IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 三菱電機株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-画像読取装置 図1
  • 特許-画像読取装置 図2
  • 特許-画像読取装置 図3
  • 特許-画像読取装置 図4
  • 特許-画像読取装置 図5
  • 特許-画像読取装置 図6
  • 特許-画像読取装置 図7
  • 特許-画像読取装置 図8
  • 特許-画像読取装置 図9
  • 特許-画像読取装置 図10
  • 特許-画像読取装置 図11
  • 特許-画像読取装置 図12
  • 特許-画像読取装置 図13
  • 特許-画像読取装置 図14
  • 特許-画像読取装置 図15
  • 特許-画像読取装置 図16
  • 特許-画像読取装置 図17
  • 特許-画像読取装置 図18
  • 特許-画像読取装置 図19
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-14
(45)【発行日】2024-11-22
(54)【発明の名称】画像読取装置
(51)【国際特許分類】
   H04N 1/031 20060101AFI20241115BHJP
   H04N 1/193 20060101ALI20241115BHJP
【FI】
H04N1/031
H04N1/193
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2022576928
(86)(22)【出願日】2021-01-25
(86)【国際出願番号】 JP2021002391
(87)【国際公開番号】W WO2022157962
(87)【国際公開日】2022-07-28
【審査請求日】2023-02-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100116964
【弁理士】
【氏名又は名称】山形 洋一
(74)【代理人】
【識別番号】100120477
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 賢改
(74)【代理人】
【識別番号】100135921
【弁理士】
【氏名又は名称】篠原 昌彦
(74)【代理人】
【氏名又は名称】半田 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100203677
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 力
(72)【発明者】
【氏名】河野 裕之
(72)【発明者】
【氏名】中川 直紀
(72)【発明者】
【氏名】大野 岳
(72)【発明者】
【氏名】多久島 秀
(72)【発明者】
【氏名】牧田 泰介
(72)【発明者】
【氏名】時田 直幸
【審査官】花田 尚樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-133658(JP,A)
【文献】特開昭63-156473(JP,A)
【文献】特開2001-223846(JP,A)
【文献】特開2001-290104(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 1/024- 1/036
H04N 1/04 - 1/207
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の面と前記第1の面の反対側の面である第2の面とを有する第1のガラス部材と、
前記第1の面上に備えられた複数の集光レンズと、
前記第2の面上に備えられ、前記複数の集光レンズにそれぞれ対応する複数の第1の開口を持つ第1の遮光部材と、
前記第1の遮光部材に重なる第3の面を有する第2のガラス部材と、
前記第2のガラス部材の前記第3の面の反対側の面である第4の面上に備えられ、前記複数の第1の開口にそれぞれ対応する複数の第2の開口を持つ第2の遮光部材と、
前記第2の遮光部材に重なる第5の面を有する第3のガラス部材と、
前記第3のガラス部材の前記第5の面の反対側の面である第6の面上に備えられ、前記複数の第2の開口にそれぞれ対応する複数の第3の開口を持つ第3の遮光部材と、
センサ基板と、前記センサ基板上において予め定められた配列方向に配列され、前記複数の第3の開口にそれぞれ対応する複数の受光画素とを持つセンサ部と
を有し、
前記複数の受光画素の各受光画素の前記配列方向における幅は、前記複数の第3の開口の各第3の開口の前記配列方向における開口幅より長く、
前記集光レンズの焦点の位置が前記第1の開口と前記第3の開口との間にあることを特徴とする画像読取装置。
【請求項2】
複数の第4の開口を含み、前記複数の集光レンズと前記第1のガラス部材との間に配置された第4の遮光部材を更に有し、
前記複数の第4の開口は、前記複数の集光レンズにそれぞれ対応するように配列され、
前記複数の第4の開口の各第4の開口の前記配列方向における開口幅は、前記複数の集光レンズの各集光レンズの有効径より小さい
請求項1に記載の画像読取装置。
【請求項3】
前記複数の受光画素は、前記配列方向において、互いに異なる位置に配置されている
請求項1又は2に記載の画像読取装置。
【請求項4】
前記複数の受光画素は、千鳥状に配列されている
請求項1からのいずれか1項に記載の画像読取装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、画像読取装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ガラス部材と、ガラス部材に備えられた複数のレンズと、複数のレンズにそれぞれ対応する複数の開口を持つ遮光部材としての光吸収層と、複数の受光画素とを有する画像読取装置が提案されている。例えば、特許文献1を参照。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開昭63-156473号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、複数のレンズが備えられたガラス部材の線膨張係数と、受光画素が備えられたセンサ基板の線膨張係数が異なる場合、温度変化によって、複数のレンズの各集光レンズの光軸が複数の受光画素の各受光画素の中心に対してずれるおそれがある。この場合、受光画素に向けて進む光の一部が受光画素の受光領域から外れるため、受光画素における受光量が減少するという課題がある。
【0005】
本開示は、受光画素における受光量の減少を防止することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様に係る画像読取装置は、第1の面と前記第1の面の反対側の面である第2の面とを有する第1のガラス部材と、前記第1の面上に備えられた複数の集光レンズと、前記第2の面上に備えられ、前記複数の集光レンズにそれぞれ対応する複数の第1の開口を持つ第1の遮光部材と、前記第1の遮光部材に重なる第3の面を有する第2のガラス部材と、前記第2のガラス部材の前記第3の面の反対側の面である第4の面上に備えられ、前記複数の第1の開口にそれぞれ対応する複数の第2の開口を持つ第2の遮光部材と、前記第2の遮光部材に重なる第5の面を有する第3のガラス部材と、前記第3のガラス部材の前記第5の面の反対側の面である第6の面上に備えられ、前記複数の第2の開口にそれぞれ対応する複数の第3の開口を持つ第3の遮光部材と、センサ基板と、前記センサ基板上において予め定められた配列方向に配列され、前記複数の第3の開口にそれぞれ対応する複数の受光画素とを持つセンサ部とを有し、前記複数の受光画素の各受光画素の前記配列方向における幅は、前記複数の第3の開口の各第3の開口の前記配列方向における開口幅より長く、前記集光レンズの焦点の位置が前記第1の開口と前記第3の開口との間にあることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、受光画素における受光量の減少を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施の形態1に係る画像読取装置の構成を概略的に示す斜視図である。
図2図1に示される画像読取装置をA2-A2線で切る断面図である。
図3図1に示される画像読取装置をA3-A3線で切る断面図である。
図4図1に示される撮像素子ユニットの構成の一部を示す平面図である。
図5図1に示される照明光学部の構成と、照明光学部から照射される照明光とを概略的に示す図である。
図6図3に示される画像読取装置の構成の一部と、第2の開口及び第1の開口を通過する反射光を示す図である。
図7】(A)及び(B)は、実施の形態1に係る画像読取装置において、受光画素に対応する第2の開口及び第1の開口を通過した反射光が当該受光画素に入射する条件を説明するための図である。
図8図1に示される画像読取装置をA8-A8線で切る断面図である。
図9図3に示される受光画素に入射する反射光を概略的に示す図である。
図10】実施の形態1に係る画像読取装置において、受光画素から+Z軸方向に向かう仮想的な光線である逆光線を表す図である。
図11図10に示される逆光線の広がりを表す図である。
図12】(A)は、比較例1に係る画像読取装置において、受光画素に入射する反射光を概略的に示す図である。(B)は、比較例2に係る画像読取装置において、受光画素に入射する反射光を概略的に示す模式図である。
図13】実施の形態1に係る画像読取装置において、受光画素に入射する反射光を概略的に示す図である。
図14図3に示される画像読取装置の構成の一部と、受光画素に入射する反射光とを示す図である。
図15】比較例3に係る画像読取装置の構成の一部と、受光画素に入射する反射光とを示す図である。
図16】(A)は、温度変化量が0℃であるときの図14に示される受光画素と当該受光画素に入射する反射光の照射領域との関係を示す図である。(B)は、当該温度変化量が40℃であるときの受光画素と当該受光画素に入射する反射光の照射領域との関係を示す図である。
図17】(A)は、温度変化量が0℃であるときの図15に示される受光画素と当該受光画素に入射する光の照射領域との関係を示す図である。(B)は、当該温度変化量が40℃であるときの受光画素と受光画素に入射する光の照射領域との関係を示す図である。
図18】実施の形態2に係る画像読取装置の構成を示す断面図である。
図19】実施の形態2に係る画像読取装置の構成の一部を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、本開示の実施の形態に係る画像読取装置を、図面を参照しながら説明する。以下の実施の形態は、例にすぎず、実施の形態を適宜組み合わせること及び各実施の形態を適宜変更することが可能である。
【0011】
《実施の形態1》
〈画像読取装置の構成〉
図1は、実施の形態1に係る画像読取装置100の主要な構成を概略的に示す斜視図である。図2は、図1に示される画像読取装置100をA2-A2線で切る断面図である。図3は、図1に示される画像読取装置100をA3-A3線で切る断面面である。図1~3に示されるように、画像読取装置100は、撮像光学部1と、照明光学部2と、原稿載置台としての天板ガラス7とを備える。天板ガラス7上に配置された原稿6に照明光学部2から照明光25が照射されたとき、照明光25は原稿6で散乱反射する。その散乱反射光(以下、「反射光」ともいう)が撮像光学部1によって受光されることで、原稿6の画像情報が読み取られる。
【0012】
実施の形態1では、撮像光学部1が原稿6の2次元の画像情報を取得するために、搬送部(図示せず)によって、原稿6が天板ガラス7に沿って、主走査方向(すなわち、X軸方向)に直交する副走査方向(すなわち、Y軸方向)に搬送される。これにより、原稿6全体の走査が可能になる。なお、原稿6は静止したままで、撮像光学部1がY軸方向に移動することで、原稿6全体の走査が行われてもよい。
【0013】
原稿6は、撮像光学部1によって撮像される撮像対象物の一例である。原稿6は、例えば、文字又は画像等が印刷された印刷物である。原稿6は、予め定められた基準面Sに配置される。基準面Sは、原稿6が載置される平面、すなわち、天板ガラス7上の平面である。天板ガラス7は、原稿6と撮像光学部1との間に位置している。天板ガラス7の厚みは、例えば、1.0mmである。なお、原稿6を基準面Sに設置する構造は、天板ガラス7に限定されない。
【0014】
画像読取装置100は、第1のガラス部材としてのガラス部材52と、複数の集光レンズとしての複数のマイクロレンズ14と、第1の遮光部材としての遮光部材12と、第2のガラス部材としてのガラス部材51と、第2の遮光部材としての遮光部材11と、第3のガラス部材としてのガラス部材53と、第3の遮光部材としての遮光部材15と、センサ部としての撮像素子ユニット3とを有する。ガラス部材52、マイクロレンズ14、遮光部材12、ガラス部材51、遮光部材11、ガラス部材53、遮光部材15及び撮像素子ユニット3は、撮像光学部1を構成する。
【0015】
ガラス部材52は、光を透過可能な透光性部材であり、例えば、ガラス基板である。ガラス部材52は、第1の面としての面52aと、面52aの反対側の面である第2の面としての面52bとを有する。
【0016】
複数のマイクロレンズ14は、ガラス部材52の面52a上に備えられている。マイクロレンズ14は、原稿6で反射した反射光を集光する機能を有する。マイクロレンズ14は、凸レンズである。複数のマイクロレンズ14は、複数の受光画素10にそれぞれ対応するように配列されている。実施の形態1では、Z軸方向に見た場合に、複数のマイクロレンズ14は、複数の受光画素10にそれぞれ重なっている。
【0017】
複数のマイクロレンズ14は、2列に配列されている。各列のマイクロレンズ14は、X軸方向に配列されている。そして、複数のマイクロレンズ14は、千鳥状に配列されている。実施の形態1では、マイクロレンズ14の直径は、数μm~数mmの範囲内の予め決められた大きさに設定される。マイクロレンズ14の面の曲率半径は、例えば、0.33mmである。千鳥状に配列された複数のマイクロレンズ14は、マイクロレンズアレイ60を構成する。図2では、マイクロレンズ14の光軸は、符号40で示されている。
【0018】
遮光部材12は、ガラス部材52の面52b上に備えられている。すなわち、遮光部材12は、ガラス部材52の受光画素10側の面52bに形成されている。遮光部材12は、複数の第1の開口としての開口32を持つ。複数の開口32の各開口32には、原稿6で反射した反射光が通過する。開口32は、例えば、80μm×80μmの正方形状である。上述したマイクロレンズ14は、ガラス部材52を介して、複数の開口32と光軸方向(すなわち、Z軸方向)に間隔を開けて配置されている。
【0019】
複数の開口32は、複数のマイクロレンズ14にそれぞれ対応する位置に配列されている。Z軸方向に見た場合に、複数の開口32は、複数のマイクロレンズ14にそれぞれ重なっている。また、複数の開口32は、複数の受光画素10にそれぞれ対応する位置に配列されている。Z軸方向に見た場合に、複数の開口32は、複数の受光画素10にそれぞれ重なっている。複数の開口32は、2列に配列されている。各列の開口32は、X軸方向に配列されている。複数の開口32は、千鳥状に配列されている。
【0020】
ガラス部材51は、光を透過可能な透光性部材であり、例えば、ガラス基板である。ガラス部材51は、遮光部材12に重なる第3の面としての面51aと、面51aの反対側の面である第4の面としての面51bとを有する。
【0021】
遮光部材11は、ガラス部材51の面51b上に備えられている。すなわち、遮光部材11は、ガラス部材51の受光画素10側の面51bに形成されている。遮光部材11は、複数の第2の開口としての複数の開口31を持つ。複数の開口31の各開口31には、原稿6で反射した反射光が通過する。開口31は、例えば、40μm×40μmの正方形状である。
【0022】
複数の開口31は、複数の開口32にそれぞれ対応する位置に配列されている。Z軸方向に見た場合に、複数の開口31は、複数の開口32にそれぞれ重なっているため、複数の開口31は、複数のマイクロレンズ14にそれぞれ重なっている。また、複数の開口31は、複数の受光画素10にそれぞれ対応する位置に配列されている。Z軸方向に見た場合に、複数の開口31は、複数の受光画素10にそれぞれ重なっている。複数の開口31は、2列に配列されている。各列の開口31は、X軸方向に配列されている。そして、複数の開口31は、千鳥状に配列されている。
【0023】
遮光部材11において、開口31を除く部分が反射光を遮光する遮光部分41であり、上述した遮光部材12において、開口32を除く部分が反射光を遮光する遮光部分42である。遮光部分41及び遮光部分42は、ガラス部材51に蒸着された酸化クロム膜によって形成された薄膜の遮光層である。開口31及び開口32は、ガラス部材51に蒸着された酸化クロム膜を、マスクパターンを用いてエッチングすることによって形成される。
【0024】
ガラス部材53は、光を透過可能な透光性部材であり、例えば、ガラス基板である。ガラス部材53は、ガラス部材51より受光画素10側に配置されている。ガラス部材53は、遮光部材11と重なる第5の面としての面53aと、面53aの反対側の面である第6の面としての面53bとを有する。
【0025】
実施の形態1では、ガラス部材51、ガラス部材52及びガラス部材53のそれぞれの屈折率は同じであり、例えば、1.52である。なお、ガラス部材51、ガラス部材52及びガラス部材53のそれぞれの屈折率は、互いに異なっていてもよい。
【0026】
遮光部材15は、ガラス部材53の面53b上に備えられている。遮光部材15は、複数の第3の開口としての複数の開口34を持つ。開口34は、例えば、35μm×35μmの正方形状である。
【0027】
複数の開口34は、複数の開口31にそれぞれ対応する位置に配列されている。Z軸方向に見た場合に、複数の開口34は、複数の開口31にそれぞれ重なっている。また、複数の開口34は、複数の受光画素10にそれぞれ対応する位置に配列されている。Z軸方向に見た場合に、複数の開口34は、複数の受光画素10にそれぞれ重なっている。複数の開口34は、2列に配列されている。各列の開口34は、X軸方向に配列されている。そして、複数の開口34は、千鳥状に配列されている。
【0028】
遮光部材15において、開口34を除く部分が反射光を遮光する遮光部分44である。遮光部分44は、ガラス部材53に形成された薄膜の遮光層である。開口34は、ガラス部材53に蒸着された酸化クロム膜を、マスクパターンを用いてエッチングすることによって形成される。
【0029】
図4は、図1に示される撮像素子ユニット3の一部を示す平面図である。図1~4に示されるように、撮像素子ユニット3は、撮像素子チップとしてのセンサチップ8と、撮像素子基板としてのセンサ基板9とを有する。センサチップ8は、複数の受光画素10を有する。センサチップ8は、例えば、シリコン素材から形成されている。センサチップ8は、センサ基板9上に備えられている。センサ基板9は、非透光性部材からなる実装基板であり、例えば、ガラスエポキシ樹脂から形成されている。センサチップ8は、センサ基板9に電気的に接続されている。センサチップ8は、例えば、ワイヤボンディングによってセンサ基板9に実装されている。
【0030】
ここで、図3に示されるガラス部材51の厚みtは、例えば、t=210μmである。ガラス部材52の厚みtは、例えば、t=700μmである。ガラス部材53の厚みtは、例えば、t=210μmである。ガラス部材53は、受光画素10とZ軸方向において間隔tを開けて配置されている。受光画素10とガラス部材53との間隔tは、例えば、250μmである。
【0031】
センサチップ8がワイヤボンディングによってセンサ基板9に実装されている場合、センサチップ8の+Z軸側の面から+Z軸方向にワイヤが100~200μm程度、飛び出すことがある。実施の形態1では、間隔tがワイヤの長さより長い250μmであるため、センサチップ8から飛び出したワイヤとガラス部材53との干渉を防止することができる。実施の形態1では、250μmの厚さを有するスペーサ部材(図示せず)が、受光画素10とガラス部材53との間に配置されることで、250μmの間隔tが確保されている。
【0032】
図1及び4に示されるように、複数の受光画素10は、複数の開口34にそれぞれ対応する位置に配列されている。複数の受光画素10は、予め定められた配列方向であるX軸方向に配列されている。複数の受光画素10は、X軸方向に配列された第1の列10uの受光画素10と、X軸方向に配列された第2の列10vの受光画素10とを含む。すなわち、複数の受光画素10は、X軸方向に2列に配列されている。なお、複数の受光画素10は、X軸方向に1列に配列されていてもよく、3列以上に配列されていてもよい。
【0033】
受光画素10は、原稿6で反射した反射光を受光する受光素子である。1つの受光画素10(つまり、受光領域)の大きさは、例えば、200μm×200μmである。X軸方向に隣り合う受光画素10の中心位置のX軸方向の間隔pは、例えば、250μmである。受光画素10の中心位置のY軸方向の間隔qは、例えば、250μmである。
【0034】
また、複数の受光画素10は、X軸方向において、互いに異なる位置に配列されている。図4では、複数の受光画素10は、千鳥状に配列されている。具体的には、第2の列10vの受光画素10は、隣接する第1の列10uの受光画素10に対して、間隔pの1/2の距離p/2、X軸方向にずれて配列されている。これにより、第2の列10vの各受光画素10は、第1の列10uの受光画素10のうちの隣り合う受光画素10のX軸方向の中間に位置している。また、複数の受光画素10が、千鳥状に配列されていることにより、X軸方向に隣接する2つの受光画素10の間の間隔をあけることができるため、X軸方向に隣接する2つの受光画素10の間の間隔をあけることができるため、マイクロレンズ14の有効径を大きくすることができる。具体的には、マイクロレンズ14は、後述する開口33の開口幅より大きい。これにより、受光画素10における受光量を増大させることができる。
【0035】
図1~3に示されるように、撮像光学部1は、第4の遮光部材としての遮光部材13を更に有する。遮光部材13は、ガラス部材52の面52a上に備えられている。遮光部材13は、複数の第4の開口としての複数の開口33を含む。複数の開口33と基準面Sとの間に、上述した複数のマイクロレンズ14が配置されている。開口33は、上述した開口31、32、34と同様の方法によって形成される。図1では、開口33は円形状である。開口33の開口面積は、開口31、32の各開口面積より大きい。すなわち、開口33の開口幅である直径(例えば、後述する図10に示される直径Φ)は、開口31、32の各辺より大きい。また、開口33の直径は、マイクロレンズ14の有効径より小さい。
【0036】
開口33の直径は、例えば、100μmである。複数の開口33は、複数の受光画素10にそれぞれ対応する位置に配列されている。実施の形態1では、Z軸方向に見た場合に、複数の開口33は、複数の受光画素10にそれぞれ重なっている。複数の開口33は、2列に配列されている。各列の開口33は、X軸方向に配列されている。複数の開口33は、千鳥状に配列されている。また、複数の開口33は、複数の開口31にそれぞれ重なっており、且つ複数の開口32にそれぞれ重なっている。また、複数の開口33は、複数のマイクロレンズ14にそれぞれ対応する位置に配列されている。具体的には、XY平面において、複数の開口33の各開口33の中心位置は、マイクロレンズ14の中心位置と同じである。
【0037】
図3に示されるように、遮光部材13において、開口33を除く部分が反射光を遮光する遮光部分43である。遮光部分43は、ガラス部材52に形成された薄膜の遮光層である。なお、遮光部材13の他の構成については、後述する。
【0038】
次に、照明光学部2の構成について説明する。図5は、図1に示される照明光学部2の構成と、照明光学部2から照射される照明光とを概略的に示す図である。図2及び5に示されるように、照明光学部2は、光源20と、導光体21とを有する。光源20は、導光体21の端面21aに配置されている。光源20は、導光体21の内部に光20aを出射する。光源20は、例えば、半導体光源である。半導体光源は、例えば、LED(Light Emitting Diode)などである。
【0039】
図5に示されるように、導光体21は、光源20から出射された光20aを原稿6に向ける。導光体21は、例えば、透光性の樹脂材料で形成された円柱状の部材である。光源20から出射された光20aは、導光体21の内部で全反射を繰り返しながら伝搬する。導光体21の内側面の一部領域には散乱領域22が形成されている。光20aは、散乱領域22に当たると散乱し、光20aは散乱光となる。そして、散乱光の一部が原稿6を照明する照明光25となる。
【0040】
原稿6に照射された照明光25は、原稿6で反射されて反射光となる。反射光は、図1に示されるマイクロレンズ14、開口33、ガラス部材52、開口32、ガラス部材51、開口31、ガラス部材53、開口34を順に通過して受光画素10に入射する。
【0041】
〈迷光の影響を受けない画像を取得するための条件〉
次に、図6を用いて画像読取装置100が、迷光の影響を受けない画像を取得するための条件について説明する。図6は、図3に示される画像読取装置100の構成の一部と、開口32及び開口31を通過する反射光を示す図である。図6では、X軸方向に進む迷光の影響を受けない画像を取得するための条件について説明する。なお、図6では、X軸方向に配列された複数の受光画素10を10a、10b、10cとも表記する。同様に、複数の開口31を31a、31b、31c、複数の開口32を32a、32b、32c、複数の開口34を34a、34b、34cとも表記する。また、以下の説明では、開口32の中心、開口31の中心、開口34の中心及び受光画素10を結ぶ直線を光軸40a、40b、40cと呼ぶ。
【0042】
図6では、開口32及び開口31を通過する原稿6(図1参照)からの反射光が光線L1、L2、L3として示されている。光線L1は、開口32a及び開口31aを通過した後に、開口34aを経て受光画素10aに入射する。このように同一の光軸40a上に並ぶ3つの開口32a、31a、34aを通過する光線は全て受光画素10aに到達するように、受光画素10aは十分大きな面積を持つ。この場合、開口34aは、受光画素10aの実質的な受光領域である。
【0043】
光線L2は、光軸40aと異なる光軸40b上に位置する開口32b、開口31bを通過する光線である。光線L3は、光軸40aと異なる光軸40c上に位置する開口31cを通過する光線である。光線L2及び光線L3は、受光画素10aに到達しない。そのため、撮像光学部1は、X軸方向に進む迷光の影響を受けない画像を得ることができる。実施の形態1では、受光画素10の光軸上に位置する開口32、開口31を通過した光線が、当該光軸上の受光画素10に入射する。すなわち、受光画素10と開口31が光学的に一対一の関係にあり、且つ受光画素10と開口32が光学的に一対一の関係にある。
【0044】
図7(A)及び(B)は、画像読取装置100において、開口34に対応する開口32及び開口31を通過した反射光が当該開口34を通過する条件を説明するための図である。図7(A)及び(B)では、ガラス部材51の厚みを厚みt、ガラス部材53の厚みを厚みt、ガラス部材51の屈折率を屈折率n、ガラス部材53の屈折率を屈折率nと表記する。以下の条件1及び2が共に満たされるとき、開口32及び開口31を通過した反射光のみが、受光画素10の実質的な受光領域である開口34を通過する。
(条件1)
互いに異なる光軸を持つ開口32及び開口31を通過する光線のうち、開口34を通り抜ける光線は存在しない。
(条件2)
同一の光軸を有する開口32及び開口31を通過した光線は、前記同一の光軸上の開口34以外には到達しない。
【0045】
条件1及び条件2について、図7(A)及び(B)を用いて説明する。
条件1は、互いに異なる光軸を持つ開口32及び開口31を通過する光線のうち開口32での光線の最も小さな入射角θが次の式(1)を満足することが十分条件である。
・sinθ>1 (1)
【0046】
式(1)を満足することが条件1の十分条件である理由について説明する。図7(A)では、入射角θを持つ光線は光線L4で示されている。光線L4は、開口32w内の左端の点P4と、開口31v内の右端の点を通過する光線である。ガラス部材53に入射するときの光線L4の出射角をθとすると、スネルの法則により、入射角θ及び出射角θは、以下の式(2)を満たす。
・sinθ=n・sinθ (2)
【0047】
ガラス部材53の-Z軸側の面に入射するときの光線L4の入射角は、角度θである。このときの光線L4の入射位置が遮光部材15である場合、入射角に関わらず、光線L4は遮光されるため、開口34を通過しない。一方、当該光線L4の入射位置が開口34である場合、式(1)及び式(2)より、以下の式(3)が導き出される。
・sinθ>1 (3)
【0048】
式(3)は、入射角がθである光線L4が開口34において全反射することを示しているため、当該光線L4は開口34を通過しない。仮に、開口32に入射する光線L4の入射角が入射角θより大きい場合でも、式(1)が満たされているため、光線L4が開口34に到達したしても、当該開口34において全反射される。そのため、この場合でも、光線L4は開口34を通過しない。よって、式(1)を満足することが条件1の十分条件である。
【0049】
次に、式(1)の条件を、ガラス部材51の厚み及び開口幅のパラメータを用いて表す。開口31、開口32、開口34のX軸方向における開口幅の1/2の幅である開口半幅をそれぞれ、X、X、Xと表記する。開口32w内の-X軸方向の端と開口31v内の+X軸方向の端とのX軸方向における距離Dは、以下の式(4)で求められる。
=p-X-X (4)
【0050】
図7(A)から明らかなように、光線L4の入射角θについて、以下の式(5)の関係が成り立つ。
tanθ=D/t=(p-X-X)/t (5)
【0051】
式(1)と式(5)から、上記条件1を満たすガラス部材51の厚みtについて、以下の式(6)が導き出される。
【数1】
すなわち、ガラス部材51の厚みtが、式(6)の右辺の値より薄ければ、光線L4が全反射条件を満たす。このとき、上記条件1が成立する。
【0052】
次に、上記条件2について、図7(B)を用いて説明する。以下では、複数の開口34のうちの1つの開口34bと開口34bにX軸方向の両側で隣接する開口34a、34cを例にして説明する。開口34bと重なる開口32b内の点P5と、開口34bと重なる開口31b内の点P6とを通過する光線L6が、開口34aと開口34cの間の領域に到達し、開口34a及び開口34cのいずれにも入射しないとき、上記条件2は成立する。開口34aと開口34cの間の領域は、図7(B)に示す開口34aの右端と開口34cの左端とで挟まれる領域である。
【0053】
図7(B)に示される光線L6は、開口32bとそれに重なる開口31bとを通過する光線である。図7(B)では、光線L6は、開口32bにおける開口32cに最も近い端部を通過した後、開口31bにおける開口31aに最も近い端部を通過する。開口31bを通過した光線L6は、点Qに到達する。ここで、点Qは、開口34aと開口34bとの間の領域で光線L6が到達した点を示している。図7(B)では、点Qは、開口34bから-X軸方向に最も離れた点、すなわち、開口34aに最も近い点を示している。このように、光線L6が、開口34aにおける開口34bに最も近い端部より開口34b側の点である点Qに到達する場合には、開口32b及び開口31bを通過した光線は、開口34b以外の開口(例えば、開口34a及び開口34c)には到達しない。
【0054】
ここで、光線L6の出射角をα、光線L6の入射角をαと表記すると、入射角αは、以下の式(7)で求められる。
tanα=(X+X)/t (7)
また、スネルの法則によれば、出射角αと入射角αとの関係は、以下の式(8)で示される。
・sinα=n・sinα (8)
【0055】
また、光軸40bから点Qまでの距離Dは、以下の式(9)で求められる。
=X+t・tanα (9)
ここで、点Qが開口34aにおける+X軸方向の端部より開口34b側に位置する条件は、以下の式(10)で示される。
p-X>X+t・tanα (10)
【0056】
式(7)~式(10)より、上記条件2を満たすガラス部材51の厚みtについて、以下の式(11)が導き出される。
【数2】
すなわち、ガラス部材51の厚みtが、式(11)の右辺の値より厚い場合には、上記条件2が成立する。なお、実施の形態1では、ガラス部材51の屈折率nとガラス部材53の屈折率nが同じであるため、式(11)は、以下の式(12)で示される。
>t・(X+X)/(p-X-X) (12)
【0057】
実施の形態1の一例では、X=20μm、X=40μm、X=20μm、t=210μm、p=250μm、n=1.52である。これらの値を式(6)と式(12)の右辺に代入すると、それぞれの式の右辺の値は、217μm、60μmとなる。よって、t=210μmは、式(6)と式(12)の両方を満たしている。
【0058】
次に、図4を用いて複数の受光画素10の配列について説明する。複数の受光画素10は、複数行複数列に配列されている。また、図4では、複数の受光画素10は、千鳥状に配列されている。仮に、複数の受光画素が1列で配列されている画像読取装置において、実施の形態1に係る画像読取装置100の解像度と同じ解像度を得る場合、主走査方向(すなわち、X軸方向)における受光画素の配列ピッチは、実施の形態1の受光画素10の配列ピッチの半分の値(すなわち、125μm)である。言い換えれば、実施の形態1に係る画像読取装置100では、同一の列に配列された受光画素10の配列ピッチを大きくすることができる。
【0059】
一方、複数の受光画素が1列で配列されている画像読取装置では、各開口の開口半幅の値を大きくしたまま、上述した式(6)及び(12)の両方を満たす厚みtを得ることは難しい。なお、複数の受光画素が1列で配列されている場合であっても、式(6)と式(12)の両方を満たすパラメータである厚みtは存在する。そのため、複数の受光画素10が2列に配列されている構成についての説明を除いた説明(例えば、上述した条件1及び2についての説明など)は、複数の受光画素が1列で配列されている場合にも適用される。
【0060】
次に、画像読取装置100において、2列に配列された受光画素10のうち一方の列に属する受光画素10と重なる位置に配置された開口32、開口31を通過した光線が、他方の列に属する受光画素10に入射しないための条件について説明する。図8は、図1に示される画像読取装置100をA8-A8線で切る断面図である。更に言えば、図8は、図1に示される点P1と点P2を含む平面の断面図である。なお、以下の説明では、第1の列10u(図4参照)に配列された開口34を開口34a、第2の列10v(図4参照)に配列された開口34を開口34eとも表記する。開口34aと重なる第1及び第2の開口31、32を31a、32aとも表記し、開口34eと重なる第1及び第2の開口31、32を31e、32eとも表記する。開口32aと重なるマイクロレンズ14を14a、開口32eと重なるマイクロレンズ14を14eとも表記する。また、マイクロレンズ14aの光軸は符号40a、マイクロレンズ14eの光軸は符号40eで示されている。
【0061】
以下では、開口32e、開口31eを通過した光線が開口34aに入射しない条件について説明する。この説明にあたって、図8に示されるように、開口34aから開口31eに向かう仮想的な光線である逆光線L8を用いる。逆光線L8は、点R1から点R2を通過し、点R3に到達する光線である。点R1は、開口34aにおける開口34eに最も近い端部である。点R2は、開口31eにおける開口31aに最も近い端部である。点R3は、開口32eにおける開口32aから最も遠い端部より外側に位置する点である。逆光線L8が、遮光部分41又は遮光部分42に到達すれば、開口32e、開口31eを通過した光線が開口34aに入射しない。図8では、逆光線L8が遮光部分42に到達する場合を例にして説明する。
【0062】
また、図8では、点R3と光軸40eとの距離をDと表記し、正方形状である開口32eの対角線の長さの1/2の長さをX20と表記する。距離Dが長さX20より大きければ、逆光線L8が遮光部分42に到達する。これにより、開口32e、開口31eを通過した光線は、開口34aに入射しない。仮に、距離が長さX20より小さく、逆光線L8が開口32eを通過した場合であっても、図4に示される間隔qが大きければ、逆光線L8は遮光部材13の遮光部分43に到達する。よって、距離Dが長さX20より小さい場合でも、間隔qが大きく、且つ画像読取装置100が遮光部材13を備えていることで、開口32e、開口31eを通過した光線は、開口34aに入射しない。
【0063】
〈画像の復元〉
次に、撮像光学部1が、受光画素10から取得した画像情報に基づいて、原稿6の画像を復元する方法について説明する。実施の形態1では、図4に示されるように、複数の受光画素10が千鳥状に配列されているため、第1の列10uに属する受光画素10の中心位置と第2の列10vに属する受光画素10の中心位置とは、Y軸方向に距離qずれている。そのため、原稿6がY軸方向に走査された場合に、位置ずれがない画像に復元する必要がある。具体的には、画像処理回路(図示せず)が、第1の列10uの受光画素10からの画像情報と第2の列10vの受光画素10からの画像情報とを取得した後に、Y軸方向に距離qに相当する画素数、画像情報をシフトさせる処理を行えばよい。
【0064】
図4では、第2の列10vの受光画素10は、第1の列10uの受光画素10に対して、距離pの1/2の距離p/2、X軸方向にずれて配列されている。画像処理回路が、原稿6をY軸方向に距離p/2搬送する時間間隔で、受光画素10から出力を取得する。なお、実施の形態1では、X軸方向の解像度とY軸方向の解像度とは同じ値である。また、画像情報の位置ずれ量を示す距離qは、距離p/2の整数倍であることが好ましいが、これに限られない。また、画像処理回路は、画素補完処理を用いてサブピクセル位置の輝度値を推定し、推定された輝度値を用いて画像情報を合成してもよい。また、画像処理回路は、第1の列10uに属する受光画素10が画像情報を取得するタイミングと第2の列10vに属する受光画素10が画像情報を取得するタイミングとをずらし、取得された画像情報を合成してもよい。
【0065】
〈被写界深度〉
次に、実施の形態1に係る画像読取装置100の被写界深度について説明する。図9は、図3に示される受光画素10bに入射する反射光L11~L14の光線束を概略的に示す図である。図9に示されるように、画像読取装置100では、マイクロレンズ14は、遮光部材12と+Z軸方向に間隔をあけて配置されている。具体的には、マイクロレンズ14は、ガラス部材52と遮光部材13を挟んで、遮光部材12と十分な間隔をあけて配置されている。
【0066】
図10は、実施の形態1に係る画像読取装置100において、開口34bから+Z軸方向に向かう仮想的な逆光線61b、62b、63b、66bを表す図である。逆光線61bは、面上の像高h=0の点から+Z軸方向に向かう逆光線である。逆光線62bは、面上の像高h=X/2の点から+Z軸方向に向かう逆光線である。逆光線63bは、面上の像高h=Xの点から+Z軸方向に向かう逆光線である。逆光線66bは、逆光線63bと同様に、像高h=Xの点から+z軸方向に向かう逆光線であるが、遮光部材13によって遮光されている。図10では、説明の便宜上、屈折率がn、厚みがtであるガラス部材が、屈折率が1、厚みがt/nである空気中に換算した距離に置き換えられて図示されている。図10に示されるように、マイクロレンズ14は、遮光部材12の開口32bから距離t/nの間隔をあけて配置されている。
【0067】
図11は、図10に示される逆光線61b、62b、63bの広がりを表す図である。図11では、逆光線61b、62b、63bの広がりを強調して描くために、図10に示される撮像光学部1が縮小されている。画像読取装置100では、マイクロレンズ14bの焦点距離は、開口34b上の点が、ターゲット71とターゲット72の間に位置する点(例えば、撮像光学部1から+Z軸方向に3.0mmの位置)に焦点を結ぶように設定されている。図10及び11に示されるように、マイクロレンズ14bを通過した逆光線61b、62b、63bの光線束の主光線同士が、Z軸方向にほぼ平行となっている。ここで、主光線は、光線束の中心を通る光線である。
【0068】
図11では、逆光線61b、62b、63bの光線束の広がりが、原稿6(図1に示される)上で2画素に相当する範囲となる位置を70と表記する。また、撮像光学部1から位置70までの距離をLと表記する。また、図11では、逆光線61b、63bが集光する点を含みXY面に平行な平面を80と表記し、マイクロレンズ14bから平面80までの距離をLと表記する。
【0069】
画像読取装置100では、距離Lは、例えば、3.5mmである。これにより、画像読取装置100では、天板ガラス7及び照明光学部2を開口32bと基準面Sとの間に配置しても、十分に大きい被写界深度を確保することができる。例えば、天板ガラス7及び照明光学部2を配置するために1.5mmのスペースが必要である場合、2.0mmの被写界深度を得ることができる。したがって、画像読取装置100では、マイクロレンズ14bが開口32と間隔をあけて配置されていることにより、被写界深度が大きくなる。また、画像読取装置100では、受光画素10の半幅X、開口31の開口半幅X、及び開口32の開口半幅Xを大きくした場合でも被写界深度を拡大できる。よって、画像読取装置100では、開口34を通過する反射光の光量、すなわち、受光画素10における受光量を増加させつつ、被写界深度を拡大することができる。
【0070】
〈集光レンズの焦点の位置〉
次に、逆光線の広がりを小さくするために必要なマイクロレンズ14の焦点Fの位置(すなわち、原稿6側から平行光線が入射するときに焦点を結ぶ位置)について、逆光線の追跡結果を用いて説明する。図12(A)は、比較例1に係る画像読取装置100aにおいて、開口34bから+Z軸方向に向かう仮想的な逆光線を表す図である。
【0071】
図12(A)に示されるように、比較例1では、マイクロレンズ14bの焦点のZ軸方向の位置が、開口34bのZ軸方向の位置と重なっている。このとき、開口34b上の一点から出射する逆光線は、マイクロレンズ14bを抜けた後、開口33bの開口領域と同じ幅を持つ平行光線となる。開口34bは面積を持つので、開口34b上の光軸から外れた点からの逆方向の出射光線束の主光線は、マイクロレンズ14bを抜けた後、光軸から離れる方向に進む。よって、マイクロレンズ14bから遠ざかれば遠ざかるほど、開口34b全体から発せられる逆光線の幅は広がる。すなわち、比較例1では、マイクロレンズ14から平面70までの距離を示す距離Lが小さいため、被写界深度が小さい。
【0072】
図12(B)は、比較例2に係る画像読取装置100bにおいて、開口34bから+Z軸方向に向かう仮想的な逆光線を表す図である。比較例2では、マイクロレンズ14bの焦点FのZ軸方向の位置が、開口32bのZ軸方向の位置と重なっている。比較例2では、マイクロレンズ14bの集光力が強くなり、逆光線が集光する位置80が、マイクロレンズ14bに近い。そのため、比較例2では、平面80を通過した逆光線の広がりが大きくなり、距離Lが小さい。よって、比較例2に係る画像読取装置100bの被写界深度は、比較例1に係る画像読取装置100aの被写界深度と同様に小さい。
【0073】
図13は、実施の形態1に係る画像読取装置100において、開口34bから+Z軸方向に向かう仮想的な逆光線を表す図である。画像読取装置100では、マイクロレンズ14bの焦点FのZ軸方向の位置が、開口34bと開口3bとの間に位置している。画像読取装置100では、比較例1及び2と比べて距離Lが大きく、被写界深度を拡大することができる。このように、マイクロレンズ14bの焦点Fの位置が開口34bと開口32bとの間に設定されることによって、逆光線の広がりを小さくすることができ、画像読取装置100の被写界深度を拡大することができる。開口34bと開口32bとの間は、図2に示される遮光部材12の-Z軸方向側の面と遮光部材15の+Z軸方向側の面とで挟まれる領域である。
【0074】
〈遮光部材13の他の構成〉
次に、図1、2、3及び10を用いて、遮光部材13の他の構成について説明する。遮光部材13の開口33の開口幅(すなわち、直径)は、マイクロレンズ14の有効径より小さい。そのため、図10に示される逆光線66bは、遮光部材13に到達する。ここで、逆光線66bは、開口34bのX軸方向の端部から+Z軸方向に向かう逆光線であるため、開口34bに入射する光線の全ては、開口33bを通過している。すなわち、原稿6で発生した反射散乱光がマイクロレンズ14の外側に到達する場合、遮光部材13によって遮光されるため、開口34bに到達しない。これにより、画像読取装置100では、画像のコントラストの悪化又はゴースト画像の発生が防止されるため、画像読取装置100は、良好な画質を有する画像を読み取ることができる。
【0075】
〈温度変化と受光画素における受光量との関係〉
次に、図14及び15を用いて、温度変化と受光画素における受光量との関係について、比較例3と対比しながら説明する。図14は、図3に示される画像読取装置100の構成の一部と、受光画素10に入射する反射光L11~L14とを示す図である。図15は、比較例3に係る画像読取装置100cの構成の一部と、受光画素310に入射する反射光L11~L14とを示す図である。画像読取装置100cは、ガラス部材53及び遮光部材15を有していない点で実施の形態1に係る画像読取装置100と相違する。そのため、画像読取装置100cでは、開口31を通過した反射光が受光画素310に直接入射している。よって、画像読取装置100cでは、受光画素310の受光領域が、開口31を通過した反射光L11~L14の光線束を受光している。
【0076】
反射光L11~L14の光線束は、複数の受光画素10、310の各受光画素10、310に入射するが、説明の理解を容易にするために、図14及び15では、複数の受光画素10の一部に入射する反射光L11~L14の光線束が示されている。また、図14では、開口34は、35μm×35μmの正方形状であり、1つの受光画素10の大きさは、200μm×200μmである。また、図15では、1つの受光画素310の大きさは、例えば、35μm×35μmである。
【0077】
図14及び15に示される1つのセンサチップ8には、例えば、100個の受光画素10、310がX軸方向に配列されている。そのため、受光画素10、310の配列ピッチ(例えば、図4に示されるピッチp/2)が125μmであるとき、1つのセンサチップ8によって撮像される撮像範囲は12.5mmである。よって、100mmの読取幅を得るためには、画像読取装置100、100cにおいて、X軸方向に8個のセンサチップ8が配列されていればよい。図14及び15では、-X軸方向に最も離れて位置するセンサチップを8a、+X軸方向に最も離れて位置するセンサチップを8hと表記する。また、図14及び15では、センサ基板9のX軸方向の中心位置から-X軸方向に50mm離れた受光画素を受光画素10a、310aとそれぞれ表記する。
【0078】
上述した通り、センサチップ8はシリコン素材から形成され、センサ基板9はガラスエポキシ樹脂から形成されている。また、ガラス部材(図14では、ガラス部材51~53、図15ではガラス部材51、52)はガラス材料から形成されている。そのため、センサチップ8、センサ基板9及びガラス部材のそれぞれの線膨張係数が異なる。よって、温度変化量が0℃より大きくなった場合、マイクロレンズ14の光軸が、受光画素10、310の中心位置に対してずれる。ここで、温度変化量とは、予め決められた第1の時点における温度である第1の温度と、第1の時点から予め決められた時間が経過した第2の時点における温度である第2の温度との温度差である。
【0079】
画像読取装置100cでは、マイクロレンズ14の光軸40上に開口31~33が位置している。そのため、マイクロレンズ14の光軸がずれると、開口31~33のそれぞれの中心位置は、受光画素310の中心位置との関係で相対的な位置の変位(すなわち、位置誤差)を生じる。また、画像読取装置100では、マイクロレンズ14の光軸がずれると、開口31~34のそれぞれの中心位置が、受光画素10の中心位置との関係で位置誤差を生じる。
【0080】
ここで、センサ基板9とガラス部材51~53とは、X軸方向の幅の中心位置(つまり、X座標XがX=0である位置)で接着されており、温度変化によって、センサ基板9及びガラス部材51~53はX軸方向に伸縮する。温度変化量が0℃より大きくなった場合、受光画素10、310のX軸方向の位置は、センサチップの熱膨張及びセンサ基板9の熱膨張によって変化する。ここで、センサ基板9上には、複数のセンサチップがX軸方向に間隔をあけて配列されているため、温度変化に伴う受光画素10、310のX軸方向における変位は、センサチップの熱膨張よりセンサ基板9の熱膨張の影響を受け易い。
【0081】
ここで、センサ基板9の素材であるガラスエポキシ樹脂の線膨張係数は、例えば、3×10-5/℃である。受光画素10a、310aのそれぞれのX座標X10は、固定点であるセンサ基板9のX軸方向の幅の中心位置(つまり、X=0の位置)を基準とすると、X10=-50である。つまり、センサ基板9のX軸方向の中心位置に対して、受光画素10a、310aは、-50mm離れている。そのため、例えば、温度変化量ΔTが-40℃である場合の受光画素10a、310aのそれぞれの変位量ΔXは、60μmである。
【0082】
ガラス部材51、52、53の素材であるガラス材料の線膨張係数は、例えば、7×10-6/℃である。例えば、温度変化量ΔTが-40℃である場合、受光画素10a、310a上と同一の光軸上に位置する開口31の変位量ΔXは、14μmである。ここで、受光画素10a、310aと開口31との相対変位量ΔXは、以下の式(13)で示される。
ΔX=ΔX-ΔX (13)
よって、変位量ΔXが60μmであり、変位量ΔXが14μmである場合、温度変化量ΔTが-40℃であるときの相対変位量ΔXは、46μmである。
【0083】
図16(A)は、温度変化量ΔTが0℃であるときの図14に示される受光画素10と、当該受光画素10に入射する反射光の照射領域30との関係を示す図である。図16(A)に示されるように、温度変化量ΔTが0℃であるとき、反射光の照射領域30の中心C2は、受光画素10のX軸方向の中心を通ってY軸方向に伸びる中心線C1上に位置している。ここで、照射領域30の大きさは、開口34に入射する反射光の角度分布が広がりを持っているため、開口34よりやや大きい。照射領域30の大きさは、例えば、60μm×60μmである。
【0084】
図16(B)は、温度変化量ΔTが40℃であるときの図14に示される受光画素10と、当該受光画素10に入射する反射光の照射領域30との関係を示す図である。図16(B)に示されるように、温度変化量ΔTが40℃であるとき、照射領域30の中心C2は、受光画素10の中心線C1より+X軸側にずれている。
【0085】
受光画素10の中心線C1と照射領域30の+X軸方向の端部との間の距離をEとすると、距離Eは、照射領域30のX軸方向の幅の1/2の値(実施の形態1では、30μm)に、上述した相対変位量ΔX(実施の形態1では、46μm)を加えた値である。よって、図16(B)では、距離Eは76μmである。この距離Eは、受光画素10のX軸方向の幅の1/2の値(実施の形態1では、100μm)より小さいため、実施の形態1では、温度変化量ΔTが40℃であっても、照射領域30は、受光画素10の受光領域に含まれている。よって、画像読取装置100では、センサ基板9及びガラス部材51~53の温度変化が生じた場合でも、受光画素10における受光量の減少を防止することができる。すなわち、温度変化が生じた場合でも、受光画素10における受光量の変化は小さい。
【0086】
このように、画像読取装置100では、受光画素10の受光領域が、開口34の開口面積より十分に大きい。具体的には、受光画素10のX軸方向の幅が、開口34のX軸方向の開口幅より十分に大きい。そのため、温度変化による受光画素10の中心線C1に対する照射領域30の中心C2の位置ずれが生じた場合であっても、当該照射領域30は、受光画素10の受光領域に含まれる。ここで、開口34と受光画素10との間の間隔t図3参照)が小さいほど、照射領域30の大きさは開口34と同じ大きさを持つ。実施の形態1に示す例では、受光画素10とガラス部材53との間隔tが250μmであり、十分に小さいため、近似的に照射領域30の大きさが開口34の大きさと同じであるとみなすことができる。
【0087】
図17(A)は、温度変化量ΔTが0℃であるときの図15に示される受光画素310と、受光画素310に入射する反射光の照射領域330との関係を示す図である。図17(A)に示されるように、温度変化量ΔTが0℃であるとき、照射領域330は、受光画素310の受光領域より大きい。これは、画像読取装置100cでは、遮光部材11と受光画素310との間に開口34が配置されていないためである。また、図17(A)では、照射領域330の中心C2は、受光画素10のX軸方向の中心に一致している。
【0088】
図17(B)は、温度変化量ΔTが40℃であるときの図15に示される受光画素310と、当該受光画素310に入射する反射光の照射領域330との関係を示す図である。画像読取装置100cでは、上述した通り、受光画素310aの大きさは、35μm×35μmであるため、上記相対変位量ΔXは、受光画素310aのX軸方向の幅である35μmより大きい。そのため、図17(B)に示されるように、温度変化量ΔTが40℃であるとき、照射領域330の中心C2は、受光画素310の受光領域より+X軸側に大きくずれている。この場合、画像読取装置100cでは、センサ基板9及びガラス部材51、52の温度変化によって、受光画素310aに向けて進む反射光の一部が、受光領域から外れるため、受光画素310における受光量が減少する又は受光画素310に反射光が入射しない。なお、仮に、温度変化量ΔTが40℃より小さい場合であっても、照射領域330の照度分布は一様ではないため、受光画素310に対する照射領域330の位置ずれによって、受光画素310における受光量が減少する。
【0089】
画像読取装置100cの構成部材の数は、画像読取装置100の構成部材の数より少ないため、画像読取装置100cの構成は画像読取装置100の構成より簡易である。しかし、上述したように、画像読取装置100cでは、センサ基板9及びガラス部材51、52の温度変化に伴って、受光画素310における受光量が減少する。なお、温度条件及び画像読取装置100cの組立作業が理想的である場合には、画像読取装置100cは、画像読取装置100と同様に、受光画素310における受光量の減少を防止することができる。
【0090】
次に、画像読取装置100では、撮像光学部1の組立誤差の許容範囲が大きいことについて説明する。画像読取装置100の撮像光学部1の組立工程は、以下の通りである。まず、センサ基板9に、複数のセンサチップ8が1つずつ実装される。このとき、センサチップ8は、センサ基板9に備えられた基準パターン(図示せず)に基づいて実装されるが、当該基準パターンに対してセンサチップ8は位置ずれを発生し易い。例えば、センサチップ8は、基準パターンに対してX軸方向に約20μmずれる。
【0091】
次に、ガラス部材51、52、53のそれぞれに設けられた基準マーカが重なるように貼り合わせられる。例えば、ガラス部材51、52、53のそれぞれの基準マーカは、他のガラス部材の基準マーカに対してX軸方向に約5μmの精度で貼り合わせられるため、ガラス部材51、52、53の貼り合わせの精度は高精度である。このように、撮像光学部1では、センサチップ8の実装工程と、ガラス部材51、52、53の貼り合わせ工程とが別々に行われる。そして、貼り合わされたガラス部材51、52、53が、センサチップ8が実装されたセンサ基板9に対してスペーサ(図示せず)を介して固定される。
【0092】
ここで、画像読取装置100では、図16(A)に示されるように、受光画素10が照射領域30より大きい。そのため、撮像光学部1の組立工程における受光画素10に対する開口34の位置にずれが生じても、そのずれ量が、受光画素10と照射領域30との差(例えば、受光画素10のX軸方向の幅の照射領域30のX軸方向の幅との差)の範囲内のであれば、受光画素10における受光量は変化しない。よって、画像読取装置100では、受光画素10が開口34より大きいことにより、センサチップ8に対するガラス部材51、52、53の組立誤差の許容範囲を大きくすることができる。
【0093】
〈実施の形態1の効果〉
以上に説明した実施の形態1によれば、画像読取装置100は、複数の開口31を持つ遮光部材11に重なる面53aを有するガラス部材53と、ガラス部材53の面53aの反対側の面53b上に備えられ、複数の開口31にそれぞれ対応する複数の開口34を持つ遮光部材15とを有する。また、画像読取装置100は、センサ基板9と、センサ基板9上においてX軸方向に配列され、複数の開口34にそれぞれ対応する複数の受光画素10とを持つ撮像素子ユニット3を有する。受光画素10は、開口34を通過した後の反射光の照射領域30より大きいため、開口34が、受光画素10の実質的な受光領域となる。これにより、温度変化によって開口34の位置が変位しても、当該開口34を通過した反射光の照射領域が受光画素10の受光領域に含まれる。よって、温度変化が生じた場合でも、受光画素10における受光量の減少を一層防止することができる。
【0094】
また、実施の形態1によれば、受光画素10の幅が開口34の開口幅より大きいため、撮像光学部1の組立工程において、受光画素10に対する開口34の位置にずれが生じても、開口34を通過した反射光の照射領域は、受光画素10の受光領域に含まれる。これにより、受光画素10における受光量は減少しない。よって、画像読取装置100では、センサチップ8に対するガラス部材51、52、53の組立誤差の許容範囲を大きくすることができる。
【0095】
また、実施の形態1によれば、複数の受光画素10は千鳥状に配列されている。これにより、X軸方向に隣接する2つの受光画素10の間の間隔をあけることができるため、マイクロレンズ14の有効径を大きくすることができ、受光画素10における受光量を増大させることができる。
【0096】
《実施の形態2》
図18は、実施の形態2に係る画像読取装置200の構成を示す断面図である。図19は、実施の形態2に係る画像読取装置200の構成の一部を示す平面図である。図18及び19において、図3に示される構成要素と同一又は対応する構成要素には、図3に示される符号と同じ符号が付される。実施の形態2に係る画像読取装置200は、遮光部材15を有さず、複数の受光画素210がガラス部材53に接着されている点で実施の形態1に係る画像読取装置100と相違する。これ以外の点について、画像読取装置200は、画像読取装置100と同じである。そのため、以下の説明では、図1を参照する。
【0097】
図18及び19に示されるように、画像読取装置200は、複数のマイクロレンズ14と、ガラス部材52と、遮光部材12と、ガラス部材51と、遮光部材11と、ガラス部材53と、遮光部材15と、撮像素子ユニット203とを有する。
【0098】
撮像素子ユニット203は、複数(例えば、8個)のセンサチップ208を有する。複数のセンサチップ208の各センサチップ208は、複数の受光画素210を有する。複数の受光画素210は、ガラス部材53に接着されている。このように、実施の形態2では、ガラス部材53が、複数の受光画素210が実装されるセンサ基板としての機能を有する。
【0099】
上述した通り、複数のマイクロレンズ14は、ガラス部材52に形成されている。ガラス部材52及びガラス部材53の線膨張係数は同じであるため、温度変化が生じた場合であっても、受光画素210の変位量とマイクロレンズ14の変位量は同じであるため、受光画素210に対するマイクロレンズ14の光軸40のずれを防止することができる。よって、画像読取装置200では、受光画素210における受光量の減少を防止することができる。すなわち、画像読取装置200では、温度変化が生じた場合でも、受光画素210における受光量の変化は小さい。
【0100】
図18では、受光画素210は、ガラス部材53の-Z軸側の面(すなわち、受光画素10側の面)の面53bに接着されている。受光画素210の受光領域は、原稿6側を向いているため、受光画素210は、+Z軸方向から-Z軸方向に進む反射光を受光することで検出信号としての電気信号を出力する。実施の形態2では、受光画素210の大きさは、実施の形態1の開口34と同じ感度を持つように設計されている。例えば、受光画素210の大きさは、35μm×35μmである。また、実施の形態2では、開口34を持つ遮光部材15(図3参照)が備えられていないため、ガラス部材53の面53bに接着された受光画素210が、反射光を受光する受光領域を有する。
【0101】
画像読取装置200は、ガラス部材53の面53b上に印刷することで備えられた配線パターンとしての電気配線84を更に有する。電気配線84は、センサチップ208と接続されている。これにより、センサチップ208は、ガラス部材53にフリップチップ実装されている。また、センサチップ208は、ガラス部材53の面に設けられた電気パッド83を介してガラス部材53と機械的及び電気的に接続されている。受光画素210によって検出された電気信号は、電気配線84などを介して外部の回路に出力される。具体的には、当該電気信号は、電気配線84及びフレキシケーブル81を介して画像処理回路を有する信号処理基板82に出力される。これにより、当該電気信号を増幅させる信号増幅処理、又は当該電気信号をデジタル化する信号処理などが行われる。
【0102】
実施の形態2では、例えば、8個のセンサチップ208がX軸方向に配列されている。1つのセンサチップ208のX軸方向の幅は、例えば、12.5mmであり、一般的なセンサチップのX軸方向の幅より小さい。そのため、温度変化が生じた場合でも、ガラス部材53に対するセンサチップ208の位置ずれを低減することができる。具体的には、ガラス部材53の線膨張係数が7.0×10-6/℃であり、且つ温度変化量が40℃である場合、ガラス部材53のうちの1つのセンサチップ8が実装されている部分(すなわち、X軸方向の幅が12.5mmである部分)の変位量ΔXは、3.5μmである。一方、センサチップ208の素材であるシリコンの線膨張係数が3.0×10-6/℃であり、且つ温度変化量が40℃である場合、センサチップ208の変位量ΔXは、1.5μmである。よって、変位量ΔXと変位量ΔXとの差は2.0μmという微小な値であるため、ガラス部材53に対するセンサチップ208の位置ずれを低減することができる。
【0103】
〈実施の形態2の効果〉
以上に説明した実施の形態2によれば、複数のマイクロレンズ14は、ガラス部材52上に備えられ、複数の受光画素210は、ガラス部材53の受光画素10側の面53bに接着されている。このように、実施の形態2では、複数のマイクロレンズ14及び複数の受光画素210はそれぞれ、ガラス部材52、53上に備えられている。これにより、温度変化が生じた場合でも、受光画素210はマイクロレンズ14の光軸上に位置するため、受光画素210における受光量の減少を防止することができる。
【0104】
また、実施の形態2によれば、受光画素210がガラス部材53の面53bに接着されているため、撮像光学部の組立工程において、受光画素210に対する開口31の位置のずれが生じても、開口31を通過した反射光の照射領域は、受光画素210の受光領域に含まれる。これにより、受光画素210における受光量は減少しない。よって、画像読取装置200では、センサチップ208に対するガラス部材51、52、53の組立誤差の許容範囲を大きくすることができる。
【符号の説明】
【0105】
3、203 撮像素子ユニット、 9 センサ基板、 10、210 受光画素、 11、12、13、15 遮光部材、 14 マイクロレンズ、 31、32、33、34 開口、 51、52、53 ガラス部材、 51a、51b、52a、52b、53a、53b 面、 84 電気配線、 100、200 画像読取装置。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19