(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-14
(45)【発行日】2024-11-22
(54)【発明の名称】機器モジュールをリフト運搬するリフト及び方法
(51)【国際特許分類】
B66F 9/14 20060101AFI20241115BHJP
B65G 67/60 20060101ALI20241115BHJP
B63B 27/16 20060101ALI20241115BHJP
【FI】
B66F9/14 E
B65G67/60 A
B63B27/16
(21)【出願番号】P 2023543264
(86)(22)【出願日】2021-06-11
(86)【国際出願番号】 EP2021065793
(87)【国際公開番号】W WO2022069087
(87)【国際公開日】2022-04-07
【審査請求日】2023-05-25
(32)【優先日】2020-09-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2021-05-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DK
(73)【特許権者】
【識別番号】523115678
【氏名又は名称】エスエイチ グループ エー/エス
(74)【代理人】
【識別番号】100112737
【氏名又は名称】藤田 考晴
(74)【代理人】
【識別番号】100136168
【氏名又は名称】川上 美紀
(74)【代理人】
【識別番号】100196117
【氏名又は名称】河合 利恵
(72)【発明者】
【氏名】ラーズ プレスト
【審査官】太田 義典
(56)【参考文献】
【文献】実開平05-026928(JP,U)
【文献】米国特許第04024968(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66F 9/00-11/04
B63B 27/16
B65G 1/00- 1/20
B65G 67/60-67/62
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
機器モジュール(52)又は貨物コンテナを船艇若しくは潜水艦又は他の任意の船舶などの海洋船舶の搭載面上に横方向に積載するリフト(10)であって、前記機器モジュール(52)は、20フィートコンテナ又は40フィートコンテナなどの、標準輸送コンテナの寸法と略同等以上のサイズを有し、前記リフトは、
前記機器モジュール(52)又は貨物コンテナを支持するためのフレームを備え、該フレームは、
前記機器モジュール(52)又は貨物コンテナを前記フレームに対して横方向に搬送するための複数の搬送梁(20)と、
前記搬送梁を鉛直方向に昇降するための手段(18)と、
を備え
、
前記フレームは水平に伸長可能及び/又は変位可能なベースフレーム(16)を備え、
前記搬送梁(20)が、前記ベースフレーム(16)に接続された第1の梁要素(22)、及び前記ベースフレーム(16)に対して略水平に変位可能に配置された第2の梁要素(24)を備え、前記第2の梁要素(24)が、前記第1の梁要素(22)に対して長手方向に伸長可能に配置されている、リフト(10)。
【請求項2】
前記複数の搬送梁(20)は、前記リフトが異なるサイズのモジュール若しくはコンテナを収容するように前記ベースフレーム(16)に接続され、及び/又は前記搬送梁(20)に略平行な方向に該搬送梁(20)の変位を実行する、請求項1に記載のリフト(10)。
【請求項3】
前記搬送梁(20)は、前記第1の梁要素(22)と前記第2の梁要素(24)の間に配置され、前記ベースフレーム(16)に対して略水平に変位可能に配置された第3の梁要素(26)を備える、請求項
1に記載のリフト(10)。
【請求項4】
前記第3の梁要素(26)は、その外側端部において、前記海洋船舶の開口部(32)などの一部分との相互接続のための接続要素(30)を備える、請求項
3に記載のリフト(10)。
【請求項5】
機器モジュール(52)又は貨物コンテナを船艇若しくは潜水艦又は他の任意の船舶などの海洋船舶の搭載面上に横方向に積載する方法であって、前記機器モジュール(52)は、20フィートコンテナ又は40フィートコンテナなどの、標準輸送コンテナの寸法と略同等以上のサイズを有し、前記方法は、以下の、
請求項1から
4のいずれか一項に記載のリフト(10)を提供するステップと、
機器モジュール(52)又は貨物コンテナを前記リフト(10)上に配置するステップと、
前記リフト(10)を、特定の位置において、前記海洋船舶の船体(12)に略平行な位置となるように地面上で移動させるステップと、
前記機器モジュール(52)又は貨物コンテナを前記リフト(10)によって前記船体(12)内のミッションベイ(14)に対して特定の鉛直位置まで鉛直方向に上昇させるステップと、
前記機器モジュール(52)又は貨物コンテナを前記搬送梁(20)によって前記ミッションベイ(14)内に横方向に搬送するステップと、
前記機器モジュール(52)又は貨物コンテナを前記ミッションベイ(14)内の定着点に接続するステップと、
前記搬送梁(20)を前記ミッションベイ(14)から縮退させるステップと、
を備える方法。
【請求項6】
前記機器モジュール又は貨物コンテナを前記リフト上に配置するステップは、前記フレームを前記機器モジュール又は貨物コンテナの水平寸法に応じて水平方向に伸長し、例えばクレーンを用いて、前記機器モジュール又は貨物コンテナを前記搬送梁上に降下させるステップを備える、請求項
5に記載の方法。
【請求項7】
前記リフト(10)は複数の車輪(44)を備え、前記リフト(10)を移動させるステップは、
前記リフトが任意の方向に前記地面上で移動し得るように前記車輪(44)を前記地面に略垂直な軸の周りに調整するステップを備える、請求項
5又は
6に記載の方法。
【請求項8】
前記リフト(10)を移動させる前記ステップは、前記リフト(10)に配置された基準カメラなどの、センサ(40)を使用することによって及び/又は前記リフトと前記船体の間の距離を距離センサによって検知することによって、基準マーカ(42)、好ましくは前記船体(12)に配置され
た基準マーカ、に対する位置を調整するステップを備える、請求項
5から
7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記機器モジュール(52)又は貨物コンテナを前記リフト(10)によって前記船体(12)内のミッションベイ(14)に対して特定の鉛直位置まで鉛直方向に上昇させる前記ステップは、前記機器モジュール(52)又は貨物コンテナの上昇を、制御ユニット及び、前記リフト(10)に配置された基準カメラなどの、センサ(40)によって、基準マーカ(42)、好ましくは前記船体に配置され
た基準マーカ、に対して制御するステップを備える、請求項
5から
8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記機器モジュール(52)又は貨物コンテナを前記搬送梁(20)によって前記ミッションベイ(14)内に横方向に搬送する前記ステップは、前記搬送梁(20)をその長手方向に前記船体(12)に向かって横方向に変位させて、前記搬送梁がそれと相互接続するように前記船舶と係合させるステップを備える、請求項
5から
9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記機器モジュール(52)又は貨物コンテナを前記搬送梁(20)によって前記ミッションベイ(14)内に横方向に搬送する前記ステップは、
前記搬送梁(20)が前記変位を行うための駆動機構を有し、前記搬送梁が前記船舶に相互接続されると、前記搬送梁(20)の前記変位が前記海洋船舶の任意の横方向の移動の結果となるように、前記駆動機構が受動状態を有すること、及び/又は
前記搬送梁(20)が、前記船体(12)に最も近い端部において、前記端部が前記海洋船舶の任意の傾斜回転の結果として鉛直方向に移動可能となるように、前記ベースフレーム(16)に対して鉛直に変位可能であること、及び/又は
前記搬送梁(20)が、前記船舶の任意の長手方向の移動の結果として、好ましくは制御ユニット及びセンサによって、前記ベースフレーム(16)を水平方向に変位させることによって、前記搬送梁(20)の長手方向に垂直な方向に変位可能であること、
をさらに備える、請求項
10に記載の方法。
【請求項12】
前記機器モジュール(52)又は貨物コンテナを前記ミッションベイ(14)内の定着点に接続する前記ステップは、前記機器モジュール(52)又は貨物コンテナを接続要素(34)にロックし、前記機器モジュール又は貨物コンテナを昇降要素(34)によって前記搬送梁(20)に対して鉛直方向に昇降するステップをさらに備える、請求項
5から
11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記接続要素(34)及び前記昇降要素(34)は一体化されている、請求項
12に記載の方法。
【請求項14】
前記搬送梁(20)を前記ミッションベイ(14)から縮退させるステップは、前記ミッションベイ(14)から横方向に縮退される前に、前記搬送梁(20)を所定の鉛直距離だけ上昇させるステップを備える、請求項
5から
13のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、機器モジュールを海洋船舶に積載することの分野に関する。具体的には、本発明は、船艇などの海洋船舶の側部及び船尾への機器モジュールの積載に関する。
【背景技術】
【0002】
軍事又は産業の目的で使用される船艇などの海洋船舶は、調達において及び運用中においても高額な投資となる。
海洋船舶は、通常、油洗浄、海上工事など、軍事目的、研究プログラム、環境目的など、特定の運用タスクに専ら特化される。
一方、そのような海洋船舶は、長期間にわたって運用されることはほとんどなく、したがって、運用時間に対して非常に高価であり、投資の回収は遅くなる。
したがって、所与のタスクに対する特定の動作機器を他の所与のタスクに適した機器に交換可能とすることによって、そのような船艇を多目的に利用できることが望ましい。
ほとんどの場合、動作機器は、軍事目的についてはドローン及び救助ボートの着揚水システム、ミサイルランチャーなど、又は例えば環境若しくは海上工事目的については油収集機器若しくはクレーンなど、高重量である。そのような高重量機器は、好ましくはそして多くの場合、船艇の側部又は船尾に沿うミッションベイともいわれる凹部に配置され、したがって、異なる目的のための機器を交換する処理は、時間を要して高価なものとなる。標準20フィートコンテナ若しくは40フィートコンテナのサイズ又はそれ以上の機器などの比較的大きなサイズの大規模な高重量機器を船艇から除去するには、船体を切り開いて機器を引き上げる必要がある。機器が船艇の側部又は船尾のミッションベイに配置される状況においても、クレーンは鉛直方向に昇降するために構成されているが、横方向にリフト運搬するようには構成されていないため、作業は非常に時間がかかるものとなり、複雑となる。
【発明の概要】
【0003】
本発明の課題は、機器モジュール又は貨物コンテナを、船艇の側部又は船尾の開口部など、海洋船舶のミッションベイに横方向に積載するためのリフトを提供することであり、それは最小限の人的介入によってかつ最小限の期間内に実行可能となる。
【0004】
上記課題及び有利な効果は、本発明の以下の説明から明白となる多数の他の課題及び有利な効果とともに、以下によって得られる本発明の第1の態様に係る。それは、
機器モジュール又は貨物コンテナを船艇(ship)又は潜水艦などの海洋船舶(sea vessel)の搭載面上に横方向に積載するリフトであり、機器モジュールは20フィートコンテナ又は40フィートコンテナなどの標準輸送コンテナの寸法と略同等以上のサイズを有し得る。リフトは、
-機器モジュール又は貨物コンテナを支持するためのフレームを備え、フレームは、
-機器モジュール又は貨物コンテナをフレームに対して横方向に搬送するための複数の搬送梁と、
-搬送梁を鉛直方向に昇降するための手段と、
を備える。
【0005】
上記リフトは本発明の課題に対する解決手段を提供する。それによると、リフトは一人のオペレータのみによって制御され、ミッションベイ内の既設の機器モジュールをわずか4時間で新たな機器モジュールに交換し得る。これにより、ある特定の運用タスクのために構成された海洋船舶をわずか数時間内で他のタイプの運用タスクに変換することが可能となり、これにより変換にかかるコストが最小化される。
リフトは、好ましくは、30トン超の重量となり得る高重量機器モジュールをリフト運搬するのに適した電動フレームを備え、機器モジュールを、船艇などの海洋船舶に関して、港湾の埠頭上などの地面上で積載位置へと搬送することができる。リフトは、安全上の理由のため、約5km/h、好ましくは最大5km/h、最大荷重で約1km/hなど、10km/h以下などの低速での高重量機器の搬送のために構成される。
【0006】
リフトは複数の車輪構成を備え、各車輪構成は、サスペンション構成によってリフトフレームに接続された少なくとも1つの車輪、好ましくは2個の車輪を備え、それは搬送モードではフレーム全体を地面の上方に上昇させ、非搬送モードではフレームを地面上に降下させるための手段を備える。好ましくは、リフトは、4輪構成を備えるが、代替的に、より少ない又はより多い車輪構成で構成されてもよい。
【0007】
車輪構成は、リフトが任意の方向に地面上で移動し得るように、各車輪構成が相互に独立して鉛直軸周りに回転し得るように構成される。
【0008】
リフトは、車輪構成を制動するための、好ましくは車輪構成を相互から独立して制動するためのブレーキシステムを備える。リフトは、リフトの電源が故障した場合など、電流が流れていない時にばね力によって作動される電磁ブレーキシステムを備え得る。そのようなブレーキシステムは、停電時に緊急ブレーキをかけること、より長い期間にわたって停止位置を保持すること、機械のコーストダウンを防止することなどにおいて、優れた性能を提供する。
リフトは適切な送電の技術分野内で知られた任意の適宜のタイプの電源を有し得るが、リフトは好ましくは油圧動作するため、リフトは油圧ユニット(HPU)としても知られる油圧ポンプを備える。HPUは、好ましくは、ディーゼルエンジンなどのエンジンによって駆動され得る。
【0009】
リフトは、リフトの機能及び移動を動作させるための制御システムを備え、全ての車輪構成を相互に又は個々に制御するように構成される。
【0010】
機器モジュール又は貨物コンテナを支持するためのフレームは、機器モジュール又は貨物コンテナを、モジュール又はコンテナが海洋船舶に横方向に積載可能となるように、フレームとの関係で横方向に支持及び搬送するための複数の搬送梁を備える。
搬送梁は、横方向に伸長可能であり、それらが海洋船舶の船体とフレームとの間の距離、通常は1.5~2メートルにわたることができるように寸法取りされる。ただし、搬送梁は、より長い距離にわたるように寸法取りされてもよい。
【0011】
好ましくは、リフトは、好ましくは4本の搬送梁など、2本~8本の搬送梁を備えるが、代替的に必要に応じて単一の幅広寸法の梁要素又は8本よりも多い搬送梁を備えていてもよい。
搬送梁の2本以上が、梁の安定性を増加させるために、鋼桁などの横断支持要素によって相互接続されてもよい。
【0012】
搬送梁は、第1の位置及び第2の位置の2つの位置の間で動作し得る。第1の位置は、機器モジュール又はコンテナが完全にリフト上に支持される完全縮退位置であり、それにより、モジュール又はコンテナの重心がリフトの境界内にあり、好ましくはリフトの重心と一致する。第2の位置では、搬送梁は完全に伸長され、それにより、モジュール又はコンテナの重心は、海洋船舶の周辺内など、リフトの境界外となる。搬送梁は、完全縮退位置と完全伸長位置との間の任意の位置となり得る。
【0013】
ローダーは、機器モジュール又はコンテナをそれらの横断方向にミッションベイ内にリフト運搬するように構成され得る。この実施形態では、リフトは、機器モジュール又はコンテナを支持するための4本の搬送梁を備える。あるいは、ローダーは、機器モジュール又はコンテナをそれらの長手方向に海洋船舶の側部又は船尾内に積載するために構成され得る。実施形態では、機器モジュール又はコンテナは、2本の搬送梁など、4本未満の搬送梁によって支持され得る。
両実施形態において、リフトは、2本~8本の搬送梁を備え得る。
【0014】
リフトが機器モジュール及びコンテナをそれらの長手方向に積載するために構成される実施形態では、搬送梁は、横断積載のための実施形態と比較して、それらの完全縮退位置において、好ましくは長く配置される。
【0015】
リフトは、搬送梁間の個々の距離を調整する手段をさらに備え得る。搬送梁は、一例では、搬送梁が搬送梁の横断方向に、例えば、油圧式シリンダ及びレールによって変位され得るように、搬送梁とベースフレームの間に位置する個々の変位可能要素上に配置され得る。リフトには、搬送梁を変位させる様々な適宜の手段が配置され得る。
【0016】
リフトは、フレーム及び搬送梁を鉛直方向に昇降する手段をさらに備える。リフトは機器モジュール又はコンテナを大型船などの大型の海洋船舶に積載するのに適するため、モジュール又はコンテナが積み込まれる船体内への開口部であるミッションベイは地上数メートル、通常は1~10メートルに位置する。したがって、昇降する手段は、モジュール又はコンテナを少なくとも当該距離、好ましくは1.5~6メートルだけ上昇させることが好適となるべきである。
【0017】
リフトは、好ましくは、4本の油圧シリンダとして構成された4本の昇降タワーを備え、各シリンダはリフトの各コーナーに配置される。油圧シリンダの代替は、ラックアンドピニオンシステムであってもよく、それはリフトが6メートル以上の積載を行う必要がある場合に特に適する。これにより、リフトは2つの端部を備え、各端部は、制御システム及びHPUによって相互に又は個々に動作するように構成された2つの相互接続された油圧タワーを有する。モジュール又はコンテナを海洋船舶に積載する場合、地面は海水面に対して完全に平面的ではない場合もあり、リフトの高さは結果として各端部において調整され得る。
【0018】
本発明の第1の態様の更なる実施形態によると、フレームは水平に伸長可能な及び/又は変位可能なベースフレームを備える。リフトが様々なサイズのモジュール若しくはコンテナを収容し、及び/又は搬送梁の長手方向に略平行な方向への搬送梁の変位を実行し得るように、複数の搬送梁がベースフレームに接続される。
【0019】
フレームは、好ましくは、リフトが様々なサイズの機器モジュール又はコンテナを収容し得るように、伸長可能なベースフレームを備える。そのサイズは、20フィートコンテナ若しくは40フィートコンテナに対応し、又はそれよりも小型及び大型のサイズである。したがって、機器モジュールは、並置された2個のコンテナ及び同2個のコンテナ上に配置された2つの他のコンテナの計4個のコンテナなど、複数の40フィートコンテナに対応するまでのサイズを有し得る。
ベースフレームを伸長可能なものとして構成することによる更なる有利な効果は、リフト自体が、1個の40フィートコンテナの長さ及び2個の40フィートコンテナの幅に対応するサイズを有するモジュールなどのモジュールとして輸送され得ることである。したがって、リフト自体を海洋船舶又はトラックなどの輸送手段上に積載することができる。
ベースフレームは、好ましくは、伸縮要素、好ましくはリフトの2つの端部間に伸長可能に構成された油圧シリンダなどの少なくとも2つの伸縮する伸長可能な要素を備え、各端部は、ベースフレームの伸縮要素が伸長するとリフトの2つの端部間の距離が増加するように、2つの相互接続された昇降タワーを有する。伸縮要素は、好ましくは、中央部分と、中央部分の各端部に配置され、2つの相互接続された昇降タワーに各端部で接続された伸長可能な突出要素とを備える。
【0020】
ベースフレームは、好ましくは、制御システム及びHPUによって動作する油圧駆動型伸縮要素を備える。
【0021】
ベースフレームは、好ましくはさらに、伸長可能な突出要素によって中央部分がリフトの両端に向かって変位可能となるように構成され、それにより、中央部分に接続された搬送梁がリフトの両端に向かって変位可能となる。これは、海洋船舶が搬送梁に略垂直な方向に完全には静止していない状況で特に有利である。したがって、ベースフレームの中央部分の変位は、搬送梁がミッションベイに対して静止して維持されるように、海洋船舶の変位を補償する。
ベースフレームの変位は、好ましくは、制御システム及びHPUによって行われる。
リフトは、船舶の船体上の基準マーク及び制御システムとともに、そのようなベースフレームの何らかの変位を監視及び制御する基準カメラをさらに備え得る。
【0022】
本発明の第1の態様の更なる実施形態によると、搬送梁は、ベースフレームに接続された第1の梁要素、及びベースフレームに対して略水平に変位可能に配置された第2の梁要素を備える。
【0023】
上述のように、搬送梁は長手方向に伸長可能であり、各搬送梁は、少なくとも、ベースフレームに接続された第1の要素、及び第1の梁要素に相互接続されてそれ対して長手方向に変位可能に配置された第2の梁要素を備える。機器モジュール又はコンテナは、第2の梁要素の変位が、リフトに対する及びミッションベイ内への、機器モジュール又はコンテナの横方向の変位をもたらすように、第2の梁要素によって支持される。
【0024】
本発明の第1の態様の更なる実施形態によると、搬送梁は、第1の梁要素と第2の梁要素の間に配置され、ベースフレームに対して略水平に変位可能に配置された第3の梁要素を備える。
【0025】
上記でも述べたように、搬送梁は、搬送梁が少なくとも海洋船舶の船体とフレームの間の距離、通常は1.5~2メートルにわたることができるように、寸法取りされる。したがって、搬送梁は、好ましくは、第1の梁要素と第2の梁要素の間に変位可能に構成された第3の梁要素を備える。第1の梁要素に関する第3の梁要素の長手方向変位によって第3及び第2の梁要素の双方が変位し、第3の梁要素に関する第2の梁要素の更なる変位によって搬送梁は最大伸長位置となる。
【0026】
本発明の第1の態様の更なる実施形態によると、第3の梁要素は、その外側端部において、海洋船舶の一部分との相互接続のための接続要素を備える。
【0027】
機器モジュール又はコンテナが積載されている間に搬送梁及び海洋船舶を安全に相互接続して正しい積載を確実にするために、第3の梁要素は、海洋船舶に向かう端部である近位端において、ミッションベイの床の開口部など、海洋船舶の一部と相互接続可能な接続要素を備える。搬送梁は、これにより、海洋船舶と搬送梁の間でのいずれの水平移動に対しても、ミッションベイ内に固定される。
機器モジュール又はコンテナがミッションベイ内に横方向に積載される場合、モジュール又はコンテナはミッションベイの開口部に対して正しい水平位置及び鉛直位置に配置される。
リフトは、通常はモジュール又はコンテナが地上1~10メートル、好ましくは1.5~6メートルなどとなる位置に上昇され、搬送梁は、モジュール又はコンテナが第2の梁要素に支持された状態で、モジュール又はコンテナが船体の外周内に位置するようにミッションベイ内に横方向に変位される。
搬送梁は、好ましくは、変位を行うための油圧アクチュエータ又は電気ギアドライブなどの駆動機構を有する。接続梁が船舶に相互接続される場合、駆動機構は、好ましくは、海洋船舶の任意の横方向の移動が搬送梁の長手方向の変位を可能とするような受動状態となる。
搬送梁は、好適な実施形態では、搬送梁の遠位端ではヒンジによってベースフレームに接続され、海洋船舶に最も近い端部である近位端はベースフレームのみによって支持される。搬送梁の近位端は、これにより、海洋船舶の任意の傾斜回転の結果として両端が鉛直方向に移動可能となるように、ベースフレームに対して鉛直方向に変位可能となる。
【0028】
本発明の第2の態様によると、上記課題及び有利な効果は、
機器モジュール又は貨物コンテナを船艇(ship)若しくは潜水艦又は他の任意の船舶(marine vessel)などの海洋船舶(sea vessel)の搭載面上に横方向に積載する方法によって得られる。機器モジュールは、20フィートコンテナ又は40フィートコンテナなどの標準輸送コンテナの寸法と略同等以上のサイズを有し得る。方法は、以下の、
-上記の、少なくとも、機器モジュール又は貨物コンテナを支持するためのフレームを備えるリフトを提供するステップであって、フレームは、機器モジュール又は貨物コンテナをフレームに対して横方向に搬送するための複数の搬送梁、及び搬送梁を鉛直方向に昇降するための手段を備える、リフトを提供するステップと、
-機器モジュール又は貨物コンテナをリフト上に配置するステップと、
-リフトを、特定の位置において、海洋船舶の船体に略平行な位置となるように地面上で移動させるステップと、
-機器モジュール又は貨物コンテナをリフトによって船体内のミッションベイに対して特定の鉛直位置まで鉛直方向に上昇させるステップと、
-機器モジュール又は貨物コンテナを搬送梁によってミッションベイ内に横方向に搬送するステップと、
-機器モジュール又は貨物コンテナをミッションベイ内の定着点(anchoring point)に接続するステップと、
-搬送梁をミッションベイから縮退させるステップと、
を備える。
【0029】
上記方法は、機器モジュール又は貨物コンテナを、船艇の側部又は船尾の開口部などの海洋船舶のミッションベイに、安全な態様でかつ最小限の時間で横方向に積載する方法を提供する課題を、上記リフトによって解決する。モジュール又はコンテナをミッションベイに積載する前に、空のリフトがモジュール又はコンテナを受容するために用意される。通常は、海洋船舶の付近でストレージ又は例えばトラックからリフトへのモジュール又はコンテナの鉛直昇降を行うことができるガントリークレーンなどの適宜のクレーンによってモジュール又はコンテナがリフトに積載され、ここでモジュール又はコンテナは搬送梁によって支持される。リフトは、突出支持要素を備えていてもよく、それは、モジュール又はコンテナが確実にリフト上の正しい位置となるようにするため、及び運用中にコンテナ/モジュールが搬送梁上を意図せずにスライドすることを防止するために、モジュール/コンテナの底面の開口部に突出する。
リフトがドックの正しい位置に移動し、搬送梁が正しい高さに上昇された後に、搬送梁はミッションベイ内に横方向に搬送され、ここで、コンテナはその後に、標準コンテナツイストロックと同じ態様で機能する手段などの適宜の接続手段によってミッションベイのデッキ面上に接続される。モジュール又はコンテナには、好ましくは、モジュール又はコンテナが最も基本的な実施形態において標準ツイストロックによって他の輸送手段に接続可能となるように、標準ISOコンテナコーナーが配置される。
モジュール又はコンテナを海洋船舶内に固定するためにモジュール又はコンテナがミッションベイ内に安全に接続された後、搬送梁は縮退される。
【0030】
本発明の第2の態様の更なる実施形態によると、機器モジュール又は貨物コンテナをリフト上に配置するステップは、機器モジュール又は貨物コンテナの水平寸法に応じてフレームを水平方向に伸長し、例えば、ガントリークレーンを用いて機器モジュール又は貨物コンテナを搬送梁上に降下させるステップを備える。
【0031】
フレームは、好ましくは、リフトが様々なサイズの機器モジュール又はコンテナを収容し得るように、伸長可能なベースフレームを備える。そのサイズは、20フィートコンテナ若しくは40フィートコンテナに対応し、又はそれよりも小型及び大型のサイズである。したがって、機器モジュールは、並置された2個のコンテナ及び同2個のコンテナ上に積載された2つの他のコンテナの計4個のコンテナなど、複数の40フィートコンテナに対応するまでのサイズを有し得る。
【0032】
本発明の第2の態様の更なる実施形態によると、リフトは複数の車輪を備え、リフトを移動させるステップは車輪を地面に略垂直な軸の周りに調整するステップを備える。
【0033】
地面に略垂直な軸の周りに回転可能な車輪をリフトに配置することによって、リフトは最大限の移動柔軟性を有し、それにより、リフトは海洋船舶に任意の方向に関して移動可能となる。これは、リフトが船体の側部に完全に平行でなく、したがって調整される必要がある状況で特に有利である。
【0034】
本発明の第2の態様の更なる実施形態によると、リフトを移動させるステップは、リフトに配置された基準カメラなどのセンサを使用することによって及び/又はリフトと船体の間の距離を距離センサによって検知することによって、船体に配置された鉛直配向マーカなどの基準マーカに対してリフトの位置を調整するステップを備える。
【0035】
リフトがミッションベイの開口部に対して正しい位置を有するように、リフトが船体に対して地面上で正しく位置決めされる必要がある。リフトが船体に対して略平行ではなく、かつミッションベイ下方の中心位置に位置決めされていない場合、機器モジュール又はコンテナはミッションベイ内に横方向に搬送可能ではない。
したがって、リフトは、制御ユニットとともに海洋船舶上に配置された鉛直線などの基準マーカに対して船体に対して略平行な方向にリフトの位置を監視及び調整する基準カメラなどのセンサ及び/又はレーザ距離センサなどの距離センサを備えることが好ましい。制御ユニットは、センサ及び/又は距離センサによる撮像画像に基づいて、船体に対するリフトの正確な位置を特定する。リフトは、好ましくは、リフトの各端部に配置された距離センサを備える。
【0036】
本発明の第2の態様の更なる実施形態によると、機器モジュール又は貨物コンテナをリフトによって船体内のミッションベイに対して特定の鉛直位置まで鉛直方向に上昇させるステップは、機器モジュール又は貨物コンテナの上昇を、制御ユニット及びリフトに配置された基準カメラなどのセンサによって、船体上の水平配向基準マーカなどの基準マーカに対して制御するステップを備える。
【0037】
搬送梁がミッションベイ内に横向きに伸長するためには、地面上の正しい位置の他に、搬送梁は、ミッションベイの前方中心に、特定の鉛直位置となる必要がある。搬送梁が高すぎる又は低すぎるなど、正しい特定の鉛直高さにない場合、機器モジュール又はコンテナの上部がミッションベイの開口部の上側縁に衝突し、又は搬送梁がミッションベイの開口部の下側縁に衝突してしまう。
したがって、リフトは、海洋船舶上に配置された水平配向基準マーカなどの基準マーカに対して昇降タワーを制御ユニットとともに制御することによって搬送梁の位置を鉛直方向に監視及び調整する基準カメラなどのセンサを備えることが好ましい。
好ましくは、リフトの水平及び鉛直調整は、同じ基準カメラなどの同じセンサを用いて行われる。
【0038】
本発明の第2の態様の更なる実施形態によると、機器モジュール又は貨物コンテナを搬送梁によってミッションベイ内に横方向に搬送するステップは、搬送梁をその長手方向に船体に向かって横方向に変位させて、搬送梁がそれと相互接続するように船舶と係合させるステップを備える。
【0039】
機器モジュール又はコンテナをミッションベイ内に安全に搬送するために、機器モジュール又はコンテナが積載されている間に搬送梁及び海洋船舶を相互接続することが好ましい。したがって、搬送梁は、ミッションベイの床の開口部など、海洋船舶の一部と相互接続可能な接続要素を備える。搬送梁は、これにより、海洋船舶と搬送梁の間のいずれの水平移動に対してもミッションベイ内に変位可能に固定される。
【0040】
本発明の第2の態様の更なる実施形態によると、機器モジュール又は貨物コンテナを搬送梁によってミッションベイ内に横方向に搬送するステップは、
-搬送梁が変位を行うための駆動機構を有し、搬送梁が船舶に相互接続されると、搬送梁の変位が海洋船舶の任意の横方向の移動の結果となるように、駆動機構が受動状態を有すること、及び/又は
-搬送梁が、船体に最も近い端部において、端部が海洋船舶の任意の傾斜回転の結果として鉛直方向に移動可能となるように、ベースフレームに対して鉛直に変位可能であること、及び/又は
-搬送梁が、海洋船舶の任意の長手方向の移動の結果として、好ましくは制御ユニット及びセンサによってベースフレームを水平方向に変位させることによって、搬送梁の長手方向に垂直な方向に変位可能であること、
をさらに備える。
【0041】
搬送梁は、好ましくは、変位を行うための油圧アクチュエータなどの駆動機構を有する。搬送梁が海洋船舶に相互接続される場合、駆動機構は、好ましくは、海洋船舶の任意の横方向の移動が搬送梁の長手方向の変位を可能とするような受動状態となる。
搬送梁は、好適な実施形態では、搬送梁の遠位端ではヒンジによってベースフレームに接続され、海洋船舶に最も近い端部である近位端はベースフレームのみによって支持される。搬送梁の近位端は、これにより、海洋船舶の任意の傾斜回転の結果として両端が鉛直方向に移動可能となるように、ベースフレームに対して鉛直に変位可能となる。
ベースフレームは、好ましくはさらに、中央部分がリフトの両端に向かって変位可能となるように構成され、それにより、中央部分に接続された搬送梁がリフトの両端に向かって変位可能ともなる。これは、海洋船舶が搬送梁に略垂直な方向に完全には静止していない状況で特に有利である。したがって、ベースフレームの変位は、搬送梁がミッションベイに対して静止して維持されるように、海洋船舶の変位を補償する。
ベースフレームの変位は、好ましくは、制御システム及びHPUによって行われる。
【0042】
本発明の第2の態様の更なる実施形態によると、機器モジュール又は貨物コンテナをミッションベイ内の定着点に接続するステップは、機器モジュール又は貨物コンテナを接続要素にロックし、機器モジュール又は貨物コンテナを昇降要素によって搬送梁に対して鉛直方向に昇降するステップをさらに備える。
【0043】
機器モジュール又はコンテナをミッションベイ内に積載した後、ミッションベイの床との相互接続など、モジュール又はコンテナをミッションベイに相互接続させる必要がある。したがって、ミッションベイの床には、好ましくは、標準ISOコンテナコーナーなど、モジュール又はコンテナに対する複数の協働要素に対応する複数の接続要素を備える「占有領域部(footprint)」が配置される。したがって、接続要素には、標準ツイストロックとしての寸法及び機能を有する上側相互接続部が配置され得る。ただし、標準ツイストロックは手動で動作するため、接続要素の自動化の必要がある。
その上側相互接続部が標準ツイストロックとして機能する接続要素は、占有領域部内に自動的に鉛直変位可能に設置され、好ましくはミッションベイの床に一体化される。
モジュール又はコンテナが積載されている時には接続要素は縮退位置に配置され、モジュール又はコンテナがミッションベイ内に積載されると、接続要素は、上側相互接続部がモジュール又はコンテナの標準ISOコンテナコーナーなどの協働要素内に突出する突出位置となり、ロック位置となる。モジュール又はコンテナは、これにより、ミッションベイに相互接続される。
モジュール又はコンテナがミッションベイ内にリフト運搬されると、モジュール又はコンテナを支持する搬送梁は縮退される必要がある。その目的のため、ミッションベイは、複数の昇降要素を用いて構成され、それは、モジュール又はコンテナがミッションベイ内の正しい位置にある場合に、ミッションベイの床から突出し、搬送梁が縮退可能となるようにモジュール又はコンテナを搬送梁に対して上昇させる。
昇降要素は、モジュール又はコンテナが占有領域部上に載るように、後に降下される。
リフトは、制御ユニットとともに接続要素に対する搬送梁の伸長を基準マーカに対して水平方向に監視及び調整する基準カメラなどのセンサによって、機器モジュール又はコンテナの位置を占有領域部に対して制御し、それにより接続要素に対しても制御する。制御ユニットは、好ましくは、機器モジュール又はコンテナがミッションベイ内で正しく位置決め可能となるように、機器モジュール又はコンテナから接続要素までの距離に関する情報を基準マーカから取得する。機器モジュールがフルサイズではなく、したがってミッションベイ内でより少数の接続要素しか占有しない場合には、制御ユニットは、何個の接続要素に対して、ミッションベイ内のどこに(占有領域部のどの部分に)機器モジュール又はコンテナが積載されるべきかを、オペレータからの入力によってプログラムされ得る。
【0044】
本発明の第2の態様の更なる実施形態によると、接続要素及び昇降要素は、一体化される。
【0045】
接続要素及び昇降要素は、好ましくは、同じ要素によって構成される。したがって、接続要素/昇降要素は、モジュール又はコンテナの協働要素の下面に当接する上側当接面を備える。標準ツイストロックとして機能する接続要素/昇降要素の上側相互接続部は、当接面からモジュール又はコンテナの協働要素内に突出する。したがって、接続要素/昇降要素は、ロック及び昇降機能の双方を行うことができる。
【0046】
本発明の第2の態様の更なる実施形態によると、ミッションベイから搬送梁を縮退させるステップは、ミッションベイから横方向に縮退される前に、搬送梁を所定の鉛直距離だけ上昇させるステップを備える。
【0047】
接続要素/昇降要素がモジュール又はコンテナを搬送梁からリフト運搬した後、リフトは、接続梁が海洋船舶から分離されるように、搬送梁を所定距離だけ上昇させる。
第2及び第3の梁要素は、好ましくは、搬送梁全体がリフト運搬されてそれにより船舶から分離される前に、機器モジュール又はコンテナの下方から第1の梁要素の上方の位置まで縮退される。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【
図1A】
図1Aは、リフト及びミッションベイの斜視図である。
【
図2】
図2は、伸長されたリフト及びミッションベイの斜視図である。
【
図3】
図3は、リフト、ミッションベイ、及び積載中の機器モジュールの斜視図である。
【
図4】
図4は、機器モジュールが積載されたリフトの斜視図である。
【
図5】
図5は、機器モジュールが積載されたリフトの斜視図である。
【
図6】
図6は、機器モジュールが積載されたリフトの斜視図である。
【
図7】
図7は、機器モジュールが積載されたリフトの斜視図である。
【
図8】
図8は、機器モジュールが上昇されたリフトの斜視図である。
【
図9A】
図9Aは、機器モジュールが横方向に積載されたリフトの斜視図である。
【
図9B】
図9Bは、船体と搬送梁の間の相互接続の斜視図を示す。
【
図9C】
図9Cは、船体と搬送梁の間の相互接続の斜視図を示す。
【
図10】
図10は、機器モジュールが船舶の移動を補償するリフトの斜視図である。
【
図11】
図11は、機器モジュールがミッションベイ内に積載されるリフトの斜視図である。
【
図12A】
図12Aは、機器モジュールがミッションベイに接続される斜視図を示す。
【
図12B】
図12Bは、機器モジュールがミッションベイに接続される斜視図を示す。
【
図12C】
図12Cは、機器モジュールがミッションベイに接続される斜視図を示す。
【
図12D】
図12Dは、機器モジュールがミッションベイに接続される斜視図を示す。
【
図12E】
図12Eは、機器モジュールがミッションベイに接続される斜視図を示す。
【
図14】
図14は、積載された機器モジュール及びリフトの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0049】
以下に、本発明の例示的実施形態が示される添付図面を参照して、本発明をより完全にここに説明する。ただし、本発明は、様々な態様で実現され得るものであり、ここに説明する実施形態への限定として解釈されるべきでない。むしろ、これらの実施形態は、本開示が網羅的かつ完全となるとともに当業者に対して本発明の範囲を充分に伝えるように、与えられるものである。全体を通じて、同様の符号は、同様の要素を指す。したがって、同様の要素は、各図の説明に対して詳細には説明されない。
【0050】
図1Aは、リフト10及びミッションベイ14の斜視図である。
同図は、船体12及び船体内のミッションベイ14を有する海洋船舶の前方で港湾の埠頭に配置されたリフト10を示す。
船体12の側部の開口部であるミッションベイ14は、複数の標準貨物コンテナのサイズを有するコンテナ又は機器モジュール52がミッションベイ14内に収容可能となるように寸法取りされる。ミッションベイ14内では、搭載占有領域部44が、好ましくは搭載面に配置され、機器モジュール52又はコンテナの意図しない移動の危険なく、それを搭載面に固定するために、機器モジュール52又はコンテナを受容するように適合される。占有領域部44は、モジュール/コンテナを正しい位置にガイドするガイド要素、及びモジュール/コンテナを積載後に搭載面にロックするロック要素を備え得る。
【0051】
リフト10は機器モジュール52又はコンテナを収容するためのフレームを備え、フレームは、2本の水平に延在する梁要素として示すベースフレーム16を備え、それは4本の搬送梁20を支持する。搬送梁20は各々、それらが船体12に向かう方向に伸長可能となるように、それらの長手方向に伸長可能となるように構成される。
搬送梁20は、ベースフレーム16に接続された第1の梁要素22を備える。第1の梁要素22は、ヒンジ機構(ヒンジ)28によって船体に対するベースフレーム16の遠位部分に接続され、ベースフレーム16の近位部分によって支持され、それにより、搬送梁20はヒンジ28の軸周りに旋回し得る。これにより、搬送梁20の近位端が鉛直方向に移動可能となる。この機能は、
図10に関して後述する。
搬送梁20は、第2の梁要素24、並びに第1の梁要素22と第2の梁要素24の間に配置されるとともに第1の梁要素22及びベースフレーム16に対して略水平に変位可能に配置された第3の梁要素26をさらに備える。搬送梁20は、海洋船舶の船体12とリフト10との間の少なくとも隙間54、通常1.5~2メートルにわたることができるように寸法取りされる。
第1の梁要素22に対する第3の梁要素26の長手方向の変位によって第2の梁要素24及び第3の梁要素26の双方が船体12に向かって変位し、第3の梁要素26に対する第2の梁要素24の更なる変位によって搬送梁20は最大伸長位置となる。
【0052】
リフト10は、ベースフレーム16及び搬送梁20を鉛直方向に昇降するための手段をさらに備える。リフト10は、ミッションベイ14が地面から数メートル、1.5~6メートルなど、通常は1~10メートルに位置する大型船艇などの大型海洋船舶に機器モジュール又はコンテナを積載するのに適する。したがって、昇降するための手段は、油圧積載タワー18として構成され、好ましくはリフト10の各コーナーに配置される。積載タワー18は、油圧伸縮シリンダ又はラックアンドピニオン駆動機構として構成され、上側変位部の変位がベースフレーム16の昇降をもたらすように積載タワー18の上側変位部はベースフレーム16に相互接続される。積載タワー18は、好ましくは、制御ユニット及びHPUシステム(不図示)によって制御及び動作される。
【0053】
図1B~1Cは、車輪構成50の斜視図である。
リフト10は、さらに、フレームに接続された複数の車輪構成50を、好ましくは図示するようにフレームの対向端部に備える。リフト10は、4輪構成(車輪構成)50を有して図示され、各車輪構成50は2個の車輪44、及びフレームに昇降機能を与えるサスペンション構成48を備える。したがって、車輪構成50は、
図1Bに示すように、リフト10のフレームが地面に接する完全降下位置となり得る。この位置では、リフト10は、静止し、地面上を移動することはできない。車輪構成50はさらに、
図1Cに示すように、上昇位置となり得る。上昇位置では、リフト10のフレームは地面に対して上昇され、リフト10は車輪44によって地面上を走行することができる。
車輪構成50は、各車輪構成50が相互に独立して鉛直軸周りに回転し得るように構成され、それにより、リフト10は任意の方向に地面上を移動し得る。
【0054】
図2は、伸長されているリフト10及びミッションベイ14の斜視図である。
ベースフレーム16は、ベースフレームの伸縮要素が伸長するとリフトの2つの端部間の距離が増加するようにリフト10の2つの端部間で伸長可能に配置された2つの伸縮要素、好ましくは油圧伸縮要素を備える。
伸縮要素は、中央部分58、及び矢印で示すように中央部分58の各端部に配置されて各端部で積載タワー18に接続される伸長可能な突出要素60を備える。
ベースフレームは、好ましくは制御ユニット及びHPUによって制御及び動作される。
【0055】
ベースフレーム16は、好ましくはさらに、中央部分58がリフト10の両端に向かって変位可能となるように、それにより、中央部分58に接続された搬送梁20がリフト10の両端に向かって変位可能となるように配置される。これにより、伸長可能な突出要素60は、中央部分58に対して同じ方向に移動する。
これは、海洋船舶が搬送梁20に略垂直な方向に完全に静止している状況で特に有利である。したがって、ベースフレーム16の中央部分58の変位は、搬送梁20がミッションベイに対して静止して維持されるように、海洋船舶の変位を補償する。これは、
図10に関してさらに説明される。
【0056】
図3は、リフト10、ミッションベイ14、及び積載中の機器モジュール52の斜視図である。同図は、図示する機器モジュール52をフレームが収容することができるように伸長位置にあるベースフレーム16を示す。機器モジュール52は2つの小型の相互接続されたモジュールで構成されて示され、左側のモジュールは魚雷発射システムを示し、右側のモジュールは任意のタイプの機器を含む閉タイプモジュールを示す。したがって、モジュール52の全体は、単一の大型のモジュール又は複数の小型の相互接続されたモジュールから構成され得るが、全体の外寸は同じなままであり、それにより、異なる構成を有する異なるモジュールが占有領域部44の寸法に対応する。ただし、モジュール52は、モジュールのベースが相互接続のためにミッションベイ14内の占有領域部44の一部に対応する限り、図示するものよりも小さなイサイズを有してもよい。
図示する機器モジュール52は、クレーン(不図示)によって搬送梁20上に降ろされており、好ましくは、モジュール52を確実にリフト10の正しい位置とするため、及び作業中にモジュール52が搬送梁20上を意図せずにスライドすることを防止するために、機器モジュール52の底面の開口部内に突出する、リフト上の突出支持要素(不図示)と係合する。
【0057】
図4は、機器モジュール52が積載されたリフト10の斜視図である。
同図は、搬送梁20上に固定積載されてミッションベイ14内に積載可能となったモジュール52を示す。リフト10の車輪構成50は、フレームが地面から上昇されるように上昇位置にあり、リフト10は海洋船舶に向かって移動可能である。車輪構成50は、車輪の進行方向が船体12に向かうように略鉛直軸周りに回転される。
【0058】
図5は、機器モジュール52が積載されたリフト10の斜視図である。
リフト10は、リフトの制御ユニット(不図示)に相互接続された距離センサ38を有する距離案内システムをさらに備え、それにより、リフト10の移動中にリフト10と船体の間の距離が連続的に監視される。
リフト10は、好ましくは、リフトの各端部に配置された距離センサ38、例えば、近位積載タワー18の各々における距離センサ38を備える。
リフト10は、鉛直回転可能な車輪構成50によって、船体12に対して近位へ移動される。
距離センサは、リフト10が指定の最小距離を超え得ないように、リフトと船体12の間の距離を連続的に監視する。
【0059】
図6は、機器モジュール52を有するリフト10の斜視図である。
同図は、ミッションベイ14の中心の前方において地面上の正しい位置に移動されているリフト10を示す。
その目的のため、リフトは、距離センサ38、及び基準カメラなどの基準センサ40の双方を使用する。
基準センサは、
図6においてミッションベイの下方に船体12上の鉛直線として示される基準マーカ42によってミッションベイ14の位置を検知する。リフト10と船体12の間の測定距離及び基準マーカ42に対するリフト10の位置に基づいて、制御ユニットは、ミッションベイ14の開口部の中心に対するリフトの正確な位置を特定することができる。制御ユニット(不図示)は、好ましくは、測定距離及び測定位置を連続的に監視し、リフト10を正しい位置に自動的に移動させる。
距離センサ及び位置センサは、代替の実施形態では、ArUcoマーカを検知するためのカメラなどの単一のインテリジェント基準カメラとして構成されてもよい。
ArUcoマーカなどのマーカは、ミッションベイの位置、サイズ、高さなどの情報を記憶するのに使用されてもよく、それにより、制御システムは、マーカが走査されると、上記に関する情報及び/又は例えばミッションベイ14のどれほど奥に機器モジュールが積載されるべきかについての情報を受信する。したがって、マーカは、マーク付けされたものがミッションベイ14の下方中心に位置せずに中心に対してずれているかの情報も含み得る。制御ユニットは、これにより、そのずれを補償し、モジュールを正しい位置に移動させることができる。
リフト10の全ての機能は、好ましくは自動的に制御されるが、各機能はオペレータによって手動で制御されてもよく、したがって、リフト10はそのための装置も備える。
【0060】
図7は、機器モジュール52が積載されたリフト10の斜視図である。機器モジュール52がミッションベイの前方に正しく位置決めされると、車輪構成50は、リフト10が静止したままとなるようにフレームを地面に降下させる。
【0061】
図8は、機器モジュール52が上昇されているリフト10の斜視図である。ミッションベイ14の前方の正しい位置に移動された機器モジュール52は、その後にミッションベイの前方の特定位置まで鉛直方向に積載タワー18によって上昇される。制御ユニットは、機器モジュール52が昇降されなければならない特定鉛直位置を、登録された基準マーカによって特定することができる。
【0062】
図9A~9Cは、機器モジュール52が横方向に積載されているリフト10、及び船体12と搬送梁20の間の相互接続の斜視図である。積載タワー18は、ベースフレーム16、搬送梁20及び機器モジュール52をミッションベイ14に対する正しい特定の鉛直位置に上昇させている。それにより、搬送梁20はその正しい位置においてミッションベイ14に伸長可能となる。
図9B及び9Cにおいて理解できるように、ミッションベイは、第3の梁要素26に配置された接続要素30との相互接続のために、搬送梁20の数に対応する複数の開口部32を備える。制御ユニットは検知された基準マーカから開口部までの距離についての情報を含み、それにより、第3の梁要素26は、接続要素30が開口部32の上方に近接する位置に伸長可能となる。接続要素30が開口部32の上方に位置すると、接続要素30は降下されて開口部32と係合し、それにより、搬送梁はミッションベイ14に関する水平移動に対して固定される。これは、占有領域部に対する機器モジュール52のずれを防止するために特に重要である。接続要素30は、ベースフレーム16が降下されることによって、降下されて開口部32と係合される。好適な実施形態では、2本の近位積載タワーのみが降下されるので、ベースフレーム16の近位梁のみが降下される。
【0063】
図10は、機器モジュール52が船舶の移動を補償するリフト10の斜視図である。
機器モジュール52をミッションベイ14に積載する場合、潮流又は波動による海洋船舶の移動を補償するようにリフト10が構成されることが非常に重要である。リフト10がその移動を補償できないとすると、リフト10は、関与する極端な力によって船舶から離れてしまい、機器破壊又は人員負傷がもたらされる可能性がある。
【0064】
説明する図では、接続要素30は、ベースフレーム16の近位部分を降下することによって、降下されて開口部32と係合する。
これにより、ベースフレーム16の近位部分と搬送梁20との間に距離が発生する。搬送梁20はさらに、その遠位端に、ヒンジ28によってベースフレーム16の遠位部分に接続され、それにより、搬送梁は(28)に周回矢印で示すように搬送梁の長手方向に垂直な軸の周りに回転可能となる。搬送梁20は、これにより、何らかの波動による海洋船舶のいずれの傾斜回転も補償するように、ベースフレーム16の近位端に対して鉛直変位可能となる。
【0065】
リフトが船体12の横方向の移動を補償するためには、搬送梁20は、第2の梁要素24及び第3の梁要素26を変位させるための油圧ピストンなどの駆動機構(不図示)を備える。接続要素30が開口部32に相互接続されると、第1の梁要素22と第3の梁要素26の間の駆動機構は、好ましくは、第1の梁要素22及び第3の梁要素26が相互に対して自由に変位し得るように、受動状態において、制御ユニットによって構成される。リフト10は、これにより、船体に垂直な矢印によって示すように海洋船舶のいずれの横方向の移動も補償することができる。
【0066】
リフト10が搬送梁20に垂直な方向への海洋船舶のいずれの移動も補償できるようにするためには、リフト10には、伸長可能な突出要素60によってリフト10の両端に向かって変位可能な中央部分58を有する変位可能なベースフレーム16が配置され、それにより、中央部分58に接続された搬送梁20がリフト10の両端に向かって変位され得る。
したがって、ベースフレーム16の中央部分58の変位は、船体12に平行な矢印によって示すように搬送梁20がミッションベイに対して静止したままとなるように海洋船舶の変位を補償する。
ベースフレーム16の中央部分58の変位は、好ましくは、制御システム及びHPUによって行われる。
【0067】
図11は、機器モジュール52がミッションベイ14内に積載されているリフト10の斜視図である。
機器モジュール52は、第2の梁要素24によってミッションベイ14内に搬送される。制御システムは、その搬送を動作させ、好ましくは検知された基準マーカからの、機器モジュールが搬送されるミッションベイ14内の所望の奥行についての情報を含む。正しい奥行は、ミッションベイ14内の占有領域部44の位置によって決定される。
【0068】
図12A~12Eは、ミッションベイ14に接続される機器モジュール52の斜視図を示す。機器モジュール52がロック位置に維持されるように機器モジュール52をミッションベイに相互接続する必要がある。
図示する実施形態では、機器モジュール52は、機器モジュールのベースが占有領域部44に整列されるように、正しい特定の距離だけミッションベイ14内に搬送されている。
機器モジュール52がミッションベイ14内の正しい位置となるのであれば、占有領域部44はモジュール52における複数の協働要素に対応する複数の昇降/接続要素34を備える。昇降/接続要素34は制御ユニットによって自動的に動作し、協働要素は標準ISOコンテナコーナー56として構成され得る。
昇降/接続要素34には、上側相互接続部が配置され、ロック要素36として機能し、標準ツイストロックとしての寸法及び機能を有する。
昇降/接続要素34は、占有領域部44内に自動的に鉛直変位可能に設置され、好ましくはミッションベイの床に一体化される。
機器モジュール52が積載されている時、昇降/接続要素34は
図12Bに示すように縮退位置に配置され、機器モジュール52がミッションベイ14内に積載されると、昇降/接続要素34は
図12Cに示すように突出位置となり、ここで、ロック要素36がモジュール52の協働要素(標準ISOコンテナコーナー56)内に突出し、
図12Dに示すようにロック位置となる。
機器モジュール52がミッションベイ14内にリフト運搬されると、機器モジュール52を支持する搬送梁20はミッションベイ14から縮退される必要がある。その目的のため、昇降/接続要素34は、搬送梁20が縮退可能となるように、機器モジュール52を搬送梁20に対して上昇させる。昇降/接続要素34は、好ましくは油圧駆動されて油圧ジャッキとして機能し、機器モジュール52を上昇するために構成された上側当接/昇降面62を備える。
昇降/接続要素34は、
図12Eに示すように鉛直方向にさらに変位され、それにより、機器モジュールは搬送梁20から上昇される。
【0069】
図13は、縮退される搬送梁20の斜視図を示す。
昇降/接続要素34が機器モジュールを搬送梁20から上昇させた後、接続要素30が開口部32から係合解除するように、積載タワー18は搬送梁20を、鉛直矢印で示すように、鉛直方向に上昇させる。第1の梁要素22と第3の梁要素26の間の駆動機構及び第2の梁要素24と第3の梁要素26の間の駆動機構は、水平矢印で示すように搬送梁20がミッションベイから搬出されるように動作する。
【0070】
図14は、積載された機器モジュール52及びリフト10の斜視図である。
同図は、ミッションベイ14内への機器モジュール52の積載における最終ステップを示す。搬送梁20がミッションベイ14から搬出された後、機器モジュール52は昇降/接続要素34によってミッションベイ14の占有領域部44上に降下され、リフト10は海洋船舶から離れる。
【符号の説明】
【0071】
10 リフト
12 船体
14 ミッションベイ
16 ベースフレーム
18 積載タワー
20 搬送梁
22 第1の梁要素
24 第2の梁要素
26 第3の梁要素
28 ヒンジ
30 接続要素
32 開口部
34 昇降/接続要素
36 ロック要素
38 距離センサ
40 基準センサ
42 基準マーカ
44 占有領域部
46 車輪
48 サスペンション構成
50 車輪構成
52 機器モジュール
54 隙間
56 モジュールコーナー(標準ISOコンテナコーナー)
58 中央部分
60 伸長可能な突出要素
62 当接/昇降面