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特許7588607カルボキシレート化合物の製造方法及びアミデート化合物の製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-14
(45)【発行日】2024-11-22
(54)【発明の名称】カルボキシレート化合物の製造方法及びアミデート化合物の製造方法
(51)【国際特許分類】
   C07D 233/90 20060101AFI20241115BHJP
【FI】
C07D233/90 C
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2021575814
(86)(22)【出願日】2021-02-03
(86)【国際出願番号】 JP2021003818
(87)【国際公開番号】W WO2021157587
(87)【国際公開日】2021-08-12
【審査請求日】2023-12-27
(31)【優先権主張番号】P 2020016172
(32)【優先日】2020-02-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000167646
【氏名又は名称】広栄化学株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000796
【氏名又は名称】弁理士法人三枝国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小野田 光貴
(72)【発明者】
【氏名】宮城 元嘉
【審査官】向井 佑
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2019/065953(WO,A1)
【文献】国際公開第2020/067431(WO,A1)
【文献】BESNARD, M. et al,On the spontaneous carboxylation of 1-butyl-3-methylimidazolium acetate by carbon dioxide,Chem. Commun.,2012年,Vol. 48,pp. 1245-1247
【文献】OHLIGSCHLAGER, A. et al.,Monitoring an ionic liquid synthesis with in-situ IR-spectroscopy - The intricacy of solvent effects,Chemical Engineering Journal,2019年,Vol. 368,pp. 649-658
【文献】GHOSH, A. et al.,Enantioselective Model Synthesis and Progress toward the Putative Structure of Yuremamine,J. Org. Chem.,2016年,Vol. 81,pp. 7945-7951
【文献】SCHMIDT, A. et al.,Imidazol-2-and-4-ylidene by decarboxylation. Studies on the cross-conjugated mesomeric betaine-alkal,Organic & Biomolecular Chemistry,2008年,Vol. 6,pp. 287-295
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07D 233/90
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記式(1)で表されるイミダゾリウムカルボン酸塩と下記式(2)で表される炭酸エステルを反応させる工程を含む下記式(3a)で表されるカルボキシレート化合物の製造方法。
式(1):
【化1】
(式中、R及びRは、同一または異なって、ヘテロ原子で置換されていても良い炭素数1~20の炭化水素基を示す。R及びRは、同一または異なって、水素原子又はヘテロ原子で置換されていても良い炭素数1~20の炭化水素基を示す。R及びRはそれらが結合している炭素原子と一緒になって環構造を形成しても良い。Rは水素原子又はヘテロ原子で置換されていても良い炭素数1~20の炭化水素基を示す。)
式(2):
【化2】
(式中、R及びR7は、同一又は異なって、炭素数1~6の炭化水素基を示す。R及びR7はそれらが結合している酸素原子と一緒になって環構造を形成しても良い。)
式(3a):
【化3】
(式中、R、R、R及びRは前記に定義される通りである。)
【請求項2】
式(2)で表される炭酸エステルが炭酸ジメチルである請求項1に記載のカルボキシレート化合物の製造方法。
【請求項3】
及びRが水素原子である請求項1又は2に記載のカルボキシレート化合物の製造方法。
【請求項4】
以下の工程1及び工程2を含む下記式(5)で表されるアミデート化合物の製造方法。
(工程1)式(1)で表されるイミダゾリウムカルボン酸塩と式(2)で表される炭酸エステルを反応させて反応物(A)を得る工程。
式(1):
【化4】
(式中、R及びRは、同一または異なって、ヘテロ原子で置換されていても良い炭素数1~20の炭化水素基を示す。R及びRは、同一または異なって水素原子又はヘテロ原子で置換されていても良い炭素数1~20の炭化水素基を示す。R及びRはそれらが結合している炭素原子と一緒になって環構造を形成しても良い。Rは水素原子又はヘテロ原子で置換されていても良い炭素数1~20の炭化水素基を示す。)
式(2):
【化5】
(式中、R及びR7は同一又は異なって炭素数1~6の炭化水素基を示す。R及びR7はそれらが結合している酸素原子と一緒になって環構造を形成しても良い。)
(工程2)工程1で得られた反応物(A)を必要に応じて加熱し、式(4)で表される含窒素化合物と、必要に応じて加熱下に反応させて、式(5)で表されるアミデート化合物を得る工程。
式(4):
【化6】
(式中、Aは、置換若しくは無置換の炭化水素基を表し、Qは-NCO基又は-NHCOを示し、Rはヘテロ原子で置換されていても良い炭化水素基を表し、nは1以上の整数である。)
式(5):
【化7】
(式中、A、R、R、R、R、nは、各々前記に定義される通りである。)
【請求項5】
反応物(A)が式(3a)で表されるカルボキシレート化合物を含む、請求項4に記載のアミデート化合物の製造方法。
式(3a):
【化8】
(式中、R、R、R及びRは前記に定義される通りである。)
【請求項6】
式(4)で表される含窒素化合物が下記式(4-1)~(4-3)のいずれかで表される含窒素化合物である請求項4又は5に記載のアミデート化合物の製造方法。
式(4-1):
【化9】
(式中、Qは前記に定義される通りである。Rは、ハロゲン原子で置換されていても良い炭化水素基又はヘテロ原子で置換されていても良い炭化水素基である。)
式(4-2):
【化10】
(式中、Qは、同一または異なって前記に定義される通りである。R10はハロゲン原子で置換されていても良い二価の炭化水素基又はヘテロ原子で置換されていても良い二価の炭化水素基である。)
式(4-3):
【化11】
(式中、Qは、同一または異なって、前記に定義される通りである。E、E及びEはそれぞれ独立してハロゲン原子で置換されていても良い炭化水素基、ヘテロ原子で置換されていても良い炭化水素基、ハロゲン原子、ジアルキルアミノ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、ニトロ基、シアノ基、スルホニル基、(アルキルアミノ)カルボニルアミノ基、(ジアルキルアミノ)カルボニルアミノ基又はイソシアネート基を示す。f及びgはそれぞれ独立して0~4の整数を示す。a及びbは各々0又は1であり、c、d及びeはそれぞれ独立して0~4の整数を示す。但し、fが0の場合、a又はbの少なくとも1つが1である。)
【請求項7】
式(2)で表される炭酸エステルが炭酸ジメチルである請求項4~6のいずれか1項に記載のアミデート化合物の製造方法。
【請求項8】
及びRが水素原子である請求項4~7のいずれか1項に記載のアミデート化合物の製造方法。
【請求項9】
が、ハロゲン原子で置換されていても良い芳香族炭化水素基又はヘテロ原子で置換されていても良い芳香族炭化水素基であり、R10が、ハロゲン原子で置換されていても良い二価の芳香族炭化水素基又はヘテロ原子で置換されていても良い二価の芳香族炭化水素基である請求項6~8のいずれか1項に記載のアミデート化合物の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カルボキシレート化合物の製造方法及びアミデート化合物の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
イミダゾリウム骨格に二酸化炭素が付加したカルボキシレート化合物は、安定なN-ヘテロサイクリックカルベン(以下、NHCカルベンという。)前駆体として知られており、ウレタン樹脂の製造用触媒として利用されている。
従来のカルボキシレート化合物の製造方法としては、NHCカルベンと二酸化炭素を反応させる方法が知られている(非特許文献1)。
イミダゾリウム骨格の2位にイソシアネートが付加したアミデート化合物もまた、ウレタン樹脂の製造用触媒として使用できることが知られている。アミデート化合物の製造方法としては、NHCカルベンである1,3-ジアルキルイミダゾール-2-イリデンとイソシアネート化合物を反応させる方法(非特許文献2)が知られている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【文献】Journal of Organic Chemistry 2009年 74巻 7935-7942頁
【文献】Struct. Chem. 2013年 24巻 2059-2068頁
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
非特許文献1、2に記載のNHCカルベンと二酸化炭素又はイソシアネートを反応させる方法では、NHCカルベンが、一般に、酸素や水に対して不安定であることから、グローブボックスのような特殊な設備を用いての、禁水、禁酸素条件下での製造が必要となるため、実用面で満足のいくものではなかった。
【0005】
本発明は、上記の背景技術に鑑みてなされたものであり、グローブボックスのような特殊な設備を用いての、禁水、禁酸素条件下での製造を必要としない、カルボキシレート化合物又はアミデート化合物の製造方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者が、上記課題を解決するために鋭意検討を行ったところ、イミダゾリウムカルボン酸塩と炭酸ジアルキル、炭酸アルキレンなどの炭酸エステルを反応させることでカルボキシレート化合物が製造できることを見出した。また、イミダゾリウムカルボン酸塩と炭酸ジアルキル、炭酸アルキレンなどの炭酸エステルを反応させ、さらにフェニルイソシアネートなどの含窒素化合物と反応させることでアミデート化合物が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0007】
すなわち、本発明は、以下の[1]~[9]を包含する。
【0008】
[1]下記式(1)で表されるイミダゾリウムカルボン酸塩と下記式(2)で表される炭酸エステルを反応させる工程を含む下記式(3a)で表されるカルボキシレート化合物の製造方法。
式(1):
【0009】
【化1】
(式中、R及びRは、同一または異なって、ヘテロ原子で置換されていても良い炭素数1~20の炭化水素基を示す。R及びRは、同一または異なって、水素原子又はヘテロ原子で置換されていても良い炭素数1~20の炭化水素基を示す。R及びRはそれらが結合している炭素原子と一緒になって環構造を形成しても良い。Rは水素原子又はヘテロ原子で置換されていても良い炭素数1~20の炭化水素基を示す。)
式(2):
【0010】
【化2】
(式中、R及びR7は同一又は異なって炭素数1~6の炭化水素基を示す。R及びR7はそれらが結合している酸素原子と一緒になって環構造を形成しても良い。)
式(3a):
【0011】
【化3】
(式中、R、R、R及びRは前記に定義される通りである。)
[2]式(2)で表される炭酸エステルが炭酸ジメチルである[1]に記載のカルボキシレート化合物の製造方法。
[3]R及びRが水素原子である[1]又は[2]に記載のカルボキシレート化合物の製造方法。
[4]以下の工程1及び工程2を含む下記式(5)で表されるアミデート化合物の製造方法。
(工程1)式(1)で表されるイミダゾリウムカルボン酸塩と式(2)で表される炭酸エステルを反応させて反応物(A)を得る工程。
式(1):
【化4】
(式中、R及びRは、同一または異なって、ヘテロ原子で置換されていても良い炭素数1~20の炭化水素基を示す。R及びRは、同一または異なって水素原子又はヘテロ原子で置換されていても良い炭素数1~20の炭化水素基を示す。R及びRはそれらが結合している炭素原子と一緒になって環構造を形成しても良い。Rは水素原子又はヘテロ原子で置換されていても良い炭素数1~20の炭化水素基を示す。)
式(2):
【化5】
(式中、R及びR7は同一又は異なって炭素数1~6の炭化水素基を示す。R及びR7はそれらが結合している酸素原子と一緒になって環構造を形成しても良い。)
(工程2)工程1で得られた反応物(A)を必要に応じて加熱し、式(4)で表される含窒素化合物と、必要に応じて加熱下に反応させて、式(5)で表されるアミデート化合物を得る工程。
式(4):
【化6】
(式中、Aは、置換若しくは無置換の炭化水素基を表し、Qは-NCO基又は-NHCOを示し、Rはヘテロ原子で置換されていても良い炭化水素基を表し、nは1以上の整数である。)
式(5):
【化7】
(式中、A、R、R、R、R、nは、各々前記に定義される通りである。)
[5]反応物(A)が式(3a)で表されるカルボキシレート化合物を含む、[4]に記載のアミデート化合物の製造方法。
式(3a):
【化8】
(式中、R、R、R及びRは前記に定義される通りである。)
[6]
式(4)で表される含窒素化合物が下記式(4-1)~(4-3)のいずれかで表される含窒素化合物である[4]又は[5]に記載のアミデート化合物の製造方法。
式(4-1):
【化9】
(式中、Qは前記に定義される通りである。Rは、ハロゲン原子で置換されていても良い炭化水素基又はヘテロ原子で置換されていても良い炭化水素基である。)
式(4-2):
【化10】
(式中、Qは、同一または異なって前記に定義される通りである。R10はハロゲン原子で置換されていても良い二価の炭化水素基又はヘテロ原子で置換されていても良い二価の炭化水素基である。)
式(4-3):
【化11】
(式中、Qは、同一または異なって、前記に定義される通りである。E、E及びEはそれぞれ独立してハロゲン原子で置換されていても良い炭化水素基、ヘテロ原子で置換されていても良い炭化水素基、ハロゲン原子、ジアルキルアミノ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、ニトロ基、シアノ基、スルホニル基、(アルキルアミノ)カルボニルアミノ基、(ジアルキルアミノ)カルボニルアミノ基又はイソシアネート基を示す。f及びgはそれぞれ独立して0~4の整数を示す。a及びbは各々0又は1であり、c、d及びeはそれぞれ独立して0~4の整数を示す。但し、fが0の場合、a又はbの少なくとも1つが1である。)
[7]
式(2)で表される炭酸エステルが炭酸ジメチルである[4]~[6]のいずれか1項に記載のアミデート化合物の製造方法。
[8]
及びRが水素原子である[4]~[7]のいずれか1項に記載のアミデート化合物の製造方法。
[9]
が、ハロゲン原子で置換されていても良い芳香族炭化水素基又はヘテロ原子で置換されていても良い芳香族炭化水素基であり、R10が、ハロゲン原子で置換されていても良い二価の芳香族炭化水素基又はヘテロ原子で置換されていても良い二価の芳香族炭化水素基である[6]~[8]のいずれか1項に記載のアミデート化合物の製造方法。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、グローブボックスのような特殊な設備を必要としない、カルボキシレート化合物の製造方法及びアミデート化合物の製造方法を提供できる。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明を実施するための形態について詳細に説明する。
【0014】
本発明において、式(3a)で表されるカルボキシレート化合物(以下、カルボキシレート化合物(3a)という。)は、式(1)で表されるイミダゾリウムカルボン酸塩(以下、イミダゾリウムカルボン酸塩(1)という。)と式(2)で表される炭酸エステル(以下、炭酸エステル(2)という。)を反応させることにより製造される。
また、式(5)で表されるアミデート化合物の製造方法は、下記工程1及び工程2を経ることで製造される。
(工程1)式(1)で表されるイミダゾリウムカルボン酸塩と式(2)で表される炭酸エステルを反応させて反応物(以下、反応物(A)という。)を得る工程。
式(1):
【0015】
【化12】
(式中、R及びRは同一または異なってヘテロ原子で置換されていても良い炭素数1~20の炭化水素基を示す。R及びRは、同一または異なって、水素原子又はヘテロ原子で置換されていても良い炭素数1~20の炭化水素基を示す。R及びRはそれらが結合している炭素原子と一緒になって環構造を形成しても良い。Rは水素原子又はヘテロ原子で置換されていても良い炭素数1~20の炭化水素基を示す。)
式(2):
【0016】
【化13】
(式中、R及びR7は同一又は異なって炭素数1~6の炭化水素基を示す。R及びR7はそれらが結合している酸素原子と一緒になって環構造を形成しても良い。)
【0017】
(工程2)工程1で得られた反応物(A)を必要に応じて加熱し、式(4)で表される含窒素化合物(以下、含窒素化合物(4)という。)を必要に応じて加熱下に反応させて、式(5)で表されるアミデート化合物(以下、アミデート化合物(5)という。)を得る工程。
【0018】
【化14】
(式中、Aはハロゲン原子で置換されていても良い炭化水素基又はヘテロ原子で置換されていても良い炭化水素基、Qは-NCO基又は-NHCOを示し、Rはヘテロ原子で置換されていても良い炭化水素基、nは1以上の整数である。)
式(5):
【0019】
【化15】
(式中、A、R、R、R、R、nは前記に定義される通りである。)
【0020】
本発明の好ましい1つの実施形態において、反応物(A)は、式(3a)で表されるカルボキシレート化合物を含む。
式(3a):
【化16】
(式中、R、R、R及びRは前記に定義される通りである。)
【0021】
式(1)中、R及びRはヘテロ原子で置換されていても良い炭素数1~20の炭化水素基を示し、好ましくはヘテロ原子で置換されていても良い炭素数1~12の炭化水素基、特に好ましくはヘテロ原子で置換されていても良い炭素数1~8の炭化水素基である。別の様態として、ヘテロ原子で置換されていても良い炭素数1~20の炭化水素基として好ましくはヘテロ原子で置換されていても良い炭素数1~20の1級又は2級アルキル基、より好ましくはヘテロ原子で置換されていても良い炭素数1~12の1級又は2級アルキル基、より好ましくはヘテロ原子で置換されていても良い炭素数1~8の1級又は2級アルキル基である。
ヘテロ原子で置換されていても良い炭素数1~20の炭化水素基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、1,1,3,3-テトラメチルブチル基、2-エチルヘキシル基、デシル基、ドデシル基、テトラデシル基、ヘキサデシル基、オクタデシル基、アリル基、ベンジル基、シクロヘキシル基、アダマンチル基、フェニル基、2,6-ジイソプロピルフェニル基、2,4,6-トリメチルフェニル基、2-メトキシエチル基、2-エトキシエチル基、2-(ジメチルアミノ)エチル基等が挙げられる。好ましくはメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、オクチル基、1,1,3,3-テトラメチルブチル基、ドデシル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、2-エチルヘキシル基、ベンジル基、フェニル基、2,4,6-トリメチルフェニル基であり、特に好ましくはメチル基、エチル基、ブチル基、オクチル基、2-エチルヘキシル基、1,1,3,3-テトラメチルブチル基、ベンジル基である。
及びRにおいて、ヘテロ原子としては、窒素原子、酸素原子、硫黄原子などが挙げられる。炭化水素基が、酸素原子、窒素原子、硫黄原子等のヘテロ原子で置換されている場合、炭化水素基は例えば、-O-、-N<、-S-、-SO-等の基を有し、炭化水素鎖がこれらの基により中断されている。炭化水素基が、酸素原子、窒素原子、硫黄原子等のヘテロ原子で置換されている場合、炭化水素基が酸素原子で置換されており、炭化水素鎖が-O-の基により中断されていることが好ましい。
【0022】
及びRは水素原子又はヘテロ原子で置換されていても良い炭素数1~20の炭化水素基を示し、好ましくは水素原子である。また、ヘテロ原子で置換されていても良い炭素数1~20の炭化水素基として、好ましくはヘテロ原子で置換されていても良い炭素数1~6の炭化水素基、特に好ましくはヘテロ原子で置換されていても良い炭素数1~4の炭化水素基である。ヘテロ原子で置換されていても良い炭素数1~20の炭化水素基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、2-エチルヘキシル基、デシル基、ドデシル基、テトラデシル基、ヘキサデシル基、オクタデシル基、アリル基、ベンジル基、シクロヘキシル基、アダマンチル基、フェニル基、2,6-ジイソプロピルフェニル基、2,4,6-トリメチルフェニル基、2-メトキシエチル基、2-エトキシエチル基、2-(ジメチルアミノ)エチル基等が挙げられる。好ましくはメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、フェニル基、2-メトキシエチル基、2-エトキシエチル基、2-(ジメチルアミノ)エチル基であり、特に好ましくはメチル基、エチル基、ブチル基、2-メトキシエチル基、2-エトキシエチル基、2-(ジメチルアミノ)エチル基である。
及びRにおいて、ヘテロ原子としては、窒素原子、酸素原子、硫黄原子などが挙げられる。炭化水素基が、酸素原子、窒素原子、硫黄原子等のヘテロ原子で置換されている場合、炭化水素基は例えば、-O-、-N<、-S-、-SO-等の基を有し、炭化水素鎖がこれらの基により中断されている。炭化水素基が、酸素原子、窒素原子、硫黄原子等のヘテロ原子で置換されている場合、炭化水素基が酸素原子で置換されており、炭化水素鎖が-O-の基により中断されていることが好ましい。
及びRはそれらが結合している炭素原子と一緒になって環構造を形成しても良い。R及びRはそれらが結合している炭素原子と一緒になって環構造を形成する場合、例えば、以下に示すようなベンゾイミダゾリウム環構造をとることが出来る。
【0023】
【化17】
(式中、R、R及びRは前記に定義される通りである。R、R、R及びRはそれぞれ水素原子又は炭素数1~20の炭化水素基を示す。
【0024】
は水素原子又はヘテロ原子で置換されていても良い炭素数1~20の炭化水素基を示し、好ましくはヘテロ原子で置換されていても良い炭素数1~20の炭化水素基である。ヘテロ原子で置換されていても良い炭素数1~20の炭化水素基として好ましくは、ヘテロ原子で置換されていても良い炭素数1~8の炭化水素基であり、特に好ましくはヘテロ原子で置換されていても良い1又は2の炭化水素基である。ヘテロ原子で置換されていても良い炭素数1~20の炭化水素基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、2-エチルヘキシル基、デシル基、ドデシル基、テトラデシル基、ヘキサデシル基、オクタデシル基、アリル基、ベンジル基、シクロヘキシル基、アダマンチル基、フェニル基、2,6-ジイソプロピルフェニル基2,4,6-トリメチルフェニル基、2-メトキシエチル基、2-エトキシエチル基、2-(ジメチルアミノ)エチル基等が挙げられる。好ましくはメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、2-エチルヘキシル基、フェニル基、特に好ましくはメチル基、エチル基である。
【0025】
においてヘテロ原子としては、窒素原子、酸素原子、硫黄原子などが挙げられる。炭化水素基が、酸素原子、窒素原子、硫黄原子等のヘテロ原子で置換されている場合、炭化水素基は例えば、-O-、-N<、-NH-、-S-、-SO-等の基を有し、炭化水素鎖がこれらの基により中断されている。炭化水素基が、酸素原子、窒素原子、硫黄原子等のヘテロ原子で置換されている場合、炭化水素基が酸素原子で置換されており、炭化水素鎖が-O-の基により中断されていることが好ましい。また、別の様態として、炭化水素基が、酸素原子、窒素原子、硫黄原子等のヘテロ原子で置換されている場合、-OH、-NH等の基を有する炭化水素基を形成していても良い。
【0026】
イミダゾリウムカルボン酸塩(1)としては、例えば、1,3-ジメチルイミダゾリウムギ酸塩、1-エチル-3-メチルイミダゾリウムギ酸塩、1-ブチル-3-メチルイミダゾリウムギ酸塩、1-メチル-3-オクチルイミダゾリウムギ酸塩、1-メチル-3-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)イミダゾリウムギ酸塩、1-メチル-3-(2-エチルヘキシル)イミダゾリウムギ酸塩、1-ドデシル-3-メチルイミダゾリウムギ酸塩、1-メチル-3-オクタデシルイミダゾリウムギ酸塩、1-ベンジル-3-メチルイミダゾリウムギ酸塩、1,3-ジブチルイミダゾリウムギ酸塩、1-ブチル-3-エチルイミダゾリウムギ酸塩、1-ブチル-3-オクチルイミダゾリウムギ酸塩、1-ブチル-3-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)イミダゾリウムギ酸塩、1-ブチル-3-(2-エチルヘキシル)イミダゾリウムギ酸塩、1-ブチル-3-ドデシルイミダゾリウムギ酸塩、1-ブチル-3-オクタデシルイミダゾリウムギ酸塩、1-ベンジル-3-ブチルイミダゾリウムギ酸塩、1,3-ジオクチルイミダゾリウムギ酸塩、1,3-ビス(1,1,3,3-テトラメチルブチル)イミダゾリウムギ酸塩、1-エチル-3-オクチルイミダゾリウムギ酸塩、1-エチル-3-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)イミダゾリウムギ酸塩、1-オクチル-3-(2-エチルヘキシル)イミダゾリウムギ酸塩、1-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)-3-(2-エチルヘキシル)イミダゾリウムギ酸塩、1-ドデシル-3-オクチルイミダゾリウムギ酸塩、1-ドデシル-3-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)イミダゾリウムギ酸塩、1-オクチル-3-オクタデシルイミダゾリウムギ酸塩、1-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)-3-オクタデシルイミダゾリウムギ酸塩、1-ベンジル-3-オクチルイミダゾリウムギ酸塩、1-ベンジル-3-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)イミダゾリウムギ酸塩、1,3-ビス(2-エチルヘキシル)イミダゾリウムギ酸塩、1-エチル-3-(2-エチルヘキシル)イミダゾリウムギ酸塩、1-(2-エチルヘキシル)-3-ドデシルイミダゾリウムギ酸塩、1-(2-エチルヘキシル)-3-オクタデシルイミダゾリウムギ酸塩、1-ベンジル-3-(2-エチルヘキシル)イミダゾリウムギ酸塩、1,3-ジドデシルイミダゾリウムギ酸塩、1-ドデシル-3-オクタデシルイミダゾリウムギ酸塩、1-ベンジル-3-ドデシルイミダゾリウムギ酸塩、1,3-ジオクタデシルイミダゾリウムギ酸塩、1-ベンジル-3-オクタデシルイミダゾリウムギ酸塩、1,3-ジベンジルイミダゾリウムギ酸塩;
【0027】
1,3-ジメチルイミダゾリウム酢酸塩、1-エチル-3-メチルイミダゾリウム酢酸塩、1-ブチル-3-メチルイミダゾリウム酢酸塩、1-メチル-3-オクチルイミダゾリウム酢酸塩、1-メチル-3-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)イミダゾリウム酢酸塩、1-メチル-3-(2-エチルヘキシル)イミダゾリウム酢酸塩、1-ドデシル-3-メチルイミダゾリウム酢酸塩、1-メチル-3-オクタデシルイミダゾリウム酢酸塩、1-ベンジル-3-メチルイミダゾリウム酢酸塩、1,3-ジブチルイミダゾリウム酢酸塩、1-ブチル-3-エチルイミダゾリウム酢酸塩、1-ブチル-3-オクチルイミダゾリウム酢酸塩、1-ブチル-3-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)イミダゾリウム酢酸塩、1-ブチル-3-(2-エチルヘキシル)イミダゾリウム酢酸塩、1-ブチル-3-ドデシルイミダゾリウム酢酸塩、1-ブチル-3-オクタデシルイミダゾリウム酢酸塩、1-ベンジル-3-ブチルイミダゾリウム酢酸塩、1,3-ジオクチルイミダゾリウム酢酸塩、1,3-ビス(1,1,3,3-テトラメチルブチル)イミダゾリウムイミダゾリウム酢酸塩、1-エチル-3-オクチルイミダゾリウム酢酸塩、1-エチル-3-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)イミダゾリウム酢酸塩、1-オクチル-3-(2-エチルヘキシル)イミダゾリウム酢酸塩、1-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)-3-(2-エチルヘキシル)イミダゾリウム酢酸塩、1-ドデシル-3-オクチルイミダゾリウム酢酸塩、1-ドデシル-3-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)イミダゾリウム酢酸塩、1-オクチル-3-オクタデシルイミダゾリウム酢酸塩、1-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)-3-オクタデシルイミダゾリウム酢酸塩、1-ベンジル-3-オクチルイミダゾリウム酢酸塩、1-ベンジル-3-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)イミダゾリウム酢酸塩、1,3-ビス(2-エチルヘキシル)イミダゾリウム酢酸塩、1-エチル-3-(2-エチルヘキシル)イミダゾリウム酢酸塩、1-(2-エチルヘキシル)-3-ドデシルイミダゾリウム酢酸塩、1-(2-エチルヘキシル)-3-オクタデシルイミダゾリウム酢酸塩、1-ベンジル-3-(2-エチルヘキシル)イミダゾリウム酢酸塩、1,3-ジドデシルイミダゾリウム酢酸塩、1-ドデシル-3-オクタデシルイミダゾリウム酢酸塩、1-ベンジル-3-ドデシルイミダゾリウム酢酸塩、1,3-ジオクタデシルイミダゾリウム酢酸塩、1-ベンジル-3-オクタデシルイミダゾリウム酢酸塩、1,3-ジベンジルイミダゾリウム酢酸塩;
【0028】
1,3-ジメチルイミダゾリウム2-エチルヘキサン酸塩、1-エチル-3-メチルイミダゾリウム2-エチルヘキサン酸塩、1-ブチル-3-メチルイミダゾリウム2-エチルヘキサン酸塩、1-メチル-3-オクチルイミダゾリウム2-エチルヘキサン酸塩、1-メチル-3-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)イミダゾリウム2-エチルヘキサン酸塩、1-メチル-3-(2-エチルヘキシル)イミダゾリウム2-エチルヘキサン酸塩、1-ドデシル-3-メチルイミダゾリウム2-エチルヘキサン酸塩、1-メチル-3-オクタデシルイミダゾリウム2-エチルヘキサン酸塩、1-ベンジル-3-メチルイミダゾリウム2-エチルヘキサン酸塩、1,3-ジブチルイミダゾリウム2-エチルヘキサン酸塩、1-ブチル-3-エチルイミダゾリウム2-エチルヘキサン酸塩、1-ブチル-3-オクチルイミダゾリウム2-エチルヘキサン酸塩、1-ブチル-3-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)イミダゾリウム2-エチルヘキサン酸塩、1-ブチル-3-(2-エチルヘキシル)イミダゾリウム2-エチルヘキサン酸塩、1-ブチル-3-ドデシルイミダゾリウム2-エチルヘキサン酸塩、1-ブチル-3-オクタデシルイミダゾリウム2-エチルヘキサン酸塩、1-ベンジル-3-ブチルイミダゾリウム2-エチルヘキサン酸塩、1,3-ジオクチルイミダゾリウム2-エチルヘキサン酸塩、1,3-ビス(1,1,3,3-テトラメチルブチル)イミダゾリウム2-エチルヘキサン酸塩、1-エチル-3-オクチルイミダゾリウム2-エチルヘキサン酸塩、1-エチル-3-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)イミダゾリウム2-エチルヘキサン酸塩、1-オクチル-3-(2-エチルヘキシル)イミダゾリウム2-エチルヘキサン酸塩、1-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)-3-(2-エチルヘキシル)イミダゾリウム2-エチルヘキサン酸塩、1-ドデシル-3-オクチルイミダゾリウム2-エチルヘキサン酸塩、1-ドデシル-3-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)イミダゾリウム2-エチルヘキサン酸塩、1-オクチル-3-オクタデシルイミダゾリウム2-エチルヘキサン酸塩、1-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)-3-オクタデシルイミダゾリウム2-エチルヘキサン酸塩、1-ベンジル-3-オクチルイミダゾリウム2-エチルヘキサン酸塩、1-ベンジル-3-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)イミダゾリウム2-エチルヘキサン酸塩、1,3-ビス(2-エチルヘキシル)イミダゾリウム2-エチルヘキサン酸塩、1-エチル-3-(2-エチルヘキシル)イミダゾリウム2-エチルヘキサン酸塩、1-(2-エチルヘキシル)-3-ドデシルイミダゾリウム2-エチルヘキサン酸塩、1-(2-エチルヘキシル)-3-オクタデシルイミダゾリウム2-エチルヘキサン酸塩、1-ベンジル-3-(2-エチルヘキシル)イミダゾリウム2-エチルヘキサン酸塩、1,3-ジドデシルイミダゾリウム2-エチルヘキサン酸塩、1-ドデシル-3-オクタデシルイミダゾリウム2-エチルヘキサン酸塩、1-ベンジル-3-ドデシルイミダゾリウム2-エチルヘキサン酸塩、1,3-ジオクタデシルイミダゾリウム2-エチルヘキサン酸塩、1-ベンジル-3-オクタデシルイミダゾリウム2-エチルヘキサン酸塩、1,3-ジベンジルイミダゾリウム2-エチルヘキサン酸塩;
【0029】
1,3-ジメチルベンゾイミダゾリウムギ酸塩、1,3-ジメチルベンゾイミダゾリウム酢酸塩3-ジメチルベンゾイミダゾリウム2-エチルヘキサン酸塩;が挙げられる。
【0030】
イミダゾリウムカルボン酸塩(1)は、好ましくは1,3-ジメチルイミダゾリウム酢酸塩、1-エチル-3-メチルイミダゾリウム酢酸塩、1-ブチル-3-メチルイミダゾリウム酢酸塩、1-メチル-3-オクチルイミダゾリウム酢酸塩、1-メチル-3-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)イミダゾリウム酢酸塩、1-メチル-3-(2-エチルヘキシル)イミダゾリウム酢酸塩、1-ドデシル-3-メチルイミダゾリウム酢酸塩、1-ベンジル-3-メチルイミダゾリウム酢酸塩、1,3-ジブチルイミダゾリウム酢酸塩、1-ブチル-3-エチルイミダゾリウム酢酸塩、1-ブチル-3-オクチルイミダゾリウム酢酸塩、1-ブチル-3-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)イミダゾリウム酢酸塩、1-ブチル-3-(2-エチルヘキシル)イミダゾリウム酢酸塩、1-ブチル-3-ドデシルイミダゾリウム酢酸塩、1-ベンジル-3-ブチルイミダゾリウム酢酸塩、1,3-ジオクチルイミダゾリウム酢酸塩、1,3-ビス(1,1,3,3-テトラメチルブチル)イミダゾリウム酢酸塩、1-エチル-3-オクチルイミダゾリウム酢酸塩、1-エチル-3-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)イミダゾリウム酢酸塩、1-オクチル-3-(2-エチルヘキシル)イミダゾリウム酢酸塩、1-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)-3-(2-エチルヘキシル)イミダゾリウム酢酸塩、1-ドデシル-3-オクチルイミダゾリウム酢酸塩、1-ドデシル-3-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)イミダゾリウム酢酸塩、1-ベンジル-3-オクチルイミダゾリウム酢酸塩、1-ベンジル-3-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)イミダゾリウム酢酸塩、1,3-ビス(2-エチルヘキシル)イミダゾリウム酢酸塩、1-エチル-3-(2-エチルヘキシル)イミダゾリウム酢酸塩、1-(2-エチルヘキシル)-3-ドデシルイミダゾリウム酢酸塩、1-ベンジル-3-(2-エチルヘキシル)イミダゾリウム酢酸塩、1,3-ジドデシルイミダゾリウム酢酸塩、1-ベンジル-3-ドデシルイミダゾリウム酢酸塩、1,3-ジベンジルイミダゾリウム酢酸塩である。
【0031】
イミダゾリウムカルボン酸塩(1)は市販のものを使用してもよい。イミダゾリウムカルボン酸塩(1)は、公知の方法により得られたものを使用してもよく、また、次に説明する方法により製造したものを使用することもできる。
【0032】
下記式(6)で表されるジカルボニル化合物、下記式(7a)で表される1級アミン化合物、下記式(7b)で表される1級アミン化合物、ホルムアルデヒド、及び下記式(8)で表されるカルボン酸を反応させて式(1)のカルボキシレート化合物を得る。
【0033】
式(6):
【0034】
【化18】
(式中、R及びRは前記に定義される通りである。)
【0035】
式(7a):
【0036】
【化19】
(式中、Rは前記に定義される通りである。)
【0037】
式(7b):
【0038】
【化20】
(式中、Rは前記に定義される通りである。)
【0039】
式(8):
【0040】
【化21】
【0041】
式中、Rは前記に定義される通りである。
【0042】
式(6)で表されるジカルボニル化合物(以下、ジカルボニル化合物(6)という。)としては、グリオキサール、ジアセチル、3,4-ヘキサンジオン、2,3-ペンタンジオン、2,3-ヘプタンジオン、5-メチル-2,3-ヘキサンジオン、3-メチル-2,3-シクロペンタンジオン、1,2-シクロヘキサンジオン、1-フェニル-1,2-プロパンジオン、ジベンゾイルが挙げられ、好ましくはグリオキサール、ジアセチルであり、より好ましくはグリオキサールである。
【0043】
式(7a)で表される1級アミン化合物(以下、1級アミン化合物(7a)という。)及び式(7b)で表される1級アミン化合物(以下、1級アミン化合物(7b)という。)としては、メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、イソプロピルアミン、ブチルアミン、tert-ブチルアミン、ヘキシルアミン、オクチルアミン、1,1,3,3-テトラメチルブチルアミン、2-エチルヘキシルアミン、ドデシルアミン、テトラデシルアミン、ヘキサデシルアミン、オクタデシルアミン、2-メトキシエチルアミン、2-エトキシエチルアミン、3-メトキシプロピルアミン、3-エトキシプロピルアミン、3-プロポキシプロピルアミン、3-イソプロポキシプロピルアミン、3-ブトキシプロピルアミン、3-(2-エチルヘキシルオキシ)プロピルアミン、アリルアミン、ベンジルアミン、アニリン、2,6-ジイソプロピルアニリン、2,4,6-トリメチルアニリンからなる群から選ばれる少なくとも1種の1級アミン化合物であり、好ましくは、メチルアミン、エチルアミン、ブチルアミン、ヘキシルアミン、オクチルアミン、(1,1,3,3-テトラメチルブチル)アミン、2-エチルヘキシルアミン、ドデシルアミン、オクタデシルアミン、ベンジルアミンであり、より好ましくは、ブチルアミン、オクチルアミン、1,1,3,3-テトラメチルブチルアミン、2-エチルヘキシルアミン、ベンジルアミンである。
【0044】
式(8)で表されるカルボン酸(以下、カルボン酸(8)という。)としては、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、ペンタン酸、ヘキサン酸、ヘプタン酸、オクタン酸、2-エチルヘキサン酸、カプリン酸、ラウリン酸、テトラデシル酸、パルミチン酸、オクタデシル酸、シクロヘキサン酸、エトキシ酢酸、プロポキシ酢酸、2-(2-メトキシエトキシ)酢酸、2-(2-エトキシエトキシ)酢酸、2-(2-プロポキシエトキシ)酢酸、3-メトキシプロパン酸、3-エトキシプロパン酸、3-(2-メトキシエトキシ)プロパン酸、3-(2-エトキシエトキシ)プロパン酸、3-(2-プロポキシエトキシ)プロパン酸、3-(3-メトキシプロポキシ)プロパン酸、3-(3-エトキシプロポキシ)プロパン酸、3-(3-プロポキシプロポキシ)プロパン酸、オレイン酸、リノール酸、ソルビン酸、安息香酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、乳酸、サリチル酸、トリフルオロ酢酸等のカルボン酸が挙げられ、好ましくはギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、ペンタン酸、ヘキサン酸、ヘプタン酸、オクタン酸、2-エチルヘキサン酸であり、より好ましくは酢酸である。
【0045】
ジカルボニル化合物(6)は水溶液やメタノール、ブタノール等のアルコール溶液をそのまま使用しても良い。
【0046】
1級アミン化合物(7a)及び1級アミン化合物(7b)(以下、1級アミン化合物(7a)及び1級アミン化合物(7b)をあわせてアミン化合物(7)という。)の使用量としては、通常、ジカルボニル化合物(6)1モルに対して、1級アミン化合物(7a)と1級アミン化合物(7b)との合計量が0.1~10モルであり、好ましくは0.5~3モルである。ジカルボニル化合物(6)1モルに対し1級アミン化合物(7)が2モル反応して1モルのイミダゾリウムカルボン酸塩(1)になるが、例えば1級アミン化合物(7)が2モル未満の場合、イミダゾリウムカルボン酸塩(1)の他にジカルボニル化合物(6)(原料)と1モルのアミン化合物(7)が反応したモノカルボニル-モノアミノ化合物が混合物として得られる。また、ジカルボニル化合物(6)1モルに対し1級アミン化合物(7)を2モル超使用した場合、目的のイミダゾリウムカルボン酸塩(1)の他に過剰量の1級アミン化合物(7)が存在することになる。これらのイミダゾリウムカルボン酸塩(1)以外の化合物が共存するイミダゾリウムカルボン酸塩(1)を用いても、カルボキシレート化合物(3a)を得ることができる。
【0047】
1級アミン化合物(7a)と1級アミン化合物(7b)の割合(モル比)は、特に限定するものではなく、1級アミン化合物(7a):1級アミン化合物(7b)=0:100~100:0の範囲である。なお、1級アミン化合物(7a):1級アミン化合物(7b)=0:100あるいは1級アミン化合物(7a):1級アミン化合物(7b)=100:0の場合、R=Rになり、1級アミン化合物(7a):1級アミン化合物(7b)=1:1の場合であっても、式(1)の化合物は、(R、R)、(R、R)、(R、R)の3種の組み合わせの混合物になり、1級アミン化合物(7a):1級アミン化合物(7b)=0:100~100:0の場合、(R、R)、(R、R)、(R、R)の3種の組み合わせの比率が異なり、これら3種は、RとRは同一でも異なっていてもよく、式(1)の化合物に包含される。
【0048】
ホルムアルデヒドは水溶液やメタノール、ブタノール等のアルコール溶液をそのまま使用してもよい。ホルムアルデヒドの使用量としては、通常、ジカルボニル化合物(6)1モルに対して、ホルムアルデヒドが0.1~10モルであり、好ましくは0.5~5.0モルである。
【0049】
カルボン酸(8)の使用量としては、通常、ジカルボニル化合物(6)1モルに対して、0.1~10モルであり、好ましくは0.5~2モル、さらに好ましくは1~1.5モルである。
【0050】
反応温度は、使用する原料、溶媒等によって最適な温度が異なるが、通常、-10℃以上であり、好ましくは0℃~100℃である。反応時間は、通常、0.1~24時間であり、好ましくは1~10時間である。
【0051】
溶媒は使用してもしなくてもよい。溶媒を使用する場合、使用する溶媒は反応に影響を与えないものであれば特に制限されない。溶媒の具体例としては、トルエン、ベンゼン、キシレン等の芳香族炭化水素溶媒、メチルシクロヘキサン、シクロヘキサン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン等の炭化水素溶媒、ジクロロメタン、クロロホルム等のハロゲン化炭化水素溶媒、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、1,4-ジオキサン等のエーテル溶媒、メタノール、エタノール等のアルコール溶媒、N,N-ジメチルホルムアミド、アセトニトリル、水等が挙げられ、好ましくは芳香族炭化水素溶媒、アルコール溶媒、水であり、特に好ましくはトルエン、水である。溶媒は必要に応じて2種以上を混合して使用することもできる。
【0052】
溶媒の使用量は、ジカルボニル化合物(6)1質量部に対して、通常50質量部以下、好ましくは0.1~10質量部である。
【0053】
必要に応じて、窒素、アルゴン、ヘリウム等の反応に影響を与えない不活性ガス雰囲気下で反応させてもよい。
【0054】
反応終了後は、有機溶媒を用いた洗浄による不純物(例えば、未反応の原料)の除去や、反応液の濃縮等により、イミダゾリウムカルボン酸塩(1)を単離することができ、必要に応じ、再結晶等の精製をしても良い。
【0055】
式(2)で表される炭酸エステル(以下、炭酸エステル(2)という。)について説明する。
【0056】
式(2)において、R及びR7は同一又は異なって炭素数1~6の炭化水素基を示し、好ましくは炭素数1~4の炭化水素基、特に好ましくはメチル基である。別の様態においては、炭素数1~6の炭化水素基として好ましくは炭素数1~6のアルキル基、より好ましくは炭素数1~4のアルキル基である。R及びR7はそれらが結合している酸素原子と一緒になって環構造を形成しても良い。
炭酸エステル(2)の具体例としては、炭酸ジメチル、炭酸ジエチル、炭酸ジプロピル、炭酸ジブチル、炭酸ジペンチル、炭酸ジヘキシル等の炭酸ジアルキル、炭酸エチレン、炭酸プロピレン、炭酸ブチレン等の炭酸アルキレンが挙げられ、好ましくは炭酸ジメチル、炭酸ジエチル、炭酸ジプロピル、炭酸ジブチルであり、特に好ましくは炭酸ジメチルである。
【0057】
カルボキシレート化合物(3a)の製造及び(工程1)において、炭酸エステル(2)の使用量は、イミダゾリウムカルボン酸塩(1)1モルに対して通常1モル以上、好ましくは1~6モルである。また、イミダゾリウムカルボン酸塩(1)中に過剰のカルボン酸や水が含まれる場合には、それらが炭酸エステル(2)と反応するため、イミダゾリウムカルボン酸塩(1)中の過剰のカルボン酸及び水の合計1モルに対して、炭酸エステル(2)を通常1モル以上、好ましくは1~6モル過剰に使用することが好ましい。
【0058】
カルボキシレート化合物(3a)の製造及び(工程1)において、溶媒は使用してもしなくてもよい。溶媒を使用する場合、使用する溶媒は反応に影響を与えないものであれば特に制限されない。溶媒の具体例としては、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、1-メトキシ-2-プロパノール、エトキシエタノール等の1価のアルコール溶媒、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール等のポリオール溶媒、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、等のグリコールモノアルキルエーテル溶媒、トルエン、ベンゼン、キシレン等の芳香族炭化水素溶媒、メチルシクロヘキサン、シクロヘキサン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン等の脂肪族炭化水素溶媒、酢酸エチルや酢酸ブチル等のエステル溶媒、メチルエチルケトン、4-メチル-2-ペンタノン等のケトン溶媒等が挙げられ、好ましくは1価のアルコール溶媒であり、特に好ましくはメタノールである。溶媒の使用量は、イミダゾリウムカルボン酸塩(1)1質量部に対して、通常50質量部以下、好ましくは10質量部以下である。
【0059】
カルボキシレート化合物(3a)の製造及び(工程1)において、反応温度は、使用する原料、溶媒等によって最適な温度が異なることができ、通常、室温以上であり、好ましくは20~200℃である。反応時間は、通常、0.1~48時間であり、好ましくは1~24時間である。なお、本明細書において室温は20℃程度を意味する。
【0060】
カルボキシレート化合物(3a)の製造及び(工程1)において、必要に応じて、窒素、アルゴン、ヘリウム等の反応に影響を与えない不活性ガス雰囲気下で反応させてもよい。
【0061】
カルボキシレート化合物(3a)の製造において、反応終了後は、反応液を濃縮し、溶媒を除去してカルボキシレート化合物(3a)とすることができる。必要に応じ、再結晶やカラム分取等の精製をしても良い。
また、カルボキシレート化合物(3a)に式(4)で表される含窒素化合物を必要に応じて加熱下に反応させることで、式(5)で表されるアミデート化合物を製造できる。この方法により式(5)で表されるアミデート化合物を製造する場合、後述する(工程2)と同様の方法をとることができる。
(工程1)により得られた反応物(A)は、(工程2)において、そのまま原料である反応物(A)として使用してもよい。また、(工程1)において、得られた反応物(A)中に炭酸エステル(2)や溶媒が残存している場合、反応液を濃縮して炭酸エステル(2)や溶媒を除去したうえで反応物(A)として(工程2)の原料とすることもできる。
【0062】
<工程2>
工程1で得られた反応物(A)を必要に応じて加熱し、式(4)で表される含窒素化合物と、必要に応じて加熱下に反応させて、式(5)で表されるアミデート化合物を製造できる。加熱下とは、40℃から溶媒の沸騰する温度、例えば40~200℃を意味する。工程2の反応は室温で行ってもよく、加熱下に行ってもよい。
ここで、上述のとおり、本発明の好ましい1つの実施形態において、反応物(A)はカルボキシレート化合物(3a)を含むものであるが、反応物(A)はカルボキシレート化合物(3a)以外に、下記式(3b)~(3f)で表される化合物(それぞれ、以下、化合物(3b)、化合物(3c)、化合物(3d)、化合物(3e)、化合物(3f)という)を含み得る(反応式1)。但し、化合物(3b)は、式(3a)においてRが水素原子である場合、化合物(3c)は式(3a)においてRが水素原子である場合において反応物(A)中に含みうる。
【0063】
(反応式1)
【0064】
【化22】
(式中、R~R、R、Rは、前記に定義される通りである。)
【0065】
工程1における反応の中間体として、式(3d)で表される化合物又は/及び式(3e)で表される化合物が生成し、これらからカルボキシレート化合物(3a)又は/及び式(3f)で表される化合物が生成する。化合物(3b)は、式(3a)においてRが水素原子である場合、式(3c)で表される化合物はRが水素原子である場合において、カルボキシレート化合物(3a)との平衡により生じうる。
【0066】
化合物(3b)及び化合物(3c)はカルボキシレート化合物(3a)と平衡であるため、工程2においてカルボキシレート化合物(3a)が消費されると平衡が偏り、化合物(3b)、化合物(3c)はカルボキシレート化合物(3a)に変わってゆく。このため、化合物(3b)及び化合物(3c)は、カルボキシレート化合物(3a)と等価として扱えると推察される。
【0067】
化合物(3d)及び化合物(3e)は、下記反応式2で示すように、カルボキシレート化合物(3a)と同様に式(4a)で表される化合物と反応し、アミデート化合物(5)が製造できる。このため、カルボキシレート化合物(3a)と等価として扱える。また、下記反応式中の式(4b’)又は(4b’’)で表される化合物が副生する。式(4b’)又は(4b’’)で表される化合物は熱により下記反応式で示すように対応する式(9a)又は(9b)で表されるアルコール化合物及び式(4a)で表されるイソシアネート化合物に分解される。分解により生じた式(4a)で表されるイソシアネート化合物は反応物(A)に含まれるカルボキシレート化合物(3a)、化合物(3b)~(3f)との反応に消費される。下記反応式2においては、式(4)中、Qが-NCO基である場合を示しているが、Qが-NHCOである場合も同様である。
【0068】
(反応式2)
【0069】
【化23】
【0070】
(式中、R~R、R~R、A、nは前記に定義される通りである。)
また、反応物(A)において、化合物(3f)は脱水によりカルボキシレート化合物(3a)に変換され得る。この脱水反応は常温常圧において容易に起こり得る反応と考えられる。ゆえにカルボキシレート化合物(3a)と等価として扱えると推察される。
【0071】
式(4)で表される含窒素化合物(以下、含窒素化合物(4)という。)について説明する。
【0072】
式(4)中、Aは置換若しくは無置換の炭化水素基であり、好ましくは置換又は無置換の炭素数1~100の炭化水素基、より好ましくはハロゲン原子で置換されていても良い炭化水素基又はヘテロ原子で置換されていても良い炭化水素基、特に好ましくはハロゲン原子で置換されていても良い炭素数1~30の炭化水素基又はヘテロ原子で置換されていても良い炭素数1~30の炭化水素基である。Aで表される置換若しくは無置換の炭化水素基における「炭化水素基」としては、アリール基、アルキル基、アリールアルキル基が挙げられ、具体的には、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、n-ペンチル基、n-ヘキシル基、n-ヘプチル基、n-オクチル基、n-ノニル基、n-デシル基、n-ドデシル基、n-オクタデシル基、シクロヘキシル基等の直鎖、分岐鎖又は環状のアルキル基、フェニル基、2-メチルフェニル基、2,6-ジメチルフェニル基、2,4-ジメチルフェニル基、2,3-ジメチルフェニル基、ナフチル基等のアリール基、フェニルメチル基、フェニルエチル基、1-フェニルプロピル基、2-フェニルプロピル基、1-フェニルブチル基、2-フェニルブチル基、ナフチルメチル基、ナフチルエチル基等のアリールアルキル基、前述のアルキル基とアリール基が適宜組み合わされてなるアリールアルキル基等が挙げられる。
【0073】
Aが置換基を有する炭化水素基である場合、置換基の例としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等のハロゲン原子、ジメチルアミノ基等のジアルキルアミノ基、メトキシ基、エトキシ基等のアルコキシ基、ベンジルオキシ基等のアリールオキシ基、トリフルオロメチル基等のハロゲン化アルキル基、ニトロ基、シアノ基、スルホニル基、(アルキルアミノ)カルボニルアミノ基、(ジアルキルアミノ)カルボニルアミノ基又はイソシアネート基等が挙げられる。また、Aの炭化水素基が、酸素原子、窒素原子、硫黄原子等のヘテロ原子で置換されていても良い。Aの炭化水素基が、酸素原子、窒素原子、硫黄原子等のヘテロ原子で置換されている場合、炭化水素基は例えば、-O-、-N<、-S-、-SO-等の基を有し、炭化水素鎖がこれらの基により中断されている。
【0074】
上記ジアルキルアミノ基、アルコキシ基、ハロゲン化アルキル基、(アルキルアミノ)カルボニルアミノ基及び(ジアルキルアミノ)カルボニルアミノ基のアルキル部分としては、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、n-ペンチル等の直鎖状又は分枝鎖状の炭素数1~6のアルキル基が挙げられる。アルキル基の炭素数は、好ましくは炭素数1~3、より好ましくは炭素数1又は2である。
【0075】
上記アリールオキシ基のアリール部分としては、例えば、炭素数6~10のアリール基が挙げられる。具体的には、例えばフェニル基、ナフチル基などが挙げられる。
【0076】
置換基の数は1~5個、好ましくは1~3個、より好ましくは1又は2個とすることができる。
【0077】
式(4)中、nは1以上の整数であり、好ましくは1~6、より好ましくは1~4、特に好ましくは1又は2である。
【0078】
式(4)中、Qは-NCO基又は-NHCO基である。Rはヘテロ原子を含んでいてもよい炭化水素基であり、好ましくはヘテロ原子を含んでいてもよい炭素数1~50の炭化水素基、より好ましくはヘテロ原子を含んでいてもよい炭素数1~30の炭化水素基、特に好ましくはヘテロ原子を含んでいてもよい炭素数1~8の炭化水素基である。ヘテロ原子を含んでいてもよい炭化水素基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、デシル基、ドデシル基、アリル基、ベンジル基、シクロヘキシル基、アダマンチル基、フェニル基、2,6-ジイソプロピルフェニル基、2,4,6-トリメチルフェニル基、2-メトキシエチル基、2-エトキシエチル基、2-(ジメチルアミノ)エチル基等が挙げられる。好ましくはメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、tert-ブチル基、オクチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、2,4,6-トリメチルフェニル基であり、より好ましくはメチル基、エチル基、イソプロピル基、tert-ブチル基、オクチル基、フェニル基、特に好ましくはメチル基、イソプロピル基、tert-ブチル基、オクチル基、フェニル基である。
【0079】
本発明において、含窒素化合物(4)としては式(4-1)、(4-2)又は(4-3)のいずれかで表される含窒素化合物が好ましく、特に好ましくは式(4-1)で表される含窒素化合物である。
【0080】
式(4-1):
【0081】
【化24】
(式中、Qは前記に定義される通りである。Rはハロゲン原子で置換されていても良い炭化水素基又はヘテロ原子で置換されていても良い炭化水素基である。)
式(4-2):
【0082】
【化25】
(式中、Qは前記に定義される通りである。R10はハロゲン原子で置換されていても良い二価の炭化水素基又はヘテロ原子で置換されていても良い二価の炭化水素基である。)
式(4-3):
【0083】
【化26】
(式中、Qは、同一または異なって、前記に定義される通りである。E、E及びEはそれぞれ独立してハロゲン原子で置換されていても良い炭化水素基、ヘテロ原子で置換されていても良い炭化水素基、ハロゲン原子、ジアルキルアミノ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、ニトロ基、シアノ基、スルホニル基、(アルキルアミノ)カルボニルアミノ基、(ジアルキルアミノ)カルボニルアミノ基又はイソシアネート基を示す。f及びgはそれぞれ独立して0~4の整数を示す。a及びbは各々0又は1であり、c、d及びeはそれぞれ独立して0~4の整数を示す。但し、fが0の場合、a又はbの少なくとも1つが1である。)
【0084】
含窒素化合物(4)は、Qが-NCO基である場合、下記式(4a)で表されるイソシアネート化合物(以下、イソシアネート化合物(4a)という。)であり、Qが-NHCO基である場合、下記式(4b)で表されるウレタン化合物(以下、ウレタン化合物(4b)という。)である。
【0085】
式(4a):
【0086】
【化27】
(式中、A、nは前記に定義される通りである。)
【0087】
式(4b):
【0088】
【化28】
(式中、A、n、Rは前記に定義される通りである。)
【0089】
式(4-1)、(4-2)及び(4-3)において、Qが-NCO基である場合、式(4-1)、(4-2)及び(4-3)で表される含窒素化合物はそれぞれ式(4a-1)、(4a-2)及び(4a-3)で表される構造となる。
【0090】
式(4a-1):
【0091】
【化29】
【0092】
(式中、Rは前記に定義される通りである。)
【0093】
式(4a-2):
【0094】
【化30】
【0095】
(式中、R10は前記に定義される通りである。)
【0096】
式(4a-3):
【0097】
【化31】
【0098】
(式中、E、E、E、a、b、c、d、e、f、gは前記に定義される通りである。)
【0099】
本発明においてイソシアネート化合物(4a)としてはポリメチレンポリフェニルポリイソシアネート(ポリメリックMDI)等の重合物を使用することもできる。
【0100】
式(4a-1)中、Rはハロゲン原子で置換されていても良い炭化水素基又はヘテロ原子で置換されていても良い炭化水素基であり、好ましくはハロゲン原子で置換されていても良い炭素数1~50の炭化水素基又はヘテロ原子で置換されていても良い炭素数1~50の炭化水素基、より好ましくはハロゲン原子で置換されていても良い炭素数1~30の炭化水素基又はヘテロ原子で置換されていても良い炭素数1~30の炭化水素基、特に好ましくはハロゲン原子で置換されていても良い炭素数1~12の炭化水素基又はヘテロ原子で置換されていても良い炭素数1~12の炭化水素基である。また、炭化水素基として好ましくは、アリール基、アリールアルキル基などの芳香族炭化水素基である。
で表されるハロゲン原子で置換されていても良い炭化水素基又はヘテロ原子で置換されていても良い炭化水素基としては、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、へプチル基、デシル基、ドデシル基、オクタデシル基、シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、フェニル基、クロロフェニル基、ナフチル基、ベンジル基、フェネチル基、トリル基、アリル基等が挙げられ、好ましくはベンジル基、フェニル基である。
【0101】
で表されるハロゲン原子で置換されていても良い炭化水素基又はヘテロ原子で置換されていても良い炭化水素基のハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられる。また、Rの炭化水素基が、酸素原子、窒素原子、硫黄原子等のヘテロ原子で置換されていても良い。Rの炭化水素基が、酸素原子、窒素原子、硫黄原子等のヘテロ原子で置換されている場合、炭化水素基は例えば、-O-、-N<、-S-、-SO-等の基を有し、炭化水素鎖がこれらの基により中断されている。
【0102】
式(4a-2)中、R10はハロゲン原子で置換されていても良い二価の炭化水素基又はヘテロ原子で置換されていても良い二価の炭化水素基であり、好ましくはハロゲン原子で置換されていても良い炭素数1~100の二価の炭化水素基又はヘテロ原子で置換されていても良い炭素数1~100の二価の炭化水素基、より好ましくはハロゲン原子で置換されていても良い炭素数1~50の二価の炭化水素基又はヘテロ原子で置換されていても良い炭素数1~50の二価の炭化水素基、特に好ましくはハロゲン原子で置換されていても良い炭素数1~30の二価の炭化水素基又はヘテロ原子で置換されていても良い炭素数1~30の二価の炭化水素基である。また、炭化水素基として好ましくは、アリーレン基、アリールアルキレン基、アリーレンアルキレン基などの二価の芳香族炭化水素基である。ハロゲン原子で置換されていても良い二価の炭化水素基又はヘテロ原子で置換されていても良い二価の炭化水素基としては、具体的には、メチレン基、ジメチルメチレン基、エチレン基、n-プロピレン基、n-ブチレン基、n-ペンチレン基、n-ヘキシレン基、n-ヘプチレン基、n-オクチレン基、n-ノニレン基、n-デシレン基、n-ドデシレン基、n-オクタデシレン基、シクロヘキシレン基等のアルキレン基、フェニレン基、2-メチルフェニレン基、2,6-ジメチルフェニレン基、2,4-ジメチルフェニレン基、2,3-ジメチルフェニレン基、ナフチレン基等のアリーレン基、フェニルメチレン基、フェニルエチレン基、1-フェニルプロピレン基、2-フェニルプロピレン基、1-フェニルブチレン基、2-フェニルブチレン基、ナフチルメチレン基、ナフチルエチレン基等のアリールアルキレン基、前述のアルキレン基とアリーレン基が適宜組み合わされて成るアリーレンアルキレン基等が挙げられる。これらの2価の炭化水素基が反復して又は組み合わされて、1つの二価の炭化水素基を構成していても良い。
【0103】
10で表される二価の炭化水素基がハロゲン原子で置換される場合は、二価の炭化水素基中の炭素原子に結合している水素原子の一部又は全部がハロゲン原子で置換されていてもよい。ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられる。ハロゲン原子で置換された二価の炭化水素基としては、具体的には、1-クロロ‐3,5-フェニレン基、2-クロロ-1,4-フェニレン基、1-ブロモ-3,5-フェニレン基、1,4-ジクロロ-3,5-フェニレン基、1,2,4,5-テトラクロロ-3,6-フェニレン基、1-クロロ-4,5-ナフチレン基等が挙げられる。また、R10の二価の炭化水素基が、酸素原子、窒素原子、硫黄原子等のヘテロ原子で置換されていても良い。R10の二価の炭化水素基が、酸素原子、窒素原子、硫黄原子等のヘテロ原子で置換されている場合、炭化水素基は例えば、-O-、-N<、-S-、-SO-等の基を有し、炭化水素鎖がこれらの基により中断されている。
【0104】
式(4a-3)中、E、E及びEは、それぞれ独立してハロゲン原子で置換されていても良い炭化水素基、ヘテロ原子で置換されていても良い炭化水素基、ハロゲン原子、ジアルキルアミノ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、ニトロ基、シアノ基、スルホニル基、(アルキルアミノ)カルボニルアミノ基、(ジアルキルアミノ)カルボニルアミノ基又はイソシアネート基であり、好ましくは、ハロゲン原子で置換されていても良い炭化水素基又はヘテロ原子で置換されていても良い炭化水素基、(アルキルアミノ)カルボニルアミノ基、(ジアルキルアミノ)カルボニルアミノ基、イソシアネート基であり、より好ましくは(アルキルアミノ)カルボニルアミノ基、(ジアルキルアミノ)カルボニルアミノ基である。
それぞれ独立してハロゲン原子で置換されていても良い炭化水素基又はヘテロ原子で置換されていても良い炭化水素基として、好ましくはハロゲン原子で置換されていても良い炭素数1~50の炭化水素基又はヘテロ原子で置換されていても良い炭素数1~50の炭化水素基、より好ましくはハロゲン原子で置換されていても良い炭素数1~30の炭化水素基又はヘテロ原子で置換されていても良い炭素数1~30の炭化水素基、特に好ましくはハロゲン原子で置換されていても良い炭素数1~12の炭化水素基又はヘテロ原子で置換されていても良い炭素数1~12の炭化水素基である。
、E及びEは、それぞれ独立してハロゲン原子である場合、ハロゲン原子としてはフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられる。
【0105】
、E又はEで表されるハロゲン原子で置換されていても良い炭化水素基のハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられる。また、E、E又はEの炭化水素基が、酸素原子、窒素原子、硫黄原子等のヘテロ原子で置換されていても良い。E、E又はEの炭化水素基が、酸素原子、窒素原子、硫黄原子等のヘテロ原子で置換されている場合、炭化水素基は例えば、-O-、-N<、-S-、-SO-等の基を有し、炭化水素鎖がこれらの基により中断されている。
【0106】
上記ジアルキルアミノ基、アルコキシ基、(アルキルアミノ)カルボニルアミノ基及び(ジアルキルアミノ)カルボニルアミノ基のアルキル部分としては、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、n-ペンチル等の直鎖状又は分枝鎖状の炭素数1~6のアルキル基が挙げられる。アルキル基の炭素数は、好ましくは炭素数1~3、より好ましくは炭素数1又は2である。
【0107】
上記アリールオキシ基のアリール部分としては、例えば、炭素数6~10のアリール基が挙げられる。具体的には、例えばフェニル基、ナフチル基などが挙げられる。
【0108】
f及びgはそれぞれ独立して0~4の整数を示す。a及びbは各々0又は1であり、c、d及びeはそれぞれ独立して0~4の整数を示す。但し、fが0の場合、a又はbの少なくとも1つは1である。
【0109】
以下にイソシアネート化合物(4a)の具体例を示す。ただし、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0110】
【化32】
【0111】
【化33】
【0112】
【化34】
【0113】
(式中、mは前記に定義される通りである。)
イソシアネート化合物(4a)として好ましくは式(4a-1-1)、式(4a-2-8)、式(4a-2-15)、式(4a-3-1)で表される化合物である。
【0114】
イソシアネート化合物(4a)は1種単独であっても、2種以上の混合物であっても良い。
【0115】
式(4-1)、(4-2)、(4-3)においてQが-NHCO基である場合、式(4-1)、(4-2)、(4-3)で表される含窒素化合物はそれぞれ式(4b-1)、(4b-2)、(4b-3)で表される構造となる。
【0116】
式(4b-1):
【0117】
【化35】
【0118】
(式中、R、Rは前記に定義される通りである。)
【0119】
式(4b-2):
【0120】
【化36】
【0121】
(式中、R、R10は前記に定義される通りである。)
【0122】
式(4b-3):
【0123】
【化37】
【0124】
(式中、R,E、E、E、a、b、c、d、e、f及びgは前記に定義される通りである。)
【0125】
以下にウレタン化合物(4b)の具体例を示す。ただし、本発明はこれらに限定されるものではない。下記具体例中、Etはエチル基、Buはn-ブチル基、t-Buはt-ブチル基、Octはn-オクチル基、Phはフェニル基を示す。
【0126】
【化38】
【化39】
【0127】
ウレタン化合物(4b)として好ましくは式(4b-1-1)~式(4b-1-7)、式(4b-2-8)~、式(4b-2-21)、式(4b-3-1)~式(4b-3-7)で表される化合物であり、特に好ましくは(4b-1-1)、式(4b-2-8)、式(4b-3-1)で表される化合物である。
【0128】
原料として用いられるウレタン化合物(4b)は、市販のものを使用しても良く、公知の方法により製造しても良い。
【0129】
式(5)で表されるアミデート化合物(以下、アミデート化合物(5)という。)について説明する。
【0130】
式(5)中、式中、A、R、R、R、R、nは、各々前記に定義される通りである。
【0131】
アミデート化合物(5)としては式(5-1)、式(5-2)又は式(5-3)のいずれかで表されるアミデート化合物が好ましい。
式(5-1):
【0132】
【化40】
(式中、R、R、R、R及びRは前記に定義される通りである。)
式(5-2):
【0133】
【化41】
(式中、R、R、R、R及びR10は前記に定義される通りである。)
式(5-3):
【0134】
【化42】
(式中、R、R、R、R、E、E、E、a、b、c、d、e、f及びgは前記に定義される通りである。)
【0135】
式(5-1)中、R、R、R、R及びRは前記に定義される通りである。
【0136】
式(5-2)中、R、R、R、R及びR10は前記に定義される通りである。
【0137】
式(5-3)中、R、R、R、R、E、E、E、a、b、c、d、e、f及びgは前記に定義される通りである。
【0138】
次に、アミデート化合物(5)の具体例を示す。ただし、本発明はこれらに限定されるものではない。下記具体例中、Etはエチル基、Prはn-プロピル基、Buはn-ブチル基、Octはn-オクチル基、t-Octは1,1,3,3-テトラメチルブチル基を示す。
【0139】
【化43】
【化44】
【化45】
【0140】
アミデート化合物(5)として好ましくは式(5-1-1)~式(5-1-8)、式(5-2-9)~式(5-2-24)、式(5-3-1)~式(5-3-8)で表される化合物であり、特に好ましくは式(5-1-4)、式(5-1-5)、式(5-1-8)式(5-2-13)、式(5-3-5)で表される化合物である。
【0141】
アミデート化合物(5)が、光学異性体、立体異性体、位置異性体等の異性体を有する場合には、いずれの異性体であるか明記がない限り、いずれの異性体の混合物もアミデート化合物(5)に包含される。例えば、アミデート化合物(5)に光学異性体が存在する場合、ラセミ体から分割されたその光学異性体もアミデート化合物(5)に包含され得る。これらの異性体は、従来から知られている分離手法(濃縮、溶媒抽出、カラムクロマトグラフィー、再結晶等)によりそれぞれを単一化合物として得ることができる。
【0142】
工程2において、通常、含窒素化合物(4)の使用量としては、反応物(A)中に含まれるカルボキシレート化合物(3a)及び化合物(3b)~(3f)の合計1モルに対して含窒素化合物(4)中のQで表される基を0.8モル以上、好ましくは1~3モルとなる量を反応させる。このとき、反応物(A)中に含まれるカルボキシレート化合物(3a)及び化合物(3b)~(3f)の合計としては、工程1で使用したイミダゾリウムカルボン酸塩(1)の量から算出した量とすることもできる。
反応物(A)中にカルボキシレート化合物(3a)が含まれる場合、カルボキシレート化合物(3a)1モルに対して含窒素化合物(4)中のQで表される基を0.8モル以上、好ましくは1~3モルとなる量を反応させる。
このとき、反応物(A)に化合物(3b)~(3f)が含まれる場合、反応物化合物(3b)~化合物(3f)もカルボキシレート化合物(3a)であるとして含窒素化合物(4)の使用量を決定すればよい。
【0143】
工程2の反応温度は、特に制限されないが、通常-10℃以上、好ましくは0~200℃、より好ましくは20~150℃であり、反応時間は、通常、0.1~24時間であり、好ましくは1~10時間である。
【0144】
溶媒を使用する場合、溶媒としては、例えば、トルエン、ベンゼン、キシレン等の芳香族炭化水素溶媒、メチルシクロヘキサン、シクロヘキサン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン等の脂肪族炭化水素溶媒、ブチルクロライド、1,2-ジクロロエタン等のハロゲン化炭化水素溶媒、クロロベンゼン等のハロゲン化芳香族炭化水素溶媒、酢酸エチルや酢酸ブチル等のエステル溶媒、メチルエチルケトン、4-メチル-2-ペンタノン等のケトン溶媒等が挙げられ、好ましくは芳香族炭化水素溶媒とハロゲン化芳香族炭化水素溶媒、エステル溶媒、ケトン溶媒であり、特に好ましくはトルエン、キシレン、クロロベンゼン、酢酸ブチル、4-メチル-2-ペンタノンである。溶媒は必要に応じて2種以上を混合して使用することもできる。また、反応物(A)に、工程1で使用した溶媒が含まれている場合、この溶媒を工程2でも溶媒として使用することが出来るが、さらに上記の溶媒を追加してもよい。この場合、工程1と異なる溶媒を使用してもよい。
【0145】
溶媒を使用する場合、溶媒の使用量は、カルボキシレート化合物(3a)及び化合物(3b)~化合物(3f)の総質量1質量部に対して、通常50質量部以下、好ましくは0.1質量部以上35質量部以下である。別の様態として、溶媒の使用量として好ましくは工程1における反応物(A)中の溶媒以外の成分の質量1質量部に対して、通常50質量部以下、好ましくは0.1質量部以上35質量部以下である。
ここで、反応物(A)中の溶媒以外の成分とは、工程1で得られた反応液から溶媒を除去した濃縮残分を示す。濃縮残分は、実際に反応液から濃縮又はろ過により溶媒を留去することで、濃縮残分重量を求めても良いし、H-NMR分析やGC分析により、反応液中に含まれる溶媒重量を算出することで、反応液重量から算出した溶媒重量を引いて求めても良い。
【0146】
必要に応じて、窒素、アルゴン、ヘリウム等の反応に影響を与えない不活性ガス雰囲気下で反応させてもよい。
【0147】
反応終了後は、反応液を濃縮又はろ過により溶媒を除去することにより、アミデート化合物(5)を得ることができ、必要に応じ、再結晶やカラム分取等の精製をしても良い。
【実施例
【0148】
以下、本発明を実施例に基づいて具体的に説明するが、本発明はなんらこれらに限定されるものではない。なお、実施例中、H-NMRはブルカー株式会社製AV400を使用し、400MHzで測定した。また、実施例中、wt%は質量パーセント濃度を示す。
【0149】
製造例1 [DOI][OAc]の合成
【化46】
窒素置換した3Lの4つ口反応器に、オクチルアミン1049.9g(8.12mol)を仕込み、80℃まで昇温した。その後、酢酸366.0g(6.09mol)と42wt%ホルマリン水溶液290.4g(ホルムアルデヒド純分4.06mol)の混合液を1時間かけて滴下した。滴下後、反応器中の混合液を30分間撹拌し、40℃に冷却した。冷却した混合液に41wt%グリオキサール水溶液581.0g(グリオキサール純分4.06mol)を30分かけて滴下し、5時間攪拌した。攪拌後、得られた反応溶液を減圧濃縮し、上記式で表される[DOI][OAc]を1582.0g得た。得られた[DOI][OAc]に、内部標準物質としてテトラリンを加えてH-NMR分析した結果、[DOI][OAc]は1224.9g(3.47mol,収率85.5%)含まれることが分かった。
[DOI][OAc]のH-NMR分析結果を以下に示す。
H-NMR(DMSO-d)δ(ppm)=9.32(s,1H)、7.80(s,2H)、4.17(t,J=9.6Hz,4H)、1.78(m,4H)、1.63(s,3H)、1.23(m,20H)、0.85(t,J=6.4Hz,6H)
【0150】
製造例2[DBI][OAc]の合成
【化47】
窒素置換した200mLの4つ口反応器に、ブチルアミン40g(0.55mol)を仕込み、0℃まで冷却した。その後、酢酸24.6g(0.41mol)と40wt%ホルマリン水溶液20.8g(0.28mol)の混合液を2時間かけて滴下した。滴下後、反応器中の混合液を30分間撹拌した。混合液に40wt%グリオキサール水溶液39.6g(0.27mol)を30分かけて滴下し、滴下後、16時間攪拌した。攪拌後、得られた反応溶液に、ヘプタン100mLを加えて分液し、ヘプタン層を除去する操作を2回行い、褐色溶液を得た。得られた褐色溶液を減圧濃縮し、上記式で表される[DBI][OAc]を75.8g(0.27mol,収率98%)得た。[DBI][OAc]のH-NMR分析結果を以下に示す。
H-NMR(DMSO-d)δ(ppm)=9.53(s,1H)、7.82(s,2H)、4.19(t,J=6.8Hz,4H)、1.81(m,4H)、1.68(s,4.5H)、1.29(m,4H)、0.91(t,J=7.2Hz、6H)
【0151】
製造例3[D2EHI][OAc]の合成
【化48】
窒素置換した2Lの4つ口反応器に、2-エチルヘキシルアミン750.0g(5.80mol)を仕込み、酢酸261.3g(4.35mol)と40wt%ホルマリン水溶液217.8g(2.90mol)の混合液を1時間30分かけて滴下した。滴下後、反応器中の混合液を30分間撹拌した。混合液に40wt%グリオキサール水溶液421.0g(2.90mol)を20分かけて滴下し、滴下後、5時間攪拌した。得られた反応溶液を減圧濃縮し、上記式で表される[D2EHI][OAc]を1219.1g(2.89mol,収率99%)得た。[D2EHI][OAc]のH-NMR分析結果を以下に示す。
H-NMR(DMSO-d)δ(ppm)=9.35(s,1H)、7.82(s,2H)、4.15(d,J=7.2Hz,4H)、1.84(m,2H)、1.71(s,3H)、1.25(m,16H)、0.87(t,J=7.2Hz,12H)
【0152】
製造例4 [DtOctI][OAc]の合成
【化49】
窒素置換した100mlの3つ口反応器に、酢酸6.97g(0.116mol)と40wt%ホルマリン水溶液5.80g(ホルムアルデヒド純分0.077mol)、40wt%グリオキサール水溶液11.2g(グリオキサール純分0.077mol)を仕込み、50℃まで昇温した。その後、反応器中の混合液に1,1,3,3-テトラメチルブチルアミン20.00g(0.154mol)を2時間かけて滴下し、2時間攪拌した。攪拌後、得られた反応溶液を減圧濃縮し、上記式で表される[DtOctI][OAc]を24.83g(0.069mol,収率90%)得た。[DtOctI][OAc]のH-NMR分析結果を以下に示す。
H-NMR(CDCl)δ(ppm)=10.63(s,1H)、7.34(s,2H)、2.04(s,3H)、2.04(s,4H)、1.83(s,12H)、0.87(s,18H)
【0153】
実施例1 DOIm_PIの合成
【化50】
(工程1)1,3-ジ-n-オクチルイミダゾリウム-2-カルボキシレートの製造
5Lの耐圧容器に、製造例1で得られた[DOI][OAc]1070.1g([DOI][OAc]の純分:828.6g(2.35mol))、トルエン1069.5g、炭酸ジメチル756.0g(8.39mol)を仕込み、窒素置換を行った。その後、混合液を120℃で15時間攪拌した。攪拌後、得られた反応混合物を冷却した。冷却した反応混合物を1043.5gになるまで減圧濃縮して過剰な炭酸ジメチルと、副生する酢酸メチルを除去し、そこへトルエンを加えて、2058.6gとした。得られたトルエン溶液を、内部標準物質としてジメチルスルホキシドを使用してH-NMR分析した結果、1,3-ジ-n-オクチルイミダゾリウム-2-カルボキシレートが339.3g(1.01mol,収率42.8%)得られたことが分かった。また、得られたトルエン溶液中に1,3-ジ-n-オクチルイミダゾリウム-4-カルボキシレートが128.0g(0.38mol,収率16.2%)、1,3-ジ-n-オクチルイミダゾリウムメチルカーボネート塩が211.7g(0.57mol,収率24.4%)含まれていることが分かった。
1,3-ジ-n-オクチルイミダゾリウム-2-カルボキシレートのH-NMR分析結果を以下に示す。
H-NMR(CDCl)δ(ppm)=7.21(s,2H)、4.55(t,J=7.6Hz,4H)、1.78(m,4H)、1.31(m,20H)、0.88(t,J=6.4Hz,6H)
1,3-ジ-n-オクチルイミダゾリウム-4-カルボキシレートのH-NMR分析結果を以下に示す。
H-NMR(CDCl)δ(ppm)=7.49(s,1H)、4.73(t,J=7.2Hz,2H)、4.26(t,J=7.2Hz,2H)、1.78(m,4H)、1.31(m,20H)、0.88(t,J=6.4Hz,6H)
1,3-ジ-n-オクチルイミダゾリウムメチルカーボネート塩のH-NMR分析結果を以下に示す。
H-NMR(CDCl)δ(ppm)=7.44(s,2H)、4.32(t,J=7.2Hz,4H)、3.39(s,3H)、1.78(m,4H)、1.31(m,20H)、0.88(t,J=6.4Hz,6H)
(工程2)
窒素置換した3Lの4つ口反応器に、工程1で得られたトルエン溶液1700.2g、トルエン807.4gを仕込み、加熱還流させた。加熱還流させながら、フェニルイソシアネート229.7g(1.93mol)を2時間かけて滴下し、10時間攪拌した。攪拌後、得られた反応混合物を1433.1gになるまで濃縮し、ヘプタン761.0gを加えて、50℃まで加熱し、固体を全て溶解させ、ヘプタン溶液とした。ヘプタン溶液を50℃から30℃まで冷却して結晶を析出させ、30℃で1時間攪拌した後に、毎時10℃ずつ2時間かけてヘプタン溶液を、10℃まで冷却し、10℃で更に1時間攪拌させることでスラリー液を得た。得られたスラリー液をろ過することで、微黄色固体として、上記式で表される化合物(DOIm_PI)を426.8g(1.04mol、工程1からの通し収率62.2%)得た。DOIm_PIのH-NMR分析結果を以下に示す。
H-NMR(DMSO-d)δ(ppm)=9.32(s,1H)、7.80(s,2H)、4.17(t,J=9.6Hz,4H)、1.78(m,4H)、1.63(s,3H)、1.23(m,20H)、0.85(t,J=6.4Hz,6H)
【0154】
実施例2 DBIm_PIの合成
【化51】
(工程1)
180mLの耐圧容器に、製造例2で得られた[DBI][OAc]30.0g(純分0.11mol)、炭酸ジメチル44.8g(0.50mol)、トルエン30.0gを仕込み、窒素置換を行った。その後、混合液を120℃で7時間攪拌をした。攪拌後、得られた反応混合物を減圧濃縮し、褐色液体を25.2g得た。得られた褐色液体でH-NMR分析を行い、積分比より計算した結果、1,3-ジ-n-ブチルイミダゾリウム-2-カルボキシレートが9.8g(0.04mol,収率39.2%)得られたことが分かった。また、得られたトルエン溶液中に1,3-ジ-n-ブチルイミダゾリウム-4-カルボキシレートが1.8g(0.008mol,収率7.4%)、1,3-ジ-n-ブチルイミダゾリウムメチルカーボネート塩が13.8g(0.05mol,収率48.5%)含まれていることが分かった。得られた褐色液体にクロロベンゼン25.2gを加え、クロロベンゼン溶液とした。
1,3-ジ-n-ブチルイミダゾリウム-2-カルボキシレートのH-NMR分析結果を以下に示す。
H-NMR(DMSO-d)δ(ppm)=7.71(s,2H)、4.45(t,J=7.2Hz,4H)、1.81(m,4H)、1.28(m,4H)、0.89(m,6H)
1,3-ジ-n-ブチルイミダゾリウム-4-カルボキシレートのH-NMR分析結果を以下に示す。
H-NMR(DMSO-d)δ(ppm)=9.45(s,1H)、7.60(s,1H)、4.59(t,J=7.2Hz,2H)、4.15(t,J=7.2Hz,2H)、1.81(m,4H)、1.28(m,4H)、0.89(m,6H)
1,3-ジ-n-ブチルイミダゾリウムメチルカーボネート塩のH-NMR分析結果を以下に示す。
H-NMR(DMSO-d)δ(ppm)=9.73(s,1H)、7.89(s,2H)、4.22(t,J=7.2Hz,4H)、3.17(s,3H)、1.81(m,4H)、1.28(m,4H)、0.89(m,6H)
(工程2)
窒素置換した180mLの3つ口反応器に、工程1で得られたクロロベンゼン溶液40.0g、クロロベンゼン40.0g、N-フェニルカルバミン酸メチル13.4g(0.10mol)を仕込み、5時間加熱還流した。加熱還流後、得られた反応混合物を減圧濃縮し、乾固残を26.8g得た。次いで、乾固残に酢酸ブチル17.1gを加え、60℃まで昇温し、固体を全て溶解させた後に室温まで冷却したところ、上記式で表される化合物(DBIm_PI)を5.8g(19.4mmol、工程1からの通し収率21.8%)得た。DBIm_PIのH-NMR分析結果を以下に示す。
H-NMR(DMSO-d)δ(ppm)=7.60(s,2H)、7.42(d,J=8.4Hz,2H)、7.14(d,J=7.6Hz,2H)、6.80(t,J=7.6Hz,1H)、4.48(t,J=7.6Hz,4H)、1.80(m,4H)、1.30(m,4H)、0.91(t,J=7.6Hz,6H)
【0155】
実施例3 D2HIm_PIの合成
【化52】
(工程1)
5Lの耐圧容器に、製造例3で得られた[D2EHI][OAc]1104.2g(純分3.07mol)、炭酸ジメチル744.9g(8.27mol)、トルエン1104.2gを仕込み、窒素置換を行った。その後、混合液を120℃まで昇温した後に、12時間攪拌をした。攪拌後、得られた反応混合物を減圧濃縮し、褐色液体を1095.8g得た。得られた褐色液体のH-NMR分析を行い、積分比より計算した結果、1,3-ジ-2-エチルヘキシルイミダゾリウム-2-カルボキシレートが526.8g(1.49mol,収率46.6%)得られたことが分かった。また、得られたトルエン溶液中に1,3-ジ-2-エチルヘキシルイミダゾリウム-4-カルボキシレートが142.4g(0.423mol,収率13.8%)、1,3-ジ-2-エチルヘキシルイミダゾリウムメチルカーボネート塩が466.6g(1.27mol,収率41.2%)含まれていることが分かった。
1,3-ジ-2-エチルヘキシルイミダゾリウム-2-カルボキシレートのH-NMR分析結果を以下に示す。
H-NMR(DMSO-d)δ(ppm)=7.70(s,2H)、4.38(t,J=6.0Hz,4H)、1.84(m,2H)、1.25(m,16H)、0.87(m,12H)
1,3-ジ-2-エチルヘキシルイミダゾリウム-4-カルボキシレートのH-NMR分析結果を以下に示す。
H-NMR(DMSO-d)δ(ppm)=9.18(s,1H)、7.64(s,1H)、4.53(t,J=6.0Hz,2H)、4.05(t,J=6.0Hz,2H)、1.84(m,2H)、1.25(m,16H)、0.87(m,12H)
1,3-ジ-2-エチルヘキシルイミダゾリウムメチルカーボネート塩のH-NMR分析結果を以下に示す。
H-NMR(DMSO-d)δ(ppm)=9.51(s,1H)、7.89(s,2H)、4.24(t,J=7.6Hz,4H)、3.18(s,3H)、1.84(m,2H)、1.25(m,16H)、0.87(m,12H)
(工程2)
窒素置換した5Lの4つ口反応器に、工程1で得られた褐色液体882.7g(1,3-ジ-2-エチルヘキシルイミダゾリウム-2-カルボキシレートならびにその等価体である1,3-ジ-2-エチルヘキシルイミダゾリウム-4-カルボキシレートおよび1,3-ジ-2-エチルヘキシルイミダゾリウムメチルカーボネート塩の合計:2.56mol)、トルエン2487.8gを加え、加熱還流した。その後、反応器中の液体にフェニルイソシアネート292.3g(2.45mol)を2時間かけて滴下し、滴下後、還流しながら13時間30分反応させた。反応後、得られた反応混合物を減圧濃縮し、上記式で表される化合物(D2HIm_PI)1078.6gを得た。得られたD2HIm_PIに、内部標準物質としてテトラリンを加えてH-NMR分析した結果、D2HIm_PIは990.9g(2.41mol,収率93.8%)含まれることが分かった。D2HIm_PIのH-NMR分析結果を以下に示す。
H-NMR(DMSO-d)δ(ppm)=7.59(s,2H)、7.39(d,J=8.4Hz,2H)、7.12(t,J=8.4Hz,2H)、6.76(t,J=8.4Hz,1H)、4.44(t,J=6.8Hz,4H)、1.86(m,2H)、1.25(m,16H)、0.82(m,12H)
【0156】
実施例4 D2HIm_crMDIの合成
【化53】
(工程1)
180mLの耐圧容器に、製造例3と同様の製造方法で得られた[D2EHI][OAc]40.0g(純分99.5mmol)、炭酸ジメチル26.9g(299mmol)を仕込み、窒素置換を行った。その後、耐圧容器中の混合液を120℃で6時間攪拌した。攪拌後、得られた反応混合物を減圧濃縮し、褐色液体を35.3g得た。得られた褐色液体に内部標準物質としてジメチルスルホンを加えH-NMR内部標準分析した結果、1,3-ジ-2-エチルヘキシルイミダゾリウム-2-カルボキシレートが7.5g(0.02mol,収率22.3%)得られたことが分かった。また、得られた褐色液体中に1,3-ジ-2-エチルヘキシルイミダゾリウム-4-カルボキシレートが5.7g(0.02mol,収率17.1%)、1,3-ジ-2-エチルヘキシルイミダゾリウムメチルカーボネート塩が18.3g(0.05mol,収率50.0%)含まれていることが分かった。
(工程2)
窒素置換した200mLの4つ口反応器に、トルエン30.2gを加え還流した。トルエンを還流させながら、反応器に工程1で得られた褐色液体30.1g(1,3-ジ-2-エチルヘキシルイミダゾリウム-2-カルボキシレートならびにその等価体である1,3-ジ-2-エチルヘキシルイミダゾリウム-4-カルボキシレートおよび1,3-ジ-2-エチルヘキシルイミダゾリウムメチルカーボネート塩の合計:75.7mmol)とトルエン30.4gの混合液を2時間かけて滴下した。また、同時にポリメチレンポリフェニルポリイソシアネート(住化コベストロウレタン株式会社製スミジュール44V20L、NCO含有量:7.86mmol/g)10.6g(NCO含量:83.1mmol)とトルエン30.5gの混合液を反応器に2時間かけて滴下し、還流させながら1時間攪拌した。攪拌後、得られた反応混合物を減圧濃縮し、上記式で表される化合物を含む反応物(D2HIm_crMDI)37.4gを得た。得られた反応物のH-NMR分析結果を以下に示す。
H-NMR(CDCl)δ(ppm)=7.51-6.91(m)、4.52-4.37(m)、4.01-3.66(m)、1.88(br)、1.34-1.26(m)、0.89-0.82(m)
【0157】
実施例5 D2HIm_TDIの合成
【化54】
180mLの耐圧容器に、製造例3と同様の製造方法で得られた[D2EHI][OAc]70.1g(純分0.17mol)、炭酸ジメチル53.9g(0.60mol)を仕込み、窒素置換を行った。その後、耐圧容器中の混合液を120℃で6時間攪拌した。攪拌後、得られた反応混合物を減圧濃縮し、褐色液体を67.7g得た。得られた褐色液体に内部標準物質としてジメチルスルホンを加えH-NMR内標分析した結果、1,3-ジ-2-エチルヘキシルイミダゾリウム-2-カルボキシレートが5.3g(0.02mol,収率9.3%)得られたことが分かった。また、得られた褐色液体中に1,3-ジ-2-エチルヘキシルイミダゾリウム-2-カルボキシレートの等価体である1,3-ジ-2-エチルヘキシルイミダゾリウム-4-カルボキシレートが10.3g(0.03mol,収率18.1%)、1,3-ジ-2-エチルヘキシルイミダゾリウムメチルカーボネート塩が41.8g(0.11mol,収率66.8%)含まれていることが分かった。
(工程2)
窒素置換した200mLの4つ口反応器に、トルエン30.3gを加え還流した。その後、トルエンを還流させながら、反応器に工程1で得られた褐色液体30.0g(1,3-ジ-2-エチルヘキシルイミダゾリウム-2-カルボキシレートならびにその等価体1,3-ジ-2-エチルヘキシルイミダゾリウム-4-カルボキシレートおよび1,3-ジ-2-エチルヘキシルイミダゾリウムメチルカーボネート塩の合計:70.0mmol)とトルエン30.2gの混合液を2時間かけて滴下した。また、同時にトリレンジイソシアネート(東京化成工業株式会社製、2,4-トリレンジイソシアネート約80%、2,6-トリレンジイソシアネート約20%)6.7g(38.4mmol)とトルエン30.5gの混合液を反応器に2時間かけて滴下し、還流させながら1時間攪拌した。攪拌後、得られた反応混合物を減圧濃縮し、上記式で表される化合物を含む反応物(D2HIm_TDI)31.2gを得た。得られた反応物のH-NMR分析結果を以下に示す。
H-NMR(CDCl)δ(ppm)=7.28-6.88(m、5H)、4.59-4.43(m、8H)、2.24-2.17(m、3H)、1.92(m、4H)、1.37-1.27(m、32H)、0.9-0.83(m、24H)
【0158】
実施例6 DtOctIm_PIの合成
【化55】
【0159】
(工程1)
180mLの耐圧容器に、製造例4で得られた[DtOctI][OAc]24.8g(0.069mol)、炭酸ジメチル27.0g(0.297mol)、トルエン30.0gを仕込み、窒素置換を行った。その後、耐圧容器中の混合液を120℃で6時間攪拌した。攪拌後、得られた反応混合物を減圧濃縮し、反応物(A)を得た。
(工程2)
窒素置換した100mLの3つ口反応器に、工程1で得られた反応物(A)の半量、クロロベンゼン40.0gを仕込み、加熱還流した。加熱還流後の混合液を60℃まで冷却し、そこへフェニルイソシアネート3.9g(0.032mol)とクロロベンゼン12.2gの混合液を10分かけて滴下した後に、60℃で1時間攪拌した。攪拌後、得られた反応混合物を室温まで冷却し、そこヘプタン50.0gを加えた後に濾過し、濾残をヘプタン50.0gで洗浄し、上記式で表される化合物(DtOctIm_PI)を7.55g(0.014mmol、工程1からの通し収率40.0%)得た。DtOctIm_PIのH-NMR分析結果を以下に示す。
H-NMR(CDCl)δ(ppm)=7.59(d, J=9.2Hz,2H)、7.30(t,J=7.6Hz,2H)、7.08(s,2H)6.93(t,J=7.2Hz,1H)、2.40(m,4H)、1.87(m,12H)、0.99(s,18H)