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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-14
(45)【発行日】2024-11-22
(54)【発明の名称】衣類処理装置
(51)【国際特許分類】
   D06F 33/65 20200101AFI20241115BHJP
   D06F 33/52 20200101ALI20241115BHJP
   D06F 33/54 20200101ALI20241115BHJP
   D06F 33/56 20200101ALI20241115BHJP
   D06F 33/63 20200101ALI20241115BHJP
   D06F 33/70 20200101ALI20241115BHJP
   D06F 33/72 20200101ALI20241115BHJP
   D06F 33/74 20200101ALI20241115BHJP
   D06F 103/32 20200101ALN20241115BHJP
   D06F 103/34 20200101ALN20241115BHJP
   D06F 103/56 20200101ALN20241115BHJP
   D06F 103/62 20200101ALN20241115BHJP
   D06F 105/02 20200101ALN20241115BHJP
   D06F 105/12 20200101ALN20241115BHJP
   D06F 105/22 20200101ALN20241115BHJP
   D06F 105/26 20200101ALN20241115BHJP
   D06F 105/30 20200101ALN20241115BHJP
   D06F 105/40 20200101ALN20241115BHJP
   D06F 105/52 20200101ALN20241115BHJP
   D06F 105/62 20200101ALN20241115BHJP
【FI】
D06F33/65
D06F33/52
D06F33/54
D06F33/56
D06F33/63
D06F33/70
D06F33/72
D06F33/74
D06F103:32
D06F103:34
D06F103:56
D06F103:62
D06F105:02
D06F105:12
D06F105:22
D06F105:26
D06F105:30
D06F105:40
D06F105:52
D06F105:62
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2023212999
(22)【出願日】2023-12-18
【審査請求日】2024-04-04
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】503376518
【氏名又は名称】東芝ライフスタイル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000567
【氏名又は名称】弁理士法人サトー
(72)【発明者】
【氏名】金田 至功
(72)【発明者】
【氏名】濱野 風海
【審査官】田村 惠里加
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-247185(JP,A)
【文献】特開2005-344987(JP,A)
【文献】特開2009-039435(JP,A)
【文献】特開2002-360987(JP,A)
【文献】特開2014-150859(JP,A)
【文献】特開2013-158650(JP,A)
【文献】特開2017-127338(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D06F 33/50-34/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外箱と、
前記外箱内に設けられ、空気入口を有し、内部に衣類を収容する衣類収容槽と、
前記外箱内に設けられて前記空気入口に接続されるダクトと、
前記ダクト内に配置された加湿促進部材と、
前記衣類収容槽に送風する送風装置と、
前記加湿促進部材に前記外箱外部の給水源からの水を供給する給水経路と、
前記給水経路を開閉する給水弁と、
前記送風装置の動作と前記給水弁の開閉とを制御する制御装置と、
前記ダクト内の湿度を検知する湿度検知部と、を備え、
前記制御装置は、前記衣類収容槽に湿気を与える加湿工程において前記送風装置を動作させ、前記送風装置の動作中又は、前記送風装置を動作させる前に、前記給水弁を開放する給水動作を実行
前記制御装置は、前記給水動作後所定の期間経過後の前記湿度検知部の検知湿度が所定の閾値以下である場合、再度前記給水動作を実行する、
衣類処理装置。
【請求項2】
外箱と、
前記外箱内に設けられ、空気入口を有し、内部に衣類を収容する衣類収容槽と、
前記外箱内に設けられて前記空気入口に接続されるダクトと、
前記ダクト内に配置された加湿促進部材と、
前記衣類収容槽に送風する送風装置と、
前記加湿促進部材に前記外箱外部の給水源からの水を供給する給水経路と、
前記給水経路を開閉する給水弁と、
前記送風装置の動作と前記給水弁の開閉とを制御する制御装置と、
環境温度を検知する温度検知部と、を備え、
前記制御装置は、前記衣類収容槽に湿気を与える加湿工程において前記送風装置を動作させ、前記送風装置の動作中又は、前記送風装置を動作させる前に、前記給水弁を開放する給水動作を実行し、
前記制御装置は、前記温度検知部の検知温度が第1温度の場合、前記温度検知部の検知温度が前記第1温度よりも高い第2温度の場合よりも前記加湿工程における給水量を多く設定する、
衣類処理装置。
【請求項3】
外箱と、
前記外箱内に設けられ、空気入口を有し、内部に衣類を収容する衣類収容槽と、
前記外箱内に設けられて前記空気入口に接続されるダクトと、
前記ダクト内に配置された加湿促進部材と、
前記衣類収容槽に送風する送風装置と、
前記加湿促進部材に前記外箱外部の給水源からの水を供給する給水経路と、
前記給水経路を開閉する給水弁と、
前記送風装置の動作と前記給水弁の開閉とを制御する制御装置と、
環境温度を検知する温度検知部と、を備え、
前記制御装置は、前記衣類収容槽に湿気を与える加湿工程において前記送風装置を動作させ、前記送風装置の動作中又は、前記送風装置を動作させる前に、前記給水弁を開放する給水動作を実行し、
前記制御装置は、前記温度検知部の検知温度が第1温度の場合、前記温度検知部の検知温度が前記第1温度よりも高い第2温度の場合よりも前記加湿工程における前記送風装置の送風量を多く、又は回転速度を大きく設定する、
衣類処理装置。
【請求項4】
外箱と、
前記外箱内に設けられ、空気入口を有し、内部に衣類を収容する衣類収容槽と、
前記外箱内に設けられて前記空気入口に接続されるダクトと、
前記ダクト内に配置された熱交換器である加湿促進部材と、
前記衣類収容槽に送風する送風装置と、
前記加湿促進部材に前記外箱外部の給水源からの水を供給する給水経路と、
前記給水経路を開閉する給水弁と、
前記送風装置の動作と前記給水弁の開閉とを制御する制御装置と、
前記熱交換器に冷媒を送る圧縮機と、
環境温度を検知する温度検知部と、を備え、
前記制御装置は、前記衣類収容槽に湿気を与える加湿工程において前記送風装置を動作させ、前記送風装置の動作中であって前記圧縮機を停止している期間中、又は前記送風装置を動作させる前であって前記圧縮機を停止している期間中に、前記給水弁を開放する給水動作を実行し、
前記制御装置は、前記温度検知部の検知温度が所定の温度以下である場合、前記給水動作停止時から所定の期間経過するまでの間、前記圧縮機を動作させない、
衣類処理装置。
【請求項5】
前記制御装置は、断続的に複数回前記給水動作を実行する、
請求項1から4のいずれか一項に記載の衣類処理装置。
【請求項6】
前記制御装置は、前記複数回の前記給水動作のうち初回の前記給水動作における給水量を、2回目以降の前記給水動作における給水量よりも多く設定する、
請求項5に記載の衣類処理装置。
【請求項7】
前記加湿工程において、前記給水動作を実行する期間である給水期間の総和は、前記給水動作が実行されていない期間である無給水期間の総和よりも短く設定されている、
請求項5に記載の衣類処理装置。
【請求項8】
前記ダクト内の湿度を検知する湿度検知部を備え、
前記制御装置は、前記湿度検知部の検知湿度に基づいて前記給水動作を制御する、
請求項2から4のいずれか一項に記載の衣類処理装置。
【請求項9】
前記制御装置は、前記給水動作後所定の期間における前記湿度検知部の検知湿度の低下量又は低下率が所定の値以上である場合、再度給水動作を実行する、
請求項に記載の衣類処理装置。
【請求項10】
前記外箱外部の給水源からの水を前記衣類収容槽又は前記ダクト内に直接給水する第2の給水経路と、
前記第2の給水経路を開閉する第2の給水弁と、を備え、
前記制御装置は、前記加湿工程において、前記第2の給水弁を開放する第2給水動作を実行する、
請求項1から4のいずれか一項に記載の衣類処理装置。
【請求項11】
前記加湿促進部材は、熱交換器である、
請求項1から3のいずれか一項に記載の衣類処理装置。
【請求項12】
前記熱交換器に冷媒を送る圧縮機を備え、
前記制御装置は、前記圧縮機を停止している期間中に、前記給水動作を実行する、
請求項11に記載の衣類処理装置。
【請求項13】
前記熱交換器は、前記ダクト内の空気の流れに沿って並べて配置された蒸発器と凝縮器とを含む、
請求項11に記載の衣類処理装置。
【請求項14】
少なくとも前記加湿工程を含む衣類のしわ改善コースを実行する、
請求項1からのいずれか一項に記載の衣類処理装置。
【請求項15】
前記しわ改善コースにおいて、前記加湿工程は、乾燥工程の前に、又は乾燥工程の後に実行される、
請求項1に記載の衣類処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、衣類処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、洗濯機能と乾燥機能とを備えた洗濯乾燥機が知られている。また、そのような洗濯乾燥機の中には、衣類のしわを伸ばして取り除く機能を有する洗濯乾燥機が開発されている。
【0003】
例えば、特許文献1には、内槽であるドラムの底部と外槽との間に、ヒータである加熱部と、加熱部の周囲に水を一時的に溜めておくための水受け部と、が設けられており、ドラムに衣類を入れた状態で加熱部においてスチームを発生させ衣類を湿らせ、その後送風ファンでドラムの内部に空気を送り衣類を乾燥させることで、衣類のしわをとりのぞくことができる洗濯乾燥機が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2021-069529号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ヒータを用いてしわを取り除くのに十分な量の蒸気を発生させるためには、例えば1000Wの程度電力が必要となることがある。また、加熱部の周囲に一定程度の水量をためる必要がある。したがって、しわ取り機能を備える洗濯乾燥機について省エネルギーの観点から検討の余地があった。
【0006】
そこで、本発明の本実施形態は、省エネルギーに配慮しつつ衣類のしわ付きを改善できる衣類処理装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
実施形態の衣類処理装置は、外箱と、前記外箱内に設けられ、空気入口を有し、内部に衣類を収容する衣類収容槽と、前記外箱内に設けられて前記空気入口に接続されるダクトと、前記ダクト内に配置された加湿促進部材と、前記衣類収容槽に送風する送風装置と、前記加湿促進部材に前記外箱外部の給水源からの水を供給する給水経路と、前記給水経路を開閉する給水弁と、前記送風装置の動作と前記給水弁の開閉とを制御する制御装置と、を備える。前記制御装置は、衣類収容槽に湿気を与える加湿工程において前記送風装置を動作させ、前記送風装置の動作中又は、前記送風装置を動作させる前に、前記給水弁を開放する給水動作を実行する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】第1実施形態による衣類処理装置を洗濯乾燥機に適用した一例について概略構成を示す縦断側面図
図2】第1実施形態による衣類処理装置を洗濯乾燥機に適用した一例について概略構成を示す縦断背面図
図3】第1実施形態による衣類処理装置を洗濯乾燥機に適用した一例について風路と乾燥ユニットとの概略構成を示す図
図4】第1実施形態による衣類処理装置を洗濯乾燥機に適用した一例について加湿促進部材としての熱交換器周辺の構成を示す斜視図
図5】第1実施形態による衣類処理装置を洗濯乾燥機に適用した一例について加湿促進部材としての熱交換器周辺の構成を図4の矢印Vの方向から示す概略図
図6】第1実施形態による衣類処理装置を洗濯乾燥機に適用した一例について電気的構成を概略的に示すブロック図
図7】第1実施形態のしわ取り運転における制御装置による各構成の動作の制御内容を示すタイミングチャート
図8図7の四角VIII内を拡大して示す図
図9】第1実施形態の衣類処理装置による加湿工程における給水期間と無給水期間との複数の例を示すチャート
図10】第1実施形態の衣類処理装置による衣類の重量に基づいてあらかじめ定められる加湿工程の期間のチャートの一例
図11】第1実施形態の衣類処理装置による各種運転のしわ改善コースの概要を示すチャート
図12】第2実施形態の衣類処理装置による加湿工程における給水期間と無給水期間との複数の例を示すチャート
図13】第3実施形態の制御装置による加湿工程における給水動作の処理内容の一例を示すフローチャート
図14】第4実施形態の制御装置による加湿工程における給水動作の処理内容の一例を示すフローチャート
図15】第5実施形態の衣類処理装置による衣類の重量に基づいてあらかじめ定められる加湿工程の期間のチャートの一例
図16】第6実施形態の衣類処理装置による環境温度に基づいてあらかじめ定められる加湿工程における送風装置の回転速度のチャートの一例
図17】第7実施形態のしわ取り運転における制御装置による各構成の動作の制御内容を示すタイミングチャート
図18】第8実施形態のしわ取り運転における制御装置による各構成の動作の制御内容を示すタイミングチャート
図19】第9実施形態のしわ取り運転における制御装置による各構成の動作の制御内容を示すタイミングチャート
図20】第9実施形態の衣類処理装置による環境温度に基づいてあらかじめ定められる第1送風工程の期間のチャートの一例
図21】第10実施形態による衣類処理装置を洗濯乾燥機に適用した一例について電気的構成を概略的に示すブロック図
図22】第10実施形態による衣類処理装置を洗濯乾燥機に適用した一例について綿系の厚物衣類の有無及び衣類の重量に基づいてあらかじめ定められる加湿工程の期間のチャートの一例
図23】第10実施形態による衣類処理装置を洗濯乾燥機に適用した一例について化繊系の厚物衣類の有無及び衣類の重量に基づいてあらかじめ定められる加湿工程の期間のチャートの一例
図24】第11実施形態による加湿工程における制御装置による各構成の動作の制御内容を示すタイミングチャート
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、衣類処理装置を洗濯乾燥機に適用した複数の実施形態について図面を参照しながら説明する。なお、複数の実施形態について実質的に同一の要素には同一の符号を付してその説明を省略する。
【0010】
(第1実施形態)
図1から図11を参照して、第1実施形態について説明する。図1及び図2に示す洗濯乾燥機10は、乾燥機能を備えた横軸または斜め軸型のドラム式洗濯機である。
【0011】
図1及び図2に示すように、洗濯乾燥機10は、外箱11、扉12、外槽13、ベローズ14、回転槽15、回転槽モータ16、給水機構17、及び排水機構18を備えている。なお、本実施形態において、外箱11に対して扉11側つまり図1の紙面左側を洗濯乾燥機10の前側とする。外箱11は、例えばステンレス鋼板等によって矩形の中空箱状を形成しており、洗濯乾燥機10の外郭を構成している。外箱11は、前側部分に外箱11の内部と外部とを連通する衣類出入口111を有している。
【0012】
扉12は、外箱11の前部に設けられており、衣類出入口111を開閉可能に構成されている。ユーザは、扉12を開いた状態で、衣類出入口111を通じて衣類を回転槽15に投入し、又は取り出すことができる。
【0013】
外槽13は、前側に開口部131を有した有底円筒状に形成されている。本実施形態の場合、外槽13は、内部に水を貯留することができ、この場合水槽として機能する。外槽13は、空気出口132及び空気入口133を有している。空気出口132は、例えば外槽13の筒状部分を構成する周壁の上部前寄り部分にあって、外槽13の左右方向の中心つまり外槽13の筒状の外周面の最頂部から左右方向へ離れた位置に設けられている。空気入口133は、例えば外槽13の底部において底部の上下方向の中心よりやや上寄り部分に設けられている。空気出口132及び空気入口133は、外槽13の内部と外部とを連通している。
【0014】
ベローズ14は、外箱11の衣類出入口111及び外槽13の開口部131の周囲に設けられている。ベローズ14は、例えば円筒形の蛇腹状に形成されており、衣類出入口111と開口部131とを連通した状態で外箱11と外槽13とを弾性的に接続している。
【0015】
回転槽15は、衣類を収容可能な有底円筒状に形成されており、外槽13の内部に回転可能に収容されている。回転槽15の回転軸は、外槽13の中心軸に重なっている。回転槽15は、複数の連通口151を有している。連通口151は、回転槽15の内部と外部とを連通している。連通口151は、回転槽15の円筒状の筒状部分を構成する周壁及び回転槽15の底部の全域に形成されている。連通口151は、洗濯運転時及び脱水運転時には、主に水が出入りする通水孔として機能し、乾燥運転時には空気が出入りする通風孔として機能する。外槽13と回転槽15とは、洗濯乾燥機の運転時に内部に衣類を収容する衣類収容槽として機能する。
【0016】
図1及び図3に示すように、回転槽15には、筒状部分の内側に複数のバッフル152が設けられている。バッフル152は、回転槽15が回転すると、回転槽15の内側に収容された衣類を撹拌する。
【0017】
回転槽モータ16は、例えば外槽13の底部外側に設けられている。回転槽モータ16の軸部161の先端側は、外槽13の内部に突出して回転槽15に接続されている。回転槽モータ16は、例えばアウタロータ型のダイレクトドライブモータを用いることができる。回転槽モータ16の軸部161は、外槽13の底部を貫いて外槽13の内側へ突出し、回転槽15の底部に固定されている。回転槽モータ16は、外槽13に対して回転槽15を相対的に回転させる。この場合、回転槽モータ16の軸部161、外槽13の中心軸、及び回転槽15の回転軸は、それぞれ一致している。
【0018】
給水機構17は、例えば水道などの外部の水源から供給される水を、外槽13内に注水するための装置である。給水機構17は、例えば外箱11内において外槽13の左右一方寄りの上方に設けられている。給水機構17は、給水弁171、外槽用の給水経路172、及び注水ケース173を備えている。
【0019】
給水弁171は、電磁駆動式の液体用の開閉弁であり、図示しない水道などの外部の水源と接続されている。給水弁171は、給水経路172を開閉する。給水経路172は、注水ケース173と外槽13内とを接続している。給水経路172は、外部の水源から外槽13内に至る経路である。注水ケース173は、給水経路172において給水弁171の下流側に設けられている。注水ケース173は、内部に洗剤や仕上げ剤等の洗濯処理剤を収容可能に構成されている。
【0020】
給水弁171が開放されると、外部の水源からの水は、注水ケース173を介して外槽13内に注水される。注水ケース173内に洗濯処理剤が貯留されていると、その注水の際、注水ケース173内の洗濯処理剤は給水経路172を流れる水に乗って外槽13内に流し落とされる。なお、洗濯乾燥機10は、必ずしも注水ケース173を備えていなくても良い。すなわち、洗濯乾燥機10は、ユーザが外槽13内に洗濯処理剤を直接投入する構成であっても良い。
【0021】
排水機構18は、外槽13の内部に貯留された水を、洗濯乾燥機10の機外へ排出する機能を有する。排水機構18は、排水弁181と排水経路182とを含んで構成されている。排水弁181は、電磁駆動式の液体用の開閉弁である。排水弁181は、排水経路182を開閉する。排水経路182は、外槽13内から機外に至る経路である。
【0022】
また、洗濯乾燥機10は、乾燥機能を備えている。洗濯乾燥機10は、風路20及び乾燥ユニット30を備えている。風路20は、空気出口132及び又は空気入口133に接続されるダクトを含んで構成される。本実施形態の場合、風路20は、外槽13の外側において、空気出口132と空気入口133とを繋いでいる。すなわち、風路20と外槽13及び回転槽15は循環風路を形成している。乾燥ユニット30は、外槽13内の空気を空気出口132から風路20内に取り込み、温風にした後、生成した温風を空気入口133から外槽13及び回転槽15内へ供給する機能を有する。
【0023】
風路20は、例えば排気ダクト21、フィルタ装置22、接続ダクト23、熱交換部24、及び給気ダクト25を有して構成することができる。排気ダクト21、フィルタ装置22、接続ダクト23、熱交換部24、及び給気ダクト25は、風路20を流れる空気の流れに沿って順に配置されている。排気ダクト21、接続ダクト23、熱交換部24、及び給気ダクト25は、内部に空気を通して風路を形成するダクトとして機能する。空気は風路20内を図3の矢印Aの方向に流れる。
【0024】
排気ダクト21は、外槽13の空気出口132とフィルタ装置22とを繋ぐダクトである。フィルタ装置22は、内部に図示しないフィルタが設けられており、風路20内を流れる空気に含まれるリントや異物を捕集する。接続ダクト23は、フィルタ装置22と熱交換部24とを繋ぐダクトである。熱交換部24は、外箱11の内側下部でかつ外槽13及び回転槽15の下方に設けられている。外槽13から風路20に取り込まれた空気は、熱交換部24を通過する際に除湿及び加熱されて乾燥した温風となる。給気ダクト25は、熱交換部24と外槽13の空気入口133とを繋ぐダクトである。
【0025】
風路20には、排気口26と、開閉装置27とが設けられている。排気口26は、風路20内と機外とを連通しており、外槽13から出た排気を機外に排出する。開閉装置27は、排気口26を開放又は閉鎖する。
【0026】
乾燥ユニット30は、回転槽15内の衣類の乾燥用の温風を生成しその温風を空気入口133から外槽13内へ供給する温風供給装置として機能する。乾燥ユニット30は、例えばヒートポンプ式やヒータ式の加熱装置を含んで構成することができる。本実施形態の場合、乾燥ユニット30は、ヒートポンプ式の加熱装置を含んで構成されており、図3に示すように、蒸発器31、凝縮器32、圧縮機33、絞り装置34、冷媒流路35、及び送風装置36を有している。
【0027】
蒸発器31及び凝縮器32は、熱交換部24内に設けられている。蒸発器31は、乾燥運転時における熱交換部24内の空気の流れに対して、凝縮器32よりも上流側に設けられている。蒸発器31及び凝縮器32は、熱交換部24の外側に設けられた圧縮機33、絞り装置34、及び各構成を順に繋ぐ冷媒流路35とともに、ヒートポンプ機構すなわち冷凍サイクルを構成する。冷媒は、図3の矢印Bで示す方向に流れる。熱交換部24内を通る空気は、蒸発器31によって冷却され、これにより除湿される。蒸発器31によって除湿された空気は、その後、凝縮器32によって加熱されて温風になる。
【0028】
熱交換部24の下流側は、給気ダクト25によって外槽13の空気入口133に接続されている。また、乾燥ユニット30は、送風装置36を含んでいる。送風装置36は、例えば熱交換部24と給気ダクト25との接続部分に設けられており、例えばシロッコファンやプロペラファンなどで構成することができる。送風装置36は、熱交換部24内の空気を吸い込み、給気ダクト25側へ吐出する。これにより、熱交換部24で除湿及び加熱された温風は、送風装置36の送風作用によって、空気入口133から外槽13、さらには回転槽15内へ供給される。
【0029】
洗濯乾燥機10は、加湿機構40を備える。加湿機構40は、衣類収容槽つまり外槽13及び回転槽15内部、ひいては衣類収容槽に収容された衣類に与える水分を含む空気を発生する。加湿機構40は、加湿促進部材400、加湿用給水弁41、加湿用給水経路42、及び給水部43を含んで構成される。
【0030】
加湿促進部材400は、その表面が濡れ、当該表面から水分を気化させることで、空気に湿度を与える機能を有する。加湿促進部材400は、風路20内に配置されている。加湿促進部材400は、加湿促進部材400と同一の体積を有する物体よりも表面積が大きくなるような構造、または形状をしていることが好ましい。例えば、加湿促進部材400は、多孔質の部材で構成してもよいし、多数のフィンやピンを有する構造体であってもよい。本実施形態では、加湿促進部材400として、蒸発器31及び凝縮器32を含む熱交換器を利用する。蒸発器31及び凝縮器32は、熱交換効率を向上するために多数のフィンを有しているため、表面積が同一の体積の物体よりも大きくなるように設計されている。
【0031】
加湿用給水弁41は、例えば電磁駆動式の液体用の開閉弁であり、図示しない水道などの外部の水源と接続されている。加湿用給水弁41は、加湿用給水経路42を開閉する。加湿用給水経路42は、外部の水源と給水部43とを接続する経路である。給水部43は、加湿促進部材400に対して給水する機能を有する。給水部43は、加湿促進部材400に対面する面に、一又は複数の給水口431を有する。本実施形態では、図4、5に示すように、蒸発器31の上方に給水部43が設けられている。複数の給水口431は、給水部43の下面つまり蒸発器31の上面に対面する面に形成されている。
【0032】
給水弁41が開放されると、給水経路42を介して外部の水源からの水が給水部43に供給される。給水部43に到達した水は、給水口431から加湿促進部材400としての蒸発器31に供給される。
【0033】
給水弁41が解放され加湿促進部材400の表面が濡れた状態で送風装置36が駆動されると、加湿促進部材400の表面から水分が気化し、蒸気が発生し、風路20内の湿度が上昇する。また、生成した蒸気は、送風装置36の働きによって衣類収容槽に運ばれる。
【0034】
さらに、加湿促進部材400を風路20内の空気の流れる方向に沿って複数並べて配置することができる。この場合、風上側の加湿促進部材400に供給された水の一部は、気化されない状態で風によって風下側に飛ばされて、風下側の加湿促進部材400の表面を濡らすことができる。風下側の加湿促進部材400の表面に付着した水は、送風装置36の働きによって気化し、やはり衣類収容槽に運ばれる。
【0035】
本実施形態では、加湿促進部材400としての蒸発器31と凝縮器32とは、熱交換部24内の空気の流れる方向に沿って並べて配置されている。そのため、蒸発器31に供給された水の一部は、気化されない状態で風によって風下側に飛ばされて、凝縮器32の表面を濡らすことができる。凝縮器32の表面に付着した水は、送風装置36の働きによって気化し、衣類収容槽に運ばれる。
【0036】
なお、本実施形態では、給水部43は蒸発器31の上方に配置されているが、蒸発器31に加えて凝縮器32の上方に給水部43が配置されていてもよいし、蒸発器31に替えて凝縮器32の上方に給水部43が配置されていてもよい。凝縮器32は、圧縮機33によって加圧圧縮された高温の冷媒によって加熱されていることがあるので、圧縮機33の動作後に加湿機構40が動作する場合には、高温となっている凝縮器32によって、気化が促進され得る。
【0037】
さらに、本実施形態では、給水口531は、加湿促進部材400の上面と対向する位置に設けられているが、給水口531は、加湿促進部材400の上面と対向する位置に設けられていなくてもよく、加湿促進部材の風上の領域に対抗する位置に設けられていてもよい。この場合、給水口から水が供給される際に、送風装置36が駆動していれば、空気の流れによって水が加湿促進部材400まで運ばれ、加湿促進部材400を濡らすことができる。
【0038】
また、洗濯乾燥機10は、図6に示すように、制御装置50を備えている。制御装置50は、CPU501や、ROM、RAM、不揮発性メモリなどの記憶領域502を有するマイクロコンピュータを主体として構成されている。制御装置50は、洗濯乾燥機10全体の動作を管理する機能を有する。回転槽モータ16、給水弁171、排水弁181、開閉装置27、圧縮機33、送風装置36、及び給水弁41は、制御装置50に電気的に接続されており、制御装置50の制御を受けて動作する。
【0039】
制御装置50は、回転槽モータ16、給水弁171、排水弁181、開閉装置27、圧縮機33、送風装置36、及び給水弁41を必要に応じて動作させることにより、洗濯運転と、乾燥運転と、洗濯乾燥運転と、しわ取り運転と、を選択的に実行することができる。なお、本実施形態において、洗濯運転、乾燥運転、洗濯乾燥運転、またはしわ取り運転における「運転」とは、一以上の工程を含む概念であり、ユーザが選択可能な単位である。
【0040】
洗濯乾燥機10は、温度検知部51、湿度検知部52、重量検知部53、布質検知部54、及び凝縮器温度検知部55を備える。温度検知部51は、洗濯乾燥機10の設置された環境温度を検知する。湿度検知部52は、空気出口132から排出された排気の湿度を検知する。本実施形態では、温度検知部51及び湿度検知部52は、風路20において排気ダクト21及びフィルタ装置22の下流側に配置されている。
【0041】
重量検知部53は、回転槽15に収容された衣類の重量を検知する。布質検知部54は、回転槽15に収容された衣類の布質を検知する。布質検知部54は、衣類の布質を複数段階に分類することができる。本実施形態では、布質検知部54は、例えば水分を吸収しやすい綿系の衣類が主である「綿系」と、綿系の衣類よりも水分を吸収しにくい化繊系の衣類が主である「化繊系」との2段階に分類して判定する。
【0042】
凝縮器温度検知部55は、凝縮器32の温度を検知する機能を有する。
【0043】
しわ取り運転は、加湿工程を含む。加湿工程は、衣類処理槽に水分を含むつまり湿り気を帯びた空気を供給することで、衣類に適度な水分を与えて衣類の繊維を伸ばし、衣類についたしわを取り除く工程である。
【0044】
図7に示すように、制御装置50は、給水弁41、送風装置36、及び回転槽モータ16を動作させて、加湿工程を実行する。加湿工程において、制御装置50は、給水弁41を開放して給水口431から加湿促進部材400に給水する給水動作を実行する。
【0045】
制御装置50は、給水動作を断続的つまり非連続的に複数回実行する。すなわち、一旦加湿促進部材400の表面が濡れたなら、加湿促進部材400から水分を気化させている間に、追加して給水しなくてよいので、水資源の節約ができる。例えば、図8に示すように、制御装置50は、所定の給水期間T1の間、給水弁41を開放し、無給水期間T2の間、給水弁41を閉鎖するサイクルを繰り返すことができる。衣類に対する加湿量を増加したい場合には、給水動作による給水量の総計を増加することができる。給水動作による給水量の総計は1回あたりの給水動作による給水量を増やしてもよいし、給水動作の頻度を増やしてもよいし、その両方を行ってもよい。さらに、1回あたりの給水動作による給水量は、流量、給水期間、又はその両方を調整して増減することができる。本実施形態では、1回あたりの給水動作による給水量は給水期間T1の調整により増減することができる。
【0046】
所定の給水期間T1は、例えば0.5秒から3秒の範囲内に設定することができる。所定の無給水期間T2は、例えば30秒から秒の範囲内に設定することができる。本実施形態では、給水期間T1は2秒に設定されている。他の実施形態では、給水期間T1は0.5秒又は1秒に設定されてもよい。また、無給水期間T2は60秒又は120秒に設定されていてもよい。図9は、1サイクル中の給水期間T1と無給水期間T2との複数の例を示している。記憶領域502は、図9に示すような給水期間と無給水期間とに関する情報を記憶しており、制御装置50は、加湿工程を実行するにあたり、当該情報を呼び出して、それに基づいて給水動作を実行する。
【0047】
加湿工程における給水期間T1の総和は、無給水期間T2の総和よりも短く設定されている。そのため、少ない給水量で効率よく衣類を湿らせることができ、加湿工程に使用する水量を抑制することができる。
【0048】
図7に示すように、加湿工程において、制御装置50は少なくとも給水動作後に送風装置36を駆動する。送風装置36の送風機能により、給水動作によって表面が濡れた加湿促進部材400に風が当たるため、表面から水分が気化し、気化した水分は熱交換部24及び給気ダクト25を通過して外槽13及び回転槽15内に運ばれる。なお、制御装置50は、送風装置36を給水動作前及び給水動作中に駆動してもよい。
【0049】
図7に示すように、また、加湿工程において、制御装置50は、回転槽モータ16を駆動する。回転槽15が回転することにより、回転槽15内に収容された衣類も回転する。加湿工程における回転槽モータ16の回転数は、衣類が回転槽15と共に回転槽の上部まで上昇してから剥がれ落ちる程度の所定の速度に設定されている。衣類間の相対移動が起こるため、衣類全体が攪拌されて、衣類全体に水分を含む空気が当たりやすくなる。そのため、衣類全体のしわが伸びやすくなる。例えば、回転槽モータ16の回転数は、約40rpm~約50rpmの範囲内に設定することができる。なお、制御装置50は、回転槽モータ16を正逆反転させて回転させてもよい。
【0050】
図7に示すように制御装置50は、加湿工程において、圧縮機33を駆動しない。つまり、給水動作は、圧縮機33を駆動していない状態で実行される。これにより、低温となった蒸発器31によって加湿された空気が瞬時に除湿されてしまうことを抑制できる。
【0051】
制御装置50は、加湿工程の期間Tmを、重量検知部53が検知した衣類の重量及び又は布質検知部54が検知した衣類の布質に基づいて設定することができる。重量検知部53の検知重量が小さい場合、検知重量が大きい場合よりも加湿工程の期間は短く設定される。また、同じ重量では、布質検知部54が化繊系と判定した場合、綿系と判定した場合よりも加湿工程の時間は短く設定される。そのため、衣類の量が少量の場合及び衣類の布質が水を吸収しにくくしわも付きにくい化繊系の場合には、しわ取り運転の運転時間を短くすることができ、不要な消費電力を削減することができる。
【0052】
この場合、記憶領域502は例えば図10に一例を示す加湿工程の期間のチャートを記憶している。制御装置50は、加湿工程の期間のチャートを呼び出し、重量検知部53及び又は布質検知部54の検知結果に基づき、加湿工程の期間を設定する。
【0053】
図7に示すように、制御装置50は、しわ取り運転の中で、加湿工程に続き乾燥工程を実行してもよい。加湿工程によって湿り気を帯びた衣類を乾燥させるためである。乾燥工程において、制御装置50は、圧縮機33と、送風装置36と、回転槽モータ16とを駆動させる。
【0054】
加湿工程の後の乾燥工程の期間Tdは、加湿工程の期間Tmよりも短く設定されている。例えば、期間Tdは、期間Tmの1/3~2/3倍の範囲内に設定することができる。
【0055】
加湿工程における送風装置36の送風量は、乾燥工程における送風装置36の送風量よりも小さく設定されている。これにより、加湿工程において衣類への水分の浸透よりも衣類からの蒸発が促進されることを抑制する。また、乾燥工程においては、衣類を迅速に乾燥することができる。例えば、制御装置50は、加湿工程における送風装置36の回転速度を、加湿工程における送風装置36の回転速度よりも小さく設定する。加湿工程における送風装置36の回転速度の下限は、例えば加湿促進部材400の表面の水を気化するのに十分な風量の確保と、湿気を含んだ空気を回転槽15に供給するのに必要な風量とを考慮して設定される。加湿工程における送風装置36の回転速度の上限は、例えば加湿促進部材400の表面の水を吹き飛ばしてしまい気化せずに水滴として運んでしまうことや、風路20を水滴が循環し、フィルタ装置22のフィルタ部を濡らしてしまうことを回避するように設定される。
【0056】
加湿工程における送風装置36の回転速度は、例えば風路の断面積や送風装置36のファンの形状によっても変わるが、例えば2000~4500rpmの範囲内に設定することができる。乾燥工程における送風装置36の回転速度は、例えば3500~5000rpmの範囲内に設定することができる。本実施形態では、加湿工程における送風装置36の回転速度は、2000rpmに設定されている。また、乾燥工程における送風装置36の回転速度は、3500rpmに設定されている。
【0057】
なお、加湿工程後の乾燥工程において、制御装置50は、圧縮機33を駆動しなくてもよい。すなわち、乾燥工程において、制御装置50は、乾燥ユニット30によって加熱しない空気を送風装置36によって回転槽15に供給して、衣類を乾燥させてもよい。
【0058】
加湿工程の後に乾燥工程を実行する場合において、制御装置50は、加湿工程の終了後、開閉装置27を制御して、排気口26を開放する。本実施形態では、制御装置50は、少なくとも加湿工程後の乾燥工程の初期において、開閉装置27を制御して排気口26を開放する。これにより、風路20内や衣類処理槽内の高湿空気を機外に排出し、衣類の乾燥を促進する。
【0059】
加湿工程の後に乾燥工程を実行する場合において、制御装置50は、加湿工程中の温度検知部51の検知温度が所定の温度t1以下である場合、最後の給水動作停止時から凝縮器32が乾燥するのに要する所定の期間経過するまでの間、圧縮機33を駆動しない。これにより、熱交換器31、32が濡れた状態のまま圧縮機33を動作させて熱交換器31、32が凍結してしまう事態を抑制し、加湿工程から乾燥工程へのスムーズな移行を実現する。この場合、所定の温度t1は、例えば5℃の範囲内に設定することができる。また、所定の期間は、1~5分の範囲内に設定することができる。
【0060】
制御装置50は、凝縮器温度検知部55の検知温度が、所定の温度t2以下である場合、給水動作を停止する。これは、凝縮器32の温度が低すぎた場合に、凝縮器32が濡れたまま圧縮機33を運転してヒートポンプに不具合が発生することを回避するためである。所定の温度t2は、例えば3℃に設定することができる。なお、制御装置50は、凝縮器温度検知部55の検知温度が所定の温度以下の場合には、加湿工程を実行しない構成であってもよい。
【0061】
制御装置50は、しわ取り運転以外の運転、例えば、洗濯運転、乾燥運転又は洗濯乾燥運転を、加湿工程を含まない通常コースと、加湿工程を含むしわ改善コースとから選択的に実行可能である。しわ取りコースを実行する場合、図11に示すように、制御装置50は、例えば、洗濯乾燥運転のプリヒート脱水工程の実行後(図11の(a))、乾燥運転若しくは洗濯乾燥運転の乾燥工程の実行後(図11の(b))、洗濯運転若しくは洗濯乾燥運転の最終の脱水工程の実行後(図11の(c)、(e))、又は、乾燥運転の乾燥工程の実行後(図11の(d))に、加湿工程を実行することができる。なお、乾燥工程後に加湿工程を実行する場合、制御装置50は加湿工程後にさらに乾燥工程、又は圧縮機33を駆動せずに送風装置36を駆動する送風工程を実行してもよい。
【0062】
なお、プリヒート脱水工程は、回転槽モータ16を高速回転させて遠心力により衣類から脱水をするとともに乾燥ユニット30つまり圧縮機33及び送風装置36を駆動しているため、衣類間の相対移動がない状態を維持したまま脱水及び加熱による乾燥が進むことになる。そのため、プリヒート脱水工程において、衣類の乾燥進行度にムラが生じる可能性がある。プリヒート脱水工程後に加湿工程を実行することで、部分的に過乾燥となった衣類にも適切な水分を補充することで、衣類全体の乾燥進行度を揃えることができる。それとともに、加湿工程において衣類を攪拌しながら水分を含む風を当てることで、繊維を伸ばし、プリヒート脱水工程において発生したしわを改善することができる。この際、プリヒート脱水工程において加熱されていた凝縮器32に給水することで、気化がより促進される。
【0063】
以上説明した本実施形態によれば、衣類処理装置としての洗濯乾燥機10は、外箱11と、衣類収容槽としての外槽13及び回転槽15と、ダクトとしての排気ダクト21、接続ダクト23、熱交換部24、及び給気ダクト25と、加湿促進部材400、31、32と、送風装置36と、給水経路42と、給水弁41と、制御装置50と、を備える。外槽13及び回転槽15は外箱11内に設けられている。外槽13は空気入口133を有する。回転槽15は、内部に衣類を収容する。排気ダクト21、接続ダクト23、熱交換部24、及び給気ダクト25は、外箱11内に設けられて空気入口133に接続される。加湿促進部材400、31、32は、ダクト内この場合熱交換部24内に配置されている。送風装置36は、衣類収容槽に送風する。給水経路42は加湿促進部材400、31、32に外箱11外部の給水源からの水を供給する。給水弁41は、給水経路42を開閉する。制御装置50は、送風装置36の動作と給水弁41の開閉とを制御する。制御装置50は、衣類収容槽に湿気を与える加湿工程において送風装置36を動作させ、送風装置36の動作中又は、送風装置36を動作させる前に、給水弁41を開放する給水動作を実行する。
【0064】
これによれば、加湿促進部材400、31、32に給水された水を、送風装置36の機能によって気化させ、さらに水蒸気として衣類処理槽内に運ぶことで、衣類処理槽内の湿度を上昇させることができる。そのため、衣類に水分を与え繊維を伸ばすことにより、衣類のしわの状態を改善することができる。この場合、ヒータによらずに水蒸気を含む空気を発生させるため、ヒータ方式の消費電力の約1/3倍程度でしわ取り運転を実行することができ省電力となる。したがって、省エネルギーに考慮しつつ、衣類のしわ改善を図ることができる衣類処理装置が提供される。
【0065】
ここで、発明者らは、本実施形態の洗濯乾燥機10の開発過程において、給水を連続的に行うつまり給水弁を長時間開放していたとしても、加湿効果が向上しないことを確認した。つまり、給水弁を長時間開放している場合、衣類のしわの改善に利用される水量は増加しないが、排水量が多くなる。
【0066】
制御装置50は、断続的に複数回給水動作を実行する。
【0067】
これによれば、過度に水を消費することが抑制される。したがって、さらに省エネルギーに考慮した衣類のしわ改善を図ることができる衣類処理装置が提供される。
【0068】
加湿工程において、給水動作を実行する期間である給水期間の総和は、給水動作が実行されていない期間である給水期間の総和よりも短く設定されている。
【0069】
これによれば、さらに水の消費量が抑制される。したがって、さらに省資源に考慮した衣類のしわ改善を図ることができる衣類処理装置が提供される。
【0070】
加湿促進部材400は、熱交換器31、32である。
【0071】
乾燥機能のために用いる熱交換器31、32には多数のフィンが設けられていて表面積が大きく設計されているため、表面からの気化を目的とした加湿促進部材として望ましい。また、新たな構成を設けなくても良いので、衣類処理装置全体の大型化や、製造コストの増加を抑制することができる。
【0072】
ここで、圧縮機33の動作中に給水しても、凝縮器32が発生する熱による蒸発により一時的に湿度が上昇するが、冷却された蒸発器31によって除湿されてすぐに湿度が下がってしまう。
【0073】
洗濯乾燥機10は、熱交換器31、32に冷媒を送る圧縮機33を備える。制御装置50は、圧縮機33を停止している期間中に、給水動作を実行する。
【0074】
これにより、加湿促進部材400としての熱交換器31、32に掛けた水が急速に蒸発せず、また急速に除湿もされないので、衣類に対する穏やかな加湿効果を長続きさせることができる。
【0075】
洗濯乾燥機10は、環境温度を検知する温度検知部51を備える。制御装置50は、温度検知部51の検知温度が所定の温度以下である場合、給水動作停止時から所定の期間経過するまでの間、圧縮機33を動作させない。
【0076】
これにより、熱交換器31、32が濡れた状態のまま圧縮機33を動作させて熱交換器31、32が凍結してしまう事態を抑制し、加湿工程から乾燥工程へのスムーズな移行を実現することができる。
【0077】
加湿促進部材400、31、32は、ダクト21、23、24、25内の空気の流れに沿って複数並べて配置されている。
【0078】
これによれば、上流側の加湿促進部材400、31に給水することで、送風装置36の働きにより、給水された水の一部は上流側の加湿促進部材400、31から吹き飛ばされて下流側の加湿促進部材400、32に付着する。このようにして濡れた下流側の加湿促進部材400、32の表面からも、送風装置36の働きにより水分の気化が促進されるので、より広い表面積を利用して水分を気化することができる。また、本実施形態のように、加湿促進部材400が熱交換器31、32である場合、下流側の凝縮器32は、圧縮機33の駆動により加熱することができるため、予め加熱した凝縮器32に給水することで、気化を促進することができる。なおこの場合、上流側の蒸発器31ではなく、凝縮器32に選択的に給水する構成であってもよい。
【0079】
衣類処理装置としての洗濯乾燥機10は、加湿工程を含む衣類のしわ改善コースを実行することができる。
【0080】
すなわち、洗濯運転、乾燥運転、洗濯乾燥運転において発生するおそれのあるしわに対して、加湿工程を施し、衣類の繊維を伸ばすことで、衣類の仕上がりを向上することができる。
【0081】
しわ改善コースにおいて、加湿工程は、乾燥工程の前に、又は乾燥工程の後に実行される。
【0082】
これにより、乾燥工程において発生するしわを、乾燥工程の前後に改善することができる。
【0083】
本実施形態の衣類処理装置としての洗濯乾燥機10は、外箱11と、外槽13と、回転槽15と、回転槽モータ16と、ダクトとしての排気ダクト21、接続ダクト23、熱交換部24、及び給気ダクト25と、加湿促進部材400、31、32と、送風装置36と、給水経路42と、給水弁41と、制御装置50と、を備える。外槽13は外箱11内に設けられ、空気入口133を有する。回転槽15は、外槽13内部に回転可能に設けられて内部に衣類を収容する。回転槽モータ16は、回転槽15を回転駆動する。排気ダクト21、接続ダクト23、熱交換部24、及び給気ダクト25は、外箱11内に設けられて空気入口133に接続される。加湿促進部材400、31、32は、ダクト内この場合熱交換部24内に配置されている。送風装置36は、給気ダクト25を通して回転槽15に送風する。給水経路42は加湿促進部材400、31、32に外箱11外部の給水源からの水を供給する。給水弁41は、給水経路42を開閉する。制御装置50は、回転槽モータ16と送風装置36とを制御して衣類を乾燥させる乾燥工程と、送風装置36の動作と給水弁41の開閉とを制御して回転槽15内に湿気を与える加湿工程と、を実行する。制御装置50は、加湿工程において、給水弁41を開放する給水動作を実行し、加湿工程における送風装置36の送風量を乾燥工程における送風装置36の送風量よりも低く設定し、又は加湿工程における送風装置36の回転速度を乾燥工程における送風装置36の回転速度よりも低く設定する。
【0084】
これにより、加湿工程においては衣類には水分を含んだ空気を比較的穏やかな風量で当てることで衣類からの蒸発を抑制しつつ衣類への水分の浸透を促進することができる。したがって、ヒータを用いずに水分を含んだ空気を発生させ、衣類に浸透させることで、省エネルギーに配慮しつつ衣類のしわ付きを改善できる衣類処理装置が提供される。
【0085】
制御装置50は、加湿工程において、送風装置の送風量を乾燥工程における送風装置の送風量よりも低く設定し、又は加湿工程における送風装置の回転速度を乾燥工程における送風装置の回転速度よりも低く設定する。
【0086】
これにより、加湿工程において衣類への水分の浸透よりも衣類からの蒸発が促進されることを抑制する。また、乾燥工程においては、衣類を迅速に乾燥することができる。
【0087】
制御装置50は、加湿工程において、回転槽モータ16の回転速度を、衣類が回転槽と共に回転槽の上部まで上昇してから剥がれ落ちる程度の速度に設定する。
【0088】
これにより、加湿工程中に衣類間の相対移動が起こるため、衣類全体が攪拌されて、衣類全体に水分を含む空気が当たりやすくなる。そのため、衣類全体のしわが伸びやすくなる。
【0089】
外槽13は空気出口132を有している。ダクト21、23、24、25は空気出口132と空気入口133とを接続する風路20を形成している。ダクト21、23、24、25は、機外に連通する排気口26と、排気口26を開閉する開閉装置27とを有する。制御装置50は、加湿工程の後に乾燥工程を実行し、乾燥工程の初期において、開閉装置27を制御して排気口26を開放する。
【0090】
これにより、加湿工程で発生した風路20内や衣類処理槽内の高湿の空気を機外に排出し、乾燥工程における衣類の乾燥を促進することができる。
【0091】
加湿促進部材400は蒸発器31と凝縮器32とを含む熱交換器である。衣類処理装置は、凝縮器32の温度を検知する凝縮器温度検知部55を備える。制御装置50は、加湿工程において凝縮器温度検知部55の検知温度が所定の温度以下である場合には、給水動作を停止する。
【0092】
これにより、凝縮器32が濡れたまま圧縮機33を運転してヒートポンプに不具合が発生することを回避することができる。
【0093】
(第2実施形態)
図12を参照して、第2実施形態について説明する。本実施形態では、各給水動作における給水量は、加湿工程全体にわたって一定ではない。
【0094】
制御装置50は、加湿促進部材400、31、32が乾いた状態である場合に、加湿促進部材400、31、32が少なくとも一部濡れた状態である場合よりも、給水期間T1を増加することができる。例えば、初回の給水動作の前において、加湿促進部材400、31、32は乾いた状態であることが想定される。一方、2回目以降の給水動作の前において、加湿促進部材400、31、32は、送風装置36の働きによっても完全には乾いておらず少なくとも一部が濡れていることが想定される。そのため、初回の給水動作における給水量は、2回目以降の給水動作における給水量よりも多く設定されている。例えば給水量が時間によって管理されている場合、制御装置50は、初回の給水動作における給水期間T1を、2回目以降の給水動作における給水期間T1よりも長く設定することができる。また、制御装置50は、初回の給水動作における無給水期間T2を、2回目以降の給水動作における給水期間T1よりも短く設定することができる。さらに、給水量が流量によって管理されている場合、制御装置50は、初回の給水動作における流量を、2回目以降の給水動作における流量よりも多く設定することができる。
【0095】
本実施形態では、給水量は時間によって管理されている。図12は、初回及び2回目以降の給水動作の給水期間T1と無給水期間T2との複数の例を示している。記憶領域502は、図12に示すような給水期間と無給水期間とに関する情報を記憶しており、制御装置50は、加湿工程を実行するにあたり、当該情報を呼び出して、それに基づいて給水動作を実行する。
【0096】
なお、1回の給水動作による給水量の最大量として、加湿促進部材400この場合熱交換器31、32の下流に配置された図示しないドレインタンクに貯留可能な水量や、ドレインタンクから排水を吸い出す同様に図示しないドレインポンプが動作を開始する排水の貯留量を目安として設定することができる。例えば、ドレインポンプが動作を開始する排水の貯留量が400mlである場合、1回あたりの給水動作による給水量の最大値は400mlに設定することができる。
【0097】
以上説明した本実施形態によっても、上記各実施形態と同様の効果が奏される。
【0098】
制御装置50は、複数回の給水動作のうち初回の給水動作における給水量を、2回目以降の給水動作における給水量よりも多く設定する。
【0099】
これにより、初回の給水動作については乾いた状態である加湿促進部材400、31、32を十分に濡らすことができる水量とするとともに、2回目以降の給水動作においては必要十分な給水量を供給することで、水資源の過度な消費を抑制することができる。
【0100】
(第3実施形態)
図13を参照して、第3実施形態について説明する。本実施形態では、制御装置50は、湿度検知部52の検知湿度に基づいて、給水動作を制御する。この場合、制御装置50は、一定の時間間隔で給水動作を実行するのではなく、給水動作後、所定の期間T3経過後の湿度検知部52の検知湿度に基づいて、給水動作の要否を判断する。
【0101】
所定の期間T3経過後に、湿度検知部52の検知湿度に基づいて、回転槽15内の空気が十分に水分を含んでいると判断した場合、制御装置50は、給水動作を実行しない。所定の期間T3経過後に、湿度検知部52の検知湿度に基づいて、回転槽15内の空気が十分に水分を含んでいないと判断した場合、制御装置50は、再度給水動作を実行する。
【0102】
期間T3は、例えば30秒から120秒の範囲内に設定することができる。本実施形態では、所定の期間T3は、30秒に設定されている。
【0103】
例えば、制御装置50は、給水動作実行後、期間T3経過後の湿度検知部52の検知湿度Xが、所定の閾値X0以上であれば給水動作を実行せず、給水動作実行後、期間T3経過後の湿度検知部52の検知湿度Xが、所定の閾値X0未満であれば給水動作を実行する。所定の閾値は、例えば85~95%RT(相対湿度)の範囲内に設定することができる。本実施形態では、閾値X0は90%RTに設定されている。
【0104】
加湿工程において一度、湿度検知部52が閾値X0を検知した場合、制御装置50は、加湿工程の期間Tmが経過するまでの間、再度の給水動作を実行しなくてもよいし、期間T3ごとに湿度検知部52によって湿度を検知し、再び給水動作を実行するか否かを判定してもよい。本実施形態では、制御装置50は、期間T3ごとに湿度検知部52によって湿度を検知し、再び給水動作を実行するか否かを判定し、判定結果に応じて給水動作をし、又はしないことを繰り返す。
【0105】
図13に示すフローチャートを参照して、加湿工程における制御装置50による処理を説明する。このフローチャートでは、給水弁41の制御に関係する処理のみを記述し、回転槽モータ16及び送風装置36の制御については省略する。
【0106】
加湿工程が実行されると(図13のスタート)、制御装置50は、ステップS11において給水弁41を開放する。これにより、給水動作が実行される。ステップS12において、制御装置50は、給水期間T1が経過したか否かを判定する。給水期間T1が経過していない場合(ステップS12でNo)、制御装置50はステップS12の処理を繰り返す。給水期間T1が経過した場合(ステップS12でYes)、制御装置50は、処理をステップS13に進める。
【0107】
ステップS13において、制御装置50は、給水弁41を閉鎖する。これにより、給水動作が停止する。ステップS14において、制御装置50は、加湿工程開始から、加湿工程の期間Tmが経過したか否かを判定する。加湿工程開始から、加湿工程の期間Tmが経過していない場合(ステップS14でNo)、制御装置50は、処理をステップS15に進める。
【0108】
ステップS15において、制御装置50は、給水弁41を閉鎖してから又は前回の湿度検知から所定の期間T3が経過したか否かを判定する。所定の期間T3経過していない場合(ステップS15でNo)、制御装置50は、処理をステップS14に戻す。所定の期間T3経過した場合(ステップS15でYes)、制御装置50は、処理をステップS16に進める。
【0109】
ステップS16において、制御装置50は、湿度検知部52により、湿度を検知する。ステップS17において、制御装置50は、湿度検知部52による検知湿度が閾値X0以上であるか否かを判定する。湿度検知部52による検知湿度が閾値X0未満である場合(ステップS17でNo)、制御装置50は、処理をステップS11に戻す。湿度検知部52による検知湿度が閾値X0以上である場合(ステップS17でYes)、制御装置50は、処理をステップS14に戻す。
【0110】
ステップS14に戻り、加湿工程開始から加湿工程の期間Tmが経過した場合(ステップS14でYes)、制御装置50は、加湿工程を終了する(エンド)。このようにして、制御装置50は加湿工程における給水弁41の制御を実行する。
【0111】
以上説明した本実施形態によっても、上記各実施形態と同様の効果が奏される。
【0112】
本実施形態の衣類処理装置としての洗濯乾燥機10は、ダクト21、23、24、25内の湿度を検知する湿度検知部52を備える。制御装置50は、湿度検知部52の検知湿度に基づいて給水動作を制御する。
【0113】
これによれば、検知湿度に基づき衣類に供給される空気の湿度を反映して適切な加湿制御を実行することができる。
【0114】
制御装置50は、給水動作後所定の期間T3経過後の湿度検知部52の検知湿度が所定の値X0以下である場合、再度給水動作を実行する。
【0115】
これによれば、衣類収容槽に供給される空気がすでに十分な水分を含むのにもかかわらず給水動作を実行して必要以上に水を消費することや、逆に、衣類の繊維を伸ばすための水分が空気内に不足していたためにしわ取り効果が発揮できないという事態を抑制することができる。
【0116】
(第4実施形態)
図14を参照して、第4実施形態について説明する。本実施形態では、第3実施形態と同様に、制御装置50は、湿度検知部52の検知湿度に基づいて給水動作を制御するが、第3実施形態と異なり、制御装置50は、湿度検知部52の検知湿度の変化に基づいて給水動作を制御する。この場合、制御装置50は、例えば給水動作後所定の期間における湿度検知部の検知湿度の低下量又は低下率に基づいて、給水動作を制御することができる。
【0117】
衣類が乾燥状態である場合には、給水動作及び送風装置36の働きによって水分を含む水が衣類処理槽に供給されると、比較的速やかに衣類が水分を吸収するため、給水動作後、一度上昇した湿度が再び低下すると考えられる。一方、衣類が次第に湿ってくると、給水動作後すぐには衣類が水分を吸収しないので、湿度の変化が緩やかになると考えられる。
【0118】
例えば、制御装置50は、給水動作後の湿度検知部52の検知湿度から、給水動作後所定の期間T3経過の湿度検知部52の検知湿度への湿度の低下量ΔXが所定の閾値ΔX1以上であった場合に、給水動作を再び実行し、給水動作後所定の期間T3経過の湿度検知部52の検知湿度への湿度の低下量ΔXが所定の閾値ΔX1未満であった場合に、給水動作を停止してもよい。また、制御装置50は、湿度検知部52の検知湿度の時間当たりの変化率に基づいて、蒸気の判定を実行してもよい。
【0119】
加湿工程において一度、検知湿度の低下量が閾値ΔX1未満となった場合、制御装置50は、加湿工程を終了してもよいし、予め設定された加湿工程の期間Tmが経過するまでの間、送風装置36及び回転槽モータ16を動作させてもよい。本実施形態では、制御装置50は、検知湿度の低下量が閾値ΔX1未満となった場合、加湿工程を終了する。
【0120】
図14に示すフローチャートを参照して、加湿工程における制御装置50による処理を説明する。図13に示すフローチャートと同様の点については説明を省略する。
【0121】
ステップS21において、制御装置50は、湿度検知部52によって給水動作直後の湿度を検知する。ステップS22において、制御装置50は、給水動作直後の検知湿度から給水動作後所定の期間T3経過後の検知湿度までの低下量ΔXが、所定の閾値ΔX1以上であるか否かを判定する。低下量ΔXが、所定の閾値ΔX1以上である場合(ステップS22でYes)、制御装置50は、処理をステップS11に戻す。低下量ΔXが、所定の閾値ΔX1未満である場合(ステップS22でNo)、制御装置50は、加湿工程を終了する(エンド)。このようにして、制御装置50は、加湿工程における給水動作を制御する。
【0122】
以上説明した本実施形態によっても、上記各実施形態と同様の効果が奏される。
【0123】
本実施形態によれば、制御装置50は、給水動作後所定の期間T3における湿度検知部52の検知湿度の低下量又は低下率が所定の値ΔX1以上である場合、再度給水動作を実行する。
【0124】
これによれば、衣類の給水状態が反映された適切な給水動作の制御が実行されるため、さらに省資源及び効果的なしわの除去が可能となる。
【0125】
(第5実施形態)
図15を参照して、第5実施形態について説明する。本実施形態では、制御装置50は、洗濯乾燥機10の環境温度に基づいて、加湿工程を制御する。同一の相対湿度であっても、温度が低い場合には温度が高い場合に比較して、空気中に含まれる水分量が低下する。そのため、温度が低い場合には、温度が高い場合と比較して、給水量を多くする必要がある。
【0126】
この場合、制御装置50は、温度検知部51の検知温度に基づいて給水量を変更する。制御装置50は、例えば加湿工程の期間Tmを変更することによって給水量を調整してもよいし、給水動作1回あたりの給水期間T1を変更することによって給水量を調整してもよいし、無給水期間T2を変更することによって給水量を調整してもよい。本実施形態では、制御装置50は加湿工程の期間Tmを変更することによって給水量を調整する。
【0127】
例えば、記憶領域502は、図15に一例を示す温度検知部51の検知温度に基づいてあらかじめ定められた加湿工程の期間Tmのチャートを記憶している。図15に示す例では、温度検知部51の検知温度とともに、布質検知部54が判定した布質に応じて加湿工程の期間Tmが定められている。この場合、布質が化繊系であっても綿系であっても、加湿工程の期間Tmは、温度検知部51の検知温度が低い場合、検知温度が高い場合よりも長く設定されている。例えば、検知温度が10℃以下の場合、検知温度が10℃を超える場合よりも加湿工程の期間Tmは長く設定されている。また、検知温度が25℃以下の場合、検知温度が25℃を超える場合よりも加湿工程の期間Tmは長く設定されている。また、検知温度が40℃以下の場合、検知温度が40℃を超える場合よりも加湿工程の期間Tmは長く設定されている。これにより、環境温度が低く繊維が伸びにくい場合には加湿工程の期間を延ばし、衣類に水分が浸透しやすくすることで、衣類のしわの改善を向上することができる。
【0128】
以上説明した本実施形態によっても、上記各実施形態と同様の効果が奏される。
【0129】
本実施形態による衣類処理装置としての洗濯乾燥機10は、洗濯乾燥機10の環境温度を検知する温度検知部51を備える。制御装置50は、温度検知部51の検知温度が第1温度の場合、温度検知部51の検知温度が第1温度よりも高い第1温度の場合よりも、加湿工程における給水量を多く設定する。
【0130】
これによれば、衣類処理装置の置かれた環境温度も考慮した適切な加湿工程が実行されるため、一層省エネルギーに対して貢献することができ、また、効果的にしわを取り除くことができる。
【0131】
なお、制御装置50は、温度検知部51の検知温度が所定の温度未満の場合、温度検知部51の検知温度が所定の温度以上の場合と比較して、加湿工程における給水量を多く設定することもできる。
【0132】
(第6実施形態)
図16を参照して、第6実施形態について説明する。本実施形態では、制御装置50は、上記第5実施形態と同様に洗濯乾燥機10の環境温度に基づいて加湿工程を制御するが、第5実施形態と異なり、洗濯乾燥機10の環境温度に基づいて送風量を変更する。
【0133】
この場合、制御装置50は、温度検知部51の検知温度に基づいて送風装置36の送風量を変更する。制御装置50は、例えば送風装置36の回転速度を変更することによって送風量を調整することができる。
【0134】
例えば、記憶領域502は、図16に一例を示す温度検知部51の検知温度に基づいてあらかじめ定められた送風装置36の回転速度のチャートを記憶している。図16に示す例では、温度検知部51の検知温度とともに、布質検知部54が判定した布質に応じて送風装置36の回転速度が定められている。この場合、布質が化繊系であっても綿系であっても、送風装置36の回転速度は、温度検知部51の検知温度が低い場合、検知温度が高い場合よりも高く設定されている。例えば、検知温度が10℃以下の場合、検知温度が10℃を超える場合よりも送風装置36の回転速度は大きく設定されている。また、検知温度が25℃以下の場合、検知温度が25℃を超える場合よりも送風装置36の回転速度は大きく設定されている。また、検知温度が40℃以下の場合、検知温度が40℃を超える場合よりも送風装置36の回転速度は大きく設定されている。これにより、環境温度が低く繊維が伸びにくい場合には送風量を増やし、衣類に水分が浸透しやすくすることで、衣類のしわの改善を向上することができる。
【0135】
以上説明した本実施形態によっても、上記各実施形態と同様の効果が奏される。
【0136】
本実施形態による衣類処理装置としての洗濯乾燥機10は、洗濯乾燥機10の環境温度を検知する温度検知部51を備える。制御装置50は、温度検知部51の検知温度が第1温度の場合、温度検知部51の検知温度が前記第1温度よりも高い第2温度の場合よりも、加湿工程における送風装置36の送風量を多く、又は回転速度を大きく設定する。
【0137】
これによれば、衣類処理装置の置かれた環境温度も考慮した適切な加湿工程が実行されるため、一層省エネルギーに対して貢献することができ、また、効果的にしわを取り除くことができる。
【0138】
なお、制御装置50は、温度検知部51の検知温度が所定の温度未満の場合、温度検知部51の検知温度が所定の温度以上の場合と比較して、加湿工程における送風装置36の送風量を多く設定し、又は回転速度を大きく設定することもできる。
【0139】
なお、本実施形態では、送風装置36の送風量を増やすために送風装置36の回転速度を大きくしたが、これに限られず、例えば洗濯乾燥機10に複数個の送風装置36を設けて、動作する送風装置36の個数を増減することで送風量を増減してもよい。また、例えば検知温度が検知高い場合には送風装置36を断続的に動作させて、検知温度が低い場合には送風装置36の単位時間あたりの動作時間を長くすることや、更には連続的に動作することで送風装置36の送風量を増加してもよい。
【0140】
(第7実施形態)
図17を参照して、第7実施形態について説明する。本実施形態では、制御装置50は、加湿工程において、加湿促進部材400、31、32に対する給水だけでなく、風路20内又は外槽13に対して給水をする第2給水動作を実行することで、衣類に対する加湿を促進する。
【0141】
図17に示すように、制御装置50は、例えば第2給水動作として、外槽用給水弁171を開放して、外槽13に対して給水してもよい。第2給水動作の給水期間は、回転槽15の内底面まで水が到達することはなく、衣類に気化していない水が直接触れることはない程度の短期間に設定される。第2給水動作の実行期間である第2給水期間は、給水弁41による給水期間T1と統一に設定してもよいし、別個に設定してもよい。本実施形態では、給水弁41による給水期間T1と同一に設定されている。
【0142】
外槽13への給水によって外槽13の表面が濡れる。送風装置36が動作して表面が濡れた外槽13に風が吹き込むと、外槽13の表面からも水分が気化する。さらに、回転槽モータ16が動作して、回転槽15が回転することで、外槽13の表面からの水の気化が促進され得る。
【0143】
以上説明した本実施形態によっても、上記各実施形態と同様の効果が奏される。
【0144】
本実施形態による衣類処理装置としての洗濯乾燥機10は、外部の給水源からの水を衣類収容槽としての外槽13又はダクト21、23、24、25内に直接給水する第2の給水経路としての外槽用給水経路172と、外槽用給水経路172を開閉する第2の給水弁としての外槽用給水弁171と、を備える。
【0145】
これによれば、複数の給水経路42、172を用いることで、一層効率よく衣類に対する加湿を実行することができ、加湿工程の運転時間を短縮することができる。
【0146】
なお、本実施形態では、第2給水動作は、外槽用の給水弁171を開放して実行されるが、これに限られない。他の実施形態では、例えば扉12に対する給水経路及び当該給水経路を開閉する給水弁を設け、この扉用の給水弁を開放して第2給水動作を実行してもよい。さらに他の実施形態では、例えば排気ダクト21に対する給水経路及び当該給水経路を開閉する給水弁を設け、このダクト用の給水弁を開放して第2給水動作を実行してもよい。
【0147】
(第8実施形態)
図18を参照して、第8実施形態について説明する。本実施形態では、制御装置50は、加湿工程の前に加温工程を実行する。加温工程は、風路20内及び又は加湿促進部材400、31、32を温めて、水分が蒸発しやすい環境を作る工程である。
【0148】
制御装置50は、加温工程において圧縮機33を動作させて高温の空気を生成する。さらに、制御装置50は、送風装置36を動作させることで温風を外槽13及び回転槽15に供給する。さらに、制御装置50は、加温工程を、温度検知部51の検知温度が衣類の繊維が伸びやすい所定の温度t3以上となったら終了する。所定の温度t3は、例えば40℃~60℃の範囲内に設定することができる。本実施形態では、所定の温度t3は50℃に設定されている。
【0149】
制御装置50は、加温工程において、送風装置36の送風量を、加湿工程における送風装置36の送風量よりも小さく設定し、又は加温工程における送風装置36の回転速度を加湿工程における送風装置36の回転速度よりも低く設定する。
【0150】
例えば、加温工程における送風装置36の回転速度は、1000rpm~1500rpmの範囲内に設定することができる。本実施形態では、送風装置36の回転速度は、1000rpmに設定されている。
【0151】
以上説明した本実施形態によっても、上記各実施形態と同様の効果が奏される。
【0152】
本実施形態の衣類処理装置としての洗濯乾燥機10によれば、加湿促進部材400は熱交換器31、32である。洗濯乾燥機10は、熱交換器31、32に冷媒を供給する圧縮機33を備える。制御装置50は、加湿工程を実行する前の期間において、圧縮機33を駆動するとともに送風装置36を加湿工程における送風量よりも少ない送風量で又は加湿工程における回転速度よりも低い回転速度で駆動する加温工程を実行する。
【0153】
加温工程により、加湿工程における気化を促進し、また、衣類をしわの伸びやすい温度まで温めることができる。さらに、送風装置36の送風量を制限することで、給水動作前に衣類から水分が気化してしまい衣類を一層乾燥させてしまうことを抑制できる。
【0154】
なお、加温工程を行った場合、制御装置50は、加温工程によって温められた凝縮器32に向けて給水することで、加湿工程における水分の気化を促進し、ひいては衣類のしわ改善を促進してもよい。
【0155】
さらになお、本実施形態では、加温工程として制御装置50は圧縮機33を動作させたがこれに限らない。例えば、他の実施形態では、蒸発器31に霜取り用のヒータを設け、これを用いて蒸発器31つまり加湿促進部材400を温めてもよい。
【0156】
(第9実施形態)
図19及び図20を参照して、第9実施形態について説明する。本実施形態では、加湿工程は、給水工程と、第1送風工程と、第2送風工程とを含む。第1送風工程は、加湿促進部材400の表面からの水分の気化を促進する工程である。第2送風工程は、気化した水分の衣類への浸透を促進する工程である。第1送風工程は、少なくとも給水動作直後に実行される。第2送風工程は、第1送風工程の後に実行される。本実施形態では、第1の送風工程において、制御装置50は、給水動作を断続的かつ周期的に実行する。
【0157】
図19に示すように、制御装置50は、第1送風工程において、送風装置36を第1回転速度R1で動作させ、第2送風工程において、送風装置36を、第1回転速度R1よりも低い第2回転速度R2で動作させる。これにより、給水動作直後の加湿促進部材400、31、32の表面がよく濡れている状況では、風量を上げて気化を促進し、一方、ある程度の水分が気化した後は、衣類から水分を気化しないように風量を下げ、穏やかに湿度を帯びた空気を衣類に当てることで衣類への水分の浸透を促す。
【0158】
第1回転速度R1は、例えば2500~3500rpmの範囲内に設定することができる。第2回転速度R2は、例えば2000~2500rpmの範囲内に設定することができる。本実施形態では、第1回転速度R1は、3000rpmに設定されている。また、第2回転速度R2は、2000rpmに設定されている。
【0159】
制御装置50は、第1給水動作の実行後、所定の期間T4が経過するまでの間、第1送風工程を実行する。T4は、温度検知部51の検知温度、湿度検知部52の検知温度、重量検知部53の検知重量、及び又は布質検知部54の判定結果に基づいて所定の期間T4を設定することができる。例えば、制御装置50は、所定の期間T4を、環境温度や給水動作実行後の湿度の変化に応じて変動させてもよい。制御装置50は、期間T4経過後に第2送風工程を実行する。
【0160】
例えば、記憶領域502は、図20に一例を示す温度検知部51の検知温度及び布質検知部54の判定結果に基づいてあらかじめ定められている期間T4のチャートを記憶していてもよい。制御装置50は、加湿工程を実行するにあたり、当該チャートを呼び出して、所定の期間T4を設定する。図19に示す例では、布質によらず、温度検知部51の検知温度が低い場合、検知温度が高い場合よりも期間T4は長く設定されている。また、同じ検知温度の場合、布質検知部54の判定が綿系である場合、判定が化繊系である場合よりも期間T4は長く設定されている。
【0161】
なおこの場合、所定の期間T4を長くする場合、同時に、給水動作による給水量を増加してもよい。
【0162】
本実施形態では、制御装置50は、給水動作の実行後所定の期間T4経過後、湿度検知部52によって湿度を検知する。制御装置50は、湿度検知部52の検知湿度が、所定の閾値X0未満である場合、第2送風工程に移行せず、再度給水動作と第1送風工程とを実行する。制御装置50は、湿度検知部52の検知湿度が、所定の閾値X0以上である場合、第1送風工程を終了し、第2送風工程を実行する。図19に示す例では、初回から5回目の各給水動作後期間T4経過した時点では、湿度検知部52の検知湿度が所定の閾値X0未満であったため、制御装置50は、再度給水動作と、第1送風工程とを実行している。6回目の給水動作後、期間T4が経過した時点において、湿度検知部52の検知湿度が所定の閾値X0以上であったため、制御装置50は、第1送風工程を終了し、その後第2送風工程を実行している。
【0163】
すなわち、制御装置50は、給水動作の実行後所定の期間T4が経過すると、湿度検知部52の検知湿度に基づいて再度の給水動作の要否を判定する。本実施形態では、制御装置50は、給水動作の実行後所定の期間T4が経過するまで第1送風工程を実行し、再度の給水動作を要すると判定した場合には、再度給水動作及び第1送風工程を実行するが、これに限らない。他の実施形態では、制御装置50は、例えば給水動作の実行後、期間T4よりも短い期間T5の間、第1送風工程を実行し、その後、期間T4のうち残りの期間において第2送風工程を実行してもよい。つまり、給水動作後再度の給水動作の要否を判断するまでの所定の期間T4のサイクル内において、第1送風工程及び第1送風工程よりも送風量を落とした第2送風工程を実行してもよい。
【0164】
以上説明した本実施形態によっても、上記各実施形態と同様の効果が奏される。
【0165】
本実施形態の衣類処理装置としての洗濯乾燥機10によれば、加湿工程は、第1送風工程と、第1送風工程の後に実行される第2送風工程とを含んで構成される。制御装置50は、第1送風工程において送風装置36を第1回転速度R1で動作させ、第2送風工程において送風装置36を第1回転速度R1よりも低い第2回転速度R2で動作させる。
【0166】
これによれば、送風装置36の回転速度ひいては送風量を変化することで、適切な気化の促進及び衣類への水分の浸透の促進が.可能となる。
【0167】
制御装置50は、給水動作の実行後所定の期間T4が経過するまでの間第1送風工程を実行し、所定の期間T4経過後に第2の送風工程を実行する。
【0168】
これによれば、給水動作の直後には加湿促進部材400、31、32からの水分の気化を促進し、ある程度水分が気化した段階においては、衣類への水分の供給を効率的に図ることができる。
【0169】
衣類処理装置としての洗濯乾燥機10は、ダクト21、23、24、25内の湿度を検知する湿度検知部52を備える。制御装置50は、給水動作の実行後所定の期間T4経過後の湿度検知部52による検知湿度が所定の閾値X0未満である場合、再度給水動作を実行する。
【0170】
これによれば、衣類のしわを伸ばすのに十分な量の水分の気化を確実にすることができる。
【0171】
(第10実施形態)
図21から図23を参照して、第10実施形態について説明する。本実施形態では、図21に示すように、洗濯乾燥機10は厚物検知部56を備えている。厚物検知部56は、回転槽15に収容された衣類の中に標準的な衣類よりも厚みと重量のある厚物衣類が含まれていることを検知する。厚物衣類は、表面積に対してかさ高く繊維の密度も大きいため、標準的な衣類よりも吸湿するのに時間を要する。また、標準的な衣類よりも繊維を伸ばすのに必要な水分量も多くなる。厚物衣類は、例えば、柔道着や、ジーンズなどデニム地の衣類、タオルケット、毛布などを含む。
【0172】
厚物検知部56は、例えば回転槽15のアンバランスの大きさや発生した箇所を検知することで、厚物の存在を検知することができる。
【0173】
制御装置50は、厚物検知部56が厚物ありと判定した場合、厚物なしと判定した場合よりも、加湿工程の期間Tmを長く設定する。記憶領域502は、一例を図22図23に示す厚物の有無に基づいてあらかじめ定められる加湿工程の期間Tmのチャートを記憶している。制御装置50は、加湿工程の実行に際し、当該チャートを呼び出して、厚物検知部56の検知結果に基づいて加湿工程の期間Tmを設定する。
【0174】
図22に示す例は、布質検知部54の判定が綿系である場合の厚物の有無に応じて定められた加湿工程の期間Tmのチャートである。図23に示す例は、布質検知部54の判定が化繊系である場合の厚物の有無に応じて定められた加湿工程の期間Tmのチャートである。布質が綿系であっても化繊系であっても、厚物がある場合の加湿工程の期間Tmは、厚物がない場合の加湿工程の期間Tmよりも長く設定されている。また、同一の重量で比べた場合にも、厚物がある場合の加湿工程の期間Tmは、厚物がない場合の加湿工程の期間Tmよりも長く設定されている。
【0175】
以上説明した本実施形態によっても、上記各実施形態と同様の効果が奏される。
【0176】
本実施形態の衣類処理装置としての洗濯乾燥機10は、回転槽15内に厚物衣類が収容されていることを検知する厚物検知部56を備える。制御装置50は、厚物検知部56が厚物衣類を検知した場合、厚物衣類を検知しない場合よりも加湿工程の期間Tmを長く設定する。
【0177】
これにより、かさ高く水分の浸透に時間がかかる厚物衣類であっても、適切な時間をかけ十分な水分を吸収させることで効率よくしわを伸ばすことができる。
【0178】
(第11実施形態)
図24を参照して、第11実施形態について説明する。本実施形態では、制御装置50は乾燥工程後に、加湿工程を実行する。すなわち、乾燥運転又は洗濯乾燥運転をしわ改善コースで実行する場合において、制御装置50は乾燥工程後に加湿工程を実行する。乾燥工程において、乾いた衣類同士がこすり合わされることで、静電気が発生することがある。そこで、湿気を回転槽15に供給することで静電気の発生を抑制する。
【0179】
図24に示すように、加湿工程は、第3送風工程と、第3送風工程の後に実行される第4送風工程とを含んで構成される。第3送風工程は、衣類に水分を浸透させて繊維を伸ばすとともに、静電気の発生を抑制する工程である。第4送風工程は、静衣類から余分な水分を蒸発させ、衣類を仕上げる工程である。第4送風工程においては、回転槽15の回転数及び又は回転回数を低く抑えることで、再度静電気が発生することを抑制する。
【0180】
第3送風工程においては、制御装置50は、給水動作を断続的かつ周期的に実行する。本実施形態では、給水動作1回あたりの給水時間は、1秒に設定されている。また、1サイクル当たりの無給水期間は59秒に設定されている。すなわち、制御装置50は、1サイクル60秒間のうち1秒間給水動作を実行する。
【0181】
加湿工程に含まれる第3送風工程と第4送風工程のいずれにおいても、制御装置50は、圧縮機33を駆動しない。しかし、加湿工程の実行前に実行される乾燥工程において圧縮機33が駆動されており、少なくとも第3送風工程において凝縮器32は常温よりも温まった状態である。そのため、加湿促進部材400として蒸発器31及び又は凝縮器32に給水することで、凝縮器32表面からの水分の気化が促進されやすい。
【0182】
制御装置50は、第3送風工程及び第4送風工程において、送風装置36を動作させる。第3送風工程においては、送風装置36の機能により、加湿促進部材400に供給された水分が気化するとともに、水分を含んだ空気が回転槽15に供給され、衣類に水分を浸透させる。第4送風工程においては、送風装置36の機能により、衣類から余分な水分が蒸発する。また、衣類が加熱される乾燥工程後に圧縮機33を動作させないで第3送風工程及び第4送風工程を実行することで、衣類の温度を下げる効果もある。
【0183】
制御装置50は、第4送風工程における送風量が第3送風工程における送風量よりも大きくなるように送風装置36を制御する。本実施形態では、制御装置50は、第3送風工程において送風装置36を第3回転速度で駆動し、第4送風工程において送風装置36を第3回転速度よりも高速の第4回転速度で駆動する。例えば、第3回転速度は、3000~4000rpmの範囲内に設定することができる。また、第4回転速度は、4000~5000rpmの範囲内に設定することができる。本実施形態では、第3回転速度は4000rpmに、第4回転速度は5000rpmに設定されている。
【0184】
制御装置50は、第4送風工程における回転槽モータ16の動作頻度又は回転数を、乾燥工程における回転槽モータ16の動作頻度又は回転数よりも低下させる。すなわち、運転の最終段階いわば仕上げ工程となる第4送風工程において、回転槽15内の衣類を激しく攪拌せず、比較的穏やかに攪拌して衣類全体からの水分の蒸発を促すと共に、衣類に再度静電気が発生することを抑制する。
【0185】
乾燥工程において、制御装置50は、例えば回転槽モータ16を連続的かつ周期的に正逆回転させて衣類を攪拌する。乾燥工程における回転槽モータ16の回転数は、例えば45~65rpmの範囲内に設定することができる。
【0186】
第3送風工程において、制御装置50は、回転槽モータ16を回転槽15内の衣類が水平方向に細かく揺動するような所定の回転数で断続的に駆動する動作、いわゆるタンブリング動作を実行する。タンブリング動作により、回転槽15内の衣類は、回転槽15とともに回転槽15の側面まで一瞬持ち上がり落下するため、隣り合う衣類同士の相対的な位置が変化する。制御装置50は、図24に示すように、回転槽モータ16の回転数を0rpm又は実質的に0rpmから急激に所定のトップ回転数まで上げ、回転槽モータ16の回転数が所定のトップ回転数を達成すると、回転数を0rpm又は実質的に0rpmに低下する、つまり瞬間的に回転を停止することを繰り返す。所定のトップ回転数は、衣類が回転槽15と一緒に回転槽15の頂点まで上昇して落下する程度の回転数である。本実施形態では、所定のトップ回転数は、例えば約75rpm~約120rpmの範囲内に設定することができる。本実施形態では、所定のトップ回転数は75rpmに設定されている。
【0187】
制御装置50は、所定の期間で回転数を0rpm又は実質的に0rpmからトップ回転数とし、所定の期間で回転数をトップ回転数から0rpm又は実質的に0rpmに落とす。所定の期間は、例えば約0.5~約3秒の範囲内に設定することができる。本実施形態では、所定の期間は1秒に設定されている。制御装置50は、タンブリング動作を回転槽モータ16を正逆回転させて実行してもよいし、回転槽モータ16を一定方向に回転させて実行してもよい。
【0188】
更に、制御装置50は、第3送風工程においてタンブリング動作と、衣類全体を上下方向に大きく移動する全体的な攪拌動作との組み合わせを断続的かつ周期的に行ってもよい。衣類全体を上下方向に大きく移動する全体的な攪拌動作は、回転槽モータ16を、回転槽15内の衣類が上下方向に大きく移動するような所定の回転数で断続的に駆動する動作である。この全体的な撹拌動作により、回転槽15内の衣類は、回転槽15とともに回転槽15の頂部まで持ち上がり底部に落下するため、衣類全体の相対的な位置が変化する。制御装置50は、回転槽モータ16の回転数を徐々に所定の回転数まで上げ、回転槽モータ16の回転数が所定の回転数を達成すると、所定期間当該回転数を維持し、その後回転を停止することを繰り返す。所定の回転数は、タンブリング動作における回転数よりも小さい回転数であって、衣類が回転槽15と一緒に回転槽15の頂点までは上昇せず回転槽15の側面まで達して落下する程度の回転数である。さらに、全体的な撹拌動作は、正回転と逆回転とで交互に繰り返されてもよい。全体的な攪拌動作における回転槽モータ16の回転数は、例えば約40rpm~約50rpmの範囲内に設定することができる。
【0189】
制御装置50は、第4送風工程における回転槽モータ16の動作頻度又は回転数を、第3工程における回転槽モータ16の動作頻度又は回転数よりも低く設定する。すなわち、第4送風工程において、回転槽15内の衣類は第3送風工程よりも移動量が少なくなる。これにより、加湿後にさらに送風することで再び乾燥した衣類同士がこすり合わされることで発生する静電気を極力抑えることができる。
【0190】
制御装置50は、第4送風工程の少なくとも一部の期間において、開閉装置27を動作させて排気口26を開放する。これにより、衣類に吸収されずに空気中に含まれている余分な水分は、機外に排出されやすくなる。なお、本実施形態では、制御装置50は第4送風工程の期間の全体において開閉装置27を開状態としているが、第4送風工程の期間の全体ではなく、後半の一部の期間において、制御装置50は開閉装置27を動作させて排気口26を開放してもよい。
【0191】
以上説明した本実施形態によっても、上記各実施形態と同様の効果が奏される。
【0192】
制御装置50は、乾燥工程の後に加湿工程を実行する。加湿工程は、送風装置36の動作と給水動作とを含む第3送風工程と、第3送風工程の後に実行され送風装置36の動作を含む第4送風工程とを含む。制御装置50は、前記第4送風工程における送風装置36の送風量を前記第3送風工程における送風装置36の送風量よりも多くし、第4送風工程における回転槽モータ16の動作頻度又は回転数を、第3工程における回転槽モータ16の動作頻度又は回転数よりも低下させる。
【0193】
これにより、第3送風工程で衣類の繊維を伸ばし静電気の発生を抑制した後、第4送風工程では比較的送風量を増やすことで衣類の乾燥及び仕上げを行うことができる。また、仕上げ段階である第4送風工程においては、回転槽モータ16の動きひいては回転槽15を穏やかにして衣類の移動量を抑制して、衣類に与える衝撃を抑えてさらなるしわの発生を抑制することができるとともに、乾燥した衣類に静電気が再び発生することを抑制することができる。
【0194】
本発明の複数の実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これらの新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0195】
10…洗濯機、13…外槽、133…空気入口、15…回転槽、16…回転槽モータ、171…外槽用の給水弁(第2の給水弁)、172…外槽用の給水経路(第2の給水経路)、20…風路、21…排気ダクト(ダクト)、23…接続ダクト(ダクト)、24…熱交換部(ダクト)、25…給気ダクト(ダクト)、26…排気口、27…開閉装置、31…蒸発器(熱交換器、加湿促進部材)、32…凝縮器(熱交換器、加湿促進部材)、33…圧縮機、36…送風装置、41…加湿用の給水弁(給水弁)、42…加湿用の給水経路(給水経路)、50…制御装置、51…温度検知部、52…湿度検知部、53…重量検知部、54…布質検知部、55…凝縮器温度検知部、56…厚物検知部
【要約】
【課題】省エネルギーに配慮しつつ衣類のしわ付きを改善できる衣類処理装置を提供する。
【解決手段】衣類処理装置は、外箱と、外箱内に設けられ、空気入口を有し、内部に衣類を収容する衣類収容槽と、外箱内に設けられて空気入口に接続されるダクトと、ダクト内に配置された加湿促進部材と、衣類収容槽に送風する送風装置と、加湿促進部材に外箱外部の給水源からの水を供給する給水経路と、給水経路を開閉する給水弁と、送風装置の動作と給水弁の開閉とを制御する制御装置と、を備える。制御装置は、衣類収容槽に湿気を与える加湿工程において送風装置を動作させ、送風装置の動作中又は、送風装置を動作させる前に、給水弁を開放する給水動作を実行する。
【選択図】図7
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24