IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ バンガード フォトニクス ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツングの特許一覧

<>
  • 特許-光結合点の位置特定 図1A
  • 特許-光結合点の位置特定 図1B
  • 特許-光結合点の位置特定 図2
  • 特許-光結合点の位置特定 図3
  • 特許-光結合点の位置特定 図4
  • 特許-光結合点の位置特定 図5
  • 特許-光結合点の位置特定 図6
  • 特許-光結合点の位置特定 図7
  • 特許-光結合点の位置特定 図8
  • 特許-光結合点の位置特定 図9
  • 特許-光結合点の位置特定 図10
  • 特許-光結合点の位置特定 図11
  • 特許-光結合点の位置特定 図12
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-14
(45)【発行日】2024-11-22
(54)【発明の名称】光結合点の位置特定
(51)【国際特許分類】
   G03F 9/02 20060101AFI20241115BHJP
   G02B 7/00 20210101ALI20241115BHJP
   G03F 7/20 20060101ALI20241115BHJP
【FI】
G03F9/02 H
G02B7/00 D
G03F7/20 501
【請求項の数】 19
(21)【出願番号】P 2022552417
(86)(22)【出願日】2021-03-04
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-07-03
(86)【国際出願番号】 EP2021055415
(87)【国際公開番号】W WO2021175967
(87)【国際公開日】2021-09-10
【審査請求日】2023-10-10
(31)【優先権主張番号】102020202821.4
(32)【優先日】2020-03-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】523100803
【氏名又は名称】バンガード フォトニクス ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】110001896
【氏名又は名称】弁理士法人朝日奈特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ブライヒャー、マティアス
(72)【発明者】
【氏名】ディトリッヒ、フィリップ-イマニュエル
(72)【発明者】
【氏名】コオス、クリスティアン
【審査官】中尾 太郎
(56)【参考文献】
【文献】特開平05-072000(JP,A)
【文献】特開平08-043689(JP,A)
【文献】特開2006-091759(JP,A)
【文献】特開2016-057405(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2006/0067625(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2015/0292981(US,A1)
【文献】国際公開第2019/083773(WO,A1)
【文献】Masaki HASEGAWA,Alignment Method of Polymer Waveguide and Optical Component using Fluorescence,Japanese Journal of Applied Physics,Vol.44, No.34,2005年,L1085-L1087
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03F 9/02
G02B 7/00
G03F 7/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光結合点(11)を位置特定するための方法であって、
以下のステップ、
a)光結合点(11)を含む光学部品(10)を提供するステップであって、前記光結合点(11)が、前記光学部品(10)によって取り囲まれる体積の外側に位置する相互作用領域(15)を有する、光学部品(10)を提供するステップと、
b)生成領域(120)において光放射を生成するステップであって、前記生成領域(120)が、前記光結合点(11)の前記相互作用領域(15)と少なくとも部分的に重なり、光が、前記生成領域(120)に位置する媒体(19)に当たり、それによって、光放射が生成されるように、前記光が、前記媒体(19)によって改質される、光放射を生成するステップと、
c)生成された前記光放射の少なくとも1つの部分を捕捉し、生成された前記光放射の捕捉された部分の空間分解分布を確認するステップであって、捕捉領域(130)が、前記光結合点(11)の前記相互作用領域(15)と少なくとも部分的に重なる、生成された前記光放射の少なくとも1つの部分を捕捉し、空間分解分布を確認するステップと、
d)生成された前記光放射の前記捕捉された部分の確認された空間分解分布から、前記光結合点(11)の位置特定を決定するステップと
を含み、
前記光放射を生成するステップ、または、生成された前記光放射の少なくとも一部を捕捉するステップは、前記光結合点(11)を通じてもたらされ
前記光結合点(11)の位置特定は、前記空間分解分布から前記光結合点(11)の位置(13)および配向(14)が決定されることで行われる、
方法。
【請求項2】
前記媒体(19)は、散乱中心(27)、発光物質(20)、または前記発光物質(20)を形成する光開始剤を含み、
前記散乱中心(27)が散乱放射(26)を生成するか、または前記発光物質(20)が発光放射(21)を生成する、
請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記発光放射(21)が、前記発光物質(20)における多光子吸収プロセスの励起によって生成される、
請求項2記載の方法。
【請求項4】
前記媒体(19)は、フォトレジストをさらに含み、
前記フォトレジストの重合のための線量閾値未満の線量が、前記光放射を生成する目的で、前記フォトレジストに導入される、
請求項2または3に記載の方法。
【請求項5】
前記光放射を生成するための前記光が、前記光結合点(11)を使用することによって、前記生成領域(120)に照射される、
請求項1~4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記光学部品(10)は、光導波路(12)を備え、
前記光導波路(12)は、前記光を前記光結合点(11)に供給する、
請求項5記載の方法。
【請求項7】
前記光放射を捕捉するステップ、または、前記光放射を生成するための前記生成領域(120)への前記光の放射が、対物レンズ(70)を通じてもたらされ、
前記対物レンズ(70)は、少なくとも0.3の開口数を有する、
請求項1~6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
前記生成領域(120)への前記光の放射、または、前記捕捉領域(130)における生成された前記光放射の捕捉が、空間的に変更され、
前記光放射の前記空間分解分布を捕捉することが、前記光結合点(11)を通じてもたらされる、
請求項1~7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
前記生成領域(120)への前記光の放射、または、前記捕捉領域(130)における生成された前記光放射の捕捉の空間的変更が、ビームスキャナ(132)を使用することによってもたらされる、
請求項8記載の方法。
【請求項10】
記光結合点(11)の前記位置(13)および前記配向(14)が、以下の手段、
前記捕捉領域(130)の範囲内の位置において捕捉された前記光放射の出現または消失を検証すること、
前記捕捉領域(130)において生成された前記光放射の捕捉された部分の前記空間分解分布を評価すること、
前記生成領域(120)における前記光放射の前記光結合点(11)への位置依存性の入力結合に対して、または、前記光放射を生成する目的での前記光結合点(11)から照射された前記光の分布に対して、前記光結合点(11)用のモデルを適用すること
の少なくとも1つによって決定される、
請求項1~9のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
光学部品(10)の光結合点(11)において微細構造(100)を生成するための方法であって、
以下のステップ、
i)請求項1~10のいずれか1項に記載の方法によって、光結合点(11)を位置特定するステップと、
ii)加算製造法または減算製造法から選択される製造方法を使用することによって、前記光結合点(11)において微細構造(100)を生成するステップと
を含む、方法。
【請求項12】
対物レンズ(70)が、前記光結合点(11)を位置特定するため、および、前記光結合点(11)において前記微細構造(100)を生成するための両方に使用され、
前記対物レンズ(70)は、少なくとも0.3の開口数を有する、
請求項11記載の方法。
【請求項13】
光結合点(11)を位置特定するための装置(200)であって、
少なくとも1つの光結合点(11)を含む光学部品(10)であって、前記光結合点(11)が、前記光学部品(10)によって取り囲まれる体積の外側に位置する相互作用領域(15)を有する、光学部品(10)と、
生成領域(120)において光放射を生成するか、または、生成された前記光放射の少なくとも1つの部分を捕捉領域(130)において捕捉することの少なくとも1つを行うように構成される光学デバイスであって、前記生成領域(120)および前記捕捉領域(130)が、前記光結合点(11)の前記相互作用領域(15)と少なくとも部分的に重なる、光学デバイスと、
前記光放射の捕捉された部分の空間分解分布を確認し、生成された前記光放射の捕捉された部分の確認された前記空間分解分布から、前記光結合点(11)の位置特定を決定するように構成される、評価ユニット(150)と
を備え、
前記装置は、前記光放射を生成すること、または、生成された前記光放射の少なくとも1つの部分を捕捉することが、前記光結合点(11)を通じてもたらされ
前記光結合点(11)の位置特定は、前記空間分解分布から前記光結合点(11)の位置(13)および配向(14)が決定されることで行われるように構成される、
装置(200)。
【請求項14】
前記光学デバイスは、前記生成領域(120)に位置する媒体(19)に当たると、それによって、光放射が生成されるように、前記媒体(19)によって改質される光を生成するように構成される光源(112)を備える、
請求項13記載の装置(200)。
【請求項15】
前記光学デバイスはさらに、前記生成領域(120)への光の放射、または、前記捕捉領域(130)における生成された前記光放射の捕捉の空間的な変更をもたらすように構成されるビームスキャナ(132)を備える、
請求項13または14に記載の装置(200)。
【請求項16】
前記光学デバイスはさらに、前記光結合点(11)において微細構造(100)を生成するように構成される、
請求項13~15のいずれか1項に記載の装置(200)。
【請求項17】
光結合点(11)を位置特定するための方法であって、
以下のステップ、
a)光結合点(11)を含む光学部品(10)を提供するステップであって、前記光結合点(11)が、前記光学部品(10)によって取り囲まれる体積の外側に位置する相互作用領域(15)を有する、光学部品(10)を提供するステップと、
b)生成領域(120)において光放射を生成するステップであって、前記生成領域(120)が、前記光結合点(11)の前記相互作用領域(15)と少なくとも部分的に重なり、光が、前記生成領域(120)に位置する媒体(19)に当たり、それによって、光放射が生成されるように、前記光が、前記媒体(19)によって改質される、光放射を生成するステップと、
c)生成された前記光放射の少なくとも1つの部分を捕捉し、生成された前記光放射の捕捉された部分の空間分解分布を確認するステップであって、捕捉領域(130)が、前記光結合点(11)の前記相互作用領域(15)と少なくとも部分的に重なる、生成された前記光放射の少なくとも1つの部分を捕捉し、空間分解分布を確認するステップと、
d)生成された前記光放射の前記捕捉された部分の確認された空間分解分布から、前記光結合点(11)の位置特定を決定するステップと
を含み、
前記光放射を生成するステップ、または、生成された前記光放射の少なくとも一部を捕捉するステップは、前記光結合点(11)を通じてもたらされ、
前記媒体(19)は、散乱中心(27)、発光物質(20)、または前記発光物質(20)を形成する光開始剤を含み、
前記散乱中心(27)が散乱放射(26)を生成するか、または前記発光物質(20)が発光放射(21)を生成し、
前記発光放射(21)が、前記発光物質(20)における多光子吸収プロセスの励起によって生成される、
方法。
【請求項18】
光結合点(11)を位置特定するための方法であって、
以下のステップ、
a)光結合点(11)を含む光学部品(10)を提供するステップであって、前記光結合点(11)が、前記光学部品(10)によって取り囲まれる体積の外側に位置する相互作用領域(15)を有する、光学部品(10)を提供するステップと、
b)生成領域(120)において光放射を生成するステップであって、前記生成領域(120)が、前記光結合点(11)の前記相互作用領域(15)と少なくとも部分的に重なり、光が、前記生成領域(120)に位置する媒体(19)に当たり、それによって、光放射が生成されるように、前記光が、前記媒体(19)によって改質される、光放射を生成するステップと、
c)生成された前記光放射の少なくとも1つの部分を捕捉し、生成された前記光放射の捕捉された部分の空間分解分布を確認するステップであって、捕捉領域(130)が、前記光結合点(11)の前記相互作用領域(15)と少なくとも部分的に重なる、生成された前記光放射の少なくとも1つの部分を捕捉し、空間分解分布を確認するステップと、
d)生成された前記光放射の前記捕捉された部分の確認された空間分解分布から、前記光結合点(11)の位置特定を決定するステップと
を含み、
前記光放射を生成するステップ、または、生成された前記光放射の少なくとも一部を捕捉するステップは、前記光結合点(11)を通じてもたらされ、
前記媒体(19)は、散乱中心(27)、発光物質(20)、または前記発光物質(20)を形成する光開始剤を含み、
前記散乱中心(27)が散乱放射(26)を生成するか、または前記発光物質(20)が発光放射(21)を生成し、
前記媒体(19)は、フォトレジストをさらに含み、
前記フォトレジストの重合のための線量閾値未満の線量が、前記光放射を生成する目的で、前記フォトレジストに導入される、
方法。
【請求項19】
光結合点(11)を位置特定するための方法であって、
以下のステップ、
a)光結合点(11)を含む光学部品(10)を提供するステップであって、前記光結合点(11)が、前記光学部品(10)によって取り囲まれる体積の外側に位置する相互作用領域(15)を有する、光学部品(10)を提供するステップと、
b)生成領域(120)において光放射を生成するステップであって、前記生成領域(120)が、前記光結合点(11)の前記相互作用領域(15)と少なくとも部分的に重なり、光が、前記生成領域(120)に位置する媒体(19)に当たり、それによって、光放射が生成されるように、前記光が、前記媒体(19)によって改質される、光放射を生成するステップと、
c)生成された前記光放射の少なくとも1つの部分を捕捉し、生成された前記光放射の捕捉された部分の空間分解分布を確認するステップであって、捕捉領域(130)が、前記光結合点(11)の前記相互作用領域(15)と少なくとも部分的に重なる、生成された前記光放射の少なくとも1つの部分を捕捉し、空間分解分布を確認するステップと、
d)生成された前記光放射の前記捕捉された部分の確認された空間分解分布から、前記光結合点(11)の位置特定を決定するステップと
を含み、
前記光放射を生成するステップ、または、生成された前記光放射の少なくとも一部を捕捉するステップは、前記光結合点(11)を通じてもたらされ、
前記生成領域(120)への前記光の放射、または、前記捕捉領域(130)における生成された前記光放射の捕捉が、空間的に変更され、
前記光放射の前記空間分解分布を捕捉することが、前記光結合点(11)を通じてもたらされる、
方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光結合点を使用することによる光学部品の光接続の分野に属し、光結合点を位置特定するための方法お装置、ならびに光結合点で微細構造を生成するための方法にも関する。光学部品は、たとえば、レーザ、光ファイバ、受動または能動導波路を備える光学チップ、光検出器、レンズシステム、または光学フィルタなどの、マイクロ光学部品であり得る。他のタイプの光学部品も考えられる。本発明の方法および装置は、特に集積光学および光学構造ならびに接続技術において使用可能である。しかし、さらなる使用の領域も可能である。
【背景技術】
【0002】
光結合点を位置特定するための方法および装置は、先行技術から知られている。光学部品のタイプに応じて、光結合点の位置および配向は、特に、カメラ画像と、リソグラフィシステムの一部であり得る撮像システムの共焦点検出方法とを組み合わせて使用することによって、捕捉され得る。これに関連して、多くの場合、光学部品は光結合点を検出するために使用される光に対して透明である必要があり、および/または、屈折率、色、または反射に関してコントラストを有する必要があり、上記コントラストは撮像光学装置を使用することによって認識可能である。しかし、これは多くの材料システムには当てはまらない。集積光学の分野では、たとえば、集積光チップ用の光ファイバ、光ファイバアレイ、または材料システムは、非常に低い屈折率コントラストを示し、これによって、光結合点で導波路を認識することが著しくより困難になっている。さらに、光学チップまたはこれらのチップの個々の層は、光結合点を検出するために使用される波長で透明でない場合があり、これは、特に検出される導波路がメタライゼーションによって覆われる場合に適用可能である。また、多くの光学部品は、たとえば、光結合点の位置および/または配向を確認するための基礎として使用され得る、アライメントマークなどの光学的に検証可能な補助構造を有していない。
【0003】
Katagiri, T. et al., Optical microscope observation method of a single-mode optical-fiber core for precise core axis alignment, Journal of Lightwave Technology, 2(3), 1984, pages 277-28に記載されるように、特に光ファイバの場合にしばしば生じる技術要件は、それらのコアを可能な限り正確に認識することであり、これは、主に2つの光ファイバがいわゆる「スプライシング法」で結合される場合に必要である。慣習的な光ファイバの低い屈折率コントラストにもかかわらず、わずかな陰影によって上から見る間の光学顕微鏡での適切な背面をコリメートしたフラッド露光を考慮すると、ファイバコアと光ファイバのクラッディングとの間の界面を認識することが可能である。これに関連して、ファイバ軸がおよそ光学顕微鏡の焦点面に位置している必要がある。しかし、多くの場合、背面をコリメートしたフラッド露光を実施することは不可能である。これに関して、光トランスミッタなどの光モジュールでは、たとえば、光ファイバおよび導波路は、通常、不透明な基板上に固定されるため、背面照射は不可能である。さらなるケースでは、光ファイバは組み合わされて、ファイバアレイを形成し、その結果、ファイバアレイにおける光学的コントラストがより高い他の構造によって、弱いコアシャドウが重ねられ、したがって、認識が著しくより困難になる。
【0004】
米国特許出願公開第2006/00676251号明細書は、導波路と、光を導波路に導入するか、または導波路から照射された光を受信する光接続部品との間の光接続を調整する装置および方法を開示している。当該装置は、光接続部品を介して導波路に光を照射する励起光源であって、当該光によって導波路が蛍光を発する、励起光源と、側面から導波路を観察する観察ユニットであって、上記側面が、光が導波路に結合される、または導波路から照射される、および導波路から照射された蛍光を受信する端面とは異なる、観察ユニットと、受信した蛍光の強度に基づいて光接続部と導波路との間の光接続を調整する、接続調整部とを備える。
【0005】
国際公開第2017/059960号は、ファセットを上方から見たときの光ファイバのファイバコアを認識するためのさらなる方法を開示し、見る方向は、ファセットに垂直であって、ファイバコアの軸に平行に配向される。一端でのファイバコアの視認性を向上させるために、ファイバの他端からファイバコアに光をさらに結合され得る。しかし、ファイバコアから出力されて結合された光を、撮像に使用されるシステムによって収集する必要がある。これは、特にリソグラフィシステムの光学ユニットが撮像に使用されることが意図される場合に、困難であることが証明されている。位置特定される光ファイバまたは光導波路の軸は、多くの場合、リソグラフィシステムの焦点面に配置され、その結果、軸に沿って出力されて結合された光は、高開口数の対物レンズを用いても検証可能ではない。
【0006】
国際公開第2018/024872号は、少なくとも1つのリソグラフィビームを使用してフォトレジストを露光することによって、非平面の初期構造上にターゲット構造をリソグラフィで生成するための方法およびデバイスを開示している。当該方法は、a)非平面の初期構造の表面のトポグラフィを捕捉するステップと、b)リソグラフィビームに対する少なくとも1つの試験パラメータを使用し、リソグラフィビームと初期構造との相互作用および生成されるリソグラフィビームおよび/またはターゲット構造の結果としての変化を確認するステップと、c)リソグラフィビームと初期構造との相互作用によって引き起こされる、生成されるリソグラフィビームおよび/またはターゲット構造の変化が低減されるように、リソグラフィビームに対する少なくとも1つの補正パラメータを決定するステップと、d)リソグラフィビームに対する少なくとも1つの補正パラメータを使用して少なくとも1つのリソグラフィビームを使用することによって、フォトレジストを露光することにより初期構造上に所望のターゲット構造を生成するステップとを含む。
【0007】
たとえば、Barry R. Masters, Review of Handbook of Biological Confocal Microscopy, Third Edition, Journal of Biomedical Optics 13(2), 029902, 2008に記載されるように、光結合点を位置特定するために、蛍光顕微鏡の分野からの撮像方法が同様に使用され得る。この目的のために、検査されるべきサンプルにおける蛍光放射が、空間分解の手法で、励起および/または検証される場合があり、結果として得られたコントラストが、撮像に使用され得る。
【0008】
Denk, Winfried, James H. Strickler, and Watt W. Webb, Two-photon laser scanning fluorescence microscopy, Science Vol. 248, No. 4951, 1990, pages 73-76によると、空間分解励起は、多光子吸収プロセスを使用することによっても、もたらすことができる。
【発明の概要】
【0009】
[本発明の目的]
この開示に基づいて、本発明の目的は、光結合点を位置特定するための方法および装置、ならびに光結合点で微細構造を生成するための方法を提供することを含み、これらは、先行技術の前述の欠点および制限を少なくとも部分的に克服する。当該方法および関連する装置は、たとえば、光導波路、レンズ、ミラー、または検出される結合点に光学的にリンクされるか、またはそれと位置合わせされる他の機能要素などの、光結合点に位置合わせされた非常に正確な構造を生成するために使用され得るリソグラフィシステムでの使用に、特に適するように意図されている。位置特定される光結合点とリソグラフィで生成された構造との間の光接続中の結合損失を可能な限り少なくするために、光結合点を、リソグラフィユニットの座標系における位置および配向に関して可能な限り正確に位置特定することが望ましい。この目的のために、好ましくは、1μmよりも良好、特に好ましくは、200nmよりも良好、特に50nmよりも良好な相対位置決め公差が特に望ましい。
【0010】
[本発明の開示]
この目的は、光結合点を位置特定するための方法および装置を使用することによって、また独立特許請求項の特徴を有する光結合点で微細構造を生成するための方法を使用することによって達成される。個々に、または任意の所望の組み合わせで実施可能である利点のある実施形態は、従属請求項に提示される。
【0011】
以下、「有する」、「包含する」、「備える」、または「含む」という用語、またはこれらからの任意の文法上の逸脱は、非排他的に使用される。したがって、これらの用語は、これらの用語によって導入された特徴以外に特徴が存在しない状況、または1つまたは複数のさらなる特徴が存在する状況のいずれかを指し得る。例として、「AはBを有する」、「AはBを包含する」、「AはBを備える」、または「AはBを含む」という表現は、B以外にさらなる要素がAに存在しない状況(すなわち、AがBのみからなる状況)、またはBに加えて、1つまたは複数のさらなる要素、たとえば、要素C、要素CおよびDまたはさらなる要素がAに存在する状況のいずれかを指し得る。
【0012】
さらに、「少なくとも1つ」および「1つまたは複数」という用語、およびこれらの用語の文法上の変更は、それらが、1つまたは複数の要素または特徴に関連して使用され、それらの要素または機能が、単一または複数で提供され得る事実を表すことを意図される場合、概して、たとえば特徴または要素が初めて導入されたときに、1回だけ使用されることが指摘される。特徴または要素が続いて再び言及されるときに、対応する用語「少なくとも1つ」または「1つまたは複数」は、概して、特徴または要素が単一または複数で提供され得る可能性を制限することなく、それ以上使用されることはない。
【0013】
さらに、以下で、「好ましくは」、「特に」、「たとえば」、または同様の用語は、代替の実施形態がそれによって制限されることなく、随意の特徴と併せて使用される。この点で、これらの用語によって導入される特徴は随意の特徴であり、請求項、特に独立請求項の保護の範囲は、これらの特徴によって制限されることを意図していない。この点で、本発明は、当業者によって認識されるように、他の構成を使用して実行することもできる。同様に、「本発明の一実施形態では」または「本発明の1つの典型的な実施形態では」によって導入される特徴は、代替の構成または独立請求項の保護の範囲が、それらによって制限されることを意図することなく、随意の特徴として理解される。さらに、導入表現によって導入された特徴を他の特徴と組み合わせる可能性はすべて、随意の特徴または随意でない特徴であるかどうかにかかわらず、これらの導入表現の影響を受けないままであることを意図している。
【0014】
第1の態様では、本発明は、光結合点を位置特定するための方法に関し、当該方法は、ステップa)で開始し、ステップd)で終了する、好ましくは、示された順序で実行される以下のステップを含み、1つまたは複数の、特に直接連続するステップは、少なくとも部分的に同時に実行され得る。
a)光結合点を含む光学部品を提供するステップであって、光結合点が、光学部品によって取り囲まれる体積の外側に位置する相互作用領域を有する、光学部品を提供するステップと、
b)生成領域において光放射を生成するステップであって、生成領域が、光結合点の相互作用領域と少なくとも部分的に重なり、光が、生成領域に位置する媒体に当たり、それによって、光放射が生成されるように、光が、媒体によって改質される、光放射を生成するステップと、
c)生成された光放射の少なくとも1つの部分を捕捉し、生成された光放射の捕捉された部分の空間分解分布を確認するステップであって、捕捉領域が、光結合点の相互作用領域と少なくとも部分的に重なる、生成された光放射の少なくとも1つの部分を捕捉し、空間分解分布を確認するステップと、
d)生成された光放射の捕捉された部分の確認された空間分解分布から、光結合点の位置特定を決定するステップと
を含み、
光放射を生成するステップ、または、生成された光放射の少なくとも一部を捕捉するステップは、光結合点を通じてもたらされる。
【0015】
ステップa)は、光学部品を提供することを含む。「光学部品」という用語は、光を照射、受信、変更、または伝達するように設計された少なくとも1つの光学素子を示す。光学部品は、たとえば、光ファイバを備えるか、またはたとえば、平面基板または非平面基板に適用され、好ましくは、二次元または三次元の微細構造化法によって製造可能である。略平坦な構造の場合、光学部品は、適切な場合、「光学チップ」と呼ばれ得る。この場合、光学部品は、単一の光学素子または複数の光学素子を備え得る。好ましくは、光学部品は、有機材料または無機材料から構成される導光シングルモードまたはマルチモードのファイバ、半導体ベースの集積光学チップ、特にレーザ、光増幅器、フォトダイオード、スーパールミネッセンスダイオードまたはシリコンフォトニクスチップ、半導体または誘電材料に基づく光学チップ、好ましくは、ガラス、二酸化ケイ素、窒化ケイ素またはポリマー、光回路基板、または自由空間光学用の光学素子、特にレンズ、ビームスプリッタ、アイソレータ、薄膜フィルタ、ミラー、または回折格子を含む群から選択される。光学部品は、屈折率コントラストが低い光導波路、たとえばガラスベースの光導波路、または屈折率コントラストが中程度であるまたは高い導波路、たとえば半導体ベースの導波路を備え得る。さらなるタイプの光学部品、特にフィルタ、パワースプリッタまたは電気光学変調器も考えられる。光学部品は、原則として、言及された光学素子の任意の所望の組み合わせをさらに備え得る。
【0016】
ステップa)によって提供される光学部品は、光結合点を含む。「光結合点」という用語は、接続される光学部品の部分領域を示し、部分領域を介して、光を光学部品に結合するか、または光学部品から照射し得る。たとえば光ファイバまたは端面発光集積光チップなどの、単純な光学部品の場合、光結合点は、多くの場合、「ファセット」または「導波路ファセット」とも呼ばれる。フォトダイオードの場合、光結合点は、多くの場合、検証に使用されるpn接合部のいわゆる「アクティブ領域」と同一であり、その領域内で入射光が電気信号の生成につながる。レーザの場合、それは対応するチップのエッジまたは表面の発光領域であり得る。光結合点のより複雑な実施形態は、たとえば、シリコンフォトニクスにおけるいわゆるグレーティングカプラ(Taillaert, Dirk, Peter Bienstman, and Roel Baets, Compact efficient broadband grating coupler for silicon-on-insulator waveguides, Optics Lett. 29 (23), 2004, pages 2749-51を参照)またはいわゆる「逆テーパ」またはエッチングされたマイクロミラー(Behfar, Alex et al., Horizontal cavity surface-emitting laser (HCSEL) devices, Vertical-Cavity Surface-Emitting Lasers IX. Vol. 5737, International Society for Optics and Photonics, 2005を参照)として構成し得る。光結合点は、多光子重合によって生成されたビーム成形要素を事前に含み得るか、またはこれらの要素を備え得る。
【0017】
光結合点は、相互作用領域を有する。この場合、光結合点の「相互作用領域」は、結合点と光学的に相互作用する空間領域に関する。空間領域の選択された点は、以下の場合に光結合点と相互作用する。
(1)光結合点から照射された光が、空間領域の選択された点に少なくとも部分的に到達し得る場合、または
(2)空間領域の選択された点に位置付けられる、等方的に放射する点光源によって照射される光放射が、光結合点に少なくとも部分的に結合され得る場合。
空間領域の選択された点は、ケース(1)では光結合点のいわゆる「照射領域」内にあり、ケース(2)では光結合点のいわゆる「受容領域」内にある。結合点の照射領域は、ここでは、いわゆる「ガウスビーム」に関連する慣習的な定義によって、次のように説明され得る。光結合点によって照射される光の、点で測定される強度が、ガウスビームの軸上の光結合点からの同じ距離で測定される最大強度値の1/e2倍を超える場合、当該点は、光結合点の照射領域に属する。受容領域は、次のように同様の方法で定義され得る。点光源によって点で照射された光の入力結合効率が、ガウスビームの軸上の光結合点からの同じ距離に最適に位置付けられる点光源によって達成される最大入力結合効率の1/e2倍を超える場合、当該点は光結合点の受容領域に属する。それぞれの用途に応じて、いくつかの他の係数、たとえば0.01(-20dB)または0.001(-30dB)を、前述の1/e2の係数の代わりに使用することもできる。したがって、各ケースにおいて、選択された光結合点に割り当てられる相互作用領域は、代替的に「受容領域」または「照射領域」と呼ばれ得る。本発明の1つの特に好ましい構成では、相互作用領域は、光学部品によって取り囲まれる体積の外側にある。しかし、代替構成では、相互作用領域は、光学部品の、または光学部品に含まれる導波路コアの体積を全体的または部分的に取り囲み得る。光結合点が上記導波路の端部に配置された単純な導波路を備える例示的な光学部品の場合には、相互作用領域は、「受容コーン」または「照射コーン」とも呼ばれる円錐体積を有し得る。
【0018】
ステップb)は、「生成領域」と呼ばれる空間領域において、光放射を生成することを含む。光放射に関する「生成する」および「生成」という用語は、特に生成領域に光を放射することによる、光放射の提供を示し、ここで、光放射がそれによって生成されるように、光は、生成領域において、改質(modified)され得る。この場合、光放射は、たとえば光散乱、リン光、蛍光、発光、または関連するプロセスに基づく様々な効果を使用して生成され得る。光吸収および下流照射に基づくプロセスの場合、複数の光子の同時または逐次の吸収が使用され得る。この場合、励起に使用される光放射は、光結合点自体によって、または、レーザビームを生成するように構成される別個の光学系によって、提供され得る。
【0019】
「光」という用語は、光源によって提供され、生成領域において所望の光放射を生成する光子を示す。光放射を生成する目的で、生成領域に放射される光は、一定のパワーを有する光波として、または短い光パルスの形態で、提供され得る。つまり、光源は、連続波光源またはパルス光源として構成され得る。パルス光源の場合、好ましくは、少なくとも1MHz、好ましくは、10MHz、特に好ましくは、少なくとも25MHz、特に、少なくとも100MHzの反復率で、好ましくは、最大10ps、好ましくは、最大1ps、特に好ましくは、最大200fs、特に最大100fsのパルス持続時間を有する光パルスを使用することが可能である。この目的に適しているのは、特に、ファイバベースのフェムト秒レーザ、または周波数倍増、加算周波数生成、または差周波数生成のために、周波数変換ユニットと組み合わせ得るチタン-サファイアレーザまたはダイオードレーザなどのパルス固体レーザから選択されるレーザ光源である。この好ましい構成では、光源は、特に、多光子吸収プロセスの発光を励起するために使用され得る。例として、この場合、発光放射を励起するための多段階吸収プロセスを使用することも可能であり、ここで、励起光または脱励起光の1つの部分は、光学部品を介して生成領域に、対物レンズを介してさらなる部分に放射され得る。
【0020】
ステップb)によって生成される光放射は、原則として、光スペクトル域または隣接するスペクトル域において波長を有する任意のタイプの光放射を含み得る。可視光スペクトルが380nmから780nmの波長を有する一方で、赤外線スペクトル域は、780nmから1mm、特に780nmから3μm(近赤外線、「NIR」)または3μmから8μm(中赤外線、「MIR」)の波長を包含し、紫外スペクトル域は、1nmから400nm、好ましくは、100nmから400nm、特に400nmから315nm(「UV-A」)、315nmから280nm(「UV-B」)または280nmから100nm(「UV-C」)の波長を包含する。
【0021】
ステップb)によれば、生成領域は、光結合点の相互作用領域と少なくとも部分的に重なる。この場合、2つの領域は、2つの領域の各々よりも小さい重なり領域を有し得るか、代替的に、2つの領域は完全に同一であり得るか、または領域の1つがそれぞれの他の領域によって完全に取り囲まれ得る。
【0022】
ステップc)は、生成された光放射の少なくとも1つの部分を捕捉領域において捕捉し、また生成された光放射の捕捉された部分の空間分解分布を確認することを含み、ここで、捕捉領域は、結合点の相互作用領域と少なくとも部分的に重なる。ここでも、2つの領域は、2つの領域の各々よりも小さい重なり領域を有し得るか、代替的に、2つの領域は完全に同一であり得るか、または領域の1つがそれぞれの他の領域によって完全に取り囲まれ得る。
【0023】
生成された光放射に関する「捕捉」および「捕捉する」という用語は、光放射またはその一部の、特にそのパワーに関する計測学的記録を示し、ここで、捕捉された放射は、パワーが決定される前に、さらなる改質、特に波長または偏光に関するフィルタリングを受け得る。光結合点が、生成された光放射を捕捉するために使用される1つのケースでは、光放射が、生成領域内のそれぞれの生成位置から光結合点にどれだけ良好に結合し得るかを計測的に記録することが可能である。生成された光放射を捕捉するために別個の光学系が使用される別のケースでは、光学系は、特に、生成領域内のそれぞれの生成位置での光放射またはその一部のパワーを計測的に記録し得る。いずれのケースも、生成領域と捕捉領域との間の重なりの領域において生成された光放射の1つの部分が捕捉されるだけで十分であるが、光放射の別の部分は、光放射を捕捉するように構成される測定ユニットによって捕捉し得ない空間方向に照射され得る。
【0024】
空間分解分布に関して、「確認する」および「確認」という用語は、特に、記録された測定値の検証および評価による、および/または、光結合点または光結合点の相互作用領域にモデルを適用することによる、捕捉領域で捕捉された、生成された光放射の一部の空間分解分布の決定に関する。光放射に関する「空間分解分布」という用語は、空間領域内の、好ましくは、三次元座標系の位置ベクトルの形態での、空間位置に応じて指定される変数を示す。この場合に使用される変数は、特に位置依存的に、捕捉された光放射のパワー、またはそれぞれの空間位置で光学系によって生成される光パワーの入力結合効率であり得る。
【0025】
ステップd)は、捕捉領域内で捕捉された生成された光放射の一部の、ステップc)中に確認された、空間分解分布からの光結合点の位置特定の所望の決定を含む。「位置特定」という用語は、空間位置に関する表示、および、光結合点または光結合点の相互作用領域の配向に関する表示の両方を包含する。この場合、空間位置に関する表示は、特に、座標系、好ましくは、三次元座標系における位置ベクトルを含み得る。配向に関する表示は、特に、位置ベクトルの表示にも使用される同じ座標系内の1つまたは複数の三次元配向ベクトルを含む場合があり、好ましくは、配向ベクトルの1つは、光を光結合点から照射得る方向か、または光結合点への光の効率的な入力結合が可能である方向を示している。以下でより詳細に説明されるように、1つの特に好ましい構成では、位置ベクトルおよび配向ベクトルは、リソグラフィ方法で使用されるリソグラフィシステムによって定義される三次元座標系において、表示され得る。発散ビームの場合、光結合点または光結合点の相互作用領域の配向を説明するために、光結合点によって照射された光線のビームまたは光結合点によって受信される光線のビームの光軸が使用され得る。また、少なくとも1つのさらなる配向ベクトル、特に、光軸に関連する光結合点の回転配向を定義し、したがって、特に、光結合点によって照射されるか、または結合点によって捕捉される光の偏光の空間方向を示す、配向ベクトルが表示され得る。
【0026】
光結合点の位置特定に関して、用語「決定する」または「決定」は、計測学的に捕捉されるか、またはモデルに基づいて確認される、他の変数からの1つの変数の確認を示す。その結果、光結合点の位置および配向の両方は、捕捉領域において捕捉されて生成された光放射の一部の、ステップc)中に確認された、空間分解分布から決定され得る。光結合点の位置および配向に加えて、相互作用領域の横方向の形状、および/または、たとえば偏光依存性などの、相互作用の他の位置依存特性に関する情報を取得することもさらに可能である。光結合点または光結合点の相互作用領域の位置および配向は、通常、捕捉領域において捕捉されたパワーの、ステップc)によって決定された、空間分解分布から直接推定され得る。この場合、光結合点の位置は、多くの場合、相互作用領域の横方向の範囲が極端に小さい場所、たとえば円錐空間領域の頂点を構成し得る。代替的または付加的に、光放射が、光学部品の範囲内、特に、光学部品に含まれる導波路の範囲内において、それほど励起されないという観測またはモデルに基づく予測は、光結合点の位置および配向の決定に影響を与え得る。結果として、概して、結合点において、特に急激なコントラストの形態で、捕捉された光放射の出現または消失が発生し、これは、光結合点の位置の決定に使用され得る。光放射が、対物レンズを備える別個の光学系によって局所的に励起される場合、光結合点を通じて光学部品に結合される光放射に加えて、媒体において全体的に生成されるが、光結合点を通じて光学部品に結合され、そこで捕捉されない、光放射の一部も検出することは、特に利点があり得る。この場合、励起に使用された対物レンズを使用することによってか、または追加の対物レンズを使用することによって、検出がもたらされ得る。さらに、光結合点に予想される相互作用領域は、概して、特にキルヒホフの回折積分を適用することによって、計算可能であるか、またはモデル化されることができる。モデルベースの相互作用領域または捕捉された光パワーのモデルベースの分布と、捕捉領域の範囲内において計測学的に決定される光パワーとを比較することによって、光結合点およびその相互作用領域の位置が、この場合に推定され得る。したがって、光結合点を含む空間領域のセクションを実際に計測学的に捕捉することなく、光結合点の位置および配向を決定することが可能になる。その後、光結合点の位置および配向は、たとえば、相互作用領域において決定される、捕捉された光放射の分布の外挿によって確認することができる。これに関して、たとえば、円錐形の相互作用領域の場合、円錐の頂点の位置が外挿によって決定される一方で、円錐の拡大された領域のみを捕捉するだけで十分である。
【0027】
1つの具体的な構成では、光結合点の位置特定は、生成された光放射および/または光学部品の動作波長とは異なる上記光放射を生成するために使用される光の波長で決定され得る。この構成では、たとえば、界面での光放射の波長依存屈折などの色効果が発生する場合があり、この効果は、モデルによって補償され得る。さらなる構成では、光結合点の位置および配向が、十分に波長非感受性であるため、色効果を補償する必要はない。
【0028】
本発明によれば、生成領域で光放射が生成される方法は、光放射を生成することか、または光放射の空間分解分布を捕捉すること、すなわち、好ましくは、
(1)光放射を生成すること、または
(2)代替的に、光放射の空間分解分布を捕捉すること、のいずれかが、
光結合点を通じてもたらされる限り、重要でない。ケース(2)では、結合点を介して捕捉された光放射の空間分解分布は、たとえば、光放射が、既知の空間分布を有する相互作用領域の範囲内または相互作用領域の外側の様々な点において連続的に生成され、光パワーが、結合点を介して計測的に捕捉され、入力結合効率の位置依存性、ひいては相互作用領域の形状を反映することによって決定され得る。この場合、「光結合点を介して」という用語は、光放射または光放射を生成する光が実際に光結合点を横断するような方法での光放射または光放射を生成する光の誘導に関する本発明による構成を示す。この方法でのみ、捕捉された光放射の空間分解分布が実際に光結合点または関連する相互作用領域の位置特定を示すことを保証し得る。
【0029】
生成領域で光放射を生成するために、生成領域は、光放射がそれによって生成されるように、入射光を改質する媒体を少なくとも部分的に含む。この目的のために、生成領域は、媒体によって全体的または部分的に満たされる場合があり、用語「媒体」は、生成領域に放射された光から光放射を生成するように構成される物質に関連している。したがって、生成領域において媒体を設けることは、特に、光学部品によって照射された光が対物レンズにしばしば効率的に結合され得ない、または逆に、対物レンズを介して空間領域に放射された光が光学部品にしばしば効率的に放射され得ないという問題を解決することを可能にする。この場合、利点として、媒体は、生成領域と捕捉領域との間の重なりの領域を完全か、または少なくとも部分的に満たし得る。1つの特に好ましい構成では、生成領域または捕捉領域の部分領域は、いずれのケースも、時間的に連続してアドレス指定され得る。これは、たとえば、光学部品に対する対物レンズの相対位置を変更し得る走査方法を使用して行なわれ得る。代替的に、固定対物レンズを採用すること、および生成領域または捕捉領域の特定の部分領域をアドレス指定するために使用され得る走査ミラーを用いて、走査を達成することも可能である。代替的または付加的に、放射の空間分解捕捉のための固定対物レンズと組み合わせて、たとえばCCDまたはCMOSアレイなどの、検出器アレイまたは画像センサを使用することも可能である。
【0030】
1つの好ましい構成では、生成領域に位置する媒体は、散乱放射が生成されるように入射光を散乱させる散乱中心を含む場合があり、所望の光放射として、捕捉領域を完全にまたは少なくとも部分的に満たし得る。代替的な同様に好ましい構成では、生成領域に位置する媒体は発光色素を含み場合があり、この場合、発光色素は、光が当たると、所望の光放射として同様に生成領域を全体的または少なくとも部分的に満たし得る発光放射を生成する。この場合、発光を励起するために、単一光子または多光子の吸収プロセスが使用され得る。この場合、「発光」という用語は、エネルギーの吸収によって励起状態になるように構成される物質による光照射を記述するものであり、誘導放射(emission of radiation)によって、基底状態への回復が生じる。放射線の照射が光の吸収の直後に生じる場合、「蛍光」という用語は通常、この場合に使用されるが、「燐光」という用語は、基底状態に復帰するまでの時間がより長い場合に使用される。しかし、他のタイプの発光も考えられ得る。代替的に、発光色素(luminescent dye)を生成するように構成される原料(starting material)もまた、生成領域に位置することがあり、この場合、出発物質は、入射光が当たると、最初に発光色素を生成し、その後、さらに入射光が当たると所望の発光放射を生成し、上記発光放射は生成領域で光放射として生じる。さらなるタイプの媒体も考えられ得る。
【0031】
1つの具体的な構成では、光学部品は、光放射が生成されるように入射光を修正する媒体を全体的または部分的に含み得る。この場合、媒体は、好ましくは、導波路コアの形態で、光学部品の内部に存在する場合があり、そこに、散乱物質または発光物質が導入される。代替的または付加的に、この目的のために、導波路の材料の固有蛍光が使用され得る。
【0032】
さらなる構成では、媒体はフォトレジストを含む場合があり、この場合、光放射を生成する目的で、フォトレジストに導入される線量は、好ましくは、フォトレジストの重合のための線量閾値未満である。「フォトレジスト」という用語は、代替的に、「Fotolack」という用語の代わりに、ドイツ語の「Photoresist」という用語によって表現され得る。この場合、フォトレジストは、散乱中心または発光色素を含み得る。この場合、好ましくは、発光色素を使用することによって、光放射を生成するための励起波長、パワー、パルス形状、または照射持続時間は、フォトレジストの意図しない露光が生じないように選択され得る。光結合点が本明細書に記載される方法によって位置特定された後、このように位置特定された光結合点で微細構造を生成するための、以下でより詳細に説明される方法によって、微細構造が生成され得る。
【0033】
本発明の1つの好ましい構成では、光は、光結合点の相互作用領域または発光領域に伝播し、そこで所望の光放射を生成するように、光結合点を介して光学部品によって照射される場合があり、これは、対物レンズを介して空間分解法で捕捉され、評価される。概して、対物レンズが高開口数(NA)を有していても、光学部品によって照射される光が直接捕捉されることは可能ではないため、特に相互作用領域に散乱中心または発光色素を導入することによって、相互作用領域全体またはその少なくとも1つの部分において所望の光放射を捕捉することが可能になる。したがって、対物レンズによって捕捉される光放射の空間分解検出によって、光結合点の相互作用領域の少なくとも1つの部分領域の直接的な測定が可能になる。光放射の空間分解検出は、既知の顕微鏡法によって、好ましくは、カメラまたは共焦点顕微鏡を使用してもたらされ得る。
【0034】
本発明のさらに好ましい構成では、光は、光結合点の相互作用領域または受容領域に伝播し、そこで所望の光放射を生成するように、対物レンズを備える別個の光学系によって照射される場合があり、これは、光結合点を介して光学部品によって捕捉され、評価される。概して、対物レンズが高開口数(NA)を有していても、対物レンズによって照射される光が光学部品に直接結合されることは可能ではないため、特に光結合点の相互作用領域への散乱中心または発光色素の上記導入によって、相互作用領域全体またはその少なくとも1つの部分において所望の光放射を生成し、それを光結合点に結合することが可能になる。好ましくは、導波路を有する、光学部品に結合される光放射の捕捉は、好ましくは、光学部品の出力で直接もたられ得る。この目的のために、光学部品の出力で、特に光パワー測定ヘッドの形態で、好ましくは、測定ユニット、特に好ましくは、パワー検出器が取り付けられる場合があり、付加的に、たとえば特定の波長または偏光状態を捕捉するためのフィルタが設けられ得る。この構成は、特に光ファイバ、たとえばシングルコアまたはマルチコアのファイバなどの光ファイバに関して利点があり得る。しかし、パワー検出器は、たとえば、1つまたは複数の導波路のパワーの少なくとも1つの部分を捕捉するように構成され得る集積フォトダイオードの場合に、光学部品の一部としても設けられ得る。さらに、内部で結合される光放射は、励起に使用されるまさにその対物レンズによって捕捉される場合があり、この場合、以下に記載されるように、光学部品自体上の出力結合点が使用され得る。代替的に、光放射を捕捉するために、追加の対物レンズが使用することも可能である。概して、光放射を計測的に捕捉するために、ロックイン原理を使用して、たとえば外部照射などのバックグラウンド放射と、光結合点を検出するために生成される光放射とが、区別され得る。
【0035】
1つの具体的な構成では、対物レンズによってアドレス指定可能な視野の範囲内にある、光学部品における、特に光学部品に含まれる導波路上の出力結合構造は、対物レンズの方向において光学部品に結合される光パワーの一部を照射するために使用される場合があり、それにより、結合された光パワーの一部は、再び対物レンズを通して捕捉され得る。この目的のために、特に、導波路の欠陥、たとえば表面粗さのために、またはこの目的のために生成れた散乱構造により、導波路によって照射された散乱放射を使用することも可能である。この具体的な構成では、光結合点の相互作用領域で生成された光放射は、導波路の動作波長とは異なる波長を有する場合があり、結果として、照射要素によって導波路により生成される散乱放射の捕捉に必ずしも動作波長自体での損失が伴うことはない。たとえば、いわゆる「サブ波長グレーティング」、略して「SWG」からなる導波路セクションを使用することが可能であり、これによって、受容体積で生成された光放射の照射がもたらされるが、これらは、光学部品の動作波長で光信号に影響を与えるか、または重大な影響を及ぼすことはない。さらに、導波路の部分領域は、内部で結合される光放射によって励起され得る追加の色素が設けられる場合があり、その場合、導波路から出力されて結合される照射された光は、同様に、対物レンズによって捕捉され得る。
【0036】
さらなる実施形態では、光学部品は、光結合点のグループを有する場合があり、その場合、利点として、特に、個々の光結合点に割り当てられた相互作用領域が、互いに重ならない十分に大きな空間領域を有する場合、グループ全体に結合される光放射が一体的に捕捉され得る。この一例は、共通の光検出器が端部に取り付けられるマルチコアファイバであり、上記光検出器のアクティブ領域は、マルチコアファイバのすべてのコアにわたって拡張している。
【0037】
さらなる態様では、本発明は、光結合点を位置特定するための装置に関し、当該装置は、
少なくとも1つの光結合点を含む光学部品であって、光結合点が、光学部品によって取り囲まれる体積の外側に位置する相互作用領域を有する、光学部品と、
生成領域において光放射を生成するように、および/または、生成された光放射の少なくとも1つの部分を捕捉領域において捕捉するように構成される光学デバイスであって、生成領域および捕捉領域が、光結合点の相互作用領域と少なくとも部分的に重なる、光学デバイスと、
光放射の捕捉された部分の空間分解分布を確認し、生成された光放射の捕捉された部分の確認された空間分解分布から、光結合点の位置特定を決定するように構成される、評価ユニットと
を備え、
当該装置は、光放射を生成すること、または、生成された光放射の少なくとも1つの部分を捕捉することが、光結合点を通じてもたらされるように構成される。
【0038】
「光学デバイス」という用語は、光放射を生成および捕捉するように構成されるデバイスを示し、この目的のために構成される光学部品、特に、生成領域に位置する媒体に光が当たるように構成される光源であり、当該光学デバイスは、光結合点を介して、または光学系を介して、生成領域に光を放射し得る、光源と、生成された光放射の少なくとも1つの部分を捕捉領域において捕捉するように構成され、光学部品または光学系に備えられ得るか、または光学部品の構成要素および光学系の構成要素を備え得る、特にパワー検出器の形態の、測定ユニットとを備え、生成および/または捕捉された光放射を伝達する、および随意に、生成および/または捕捉された光放射を改質するように構成される光学系を備え得る。
【0039】
好ましくは、この場合、光源は、少なくとも1MHz、好ましくは、少なくとも10MHz、特に好ましくは、少なくとも25MHz、特に少なくとも100MHzの反復率で、好ましくは、最大10ps、好ましくは、最大1ps、特に好ましくは、最大200fs、特に最大100fsのパルス持続時間を有する光パルスを生成するために使用されるパルス光として構成され得る。特に、ファイバベースのフェムト秒レーザや、チタン-サファイアレーザなどのパルス固体レーザなどのレーザ光源が、この目的に適している。代替的に、連続波光源もまた使用され得る。
【0040】
既に述べたように、光源は、好ましくは、少なくとも入射光を改質することによって光放射を生成するための媒体を含む空間領域に光を放射するように構成される。媒体によって引き起こされる入射光の改質によって光放射が生成される空間領域は、以下で生成領域とも呼ばれる。生成領域は、光結合点の相互作用領域と少なくとも部分的に重なる。この場合、2つの領域は、2つの領域の各々よりも小さい重なり領域を有し得る。代替的に、2つの領域は完全に同一であり得るか、または領域の1つがそれぞれの他の領域によって完全に取り囲まれ得る。媒体およびその利点のある構成に関するさらなる詳細については、明細書の残りの記載が参照される。好ましくは、この場合、媒体の屈折率は、特に対物レンズの解像度を向上させるために、光を放射するか、または生成された光放射を捕捉するように構成される対物レンズの屈折率に一致され得る。
【0041】
既に述べたように、「光学系」という用語は、光学ユニットに備えられ、生成および/または捕捉された光放射を伝達するように、随意に、生成および/または捕捉された光放射を改質するように構成されるデバイスを示し、これは、この目的のために、少なくとも1つの光学素子、好ましくは、少なくとも1つの光学レンズを備え、光放射の生成または捕捉のいずれかが空間分解法で可能である。光学部品の所与の真空動作波長λに関して、生成プロセスまたは捕捉プロセスの空間分解能は、好ましくは、0.01λから100λ、特に好ましくは、0.05λから10λ、特に0.1λから10λである。1つの特に好ましい構成では、空間領域において光放射を生成または捕捉するように構成される光学系は、少なくとも1つの対物レンズを備える。好ましくは、高開口数(NA)を有するリソグラフィ対物レンズが、高い空間分解能を達成するのに適している。この場合、「高開口数」という用語は、好ましくは、0.3超、特に好ましくは、0.6超、特に0.8超、またはさらには1.0超の対物レンズの開口数を示す。特に、好ましくは、三次元直描レーザリソグラフィを使用することによって、光結合点で微細構造を生成するための以下でより詳細に説明される方法の適用の間に、光放射を捕捉または生成するために、微細構造の生成にも使用される同じ対物レンズが使用され得る。これには、部品数の削減に加えて、たとえば撮像領域の歪みなどの、対物レンズの考えられる撮像収差が、重要ではなくなるか、または少なくとも部分的に補償されるという利点がある。1つの具体的な構成では、対物レンズは、この場合、液浸媒体として機能するフォトレジストと直接接触し得る。上記フォトレジストはまた、入射光を改質し、それに関連する方法で光放射を生成するための媒体としても同時に機能し得る。この場合、1つの好ましい実施形態では、フォトレジストは、入射光を用いて、光散乱、リン光、蛍光、発光、または関連プロセスによって光放射を生成することを可能にする物質と混合され得る。
【0042】
捕捉された光放射の一部の空間分解分布を確認するために、好ましくは、光放射が入射光の改質によって生成されるか、または生成された放射が捕捉される空間要素の位置は、生成領域または捕捉領域を通って移動する場合があり、空間要素の位置への捕捉された放射線のパワーの依存性は、プロセスにおいて決定される。この目的のために、好ましくは、生成領域または捕捉領域を介して、入射ビームか、または特に入射ビームの方向に垂直な捕捉ビームの、急速な偏向を可能にするビームスキャナを使用することが可能である。ビームスキャナは、好ましくは、いわゆる「ガルボスキャナ」および微小電気機械システム(MEMS)に基づくミラースキャナから選択され得る。ビーム方向に沿う入射ビームまたは捕捉ビームの移動は、対物レンズおよび/または光学部品の移動を用いて達成され得る。代替的に、他の構成、特に空間光変調器または可変ミラーに基づく3Dスキャナが採用され得る。特に、共焦点顕微鏡またはレーザ走査顕微鏡(LSM)からの方法に基づくさらなる構成も考えられ得る。この場合、ビームスキャナは、微細構造をリソグラフィで生成するためにも使用され得る。
【0043】
1つの特に好ましい構成では、捕捉領域の範囲内において捕捉された光放射の空間分解分布を確認するための測定ユニットは、光放射の光パワーを決定するように構成されるパワー検出器を備え得る。既に上で説明したように、パワー検出器は、特に光パワー測定ヘッドの形態で設けられ得る。好ましくは、光学フィルタおよび/またはビームスプリッタが、捕捉された光放射を選択するために使用され得る。特に、この場合、光学フィルタは、散乱放射と発光放射とを分離するように構成し得るスペクトルフィルタを備え得る。使用されるフィルタは、選択された波長または偏光の状態を捕捉するようにも機能し得る。光放射のパワーを決定するために、特に利点があるものは、小さな光パワーを検出するために、高感度を有する低ノイズパワー検出器、特に低ノイズ電子増幅器または光電子増倍管を有するp-i-nダイオードである。代替的または付加的に、たとえば集積フォトダイオードの場合に、パワー検出器は、光学部品の一部を形成し得る。測定ユニットは、光学部品または光学系の一体構成要素として構成され得るか、または光学部品の構成要素または光学系の構成要素を備え得る。特に、光放射を検出するために、光学系の構成要素として具現化されるフォトダイオードが使用され得るが、一方で、プロセスにおいて生成される電気信号の捕捉、増幅、および評価は、光学系の対応するように構成される機能ユニットによってもたらされ得る。さらに同様に好ましい実施形態では、内部で結合される光放射は、励起に使用されるまさにその対物レンズによって捕捉する場合があり、この場合、上述されるように、光学部品自体上の出力結合点が使用され得る。代替的に、光放射を捕捉するために、追加の対物レンズを使用することが可能である。放射を検証するために、すべての実施形態において、バックグラウンド放射、たとえば外部照射と、生成領域で生成された光放射とを区別するために、ロックイン測定原理を使用することが可能である。
【0044】
捕捉された光放射の空間分解分布からの光結合点の位置特定を決定するように構成される評価ユニットは、好ましくは、特に、コンピュータ、マイクロコンピュータ、またはプログラム可能なチップ、たとえば特定用途向け集積回路(ASIC)またはFPGA(フィールドプログラマブルゲートアレイ)を有し得る電子的に制御可能なデバイスである場合があり、当該デバイスは、本発明の方法の少なくとも1つを実行するように構成されるコンピュータプログラムにアクセスし得る。光結合点の相互作用領域の正確な位置特定のために、評価ユニットは、光放射の励起または捕捉の、対物レンズによって予め定義された、空間分布の逆畳み込み(deconvolution)を実施するように構成され得る。これは、少なくとも1つの空間方向における励起または捕捉の空間分布が、関連する点における生成領域または捕捉領域の断面と同じ大きさであるか、またはそれよりも大きい場合に、特に利点があり得る。
【0045】
光結合点を位置特定するための装置、特に光学部品および関連する少なくとも1つの光結合点に関するさらなる詳細については、本明細書の残余の記載が参照される。
【0046】
さらなる態様では、本発明は、光結合点で微細構造を生成するための方法に関する。この場合、当該方法は以下のステップを含み、これらは、好ましくは、ステップi)で開始し、ステップii)が続く、示された順序で実行され、追加のステップも同様に考えられる。
i)光結合点を位置特定するための本明細書に記載される方法によって、光結合点を位置特定するステップと、
ii)加算製造法または減算製造法から選択される製造方法を使用することによって光結合点で微細構造を生成するステップ。
【0047】
光結合点の位置特定後、光結合点の位置および配向についてそれによって決定される情報は、特に、微細構造の位置および配向が光結合点の位置特定についての情報から導出されることによって、光結合点で微細構造を生成するために使用され得る。1つの好ましい実施形態では、微細構造は、光結合点に直接隣接する光学素子、好ましくは、光導波路またはいくつかの他のマイクロ光学素子であり得る。代替的に、微細構造またはその構成要素は、光結合点から離間され得る。1つの好ましい構成は、マイクロレンズ、マイクロミラー、またはマイクロレンズ、マイクロミラー、および他のマイクロ光学部品、特に光導波路の任意の所望の組み合わせの製造を含み得る。微細構造またはその構成要素は、関連する結合点と非常に正確に位置合わせされる場合があり、特に、形状、位置、および配向に関して、微細構造を介した光結合点への特定の振幅および位相分布で存在する光の効率的な結合を達成するように構成され得る。逆に、結合点から出力されて結合される光は、微細構造またはその構成要素によって所定の振幅および位相分布に変換され得る。そのような構成は、特に2つの光学部品を光学的に接続するために使用される場合があり、ここで、第1の光学部品によって照射された振幅分布および/または位相分布は、別の光学部品への効率的な入力結合を達成し得るように変更され得る。
【0048】
この場合、用語「加算製造法(additive manufacturing method)」は、材料が初期構造に取り付けられるか、または適用される製造方法を示し、一方で、用語「減算製造法(subtractive manufacturing method)」は、材料が初期構造から除去される代替の製造方法を示す。1つの好ましい実施形態では、材料の適用または除去は、適切なフォトレジスト、特にネガ型またはポジ型のレジストを使用するリソグラフィ法を使用することによって達成され得る。結果として、相互作用領域またはその一部で光放射を生成または捕捉するための上記光学系は、光結合点で微細構造をリソグラフィで生成するためも使用され得る。これに関連して述べたように、光学系は、好ましくは、高開口数を有し、高い光学分解能を有する対物レンズを備え得る。1つの特に好ましい実施形態では、対物レンズはまた、三次元直描リソグラフィ法を使用することによって三次元微細構造を生成するように構成される。この場合、「三次元直描リソグラフィ法」という用語は、三次元のパターンまたはレイアウトの形態で、加法的または減法的に、1つまたは複数の材料を構造化または堆積させることを可能にする微細構造化法を示す。したがって、好ましくは、1000nmよりも良好、特に好ましくは、500nmよりも良好、非常に特に好ましくは、300nmよりも良好な精度で、三次元構造を生成することが可能であり、ここで、用語「三次元」は、1つ、2つ、または3つの空間方向での構造の可能な成形を示す。この場合、三次元直描リソグラフィ法の分解能は、好ましくは、10μmより良好、特に好ましくは、5μmより良好、非常に特に好ましくは、2μmより良好または1μmまたは500nmより良好である場合があり、ここで、用語「分解能」は、当該方法によって生成可能な最小の構造要素の最大範囲に関する。三次元直描リソグラフィ法は、好ましくは、標準的な大気環境条件下で実行される場合があり、真空が要求されないように設計され得る。特に好適な方法は、好ましくは、50μm3/s超、より好ましくは、500μm3/s超、特に好ましくは、1000μm3/s超、非常に特に好ましくは、10000μm3/s超の速度で材料を堆積または除去することを可能にするアディティブまたはサブトラクティブ三次元直描リソグラフィ法である。1つの特に好ましい構成では、三次元直描リソグラフィ法は、多光子リソグラフィの原理に基づき得る。1つの具体的な構成では、捕捉される光放射が生成される媒体は、この場合、位置特定される結合点と直接接触している液浸媒体の形態で設けられる場合があり、この場合、対物レンズは、液浸媒体自体と接触していても、接触していなくてもよい。この場合、液浸媒体自体は、所望の微細構造を生成するためのフォトレジストとして使用され得るか、または光透過膜によってフォトレジストから分離され得る。1つの好ましい実施形態では、入射光を使用することによって、特に光散乱、リン光、蛍光、または発光により光放射を生成することを可能にする物質が媒体に導入され得る。フォトレジストの場合、特に、フォトレジストの添加成分、特に光開始剤の蛍光特性を利用すること、または追加で蛍光色素を添加することが可能である。この場合、発光または蛍光の励起は、単一光子過程または多光子過程に基づき得る。
【0049】
光結合点で微細構造を生成する方法に関するさらなる詳細については、光結合点を位置特定するための本発明による方法および装置の記載が参照される。
【0050】
[本発明の利点]
本発明は、先行技術から既知である方法および光学系に勝る一連の利点を有している。光結合点を位置特定するため、および随意に微細構造を生成するための本発明の方法および装置は、特に、少なくとも1つの光結合点の正確な位置特定を可能にし、1μmより良好、特に好ましくは、200nmより良好、特に50nmよりも良好な相対的な位置決め公差を可能とする。「位置決め公差」という用語は、光結合点の計測学的に確認された位置からの、その実際の位置と比較した、すべての統計的および系統的な偏差の合計に関する。
【0051】
特に、光結合点が位置特定されることによってか、またはリソグラフィ対物レンズによって生成領域に放射された光の伝搬方向を、このように変更し得る相互作用プロセスを使用することによって、本発明の方法は、生成領域に放射された光の少なくとも1つの部分を、対物レンズによってか、または結合点が位置特定されることによって、捕捉することを可能にする。この場合、伝搬方向の効果的な変更は、好ましくは、散乱中心を使用することによって、または発光色素によってもたらすことができる。1つの特に好ましい構成は、リソグラフィシステムによる多光子蛍光、好ましくは、光開始剤の利用を含む。発光は、ここで、各ケースにおいてリソグラフィシステムの焦点でのみ励起されるため、3つの空間方向における高分解能での相互作用領域の空間的に分解された捕捉が可能である。
【0052】
本発明のさらなる詳細および特徴は、特に従属請求項と併せて、好ましい例示的な実施形態の以下の説明から明らかである。この場合、それぞれの特徴は、それ自体で、または複数を互いに組み合わせて実現され得る。本発明は、例示的な実施形態に限定されない。
【0053】
例示的な実施形態は、以下の図面に概略的に例示されている。この場合、図中の同一の参照番号は、同一または機能的に同一の要素、またはそれらの機能に関して互いに対応する要素を示す。
【0054】
図面は、具体的に次のとおりである。
【図面の簡単な説明】
【0055】
図1A】光結合点を位置特定するための本発明の方法の特に好ましい例示的な実施形態の概略図を示す。
図1B】光結合点を位置特定するための本発明の方法の特に好ましい例示的な実施形態の概略図を示す。
図2】光結合点の位置、配向、および関連する相互作用領域の概略図を示す。
図3】光結合点の位置特定の捕捉が発光放射の励起または捕捉によってもたらされる、さらなる例示的な実施形態の概略図を示す。
図4】光結合点の位置特定の捕捉が散乱放射の励起または捕捉によってもたらされる、さらなる例示的な実施形態の概略図を示す。
図5】光結合点が光学部品の表面からある距離だけずらして配置される、さらなる例示的な実施形態の概略図を示す。
図6】光結合点の位置特定の捕捉が、導波路のコアにおいて発光放射または散乱放射の励起によってもたらされる、さらなる例示的な実施形態の概略図を示す。
図7】誘電体自由形状導波路の形態での、光結合点の位置で生成された微細構造の1つの例示的な実施形態を示す。
図8】マイクロレンズの形態での、光結合点の位置で生成された微細構造の1つの例示的な実施形態を示す。
図9】複数の光結合点を含むさらなる例示的な実施形態を示す。
図10】光結合点に導入された光放射を捕捉するための、または光結合点の相互作用領域で光放射を励起するために光を中に結合するための好ましい実施形態を示す。
図11】表面照射型フォトダイオードの結合点の相互作用領域を例として示す。
図12】光結合点を位置特定するための本発明による装置の1つの好ましい例示的な実施形態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0056】
図1Aおよび1Bは、光学部品10に含まれる光結合点11を位置特定するための、本発明の方法の特に好ましい2つの例示的な実施形態のそれぞれの概略図を示す。光結合点11は関連する相互作用領域15を有する。光学部品10は、好ましくは、有機材料または無機材料から構成される導光シングルモードまたはマルチモードのファイバ、半導体ベースの集積光学チップ、特にレーザ、光増幅器、フォトダイオード、スーパールミネッセンスダイオードまたはシリコンフォトニクスチップ、半導体または誘電材料に基づく光学チップ、好ましくは、ガラス、二酸化ケイ素、窒化ケイ素またはポリマー、光回路基板、または自由空間光学用の光学素子、特にレンズ、ビームスプリッタ、アイソレータ、薄膜フィルタ、ミラー、または回折格子を含む群から選択される。光学部品は、屈折率コントラストが低い光導波路、たとえばガラスベースの光導波路、または屈折率コントラストが中程度であるか、または高い導波路、たとえば半導体ベースの導波路を備え得る。さらなるタイプの光学部品10、特にフィルタ、パワースプリッタまたは電気光学変調器も考えられ得る。
【0057】
本発明の方法によれば、光放射は、特に、少なくとも生成領域120で生成され、生成領域120は、相互作用領域15と少なくとも領域的に重なる。生成された光放射は、捕捉領域130で捕捉され、捕捉領域130は同様に相互作用領域15と少なくとも領域的に重なる。したがって、相互作用領域15と生成領域120との間の重なりの領域において選択された点16で生成された光放射は、光結合点11と相互作用するが、これは、
(1)光結合点11から照射された光が、選択された点16に到達し得るか、または
(2)選択された点16に位置付けられる、等方的に放射する点光源によって照射される光放射を、光結合点11に結合し得るためである。
空間領域15の選択された点は、第1のケース(1)では、光結合点11のいわゆる「照射領域」内にあり、第2のケースでは、光結合点11のいわゆる「受容領域」内にある。
【0058】
この目的のために、媒体19が、図1Aおよび1Bによる実施形態において、各ケースで使用され、当該媒体は、生成領域120と捕捉領域130との間の重なりの領域を少なくとも部分的に満たす。この場合、媒体19は、特に好ましくは、生成領域120に放射された光から光放射を生成するように構成される物質を含み得る。生成領域120に放射された光は、好ましくは、捕捉領域130の部分領域の範囲内の媒体19を使用することによって、特に散乱放射または発光放射であり得る所望の光放射を生成するのに役立つ。概略的に例示されるように、この場合、媒体19は、好ましくは、位置特定される光結合点11の生成領域120、捕捉領域130、および相互作用領域15の間の重なりの領域を全体的または部分的に満たし得る。
【0059】
図1Aによる実施形態では、光放射を生成するための光は、光源112によって提供され、光学部品10を使用することによって、光結合点11を介して光結合点の相互作用領域15に照射される。この場合、光結合点11の相互作用領域15および生成領域120は、好ましくは、少なくとも光結合点の近傍で一致する。光結合点11からの距離が大きくなると、相互作用領域15に属する点において、光結合点11によって照射された光によって光放射が生成され得ないというケースが生じることがあり、これは、光結合点11と関連する点との間の光の吸収または散乱が大きすぎるためである。光源112は、好ましくは、光パルスを生成するように構成されるパルス光源であり得る。代替的に、連続波光源も使用され得る。図1Aに示される実施形態における捕捉領域130内の捕捉された光放射の空間分解分布の確認は、光学系111を使用することによってもたらされる。この目的のために、好ましくは、対物レンズ、好ましくは、リソグラフィ対物レンズが使用される場合があり、これは、各ケースで、焦点円錐60において、または焦点61でのみ、または捕捉領域130内の焦点61を取り囲む有限体積要素において、捕捉をもたらす。焦点円錐60、焦点61、または関連する体積要素の位置は、好ましくは、たとえば一次元、二次元、または三次元の走査プロセスの形態で、捕捉プロセス中に光学系111に含まれるビームスキャナを使用することによって変更され得る。光学系111を使用することによって捕捉される光放射は、評価のために測定ユニット110に送られ、測定ユニット110は、特にパワー検出器の形態で具現化され得る。付加的または代替的に、測定ユニット110は、カメラセンサまたは一次元または多次元の検出器アレイを備え得る。
【0060】
図1Aおよび1Bによる実施形態では、光結合点11の所望の位置特定は、捕捉領域130の範囲内において捕捉された光放射の空間分解分布からもたらされ、当該分布は、測定ユニット110を使用することによって確認される。これは、捕捉された光放射の空間分解分布からの光結合点11の位置特定を決定するように構成される評価ユニット150を使用して行われる。
【0061】
図1Bによる実施形態では、光放射を生成するために、光源112によって提供される光は、光学系111を使用することによって生成領域120に照射される。この目的のために、好ましくは、対物レンズ、特に好ましくは、リソグラフィ対物レンズが使用される場合があり、これは、各ケースで、焦点円錐60においてか、または焦点61でのみか、または生成領域120内の焦点61を取り囲む体積要素において、光放射の生成をもたらす。本実施形態では、捕捉領域130内の光放射の空間分解分布の捕捉は、光結合点11を通じてもたらされ、この光結合点11は、測定ユニット110を使用することによって、光放射が光結合点11に結合され得ることが前提ではあるが、生成領域120において光放射を捕捉し、この測定ユニット110は、特にパワー検出器の形態で具現化される場合があり、このパワー検出器は、付加的または代替的に、カメラセンサまたは検出器アレイを備え得る。この場合、光結合点の相互作用領域15および捕捉領域130は、好ましくは、少なくとも結合点近傍で一致する。光結合点からの距離が大きくなると、相互作用領域15に属する点で生成された光放射が、光結合点11に到達しないか、または大きな損失が伴って到達するケースが生じるが、これは、関連する点と光結合点11との間の光放射が大きすぎるためである。
【0062】
図1Bに示される実施形態の場合、捕捉領域130内の捕捉された光放射の空間分解分布の確認は、焦点円錐60、焦点61、または関連する体積要素の位置が、好ましくは、生成領域120内の、たとえば一次元、二次元、または三次元の走査プロセスの形態で、捕捉プロセス中に光学系111に備えられるビームスキャナを使用することによって変更され、測定ユニット110を使用することによって捕捉された光放射は、継続的に、この経過中に確認されるという事実によってもたらされる。データの保存および評価、ならびに光結合点11の位置および配向の確認は、捕捉された光放射の空間分解分布からの光結合点11の位置特定を決定するように構成される評価ユニット150を用いてもたらされる。
【0063】
図1Aまたは1Bによる実施形態のタイプに関係なく、光放射または光放射を生成する光は、光結合点11を実際に横断するように誘導される。このようにしてのみ、捕捉された光放射が、位置特定される光結合点11に関連付けられることによって、捕捉された光放射の空間分解分布が、光結合点11の位置特定を実際に示すことが保証され得る。
【0064】
光結合点11の位置特定は、光結合点11の位置13および配向14の表示を含む場合があり、これらは、光結合点11の関連する相互作用領域15とともに、図2に概略的に例示されている。この場合、光結合点11の空間位置13に関する表示は、三次元座標系30において位置ベクトルを含む場合があり、一方、光結合点11の配向14に関する表示は、1つまたは複数の三次元配向ベクトルを含む場合があり、配向ベクトルの1つは、たとえば、光が光結合点11から照射され得る方向、または光結合点11への光の効率的な入力結合が可能である方向を表示している。特に好ましくは、位置ベクトルおよび配向ベクトルの両方は、同じ座標系30で表示される。複数の配向ベクトルの場合、配向ベクトルの1つは、光軸に関連する結合点の回転配向を定義する場合があり、これは、結合点によって照射された光の偏光か、またはそれによって捕捉された光の偏光によって決定される。
【0065】
光結合点11の位置13および配向14は、好ましくは、以下の手段の少なくとも1つにより、評価ユニット150を使用することによって決定される。第1の方策は、捕捉領域130内の位置で捕捉された光放射の出現または消失、特に突然の出現または消失を検証することを含み得る。さらなる方策は、プロファイル、たとえば捕捉領域内の捕捉された光放射の空間分解分布の上昇または下降を捕捉することを含み得る。さらなる方策は、光結合点11への生成領域120内の光放射の位置依存性の入力結合のための、または光放射を生成する目的での光結合点11から照射された光の分布のための、光結合点11用のモデルを適用することを含み得る。しかし、さらなる方策も考えられ得る。非常に単純なケースでは、そのようなモデルは、たとえば、ビーム伝搬の近軸近似を想定した、いわゆるガウスビームの理論に基づき得る。他のモデルは、フーリエ光学の方法または光学場伝搬の数値記述を利用し得る。
【0066】
図3は、本発明の方法のさらなる例示的な実施形態を概略的に示し、ここで、光学部品に含まれる光結合点11の空間位置13および配向14は、対物レンズ70から受容または照射されたビーム50の焦点51を取り囲む体積要素において、発光放射21の励起または捕捉によって捕捉される。特にビームスキャナを使用することによる、焦点51の周りの体積要素の空間的変位は、媒体19によって少なくとも部分的に満たされた捕捉領域120の範囲内において確認される、補足された光放射の空間分解分布を可能する。1つの好ましい実施形態では、対物レンズ70は、微細構造をリソグラフィで生成するためにも使用され得る。1つの好ましい実施形態では、捕捉領域120は、発光を生成するように構成される物質20によって、少なくとも部分的に満たされる場合があり、当該物質は、媒体19の役割を果たす。これは、たとえば、既に重合閾値未満の照射で多光子蛍光を示すフォトレジストを含み得る。導波路軸に垂直なファセットを有する光導波路12の単純なケースでは、光結合点11の配向14は、光結合点11に隣接する光導波路12のセクションの光軸に対応する。この場合、発光放射21は、光結合点11またはリソグラフィ対物レンズ70のいずれかを通じて励起され得る。
【0067】
図4は、本発明の方法のさらなる例示的な実施形態を概略的に示し、ここで、光学部品に含まれる結合点11の空間位置13および配向14は、対物レンズ70から受容または照射されたビーム60の焦点61を取り囲む体積要素において、散乱放射26の励起または捕捉によって捕捉される。体積要素の空間分布に関しては、特に一次元または多次元の走査プロセスに関連して、図3に関する説明においてなされた記述が適用可能である。ここでもまた、1つの好ましい実施形態では、対物レンズ70は、微細構造をリソグラフィで生成するためにも使用される。散乱放射26は、好ましくは、生成された散乱放射が少なくとも部分的に捕捉され得るように、体積要素61に放射された光を散乱する散乱中心27を使用することによって生成され得る。光導波路12の単純なケースでは、光結合点11の配向14は、光結合点11に隣接している光導波路12のセクションの光軸に対応する。この場合、散乱放射21は、光結合点11を通じてか、またはリソグラフィ対物レンズ70を使用することによって励起され得る。
【0068】
図5によるさらなる実施形態では、光結合点11は、光学部品10の表面上に位置せずに、むしろここでは、例として、光学部品10の表面から距離dだけずらして配置される。このケースは、たとえば、チップエッジ18に対して距離dだけずれた導波路12のファセットに関連して生じ得る。この場合、円錐空間領域15の頂点は、光学部品10の範囲内にある。これに関連して、媒体19は、光学部品10の表面と直接接触している。この場合、光結合点11の位置に関連するチップエッジ18の位置は、チップエッジ18で捕捉された光放射の突然の消失または急激な降下の結果として確認され得る。
【0069】
図6は、さらなる例示的な実施形態を示し、ここでは、光学部品10の導波路12によって形成される光結合点11の位置13および配向14が、導波路12自体の導波路コア17における発光放射21の励起によって捕捉される。この場合、導波路コア17は、好ましくは、発光放射21を生成するように構成される物質を含む。付加的または代替的に、導波路コア17は、散乱放射を生成するように構成されるさらなる物質(図示せず)を含み得る。
【0070】
図7および8は、光結合点で微細構造を生成するための本発明の方法によって生成され、位置13および配向14に関して正確である光結合点11と位置合わせされる微細構造100を概略的に示す。
【0071】
図7は、「フォトニックワイヤボンド(photonic wire bond)」とも呼ばれる誘電体自由形状導波路101の形態で、光結合点11の位置13で生成される微細構造100を示し、誘電体自由形状導波路101は、光結合点11の位置13および配向14に関して位置合わせされる。
【0072】
図8は、さらなる光学部品210のさらなる光導波路212によって形成される、さらなる光結合点211に位置する、マイクロレンズ102の形態でのさらなる微細構造100を示し、さらなる光結合点211は、光学部品10に含まれる既に捕捉された光結合点11と直接接触していない。この場合、さらなる光結合点211の位置213および配向214はまた、微細構造100の構成に使用され得る。微細構造100は、結果として2つの光結合点11、211間の効率的な結合が生じるように、2つの光結合点11、211の位置13、213および配向14、214に基づいて構成される。図8による例示的な実施形態に加えて、効率的な結合のために、光結合点11、211の両方において微細構造100を生成することにも利点がある場合があり、光結合点11、211の両方の位置および配向は、微細構造100の各々の構成に使用される。
【0073】
図9は、複数の光結合点11がマルチコアファイバの導波路コア12のファセットによって画定される、さらなる例示的な実施形態を示す。本実施形態では、たとえば、全体的にファイバコアのすべてに結合された光放射は、一体的に共通の測定ユニット110によって確認される場合があり、そのアクティブ領域は、マルチコアファイバの導波路コアのすべてにわたって拡張している。
【0074】
図10は、光学部品10の光結合点11に導入された光放射を捕捉するためか、または光結合点11の相互作用領域15で光放射を励起するために適した光を内部で結合するための様々な好ましい実施形態を概略的に示す。しかし、ここには例示されないさらなる実施形態も同様に可能である。
【0075】
図10Aによる実施形態では、この目的のために、光学部品10は、光源112または測定ユニット110を備える場合があり、光源112または測定ユニット110は、位置特定される光結合点11への光接続を有する。
【0076】
図10Bによる実施形態では、この目的のために、光源112または測定ユニット110は、光学部品10の外側に配置される場合があり、好ましくは、光導波路または光ファイバの形態で、光学部品10への接続を含み得る。
【0077】
図10Cによる実施形態では、光学部品10は、たとえば、いわゆるグレーティングカプラの形態で、結合構造113を有する場合があり、これにより、光または捕捉される光放射は、光学部品10から結合され得るか、または光学部品10に結合され得る。この場合、内部で結合された光か、または出力されて結合された光放射は、リソグラフィ対物レンズ70自体によって、さらなる対物レンズ(例示せず)によってか、またはさらなる光学素子、好ましくは、光ファイバ、または光源、好ましくは、フォトダイオード(例示せず)によって捕捉または提供され得る。この場合、グレーティングカプラは、本発明の方法に関連して伝達される光または関連する光放射の波長に対して、高い結合効率を有しつつ、光学部品10の動作波長で光信号に影響を与えるか、または重大な影響を及ぼすことがないように設計され得る。
【0078】
図10Dによる実施形態では、導波路12内で発生する散乱放射または発光放射は、好ましくは、対物レンズ70自体か、またはさらなる対物レンズを使用することによって捕捉され得る。散乱放射の生成は、ここでは、たとえば周期的構造に基づく、適切な散乱構造によって達成され得る。これらの構造は、本発明の方法に関連して伝達された光の波長に対して、高い散乱効率を有しつつ、光学部品10の動作波長で光信号に影響を与えるか、または重大な影響を及ぼすことがないように設計され得る。
【0079】
図11は、表面照射型フォトダイオード105の相互作用領域15を例として示す。この場合、光結合点11は、フォトダイオード105のアクティブ領域106に対応し、一方、フォトダイオード105のアクティブ領域106の法線ベクトルは、通常、光結合点11の配向と見なされる。
【0080】
図12は、x、y、およびz方向に移動可能であるように構成される光学テーブル108上に配置される、光学部品10において光結合点11を位置特定するための本発明による装置200の1つの好ましい例示的な実施形態を概略的に示す。装置200は、光放射用のさらなる検出チャネルによって拡張される、好ましくは、いわゆる「ガルボスキャナ」の形態での、ビームスキャナ132による高速ビーム偏向を伴う三次元レーザリソグラフィシステムに基づいている。この場合、光源112は、780nmの発光波長、約100fsのパルス持続時間、および約100MHzの反復率を有するフェムト秒レーザを備える。光結合点11を位置特定するための方法を実施するために、蛍光放射21は、多光子励起を使用することによって生成され、励起に使用される光は、部分的にリソグラフィシステムのビーム経路によって生成領域120に放射される。この場合、励起に使用される光は、リソグラフィ構造化にも使用される同じ光源112によってか、またはさらなるビームスプリッタ(例示せず)を介してビーム経路に結合し得る追加の光源によって生成され得る。ここで使用される媒体19は、フォトレジストであり、これに蛍光色素がさらに混合され得る。光結合点11を位置特定する目的のために、この場合、選択されたパラメータ、特に媒体19に放射された光のパワー、波長、および/またはパルス持続時間は、結果として導入される線量が、好ましくは、検出中の望ましくない重合に対する線量閾値をさらに下回るように設定される。この場合、生成領域120の範囲内において生成された蛍光放射21の一部は、光結合点11に結合する。本発明の例示的な実施形態では、光学部品は、少なくとも1つの導波路コア17を備える、たとえば光ファイバの形態での、少なくとも1つの光導波路12を備える。光導波路12は、測定ユニット110に接続され、測定ユニット110は、ここでは、光電子増倍管の形態で具現化される場合があり、励起に使用されるリソグラフィシステムの焦点の空間位置に依存する方法で、少なくとも1つの導波路コア17に結合される蛍光放射21を計測的に捕捉する。マルチコアファイバの場合、様々な導波路コア17に結合された蛍光放射21の合計は、図9による光電子増倍管の形態の測定ユニット110を使用することによって一体的に捕捉され得る。
【0081】
この代替として、光放射を励起するのに適した光源112が、導波路コア17(例示せず)の少なくとも1つに接続され得る。その後、光放射は、対物レンズ70を通じて捕捉され、蛍光経路115と呼ばれる装置を介して、光電子増倍管の形態でのさらなる測定ユニット110’に供給される。本実施形態では、蛍光経路115全体は、対物レンズ70と、その上流のレンズおよびビームスプリッタによって形成され、付加的に、ビームスキャナ132を備え得る。時間的に分解される測定ユニット110、110’の信号は、デジタル化される。ビームスキャナ132を使用することによって設定され、したがって既知である、3つの空間方向すべてにおける焦点位置から、捕捉された光放射が、それ故、空間分解法で確認される場合があり、少なくとも1つの導波路コア17の配向および位置は、そこから決定され得る。
【0082】
さらに、図12に概略的に例示されるように、装置200は、さらなる光学素子、光電子素子、または電子素子、特にさらなる測定ユニット110、光源112、レンズ、ミラー、ビームスプリッタまたはフィルタを備え得る。
【0083】
シングルコアファイバおよびマルチコアファイバの光結合点11の位置13および配向14を測定するために、装置200が成功裏に使用された。1つの例示的な実施形態の目的は、7コアファイバの光結合点11を認識することであった。通常のシングルコアファイバとは対照的に、マルチコアファイバは、ファイバ軸を中心とした恣意的な回転に関連して対称ではないため、その取り付け後の導波路コア17の位置13は、通常、不定のままである。導波路コア17を検出する目的で、多光子蛍光放射が、マルチコアファイバの端部ファセットの上流に配置された体積において、リソグラフィ対物レンズ70を使用することによって励起され、マルチコアファイバに接続された光電子増倍管の形態の測定ユニット110を使用することによって、すべての7つの導波路コア17にわたって一体的に捕捉した。蛍光放射の空間分解分布を測定する目的で、励起光ビームを、最初に、リソグラフィ対物レンズ70の焦点面において、ビームスキャナ132を使用することによって横方向に移動させた。さらに、焦点面自体を、対物ドライブ135によるz方向の対物レンズの軸変位を使用することによって、光マルチコアファイバに相対して移動させた。個々の導波路コア17に割り当てられた光結合点11の位置13および配向14は、マルチコアファイバによって捕捉された蛍光放射の三次元空間分解分布から確認され得る。さらに、励起された蛍光放射の一部は、リソグラフィ対物レンズ70自体によって捕捉し、撮像目的に使用され得る。この点に関して、評価ユニット150では、記録された測定データは、光学部品10のトポロジーを決定するために使用される場合があり、光結合点11の位置13および配向14の精密な決定を達成する役割を果たす。
【0084】
図12に例示される装置は、わずかに変更された形態で、光結合点11で微細構造(ここでは例示せず)を生成するための方法を実施するためにも使用され得る。この目的のために、パラメータ、特に光源112によって照射された光の波長、パワー、またはパルス持続時間は、リソグラフィビームの焦点の近傍の空間要素におけるフォトレジストの重合が可能になるように変更され得る。入射光の同時変化を伴う焦点の移動を使用することによって、空間上選択的に固化された体積領域がそうして生成される場合があり、その全体が所望の微細構造を形成する。この場合、重合は、単一光子または多光子の吸収プロセスに基づき得る。1つの具体的な実施形態では、光源は、フェムト秒レーザを備える場合があり、その出力パワーは、直接、または外部変調器、好ましくは、音響光学変調器を使用することによって変更され得る。さらに、光源は、フォトレジストに放射された光のパルス持続時間を変更することを可能にする調節可能なパルス圧縮器を備え得る。
【0085】
リソグラフィ対物レンズ70の光軸に沿う方向に対応する、z方向に垂直な中央導波路コア17のレベルでの平面において、マルチコアファイバを通じて確証される2光子蛍光パワーの分布の表示において、2光子蛍光の励起が光学部品10の範囲内では不可能であるため、蛍光は、媒体19とファイバファセットとの間の遷移部で急激に低下し得る。この場合、捕捉された光放射の急激な低下は、光結合点11として機能するファイバファセットの正確な位置特定に使用され得る。したがって、異なるz位置で画像のスタックを記録することによって、体積にわたる2光子蛍光の三次元空間分解捕捉を達成することが可能である。結果として、マルチコアファイバの軸に垂直な面での仮想断面も可能になり、ここで、マルチコアファイバの7つのコアは明確に認識可能である。この場合、ファイバコアの断面が直接光結合点11で発光放射21の分布から正確に導出され得ることは、特に注目に値する。さらに、リソグラフィ対物レンズ70自体によって捕捉された発光放射21のその部分の空間分布は、異なる焦点レベルから構成される画像スタックで同様に捕捉される場合があり、そこから、それぞれの結合点11の位置13を除いて、ファイバのトポロジーが認識可能である。
【符号の説明】
【0086】
10、210 光学部品
11、211 光結合点
12、212 光結合点に関連付けられた光導波路(ファイバ)
13、213 光結合点の位置
14、214 光結合点の方向
15 光結合点の相互作用領域
16 重なり領域における点
17 導波路コア
18 チップエッジ
19 媒体(相互作用媒体)
20 発光を生成するように構成される物質
21 発光放射(蛍光放射)
25 散乱を生成するように構成される物質
26 散乱放射
27 散乱中心
30 座標系
40 生成された微細構造
50 発光を生成するための集束レーザビーム
51 焦点
60 リソグラフィ対物レンズの撮像用焦点円錐
61 焦点
70 対物レンズ(リソグラフィ対物レンズ)
100 微細構造
101 位置合わせされた誘電体導波路
102 位置合わせされたマイクロレンズ
105 表面照射型フォトダイオード
106 表面照射型フォトダイオードのアクティブ領域
108 光学テーブル
110、110’ 測定ユニット
111 光放射を生成または捕捉するための光学系
112 光源(パルス光源)
113 結合構造
114 導波路による散乱
115 蛍光経路
120 光放射の捕捉領域
130 光放射の生成領域
132 ビームスキャナ
135 対物ドライブ
150 評価ユニット
200 光結合点を位置特定するための装置
図1A
図1B
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12