(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-14
(45)【発行日】2024-11-22
(54)【発明の名称】メモリカード
(51)【国際特許分類】
G06K 19/077 20060101AFI20241115BHJP
G06F 13/38 20060101ALI20241115BHJP
G06F 13/42 20060101ALI20241115BHJP
【FI】
G06K19/077 188
G06K19/077 164
G06F13/38 320A
G06F13/42 310
(21)【出願番号】P 2023126695
(22)【出願日】2023-08-03
(62)【分割の表示】P 2022158302の分割
【原出願日】2018-03-09
【審査請求日】2023-08-03
(31)【優先権主張番号】P 2017111133
(32)【優先日】2017-06-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】318010018
【氏名又は名称】キオクシア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】藤本 曜久
(72)【発明者】
【氏名】斎藤 利忠
(72)【発明者】
【氏名】坂本 典哉
(72)【発明者】
【氏名】近藤 敦志
【審査官】小林 紀和
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-028433(JP,A)
【文献】特開2013-069019(JP,A)
【文献】特開2016-053983(JP,A)
【文献】岡田 浩人,高速シリアルUHS-IIインタフェース登場で4K動画もOKに! 300Mバイト/秒以上で画像もサクサク! 最新SDカードの研究,Interface,日本,CQ出版株式会社,2014年02月01日,第40巻 第2号,pp.102-109
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06K 19/077
G06F 13/38
G06F 13/42
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1ロウに配置され、第1の電源端子と第1のグランド端子とを含む第1の端子群と、
前記第1ロウに平行に延びた第2ロウに配置され、差動データ信号を通信するための複数の差動データ端子と複数のグランド端子とを含む第2の端子群と、
を備え、
前記複数の差動データ端子は、互に隣接して配される一対の差動データ端子を含み、
前記一対の差動データ端子は、前記複数のグランド端子の間に配され、
SD規格に対応した第1のモードでの通信では、前記第1の端子群に含まれる端子を使用して前記SD規格に対応したシングルエンド信号を受信し、
PCIe規格に対応した第2のモードでの通信では、前記第1の端子群に含まれる端子を使用して前記PCIe規格に対応した差動クロック信号及びリセット信号を受信し、前記第2の端子群に含まれる端子を使用して前記PCIe規格に対応した差動データ信号を受信する
メモリカード。
【請求項2】
前記第1の端子群は、第1端子と、複数の第2端子と、第3端子と、を含み、
前記第1のモードでの通信では、前記第1の端子群に含まれる前記複数の第2端子を使用して前記SD規格に対応したデータ信号を受信し、前記第1の端子群に含まれる前記第3端子を使用して前記SD規格に対応したクロック信号を受信し、
前記第2のモードでの通信では、前記第1の端子群に含まれる前記第1端子及び前記複数の第2端子を使用して前記PCIe規格に対応した差動クロック信号及びリセット信号を受信し、前記第2の端子群に含まれる前記複数の差動データ端子を使用して前記PCIe規格に対応した差動データ信号を受信する
請求項1に記載のメモリカード。
【請求項3】
前記第2の端子群は、第2の電源端子をさらに含み、
前記第2の電源端子に電源電圧が印加されない場合、前記第1のモードでの通信を行い、前記第2の電源端子に電源電圧が印加される場合、前記第2のモードでの通信を行う
請求項1に記載のメモリカード。
【請求項4】
前記第1の電源端子に供給される電源電圧は、前記第2の電源端子に供給される電源電圧よりも大きい
請求項3に記載のメモリカード。
【請求項5】
前記一対の差動データ端子は、
差動データ信号を送信するための一対の差動データ端子と、
差動データ信号を受信するための一対の差動データ端子と、
を含み、
前記複数のグランド端子は、第2のグランド端子、第3のグランド端子、第4のグランド端子を含み、
前記送信するための一対の差動データ端子は、前記第2のグランド端子と前記第3のグランド端子との間に配され、
前記受信するための一対の差動データ端子は、前記第3のグランド端子と前記第4のグランド端子との間に配され、
前記第3のグランド端子は、両側で前記送信するための一対の差動データ端子と前記受信するための一対の差動データ端子とに隣接する
請求項1に記載のメモリカード。
【請求項6】
NANDフラッシュメモリと、
メモリインターフェース回路と、
前記メモリインターフェース回路を介して前記NANDフラッシュメモリに接続されるカードインターフェース回路と、
をさらに備える
請求項1に記載のメモリカード。
【請求項7】
前記メモリカードの厚さは、1.4mm~1.6mmの範囲にある
請求項1に記載のメモリカード。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本実施の形態は、概して、メモリカードに関するものである。
【背景技術】
【0002】
メモリカードでは、記憶容量の増大に伴ってデータの転送量が増大している。データの転送量の増大に伴ってデータの転送時間が増大するのを防止するため、メモリカードに搭載される通信インターフェースの高速化が求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
一つの実施形態によれば、第1の主面と第1の端子群と第2の端子群とを有するメモリカードが提供される。第1の主面は、第1辺と第1辺に平行な第2辺とを含む。第1の端子群は、第1の主面の第1ロウに配置され、3以上の端子を含む。第2の端子群は、第1の主面の第2ロウであって第1ロウに平行な第2ロウに配置され、3以上の端子を含む。第1ロウは前記第2辺よりも前記第1辺に近い。第2ロウは第1辺よりも第2辺に近い。第2の端子群は、差動データ信号を通信するための複数の差動データ端子と、グランド電位に接続された複数のグランド端子とを含む。メモリカードは、SD規格に対応した第1のモードでの通信では、前記第1の端子群に含まれる端子を使用して前記SD規格に対応したシングルエンド信号を受信する。メモリカードは、PCIe(Peripheral Component Interconnect express)規格に対応した第2のモードでの通信では、前記第1の端子群に含まれる端子を使用して前記PCIe規格に対応した差動クロック信号及びリセット信号を受信し、前記第2の端子群に含まれる端子を使用して前記PCIe規格に対応した差動データ信号を受信する。
【図面の簡単な説明】
【0005】
【
図1】
図1は、第1実施形態に係るメモリカードの概略構成を示す平面図である。
【
図2】
図2は、第2実施形態に係るメモリカードの概略構成を示す平面図である。
【
図3】
図3は、第2実施形態に係るメモリカードの他の概略構成を示す平面図である。
【
図4A】
図4Aは、第3実施形態に係るメモリカードの概略構成を示す平面図である。
【
図4B】
図4Bは、第5実施形態に係るメモリカードの概略構成を示す平面図である。
【
図4C】
図4Cは、第4実施形態に係るメモリカードの概略構成を示す平面図である。
【
図5】
図5は、第6実施形態に係るメモリカードの概略構成を示すブロック図である。
【
図6】
図6は、第7実施形態に係るメモリカードが装着されたホスト機器の概略構成を示すブロック図である。
【
図7】
図7は、第8実施形態に係るメモリカードが装着されたインターフェースカードの概略構成を示すブロック図である。
【
図8】
図8は、第9実施形態に係るメモリカードのバスモードの設定時のホスト機器の動作を示すフローチャートである。
【
図9】
図9は、第10実施形態に係るメモリカードに接続される差動伝送路におけるACカップリングコンデンサの実装方法を示すブロック図である。
【
図10A】
図10Aは、第11実施形態に係るメモリカードに接続される差動伝送路におけるACカップリングコンデンサの実装方法を示すブロック図である。
【
図10B】
図10Bは、第12実施形態に係るメモリカードに接続される差動伝送路におけるACカップリングコンデンサの実装方法を示すブロック図である。
【
図11A】
図11Aは、第13実施形態に係るメモリカードに用いられるコネクタの概略構成の一例を示す斜視図である。
【
図11B】
図11Bは、第13実施形態に係るメモリカードに用いられるコネクタの概略構成の一例を示す断面図である。
【
図12A】
図12Aは、第14実施形態に係るメモリカードの装着前のコネクタの概略構成の一例を示す断面図である。
【
図12B】
図12Bは、第14実施形態に係るメモリカードの装着前のコネクタの概略構成の一例を示す平面図である。
【
図12C】
図12Cは、第14実施形態に係るメモリカードの装着後のコネクタの概略構成の一例を示す断面図である。
【
図12D】
図12Dは、第14実施形態に係るメモリカードの装着後のコネクタの概略構成の一例を示す平面図である。
【
図13A】
図13Aは、第15実施形態に係るメモリカードの装着前のアダプタの概略構成の一例を示す断面図である。
【
図13B】
図13Bは、第15実施形態に係るメモリカードの装着前のアダプタの概略構成の一例を示す平面図である。
【
図13C】
図13Cは、第15実施形態に係るメモリカードの装着後のアダプタの概略構成の一例を示す断面図である。
【
図13D】
図13Dは、第15実施形態に係るメモリカードの装着後のアダプタの概略構成の一例を示す平面図である。
【
図14A】
図14Aは、第16実施形態に係るメモリカードの装着前のアダプタの概略構成の一例を示す断面図である。
【
図14B】
図14Bは、第16実施形態に係るメモリカードの装着前のアダプタの概略構成の一例を示す平面図である。
【
図14C】
図14Cは、第16実施形態に係るメモリカードの装着後のアダプタの概略構成の一例を示す断面図である。
【
図14D】
図14Dは、第16実施形態に係るメモリカードの装着後のアダプタの概略構成の一例を示す平面図である。
【
図15A】
図15Aは、第17実施形態に係るメモリカードの装着前のアダプタの概略構成の一例を示す断面図である。
【
図15B】
図15Bは、第17実施形態に係るメモリカードの装着前のアダプタの概略構成の一例を示す平面図である。
【
図15C】
図15Cは、第17実施形態に係るメモリカードの装着後のアダプタの概略構成の一例を示す断面図である。
【
図15D】
図15Dは、第17実施形態に係るメモリカードの装着後のアダプタの概略構成の一例を示す平面図である。
【
図16A】
図16Aは、第18実施形態に係るメモリカードの概略構成を示す斜視図である。
【
図16B】
図16Bは、第19実施形態に係るメモリカードの装着前のアダプタの概略構成の一例を示す断面図である。
【
図16C】
図16Cは、第20実施形態に係るメモリカードの概略構成を示す斜視図である。
【
図17】
図17は、第21実施形態に係るメモリカードの装着後のアダプタの概略構成の一例を示す平面図である。
【
図18】
図18は、第22実施形態に係るメモリカードの概略構成を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0006】
以下に添付図面を参照して、実施の形態にかかるメモリカード、ホスト機器、メモリカード用コネクタおよびメモリカード用アダプタを詳細に説明する。なお、これらの実施形態により本発明が限定されるものではない。以下の実施形態では、メモリカードとしてSDカードを例にとるが、マルチメディアカードなどのその他のカードであってもよい。
【0007】
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態に係るメモリカードの概略構成を示す平面図である。
図1において、メモリカードSD1のカード面上にはロウR1、R2が設けられている。ロウR1、R2には、端子群PA1、PA2がそれぞれ設けられている。ロウR1は、端子群PA1の端子を横方向に並べて配置する領域を指定することができる。ロウR2は、端子群PA2の端子を横方向に並べて配置する領域を指定することができる。
【0008】
各端子群PA1、PA2の端子の寸法は異なっていてもよいし、各端子群PA1、PA2の端子間の間隔は異なっていてもよい。ロウR1において、端子群PA1の各端子の配置位置は縦方向にずれていてもよい。ロウR2において、端子群PA2の各端子の配置位置は縦方向にずれていてもよい。
【0009】
このメモリカードSD1のフォームファクタは、microSDカードに対応させることができる。この時、メモリカードSD1の縦の寸法A1は15mm、横の寸法B1は11mm、厚さは1.0mmに設定することができる。
【0010】
各ロウR1、R2には、ある1つのインターフェース規格に準拠した通信に用いられる信号が割り当てられる。この時、複数のインターフェース規格に準拠した通信に用いられる信号が1つのロウに割り当てられないようにすることができる。ただし、1つのインターフェース規格に準拠した通信に用いられる信号が複数のロウに割り当てられていてもよい。
【0011】
ロウR1には、SD規格に対応した第1のモードでの通信に用いられる信号が割り当てられる。SD規格に対応した第1のモードでの通信には、シングルエンド信号を用いることができる。すなわち、シングルエンド信号は、SD規格に対応する。SD規格に対応した第1のモードでは、端子群PA1に、電源VDD、グランド電位VSS、コマンドCMD、クロックCLKおよびデータDAT[3:0]が割り当てられる。
【0012】
SD規格に対応した第1のモードでは、DS(Default Speed)、HS(High Speed)またはUHS(Ultra High Speed)-Iに準拠して通信することができる。DSの最大転送速度は12.5Mバイト/秒、HSの最大転送速度は25Mバイト/秒、UHS-Iの最大転送速度は104Mバイト/秒である。
【0013】
ロウR2には、PCIe(Peripheral Component Interconnect express)規格に対応した第2のモードでの通信に用いられる信号が割り当てられる。PCIe規格に対応した第2のモードでは、データの通信に差動信号を用いることができる。PCIe規格に対応した第2のモードでは、端子群PA2に、送信差動信号TX0P、TX0N、受信差動信号RX0P、RX0Nが割り当てられる。送信差動信号TX0P、TX0Nおよび受信差動信号RX0P、RX0Nを用いることで双方向通信を行うことができる。この時、ロウR2において、差動信号が割り当てられた端子が挟まれるようにグランド電位のGND端子がそれぞれ割り当てられる。
【0014】
さらに、ロウR2において、端子群PA2の1つの端子には電源端子VDD2又は電源端子VDD3が割り当てられ、端子群PA2の別の1つの端子には電源端子VDD2が割り当てられる。また、端子群PA2のさらに別の1つの端子には、SWIOが割り当てられる。SWIOは、NFC(Near Field Communication)に用いることができる。
【0015】
SD規格に対応した第1のモードでは、クロックCLKおよびデータDAT[3:0]が別個の端子に割り当てられている。このため、クロックCLKおよびデータDAT[3:0]が別個の伝送路を介して伝送される。
【0016】
PCIe規格に対応した第2のモードでは、データをシリアル伝送するが、受信回路でクロックを生成できるように、データは同じ電圧レベルが長く続かないようにある単位毎にコード化される。コード化には、8B10Bや128b/130bなどの方式が用いられる。受信側は、データの変化点からクロックを生成することで、電圧レベルが多少変動してもデータを受信することができる。複数のレーン(差動データ信号の上り下りのペア)がある場合でも、それぞれレーンで独立に受信回路を構成して受信データの開始位置を揃えることで、レーン間スキューをキャンセルすることができる。
【0017】
例えば、PCIe 3.0規格に対応した第2のモードの場合の最大転送速度は1レーン当たり2Gバイト/秒(上り下りの合計)である。PCIe規格に対応した第2のモードでは、一組の送信差動信号TX0P、TX0Nおよび受信差動信号RX0P、RX0Nで1レーンを構成することができる。一組の送信差動信号TX0P、TX0Nおよび受信差動信号RX0P、RX0Nは、メモリカードSD1の1つのロウに配置することができる。
【0018】
このため、メモリカードSD1のロウ数を増大させることにより、PCIe規格に対応した第2のモードのレーン数を増大させることができ、PCIe規格に対応した第2のモードの転送速度を向上させることができる。PCIe規格に対応した第2のモードでは、初期化時に複数レーン構成を認識して、ひとつのデータを複数レーンで転送することができる。
【0019】
PCIe規格に対応した第2のモードで通信を行う場合、PCIe規格に対応した第2のモードでの通信の制御に用いられる制御信号がロウR1に割り当てられる。この制御信号は、レファレンス差動クロック信号REFCLKp/n、リセット信号PERST、パワーマネジメント制御信号CLKREQを用いることができる。また、この制御信号は、さらにウェークアップ信号PEWAKEを用いてもよい。これらの制御信号は、ロウR1のコマンドCMDおよびデータDAT[3:0]の代わりに割り当てられる。
【0020】
レファレンス差動クロック信号REFCLKp/nは、2本で差動クロックを構成し、ホスト機器からクロックを送ることにより、メモリカードSD1は、そのメモリカードSD1が装着されたホスト機器との同期を容易化することができる。ただし、レファレンス差動クロック信号REFCLKp/nはロウR1に割り当てられ、送信差動信号TX0P、TX0Nおよび受信差動信号RX0P、RX0NはロウR2以降に割り当てられる。このため、レファレンス差動クロック信号REFCLKp/nは、送信差動信号TX0P、TX0Nおよび受信差動信号RX0P、RX0Nとは別個の伝送路で送信される。
【0021】
ホスト機器は、例えば、パーソナルコンピュータなどの情報処理装置、携帯電話、デジタルカメラ、撮像装置であってもよいし、タブレットコンピュータやスマートフォンなどの携帯端末であってもよいし、ゲーム機器であってもよいし、カーナビゲーションシステムなどの車載端末であってもよい。
【0022】
メモリカードSD1は、受信したレファレンス差動クロックを逓倍してビットクロックを生成する。データはビットクロックに同期して、送信差動信号TX0P、TX0Nから出力され、受信差動信号RX0P、RX0Nから読み込んだデータは、ビットクロックに同期して揃えられる。複数レーンの場合でもビットクロックに同期させて、ひとつのデータとして揃えることができる。
【0023】
リセット信号PERSTは、PCIe規格に対応した第2のモードでの通信に用いられるバスをホスト機器がリセットするために用いることができる。このリセット信号PERSTは、エラー発生時などにホスト機器がカードの再初期化を行う時に用いることができる。
【0024】
パワーマネジメント制御信号CLKREQは、パワーセービングモードから復帰するためのクロックとして用いることができる。パワーセービングモードでは、データ転送に用いられる高周波ビットクロックを停止させることで、消費電力を低減することができる。
【0025】
ウェークアップ信号PEWAKEがメモリカードSD1に実装された場合、ウェークアップ信号PEWAKEは、パワーセービングモードにおいて、メモリカードSD1がホスト機器に各種イベントを知らせるのに用いることができる。ホスト機器は、メモリカードSD1からウェークアップ信号PEWAKEを受信すると、パワーセービングモードを解除し、イベントを処理することができる。メモリカードの中にはI/O機能を実装するタイプもあり、I/O割り込みを通知する手段としても使うことができる。
【0026】
ロウR2において、端子群PA2の1つの端子には電源端子VDD2又は電源端子VDD3が割り当てられる。ロウR1の電源VDDには、ホスト機器は電源電圧VDD1を供給することができる。電源電圧VDD1は、3.3Vに設定することができる。ロウR2の電源端子VDD2には、電源電圧VDD2を供給することができる。電源電圧VDD2は、1.8Vに設定することができる。あるいは、ロウR2の電源端子VDD3には、電源電圧VDD3を供給することができる。電源電圧VDD3は、1.2Vに設定することができる。電源電圧表記は中央値を示し、ある程度の電圧変動幅は許容されている。例えば、3.3Vは、2.7V~3.6V、1.8Vは1.70~1.95V、1.2Vは、1.1V~1.3Vが許容範囲である。
【0027】
下記説明では、電源端子VDD3の存在を想定した説明をしているが、電源電圧VDD3をサポートするメモリカードSD1が、電源端子VDD3を持たない場合は、ロウR2の電源端子VDD2を使い、電源電圧VDD2または、電源電圧VDD3を供給することができる。具体的には、電源電圧VDD2は、1.8Vまたは1.2Vが印加される。すなわち、メモリカードSD1で電源端子VDD3がないケースも存在するが、電源電圧VDD3の供給先を電源端子VDD2に変えるだけで、他の説明は同様である。
上述した説明では、PCIe規格に対応した第2のモードでの通信に用いられる信号がロウR2に割り当られる方法について説明したが、UHS-IIでの通信に用いられる信号がロウR2に割り当てられるようにしてもよい。UHS-IIの最大転送速度は312Mバイト/秒である。
【0028】
ここで、メモリカードSD1がUHS-II規格に対応した第2のモードで通信するか、PCIe規格に対応した第2のモードで通信するかを判別できるようにするため、電源電圧VDD2または電源電圧VDD3を用いることができる。端子群PA2の電源端子VDD2または電源端子VDD3に電源電圧が印加されている場合、メモリカードSD1はPCIe規格をサポートしていれば、PCIeバスモードで通信することができる。
【0029】
または、電源電圧VDD2または電源電圧VDD3の変化点を検出して切り替える方法もある。VDD2またはVDD3が、オフからオンに変わった場合、PCIeバスモードに入り、オンからオフに変わった場合は、PCIeバスモードから抜ける。これにより、SDモードでは、VDD2またはVDD3がオン/オフどちらでも動作させることができる。
【0030】
UHS-II規格を用いるホスト機器は電源電圧VDD2を電源端子VDD2に印加し、PCIe規格を用いるホスト機器は電源電圧VDD2を電源端子VDD2に印加するか、または電源電圧VDD3を電源端子VDD3に印加する。メモリカードSD1は、VDD2/VDD3電圧の有無の組み合わせにより、ホスト機器が期待するバスモード判定を容易に行える。従って、メモリカードSD1は、データに送られるシンボルによってバスモード判定する必要がない。
【0031】
ここで、メモリカードSD1がPCIe規格をサポートしているか、UHS-II規格をサポートしているかをホスト機器が認識できるようにするため、PCIe規格に対応したホスト機器は、PCIe規格をサポートしていることを認識するための決められたPCIeシンボルをロウR2の端子群PA2に送信することができる。そのシンボルに対してメモリカードSD1からレスポンスがあった場合は、ホスト機器は、メモリカードSD1がPCIe規格をサポートしていると認識することができる。UHS-IIに対応したホスト機器は、UHS-II初期化シンボルをロウR2の端子群PA2に送信することができる。そのシンボルに対してメモリカードSD1からレスポンスがあった場合は、ホスト機器は、メモリカードSD1がUHS-IIをサポートしていると認識することができる。
【0032】
ここで、PCIe規格に対応した第2のモードでの通信に用いられる信号をロウR2に割り当て、メモリカードSD1がPCIe規格での通信をサポートできるようにすることにより、データの転送速度を上げることができる。メモリカードSD1の記憶容量の増大に伴い、メモリ領域全体をアクセスする場合の時間が増大していくが、マルチレーン構成などの方法により更にバスを高速化することで、この時間を短縮することができる。
【0033】
また、メモリカードSD1がPCIe規格での通信をサポートすることにより、PCIe規格の標準的な物理層(PHY:Physical Layer)を用いることができる。このため、メモリカードSD1のデータの転送速度を上げるための設計の容易化と開発コストの低減を図ることができる。
【0034】
さらに、メモリカードSD1がPCIe規格での通信をサポートすることにより、PCIe規格のデータリンク層にNVMe(Non Volatile Memory express)を採用することができる。このため、データ転送時のオーバーヘッドを低減させることができ、データ転送効率を向上させることができる。
【0035】
(第2実施形態)
図2は、第2実施形態に係るメモリカードの概略構成を示す平面図である。
【0036】
図2において、メモリカードSD2のカード面上にはロウR1~R4が設けられている。ロウR1、R2には、端子群PA1、PA2がそれぞれ設けられている。ロウR1、R2は、
図1のメモリカードSD1と同様に用いることができる。例えば、ロウR2でUHS-IIをサポートし、ロウR3、R4でPCIe規格をサポートすることができる。
【0037】
ロウR3、R4には、端子群PA3、PA4がそれぞれ設けられている。ロウR3は、端子群PA3の端子を横方向に並べて配置する領域を指定することができる。ロウR4は、端子群PA4の端子を横方向に並べて配置する領域を指定することができる。このメモリカードSD2のフォームファクタは、microSDカードに対応させることができる。なお、メモリカードSD2にロウR3、R4が設けられている場合、ロウR2はオプションとすることができる(無くてもよい)。
【0038】
図2でロウR3、R4は2段で構成した例であるが、各ロウは1レーンの構成に必要な端子の集まりを示し、メモリカード上の端子配置を制限するものではない。例えば、2段のパッドを「ちどり」に配置してもよく、またロウR3、R4を1列にして「コの字」に並べて配置してもよい。
【0039】
端子群PA3、PA4の各端子の面積は端子群PA1、PA2の各端子の面積よりも小さくすることができる。コネクタのコンタクト方式によっては端子群PA3、PA4の各端子の形状は互いに等しくすることができる。ここで、端子群PA3、PA4の各端子の面積を小さくすることにより、寄生容量を低減することが可能となるとともに、端子にコンタクトをとった時のスタブを小さくすることができ、周波数特性を向上させることができる。なお、ここで言うスタブとは、メモリカードSD2の端子にコンタクトをとった時、コネクタピンと接触しない部分にできる端子の切れ端を言う。また、端子群PA3、PA4の各端子の形状を互いに等しくすることにより、レーンを構成する差動信号の電気的特性の対称性を向上させることができる。
【0040】
各ロウR3、R4には、PCIe規格での通信に用いられる信号が割り当てられる。ロウR3の端子群PA3には、送信差動信号TX0P、TX0N、受信差動信号RX0P、RX0Nが割り当てられる。ロウR4の端子群PA4には、送信差動信号TX1P、TX1N、受信差動信号RX1P、RX1Nが割り当てられる。
【0041】
ここで、1つのロウはPCIe規格の1レーンを構成することができる。このため、PCIe規格での通信に用いられる信号がロウR3、R4に割り当てられることで、PCIe規格の2レーンを構成することができ、PCIe規格での通信に用いられる信号が1つのロウに割り当てられる方法に比べてデータ転送速度を2倍に向上させることができる。
【0042】
2つのロウR3、R4を用いてPCIe規格で通信を行う場合においても、PCIe規格での通信の制御に用いられる制御信号がロウR1に割り当てられる。この時、ロウR1に割り当てられた制御信号は、2つのロウR3、R4で共用することができる。
【0043】
ロウR3において、端子群PA3の1つの端子には電源端子VDD3が割り当てられる。ロウR3の電源端子VDD3には、電源電圧VDD3を供給することができる。端子群PA3の電源端子VDD3は、ロウR3、R4で共用することができる。メモリカードSD2がSD規格に対応した第1のモードで通信するか、PCIe規格に対応した第2のモードで通信するかを判別できるようにするため、電源電圧VDD3を用いることができる。
【0044】
また、各ロウR3、R4において、差動信号が割り当てられた端子が挟まれるようにグランド電位のGND端子がそれぞれ割り当てられる。例えば、ロウR3において、右から2番目、3番目、6番目、7番目の端子に受信差動信号RX0N、RX0P、TX0N、TX0Pが割り当てられる。この時、ロウR3の右から1番目、4番目、5番目、8番目の端子にグランド電位GNDが割り当てられる。
【0045】
ただし、メモリカードは、
図2に示す構成に対して、差動信号端子を囲む2つのGND端子の一方のGND端子の代わりに電源端子を配置した
図3に示す構成であってもよい。電源端子は、安定した電源に対応した電源端子を採用できる。
図3は、第2実施形態に係るメモリカードの他の概略構成を示す平面図である。
【0046】
ここで、差動信号が割り当てられた端子を挟む端子にグランド電位GNDが割り当てられることにより、差動信号ごとにリターンパスを確保することができ、差動信号間の相互干渉を低減することができる。
【0047】
なお、
図2又は
図3の例では、差動信号ごとに独立にグランド電位GNDが割り当てられる方法について説明したが、差動信号間の相互干渉に対して十分なノイズマージンがある場合は、グランド電位GNDが割り当てられた互いに隣接する端子は共通化するようにしてもよい。例えば、ロウR3において、グランド電位GNDを割り当てられた右から4番目および5番目の端子のうちのいずれかの端子はなくてもよい。これにより、各ロウR3、R4に設けられる端子数を減らすことができ、メモリカードSD2の1つのロウに配置可能な端子数に制限がある場合においても、その制限に容易に対応することができる。
【0048】
また、
図2又は
図3の例では、メモリカードSD2にロウR3、R4を設ける方法について説明したが、ロウR4は省略するようにしてもよい。
【0049】
さらに、
図2又は
図3の例では、ロウR1、R2の他に2つのロウR3、R4を設ける方法について説明したが、ロウR1、R2の他に3以上のロウを設けるようにしてもよい。例えば、さらにロウR5、R6を追加してもよい。ここで、メモリカードSD2がPCIe規格での通信をサポートすることにより、ロウ数を増大させることでレーン数を増大させることができ、データ転送速度の増大に容易に対応することができる。
【0050】
すなわち、メモリカードのカード面上にN(Nは2以上の整数)個のロウを設けることができる。そして、第1ロウでは、SD規格に対応した第1のモードでデータ通信し、第2ロウから第Nロウでは、PCIe規格でデータ通信することができる。第2ロウはPCIeレーンとして割り当ててもよいが、パッドの形状が第3ロウ以降と異なるので使用しなくてもよい。PCIeレーンの数をXとすると、PCIe規格ではXレーンを用いてデータ通信することができ、例えば、PCIe 3.0規格の最大転送速度はX×2Gバイト/秒(双方向)を達成することができる。
【0051】
(第3実施形態)
図4Aは、第3実施形態に係るメモリカードの概略構成を示す平面図である。
【0052】
microSDフォームファクタにおいては、ロウR2がある場合とない場合、ロウR3、R4がある場合とない場合の3通りの組み合わせがある。
【0053】
(1)ロウR2あり、ロウR3、R4なしの場合(
図1のケース)
ロウR2にはUHS-IIの差動信号、または、PCIe規格の差動信号1レーンが割当られる。初期化時にどちらをサポートしているかが識別される(両方サポートしてもよい)。さらに、ロウR2に電源端子VDD3がある場合とない場合の組み合わせがあり、電源端子VDD3がある場合は1.2Vが印加される。電源端子VDD3がない場合は、電源端子VDD2が使用され、電源端子VDD2には1.8Vまたは1.2Vが印加される。
【0054】
(2)ロウR2なし、ロウR3、R4ありの場合(
図4Aのケース)
ロウR3、R4は、PCIe規格の差動信号2レーンが割当られる。電源電圧VDD3はロウR3にある。UHS-IIはサポートできない。
【0055】
(3)ロウR2あり、ロウR3、R4ありの場合(
図2のケース)
ロウR2にはUHS-IIの差動信号、ロウR3、R4は、PCIe規格の差動信号2レーンが割当られる。さらに、ロウR2に電源端子VDD3がある場合とない場合の組み合わせがあり、電源端子VDD3がある場合は1.2Vが印加される。電源端子VDD3がない場合は、電源端子VDD2が使用するか、ロウR3の電源端子VDD3を用いてもよい。電源端子VDD2を使う場合は1.8Vまたは1.2Vが印加される。また、PCIe規格に対応した第2のモードのときに、ロウR2は別な用途のインターフェースとして使うことができる。
【0056】
メモリカードSD3のロウR1、R3、R4は、
図2のメモリカードSD2のロウR1、R3、R4と同様に用いることができる。
【0057】
ここで、メモリカードSD2のロウR2を除去することにより、メモリカードSD3のカード面上の空きスペースを増やすことができる。例えば、放熱のための接触領域に用いることができる。
【0058】
(第4実施形態)
図4Cは、第4実施形態に係るメモリカードの概略構成を示す平面図である。
【0059】
図4Cにおいて、メモリカードSD5のカード面上にはロウR1、R3、R4が設けられている。ロウR1には、端子群PC1が設けられている。ロウR1には、SD規格に対応した第1のモードでの通信に用いられる信号が割り当てられる。この時、ロウR1において、端子4には電源VDD、端子3、6にはグランド電位VSS、端子2にはコマンドCMD、端子5にはクロックCLK、端子1、9、8、7にはデータDAT[3:0]が割り当てられる。
【0060】
ロウR3、R4には、端子群PC3、PC4がそれぞれ設けられ、2レーン構成にすることができる。このメモリカードSD5のフォームファクタは、標準サイズのSDカードに対応させることができる。この時、メモリカードSD5の縦の寸法A2は32mm、横の寸法B2は24mm、厚さは2.1mmに設定することができる。
【0061】
メモリカードSD5のロウR1、R3/R4はメモリカードSD2のロウR1、R3、R4と同様に用いることができる。これにより、メモリカードSD5のフォームファクタが標準サイズのSDカードに対応している場合においても、PCIe規格に対応した第2のモードでの通信をサポートすることができ、データの転送速度を上げることができる。
【0062】
(第5実施形態)
図4Bは、第5実施形態に係るメモリカードの概略構成を示す平面図である。
【0063】
図4Bにおいて、モリカードSD4のカード面上にはロウR1、R3、R4が設けられている。ロウR1には、端子群PB1が設けられている。ロウR1には、SD規格に対応した第1のモードでの通信に用いられる信号が割り当てられる。
図4Bの端子群PB1は、
図4Aの端子群PA1と同じ形状の場合の例を示しているが、端子群PB1の形状は、ロウR3、R4の端子形状と同じ、または類似した小さいパッド形状にしてもよい。アダプタを使うことで、
図4Cのフォームファクタに変換すれば互換性を維持するように作ることができる。
【0064】
ロウR3、R4には、端子群PB3、PB4がそれぞれ設けられている。このメモリカードSD4のフォームファクタは、microSDカードに対応したフォームファクタを体積的に包含し、標準サイズのSDカードに対応したフォームファクタに体積的に包含されることができる。この時、メモリカードSD4の縦の寸法A3は16mm~20mmの範囲、横の寸法B3は12mm~16mmの範囲、厚さは1.4mm~1.6mmの範囲に設定することができる。
【0065】
ここで、メモリカードSD4のフォームファクタは、microSDカードに対応したフォームファクタを体積的に包含することにより、NANDフラッシュメモリのチップサイズが増大した場合においても、NANDフラッシュメモリをメモリカードSD4に収めることができ、NANDフラッシュメモリの記憶容量の増大に対応させることができる。
【0066】
また、メモリカードSD4のフォームファクタは、標準サイズのSDカードに対応したフォームファクタに体積的に包含されることにより、メモリカードSD4のサイズの増大を抑制することができる。このため、メモリカードSD4のコンパクト性を確保することができ、スマートフォンなどの携帯端末やデジタルカメラなどの携帯機器などに用いることができる。
【0067】
メモリカードSD4のロウR1、R3、R4はメモリカードSD5のロウR1、R3、R4と同様に、メモリカードSD3のロウR1、R3、R4と同様に用いることができる。これにより、メモリカードSD4のフォームファクタがmicroSDカードのフォームファクタおよび標準サイズのSDカードのフォームファクタと異なる場合においても、PCIe規格での通信をサポートすることができ、フォームファクタの違いに関わらずメモリ領域をアクセスできる。
【0068】
なお、メモリカードSD2~SD5において、ロウR3、R4に配置される端子の寸法、形状および配置間隔は共通化することができる。これにより、ロウR3、R4に配置される端子とコンタクトをとるコネクタをメモリカードSD2~SD5間で共通化することができる。
【0069】
(第6実施形態)
図5は、第6実施形態に係るメモリカードの概略構成を示すブロック図である。なお、
図5の構成は、
図1、
図2および
図4A~
図4CのいずれのメモリカードSD1~SD5にも用いることができる。以下の説明では、
図5の構成が
図2のメモリカードSD2に適用された場合を例にとる。
【0070】
図5において、メモリカードSD2には、レギュレータ11、12、コンパレータ13、カードコントローラ14、メモリインターフェース回路15およびメモリ16が設けられている。メモリ16は、NANDフラッシュメモリを用いることができる。カードコントローラ14は、メモリ16へのリード/ライト制御および外部との通信制御などを行うことができる。この通信制御には、SD規格に対応した第1のモードに対応したプロトコル制御およびlPCIe規格に対応したプロトコル制御を含むことができる。カードコントローラ14には、IOセル17、物理層インターフェース18およびカードインターフェース回路19が設けられている。
【0071】
IOセル17は、シングルエンド信号に対応することができる。IOセル17は、ロウR1に割り当てられた信号に対応することができる。IOセル17には、入力バッファV1、V3および出力バッファV2が設けられている。入力バッファV1にはクロックCLKを入力することができる。入力バッファV3にはコマンドCMDおよびデータDAT[3:0]を入力することができる。出力バッファV2は、コマンドCMDに対するレスポンスおよびデータDAT[3:0]を出力することができる。入力バッファV3および出力バッファV2は、コマンドCMDおよびデータDAT[3:0]ごとに設けることができる。
【0072】
物理層インターフェース18は、差動信号に対応することができる。物理層インターフェース18は、ロウR2、R3、R4に割り当てられた信号に対応することができる。物理層インターフェース18には、レシーバREおよびトランスミッタTRが設けられている。レシーバREには、ロウR2、R3の受信差動信号RX0P、RX0NおよびロウR4の受信差動信号RX1P、RX1Nを入力することができる。トランスミッタTRは、ロウR2、R3の送信差動信号TX0P、TX0NおよびロウR4の送信差動信号TX1P、TX1Nを出力することができる。レシーバREおよびトランスミッタTRは、ロウR2、R3、R4ごとに設けることができる。ロウR2においては、UHS-II規格に対応した第2のモードであってもPCIe規格に対応した第2のモードであっても、物理層インターフェース18は同じ構成をとることができる。
【0073】
IOセル17および物理層インターフェース18はカードインターフェース回路19に接続されている。カードコントローラ14は、メモリインターフェース回路15を介してメモリ16に接続されている。メモリカードSD2にPCIe規格をサポートさせるために、カードコントローラ14には、PCIe規格の物理層インターフェース18の他、PCIe規格のデータリンク層およびトランザクション層を設けることができる。物理層インターフェース18は、シリアル/パラレル変換、パラレル/シリアル変換およびデータのシンボル化などを行うことができる。このシンボル化は、データの0または1が連続する時に、同じ値の連続回数を所定値以下に抑える処理である。このシンボル化により、データ伝送時の電圧レベルの偏りを抑えることができる。また、特定の周波数の高調波が大きくならないシンボルを用いることでEMI(ElectroMagnetic Interference)を抑えることもできる。
【0074】
なお、PCIe規格のトランザクション層では、データをパケット化したり、パケットのヘッダにコマンドなどを付加したりすることができる。PCIe規格のデータリンク層では、トランザクション層から受けとったパケットにシーケンス番号を付加したり、CRC(Cyclic Redundancy Check)符号を付加したりすることができる。シーケンス番号は、パケットの送達確認などに用いることができる。
【0075】
電源電圧VDD1は、レギュレータ11、カードコントローラ14、メモリインターフェース回路15およびメモリ16に供給される。レギュレータ11に供給された電源電圧VDD1は、電源電圧VDDLに変換され、カードコントローラ14およびメモリインターフェース回路15に供給される。電源電圧VDDLはカードコントローラのテクノロジーに合わせて決定される。メモリインターフェース回路15は、カードコントローラ14のインターフェース電圧とメモリ16のインターフェース電圧が異なる場合、レベルシフタ回路である。
【0076】
SD規格に対応した第1のモード(DS、HSまたはUHS-I)の場合、電源電圧VDD1のみで動作可能なように構成される。UHS-7モードの場合、カードコントローラ14およびメモリインターフェース回路15は電源電圧VDDLを1.8Vとして用いることができる。この時、IOセル17では、電源電圧VDD1、VDDLに応じて出力信号電圧および入力スレッショールドを切り換えることができる。電圧VDD2はオプションで供給することができる。
【0077】
電源電圧VDD3は、レギュレータ12およびコンパレータ13に供給される。レギュレータ12に供給された電源電圧VDD3は、物理層インターフェース18を動作させるのに必要な電源電圧VDDPHYに変換され、物理層インターフェース18に供給される。
【0078】
コンパレータ13に供給された電源電圧VDD3は、基準電圧と比較される。そして、その比較結果に基づいて電源電圧VDD3の印加が検出され、その検出信号VDD3SPがカードコントローラ14に出力される。
図示はされていないが、電源電圧VDD2を使用したときも同様に、電源電圧VDD2はレギュレータ12およびコンパレータ13に供給され、物理層インターフェース18を動作させるのに必要な電源電圧VDDPHYに変換され、物理層インターフェース18に供給され、検出信号VDD3SPがカードコントローラ14に出力される。
【0079】
コンパレータ13によって電源電圧VDD3の印加が検出されない場合、メモリカードSD2ではSD規格に対応した第1のモードで通信が行われる。この時、ホスト機器からメモリカードSD2に送信されたクロックCLKは入力バッファV1を介してカードインターフェース回路19に送信される。ホスト機器からメモリカードSD2に送信されたコマンドCMDおよびデータDAT[3:0]は入力バッファV3を介してカードインターフェース回路19に送信される。カードインターフェース回路19から送信されたコマンドCMDに対するレスポンスおよびデータDAT[3:0]は出力バッファV2を介してホスト機器に送信される。
【0080】
コンパレータ13によって電源電圧VDD2または電源電圧VDD3の印加が検出された場合、メモリカードSD2ではPCIe規格に対応した第2のモードで通信が行われる。この時、メモリカードSD2では、ロウR3、R4を介してデータ通信を行い、ロウR1を介して制御信号の通信を行うことができる。制御信号は、レファレンス差動クロック信号REFCLKp/n、リセット信号PERST、パワーマネジメント制御信号CLKREQおよびウェークアップ信号PEWAKEが、ロウR1のコマンドCMDおよびデータDAT[3:0]の代わりに割り当てられる。ただしウェークアップ信号PEWAKEの実装は必須ではない。
【0081】
ホスト機器からメモリカードSD2にシリアルの受信差動信号RX0P、RX0N、RX1P、RX1Nが送信されると、レシーバREにてパラレルデータの受信信号Rxに変換され、カードインターフェース回路19に送信される。カードインターフェース回路19からトランスミッタTRにパラレルデータの送信信号Txが送信されると、その送信信号Txがシリアルの送信差動信号TX0P、TX0N、TX1P、TX1Nに変換され、ホスト機器に送信される。
【0082】
(第7実施形態)
図6は、第7実施形態に係るメモリカードが装着されたホスト機器の概略構成を示すブロック図である。
【0083】
図6において、ホスト機器には、システムコントローラ21およびシステムメモリ27が設けられている。システムコントローラ21には、ルートコンプレックス22、SDホストコントローラ23、第1ロウスイッチ24、コネクタ25およびメモリコントローラ26が設けられている。メモリコントローラ26はシステムメモリ27に接続されている。
【0084】
ルートコンプレックス22は、複数のPCIeレーンの調停によりシステムメモリのアクセス制御を行うことができる。また、PCIeレーンに接続されるデバイスとシステムメモリ間のデータ転送を調停できる。ルートコンプレックス22が複数のPCIeレーンを持つ場合、複数のPCIeデバイス(メモリカードを含む)とスタースター接続することができる。ひとつのデバイスに複数レーンを割り当てることもできる。SDホストコントローラ23はメモリカードSD2をSD規格に対応した第1のモードで制御する場合に用いることができる。第1ロウスイッチ24は、選択信号R1SELに基づいてロウR1をSD規格に対応した第1のモードでの通信に用いるか、PCIe規格に対応した第2のモードでの通信に用いるかを切り替えることができる。
【0085】
コネクタ25は、メモリカードSD2とコンタクトをとることができる。この時、コネクタ25のフォームファクタはmicroSDカードに対応させることができる。コネクタ25には、メモリカードSD2とコンタクトをとるために、メモリカードSD2のカード端子群に対応したコネクタコンタクト端子群を設けることができる。メモリカードSD2のカード端子群は、
図2の端子群PA1~PA4である。また、コネクタ25は、ホストコントローラと接続するためのコネクタ端子群がある。なお、以下の説明では、メモリカードに設けられた端子群とコネクタに設けられた端子群と区別するために、メモリカードに設けられた端子群をカード端子群、コネクタに設けられた端子群をコネクタ端子群と言うことがある。
【0086】
コネクタ25には、電源電圧VDD3が印加され、電源電圧VDD3が印加されない場合、電源電圧VDD2が印加される。メモリコントローラ26は、システムメモリ27の動作を制御することができる。
【0087】
ルートコンプレックス22には、物理層インターフェース22A、22C、22EおよびIOセル22B、22D、22Fが設けられている。各物理層インターフェース22A、22C、22Eは、PCIe規格の差動信号インターフェースであり、IOセル22B、22D、22Fは、PCIe規格のシングルエンド信号と差動レファレンスクロックのインターフェースである。
【0088】
物理層インターフェース22AおよびIOセル22Bは、SDホストコントローラ23に接続されている。この時、ルートコンプレックス22は、差動信号DS1および制御信号CS1を用いてSDホストコントローラ23と通信することができる。物理層インターフェース22Cは、コネクタ25に接続されている。IOセル22Dは、第1ロウスイッチ24に接続されている。物理層インターフェース22EおよびIOセル22Fは、M.2スロットに接続されている。M.2は、SATA(Serial Advanced Technology Attachment)およびPCIe規格をサポートし、様々なPCIeデバイスを接続することができる。SDホストコントローラ23は、第1ロウスイッチ24を介してコネクタ25に接続されている。
【0089】
選択信号R1SELにてSD規格に対応した第1のモードでの通信が選択された場合、第1ロウスイッチ24によってメモリカードSD2のロウR1がSDホストコントローラ23側に切り替えられる。そして、SDホストコントローラ23から出力されたSDバス信号BSがロウR1に割り当てられ、SDホストコントローラ23とメモリカードSD2間はSD規格に対応した第1のモードで通信が行われる。SDバス信号BSは、コマンドCMD、クロックCLKおよびデータDAT[3:0]を含むことができる。
【0090】
選択信号R1SELにてPCIe規格に対応した第2のモードでの通信が選択された場合、第1ロウスイッチ24によってメモリカードSD2のロウR1がIOセル22D側に切り替えられる。そして、制御信号CS2がロウR1に割り当てられる。この制御信号CS2には、レファレンス差動クロック信号REFCLKp/n、リセット信号PERST、パワーマネジメント制御信号CLKREQを含むことができる。また、この制御信号CS2には、さらにウェークアップ信号PEWAKEを含ませてもよい。
【0091】
また、物理層インターフェース22CとメモリカードSD2のロウR3、R4との間で差動信号DS2が送受信される。この差動信号DS2は、受信差動信号RX0P、RX0N、RX1P、RX1Nおよび送信差動信号TX0P、TX0N、TX1P、TX1Nを含むことができる。これにより、ルートコンプレックス22とメモリカードSD2間はPCIe規格に対応した第2のモードで通信を行うことができる。
【0092】
選択信号R1SELの設定方法としては、電源電圧VDD2または電源電圧VDD3が印加されたかどうかで設定することができる。電源電圧VDD2または電源電圧VDD3の変化点(offからon、onからoff)を検出することで初期化中の状態を制御できる。
あるいは、システムコントローラ21などにレジスタを設け、このレジスタに格納された値に基づいて選択信号R1SELを設定するようにしてもよい。レジスタに格納された値に基づいて選択信号R1SELを設定することにより、電源電圧VDD3が使用されるかどうかにかかわりなく、SD規格に対応した第1のモードでの通信とPCIe規格に対応した第2のモードでの通信とを切り替えることができる。
【0093】
なお、
図6の実施形態では、メモリカードSD2を装着可能なコネクタ25をホスト機器に実装した構成を示したが、メモリカードSD1、SD3~SD5を装着可能なコネクタをホスト機器に実装するようにしてもよい。メモリカードSD1、SD3を装着可能なコネクタのフォームファクタはmicroSDカードに対応させることができる。メモリカードSD4を装着可能なコネクタのフォームファクタは、microSDカードに対応したフォームファクタを包含し、標準サイズのSDカードに対応したフォームファクタに包含されることができる。メモリカードSD5を装着可能なコネクタのフォームファクタは、標準サイズのSDカードに対応させることができ、microSDカードに対応したフォームファクタとカードSD4のフォームファクタを包含する。
【0094】
(第8実施形態)
図7は、第8実施形態に係るメモリカードが装着されたインターフェースカードの概略構成を示すブロック図である。
【0095】
図7において、インターフェースカード31には、ブリッジ32、SDホストコントローラ33、第1ロウスイッチ34およびコネクタ35が設けられている。
【0096】
ブリッジ32は、PCIeスロットまたはM.2スロットにインターフェースカード31を装着することでPCIe規格に対応した第2のモードでの通信に移行させることができる。SDホストコントローラ33、第1ロウスイッチ34およびコネクタ35は、
図6のSDホストコントローラ23、第1ロウスイッチ24およびコネクタ25と同様に構成することができる。
【0097】
ブリッジ32には、物理層インターフェース32A、32CおよびIOセル32B、32Dが設けられている。各物理層インターフェース32A、32Cは、PCIe規格の差動信号をインターフェースすることができる。IOセル32B、32Dは、PCIe規格のシングルエンド信号と差動レファレンスクロックをインターフェースすることができる。
【0098】
物理層インターフェース32AおよびIOセル32Bは、SDホストコントローラ33に接続されている。この時、ブリッジ32は、差動信号DS1および制御信号CS1を用いてSDホストコントローラ33と通信することができる。物理層インターフェース32Cは、コネクタ35に接続されている。IOセル32Dは、第1ロウスイッチ34に接続されている。
【0099】
選択信号R1SELにてSD規格に対応した第1のモードでの通信が選択された場合、第1ロウスイッチ34によってメモリカードSD2のロウR1がSDホストコントローラ33側に切り替えられる。そして、SDホストコントローラ33から出力されたSDバス信号BSがロウR1に割り当てられ、SDホストコントローラ33とメモリカードSD2間はSD規格に対応した第1のモードで通信が行われる。
【0100】
選択信号R1SELにてPCIe規格に対応した第2のモードでの通信が選択された場合、第1ロウスイッチ34によってメモリカードSD2のロウR1がIOセル32D側に切り替えられる。そして、制御信号CS2がロウR1に割り当てられる。また、物理層インターフェース32CとメモリカードSD2のロウR3、R4との間で差動信号DS2が送受信される。そして、ブリッジ32とメモリカードSD2間はPCIe規格に対応した第2のモードで通信が行われる。
【0101】
(第9実施形態)
図8は、第9実施形態に係るメモリカードのバスモードの設定時のホスト機器の動作を示すフローチャートである。なお、このメモリカードのバスモードの設定方法は、
図1、
図2および
図4A~
図4CのいずれのメモリカードSD1~SD5にも用いることができる。
【0102】
図8において、ホスト機器はメモリカードに電源電圧VDD1、電源電圧VDD3を供給する(S1)。電源電圧VDD1は、メモリカードのロウR1の電源端子VDDに供給することができる。
図1に示すように、メモリカードにロウR1、R2しかない場合、電源電圧VDD3は、メモリカードのロウR2の電源端子VDD3、または、電源端子VDD3がなければ電源端子VDD2に供給することができる。
図2または
図4A~
図4Cに示すように、メモリカードにロウR3がある場合、電源電圧VDD3は、メモリカードのロウR3の電源端子VDD3に供給することができる。
【0103】
また、図示していないが、電源電圧VDD3をサポートしない場合は、代わりに電源電圧VDD2を電源端子VDD2に供給する。
【0104】
この時、ホスト機器は、送信差動信号TX0P、TX0N、TX1P、TX1Nが割り当てられたロウR3、R4の端子の電圧の立ち上がり時間を監視することでカードが装着されているか検出することができる。ホスト機器とカード間はACカップリングコンデンサにより接続されるが、カードが装着されてるい場合だけコンデンサに充電電流が流れる。このため、ホスト機器にメモリカードが装着されている場合は、ホスト機器にメモリカードが装着されていない場合に比べて立ち上がり時間が長くなる。従って、この立ち上がり時間に基づいて、ホスト機器にメモリカードが装着されているかどうかを判定することができる。複数レーンから構成される場合、何レーンが通信に使用可能かも判定できる。そして、ホスト機器にメモリカードが装着されている場合、ホスト機器はメモリカードと通信を開始することができる。
【0105】
次に、ホスト機器は、ロウR1を第3バスモードとして選択する(S2)。第3バスモードは、PCIe規格に対応した第2のモードによる通信である。
【0106】
次に、ホスト機器は、メモリカードがPCIe規格をサポートしているかどうかを識別するシンボルをロウR2、R3、またはR4に送信する(S3)。
【0107】
そして、S3のシンボルに対するレスポンスがメモリカードから規定時間以内に送信された場合(S4のYes)、ホスト機器は、トレーニングシーケンスを実行する(S5)。このトレーニングシーケンスでは、メモリカードとホスト機器の両方がサポートする最大性能の動作周波数を決定することができる。
【0108】
次に、ホスト機器は、メモリカードとの通信方式を第3バスモードに設定する(S6)。
【0109】
一方、S3のシンボルに対するレスポンスが規定時間以内にメモリカードから送信されてこない場合(S4のNo)、ホスト機器は、電源電圧VDD3の供給を停止し(S7)、メモリカードに電源電圧VDD2を供給する(S8)。電源電圧VDD2は、メモリカードのロウR2の電源端子VDD2に供給することができる。
【0110】
次に、ホスト機器は、ロウR1をUHS-IIモード用の制御端子として選択する(S9)。具体的には、2つの端子に差動レファレンスクロックが割当てられる。
【0111】
次に、ホスト機器は、メモリカードがUHS-IIをサポートしているかどうかを識別するシンボルをロウR2に送信する(S10)。
【0112】
そして、S10のシンボルに対するレスポンスがメモリカードから規定時間以内に送信された場合(S11のYes)、ホスト機器は、UHS-IIモードの初期化を実行する(S12)。このUHS-IIモードの初期化では、メモリカードとホスト機器の両方がサポートする最大性能の動作周波数を決定することができる。
【0113】
次に、ホスト機器は、メモリカードとの通信方式を第2バスモードに設定する(S13)。第2バスモードは、UHS-IIによる通信である。
【0114】
一方、S10のシンボルに対するレスポンスが規定時間以内にメモリカードから送信されてこない場合(S11のNo)、ホスト機器は、電源電圧VDD2の供給を停止する(S14)。なお、電源電圧VDD2の供給を停止するかどうかはオプションとすることができる。
【0115】
次に、ホスト機器は、ロウR1をSD規格に対応した第1のモード用の信号端子として選択する(S15)。
【0116】
次に、ホスト機器は、SD規格に対応した第1のモードの初期化を実行するコマンドをロウR1に送信する(S16)。
【0117】
そして、S16のコマンドに対するレスポンスがメモリカードから規定時間以内に送信された場合(S17のYes)、ホスト機器は、SD規格に対応した第1のモードの初期化を実行する(S18)。このSD規格に対応した第1のモードの初期化では、メモリカードとホスト機器の両方がサポートする最大性能のSDバスモードと動作周波数を決定することができる。
【0118】
次に、ホスト機器は、メモリカードとの通信方式を第1バスモードに設定する(S19)。第1バスモードは、SD規格に対応した第1のモードによる通信である。
【0119】
一方、S16のコマンドに対するレスポンスが規定時間以内にメモリカードから送信されてこない場合(S17のNo)、ホスト機器は、エラー判定し、SD規格に対応した第1のモードの初期化を停止する(S20)。S20には、SDカードではないカードが接続されたケースも含まれる。
【0120】
例えば、
図1のメモリカードSD1に
図8の処理が適用されるものとする。この時、メモリカードSD1のロウR2の電源端子VDD3に電源電圧VDD3が供給される(S1)。メモリカードSD1がPCIe規格をサポートしている場合は、メモリカードSD1のロウR2にシンボルが送信された時に(S3)、メモリカードSD1からのレスポンスがある(S4のYes)。このため、ホスト機器は、メモリカードSD1との通信方式をPCIe規格に対応した第2のモードに設定する(S6)。
【0121】
一方、メモリカードSD1がUHS-IIをサポートしている場合は、メモリカードSD1のロウR2にシンボルが送信された時に(S3)、メモリカードSD1からのレスポンスがない(S4のNo)。このため、メモリカードSD1のロウR2の電源端子VDD3の電源電圧VDD3が停止され(S7)、メモリカードSD1のロウR2の電源端子VDD2に電源電圧VDD2が供給される(S8)。そして、メモリカードSD1のロウR2にシンボルが送信された時に(S10)、メモリカードSD1からのレスポンスがある(S11のYes)。このため、ホスト機器は、メモリカードSD1との通信方式をUHS-IIに設定する(S13)。
【0122】
一方、メモリカードSD1がUHS-IIもサポートしていない場合は、メモリカードSD1のロウR2にシンボルが送信された時に(S10)、メモリカードSD1からのレスポンスがない(S11のNo)。そして、メモリカードSD1のロウR1にコマンドが送信された時に(S16)、メモリカードSD1からのレスポンスがあれば、ホスト機器は、メモリカードSD1との通信方式をSD規格に対応した第1のモードに設定する(S19)。
【0123】
その他の例として、
図4AのメモリカードSD3に
図8の処理が適用されるものとする。この時、メモリカードSD3のロウR3の電源端子VDD3に電源電圧VDD3が供給される(S1)。メモリカードSD3はPCIe規格をサポートしているので、メモリカードSD3のロウR3にシンボルが送信された時に(S3)、メモリカードSD3からのレスポンスがある(S4のYes)。このため、ホスト機器は、メモリカードSD1との通信方式をPCIe規格に対応した第2のモードに設定する(S6)。
【0124】
一方、メモリカードSD3をSD規格に対応した第1のモードで動作させる場合、S1においてメモリカードSD3のロウR3の電源端子VDD3に電源電圧VDD3が供給されないようにする。この時、メモリカードSD3のロウR3にシンボルが送信された時に(S3)、メモリカードSD3からのレスポンスがない(S4のNo)。また、メモリカードSD3にはロウR2がないので、メモリカードSD3のロウR2にシンボルが送信された時に(S10)、メモリカードSD3からのレスポンスがない(S11のNo)。メモリカードSD3はSD規格をサポートしているので、メモリカードSD3のロウR1にコマンドが送信された時に(S16)、メモリカードSD3からのレスポンスがある(S17のYes)。このため、ホスト機器は、メモリカードSD3との通信方式をSD規格に対応した第1のモードに設定する(S19)。
【0125】
(第10実施形態)
図9は、第10実施形態に係るメモリカードに接続される差動伝送路におけるACカップリングコンデンサの実装方法を示すブロック図である。
【0126】
図9において、ホスト機器には、システムボード81およびシステムコントローラ83が設けられている。システムボード81には、コネクタ82および物理層インターフェース84が設けられている。物理層インターフェース84には、レシーバRE1およびトランスミッタTR1が設けられている。レシーバRE1には、メモリカードSD1のロウR2から送信される送信差動信号TX0P、TX0Nを入力することができる。トランスミッタTR1は、メモリカードSD1のロウR2で受信される受信差動信号RX0P、RX0Nを出力することができる。
【0127】
トランスミッタTR1とコネクタ82は、差動伝送路TP1を介して接続されている。この時、差動伝送路TP1は、ACカップリングコンデンサC1、C2を介してトランスミッタTR1とコネクタ82とを接続することができる。ACカップリングコンデンサC1、C2にはスイッチWTが接続されている。スイッチWTは、ACカップリングコンデンサC1、C2を短絡することができる。スイッチWTの実装はオプションとすることができる。
【0128】
レシーバRE1とコネクタ82は、差動伝送路TP2を介して接続されている。この時、差動伝送路TP2は、ACカップリングコンデンサC3、C4を介してレシーバRE1とコネクタ82とを接続することができる。ACカップリングコンデンサC3、C4にはスイッチWRが接続されている。スイッチWRは、ACカップリングコンデンサC3、C4を短絡することができる。スイッチWRの実装はオプションとすることができる。
【0129】
メモリカードSD1には、物理層インターフェース85が設けられている。物理層インターフェース85は、UHS-II規格またはPCIe規格のいずれか一方のみをサポートすることができる。物理層インターフェース85には、レシーバRE2およびトランスミッタTR2が設けられている。レシーバRE2には、メモリカードSD1のロウR2で受信された受信差動信号RX0P、RX0Nを入力することができる。トランスミッタTR2は、メモリカードSD1のロウR2から送信される送信差動信号TX0P、TX0Nを出力することができる。
【0130】
レシーバRE2は、差動伝送路TP3に接続されている。トランスミッタTR2は、差動伝送路TP4に接続されている。メモリカードSD1をコネクタ82に装着することで、差動伝送路TP1、TP3を互いに接続するとともに、差動伝送路TP2、TP4を互いに接続することができる。
【0131】
メモリカードSD1がUHS-II規格をサポートしている場合、システムコントローラ83は、スイッチWT、WRをオンし、ACカップリングコンデンサC1~C4を短絡させることができる。
【0132】
一方、メモリカードSD1がPCIe規格をサポートしている場合、システムコントローラ83は、スイッチWT、WRをオフし、物理層インターフェース84、85を直流的に分離させることができる。
【0133】
これにより、メモリカードSD1がUHS-II規格をサポートしている場合とPCIe規格をサポートしている場合とでシステムボード81を交換することなく、メモリカードSD1がUHS-II規格をサポートしている場合とPCIe規格をサポートしている場合との両方に対応させることができる。
【0134】
なお、PCIe規格に対応した第2のモードにおいて、ACカップリングコンデンサC1~C4を介して物理層インターフェース84、85を接続することにより、差動信号の送信側と受信側でDC的な分離をすることができ、物理層インターフェース84、85のコモン電圧レベルを送信側と受信側で独立に設計することが可能となる(互いに影響を受けない)。一方、ACカップリングコンデンサがなくDC結合する場合、グランドレベルの変動が双方の信号電圧に影響を与えるため、グランドレベルの変動を抑える設計が必要となる。
【0135】
また、ACカップリングコンデンサは、200nF程度の容量が必要で、その大きさから、microSDフォームファクタ内への実装は困難なものとなる。そこで、ACカップリングコンデンサC1~C4をシステムボード81に設けることにより、ACカップリングコンデンサC3、C4をメモリカードSD1に設ける必要がなくなり、薄型メモリカードSD1の製造を容易にすることが可能となる。
【0136】
(第11実施形態)
図10Aは、第11実施形態に係るメモリカードに接続される差動伝送路におけるACカップリングコンデンサの実装方法を示すブロック図である。
【0137】
図10Aにおいて、ホスト機器には、システムボード81´が設けられている。システムボード81´には、コネクタ82および物理層インターフェース84が設けられている。物理層インターフェース84には、レシーバRE1およびトランスミッタTR1が設けられている。
【0138】
トランスミッタTR1とコネクタ82からの差動伝送路TP1は、ACカップリングコンデンサC1、C2を介して接続されている。
【0139】
レシーバRE1とコネクタ82は、差動伝送路TP2を介して接続されている。この時、差動伝送路TP2は、レシーバRE1とコネクタ82とを直接接続することができる。
【0140】
メモリカードSD5には、物理層インターフェース85´が設けられている。物理層インターフェース85´は、PCIe規格をサポートすることができる。物理層インターフェース85´には、レシーバRE2´およびトランスミッタTR2´が設けられている。レシーバRE2´には、メモリカードSD5のロウR3で受信された受信差動信号RX0P、RX0Nを入力することができる。トランスミッタTR2´は、メモリカードSD5のロウR3から送信される送信差動信号TX0P、TX0Nを出力することができる。
【0141】
レシーバRE2´は、差動伝送路TP3に接続されている。トランスミッタTR2´と差動伝送路TP4は、ACカップリングコンデンサC3、C4を介して接続する場合を示している。これはPCIeデバイスの一般的な実装方法となっている。
【0142】
しかし、ACカップリングコンデンサの容量範囲は決められていて、microSDフォームファクタに実装するには大きすぎる問題がある。つまり、厚さが薄いフォームファクタの小型リムーバブルカードに応用するには
図10Aの構成は適していない。
【0143】
(第12実施形態)
図10Bは、第12実施形態に係るメモリカードに接続される差動伝送路におけるACカップリングコンデンサの実装方法を示すブロック図である。
【0144】
図10Bにおいて、ホスト機器には、システムボード81´´が設けられている。システムボード81´´には、コネクタ82´および物理層インターフェース84が設けられている。物理層インターフェース84には、レシーバRE1およびトランスミッタTR1が設けられている。コネクタ82´には、ACカップリングコンデンサC3、C4が設けられている。ACカップリングコンデンサC3、C4は、コネクタ82´におけるメモリカードSD1側が接続可能であるコネクタ端子とホスト機器の物理層インターフェース84に接続される接続端子との間に電気的に挿入することができる。
【0145】
トランスミッタTR1とコネクタ82´からの差動伝送路TP1は、ACカップリングコンデンサC1、C2を介して接続されている。ACカップリングコンデンサC1、C2は、コネクタ82´の内部に配置しても良く、そうすると、PCB上にC1、C2を配置する領域を確保する必要がない。
【0146】
レシーバRE1とコネクタ82´は、差動伝送路TP2を介して接続されている。この時、差動伝送路TP2は、レシーバRE1とコネクタ82´とを直接接続することができる。ホスト機器側の差動伝送路TP2とカード側の差動伝送路TP4は、コネクタ82´内でACカップリングコンデンサC3、C4を介して接続されている。
【0147】
図10Bは、コネクタ内にACカップリングコンデンサC3、C4を配置したケースを示した図であるが、ACカップリングコンデンサC3、C4は、コネクタ内に配置するのではなく、レシーバRE1とコネクタ82´からの差動伝送路TP2の間に挿入しても良い。この場合、PCB(Printed Circuit Board)上にACカップリングコンデンサC3、C4を配置する領域を確保する必要がある。
【0148】
メモリカードSD1をコネクタ82´に装着することで、差動伝送路(ホスト機器の送信側の差動伝送路)TP1、差動伝送路(メモリカードSD1の受信側の差動伝送路)TP3を互いに接続するとともに、ACカップリングコンデンサC3、C4を介して差動伝送路(ホスト機器の受信側の差動伝送路)TP2、差動伝送路(メモリカードSD1の送信側の差動伝送路)TP4を互いに接続することができる。
【0149】
ここで、ACカップリングコンデンサC3、C4をコネクタ82´に設けることにより、ACカップリングコンデンサC3、C4をメモリカードSD1に設ける必要がなくなり、microSDメモリカードのような厚さが薄いフォームファクタの小型リムーバブルカードに対応することが可能となる。当然、より大きなフォームファクタにも適用できる。
【0150】
(第13実施形態)
図11Aは、第13実施形態に係るメモリカードに用いられるコネクタの概略構成の一例を示す斜視図、
図11Bは、第13実施形態に係るメモリカードに用いられるコネクタの概略構成の一例を示す断面図である。なお、
図11Bでは、
図11Aの2本分のポゴピンを示した。
【0151】
図11Aにおいて、このコネクタは、メモリカードSD2~SD5のロウR3、R4の端子群PA3~PC3、PA4~PC4とコンタクトをとるのに用いることができる。このコネクタには、ポゴピン40が設けられている。ポゴピン40は、ロウR3、R4の端子配置に対応して配置することができる。
【0152】
図11Bに示すように、ポゴピン40には、ピン44が設けられている。ピン44はシリンダ43に収容されている。シリンダ43内において、ピン44の底にはバネ45が設けられ、ピン44はバネ45を介して上下可能な状態で支持されている。ポゴピン40は、直立した状態でハウジング42に支持されている。ハウジング42は基台41上に設置することができる。
【0153】
例えば、メモリカードSD2のロウR3とコンタクトをとる場合、メモリカードSD2の端子群PA3の各端子がピン44の先端に押し当てられる。この時、ピン44が押し下げられることで、バネ45からピン44が上向きに押し返される。このため、ピン44を端子に強固に圧着することができ、耐衝撃性を向上させることができる。この結果、自動車やドローンなどの激しい振動や衝撃が加わる環境でメモリカードSD2が使用される場合においても、メモリカードSD2の動作が不安定になるのを防止することができる。
【0154】
(第14実施形態)
図12Aは、第14実施形態に係るメモリカードの装着前のコネクタの概略構成の一例を示す断面図、
図12Bは、第14実施形態に係るメモリカードの装着前のコネクタの概略構成の一例を示す平面図、
図12Cは、第14実施形態に係るメモリカードの装着後のコネクタの概略構成の一例を示す断面図、
図12Dは、第14実施形態に係るメモリカードの装着後のコネクタの概略構成の一例を示す平面図である。
【0155】
なお、
図12Bおよび
図12Dでは、コネクタのカバーを除去した時の状態を示した。また、この実施形態では、
図4BのメモリカードSD4とコンタクトをとるコネクタを例にとった。
【0156】
図12Aおよび
図12Bにおいて、コネクタCN1には、ベース51およびカバー52が設けられている。ベース51の端部とカバー52の端部は、ピン53を介して結合されている。この時、ピン53を回転軸としてカバー52を回転させることにより、カバー52を開閉することができる。
【0157】
ベース51の中央部には、横方向に横断するように凹部54が設けられている。凹部54には、放熱シート55が設置されている。放熱シート55は、熱伝導性が高くフレキシブルな材料で構成することができる。放熱シート55の材料は、例えば、アクリル系樹脂を用いることができる。この時、放熱シート55は、ベース51から横方向に引き出されるように寸法を設定することができる。ベース51から横方向に引き出された放熱シート55はコネクタCN1の設置面に接触させることができる。コネクタCN1の設置面は、例えば、ホスト機器の筐体である。
【0158】
ベース51には、ホスト側と接続するコネクタロウR1端子群58とコネクタロウR3/R4端子群59があり、ベース51面上に突出した状態でカード側と接続するコネクタロウR1コンタクト群とコネクタロウR3/R4コンタクト群があり、リードピン56およびポゴピン57が埋め込まれている。リードピン56は、メモリカードSD4のロウR1の端子配列に対応して配置することができる。ポゴピン57は、メモリカードSD4のロウR3、R4の端子配列に対応して配置することができる。リードピン56のコネクタロウR1コンタクト群はコネクタロウR1端子群58に配線され、ホスト機器に接続することができる。ポゴピン57のコネクタロウR3/R4コンタクト群はコネクタロウR3/R4端子群59に配線され、ホスト機器に接続することができる。
【0159】
メモリカードSD4をコネクタCN1に装着する場合、カバー52を開いた状態でメモリカードSD4をベース51上に設置する。そして、カバー52を閉じることにより、メモリカードSD4をコネクタCN1に固定することができる。
【0160】
この時、
図12Cおよび
図12Dに示すように、メモリカードSD4のロウR1の端子群PB1をリードピン56に圧着させ、メモリカードSD4のロウR3、R4の端子群PB3、PB4をポゴピン57に圧着させることができる。また、メモリカードSD4のカード面のロウR1とロウR3、R4との間の空きスペースを放熱シート55に圧着させることができる。
【0161】
ここで、メモリカードSD4のロウR3、R4の端子群PB3、PB4とコンタクトをとるために、ポゴピン57を用いることにより、端子群PB3、PB4とポゴピン57との接触時の横ずれを低減することができる。このため、端子群PB3、PB4の各端子の縮小化に対応しつつ、端子群PB3、PB4とポゴピン57とを確実に接触させることができる。
【0162】
また、コネクタCN1に放熱シート55を設けることにより、メモリカードSD4で発生した熱は放熱シート55を介してホスト機器に効率よく逃がすことができ、メモリカードSD4の放熱性を向上させることができる。
【0163】
なお、上述した実施形態では、ベース51の凹部54に放熱シート55を設置する方法について説明したが、放熱シート55の代わりにペルチェ素子をベース51の凹部54に設置するようにしてもよい。ペルチェ素子を用いることにより、メモリカードSD4を強制的に冷却することが可能となる。
【0164】
(第15実施形態)
図13Aは、第15実施形態に係るメモリカードの装着前のアダプタの概略構成の一例を示す断面図、
図13Bは、第15実施形態に係るメモリカードの装着前のアダプタの概略構成の一例を示す平面図、
図13Cは、第15実施形態に係るメモリカードの装着後のアダプタの概略構成の一例を示す断面図、
図13Dは、第15実施形態に係るメモリカードの装着後のアダプタの概略構成の一例を示す平面図である。
【0165】
なお、この実施形態では、
図1のメモリカードSD1のフォームファクタを
図4BのメモリカードSD4のフォームファクタに変換するアダプタを示した。
【0166】
図13Aおよび
図13Bにおいて、アダプタAP1には、アダプタAP1内にメモリカードSD1を挿入する挿入部IE1が設けられている。挿入部IE1への入口はアダプタAP1の後端部に設けることができる。
【0167】
アダプタAP1の表面には、コネクタと接続するアダプタロウR1端子群である端子群DA1と、アダプタロウR3/R4端子群である端子群DA3、DA4が設けられている。端子群DA1、DA3、DA4の各端子は、メモリカードSD4のロウR1、R3、R4の端子配列にそれぞれ対応して配置することができる。
【0168】
アダプタAP1の挿入部IE1の内面には、メモリカード側と接続するアダプタロウR1コンタクト群であるリードピンIA1と、アダプタロウR2コンタクト群であるリードピンIA2が設けられている。リードピンIA1は、メモリカードSD1のロウR1の端子配列に対応して配置することができる。リードピンIA2は、メモリカードSD1のロウR2の送信差動信号TX0P、TX0N、受信差動信号RX0P、RX0Nおよび電源VDDが割り当てられた端子の端子位置に対応して配置することができる。
【0169】
リードピンIA1のアダプタロウR1コンタクト群は端子群DA1のアダプタロウR1端子群に配線され、コネクタに接続することができる。リードピンIA2のアダプタロウR2コンタクト群は端子群DA4のコネクタロウR4端子群(または端子群DA3のコネクタロウR3端子群)に配線され、コネクタに接続することができる。
図5では、ロウR4に接続した場合を例として図示している。破線で電源端子VDD3とデータ線の配線を示しているが、見易くするためにGND端子への配線の図示は省略してある。
【0170】
端子群DA1、DA3、DA4は、アダプタAP1のアダプタ端子群として用いることができる。リードピンIA1、IA2は、アダプタAP1のアダプタコンタクト群として用いることができる。アダプタ端子群は、アダプタAP1がコネクタに装着された時にコネクタコンタクト群と接触することができる。アダプタコンタクト群は、メモリカードSD1がアダプタAP1内に挿入された時に、カード端子群と接触することができる。
【0171】
リードピンIA1は、配線HA1を介して端子群DA1の各端子と1対1に接続されている。リードピンIA2は、配線HA2を介して端子群DA4(またはDA3)の各端子と1対1に接続されている。ホスト機器は初期化シーケンスで、端子群DA3か端子群DA4のどちらにカードが接続されているかを認識できるので、どちらに接続してもよい。端子群DA4に接続した方が配線が短くなるため、その例を図示している。
【0172】
メモリカードSD1をアダプタAP1に装着する場合、アダプタAP1の後端部から挿入部IE1にメモリカードSD1を挿入する。
【0173】
この時、
図13Cおよび
図13Dに示すように、メモリカードSD1のロウR1の端子群PA1の各端子をリードピンIA1に接触させ、メモリカードSD1のロウR2の端子群PA2の各端子をリードピンIA2に接触させることができる。これにより、メモリカードSD1のフォームファクタをメモリカードSD4のフォームファクタに変換することができる。
【0174】
(第16実施形態)
図14Aは、第16実施形態に係るメモリカードの装着前のアダプタの概略構成の一例を示す断面図、
図14Bは、第16実施形態に係るメモリカードの装着前のアダプタの概略構成の一例を示す平面図、
図14Cは、第16実施形態に係るメモリカードの装着後のアダプタの概略構成の一例を示す断面図、
図14Dは、第16実施形態に係るメモリカードの装着後のアダプタの概略構成の一例を示す平面図である。
【0175】
なお、この実施形態では、
図4AのメモリカードSD3のフォームファクタを
図4BのメモリカードSD4のフォームファクタに変換するアダプタを示した。
【0176】
図14Aおよび
図14Bにおいて、アダプタAP3には、アダプタAP3内にメモリカードSD3を挿入する挿入部IE2が設けられている。挿入部IE2への入口はアダプタAP3の後端部に設けることができる。挿入部IE2には、メモリカードSD3を挿入部IE2に挿入した時に、メモリカードSD3のロウR3、R4の端子群PA3、PA4をアダプタAP3の表面に露出させる切り欠きIK2が設けられている。
【0177】
挿入部IE2の位置は、メモリカードSD3を挿入部IE2に挿入した時に、メモリカードSD3のロウR3、R4の端子群PA3、PA4の各端子の配置位置が、メモリカードSD4のロウR3、R4の端子群PB3、PB4の各端子の配置位置と対応するように設定することができる。
【0178】
アダプタAP3の表面には、端子群DA1が設けられている。端子群DA1の各端子は、メモリカードSD4のロウR1の端子配列に対応して配置することができる。
【0179】
アダプタAP3の挿入部IE2の内面には、リードピンIA1が設けられている。リードピンIA1は、メモリカードSD3のロウR1の端子配列に対応して配置することができる。リードピンIA1は、配線HA1を介して端子群DA1の各端子と1対1に接続されている。
【0180】
メモリカードSD3をアダプタAP3に装着する場合、アダプタAP3の後端部から挿入部IE2にメモリカードSD3を挿入する。
【0181】
この時、
図14Cおよび
図14Dに示すように、メモリカードSD3のロウR1の端子群PA1の各端子をリードピンIA1に接触させることができる。また、メモリカードSD3のロウR1の端子群PA1の各端子をリードピンIA1に接触させた時に、アダプタAP3の端子群DA1およびメモリカードSD3の端子群PA3、PA4の配置関係を、メモリカードSD4の端子群PB1、PB3、PB4の配置関係と一致させることができる。これにより、メモリカードSD3のフォームファクタをメモリカードSD4のフォームファクタに変換することができる。
【0182】
ここで、メモリカードSD3をアダプタAP3に装着した時に、メモリカードSD3の端子群PA3、PA4をアダプタAP3の表面に露出させることにより、アダプタAP3の端子群を介在させることなく、メモリカードSD3の端子群PA3、PA4とコンタクトをとることができる。このため、メモリカードSD3のフォームファクタをメモリカードSD4のフォームファクタに変換した場合においても、メモリカードSD3の端子群PA3、PA4をアダプタAP3の端子群に接触させる必要がなくなる。この結果、メモリカードSD3をアダプタAP3に装着した時に、メモリカードSD3の端子群PA3、PA4の電気的特性の悪化をなくすことができる。
【0183】
(第17実施形態)
図15Aは、第17実施形態に係るメモリカードの装着前のアダプタの概略構成の一例を示す断面図、
図15Bは、第17実施形態に係るメモリカードの装着前のアダプタの概略構成の一例を示す平面図、
図15Cは、第17実施形態に係るメモリカードの装着後のアダプタの概略構成の一例を示す断面図、
図15Dは、第17実施形態に係るメモリカードの装着後のアダプタの概略構成の一例を示す平面図である。
【0184】
なお、この実施形態では、
図4BのメモリカードSD4のフォームファクタを
図4CのメモリカードSD5のフォームファクタに変換するアダプタを示した。
【0185】
図15Aおよび
図15Bにおいて、アダプタAP4には、アダプタAP4内にメモリカードSD4を挿入する挿入部IE3が設けられている。挿入部IE3への入口はアダプタAP4の表面に設けることができる。挿入部IE3への入口は、メモリカードSD4を挿入部IE3に挿入した時に、メモリカードSD4のロウR3、R4の端子群PB3、PB4をアダプタAP4の表面に露出させることができる。
【0186】
挿入部IE3の位置は、メモリカードSD4を挿入部IE3に挿入した時に、メモリカードSD4のロウR3、R4の端子群PB3、PB4の各端子の配置位置が、メモリカードSD5のロウR3、R4の端子群PC3、PC4の各端子の配置位置と対応するように設定することができる。
【0187】
アダプタAP4の表面には、端子群DB1が設けられている。端子群DB1の各端子は、メモリカードSD5のロウR1の端子配列に対応して配置することができる。
【0188】
アダプタAP4の挿入部IE3の内面には、リードピンIB1が設けられている。リードピンIB1は、メモリカードSD4のロウR1の端子配列に対応して配置することができる。リードピンIB1は、配線HB1を介して端子群DB1の各端子と1対1に接続されている。
【0189】
メモリカードSD4をアダプタAP4に装着する場合、アダプタAP4の表面から挿入部IE3にメモリカードSD4を挿入する。
【0190】
この時、
図15Cおよび
図15Dに示すように、メモリカードSD4のロウR1の端子群PB1の各端子をリードピンIB1に接触させることができる。また、メモリカードSD4のロウR1の端子群PB1の各端子をリードピンIB1に接触させた時に、アダプタAP4の端子群DB1およびメモリカードSD4の端子群PB3、PB4の配置関係を、メモリカードSD5の端子群PC1、PC3、PC4の配置関係と一致させることができる。これにより、メモリカードSD4のフォームファクタをメモリカードSD5のフォームファクタに変換することができる。
【0191】
ここで、メモリカードSD4をアダプタAP4に装着した時に、メモリカードSD4の端子群PB3、PB4をアダプタAP4の表面に露出させることにより、アダプタAP4の端子群を介在させることなく、メモリカードSD4の端子群PB3、PB4とコンタクトをとることができる。このため、メモリカードSD4のフォームファクタをメモリカードSD5のフォームファクタに変換した場合においても、メモリカードSD4の端子群PB3、PB4をアダプタAP4の端子群に接触させる必要がなくなる。この結果、メモリカードSD4をアダプタAP4に装着した時に、メモリカードSD4の端子群PB3、PB4の電気的特性の悪化をなくすことができる。
【0192】
(第18実施形態)
図16Aは、第18実施形態に係るメモリカードの概略構成を示す斜視図である。
図16Aでは、
図4BのメモリカードSD4の変形例を示した。
【0193】
図16Aにおいて、このメモリカードSD4´では、メモリカードSD4の端子群PB1の代わりに端子群PB1´が設けられている。端子群PB1´の各端子は、メモリカードSD4´に表面から前端面に渡って配置されている。これにより、メモリカードSD4´の先端からメモリカードSD4´のロウR1の端子とコンタクトをとることができる。
【0194】
(第19実施形態)
図16Bは、第19実施形態に係るメモリカードの装着前のアダプタの概略構成の一例を示す断面図である。
図16Bでは、
図15A~
図15DのアダプタAP4の変形例を示した。
【0195】
図16Bにおいて、アダプタAP4´には、アダプタAP4の挿入部IE3、リードピンIB1および配線HB1の代わりに、挿入部IE3´、ポゴピン62および配線HB2が設けられている。ポゴピン62は、挿入部IE3´の先端の側面に埋め込まれている。ポゴピン62は、配線HB2を介して端子群DB1の各端子と1対1に接続されている。
【0196】
メモリカードSD4´をアダプタAP4´に装着する場合、アダプタAP4´の表面から挿入部IE3´にメモリカードSD4´を挿入する。この時、メモリカードSD4´のロウR1の端子群PB1´の各端子の先端をポゴピン62に圧着させることで安定したコンタクトを取ることができる。
【0197】
ここで、
図15Cに示すように、メモリカードSD4をアダプタAP4に装着した場合、アダプタAP4の端子群DB1と、メモリカードSD4の端子群PB3、PB4との間に段差が発生する。これらの端子群DB1、PB3、PB4にコンタクトをとる場合、コネクタで段差を吸収させる必要がある。
【0198】
一方、メモリカードSD4´をアダプタAP4´に装着した場合、アダプタAP4´の端子群DB1と、メモリカードSD4´の端子群PB3、PB4との段差をほぼ解消させることができる。このため、端子群DB1、PB3、PB4にコンタクトをとるコネクタで段差を吸収させる必要がなくなり、コネクタの構造の複雑化を防止することができる。
【0199】
(第20実施形態)
図16Cは、第20実施形態に係るメモリカードの概略構成を示す斜視図、
図16Dは、
図16Cのメモリカードの装着後のアダプタの状態を示す断面図である。
図16Cでは、
図4BのメモリカードSD4の変形例を示した。
【0200】
図16Cにおいて、メモリカードSD4´´の先端には、段差61が設けられている。この時、段差61の高さだけ低い位置に端子群PB1を配置することができる。
【0201】
メモリカードSD4´´をアダプタAP4に装着する場合、アダプタAP4の表面から挿入部IE3にメモリカードSD4´´を挿入する。この時、メモリカードSD4´´のロウR1の端子群PB1の各端子をリードピンIB1に接触させることができる。
【0202】
ここで、
図15Cに示すように、メモリカードSD4をアダプタAP4に装着した場合、アダプタAP4の端子群DB1と、メモリカードSD4の端子群PB3、PB4との間に段差が発生する。
【0203】
一方、メモリカードSD4´´をアダプタAP4に装着した場合、アダプタAP4の端子群DB1と、メモリカードSD4´´の端子群PB3、PB4との段差をほぼ解消させることができる。このため、端子群DB1、PB3、PB4にコンタクトをとるコネクタで段差を吸収させる必要がなくなり、コネクタの構造の複雑化を防止することができる。
【0204】
(第21実施形態)
図17は、第21実施形態に係るメモリカードの装着後のアダプタの概略構成の一例を示す平面図である。
図17では、
図13A~
図13DのアダプタAP1の変形例を示した。
【0205】
図17において、アダプタAP1´には、半導体チップ71が設けられている。図示している場所以外にも、半導体チップ71の実装位置は任意であり、半導体チップ71はアダプタAP1´の空きスペースに埋め込むことができる。半導体チップ71は、
図13Aおよび
図13BのリードピンIA2に接続されている。
【0206】
半導体チップ71には、無線モジュール、近接無線モジュール、セキュアモジュール、匂いや照度などのセンサなどの機能を持たせることができる。
【0207】
無線モジュールは、11a、11b、11g、11n、11ad、WiGigなどの規格に対応させることができる。近接無線モジュールは、NFC、Zwave、ZigBee、Transfer Jetなどの規格に対応させることができる。セキュアモジュールは、TEE(Trusted Execution Environment)、TCG(Trusted Computing Group) OPALなどの規格に対応させることができる。
【0208】
そして、メモリカードSD2がアダプタAP1´に装着された時に、ホスト機器とメモリカードSD2のロウR3、R4によって接続し、半導体チップ71は、メモリカードSD2が持つロウR2の端子群を利用してメモリカードと接続することができる。これにより、メモリカードSD2が装着されたアダプタAP1´をホスト機器に取り付けることにより、無線モジュール、セキュアモジュールまたはセンサなどの機能をホスト機器に持たせることができる。
【0209】
(第22実施形態)
図18は、第22実施形態に係るメモリカードの概略構成を示す平面図である。
図18では、
図4BのメモリカードSD4の変形例を示した。
【0210】
図18において、メモリカードSD6では、メモリカードSD4のロウR1の端子群PB1が除去されている。そして、メモリカードSD4のロウR1の位置にロウR3、R4が設けられている。メモリカードSD6のロウR3、R4では、メモリカードSD4の差動信号の端子群PB3、PB4に、ロウR1を使用していた制御信号端子の代わりとして端子群PB3´、PB4´がそれぞれ追加されている。端子群PB3´、PB4´は形状や端子数は異なっても良いが、ロウR1の持つ機能を継承することで互換性を維持することができる。つまり、モリカードSD6は、アダプタを用いることでメモリカードSD5に変換することができる。
【0211】
メモリカードSD6には、PCIe規格に対応した第2のモードの通信機能を持たせることができる。この時、端子群PB3´、PB4´には、PCIe規格に対応した第2のモードでの通信の制御に用いられる制御信号が割り当てられる。この制御信号は、レファレンス差動クロック信号REFCLKp/n、リセット信号PERST、パワーマネジメント制御信号CLKREQを用いることができる。また、この制御信号は、さらにウェークアップ信号PEWAKEを用いてもよい。
【0212】
ここで、メモリカードSD4のロウR1の端子群PB1を除去し、端子群PB3、PB3´、PB4、PB4´をメモリカードSD6のロウR3、R4に設けることにより、メモリカードSD6にPCIe規格に対応した第2のモードの通信機能を持たせつつ、メモリカードSD6のカード面の空きスペースを増大させることができる。このため、メモリカードSD6のロウ数を容易に増やすことが可能となり、PCIe規格のレーン数を容易に増やすことが可能となることから、メモリカードSD6のデータ転送速度を容易に向上させることができる。
【0213】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0214】
SD1~SD5 メモリカード、PA1~PA4 端子群、R1~R4 ロウ、11、12 レギュレータ、13 コンパレータ、14 カードコントローラ、15 メモリインターフェース回路、16 メモリ、17 IOセル、18 物理層、19 カードインターフェース回路