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特許7588731電力変換装置及び電力変換装置の製造方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-14
(45)【発行日】2024-11-22
(54)【発明の名称】電力変換装置及び電力変換装置の製造方法
(51)【国際特許分類】
   H02M 7/48 20070101AFI20241115BHJP
   H01G 2/08 20060101ALI20241115BHJP
   H01G 2/10 20060101ALI20241115BHJP
【FI】
H02M7/48 Z
H01G2/08
H01G2/10 C
【請求項の数】 27
(21)【出願番号】P 2023551294
(86)(22)【出願日】2022-09-14
(86)【国際出願番号】 JP2022034413
(87)【国際公開番号】W WO2023053967
(87)【国際公開日】2023-04-06
【審査請求日】2024-02-29
(31)【優先権主張番号】P 2021158121
(32)【優先日】2021-09-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】森 由希子
(72)【発明者】
【氏名】藤井 健太
(72)【発明者】
【氏名】角田 義一
(72)【発明者】
【氏名】熊谷 隆
(72)【発明者】
【氏名】白形 雄二
(72)【発明者】
【氏名】服部 憲和
(72)【発明者】
【氏名】齊藤 芳道
【審査官】尾家 英樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-059191(JP,A)
【文献】特開2020-162226(JP,A)
【文献】特開2016-000983(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02M 7/48
H01G 2/08
H01G 2/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体と、
前記筐体内に収納されている複数の回路部品と、
前記筐体内に収納されている少なくとも1つの放熱板と、
基板とを備え、
前記複数の回路部品の各々は、素子本体と、前記素子本体の電極面に電気的に接続されている通電端子とを有し、
前記基板は、前記通電端子に電気的に接続されており、
前記少なくとも1つの放熱板は、前記複数の回路部品のうちの隣り合っている2つの間に配置されており、かつ前記筐体に熱的に接続されており
前記複数の回路部品の各々は、前記電極面が前記少なくとも1つの放熱板に対向するように配置されている、電力変換装置。
【請求項2】
前記少なくとも1つの放熱板の各々は、平面視において折れ曲がっている少なくとも1つの屈曲部を有する、請求項1に記載の電力変換装置。
【請求項3】
前記筐体内に配置されている伝熱部材をさらに備え、
前記伝熱部材は、前記複数の回路部品と前記少なくとも1つの放熱板とを熱的に接続している、請求項に記載の電力変換装置。
【請求項4】
前記素子本体は、コンデンサ素子であ、請求項に記載の電力変換装置。
【請求項5】
前記基板は、前記基板の表面に露出している第1配線部材を有し、
前記第1配線部材は、前記筐体と接触している、請求項1に記載の電力変換装置。
【請求項6】
前記基板は、前記基板の表面に露出している第1配線部材と、前記複数の回路部品に電気的に接続されている第2配線部材とを有し、
前記第1配線部材は、前記第2配線部材と電気的に絶縁されている、請求項1に記載の電力変換装置。
【請求項7】
前記筐体は、側壁を有し、
前記少なくとも1つの放熱板の各々は、少なくとも1箇所において、前記側壁に対向している、請求項に記載の電力変換装置。
【請求項8】
前記筐体の外側に取り付けられている冷却器をさらに備える、請求項1記載の電力変換装置。
【請求項9】
前記基板は、前記筐体に固定されている、請求項1記載の電力変換装置。
【請求項10】
前記少なくとも1つの放熱板は複数の放熱板である、請求項に記載の電力変換装置。
【請求項11】
筐体と、
前記筐体内に収納されている複数の回路部品と、
前記筐体内に収納されている少なくとも1つの放熱板と、
基板とを備え、
前記複数の回路部品の各々は、素子本体と、前記素子本体の電極面に電気的に接続されている通電端子とを有し、
前記基板は、前記通電端子に電気的に接続されており、
前記少なくとも1つの放熱板は、前記複数の回路部品のうちの隣り合っている2つの間に配置されており、かつ前記筐体に熱的に接続されており、
前記基板は、前記基板の表面に露出している第1配線部材を有し、
前記第1配線部材は、前記筐体と接触している電力変換装置。
【請求項12】
前記複数の回路部品の各々は、前記電極面が前記少なくとも1つの放熱板に対向するように配置されている、請求項11に記載の電力変換装置。
【請求項13】
前記基板は、前記複数の回路部品に電気的に接続されている第2配線部材を有し、
前記第1配線部材は、前記第2配線部材と電気的に絶縁されている、請求項11に記載の電力変換装置。
【請求項14】
前記基板は、前記複数の回路部品に電気的に接続されている第2配線部材を有し、
前記第1配線部材は、前記第2配線部材と電気的に絶縁されている、請求項12に記載の電力変換装置。
【請求項15】
前記素子本体は、コンデンサ素子である、請求項12に記載の電力変換装置。
【請求項16】
筐体と、
前記筐体内に収納されている複数の回路部品と、
前記筐体内に収納されている少なくとも1つの放熱板と、
基板とを備え、
前記複数の回路部品の各々は、素子本体と、前記素子本体の電極面に電気的に接続されている通電端子とを有し、
前記基板は、前記通電端子に電気的に接続されており、
前記少なくとも1つの放熱板は、前記複数の回路部品のうちの隣り合っている2つの間に配置されており、かつ前記筐体に熱的に接続されており、
前記基板は、前記基板の表面に露出している第1配線部材と、前記複数の回路部品に電気的に接続されている第2配線部材とを有し、
前記第1配線部材は、前記第2配線部材と電気的に絶縁されている電力変換装置。
【請求項17】
前記複数の回路部品の各々は、前記電極面が前記少なくとも1つの放熱板に対向するように配置されている、請求項16に記載の電力変換装置。
【請求項18】
前記第1配線部材は、前記筐体と接触している、請求項16に記載の電力変換装置。
【請求項19】
前記第1配線部材は、前記筐体と接触している、請求項17に記載の電力変換装置。
【請求項20】
前記素子本体は、コンデンサ素子である、請求項17に記載の電力変換装置。
【請求項21】
前記基板には、前記少なくとも1つの放熱板と接触している溝が形成されている、請求項1~請求項20のいずれか1項に記載の電力変換装置。
【請求項22】
前記基板には、第3配線部材を有し、
前記基板には、前記第3配線部材が露出している第1溝が形成されており、
前記第3配線部材は、前記少なくとも1つの放熱板と接触している、請求項1~請求項20のいずれか1項に記載の電力変換装置。
【請求項23】
前記基板には、前記基板を貫通している穴が形成されており、
前記少なくとも1つの放熱板の各々は、前記穴に挿入されている突起を有する、請求項1~請求項20のいずれか1項に記載の電力変換装置。
【請求項24】
前記複数の回路部品は、第1列をなすように並んでいる複数の第1回路部品と、前記第1列と同一方向に沿って第2列をなすように並んでいる複数の第2回路部品とを含み、
前記複数の第1回路部品の各々の前記電極面は、前記複数の第2回路部品の前記電極面と対向しており、
前記少なくとも1つの放熱板は、前記複数の第1回路部品と前記第2回路部品との間に配置されている1つの放熱板である、請求項1~請求項20のいずれか1項に記載の電力変換装置。
【請求項25】
前記放熱板は、前記基板に接続されている、請求項1~請求項20のいずれか1項に記載の電力変換装置。
【請求項26】
前記放熱板の上端には、第2溝が形成されている、請求項25に記載の電力変換装置。
【請求項27】
前記筐体は、側壁を有し、
前記側壁の上部と前記基板との間には隙間がある、請求項25に記載の電力変換装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、電力変換装置及び電力変換装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特開2016-66666号公報(特許文献1)には、コンデンサが記載されている。特許文献1に記載のコンデンサは、ケースと、コンデンサ素子と、電極板と、モールド樹脂と、蓋体とを有している。コンデンサ素子及び電極板は、ケース内に収納されている。コンデンサ素子のリード端子は、電極板に電気的に接続されている。モールド樹脂は、ケース内に充填されている。これにより、コンデンサ素子及び電極板がケース内において封止されている。蓋体は、ケースの開口に取り付けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2016-66666号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載のコンデンサでは、コンデンサ素子において発生した熱が、リード端子及び電極板を通って蓋体に伝わり、蓋体の突起から放熱される。そのため、特許文献1に記載のコンデンサは、熱抵抗が大きく、コンデンサ素子の温度上昇が大きくなる。
【0005】
本開示は、上記のような従来技術の問題点に鑑みてなされたものである。より具体的には、本開示は、回路部品の温度上昇を抑制可能な電力変換装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の電力変換装置は、筐体と、筐体内に収納されている複数の回路部品と、筐体内に収納されている少なくとも1つの放熱板と、基板とを備えている。複数の回路部品の各々は、素子本体と、素子本体の電極面に電気的に接続されている通電端子とを有する。基板は、通電端子に電気的に接続されている。少なくとも1つの放熱板は、複数の回路部品のうちの隣り合っている2つの間に配置されており、かつ筐体に熱的に接続されている。
【発明の効果】
【0007】
本開示の電力変換装置によると、回路部品の温度上昇を抑制可能である。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】電力変換装置100の回路図である。
図2】電力変換装置100の斜視図である。
図3】電力変換装置100の分解斜視図である。
図4図2のIV-IVにおける断面図である。
図5】基板60の図示が省略された電力変換装置100の平面図である。
図6】基板60の拡大断面図である。
図7】電力変換装置100の製造方法を示す工程図である。
図8】変形例1に係る電力変換装置100の断面図である。
図9】変形例2に係る電力変換装置100の斜視図である。
図10】変形例3に係る電力変換装置100の斜視図である。
図11】基板60の図示が省略された変形例4に係る電力変換装置100の平面図である。
図12】基板60の図示が省略された電力変換装置100Aの平面図である。
図13】基板60の図示が省略された変形例1に係る電力変換装置100Aの平面図である。
図14】基板60の図示が省略された変形例2に係る電力変換装置100Aの平面図である。
図15】電力変換装置100Bが有する基板60の平面図である。
図16】電力変換装置100Bの拡大断面図である。
図17】変形例1に係る電力変換装置100Bが有する基板60の底面図である。
図18】変形例1に係る電力変換装置100Bの拡大断面図である。
図19】変形例2に係る電力変換装置100Bの拡大断面図である。
図20】電力変換装置100Cが有する放熱板40の側面図である。
図21】電力変換装置100Cが有する基板60の平面図である。
図22】電力変換装置100Dの断面図である。
図23】変形例1に係る電力変換装置100Dが有する放熱板40の側面図の1例である。
図24】変形例1に係る電力変換装置100Dが有する放熱板40の側面図の他の例である。
図25】変形例2に係る電力変換装置100Dの断面図の1例である。
図26】変形例2に係る電力変換装置100Dの断面図の他の例である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本開示の実施の形態の詳細を、図面を参照しながら説明する。以下の図面では、同一又は相当する部分に同一の参照符号を付し、重複する説明は繰り返さないものとする。
【0010】
実施の形態1.
実施の形態1に係る電力変換装置を説明する。実施の形態1に係る電力変換装置を、電力変換装置100とする。
【0011】
(電力変換装置100の構成)
以下に、電力変換装置100の構成を説明する。
【0012】
図1は、電力変換装置100の回路図である。図1に示されるように、電力変換装置100は、周辺回路110と、スイッチング回路120とを有している。
【0013】
周辺回路110は、複数の回路部品10を有している。図1に示される例では、複数の回路部品10が、コンデンサ10a、インダクタ10b、コンタクタ10c、放電抵抗10d及び充電抵抗10eである。コンデンサ10a、インダクタ10b及びコンタクタ10cは、直列に接続されている。インダクタ10bは、コンデンサ10aとコンタクタ10cとの間に配置されている。放電抵抗10d及び充電抵抗10eは、それぞれコンデンサ10a及びコンタクタ10cに並列に接続されている。周辺回路110は、直流供給回路130に接続されている。
【0014】
スイッチング回路120は、例えば、3相インバータ回路である。スイッチング回路120は、複数の回路部品20を有している。図1に示される例では、複数の回路部品20が、トランジスタ20a~トランジスタ20f及びダイオード20g~ダイオード20lである。
【0015】
トランジスタ20aのドレインは、コンデンサ10aの一方の電極に電気的に接続されている。トランジスタ20aのソースは、トランジスタ20bのドレインに電気的に接続されている。トランジスタ20bのソースは、コンデンサ10aの他方の電極に電気的に接続されている。
【0016】
ダイオード20gのアノードは、トランジスタ20aのソースに電気的に接続されている。ダイオード20gのカソードは、トランジスタ20aのドレインに電気的に接続されている。ダイオード20hのアノードは、トランジスタ20bのソースに電気的に接続されている。ダイオード20hのカソードは、トランジスタ20bのドレインに電気的に接続されている。
【0017】
なお、トランジスタ20c、トランジスタ20d、ダイオード20i及びダイオード20jは、それぞれ、トランジスタ20a、トランジスタ20b、ダイオード20g及びダイオード20hと同様に接続されている。また、トランジスタ20e、トランジスタ20f、ダイオード20k及びダイオード20lは、それぞれ、トランジスタ20a、トランジスタ20b、ダイオード20g及びダイオード20hと同様に接続されている。図示されていないが、トランジスタ20a~トランジスタ20fのゲートは、制御回路に接続されている。
【0018】
スイッチング回路120は、モータ140に接続されている。モータ140は、例えば3相モータである。モータ140は、入力線141と、入力線142と、入力線143とを有している。入力線141は、トランジスタ20aのソース及びトランジスタ20bのドレインに電気的に接続されている。入力線142は、トランジスタ20cのソース及びトランジスタ20dのドレインに電気的に接続されている。入力線143は、トランジスタ20eのソース及びトランジスタ20fのドレインに電気的に接続されている。
【0019】
図2は、電力変換装置100の斜視図である。図3は、電力変換装置100の分解斜視図である。図4は、図2のIV-IVにおける断面図である。図5は、基板60の図示が省略された電力変換装置100の平面図である。図6は、基板60の拡大断面図である。図2図6に示されるように、電力変換装置100は、複数の回路部品10と、筐体30と、放熱板40と、伝熱部材50と、基板60とを有している。
【0020】
筐体30は、側壁31と、底壁32とを有している。側壁31は、第1側壁部31a及び第2側壁部31bと、第3側壁部31c及び第4側壁部31dとを有している。第1側壁部31a及び第2側壁部31bは、第1方向DR1において、間隔を空けて互いに対向している。第3側壁部31c及び第4側壁部31dは、第2方向DR2において、間隔を空けて互いに対向している。第2方向DR2は、第1方向DR1に直交している方向である。側壁31は、平面視において、例えば矩形状である。底壁32は、側壁31の下端に連なっている。
【0021】
筐体30は、剛性のある材料により形成されている。筐体30は、例えば、金属材料により形成されている。筐体30は、銅(Cu)、銅合金、アルミニウム(Al)、アルミニウム合金、鉄(Fe)及び鉄合金からなる群から選択されるいずれかの金属材料により形成されている。なお、銅合金の具体例としてはリン青銅が挙げられ、アルミニウム合金の具体例としてはJIS規格に定められているADC12が挙げられ、鉄合金の具体例としてはSUS304が挙げられる。
【0022】
筐体30は、樹脂材料により形成されてもよい。この樹脂材料は、例えばポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)及びポリエーテルエーテルケトン(PEEK)からなる群から選択されるいずれかである。この樹脂材料は、熱伝導フィラーを含んでいてもよい。筐体30は、好ましくは、非磁性体により形成されている。
【0023】
筐体30は、例えば、切削、ダイキャスト又は鍛造により形成される。筐体30は、鈑金プレス及び溶接により形成されもよい。筐体30は、金型を用いた成形により形成されてもよい。
【0024】
図2図6に示される例では、回路部品10は、コンデンサ10aである。コンデンサ10aは、電荷を蓄積又は放出する素子である。コンデンサ10aは、例えば、フィルムコンデンサである。回路部品10は、素子本体と、通電端子とを有している。回路部品10がコンデンサ10aである場合、素子本体はコンデンサ素子11であり、通電端子は通電端子12である。コンデンサ10aは、さらに、外側ケース13と、レジン14とを有している。
【0025】
コンデンサ素子11は、例えば、金属フィルム及び金属フィルム上に配置されている誘電体フィルムを巻回することにより構成されている。誘電体フィルムは、例えばプラスチックフィルムである。プラスチックフィルムは、例えばポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリフェニレンサルファイド、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリカーボネート(PC)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)等により形成されている。
【0026】
プラスチップフィルムは、製造コストの観点からはポリエチレンテレフタレートで形成されていることが好ましく、高周波特性の観点からはポリプロピレンが好ましい。プラスチックフィルムは、耐熱性及び高周波特性の観点からはポリフェニレンサルファイドで形成されていることが好ましく、小型化及び耐熱性の観点からはポリエチレンナフタレートで形成されていることが好ましい。プラスチックフィルムは、耐熱性の観点からは、ポリテトラフルオロエチレンで形成されていることが好ましい。
【0027】
コンデンサ10aの静電容量は、誘電体フィルムの誘電率及び誘電体フィルムの面積に比例し、金属フィルム間の距離に反比例する。誘電体フィルムには、電荷が蓄積される。
【0028】
コンデンサ素子11の両端面は、電極面11aになっており、通電端子12が電気的に接続されている。電極面11aは、プラスチックフィルムに金属を蒸着することにより形成されてもよい。通電端子12は、外部からの電流をコンデンサ素子11に流す役割を果たす。通電端子12は、第3方向DR3に沿って延在している。第3方向DR3は、第1方向DR1及び第2方向DR2に直交している。
【0029】
通電端子12は、導電性の材料により形成されている。通電端子12は、例えば、銅、銅合金、銀(Ag)、銀合金、金(Au)、金合金、スズ(Sn)、スズ合金、ニッケル(Ni)合金、アルミニウム、チタン(Ti)、モリブデン(Mo)により形成されている。通電端子12の表面には、耐食性、耐熱性、電気伝導性を向上させる観点から、クロム(Cr)、ニッケル、銅、スズ、銀、亜鉛(Zn)、金等のめっき層が形成されていることが好ましい。
【0030】
外側ケース13は、絶縁材料により形成されている。外側ケース13は、例えば樹脂材料により形成されている。外側ケース13は、例えばポリプロピレン、ポリブチレンテレフタレート、ポリフェニレンサルファイド及びポリエーテルエーテルケトンからなる群から選択された樹脂材料により形成されている。コンデンサ素子11及び通電端子12は、外側ケース内13内に収納されている。但し、通電端子12の一部は、外側ケース13の上面から突出している。外側ケース13により、コンデンサ素子11を周囲から絶縁するとともに、空気、水分等の静電誘導作用を変化させる物質のコンデンサ素子11への侵入を防いでいる。
【0031】
レジン14は、電気絶縁性である。レジン14は、好ましくは、耐熱性のある樹脂である。レジン14の具体例としては、エポキシ又はテープラップ樹脂が挙げられる。レジン14は、外側ケース13内に充填されている。これにより、コンデンサ素子11及び通電端子12が封止され、コンデンサ素子11と外部とが絶縁されている。コンデンサ10aの底面(外側ケース13の底面)は、底壁32に接触していてもよく、底壁32に接触していなくてもよい。
【0032】
複数のコンデンサ10aは、筐体30内に収納されている。図2図6に示される例では、複数のコンデンサ10aが、第1方向DR1に沿って2列(それぞれ第1列及び第2列とする)をなすように並べられている。第1列に属しているコンデンサ10aの電極面11aは、第2列に属しているコンデンサ10aの電極面11aと対向している。
【0033】
放熱板40は、筐体30内に収納されている。放熱板40は、下端40aと、上端40bとを有している。下端40a及び上端40bは、第3方向DR3における放熱板40の端である。下端40aは、底壁32に接触している。但し、下端40aは、底壁32に接触していなくてもよい。上端40bは、下端40aの反対側の端である。放熱板40は、側面40cと、側面40dとを有している。側面40c及び側面40dは、放熱板40の厚さ方向における端面である。側面40dは、側面40cの反対面である。側面40cにおける算術平均粗さ及び側面40dにおける算術平均粗さは、6.3μm以上であることが好ましい。
【0034】
放熱板40は、平面視において、第1部分41と、第2部分42と、第3部分43とを有している。第1部分41は、第1方向DR1に沿って延在している。第1部分41は、第1列をなしている複数のコンデンサ10aと第2列をなしている複数のコンデンサ10aとの間に配置されている。すなわち、第1列をなしているコンデンサ10aの電極面11aは第1部分41にある側面40cに対向しており、第2列をなしているコンデンサ10aの電極面11aは第1部分41にある側面40dに対向している。なお、外側ケース13の側面は、第1部分41に接触していてもよく、第1部分41に接触していなくてもよい。
【0035】
第1列(第2列)に属しているコンデンサ10aの第1部分41側の電極面11aと第1部分41にある側面40c(側面40d)とは、略平行になっていることが好ましい。第1列(第2列)に属しているコンデンサ10aの第1部分41と反対側の電極面11aと第3側壁部31c(第4側壁部31d)の内壁面とは、略平行になっていることが好ましい。コンデンサ10aの底面と底壁32の内壁面とは、略平行になっていることが好ましい。なお、2つの面が略平行になっているとは、当該2つの面のなす角度が±5°以下の範囲内にあることをいう。
【0036】
第2部分42は、第2方向DR2に沿って、第1部分41の第1方向DR1における一方端から第3側壁部31cに向かって延在している。第3部分43は、第2方向DR2に沿って、第1部分41の第1方向DR1における他方端から第4側壁部31dに向かって延在している。放熱板40は、第1部分41と第2部分42との接続部及び第1部分41と第3部分43との接続部において折れ曲がっている。このことを別の観点から言えば、第1部分41と第2部分42との接続部及び第1部分41と第3部分43との接続部は、放熱板40の屈曲部になっている。第2部分42にある側面40dは、側壁31(第1側壁部31a)に対向している。第3部分43にある側面40cは、側壁31(第2側壁部31b)に対向している。
【0037】
放熱板40は、筐体30と同一材料により形成されていてもよく、筐体30と異なる材料により形成されていてもよい。放熱板40は、例えば、切削、ダイキャスト又は鍛造により形成される。放熱板40は、鈑金プレス及び溶接により形成されもよい。放熱板40は、金型を用いた成形により形成されてもよい。
【0038】
放熱板40の第2方向DR2における幅は、例えば、放熱板40の第1方向DR1における幅よりも大きい。放熱板40の第2方向DR2における幅は、第3側壁部31cと第4側壁部31dとの間の第2方向DR2における距離に等しいことが最も好ましい。第3側壁部31cと第4側壁部31dとの間の第2方向DR2における距離から放熱板40の第2方向DR2における幅を減じた値は、0.5mmよりも小さくてもよい。
【0039】
伝熱部材50は、電気絶縁性の材料により形成されているポッティング材である。伝熱部材50は、例えば、樹脂材料により形成されている。この樹脂材料は、例えば、シリコーン、ウレタン、エポキシ等である。この樹脂材料には、熱伝導フィラーが含まれていてもよい。伝熱部材50は、硬化性又は粘着性を有していることが好ましい。伝熱部材50は、耐水性を有していることが好ましい。
【0040】
伝熱部材50は、筐体30内に配置されている。これにより、複数のコンデンサ10a及び放熱板40は、筐体30内において封止されており、コンデンサ10aと放熱板40とが熱的に接続される。伝熱部材50は、伝熱部材50中に外側ケース13が埋まるように配置されていることが好ましい。但し、伝熱部材50からは、通電端子12が突出している。伝熱部材50と基板60とは接触しておらず、伝熱部材50と基板60との間には隙間がある。上端40bは、伝熱部材50の上面よりも下方にある。すなわち、放熱板40は、伝熱部材50に埋まっている。
【0041】
基板60は、例えばプリント基板である。複数の基材61と、複数の配線部材62とを有している。基材61及び配線部材62は、基板60の厚さ方向において、交互に積層されている。基材61は、電気絶縁性の材料により形成されている。基材61は、例えば、ガラス強化繊維を含むエポキシ、フェノール樹脂、ポリフェニレンサルファイド、ポリエーテルエーテルケトン等により形成されている。
【0042】
配線部材62は、導電性の材料、すなわち低い電気抵抗率及び高い熱伝導率を有する材料により形成されている。配線部材62は、例えば、銅、銅合金、銀、銀合金、金、金合金、スズ、スズ合金、ニッケル合金等により形成されている。配線部材62の厚さは、例えば、1μm以上5000μm以下である。
【0043】
基板60には、貫通穴60aが形成されている。図示されていないが、貫通穴60aの内壁面上には、導体層63が形成されている。通電端子12が貫通穴60aに通されるとともに導体層63と通電端子12との間に接合部材64(図示せず)が配置されることにより、通電端子12は、配線部材62に電気的に接続されている。接合部材64は、例えば、はんだ合金である。なお、通電端子12は、基板60の表面にある配線部材62に接続されてもよい。基板60上には、制御回路を構成する電子部品が配置されている。基板60は、セラミック基板であってもよく、金属基板であってもよい。基板60は、好ましくは、側壁31と接触している。
【0044】
(電力変換装置100の製造方法)
以下に、電力変換装置100の製造方法を説明する。
【0045】
図7は、電力変換装置100の製造方法を示す工程図である。図7に示されるように、電力変換装置100は、回路部品接続工程S1と、伝熱部材配置工程S2と、放熱板・回路部品収納工程S3とを有している。
【0046】
回路部品接続工程S1では、コンデンサ10aと基板60とが電気的に接続される。コンデンサ10aと基板60との電気的な接続は、例えば、はんだ付けにより行われる。伝熱部材配置工程S2は、回路部品接続工程S1の後に行われる。伝熱部材配置工程S2では、筐体30内に伝熱部材50が配置される。
【0047】
放熱板・回路部品収納工程S3は、伝熱部材配置工程S2の後に行われる。放熱板・回路部品収納工程S3では、放熱板40が筐体30内に収納される。また、放熱板・回路部品収納工程S3では、複数のコンデンサ10aも筐体30内に収納される。これにより、コンデンサ10a及び放熱板40が、伝熱部材50により熱的に接続される。
【0048】
上記においては、放熱板・回路部品収納工程S3が伝熱部材配置工程S2の後に行われる例を説明したが、伝熱部材配置工程S2が放熱板・回路部品収納工程S3の後に行われてもよい。
【0049】
(電力変換装置100の効果)
電力変換装置100が動作する際にコンデンサ10aには、交流電流が流れると、コンデンサ10aの抵抗成分に起因して電力消費が発生し、コンデンサ10aが発熱する。ここで、コンデンサ10aの発熱は、コンデンサ素子11及び通電端子12における発熱である。
【0050】
電力変換装置100では、複数のコンデンサ10aが密集して配置されている。隣り合っているコンデンサ10aの間の距離が短くなるにつれて、隣り合っているコンデンサ10aの発熱が干渉し、コンデンサ10aの温度上昇が大きくなる。コンデンサ10aの温度の過度な上昇は、コンデンサ10aの特性劣化、破壊、寿命短縮の原因となる。
【0051】
電力変換装置100では、コンデンサ10aと放熱板40とが、伝熱部材50により熱的に接続されている。そのため、コンデンサ10aにおいて発生した熱は、伝熱部材50及び放熱板40を介して筐体30に伝わり、底壁32から放熱される。このように、電力変換装置100によると、コンデンサ10aの温度上昇を抑制することができる。
【0052】
コンデンサ10aに通電がなされている際に、コンデンサ素子11において発生した熱は、金属フィルムを伝わって電極面11aに達する。また、電極面11aには、電流が集中する。そのため、コンデンサ10aの発熱は、電極面11aにおいて最も大きくなる。電力変換装置100では、放熱板40(第1部分41)が第1列に属しているコンデンサ10aの電極面11a及び第2列に属しているコンデンサ10aの電極面11aに対向するように配置されているため、発熱量の大きい電極面11aを効率的に冷却することができ、コンデンサ10aの温度上昇をさらに抑制することができる。
【0053】
なお、電力変換装置100では、第1列に属しているコンデンサ10aの第1部分41と反対側にある電極面11aが伝熱部材50を介在させて側壁31(第3側壁部31c)と対向しているとともに、第2列に属しているコンデンサ10aの第1部分41と反対側にある電極面11aが伝熱部材50を介在させて側壁31(第4側壁部31d)と対向しているため、電極面11aにおいて発生した熱を側壁31からも放熱可能であり、コンデンサ10aの温度上昇をさらに抑制することができる。
【0054】
なお、電極面11a以外の面におけるコンデンサ10aからの熱も、伝熱部材50を介して側壁31又は放熱板40に伝熱されるため、コンデンサ10aの温度上昇を抑制することができる。
【0055】
第1方向DR1において両端以外に配置されているコンデンサ10aは、第1方向DR1において両端に配置されているコンデンサ10aよりも温度が上昇しやすい。電力変換装置100では、放熱板40が第1方向DR1に沿って延在している第1部分41を有している。第1方向DR1において両端以外に配置されているコンデンサ10a及び第1方向DR1において両端に配置されているコンデンサ10aの双方が伝熱部材50を介在させて第1部分41に対向配置されているため、第1方向DR1において両端以外に配置されているコンデンサ10aと第1方向DR1において両端に配置されているコンデンサ10aとの間で均熱化がなされる。
【0056】
必要とされるコンデンサ10aの耐熱性は、最も温度の上昇するコンデンサ10aを基準に決定される。したがって、電力変換装置100によると、コンデンサ10aとして、耐熱性の低いコンデンサを用いることが可能となる。
【0057】
電力変換装置100では、第1列に属しているコンデンサ10aの電極面11a及び第2列に属しているコンデンサ10aの電極面11aと対向しているとともに、放熱板40(第1部分41)が第1列に属しているコンデンサ10aと第2列に属しているコンデンサ10aとの間に配置されているため、複数の放熱板40が不要なり、電力変換装置100の製造コストを低減することができる。
【0058】
電力変換装置100では、放熱板40が第2部分42及び第3部分43を有している。第2部分42にある側面40d及び第3部分43にある側面40cは、それぞれ、第1側壁部31a及び第2側壁部31bに対向している。そのため、電力変換装置100では、放熱板40の熱が側壁31に伝わり、側壁31から放熱されやすくなるため、コンデンサ10aの温度上昇をさらに抑制することができる。
【0059】
電力変換装置100では、底壁32と放熱板40とが接触していることにより、放熱板40から底壁32へと伝熱しやすくなり、コンデンサ10aの温度上昇をさらに抑制することができる。放熱板40が第2部分42及び第3部分43を有していることにより、放熱板40と底壁32との間の接触面積が大きくなる。放熱板40と底壁32との間の接触熱抵抗は、放熱板40と底壁32との間の接触面積が大きくなるほど、小さくなる。そのため、電力変換装置100では、放熱板40の熱が底壁32に伝わり、底壁32から放熱されやすくなるため、コンデンサ10aの温度上昇をさらに抑制することができる。
【0060】
さらに、放熱板40が第2部分42及び第3部分43を有するように折り曲げられている結果、放熱板40は底壁32上において自立することができるため、放熱板40を筐体30内に収納する際に放熱板40を支持するための治具が不要となり、電力変換装置100の製造コストを低減することができる。
【0061】
放熱板40の第2方向DR2における幅が第3側壁部31cと第4側壁部31dとの間の第2方向DR2における距離と等しい場合又は第3側壁部31cと第4側壁部31dとの間の第2方向DR2における距離から放熱板40の第2方向DR2における幅を減じた値が0.5mmよりも小さい場合、第2部分42及び第3部分43により、筐体30内において放熱板40の位置決めを行うことができる。放熱板40の位置決めが行われることにより、コンデンサ10aの位置決めも容易になり、電力変換装置100の組み立て性が改善される。
【0062】
側面40cにおける算術粗さ及び側面40dにおける算術平均粗さが6.3μm以上である場合には、放熱板40と伝熱部材50との間の接触面積が大きくなり、放熱板40と伝熱部材50との間の接触熱抵抗が小さくなるため、コンデンサ10aの温度上昇をさらに抑制することができる。
【0063】
電力変換装置100では、コンデンサ10aが伝熱部材50で封止されているため、コンデンサ10aの位置を固定することができるとともに、コンデンサ10aの保護、防塵及び絶縁が可能となる。また、伝熱部材50中に外側ケース13が埋まるように伝熱部材50が筐体30内に配置されている場合には、電力変換装置100の耐振動性が改善される。この場合には、コンデンサ10aと伝熱部材50との接触面積が増加し、コンデンサ10aと伝熱部材50との間の接触熱抵抗が減少するため、コンデンサ10aの温度上昇をさらに抑制することができる。
【0064】
通電時には、コンデンサ10aの熱が伝熱部材50に放熱されるが、基板60が伝熱部材50内にあると(伝熱部材50に封止されていると)、伝熱部材50の線膨張係数と基板60の線膨張係数との違いに起因して、温度変化により基板60や通電端子12に応力が加わり、通電端子12の破損や通電端子12と基板60とを接続しているはんだ付け部におけるクラックの発生の原因となる。電力変換装置100では、伝熱部材50と基板60との間に隙間がある(基板60が伝熱部材50で封止されていない)ため、上記のような通電端子12の破損やはんだ付け部におけるクラックの発生を抑制できる。
【0065】
基板60が伝熱部材50内にあると、電力変換装置100に他の装置を接続することが困難になる。すなわち、他の装置との接続のために基板60に搭載される接続部を伝熱部材50から露出するように配置する又は基板60に接続される他の基板を伝熱部材50の外部に配置する必要がある。その結果、電力変換装置100に用いられる部品や電力変換装置100の組み立て工程に制約が生じる。伝熱部材50と基板60との間に隙間がある(基板60が伝熱部材50で封止されていない)と、このような制約を回避できる。
【0066】
筐体30内で伝熱部材50の偏りが大きいと、伝熱部材50が少ない部分において筐体30と熱接続する面が少なくなり、コンデンサ10aの温度上昇が大きくなるおそれがある。上端40bが伝熱部材50の上端よりも下方にあると、隣り合うコンデンサ10aの間が放熱板40で仕切られていても、伝熱部材配置工程S2において硬化前の伝熱部材50が移動して硬化前の伝熱部材50の液面高さが揃いやすく、筐体30内での伝熱部材50が偏りなく充填され、コンデンサ10aが均熱化される。
【0067】
第1列(第2列)に属しているコンデンサ10aの第1部分41側の電極面11aと第1部分41にある側面40c(側面40d)とが略平行になっている場合には、電極面11aと放熱板40との間の熱抵抗を、均一化することができる。また、この場合には、組み立て時にコンデンサ10aが筐体30及び放熱板40に接触しにくくなるため、コンデンサ10aに損傷が発生することを抑制できる。基板60と側壁31とが接触している場合、コンデンサ10aにおいて発生し、基板60に伝わった熱が、側壁31に伝わり、側壁31から放熱されやすくなる。そのため、この場合には、コンデンサ10aの温度上昇をさらに抑制することができる。
【0068】
第1列(第2列)に属しているコンデンサ10aの第1部分41と反対側の電極面11aと第3側壁部31c(第4側壁部31d)の内壁面とが略平行になっている場合には、電極面11aと側壁31との間の熱抵抗を、均一化することができる。また、コンデンサ10aの底面と底壁32の内壁面とが略平行になっている場合には、コンデンサ10aと底壁32との間の熱抵抗を均一化することができる。
【0069】
電力変換装置100では、隣り合っているコンデンサ10aの間に放熱板40が配置されているため、放熱板40が隣り合っているコンデンサ10aの間における電磁シールドとして機能する。また、放熱板40は、隣り合っているコンデンサ10aの間に配置されていることにより、コンデンサ10aが故障して爆発した際の防火壁としても機能する。
【0070】
(変形例1)
図8は、変形例1に係る電力変換装置100の断面図である。図8には、図2のIV-IVに対応する位置における断面が示されている。図8に示されるように、コンデンサ10aは、外側ケース13及びレジン14を有していなくてもよい。コンデンサ10aが外側ケース13及びレジン14を有していなくても、伝熱部材50によりコンデンサ素子11の絶縁が可能である。
【0071】
この場合には、コンデンサ素子11から直接的に伝熱部材50に伝熱されるため、コンデンサ10aと放熱板40との間の伝熱抵抗が小さくなる結果、コンデンサ10aの温度上昇をさらに抑制することができる。また、この場合には、コンデンサ10aを小型化することができるため、電力変換装置100を小型化することができる。さらに、この場合には、電力変換装置100のサイズを維持しつつコンデンサ素子11を大型化することができるため、コンデンサ10aを大容量化できる。
【0072】
(変形例2)
図9は、変形例2に係る電力変換装置100の斜視図である。図9に示されるように、電力変換装置100は、冷却器をさらに有していてもよい。この冷却器は、例えばヒートシンク70である。ヒートシンク70は、筐体30の外側に取り付けられている。より具体的には、ヒートシンク70は、底壁32に取り付けられている。ヒートシンク70は、その内部に水、空気等の冷媒を通過させることにより冷却されてもよい。ヒートシンク70は、熱伝導率の高い材料により形成されている。ヒートシンク70は、例えば、銅、アルミニウム、鉄等により形成されている。ヒートシンク70のフィン部の形状は、例えば板状又は剣山状である。ヒートシンク70のフィン部は、例えば第3方向DR3に向かって延在している。ヒートシンク70の板状のフィン部は、図9に示されるように第1方向DR1に沿って並んでいてもよく、第2方向DR2に沿って並んでいてもよい。ヒートシンク70のフィン部の厚さ、枚数、長さは、冷媒(水、空気等)や冷却方法により適宜変更されてもよい。
【0073】
電力変換装置100をさらに高出力化する場合、コンデンサ10aの数が増加する。コンデンサ10aが3列以上並ぶと、第1方向DR1において隣り合うコンデンサ10aの数及び第2方向DR2において隣り合うコンデンサ10aの数が増加するため、コンデンサ10aの温度上昇が大きくなる。筐体30から空気への放熱だけでは不十分な場合、ヒートシンク70により冷却を促進する必要がある。例えば、底壁32の外壁面にヒートシンク70を配置する。電力変換装置100がヒートシンク70を有している場合、筐体30(側壁31、底壁32)に伝わった熱はヒートシンク70から放熱されるため、コンデンサ10aの温度上昇をさらに抑制することができる。
【0074】
(変形例3)
図10は、変形例3に係る電力変換装置100の斜視図である。図10に示されるように、電力変換装置100は、ねじ80を有していてもよい。ねじ80は、例えば、皿ネジ又は鍋ねじである。ねじ80は、基板60に形成されている貫通穴60b(図10中において図示せず)に通されているとともに、側壁31に形成されているねじ穴に螺合されている。これにより、基板60は、側壁31に固定されている。ねじ80は、リベットであってもよい。基板60の側壁31への固定方法は、ねじ止めに限られない。基板60は、接着、かしめ、溶接等により、側壁31に固定されてもよい。
【0075】
この場合には、基板60が側壁31に固定されることにより、第1列(第2列)に属しているコンデンサ10aの第1部分41側の電極面11aと第1部分41にある側面40c(側面40d)とが略平行でなくなることが抑制される。その結果、電極面11aと放熱板40との間の熱抵抗を、均一化することができる。
【0076】
また、この場合には、第1列(第2列)に属しているコンデンサ10aの第1部分41と反対側の電極面11aと第3側壁部31c(第4側壁部31d)の内壁面とが略平行でなくなること及びコンデンサ10aの底面と底壁32の内壁面とが略平行でなくなることも、抑制される。その結果、電極面11aと側壁31との間の熱抵抗及びコンデンサ10aと底壁32との間の熱抵抗を均一化することができる。
【0077】
さらに、この場合には、基板60が位置決めされる結果、コンデンサ10aも筐体30内において位置決めされるため、電力変換装置100の組み立て性が改善される。
【0078】
(変形例4)
図11は、基板60の図示が省略された変形例4に係る電力変換装置100の平面図である。図11に示されるように、放熱板40は、さらに、第4部分44と、第5部分45とを有していてもよい。
【0079】
第4部分44及び第5部分45は、第1方向DR1に沿って延在している。第4部分44は、第2部分42の第1部分41と反対側の端に接続されている。第5部分45は、第3部分43の第1部分41と反対側の端に接続されている。このことを別の観点から言えば、第4部分44は第1列に属しているコンデンサ10aの第1部分41と反対側の電極面11aと対向しており、第5部分45は第2列に属しているコンデンサ10aの第1部分41と反対側の電極面11aに対向している。
【0080】
この場合、第1部分41と反対側のコンデンサ10aの電極面11aにおいて発生した熱も、放熱板40に放熱しやすくなる。その結果、第1部分41と反対側の電極面11aにおいて発生した熱を放熱板40で均熱化した上で側壁31から放熱することができ、放熱性が改善されるため、コンデンサ10aの温度上昇をさらに抑制することができる。また、この場合には、放熱板40と底壁32との間の接触面積がさらに増加するため、放熱板40と底壁32との間の接触熱抵抗をさらに減少させることができ、コンデンサ10aの温度上昇をさらに抑制することができる。
【0081】
実施の形態2.
実施の形態2に係る電力変換装置を説明する。実施の形態2に係る電力変換装置を、電力変換装置100Aとする。ここでは、電力変換装置100と異なる点を主に説明し、重複する説明は繰り返さないものとする。
【0082】
(電力変換装置100Aの構成)
以下に、電力変換装置100Aの構成を説明する。
【0083】
電力変換装置100Aは、複数の回路部品10(コンデンサ10a)と、筐体30と、伝熱部材50と、基板60とを有している。この点に関して、電力変換装置100Aの構成は、電力変換装置100の構成と共通している。
【0084】
図12は、基板60の図示が省略された電力変換装置100Aの平面図である。図12に示されるように、電力変換装置100Aは、放熱板40に代えて、放熱板91及び放熱板92を有している。この点に関して、電力変換装置100Aの構成は、電力変換装置100の構成と異なっている。
【0085】
放熱板91及び放熱板92は、第2方向DR2において、互いに隣り合っている。放熱板91は、第1部分91aと、第2部分91bと、第3部分91cとを有している。放熱板92は、第1部分92aと、第2部分92bと、第3部分92cとを有している。
【0086】
第1部分91aは、第1方向DR1に沿って延在している。第2部分91b及び第3部分91cは、それぞれ、第1部分91aの両端から、第3側壁部31c側に向かって第2方向DR2に沿って延在している。第1部分92aは、第1方向DR1に沿って延在している。第2部分92b及び第3部分92cは、それぞれ、第1部分92aの両端から、第4側壁部31d側に向かって第2方向DR2に沿って延在している。
【0087】
第1部分91a及び第1部分92aは、第1列に属しているコンデンサ10aと第2列に属しているコンデンサ10aとの間に配置されている。第1列に属しているコンデンサ10aの第1部分91a側の電極面11aは、第1部分91aと対向している。第2列に属しているコンデンサ10aの第1部分92a側の電極面11aは、第1部分92aと対向している。
【0088】
放熱板91の第2方向DR2における幅及び放熱板92の第2方向DR2における幅の和は、第3側壁部31cと第4側壁部31dとの間の第2方向DR2における距離に等しいことが最も好ましい。第3側壁部31cと第4側壁部31dとの間の第2方向DR2における距離から放熱板91の第2方向DR2における幅及び放熱板92の第2方向DR2における幅の和を減じた値は、0.5mmよりも小さくてもよい。
【0089】
以下に、電力変換装置100Aの効果を説明する。
電力変換装置100では、第1列に属しているコンデンサ10aにおける発熱及び第2列に属しているコンデンサ10aにおける発熱の双方が伝熱部材50を介して放熱板40に伝わるため、放熱板40の温度が上昇しやすい。他方で、電力変換装置100Aでは、第1列に属しているコンデンサ10aにおける発熱は放熱板91に伝わるが、第2列に属しているコンデンサ10aにおける発熱は放熱板92に伝わる。そのため、電力変換装置100Aによると、コンデンサ10aの温度上昇をさらに抑制できるとともに、複数のコンデンサ10aの間でのさらなる均熱化が可能である。
【0090】
放熱板91の第2方向DR2における幅及び放熱板92の第2方向DR2における幅の和が第3側壁部31cと第4側壁部31dとの間の第2方向DR2における距離に等しい場合又は第3側壁部31cと第4側壁部31dとの間の第2方向DR2における距離から放熱板91の第2方向DR2における幅及び放熱板92の第2方向DR2における幅の和を減じた値が0.5mmよりも小さい場合、筐体30内において、放熱板91及び放熱板92の位置決めを行うことができる。放熱板91及び放熱板92の位置決めが行われることにより、コンデンサ10aの位置決めも容易になり、電力変換装置100Aの組み立て性が改善される。
【0091】
(変形例1)
図13は、基板60の図示が省略された変形例1に係る電力変換装置100Aの平面図である。図13に示されるように、電力変換装置100Aは、放熱板91及び放熱板92に代えて、複数の放熱板93及び複数の放熱板94を有していてもよい。
【0092】
放熱板93は、平面視においてL字形である。放熱板93は、第1部分93aと、第2部分93bとを有している。第1部分93aは、第1方向DR1に沿って延在している。第2部分93bは、第1部分93aの第1方向DR1における一方端から第3側壁部31c側に向かって第2方向DR2に沿って延在している。
【0093】
第1部分93aは、第2方向DR2において隣り合っている2つのコンデンサ10aの間に配置されている。第2部分93bは、第1列に属しており、かつ第1方向DR1において隣り合っている2つのコンデンサ10aの間に配置されている。但し、最も第1側壁部31aの近くにある放熱板93の第2部分93bは、第1列に属しており、かつ最も第1側壁部31aの近くにあるコンデンサ10aと第1側壁部31aとの間に配置されている。
【0094】
放熱板94は、平面視においてL字形である。放熱板94は、第1部分94aと、第2部分94bとを有している。第1部分94aは、第1方向DR1に沿って延在している。第2部分94bは、第1部分94aの第1方向DR1における他方端から第4側壁部31d側に向かって第2方向DR2に沿って延在している。放熱板94は、好ましくは、放熱板93と同一形状である。
【0095】
第1部分94aは、第2方向DR2において隣り合っている2つのコンデンサ10aの間に配置されている。第1部分94aは、第1部分93aよりも第2列に属しているコンデンサ10aの近くにある。第2部分94bは、第2列に属しており、かつ第1方向DR1において隣り合っている2つのコンデンサ10aの間に配置されている。但し、最も第2側壁部31bの近くにある放熱板94の第2部分94bは、第2列に属しており、かつ最も第2側壁部31bの近くにあるコンデンサ10aと第2側壁部31bとの間に配置されている。
【0096】
この場合には、1つのコンデンサ10aに対して、1つの放熱板93又は1つの放熱板94が配置されている。その結果、コンデンサ10aから放熱板に対する伝熱面積が増加し、コンデンサ10aと放熱板との間の熱抵抗が減少するため、コンデンサ10aの温度上昇がさらに抑制される。また、放熱板93及び放熱板94は、簡単な形状になっているため、加工が容易である。放熱板93及び放熱板94が同一形状である場合には、生産性が特に向上する。さらに、隣り合っている2つのコンデンサ10aの間には、放熱板93及び放熱板94の少なくともいずれかがあるため、コンデンサ10aが故障して爆発した際の防火壁としての機能がさらに向上される。
【0097】
(変形例2)
図14は、基板60の図示が省略された変形例2に係る電力変換装置100Aの平面図である。図14に示されるように、電力変換装置100Aは、放熱板91及び放熱板92に代えて、複数の放熱板95を有していてもよい。複数の放熱板95は、同一形状であることが好ましい。放熱板95は、第1部分95aと、第2部分95bと、第3部分95cとを有している。
【0098】
第1部分95aは、第2方向DR2において隣り合っている2つのコンデンサ10aの間で、第1方向DR1に沿って延在している。第2部分95bは、第1部分95aの第1方向DR1における一方端から、第3側壁部31cに向かって第2方向DR2に沿って延在している。第3部分95cは、第1部分95aの第1方向DR1における他方端から、第4側壁部31dに向かって第2方向DR2に沿って延在している。
【0099】
第2部分95bは、第1列に属しており、かつ第1方向DR1において隣り合っている2つのコンデンサ10aの間に配置されている。但し、最も第1側壁部31aの近くにある放熱板95の第2部分95bは、第1列に属しており、かつ最も第1側壁部31aの近くにあるコンデンサ10aと第1側壁部31aとの間に配置されている。第3部分95cは、第2列に属しており、かつ第1方向DR1において隣り合っている2つのコンデンサ10aの間に配置されている。但し、最も第2側壁部31bの近くにある放熱板95の第3部分95cは、第2列に属しており、かつ最も第2側壁部31bの近くにあるコンデンサ10aと第2側壁部31bとの間に配置されている。
【0100】
この場合も、電力変換装置100Aが複数の放熱板93及び複数の放熱板94を有している場合と同様に、コンデンサ10aから放熱板に対する伝熱面積が増加し、コンデンサ10aと放熱板との間の熱抵抗が減少するため、コンデンサ10aの温度上昇がさらに抑制される。また、複数の放熱板95が同一形状である場合には、生産性が向上する。さらに、隣り合っている2つのコンデンサ10aの間には、放熱板95があるため、コンデンサ10aが故障して爆発した際の防火壁としての機能がさらに向上される。
【0101】
実施の形態3.
実施の形態3に係る電力変換装置を説明する。実施の形態3に係る電力変換装置を、電力変換装置100Bとする。ここでは、電力変換装置100と異なる点を主に説明し、重複する説明は繰り返さないものとする。
【0102】
(電力変換装置100Bの構成)
以下に、電力変換装置100Bの構成を説明する。
【0103】
電力変換装置100Aは、複数の回路部品10(コンデンサ10a)と、筐体30と、伝熱部材50と、基板60と、ねじ80とを有している。この点に関して、電力変換装置100Bの構成は、電力変換装置100の構成と共通している。
【0104】
図15は、電力変換装置100Bが有する基板60の平面図である。図16は、電力変換装置100Bの拡大断面図である。図16には、図2のIV-IVに対応する位置における拡大された断面が示されている。図15及び図16に示されるように、電力変換装置100Bでは、配線部材62が、第1配線部材62aと、第2配線部材62bとを有している。電力変換装置100Bでは、基板60が、導体層65を有している。これらの点に関して、電力変換装置100Bの構成は、電力変換装置100の構成と異なっている。
【0105】
第1配線部材62aは、導体層63に接続されている。そのため、第1配線部材62aは、導体層63及び接合部材64により、通電端子12と電気的に接続されている。第1配線部材62aは、基板60の表面に露出している。第2配線部材62bは、第1配線部材62aと電気的に絶縁されている。そのため、第2配線部材62bは、通電端子12と電気的に絶縁されている。第1配線部材62a及び第2配線部材62bは、平面視において、基材61を介在させて重なっている。そのため、第1配線部材62a及び第2配線部材62bは、熱的に接続されている。導体層65は、貫通穴60bの内壁面上に配置されている。第2配線部材62bは、導体層65に接続されている。ねじ80は、導体層65に接触している。
【0106】
(電力変換装置100Bの効果)
以下に、電力変換装置100Bの効果を説明する。
【0107】
電力変換装置100Bでは、コンデンサ10aにおいて発生した熱が、通電端子12、導体層63及び接合部材64を介して、第1配線部材62aに伝わる。第1配線部材62a及び第2配線部材62bは熱的に接続されているため、この熱は、さらに、第2配線部材62b、導体層65及びねじ80を介して、側壁31に伝わる。このように、電力変換装置100Bでは、コンデンサ10aにおいて発生した熱が基板60を介して筐体30に伝わる伝熱経路の熱抵抗が減少するため、コンデンサ10aの温度上昇をさらに抑制することができる。また、基板60が導体層63や導体層65を有することにより、基板60の強度が増加し、基板60の反りが抑制される。
【0108】
(変形例1)
図17は、変形例1に係る電力変換装置100Bが有する基板60の底面図である。図18は、変形例1に係る電力変換装置100Bの拡大断面図である。図18には、第2方向DR2に直交している第2部分42近傍の拡大された断面が示されている。図17及び図18に示されるように、基板60の放熱板40と対向している表面には、溝60cが形成されていてもよい。溝60cの底面には、放熱板40(上端40b)が接触していてもよい。すなわち、放熱板40が、基板60に熱的に接続されている。この場合、放熱板40と基板60とが熱的に接続されているため、放熱板40から基板60への放熱性能及び基板60から放熱板40への放熱性能が改善され、コンデンサ10aの温度上昇がさらに抑制される。
【0109】
放熱板40は、溝60cに嵌め合わされていることが好ましい。この場合には、放熱板40及び基板60が強く固定されることになるため、電力変換装置100Bの耐振動性が改善される。
【0110】
(変形例2)
図19は、変形例2に係る電力変換装置100Bの拡大断面図である。図19には、第2方向DR2に直交している第2部分42近傍の拡大された断面が示されている。図19に示されるように、配線部材62は、第3配線部材62cをさらに有していてもよい。第3配線部材62cは、溝60cの底面から露出している。第3配線部材62cは、放熱板40(上端40b)と接触している。第3配線部材62cは、第1配線部材62aと電気的に絶縁されている。第3配線部材62cは、平面視において第1配線部材62aと重なっているため、第1配線部材62aと熱的に接続されている。
【0111】
そのため、この場合には、コンデンサ10aの熱が放熱板40を介して第3配線部材62cに伝わるとともに、その熱が第1配線部材62aに伝わる。この熱は、第2配線部材62b、導体層65及びねじ80を介して、側壁31(筐体30)にさらに伝わることになる。また、この場合、コンデンサ10aから伝熱部材50を介して側壁31に伝わった熱が、ねじ80、導体層65、第2配線部材62b及び第3配線部材62cを介して、放熱板40に伝わる。そのため、この場合には、コンデンサ10aの温度上昇をさらに抑制することができる。
【0112】
実施の形態4.
実施の形態4に係る電力変換装置を説明する。実施の形態4に係る電力変換装置を、電力変換装置100Cとする。ここでは、電力変換装置100と異なる点を主に説明し、重複する説明は繰り返さないものとする。
【0113】
(電力変換装置100Cの構成)
以下に、電力変換装置100Cの構成を説明する。
【0114】
電力変換装置100Cは、複数の回路部品10(コンデンサ10a)と、筐体30と、伝熱部材50と、基板60とを有している。この点に関して、電力変換装置100Cの構成は、電力変換装置100の構成と共通している。
【0115】
図20は、電力変換装置100Cが有する放熱板40の側面図である。図20に示されるように、電力変換装置100Cでは、放熱板40が、突起46を有している。突起46は、上端40bから第3方向DR3に沿って突出している。突起46の上端40bにおける位置は、任意である。突起46の数は、複数であることが好ましい。突起46の数は、多い方が好ましい。突起46は、放熱板40と一体形成されていてもよく、はんだ付け、溶接、かしめ等により放熱板40に取り付けられていてもよい。突起46は、放熱板40と同一材料で形成されていてもよく、異なる材料で形成されていてもよい。
【0116】
図21は、電力変換装置100Cが有する基板60の平面図である。図21に示されるように、電力変換装置100Cでは、基板60に貫通穴60dが形成されている。貫通穴60dは、基板60の平面視における外周縁に配置されていてもよい。すなわち、貫通穴60dは、切り欠きになっていてもよい。貫通穴60dの数は、突起46の数に等しい。突起46は、基板60が筐体30上に配置されている状態で、貫通穴60dを通って基板60から突出している。基板60からの突出量が大きくなるように、突起46は長くなっていることが好ましい。これらの点に関して、電力変換装置100Cの構成は、電力変換装置100の構成と異なっている。
【0117】
(電力変換装置100Cの効果)
以下に、電力変換装置100Cの効果を説明する。
【0118】
電力変換装置100Cでは、放熱板40が突起46を有しているとともに、基板60に貫通穴60dが形成されているため、放熱板40に対する基板60の位置決めが容易になる。また、放熱板40に対する基板60の位置決めができることにより、放熱板40とコンデンサ10aとの間の距離又はコンデンサ10aと側壁31との間の距離に変動が生じにくくなるため、筐体30内における均熱化が可能となる。さらに、コンデンサ10aにおいて発生し、放熱板40に伝わった熱がさらに突起46に伝わり、突起46から放熱されるため、コンデンサ10aの温度上昇をさらに抑制することができる。
【0119】
実施の形態5.
実施の形態5に係る電力変換装置を説明する。実施の形態5に係る電力変換装置を、電力変換装置100Dとする。ここでは、電力変換装置100と異なる点を主に説明し、重複する説明は繰り返さないものとする。
【0120】
(電力変換装置100Dの構成)
以下に、電力変換装置100Dの構成を説明する。
【0121】
図22は、電力変換装置100Dの断面図である。図22に示されるように、電力変換装置100Dでは、放熱板40は、上端40bにおいて、基板60に接続されていてもよい。この接続は、例えば、ねじ止め、接着、かしめ、溶接等で行われる。
【0122】
(電力変換装置100Dの効果)
以下に、電力変換装置100Dの効果を説明する。
【0123】
電力変換装置100Dでは、放熱板40が基板60に接続されているため、コンデンサ10aの熱の放熱経路が増加する。すなわち、電力変換装置100Dでは、コンデンサ10aの熱が、電極面11aから伝熱部材50及び放熱板40を介して底壁32から放熱され、通電端子12から基板60を介して側壁31から放熱され、通電端子12から放熱板40及び基板60を介して底壁32から放熱される。また、電力変換装置100Dでは、放熱板40が基板60に接続されており、基板60が放熱板40により支持されるため、コンデンサ10aの重量による基板60の撓みが抑制される。
【0124】
(変形例1)
図23は、変形例1に係る電力変換装置100Dが有する放熱板40の側面図の1例である。図23に示されるように、電力変換装置100Dでは、上端40bに複数の溝40eが形成されていてもよい。溝40eの底部は、伝熱部材50の上面よりも下方にある。すなわち、放熱板40は、溝40eが形成されている部分において、伝熱部材50に埋まっている。放熱板40が基板60に接続されていると、筐体30内において伝熱部材50が偏ってしまい、コンデンサ10aの温度上昇が大きくなることがある。しかしながら、上端40bに溝40eが形成されており、溝40eの底部が伝熱部材50の上面よりも下方にあると、伝熱部材配置工程S2において硬化前の伝熱部材50が溝40eを通って移動することにより筐体30内での伝熱部材50が偏りなく充填され、コンデンサ10aが均熱化される。
【0125】
図24は、変形例1に係る電力変換装置100Dが有する放熱板40の側面図の他の例である。図24に示されるように、コンデンサ10aの熱は放熱板40を介して筐体30から放熱されるため、溝40eは、電極面11aと対向しない位置に形成されることが好ましい。また、溝40eが深すぎると放熱板40の長手方向に沿った熱伝導が小さくなるため、溝40eの底部は、伝熱部材50の上方かつ下端40aと上端40bとの中間位置よりも上方にあることが好ましい。
【0126】
(変形例2)
図25は、変形例2に係る電力変換装置100Dの断面図の1例である。図26は、変形例2に係る電力変換装置100Dの断面図の他の例である。図25及び図26に示されるように、側壁31の上部と基板60との間には、隙間があることが好ましい。より具体的には、基板60の寸法が底壁32の寸法よりも大きい場合、図25に示されるように、第3方向DR3において側壁31の上部と基板60との間に隙間がある。図25に示される例では、図示されていないが、基板60の側壁31に対する位置決め精度が厳しい場合には、基板60と側壁31との間にスペーサを挿入した上で基板60が側壁31にねじ止めされてもよい。基板60の寸法が底壁32の寸法よりも小さい場合、図26に示されるように、例えば第2方向DR2において側壁31の上部と基板60との間に隙間がある。
【0127】
側壁31の上部と基板60との間に隙間があることにより、コンデンサ10aの熱が筐体30内にこもりにくくなり、コンデンサ10aの温度上昇を抑制できる。また、側壁31の上部と基板60との間に隙間があることにより、その隙間から伝熱部材50が充填されているか否かを確認することができる。
【0128】
今回開示された実施の形態は全ての点で例示であり、制限的なものではないと考えられるべきである。本開示の基本的な範囲は、上記の実施の形態ではなく請求の範囲により示され、請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0129】
100 電力変換装置、10 回路部品、10a コンデンサ、10b インダクタ、10c コンタクタ、10d 放電抵抗、10e 充電抵抗、11 コンデンサ素子、11a 電極面、12 通電端子、13 外側ケース、14 レジン、20 回路部品、20a,20b,20c,20d,20e,20f トランジスタ、20g,20h,20i,20j,20k,20l ダイオード、30 筐体、31 側壁、31a 第1側壁部、31b 第2側壁部、31c 第3側壁部、31d 第4側壁部、32 底壁、40 放熱板、40a 下端、40b 上端、40c,40d 側面、40e 溝、41 第1部分、42 第2部分、43 第3部分、44 第4部分、45 第5部分、46 突起、50 伝熱部材、60 基板、60a 貫通穴、60b 貫通穴、60c 溝、60d 貫通穴、61 基材、62 配線部材、62a 第1配線部材、62b 第2配線部材、62c 第3配線部材、63 導体層、64 接合部材、65 導体層、70 ヒートシンク、80 ねじ、91 放熱板、91a 第1部分、91b 第2部分、91c 第3部分、92 放熱板、92a 第1部分、92b 第2部分、92c 第3部分、93 放熱板、93a 第1部分、93b 第2部分、94 放熱板、94a 第1部分、94b 第2部分、95 放熱板、95a 第1部分、95b 第2部分、95c 第3部分、100A,100B,100C,100D 電力変換装置、110 周辺回路、120 スイッチング回路、130 直流供給回路、140 モータ、141,142,143 入力線、DR1 第1方向、DR2 第2方向、DR3 第3方向、S1 回路部品接続工程、S2 伝熱部材配置工程、S3 放熱板・回路部品収納工程。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
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図19
図20
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