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特許7588642マルチチャンバー型採血装置ならびに関連するシステムおよび方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-14
(45)【発行日】2024-11-22
(54)【発明の名称】マルチチャンバー型採血装置ならびに関連するシステムおよび方法
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/154 20060101AFI20241115BHJP
【FI】
A61B5/154 100
【請求項の数】 16
(21)【出願番号】P 2022523083
(86)(22)【出願日】2020-10-07
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-12-26
(86)【国際出願番号】 US2020054628
(87)【国際公開番号】W WO2021076375
(87)【国際公開日】2021-04-22
【審査請求日】2023-08-03
(31)【優先権主張番号】62/916,014
(32)【優先日】2019-10-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/956,543
(32)【優先日】2020-01-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】17/063,241
(32)【優先日】2020-10-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】595117091
【氏名又は名称】ベクトン・ディキンソン・アンド・カンパニー
【氏名又は名称原語表記】BECTON, DICKINSON AND COMPANY
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】弁理士法人谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ウェストン エフ.ハーディング
【審査官】増渕 俊仁
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-253538(JP,A)
【文献】特開2001-321366(JP,A)
【文献】特表2007-501398(JP,A)
【文献】特開2001-264316(JP,A)
【文献】特開2003-144423(JP,A)
【文献】特表2014-534850(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 5/06-5/22
G01N 33/48
G01N 1/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
閉鎖端と、前記閉鎖端の反対側にある開放端とを含む管状容器と、
前記開放端を密封するプラグと、
前記管状容器の内部にスライド可能に配置されるパーティションであって、前記パーティションが、前記管状容器を第一のチャンバーおよび第二のチャンバーに分離し、前記第一のチャンバーおよび前記第二のチャンバーが減圧排気され、これにより、前記第一のチャンバーの内圧および前記第二のチャンバーの内圧が周囲圧力よりも低くなり、前記パーティションが空気に対して不透過であり、前記第一のチャンバーおよび前記第二のチャンバーが気密化され、前記第一のチャンバーのサイズおよび前記第二のチャンバーのサイズが採血前にほぼ同等である、パーティション
を備えることを特徴とする、採血装置。
【請求項2】
前記第一のチャンバーが前記プラグに近接し、前記第二のチャンバーが前記閉鎖端に近接することを特徴とする、請求項記載の採血装置。
【請求項3】
前記第一のチャンバーの内圧および前記第二のチャンバーの内圧が、採血前に同等であることを特徴とする、請求項記載の採血装置。
【請求項4】
血液が前記第一のチャンバーに引き込まれることに対応して、前記第一のチャンバーの内圧が増加し、前記パーティションが前記閉鎖端に向かってスライドし、これにより、前記第一のチャンバーのサイズが増加し、前記第二のチャンバーのサイズが減少することを特徴とする、請求項3記載の採血装置。
【請求項5】
前記パーティションがゴム製プラグを含み、前記ゴム製プラグの外側周囲が、前記管状容器に接触して密封を形成することを特徴とする、請求項1記載の採血装置。
【請求項6】
前記パーティションが、本体と、前記本体の外周囲に結合されるO型リングとを含み、前記O型リングが、前記管状容器に接触して密封を形成することを特徴とする、請求項1記載の採血装置。
【請求項7】
前記パーティションおよび前記管状容器の間に配置される潤滑剤をさらに備えることを特徴とする、請求項1記載の採血装置。
【請求項8】
前記管状容器の内部にスライド可能に配置される別のパーティションと、第三のチャンバーとをさらに備え、前記第二のチャンバーが前記パーティションと前記別のパーティションとの間に配置され、前記第三のチャンバーが減圧排気され、これにより、前記第三のチャンバーの内圧が周囲圧力より低くなり、前記別のパーティションが空気に対して不透過であり、前記第三のチャンバーが気密化されることを特徴とする、請求項記載の採血装置。
【請求項9】
前記パーティションが、内側部分と、前記内側部分を取り込む外側部分とを含み、前記内側部分が第一のデュロメーターを有し、前記外側部分が第二のデュロメーターを有し、前記第一のデュロメーターが前記第二のデュロメーターよりきいことを特徴とする、請求項1記載の採血装置。
【請求項10】
前記管状容器に結合される採血セットであって
ハブと、
患者の血管系に挿入するために、前記ハブを超えて先端を遠位に伸ばす針と、
カニューレと、エラストマー製シースとを含むアダプターであって、前記エラストマー製シースが前記アダプターに結合され、前記カニューレを包み込前記カニューレは、前記管状容器の内部に配置可能である、アダプターと、
前記ハブに結合される遠位端と、前記アダプターに結合される近位端とを含む延長チューブと
含む採血セット
さらに備えることを特徴とする、請求項1記載の採血装置
【請求項11】
前記第一のチャンバーが前記プラグに近接し、前記第二のチャンバーが前記閉鎖端に近接することを特徴とする、請求項10記載の採血装置
【請求項12】
前記第一のチャンバーの内圧および前記第二のチャンバーの内圧が同等であることを特徴とする、請求項10記載の採血装置
【請求項13】
前記パーティションがゴム製プラグを含み、前記ゴム製プラグの外側周囲が、前記管状容器に接触して密封を形成することを特徴とする、請求項10記載の採血装置
【請求項14】
前記パーティションが、本体と、前記本体の外周囲に結合されるO型リングとを含み、前記O型リングが、前記管状容器に接触して密封を形成することを特徴とする、請求項10記載の採血装置
【請求項15】
前記パーティションおよび前記管状容器の間に配置される潤滑剤をさらに備えることを特徴とする、請求項10記載の採血装置
【請求項16】
前記管状容器の内部にスライド可能に配置される別のパーティションと、第三のチャンバーとをさらに備え、前記第二のチャンバーが前記パーティションと前記別のパーティションとの間に配置され、前記第三のチャンバーが減圧排気され、これにより、前記第三のチャンバーの内圧が、周囲圧力より低くなり、前記第一のチャンバーの内圧および前記第二のチャンバーの内圧に同等となり、前記別のパーティションが空気に対して不透過であり、前記第三のチャンバーが気密化されることを特徴とする、請求項10記載の採血装置
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マルチチャンバー型採血装置ならびに関連するシステムおよび方法に関する。
【背景技術】
【0002】
真空採血管は、一端にゴム栓付きの試験管を含む。真空採血管は試験管から空気の全部または一部が除去されていることにより、真空採血管の内圧が周囲圧力より低くなっている。このような真空採血管は、内部真空または真空管と呼ばれることもある。一般に使用される真空採血管は、ベクトン・ディキンソン・アンド・カンパニー社から入手可能となる、バキュテナー採血管である。
【0003】
患者から血液サンプルを収集するために、臨床医は、最初に針またはカテーテルのいずれかを使用して患者の静脈にアクセスする。アダプターが、針またはカテーテルに結合されている。このアダプターは、真空採血管のゴム栓を貫通する追加の針を含む。ゴム栓が貫通されると、静脈の内圧は、真空採血管の内圧より高く、真空採血管に血液を押し込み、こうして真空採血管を血液で満たす。真空採血管の内圧が静脈の内圧に等しくなるまで、真空採血管が充満するにつれて、真空採血管の内部の真空は減少し、血流は停止する。血液が真空管に引き込まれるとき、赤い血液細胞は高いせん断応力内にあり、溶血の影響を受けやすくなる。
【0004】
本明細書で請求される主題は、任意の短所を解決する、または、上述されたような環境でのみ作用する実施形態に限定されない。むしろ、この背景は、本明細書で記述される幾つかの実装が実施され得る一つの例示的な技術分野を説明するためのみに提供される。
【発明の概要】
【0005】
本発明は、マルチチャンバー型採血装置、同様に関連するシステムおよび方法に対して一般的に関連する。幾つかの実施形態において、採血装置は管状容器を備え得て、この管状容器は、閉鎖端と、閉鎖端の反対側にある開放端とを含み得る。幾つかの実施形態において、採血装置は、開放端を密封するプラグと、開口端および閉口端の間の管状容器の内部にあるパーティションとを備える。幾つかの実施形態において、このパーティションは、第一のチャンバーおよび第二のチャンバーに管状容器を分離し得る。幾つかの実施形態において、第一のチャンバーおよび第二のチャンバーは減圧排気され得て、これにより、第一のチャンバーの内圧および第二のチャンバーの内圧が周囲圧力より低くなる。このパーティションは、空気に対して不透過であり得て、第一のチャンバーおよび第二のチャンバーは気密化され得る。
【0006】
幾つかの実施形態において、第一のチャンバーはプラグに近接し得て、第二のチャンバーは閉鎖端に近接し得る。幾つかの実施形態において、第一のチャンバーの内圧および第二のチャンバーの内圧は、同等であり得る。幾つかの実施形態において、第一のチャンバーのサイズおよび第二のチャンバーのサイズは、ほぼ同等であり得る。幾つかの実施形態において、パーティションは、通常、管状容器の長手方向の中央に配置され得る。
【0007】
幾つかの実施形態において、血液が第一のチャンバーに引き込まれることに応じて、第一のチャンバーの内圧が増加し得て、パーティションが閉鎖端の方へ移動し得て、これにより、第一のチャンバーのサイズが増加し、第二のチャンバーのサイズが減少する。
【0008】
幾つかの実施形態において、パーティションはプラグを含み得る。幾つかの実施形態において、パーティションは、ゴムまたは別の適切な材料で構成され得る。幾つかの実施形態において、パーティションの本体の外側周囲は、管状容器に接触し得て、密封を形成する。幾つかの実施形態において、パーティションはO型リングを含み得て、このリングは、パーティションの本体の外側周囲に結合され、管状容器に接触して、密封を形成し得る。
【0009】
幾つかの実施形態において、潤滑剤が、パーティションおよび管状容器の間に配置され得る。幾つかの実施形態において、パーティションは、内側部分および外側部分を含み得て、この外側部分は内側部分を取り囲み得る。幾つかの実施形態において、内側部分は第一のデュロメーターを有し、外側部分は第二のデュロメーターを有する。幾つかの実施形態において、第一のデュロメーターは、第二のデュロメーターより大きい得る。
【0010】
幾つかの実施形態において、採血装置は、別のパーティションおよび第三のチャンバーを備える。幾つかの実施形態において、第二のチャンバーは、パーティションとその他のパーティションとの間に配置され得る。幾つかの実施形態において、第三のチャンバーは減圧排気され得て、これにより、第三のチャンバーの内圧が周囲圧力より低くなり、第一のチャンバーの内圧および第二のチャンバーの内圧と同等となる。幾つかの実施形態において、その他のパーティションは、空気に対して不透過であり得て、第三のチャンバーは気密化される。
【0011】
幾つかの実施形態において、採血方法は、採血針を患者の血管系に挿入するステップと、カニューレを採血装置に差し込むことによって採血装置を採血セットに結合するステップとを含む。幾つかの実施形態において、採血装置を採血セットに結合することに対応して、第一のチャンバーの内圧が増加し得て、パーティションが閉鎖端の方へスライドし得て、これにより、第一のチャンバーのサイズが増加し、第二のチャンバーのサイズが減少する。
【0012】
幾つかの実施形態において、採血セットは、後続する、ハブ、針、延長チューブ、およびアダプターの内の一つまたは複数を備え得る。幾つかの実施形態において、針は、ハブの内部に固定され得て、および/または、ハブを超えて先端を伸ばし得る。幾つかの実施形態において、アダプターは、カニューレおよびエラストマー製シースを含み得る。幾つかの実施形態において、エラストマー製シースは、アダプターに結合され、かつ/または、カニューレを包み込み得る。幾つかの実施形態において、延長チューブは、ハブに結合された遠位端と、アダプターに結合された近位端とを含み得る。
【0013】
上述の概要説明および後述の詳細説明の両方が、例示であり、説明的であり、特許請求されるように発明を制限しないと、解釈されるべきである。種々の実施形態が図面に示される配置や手段に限定されないことは、理解される必要がある。実施形態らが組み合わされ得て、または、他の実施形態らが有用であり得て、そのように請求されない場合も、本発明に関する種々の実施形態の範囲から逸脱することなく、構成的な変更が、そのように特許請求されなくとも、なされ得ることは、理解される必要がある。したがって、後続する詳細説明は、限定的な意味で取り扱われるべきでない。
【図面の簡単な説明】
【0014】
例示的な実施形態が記述され、以下の添付図面の使用を通してさらなる特異性および詳細とともに説明されることになる。
【0015】
図1A】幾つかの実施形態による、例示的な採血装置を示す下方視点の透視図である。
図1B】幾つかの実施形態による、図1Aにおける採血装置を示す断面図である。
図1C】幾つかの実施形態による、例示的な採血セットを示す上方視点の透視図である。
図1D】幾つかの実施形態による、図1Cにおける採血セットに結合された、図1Aにおける採血装置を示す上方視点の透視図である。
図1E】幾つかの実施形態による、図1Dにおける採血セットを示す断面図である。
図2A】幾つかの実施形態による、図1Aにおける採血装置の内部に配置され得る例示的なパーティションを示す上方視点の透視図である。
図2B】幾つかの実施形態による、図2Aにおけるパーティションを示す少し下方視点の透視図である。
図2C】幾つかの実施形態による、図1Aにおける採血装置の内部に配置され得る別の例示的なパーティションを示す上方視点の透視図である。
図2D】幾つかの実施形態による、図1Aにおける採血装置の内部に配置され得る別の例示的なパーティションを示す上方視点の透視図である。
図3】幾つかの実施形態による、図1Aにおける採血装置を示す別の断面図である。
図4A】幾つかの実施形態による、別の採血装置を示す上方視点の透視図である。
図4B】幾つかの実施形態による、図4Aにおける採血装置を示す断面図である。
図5A】幾つかの実施形態による、図1Aにおける採血装置を示す別の断面図である。
図5B】幾つかの実施形態による、図5Aにおける採血装置の内部に配置され得る別の例示的なパーティションを示す上方視点の透視図である。
図6A】幾つかの実施形態による、図1Aにおける採血装置を示す別の上方視点の透視図である。
図6B】幾つかの実施形態による、図6Aにおける採血装置を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
ここで図1Aおよび1Bを参照すると、幾つかの実施形態において、採血装置10は管状容器12を備え得て、この管状容器は、閉鎖端14および/または閉鎖端14の反対側に位置する開放端16を含み得る。幾つかの実施形態において、管状容器12は、試験管を含み得る。幾つかの実施形態において、開放端16を密封するプラグ18を含み得る。幾つかの実施形態において、プラグ18は、気密シールとして機能し得て、採血装置10が気密であることを確保する。幾つかの実施形態において、採血装置10は、管状容器12の内部にパーティション20を含み得る。幾つかの実施形態において、パーティション20は、開放端16および閉鎖端14の間に配置され得る。
【0017】
幾つかの実施形態において、パーティション20は、管状容器12を第一のチャンバー22および第二のチャンバー24に分離し得る。幾つかの実施形態において、第一のチャンバー22および第二のチャンバー24は、部分または全体のいずれかで、減圧排気され得て、これにより、第一のチャンバー22の内圧および第二のチャンバー24の内圧が周囲圧力または大気圧より低くなる。幾つかの実施形態において、第一のチャンバー22の内圧と第ニのチャンバー24の内圧とは同等であり得る。幾つかの実施形態において、第一のチャンバー22のサイズと第ニのチャンバー24のサイズは、ほぼ同等であり得る。幾つかの実施形態において、サイズは体積に対応し得る。
【0018】
幾つかの実施形態において、パーティション20は、空気および/または液体に対して不透過であり得る。幾つかの実施形態において、第一のチャンバー22および第二のチャンバー24は気密化され得る。幾つかの実施形態において、第一のチャンバー22は、プラグ18に近接し得る。幾つかの実施形態において、第二のチャンバー24は、管状容器12の閉鎖端14に近接し得る。
【0019】
幾つかの実施形態において、管状容器12は、ガラス、硬質高分子材料、プラスチック、または別の適切な材料で構成され得る。幾つかの実施形態において、プラグ18は、前方で気密シールを与えて後方で針によって穿孔される、エラストマー製材料、または、別の最適な材料で構成され得る。
【0020】
ここで図1Cを参照して、採血セット26が、幾つかの実施形態によって例証される。幾つかの実施形態において、採血セット26は、採血装置10を受け止めるように構成される、任意の適切な採血セットを含み得る。幾つかの実施形態において、採血セット26は針セットを含み得て、この針セットは翼状であり得る。例えば、針セットは、BD社製バキュテイナー・セイフティロック採血セットを含み得る。幾つかの実施形態において、針セットは、当技術分野で既知である、任意の適切な針セットを含み得る。
【0021】
幾つかの実施形態において、採血セット26は、ハブ28および針30を含み得る。幾つかの実施形態において、針30は、鋭利な遠位の先端を含み得る。幾つかの実施形態において、針30は、ハブ28の内部で固定され得る。幾つかの実施形態において、針30は、ハブ28を超えて遠位に伸び得る。幾つかの実施形態において、採血セット26は、アダプター32を含み得て、このアダプターは、カニューレ34および/またはエラストマー製シース36を含み得る。幾つかの実施形態において、採血セット26は延長チューブ38を含み得て、この延長チューブは、アダプター32およびハブ28の間で伸び得る。幾つかの実施形態において、アダプター32は、ハブ28に結合され得る。幾つかの実施形態において、アダプター32は、当技術分野で既知である、任意の適切なアダプターを含み得る。
【0022】
幾つかの実施形態において、エラストマー製シース36は、アダプター32に結合され、かつ/または、カニューレ34の近位端は、エラストマー製シース36の内部に包まれ得る。幾つかの実施形態において、エラストマー製シース36は、遠位な開放端と近位な閉鎖端を含み得る。幾つかの実施形態において、アダプター32に向かって遠位にエラストマー製シース36を押し込む採血セット26に対応して、カニューレ34は、エラストマー製シース36およびプラグ18を突き刺し得て、第一のチャンバー22に挿入され得る。
【0023】
幾つかの実施形態において、採血セット26は、カテーテルアセンブリを含み得る。これらの実施形態において、カテーテル(図示されない)は、ハブ28の遠位端から先端を遠位にして伸び得る。幾つかの実施形態において、カテーテルは、末梢静脈カテーテル(PIVC)、末梢穿刺中心静脈カテーテル(PICC)、または正中線カテーテルを含み得る。幾つかの実施形態において、カテーテルアセンブリは、当技術分野で既知である、任意の適切なカテーテルアセンブリを含み得る。幾つかの実施形態において、カテーテルアセンブリは留置針状のカテーテルを含み得て、このカテーテルは針30の上に取り付けられ得る。幾つかの実施形態において、カテーテルおよび針30は組み合わされ得て、これにより、針30の遠位な先端が、針の斜角を患者の皮膚から上に向けたカテーテルの遠位な先端を超えて伸びる。
【0024】
幾つかの実施形態において、採血セット26の針30は、患者の血管系に挿入され得る。幾つかの実施形態において、針30は、皮膚を通過して患者の血管系に浅い角度で挿入され得る。幾つかの実施形態において、針30が患者の血管系に挿入されることに対応して、血液が、針30、ハブ28、および延長チューブ38を通過して流出し得る。幾つかの実施形態において、このとき、血液がアダプター32に流れ込み得る。幾つかの実施形態において、カテーテルが患者の血管系に挿入されることに対応して、血液が、カテーテル、ハブ28、および延長チューブ38を通過して、それからアダプター32に流れ込み得る。
【0025】
図1Dおよび1Eを参照すると、幾つかの実施形態において、採血装置10は、カニューレ34を採血装置10に差し込むことによって、採血セット26に結合され得る。幾つかの実施形態において、採血セット26が血管系の内部に配置された後に、採血装置10が採血セット26に結合され得る。幾つかの実施形態において、プラグ18がカニューレ34によって貫通されるとき、血管系の内圧は、血管系より低圧になり得る第一のチャンバー22に血液を押し込み得る。
【0026】
幾つかの実施形態において、パーティション20は、溶血のリスクを軽減しつつ、完全な血液サンプルの収集を容易し得る。幾つかの実施形態において、第一のチャンバー22の内部の真空は、パーティション20のために、そうでない場合より迅速に減少する。幾つかの実施形態において、パーティション20は、第一のチャンバー22の内部の真空レベルでより速い落下を促進することにより、血液が高いせん断応力の状態に留まる時間を低減し得る。幾つかの実施形態において、第一のチャンバー22の内部の真空レベルにおける迅速な落下は、管状容器12のサイズの一部分、またはその約半分のサイズのみである第一のチャンバー22のサイズに起因し得る。
【0027】
幾つかの実施形態において、第一のチャンバー22の内部の真空が予め決められたレベルまで落ちることに対応して、第一のチャンバー22および第二のチャンバー24の間における圧力差が、パーティション20を閉鎖端14に向かってスライドさせ得る。幾つかの実施形態において、パーティション20が閉鎖端14に向かってスライドすることに対応して、第一のチャンバー22のサイズは、第一のチャンバー22に対してより高い真空度を効果的に増すことにより、増加し得る。幾つかの実施形態において、パーティションが閉鎖端14に向かってスライドすることに対応して、第二のチャンバー24のサイズは減少し得る。幾つかの実施形態において、パーティション20が閉鎖端14に隣接または近接してスライドすること、および、第一のチャンバー22が血液で充填されることに起因して第一のチャンバー22の内部の真空が消耗することに対応して、採血装置10への血流が停止し得る。
【0028】
ここで図2Aおよび2Bを参照して、パーティション40が例証される。幾つかの実施形態において、パーティション40は、一つまたは複数の含まれた特徴および/または作用の観点から、図1Aないし1E、図3、ならびに図4Aおよび4Bに関して議論されるパーティション20と同様、または同一であり得る。幾つかの実施形態において、パーティション40が閉鎖端14に向かってスライドするとき、パーティション40における外側の周囲43が管状容器12の内側表面に接触し得る。幾つかの実施形態において、パーティション40が閉鎖端14に向かってスライドするとき、パーティション40は、第一のチャンバー22および第二のチャンバー24の間における密封を維持し得て、これらのチャンバーが気密であり得る。このようにして、幾つかの実施形態において、パーティション40は、プラグとして機能する。
【0029】
幾つかの実施形態において、パーティション40の本体は、通常、円筒形状であり得る。幾つかの実施形態において、パーティション40の近位面44および遠位面47は平面状であり得て、これらの面は、第一のチャンバー22および/または第二のチャンバー24のサイズを大きくする。幾つかの実施形態において、少なくとも近位面44は、先細り状、または丸形状であり得て、この面は、閉鎖端14およびパーティション40の間で接触を容易にし得る。
【0030】
幾つかの実施形態において、パーティション40はゴム製であり得て、このゴムは、圧力変化に対応して管状容器12の内部でパーティション40がスライドすることを容易にし得る。幾つかの実施形態において、パーティション20は、硬質若しくは軟質プラスチック、または別の適切な材料で構成され得る。
【0031】
ここで図2Cを参照して、パーティション48が、幾つかの実施例にしたがって例証される。幾つかの実施形態において、パーティション48は、一つまたは複数の含まれた特徴および/または作用の観点から、図1Aないし1E、図3、ならびに図4Aおよび4Bに関して議論されるパーティション20、および/または、図2Aおよび2Bに関して議論されるパーティション40と同様、または同一であり得る。幾つかの実施形態において、パーティション48は、パーティション48の本体の外周囲に結合するO型リング49を含み得る。幾つかの実施形態において、O型リング49はゴム製であり得て、かつ/または、本体はプラスチック製であり得る。
【0032】
図2Dを参照して、パーティション50が、幾つかの実施形態にしたがって例証される。幾つかの実施形態において、パーティション50は、一つまたは複数の含まれた特徴および/または作用の観点から、一つまたは複数の後続、すなわち、図1Aないし1E、図3、ならびに図4Aおよび4Bに関して議論されるパーティション20、図2Aおよび2Bに関して議論されるパーティション40、および図2Cに関して議論されるパーティション48と同様、または同一であり得る。
【0033】
幾つかの実施形態において、パーティション50は、内側部分54および外側部分56を含み得て、この外側部分は、内側部分54を取り囲み得る。幾つかの実施形態において、内側部分54は第一のデュロメーターを有し得て、外側部分56は第二のデュロメーターを有し得る。幾つかの実施形態において、第一のデュロメーターは第二のデュロメーターより大きい得る。幾つかの実施形態において、内側部分54および/または外側部分56は、プラスチック製であり得る。幾つかの実施形態において、内側部分54は軟質であり得て、外側部分56は硬質であり得る。
【0034】
ここで図3を参照すると、幾つかの実施形態において、採血装置10は、潤滑剤58をさらに含み得て、この潤滑剤は、管状容器12の内側表面の全体または一部分に配置され得る。幾つかの実施形態において、潤滑剤58は、プラグ18から閉鎖端14に至る内側表面の全体または一部分に配置され得る。幾つかの実施形態において、潤滑剤58は、パーティション20および管状容器12の間に配置され得る。幾つかの実施形態において、潤滑剤58は、オイル、例えば、シリコーン油、または鉱油などを含み得る。幾つかの実施形態において、潤滑剤58の量または配置は、賦活圧力を調整するために変更され得る。この賦活圧力は、第一のチャンバー22および第二のチャンバー24の内圧間における圧力差として定義され得て、管状容器12の閉鎖端14に向かうパーティション20の動きを起こす。幾つかの実施形態において、圧力差は予め決定され得る。
【0035】
ここで図4Aおよび4Bを参照すると、幾つかの実施形態において、採血装置10は、別のパーティション60および第三のチャンバー62をさらに備え得る。幾つかの実施形態において、パーティション60は、一つまたは複数の含まれた特徴および/または作用の観点から、一つまたは複数の後続、すなわち、図1Aないし1E、図3、ならびに図4Aおよび4Bに関して議論されるパーティション20、図2Aおよび2Bに関して議論されるパーティション40、および図2Cに関して議論されるパーティション48と同様、または同一であり得る。
【0036】
幾つかの実施形態において、第二のチャンバー24は、パーティション20およびその他のパーティション60の間に配置され得る。幾つかの実施形態において、第三のチャンバー62も、部分的にまたは全体として減圧排気され得て、これにより、第三のチャンバー62の内圧が周囲圧力より低くなり、第一のチャンバー22の内圧および第二のチャンバー24の内圧と同等となる。幾つかの実施形態において、その他のパーティション60は、空気に対して不透過であり得て、第三のチャンバー62は気密化され得る。幾つかの実施形態において、パーティション20およびその他のパーティション60は、異なる賦活圧力を有し得る。幾つかの実施形態において、採血装置10は、二つ以上のパーティションおよび三つ以上のチャンバーを含み得る。
【0037】
ここで図5Aおよび5Bを参照すると、幾つかの実施形態において、パーティション40における本体の遠位面47は、凹形状であり得る。幾つかの実施形態において、遠位面47は、円形リムと、このリムの内側にある凹形状とを含み得る。幾つかの実施形態において、この凹形状は、逆ドーム形、または別の適切な形状を含み得る。幾つかの実施形態において、本体の遠位面47は、第一のチャンバー22に面し得る。幾つかの実施形態において、遠位面47の凹形状は、パーティション20と、パーティション40に接触し得る管状容器12の壁との間における摩擦を増大させ得る。さらに詳細に、幾つかの実施形態において、第一のチャンバー22の内圧の高まりに対応して、遠位面47の凹形状に対する法線力が増大し得て、この法線力は、凹形状を押し進め、これによってパーティション20および管状容器12の壁の間における摩擦を増大させ得る。幾つかの実施形態において、第一のチャンバー22が血液で充満するにつれて、パーティション20と、管状容器12の壁との間における摩擦の増加は、閉鎖端14に向かうパーティション20の動きを緩和し得る。幾つかの実施形態において、凹形状は、遠位面47および/または近位面44の上に配置され得る。
【0038】
ここで図6Aおよび6Bを参照すると、幾つかの実施形態において、パーティション40の本体の遠位面47は、凸形状を含み得る。幾つかの実施形態において、凸形状は、ドーム形、または別の適切な形状であり得る。幾つかの実施形態において、本体の遠位面47は、第一のチャンバー22に面し得る。幾つかの実施形態において、遠位面47の凸形状は、パーティション20と、パーティション40に接触し得る管状容器12の壁との間における摩擦を減少させ得る。
【0039】
さらに詳細に、幾つかの実施形態において、第一のチャンバー22の内圧の増加に対応して、遠位面47の凹形状に対する法線力が増大し得る。幾つかの実施形態において、法線力が、凸形状を押し進め得て、これによってパーティション20および管状容器12の壁の間における摩擦を減少させ得る。幾つかの実施形態において、第一のチャンバー22が血液で充満するにつれて、パーティション20および管状容器12の壁の間における摩擦の減少は、閉鎖端14に向かうパーティション20の動きを促進し、または加速し得る。幾つかの実施形態において、パーティション20および管状容器12の壁の間における摩擦の減少は、潤滑剤からの粘着性による動きに対するパーティション20の初期抵抗を克服することに役立ち得る。幾つかの実施形態において、凸形状は、遠位面47および/または近位面44の上に配置され得る。幾つかの実施形態において、遠位面47は凸形状を含み得て、近位面44は凹形状を含み得る。他の実施例において、遠位面47は凹形状を含み得て、近位面44は凸形状を含み得る。
【0040】
本明細書で引用される全ての例示および条件的な言葉は、発明と、当技術分野の発展に対して発明者によって提供された概念とを理解する上で、読者を支援するように、教育的な目的のために意図されており、このように具体的に引用された例示および条件に限定されないものとして構成されるべきである。本発明に関する実施例は詳細に記述されているが、発明の趣旨および範囲を逸脱することなく、種々の変形、置換、および改変をここに加えることができることは、理解される必要がある。
図1A
図1B
図1C
図1D
図1E
図2A
図2B
図2C
図2D
図3
図4A
図4B
図5A
図5B
図6A
図6B