(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-14
(45)【発行日】2024-11-22
(54)【発明の名称】単孔手術装置および医療設備システム
(51)【国際特許分類】
A61B 17/34 20060101AFI20241115BHJP
A61B 34/30 20160101ALI20241115BHJP
【FI】
A61B17/34
A61B34/30
(21)【出願番号】P 2022580282
(86)(22)【出願日】2021-06-15
(86)【国際出願番号】 CN2021099937
(87)【国際公開番号】W WO2022017064
(87)【国際公開日】2022-01-27
【審査請求日】2022-12-24
(31)【優先権主張番号】202010716227.1
(32)【優先日】2020-07-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】202010846093.5
(32)【優先日】2020-08-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】519069305
【氏名又は名称】北京術鋭機器人股▲ふん▼有限公司
【住所又は居所原語表記】Room 106,Building 2,Tiandilinfeng,1 Yong Tai Zhuang North Road,Haidian Beijing China
(74)【代理人】
【識別番号】110002262
【氏名又は名称】TRY国際弁理士法人
(74)【代理人】
【識別番号】100205936
【氏名又は名称】崔 海龍
(74)【代理人】
【識別番号】100132805
【氏名又は名称】河合 貴之
(72)【発明者】
【氏名】徐 凱
(72)【発明者】
【氏名】張 樹▲あん▼
(72)【発明者】
【氏名】任 義唐
(72)【発明者】
【氏名】何 智靭
【審査官】白川 敬寛
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-218171(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2005/0096507(US,A1)
【文献】国際公開第2020/123236(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2013/0041231(US,A1)
【文献】特表2010-523172(JP,A)
【文献】特表2008-507334(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 17/34
A61B 34/30-34/37
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
医療設備システムに備えられた複数の運動アームと接続するための単孔手術装置であって、
ラッパ口に形成される近位ポートおよび収縮口に形成される遠位ポートを備えるハウジングと、
前記ハウジング内に位置し前記ハウジングの遠位ポートと連通する内鞘管セグメントと、前記ハウジングの近位ポートの外部に位置する外鞘管セグメントとを備え、少なくとも1つの鞘管の外鞘管セグメントの少なくとも一部が前記外鞘管セグメントの径方向、軸方向または径方向および軸方向に沿って変形可能である複数の鞘管と、
を備え
、
前記複数の鞘管の前記内鞘管セグメントは、前記遠位ポートに近い一端で互いに近接し、前記近位ポートに近い一端で互いに離間するように、前記近位ポートから前記遠位ポートへの方向に沿って互いに近接して設けられ、前記複数の鞘管の前記外鞘管セグメントは、互いに離れて外方に延在しており、
前記複数の鞘管は、前記内鞘管セグメントの少なくとも一部が前記ハウジングの内壁に固定的に接続され、あるいは、前記内鞘管セグメントの少なくとも一部が前記ハウジングと一体的に成形されており、
前記ハウジングおよび
前記複数の鞘管
の前記外鞘管セグメントにそれぞれ設けられ、
又は前記複数の鞘管の前記外鞘管セグメントにそれぞれ設けられ、前記医療設備システムに備えられた前記複数の運動アームを取り外し可能に接続するための複数の接続具をさらに備える
単孔手術装置。
【請求項2】
前記複数の鞘管のうちの少なくとも1つの鞘管の外鞘管セグメントの少なくとも一部は、可撓性の材料を備える
ことを特徴とする請求項1に記載の単孔手術装置。
【請求項3】
前記複数の鞘管の内鞘管セグメントまたは外鞘管セグメントの少なくとも一部は、非可撓性の材料を備える
ことを特徴とする請求項1または2に記載の単孔手術装置。
【請求項4】
前記複数の鞘管は、少なくとも一つの非可撓性の鞘管を備える
ことを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の単孔手術装置。
【請求項5】
前記複数の鞘管の外鞘管セグメントは、前記外鞘管セグメントを軸方向に沿って変形させるように、前記外鞘管セグメントの軸方向に沿って伸縮運動可能な伸縮性管材を備える
ことを特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載の単孔手術装置。
【請求項6】
前記伸縮性管材は、互いに嵌合して相対的に摺動可能な上管材と下管材とを備える
ことを特徴とする請求項5に記載の単孔手術装置。
【請求項7】
前記下管材は、下端部に位置し、且つ前記下管材の他の部分の直径よりも大きく形成している突出部を備え、前記突出部は、内腔と、前記内腔に設けられたシール材とを備え、前記シール材は、切り欠きを備える
ことを特徴とする請求項6に記載の単孔手術装置。
【請求項8】
前記外鞘管セグメントは、
前記外鞘管セグメントの他の部分の直径よりも大きく形成している突出部を備え、前記突出部は、内腔と、内腔に設けられたシール材とを備え、前記シール材は、切り欠きを備える
ことを特徴とする請求項1~7のいずれか1項に記載の単孔手術装置。
【請求項9】
前記ハウジングの近位ポートに設けられたシールカバーをさらに備え、前記シールカバーは、変形可能であり、切り欠きを備える
ことを特徴とする請求項1~8のいずれか1項に記載の単孔手術装置。
【請求項10】
前記接続具は、突起、クランプ、係合構造、接着構造、挿抜構造または吸着構造の少なくとも1つを含む
ことを特徴とする請求項1に記載の単孔手術装置。
【請求項11】
前記ハウジングには、前記ハウジングの側壁を通して前記遠位ポートに連通する少なくとも1つの側管が設けられている
ことを特徴とする請求項1~10のいずれか1項に記載の単孔手術装置。
【請求項12】
前記少なくとも1つの側管は、前記ハウジングの周方向に間隔を置いて分布する第1の側管と第2の側管とを含む
ことを特徴とする請求項11に記載の単孔手術装置。
【請求項13】
前記可撓性の材料は、熱可塑性エラストマー、シリカゲルまたはゴムを含む
ことを特徴とする請求項2に記載の単孔手術装置。
【請求項14】
前記非可撓性の材料は、プラスチックおよび金属材料を含む
ことを特徴とする請求項3に記載の単孔手術装置。
【請求項15】
複数のアーム体および複数のアーム体を接続する複数の関節を備える複数の運動アームと、
前記複数の運動アームの末端に設けられる複数の手術器械であって、末端に設けられた複数の末端装置を備える複数の手術器械と、
前記複数の運動アームの運動を制御するように、前記複数の運動アームと通信接続された制御システムと、
複数の接続具によって前記複数の運動アームを取り外し可能に接続する単孔手術装置であって、請求項1~14のいずれか1項に記載の単孔手術装置と
を備える医療設備システム。
【請求項16】
前記複数の運動アームは、前記複数の手術器械
をそれぞれ取り外し可能に接続し且つ前記単孔手術装置における前記複数の接続具
をそれぞれ取り外し可能に接続するための複数の末端アームを備え、前記複数の手術器械の少なくとも一部は、前記単孔手術装置の前記複数の鞘管を通過し、前記単孔手術装置に対して運動することができるようになっている
ことを特徴とする請求項15に記載の医療設備システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
<関連出願の相互参照>
本願は、2020年8月19日に出願された出願番号2020108460935、発明名が「一種の単孔手術装置および医療設備システム」である中国特許出願の優先権を要求し、その全文は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本開示は、医療器具の技術分野に関わるものであり、特に単孔手術装置および医療設備システムに関わるものである。
【背景技術】
【0003】
単孔式腹腔鏡手術は、切開創が小さく、術後の回復が早く、術後の感染や合併症が少ないという利点があり、近年徐々に発展し、広く普及している手術形態である。特にこの2年間、米国のダ・ヴィンチ会社をはじめとする手術ロボット製品は、コンピュータ遠隔操作技術により手術形態を最適化し、ロボットアームを介してより高い安定性と正確性の外科手術を実現した。手術の過程において、複数のロボットアームを鞘カバーを介して人体内に深く入り込み、ロボットアーム関節と末端手術器械を制御することによって異なる部位の外科手術を実現した。
【0004】
現在、手術ロボットによる手術の過程は、主に術前準備、手術操作、術後整理の3つの過程を含み、その中に、術前に手術アシスタント(一般的にアシスタント医師または看護師)が手術の種類や手術の位置に応じて、ロボットアームを適切な位置に調整し、鞘カバーの一部を自然開口または切欠きを介して人体内に入れ、他の一部を人体の外に位置させる。ロボットアームを、鞘カバーにおいて人体の外に位置する部分と固定的に接続するとともに、ロボットアームに末端で末端装置を有する手術器械を設け、末端装置が鞘カバーを介して人体内において手術が必要な対応位置に入るようにする。しかし、ロボットアーム自体の運動制御精度や運動角度の制限により、1つまたは複数の末端装置が鞘カバーを介して人体内に入る場合、鞘カバーに対して設計された相対位置および絶対位置に到達しないおそれがあり、その結果、使用者は、末端装置が鞘カバーにスムーズに進入できるようにロボットアームの各自由度の角度を再調整する必要がある。
【発明の概要】
【0005】
いくつかの実施例において、本開示は、
近位ポートおよび遠位ポートを備えるハウジングと、
前記ハウジング内に位置し前記ハウジングの遠位ポートと連通する内鞘管セグメント、および前記ハウジングの近位ポートの外部に位置する外鞘管セグメントを備え、少なくとも1つの鞘管の外鞘管セグメントの少なくとも一部が前記外鞘管セグメントの径方向、軸方向または径方向および軸方向に沿って変形可能である1つまたは複数の鞘管と、を備える単孔手術装置を提供する。
【0006】
いくつかの実施例において、本開示は、複数のアーム体および複数のアーム体を接続する複数の関節を備える少なくとも1つの運動アームと、前記少なくとも1つの運動アームの末端に設けられる少なくとも1つの手術器械であって、末端に設けられた少なくとも1つの末端装置を備える少なくとも1つの手術器械と、前記少なくとも1つの運動アームの運動を制御するように、前記少なくとも1つの運動アームと通信接続された制御システムと、近位ポートおよび遠位ポートを備える管状のハウジングと、前記少なくとも1つの手術器械を通過させるように用いられ、前記ハウジング内に位置し前記ハウジングの遠位ポートと連通する内鞘管セグメント、および前記ハウジングの近位ポートの外部に位置する外鞘管セグメントを備える1つまたは複数の鞘管であって、少なくとも1つの鞘管の外鞘管セグメントの少なくとも一部が前記外鞘管セグメントの径方向、軸方向または径方向および軸方向に沿って変形可能である1つまたは複数の鞘管と、を備える単孔手術装置とを備える医療設備システムを提供する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
以下、本開示の実施例における技術案をより明確に説明するために、本開示の実施例の説明において必要とされる図面について簡単に説明するが、以下に説明する図面は、本開示のいくつかの実施例のみを示しており、当業者にとって、創造的な労働を行わずに、本開示の実施例の内容およびこれらの図面に基づいて他の実施例を得ることもできる。
【
図1】本開示のいくつかの実施例に係る単孔手術装置の構成概略図を示す。
【
図2】本開示のいくつかの実施例に係る単孔手術装置の左視図を示す。
【
図3】本開示のいくつかの実施例に係る単孔手術装置の平面図を示す。
【
図4】本開示のいくつかの実施例に係る単孔手術装置の上面図を示す。
【
図5】本開示のいくつかの実施例に係る単孔手術装置の部分断面構造の概略図を示す。
【
図6】本開示のいくつかの実施例に係る単孔手術装置の別の角度からの部分断面構造の概略図を示す。
【
図7】本開示のいくつかの実施例に係る医療設備システムの運動アームの構成概略図を示す。
【
図8】本開示のいくつかの実施例に係る医療設備システムの構成概略図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本開示により解決された技術課題、採用された技術案および達成された技術効果をより明確にするために、添付図面と併せて本開示の実施例における技術案をさらに詳細に説明するが、勿論、説明される実施例は、本開示の例示的な実施例に過ぎず、実施例の全体ではない。
【0009】
なお、本開示の説明において、「中心」、「上」、「下」、「左」、「右」、「鉛直」、「水平」、「内」、「外」という用語が示す方位または位置関係は、図面に示す方位または位置関係に基づくものであり、本開示の説明を容易にして説明を簡略化することのみを目的としており、指す装置または素子が特定の方位を有して特定の方位で構造・操作しなければならないことを示す又は暗示するものではないので、本開示に対する制限として理解されない。さらに、「第1」、「第2」という用語は、説明の目的にのみ使用され、相対的な重要性を示すまたは暗示するものとして理解されない。なお、本開示の説明において、明確な規定および限定がない限り、「取り付け」、「連結」、「接続」、「カップリング」という用語は、広義に捉えるべきであり、例えば、固定的な接続であってもよいし、取り外し可能な接続であってもよいし、機械的接続であってもよいし、電気的接続であってもよいし、直接的に接続してもよいし、中間媒体を介して間接的に接続してもよいし、2つの素子内部の連通であってもよい。当業者にとって、上記用語の本開示での具体的な意味は、具体的な状況に応じて理解され得る。本開示において、操作者(例えば医師)に近接する一端を近位端、近位部または後端、後部と定義し、手術の患者に近接する一端を遠位端、遠位部または前端、前部と定義する。当業者であれば、本開示の実施例は、医療設備または手術ロボットに用いてもよいし、他の非医療装置に用いてもよいことが理解される。
【0010】
図1は、本開示のいくつかの実施例に係る単孔手術装置の構成概略図を示す。
図1に示すように、本実施例は、ハウジング110と少なくとも一つの鞘管120とを備えてもよい単孔手術装置100を提供する。
図2~
図5は、本開示のいくつかの実施例に係る単孔手術装置100の左視図、平面図、底面図および部分断面構造の概略図をそれぞれ示す。いくつかの実施例において、
図1~
図5に示すように、ハウジング110は、チューブ状であり、近位ポート111(例えば、ラッパ口)および遠位ポート112(例えば、収縮口)を備えてもよい。いくつかの実施例において、ハウジング110は、チューブ状であり、徐々に縮小された近位端部(例えば、ほぼ漏斗形、テーパ状など)を備えることができ、近位端のラッパ口および遠位端の収縮口を備えてもよい。近位ポート111と遠位ポート112との間は、管壁を介して移行する。少なくとも一つの鞘管120の遠位端は、ハウジング110内に突出し、ハウジング110の遠位端112と貫通しており、鞘管の近位端は、近位ポート111からハウジング110を出ている。いくつかの実施例において、鞘管120は、互いに連通する内鞘管セグメント121と外鞘管セグメント122とを備えることができ(
図5参照)、内鞘管セグメント121は、ハウジング110内に位置してハウジング110の遠位ポート112と貫通し、外鞘管セグメント122は、ハウジング110の近位ポート111の外部に位置する。理解すべきところは、いくつかの実施例において、内鞘管セグメント121は、ハウジング110の一部であってもよく(例えば、内鞘管セグメント121は、ハウジング110の内部チャネルであってもよい。)、ハウジング110と一体的に成形されていてもよく、外鞘管セグメント122は、内鞘管セグメント121と連通している。外鞘管セグメント122の少なくとも一部は、変形可能であり、当該変形は、外鞘管セグメント122の径方向および/または軸方向に沿った変形(例えば、曲げ、伸縮など)を含む。いくつかの実施例において、ハウジング110において近位ポート111に近い部分は、内腔を備えることができ、ハウジング110において遠位ポート112に近い部分は、間隔を置いて設けられた複数の貫通チャネル(図に示す遠位ポート112に近い遠位チャネル部分)を備えることができ、内鞘管セグメント121を貫通チャネルに連通させるために、少なくとも1つの鞘管120の内鞘管セグメント121は、少なくとも1つの貫通チャネルに設けられていてもよく、または、少なくとも1つの鞘管120の内鞘管セグメント121の端部は、少なくとも1つの貫通チャネルに固定的に接続されていてもよい。
【0011】
単孔手術装置100は、医療設備システムの運動アームに接続してもよい。運動アーム10(
図7参照)を例にとると、単孔手術装置100の鞘管120は、運動アーム10の手術器械20(例えば、手術ツールまたは内視鏡)を通過させて、所定の手術部位に入らせるために使用することができる。単孔手術装置100の鞘管120と位置合わせするために、運動アーム10には高い位置決め精度が要求される。例えば、術前準備の際に、複数の運動アーム10を適切な位置に移動させて、複数の鞘管120への接続を自動または手動で行う必要がある。あるいは、術中で、手術視野の調整や手術器械20の姿勢調整等のために、ある固定点(例えば、腹部への進入点)に沿って運動アーム10を全体的に調整する必要がある場合があり、運動アーム10と単孔手術装置100との位置関係がずれる場合がある。あるいは、複数の手術器械20の相対関係の制限(例えば、単孔手術装置100の鞘管120の分布、手術器械20間の干渉、または運動アーム10の関節限界)により、手術器械20がシステムの指令に応じて目標位置・姿勢に到達できない可能性がある。鞘管120は、径方向および/または軸方向の変形が可能であり、当該変形により機械の制御精度またはその他の原因(上記に限定されない。)による運動アームの位置決め誤差またはずれを補償することができるので、手術器械20の末端に多少の位置決め誤差またはずれがある場合でも、鞘管120およびハウジング110の内腔を通して所定の手術部位にスムーズに入ることができる。
【0012】
いくつかの実施例において、鞘管120は、その長手方向に沿って分布する異なる材料の複数の管セグメントを含んでもよく、その中に、鞘管120の外鞘管セグメント122の少なくとも一部が可撓性の材料から形成される。可撓性の材料により、鞘管120の外鞘管セグメント122を変形させることができる。鞘管120上の残りの管セグメントの材料については、コストの考慮や鞘管直径の考慮や運動アームとの接触最適化の考慮に基づいて、他の材料を選択することができる。例えば、外鞘管セグメント122は、可撓性の材料から形成されてもよく、内鞘管セグメント121は、非可撓性の材料から形成されてもよい。理解すべきところは、外鞘管セグメント122は、一部が可撓性の材料から形成され、他の部分が非可撓性の材料から形成されてもよく、内鞘管セグメント121は、一部が可撓性の材料から形成され、他の部分が非可撓性の材料から形成されてもよい。いくつかの実施例において、鞘管120は、構造が簡易で変形の柔軟性が大きくなるように、全体として可撓性の材料から形成されてもよい。いくつかの実施例において、鞘管120の内鞘管セグメント121の少なくとも一部は、ハウジング110の内壁またはハウジング110の貫通チャネル内に(例えば、接着、熱可塑または接続具によって)接続されてもよく、あるいは、内鞘管セグメント121は、ハウジング110の内壁またはハウジング110の貫通チャネルと一体的に成形されてもよい。これにより、この単孔手術装置100の構成を簡略化することができるとともに、複数の鞘管120間の相互運動を回避することができる。いくつかの実施例において、内鞘管セグメント121および外鞘管セグメント122は、それぞれ、可撓性の材料からなる管セグメントと非可撓性の材料からなる管セグメントとを含んでもよく、可撓性の材料からなる管セグメントと非可撓性の材料からなる管セグメントとは、機能要件および設計要求(すなわち、プロセスまたはコストの考慮)に基づいて、内鞘管セグメント121および外鞘管セグメント122の長手方向に沿って交互に分布してもよい。その中に、内鞘管セグメント121において遠位ポート112へ延びる部分は、非可撓性の材料から形成されることで、鞘管120の一端とハウジング110の遠位ポート112との間に連通の芯出しを保証することができる。外鞘管セグメント122の少なくとも一部は、鞘管120の外鞘管セグメント122が変形可能になるように可撓性の材料で形成されている。
【0013】
理解すべきところは、本開示のいかなる実施例においても、可撓性の材料については、熱可塑性エラストマー(例えば、熱可塑性ポリウレタン等)、シリカゲルまたはゴム等を用いることができる。非可撓性の材料は、プラスチック(例えば、ポリカーボネート、ポリプロピレン等)や金属材料を含んでもよい。
【0014】
いくつかの実施例において、
図1~
図4に示すように、少なくとも1つの鞘管120は、複数の鞘管を含んでもよい。例えば、少なくとも1つの鞘管120は、2つの鞘管、3つの鞘管、またはそれ以上の鞘管を含んでもよいが、これらに限定されず、鞘管の具体的な数は、実際のニーズに応じて調整することができる。複数の鞘管120のうちの少なくとも1つの鞘管の外鞘管セグメントは、変形可能である。理解すべきところは、複数の鞘管120のうちの一つ、そのうちの数本またはすべての鞘管の外鞘管セグメント122は、変形可能である。
図6は、本開示のいくつかの実施例に係る単孔手術装置100の部分断面構造の概略図を示す。いくつかの実施例において、
図6に示すように、少なくとも1つの鞘管120は、鞘管120a、120b、120cを含んでもよい。いくつかの実施例において、
図6に示すように、鞘管120a、120bの外鞘管セグメントは、変形可能になるように可撓性であってもよく、その内鞘管セグメントは、剛性であってもよい。鞘管120cの外鞘管セグメントおよび内鞘管セグメントは、非可撓性であってもよい。いくつかの実施例において、鞘管120cは、手術器械(例えば、内視鏡)を通過させるために使用されることができる。
【0015】
図6に示すように、鞘管120a~cの内鞘管セグメント121a~cは、ハウジング110の遠位端ポート112に近い一端で互いに近接して設けられており、ハウジング110の近位端ポート111に近い一端で互いに離間して設けられてもよい。これにより、複数の運動アームが複数の鞘管を通過する際に干渉衝突することをよりよく回避することができる。いくつかの実施例において、鞘管120a~cは、異なる長さを有してもよい。
図6に示すように、鞘管120cの長さは、手術器械(例えば、内視鏡)が手術部位に挿入されやすくなるように、鞘管120a、120bより小さくてもよい。理解すべきところは、鞘管120a~cの長さは同じであってもよいし、その中の一部の鞘管の長さは同じであってもよい。いくつかの実施例において、
図5に示すように、複数の鞘管120の内鞘管セグメント121は、ハウジング110の長手方向に間隔を置いて平行に設置されてもよい。いくつかの実施例において、複数の鞘管120の外鞘管セグメント122は、互いに離れて徐々に外方に延在してもよい。
【0016】
いくつかの実施例において、
図5および
図6に示すように、少なくとも1つの鞘管120の外鞘管セグメント122には、伸縮性管材130が含まれていてもよい。伸縮性管材130は、外鞘管セグメント122を軸方向に沿って変形させ、鞘管120の軸方向における柔軟性を増加させるように、外鞘管セグメント122の軸方向に沿って伸縮移動できる。いくつかの実施例において、
図5および
図6に示すように、伸縮性管材130は、チューブ状であり、外鞘管セグメント122の軸方向に沿って相対的に摺動可能な上管材131および下管材132を含んでもよい。上管材131と下管材132は、異なる直径を有してもよく、上管材131と下管材132とは、伸縮性管材130の軸方向の伸縮を実現するように、移動可能に嵌合されている。理解すべきところは、伸縮性管材130は、鞘管120の外鞘管セグメント122の任意の位置に連通して設けられてもよい。例えば、
図5および
図6に示すように、伸縮性管材130は、外鞘管セグメント122の近位端に設けられてもよい。下管材132の下端部は、外鞘セグメント122の端部に固定的に接続されており、上管材131の直径は、上管材131が下管材132の上端部に移動可能に外挿されて両者を外鞘セグメント122の軸方向に沿って相対的に摺動させることができるように、下管材132の上端部の直径よりも大きい。いくつかの実施例において、上管材131および/または下管材132には、上管材131および下管材132が相対摺動中に脱落するのを回避するように、バックル(図示せず)が設けられていてもよい。いくつかの実施例において、下管材132の下端部は、下管材132の他の部分の直径よりも大きい径方向に沿って外方に延在する突出部1321を備えてもよい。理解すべきところは、
図5および
図6において、突出部1321を下管材132に設けたものとして示しているが、突出部1321は、外鞘管セグメントの他の位置に設けられていてもよい。いくつかの実施例において、下管材132の突出部1321は、内腔を備えてもよく、内腔には、手術器械を通過させるための切欠きが設けられたシール材1322が設けられていてもよい。シール材1322によって手術器械を鞘管120を通過させて鞘管120に対して運動させる場合、鞘管120内は、手術プロセスの要件を満たすように、例えば、ガス漏れによる手術部位の陥没が手術視野に影響を及ぼさないように、密封状態を保つことができる。
【0017】
いくつかの実施例において、
図2および
図5に示すように、単孔手術装置100は、ハウジング110の近位ポート111でシールカバー140に覆われることができ、シールカバー140は、少なくとも1つの切り欠きを備えてもよく、少なくとも1つの鞘管120は、少なくとも1つの切り欠きを介してシールカバー140を通過することができる。いくつかの実施例において、シールカバー140は変形可能であり、可撓性の材料から形成されてもよいし、ある剛性材料による可動な組み立てでもよいし、鞘管の柔軟性を向上させるように、近位ポート111の径方向および/または近位ポート111の径方向に垂直な変形を提供することができるが、これに限定されない。
【0018】
いくつかの実施例において、
図1~
図4に示すように、単孔手術装置100は、少なくとも1つの接続具150を備えてもよい。接続具150は、ハウジング110および/または鞘管に設けられでもよく、接続具150は、運動アームまたは運動アームに挟持された手術器械を単孔手術装置100に接続するために用いられる。いくつかの実施例において、接続具150は、運動アームに取り付けられたクランプと嵌合するための突起を備えてもよい。いくつかの実施例において、接続具150は、クランプ、係合構造、接着構造、挿抜構造、吸着構造などをさらに含んでもよい。運動アームには、接続具150と嵌合する構造を備えてもよい。接続具150は、鞘管120(例えば、外鞘管セグメント122)に設けられでもよく、接続具150は、運動アームに設けられた手術器械が所定の角度で鞘管120をスムーズに通過し、鞘管120に沿って運動できるように、運動アームに取り外し可能に固定されて接続されてもよい。いくつかの実施例において、接続具150は、伸縮性管材130(例えば、上管材131)に設けられ、且つ、接続具150は、伸縮性管材130と共に鞘管120の軸方向に沿って伸縮運動できるようにしてもよく、これにより、鞘管120上の接続具150の位置の柔軟性を向上させ、接続具150と運動アームとの接続を容易にすることができる。
【0019】
いくつかの実施例において、
図1および
図2に示すように、ハウジング110には、少なくとも一つの側管113が設けられていてもよく、側管113は、ハウジング110の外側壁からハウジング110の内側壁に貫通し、遠位ポート112と連通してもよい。側管113は、ハウジング110に接続された体内(例えば、人、動物などのチャンバ内)に空気を入れて手術操作を容易にするために使用される気管、または器械管を含んでもよい。器械管は、補助器械(例えば、医者または看護師補助用のクランプ器械など)を通過させて手術の補助操作を行うために用いることができる。いくつかの実施例において、二つの側管113は、鞘管の周方向に沿って間隔を空けて分布され、例えば鞘管の周方向に沿って対称に分布されるが、これに限定されない。
【0020】
また、本開示は、少なくとも1つの運動アームと、少なくとも1つの運動アームの末端に設けられた少なくとも1つの手術器械と、制御システムと、上記のいずれかの実施例における単孔手術装置とを備える医療設備システムを提供する。
図7は、本開示のいくつかの実施例に係る医療設備システムの運動アーム10の構成概略図を示す。いくつかの実施例において、
図7に示すように、運動アーム10は、複数のアーム体と、複数のアーム体を接続する複数の関節とを備えてもよい。手術器械20は、手術器械アーム21と、手術器械アーム21の遠位端に設けられた末端装置22とを備えてもよい。末端装置22は、手術用クランプ、電気ナイフ、電気フック、結像装置、照明装置等を含んでもよいが、これに限定されない。単孔手術装置の少なくとも一部(例えば、単孔手術装置100のハウジング110において遠位端に近い部分または内鞘管セグメント121の少なくとも一部)は、患者の体内に挿入するために用いられ、単孔手術装置100において患者の体外に露出した部分(例えば、ハウジング110において近位端に近い部分または外鞘管セグメント122)は、運動アーム10に接続するように使用されてもよい。
【0021】
図8は、本開示のいくつかの実施例に係る医療設備システム1000の構成概略図を示す。
図8に示すように、医療設備システム1000は、複数の運動アーム10を備えてもよい。制御システムは、複数の運動アーム10を単孔手術装置との接続を容易にするための適切な位置(例えば、目標位置・姿勢)に移動させるように、複数の運動アーム10の運動を制御するために使用される。運動アーム10が何らかの理由で目標位置・姿勢まで正確に運動できない場合、運動アーム10が到達できる実際の位置・姿勢と目標位置との間には位置誤差がある。このように、単孔手術装置(例えば、単孔手術装置100)における鞘管120の外鞘管セグメント122の変形により、運動アーム10の位置誤差を補償することができるので、運動アーム10が多少の位置誤差を有しても、単孔手術装置100にスムーズに接続でき、手術器械20の遠位端の末端装置22が鞘管120およびハウジング110の内腔を通して所定の手術部位にスムーズに入ることができる。
【0022】
いくつかの実施例において、
図7および
図8に示すように、運動アーム10は、手術器械20に接続するために使用される末端アーム11を備えてもよい。いくつかの実施例において、末端アーム11は、末端アーム11の長手方向に沿って摺動するリニアモジュールを備えてもよく、手術器械20は、リニアモジュールに取り外し可能に固定的に接続されており、リニアモジュールによって手術器械20を末端アーム11の長手方向に摺動させて、手術器械20を単孔手術装置100の鞘管120に沿って移動させることができる。複数の運動アーム10上の各末端アーム11は、単孔手術装置100に取り外し可能に接続されており、複数の手術器械20の少なくとも一部(例えば、末端装置22および手術器械アーム21の遠位端部分)は、単孔手術装置100の少なくとも一つの鞘管120を通過し、単孔手術装置100に対して運動し、または単孔手術装置100と相対的な位置・姿勢を維持して運動することができる。
【0023】
なお、上記は、単に本開示の例示的な実施例および適用される技術原理である。当業者が分かるように、本開示は、上記の特定の実施例に限定されるものではなく、当業者にとって、本開示の保護範囲から逸脱することなく、種々の明確な変更、再調整および置換を行うことができる。このため、以上の実施例により本開示について詳細に説明したが、本開示は、以上の実施例に限定されるものではなく、本開示の構想から逸脱することなく、さらに他の同等な実施例を含むことができ、本開示の範囲は添付の特許請求の範囲によって決定される。