】
ここで、コア片40を形成するには、例えば、圧延された板状の母材(フープ)である電磁鋼板を打ち抜き加工することにより形成される。電磁鋼板は、<分割コアに使用する電磁鋼板の例>の項で説明した電磁鋼板である。<分割コアに使用する電磁鋼板の例>の項で説明した電磁鋼板の、公知の無方向性電磁鋼板に対するB50、W15/50、W15/100の比率(B50比率、W15/50比率、W15/100比率)を、表5に示す。何れの電磁鋼板も、厚さは0.25[mm]である。公知の無方向性電磁鋼板として、W10/400が12.8W/kgの無方向性電磁鋼板を用いた。W10/400は、磁束密度が1.0T、周波数が400Hzのときの鉄損である。また、当該公知の無方向性電磁鋼板は、圧延方向のみで磁気特性が優れている。以下の説明では、<分割コアに使用する電磁鋼板の例>の項で説明した電磁鋼板を、必要に応じて、開発材とも称する。また、公知の無方向性電磁鋼板を、必要に応じて、従来材とも称する。
【0068】
【表5】
【0069】
ここで、B50は、磁界の強さ5000[A/m]で励磁したときの磁束密度であり、W15/100は、磁束密度が1.5[T]、周波数が100[Hz]のときの鉄損である。ここでは、磁束密度および鉄損を、JIS C 2556:2015に記載の手法で測定した。また、表5では、開発材の圧延方向からの角度毎の平均値を、従来材の圧延方向からの角度毎の平均値を1.000として規格化した値(=開発材の圧延方向からの角度毎の平均値÷従来材の圧延方向からの角度毎の平均値)を示す。このように、表5の値は、相対値(無次元量)である。
【0070】
表5より、開発材のB50は、従来材のB50よりも5.1[%]大きい。開発材のW15/50は、従来材のW15/50よりも12.0[%]小さい。開発材のW15/100は、従来材のW15/100よりも13.5[%]小さい。このように開発材は、従来材に比べ、B50が大きく鉄損が小さい。
【0071】
図4は、B50比率と、圧延方向からの角度との関係の一例を示すグラフである。図5は、W15/50比率と、圧延方向からの角度との関係の一例を示すグラフである。図6は、W15/100比率と、圧延方向からの角度との関係の一例を示すグラフである。
図7は、圧延方向RDと、磁気特性が最も優れる方向との関係の一例を示す図である。以下の説明では、磁気特性が最も優れる方向を、必要に応じて、磁化容易方向と称する。図7において、反時計回りの角度を正の値の角度とし、圧延方向RDの角度を0°とすると、磁化容易方向は、ED1、ED2になる。圧延方向RDから、圧延方向RDからの角度のうち小さい方の角度が90°になる方向(図7において破線で示す方向)までの4つの領域の磁気特性は、理論的には対称な関係を有する。
【0072】
また、図4図5図6に示すB50比率、W15/50比率、W15/100比率は、表5と同様に、従来材の圧延方向からの角度毎の平均値で規格化した値である。即ち、図4図5図6に示すB50比率、W15/50比率、W15/100比率の値は、相対値(無次元量)である。
図4に示すように、開発材では、圧延方向からの角度45°であるときのB50比率が最も大きく、圧延方向からの角度0°、90°に近付くほどB50比率は小さくなる。
一方、従来材では、圧延方向からの角度45°であるときのB50比率が最も小さい。
【0073】
図5および図6に示すように、開発材では、圧延方向からの角度45°であるときのW15/50比率、W15/100比率が最も大きく、圧延方向からの角度0°、90°に近付くほどW15/50比率、W15/100比率は小さくなる。
一方、従来材では、W15/50比率、W15/100比率は、圧延方向からの角度が45°~90°において大きくなる。
以上のように開発材では、圧延方向からの角度45°の方向(磁化容易方向ED1)、および圧延方向からの角度135°の方向(磁化容易方向ED2)における磁気特性が最も優れる。一方、圧延方向からの角度0°の方向(圧延方向RD)、および圧延方向からの90°の方向(圧延方向RDに直交する方向)における磁気特性が最も劣る。
【0074】
本発明者らは、従来材よりも磁気特性に優れた開発材からコア片を生成し、生成したコア片を積層した分割コアを備えたステータコアを製造することで、ステータコア全体の磁気特性を向上することができることに着想した。また、開発材は、磁気特性が優れた方向が圧延方向からの角度45°、135°の方向であり、磁気特性の優れた方向が直交している。一方、コア片も、ティースの径方向とコアバックの延在方向とが直交している。したがって、本発明者らは、開発材の磁気特性の優れた方向と、ティースの径方向およびコアバックの延在方向とを一致させてコア片を生成できることに着想した。
【0075】
このような着想に基づくと、コア片はティースの径方向を開発材における圧延方向からの角度45°の方向に沿わせると共に、コアバックの延在方向を開発材における圧延方向からの角度135°の方向に沿わせるように構成される。あるいは、コア片はティースの径方向を開発材における圧延方向からの角度135°の方向に沿わせると共に、コアバックの延在方向を開発材における圧延方向からの角度45°の方向に沿わせるように構成される。
【0076】
<ステータコアの製造方法>
次に、開発材からコア片40を生成する工程を含むステータコア21の製造方法について説明する。ステータコア21を製造するには主に、コア片生成工程、分割コア生成工程、ステータコア生成工程がある。
【0077】
[コア片生成工程]
コア片生成工程では、金型を用いて開発材を打ち抜いてコア片40を生成する。
図8は、開発材を打ち抜く金型を説明するための図である。図8は、開発材80の板面に対して直交する方向から見た模式図(平面図)である。なお、図8には、開発材80に対応させて、圧延方向RDと、磁気特性が優れる方向(ED1、ED2)とを表記している。
開発材80は、圧延方向RDを長手方向とする帯状である。開発材80は、搬送装置により長手方向に沿って搬送される。したがって、図8に示す例では、圧延方向RDと搬送装置による搬送される方向とが同じである。開発材80の幅方向の両端部には、パイロット孔81が長手方向に間隔を空けて設けられている。
【0078】
まず、搬送装置はパイロット孔81にパイロットを挿入して開発材80を一定距離、搬送する。次に、プレス装置は搬送された開発材80を、パンチとダイを有する金型を用いて打ち抜くことでコア片40を生成する。ここでは、プレス装置による1回の打ち抜きによって、それぞれ同じ形状かつ同じ大きさの複数のコア片40が生成される。
【0079】
プレス装置は、コア片40のティースの径方向およびコアバックの延在方向の何れもが、開発材80の磁気特性の優れた方向になるように開発材80を打ち抜く。具体的には、図8に示すように、プレス装置の金型はコア片40のティースの径方向(一点鎖線L1)が、開発材80の圧延方向からの角度45°の方向に沿うように(磁化容易方向ED1に沿うように)設定される。なお、コア片40はティースの径方向とコアバックの延在方向とが直交することから、ティースの径方向が開発材80の圧延方向からの角度45°の方向に沿うことで、コアバックの延在方向が開発材80の圧延方向からの角度135°の方向に沿うように(磁化容易方向ED2に沿うように)設定される。
【0080】
したがって、プレス装置により打ち抜かれたコア片40は、ティースの径方向が圧延方向からの角度45°の方向に沿っており、コアバックの延在方向が圧延方向からの角度135°の方向に沿っている。なお、本実施形態では、プレス装置によって打ち抜かれる全てのコア片40が同じ向きである。したがって、打ち抜かれる全てのコア片40について、ティースの径方向が圧延方向からの角度45°の方向に沿っており、コアバックの延在方向が圧延方向からの角度135°の方向に沿っている。
【0081】
なお、図8では、ティースの径方向が圧延方向からの角度45°の方向に沿い、コアバックの延在方向が圧延方向からの角度135°の方向に沿うようにコア片40を打ち抜く金型について説明したが、この場合に限られない。
例えば、図8の二点鎖線で示すコア片40A、40Bのように、ティースの径方向が圧延方向からの角度135°の方向に沿い、コアバックの延在方向が圧延方向からの角度45°の方向に沿うように打ち抜く金型であってもよい。この場合には、打ち抜かれたコア片40A、40Bは、ティースの径方向が圧延方向からの角度135°の方向に沿っており、コアバックの延在方向が圧延方向からの角度45°の方向に沿っている。
また、図8の二点鎖線で示すコア片40Cのように、図8の実線で示すコア片40を180°回転させた向きになるように打ち抜く金型であってもよい。この場合には、打ち抜かれたコア片40Cは、図8の実線で示すコア片40と同様、ティースの径方向が圧延方向からの角度45°の方向に沿っており、コアバックの延在方向が圧延方向からの角度135°の方向に沿っている。
【0082】
また、図8では、開発材80の幅方向に沿って一直線上に4つのコア片40を打ち抜く金型であるが、この場合に限られず、5つ以上あるいは3つ以下のコア片40を打ち抜く金型であってもよく、一直線に対して千鳥状に打ち抜く金型であってもよい。また、図8に示す異なる向きのコア片40、40A~40Cのうち2つ以上のコア片を一度に打ち抜く金型であってもよい。
【0083】
[分割コア生成工程]
分割コア生成工程では、コア片40を積層させて分割コア30を生成する。
具体的には、コア片生成工程においてプレス装置によって打ち抜かれた複数のコア片40が全て同じ向きになるように揃えた上で板面同士が接するように接続して積層する。複数のコア片40を接続するには、コア片40の板面同士を接着剤により接着したり、コア片40を積層方向に加締めたり、溶接したりすることで接続することができる。なお、積層されるコア片40の数は、製造するステータコア21の仕様あるいは大きさに応じて変更される。また、本実施形態のステータコア21を製造する場合には、1つのステータコア21に付き12個の分割コア30を生成する。
【0084】
ここで、コア片40は、上述したようにティースの径方向およびコアバックの延在方向の何れもが開発材80の磁気特性の優れた方向であり、分割コア30は、コア片40が全て同じ向きになるように揃えて積層されている。したがって、コア片40が積層された分割コア30は、ティース部31およびコアバック部32の磁気特性を向上させることができる。
【0085】
[ステータコア生成工程]
ステータコア生成工程では、分割コア30を周方向に配列して接続させてステータコア21を生成する。具体的には、分割コア生成工程において生成された複数の分割コア30のコアバック部32が円環状になるように配列する。このとき、隣接する分割コア30同士で各コア片40の凸部43aと凹部43bとが嵌まり合うことで位置決めされる。分割コア30を接続するには、隣接する分割コア30のコアバック部32同士を接着剤により接着したり、溶接したりすることで接続することができる。
また、本実施形態のステータコア21を製造する場合には、12個の分割コア30を周方向に配列して接続する。
以上のような工程によりステータコア21を製造することができる。なお、製造されたステータコア21を用いて、ステータ20を製造したり、回転電機10を製造したりする場合には公知の製造方法を用いることができる。
【0086】
<実施例>
次に、開発材から生成したコア片を用いた分割コアと、従来材から生成したコア片を用いた分割コアとの間での磁気特性について比較した。
まず、開発材を打ち抜いて生成したコア片を積層して分割コアの試料を生成した。このように開発材のコア片を用いた分割コアを発明例の分割コアと称する。また、開発材を打ち抜いたコア片を発明例のコア片と称する。発明例の分割コアは、上述した<ステータコアの製造方法>の項で説明した方法により生成した。なお、発明例のコア片は、ティースの径方向が開発材における圧延方向からの角度45°の方向に沿っており、コアバックの延在方向が開発材における圧延方向からの角度135°の方向に沿っている。
一方、従来材を打ち抜いて生成したコア片を積層して分割コアの試料を生成した。このように従来材のコア片を用いた分割コアを比較例の分割コアと称する。また、従来材を打ち抜いたコア片を比較例のコア片と称する。比較例の分割コアは、上述した<ステータコアの製造方法>の項で説明した方法により生成した。なお、比較例のコア片は、ティースの径方向が従来材における圧延方向からの角度0°の方向に沿っており、コアバックの延在方向が従来材における圧延方向からの角度90°の方向に沿っている。
【0087】
また、発明例の分割コアおよび比較例の分割コアは、以下のような仕様である。
ステータコアの外径:77.0[mm]、ステータコアの内径:40.0[mm]、ステータコアの高さ(積厚):45.0[mm]、コア片(電磁鋼板)の厚み:0.25[mm]、極数:10、スロット数:12
ここで、発明例の分割コアと比較例の分割コアとの間の磁気特性の比較として、B50すなわち磁界の強さ5000[A/m]で励磁したときの磁束密度の比率を表6に示す。
【0088】
【表6】
【0089】
表6に示すように、比較例の分割コアの磁束密度を1.000とした場合に、発明例の分割コアの磁束密度は1.042であった。表6より、発明例の分割コアのB50は、比較例の分割コアのB50よりも4.2[%]大きい。このように、開発材から生成したコア片を用いた分割コアは、従来材から生成したコア片を用いた分割コアに比べて磁束密度が大きく、磁気特性が向上していることが確認できた。
【0090】
このように磁束密度が大きい発明例の分割コアを周方向に配列してステータコア(発明例のステータコアと称する)を製造することにより、比較例の分割コアを周方向に配列して製造したステータコア(比較例のステータコアと称する)よりも、ステータコア全体で磁束密度を大きくでき、磁気特性を向上させることができる。
また、磁束密度が大きい発明例のステータコアを回動電機に適用することにより、比較例のステータコアを適用した回転電機よりも、トルクを向上させることができる。また、発明例のステータコアを適用した回動電機において、比較例のステータコアを適用した回動電機と同じトルクを出力する場合には、発明例のステータコアに巻き回した巻線に流す電流を少なくできることから銅損を低減することができる。
【0091】
以上のように、本実施形態によれば、分割コアを構成するコア片に磁気特性に優れた開発材の電磁鋼板を用いることで、分割コアを備えたステータコア全体の磁気特性を向上させることができる。また、本実施形態によれば、ステータコアが備える全ての分割コアの各コア片について、ティースの径方向およびコアバックの延在方向の何れもが、開発材の電磁鋼板の磁気特性の優れた方向に沿っていることから、更にステータコア全体の磁気特性を向上させることができる。なお、磁気特性が向上することでティース部の幅およびコアバック部の幅を狭めてもステータコアの磁気飽和を抑制できるために、スロットの面積を拡大させることができ巻線の占積率を向上させることができる。
なお、本実施形態では、従来材が無方向性電磁鋼板の場合に比べて開発材の優位性を説明したが、従来材が二方向電磁鋼板の場合に比べても開発材は優位性を有している。具体的には、従来材が二方向性電磁鋼板である場合に比べて開発材は製造コストを削減することができる。また、従来材が二方向性電磁鋼板である場合に比べて開発材は鋼板組織の粒径が小さいことから、コア片を積層して分割コアを構成したときの高周波条件下での鉄損を抑制することができる。
【0092】
<変形例>
上述した本実施形態では、ステータコアが備える全ての分割コアの各コア片について、ティースの径方向およびコアバックの延在方向の何れもが、開発材の電磁鋼板の磁気特性の優れた方向に沿っている場合について説明したが、この場合に限定されない。
本変形例では、ステータコアが備える複数の分割コアのうち少なくとも1つの分割コアの各コア片について、ティースの径方向およびコアバックの延在方向の何れもが、開発材の電磁鋼板の磁気特性の優れた方向に沿っていればよい場合について説明する。換言すると、本変形例のステータコアは、ティースの径方向およびコアバックの延在方向の何れもが、開発材の電磁鋼板の磁気特性の優れた方向に沿っているコア片から構成される分割コアと、ティースの径方向またはコアバックの延在方向が、開発材の電磁鋼板の磁気特性の優れた方向に沿っていないコア片から構成される分割コアとが混在する。このように種類の異なる分割コアが混在するステータコアでは、磁気特性が良好な部分とそうでない部分とが生じ、ステータコアの磁気特性の分布にばらつきが生じてしまい、鉄損は大きくなってしまう。
【0093】
本変形例では、種類の異なる分割コアが混在する場合に、径方向が磁気特性の優れた方向に沿ったティース部の幅を、径方向が磁気特性の優れた方向に沿っていないティース部の幅よりも狭くなるようにステータコアを構成する。更に、本変形例では、種類の異なる分割コアが混在する場合に、分割コアのティース部の幅と、所定の磁界の強さで励磁したときのティース部の磁束密度との積が、全ての分割コアの各ティース部で略一定になるようにステータコアを構成する。このようにステータコアを構成することで、種類の異なる分割コアが混在したステータコアであっても、磁束密度のばらつきを低減して、鉄損を抑制することができる。
【0094】
図9は、ティース部の幅を説明するための図である。図9の(a)は、径方向に沿って平行なティース部31Aの一例である。この例では、ティース部31A自身が径方向に沿って平行である。図9の(b)は、スロットが径方向に沿って平行なティース部31Bの一例である。この例では、周方向に隣り合うティース部31B同士の間に位置するスロットが径方向に沿って平行である。
ここで、ティース部の幅とは、ティース直線領域の中央の位置でのステータコアの周方向の長さとする。ティース直線領域とは、ステータコアの軸に垂直な方向に切った場合のステータコアの断面において、ステータコアの周方向におけるティース部の端部を構成する直線のうち最長の直線の領域を、ステータコアの周方向におけるティース部の2つの端部のそれぞれについて求めたものである。
【0095】
図9の(a)に示す例では、位置311、312を相互に結ぶ直線と、位置313、314を相互に結ぶ直線が、ティース直線領域である。また、図9の(a)に示す例では、ティース直線領域の中央の位置は、位置321、322である。したがって、図9の(a)に示すティース部31Aの幅は、位置321と位置322との間の距離TWである。
図9の(b)に示す例では、位置315、316を相互に結ぶ直線と、位置317、318を相互に結ぶ直線が、ティース直線領域である。また、図9の(b)に示す例では、ティース直線領域の中央の位置は、位置323、324である。したがって、図9の(b)に示すティース部31Bの幅は、位置323と位置324との間の距離TWである。
【0096】
図9の(a)では、径方向に沿って平行なティース部31Aの一例であることから、ティース部31Aの幅はティース直線領域における径方向の何れの場所によらずに一定である。
一方、図9の(b)では、スロットが径方向に沿って平行なティース部31Bの一例であることから、実際のティース部31Bの幅がティース直線領域における径方向の何れの場所に応じて異なるために、ティース部31Bの幅は、代表値として上述した位置323と位置324との間の距離TWとする。
【0097】
上述した実施形態では、<ステータコアの製造方法>の項で説明した方法により、ティース部の径方向が磁気特性の優れた方向に沿った分割コアを生成することができる。
次に、ティース部の径方向が磁気特性の優れた方向に沿っていない分割コアを生成する場合の一例について説明する。なお、上述した<ステータコアの製造方法>の項で説明した方法と同様の内容は適宜、説明を省略する。
【0098】
まず、コア片生成工程において、開発材から金型を用いて打ち抜いてコア片90を生成する。
図10は、開発材を打ち抜く金型を説明するための図である。なお、図10に示す開発材80は、図8に示す開発材80と同じ電磁鋼板である。図10には、開発材80に対応させて、圧延方向RDと、磁気特性が優れる方向(ED1、ED2)とを表記している。
【0099】
プレス装置は、コア片90のティースの径方向およびコアバックの延在方向の何れもが、開発材80の磁気特性の優れた方向にならないように開発材80を打ち抜く。具体的には、図10に示すように、プレス装置の金型はコア片90のティースの径方向(一点鎖線L1)が、開発材80の圧延方向からの角度0°の方向に沿うように設定される。なお、コア片90はティースの径方向とコアバックの延在方向とが直交することから、ティースの径方向が開発材80の圧延方向からの角度0°の方向に沿うことで、コアバックの延在方向が開発材80の圧延方向からの角度90°の方向に沿うように設定される。
【0100】
したがって、プレス装置により打ち抜かれたコア片90は、ティースの径方向が圧延方向からの角度0°の方向に沿っており、コアバックの延在方向が圧延方向からの角度90°の方向に沿っている。なお、本変形例では、プレス装置によって打ち抜かれる全てのコア片90は、ティースの径方向が同じ向きである。したがって、打ち抜かれる全てのコア片90について、ティースの径方向が圧延方向からの角度0°の方向に沿っており、コアバックの延在方向が圧延方向からの角度90°の方向に沿っている。
次に、打ち抜かれた複数のコア片90が全て同じ向きになるように揃えた上で板面同士が接するように接続して積層することで、ティース部の径方向が磁気特性の優れた方向に沿っていない分割コアを生成することができる。
【0101】
ここで、図10に示すコア片90と、図8に示すコア片40とは、互いにティースの幅が異なるように設定されている。具体的には、図10に示すコア片90のティースの幅が、図8に示すコア片40のティースの幅よりも広くなるように設定される。換言すると、図8に示すコア片40のティースの幅が、図10に示すコア片90のティースの幅よりも狭くなるように設定される。
図10に示すコア片90を積層させた分割コアと、図8に示すコア片40を積層させた分割コアとを混在させてステータコアを構成することで、径方向が磁気特性の優れた方向に沿ったティース部の幅を、径方向が磁気特性の優れた方向に沿っていないティース部の幅よりも狭くなるように構成することができる。このように、ステータコアを構成することで、ステータコア内の磁束密度のばらつきを低減することができる。
【0102】
また、本変形例では、種類の異なる分割コアが混在する場合に、分割コアのティース部の幅と、所定の磁界の強さで励磁したときのティース部の磁束密度との積が、全ての分割コアの各ティース部で略一定になるようにステータコアを構成する。
以下では、ティース部の幅とティース部の磁束密度との積が、全ての分割コアの各ティース部で略一定になるようにティース部の幅を決定する一例について説明する。
【0103】
まず、ステータコアを適用する予定の回動電機において、全てのティース部の幅が一定である場合に、所定の運転条件(例えば所定のトルク)で運転させたときのティース部の平均磁束密度を解析する。ティース部の平均磁束密度とは、各ティース部において、各場所における磁束密度の最大値を平均化した値である。平均磁束密度は、マクスウェル方程式に基づく電磁場解析(数値解析)を行ったり、製作したステータコアにおいてサーチコイルを用いて誘起電圧を実測して誘起電圧を積分したりすることにより導くことができる。
【0104】
次に、ティース部の平均磁束密度から、ティース部の平均磁界の強さH[A/m]を算出する。ティース部の平均磁界の強さは、開発材の比透磁率に基づいて算出することができる。次に、ティース部の平均磁界の強さで励磁したときの、圧延方向からの角度ごとのティース部の磁束密度B[T]を開発材Aの材料特性に基づいて算出する。なお、圧延方向からの角度ごとのティース部の磁束密度は、圧延方向からの角度における開発材のB-H特性により導くことができる。
本変形例において、図8に示すコア片40を積層させる分割コアでは、圧延方向からの角度45°におけるティース部の磁束密度を算出する。また、図10に示すコア片90を積層させる分割コアでは、圧延方向からの角度0°におけるティース部の磁束密度を算出する。なお、上述したように、開発材は、圧延方向からの角度45°であるときのB50比率が最も大きく、圧延方向からの角度0°、90°に近付くほどB50比率は小さくなる。したがって、圧延方向からの角度45°におけるティース部の磁束密度は大きく算出され、圧延方向からの角度0°におけるティース部の磁束密度は小さく算出される。
【0105】
次に、圧延方向からの角度ごとに最適なティース部の幅を決定する。具体的には、算出した圧延方向からの角度ごとのティース部の磁束密度に基づいて、ティース部の幅とティース部の磁束密度との積が各ティース部で略一定になるように、ティース部の幅を決定する。
したがって、図8に示すコア片40を積層させる分割コアではティース部の幅が狭く算出され、図10に示すコア片90を積層させる分割コアではティース部の幅が広く算出される。
【0106】
このように決定された最適なティース部の幅になるように、それぞれ図8に示すコア片40を打ち抜く金型および図10に示すコア片90を打ち抜く金型を設計する。それぞれ設計した金型ごとに開発材を打ち抜いて、コア片40およびコア片90をそれぞれ生成する。
図8に示すコア片40を積層させた分割コアと、図10に示すコア片90を積層させた分割コアとを混在させてステータコアを構成することで、分割コアのティース部の幅と、所定の磁界の強さで励磁したときのティース部の磁束密度との積が、全ての分割コアの各ティース部で略一定になるようにステータコアを構成することができる。
【0107】
このように、本変形例では、種類の異なる分割コアが混在する場合に、分割コアのティース部の幅と、所定の磁界の強さで励磁したときのティース部の磁束密度との積が、全ての分割コアの各ティース部で略一定になるようにステータコアを構成する。したがって、種類の異なる分割コアが混在したステータコアであっても、磁束密度のばらつきを低減して、鉄損を抑制することができる。なお、略一定とは、完全に一定である場合に限られず、比較例よりも鉄損を抑制できる範囲が略一定に含まれる。具体的には、略一定とは、ティース部の幅とティース部の磁束密度との積の最大値と最小値との差異が±5%の範囲内であることを意味する。例えば、ティース部の幅とティース部の磁束密度との積が1.5[T]の場合、各ティース部におけるティース部の幅とティース部の磁束密度との積が1.425[T]~1.575[T]の範囲内(±5%の範囲内)程度である。
【0108】
なお、本変形例では、所定の運転条件(例えば所定のトルク)で運転させたときのティース部の平均磁束密度を解析する場合について説明したが、所定の運転条件は適宜、選択することができる。例えば、想定される複数の運転条件のうち運転時間の比率の最も高い運転条件を所定の運転条件にしてもよい。また、決定したティースの最適な幅を、更に、複数の運転条件ごとの運転時間の比率に基づいて重み付けしてもよい。
また、本変形例では、2種類の分割コアが混在したステータコアについて説明したが、この場合に限られず、3種類以上の分割コアが混在したステータコアにも適用することができる。
【0109】
以上、本発明を種々の実施形態と共に説明したが、本発明はこれらの実施形態にのみ限定されるものではなく、本発明の範囲内で変更等が可能である。
【産業上の利用可能性】
【0110】
本発明によれば、複数の分割コアを備えたステータコアの磁気特性を向上させることができる。よって、産業上の利用可能性が高い。
【符号の説明】
【0111】
10:回転電機
21:ステータコア
30:分割コア
31:ティース部
32:コアバック部
40:コア片
41:ティース
42:コアバック
50:ロータ
51:ロータコア
52:永久磁石
60:回転軸
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10