IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ KDDI株式会社の特許一覧

特許7588685情報処理装置、情報処理方法及びプログラム
<>
  • 特許-情報処理装置、情報処理方法及びプログラム 図1
  • 特許-情報処理装置、情報処理方法及びプログラム 図2
  • 特許-情報処理装置、情報処理方法及びプログラム 図3
  • 特許-情報処理装置、情報処理方法及びプログラム 図4
  • 特許-情報処理装置、情報処理方法及びプログラム 図5
  • 特許-情報処理装置、情報処理方法及びプログラム 図6
  • 特許-情報処理装置、情報処理方法及びプログラム 図7
  • 特許-情報処理装置、情報処理方法及びプログラム 図8
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-14
(45)【発行日】2024-11-22
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/10 20120101AFI20241115BHJP
   G06F 3/04815 20220101ALI20241115BHJP
【FI】
G06Q50/10
G06F3/04815
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2023102580
(22)【出願日】2023-06-22
【審査請求日】2023-10-06
(73)【特許権者】
【識別番号】000208891
【氏名又は名称】KDDI株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110004222
【氏名又は名称】弁理士法人創光国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100166006
【弁理士】
【氏名又は名称】泉 通博
(74)【代理人】
【識別番号】100154070
【弁理士】
【氏名又は名称】久恒 京範
(74)【代理人】
【識別番号】100153280
【弁理士】
【氏名又は名称】寺川 賢祐
(72)【発明者】
【氏名】茂木 信二
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 綱太
【審査官】岩橋 龍太郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-030469(JP,A)
【文献】国際公開第2005/111880(WO,A1)
【文献】特表2009-541836(JP,A)
【文献】国際公開第2015/040661(WO,A1)
【文献】特開平11-039364(JP,A)
【文献】特開2010-015333(JP,A)
【文献】特開2008-107895(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
G06F 3/01
G06F 3/048-3/04895
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
現実空間に存在する現実店舗と、仮想空間に存在する仮想店舗であって前記現実店舗に対応する前記仮想店舗とにおいて共通するレイアウトを特定するためのレイアウト情報を記憶する記憶部と、
前記仮想店舗において顧客を示すアバターが行動した行動履歴に基づいて、前記仮想店舗に対応する前記レイアウト情報によって特定される前記現実店舗のレイアウトを評価する場合において、前記現実店舗のレイアウトの評価として、前記現実店舗及び前記仮想店舗に共通して掲載されている広告であって前記行動履歴によって特定される前記広告に対する前記アバターの行動に基づいて、前記広告に対する前記アバターの関心度合いを特定する評価部と、
前記評価部が評価した評価結果を出力する出力部と、
を有する情報処理装置。
【請求項2】
前記評価部は、前記現実店舗のレイアウトの評価として、前記仮想店舗において販売されている商品ごとに、前記行動履歴によって特定される当該商品に対する前記アバターの行動に基づいて、当該商品に対する前記アバターの関心度合いをさらに特定する、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記行動履歴は、前記アバターが前記仮想店舗の所定の仮想区画において所定の期間にわたって滞在した滞在回数、及び前記アバターが前記仮想店舗において販売されている商品を閲覧した閲覧回数のうちの少なくともいずれかと、前記商品の売上実績とを特定するための情報であり、
前記評価部は、前記仮想店舗において販売されている商品ごとに、当該商品に対応する前記滞在回数及び当該商品に対応する前記閲覧回数のうちの少なくともいずれかと、当該商品に対応する前記売上実績との関係に基づいて、当該商品に対する前記アバターの関心度合いを特定する、
請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記評価部は、前記商品ごとに、前記行動履歴によって特定される前記アバターが当該商品を閲覧した閲覧期間、及び前記行動履歴によって特定される前記アバターが当該商品を閲覧した閲覧回数のうちの少なくともいずれかに基づいて、当該商品に対する前記アバターの関心度合いを特定する、
請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記出力部は、前記評価結果として、前記アバターの関心度合いが相対的に高い前記商品を示す情報と、前記アバターの関心度合いが相対的に低い前記商品を示す情報とを出力する、
請求項3又は4に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記仮想店舗は、複数の仮想区画を含み、
前記行動履歴は、前記アバターが前記仮想店舗の所定の仮想区画において滞在した滞在期間、及び前記アバターが前記仮想店舗の所定の仮想区画において所定の期間にわたって滞在した滞在回数のうちの少なくともいずれかを特定するための情報であり、
前記評価部は、前記現実店舗のレイアウトの評価として、前記仮想区画ごとに、当該仮想区画に対応する前記滞在期間、及び当該仮想区画に対応する前記滞在回数のうちの少なくともいずれかに基づいて、前記現実店舗において当該仮想区画に対応する現実区画に存在する商品に対する前記アバターの関心度合いをさらに特定する、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記出力部は、前記評価結果として、前記アバターの関心度合いが相対的に高い前記商品が存在する前記現実区画を示す情報と、前記アバターの関心度合いが相対的に低い前記商品が存在する前記現実区画を示す情報とを出力する、
請求項6に記載の情報処理装置。
【請求項8】
前記仮想店舗は、複数の仮想通路を含み、
前記行動履歴は、前記アバターが前記仮想店舗の所定の仮想通路を通行した通行回数を特定するための情報であり、
前記評価部は、前記仮想通路ごとに、当該仮想通路に対応する前記通行回数に基づいて、前記現実店舗において当該仮想通路に対応する現実通路のレイアウトを評価する、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項9】
前記出力部は、前記評価結果として、前記通行回数が相対的に少ない前記仮想通路に対応する前記現実通路を示す情報を出力する、
請求項8に記載の情報処理装置。
【請求項10】
前記評価部は、前記顧客の属性ごとに、当該属性に該当する前記顧客に対応する前記アバターの前記行動履歴に基づいて、前記現実店舗のレイアウトを評価する、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項11】
前記出力部は、前記評価結果として、前記行動履歴によって特定される前記仮想店舗における前記アバターの行動の度合いを前記現実店舗のレイアウトに重畳させた態様で出力する、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項12】
現実空間に存在する現実店舗と、仮想空間に存在する仮想店舗であって前記現実店舗に対応する前記仮想店舗とにおいて共通するレイアウトを特定するためのレイアウト情報を記憶する記憶部を有するコンピュータが実行する、
前記仮想店舗において顧客を示すアバターが行動した行動履歴に基づいて、前記仮想店舗に対応する前記レイアウト情報によって特定される前記現実店舗のレイアウトを評価する場合において、前記現実店舗のレイアウトの評価として、前記現実店舗及び前記仮想店舗に共通して掲載されている広告であって前記行動履歴によって特定される前記広告に対する前記アバターの行動に基づいて、前記広告に対する前記アバターの関心度合いを特定するステップと、
評価した評価結果を出力するステップと、
を有する情報処理方法。
【請求項13】
現実空間に存在する現実店舗と、仮想空間に存在する仮想店舗であって前記現実店舗に対応する前記仮想店舗とにおいて共通するレイアウトを特定するためのレイアウト情報を記憶する記憶部を有するコンピュータを、
前記仮想店舗において顧客を示すアバターが行動した行動履歴に基づいて、前記仮想店舗に対応する前記レイアウト情報によって特定される前記現実店舗のレイアウトを評価する場合において、前記現実店舗のレイアウトの評価として、前記現実店舗及び前記仮想店舗に共通して掲載されている広告であって前記行動履歴によって特定される前記広告に対する前記アバターの行動に基づいて、前記広告に対する前記アバターの関心度合いを特定する評価部、及び
前記評価部が評価した評価結果を出力する出力部、
として機能させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置、情報処理方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、店舗のレイアウトを評価するシステムが知られている。特許文献1には、店舗内に備えられたセンサが検出した情報を用いて店舗のレイアウトを評価する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2020-004146号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、店舗にセンサを備えると、店員は、当該センサが顧客に邪魔にならないように配置したり、当該センサをメンテナンスしたりしなければならず、店舗にセンサを備えることによる店員の負担が大きかった。
【0005】
そこで、本発明はこれらの点に鑑みてなされたものであり、店員の負担を軽減することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の態様にかかる情報処理装置は、現実空間に存在する現実店舗と、仮想空間に存在する仮想店舗であって前記現実店舗に対応する前記仮想店舗とにおいて共通するレイアウトを特定するためのレイアウト情報を記憶する記憶部と、前記仮想店舗において顧客を示すアバターが行動した行動履歴に基づいて、前記仮想店舗に対応する前記レイアウト情報によって特定される前記現実店舗のレイアウトを評価する評価部と、前記評価部が評価した評価結果を出力する出力部と、を有する。
【0007】
前記評価部は、前記仮想店舗において販売されている商品ごとに、前記行動履歴によって特定される当該商品に対する前記アバターの行動に基づいて、当該商品に対する前記アバターの関心度合いを特定することにより、当該商品に関する前記現実店舗のレイアウトを評価してもよい。
【0008】
前記行動履歴は、前記アバターが前記仮想店舗の所定の仮想区画において所定の期間にわたって滞在した滞在回数、及び前記アバターが前記仮想店舗において販売されている商品を閲覧した閲覧回数のうちの少なくともいずれかと、前記商品の売上実績とを特定するための情報であってもよいし、前記評価部は、前記仮想店舗において販売されている商品ごとに、当該商品に対応する前記滞在回数及び当該商品に対応する前記閲覧回数のうちの少なくともいずれかと、当該商品に対応する前記売上実績との関係に基づいて、当該商品に対する前記アバターの関心度合いを特定してもよい。
【0009】
前記評価部は、前記商品ごとに、前記行動履歴によって特定される前記アバターが当該商品を閲覧した閲覧期間、及び前記行動履歴によって特定される前記アバターが当該商品を閲覧した閲覧回数のうちの少なくともいずれかに基づいて、当該商品に対する前記アバターの関心度合いを特定してもよい。
【0010】
前記出力部は、前記評価結果として、前記アバターの関心度合いが相対的に高い前記商品を示す情報と、前記アバターの関心度合いが相対的に低い前記商品を示す情報とを出力してもよい。
【0011】
前記仮想店舗は、複数の仮想区画を含んでもよいし、前記行動履歴は、前記アバターが前記仮想店舗の所定の仮想区画において滞在した滞在期間、及び前記アバターが前記仮想店舗の所定の仮想区画において所定の期間にわたって滞在した滞在回数のうちの少なくともいずれかを特定するための情報であってもよいし、前記評価部は、前記仮想区画ごとに、当該仮想区画に対応する前記滞在期間、及び当該仮想区画に対応する前記滞在回数のうちの少なくともいずれかに基づいて、前記現実店舗において当該仮想区画に対応する現実区画に存在する商品に対する前記アバターの関心度合いを特定することにより、前記現実店舗のレイアウトを評価してもよい。
【0012】
前記出力部は、前記評価結果として、前記アバターの関心度合いが相対的に高い前記商品が存在する前記現実区画を示す情報と、前記アバターの関心度合いが相対的に低い前記商品が存在する前記現実区画を示す情報とを出力してもよい。
【0013】
前記仮想店舗は、複数の仮想通路を含んでもよいし、前記行動履歴は、前記アバターが前記仮想店舗の所定の仮想通路を通行した通行回数を特定するための情報であってもよいし、前記評価部は、前記仮想通路ごとに、当該仮想通路に対応する前記通行回数に基づいて、前記現実店舗において当該仮想通路に対応する現実通路のレイアウトを評価してもよい。
【0014】
前記出力部は、前記評価結果として、前記通行回数が相対的に少ない前記仮想通路に対応する前記現実通路を示す情報を出力してもよい。
【0015】
前記現実店舗及び仮想店舗には、共通する広告が掲載されていてもよいし、前記評価部は、前記行動履歴によって特定される前記広告に対する前記アバターの行動に基づいて、前記広告に対する前記アバターの関心度合いを特定することにより、前記広告に関する前記現実店舗のレイアウトを評価してもよい。
【0016】
前記評価部は、前記顧客の属性ごとに、当該属性に該当する前記顧客に対応する前記アバターの前記行動履歴に基づいて、前記現実店舗のレイアウトを評価してもよい。
【0017】
前記出力部は、前記評価結果として、前記行動履歴によって特定される前記仮想店舗における前記アバターの行動の度合いを前記現実店舗のレイアウトに重畳させた態様で出力してもよい。
【0018】
本発明の第2の態様にかかる情報処理方法は、現実空間に存在する現実店舗と、仮想空間に存在する仮想店舗であって前記現実店舗に対応する前記仮想店舗とにおいて共通するレイアウトを特定するためのレイアウト情報を記憶する記憶部を有するコンピュータが実行する、前記仮想店舗において顧客を示すアバターが行動した行動履歴に基づいて、前記仮想店舗に対応する前記レイアウト情報によって特定される前記現実店舗のレイアウトを評価するステップと、評価した評価結果を出力するステップと、を有する。
【0019】
本発明の第3の態様にかかるプログラムは、現実空間に存在する現実店舗と、仮想空間に存在する仮想店舗であって前記現実店舗に対応する前記仮想店舗とにおいて共通するレイアウトを特定するためのレイアウト情報を記憶する記憶部を有するコンピュータを、前記仮想店舗において顧客を示すアバターが行動した行動履歴に基づいて、前記仮想店舗に対応する前記レイアウト情報によって特定される前記現実店舗のレイアウトを評価する評価部、及び前記評価部が評価した評価結果を出力する出力部、として機能させる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、店員の負担を軽減することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】情報処理システムの構成を示す図である。
図2】情報処理システムの処理の概要を説明するための図である。
図3】情報処理装置のブロック図である。
図4】履歴管理データベースの構成の一例を示す図である。
図5】レイアウト管理データベースの構成の一例を示す図である。
図6】ユーザが閲覧した商品を特定するための処理を模式的に表した図である。
図7】評価サービスの表示画面を模式的に表した図である。
図8】情報処理装置の処理の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0022】
[情報処理システムSの概要]
図1は、情報処理システムSの構成を示す図である。情報処理システムSは、情報処理サービスを提供するために用いられるシステムである。情報処理サービスは、アバター及び仮想店舗が存在する仮想空間をユーザに提示する空間提示サービスと、現実空間に存在する現実店舗のレイアウトを評価する評価サービスとを含む。
【0023】
アバターは、仮想空間においてユーザを表す人物等の三次元モデルである。仮想店舗は、現実店舗と対応付けられており、対応付けられている仮想店舗及び現実店舗(以下、単に「店舗」という。)は、商品、棚及び通路等のレイアウトが共通している。情報処理システムSは、情報処理装置1と、ユーザ端末2と、店員端末3とを有する。
【0024】
情報処理装置1は、情報処理サービスを管理する装置であり、例えば、サーバである。情報処理装置1は、アバターの行動履歴と、店舗のレイアウト情報とを記憶している。アバターの行動履歴は、アバターが仮想空間において行動した履歴である。レイアウト情報は、店舗のレイアウトを特定するための情報である。レイアウト情報には、例えば、店舗において販売されている商品に関する情報(例えば、商品のID(identifier)、商品の見た目、商品が配置されている位置等)、商品を陳列する棚に関する情報(例えば、棚の見た目、棚が配置されている位置等)、及び通路に関する情報(例えば、通路の見た目、通路の範囲等)等が含まれる。レイアウト情報には、広告に関する情報(例えば、広告を示す画像、広告が配置されている位置等)がさらに含まれてもよい。
【0025】
ユーザ端末2は、仮想店舗を利用するユーザ(顧客)が使用する端末であり、例えば、スマートフォン、タブレット端末、パーソナルコンピュータ等である。ユーザ端末2には、空間提示サービスを利用可能なアプリケーションプログラム(以下、「空間提示アプリ」という。)がインストールされている。空間提示サービスは、空間提示アプリを介して、仮想空間をユーザに提示することができる。なお、空間提示サービスは、空間提示アプリだけではなく、Webブラウザにおいて仮想空間をユーザに提示してもよい。
【0026】
店員端末3は、店舗を管理する店員が使用する端末であり、例えば、スマートフォン、タブレット端末、パーソナルコンピュータ等である。店員端末3には、評価サービスを利用するためのアプリケーションプログラム(以下、「評価アプリ」という。)がインストールされている。
以下において、図2を用いて情報処理システムSが実行する処理を説明する。
【0027】
図2は、情報処理システムSの処理の概要を説明するための図である。図2に示す例において、まず、店員端末3は、現実店舗の評価要求を情報処理装置1に送信する(図2における(1))。評価要求は、評価サービスにおいて現実店舗のレイアウトを評価するための要求である。
【0028】
情報処理装置1は、現実店舗の評価要求を取得すると、当該現実店舗に対応する仮想店舗においてアバターが行動した行動履歴に基づいて、当該現実店舗のレイアウトを評価する(図2における(2))。そして、情報処理装置1は、現実店舗のレイアウトの評価結果を店員端末3に送信する(図2における(3))。
【0029】
このようにすることで、情報処理システムSは、仮想店舗におけるユーザの行動をもとに現実店舗のレイアウトを評価することができる。これにより、情報処理システムSは、現実店舗にセンサを備えなくても、現実店舗のレイアウトを評価することができる。その結果、情報処理システムSは、評価サービスを利用することによる現実店舗の店員の負担を軽減することができる。
以下、情報処理装置1の構成について説明する。
【0030】
[情報処理装置1の構成]
図3は、情報処理装置1のブロック図である。図3において、矢印は主なデータの流れを示しており、図3に示したもの以外のデータの流れがあってもよい。図3において、各ブロックはハードウェア(装置)単位の構成ではなく、機能単位の構成を示している。そのため、図3に示すブロックは単一の装置内に実装されてもよく、あるいは複数の装置内に分かれて実装されてもよい。ブロック間のデータの授受は、データバス、ネットワーク、可搬記憶媒体等、任意の手段を介して行われてもよい。
【0031】
情報処理装置1は、通信部11と、記憶部12と、制御部13とを有する。情報処理装置1は、2つ以上の物理的に分離した装置が有線又は無線で接続されることにより構成されてもよい。また、情報処理装置1は、コンピュータ資源の集合であるクラウドによって構成されてもよい。
【0032】
通信部11は、ネットワークを介してユーザ端末2又は店員端末3との間でデータを送受信するための通信コントローラを有する。通信部11は、ユーザ端末2又は店員端末3からネットワークを介して受信したデータを制御部13に通知する。また、通信部11は、ネットワークを介して、制御部13から出力されたデータをユーザ端末2又は店員端末3に送信する。
【0033】
記憶部12は、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、ハードディスクドライブ等を含む記憶媒体である。記憶部12は、情報処理装置1の外部に設けられてもよく、その場合にネットワークを介して制御部13との間でデータの授受を行ってもよい。記憶部12は、制御部13が実行するプログラムを予め記憶している。
【0034】
記憶部12は、アバターの行動履歴を管理する履歴管理データベースと、店舗のレイアウト情報を管理するレイアウト管理データベースを記憶している。図4は、履歴管理データベースの構成の一例を示す図である。図4に示す例において、履歴管理データベースは、ユーザのIDと、ユーザの性別と、ユーザの年齢と、外見情報と、行動履歴とを関連付けて記憶している。外見情報は、アバターの外見を示す情報である。詳細については後述するが、行動履歴は、アバターが行動した履歴であって、仮想店舗において販売されている商品に対するアバターの行動、アバターが商品を購入する行動等のように、アバターの様々な行動を特定するための情報である。
【0035】
図5は、レイアウト管理データベースの構成の一例を示す図である。図5に示す例において、レイアウト管理データベースは、仮想店舗のIDと、現実店舗のIDと、仮想区画(区画のID、区画範囲)と、レイアウト情報とを関連付けて記憶している。仮想区画は、仮想店舗に設けられた区画であって、仮想店舗及び現実店舗において共通する区画である。区画範囲は、仮想空間において仮想区画が存在する範囲を示す情報である。
【0036】
図3に戻り、制御部13は、仮想空間制御部131と、購買管理部132と、受付部133と、評価部134と、出力部135とを有する。制御部13は、例えばCPU(Central Processing Unit)等のプロセッサであり、記憶部12に記憶されたプログラムを実行することにより、仮想空間制御部131、購買管理部132、受付部133、評価部134及び出力部135として機能する。
以下において、空間提示サービスにおいて実行される記録処理と、評価サービスにおいて実行される評価処理とに分けて、制御部13が有する各機能の詳細を説明する。
【0037】
[記録処理]
まず、情報処理装置1が空間提示サービスにおいて実行する記録処理について説明する。仮想空間制御部131は、空間提示サービスによる仮想空間の提示として、仮想空間を示す仮想画像をユーザ端末2に表示させる。具体的には、仮想空間制御部131は、ユーザが選択した仮想店舗が表示された仮想画像をユーザ端末2に表示させる。
【0038】
例えば、まず、ユーザが、ユーザ端末2において空間提示アプリを起動させる操作を行うと、ユーザ端末2は、空間提示アプリの表示画面を表示させる。空間提示アプリの表示画面には、仮想空間に存在する仮想店舗の一覧が表示されており、ユーザが1つの仮想店舗を選択する操作を行うと、ユーザ端末2は、表示要求を情報処理装置1に送信する。表示要求は、ユーザが選択した仮想店舗の仮想画像を表示するための要求であり、例えば、ユーザのIDと、ユーザが選択した仮想店舗のIDとを含む。
【0039】
仮想空間制御部131は、ユーザ端末2から表示要求を取得すると、履歴管理データベースにおいて当該表示要求に含まれるユーザのIDに関連付けられている外見情報と、レイアウト管理データベースにおいて当該表示要求に含まれる仮想店舗のIDに関連付けられているレイアウト情報とに基づいて、仮想視点から見た場合におけるアバター及び仮想店舗が表示された仮想画像をレンダリングする。仮想視点は、アバターの目の位置であってもよいし、アバターから離れた位置であってもよい。そして、仮想空間制御部131は、レンダリングした仮想画像をユーザ端末2に送信することにより、仮想画像をユーザ端末2に表示させる。
【0040】
仮想空間制御部131は、ユーザ端末2に対して、第1の仮想画像を表示された後に、ユーザによる操作に応じた第2の仮想画像を表示させる。例えば、まず、ユーザが、第1の仮想画像が表示されたユーザ端末2において、アバターを変化させるための操作(例えば、アバターを移動させたり、アバターの向き(仮想視点の向き)を変えたりする操作等)を行うと、ユーザ端末2は、ユーザによる操作内容を示す操作情報を情報処理装置1に送信する。
【0041】
仮想空間制御部131は、操作情報を取得すると、当該操作情報に基づいてアバターを変化させた後における仮想視点から見た場合におけるアバター及び仮想店舗が表示された第2の仮想画像をレンダリングする。そして、仮想空間制御部131は、レンダリングした第2の仮想画像をユーザ端末2に送信することにより、第2の仮想画像をユーザ端末2に表示させる。
【0042】
情報処理装置1は、アバターの行動履歴を記録する。仮想空間制御部131は、例えば、アバターの行動履歴として、アバターが移動した履歴を記録する。具体的には、仮想空間制御部131は、ユーザ端末2から取得した操作情報に基づいてアバターを移動させるごとに、ユーザのIDと、アバターの移動を示す行動種別と、アバターが存在する仮想店舗のIDと、アバターを移動させた後の位置と、アバターを移動させた後の位置を含む仮想区画のIDと、アバターを移動させた日時とを関連付けて履歴管理データベースに記憶させる。
【0043】
情報処理装置1は、アバターの行動履歴として、アバターが商品を閲覧した履歴を記録してもよい。商品の閲覧は、例えば、アバターが所定の期間にわたって商品を見る行動である。具体的には、情報処理装置1は、以下の2つのステップを実行することにより、アバターが商品を閲覧した履歴を記録する。
【0044】
第1のステップとして、仮想空間制御部131は、仮想画像に含まれる商品をアバターが閲覧したか否かを判定する。仮想空間制御部131は、例えば、アバターを変化させるための第1の操作情報を取得してから、アバターをさらに変化させるための第2の操作情報を取得するまでの期間が所定の閾値を超える場合に、第1の操作情報に基づく仮想画像(以下、「対象仮想画像」という。)に含まれる商品をアバターが閲覧したと判定する。所定の閾値は、仮想画像に含まれる商品をユーザが閲覧したか否かを判定するために用いる値であり、例えば、30秒、1分、5分等である。
【0045】
仮想空間制御部131は、対象仮想画像に含まれる商品をアバターが閲覧したと判定した場合、アバターが閲覧した商品のIDを記録する。具体的には、まず、仮想空間制御部131は、対象仮想画像における中心点に基づいて、アバターの視線先に存在する商品を、アバターが閲覧した商品として特定する。仮想空間制御部131は、例えば、対象仮想画像において中心点から所定の距離までの範囲に表示されている商品を特定する。
【0046】
図6は、アバターが閲覧した商品を特定するための処理を模式的に表した図である。図6(a)は、店舗のレイアウトを模式的に表した図である。図6(b)は、図6(a)のアバターAが矢印で示す向きに向いている場合において空間提示サービスの表示画面に表示された仮想画像である画像G1を模式的に表した図である。
【0047】
図6(b)に示す画像G1には、複数の商品P1、P2、P3、P4、P5が表示されている。この場合において、仮想空間制御部131は、画像G1の中心点である点Cから所定の距離までの範囲Rに表示されている商品P3を、アバターが閲覧した商品として特定する。範囲Rに複数の商品が表示されている場合、仮想空間制御部131は、当該複数の商品を、アバターが閲覧した商品として特定してもよい。なお、仮想空間制御部131は、対象仮想画像において中心点から最も近い位置に表示されている商品を特定してもよい。そして、仮想空間制御部131は、アバターの行動履歴として、ユーザIDと、商品の閲覧を示す行動種別と、アバターが存在する仮想店舗のIDと、アバターが存在する仮想区画のIDと、特定した商品のIDと、アバターが商品を閲覧した日時(例えば、対象仮想画像が表示された日時)とを関連付けて記憶部12に記憶させる。
【0048】
商品の閲覧は、仮想画像においてユーザが商品を選択する操作(例えば、仮想画像に表示されている商品をタップする操作)を行うことによって当該商品の詳細情報を表示させる行動であってもよい。この場合、仮想空間制御部131は、ユーザ端末2から取得した操作情報に基づいてアバターが商品を閲覧するごとに、ユーザのIDと、商品の閲覧を示す行動種別と、アバターが存在する仮想店舗のIDと、アバターが閲覧した商品のIDと、アバターが存在する仮想区画のIDと、アバターが商品を閲覧した日時とを関連付けて履歴管理データベースに記憶させる。
【0049】
なお、情報処理装置1は、アバターが仮想店舗において販売されている商品を閲覧した履歴に限らず、アバターが仮想店舗において掲載されている広告を閲覧した履歴を記録してもよい。広告の閲覧は、例えば、アバターが所定の期間にわたって広告を見る行動、又は仮想画像においてユーザが広告を選択する操作(例えば、仮想画像に表示されている広告をタップする操作)を行うことによって当該広告の詳細情報を表示させる行動等である。
【0050】
情報処理装置1は、アバターの行動履歴として、アバターが仮想店舗において商品を購入した履歴を記録してもよい。具体的には、購買管理部132は、アバターと仮想店舗との間における商取引を管理し、アバターが仮想店舗において販売されている商品を購入した場合に、ユーザのIDと、商品の購入を示す行動種別と、商品を購入した仮想店舗のIDと、当該商品のIDと、当該商品を購入した日時とを関連付けて履歴管理データベースに記憶させる。
【0051】
[評価処理]
続いて、情報処理装置1が評価サービスにおいて実行する評価処理について説明する。評価部134は、仮想店舗におけるアバターの行動履歴に基づいて、仮想店舗に対応するレイアウト情報によって特定される現実店舗のレイアウトを評価する。具体的には、情報処理装置1は、以下の2つのステップを実行することにより、現実店舗のレイアウトを評価する。
【0052】
第1のステップとして、受付部133は、店員端末3から、現実店舗のレイアウトを評価するための要求を受け付ける。例えば、まず、ある現実店舗の店員が、店員端末3において評価アプリを起動させる操作を行うと、店員端末3は、評価アプリの表示画面を表示させる。評価アプリの表示画面には、現実店舗のIDを入力する入力項目が表示されており、店員が現実店舗のIDを入力する操作を行うと、店員端末3は、評価要求を情報処理装置1に送信する。評価要求は、現実店舗のレイアウトを評価するための要求であり、例えば、現実店舗のIDを含む。そして、受付部133は、店員端末3から評価要求を受け付ける。
【0053】
第2のステップとして、評価部134は、受付部133が受け付けた評価要求に含まれる現実店舗のIDによって特定される仮想店舗におけるアバターの行動履歴に基づいて、現実店舗のレイアウトを評価する。例えば、まず、評価部134は、レイアウト管理データベースにおいて受付部133が受け付けた評価要求に含まれる現実店舗のIDに関連付けられている仮想店舗のIDを特定し、履歴管理データベースにおいて特定した仮想店舗のIDに関連付けられているアバターの行動履歴を特定する。そして、評価部134は、特定したアバターの行動履歴に基づいて、レイアウト管理データベースにおいて特定した仮想店舗のIDに関連付けられているレイアウト情報によって特定される現実店舗のレイアウトを評価する。
【0054】
評価部134は、特定の期間(例えば、イベントの期間等)におけるアバターの行動に基づいて、現実店舗のレイアウトを評価してもよい。例えば、評価要求には、店員が入力した入力期間がさらに含まれる。この場合において、評価部134は、受付部133が受け付けた評価要求に含まれる現実店舗のIDによって特定される仮想店舗において、当該評価要求に含まれる入力期間に行動したアバターの行動履歴に基づいて、現実店舗のレイアウトを評価する。このようにすることで、情報処理装置1は、特定の期間におけるアバターの行動に基づいて、現実店舗のレイアウトを評価することができる。
【0055】
また、評価部134は、複数の特定の期間(例えば、店舗のレイアウトを変更する前における期間、及び店舗のレイアウトを変更した後における期間等)レイアウトそれぞれにおけるアバターの行動に基づいて、現実店舗のレイアウトを評価してもよい。例えば、評価要求には、店員が入力した複数の入力期間がさらに含まれる。この場合において、評価部134は、受付部133が受け付けた評価要求に含まれる入力期間ごとに、現実店舗のIDによって特定される仮想店舗において当該入力期間に行動したアバターの行動履歴に基づいて、現実店舗のレイアウトを評価する。このようにすることで、店員は、複数の期間それぞれにおける現実店舗のレイアウトの評価を比較することができる。
【0056】
出力部135は、評価部134が評価した評価結果を出力する。出力部135は、例えば、評価部134が評価した評価結果を示す情報を店員端末3に送信することにより、店員端末3に評価結果を表示させる。
【0057】
出力部135は、ユーザの属性(例えば、性別及び年代のうちの少なくともいずれか)に応じて評価部134が評価した評価結果を出力してもよい。具体的には、まず、評価部134は、ユーザの属性ごとに、当該属性に該当するユーザに対応するアバターの行動履歴に基づいて、現実店舗のレイアウトを評価する。そして、出力部135は、ユーザの属性ごとに、評価部134が評価した当該属性に対応する評価結果を出力する。
【0058】
出力部135は、店員が指定したユーザの属性(以下、「指定属性」という。)に対応する評価結果を出力してもよい。例えば、評価要求には、指定属性を示す情報がさらに含まれる。この場合において、まず、評価部134は、指定属性に該当するユーザに対応するアバターの行動履歴に基づいて、現実店舗のレイアウトを評価する。そして、出力部135は、評価部134が評価した指定属性に対応する評価結果を出力する。このようにすることで、情報処理装置1は、例えば、ある属性のユーザに対応するアバターの行動と、当該属性のユーザ向けに商品を配置したレイアウトによって店員が想定するアバターの行動とが合っているか否かを店員に認識させることができる。
【0059】
出力部135は、現実店舗において販売されている商品に関する現実店舗のレイアウトの評価結果を出力してもよい。具体的には、情報処理装置1は、以下の2つのステップを実行することにより、現実店舗において販売されている商品に関する現実店舗のレイアウトの評価結果を出力する。
【0060】
第1のステップとして、評価部134は、仮想店舗において販売されている商品ごとに、アバターの行動履歴によって特定される当該商品に対するアバターの行動に基づいて、当該商品に対するアバターの関心度合いを特定することにより、当該商品に関する現実店舗のレイアウトを評価する。具体的には、評価部134は、仮想店舗において販売されている商品ごとに、アバターの行動履歴において当該商品のIDに関連付けられている当該商品に対するアバターの行動に基づいて、当該商品に対するアバターの関心度合いを特定することにより、当該商品に関する現実店舗のレイアウトを評価する。
【0061】
より具体的には、評価部134は、仮想店舗において販売されている商品ごとに、当該商品に対するアバターの行動として、アバターによる当該商品に対する閲覧期間の長短、及びアバターによる当該商品に対する閲覧回数の多少のうちの少なくともいずれかに基づいて、当該商品に対するアバターの関心度合いを特定する。
【0062】
閲覧期間は、アバターが商品を閲覧した期間である。閲覧期間は、複数のアバターが商品を閲覧した期間を合計した合計期間であってもよいし、複数のアバターが商品を閲覧した期間の統計値(例えば、平均値、中央値等)であってもよい。閲覧期間は、アバターの行動履歴に含まれるアバターが仮想店舗において販売されている商品を閲覧した履歴によって特定される情報である。評価部134は、例えば、閲覧期間が閲覧期間閾値を超えるか否かに基づいて、閲覧期間の長短を特定する。閲覧期間閾値は、閲覧期間が長いか否かを特定するための数値である。閲覧期間閾値は、仮想空間に存在する複数の仮想店舗において共通する閾値であってもよいし、仮想店舗ごとに異なる閾値であってもよい。
【0063】
閲覧回数は、アバターが仮想店舗において販売されている商品を閲覧した回数である。閲覧回数は、アバターの行動履歴に含まれるアバターが仮想店舗において販売されている商品を閲覧した履歴によって特定される情報である。評価部134は、例えば、閲覧回数が閲覧回数閾値を超えるか否かに基づいて、閲覧回数の多少を特定する。閲覧回数閾値は、閲覧回数が多いか否かを特定するための数値である。閲覧回数閾値は、仮想空間に存在する複数の仮想店舗において共通する閾値であってもよいし、仮想店舗ごとに異なる閾値であってもよい。
【0064】
評価部134は、例えば、ある商品に対して、当該商品に対するアバターの閲覧期間が長く、かつ、当該商品に対するアバターの閲覧回数が多い場合、当該商品に対するアバターの関心度合いが高いと特定する。また、評価部134は、例えば、ある商品に対して、当該商品に対するアバターの閲覧期間が長く、かつ、当該商品に対するアバターの閲覧回数が少ない場合、又は当該商品に対するアバターの閲覧期間が短く、かつ、当該商品に対するアバターの閲覧回数が多い場合、当該商品に対するアバターの関心度合いが高い又はやや高いと特定してもよいし、当該商品に対するアバターの関心度合いが低い又はやや低いと特定してもよい。また、評価部134は、例えば、ある商品に対して、当該商品に対するアバターの閲覧期間が短く、かつ、当該商品に対するアバターの閲覧回数が少ない場合、当該商品に対するアバターの関心度合いが低いと特定する。このように、情報処理装置1は、店舗において販売されている商品ごとに当該商品に対するアバターの関心度合いを特定することにより、例えば、当該商品の販売を継続した方が良いか否か等を評価することができる。
【0065】
評価部134は、仮想店舗において販売されている商品ごとに、当該商品に対応する滞在回数の多少及び当該商品に対応する閲覧回数の多少のうちの少なくともいずれかと、当該商品に対応する売上実績の高低との関係に基づいて、当該商品に対するアバターの関心度合いを特定してもよい。
【0066】
商品に対応する滞在回数は、例えば、当該商品が存在する仮想区画においてアバターが所定の期間(例えば、30秒、1分、5分等)にわたって滞在した回数である。滞在回数は、例えば、アバターの行動履歴に含まれるアバターが移動した履歴によって特定される情報である。評価部134は、例えば、滞在回数が滞在回数閾値を超えるか否かに基づいて、滞在回数の多少を特定する。滞在回数閾値は、滞在回数が多いか否かを特定するための数値である。滞在回数閾値は、仮想空間に存在する複数の仮想店舗において共通する閾値であってもよいし、仮想店舗ごとに異なる閾値であってもよい。
【0067】
商品の売上実績は、例えば、商品を販売した数、販売した商品の合計額等である。商品の売上実績は、例えば、アバターの行動履歴に含まれるアバターが仮想店舗において商品を購入した履歴によって特定される情報である。評価部134は、例えば、商品の売上実績が売上閾値を超えるか否かに基づいて、売上実績の高低を特定する。売上閾値は、売上実績が高いか否かを特定するための数値である。売上閾値は、仮想空間に存在する複数の仮想店舗において共通する閾値であってもよいし、仮想店舗ごとに異なる閾値であってもよい。
【0068】
評価部134は、例えば、ある商品(以下、「対象商品」という。)に対するアバターの関心度合いを特定する場合において、対象商品に対応する滞在回数及び対象商品に対応する閲覧回数が多く、かつ、対象商品に対応する売上実績が高い場合、対象商品に対するアバターの関心度合いが高いと評価する。また、評価部134は、例えば、対象商品に対応する滞在回数及び対象商品に対応する閲覧回数のうちの一方が多く他方が少なく、かつ、対象商品に対応する売上実績が高い場合、対象商品に対するアバターの関心度合いが高い又はやや高いと評価する。また、評価部134は、例えば、対象商品に対応する滞在回数及び対象商品に対応する閲覧回数が少なく、かつ、対象商品に対応する売上実績が低い場合、アバターの関心度合いが低いと評価する。また、評価部134は、例えば、対象商品に対応する滞在回数及び対象商品に対応する閲覧回数のうちの一方が多く他方が少なく、かつ、対象商品に対応する売上実績が低い場合、アバターの関心度合いが低い又はやや低いと評価する。このように、情報処理装置1は、商品の売上実績の高低を考慮することにより、当該商品に対するアバターの関心度合いを特定する精度を向上させることができる。なお、評価部134は、対象商品に対応する滞在回数及び対象商品に対応する閲覧回数が少なく、かつ、対象商品に対応する売上実績が低い場合、対象商品を配置する場所の変更を推奨すると評価してもよい。
【0069】
第2のステップとして、出力部135は、評価結果として、アバターの関心度合いの高低に応じて商品を示す情報を出力する。具体的には、出力部135は、評価結果として、アバターの関心度合いが相対的に高い商品(例えば、アバターの関心度合いが高い又はやや高い商品)を示す情報と、アバターの関心度合いが相対的に低い商品(例えば、アバターの関心度合いが低い又はやや低い商品)を示す情報とを出力する。出力部135は、例えば、商品ごとに、当該商品のIDと、当該商品に対するアバターの関心度合いの高低とを関連付けて出力する。出力部135は、現実店舗が販売する複数の商品のうち、アバターの関心度合いが低い商品を示す情報のみを出力してもよい。
【0070】
このようにすることで、情報処理装置1は、アバターの関心度合いが低い商品に関するレイアウトを変更する動機づけを店員に提供することができる。例えば、アバターの関心度合いが低い商品(例えば、売上実績が低い商品)が仮想店舗において顧客の目につきやすい場所(例えば、仮想店舗の入り口付近等)に配置されている場合、アバターの関心度合いが低い商品を、アバターの関心度合いが高い商品又は新たな商品と入れ替えることができる。
【0071】
出力部135は、現実店舗の現実区画ごとに評価された評価結果を出力してもよい。具体的には、情報処理装置1は、以下の2つのステップを実行することにより、現実店舗の現実区画ごとに評価された評価結果を出力する。
【0072】
第1のステップとして、評価部134は、仮想店舗に含まれる仮想区画ごとに、当該仮想区画に対応する滞在期間の長短、及び当該仮想区画に対応する滞在回数の多少のうちの少なくともいずれかに基づいて、現実店舗において当該仮想区画に対応する実区画に存在する商品に対するアバターの関心度合いを特定することにより、現実店舗のレイアウトを評価する。
【0073】
仮想区画に対応する滞在期間は、仮想区画にアバターが滞在した滞在期間である。滞在期間は、複数のアバターが滞在した期間を合計した合計期間であってもよいし、複数のアバターが滞在した期間の統計値(例えば、平均値、中央値等)であってもよい。滞在期間は、例えば、アバターの行動履歴に含まれるアバターが移動した履歴によって特定される情報である。評価部134は、例えば、滞在期間が滞在期間閾値を超えるか否かに基づいて、滞在期間の長短を特定する。滞在期間閾値は、滞在期間が長いか否かを特定するための数値である。滞在期間閾値は、仮想空間に存在する複数の仮想店舗において共通する閾値であってもよいし、仮想店舗ごとに異なる閾値であってもよい。
【0074】
評価部134は、例えば、ある仮想区画(以下、「対象区画」という。)に対応する現実区画に存在する商品に対するアバターの関心度合いを特定する場合において、対象区画に対応する滞在期間が長く、かつ、対象区画に対応する滞在回数が多い場合、対象区画に存在する商品に対するアバターの関心度合いが高いと評価する。また、評価部134は、例えば、対象区画に対応する滞在期間が短く、かつ、対象区画に対応する滞在回数が少ない場合、対象区画に存在する商品に対するアバターの関心度合いが低いと評価する。また、評価部134は、例えば、対象区画に対応する滞在期間が長く、かつ、対象区画に対応する滞在回数が少ない場合、又は、対象区画に対応する滞在期間が短く、かつ、対象区画に対応する滞在回数が多い場合、対象区画に存在する商品に対するアバターの関心度合いが高い又はやや高いと評価してもよいし、対象区画に存在する商品に対するアバターの関心度合いが低い又はやや低いと評価してもよい。
【0075】
第2のステップとして、出力部135は、評価結果として、アバターの関心度合いの高低に応じて現実区画を示す情報(例えば、区画のID又は区画範囲等)を出力する。具体的には、出力部135は、評価結果として、アバターの関心度合いが相対的に高い商品(例えば、アバターの関心度合いが高い又はやや高い商品)が存在する現実区画を示す情報と、アバターの関心度合いが相対的に低い商品(例えば、アバターの関心度合いが低い又はやや低い商品)が存在する現実区画を示す情報とを出力する。
【0076】
出力部135は、例えば、現実区画ごとに、当該現実区画のIDと、当該現実区画に存在する商品に対するアバターの関心度合いの高低とを関連付けて出力する。出力部135は、現実店舗に含まれる複数の現実区画のうち、アバターの関心度合いが低い商品が存在する現実区画を示す情報のみを出力してもよい。このようにすることで、情報処理装置1は、アバターの関心度合いが低い商品が存在する現実区画のレイアウトを変更する動機づけを店員に提供することができる。
【0077】
出力部135は、現実店舗に存在する現実通路に関する現実店舗のレイアウトの評価結果を出力してもよい。具体的には、情報処理装置1は、以下の2つのステップを実行することにより、現実店舗に存在する現実通路に関する現実店舗のレイアウトの評価結果を出力する。
【0078】
第1のステップとして、評価部134は、仮想店舗に含まれる仮想通路ごとに、当該仮想通路に対応する通行回数の多少に基づいて、現実店舗において当該仮想通路に対応する現実通路のレイアウトを評価する。
【0079】
通行回数は、アバターが仮想店舗の仮想通路を通行した回数である。通行回数は、アバターの行動履歴に含まれるアバターが移動した履歴によって特定される情報である。評価部134は、例えば、通行回数が通行回数閾値を超えるか否かに基づいて、通行回数の多少を特定する。通行回数閾値は、通行回数が多いか否かを特定するための数値である。通行回数閾値は、仮想空間に存在する複数の仮想店舗において共通する閾値であってもよいし、仮想店舗ごとに異なる閾値であってもよい。
【0080】
評価部134は、例えば、ある現実通路(以下、「対象通路」という。)に関する現実店舗のレイアウトを評価する場合において、対象通路に対応する仮想通路が多い場合、対象通路におけるアバターの利用度合いが高いと評価する。また、評価部134は、例えば、対象通路に対応する仮想通路が少ない場合、対象通路におけるアバターの利用度合いが低いと評価する。なお、評価部134は、現実通路を複数の区間に分割し、分割した区間ごとの通行回数の多少に基づいて、当該区間のレイアウトを評価してもよい。
【0081】
第2のステップとして、出力部135は、評価結果として、仮想通路におけるアバターの利用度合いの高低に応じた情報を出力する。具体的には、出力部135は、評価結果として、アバターの利用度合いが相対的に低い仮想通路(通行回数が相対的に少ない仮想通路)に対応する現実通路を示す情報を出力する。出力部135は、例えば、アバターの利用度合いが最も低い仮想通路に対応する現実通路を示す情報を出力する。このようにすることで、情報処理装置1は、アバターの利用度合いが低い現実通路に関するレイアウトを変更する動機づけを店員に提供することができる。
【0082】
出力部135は、評価結果として、商品に対するアバターの関心度合いと、仮想通路に対するアバターの利用度合いとの関係に基づく情報を出力してもよい。具体的には、まず、評価部134は、商品に対するアバターの関心度合いと、仮想通路に対するアバターの利用度合いとの関係に基づいて、商品に関する現実店舗のレイアウトを評価する。
【0083】
評価部134は、例えば、ある商品のアバターの関心度合いが高く、かつ、当該商品がアバターの利用度合いが高い仮想通路に面する棚に配置されている場合、当該商品を配置する場所の維持を推奨すると評価する。また、評価部134は、例えば、ある商品のアバターの関心度合いが高く、かつ、当該商品がアバターの利用度合いが低い仮想通路に面する棚に配置されている場合、当該商品を配置する場所の変更を推奨(例えば、アバターの関心度合いが高い商品をアバターの利用度合いが高い仮想通路に対応する現実通路に面する棚への配置を推奨等)すると評価する。また、評価部134は、例えば、ある商品のアバターの関心度合いが低く、かつ、当該商品がアバターの利用度合いが高い仮想通路に面する棚に配置されている場合、当該商品を配置する場所の変更を推奨(例えば、アバターの関心度合いが低い商品をアバターの利用度合いが低い仮想通路に対応する現実通路に面する棚への配置を推奨等)すると評価する。また、評価部134は、例えば、ある商品のアバターの関心度合いが低く、かつ、当該商品がアバターの利用度合いが低い仮想通路に面する棚に配置されている場合、当該商品を配置する場所の維持、又は当該商品の販売の中止を推奨すると評価する。
【0084】
そして、出力部135は、評価部134が商品を配置する場所の維持を推奨するか否かを示す評価結果を出力する。このようにすることで、情報処理装置1は、商品を配置する場所を変更した方がよいか否かを店員に判断させることができる。
【0085】
出力部135は、現実店舗及び仮想店舗において共通する広告が掲載されている場合、当該広告に関する現実店舗のレイアウトの評価結果を出力してもよい。具体的には、情報処理装置1は、以下の2つのステップを実行することにより、広告に関する現実店舗のレイアウトの評価結果を出力する。
【0086】
第1のステップとして、評価部134は、現実店舗及び仮想店舗において共通する広告が掲載されている場合、当該広告に関する現実店舗のレイアウトを評価してもよい。具体的には、評価部134は、アバターの行動履歴によって特定される広告に対するアバターの行動に基づいて、広告に対するアバターの関心度合いを特定することにより、現実店舗のレイアウトを評価する。広告に対するアバターの行動は、アバターが広告に注目した行動、アバターが広告を閲覧した行動等である。
【0087】
評価部134は、例えば、広告に対するアバターの行動回数の多少に基づいて、広告に対するアバターの関心度合いを特定する。広告に対するアバターの行動回数は、アバターが広告に対して行動した回数である。広告に対するアバターの行動回数は、アバターの行動履歴に含まれるアバターが広告を閲覧した履歴によって特定される情報である。評価部134は、例えば、広告に対するアバターの行動回数が行動回数閾値を超えるか否かに基づいて、広告に対するアバターの行動回数の多少を特定する。行動回数閾値は、行動回数が多いか否かを特定するための数値である。行動回数閾値は、仮想空間に存在する複数の仮想店舗において共通する閾値であってもよいし、仮想店舗ごとに異なる閾値であってもよい。
【0088】
評価部134は、例えば、ある広告に対して、当該広告に対するアバターの行動回数が多い場合、当該広告に対するアバターの関心度合いが高いと特定する。一方、評価部134は、広告に対するアバターの行動回数が少ない場合、当該広告に対するアバターの関心度合いが低いと特定する。
【0089】
第2のステップとして、出力部135は、評価結果として、広告に対するアバターの関心度合いの高低を示す情報を出力する。出力部135は、広告に対するアバターの関心度合いが低い場合に、広告に対するアバターの関心度合いが低いことを示す情報を出力してもよい。このようにすることで、情報処理装置1は、広告に関するレイアウトを変更した方がよいか否かを店員に判断させるための情報を提供することができる。
【0090】
出力部135は、評価結果として、アバターの行動履歴によって特定される仮想店舗におけるアバターの行動の度合いを現実店舗のレイアウトに重畳させた態様で出力してもよい。仮想店舗におけるアバターの行動の度合いは、例えば、商品を注目した回数の多少、商品を閲覧した回数の多少、仮想通路を通行した回数の多少等である。出力部135は、例えば、仮想店舗におけるアバターの行動の度合いを示すヒートマップを、現実店舗のレイアウトに重畳させて出力する。
【0091】
図7は、評価サービスの表示画面を模式的に表した図である。図7(a)に示す画像G2は、店舗のレイアウトが表示された画像であって、ヒートマップを重畳させる前の画像である。図7(b)に示す画像G3は、図7(a)に示す画像G2にヒートマップを重畳させた画像である。画像G3に表示されているヒートマップは、仮想店舗におけるアバターの行動の度合いとして、仮想通路を通行した回数の多少を示す。
【0092】
出力部135は、例えば、仮想店舗におけるアバターの複数の行動種類(例えば、商品の閲覧、仮想通路の通行等)それぞれに対応するヒートマップを現実店舗のレイアウトに重畳させて表示する。また、例えば、評価サービスの表示画面には、仮想店舗におけるアバターの行動種類を選択する選択項目が設けられており、出力部135は、店員が選択した行動種類に対応するヒートマップを現実店舗のレイアウトに重畳させて表示してもよい。このようにすることで、情報処理装置1は、現実店舗において想定されるユーザの行動を店員に把握させることができる。
【0093】
[情報処理装置1の処理]
続いて、情報処理装置1の処理の流れについて説明する。図8は、情報処理装置1の処理の流れを示すフローチャートである。本フローチャートは、受付部133が、店員端末3から現実店舗のレイアウトの評価要求を受け付けたことを契機として開始する(S1)。
【0094】
評価部134は、レイアウト管理データベースにおいて受付部133が受け付けた評価要求に含まれる現実店舗のIDに関連付けられている仮想店舗のIDを特定し、履歴管理データベースにおいて特定した仮想店舗のIDに関連付けられているアバターの行動履歴を特定する(S2)。
【0095】
評価部134は、特定したアバターの行動履歴に基づいて、レイアウト管理データベースにおいて特定した仮想店舗のIDに関連付けられているレイアウト情報によって特定される現実店舗のレイアウトを評価する(S3)。そして、評価部134が評価した評価結果を示す情報を店員端末3に送信する(S4)。
【0096】
[本実施の形態における効果]
以上説明したとおり、情報処理装置1は、仮想店舗においてアバターが行動した行動履歴に基づいて、仮想店舗に対応するレイアウト情報によって特定される現実店舗のレイアウトを評価し、評価した評価結果を出力する。このようにすることで、情報処理装置1は、仮想店舗におけるユーザの行動をもとに現実店舗のレイアウトを評価することができる。これにより、情報処理装置1は、現実店舗にセンサを備えなくても、現実店舗のレイアウトを評価することができる。その結果、情報処理装置1は、評価サービスを利用することによる現実店舗の店員の負担を軽減することができる。
【0097】
なお、本発明により、国連が主導する持続可能な開発目標(SDGs)の目標9「産業と技術革新の基盤をつくろう」に貢献することが可能となる。
【0098】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。例えば、装置の全部又は一部は、任意の単位で機能的又は物理的に分散・統合して構成することができる。また、複数の実施の形態の任意の組み合わせによって生じる新たな実施の形態も、本発明の実施の形態に含まれる。組み合わせによって生じる新たな実施の形態の効果は、もとの実施の形態の効果を併せ持つ。
【符号の説明】
【0099】
1 情報処理装置
11 通信部
12 記憶部
13 制御部
131 仮想空間制御部
132 購買管理部
133 受付部
134 評価部
135 出力部
2 ユーザ端末
3 店員端末
S 情報処理システム
【要約】
【課題】店員の負担を軽減する。
【解決手段】情報処理装置1は、現実空間に存在する現実店舗と、仮想空間に存在する仮想店舗であって現実店舗に対応する仮想店舗とにおいて共通するレイアウトを特定するためのレイアウト情報を記憶する記憶部12と、仮想店舗において顧客を示すアバターが行動した行動履歴に基づいて、仮想店舗に対応するレイアウト情報によって特定される現実店舗のレイアウトを評価する評価部134と、評価部134が評価した評価結果を出力する出力部135と、を有する。
【選択図】図3

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8