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特許7588608発光ダイオード(LED)ベースの照明デバイス、並びに対応するLED基板及びドライバ基板
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-14
(45)【発行日】2024-11-22
(54)【発明の名称】発光ダイオード(LED)ベースの照明デバイス、並びに対応するLED基板及びドライバ基板
(51)【国際特許分類】
   H05B 45/36 20200101AFI20241115BHJP
   H05B 47/19 20200101ALI20241115BHJP
【FI】
H05B45/36
H05B47/19
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2021577492
(86)(22)【出願日】2020-07-02
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-09-01
(86)【国際出願番号】 EP2020068591
(87)【国際公開番号】W WO2021001459
(87)【国際公開日】2021-01-07
【審査請求日】2023-06-30
(31)【優先権主張番号】19184325.9
(32)【優先日】2019-07-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】516043960
【氏名又は名称】シグニファイ ホールディング ビー ヴィ
【氏名又は名称原語表記】SIGNIFY HOLDING B.V.
【住所又は居所原語表記】High Tech Campus 48,5656 AE Eindhoven,The Netherlands
(74)【代理人】
【識別番号】100163821
【弁理士】
【氏名又は名称】柴田 沙希子
(72)【発明者】
【氏名】デ ヤーヘル レムコ ルドルフ ヴィルヘルムス
(72)【発明者】
【氏名】ミスドム ヨハンネス アドリアヌス コルネリス
(72)【発明者】
【氏名】ヴァン デル メルヴェ ヤコ
(72)【発明者】
【氏名】ヴェルナルス ヨハンネス ペトルス
【審査官】塩治 雅也
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-146323(JP,A)
【文献】国際公開第2018/206343(WO,A1)
【文献】特開2015-084295(JP,A)
【文献】登録実用新案第3131732(JP,U)
【文献】特開2018-195994(JP,A)
【文献】特開2013-048362(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0295689(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05B 39/00-39/10
H05B 45/00-45/59
H05B 47/00-47/29
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
RF通信が可能なLEDベースの照明デバイスであり、
主電源入力コネクタ、LED出力コネクタ及びLEDドライバを含むドライバ基板であって、前記LEDドライバが、前記主電源入力コネクタを介して主電源を受け取り、前記LED出力コネクタを介して少なくとも1つのLEDにLED電流を供給するよう構成されるドライバ基板と、
LED入力コネクタ、アンテナ及び前記少なくとも1つのLEDを含むLED基板と、
前記ドライバ基板から前記LED基板に前記LED電流を送るために、前記LED出力コネクタ及び前記LED入力コネクタを介して、前記LED基板に前記ドライバ基板を接続する相互接続ケーブルとを有するLEDベースの照明デバイスであって、
前記ドライバ基板が、
RFモジュールであって、RF信号が、前記RFモジュールと前記LED出力コネクタとの間に設けられるコンデンサを介して前記相互接続ケーブルを通じて前記アンテナに伝達されるように、前記RF信号を生成し、生成された前記RF信号を前記LED電流に重畳するよう構成されるRFモジュールを更に有し、
前記LED基板が、
前記LED電流から重畳された前記RF信号を抽出し、抽出された前記RF信号を前記アンテナに供給するよう構成されるRF抽出モジュールを有するLEDベースの照明デバイス。
【請求項2】
前記相互接続ケーブルが、2つの導体を有し、前記2つの導体のうちの第1導体が、前記ドライバ基板から前記LED基板に前記LED電流を送るよう構成され、前記2つの導体のうちの第2導体が、前記LED基板から前記ドライバ基板への前記LEDのための帰路を供給するよう構成され、それによって、差動LEDワイヤを供給し、
前記RFモジュールが、更に、前記生成されたRF信号を前記差動LEDワイヤに重畳し、それによって、平衡RF信号を供給するよう構成される請求項1に記載のLEDベースの照明デバイス。
【請求項3】
前記ドライバ基板が、
EMIを低減するためのEMIフィルタであって、前記LED出力コネクタに接続されるEMIフィルタを更に有し、
前記RFモジュールが、前記EMIフィルタと前記LED出力コネクタとの間で、前記生成されたRF信号を前記LED電流に重畳するよう構成される請求項1乃至2のいずれか一項に記載のLEDベースの照明デバイス。
【請求項4】
前記LED基板が、PCBによって形成され、
前記少なくとも1つのLEDに前記LED入力コネクタを接続するためのLED供給線を、前記PCB上に有し、
前記アンテナが、前記LED供給線のいずれかにおいて形成される請求項1乃至3のいずれか一項に記載のLEDベースの照明デバイス。
【請求項5】
前記アンテナが、前記LED供給線において少なくとも1つのインダクタを含むことによって形成される請求項4に記載のLEDベースの照明デバイス。
【請求項6】
前記アンテナが、或る端部においては、前記LED供給線における前記少なくとも1つのインダクタによって、別の端部においては、所定の特性インピーダンスによって、形成される請求項5に記載のLEDベースの照明デバイス。
【請求項7】
前記ドライバ基板が、前記主電源に接続される第1部分と、前記LED出力コネクタに接続される第2部分を電気的に絶縁するための絶縁バリアを有し、前記RFモジュールが、前記第2部分に位置する請求項1乃至6のいずれか一項に記載のLEDベースの照明デバイス。
【請求項8】
前記ドライバ基板が、
前記第2部分に位置するDALIモジュールと、
前記主電源をDALI DC電圧に変換するための、前記第1部分に位置する電圧変換器であって、前記電圧変換器が、前記絶縁バリアを介して配置される変圧器を有し、前記変圧器の出力が前記DALIモジュールに接続される電圧変換器と、
前記DALI DC電圧を、前記RFモジュールに給電するためのRF供給電圧に変換するための、前記第2部分に位置するRFモジュール電圧変換器とを更に有する請求項7に記載のLEDベースの照明デバイス。
【請求項9】
前記RFモジュールが、更に、前記LEDドライバの出力の電力の測定をするよう構成される請求項7乃至8のいずれか一項に記載のLEDベースの照明デバイス。
【請求項10】
前記ドライバ基板が、測定される前記電力を、前記絶縁バリアを介して結合するための、前記RFモジュールに接続されるオプトカプラを更に有する請求項9に記載のLEDベースの照明デバイス。
【請求項11】
前記ドライバ基板が、金属ケーシング内に設けられる請求項1乃至10のいずれか一項に記載のLEDベースの照明デバイス。
【請求項12】
請求項1乃至11のいずれか一項に記載のLEDベースの照明デバイスにおいて動作するためのドライバ基板であって、前記ドライバ基板が、主電源入力コネクタ、LED出力コネクタ及びLEDドライバを有し、前記LEDドライバが、前記主電源入力コネクタを介して主電源を受け取り、前記LED出力コネクタを介して少なくとも1つのLEDにLED電流を供給するよう構成され、
前記ドライバ基板が、
RF信号が、前記RFモジュールと前記LED出力コネクタとの間に設けられるコンデンサを介して前記相互接続ケーブルを通じて前記アンテナに伝達されるように、前記RF信号を生成し、生成された前記RF信号を前記LED電流に重畳するよう構成されるRFモジュールを更に有するドライバ基板。
【請求項13】
前記ドライバ基板が、前記主電源に接続される第1部分と、前記LED出力コネクタに接続される第2部分を電気的に絶縁するための絶縁バリアを有し、前記RFモジュールが、前記第2部分に位置する請求項12に記載のドライバ基板。
【請求項14】
前記第2部分に位置するDALIモジュールと、
前記主電源をDALI DC電圧に変換するための、前記第1部分に位置する電圧変換器であって、前記電圧変換器が、前記絶縁バリアを介して配置される変圧器を有し、前記変圧器の出力が前記DALIモジュールに接続される電圧変換器と、
前記DALI DC電圧を、前記RFモジュールに給電するためのRF供給電圧に変換するための、前記第2部分に位置するRFモジュール電圧変換器とを更に有する請求項13に記載のドライバ基板。
【請求項15】
請求項1乃至11のいずれか一項に記載のLEDベースの照明デバイスにおいて動作するためのLED基板であり、
前記相互接続ケーブルと前記LED基板との間の電気的接続を供給するためのLED入力コネクタと、
アンテナと、
アンテナインダクタと、
共平面導波路と、
少なくとも1つのLEDとを有するLED基板であって、
前記LED基板が、前記LED入力コネクタを介して、前記少なくとも1つのLEDに前記LED電流を供給するための電源ラインを有し、前記電源ラインが前記アンテナを形成し、前記アンテナインダクタと前記共平面導波路とが、前記電源ラインに沿って1/4ラムダの間隔を置いて配置されるLED基板。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、無線周波数(RF)通信が可能な発光ダイオード(LED)ベースの照明デバイスに関し、より具体的には、ドライバ基板を備える、物理的に分離されたLED基板を有するLEDベースの照明デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
今日では、ますます多くの発光ダイオード(LED)ベースの照明デバイスが使用されている。このようなLEDベースの照明デバイスは、自宅、オフィス、又は屋外のような複数の用途において認識され得る。本願は、特に、屋外で使用されるのに適しているLEDベースの照明デバイスを対象にするものである。
【0003】
このようなLEDベースの照明デバイスは、受け取った交流(AC)電源電圧をDC電源電圧に変換するための整流器、及び光を発するための少なくとも1つのLEDから成る。少なくとも1つのLEDには、DC電源電圧又はDC電源電流が供給される。
【0004】
多くの場合、LEDベースの照明デバイスが、単に照明を供給するだけでは十分ではない。他の機能も組み込まれることがある。LEDベースの照明デバイス内によく存在する機能のうちの1つは、無線通信である。LEDベースの照明デバイスは、外界と通信するための無線周波数(RF)モジュールを備えていることがある。
【0005】
このような通信は、LEDベースの照明デバイスを制御するために使用され得る。例えば、LEDベースの照明デバイスは、オンにされること、オフにされること、強度を制御されること、色を制御されること、又は同様のことがある。これは、ユーザが、例えば、別個の遠隔制御装置、スマートフォンにおけるアプリ又は同様のものを使用して、LEDベースの照明デバイスを遠隔操作することを可能にする。
【0006】
LEDベースの照明デバイスはまた、センサ又はアクチュエータを有してもよい。その場合、これらのセンサ及び/又はアクチュエータの制御も、無線通信を使用して達成され得る。
【0007】
ほとんどの照明器具、特に、屋外で使用される照明器具は、RFドライバが組み込まれる金属ケーシングを有する。良好なRF信号品質を保証するために、金属ケーシングには、外界への明確なRF信号の通り道を規定する特別なキャビティが設けられる。また、これらのキャビティの位置及びサイズが重要であり、このことは、適切なRF信号の通り道を確保することを一段と困難にする。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
屋外で使用されるのにより適しているLEDベースの照明デバイスが提供される場合には有利であるだろう。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本開示の第1態様においては、無線周波数(RF)通信が可能な発光ダイオード(LED)ベースの照明デバイスが提供される。前記LEDベースの照明デバイスは、
- 主電源入力コネクタ、LED出力コネクタ及びLEDドライバを含むドライバ基板であって、前記LEDドライバが、前記主電源入力コネクタを介して主電源を受け取り、前記LED出力コネクタを介して少なくとも1つのLEDにLED電流を供給するよう構成されるドライバ基板と、
- LED入力コネクタ、アンテナ及び前記少なくとも1つのLEDを含むLED基板と、
- 前記ドライバ基板から前記LED基板に前記LED電流を送るために、前記LED出力コネクタ及び前記LED入力コネクタを介して、前記LED基板に前記ドライバ基板を接続する相互接続ケーブルとを有し、
前記ドライバ基板は、
- RF信号が前記相互接続ケーブルを通じて前記アンテナに伝達されるように、前記RF信号を生成し、生成された前記RF信号を前記LED電流に重畳するよう構成されるRFモジュールを更に有する。
【0010】
前記LEDベースの照明デバイスを、少なくとも2つの基板、即ち、ドライバ基板及びLED基板を使用して実施することは有益であり得るというのが、本発明者らの洞察であった。その場合、前記アンテナは、前記LED基板上に存在するLEDのアレイによって使用されるのと同じキャビティ、又は透明な窓、又はEM透過材料(EM translucent material)、又は同様のものを使用し得るので、前記LED基板が、前記アンテナを有するべきである。これについて、以下で、より詳細に説明する。
【0011】
本開示によれば、前記ドライバ基板は、AC主電源電圧を受け取り、前記AC主電源電圧をDC成分に変換するよう構成される。このような変換は、整流器を使用して実施され得る。前記ドライバ基板は、LED電流を供給するよう構成される。
【0012】
前記LED基板は、前記LED基板上に存在する前記少なくとも1つのLEDに給電するために前記LED電流を受け取るよう構成される。前記LED基板と前記ドライバ基板との間には、相互接続、例えば、ケーブルが存在する。これは、柔軟な解決策を可能にする。即ち、前記LED基板は、物理的に前記ドライバ基板の近くにある必要はない。前記相互接続は、約1メートル、10メートル又はそれ以上の長ささえも有し得る。前記相互接続ケーブルは、前記ドライバ基板と前記LED基板との間の前記RF信号の適切な伝達を確実にするために、シールドされてもよい。
【0013】
前記LED基板及び前記ドライバ基板は、単一のケーシングにおいて実施されてもよく、又は2つの別々のケーシングにおいて実施されてもよい。いずれの場合でも、前記LED基板は、前記LEDのアレイが光を発することを可能にする特性を有するはずである。例えば、前記LED基板は、完全に閉じた金属ケーシングを有してないかもしれない。なぜなら、このような場合には、光が逃げることができないからである。
【0014】
本発明者らは、前記LED基板の上記の特性は、通信目的のためにも使用され得ることを見出した。そのため、前記アンテナは、前記LED基板に設けられ得る。しかしながら、通信制御は、前記ドライバ基板上に存在してもよい。即ち、前記RFモジュールは前記ドライバ基板上に存在する一方で、前記アンテナは前記LED基板上に存在する。
【0015】
本発明者らは、前記RFモジュールによって生成された前記RF信号を前記LED基板に効率的に伝達するための解決策を見出した。見出した前記解決策は、前記LED基板と前記ドライバ基板との間の追加のケーブルが必要ないので、適切である。前記RFモジュールは、とにかく前記LED基板と前記ドライバ基板との間で伝達される前記LED電流に前記RF信号を重畳するよう構成される。前記RF信号は、前記LED電流に比べてはるかに高い周波数特性を有するので、上記のことが達成され得る。
【0016】
本開示は、特に、前記RFモジュールが前記RF信号を外界に送信するよう構成されるやり方で記載されていることに留意されたい。受信される前記RF信号が、前記LED電流に重畳され、前記LED基板から前記ドライバ基板に伝達される受信方式においても、同じことが有効である。
【0017】
従って、本開示によるLEDベースの照明デバイスにより、前記RF信号が前記相互接続ケーブルを通じて前記アンテナに伝達されるように、生成された前記RF信号を前記LED電流に重畳することによって、前記アンテナと前記RFモジュールとの間の相互接続が有益に実現され得る。これは、同軸ケーブルのような追加の相互接続ケーブルの必要性をなくすのに有益である。追加の相互接続ケーブルのないLEDベースの照明デバイスは、相対的にコスト効率が良く、ロバストな照明デバイスを実現するのに有利である。本開示は、同軸ケーブルのような相互接続ケーブルは、このようなケーブルはかなり壊れやすいことが判明し得るので、かなり高価で、厄介であり得るという洞察に少なくとも部分的に依存している。前記LED電流と前記RF信号との両方を供給するために前記相互接続ケーブルを使用することによって、相対的に低コストのRF信号相互接続が実現され得る。
【0018】
例においては、前記相互接続ケーブルは、2つの導体を有し、前記2つの導体のうち第1導体は、前記ドライバ基板から前記LED基板に前記LED電流を送るよう構成され、前記2つの導体のうちの第2導体は、前記LED基板から前記ドライバ基板への前記LEDのための帰路を供給するよう構成され、それによって、差動LEDワイヤを供給し、
【0019】
前記RFモジュールは、更に、前記生成されたRF信号を前記差動LEDワイヤに重畳し、それによって、平衡RF信号を供給するよう構成される。
【0020】
以上のことから、前記RF信号は、差動方式で、前記LEDワイヤを通じて伝達される。これの利点のうちの1つは、電磁干渉が低減されることである。
【0021】
更なる例においては、前記ドライバ基板は、
- EMIを低減するための電磁干渉(EMI)フィルタであって、前記LED出力コネクタに接続されるEMIフィルタを更に有し、
前記RFモジュールは、前記EMIフィルタと前記LED出力コネクタとの間で、前記生成されたRF信号を前記LED電流に重畳するよう構成される。
【0022】
上記のものの利点は、前記RF信号が前記ドライバ自体に流れ込むのを前記EMIフィルタが阻止するので、前記RF信号が前記ドライバ基板上に存在する他の電気回路に影響を及ぼすリスクが低減されることである。
【0023】
別の例においては、前記LED基板は、
- 前記LED電流から重畳された前記RF信号を抽出し、抽出された前記RF信号を前記アンテナに供給するよう構成されるRF抽出モジュールを有する。
【0024】
前記RF抽出モジュールは、1つ以上のコンデンサとして実施されてもよく、前記RF信号の相対的に高い周波数特性は、その信号が前記1つ以上のコンデンサを通過することを可能にする一方で、前記LED電流の相対的に低い周波数特性は、その信号が前記1つ以上のコンデンサを通過することを許さない。これは、高周波RF信号が前記LEDを通過することを防止し、それによって、これらのLEDの寿命が短くされないことを確実にする。
【0025】
更なる例においては、前記LED基板は、プリント回路基板(PCB)によって形成され、
- 前記少なくとも1つのLEDに前記LED入力コネクタを接続するためのLED供給線(LED supply traces)を、前記PCB上に有し、
前記アンテナは、前記LED供給線のいずれかにおいて形成される。
【0026】
LED基板は、単一の金属層の基板(single metal layer substrate)、エポキシ複合材(COM)から構成されてもよい。この単一の金属層の基板には、良好なアンテナ性能と、外界への明確な経路とを有するλ/4アンテナが容易に組み込まれ得る。この例の着想は、このようなアンテナを実施するのに、前記LED基板上の既存のLED配線(LED traces)を使用するというものである。
【0027】
即ち、前記コネクタから前記少なくとも1つのLEDに前記LED電流を搬送する実際のLED配線も、前記アンテナのために使用され得る。
【0028】
前記アンテナは、前記LED供給線において少なくとも1つのインダクタを含むことによって形成され得る。前記インダクタは、相対的に高い周波数の前記RF信号を「ブロックする」一方で、前記LED電流が通過することを可能にする。このようなインダクタは、前記少なくとも1つのLEDへ流れる前記LED電流に影響を及ぼさない一方で、前記アンテナの端点を形成し得る。
【0029】
従って、前記アンテナは、或る端部においては、前記LED供給線における前記少なくとも1つのインダクタによって、別の端部においては、所定の特性インピーダンスによって、形成され得る。
【0030】
前記特性インピーダンスは、続いて、共平面導波路構造(co-planar waveguide structure)によって形成され得る。
【0031】
本開示によれば、LEDベースの照明デバイスにおいて動作するための発光ダイオード(LED)基板であり、LED入力コネクタと、アンテナと、少なくとも1つのLEDとを有するLED基板であって、前記LED基板が、前記LED入力コネクタを介して、前記少なくとも1つのLEDに前記LED電流を供給するための電源ラインを有し、前記LED基板が、RF信号を生成し、前記RF信号を前記LED電流に重畳するためのRFモジュールを更に有し、前記電源ラインが、前記RF信号のための前記アンテナを形成するLED基板が提供され得る。
【0032】
更なる例においては、前記ドライバ基板は、前記主電源に接続される第1部分と、前記LED出力コネクタに接続される第2部分を電気的に絶縁するための絶縁バリアを有し、前記RFモジュールは、前記第2部分に位置する。
【0033】
前記RFモジュールを、可能な限り前記LED出力コネクタの近くに配置することは有益であり得ることが分かった。これは、前記RF信号の品質が影響を及ぼされないことを確実にする。そのため、前記RFモジュールは、上記のような前記第2部分に配置される。
【0034】
前記RFモジュールに給電するためには、前記RFモジュールを上記のような前記第1部分に配置することが有益であり得るので、上記のことは実際には反直感的である。しかしながら、本発明者らは、以下に説明するように、前記RFモジュールに給電する有益なやり方を発見したので、前記RFモジュールを前記第2部分に配置することを好む。
【0035】
更に、前記LEDベースの照明デバイスが屋外で使用される場合には、絶縁バリアが必要とされ得ることに留意されたい。しかしながら、例えば屋内用途のためには、絶縁バリアを存在させる必要はないかもしれない。このような場合でも、前記RF信号の誤形成のリスクを減らすために、可能な限り前記LED出力コネクタの近くに配置することが望ましいだろう。
【0036】
例においては、前記ドライバ基板は、
- 前記第2部分に位置するデジタルアドレス可能な照明インターフェース(DALI)モジュールと、
- 前記主電源をDALI直流(DC)電圧に変換するための、前記第1部分に位置する電圧変換器であって、前記電圧変換器が、前記絶縁バリアを介して配置される変圧器を有し、前記変圧器の出力が前記DALIモジュールに接続される電圧変換器と、
- 前記DALI DC電圧を、前記RFモジュールに給電するためのRF供給電圧に変換するための、前記第2部分に位置するRFモジュール電圧変換器とを更に有する。
【0037】
多くの場合、LEDベースの照明デバイスは、DALI機能を供給するためのDALIモジュールを備えていることがある。前記DALIモジュールは、24Vdcの供給電圧を必要とし得る。このような電圧は、入ってくるAC主電源電圧を24Vdcに変換することによって得られる。前記電圧変換器は、前記絶縁バリアを橋渡しする必要がある。そうするために、前記電圧変換器の中には変圧器があってもよく、前記変圧器は、前記絶縁バリアを介して配置される。前記変圧器の沿面距離(creep distance)及び空間距離(clearance distance)は、異なる安全要件を満たすように選ばれ得る。
【0038】
最後に、24Vdcをより低い電圧成分、例えば3.3Vdcに変換するために、RFモジュール電圧変換器が利用されてもよい。このようなRFモジュール電圧変換器は、前記DALIモジュールのために前記第2部分に存在する24Vdcを使用するので、前記絶縁バリアを介して配置される必要はない。そのため、前記ドライバ基板の前記第1部分に追加の包括的な電源が必要ない。
【0039】
例においては、前記RFモジュールは、更に、前記LEDドライバの前記出力の電力の測定をする(power metering)よう構成される。
【0040】
本発明者らは、それは、前記RFモジュールが他のオプションも実施する場合に有益であり得ることを見出した。前記RFモジュールは、集積回路(IC)、マイクロコントローラ、フィールドプログラマブルゲートアレイ、又は同様のものにおいて実施され得る。前記RFモジュールの汎用入力/出力ピンは、電力測定態様のために使用され得る。これは、コストを著しく削減する。
【0041】
更なる例においては、前記ドライバ基板は、測定される前記電力を、前記絶縁バリアを介して結合するための、前記RFモジュールに接続されるオプトカプラを更に有する。
【0042】
例においては、前記ドライバ基板は、金属ケーシング内に設けられる。
【0043】
それは、前記LEDベースの照明デバイスが、前記LEDドライバに通信可能に結合され、前記LED電流を制御するよう構成される制御ユニットを有し、前記RFモジュールが、アナログ/デジタル変換器(ADC)を有し、前記制御ユニットによって、前記ADCを介して、前記少なくとも1つのLEDの動作電力がモニタされる場合に、有益である。これは、相対的にコスト効率が良いLEDベースの照明デバイスを実現するのに有益である。
【0044】
本開示の第2態様においては、上で提供されているような例のいずれかによる発光ダイオード(LED)ベースの照明デバイスにおいて動作するためのドライバ基板であって、前記ドライバ基板が、主電源入力コネクタ、LED出力コネクタ及びLEDドライバを有し、前記LEDドライバが、前記主電源入力コネクタを介して主電源を受け取り、前記LED出力コネクタを介して少なくとも1つのLEDにLED電流を供給するよう構成され、
前記ドライバ基板が、
- RF信号が前記相互接続ケーブルを通じて前記アンテナに伝達されるように、前記RF信号を生成し、生成された前記RF信号を前記LED電流に重畳するよう構成されるRFモジュールを更に有するドライバ基板が提供される。
【0045】
本発明の第1態様の実施形態に関して開示されているような利点及び定義は、前記ドライバ基板である本発明の第2態様の実施形態にも対応することに留意されたい。
【0046】
例においては、前記ドライバ基板は、前記主電源に接続される第1部分と、前記LED出力コネクタに接続される第2部分を電気的に絶縁するための絶縁バリアを有し、前記RFモジュールは、前記第2部分に位置する。
【0047】
更なる例においては、前記ドライバ基板は、
- 前記第2部分に位置するデジタルアドレス可能な照明インターフェース(DALI)モジュールと、
- 前記主電源をDALI直流(DC)電圧に変換するための、前記第1部分に位置する電圧変換器であって、前記電圧変換器が、前記絶縁バリアを介して配置される変圧器を有し、前記変圧器の出力が前記DALIモジュールに接続される電圧変換器と、
- 前記DALI DC電圧を、前記RFモジュールに給電するためのRF供給電圧に変換するための、前記第2部分に位置するRFモジュール電圧変換器とを更に有する。
【0048】
本開示の第3態様においては、上で提供されているような例のいずれかによるLEDベースの照明デバイスにおいて動作するための発光ダイオード(LED)基板であり、LED入力コネクタと、アンテナと、前記少なくとも1つのLEDとを有するLED基板であって、前記LED基板が、前記LED入力コネクタを介して、前記少なくとも1つのLEDに前記LED電流を供給するための電源ラインを有し、前記電源ラインが、前記アンテナを形成するLED基板が提供される。
【0049】
本発明の第1態様の実施形態に関して開示されているような利点及び定義は、前記LED基板である本発明の第3態様の実施形態にも対応することに留意されたい。
【0050】
下記の実施形態を参照して、本発明のこれら及び他の態様を説明し、明らかにする。
【図面の簡単な説明】
【0051】
図1】本開示によるLEDベースの照明デバイスを示す。
図2図1のデバイスの要素を示す。
図3図1のデバイスの要素を示す。
【発明を実施するための形態】
【0052】
図1は、本開示によるLEDベースの照明デバイス1の例を示している。
【0053】
発光ダイオード(LED)ベースの照明デバイス1は、ハウジング3を有する。ハウジング3は、LEDベースの照明デバイス1の外装を提供し、ハウジング3内に設けられる構成要素を、天候の影響などの外部の影響から保護するよう構成される。ハウジング3は、ハウジング3に作用する如何なる外部の機械的力にも耐える相対的に頑丈なハウジングを実現するために金属を含む材料から作成され得る。他の例においては、ハウジング3は、任意の種類のプラスチックを有してもよい。
【0054】
ハウジング3は、発光ダイオードによって生成された光がハウジング3から出て、照明デバイス1の周囲に照明を供給することを可能にするための開口部又は窓5を更に有する。
【0055】
LEDベースの照明デバイス1は、ドライバモジュール9と、LEDモジュール11と、相互接続ケーブル13とを更に有する。相互接続ケーブル13は、ドライバモジュール9とLEDモジュール11とを電気的に相互接続するために、相互接続ケーブル13の第1端部においてドライバモジュール9に接続され、相互接続ケーブル13の反対側の端部においてLEDモジュール9に接続される。
【0056】
LEDモジュール11には、LED基板23が設けられる。LED基板23は、単一の金属層の基板を有し、前記単一の金属層の基板において、1/4ラムダアンテナ(quarter lambda antenna)25が形成される。1/4ラムダアンテナ25は、LED電流を前記発光ダイオード7に伝送するよう構成される電源ライン27の一部を形成する。LED電流は、前記LED基板23に設けられるLED入力コネクタ29を介して電源ライン27によって受け取られる。LED入力コネクタ29は、相互接続ケーブル13とLED基板23との間の電気的接続を供給する。発光ダイオード7及びアンテナ25は、LED照明デバイス1の組み立てられた状態において、アンテナ25及び発光ダイオード7がハウジング3における開口部又は窓5の裏側に設けられるように、LED基板23上に配設される。
【0057】
LED基板23は、アンテナインダクタ33と共平面導波路31とを有し、前記共平面導波路は、50オームのインピーダンスがアンテナ25によって感知されることを確実にし、前記インダクタと前記共平面導波路とが、前記電源ライン27に沿って1/4ラムダの間隔を置いて配置される。アンテナ25は、電源ライン27のプラスの配線又はマイナスの配線のいずれかに設けられ得る。図3は、電源ライン27のマイナスの配線に設けられるアンテナ25を示している。
【0058】
以上のことから、マイナスのLED配線が、アンテナの統合のために選ばれている。RF信号は高周波特性を有し、LED電流は低周波特性を有することから、RFモジュールがLED基板に存在する場合(図示せず)には、注入はコンデンサを使用して行われることができる。RF注入ポイントからλ/4アンテナ構造へ、RF信号は、最初は、50Ωの共平面導波管構造を介して伝送される。この構造を少なくともλ/10の長さにすることは有益であり得る。マイクロストリップの幅、及び基準面に向けての間隙は、50Ωの特性インピーダンスを確保するように選ばれ得る。共平面導波路構造は、マイクロストリップの両側でガードされ得ることに留意されたい。従って、基準構造は、高周波ブロック構成要素、即ち、インダクタの下で閉じられ、RF信号注入ポイントの方への明確な経路を供給する。
【0059】
λ/4アンテナ構造の長さは、インダクタの配置によって規定され得る。このインダクタは、LED電流に対しては低いインピーダンスを供給するが、λ/4のダイポールを形成するようRF信号をブロックする。
【0060】
アンテナの性能は、λ/4アンテナ構造の周囲のクリアランス面積(clearance area)、長さ及び幅に依存するが、共平面導波路の構造的完全性にも依存する。
【0061】
不平衡RF信号の発生源は、LEDモジュールから分離されているRFドライバモジュールであり得る。良質のRF送信及び/又は受信を保証するために、RFドライバとLEDモジュールとの間に高周波の相互接続があってもよい。これは、同軸ケーブル、又は上記のような相互接続であり得る。
【0062】
ドライバモジュール9は、相互接続ケーブル13を介してLEDモジュール11を駆動するよう構成される。この目的のために、ドライバモジュール9には、主電源入力コネクタ17と、LED出力コネクタ19と、LEDドライバ21とを有するドライバ基板15が設けられる。主電源入力コネクタ17は、交流(AC)主電源信号などの主電源を受け取るための標準的なコネクタであってもよい。LEDドライバ21は、AC主電源信号を受け取り、AC主電源信号を低電圧の直流(DC)LED電流に変換するよう構成される。DC電圧は、LED出力コネクタ19及び相互接続ケーブル13を介して、発光ダイオード7に給電するために使用され得る。ドライバ基板15は、RFモジュール35を更に有する。
【0063】
RFモジュール35は、RF信号が前記相互接続ケーブル13を通じて前記アンテナ25に伝達されるように、前記RF信号を生成し、生成された前記RF信号を前記LED電流に重畳するよう構成される。RFモジュール35は、ドライバ基板15に設けられるデジタルアドレス可能な照明インターフェース(DALI)37に接続され、DALI37は、RFモジュール35に給電するよう構成される。RFモジュール35は、アナログ/デジタル変換器(ADC)39を具備する。ADC39は、制御ユニット41に、前記制御ユニット41によって前記発光ダイオード7の動作電力をモニタするための信号を供給するよう構成される。制御ユニット41は、制御ユニット41によってADC39から受信される信号を考慮に入れて発光ダイオード7の動作電力を制御するために、LEDドライバ21に通信可能に結合される。RF信号は、RFモジュール35とLED出力コネクタ19との間に設けられるコンデンサ43を介して、前記相互接続ケーブル13に重畳される。
【0064】
当業者は、請求項記載の発明の実施において、図面、明細及び添付の特許請求の範囲の研究から、開示されている実施形態に対する他の変形を、理解し、達成することができる。特許請求の範囲において、「有する」という単語は、他の要素又はステップを除外せず、単数形表記は、複数性を除外しない。単一のプロセッサ又は他のユニットが、特許請求の範囲において挙げられている複数のアイテムの機能を果たしてもよい。単に、或る特定の手段が、相互に異なる従属請求項において挙げられているという事実は、これらの手段の組み合わせは有利になるようには使用されることができないことを示すものではない。コンピュータプログラムは、適切な媒体上に記憶/分散されてもよい。特許請求の範囲における如何なる参照符号も、特許請求の範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。
図1
図2
図3