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特許7588646光学センサによって撮影された画像の符号化のための少なくとも1つの符号化規則の作成方法、光学センサによって撮影された画像の符号化方法、および情報処理ユニット
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-14
(45)【発行日】2024-11-22
(54)【発明の名称】光学センサによって撮影された画像の符号化のための少なくとも1つの符号化規則の作成方法、光学センサによって撮影された画像の符号化方法、および情報処理ユニット
(51)【国際特許分類】
   H04N 19/126 20140101AFI20241115BHJP
   H04N 19/136 20140101ALI20241115BHJP
   H04N 19/98 20140101ALI20241115BHJP
   H04N 19/117 20140101ALI20241115BHJP
   H04N 19/182 20140101ALI20241115BHJP
   H04N 19/80 20140101ALI20241115BHJP
   H04N 19/86 20140101ALI20241115BHJP
   H04N 1/41 20060101ALI20241115BHJP
【FI】
H04N19/126
H04N19/136
H04N19/98
H04N19/117
H04N19/182
H04N19/80
H04N19/86
H04N1/41
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2022537019
(86)(22)【出願日】2020-11-13
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-02-20
(86)【国際出願番号】 EP2020082012
(87)【国際公開番号】W WO2021121807
(87)【国際公開日】2021-06-24
【審査請求日】2022-06-16
(31)【優先権主張番号】102019219828.7
(32)【優先日】2019-12-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】591245473
【氏名又は名称】ロベルト・ボッシュ・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング
【氏名又は名称原語表記】ROBERT BOSCH GMBH
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 淳一
(72)【発明者】
【氏名】ゲーゼ,マルク
(72)【発明者】
【氏名】ゼーガー,ウルリヒ
(72)【発明者】
【氏名】レントシュラー,トビアス
(72)【発明者】
【氏名】ゼップ,ボルフガング
【審査官】久保 光宏
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-5103(JP,A)
【文献】特開平7-298258(JP,A)
【文献】国際公開第2007/148425(WO,A1)
【文献】特開2008-113439(JP,A)
【文献】特開2007-72987(JP,A)
【文献】国際公開第2016/017272(WO,A1)
【文献】特開2009-44633(JP,A)
【文献】実践マルチメディア[改訂新版]編集委員会,「実践マルチメディア[改訂新版]」,第1版,日本,公益財団法人 画像情報教育振興協会(CG-ARTS),2018年03月26日,第262~267頁,ISBN: 978-4-903474-61-8.
【文献】中 光政 編著,「新・現代情報リテラシー」,第1刷,日本,株式会社 同友館,2018年03月31日,第252~260頁,ISBN: 978-4-496-05338-2.
【文献】藤代 一成(外1名)編集委員長,「ビジュアル情報処理 -CG・画像処理入門 - [改訂新版]」,第一版,日本,公益財団法人 画像情報教育振興協会(CG-ARTS),2017年03月23日,第132~134頁,ISBN: 978-4-903474-57-1.
【文献】大久保 榮 監修,「H.265/HEVC教科書」,初版,日本,株式会社インプレスジャパン,2013年10月21日,第150~161頁,ISBN: 978-4-8443-3468-2.
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N19/00-19/98
H04N1/41-1/419
CSDB(日本国特許庁)
学術文献等データベース(日本国特許庁)
IEEEXplore(IEEE)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光学センサ(110)によって撮影された画像(115)の符号化のための少なくとも1つの符号化規則(105)を作成するための方法(600)であって、少なくとも
- 前記光学センサ(110)によって撮影された前記画像(115)を読み込むステップ(610)と、
- 前記画像(115)内の異なる様々な画素(118)における光信号値(123)の発生の頻度分布(122)を作成するステップ(620)と、
- 前記光学センサ(110)によって撮影された前記画像(115)の符号化のための少なくとも1つの前記符号化規則(105)を作成するために、前記頻度分布(122)を使用して光信号値(123)に符号語(135)を割り当てるステップ(630)とを有し、
最小値の符号語(135)に対し、前記頻度分布(122)からの最低の光信号値(123)の周りの許容範囲内にある1つの光信号値(123)が割り当てられ、および/または最高値の符号語(135)に対し、前記頻度分布(122)からの最高の光信号値(123)の周りの許容範囲内にある1つの光信号値(123)が割り当てられ、
前記異なる様々な画素(118)は、前記光学センサ(110)によって撮影された前記画像(115)内にあるオブジェクト(119)を表し、
さらに、前記割り当てるステップ(630)で前記符号語(135)が割り当てられた前記光信号値(123)に基づいて得られた符号化された画像(420)において前記オブジェクト(119)が認識される、車両の自律走行のための自動評価を行うステップを有し、
前記読み込むステップ(610)において、前記光学センサ(110)によって撮影されたさらなる画像(115’)が読み込まれ、前記作成するステップ(620)において、前記さらなる画像(115’)内の異なるさらなる画素(118’)における光信号値(123)の発生のさらなる頻度分布(122’)が作成され、かつ前記割り当てるステップ(630)において、さらなる符号化規則(105’)を作成するために、前記さらなる頻度分布(122’)を使用して前記光信号値(123)にさらなる符号語(135’)が割り当てられ、
前記符号語(135)が割り当てられた前記光信号値(123)に基づいて得られた前記符号化された画像(420)は、前記画像(115)のエッジ領域内の画素に、前記符号語(135)および前記さらなる符号語(135’)を使用して確定された補助値が割り当てられることで符号化され、
前記補助値は、前記画素(118)が前記エッジ領域の境界線に近ければ近いほど前記さらなる符号語(135’)の重みが上昇し、前記さらなる画素(118’)が前記境界線に近ければ近いほど前記符号語(135)の重みが上昇することにより確定される、方法(600)。
【請求項2】
前記割り当てるステップ(630)において、前記画像(115)内での頻度の高い光信号値(123)の範囲では、隣接する符号語(135)に対し、前記符号語(135)に割り当てるべき前記光信号値(123)間の差の小さい光信号値が割り当てられるように、および/または前記画像(115)内での頻度の低い光信号値(123)の範囲では、隣接する符号語(135)に対し、前記符号語(135)に割り当てるべき前記光信号値(123)間の差の大きい光信号値が割り当てられるように、光信号値(123)に前記符号語(135)が割り当てられ、
前記符号語(135)は、互いに区分可能な複数の符号語(135)であり、各々の前記符号語(135)は、順序配列されることにより符号語空間において互いに隣接することを特徴とする請求項1に記載の方法(600)。
【請求項3】
前記読み込むステップ(610)において、前記光学センサ(110)によって撮影された全体画像(200)の1つの断片を表す画像(115)が読み込まれることを特徴とする請求項1または2に記載の方法(600)。
【請求項4】
前記割り当てるステップ(630)において、前記符号化規則(105)の前記符号語(135)より大きな符号語長を有するさらなる符号語(135’)が使用されることを特徴とする請求項に記載の方法(600)。
【請求項5】
前記作成するステップ(620)において、光学的可視光の所定のスペクトル部分領域の光信号値、および/もしくは前記センサ(110)によって知覚可能なスペクトル領域の光信号値、および/もしくは前記センサ(110)によって検出可能な光パラメータの光信号値(123)に関する前記頻度分布(122)が作成されることを特徴とする請求項1からのいずれか1項に記載の方法(600)。
【請求項6】
前記割り当てるステップ(630)において、前記符号語(135)は、所定の同じビット長を有する符号語として、2進数列が使用されることを特徴とする請求項に記載の方法(600)。
【請求項7】
請求項1からのいずれか1項に記載の方法(600、700)の各ステップを相応のユニット(117、120、130;117、130)において実行するために適応されている情報処理ユニット(100、400)。
【請求項8】
請求項1からのいずれか1項に記載の方法(600、700)の各ステップを実行するために適応されているコンピュータプログラム。
【請求項9】
請求項に記載のコンピュータプログラムが保存された機械可読のメモリ媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、独立請求項の属概念に基づく方法および情報処理ユニットを出発点とする。コンピュータプログラムも本発明の対象である。
【背景技術】
【0002】
画像処理システムではしばしば、周囲の非常に様々な範囲を表示する画像をできるだけ少ないメモリコストで保存または処理でき、それにもかかわらずこの画像からできるだけ多くの細部を十分に正確に再現することが問題になっている。この理由から、しばしば非常に高い画像解像度が使用されるが、たとえこの画像の個々の範囲が、表示すべき細部をさほど内包しておらず、よってより大まかな符号化方法でも十分であるとしても、この非常に高い解像度が、この画像の保存または符号化のために膨大なメモリ要求量を再び必要とする。
【0003】
これを踏まえて、本明細書で示されるアプローチにより、独立請求項に基づく、光学センサによって撮影された画像の符号化のための少なくとも1つの符号化規則の作成方法、光学センサによって撮影された画像の符号化方法、さらにこれらの方法の少なくとも1つを使用する情報処理ユニット、および最後に相応のコンピュータプログラムが紹介される。従属請求項に記載した措置により、独立請求項で提示した装置の有利な変形および改善が可能である。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
本明細書で提案されるアプローチに基づき、光学センサによって撮影された画像の符号化のための少なくとも1つの符号化規則を作成するための方法であって、少なくとも
- 光学センサによって撮影された画像を読み込むステップと、
- 画像内の異なる様々な画素における光信号値の発生の頻度分布を作成するステップと、
- 光学センサによって撮影された画像の符号化のための少なくとも1つの符号化規則を作成するために、頻度分布を使用して光信号値に符号語を割り当てるステップとを有する方法が示される。
【0005】
光学センサとは、例えばカメラまたはその類似物のことであり得る。画像内の画素とは、例えばピクセルと理解されてもよく、このピクセルにおいて、明るさまたはピクセルの当該位置で作用している別の光パラメータが捕捉され、かつ光信号値の形態で保存または転送され得る。光信号値とは、例えば明るさ、例えば特定のスペクトル領域(色)の光強度、偏光、拡張されたスペクトルチャネル、またはそれに類するものであり得る。符号語とは、シンボルまたはシンボルの組合せであり得、これを用いることで、光信号値が、符号語の例えば順序系(ordinales System)内で保存され得る。符号化規則とは、光信号値または光信号値範囲をそれぞれ相応の符号語に(またはその逆)割り当てる割当規則のことであり得る。
【0006】
本明細書で示されるアプローチの基礎となる知見は、画像または画像の少なくとも1つの断片の符号化のための非常に効率的な1つの可能性が、様々な光信号値が符号語に割り当てられることで行えるということであり、これに関しては、この画像(または画像の断片)上の光信号値の発生の頻度分布が考慮される。これにより、ピクセルまたは画素によって提供される画像信号値の符号化が達成され、この符号化は、画像内または画像の断片内で表示されているさらなるオブジェクトのできるだけ良好な考慮を可能にする。その場合には、これらのさらなるオブジェクトも、画像内または画像の断片内の対応する画素における光強度の上昇を特色とすることが活用され、したがって、画像内の個々の画素における明るさまたはその他の光パラメータの頻度分布を確定することにより、画像内で幾つのオブジェクトまたは異なるもしくは区別可能なオブジェクトが符号化されるべきかについての情報ももたらされる。これにより、作成された符号化規則のその後の適用により、画像の非常にメモリ効率の良い符号化が実現され、この符号化規則は、画像内の個々のオブジェクトの解像度に関して高い詳細度も可能にし、それに応じて、使用されるべき符号語の適切なフォーマットの選択も可能とする。これにより、例えば、少しのオブジェクトまたは細部が区別されればよい画像または画像の断片に対しては、小さな符号語空間しか生じない符号化規則を用いて符号化することができ、それとは逆に、多くのオブジェクトまたは細部が区別されなければならない画像または画像の断片に対しては、より大きな符号語空間を生じさせる符号化規則を用いて符号化することができる。つまり、光信号値の頻度分布を使用することにより、それぞれ符号化すべき画像に適合させた符号化規則を使用する可能性が開け、これにより、画像または画像の断片のできるだけメモリ効率の良い符号化が可能になる。
【0007】
さらに、本明細書で示されるアプローチの好適な一実施形態では、割り当てるステップにおいて、画像内での頻度の高い光信号値の範囲では、隣接する符号語に対し、符号語に割り当てるべき光信号値間の差の小さい光信号値が割り当てられるように、光信号値に符号語が割り当てられる。それに加えてまたはその代わりに画像内での頻度の低い光信号値の範囲では、隣接する符号語に対し、符号語に割り当てるべき光信号値間の差の大きい光信号値が割り当てられ得る。本明細書で示されるアプローチのこのような実施形態は、画像内の、非常に類似した明るさまたは光パラメータを有する範囲に対しては、明るさまたは光パラメータを非常に細かく区別可能な符号語を使用し、それとは逆に、画像内の、非常に大きな明るさの違いを有する範囲は、光信号値をさほど細かく区別可能でない符号語によって符号化するという利点を提供する。これに関し、符号語の区別可能性は、符号化規則に依拠してそれぞれの符号語に割り当てられた光信号値に基づいて生じ得る。これにより、非常に効率良く画像内容の符号化を行うことができ、この符号化は、特に、多くの異なるオブジェクトを有する範囲に対し、高い細部鮮鋭度を可能にし、したがって、要件に応じて画像の符号化の際の解像深度に変化をつけることを可能にする。
【0008】
本明細書で示されるアプローチの特に好適な一実施形態では、読み込むステップにおいて、光学センサによって撮影された全体画像の1つの断片を表す画像が読み込まれる。この場合、光学センサによって撮影された全体画像の少なくとも1つのさらなる断片は読み込まれ得ず、かつ頻度分布の作成のために使用され得ない。このような実施形態は、全体画像の個々の部分断片に対して異なる符号化規則を作成できるという利点を提供し、それにより、例えば全体画像の異なる断片に対し、要件に応じて異なる符号化規則が使用され得る場合に、全体画像の符号化または保存の効率の改善を可能にする。
【0009】
さらに、本明細書で提案されるアプローチの一実施形態が考えられ、この実施形態では、読み込むステップにおいて、光学センサによって撮影されたさらなる画像が読み込まれ、作成するステップにおいて、このさらなる画像内の異なる様々なさらなる画素における光信号値の発生のさらなる頻度分布が作成され、かつ割り当てるステップにおいて、さらなる符号化規則を作成するために、このさらなる頻度分布を使用して光信号値にさらなる符号語が割り当てられる。さらなる画像は例えば、全体画像のうち、全体画像の光学中心から放射対称的に見て、さらにこの中心の外側にある範囲に関係し得る。その代わりに全体画像をタイル状に区分する場合にも、さらなる画像は、この全体画像からのさらなるタイルに相応し得る。本明細書で示されるアプローチのこのような実施形態は、異なる画像/部分画像のために異なる符号化規則を作成し、したがってその後の使用に関し、当該の使用場面においてそれぞれ最も好適な選択のために、複数の符号化規則から1つの符号化規則を選択することを可能にするという利点を提供し、これにより、画像のできるだけメモリ効率の良い符号化が実現され得る。
【0010】
本明細書で提案されるアプローチの特に好適な一実施形態では、割り当てるステップにおいて、符号化規則の符号語より大きな符号語長を有するさらなる符号語が使用される。これにより、オブジェクトの多い画像を符号化する際に、詳細度に関する異なる要件が特に好適に顧慮され得る。
【0011】
さらに、本明細書で示されるアプローチの別の一実施形態によれば、作成するステップにおいて、光学的可視光の所定のスペクトル部分領域の光信号値、および/もしくはセンサによって検出可能なスペクトル領域(例えば紫外線領域および/もしくはNIR(near infrared)領域および/もしくはSWIR(=short wave infrared)領域もしくはFIR(far range infrared)領域)の光信号値、および/もしくはセンサによって検出可能な光パラメータの光信号値に関する頻度分布が作成され得、ならびに/または割り当てるステップにおいて、符号語として、とりわけ所定の同じビット長を有する符号語として、2進数列が使用され得る。これに関し、例えば赤、緑、青などのような特有の色を表す光学的可視光の特定のスペクトル部分領域の場合には、画像の詳細についての特に多くの情報が存在することを活用でき、この情報はその後、符号語または符号化規則の決定にも使用され得る。符号化規則において、符号語として2進数列を使用すること、特に同じ長さの符号語を使用することは、画像を符号化するためのこの符号化規則の使用を、数値的または回路技術的に簡略化するという利点を提供する。
【0012】
さらに、本明細書で提案されるアプローチの一実施形態が考えられ、この実施形態では、割り当てるステップにおいて、最小値の符号語に対し、頻度分布において最も低の光信号値の周りの許容範囲内にある1つの光信号値が割り当てられる。それに加えてまたはその代わりに割り当てるステップにおいて、最高値の符号語に対し、頻度分布における最も高いの光信号値の周りの許容範囲内にある1つの光信号値が割り当てられ得る。このような許容範囲は、例えば、頻度分布からのそれぞれの最低または最高の光信号値の周りの10~20パーセントの範囲を含み得る。本明細書で提案されるアプローチのこのような実施形態は、符号語を、または相応に割り当てられた光信号値によって生じる符号語空間を、できるだけ最適に利用するという利点を提供する。
【0013】
頻度分布を利用して、個々の画素において発生する期日を、画像の符号化のためにできるだけ好適かつメモリ効率良く使用できるように、本明細書で提案されるアプローチに基づき、光学センサによって撮影された画像を符号化するための方法であって、
- 少なくとも1つの画像および符号化規則を読み込むステップであり、この符号化規則が、画像の1つの画素の1つの光パラメータの、複数の区別可能な符号語の1つへの割当を表しており、この符号化規則によれば、2つの隣接する符号語に割り当てられた明るさおよび/または光パラメータ間の少なくとも1つの第1の差が、2つのさらなる隣接する符号語に割り当てられた明るさおよび/または光パラメータ間の第2の差とは異なっているステップと、
- 画像を符号化するために、それぞれ1つの符号語を、画像の複数の画素の少なくともそれぞれ1つに割り当てるステップとを有する方法が示される。
画像とは、ここでは、センサによって捕捉されたセンサ周囲の全体的な表示を表す画像センサ信号のことであり得る。しかしながら画像が全体画像の断片だけによって与えられることも考えられ、この場合はこの断片が符号化規則を使って符号化される。これに関し、符号化規則としては、例えば、1つの画像内の個々の画素の明るさまたは光パラメータの本明細書で示される頻度分布を適用して確定された割当規則が使用され得る。
【0014】
特に好適な一実施形態では、読み込むステップにおいて、複数の符号化規則から1つの符号化規則の選択が行われ、この選択はとりわけ画像内の異なる様々な画素における光信号値の発生の頻度分布を使用して行われる。このような実施形態は、画像または画像の断片に対し、画像/画像の断片のメモリ効率の良い符号化のためのそれぞれ相応しい符号化規則を選択できるという利点を提供し、この場合、割り当てるステップにおいて、画像/画像の断片の符号化のための符号化規則のどれが使用されたかという情報が、画像/画像の断片のできるだけ迅速かつ一義的な復号化を行えるように保存されることが望ましい。
【0015】
さらに、本明細書で提案されるアプローチの特に有利な一実施形態では、読み込むステップにおいて、1つの画像とは異なる少なくとも1つのさらなる画像およびさらなる符号化規則が読み込まれ、その際、その符号化規則はさらなる符号化規則とは異なっており、かつ割り当てるステップにおいて、画像を符号化するために、さらなる符号化規則のそれぞれ1つのさらなる符号語が、さらなる画像の複数の画素の少なくともそれぞれ1つに割り当てられる。このような実施形態は、全体画像のうちの異なる画像もしくは断片または範囲のために異なる符号化規則を使用でき、これにより、全体画像のうちの画像もしくは断片または範囲内の実情に相応して、メモリ効率の良い符号化のためのそれぞれ好適な符号化規則が使用され得るという利点を提供する。
【0016】
全体画像の復号化の際に、全体画像の個々の断片の間に生じる光学的割断縁をできるだけ回避するため、本明細書で示されるアプローチのさらなる一実施形態によれば、割り当てるステップにおいて、画像のエッジ領域内の画素に、符号語およびさらなる符号語を使用して確定された補助値が割り当てられ得る。その代わりにまたはそれに加えてこの実施形態によれば割り当てるステップにおいて、さらなる画像のエッジ領域内のさらなる画素に、符号語およびさらなる符号語を使用して確定されたさらなる補助値が割り当てられ得る。これに関してはとりわけ、補助値および/またはさらなる補助値の確定の際に、少なくとも1つの符号語およびさらなる符号語を使用して補間が実行され得る。このような補間は、例えば、この画像のさらに内側にある画素のために、この画像の符号化のための符号語のより大きな重みが、それもこの画像と境を接して隣接するさらなる画像の符号化のための符号語の重みより大きな重みが採用されるように行われ得る。
【0017】
その代わりにまたはそれに加えてさらなる一実施形態によれば、読み込むステップにおいて、少なくとも部分的に重なり合う1つの画像および1つのさらなる画像が読み込まれ得る。これにより、この1つの画像およびこの1つのさらなる画像または全体画像の部分断片の復号化が実施でき、その際、復号化された画像または全体画像での光学的アーチファクトが、できるだけ少なく保たれ得るかまたは完全に回避され得る。
【0018】
この方法の実施形態は、例えばソフトウェアもしくはハードウェアにおいて、またはソフトウェアおよびハードウェアから成る混合形態において、例えば情報処理ユニットにおいて実装され得る。
【0019】
本明細書で示されるアプローチはさらに、本明細書で示される方法の1つのバリエーションのステップを相応の機構において実施、制御、または実行するために形成された情報処理ユニットを提供する。情報処理ユニットの形態での本発明のこの実施バリエーションによっても、本発明の基礎となる課題が迅速かつ効率的に解決され得る。
【0020】
このために情報処理ユニットは、信号もしくはデータを処理するための少なくとも1つの計算ユニット、信号もしくはデータを保存するための少なくとも1つのメモリユニット、センサからセンサ信号を読み込むためのもしくはアクチュエータにデータ信号もしくは制御信号を出力するための、センサもしくはアクチュエータに対する少なくとも1つのインターフェイス、および/またはデータの読込もしくは出力のための、通信プロトコルに組み込まれた少なくとも1つの通信インターフェイスを有し得る。計算ユニットは、例えば信号プロセッサ、マイクロコントローラ、またはその類似物であることができ、その際、メモリユニットは、フラッシュメモリ、EEPROM、または磁気メモリユニットであり得る。通信インターフェイスは、データのワイヤレスおよび/または有線での読込または出力のために形成されていてもよく、これに関し、有線のデータを読み込み得るまたは出力し得る通信インターフェイスは、これらのデータを例えば電気的または光学的に、相応のデータ伝送線から読み込むことができまたは相応のデータ伝送線に出力することができる。
【0021】
本願において情報処理ユニットとは、センサ信号を処理し、かつそれに応じて制御信号および/またはデータ信号を出力する電気機器のことであり得る。情報処理ユニットは、ハードウェアおよび/またはソフトウェアによって形成され得るインターフェイスを有し得る。ハードウェアによる形成の場合、インターフェイスは、例えば情報処理ユニットの非常に様々な機能を内包しているいわゆるシステムASICの一部であり得る。ただし、インターフェイスが専用の集積回路であるかまたは少なくとも部分的には個別の部品から成ることも可能である。ソフトウェアによる形成の場合、インターフェイスは、例えば1つのマイクロコントローラ上でほかのソフトウェアモジュールと共に存在しているソフトウェアモジュールであり得る。
【0022】
機械可読の媒体またはメモリ媒体、例えば半導体メモリ、ハードディスクメモリ、もしくは光学メモリ上で保存でき、かつ上述の実施形態の1つに基づく方法のステップを実施、実行、および/または制御するために使用されるプログラムコードを有するコンピュータプログラム製品またはコンピュータプログラムも、とりわけこのプログラム製品またはプログラムがコンピュータまたは装置上で実行される場合、有利である。
本明細書で示されるアプローチの例示的実施形態を図面に示しており、以下の説明においてより詳しく解説する。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】光学センサによって撮影された画像の符号化のための符号化規則を作成するための情報処理ユニットの概略的なブロック図である。
図2図1の表示に基づく光学センサとしてのカメラから例えば画像として出力されるような全体画像を示す図である。
図3A】左の部分図は、全体画像と、頻度分布を確定するための画像としてのそれぞれ考察された全体画像断片とを示す図であり、右の部分図は、この全体画像断片から得られた、頻度分布および相応に割り当てられた符号語のグラフである。
図3B】左の部分図は、全体画像と、頻度分布を確定するための画像としてのそれぞれ考察された全体画像断片とを示す図であり、右の部分図は、この全体画像断片から得られた、頻度分布および相応に割り当てられた符号語のグラフである。
図3C】左の部分図は、全体画像と、頻度分布を確定するための画像としてのそれぞれ考察された全体画像断片とを示す図であり、右の部分図は、この全体画像断片から得られた、頻度分布および相応に割り当てられた符号語のグラフである。
図3D】左の部分図は、全体画像と、頻度分布を確定するための画像としてのそれぞれ考察された全体画像断片とを示す図であり、右の部分図は、この全体画像断片から得られた、頻度分布および相応に割り当てられた符号語のグラフである。
図4】光学センサによって撮影された画像を符号化するための情報処理ユニットの概略的なブロック図である。
図5】光学センサによって撮影された画像の符号化の準備のための断片または画像およびさらなる断片またはさらなる画像の概略図である。
図6】光学センサによって撮影された画像の符号化のための少なくとも1つの符号化規則を作成するための方法の1つの例示的実施形態のフローチャートである。
図7】光学センサによって撮影された画像を符号化するための方法の1つの例示的実施形態のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明の好適な例示的実施形態の以下の説明では、異なる図に示された類似に作用する要素に対し、同じまたは類似の符号を使用しており、その際、これらの要素を繰り返し説明はしない。
【0025】
図1は、光学センサ110によって撮影された画像115の符号化のための符号化規則105を作成するための情報処理ユニット100の概略的なブロック図を示す。情報処理ユニット100は最初に、例えばカメラとして形成されている光学センサ110によって捕捉された画像115を読み込むためのインターフェイス117を含む。この捕捉された画像115は、例えば複数の画素118(ピクセルとも言う)の二次元配列として表されており、画素118は、例えば行ごとおよび列ごとに配列されている。この場合、これらの画素118により、光学センサ110によって捕捉された周囲内にあるオブジェクト119が表され、これらの画素118は、特定の明るさを、場合によっては特定の予め規定された色においても表示し、それぞれの位置で、画像115内のオブジェクト119を表示する。
【0026】
情報処理ユニット100はさらに、頻度分布122が作成される作成ユニット120を含み、この頻度分布122に関しては、例えば頻度分布122を表示するためのグラフの横座標において、画素118内で発生した明るさもしくは光パラメータまたは光信号値123の区分が、例えば頻度分布122を表示するためのグラフの縦座標124での、それぞれ画像115の画素118内で発生した明るさ/光信号値123の数124によって示されている。したがって、作成された頻度分布122により、どの光信号値123が幾つの数124で、画像115の全範囲のそれぞれの画素118において発生しているかが認識され得る。これにより頻度分布120を基にして、画像の細部まで正確な表示または符号化のためには、どの光信号値123が非常に細かく段階づけて符号化されるべきであるか、およびどの光信号値123に対しては、高すぎる情報損失を被ることで、例えば車両の高度自律走行のためのその後の自動評価に必要な精度ではオブジェクト119が認識できなくならずに、より大まかな段階づけで十分であるかが非常に簡単に認識され得る。
【0027】
作成ユニット120は、その中ですべての光信号値のデータ内容が分析されると理解されてもまたよく、したがって作成ユニット120は分析ユニットと表されてもよい。
【0028】
情報処理ユニット100はさらに、光信号値123に符号語135を割り当てるために形成された割当ユニット130を含む。これに関し、符号語135は、光信号値123が符号化され得る符号語空間を生じさせるシンボルまたはシンボルの組合せであり得る。例えば符号語135は、例えば長さ4ビット、6ビット、10ビット、12ビット、16ビット、20ビット、または24ビットの2進数列であり得る。これに関し、画像115内の光信号値123の符号化のために、同じ長さの符号語135が使用されるのが好適であり、したがって例えばすべての符号語135が4ビットの長さを有する。この場合、光信号値123への符号語135の割当規則が符号化規則105である。光信号値123への符号語135のおよびその逆の割当の手順の詳細な説明を以下でさらに詳しく解説する。
【0029】
ここでは、光学センサ110の周囲内にあるオブジェクト119の配置の様々な場面をできるだけ精密に表示できるように、上述の手順を少なくとももう1回、しかしながら好適には複数回繰り返すことができる。これに関し、画像115とは異なる少なくとも1つのさらなる画像115’が光学センサ110から読み込まれ得る。このさらなる画像115’も、さらなる画素118’の相応の配列によって構成されることができ、このさらなる画像115’から、さらなる頻度分布122’が確定でき、このさらなる頻度分布122’では、さらなる符号化規則105’に相応して、光信号値123にさらなる符号語135’が割り当てられる。
【0030】
さらに、上述の工程は、時間的に相次いで実施される走査に制限される必要はなく、例えばSplit-Pixel構成またはマルチチャネルセンサまたはさらに(FOVEONでのような)積層型検出器の場合のような空間的に分離したセンサ素子の読み取りによっても達成され得る。
【0031】
画像115(またはさらなる画像115’)が、光学センサ110の周囲内にあるオブジェクト119の配置が再現された全体画像の断片にすぎないことも考えられる。これに関しては例えば、画像115およびさらなる画像115’は、同時に撮影されてもよく、ただしこの全体画像の異なる部分範囲を表示する。これにより、全体画像の様々な部分範囲のために相応の符号化規則105(または105’)を作成でき、これにより、表示または符号化の必要な細部精度に応じて、この符号化によって引き起こされる情報損失をできるだけ少なくし得る。
【0032】
情報処理ユニット100が実験室環境に置かれており、かつ時間的に先行して、例えば現実環境での走行時に光学センサ110によって撮影されて一時的にのみ保存された画像115または115’がインターフェイス117を介して読み込まれることも考えられる。つまり符号化規則105の作成は、画像115の生成直後にリアルタイムで行う必要はない。
【0033】
ここからは、光信号値123への符号語135の割当の際の手順をより詳しく説明するため、印刷物は、以下の図中の複数の例示的な画像115または画像115の断片を参照し、これに関し、確定すべき頻度分布122のために使用された画像115が、全体画像の断片だけかまたは全体画像自体かどうかは重要でない。したがって、簡潔にする理由から、読み込まれた1つだけの画像115に基づいて手順をより詳しく説明するが、これを以下の説明において制限的に理解するべきではない。
【0034】
図2は、図1の表示に基づく光学センサ110としてのカメラによって例えば画像115として出力されるような全体画像200を示す。これに関し、複数のオブジェクト119、例えば車両、トンネルの壁の扉、トンネル内のランプ、トンネル内の路面標示、およびトンネルの入口が認識され得る。ここで、例えば図2に示した全体画像200を3行および3列に分割すると、この画像の9つの断片が生じ、これらの断片はそれぞれ後に画像115として、別々の頻度分布122を確定するために考慮され、かつ符号化規則105の確定の基礎として使用される。
【0035】
図3A図3B図3C、および図3Dにおいて、それぞれ左の部分図では、全体画像200と、頻度分布122を確定するための画像115としてのそれぞれ考察された断片とを示しており、右の部分図では、画像115から得られた、頻度分布122および相応に割り当てられた符号語135(ここでは長さ4ビット、それにより16個の順序配列された符号語の符号語空間が生じている)のグラフを表示している。
【0036】
これに関し図3Aでは、全体画像200の真ん中の列の下の行にある断片としての画像115が使用されており、画像115としてのこの断片は、全体画像200内のトンネル内の、濡れており、したがって反射している車道の大きな部分を表示する。相応の頻度分布122として、右の部分図内のグラフの真ん中の部分に、光パラメータとしての明るさの非常に均質な範囲が生じ、この範囲は、特に高いまたは特に低い光パラメータとしての明るさをほとんど内包しない。言い換えれば、この画像115内の光パラメータ、例えば明るさは非常に近くに集まり、したがって画像115内での頻度の高い光信号値123のこの範囲内での細部の高い解像度のために、隣接する符号語135に対し、符号語135に割り当てるべき光信号値123間の差の小さい光信号値123が割り当てられる。これにより、図3Aの右の部分図では、符号語135を上昇方向に相互に結合線で結ぶと、曲線グラフ300の非常に急な軌道が生じる。これに関し、これらの符号語135の割当が、最小値の符号語135に対し、頻度分布からの最低の光信号値の周り(の例えば許容範囲内にある1つの光信号値132が割り当てられることも認識され得る。最小値の符号語とは、順序配列において、さらなる先行する符号語135を有さない符号語のことであり得る。さらに、最高値の符号語123に対しても、頻度分布122からの最高の光信号値123の周り(の例えば許容範囲内)にある1つの光信号値123が割り当てられる。最高値の符号語とは、順序配列において、さらなる後続の符号語135を有さない符号語のことであり得る。これにより、符号語135の割当により、例えば後の処理段階での非常に有利な復元のために、光信号値123の発生のダイナミックレンジが非常に効率的に符号化され得る。
【0037】
これに関し図3Bでは、全体画像200の右の列の一番上の行にある断片としての画像115が使用されており、画像115としてのこの断片は、全体画像200内のトンネル内の、車道の上方の天井板とランプの大きな部分を表示する。相応の頻度分布122として、図3Bの右の部分図内のグラフの真ん中および右の部分に、明るく光るランプの存在により、光パラメータとしての明るさ123の非常に不均質な範囲が生じ、この範囲は、真ん中の部分だけでなく、特に高い明るさ123も内包する。言い換えれば、この画像115内の光パラメータとしての明るさは部分的に互いから非常に遠くに離れ、したがって、画像115内での頻度の高い光信号値123の最初の真ん中(および右も)の範囲内での細部の高い解像度のために、隣接する符号語135に対し、符号語135に割り当てるべき光信号値123間の差の小さい光信号値123が割り当てられる。頻繁に発生している光信号値123のこの両方の範囲の間には、画像115内ではほとんどまったく生じていない光信号値123のさらなる範囲がある。これらの光信号値123には細かい区別も必要なく、したがって一般的に言えば、画像115内での(ほかの光信号値123に比べて)頻度の低い光信号値123の範囲内では、隣接する符号語135に対し、符号語135に割り当てるべき光信号値123間の差の大きい光信号値123が割り当てられる。これにより、図3Bの右の部分図では、符号語135を上昇方向に相互に結合線で結ぶと、光信号値123が積み上がった範囲内では曲線グラフ300の非常に急な軌道が生じる。この場合、光信号値123が頻繁に発生している両方の範囲の間の範囲では、この曲線グラフ300は明らかにより平坦な勾配を有する。さらに、これらの符号語135の割当が、最小値の符号語135に対し、頻度分布122からの最低の光信号値123の周り(の例えば許容範囲内)にある1つの光信号値123を割り当てていることも再び認識され得る。さらに、最高値の符号語123に対しても、頻度分布122からの最高の光信号値123の周り(の例えば許容範囲内)にある1つの光信号値123が割り当てられる。
【0038】
これに関し図3Cでは、全体画像200の右の列の真ん中の行にある断片としての画像115が使用されており、画像115としてのこの断片は、全体画像200内のオブジェクト119としての複数の車両および扉を表示する。相応の頻度分布122として、図3Cの右の部分図内のグラフの真ん中および右の部分に、明るく照らされたトンネルの壁により、再び光パラメータとしての明るさ123の部分的に不均質な範囲が生じ、この不均質な範囲はここでは、能動的に光を放つランプを有する図3Bほど強くは現れていない。したがって曲線グラフ300も、図3Aの曲線グラフほど急ではなく、しかしながら少なくとも図3Bの曲線グラフ300の真ん中の部分よりは急である。
【0039】
これに関し図3Dでは、全体画像200の右の列の一番下の行にある断片としての画像115が使用されており、画像115としてのこの断片は、全体画像200内の、それ以外では暗い車道でのオブジェクト119としての複数の反射性の路面標示を表示する。相応の頻度分布122として、図3Dの右の部分図内のグラフの真ん中の部分に、明るく反射している路面標示により、再び光パラメータとしての明るさ123のかなり均質な範囲が生じ、この均質な範囲はここでは全体的に、図3Aの光信号値123の頻度124と比較してより低い光信号値123に位置している。したがって曲線グラフ300も、再び図3Aの曲線グラフのようにかなり急であり、ただしそれぞれより低い光信号値123で始まって終わっている。
【0040】
ところで、画像115のできるだけメモリ効率の良い符号化を行い得るために、ここからは、確定された符号化規則105が有利に用いられ得る。これを以下で、光学センサ110によって撮影された画像115を符号化するための相応の情報処理ユニット400に基づいてより詳しく説明する。
【0041】
図4は、光学センサ110によって撮影された画像115を符号化するための情報処理ユニット400の概略的なブロック図を示す。情報処理ユニット100は最初に、ここでも例えばカメラとして形成されている光学センサ110から画像115の少なくとも1つの断片を読み込むためのインターフェイス117を含む。この読み込まれた画像115は、例えばここでも複数の画素118(ピクセルとも言う)の二次元配列として表されており、画素118は、例えば行ごとおよび列ごとに配置されている。この場合、これらの画素118により、光学センサ110によって捕捉された周囲内にあるオブジェクト119が表され、これらの画素118は、特定の明るさを、場合によっては特定の予め規定された色においても表示し、それぞれの位置で、画像115内のオブジェクト119を表示する。
【0042】
さらに、例えばここでは情報処理ユニット400の外に配置されている(しかしながら情報処理ユニット400の中に配置されていてもよい)メモリ405から、符号化規則105および場合によっては少なくとも1つのさらなる符号化規則105’が、インターフェイス117を介して読み込まれ得る。この符号化規則105またはさらなる符号化規則105’は、例えば上述の説明に相応して確定されたような割当規則である。符号化規則は、例えば、画像の断片の1つの画素の1つの明るさまたは光パラメータの、複数の区別可能な符号語の1つへの割当を表すことができ、この符号化規則105によれば、2つの隣接する符号語135に割り当てられた光パラメータとしての明るさ123間の少なくとも1つの第1の差が、2つのさらなる隣接する符号語135に割り当てられた光パラメータとしての明るさ123間の第2の差とは異なる。これにより、特に、画像115内での様々な光パラメータとしての明るさの発生の頻度分布を考慮することで得られるような、符号語135への光信号値の不均一な割当を表す符号化規則105が読み込まれ得る。その後、割当ユニット130内では例えば、画像115を符号化し、それを基に符号化された画像420を得るために、それぞれ1つの符号語が、画像の断片の複数の画素の少なくともそれぞれ1つに割り当てられる。この符号化された画像140はその後、例えば図4には示されない画像処理ユニット内、例えば車両の運転者支援システム内でさらに処理され、保存され、または例えばさらなる処理のための中央計算ユニットもしくはその他の道路使用者に送信され得る。
【0043】
さらに、例えばインターフェイス117内で既に、画像115内で発生している光パラメータとしての明るさの頻度の分析が行われ、かつ得られた分析結果に依存して、複数の符号化規則105のうちの1つの特定の符号化規則が選択されてもよい。このような可能性は、本来の符号化または画素118への符号語の割当の前に既に、使用すべき符号化規則105を選択するという利点を提供し、この符号化規則105は、その時々に符号化すべき画像115内にも存在している非常に類似した頻度分布に基づく。これにより、その時々の画像115の符号化に最適な符号化規則105のダウンロードまたは読込により、非常に迅速に、かつ低い数値的または回路技術的なコストで、画像115のメモリ効率の良い符号化が達成され得る。
【0044】
上で符号化規則105または105’の確定の際に既に詳述したように、画像115または115’の読み込まれた断片は、全体画像200の(少なくとも部分的に互いに異なる)部分区間であってもよく、これらの部分区間は、同時に撮影され、しかしながら全体画像200の別の範囲を表示する。すなわち、画像115の符号化の際も、図3の部分図3A、部分図3B、部分図3C、および部分図3Dの表示に相応して、画像/全体画像200の個々の断片(ここでは画像115またはさらなる画像115’と言う)が、異なる符号化規則105または105’(つまり、1つの符号化規則105および少なくとも1つのさらなる符号化規則105’)によって符号化され得る。これにより、異なる画像115または115’内の異なる実情または異なる必要な細部鮮鋭度を十分に顧慮し得る。
【0045】
ところで、図2の表示に相応する全体画像200が、複数の(部分)画像115または115’に分割および符号化される場合、このように区間ごとに符号化された画像420の復号化により、画像アーチファクト、例えば区間の接合部分における縁が生じ得る。とりわけ、光学センサ100の前の場面を自動的に評価できるよう、オブジェクトまたは状況を認識するための自動的なさらなる画像処理が実施されるべき場合、このような画像アーチファクトはできるだけ回避されるべきである。そこで、このような画像アーチファクトまたは縁を回避するために、以下により詳しく説明するような、画像115の符号化のさらに最適化された形態が使用され得る。
【0046】
図5は、断片または画像115およびさらなる断片またはさらなる画像115’の概略図を示す。この画像およびさらなる画像は、図2に示したような全体画像200のうちの隣接する区間にある。ここで、画像115の画素118が符号化規則105によって符号化され、かつさらなる画像115’のさらなる画素118’がさらなる符号化規則105’によって符号化される場合、これらの画像アーチファクトが、例えば画像115がさらなる画像115’と境を接している境界範囲500内で生じ得る。これを回避するため、例えば画像115の画素118のために補助値510を読み込むことができ、この補助値510は、当該の画素118に割り当てられた符号化規則105の符号語135と、さらなる画像115’のさらなる画素180’に、さらなる符号化規則105’に相応して割り当てられたさらなる符号語135とを使用して確定される。補助値510の確定は、例えば、画素118が境界線500に近ければ近いほどさらなる符号語135’の重みが上昇する解釈を使用して行われ得る。さらなる画像115’のさらなる画素118’に割り当てられたさらなる補助値520の確定も、例えばさらなる画素118’が境界線500に近ければ近いほど符号語135の重みが上昇する解釈を使用して行われ得る。これにより、それぞれの画素118、118’に割り当てられた符号語135、135’または補助値510、520のできるだけ緩やかなまたは連続的な移行が達成でき、これにより、相応の画像アーチファクトが場合によっては回避され得る。
【0047】
その代わりにまたはそれに加えて画像115またはさらなる画像115’は、これらの画像が少なくとも部分的に重なり合い(これが図5でのさらなる画像115’の破線の表示によって示されているように)、それにより例えば同一の画素118または118’のために、一方では1つの符号語135および他方では1つのさらなる符号語135’が確定されるように、選択または決定されてもよい。この場合には例えば、相応の補助値510が、符号語135およびさらなる符号語135’を使用して、例えば通知によって確定されてもよい。
【0048】
図6は、光学センサによって撮影された画像の符号化のための少なくとも1つの符号化規則を作成するための方法600の1つの例示的実施形態のフローチャートを示し、この方法600は、少なくとも、光学センサによって撮影された画像を読み込むステップ610を有する。この方法800はさらに、画像内の異なる様々な画素における光信号値の発生の頻度分布を作成するステップ620を含む。この方法600は最後に、光学センサによって撮影された画像の符号化のための少なくとも1つの符号化規則を作成するために、頻度分布を使用して光信号値に符号語を割り当てるステップ630を含む。
【0049】
図7は、光学センサによって撮影された画像を符号化するための方法700の1つの例示的実施形態のフローチャートを示す。この方法700は、画像の少なくとも1つの断片および符号化規則を読み込むステップ710を含み、この符号化規則は、画像の断片の1つの画素の1つの明るさまたは光パラメータの、複数の区別可能な符号語の1つへの割当を表し、この符号化規則によれば、2つの隣接する符号語に割り当てられた明るさまたは光パラメータ間の少なくとも1つの第1の差は、2つのさらなる隣接する符号語に割り当てられた明るさまたは光パラメータ間の第2の差とは異なる。方法800はさらに、画像を符号化するために、それぞれ1つの符号語を、画像の断片の複数の画素の少なくともそれぞれ1つの画素に割り当てるステップ720を含む。
【0050】
まとめると、本明細書で示されるアプローチが、光学センサによって撮影された画像の符号化のためのおよび光学センサによって撮影された画像の符号化のための少なくとも1つの符号化規則を作成するための両方の開示された方法により、光学センサからのセンサデータの伝送、処理、および保存のための必要なデータ深度の低減を、損失がなくはない情報削減によって行う可能性を開くということが分かる。これに関しては、特に以下に示す様々な観点に特別な注目が向けられ得る。
【0051】
1.)情報損失が場所的および時間的に可変に調整可能であるように、情報削減が選択される。
【0052】
この関連で場所的に可変の調整とは、情報圧縮機能が、センサによって捕捉された画像115としての二次元アレイ(例えば画像センサの場合)上のまたは三次元ボリューム要素(3Dセンサの場合)内の「region of interest」に応じて行われ得るということであり得る。符号化に特に有用な、画像のこのような選択の特殊形態は、例えば、
a.光学中心に対して放射対称的に広がっている画像または画像の断片であり、
b.予め規定されたタイル、例えば左上、真ん中の上、右上、...に個別に広がっている画像または画像の断片であり、
c.ラスタライズされて存在している情報の規定の座標、例えば目標座標x,yで比較的広く広がっている画像または画像の断片であり、この場合、目標座標の周りの任意に規定された可変の範囲内で機能適用が行われ得る。実務的な理由から、断片または画像115は、たいてい目標座標を中心として対称的に選択される。
【0053】
この関連でさらに時間的に可変の調整とは、圧縮のための基準が、システムスタート時に定まっているのではなく、
a)フレームごとに圧縮を変更するのが望ましいような、速く変化し得る状況に反応するために(例えばトンネルへの進入など)、
b)遅いパラメータドリフト(例えば昼と夜の移り変わり、温度ドリフト、汚れ、または経年劣化ドリフト)への適合を可能にするために、
時々変えられるということであり得る。
【0054】
2).後続プロセスに対する影響が無害であるかまたは最小限の影響を及ぼす(つまり或る閾値より下にある)ように、情報削減が選択される。
【0055】
与えられた検出条件下で、提供されているハードウェアリソースの最大限の活用(動的にも割り振られ得る)が行われるように圧縮が選択されるのが好都合である。(項目1.2を参照)
【0056】
ここでは例として、人間視覚システムでもそうであることが挙げられ得る。
3.)情報削減が、
a)局所領域に関するまたは全体画像の、統計学的量に基づいて行われる。
例では、これはルミナンス情報であり、さらなるパラメータはクロミナンスまたはさらに深度情報である(例えばステレオ視差またはTOF(time of flight)信号から導き出される
b)データの所望の目標ビット深度に基づいて行われる。
【0057】
4.)線形オーバーラップ機能による様々なタイル内の情報削減が、選択されたタイルの縁で重要なパラメータ(ルミナンス、コントラスト、色など)の不連続的な急変が現れないように変更/適合され、これは、ブロックアーチファクトの回避のために有利である。
【0058】
5.)後置されたシステムへの伝送が行われる前に既に、およびこのシステムの帯域幅要求を小さく保ってシステム全体のエネルギー需要を減らすために、処理チェーン全体が「in Situ」で、例えば画像センサまたはその中に組み込まれた情報処理ユニット上で行われる。
【0059】
1つの例示的実施形態が、第1の特徴と第2の特徴の間に「および/または」結合を含む場合、これは、この例示的実施形態が、一実施形態によれば第1の特徴も第2の特徴も有し、さらなる一実施形態によれば第1の特徴だけかまたは第2の特徴だけを有すると読むべきである。
図1
図2
図3A
図3B
図3C
図3D
図4
図5
図6
図7